説明

シリコン含有樹脂水分散体の製造方法

【課題】
耐汚染性に優れ、仕上がり性や耐水性が良好な塗膜を形成するシリコン含有樹脂水分散体を安定に製造する製造方法を提供する。
【解決手段】 (A)加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン並びに(B)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなるモノマー成分を含む混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下になるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とするシリコン含有樹脂水分散体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯蔵安定性に優れ、耐汚染性、仕上がり性、耐候性、耐水性、耐アルカリ性に優れる塗膜を形成することが可能なシリコン含有樹脂水分散体の製造方法、該水分散体を含んでなる水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物を含んでなる水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への負荷低減から塗料や接着剤の分野においても有機溶剤を使用するものから、水性化への転換が注目されており、水中に分散される樹脂の高機能化についても、幅広く検討されている。それらの中でも、耐水性、耐溶剤性、耐久性などの性能を向上できるものとして、加水分解性シリル基を含有する樹脂水分散体が種々提案されている。例えば、特許文献1には、特定のオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種とラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合物を、乳化状態で、加水分解・縮合反応およびラジカル重合を行うことを特徴とする水系分散体が記載されている。しかしながら、該分散体は、貯蔵によりシラノール基の粒子内縮合が進行すると、粒子の融着不良が起こり、得られた塗膜の仕上がり性が低下したり、ホモジナイザーなどの大きなせん断力のかかる機器にて得られたプレ乳化液の安定性が悪く、重合中に凝集物が発生するという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−302920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、耐汚染性、仕上がり性の良好な塗膜を形成することが可能なシリコン含有樹脂水分散体を安定に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、今回、特定のオルガノシラン並びに脂肪酸変性重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を含む混合物を水性媒体中に特定の平均粒子径となるように微分散し、得られる乳化物を重合する製造方法により本発明を完成するに至った。即ち本発明は
1. (A)加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン並びに(B)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなるモノマー成分を含む混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下になるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とするシリコン含有樹脂水分散体の製造方法、
2. 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、
(R−Si−(OR4−n (1)
(式(1)中、Rは同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、Rは同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)で表されるオルガノシラン及び該オルガノシランの加水分解縮合物の群から選ばれる少なくとも1種である1項に記載の製造方法、
3. 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、オルガノシリケート類(A1)を含有する1項または2項に記載の製造方法、
4. 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、Si−C結合を有し、25℃における回転粘度が500mPa・s以下であるオルガノポリシロキサン(A2)を含有する1項ないし3項のいずれか1項に記載の製造方法、
5. 脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、脂肪酸(a1)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)との反応生成物である1項ないし4項のいずれか1項に記載の製造方法、
6. その他の重合性不飽和モノマー(b)が、炭素数が6以上の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)及びカルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する1項ないし5項のいずれか1項に記載の製造方法、
7. 混合物(I)が、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)をさらに含有する1項ないし6項のいずれか1項に記載の製造方法、
8. 1項ないし7項のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシリコン含有樹脂水分散体、
9. 8項に記載のシリコン含有樹脂水分散体を含有する水性樹脂組成物、
10. さらにヒドラジン誘導体を含有する9項に記載の水性樹脂組成物、
11. 9項または10項に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物、
12. 被塗面に、11項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法、
13. 12項に記載の塗膜形成方法により得られる塗装物品、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、多量の有機溶剤を含むことなく、耐汚染性に優れ、しかも脂肪酸成分を含有することにより、貯蔵安定性、造膜性、仕上がり性の良好なシリコン含有樹脂水分散体を安定に製造することができる。該製造方法により得られる水分散体を用いて形成される塗膜は耐候性、耐水性、耐アルカリ性等の性能に非常に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のシリコン含有樹脂水分散体は、(A)加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン並びに(B)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなるモノマー成分(B)を含む混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下、特に50〜750nm、さらに特に50〜500nmの範囲内になるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とする。平均粒子径が1000nmを超えると、形成塗膜の仕上がり性、貯蔵安定性が劣り、実用性が低下するので好ましくない。尚、本明細書において、平均粒子径は「SALD−3100」(商品名、島津製作所社製、レーザー回折式粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて希釈して、20℃にして測定した時に値であり、また、平均粒子径の測定は、微粒化された混合物(I)の乳化物又は樹脂分散体の平均粒子径の測定は、それぞれ製造後1時間経過した時点で行うものとする。
【0008】
また、重合時に使用する水性媒体としては、水、又は水を主体としてこれに水溶性有機溶媒などの有機溶媒を混合してなる水−有機溶媒混合溶液などを挙げることができる。
