説明

シリコン基板、その製造方法及びインクジェットプリントヘッド

【課題】リストリクターが形成されたシリコン基板、シリコン基板の製造方法及びこれを備えたインクジェットプリントヘッドの提供。
【解決手段】シリコン基板200は、マニホールドと連結され、第1大きさの第1幅を有する第1連結部210と、圧力室と連結され、第2大きさの第2幅を有する第2連結部220と、第1連結部210と第2連結部220を連結し、第1大きさ又は第2大きさより小さい第3大きさの第3幅を有するリストリクター部230とを含み、リストリクター部230と第1連結部、又はリストリクター部230と第2連結部が連結される境界部は曲線状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリストリクターが形成されるシリコン基板、該シリコン基板の製造方法及びこれを備えたインクジェットプリントヘッドに関し、より詳細には、インクが円滑に流動できる流路構造を有するシリコン基板、その製造方法及びインクジェットプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリントヘッドは、電気信号を物理的な力に変換して貯蔵されているインクを水玉サイズに吐出する装置である。
【0003】
このようなインクジェットプリントヘッドは大量生産が可能であるため、事務用プリンターだけでなく、産業用プリンターにも用いられている。例えば、インクジェットプリントヘッドは、紙にインクを吐出して出力物を印刷する事務室だけでなく、印刷回路基板(PCB)上に液状の金属物質を吐出して回路パターンを直接形成する製造工場でも用いられている。
【0004】
一般的に用いられるインクジェットプリントヘッドは、複数の圧力室とノズルを有してよい。このようなインクジェットプリントヘッドは、複数のノズルを通じて同一色のインク又は異なる色のインクを同時に吐出することができるため、印刷速度が早い上、鮮やかな印刷が可能である。
【0005】
一方、インクジェットプリントヘッドは複数の基板が積層された構造を有する。このようなインクジェットプリントヘッドは、マニホールド、リストリクター、圧力室などの模様が形成された基板が上下に積層され、インクが移動できる流路を形成する。
【0006】
しかしながら、従来のインクジェットプリントヘッドは、マニホールド、リストリクター、圧力室などの模様が乾式エッチングにより形成されるため、フォト工程やマスクとして用いられる酸化膜をエッチングする過程でパーティクルなどにより不良を誘発することがある。
【0007】
従って、従来のインクジェットプリントヘッドは、マニホールドから圧力室までの流路不良の発生率が増加し、インクジェットプリントヘッドの製作収率が減少する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、インクジェットプリントヘッドの製作過程で発生し得る不良を除去することで、インクが円滑に流動できるようにするリストリクターが形成されたシリコン基板、その製造方法及びインクジェットプリントヘッドを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一実施例によるシリコン基板は、マニホールドと連結され、第1大きさの第1幅を有する第1連結部と、圧力室と連結され、第2大きさの第2幅を有する第2連結部と、上記第1連結部と上記第2連結部を連結し、上記第1大きさ又は上記第2大きさより小さい第3大きさの第3幅を有するリストリクター部とを含み、上記リストリクター部と上記第1連結部、又は上記リストリクターと上記第2連結部が連結される境界部は曲線状に形成されてよい。
【0010】
本発明の一実施例によるシリコン基板における上記第1連結部は、マニホールドと同じ断面形状を有してよい。
【0011】
本発明の一実施例によるシリコン基板における上記第1連結部は、マニホールドより小さい断面形状を有してよい。
【0012】
本発明の一実施例によるシリコン基板は、上記第2連結部から所定の距離を置いて形成されるノズル部をさらに含んでよい。
【0013】
本発明の一実施例によるシリコン基板における上記境界領域は、湿式エッチングにより形成されてよい。
【0014】
本発明の一実施例によるシリコン基板における上記第1連結部、上記第2連結部及び上記リストリクター部は、上記基板の厚さ方向に沿って長く形成されてよい。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法は、シリコン基板の一面に第1大きさの第1幅を有する第1現像パターンと第2大きさの第2幅を有する第2現像パターンを形成する段階と、上記第1現像パターンと上記第2現像パターンの間に上記第1大きさ及び上記第2大きさより小さい第3大きさの第3幅を有する第3現像パターンを形成する段階と、上記現像パターンを現像及び除去して乾式エッチングし、上記現像パターンに対応するエッチング形状を形成する段階と、上記シリコン基板を湿式エッチングして上記エッチング形状の形態を完成する段階とを含んでよい。
【0016】
本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法において、上記第3現像パターンは、上記第1現像パターン及び上記第2現像パターンと第4大きさの距離を置いて形成されてよい。
【0017】
本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法において、上記第4大きさは上記第3大きさより小さくてよい。
