説明

シリケート充填剤を含む非弾性アクリルポリマーを含有するバリヤ塗料混合物および塗被製品

バリヤ塗料混合物は、キャリヤー液中に、(a)非弾性の実質的に重合したアクリルポリマー;(b)酸処理されていて且つ25より大のアスペクト比を有する薄片化した積層小板様シリケート充填剤;および(c)少なくとも一つの添加剤を含有し、ここにおいて、全固形分は30%未満であり、そして充填剤の量は、その全固形分の5%〜約60%である。塗被製品および容器、自立性薄膜または包装用フィルムを、該バリヤ塗料混合物を用いて製造する。このような塗被製品および塗料混合物を製造する方法を、更に包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2003年12月19日に出願された米国特許出願第10/741,741号の一部継続であり、それは、2003年8月29日出願の米国仮特許出願第60/498,799号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、新規なアクリル製バリヤ塗料組成物(acrylic barrier coating composition)、詳しくは、気体透過性の低減が向上された塗料に関する。
【背景技術】
【0003】
選択された支持体を気体、蒸気、化学物質および/または香気が透過するのを妨げ、低減させ、或いは阻止させるバリヤ塗料(層)は広く記載されており、このような塗料は、多様な産業、例えば、包装産業、自動車産業、塗料産業、タイヤ産業等に用いられる。塗料に用いられる典型的なバリヤ材料には、ポリエステル、PVDC、ポリウレタン、アクリルポリマー等が含まれる。
【0004】
ポリマーのバリヤ性は、不透過性の板状構造物の添加によって改善することができることはよく知られている。それらの板が拡散(透過)方向に垂直に配向している場合、拡散する分子は板を迂回しなければならない。これは、ポリマーの透過性を有意に減少させる。例えば、特に、E.L. Cussler et al, J. Membrane Sci. 38:161-174(1988); W.J. Ward et al, J. Membrane Sci., 55:173-180(1991); Chang, J. et al, Journal of Applied Polymer Science, Vol.84, 2294(2002); Yano, K. et al, Journal of Polymer Science A: Polymer Chemistry, 35, 2289(1997); Lan, T. et al, Chem. Mater. 6, 573(1994); Messersmith, P.B. and Giannelis, E.P, Journal of Polymer Science A: Polymer Chemistry 33, 1047(1995); 米国特許第4,528,235号;米国特許第4,536,425号;米国特許第4,911,218号;米国特許第4,960,639号;米国特許第4,983,432号;米国特許第5,091,467号;および米国特許第5,049,609号;および1993年3月4日公開の国際特許出願WO93/04118号を参照されたい。
【0005】
高剪断速度で熱可塑性加工された低濃度の比較的低いアスペクト比の小板(platelet)を用いた透過性の制御は以前に開示されている。例えば、E.L. Cussler et al, J. Membrane Sci. 38:161-174(1988); L.E. Nielsen, Journal of Macromolecular Science, Chemistry A1,929,(1967); R.K. Bharadwaj,"Modeling the Barrier Properties of Polymer-Layered Silicate Nanocomposites", Macromolecules 34, 9189(2001); G.H. Fredrickson and J. Bicerano,"Barrier properties of oriented disk composites”, Journal of Chemical Physics 110,2181(1999) を参照されたい。これら条件は、ポリマーのバリヤ性に比較的少ない改善をもたらす。これは、それら板が十分に整列している場合には、板の濃度とアスペクト比とによって透過性の減少が急激に変動するからである。それら板が十分に整列していない場合には、透過性の減少は更に低下される。これら先の努力が標的とする用途は、塗料ではなく、改善されたバリヤ性および/または機械的性質を有する塊状ポリマーであった。
【0006】
塗料配合物中の小板充填剤の使用もよく知られている。しばしば、それらは、ペイント中でレオロジーを改変するのに用いられ、垂れ落ちないペイントの製造を可能にしている。これら小板充填剤は、典型的に、50またはそれ未満のアスペクト比を有する薄片化シリケート(exfoliated silicate)である。それらは、剪断作用を全く受けていない場合に、塗料懸濁液中においてカードタイプ構造のハウス(a house of cards type structure)を形成して、ペイント(または塗料)にゲル様性質を与える。一般に、これら構造は、最適に整列した板を有することはなく、塗料の透過性を有意に減少させる。
【0007】
薄片化シリケートは、いくつかの方法によってナノコンポジット塗料を製造するのに用いられている。最も広く用いられているものは、溶解したポリマーを薄片化充填剤と混合することによる。ポリビニルアルコール(PVOH)などの水溶性ポリマーは、バーミキュライトなどの水で薄片化した充填剤と混合される。例えば、1999年9月14日の特開平11−246729号、“Gas-Barrier Poly(vinylalcohol)/poly(acrylic acid) Compositions and their Laminates and Shaped Articles”を参照されたい。トルエン中に溶解した Sumitomo Chemical Co., Ltd. のポリカーボネート は有機的に機能付加された充填剤と混合され、報告によれば、十分なバリヤ塗料が形成されている。例えば、W.L. Ward et al,“Gas Barrier Improvement Using Vermiculite and Mica in Polymer Films”, Journal of Membrane Science, 55:173-180(1991) を参照されたい。他のポリマーも、それらを溶媒中に溶解させ、そしてバリヤ性を改善させるために有機的に機能付加された充填剤を用いることにより、バリヤ塗料へと製造されている。例えば、Yano, K., et al,“Synthesis and properties of polyimide-filler hybrid composites”, Journal of Polymer Science A. Polymer Chemistry, 35,2289(1997) を参照されたい。
【0008】
水性ポリマー/クレーナノコンポジット分散液を製造するのにエマルジョン重合法を利用する方法は、米国特許第6,838,507号;米国特許出願第2005/0059769号および第2002/0086908号(全て、Rohm and Haas による)に開示されている。それら開示された方法は、双方とも、少なくとも部分的に薄片化した未改変クレー(unmodified clay)と、少なくとも部分的に薄片化した未改変クレー分散液を含むポリマー分散液の混合物の存在下でのin situ重合を包含する。それら開示されたナノコンポジット分散液は、塗料、接着剤、コーキング材、シーラント、プラスチック添加剤および熱可塑性樹脂などのいろいろな材料を製造するのに有用である。ポリマークレーナノコンポジット粉末を製造する方法や、これら粉末のプラスチック用樹脂およびプラスチック添加剤としての使用方法も開示されている。
【0009】
米国特許第6,838,507号に記載の方法は、少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一水性反応混合物と、少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも一つの未改変クレーを有する少なくとも部分的に薄片化した水性クレー分散液を含む第二水性反応混合物を提供する。それら二つの反応混合物を一緒にし、重合する。それらモノマーの一方は、酸含有モノマーである。
【0010】
水性ナノコンポジット分散液を製造するのにエマルジョン重合法を利用する更に別の方法は、米国特許第6,759,463号および米国特許出願第2002/0058740号(双方とも、Rohm and Haas による)に開示されている。これらの場合、開示された方法は、双方とも、少なくとも部分的に薄片化した僅かに改変されたクレー(at least partially exfoliated, lightly modified clay)と、少なくとも部分的に薄片化した僅かに改変されたクレー分散液を含むポリマー分散液の混合物の存在下でのin situ重合を包含する。本発明におけるクレーは、界面活性剤、シランまたは他の改変剤などの物質の使用によって疎水性改変されている。それら物質には、アミノ酸界面活性剤、アルキルアンモニウムイオン界面活性剤、シラン、アミノメチルスチレン、リビングフリーラジカル重合開始剤(「LFRP」)、重合性界面活性剤、または酸性イオン交換法によるものが含まれてよい。酸性イオン交換法は、イオン交換樹脂をクレーに加えることを含む。
【0011】
薄片化充填剤を重合前のモノマー中に配合することによってナノコンポジットを形成するのに用いられる別の方法は、1984年9月18日の米国特許第4,472,538号、“Composite Material Composed of Filler Mineral and Organic High Polymer and Method for Producing the Same”;1989年12月26日の米国特許第4,889,885号、“Composite Material Containing a Layered Silicate”に見出される。弾性ポリマーをエマルジョン重合する前に薄片化充填剤をモノマー小滴中に配合する他の技法は、1997年1月9日のPCT特許WO97/00910号、“Polymer nanocomposite Formation by emulsion Synthesis”, Exxon Research and Engineering Co に記載されている。メタクリレートモノマーは、ナノコンポジットへの重合前に、水性分散液中の薄片化充填剤と混合された。例えば、Lee, D.C. and Jang, L.W., Journal of Applied Polymer Science, Vol. 61, 1117-1122(1996) を参照されたい。これら方法は、熱加工用に塊状ナノコンポジットを製造するのに役立つように設計されており、実用的な塗料配合物には至らなかった。
【0012】
ポリマーの水性分散液を含む薄片化充填剤の水性分散液を用いてナノコンポジットを形成するいくつかの例がある。その研究の大部分には、懸濁液中の弾性ポリマーが用いられた。例えば、Wu, Y-P et al,“Structure of Carboxylated Acrylonitrile-Butadiene Rubber(CNBR)-Filler Nanocomposites by Co-coagulating Rubber Latex and Filler Aqueous Suspension”, Journal of Applied Polymer Science, 82, 2842-2848(2001); Wu, Y-P et al,"Structure of Properties of Nitrile Rubber(NBR)-Filler Nanocomposites by Co-coagulating NBR Latex and Filler Aqueous Suspension", Journal of Applied Polymer Science, 89, 3855-3858(2003); Varghese and Karger-Kocsis,"Natural rubber-based nanocomposites by latex compounding with layered silicates”, Polymer (inpress) (2003); Feeney et al, 2000年7月11日の米国特許第6,087,016号、“Barrier Coating of an Elastomer and a Dispersed Layered Filler in a Liquid Carrier”;Freeney et al, 2001年5月15日の米国特許第6,232,389号、“Barrier Coating of an Elastomer and a Dispersed Layered Filler in a Liquid Carrier and Coated Articles”;Goldberg et al,“Nanocomposite Bariier Coatings for Elastomeric Applications”, Materials Research Society, Symposium T: Polymer nanocomposites, paper T4.7, (April 2002); および Rubber World, vol.226, No.5, p15 (August 2002) に公開された Goldberg et al “Elastomeric Barrier Coatings for Sporting Goods”, ACS Rubber Section, April 29, 2002, paper 17 を参照されたい。これら参考文献は、イオン交換技法を用いて充填剤表面をポリマーとより相溶性(compatible)にはさせていない。それは、典型的に、充填剤が水性分散液から落ちるからである。
【0013】
ポリマー球および充填剤小板の組合せからナノコンポジットを形成するためには、ポリマーの有意な流動性および変形が要求される。したがって、このアプローチは、より硬質の非弾性ポリマーで機能するということは考えられなかった。このアプローチを非弾性ポリマーで試みたことが見出される唯一の例は、Oriakhi and Lerner[“Poly(Pyrrole) and Poly(Thiophene)/Filler Nanocomposites via Lates-Colloid Interaction”, Materials Research Bulletin, 30, 723-729(1995)]に記載されている。その方法は、水性ポリマーラテックスと水性薄片化クレー懸濁液を別々に形成することを包含した。そのラテックスは、薄片化クレーと混合される前に、安定化剤および界面活性剤を除去するために繰り返し洗浄された。懸濁液を混合することは安定な塗料懸濁液をもたらさず、むしろ混合物を凝固させ、懸濁液からナノコンポジットを生じさせた。水中に分散したクレーおよびポリマーのこれら混合物は、塗料配合物として用いることはできなかった。従って、本出願に記載の発明とはきわめて異なる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者が用いる本出願に記載のアプローチは、アクリルナノコンポジット塗料を形成するために、一定範囲の製品に塗布することができる安定な塗料配合物をもたらすという点で、上の技術とは異なる。そのナノコンポジットは、十分にポリマー溶融温度未満である乾燥工程中に形成される。したがって、それらポリマー粒子が、乾燥中に有意な変形を受けることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の要旨
有利なことに、本発明は、支持体層に付着しているアクリルナノコンポジット薄膜を有する製品を提供することにより、先行技術の問題を解決する。そのナノコンポジット層は、非弾性アクリルポリマー、酸処理された積層シリケート充填剤(acid-treated, layered silicate filler)、および場合により、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤およびゲッターの内の一つまたはそれを超える添加剤を含む。そのナノコンポジット層は、積層シリケート材料を含有しない類似の薄膜の場合の少なくとも50分の1未満の酸素透過性を有する。好ましくは、ナノコンポジットは、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜より少なくとも100分の1、500分の1、1000分の1、5000分の1、そしてなお10000分の1未満の酸素透過性を有する。
【0016】
典型的に、ナノコンポジット薄膜は、23℃および0%の相対湿度で約0.1cc-mm/m2-day-atm未満、好ましくは、0.01cc-mm/m2-day-atm未満または0.001cc-mm/m2-day-atm未満の酸素透過性を有する。
【0017】
概して、ナノコンポジット層中のアクリルポリマーは、約65%〜約95%のアクリルポリマーを含む。そのアクリルポリマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドのポリマーおよびそれらのコポリマーからなる群から選択でき、任意にビニル、スチレンおよびオレフィンを含有してもよい。望ましくは、そのアクリルポリマーは、自己架橋性であり且つヒドロキシル基を含有する。アクリルポリマー中のヒドロキシル基の濃度は、典型的に、1〜50個のヒドロキシル数に相当する。好ましい態様において、ヒドロキシル数は、10〜40個、または15〜30個である。
【0018】
更に、ナノコンポジット薄膜は、約5重量%〜60重量%のシリケート充填剤材料を含有してよい。他の適する量には、35〜40重量%のシリケート充填剤が含まれる。シリケート中の小板は、通常は、少なくとも約25、好適には、少なくとも約500のアスペクト比を有する。なお一層好ましくは、アスペクト比は、少なくとも約5000であるべきである。
【0019】
シリケート充填剤は、0.02重量%の濃度で水中に分散した場合に、配向した巨視的ドメイン(oriented macroscopic domain)を示すことがありうる。そのシリケートは、ベントナイト、バーミキュライト、モンモリロナイト(montmorillonite)、ノントロナイト、バイデライト(beidellite)、ボルコンスコアイト、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト、ラポナイト(laponite)、ソーコナイト、マガジアイト(magadiite)、ケニアアイト(kenyaite)、レディカイト(ledikite)およびそれらの組合せから成る群より選択されてよい。バーミキュライトは、特に適するシリケートであり、なお一層好ましいのは、モンモリロナイトである。典型的に、シリケート充填剤は、有機的に機能付加されていない。
【0020】
ナノコンポジット薄膜は、典型的に、約5〜40重量%の酸を含む。その酸は、通常は、酢酸かまたはグリシンである。