【0009】
加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)
本発明のシリコン含有樹脂水分散体において、加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)としては、従来公知のものが制限なく使用でき、例えば、下記式(1)で表されるオルガノシラン及び該オルガノシランの加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
(R−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、Rは同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)
上記Rとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の直鎖及び/又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基及びメチルシクロヘキセニル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ビフェニルイル基、ナプチル基、アントニル基、フェナントリル基等のアリール基;アルカリール基、o−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基等のアルカリール基;ベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基等のアラルキル基;グリシドキシ基、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ基誘導体;メタクリル基、アクリル基等の(メタ)アクリル基誘導体;アミノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアミノ基誘導体;メルカプト基、テトラスルフィド基等の含硫黄基誘導体;(ポリオキシアルキレン)アルキルエーテル基などのアルキルエーテル基誘導体;カルボキシル基、スルフォニル基等のアニオン性基誘導体;フッ素、塩素等のハロゲン原子が挙げられ、これらは第4級アンモニウム塩構造含有基誘導体、水酸基、イソシアネート基等で一部置換されていてもよい。
【0010】
これらの中でも、炭素数が1〜12の置換もしくは非置換のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
【0011】
また、Rとして具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖/分岐状のアルキル基又はフェニル基等のアリール等が挙げられる。これらの中でも、水分散体の貯蔵安定性の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基が好適である。
【0012】
このようなオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n‐プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシランなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
本発明の水分散体を用いて形成される塗膜を経時で親水性化させ、汚染自浄性を付与させ、耐汚染性を高めるために、加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、オルガノシリケート類(A1)を含有するものであることが望ましい。そのような目的で使用し得るオルガノシリケート類(A1)としては、例えば下記式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0014】
【化1】

【0015】
上記式(2)において、全てのRは、同一又は異なって、炭素数が1〜10の炭化水素基であり、mは1〜100、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50の整数である。
【0016】
上記Rとしては、例えば、同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖/分岐状のアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。これらの中でも、水分散体中での安定性から、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基が好適である。
【0017】
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のオルガノシリケート化合物、これらオルガノシリケート化合物同士の加水分解縮合物などが挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、該加水分解縮合物とは、分岐状、直鎖状又は環状のいずれであってもよい。
【0018】
また、本発明におけるオルガノシラン(A)は、上記オルガノシリケート類(A1)であるオルガノシリケート化合物及び/又はその加水分解縮合物にメルカプト化合物、ホウ酸化合物又はポリアルキレングリコール系化合物等を一部反応させた変性物であってもよい。
【0019】
また、本発明においては、形成塗膜の表面を撥水性に改質させ、汚れ成分を除去しやすい性質にすることを目的として、加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、Si−C結合を有し、25℃における回転粘度が500mPa・s以下であるオルガノポリシロキサン(A2)を含有するものであることが望ましい。本明細書において回転粘度とは、Brookfield社製B型粘度計を用い、せん断速度60rpm、25℃で測定した値を示す。
【0020】
上記オルガノポリシロキサン(A2)としては、前記式(1)において、nが1及び/又は2のオルガノシランからなるか又はnが1及び/又は2のオルガノシランを主成分とするオルガノシランを加水分解縮合することにより製造される、3次元構造を有しているオルガノポリシロキサンであることが望ましい。この際、nが0及び/又は3で表されるオルガノシランを原料として適宜混合せしめることもできる。
【0021】
上記オルガノポリシロキサン(A2)の市販品としては、「SR2406」、「SR2410」、「SR2420」、「SR2416」、「SR2402」、「AY42−161」(以上東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、「FZ−3704」、「FZ−3511」(以上日本ユニカー社製)、「KC-89S」、「KR−500」、「X−40−9225」、「X−40−9246」、「X−40−9250」、「KR−217」、「KR−9218」、「KR−213」、「KR−510」、「X−40−9227」、「X−40−9247」、「X−41−1053」、「X−41−1056」、「X−41−1805」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2308」、「X−40−9238」、「X−40−2239」、「X−40−2327」、「KR−400」、「X−40−175」、「X−40−9740」(以上信越化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
【0022】
本発明の分散体を用いて形成される塗膜表面に耐汚染性を付与させる場合などにおいて、汚れ成分の親水・疎水の程度又は被塗面の種類に応じて、該塗膜表面の親水・疎水を調整する目的で、上記オルガノシリケート類(A1)及びオルガノポリシロキサン(A2)を併用することもできる。併用する場合のその使用割合は、オルガノシリケート類(A1)/オルガノポリシロキサン(A2)重量比で、95/5〜40/60、好ましくは90/10〜50/50の範囲内が好適である。
【0023】
モノマー成分(B)
本発明の製造方法において、モノマー成分(B)は、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)を必須成分として含有するものである。以下、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)について説明する。