【0018】
本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法において、上記第4大きさは上記シリコン基板の厚さより小さくてよい。
【0019】
本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法において、上記湿式エッチングはTMAH又はKOH(水酸化カリウム)を利用してよい。
【0020】
本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法において、上記第1現像パターンはマニホールドと連結される第1連結部を形成し、上記第2現像パターンは圧力室と連結される第2連結部を形成し、上記第3現像パターンはリストリクター部を形成してよい。
【0021】
上記目的を達成するための本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドは、マニホールドと圧力室が形成される第1基板と、上記マニホールドと連結される第1連結部、上記圧力室と連結される第2連結部、上記第1連結部及び上記第2連結部と連結されるリストリクター部が形成される第2基板とを含み、上記リストリクター部と上記第1連結部、又は上記リストリクターと上記第2連結部が連結される境界部は曲線状に形成されてよい。
【0022】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドは、上記第2連結部から所定の距離を置いて形成されるノズル部をさらに含んでよい。
【0023】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドにおける上記第2基板は、乾式エッチング及び湿式エッチングにより形成されてよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、シリコン基板の乾式エッチング工程で発生したエッチング形状の不良を効果的に除去することができ、これを通じてインクの流路形状を改善することができる。
【0025】
従って、本発明によると、インクジェットプリントヘッドの製作収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例によるシリコン基板の平面図である
【図2】図1に示されたシリコン基板のA−A断面図である。
【図3】図1に示されたシリコン基板を含む本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの断面図である。
【図4】本発明の第2実施例によるシリコン基板の平面図である。
【図5】図4に示されたシリコン基板を含む本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドの断面図である。
【図6】本発明の第3実施例によるシリコン基板の平面図である。
【図7】図6に示されたシリコン基板を含む本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドの断面図である。
【図8】本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法を示したフローチャートである。
【図9】本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【図10】本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【図11】本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【図12】本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【図13】本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【図14】本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の好ましい実施例を添付の例示図面に基づいて詳しく説明する。
【0028】
以下で本発明を説明するにおいて、本発明の構成要素を指し示す用語は、それぞれの構成要素の機能を考慮して名付けられたもので、本発明の技術的構成要素を限定する意味と理解してはならない。
【0029】
インクジェットプリントヘッドを構成するシリコン基板は、マニホールド、圧力室、リストリクターなどの形状を含んでよい。
【0030】
ここで、マニホールド、圧力室、リストリクターなどの形状は、PRパターンの現像、除去、エッチング工程により形成されてよい。
【0031】
しかしながら、現像されたPRパターンはシリコン基板から完全に除去されにくいため、PRパターンを基にして行われるエッチング工程でマニホールド、圧力室、リストリクターなどを正確に形成することが困難である。
【0032】
このようなマニホールド、圧力室、リストリクター形状の不良は、インクの流動を妨害するため、インクジェットプリントヘッドの精密なインク吐出を困難にする虞がある。
【0033】
本発明は、このような点を解消するためのもので、インクの流路が改善されたシリコン基板と、該基板を製造する方法、該基板を有するインクジェットプリントヘッドを提供する。
【0034】