ナノコンポジット薄膜は、約0.1〜200ミクロンの適する厚み範囲を有する。なお一層好ましいのは、約0.1〜100ミクロン、0.1〜50ミクロン、そして0.1〜10ミクロンの厚みである。
【0021】
本発明における支持体層は、典型的に、ポリエステル、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、ビニル樹脂類(vinylics)(酢酸ビニルおよび塩化ビニルなど)、スチレン、フルオロポリマーおよびそれらの組合せなどのプラスチックを含む薄膜または成形品である。望ましくは、その支持体層は、ポリエチレンテレフタレートを含む。本発明の支持体層は、概して、防腐性包装用フィルム、腐蝕保護フィルム、真空および制御雰囲気包装、吹込成形容器、熱成形容器、または電子デバイスまたはディスプレイフィルム、特に、有機系半導体または導体から製造されるものまたはそれを含有するものなどの品目から成る。
【0022】
更に、本発明により、バリヤ塗料混合物であって、水、非弾性アクリルポリマー、および酸で処理された実質的に薄片化したシリケート充填剤材料の水性分散液を含むバリヤ塗料混合物が提供される。任意の添加剤には、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤およびゲッターが含まれる。その分散液は、典型的に、エマルジョン、懸濁液およびラテックスである。その分散液は、通常は、約5〜約30%の全固形分を有するが、その場合、シリケートは、その固形分の約10%〜約50%を構成している。本発明の乾燥された塗料混合物から製造される薄膜も考えられる。
【0023】
本発明において、更に、バリヤ塗料混合物を製造する方法であって、実質的に重合した非弾性アクリル樹脂を含有する第一分散液を与え;実質的に薄片化したシリケート充填剤を含有する第二分散液であって、反応性アクリルモノマーを実質的に含まない第二分散液を与え;そして第一分散液と第二分散液とを混合する工程を含む方法を提供する。その方法は、シリケート充填剤を酸で処理する工程を更に包含してよく、この場合の酸は、好ましくは、グリシンである。典型的に、第一分散液は、湿潤剤を含有する。
【0024】
本発明の更にもう一つの側面にはアクリルバリヤ塗料薄膜を製造する方法があり、それによって、水性分散液を支持体に塗布する。その分散液は、非弾性アクリルポリマー;酸で処理された実質的に薄片化したシリケート充填剤材料;および場合により、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤またはゲッターの内の一つまたはそれを超えるものを含む。次に、分散液を乾燥させて、その分散液中に存在したのと同様の類似のポリマー対充填剤比率を有する薄膜とし、その薄膜は、シリケート充填剤を含むことなく形成された類似の薄膜の場合の少なくとも50分の1未満の酸素透過性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の他の側面および利点は、下の詳細な説明および請求の範囲に記載される。
発明の詳細な説明
本発明は、薄片化シリケートおよびアクリルポリマーの分散液を提供することにより、透過性および/または透過度の実質的減少を達成する塗被製品、塗料、フィルムおよび塗料配合物を提供するという点で独特である。以下のフィルム、塗料および塗被製品は、いくつかの用途において改善されたバリヤ性を提供することができ、そして包装用途および電子用途に特に適している。
【0026】
非弾性アクリルポリマーで得られた結果(本発明の課題)は、Feeney et al による2000年7月11日の米国特許第6,087,016号、“Barrier Coating of an Elastomer and a Dispersed Layered Filler in a Liquid Carrier”の弾性ナノコンポジット配合物に相対して考えた場合でも、驚くべきことである。非弾性ポリマーの水性分散液は通常、水性分散液から薄膜を形成する過程の間、球形態を保持しているから、この結果は意外である。これは、当業者が、最終塗料中の薄片化充填剤の十分な分散を得ることがきわめて困難であり、その充填剤が薄膜形成中にポリマー粒子間の界面で融合(coalesce)すると考えるであろうことを意味する。達成された大きなバリヤ性減少は、この融合が、透過性の減少を制限するほど大きくはなかったということを示している。
【0027】
本発明を、いろいろな実施例に関して下に詳細に記載する。請求の範囲に挙げられる本発明の精神および範囲内での具体的な実施例への変更は、当業者に容易に明らかであろう。
【0028】
特に断らない限り、用語は、それらの通常の意味にしたがって解釈されるべきである。以下は、本明細書中および請求の範囲に用いられる用語のいくつかの代表的な定義である。
I.定義
「アクリル樹脂(acrylic)」は、アクリル酸およびメタクリル酸の誘導体であって、アクリル酸エステル、およびニトリル基およびアミド基を含有する化合物を含めた誘導体を示す包括的用語である。伝統的なモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸;およびエチル、メチル、ブチル、エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレートなどのアクリル酸エステルが含まれる。本発明の目的のための「アクリル樹脂」という用語は、更に、上のモノマーと、ビニル樹脂類、スチレン、エチレン、プロピレン等のようなオレフィンおよび類似のものとのコポリマーを包含する。
【0029】
本明細書中で用いられる「非弾性ポリマー」という語および類似の専門用語は、室温、すなわち23℃、を超えるガラス転移温度(Tg)および/または10%を超える結晶化度を有するそれらポリマー材料を包含する。典型的に、非弾性ポリマーは、適切に架橋していて且つ無機充填剤を添加されていない場合でも、室温で2倍の長さに伸長することができず、その後、元の形状に戻ることができないポリマーとして考えることができる。この定義は、ポリマーの性質に言及していて、充填剤されたまたは最終のナノコンポジット塗料のことではない。
【0030】
「ナノコンポジット」または「充填剤入りポリマーナノコンポジット」という用語は、実質的に薄片化した充填剤とポリマーとの混合物を意味する。少なくともいくつかの充填剤粒子の厚みは、1ミクロン未満であり、おそらくは、100nmよりも十分に小さい。
【0031】
「薄片化」は、積層充填剤について、元の粒子の個々の層の分離として定義される。充填剤は、ポリマーが各々の粒子を取り囲むことができるように薄片化している。望ましくは、各々の小板間に十分な量のポリマーが存在し、小板はランダムに間隔が空けられている。好ましくは、薄片化粒子の実質的にランダムな間隔ゆえに、X線ラインは認められない。ある状況下で、充填剤は、水性媒体または非水性媒体中に分散されたときに、薄片化することができる。これは、分散前の固体粒子よりも高いアスペクト比を生じると考えられる。
【0032】
「中視的ドメイン(mesoscopic domain)」は、小板が十分に整列している場合に、板が局部的に配向したドメインを形成していることを意味する。巨視的ドメイン(macroscopic domain)は、中視的ドメインを形成している粒子の懸濁液を交差偏光子を通じて見る際に見ることができる。これらドメインは、ポリマーが水中に分散した場合、見るのが難しくなる。
【0033】
「アスペクト比」は、小板充填剤粒子、例えば、雲母薄片の横方向寸法を、小板厚みで除したものとして定義される。本明細書中で用いられる「アスペクト比」という用語は、水中に分散した場合に典型的に見出されるような、実質的に薄片化したシリケートの特性を意味する。「高いアスペクト比」は、小板充填剤の横方向寸法を厚みで除したものが25より大きいことを意味する。充填剤のアスペクト比は、その選択された充填剤の固有特性である。例えば、MICROLITE(登録商標)963バーミキュライト水溶液[1994年6月15日公開のEP出願第601,877号を参照されたい]は、WR Grace により生成物参考文献に報告され且つ電子顕微鏡写真(micrgraphs)より確認されたように、約10,000の特徴的なアスペクト比または10〜30μm x 10の寸法を有する。これは、0.02重量%のMICROLITEのみを含有する(水中)懸濁液中における局部的に配向した中視的ドメインの知見と一致する。
【0034】
「バリヤ塗料混合物」は、懸濁した固体を含有する液体を包含し、それは、それら固体を支持体に塗布するのに用いられる。これには、慣用的に定義されるように、コロイド分散液、懸濁液、エマルジョンおよびラテックスが含まれる。例えば、「コロイド分散液またはラテックス」は液体中の粒子の分散液または懸濁液を意味し、それら粒子は、分子規模より大きいサイズ、例えば、約0.001〜約0.1ミクロンである。エマルジョンは、概して、約0.05〜1.0ミクロンの粒子を液体中に含有する。「懸濁液」は、概して、1.0ミクロンより大きい粒子を液体中に含有する。本発明の新規な側面は、下に更に詳細に記載のように、バリヤ塗料混合物が、液体中の異例に低い固形分、例えば、約1〜約30%の固体で、より良い小板充填剤分散液を提供するということである。本発明では、いったん乾燥させた「塗料混合物」を、時々、「乾燥塗料」または「薄膜」と称する。
【0035】
これら塗料を塗被された「支持体」または「製品」という用語には、フィルム、具体的には、包装用フィルム(防腐性、腐蝕保護、真空および制御雰囲気包装を含む)、吹込成形または熱成形容器および製品、電子デバイスおよび/またはディスプレイおよび他の表面、および類似のものなどの材料が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0036】
本明細書中で用いられる「酸素透過性」は、ある材料から製造された薄膜を介して酸素ガスが透過する容易さを示す材料の性質を意味する。本発明のアクリルナノコンポジット薄膜は、シリケート充填剤を含有しない(同じ厚みの)類似の薄膜の場合の少なくとも50倍の酸素透過性を有する。
【0037】
II.バリヤ塗料
本発明によるバリヤ塗料混合物は、次の成分:
(a)水;
(b)非弾性アクリルポリマー;
(c)酸で処理された実質的に薄片化したシリケート充填剤材料;および
(d)場合により、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤およびゲッターの内の一つまたはそれを超える添加剤
を包含する。
【0038】
これらバリヤ塗料混合物は、無充填アクリルポリマーに相対して、50倍〜10,000倍程度に高い、またはなお一層高い酸素透過性減少を有する薄膜を生じる。これら結果は、他の小板入りバリヤ塗料についての先行技術より実質的に高度である。
【0039】
それら塗料配合物と、続いてそれらから形成されるナノコンポジットバリヤ塗料は、以下の点で独特である。
1.用いられるポリマーは、非弾性である(分散したポリマー粒子が変形してナノコンポジットバリヤ薄膜を形成することができるということは驚くべきことである);
2.薄片化充填剤は、酸で処理されており、概して、当該技術分野において典型的に行われるような有機カチオンでのイオン交換法によって有機的に機能付加されていない。
【0040】
3.分散液中の薄片化充填剤の濃度およびアスペクト比は、典型的に、それが中視的ドメインを形成するように選択される。これは、最終のナノコンポジット塗料中の小板の配向を容易にし、部分的に、バリヤ性の大きな改善をもたらす;
4.充填剤の濃度を高くできるので(全固体重量に相対して60%まで)、透過性の大きな減少ももたらされる。
【0041】
本発明のバリヤ塗料混合物は、乾燥バリヤ塗料における所望の透過性減少を達成するために、いくつかの重要な特徴、すなわち、非弾性アクリルポリマー中の充填剤の適当な分散、非弾性ポリマー中の充填剤小板の配向、更には、充填剤の高いアスペクト比の平衡化によって特徴付けられる。本発明のバリヤ塗料混合物は、望ましくは、異例に低い全固形分、すなわち、約1%〜約30%の固体を含有する。より望ましい固形分範囲は、約5%〜約25%の固体である。固形分は高いアスペクト比の充填剤の分散に影響するので、バリヤ塗料組成物と乾燥塗料の性能に重要な事柄である。バリヤ塗料組成物に、高い全固形分が用いられる場合、例えば、バーミキュライトまたはモンモリロナイトのような充填剤の十分な分散は得られないであろうし、本明細書中の実施例および図面に報告される本発明の塗料に特有の透過性減少は得られない。好ましい固形分範囲は、意外にも、塗料工業において典型的に用いられるものよりも非常に低く、したがって、バリヤ塗料配合物に関して示している先行技術では予測されない。
【0042】
本発明の塗料混合物の全固形分は、特に、ポリマーが以下に示されるようなアクリルポリマーなどの非弾性ポリマーであり且つ充填剤がバーミキュライトまたはモンモリロナイトの懸濁液である場合、好ましくは30%未満であり、シリケート充填剤が全体の5〜60%である。実施例1〜34は、本発明のいろいろな望ましい組成物を示す。
【0043】
好ましくは、乾燥バリヤ塗料(薄膜)中に、アクリルポリマーは、約65〜約95重量%で存在し、積層充填剤は、約5〜約35重量%で存在し、そして酸は、約5〜約40重量%で存在する。
【0044】
A.非弾性ポリマー
本発明のバリヤ塗料混合物を形成する場合に有用な非弾性アクリルポリマーには、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドのポリマー、およびそれらのコポリマーが含まれ、これは任意にビニル、スチレンおよびオレフィンを含有する。
【0045】
いずれか特定の理論に拘束されたくはないが、出願人は、本発明に記載のアプローチが、非弾性アクリルポリマーで行われるという事実は、驚くべきことであると考える。非弾性ポリマーの分散液が被膜を形成する場合、典型的にはいくつかの段階を経て進行する。最初に、被膜を形成し、乾燥して、界面活性剤で隔てられたポリマーの球状粒子の集合とする。より高温に加熱された場合、それら粒子は変形して、より空間を充填する。最後に、ポリマーは、界面活性剤を含有する領域を介して相互拡散して、完全に融合した薄膜(fully coalesced film)を形成する。初期配合物中に、実質的な量の薄片化したナノ分散充填剤が存在する場合、(Feeney et al による米国特許第6,087,016号に記載の弾性ポリマーと比較して)ポリマーのこれら比較的硬質の分散した球状粒子が、小板充填剤粒子でナノコンポジット薄膜を製造するために変形するということは驚くべきことである。認められた大きい透過性減少は、この現象が起こっている証拠である。一方、それら薄膜は、融点まで加熱されていないので、現時点では詳細な機構は十分に理解されていない。
【0046】
本発明によって用いられるアクリル樹脂類は、典型的に、エマルジョンの形である(ラテックスとしても知られる)。ポリマーエマルジョンは、連続媒体中の準微視的ポリマー粒子(submicroscopic polymer particle)のコロイド分散液である。最もよく知られる例は、ゴムの木(Hevea brasiliensis)によって生産される天然ラテックスであり、今なお世界中で最も広く用いられているポリマーの重要な源の一つである。水中のポリマー粒子の分散液を含む人造ラテックスは、合成ゴム、耐衝撃性ポリマー、接着剤、ラテックスペイント、紙用塗料、カーペット裏地、不織布用結合剤、プリント用インク、セメントモルタルの補強剤、および免疫診断検査に用いられる。有機媒体中に親水性ポリマーの分散液を含む逆ラテックスは、コロイド分散液のフロキュレーション、水・鉱物浮選、および油回収促進に用いられるポリマーのために製造される。
【0047】
エマルジョンの範囲には、酢酸ビニルポリマー(ポリ酢酸ビニルおよびエチレン酢酸ビニルを包含する)、アクリル樹脂類およびスチレンブタジエン(SB)ラテックスも含まれる。
【0048】
アクリル樹脂類の主なクラスは、純粋なアクリル樹脂類、ビニルアクリル樹脂類およびスチレンアクリル樹脂類に基づく。これらは、アクリレート、メタクリレート、ビニル樹脂類およびスチレン樹脂類(styrenics)、およびそれらの種々のコポリマーから誘導されうる。更に、これらアクリル樹脂類と、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレンなどのオレフィンおよび類似のものから誘導されるモノマーとの他のコポリマーも存在する。特に好ましいアクリル樹脂類には、アクリレートポリマーと、アクリルアミド、スチレン、ビニルエステルおよびウレタンとのコポリマーが含まれる。なお特により好ましいアクリル樹脂類は、1〜50個、好ましくは、10〜40個、最も好ましくは、15〜30個であるヒドロキシル数として表されるヒドロキシル基を包含する自己架橋性タイプである。ヒドロキシル数を測定する標準法は、無水フタル酸または無水酢酸でのヒドロキシル基の誘導体化に基づく。過剰の試薬を酸へと加水分解し、それを、標準化された塩基で滴定し、そして試料とブランクとの間の滴定量の差から、ヒドロキシル数を計算する。
【0049】
架橋性エマルジョンは、選択された用途における薄膜特性、具体的には、耐薬品性を改善するために開発された。二成分架橋性系があるが、その場合の架橋性成分の一方は、分散液の塗布直前に加えられる。或いは、自己架橋性(ワンポット)系があり、そこには全ての反応性成分が入っており長時間貯蔵安定性である。架橋反応は、乾燥時の水の蒸発、pHの変化、または高温での硬化によって開始させることができるが、その場合、架橋反応はより速いかまたは反応性基は脱ブロックされる。適する架橋系の例は、ポリマー主鎖上の酸基とアゼリジンの反応;主鎖上のヒドロキシル官能基と後に加えられるイソシアネートまたはメラミンとの反応;どちらもポリマー主鎖上でありうるアミンとエポキシ官能基との反応;包含された脂肪酸基の自動酸化;アルコキシシラン官能基の自己縮合;アセトアセトキシ基または酸基などの主鎖官能基を含むn−メチロールアクリルアミド金属イオン配位物の自己縮合;およびアセトアセトキシ基とアミン基とのまたはアセトアセトキシ基と不飽和基との Michael 反応における反応である。
【0050】
ポリマーは、好ましくは、水中または水と溶媒との混合物中で、分散液、ラテックス、懸濁液またはエマルジョンを形成することができる。特に好ましい非弾性ポリマーは、Lubrizol Dock Resins 製のDORESCO TAW4−39およびDORESCO TAW7−1などのアクリル樹脂類である。これらポリマーを用いた本発明の塗料混合物を、下に詳しく例示する。
【0051】
B.充填剤
上記のような本発明の塗料混合物は、更に、約25〜約30,000程度に高いことがありうる本質的に高いアスペクト比を混合時に有する、分散し積層した酸処理済み充填剤を包含する。現在好ましい充填剤は、バーミキュライトまたはモンモリロナイトである。他の適する充填剤の例には、薄片化シリケート、例えば、ベントナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガジアイト、ケニアアイト、レディカイトおよびそれらの混合物が含まれる。
【0052】