【0024】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)
本発明において使用される脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)は、混合物(I)の乳化時の微粒化を容易にし、また、重合段階において微粒化後の乳化物を安定化させ、上記オルガノシラン(A)又はその他の重合性不飽和モノマー(b)の水性媒体中への拡散を抑制させるため、そして、製造される水分散体を用いて形成される塗膜の仕上がり性を良好にし、また、水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜に酸化硬化性を付与させる場合においては、酸化硬化基を導入するために使用されるものであり、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが包含される。ここで、重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができ、特に(メタ)アクリロイル基が好適である。
【0025】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)としては、例えば、脂肪酸(a1)をエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)又は水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)と反応させることにより得られるものを挙げることができる。
【0026】
脂肪酸(a1)としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが挙げられ、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不乾性油脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、通常、乾性油脂肪酸はヨウ素化が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素化が100以上かつ130未満の不飽和脂肪酸である。他方、不乾性油脂肪酸は、通常、ヨウ素価が100未満である脂肪酸である。
【0027】
乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することができる。
【0028】
本発明において、形成塗膜に酸化硬化性を付与させることができる場合には、脂肪酸(a1)としては乾性油脂肪酸及び/又は半乾性油脂肪酸であることが望ましい。
【0029】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)を製造するために上記脂肪酸(a1)と反応させうるエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)としては、1分子中に1個のエポキシ基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
上記脂肪酸(a1)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)は、脂肪酸(a1)中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)中のエポキシ基との当量比が0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させることができる。
【0031】
上記脂肪酸(a1)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)との反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸成分中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー中のエポキシ基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、約100〜約180℃の温度で約0.5〜約10時間加熱することにより行うのが適している。
【0032】
この反応において、N,N−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶剤を使用してもよい。
【0033】
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
また、脂肪酸変性重合性モノマー(a)は、上記脂肪酸(a1)を水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)とエステル化反応させることによっても得ることができる。かかる水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)としては、1分子中に1個の水酸基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC2〜C8ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記C2〜C8ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
上記脂肪酸(a1)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)は、通常、該脂肪酸(a1)中のカルボキシル基対水酸基含有モノマー(a3)中の水酸基との当量比が0.4:1〜1.25:1、好ましくは0.5:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させることができる。
【0036】
上記脂肪酸(a1)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)との反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸(a1)成分中のカルボキシル基と水酸基含有重合性不飽和モノマー中の水酸基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、エステル化触媒の存在下に、約100〜約180℃の温度で約0.5〜約10時間加熱することにより行うのが適している。エステル化触媒としては、例えば、硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、アルキル置換ベンゼン、塩酸、硫酸メチル、リン酸等が挙げられ、これらの触媒は、通常、反応させる上記脂肪酸(a1)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)の合計量に基準にして、約0.001〜約2.0重量%の範囲内で使用することができる。さらに、反応に対して不活性な有機溶剤を使用することもできる。
【0037】
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
その他の重合性不飽和モノマー(b)
本発明において、その他の重合性不飽和モノマー(b)は、上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能な該モノマー(a)以外の重合性不飽和モノマーであり、そのようなその他の重合性不飽和モノマー(b)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリル(メタ)アクリレート」(大阪有機化学社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;ポリジメチルシロキサンマクロモノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のアルキルフッ素基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、さらにグリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個の水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記炭素数2〜8のヒドロキシ(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和モノマー:分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなど2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等;が挙げられ、これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を適宜使用される。