図1は本発明の第1実施例によるシリコン基板の平面図であり、図2は図1に示されたシリコン基板のA−A断面図であり、図3は図1に示されたシリコン基板を含む本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの断面図であり、図4は本発明の第2実施例によるシリコン基板の平面図であり、図5は図4に示されたシリコン基板を含む本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドの断面図であり、図6は本発明の第3実施例によるシリコン基板の平面図であり、図7は図6に示されたシリコン基板を含む本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドの断面図であり、図8は本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法を示したフローチャートであり、図9から図14は本発明のシリコン基板の製造方法によるシリコン基板のエッチング状態を示した実験写真である。
【0035】
図1から図3を参照して本発明の第1実施例によるシリコン基板とインクジェットプリントヘッドを説明する。
【0036】
シリコン基板200は、インクジェットプリントヘッドの一部分を形成してよい。例えば、リストリクターとノズルを含む第2基板であってよい。
【0037】
シリコン基板200は単結晶のシリコン基板からなってよい。しかし、第2基板20は、必要に応じて、SOI(Silicon on insulator)基板からなってもよい。この場合、第2基板20はシリコン基板と複数の絶縁部材が積層された積層構造物であってよい。
【0038】
シリコン基板200は第1連結部210、第2連結部220、リストリクター部230を含んでよく、ノズル部240をさらに含んでもよい。第1連結部210、第2連結部220、リストリクター部230、ノズル部240はシリコン基板200の第1方向(図1を基準にしてX軸方向)に沿って順に形成されてよい。尚、第1連結部210、第2連結部220、リストリクター部230、ノズル部240はシリコン基板200の第2方向(図1を基準にしてY軸方向)に沿って一定間隔を置いて複数列に配列されてよい。
【0039】
このように形成されたシリコン基板200は、インクジェットプリントヘッドにおいて第2基板を形成することができる。
【0040】
第1連結部210は、マニホールドの一部分を形成するか、マニホールドと連結されてよい。そのために、第1連結部210は第1大きさの第1幅W1と所定の第1長さL1を有してよく、所定の第1深さh1(図3参照)を有してよい。ここで、第1幅W1はマニホールドの幅と同一であってよく、第1長さL1はマニホールドの長さより短くてよい。
【0041】
第2連結部220は、圧力室の一部分を形成するか、圧力室と連結されてよい。そのために、第2連結部220は第2大きさの第2幅W2と所定の第2長さL2を有してよく、所定の第2深さh2(図3参照)を有してよい。ここで、第2幅W2は圧力室の幅と同一であってよい。また、第2幅W2は第1幅W1と同一、又は第1幅W1より短くてよい。尚、第2長さL2は圧力室の長さより短くてよく、第2深さh2は第1深さh1と同一であってよい。
【0042】
リストリクター部230は、インクジェットプリントヘッドにおいてリストリクターを形成してよい。そのために、リストリクター部230は第1幅W1又は第2幅W2より小さい第3大きさの第3幅W3を有してよい。また、リストリクター部230は第1連結部210から第2連結部220に移動するインクの流動速度を遅延させるために所定の第3長さL3を有してよい。
【0043】
リストリクター部230は、第1連結部210及び第2連結部220と連結されてよい。ここで、リストリクター部230と連結部210、220が実質的に連結される境界部250、252は、曲線状であってよい。即ち、境界部250、252は第1連結部210から第2連結部220へのインク流動が円滑に行われるように曲線状に形成されてよい。このような境界部250、252の形状は、インクと境界部250、252の抵抗を減らすため、インクの急激な流動による気泡発生現象を著しく減少させることができる。なお、上記では、境界部250、252の両方が曲線状である実施例を説明しているが、境界部250、252の少なくとも一方が曲線状であればよい。
【0044】
従って、本実施例によると、気泡によりインクの印刷品質が低下する現象を効果的に減少させることができる。
【0045】
一方、このような境界部250、252の形状は、湿式エッチングにより形成されてよい。湿式エッチングは、エッチングが平面的に行われる乾式エッチングとは異なってエッチングが立体的に行われる。従って、湿式エッチングは境界部250、252の形状を曲線状に変化させることができる。また、湿式エッチングは、リストリクター部230の断面形状を拡張させるとともに滑らかに変化させることができる。
【0046】
例えば、図2において、S1が乾式エッチングにより形成されたリストリクター部230の断面形状であれば、S2は湿式エッチングにより形成されたリストリクター部230の断面形状であることができる。
【0047】
このように湿式エッチングは、リストリクター部230の断面を2次加工するため、乾式エッチングにより除去されない部分を完全に除去することができる。
【0048】
ノズル部240は第2連結部220から距離を置いて形成されてよい。ノズル部240は圧力室と連結されることができ、圧力室に貯蔵されているインクを吐出するノズルとして利用されてよい。
【0049】