Southern Clay Industries 製のMICROLITE(登録商標)バーミキュライトおよびモンモリロナイトSCPX2041は、それらのきわめて高いアスペクト比ゆえに、好ましい充填剤である。MICROLITE(登録商標)963は、水系バーミキュライト分散液であり(W.R. Grace)[1994年6月15日公開のEP出願第601,877号を参照されたい]、それは、分散したバーミキュライトの7.5重量%水溶液であって、約10,000のアスペクト比を有するものである。SCPX2041は、分散したモンモリロナイトの2.1重量%水溶液であり、約100〜約250であるアスペクト比を有する。本発明の混合物の一つの新規な側面は、乾燥塗料中の選択された充填剤のアスペクト比である。本発明によれば、乾燥塗料において、充填剤は実質的に分散し且つ十分に配向した状態のままである。本発明の乾燥塗料中には、積層充填剤が、乾燥塗料の最低約5重量%〜最大約60重量%存在する。本発明の組成物は、乾燥した場合、充填剤を十分に分散した形で保持して、透過性の大きな減少をもたらす。もう一方において、本発明者は、充填剤が薄片化した状態のままである程度を示す(x線などの)直接的な測定値を得ていない。達成されるバリヤ性の大きな改善は、充填剤が十分に分散し且つ配向しているという最良の証拠である。
【0053】
バーミキュライト板は、10〜30ミクロンの平均横方向サイズを有する。それら板は、水中で主に薄片化しているので、それらの厚みは、1〜3nmである。水分散液中の充填剤のアスペクト比は、平均10,000〜30,000である。多数の板が、本発明の塗被および乾燥工程中に再集合するということは明らかである。しかしながら、できるだけ大きいアスペクト比で開始することは大きな利点である。MICROLITE(登録商標)バーミキュライトのものに類似した性質、更には、十分に高いアスペクト比を有する他の既知のシリケートの選択および使用は、本発明の内容にしたがって当業者に明らかであると考えられる。
【0054】
充填剤中の大きいアスペクト比の小板は、局部的に配向していることがありうる。懸濁した板の中視的性質は、アスペクト比の直接的結果である。MICROLITE(登録商標)963の大きいアスペクト比の簡単な証明は、それが0.02重量%または0.01容量%の濃度で水中に分散している場合に、配向した巨視的ドメインが認められうるということである。小板充填剤が懸濁液中で局部的に配向する濃度よりも高い濃度は、約1/アスペクト比で与えられる。したがって、25のアスペクト比で開始する充填剤は、高い局部配向を達成するためには、分散液中に4容量%を超えて分散されなければならないだろう。
【0055】
MICROLITE(登録商標)963バーミキュライト(W.R. Grace)は、一つの好ましいシリケートであるが、良好な結果は、MICROLITE(登録商標)バーミキュライトの他の薄片化銘柄(すなわち、963++、923および903銘柄)で達成することもできる。他の積層シリケートも、本発明のバリヤ塗料および薄膜に有用である。具体的には、CO−OP Chemical co. Ltd.(東京、日本)製のSOMASIFTMME−100および Southern Filler Products(Gonzales, Texas)製のSCPX−2041がある。本発明のバリヤ塗料における他のシリケートの有効性は、小板の横方向サイズ、水中での薄片化度、および塗被および乾燥工程中にそれらが再集合して一層大きい粒子を形成する程度に依存する。
【0056】
バリヤ塗料は、薄片化シリケート充填剤の酸での前処理を包含する。酸と充填剤粒子との間に起こる機構については、まだ十分に理解されていないが、このような処理を用いる不可欠な理由には、次が含まれる:
1.水性ポリマー分散液および水性分散充填剤の改善された相溶性。これはやはり、ポリマーおよび充填剤の相溶性を改善することを目的とする他の作業とは全く異なる。有機基は、(それら基が、陰電荷であり、充填剤の表面に粘着することはないと考えられるので)充填剤の平坦表面上に有意な量で置かれているということはない;
2.塗料配合物の改善された安定性。
【0057】
双方の場合において、酸処理は、充填剤粒子間の、および水中に分散したポリマーと充填剤との間の詳細な相互作用を改変することができる。それは、界面活性剤と増粘剤との相互作用を改変することもできる。これら相互作用は十分に理解されていないが、観測された改善は、おそらくは、次の機構の一方または双方に依る:
(a)充填剤の化学的改変、すなわち、充填剤構造中の欠損地点または縁への酸基の結合。更に、その処理は、充填剤から金属イオンを除去して、配合物中の荷電界面活性剤と他の成分との相互作用を更に変化させることができる;
(b)板構造の物理変化。酸処理が、欠陥地点の充填剤およびまたは不純物を局部的に改変する場合、それは、板を曲げることがありうる。板が平坦でない場合、それら板は接触している領域を有するであろう。一方で、板は、平坦でない場合、より大きい充填剤粒子へと十分に凝集することができない。これらタイプの物理変化は、充填剤が処理される時の粘度および安定性の変化についての知見と一致する。記載されたような物理変化は、それら変化が、酸で処理された充填剤を引き続き塩基で処理する場合に可逆的でないということとも一致する。物理変化が、改善された性質に重要である場合、このような変化は、酸または塩基処理以外の方法によって達成することができる。
【0058】
C.界面活性剤および他の添加剤
本発明の塗料混合物は、表面張力を減少させるために、少なくとも一つまたは二つ以上の適する界面活性剤を含有することもできる。界面活性剤には、湿潤剤、消泡剤、乳化剤、分散助剤、レベリング剤等として知られる以外の材料が含まれる。界面活性剤は、アニオン、カチオンおよび非イオン性であることができ、各々のタイプの多数の界面活性剤が商業的に入手可能である。これら組成物中に包含するのに適する界面活性剤は、乾燥塗料が残留する界面活性剤に影響されないことを確実にするのに十分なほど低い臨界ミセル濃度を有する。好ましくは、本発明の方法および分散液に有用な一つまたは複数の界面活性剤は、バーミキュライトのような高荷電充填剤で特に有用な非イオン性である。ラテックス分散液中に存在するアニオン乳化剤の好ましくない相互作用には、いかなる追加のイオン性添加剤も最小限にすべきである。この変動性は、界面活性剤または乳化剤が非イオン性である場合は排除される。pHを調整する塩基、例えば、KOH、NH4OHおよびNaOHの添加のように、バーミキュライトを含有する組成物のイオン濃度を増加させることは、充填剤の凝集を引き起こす可能性があり、それは透過性減少に悪影響を与える。
【0059】
積層シリケート中に存在するアルカリ金属対イオンでイオン交換することができるカチオン界面活性剤は、用いられていない。それらは、典型的に、充填剤表面を疎水性にするので、安定な水懸濁液を不可能にするであろう。限られた量のカチオン界面活性剤は、それらが塗料配合物安定性に悪影響を与えない限りは、包含されてよい。
【0060】
下の実施例に用いられる望ましい界面活性剤は、特に、ERANOL345(Enviro Resins and Additives)、SURFYNOL PSA336(Air Products and Chemicals, Inc.)およびFOAMASTER(登録商標)VL脱泡剤(Henkel)である。
【0061】
他の適する界面活性剤を選択してもよい。塗料分散液または組成物に加えられる界面活性剤の量および数は選択される一つまたは複数の具体的な界面活性剤に依存するであろうが、乾燥塗料の性能に影響を与えずに支持体を湿潤させるのに必要な最小量の界面活性剤に制限されるべきである。例えば、典型的な界面活性剤量は、乾燥塗料の約15重量%に等しいまたはそれ未満でありうる。
【0062】
或いは、同じ界面活性剤分子は、(1)コポリマー部分として、または(2)後にポリマーと反応することができる付加された反応性部分として、ポリマーに化学結合させることができる。
【0063】
他の任意の塗料混合物成分には、上に論じられるように、凝集を免れるように注意するという条件で、塩基、例えば、特に、NH4OH、NaOHまたはKOH、または酸、例えば、特に、酢酸、グリシンまたはクエン酸のような、pHを調整する慣用的な物質が含まれる。
【0064】
もう一つの態様において、増粘剤は、粘度を調整するために塗料配合物中に用いることができる。当業者は、本明細書中にある内容に基づいて塗料混合物中に用いられた充填剤のタイプおよび量に依存して、増粘剤のタイプおよび量を容易に決定し且つ調整するであろう。
【0065】
薄膜または塗料が分子または化学物質の拡散を制限する場合、吸収剤またはゲッターを塗料へ或いは塗料より下の層または材料中へ添加することにより、分子の浸透を更に減少させることができることはよく知られている。この概念は、酸素の拡散をブロックする Honeywell's AEGISTM Nylon フィルムに商業的に用いられている。同じ概念を、酸素、水、軍事化学薬品またはいずれか他の材料の浸透をブロックするために、ナノコンポジット塗料と一緒に用いることができることは明らかである。このような吸収剤の使用は、定常状態の透過性に大きく作用することはないであろうが、主に、最初の分子がその系を介して拡散するのに要する時間に影響するであろう。この漏出時間は、包装用途、化学的保護用途および電子用途に最も重要である。
【0066】
D.キャリヤー液
本発明の塗料混合物は、主に水である適するキャリヤー液中に存在する。水と有機キャリヤーとの組合せを、キャリヤー液として用いることもできる。適する有機キャリヤーの例には、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、エタノール、メタノール、他の炭化水素およびそれらの組合せが含まれうる。適する有機溶媒キャリヤーの選択は、当該技術の範囲内である。
【0067】
E.バリヤ混合物の態様
本発明による支持体または界面への塗布に有用なバリヤ塗料混合物の一例は、(a)非弾性アクリルポリマー;(b)酸で処理された実質的に薄片化したシリケート充填剤;および(c)場合により、一つまたはそれを超える添加剤を含むバリヤ塗料混合物である。これらバリヤ塗料混合物は、無充填ポリマーに相対して、50倍〜10,000倍程度に高い、またはなお一層高い酸素透過性減少を有する薄膜を生じる。これら結果は、他の小板入りバリヤ塗料についての先行技術より実質的に高度である。
【0068】
好ましい態様において、上記の塗料混合物は、全固体の5〜60%を構成している充填剤を含む30%に等しいまたはそれ未満の全固形分と、その固形分の約5〜40重量%の酸、および約0.1重量%〜約15重量%の一つまたは複数の添加剤を有する。上記の混合物の乾燥塗料は、乾燥した無充填ポリマー単独の場合の50分の1未満に酸素透過性を減少させる充填剤を含有する。
【0069】
本発明において有用な一つの好ましい塗料混合物は、約5〜約25重量%の固形分を有し、そして乾燥塗料は、約65重量%〜約95重量%の水に分散した非弾性ポリマー;約5重量%〜約35重量%のバーミキュライトまたはモンモリロナイト充填剤;約5〜40重量%の酸;および約0.1重量%〜約15重量%の全添加剤を含む。下の実施例に記載のように、選択されるポリマーは、Lubrizol Dock Resins 製のDORESCO TAW4−39およびDORESCO TAW7−1アクリルエマルジョンなどのアクリル樹脂類である。
【0070】
上の Lubrizol アクリル樹脂類のもう一つの利点は、そのようにして形成された塗料混合物のチキソトロープ性である。チキソトロープ材料は、剪断減粘性である。すなわち、(撹拌または混合などの)応力下で、チキソトロープ材料は、粘度減少し且つ一層流動性になるであろう。したがって、好ましい態様において、本発明の塗料懸濁液は、放置するとゲルを形成し、撹拌すると流動性になる。このゲルは、貯蔵および輸送の際に、分散したクレー粒子に更に安定性を与えるという点で好都合である。
【0071】
本発明において有用な更に好ましいバリヤ塗料混合物は、実施例1〜34に詳細に記載される方法によって製造することができる。
III.塗被製品
塗料混合物は、下の実施例1〜34に詳細に記載するようにいったん製造したら、支持体を介しての気体透過度を減少させるのに適する支持体へと塗布することができる。乾燥すると、その乾燥塗料は、混合物中にアクリルポリマーを少なくとも約65重量%で包含することができる。充填剤は、好ましくは、乾燥されたときに、約5重量%より多い酸、約5〜40重量%の酸、および約0.1重量%〜約15重量%の全添加剤で混合物中に存在する。乾燥塗料は、乾燥した無充填ポリマー単独の50分の1未満に酸素透過性を減少させる。実施例1〜34に示されるように、本発明の組成物に起因する透過性の減少は、無充填ポリマー単独の場合の約100分の1〜約10000分の1またはそれよりなお減少することがありうる。塗被製品についての透過度減少は、その製品の厚みおよび透過性、更には、バリヤ塗料薄膜の厚みおよび透過性に依存するであろう。
【0072】
望ましい支持体の例には、フィルム、具体的には、包装用フィルム(防腐性、腐蝕保護、真空および制御雰囲気包装を含む)、吹込成形または熱成形容器および製品、電子ディスプレイおよび他の表面が含まれる。その支持体は、好適には、ポリエステル、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、ビニル樹脂類(酢酸ビニルおよび塩化ビニルなど)、スチレン、フルオロポリマーおよびそれらの組合せなどのポリマーを含んでよい。
【0073】
IV.支持体に塗被する方法または薄膜を形成する方法
本発明の組成物で塗被する製品は、その製品の同一性および実用性に依存して、先に処理されていなくてもよいし、表面にいろいろな前処理を有していてもよい。例えば、製品は、少なくとも一方の側にヒートシール層を有してよい。このようなヒートシール層は、エチレンプロピレンコポリマーまたはエチレンプロピレンブチレンターポリマーから作られてよい。かくして、塗料分散液は、ヒートシール層の表面上に塗布される。或いは、支持体または製品は、耐磨耗性等のために、TEFLON(登録商標)タイプ材料[DuPont]などのフルオロポリマーまたはポリウレタンのような保護トップコート層を含んでよい。このようなトップコートは、当業者が選択することができる。本発明の塗料は、トップコート層の上にまたは下に塗布することができる。
【0074】
或いは、塗被製品よりもむしろ薄膜を形成するために、本発明の塗料混合物を離型性金型に塗布することができる。かくして薄膜は、上記のポリマーと、25より大きいアスペクト比を有する典型的に5重量%より多い積層充填剤との乾燥混合物から成る。メンブランの形であってよい薄膜は、それ自体、いろいろな実験室手順で用いるための気体バリヤ層として、またはグローブまたはバルーン材料として用いることができる。このような乾燥した自立性薄膜またはメンブランは、乾燥したポリマー単独から形成される薄膜の透過性の50倍を超える酸素透過性減少を特徴とする。
【0075】
本発明の塗被製品または自立性薄膜を形成するために、本発明の塗料混合物を、ロール、吹付、はけおよび漬けの技法を含むがこれに限定されない技法により、選択した表面または製品へと塗布することができる。ロール塗技法には、ロッド、リバースロール、正転ロール、エアナイフ、ロール式ナイフ、ブレード、グラビアおよびスロットダイの塗被方法が含まれるが、これに制限されるわけではない。これらタイプの塗被方法の一般的な説明は、Modern Coating and Drying Techniques, (E. Cohen and E. Gutoff, eds; VCH Publishers) New York (1992) および Web Processing and Converting Technology and Equipment, (D. Satas, ed; Van Nostrand Reinhold) New York (1984) などの教本に見出されうる。立体製品は、好ましくは、吹付または漬けを含むがこれに限定されない技法によって塗被することができる。本発明について塗被方法は限定されないが、これらや他の周知の方法の中から当業者が選択できる。しかしながら、塗料は、乾燥が支持体上で起こり且つ空気中では起こらないように(すなわち、粉末塗料)塗布されるべきである。乾燥が、吹付または他の塗布手段の際に起こる場合、凝集が生じうる。
【0076】
支持体;塗料が塗布される目的;および塗被製品の最終的な使用に依存して、塗料混合物を、任意の望ましい厚みで支持体または金型に塗布することができる。したがって、例えば、本発明の塗料混合物を製品または支持体に上記の方法により塗布して、約0.1μm〜約200μmの乾燥塗料厚みを有する乾燥塗料を形成させることができる。このような調整は、当業者の技術の範囲内である[例えば、カナダ特許第993,738号を参照されたい]。
【0077】
塗被後、その塗被製品または金型は、選択された温度で、例えば室温または室温を超える温度で、乾燥させることができる。乾燥温度、相対湿度および対流空気流量の選択は、所望の乾燥時間に依存する。すなわち、乾燥時間の減少は、塗料表面を乾燥する間の高い空気温度、より低い相対湿度およびより高い空気循環速度で達成することができる。当業者は、所望の乾燥条件を容易に調整することができる。
【0078】
乾燥塗料は、先行技術と比較して、具体的には、無充填ポリマーと比較して、透過性の驚くべき減少を示す。下の実施例に示されるように、本発明の乾燥塗料による透過性の減少は、無充填ポリマー単独に対して約50分の1〜15000分の1、そしてなお一層減少されることが分かる。本発明の塗料の気体透過性についての評価は、次のパラメーターを用いて決定される。製品または自立性薄膜上の乾燥塗料の酸素透過度(OTR)は、概して、Mocon OX−TRAN2/20モジュールなどの慣用的な装置を用いて測定される。OTR単位は、23℃、1気圧、0%相対湿度で、cc-mm/m2-dayである。塗料の透過性は、OTRと塗料厚みを乗じることによって計算される。透過性単位は、23℃、0%相対湿度で、cc-mm/m2-day-atmである。塗料が既知の支持体上にある場合、その既知の支持体の透過性は、次の等式:
バリヤ塗料の透過性=X1/[(1/OTR)−(X2/Px2)]
(式中、X1は、バリヤ塗料厚みであり;X2は、支持体厚みであり、そしてPx2は、支持体の透過性である)
により差し引かれる。無充填ポリマーからの透過性減少は、無充填ポリマーの透過性を、充填剤入りポリマーの透過性で除することによって計算される。透過性の減少は、無単位である比率である。
【実施例】
【0079】
実験手順
実施例1〜34、対照例A〜Kおよび比較例
(a)酸素透過度試験
薄膜および塗被支持体の酸素透過度について、MOCON(登録商標)OXTRAN2/20または2/60モジュールを用いて、23℃および0%RHでまたは30℃および70%RHで調べる。試料をそれらモジュール上に充填し、2時間コンディショニングしてから、酸素について調べる。平衡に達したのち、OTR(酸素透過度)を、cc-mm/m2-day-atmの単位で得る。
【0080】
(b)厚み測定
支持体上の塗料の厚みは、OTRを得た後に測定する。各々の試料をMocon モジュールから取り出し、その試料から規定サイズの円を切り取る。切り取られた円を秤量する。塗料の重量は未塗被円の重量を引き算することにより得られ、そして厚みは円のサイズおよび塗料の重量から計算する。5ミクロン未満の塗料厚みは、光学的粗面計(optical profilometer)を用いて測定する。薄膜の厚みはミリメートルで報告し、そして薄膜の透過性を計算するのに用いる。
