説明

シリコーンモノマーおよび眼用レンズ用原料

【課題】コンタクトレンズなどの眼用レンズに好適なポリマーを与えるモノマーとして好適に使用可能な、シリコーン化合物を高純度で提供する。
【解決手段】下記一般式(a)及び/または(a’)で表されるシリコーン化合物の純度が87%以上であり、(a)及び/または(a’)の加水分解物であるジヒドロキシアルキル基を有するシリコーン化合物の含有率が0.4%以上、3%以下であるシリコーン化合物。


(ここで、Aはシロキサニル基を表す。R1は重合性基を有する炭素数1〜20の置換基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20の置換基または−X−Aを表す。Xは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の置換基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズ用途に好適に用いられるポリマーを与えるシリコーン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼用レンズに使用されるポリマーを与えるモノマーとして、ケイ素基を有する化合物が知られている。
【0003】
【化1】

【0004】
そのような化合物の一つとして、上記式(c)または(c’)で表される化合物が知られている(例えば、特許文献1)。この化合物は分子内に水酸基を有することから親水性モノマーとの相溶性が得やすいという特長を有し、公知の合成法が存在する(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載された合成方法では、反応条件を種々検討してみても純度は85%〜89%程度までしか上がらず、高純度化が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−22325号公報 実施例4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは鋭意検討を進め、純度が向上しない原因として、副生成物として下記式(x)または(x’)
【0007】
【化2】

【0008】
で表される化合物が最も多く含まれていることを究明した。この副生成物は目的化合物と極性や沸点が近いため、カラム精製でも蒸留精製でも除去することが難しく、純度向上の妨げとなっていた。
【0009】
また、コンタクトレンズなどの眼用レンズの分野においては、不純物が極力少ないことが好ましいことは言うまでもないが、不純物が少ない場合であっても当該不純物が装用者にとって問題とならないことが必要である。このため、不純物がある場合にはその性質が把握されるべきであるが、純度あるいは収率を改良する方法の1つとして副生物を目的化合物に変換する方法を採用した場合には、新たな不純物を生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、高い純度で得られ、コンタクトレンズなどの眼用レンズ用の原料として好適な、下記の一般式(a)または(a’)で表されるシリコーン化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【化3】

【0012】
(ここで、Aはシロキサニル基を表す。R1は重合性基を有する炭素数1〜20の置換基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20の置換基または−X−Aを表す。Xは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の置換基を表す。)
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するために、本発明は下記の構成を有する。すなわち、
(1)下記一般式(a1)
【0014】
【化4】

【0015】
で表されるエポキシシランに、下記一般式(a2)
【0016】
【化5】

【0017】
で表されるカルボン酸の金属塩存在下で一般式(a2)で表されるカルボン酸を反応させて下記一般式(a)及び/または(a’)
【0018】
【化6】

【0019】
で表されるシリコーン化合物を合成する反応を含むシリコーン化合物の製造方法であって、該反応を行う系に水を0.05重量%以上存在せしめて反応を行うことを特徴とするシリコーン化合物の製造方法、
(ここで、Aはシロキサニル基を表す。R1は重合性基を有する炭素数1〜20の置換基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20の置換基または−X−Aを表す。Xは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の置換基を表す。)
(2)前記(1)記載の方法で得られたシリコーン化合物をシリカゲルカラムまたはアル
ミナカラムで精製することを特徴とするシリコーン化合物の製造方法、
(3)シロキサニル基Aが下記式(b)
【0020】
【化7】

【0021】
で表された原子団である、前記(1)または(2)記載の製造方法により得られたシリコーン化合物、
[式(b)中、A1 〜A11はそれぞれが互いに独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。nは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしn=a=b=c=0の場合を除く。]
(4)シロキサニル基Aがトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基からなる群から選ばれたものである前記(3)記載のシリコーン化合物、
(5)下記一般式(y)
【0022】
【化8】

【0023】
で表される化合物の含有率が0.4%以上、3%以下であり、下記一般式(a)及び/または(a’)で表されるシリコーン化合物の純度が87%以上であるシリコーン化合物
【0024】
【化9】

【0025】
(ここで、Aはシロキサニル基を表す。R1は重合性基を有する炭素数1〜20の置換基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20の置換基または−X−Aを表す。Xは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の置換基を表す。)、
である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、一般式(a)および/または(a’)で表されるシリコーン化合物を高純度で得ることができ、また、コンタクトレンズなどの眼用レンズに好適なポリマーを与えるモノマーとして好適に使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は一般式(a1)で表される化合物と一般式(a2)で表される化合物を原料として一般式(a)及び/または(a’)の化合物を得る。
【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