【0039】
上記その他の重合性不飽和モノマー(b)は、本発明の水分散体の造膜性の点から、その他の重合性不飽和モノマー(b)からなる(共)重合体の理論ガラス転移温度が−30℃〜80℃、好ましくは−20〜50℃の範囲内となるように選択されることが望ましい。
【0040】
本発明においてガラス転移温度(絶対温度)は、下式から算出した値とする。
1/Tg=W1/T1+W2/T2+...Wn/Tn
式中のW1、W2...Wnは各モノマーの重量%(=(各モノマーの配合量/モノマー全重量)×100)であり、T1、T2...Tnは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。尚各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、Polymer Hand Book (Second Edition,J.Brandrup・E.H.Immergut 編)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該ホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるように合成し、ガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定した値を使用するものとする。
【0041】
また、その他の重合性不飽和モノマー(b)は、炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)及びカルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含むことが望ましい。
【0042】
炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)としては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
その他の重合性不飽和モノマー(b)の少なくとも一部として、炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)を使用することにより、上記オルガノシラン(A)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなるモノマー成分(B)を含む混合物(I)を水性媒体中に微粒化した後の混合物(I)の乳化物の重合安定性を保持することができ、しかも、耐水性に優れた塗膜を形成するシリコン含有樹脂水分散体を製造することができる。
【0044】
炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して、1〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは6〜30重量%含んでなることが望ましい。
【0045】
シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)としては、1分子中に1個の炭素数が6以上のシクロアルキル基と1個の重合性不飽和結合を有する化合物が好適であり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
その他の重合性不飽和モノマー(b)が、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)を含んでなることにより形成塗膜の耐候性を向上させることができる。かかる重合性不飽和モノマー(b2)は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して、1〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%の範囲内で含んでなることが望ましい。
【0047】
カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)としては、1分子中に1個のカルボニル基と1個の重合性不飽和結合を有する化合物が包含され、具体的には例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、特にダイアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。モノマー(b)の少なくとも一部として、カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)を含んでなるものを使用し、且つ得られる分散体に後述のヒドラジン誘導体を配合せしめることにより、カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)由来のカルボニル基とヒドラジン誘導体との架橋を進行させることができ、塗膜の乾燥性をより一層向上させることができ、耐候性、耐水性等の物性にも優れた塗膜を形成する組成物を調製することができる。該モノマー(b3)の使用割合は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して、0.5〜35重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲内が好適である。
【0048】
また、その他の重合性不飽和モノマー(b)がカルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)を含んでなる場合において、脂肪酸(a1)の種類は特に制限されるものではないが、半乾性油脂肪酸及び/又は不乾性油脂肪酸からなることもできる。半乾性油脂肪酸及び/又は不乾性油脂肪酸は、一般に酸化硬化性が低い脂肪酸であり、前記例示のものを使用することができる。
【0049】
また、その他の重合性不飽和モノマー(b)は、カルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーを、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%の範囲内で含んでなることが望ましい。
【0050】
カルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等を挙げることができ、特に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸が好適である。
【0051】
その他の重合性不飽和モノマー(b)の少なくとも一部としてカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーを使用することにより、得られるシリコン含有樹脂水分散体粒子の水性媒体中における安定性や機械安定性を確保することができ、また、それを含有する水性樹脂組成物をエナメル塗料に適用した場合において、塗料の調色性を向上させることができる。
【0052】
本発明において、混合物(I)は、以上に述べたオルガノシラン(A)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)をからなるモノマー成分(B)を必須成分として含有してなり、ここで各成分の使用割合は、造膜性、耐汚染性、仕上がり性、重合安定性の点から、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して、
上記加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、0.5〜80重量%、好ましくは1〜60重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、0.5〜60重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは1〜25重量%、