【0081】
(c)透過性計算
透過性は、薄膜の厚みおよび試料のOTRを、次の等式:
塗料透過性=(塗料厚み)/[(1/OTR)−(支持体厚み/支持体透過性)]
に用いて計算する。試料のOTRに対する塗料の透過性を得ることの利点は、透過性が、特定の厚みでのOTRとして得られることである。したがって、異なる塗料を、直接比較することができる。これは、様々な支持体で異なる厚みの塗料の性能を決定する場合に重要である。
【0082】
比較例:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含む NeoRez R600ウレタンエーテルコポリマー
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、NeoRez R600ポリマー(NeoRezins, Inc.,33.0重量%ポリマー)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケート(7.5重量%充填剤)である。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0083】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20重量%グリシン)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0084】
上の溶液に、9.17グラムの NeoRez R600、20.73グラムの蒸留水および0.1グラムのOCTOWET70PG(Tiarco Chemical Co.,70.3%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.65%の水中固形分を有する。
【0085】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.4重量%の NeoRez R600、35.5重量%の充填剤、1.2%のOCTOWET70PG湿潤剤および10.9重量%のグリシンを含有する。
【0086】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、73.5cc-mm/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.2ミクロンの NeoRez R600ナノコンポジットの透過性は、0.24cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、63.0cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.75ミクロンの NeoRez R600ナノコンポジットの透過性は、0.24cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0087】
実施例1:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むJONCRYL3030 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、JONCRYL3030アクリルポリマー(Johnson Polymer,LLC,46.6重量%ポリマー)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0088】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0089】
上の溶液に、6.49グラムのJONCRYL3030、23.36グラムの蒸留水および0.15グラムのOCTOWET70PG(Tiarco Chemical Co.,70.3%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.74%の水中固形分を有する。
【0090】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.1重量%のJONCRYL3030、35.3重量%の充填剤、1.8%のOCTOWET70PG湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0091】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、62.4cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.25ミクロンのJONCRYL3030ナノコンポジットの透過性は、0.17cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填JONCRYL3030ラテックスの透過性減少の236倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、75.9cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.25ミクロンのJONCRYL3030ナノコンポジットの透過性は、0.27cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0092】
実施例2:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むJONCRYL3040 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、JONCRYL3040アクリルポリマー(Johnson Polymer,LLC,45.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0093】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0094】
上の溶液に、6.61グラムのJONCRYL3040、23.24グラムの蒸留水および0.15グラムのOCTOWET70PG(Tiarco Chemical Co.,70.3%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.74%の水中固形分を有する。
【0095】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.1重量%のJONCRYL3040、35.3重量%の充填剤、1.8%のOCTOWET70PG湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0096】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、35.3cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.25ミクロンのJONCRYL3040ナノコンポジットの透過性は、0.063cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填JONCRYL3040ラテックスの透過性減少の459倍である。
【0097】
実施例3:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むJONCRYL3050 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、JONCRYL3050アクリルポリマー(Johnson Polymer,LLC,47.9%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0098】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0099】
上の溶液に、6.32グラムのJONCRYL3050、23.53グラムの蒸留水および0.15グラムのOCTOWET70PG(Tiarco Chemical Co.,70.3%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.74%の水中固形分を有する。
【0100】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.1重量%のJONCRYL3050、35.3重量%の充填剤、1.8%のOCTOWET70PG湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0101】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、57.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.5ミクロンのJONCRYL3050ナノコンポジットの透過性は、0.17cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、40.9cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.75ミクロンのJONCRYL3050ナノコンポジットの透過性は、0.11cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0102】
実施例4:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むJONCRYL3050およびJONCRYL3040 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、JONCRYL3050およびJONCRYL3040アクリルポリマー(Johnson Polymer,LLC,47.9%および45.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0103】
8オンスのジャー中において、22.75グラムのMICROLITE963を、2.72グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および19.53グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0104】
上の溶液に、2.73グラムのJONCRYL3050、2.86グラムのJONCRYL3040、24.01グラムの蒸留水および0.4グラムのOCTOWET70PG(Tiarco Chemical Co.,70.3%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、6.96%の水中固形分を有する。
【0105】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、25.0重量%のJONCRYL3050、25.1重量%のJONCRYL3040、34.0重量%の充填剤、5.4%のOCTOWET70PG湿潤剤および10.4重量%のグリシンを含有する。
【0106】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、50.8cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.0ミクロンのJONCRYL3050ナノコンポジットの透過性は、0.090cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0107】
実施例5:酢酸で処理されたMICROLITE充填剤を含むHYCAR26288 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、HYCAR26288アクリルポリマー(Noveon, Inc.,49.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の17.7%で処理され、3日間ローリング(rolling)された。
【0108】
8オンスのジャー中において、24.93グラムのMICROLITE963を、0.344グラムの酢酸(Brenntag Northeast, Inc.)と混合した。得られた溶液を、3日間ローリングした。処理後、7.14グラムの蒸留水を加え、撹拌棒で撹拌した。
【0109】
上の溶液に、6.08グラムのHYCAR26288、23.92グラムの蒸留水および0.1グラムのSURFYNOL104E(Air Products and Chemicals, Inc,100.0%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.21%の水中固形分を有する。
【0110】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、55.9重量%のHYCAR26288、35.9重量%の充填剤、1.8%のSURFYNOL104E湿潤剤および6.35重量%のグリシンを含有する。
【0111】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、90.3cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.8ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.32cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のHYCAR26288ラテックスの透過性減少の122倍である。
【0112】
実施例6:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むHYCAR26288 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、HYCAR26288アクリルポリマー(Noveon, Inc.,49.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0113】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0114】
上の溶液に、6.08グラムのHYCAR26288、23.92グラムの蒸留水および0.1グラムのERANOL−345(Enviro Resins and Additives,100.0%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.73%の水中固形分を有する。
【0115】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.2重量%のHYCAR26288、35.3重量%の充填剤、1.7%のERANOL−345湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0116】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、40.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.2ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.076cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のHYCAR26288ラテックスの透過性減少の514倍である。
【0117】
実施例7:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むHYCAR26288 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、HYCAR26288アクリルポリマー(Noveon, Inc.,49.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0118】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0119】
上の溶液に、8.92グラムのHYCAR26288、9.83グラムの蒸留水および0.05グラムのERANOL−345(Enviro Resins and Additives,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0120】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.8重量%のHYCAR26288、35.7重量%の充填剤、0.6%のERANOL−345湿潤剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0121】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、20.6cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.1ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.028cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のHYCAR26288ラテックスの透過性減少の1396倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、36.0cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.3ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.068cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0122】
実施例8:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むHYCAR26288 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、HYCAR26288アクリルポリマー(Noveon, Inc.,49.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.5%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0123】
8オンスのジャー中において、42.0グラムのMICROLITE963を、5.0グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および9.25グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0124】
上の溶液に、9.74グラムのHYCAR26288、8.95グラムの蒸留水および0.05グラムのERANOL−345(Enviro Resins and Additives,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、12.2%の水中固形分を有する。