このように構成されたシリコン基板200は、図3に示されたようにインクジェットプリントヘッド1000の一部分を構成することができる。そして、図3を説明するにおいて、第2基板をシリコン基板200の別名として使用する。
【0050】
図3において、インクジェットプリントヘッド1000は、第1基板100と第2基板200を含んでよい。
【0051】
第1基板100は、インクジェットプリントヘッド1000の一部分を形成してよく、単結晶のシリコン基板からなってもよい。しかし、第1基板100は、必要に応じて、SOI(Silicon on insulator)基板からなってもよい。この場合、第1基板100はシリコン基板と複数の絶縁部材が積層された積層構造物であってよい。
【0052】
第1基板100はマニホールド110、圧力室120、アクチュエーター130を含んでよい。付け加えて説明すると、第1基板100の一面(図3を基準にして底面)にはマニホールド110と圧力室120が形成され、他面(図3を基準にして上面)にはアクチュエーター130が形成されてよい。また、図3には示されていないが、第1基板100にはマニホールド110と連結されるインク供給路が形成されてよい。
【0053】
マニホールド110は、第1基板100の底面に形成されてよい。マニホールド110はX方向に長く延長された形状を有し、圧力室120と一定間隔を置いて形成されてよい。
【0054】
マニホールド110は、第2基板200の第1連結部210と部分的に重畳されるように形成されてよい。付け加えて説明すると、マニホールド110は第1基板100と第2基板200が結合された状態で第1連結部210と連結されることができる。また、マニホールド110はインク供給路と連結され、貯蔵されているインクを圧力室120に供給することができる。
【0055】
圧力室120は第1基板100の底面に形成されてよい。
【0056】
圧力室120は第2基板200の第2連結部220及びノズル部240と重畳されるように形成されてよい。付け加えて説明すると、圧力室120は第1基板100と第2基板200が結合された状態で、第2連結部220及びノズル部240と連結されてよい。
【0057】
圧力室120は所定の体積を有することができる。付け加えて説明すると、圧力室120はアクチュエーター130の1回作動により吐出されるインク滴の体積と同一、又はこれより大きい体積を有することができる。ここで、前者はインクの定量吐出に有利で、後者はインクジェットプリントヘッド1000の連続吐出に有利である。
【0058】
アクチュエーター130は第1基板100の上面に形成されてよい。付け加えて説明すると、アクチュエーター130は第1基板10の上面の圧力室120と対応する位置に形成されてよい。
【0059】
アクチュエーター130は圧電素子と上下電極部材を含んでよい。付け加えて説明すると、アクチュエーター130は上部電極部材と下部電極部材を介して圧電素子が配置された積層構造物であってよい。
【0060】
このように形成されたアクチュエーター130は、電気信号により引張及び収縮して圧力室50に圧力を提供することができる。
【0061】
第2基板200は、インクジェットプリントヘッド1000の残り部分を形成してよい。
【0062】
第2基板200は第1連結部210、第2連結部220、リストリクター部230、ノズル部240を含んでよい。
【0063】
ここで、第1連結部210はマニホールド110と連結され、第2連結部220は圧力室120と連結されてよい。そして、リストリクター部230は第1連結部210と第2連結部220を連結し、マニホールド110と圧力室120を連結する一つの流路を形成してよい。
【0064】
このように構成されたインクジェットプリントヘッド1000は、第2基板200に対する説明で述べたように、欠陥(例えば、乾式エッチングにより完全に除去されない部分)のないインクの流路を有するため、インクの定量吐出が可能で、一定の印刷品質が得られる。
【0065】
次に、図4及び図5を参照して本発明の第2実施例によるシリコン基板とインクジェットプリントヘッドを説明する。
【0066】
第2実施例によるシリコン基板200は、第1連結部210の第1長さL1がマニホールド110の長さと同一であるという点で、第1実施例と区別される。
【0067】
本実施例における第1連結部210は、マニホールド110の長さLmと同じ第1長さL1を有することができる。また、第1連結部210はマニホールド110の一部分を形成してよい。即ち、第1連結部210は図面符号110とともに一つのマニホールドを形成することができる。
【0068】
このように構成されたインクジェットプリントヘッド1000は、相対的に大きい体積を有するマニホールド110を形成するのに有利である。
【0069】
次に、図6及び図7を参照して本発明の第3実施例によるシリコン基板とインクジェットプリントヘッドを説明する。
【0070】
第3実施例によるシリコン基板200は、第2連結部220とリストリクター部230が一体で形成された点で、上述の実施例と区別される。
【0071】
即ち、本実施例における第2連結部220は、リストリクター部230の第3幅W3と同じ第2幅W2を有することができ、又は、第2連結部220は省略されてよい。この場合、リストリクター部230は圧力室120と連結されることができる。ここで、第2幅W2は圧力室120の幅より小さくてよい。
【0072】
このような形状の基板200は、圧力室120からリストリクター部230に連結されるインクの流路幅が相対的に狭いため、インクの逆流現象の防止に効果的である。
【0073】
