説明

シリコンウエハの2次研磨用スラリー組成物

【課題】半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物を提供する。
【解決手段】半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物であって、平均粒径30〜80nmで2〜10重量%のコロイド状シリカと、0.5〜1.5重量%のアンモニアと、組成物のレオロジを変更するために0.2〜1重量%のヒドロキシアルキルセルロース基のポリマーと、0.03〜0.5重量%のポリオキシエチレンアルキルアミン基の非イオン性界面活性剤と、0.01〜1重量%の第4アンモニウムベースと、脱イオン水のバランスとを含むシリコンウエハの2次研磨用スラリー組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハの2次研磨用スラリー組成物に関する。より詳しくは、本発明は、ヒドロキシアルキルセルロース基の水溶性ポリマー増粘剤(thickener)およびポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤を含むスラリー組成物であって これにより、シリカの分散安定性を向上させてスラリー中の粗大粒子(たとえば、数ミクロンを越える粒径)の数をかなり減少させるスラリー組成物に関する。本発明によるスラリー組成物を用いてCMPプロセスを実行すると、マイクロスクラッチ(微小な引っ掻き傷)の発生を軽減できる。
【背景技術】
【0002】
CMP(化学的機械的研磨)プロセスは、ウエハ表面の微小な粗さを低下させてこのウエハ表面を平坦化するために、また、マイクロスクラッチおよびピットマークなどのような物理的表面欠陥を除去するために、シリコンウエハ製造における最終プロセスである。ウエハは、CMPプロセスで研磨された後に、表面欠陥が低減した鏡面(反射面)を持つ。ウエア表面上に残っているマイクロスクラッチは、回路を実現するためのフォトリソグラフィプロセス中に問題を引き起こす欠陥である。したがって、CMPプロセス中においてマイクロスラッチの数を減少させることが重要である。
【0003】
ウエハ研磨用のCMPプロセスは、通常、2つ以上のステップで実行される。1次の研磨ステップは、ウエハ表面の深いスクラッチ(引っ掻き傷)を除去するために、高い研磨速度を必要とする研磨ステップである。2次(最終)の研磨ステップは、1次の研磨ステップの後で残っているマイクロスクラッチを除去し表面の微小粗さを数Åのレベルにまで低下させることによって、鏡面を達成するために必要とされる。
【0004】
ポリッシャおよび脱イオン水に加えて、ウエハ表面の研磨には次の2つの要素が必要とされる:ソフトまたはハードなウレタン研磨パッドと、研磨溶液としてのシリカスラリーである。ウエハ表面の研磨プロセスを化学的機械的研磨反応に基づいて説明する。研磨パッドは機械的研磨をもたらし、一方、研磨溶液(スラリー)は化学的研磨をもたらす。また、研磨溶液は、研磨パッドによる機械的研磨を支援する役割を果たす。より大きい直径を持つウエハと高品質なウエハとを要求するには、研磨パッドとスラリーとの性能を向上させることが必要である。特に、スラリーが高品質なウエハにとって最終的な調整剤であると考えられているため、さまざまな物理化学的特性を有するスラリー製品が市場で現在利用可能であり、それらの研究が活発に進行中である。
【0005】
CMPプロセスで用いられるスラリーは、研削剤と、pH調整剤としてのベースと、脱イオン水とから一般に成る。加えて、スラリーは、意図される特殊な研磨品質に依存して有機または無機の添加物をさらに含有しても良い。
【0006】
シリカは主として研削剤として用いられ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはアンモニア水がpH調整剤として通常用いられる。研磨速度、研磨される表面の清浄さ、および研削剤の分散性を増すための添加物の例には、非イオン性界面活性剤、アミンなどのような研磨速度エンハンサー(enhancer)がある。
【0007】
それぞれのCMPプロセスの特徴により、さまざまなスラリーを用いるのが普通である。それぞれのステップの特徴を増大させるために、1次の研磨用スラリーと2次の研磨用スラリーとは物理的特性を異にしている。研磨速度を増大するための第1の研磨用スラリーは、大きい粒径(80〜120nm)と高濃度(2〜30重量%)とを有する研削剤から成り、pH11〜12に調整され、それにより機械的および化学的な研磨力を向上させる。他方、研磨速度を増大する代わりに、表面欠陥を除去するための第2の研磨用スラリーは、小さい粒径(10〜80nm)と低密度(0.2〜10重量%)とを有する研削剤から成り、それにより機械的研磨の効果を減少させるが、化学的研磨の効果は向上させる。さまざまな機能的な添加物が、平滑な鏡面を実現するために、2次の研磨用スラリーにさらに付加されても良い。
【0008】