【0125】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.9重量%のHYCAR26288、35.7重量%の充填剤、0.5%のERANOL−345湿潤剤および10.9重量%のグリシンを含有する。
【0126】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、22.68cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.1ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.031cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のHYCAR26288ラテックスの透過性減少の1261倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、27.9cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。2.0ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.073cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0127】
実施例9:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むHYCAR26288 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、HYCAR26288アクリルポリマー(Noveon, Inc.,49.8%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.5%のグリシンで処理され、3時間撹拌された。
【0128】
8オンスのジャー中において、42.0グラムのMICROLITE963を、5.0グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および9.25グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で3時間撹拌した。
【0129】
上の溶液に、9.74グラムのHYCAR26288、8.95グラムの蒸留水および0.12グラムのERANOL−345(Enviro Resins and Additives,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、12.3%の水中固形分を有する。
【0130】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.5重量%のHYCAR26288、35.4重量%の充填剤、1.3%のERANOL−345湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0131】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、21.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.3ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.035cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のHYCAR26288ラテックスの透過性減少の1117倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、33.3cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.2ミクロンのHYCAR26288ナノコンポジットの透過性は、0.056cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0132】
実施例10:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むCARBOSET514H Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、CARBOSET514Hアクリルポリマー(Noveon, Inc.,40.0%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0133】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0134】
上の溶液に、7.57グラムのCARBOSET514H、22.43グラムの蒸留水および0.05グラムのSURFYNOL104E(Air Products and Chemicals, Inc,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.8%の水中固形分を有する。
【0135】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.3重量%のCARBOSET514H、35.1重量%の充填剤、0.9%のSURFYNOL104E湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0136】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、16.91cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.1ミクロンのCARBOSET514Hナノコンポジットの透過性は、0.022cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のCARBOSET514Hラテックスの透過性減少の1200倍である。
【0137】
実施例11:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むCARBOSET514H Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、CARBOSET514Hアクリルポリマー(Noveon, Inc.,41.1%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0138】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0139】
上の溶液に、10.80グラムのCARBOSET514Hおよび7.95グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0140】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のCARBOSET514H、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0141】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、14.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.0ミクロンのCARBOSET514Hナノコンポジットの透過性は、0.017cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のCARBOSET514Hラテックスの透過性減少の1553倍である。
【0142】
実施例12:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むCARBOSET514H Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、CARBOSET514Hアクリルポリマー(Noveon, Inc.,41.1%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0143】
8オンスのジャー中において、45.5グラムのMICROLITE963を、5.45グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および5.3グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0144】
上の溶液に、12.76グラムのCARBOSET514Hおよび5.99グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、13.2%の水中固形分を有する。
【0145】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のCARBOSET514H、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0146】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、9.8cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.35ミクロンのCARBOSET514Hナノコンポジットの透過性は、0.014cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のCARBOSET514Hラテックスの透過性減少の1886倍である。
【0147】
実施例13:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むCARBOSET CR760 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、CARBOSET CR760アクリルポリマー(Noveon, Inc.,40.7%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0148】
8オンスのジャー中において、45.5グラムのMICROLITE963を、5.45グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および5.3グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0149】
上の溶液に、12.89グラムのCARBOSET CR760および5.86グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、13.2%の水中固形分を有する。
【0150】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のCARBOSET CR760、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0151】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、18.5cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.6ミクロンのCARBOSET CR760ナノコンポジットの透過性は、0.035cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0152】
実施例14:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むCARBOSET CR760 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、CARBOSET CR760アクリルポリマー(Noveon, Inc.,40.7%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0153】
8オンスのジャー中において、26.25グラムのMICROLITE963を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および15.61グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0154】
上の溶液に、7.44グラムのCARBOSET CR760および22.43グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、7.6%の水中固形分を有する。
【0155】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のCARBOSET CR760、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0156】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、41.3cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.0ミクロンのCARBOSET CR760ナノコンポジットの透過性は、0.064cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0157】
実施例15:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むCARBOSET CR760 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、CARBOSET CR760アクリルポリマー(Noveon, Inc.,40.7%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0158】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0159】
上の溶液に、10.91グラムのCARBOSET CR760および7.84グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0160】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のCARBOSET CR760、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0161】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、16.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.6ミクロンのCARBOSET CR760ナノコンポジットの透過性は、0.032cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0162】
実施例16:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むFLEXBOND325 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、FLEXBOND325アクリルポリマー(Air Products and Chemicals, Inc,55.1%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0163】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0164】
上の溶液に、8.06グラムのFLEXBOND325および10.69グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0165】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のFLEXBOND325、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0166】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、9.26cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.9ミクロンのFLEXBOND325ナノコンポジットの透過性は、0.0091cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のFLEXBOND325ラテックスの透過性減少の3077倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、15.6cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.9ミクロンのFLEXBOND325ナノコンポジットの透過性は、0.016cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0167】
実施例17:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むFLEXBOND381 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、FLEXBOND381アクリルポリマー(Air Products and Chemicals, Inc,54.5%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0168】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0169】
上の溶液に、8.06グラムのFLEXBOND381および10.69グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.1%の水中固形分を有する。
【0170】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.8重量%のFLEXBOND381、36.1重量%の充填剤および11.1重量%のグリシンを含有する。
【0171】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、7.91cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.0ミクロンのFLEXBOND381ナノコンポジットの透過性は、0.0085cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のFLEXBOND381ラテックスの透過性減少の4212倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、14.7cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.9ミクロンのFLEXBOND381ナノコンポジットの透過性は、0.015cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0172】