その他の重合性不飽和モノマー(b)が、20〜99重量%、好ましくは30〜95重量%、さらに好ましくは45〜90重量%の範囲内とすることができる。
【0053】
可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)
本発明において、混合物(I)は、さらに必要に応じて、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)を含有することもできる。混合物(I)として、オルガノシラン(A)及びモノマー成分(B)以外に上記添加剤(C)を加えた混合物(I)を使用することにより、該添加剤(C)を内包するシリコン分散体を製造することができる。その結果、得られる水分散体を用いて形成される塗膜に均一に該添加剤(C)が分散されるようになるとともに、塗膜形成後、該添加剤(C)が雨水等により溶出されることがなく、その効果を長期にわたり安定に発揮するようになる。
【0054】
可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体;グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等のグリセリン誘導体;エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸誘導体;アジピン酸と1、4−ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体;ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上選択して使用できる。これらのうち、グリセリン誘導体、アジピン酸誘導体が可塑化効果の高い点で特に好ましい。
【0055】
該可塑剤により形成塗膜の造膜性を向上させ、良好な仕上がり性、耐水性を得ることができる。上記可塑剤を使用する場合にはその使用割合は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲内が好適である。
【0056】
また上記紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレ−ト、p−オクチルフェニルサリシレ−ト、4−t−ブチルフェニルサリシレ−トなどのサリチル酸誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2´−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレ−ト、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノ−ルモノベンゾエ−ト、2,4−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、4,6−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ルなどのベンゾトリアゾ−ル系及びその他(シュウ酸アニリド、シアノアクリレ−トなど)の化合物などが挙げられる。
【0057】
紫外線安定剤としては、2−(3−t-ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t-ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ビス−(2,2´,6,6´−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバテ−ト、4−ベンゾイルオキシ−2,2´,6,6´−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0058】
上記紫外線吸収剤及び/又は紫外線安定剤は、単独で使用してもよいし、適宜選択して組み合わせて使用することもできる。上記紫外線吸収剤を使用する場合にはその使用割合は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%の範囲内であることが好適である。上記紫外線安定剤を使用する場合にはその使用割合は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜3.0重量%が好適である。
【0059】
また、上記金属ドライヤーとしては、分散体を用いて形成される塗膜の硬化を促進させるために配合されるものであり、例えば、アルミニウム、カルシウム、セリウム、コバルト、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、ジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と酸との塩が挙げられ、該酸としては、例えば、カプリン酸、カプリル酸、イソデカン酸、リノレン酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オクテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、樹脂酸、リシノール酸、大豆油脂肪酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。上記金属ドライヤーの使用割合は、成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%が好適である。
【0060】
本発明の製造方法において、上記混合物(I)は、シリコン含有樹脂水分散体の粒子安定性の点から、水性媒体に微分散するに際して必要に応じて、界面活性剤を含有していてもよい。該界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が好適であり、該アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられる。
【0061】
他方非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、レシチン、カゼイン等が挙げられる。
【0062】
また、上記界面活性剤としては、アニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を1分子中に有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性界面活性剤や、該アニオン性基と重合性不飽和基とを1分子中に有する反応性アニオン性界面活性剤であってもよく、該反応性アニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレン基を有するものであってもよい。これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を併用して使用することができる。界面活性剤を使用する場合にはその使用量は、重合時の安定性から使用される成分(A)及び成分(B)の合計重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、さらに好ましくは0.3〜12重量%の範囲内であることが望ましい。
【0063】
上記混合物(I)には、上記以外の成分の他に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂等の樹脂;顔料、染料等の着色剤;等を挙げることができる。
【0064】
また、本発明の製造方法によれば、重合段階において、オルガノシラン(A)並びに脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)を含むモノマー成分(B)が、重合場である微分散された粒子から拡散するのを抑制することができ、シリコン分散体を安定に製造することができるものであるが、必要に応じて混合物(I)にヘキサデカン等の長鎖飽和炭化水素系溶剤、ヘキサデカノール等の長鎖アルコール系溶剤等の通常ミニエマルション重合において使用される疎水性有機溶剤等を含んでいてもよい。
【0065】
本発明に従えば、以上に述べた混合物(I)は、水性媒体中に微分散させることによりオルガノシラン(A)及びモノマー成分(B)を含有する粒子分散物である乳化物(以下、「乳化物」と略称することがある)が形成せしめられる。
【0066】