Trednnickら(米国特許第3,715,842号)は、粒径100nm未満のシリカ粒子を水の中に分散させるステップと、0.05重量%以上のアンモニアを分散液に添加してpHを7以上に調整するステップと、0.05〜2.5重量%のヒドロキシメチルセルロース(HMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、およびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)をそれらに添加してシリカ粒子の析出を防止するとともにスクラッチを減少させるステップとから成る最終研磨用スラリーの生成方法を開示している。
【0009】
Payneら(米国特許第4,169,337号、第4,462,188号、および第4,588,421号)は、粒径4〜100nmのシリカ粒子と、アミノエタノールアミンまたはエチレンジアミンから選択された2〜4重量%のアミン、または、塩化テトラメチルアンモニウムまたは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)から選択された2〜4重量%の第4アンモニウム塩とから成り研磨速度を増加させる組成物を記載している。
【0010】
Sasakiら(米国特許第5,352,277号)は、コロイド状シリカ、水溶性ポリマー、および水溶性塩から成る研磨用スラリーを提案している。このコロイド状シリカは、粒径5〜500nmで20〜50重量%のシリカから成り、水溶性ポリマーは約100ppmの濃度で存在しており、水溶性塩は約20〜100ppmの濃度で存在しNa、K、およびNHから選択された陽イオン(cation)とCl、F、NO、およびClOから選択された陰イオン(anion)とから成る。このスラリーは、5nm未満の低表面粗を有するソフトな表面を実現することが可能である。
【0011】
Lonckiら(WO96/38262)は、粒径数百ナノメートル以下で0.2〜0.5重量%のシリカと、0.01〜0.1重量%のアミンと、0.02〜0.05重量%のPVA(ポリビニルアルコール)とから成るシリコンウエハを最終研磨するためのスラリー組成物を提案している。このアミンは、スラリーのpHをpH8〜11に調整するために用いられる。150mmウエハがこのスラリーを用いて研磨されると、ヘイズ(haze)が0.06ppmであり、0.1〜0.3ミクロンのサイズのLPD(線点欠陥)が90未満であることが観察されている。しかしながら、この国際公開公報では他の欠陥については何も教示していない。
【0012】
Inoueらの日本国特許出願第2000−6327号は、2次の研磨すなわち最終研磨用の組成物を開示している。その組成物中では、粒径20〜300nmのシリカが研削剤として使用され、0.001〜0.3重量%のTMAHがベースとして使用されている。加えて、その特許出願は、研磨されたウエハの表面親水性を向上させるために、分子量1300000以上のヒドロキシエチルセルロース(HEC)を添加することを開示している。しかしながら、得られる組成物は、通常の研磨用スラリーの場合と比較して満足すべきものではない。
【0013】
最近、微小粗さおよび凹んだマイクロスクラッチ、さらにヘイズやLPD(低点欠陥)などのような表面欠陥を考慮すると、高品質スラリーの必要性がある。特に、凹んだマイクロスクラッチは、研磨用スラリーによるアンバランスな化学的研磨により発生する傾向があるため、スラリーを混合している際にはかなりの注意が必要である。
【0014】
本発明者は、熱心に研究し、研削剤としてのシリカの分散安定性を増大させて凹んだマイクロスクラッチに対する研磨品質を向上させることができるとともに、組成物中のシリカ粒子の量を減少させて製造コストを軽減させることができるスラリー組成物を見出した。その結果、本発明者は、低濃度のシリカと高分散性とを持つスラリー組成物を発見した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明によれば、研削剤として平均粒径30〜80nmで2〜10重量%のコロイド状シリカと、0.5〜1.5重量%のアンモニアと、0.2〜1重量%のヒドロキシアルキルセルロース基の水溶性ポリマー増粘剤と、0.03〜0.5重量%のポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤と、0.01〜1重量%の第4アンモニウムベースと、脱イオン水のバランスとから成る半導体ウエハの2次研磨用のスラリー組成物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明によるスラリー組成物は、脱イオン水と、シリカ研削剤と、アンモニアと、ヒドロキシアルキルセルロース基の水溶性ポリマー増粘剤と、ポリオキシエチンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤と、第4アンモニウムベースとから成る。
【0018】