【0031】
一般式(a)及び/または(a’)で示される化合物において、R1は重合性基を有する炭素数1〜20の置換基を表す。これは一般式(a2)で表された化合物に起因する。
【0032】
ここで重合性基とはラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合をいう。R1を与える一般式(a2)で示される化合物の例としては、ビニロキシ酢酸、アリロキシ酢酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパン酸、3−(メタ)アクリロイルブタン酸、4−ビニル安息香酸などを挙げることができる。これらのうち、シリコーンモノマー(a)及び/または(a’)を合成する際に触媒としても作用する対応のカルボン酸塩が入手しやすいことから、アクリル酸およびメタクリル酸を最も好適に用いることができる。一般式(a2)で示された化合物は、エポキシシラン(一般式(a1)で示される化合物)に対して1〜50当量の範囲で用いること好ましく、エポキシシランを残存させないためには1.5〜40当量がより好ましく、経済性も考慮に入れると2〜30当量加えるのが最も好ましい。
【0033】
2〜R4はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20の置換基または−X−Aを表す。Xは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族または芳香族置換基を表す。Aはシロキサニル基を表す。本明細書におけるシロキサニル基とは、少なくとも一つのSi−O−Si結合を有する基を表す。シロキサニル基としては下記式(b)で表される置換基が原料の入手しやすさや合成の容易さの点で好ましく使用される。
【0034】
【化13】

【0035】
[式(b)中、A1 〜A11はそれぞれが互いに独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。nは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしn=a=b=c=0の場合は除く。]
式(b)中、A1からA11としてはそれぞれが独立に水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基を挙げることができる。これらの中で最も好ましいのはメチル基である。
【0036】
式(b)中、nは0〜200の整数であるが、好ましくは0〜50,さらに好ましくは0〜10である。a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数であるが、好ましくはa、b、cがそれぞれ互いに独立に0〜5の整数である。n=0の場合、好ましいa、b、cの組み合わせはa=b=c=1、あるいはa=b=1かつc=0である。
【0037】
式(b)で表される置換基の中では、かかる置換基を有した化合物が工業的に比較的安価に入手できることから、特に好適なものはトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリメチルシロキサン基、ポリ−コ−メチルシロキサン−ジメチルシロキサン基などである。
【0038】
本発明のシリコーン化合物の製造方法では、前記一般式(a2)で示されるカルボン酸の金属塩、好ましくアクリル酸若しくはメタアクリル酸の金属塩、好ましくアルカリ金属塩、を触媒として用いる。この触媒の添加量は、原料のエポキシシラン(前記一般式(a1)で示された化合物)に対して0.001〜5当量が好ましく、0.005〜3当量がより好ましく、0.01〜1当量が最も好ましい。
【0039】
本発明においては、前記一般式(a1)で示された化合物および一般式(a2)で示された化合物から一般式(a)および/または(a’)で示された化合物を得る反応系において、反応系に、すなわち反応系に存在する全成分に占める割合として、0.05重量%以上の水を存在せしめて反応を行うことを特徴とする。水の存在しない、または、水の存在量が0.05重量%未満の系で反応を行うと副生成物である一般式(z)および/または(z’)
【0040】
【化14】