実施例18:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含む Alberdingk AC2514VP Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、Alberdiningk AC2514VPアクリルポリマー(Alberdiningk Boley, Inc,42.7%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0173】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0174】
上の溶液に、10.4グラムの Alberdiningk AC2514VPおよび8.35グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0175】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%の Alberdiningk AC2514VP、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0176】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、8.54cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.3ミクロンの Alberdiningk AC2514VPナノコンポジットの透過性は、0.012cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0177】
実施例19:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むINCOREZ W2400 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、INCOREZ W2400アクリルポリマー(INCOREZ Corporation,43.4%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0178】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0179】
上の溶液に、10.23グラムのINCOREZ W2400および8.52グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.1%の水中固形分を有する。
【0180】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.0重量%のINCOREZ W2400、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0181】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、18.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.1ミクロンのINCOREZ W2400ナノコンポジットの透過性は、0.025cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のINCOREZ W2400ラテックスの透過性減少の1592倍である。
【0182】
実施例20:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むINCOREZ W2450 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、INCOREZ W2450アクリルポリマー(INCOREZ Corporation,42.9%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0183】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0184】
上の溶液に、10.35グラムのINCOREZ W2450および8.4グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0185】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のINCOREZ W2450、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0186】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、21.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.2ミクロンのINCOREZ W2450ナノコンポジットの透過性は、0.032cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のINCOREZ W2450ラテックスの透過性減少の1753倍である。
【0187】
実施例21:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.0%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0188】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および13.14グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0189】
上の溶液に、14.32グラムのDORESCO TAW4−39および4.43グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0190】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.1重量%のDORESCO TAW4−39、35.9重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0191】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、1.92cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0023cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の3957倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、4.15cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.25ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0054cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0192】
実施例22:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0193】
8オンスのジャー中において、77.0グラムのMICROLITE963を、9.22グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)および26.28グラムの蒸留水と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0194】
上の溶液に、28.64グラムのDORESCO TAW4−39および8.86グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0195】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.2重量%のDORESCO TAW4−39、35.8重量%の充填剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0196】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、3.35cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.3ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0045cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の2022倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、4.52cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0056cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0197】
実施例23:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0198】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0199】
上の溶液に、14.28グラムのDORESCO TAW4−39、17.61グラムの蒸留水および0.15グラムのERANOL−345(Enviro Resins and Additives,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.3%の水中固形分を有する。
【0200】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.1重量%のDORESCO TAW4−39、35.3重量%の充填剤、1.8%のERANOL−345湿潤剤および10.8重量%のグリシンを含有する。
【0201】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、4.03cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.4ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0058cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の1569倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、7.96cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.010cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0202】
実施例24:グリシンで処理されたMICROLITE充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、MICROLITE(登録商標)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の30.7%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0203】
8オンスのジャー中において、38.5グラムのMICROLITE963を、4.61グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0204】
上の溶液に、14.28グラムのDORESCO TAW4−39、17.61グラムの蒸留水および0.05グラムのSURFYNOL PSA336(Air Products and Chemicals, Inc,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、11.2%の水中固形分を有する。
【0205】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、52.8重量%のDORESCO TAW4−39、35.7重量%の充填剤、0.6%のSURFYNOL PSA336湿潤剤および11.0重量%のグリシンを含有する。
【0206】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、4.47cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。1.1ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0051cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の1750倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、6.0cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0076cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0207】
実施例25:酢酸で処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の125.0%の酢酸で処理された。
【0208】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、1.64グラムの酢酸(Brenntag Northeast, Inc.)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0209】
上の溶液に、6.49グラムのDORESCO TAW4−39および4.37グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、6.6%の水中固形分を有する。
【0210】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、40.6重量%のDORESCO TAW4−39、26.4重量%の充填剤および33.0重量%の酢酸を含有する。
【0211】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、17.6cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.25ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0052cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の1750倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、21.9cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.3ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0081cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0212】
実施例26:酢酸で処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の62.5%の酢酸で処理された。
【0213】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、0.82グラムの酢酸(Brenntag Northeast, Inc.)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0214】
上の溶液に、6.49グラムのDORESCO TAW4−39および5.19グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.5%の水中固形分を有する。
【0215】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、48.6重量%のDORESCO TAW4−39、31.6重量%の充填剤および19.8重量%の酢酸を含有する。
【0216】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、19.6cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.3ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0071cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の1282倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、47.7cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.016cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0217】
実施例27:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の31.8%のグリシンで処理され、1時間撹拌された。
【0218】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、2.09グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。
【0219】
上の溶液に、6.49グラムのDORESCO TAW4−39および3.92グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.0%の水中固形分を有する。
【0220】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、53.8重量%のDORESCO TAW4−39、35.0重量%の充填剤および11.1重量%のグリシンを含有する。
【0221】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、4.92cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.5ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0026cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の3500倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、5.3cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.6ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0033cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0222】