機械的研磨の効果を軽減するために、平均粒子直径30〜80nmのコロイド状シリカがシリカ研削剤として用いられる。平均粒子直径が30nm未満である場合には、十分な機械的研磨の効果が得られず、また、研磨中にシリキサン置換基などのような研磨残留物により粒子が不安定になる危険がある。研磨残留物によるシリカ粒子の不安定さが、ウエハの表面上にLPD(低点欠陥)を残すことになり、それがウエハの品質を下げる原因となる。平均粒子直径が80nmを超える場合には、研磨速度は高くなるが、ウエハの表面または表面下への損傷が発生し、これは最終研磨用スラリーにとって不適切である。
【0019】
特に、高い研磨品質の点から見ると、コロイド状シリカの第1の粒子直径が35〜50nmの範囲内であり、コロイド状シリカの第2の粒子直径が60〜80nmの範囲内であることが好ましい。アグロメレート比(agglomerate ratio)、すなわち、第2の粒子直径に対する第1の粒子直径の比が1.6〜1.8の間にあると、上記の効果を得ることが可能になる。
【0020】
組成物中のシリカの濃度は、2〜10重量%の範囲内であれば好ましく、4〜6重量%の範囲内であればより好ましい。比較的大きい直径の第2の粒子が研磨速度を増大させるので、シリカは低濃度に保たれて最終研磨速度が0.5〜1μm/分に調整される。加えて、シリカの低濃度によりシリカの分散安定性と保管安定性とが向上される。このシリカの分散安定性によってスラリー内部での粗い不純物の形成が防止され、それにより、スクラッチ、特にサブミロンのスクラッチの発生が低減され、従って、研磨品質が向上される。
【0021】
弱いベースであるアンモニアがpH調整剤として用いられている。加えて、アンモニアは、シリカの化学的分散性を増加させるように、および、CMPプロセス中に化学的研磨作用を支援するように機能する。このアンモニアは、0.5〜1.5重量%のアンモニアに添加されて、スラリーのpHを10.4〜10.7に調整する。
【0022】
水溶性ポリマー増粘剤は、シリカ粒子の分散安定性をさらに増加させるために添加される。水溶性ポリマー増粘剤として、水溶性のヒドロキシアルキルセルロース基の化合物が用いられる。ヒドロキシアルキルセルロース基の化合物の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、親油変性された(lipophilically-modified)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびメチルセルロースなどが含まれる。
【0023】
ヒドロキシアルキルセルロース基の化合物は、高温でも安定であり、50℃以上の曇り点(clouding point)を有することが好ましい。上記を考慮して、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシメチルセルロースを用いるのが望ましい。このようなヒドロキシアルキルセルロース基の化合物は、層流を形成しスラリーの粘性を7〜80cP、望ましくは20〜80cP、より望ましくは30〜70cPに保つように、100000〜1500000の重量平均分子量を有する。添加されるポリマー増粘剤の量は0.2〜1重量%の範囲内である。
【0024】
ヒドロキシアルキルセルロース基の化合物は、3次元網目状を形成し、シリカのアグロメレーションまたは沈殿を遅らせるので、シリカの分散安定性が向上される。加えて、ヒドロキシアルキルセルロース基の化合物は、シリカ研削剤が正規の方位でウエハ表面と接触するのを可能にしているので、ソフトなウエハ鏡面を実現するのに重要な役割を果たしている。
【0025】
シリカと増粘剤との間の分散相中で増粘剤の網目状分散相とシリカの均一分散相とを実現し長時間に渡ってそのような分散相を維持するために、特殊な物理的または化学的処理が必要とされる。この目的のため、ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤が添加され、次に、得られた混合物が高いせん断応力下で機械的均一化され、それにより、シリカスラリー組成物の分散安定性がかなり向上される。
【0026】
ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤は次の式1で表される:
RN(R′O)(R″O) (1)
ここに、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、R′とR″はそれぞれ独立してエチレン基またはイソプロピレン基であり、mとnはそれぞれ独立して10〜80の整数であり、m+nは20〜90の範囲内である。
【0027】
m+nは、オキシエチレン・モノマーとオキシイソプロピレン・モノマーとの添加モル数のことであり、25〜50モルの範囲内であることが望ましく、30〜40モルの範囲内にあればより望ましい。m+nが20未満であると、非イオン性界面活性剤は、増粘剤および組成物の分散性を向上させる効果はない。m+nが90を超えると、発泡性が増し、組成物の加工性の劣化をもたらし、組成物の高い粘性をもたらす。