【0041】
で表される化合物の生成が見られ、この副生成物は分離が困難であるので、結果として高純度化がはかれない。一方、本発明によれば、一般式(z)および/または(z’)で表される化合物が生成したとしても系中に存在する水により合成反応と並行して加水分解反応が進行するため、その生成量を低減させることができ、シリコーン化合物の純度を向上させることができる。なお、前記一般式(a2)で示されるカルボン酸の金属塩など本発明の製造方法に使用する成分は吸湿している場合がある。本発明でいう水分量とはこうした吸湿した成分により持ち込まれる水分の量も含めての量である。吸湿した成分に含まれる水分の量は、例えば40℃14時間真空乾燥を行うことなどの方法で乾燥し、乾燥重量との差によって求めることができる。
【0042】
なお、前記の一般式(z)および/または(z’)で表される化合物については、合成反応終了後に通常の脱シリル化条件、例えばカルボン酸−メタノールを添加して脱シリル化を行ったときに、一般式(z)および/または(z’)で表される化合物を分解することで、前記一般式(a)および/または(a’)の純度を向上させることも可能ではあるが、この場合、脱シリル化の工程が増えるため経済面で不利であることのほか、脱シリル化反応に並行してシロキサニル基部分も分解されてしまい、別な不純物が生成するという問題が生ずる。
【0043】
特に医療用具であるコンタクトレンズなどの眼用レンズとして用いるポリマーにおいては、構造不詳な不純物がわずかでも存在すると該不純物の安全性の検証が必要とされ、かかる不純物は少ないにこしたことはない。
【0044】
本発明の製造方法によれば、反応と同時に前記一般式(z)および/または(z’)で表される化合物の分解が進行するためか、当該化合物が不純物として大きく低減され、また、新たな不純物を生ずる可能性も小さく、純度を高めることが可能である。
【0045】
反応系内に存在せしめる水の量は、少なすぎると前記一般式(z)および/または(z’)で表される化合物が残ってしまって十分な純度向上の効果が得られず、多すぎると一般式(z)および/または(z’)で表される化合物を消費しつくしてしまい、それ以上の純度向上は望めなくなるばかりでなく、原料である一般式(a1)で表される化合物と水との反応から下記一般式(y)
【0046】
【化15】

【0047】
で表される化合物が生成してきて純度の低下を招くことから、0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましく、0.3〜2重量%が最も好ましい。すなわち、上限としては5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下であり、さらに好ましくは2重量%以下であり、下限としては0.05重量%以上であり、より好ましく0.3重量%以上である。
【0048】
本発明のシリコーン化合物の製造方法では合成反応中にシリコーン化合物が重合してしまうのを防ぐため重合禁止剤を含ませて反応を行ってもよい。重合禁止剤の具体例としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウムなどを挙げることができる。また、重合禁止剤を用いる場合の添加量は、前記一般式(a2)で示されるカルボン酸の量、例えば(メタ)アクリル酸量、に対して0.0005〜5重量%が好ましく、0.001〜3重量%がより好ましく、0.005〜1重量%が最も好ましい。
【0049】
本発明のシリコーン化合物の製造方法における反応温度は低すぎると反応時間が長くなり過ぎ、高すぎると合成反応中にシリコーン化合物が重合してしまう危険性があることから、50〜180℃が好ましく、60〜170℃がより好ましく、70〜160℃が最も好ましい。
【0050】
本発明のシリコーン化合物の製造方法により得られるシリコーン化合物の純度(後述するガスクロマト測定で測定したときの面積%として定義される)は89%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。上限としては特に制限はないが、精製工程が複雑・多工程となることによる生産性と眼用レンズとしての使用に十分な純度を考慮すれば、99%以下、許容されるのであれば97%以下程度が一応の目安である。
【0051】
本発明の製造方法により得られるシリコーン化合物は、反応液中に水を存在させて反応を行うから前記一般式(a1)で表される原料と水の反応により、前記一般式(y)で表される化合物の含有量が増加することがある。この一般式(y)で表される化合物は分子内に重合性基を持たないので、本発明によるシリコーン化合物を重合して得られたポリマーにそのまま含有されるおそれがあるが、かかる化合物の除去は、シリカゲルカラム、アルミナカラム等で上記一般式(y)で表される化合物を除去することができる。かかる処理を行うことで、一般式(y)で表される化合物のような不純物の量を低減でき、さらに不純物が少なく純度の高い、コンタクトレンズなどの眼用レンズに用いる場合に好適なポリマーを与えるシリコーン化合物として得ることができる。
【0052】
本発明において、前記一般式(y)で表される化合物の含有率は後述するガスクロマト測定で測定したときの面積%として0.4%以上、3%以下である。この一般式(y)で表される化合物の生成量が多いと、元々生成量が多い前記一般式(z)、(z’)の生成量を少なくできるため、純度を向上させることができる。すなわち、この一般式(y)で表される含有量を0.4%以上とすれば、容易に純度を87%以上とすることが可能である。
【0053】
シリカゲルカラムまたはアルミナカラム等で精製した後の前記一般式(y)で表される化合物の含有量は、0.7重量%以下になることが好ましく、該シリコーン化合物を重合して得られるポリマーを眼用レンズに用いるためには0.6重量%以下が好ましく、該ポリマーをソフトコンタクトレンズとして用いるためには0.5重量%以下が好ましい。なお、一般式(y)で表される化合物の含有量は、後述するガスクロマトグラフ測定において標準物質を用いる検量線法にて求めることができる。
【0054】
本発明のモノマーをポリマー化する際には、本発明のシリコーン化合物を単独で重合しても、また他の成分と共重合しても構わない。また、公知の重合方法が採用でき、例えば、重合するに際しては過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することにより行うことができる。また必要に応じて溶媒を用いることが可能である。また、コンタクトレンズや眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズに成形する成形方法としても公知の方法を採用することができる。例えば、一旦丸棒や板状等に重合、成形しこれを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、プラスチックや金属、石英等の材質からなるモールド中で重合と同時に成形するモールド重合法などである。
【0055】
本発明の製造方法により得られるシリコーン化合物を重合して得られるポリマーは、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0057】
測定方法
ガスクロマトグラフ(以下、GCと略して表記することがある。)測定
GC測定は本体に島津製作所製GC−18A(FID検出器)、キャピラリーカラムにJ&W社DB−5(0.25mm×30m×1μm)を用いた。キャリアガスはヘリウム(138kPa)、注入口温度280℃、検出器温度280℃、昇温プログラムは60℃(5分)→10℃/分→325℃(19分)で測定した。サンプルは測定試料100μLをイソプロピルアルコール1mLに溶解して調製し、1μL注入した。
【0058】
実施例1
300mLのナスフラスコに下式(c1)
【0059】
【化16】