実施例28:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の42.5%のグリシンで処理された。
【0223】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、2.79グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0224】
上の溶液に、6.04グラムのDORESCO TAW4−39および3.67グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.0%の水中固形分を有する。
【0225】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、50.1重量%のDORESCO TAW4−39、35.0重量%の充填剤および14.9重量%のグリシンを含有する。
【0226】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、1.9cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.7ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0013cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の7000倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、3.89cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.6ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0024cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0227】
実施例29:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の53.2%のグリシンで処理された。
【0228】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、3.49グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0229】
上の溶液に、5.59グラムのDORESCO TAW4−39および3.42グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.0%の水中固形分を有する。
【0230】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、46.4重量%のDORESCO TAW4−39、35.0重量%の充填剤および18.6重量%のグリシンを含有する。
【0231】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、0.59cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.9ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.00053cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の17170倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、1.97cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.7ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0014cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0232】
実施例30:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の53.1%のグリシンで処理された。
【0233】
8オンスのジャー中において、50.0グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、2.79グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0234】
上の溶液に、4.47グラムのDORESCO TAW4−39および17.74グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、4.0%の水中固形分を有する。
【0235】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、46.4重量%のDORESCO TAW4−39、35.0重量%の充填剤および18.6重量%のグリシンを含有する。
【0236】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、1.31cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.65ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.00086cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の10581倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、4.45cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.5ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0023cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0237】
実施例31:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の53.2%のグリシンで処理された。
【0238】
8オンスのジャー中において、56.25グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、3.14グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0239】
上の溶液に、5.03グラムのDORESCO TAW4−39および10.58グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、4.5%の水中固形分を有する。
【0240】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、46.4重量%のDORESCO TAW4−39、35.0重量%の充填剤および18.6重量%のグリシンを含有する。
【0241】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、0.91cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.65ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.00060cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の15167倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、3.53cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0044cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0242】
実施例32:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の53.2%のグリシンで処理された。
【0243】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、3.49グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0244】
上の溶液に、5.59グラムのDORESCO TAW4−39および3.42グラムの蒸留水および0.15グラムのERANOL−345(Enviro Resins and Additives,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.2%の水中固形分を有する。
【0245】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、44.6重量%のDORESCO TAW4−39、33.7重量%の充填剤、3.8%のERANOL−345湿潤剤および17.9重量%のグリシンを含有する。
【0246】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、1.24cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.8ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0010cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の9100倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、3.61cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。0.85ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0032cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0247】
実施例33:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の53.2%のグリシンで処理された。
【0248】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、3.49グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0249】
上の溶液に、5.59グラムのDORESCO TAW4−39、3.42グラムの蒸留水および0.05グラムのSURFYNOL PSA336(Air Products and Chemicals Inc,100%)を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.1%の水中固形分を有する。
【0250】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、45.8重量%のDORESCO TAW4−39、34.5重量%の充填剤、1.3%のSURFYNOL PSA336湿潤剤および18.4重量%のグリシンを含有する。
【0251】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、0.53cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.65ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.00035cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW4−39ラテックスの透過性減少の26000倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、2.36cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.2ミクロンのDORESCO TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0029cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0252】
実施例34:グリシンで処理された Montmorrillonite 充填剤を含むDORESCO TAW7−1 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、DORESCO TAW7−1アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,50.0%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は、充填剤重量の53.2%のグリシンで処理された。
【0253】
8オンスのジャー中において、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を、3.49グラムのグリシン(Lab Safety Supply,20%)と混合した。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。
【0254】
上の溶液に、3.47グラムのDORESCO TAW7−1、5.54グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.0%の水中固形分を有する。
【0255】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、46.3重量%のDORESCO TAW7−1、35.0重量%の充填剤および18.6重量%のグリシンを含有する。
【0256】
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、0.020cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.8ミクロンのDORESCO TAW7−1ナノコンポジットの透過性は、0.000016cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填のDORESCO TAW7−1ラテックスの透過性減少の1937500倍である。更に、酸素透過度(OTR)を、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて30℃および70%RHで測定する。そのOTRは、0.12cc/m2-day、1気圧、70%RH、30℃である。1.0ミクロンのDORESCO TAW7−1ナノコンポジットの透過性は、0.00012cc-mm/m2-day-atm、70%RH、30℃である。
【0257】
対照例A:無充填のJONCRYL3030
アクリル分散液JONCRYL3030(Johnson Polymer, LLC.)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0258】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のJONCRYL3030を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2405cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。6.0ミクロンのJONCRYL3030アクリル樹脂の透過性は、40.2cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0259】
対照例B:無充填のJONCRYL3040
アクリル分散液JONCRYL3040(Johnson Polymer, LLC.)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0260】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のJONCRYL3040を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2108cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。6.0ミクロンのJONCRYL3040アクリル樹脂の透過性は、28.9cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0261】
対照例C:無充填のHYCAR26288
アクリル分散液HYCAR26288(Noveon, Inc.)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、のポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0262】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のHYCAR26288を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2381cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。6.0ミクロンのHYCAR26288アクリル樹脂の透過性は、39.1cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0263】
対照例D:無充填のCARBOSET514H
アクリル分散液CARBOSET514H(Noveon, Inc.)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0264】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のCARBOSET514Hを含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2026cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。6.0ミクロンのCARBOSET514Hアクリル樹脂の透過性は、26.4cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0265】
対照例E:無充填のFLEXBOND325
アクリル分散液FLEXBOND325(Air Products and Chemicals, Inc.)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0266】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のFLEXBOND325を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2079cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。6.0ミクロンのFLEXBOND325アクリル樹脂の透過性は、28.0cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0267】