【0028】
ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤が、組成物の総重量に基づいて、総量0.03〜0.5重量%の中で用いられる。ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテルの量が0.03重量%未満であると、十分な分散効果が得られない。ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテルの量が0.5重量%を超えると、分散安定性が劣化する。
【0029】
研磨速度を増大するために、1〜4個のアルキル基を持つ第4アンモニウムベースを研磨構成要素に添加することは有利である。第4アンモニウムベースの具体的な例には、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチルエトキシルアンモニウム、および水酸化N、Nジメチルピペリジンがある。
【0030】
添加された第4アンモニウムベースの量は0.01〜1重量%の範囲内であり、好適には最終組成物のpH値を10.4〜10.7に調整できるように0.05〜0.7重量%の範囲内である。
【0031】
本発明のスラリー組成物では、シリカ粒子の分散安定性が向上され、粗い粒子の形成が防止される。したがって、ウエハ表面が本発明によるスラリー組成物によって最終研磨されると、凹んだマイクロスクラッチとエリアスクラッチとが減少される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は以下の例を参照して以下にさらに詳しく説明される。しかしながら、この例は本発明の範囲を制限するものと見なすべきではない。
【0033】
以下の例では、Rodel2371が1次の研磨用に用いられ、本発明のスラリーは2次の研磨および3次の研磨のために用いられた。それぞれの研磨後に、研磨された表面が比較された。研磨された表面はSURFSCAN SP-1(KLA-TENCOR)を使って分析された。0.1ミクロン以上のサイズの凹んだマイクロスクラッチとエリアスクラッチ(area scratch)とが、研磨された表面上のLPD数とエリア欠陥数とによってそれぞれ測定された。
【0034】
[研磨条件]
ポリッシャ:STRAUGHBAUGH MARK9K
テーブル速度:50rpm
ヘッド速度:30rpm
スラリーの流量:0.5L/分
圧力:5psi
実施例1
第1の平均粒子直径40nmと第2の平均粒子直径70nmとを有するコロイド状シリカが脱イオン水中で希釈され、(最終組成物に基づいて)6重量%のシリカ含有量が獲得され、次に、それにアンモニアが、(最終組成物に基づいて)総量1重量%中で添加されpH値が10.3〜10.5に調整された。水酸化テトラメトキシアンモニウムが、第4アンモニウムベースとして、(最終組成物に基づいて)総量0.08重量%中で用いられ、pH値が10.5〜10.6に調整された。平均分子量500000のヒドロキシエチルセルロースが、増粘剤として、(最終組成物に基づいて)総量0.6重量%中で添加され、30モルのオキシエチレン・モノマーを含有するトリポリオキシエチレンアミン・エーテルが総量0.1重量%中で混合された。結果として得られた混合物は、ホモジナイザ(IKA製)を用いて2000rpmで攪拌され、粘性70cPのスラリー組成物が調製された。
【0035】
結果として得られたスラリー組成物は脱イオン水で10倍に希釈され、次に、2次の研磨用スラリーおよび最終研磨用スラリーとして用いられた。その希釈されたスラリーは、ハードなウレタン研磨パッドを備えたマルチヘッドポリッシャ(Speedfam社製)を用いて(100)方位を有するp型の200mmの平坦ウエハを研磨するために、利用された。20枚のウエハの表面上のスクラッチがSP1(KLA-Tencor社)を用いて分析された。0.1ミクロン以上のサイズの凹んだマイクロスクラッチとエリアスクラッチとが、研磨されたウエハの表面上のLPD数とエリア欠陥数とによってそれぞれ測定された。平均で3個のLPDと2個のエリア欠陥とが観察された。
【0036】
比較例1
比較例1のスラリー組成物は、トリポリオキシエチレンアミン・エーテルが添加されないことを除いて、実施例1と同じように調製された。得られたスラリー組成物の凹んだマイクロスクラッチとエリアスクラッチとが実施例1と同様に測定された。平均で10個のLPDと10個のエリア欠陥とが観察された。
【0037】
実施例2
スラリー組成物は、コロイド状シリカの第1および第2の粒子直径が表1に示すように変更されたことを除いて、実施例1と同じように調製され評価された。その結果が表1に示されている。
【0038】
【表1】

実施例2から明らかなことは、第1の粒子直径が40nmでありアグロメレート比が1.75である時に、研磨品質は均一で優れていたことである。
実施例3