また、本実施例によるインクジェットプリントヘッド1000は、図7に示されているように3枚の基板100、200、300からなってよい。図7に示される実施例においては、第2基板は2枚の基板200および300により構成されるとよい。ノズル部240は、第2基板は2枚の基板200および300にわたって形成される。しかし、これは単なる例示に過ぎず、必要に応じて、基板の数は増減してよい。
【0074】
次いで、図8を参照して本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法を説明する。
【0075】
本発明の一実施例によるシリコン基板の製造方法は、酸化膜形成段階、PRパターン形成段階、酸化膜及びシリコン基板の1次エッチング段階、PR除去段階、シリコン基板の2次エッチング段階を含んでよい。
【0076】
1)酸化膜形成段階
本段階は、シリコン基板200に酸化膜450を形成する段階であってよい。
【0077】
酸化膜450はシリコン基板200の一面又は両面に形成されてよく、又は、シリコン基板200の表面全体に形成されてよい。酸化膜450は薄膜蒸着(sputtering)により形成されてよい。しかし、これは単なる例示に過ぎず、他の方法で酸化膜450を形成してもよい。
【0078】
2)PRパターン形成段階
本段階は、シリコン基板200にPRパターン410、420、430を形成する段階であってよい。付け加えて説明すると、本段階は酸化膜450にPR層500を形成する段階であってよい。
【0079】
PR層500は、現像及び除去工程を通じて所定のPRパターン410、420、430を含んでよい。PRパターン410、420、430はマスクを利用して形成することができる。
【0080】
PRパターン410、420、430は図1に示されたシリコン基板200の連結部210、220とリストリクター部230に対応する形状であってよい。
【0081】
例えば、第1PRパターン410は第1連結部210と対応するパターンであってよく、第4幅W4を有することができる。ここで、第4幅W4の大きさは第1幅W1と同一、又はこれより小さくてよい。
【0082】
第2PRパターン420は第2連結部220と対応するパターンであってよく、第5幅W5を有することができる。ここで、第5幅W5の大きさは第2幅W2と同一、又はこれより小さくてよい。第2PRパターン420は第1PRパターン410と相当な距離を置いて形成されてよい。
【0083】
第3PRパターン430はリストリクター部230と対応するパターンであってよく、第6幅W6を有することができる。ここで、第6幅W6の大きさは第3幅W3と同一、又はこれより小さくてよい。
【0084】
一方、第3PRパターン430は、第1PRパターン410と第2PRパターン420の間に形成されてよい。また、第3PRパターン43はこれらパターン410、420と距離L4、L5を置いて形成されてよい。ここで、距離L4、L5は第3PRパターン43の幅W6より小さくてよい。
【0085】
3)1次エッチング段階
本段階は酸化膜450とシリコン基板200をエッチングする段階であってよい。
【0086】
付け加えて説明すると、本段階はPRパターン410、420、430により露出された酸化膜450とシリコン基板200がエッチングされる段階であってよい。本段階のエッチングは乾式エッチングにより行われてよい。
【0087】
本段階では、シリコン基板200に連結部210、220、リストリクター部230、ノズル部240などが形成されてよい。但し、連結部210、220、リストリクター部230、ノズル部240はPRパターン410、420、430と同じ形状を有することができる。即ち、連結部210、220、リストリクター部230、ノズル部240は相互分離した状態で形成されてよい。
【0088】
4)PR層除去段階
本段階はシリコン基板200からPR層500を除去する段階であってよい。
【0089】
PR層500は別途の専用エッチング液により除去したり、別途の器具により除去してよい。
【0090】
5)2次エッチング段階
本段階は、シリコン基板200にインク流路を完成する段階であってよい。また、本段階はシリコン基板200を湿式エッチングする段階であってよい。
【0091】
湿式エッチングは、シリコン基板200で酸化膜の形成されない部分に行われるため、連結部210、220とリストリクター部230の側面部分を拡張することができ、これらの部分の欠陥を除去することができる。
【0092】
また、湿式エッチングは第1連結部210とリストリクター部230、そして第2連結部220とリストリクター部230を連結することができる。湿式エッチングはTMAH又はKOH(水酸化カリウム)により行われてよい。
【0093】
このように構成された基板の製造方法は、乾式エッチングにより完全にエッチングされない結合部位を除去する上、角部分を柔らかい曲面状に加工することができる。
【0094】
本出願人の実験によると、湿式エッチングは乾式エッチングにより形成された形状の側壁をエッチングし、これらの形状の断面を広げるだけでなく、分離した形状を連結することができる(図9から図13参照)。
【0095】
即ち、本出願人は乾式エッチングにより第1連結部210、リストリクター部230、第2連結部220に該当する形状をシリコン基板200に先ず形成した。ここで、第1連結部210、リストリクター部230、第2連結部220は所定の距離を置いて形成された。付け加えて説明すると、本出願人は上記距離を2μm、4μm、6μm、8μm、10μmにそれぞれ変更して実験した。