対照例F:無充填のFLEXBOND381
アクリル分散液FLEXBOND381(Air Products and Chemicals, Inc.)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0268】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のFLEXBOND381を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2163cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。7.0ミクロンのFLEXBOND381アクリル樹脂の透過性は、35.8cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0269】
対照例G:無充填のINCOREZ W2400
アクリル分散液INCOREZ 2400(INCOREZ Corporation)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0270】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のINCOREZ 2400を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2259cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。7.0ミクロンのINCOREZ 2400アクリル樹脂の透過性は、39.8cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0271】
対照例H:無充填のINCOREZ W2450
アクリル分散液INCOREZ 2450(INCOREZ Corporation)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0272】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のINCOREZ 2450を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2555cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。7.0ミクロンのINCOREZ 2450アクリル樹脂の透過性は、56.1cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0273】
対照例I:無充填のDORESCO TAW4−39
アクリル分散液DORESCO TAW4−39(Lubrizol Dock Resins)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0274】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のDORESCO TAW4−39を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、1150cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。5.5ミクロンのDORESCO TAW4−39アクリル樹脂の透過性は、9.1cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0275】
対照例J:未処理 Montmorrillonite 充填剤を含む Doresco TAW4−39 Acrylic
本発明によるバリヤ塗料水溶液を、次のように調製するが、ここにおいて、マトリックスは、Doresco TAW4−39アクリルポリマー(Lubrizol, Dock Resins,31.1%)であり、そして充填剤は、Montmorrillonite SCPX2041(Southern Clay Products, Inc,2.1%)薄片化シリケートである。この実施例において、充填剤は未処理であった。
【0276】
8オンスのジャー中に、62.5グラムの Montmorrillonite SCPX2041を入れた。その溶液を、撹拌棒で撹拌した。
上の溶液に、7.84グラムの Doresco TAW4−39および4.66グラムの蒸留水を加えた。得られた溶液を、撹拌棒で1時間撹拌した。得られた室温の分散液を、プラスチックまたはゴム支持体上への塗布、例えば、吹付塗のために用意する。その塗料混合物は、5.0%の水中固形分を有する。
【0277】
この塗料溶液をPETフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、65.0重量%の Doresco TAW4−39および35.0重量%の充填剤を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、17.8cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。0.4ミクロンの Doresco TAW4−39ナノコンポジットの透過性は、0.0084cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。この塗料の透過性減少は、無充填の Doresco TAW4−39ラテックスの透過性減少の1083倍である。
【0278】
対照例K:無充填のDORESCO TAW7−1
アクリル分散液DORESCO TAW7−1(Lubrizol Dock Resins)を、充填剤入りアクリルナノコンポジットとの比較のための対照フィルムとして、ポリプロピレン支持体上に塗布した。
【0279】
このアクリル分散液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し且つ乾燥させた後、その塗料は、100重量%のDORESCO TAW7−1を含有する。
酸素透過度(OTR)は、MOCON(登録商標)OX−TRAN2/20モジュールを用いて測定する。そのOTRは、2410cc/m2-day、1気圧、0%RH、23℃である。4.6ミクロンのDORESCO TAW7−1アクリル樹脂の透過性は、31.0cc-mm/m2-day-atm、0%RH、23℃である。
【0280】
実施例1〜34で得られたデータの要約を、表1に挙げる。
表1のデータから理解できるように、透過性における大きな減少は、グリシンまたは酸で前処理されたバーミキュライトまたはモンモリロナイトを利用することによっても達成される。これらの透過性減少は、17重量%程度の少量から60重量%を超える酸で5分から3日間充填剤を処理することで実現できる。示されるうちのいくつかの場合、特に、0%RHおよび23℃で測定された場合では、OTRの減少は、測定装置の感度の下限に近い(実施例16、実施例17および実施例21〜34を参照されたい)。これは、処理済み充填剤がモンモリロナイトである場合、特にそうなる(実施例25〜34を参照されたい)。更に、これらの多くの場合について、透過性における大きな減少を達成するには、僅か5分の処理時間で十分である。
【0281】
【表1】

【0282】
【表2】

【0283】
本発明を、いくつかの態様に関連して記載してきたが、本発明の精神および範囲の範囲内のそれら態様の変更は、当業者に容易に理解されるであろう。本発明は、請求の範囲に定義されている。前述の考察や当該技術分野における関係のある知識と、背景および詳細な説明に関連して上に論じられ本明細書にその開示が全て援用される参考文献とを考慮すると、更なる説明は不要であると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に付着したアクリルナノコンポジット薄膜を含む製品であって、該アクリルナノコンポジット層は:
(a)非弾性アクリルポリマー;
(b)酸処理された積層シリケート充填剤材料;および
(c)任意に、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤およびゲッターから成る群より選択される1またはそれを超える添加剤
を含み、
該アクリルナノコンポジット薄膜は、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも50分の1未満の酸素透過性を示す製品。
【請求項2】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも100分の1未満の酸素透過性を示す、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも500分の1未満の酸素透過性を示す、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも1000分の1未満の酸素透過性を示す、請求項1に記載の製品。
【請求項5】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも5000分の1未満の酸素透過性を示す、請求項1に記載の製品。
【請求項6】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも10000分の1未満の酸素透過性を示す、請求項1に記載の製品。
【請求項7】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、23℃および0%の相対湿度で約0.1cc-mm/m2-day-atm未満の酸素透過性を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項8】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、23℃および0%の相対湿度で約0.01cc-mm/m2-day-atm未満の酸素透過性を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項9】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、23℃および0%の相対湿度で約0.001cc-mm/m2-day-atm未満の酸素透過性を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項10】
前記アクリルナノコンポジットが、約65%〜約95%のアクリルポリマーを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項11】
前記アクリルポリマーが、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドのポリマー、それらのコポリマー、および任意にビニル、スチレンおよびオレフィンを含有するそれらから成る群より選択される、請求項1に記載の製品。
【請求項12】
前記アクリルポリマーが、自己架橋性である、請求項1に記載の製品。
【請求項13】
前記アクリルポリマーが、ヒドロキシル基を含有する、請求項1に記載の製品。
【請求項14】
前記ヒドロキシル基の濃度が、1〜50個のヒドロキシル数に相当する、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
前記ヒドロキシル基の濃度が、10〜40個のヒドロキシル数に相当する、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記ヒドロキシル基の濃度が、15〜30個のヒドロキシル数に相当する、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約5重量%〜約60重量%のシリケート充填剤材料を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項18】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約35重量%〜約40重量%のシリケート充填剤材料を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項19】
前記シリケート充填剤が、少なくとも約25の平均アスペクト比を有する小板を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項20】
前記シリケート充填剤が、少なくとも約100の平均アスペクト比を有する小板を含む、請求項19に記載の製品。
【請求項21】
前記シリケート充填剤が、少なくとも約500の平均アスペクト比を有する小板を含む、請求項20に記載の製品。
【請求項22】
前記シリケート充填剤が、少なくとも約5000の平均アスペクト比を有する小板を含む、請求項21に記載の製品。
【請求項23】
前記シリケート充填剤が、0.02重量%の濃度で水中に分散した場合に、配向した巨視的ドメインを特徴的に示す、請求項1に記載の製品。
【請求項24】
前記シリケートが、ベントナイト、バーミキュライト、モンモリロナイト(montmorillonite)、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト、ラポナイト(laponite)、ソーコナイト、マガジアイト(magadiite)、ケニアアイト(kenyaite)、レディカイト(ledikite)およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載の製品。
【請求項25】
前記シリケートが、バーミキュライトである、請求項24に記載の製品。
【請求項26】
前記シリケートが、モンモリロナイトである、請求項24に記載の製品。
【請求項27】
前記シリケート充填剤が、有機的に機能付加されていない、請求項1に記載の製品。
【請求項28】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約5重量%〜約40重量%の酸を更に含む、請求項1に記載の製品。
【請求項29】
前記酸が、酢酸かまたはグリシンである、請求項1に記載の製品。
【請求項30】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約0.1μm〜約200μmの厚みを有する、請求項1に記載の製品。
【請求項31】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約0.1μm〜約100μmの厚みを有する、請求項1に記載の製品。
【請求項32】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約0.1μm〜約50μmの厚みを有する、請求項1に記載の製品。
【請求項33】
前記アクリルナノコンポジット薄膜が、約0.1μm〜約10μmの厚みを有する、請求項1に記載の製品。
【請求項34】
前記支持体が、ポリエステル、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、ビニル樹脂類(vinylics)(酢酸ビニルおよび塩化ビニルなど)、スチレン、フルオロポリマーおよびそれらの組合せから成る群より選択されるプラスチックを含む薄膜または成形品である、請求項1に記載の製品。
【請求項35】
前記プラスチックが、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項34に記載の製品。
【請求項36】
前記支持体が、防腐性包装用フィルム、腐蝕保護フィルム、真空および制御雰囲気包装、吹込成形容器、熱成形容器、および電子ディスプレイフィルムから成る群より選択される、請求項1に記載の製品。
【請求項37】
(a)水;
(b)非弾性アクリルポリマー;
(c)酸処理されている実質的に薄片化したシリケート充填剤材料;および
(d)任意に、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤およびゲッターから成る群より選択される1またはそれを超える添加剤
の水性分散液を含むバリヤ塗料混合物。
【請求項38】
前記分散液が、エマルジョン、懸濁液およびラテックスから成る群より選択される形態である、請求項37に記載のアクリルバリヤ塗料混合物。
【請求項39】
前記分散液が、約5%〜約30%の全固形分を有する、請求項37に記載のアクリルバリヤ塗料混合物。
【請求項40】
前記シリケートが、該分散液の全固形分の約10%〜約60%にて前記分散液中に存在する、請求項37に記載のアクリルバリヤ塗料混合物。
【請求項41】
請求項37に記載の塗料混合物を乾燥したものから製造される薄膜。
【請求項42】
バリヤ塗料混合物を製造する方法であって:
(a)実質的に重合した非弾性アクリル樹脂を含有する第一分散液を提供する工程;
(b)反応性アクリルモノマーを実質的に含まず、実質的に薄片化したシリケート充填剤を含有する第二分散液を提供する工程;および
(c)第一分散液および第二分散液を混合する工程
を含む方法。
【請求項43】
前記シリケート充填剤を酸で処理する工程を更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記酸が、グリシンを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第一分散液が、湿潤剤を含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
アクリルバリヤ塗料薄膜を製造する方法であって、
(a)非弾性アクリルポリマー;酸処理されている実質的に薄片化したシリケート充填剤材料;および任意に、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散助剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、吸収剤およびゲッターから成る群より選択される1またはそれを超える添加剤を含有する水性分散液を、支持体に塗布する工程;および
(b)該分散液を乾燥させて、該分散液のポリマー対充填剤比率と同様のポリマー対充填剤比率を有する薄膜を形成する工程
を含み、
該薄膜は、積層シリケート充填剤材料を含有しない類似の薄膜の少なくとも50分の1未満の酸素透過性を有する、方法。

【公表番号】特表2008−538539(P2008−538539A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507697(P2008−507697)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/012927
【国際公開番号】WO2006/115729
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(506069192)インマット・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】