上記混合物(I)の水性媒体中における濃度は、形成される乳化物の微粒化適性、重合段階における安定性、水性塗料に適用したときの実用性などの観点から、一般に、10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%の範囲内が好適である。
【0067】
上記乳化物は、高エネルギーせん断能力を有する分散機により微分散されることが望ましい。該分散機としては高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌機等が挙げられる。ここでいう高圧とは例えば、10〜1000MPa、好ましくは50〜300MPa程度である。また、該機械にて乳化を行う前に該乳化物をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
【0068】
なお、使用する分散装置はこれらに限定されるわけではなく、乳化分散により得られる乳化物の平均粒子径が上記範囲内(1000nm以下)にすることができるものであればよい。
【0069】
上記乳化物の重合方法としては、例えば微分散後の乳化物を撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を添加し、攪拌しながら加熱する方法等が挙げられる。
【0070】
重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれであってもよく、油溶性の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性の開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、 tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、 tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられ、単独でも、2種以上組み合わせて用いても良い。また、上記重合開始剤に必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。これにより、重合速度を促進したり、低温における重合をも行うことが容易になる。
【0071】
本発明においては該重合開始剤の使用量は、成分(B)の重量に対し0.1〜5重量%、特に0.2〜3重量%の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、その種類や量に応じて適宜選択できる。例えば、混合物(I)や水性媒体に含まれていてもよいし、重合の際に一括であるいは滴下で添加してもよい。
【0072】
また、本発明方法においては、重合終了後、反応により生成したアルコールは、30〜100℃で減圧下あるいは常圧下に、シリコン含有樹脂水分散体固形分に対して5重量%以下に留去することができる。
【0073】
また、本発明において、シリコン含有樹脂水分散体の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤の存在下で重合を行ってもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が挙げられ、具体的にはラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノ−ル、チオグリセロ−ル、メルカプト酢酸(チオグリコ−ル酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤の量としては、成分(B)の重量に対して0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%の範囲内が好適である。
【0074】
本発明においては、上記シリコン含有樹脂水分散体の粒子の機械安定性を向上させるために、該シリコン含有樹脂水分散体が酸性基を有する場合には、これを中和剤により中和をすることが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられる。乳化物の安定性の点から中和後のシリコン含有樹脂水分散体のpHが6.5〜10.0程度となるように中和することが望ましい。
【0075】
水性樹脂組成物
本発明により提供される水性樹脂組成物は以上に述べた如くして得られるシリコン含有樹脂水分散体を含んでなるものである。
【0076】
上記水性樹脂組成物は、ヒドラジン誘導体をさらに含んでなることができる。該ヒドラジン誘導体としては、具体的には例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させることにより得られるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド等のヒドラジド基含有化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート又はそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物等のセミカルバジド基を有する化合物;ビスアセチルジヒドラゾン等のヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。
【0077】
上記水性樹脂組成物が上記ヒドラジン誘導体を含有することにより、それから形成される塗膜は空気中の有害物質、例えばホルムアルデヒドを吸着することができ、これらの有害物質の除去のために有用であり、また、シリコン含有樹脂水分散体がカルボニル基を有する場合には、架橋のための架橋剤として作用することができる。
【0078】
上記ヒドラジン誘導体の配合量は、シリコン含有樹脂水分散体の樹脂固形分に対して、一般に、0.01〜10重量%、特に0.1〜8重量%の範囲内が望ましい。
【0079】
また、本発明のシリコン含有樹脂水分散体の硬化速度を上げる或いは形成塗膜の性能を向上させる目的で、必要に応じてシラノール縮合触媒を添加してもよい。縮合触媒としては従来公知のものが使用でき、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ぎ酸ナトリウム、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン等の塩基性化合物類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、亜鉛オクチレート、亜鉛アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、錫アセチルアセトナート、ジブチル錫ジオクチレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の含金属化合物類;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸等の酸性化合物類;フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムフルオライド等の含フッ素化合物;等が挙げられる。これら縮合触媒の使用量は、成分(A)の重量に対し0.01〜5重量%の範囲内が好適であり、その混合の時期は、該縮合触媒の種類に応じて適宜調整することが望ましい。
【0080】
上記水性樹脂組成物は、必要に応じて、水溶性あるいはエマルション型のアクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;シェラック、ロジン等の天然樹脂;等の改質樹脂;湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、硬化触媒、表面調整剤などを適宜選択し組合わせて含有することができる。また、前記で説明したごとき添加剤(C)を該水性樹脂組成物に含ませることもできる。
【0081】
かくして、上記水性樹脂組成物は、建築用、自動車外板用、自動車部品用、自動車補修用、PCM用等の塗料用途や印刷インキ等の被覆材、塗料用添加剤、不織布用等の接合剤、接着剤、充填剤、成形材料、レジスト等の種々の用途に使用することができる。
【0082】
水性塗料組成物
本発明により提供される水性塗料組成物は、上記水性樹脂組成物を含んでなるものである。
【0083】
上記水性樹脂組成物を水性塗料組成物に適用した場合においては、クリヤー塗料、エナメル塗料のいずれにも適用できる。
【0084】