【0096】
その後、本出願人は該当シリコン基板200を所定時間湿式エッチングした。その結果、間隔を置いて形成された第1連結部210、リストリクター部230、第2連結部220は、図9から図13に示されているように所定時間が過ぎた後、全部連結された。
【0097】
特に、本実験によると、乾式エッチング後に行われた湿式エッチングは、第1連結部210、リストリクター部230、第2連結部220を柔らかい曲線状に連結し、リストリクター部230の断面も図14に示されているようにきれいに加工することができた。
【0098】
本発明は以上で説明される実施例に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の要旨を外れない範囲内で、多様に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0099】
1000 インクジェットプリントヘッド
100 第1基板(又は第1シリコン基板)
110 マニホールド
120 圧力室
200 シリコン基板(又は第2シリコン基板)
210 第1連結部
220 第2連結部
230 リストリクター部
240 ノズル部
250、252 境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該基板の外部に形成されたマニホールドと連結され、第1サイズの幅を有する第1連結部と、
当該基板の外部に形成された圧力室と連結され、前記第1サイズ以下の第2サイズの幅を有する第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部とを連結し、前記第1サイズおよび前記第2サイズのうち少なくとも第1サイズより小さい第3サイズの幅を有するリストリクター部と
を含み、
前記リストリクター部と前記第1連結部とが連結される境界部、および前記リストリクターと前記第2連結部とが連結される境界部の少なくとも一方が曲線状に形成されるシリコン基板。
【請求項2】
前記第1連結部は前記マニホールドと同じ断面形状を有する請求項1に記載のシリコン基板。
【請求項3】
前記第1連結部は前記マニホールドより小さい断面形状を有する請求項1に記載のシリコン基板。
【請求項4】
前記第2連結部から所定の距離を置いて形成されるノズル部をさらに含む請求項1から3の何れか1項に記載のシリコン基板。
【請求項5】
前記第1連結部、前記第2連結部及び前記リストリクター部は、前記基板の厚さ方向及び幅方向に垂直な方向に沿って形成される請求項1から4の何れか1項に記載のシリコン基板。
【請求項6】
シリコン基板の一面に第1サイズの幅を有する第1現像パターン、および前記第1サイズ以下の第2サイズの幅を有する第2現像パターンを形成する段階と、
前記第1現像パターンと前記第2現像パターンとの間に、前記第1サイズおよび前記第2サイズのうち少なくとも第1サイズより小さい第3サイズの幅を有する第3現像パターンを形成する段階と、
前記第1現像パターン、前記第2現像パターン、および前記第3現像パターンの各々を現像及び除去して乾式エッチングし、前記第1現像パターン、前記第2現像パターン、および前記第3現像パターンの各々に対応するエッチング形状を形成する段階と、
前記シリコン基板を湿式エッチングして前記エッチング形状の形態を完成する段階と
を含むシリコン基板の製造方法。
【請求項7】
前記第3現像パターンは前記第1現像パターン及び前記第2現像パターンから第4サイズの距離を置いて形成される請求項6に記載のシリコン基板の製造方法。
【請求項8】
前記第4サイズは前記第3サイズより小さい請求項7に記載のシリコン基板の製造方法。
【請求項9】
前記第4サイズの距離は、前記シリコン基板の厚さより小さい距離である請求項7または8に記載のシリコン基板の製造方法。
【請求項10】
前記湿式エッチングは、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)又はKOH(水酸化カリウム)を利用する請求項6から9の何れか1項に記載のシリコン基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1現像パターンはマニホールドと連結される第1連結部を形成し、
前記第2現像パターンは圧力室と連結される第2連結部を形成し、
前記第3現像パターンはリストリクター部を形成する請求項6から10の何れか1項に記載のシリコン基板の製造方法。
【請求項12】
マニホールドおよび圧力室が形成される第1基板と、
前記マニホールドと連結される第1連結部、前記圧力室と連結される第2連結部、並びに前記第1連結部及び前記第2連結部と連結されるリストリクター部が形成される第2基板と
を含み、
前記リストリクター部と前記第1連結部とが連結される境界部、および前記リストリクターと前記第2連結部とが連結される境界部の少なくとも一方が曲線状に形成されるインクジェットプリントヘッド。
【請求項13】
前記第2連結部から所定の距離を置いて形成されるノズル部をさらに含む請求項12に記載のインクジェットプリントヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−111976(P2013−111976A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179923(P2012−179923)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】