スラリー組成物は、ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテルに添加されるオキシエチレン・モノマーの量が表2に示すように変更されたことを除いて、実施例1と同様に調製され評価された。その結果が表2に示されている。
【0039】
【表2】

実施例4から明らかなことは、非イオン性界面活性剤に含有されるオキシエチレン・モノマーの総モル数が50である時に、スラリー組成物の物理的特性と研磨品質とが優れていたことである。
【0040】
比較例2
表3に示すさまざまな第1の粒子直径、第2の粒子直径、および粘性を有するが、シリカ含有量(6重量%)とpH(10.7)とが同じである市販のスラリーは、脱イオン水で10倍に希釈された。スラリーの研磨手順は実施例1と同様に実行された。その結果が下の表3に示されている。
【0041】
【表3】

表3に示すデータから理解されることは、本発明のスラリー組成物が、市販の研磨用スラリーと比較して、分散安定性と研磨品質という点で、特に表面スクラッチによって測定されると、優れた物理的特性を達成していることである。
【0042】
本発明の好適な実施の形態が説明のために開示されたが、添付された請求項で開示された本発明の範囲および趣旨から逸脱することなくさまざまな変更、追加、および置換が可能であることが当業者には理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削剤としての平均粒子直径30〜80nmで2〜10重量%のコロイド状シリカと、0.5〜1.5重量%のアンモニアと、0.2〜1重量%のヒドロキシアルキルセルロース基の水溶性ポリマー増粘剤と、0.03〜0.5重量%のポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤と、0.01〜1重量%の第4アンモニウムベースと、脱イオン水のバランスとを含有することを特徴とする半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物において、
前記コロイド状シリカが、第1の粒子直径35〜50nmと第2の粒子直径60〜80nmとを有することを特徴とする半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物において、
前記ポリオキシエチレンアルキルアミン・エーテル基の非イオン性界面活性剤が次の式(1)によって示されることを特徴とする半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物:
RN(R′O)(R″O) (1)
ここに、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、R′とR″はそれぞれ独立してエチレン基またはイソプロピレン基であり、mとnはそれぞれ独立して10〜80の整数であり、m+nは20〜90の範囲内である。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物において、
前記水溶性ポリマー増粘剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、親油変性されたヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびメチルセルロースから成るグループから選択された材料であり、重量平均分子量100000〜1500000を有することを特徴とする半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物において、
前記水溶性ポリマー増粘剤が、前記スラリーの粘性を7〜80cPに調整するために含有されていることを特徴とする半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物において、
前記第4アンモニウムベースが、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチルエトキシルアンモニウム、および水酸化N、Nジメチルピペリジンから成るグループから選択された材料であることを特徴とする半導体ウエハの2次研磨用スラリー組成物。

【公表番号】特表2006−509364(P2006−509364A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558503(P2004−558503)
【出願日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【国際出願番号】PCT/KR2003/001532
【国際公開番号】WO2004/053968
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505122313)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Cheil Industries Inc.
【Fターム(参考)】