エナメル塗料として適用する場合には、顔料分として、従来公知の着色顔料,光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を配合することができる。
【0085】
上記水性塗料組成物においては、上記成分の他に顔料分散剤、界面活性剤、表面調整剤、可塑剤、沈降防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、硬化触媒、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤、フラッシュラスト抑止剤、アルデヒド捕捉剤、層状粘度鉱物、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン等の添加剤を適宣選択し組み合わせて含有することができる。
【0086】
また、上記シリコン含有分散体の樹脂中の官能基と反応可能な官能基を有する架橋剤を含有することもできる。該架橋剤を混合することにより、形成塗膜の耐水性、耐久性をより向上させることができる。この様な官能基の組み合わせとしては、例えば、エポキシ−アミン、エポキシ−酸、ポリオール−イソシアネート、カルボキシル−金属イオン、カルボキシル−カルボジイミド、カルボキシル−オキサゾリン等が挙げられる。
【0087】
上記水性塗料組成物が適用される被塗面としては、特に制限されるものではなく、従来公知の基材面や該基材面に設けられた塗膜面に適用でき、該基材としては、特に制限されるものではないが、例えばコンクリート面、モルタル面、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、コンクリートブロック面、木材、石材等の無機基材;プラスチック等の有機基材;鉄、アルミニウム等の金属などが挙げられ、またこれら基材面に設けられる塗膜としては、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキド樹脂系などの塗膜面が挙げられる。上記被塗面には、水性又は溶剤型の下塗り材を塗布してもよく、必要に応じて、該下塗り材を塗布した後、上記水性塗料組成物を上塗り材として塗布することができる。一方、本発明の水性塗料組成物を下塗り材として塗布した後、従来公知の水性上塗り材を塗布することも可能である。
【0088】
本発明の水性塗料組成物の塗布方法としては、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン、浸漬、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等特に制限はなく、被塗面及び用途に応じて適宜選択することができる。乾燥方法としては、加熱乾燥、強制乾燥、常温乾燥のいずれであってもよい。本明細書では40℃未満の乾燥条件を常温乾燥とし、40℃以上で且つ80℃未満の乾燥条件を強制乾燥とし、80℃以上の乾燥条件を加熱乾燥とする。また、塗布量としては、例えば、1回あたり50〜500g/m、好ましくは80〜300g/mの範囲内であることができる。また、塗膜外観を損なわない範囲で複数回塗り重ねてもよい。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0090】
シリコン含有樹脂水分散体の製造
実施例1
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて150MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が230nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
「エチルシリケート48」(注1) 20部
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(1)(注2) 5部
シクロヘキシルメタクリレート 20部
スチレン 10部
t−ブチルメタクリレート 12部
2−エチルヘキシルアクリレート 25部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 3部
アクリル酸 2部
ダイアセトンアクリルアミド 3部
「Newcol707SF」(注3) 15部
脱イオン水 85部
次いで、上記モノマー乳化物を攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム1部を脱イオン水9.4部に溶解させた重合開始剤水溶液を反応容器に添加し、窒素気流下で該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、過硫酸アンモニウム0.3部を脱イオン水3部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後、40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度43%、平均粒子径が195nmの水性樹脂分散体(A−1)を得た。
(注1)「エチルシリケート48」:商品名、コルコート社製、エチルシリケート縮合物、10量体
(注2)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(1)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に亜麻仁油脂肪酸280部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(1)を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することにより定量した。反応が完了するまで約5時間を要した。
(注3)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%。
【0091】
実施例2〜11、及び比較例1〜2
配合組成を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして水性樹脂分散体(A−2)〜(A−13)を得た。比較例2については配合組成を表1に示すようにし、モノマー乳化物の平均粒子径を5600nmとなるようにする以外は、実施例1と同様の手順にて水性樹脂分散体(A−13)を得た。この分散体はろ過残渣が多かった。
【0092】
【表1】

【0093】
(注4)「KR500」:商品名、信越化学工業社製、メトキシ基含有ジメチルシリコーンオリゴマー、25℃における回転粘度25mPa・s
(注5)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(2)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器にヤシ油脂肪酸210部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(2)を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することにより定量した。反応が完了するまで約5時間を要した。
(注6)「リケマールPL−012」:商品名、理研ビタミン社製、グリセリンジアセトモノラウレート、可塑剤
(注7)「TINUVINE123」:商品名、チバスペシャルティー・ケミカルズ社製、ピペラジン系紫外線安定剤
(注8)「TINUVINE384−2」:商品名、チバスペシャリティー・ケミカルズ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(注9)「アクアロンHS−10」:商品名、第一工業製薬社製、アニオン系反応性界面活性剤。
【0094】
(*1)貯蔵安定性
表1に示した水分散体を容量が1Lの内面コート缶に1kg入れ、40℃の恒温室中で30日間貯蔵した。その後、室温に戻し、容器の中の状態を目視にて観察し、次の基準で評価した。
○:分離が認められない、△:ソフトケーキングや分離が認められるが、攪拌により均一となる、×:ハードケーキングや分離が認められ、元に戻らない。
【0095】
水性塗料組成物の製造
実施例12
容器に下記に示される各成分を順次仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け白塗料用の顔料ペーストを得た。
顔料ペースト組成
水 45部
「スラオフ72N」(注10) 3部
「BYK−190」(注11) 6部
「JR−605」(注12) 100部
次いで該顔料ペースト154部に、水性樹脂分散体(A−1)を250部、「TEXANOL」(注13)を20部、「DICNATE1000W」(注14)を0.6部、アジピン酸ジヒドラジドを3部、「SNデフォーマー380」(注15)を2部、「アデカノールUH−438」(注16)を2部配合し、攪拌混合して水性塗料組成物(B−1)を得た。
【0096】
実施例13〜22及び比較例3〜4
上記実施例11において、配合組成を下記表2に記載の通りとする以外は実施例11と同様にして水性塗料組成物(B−2)〜(B−13)を得た。
【0097】
【表2】

【0098】
(注10)「スラオフ72N」:商品名、竹田薬品工業(株)製、防腐剤
(注11)「BYK−190」 :商品名、ビックケミー社製、顔料分散剤
(注12)「JR−605」:商品名、テイカ社製、チタン白
(注13)「TEXANOL」:商品名、イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤
(注14)「DICNATE1000W」:商品名、大日本インキ化学工業社製、金属ドライヤー、Co含有率3.6%
(注15)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤
(注16)「アデカノールUH−438」:商品名、アデカ社製、増粘剤。
【0099】
評価試験
上記水性塗料組成物(B−1)〜(B−13)について、下記基準にて評価した。結果を表2に併せて示す。
(*2)塗膜外観
各水性塗料組成物を6ミルドクターブレードを用いてガラス板に塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で乾燥させて各試験塗板を得た。1日後に塗膜外観を目視にて評価した。
◎:良好であり、肉持ち感に優れる、○:良好であり、肉もち感にやや優れる、△:やや不良、×:ワレやチヂミなどの欠陥あり
(*3)光沢
上記(*2)と同様にして得た試験塗板の60度グロスを測定した。値が大きい程光沢が良好であることを示す。
(*4)耐汚染性
スレート板(6×90×300mm)上に、「VPシーラー透明」(関西ペイント社製、溶剤型シーラー)を塗布量100g/mになるようにローラー塗装し乾燥させたものを被塗板とし、この上に実施例12〜22及び比較例3〜4で得た各水性塗料組成物を塗布量120g/mになるようにスプレーで2回塗装した。気温20℃、相対湿度60%の条件下で7日間乾燥して、各試験塗板を得た。次いで各試験塗板を、平塚市内で南面に向かって、塗面を水平面から上に30°傾けて12ヶ月屋外暴露試験に供し、試験後の塗面の汚れを目視で評価した。
◎:汚れが殆どみられない、○:汚れが僅かにみられる、△:かなり汚れが見られる、×:汚れが著しい。
(*5)耐水性
スレート板(70×150×5mm)上に「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、アクリルエマルション系シーラー)を塗布量150g/mになるように刷毛塗りし、気温20℃、相対湿度60%RHの条件下で1日乾燥させたものを試験素材とした。次に、該試験素材に各水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛塗りし、4時間放置後、さらに同じ水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛で塗り重ねて、気温20℃、相対湿度60%の条件下で7日乾燥させて各試験塗板を得た。各試験塗板を上水(20℃)に7日間浸漬した後の塗膜の状態を目視にて評価した。
◎:良好、○:わずかに艶引けが認められるが、実用レベルにある、△:白化又はフクレが少し認められる、×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する
(*6)促進耐候性
上記(*5)と同様にして得た試験塗板を、JIS K 5400の9.8.1(サンシャインカーボンアーク灯式)の促進耐候性試験に準じて、2000時間照射した後、塗膜状態を目視にて評価した。
◎:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が70%以上である、○:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が60%以上で且つ70%未満である、△:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が60%未満である、×:ワレ、ハガレ、フクレが認められる。
(*7)耐アルカリ性
上記(*5)と同様にして得た試験塗板を、室温で、水酸化カルシウム飽和水溶液に7日間浸漬した後の塗膜の状態を目視にて評価した。
◎:良好、○:わずかに艶引けが認められるが、実用レベルにある、△:白化又はフクレが少し認められる、×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン並びに(B)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなるモノマー成分を含む混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下になるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とするシリコン含有樹脂水分散体の製造方法。
【請求項2】
加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、
(R−Si−(OR4−n (1)
(式(1)中、Rは同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、Rは同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)で表されるオルガノシラン及び該オルガノシランの加水分解縮合物の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、オルガノシリケート類(A1)を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、Si−C結合を有し、25℃における回転粘度が500mPa・s以下であるオルガノポリシロキサン(A2)を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、脂肪酸(a1)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)との反応生成物である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
その他の重合性不飽和モノマー(b)が、炭素数が6以上の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)及びカルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
混合物(I)が、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)をさらに含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシリコン含有樹脂水分散体。
【請求項9】
請求項8に記載のシリコン含有樹脂水分散体を含有する水性樹脂組成物。
【請求項10】
さらにヒドラジン誘導体を含有する請求項9に記載の水性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9または10に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物。
【請求項12】
被塗面に、請求項11に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項13】
請求項12に記載の塗膜形成方法により得られる塗装物品。

【公開番号】特開2006−28290(P2006−28290A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207169(P2004−207169)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】