【0060】
で表されるエポキシシラン100g(0.3mol)、メタクリル酸103.4g(1.2mol)、メタクリル酸ナトリウム9.6g(0.09mol)、p−メトキシフェノール5.5g(0.04mol)、水3.6gを加え、空気雰囲気下で100℃に加熱して撹拌した。GCでエポキシシラン(c1)の面積%が0.1%以下になるのを確認した後、反応液を室温まで冷却した。反応液にヘキサン150mLを加え、0.1N水酸化ナトリウム水溶液250mLで3回、2.6%食塩水175mLで3回洗浄し、有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過してエバポレータで溶媒を留去したところ、液体が126g得られた。得られた液体のGCを測定した。表1に示す結果が得られた。また、得られた液体をシリカゲル190g、ヘキサン/酢酸エチル=4/1でカラム精製し、溶媒を留去して得られた液体のGCを測定したところ、表1に示す結果が得られた。
一般式(z)および/または(z’)で表される化合物の含有量が低減した結果高純度が得られ、かつ(y)成分が増加したものの、カラム精製によって除去できる成分であるため、1%以上の純度向上効果がみられた。
【0061】
実施例2
エポキシシランを下式(d1)
【0062】
【化17】

【0063】
で表される化合物に、水分添加量を表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様の方法で実験を行った。GC測定を行ったところ、表1に示す結果が得られた。
【0064】
実施例3
水分添加量を表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様の方法で実験を行った。GC測定を行ったところ、表1に示す結果が得られた。
【0065】
実施例4
水分添加量を表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様の方法で実験を行った。GC測定を行ったところ、表1に示す結果が得られた。
【0066】
比較例1
水分を添加しない以外は実施例1と同様の方法で実験を行った。GC測定を行ったところ、表1に示す結果が得られた。一般式(z)および/または(z’)で表される化合物の含有量は水を添加した場合に比べて非常に多く、純度が低いものであった。
【0067】
比較例2
水分を添加しない以外は実施例1と同様の方法で実験を行い、得られたシリコーン化合物の液体にメタノール3倍量(重量比)、酢酸を0.5倍量(重量比)加えて40℃で1時間撹拌した。反応後、減圧下で溶媒を留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で2回洗浄した。得られた液体のGC測定を行ったところ、一般式(z)および/または(z’)で表される化合物のピークは消失し、純度は86.9%から91.7%まで向上したが、あらたな不純物に由来するピークが2本GC測定の結果認められた。
このピークに由来する不純物の構造は不詳であり、眼用レンズ用原料としては不適当である。
【0068】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズに用いるポリマーの原料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(y)
【化1】

で表される化合物の含有率が0.4%以上、3%以下であり、下記一般式(a)及び/または(a’)で表されるシリコーン化合物の純度が87%以上であるシリコーン化合物。
【化2】

(ここで、Aはシロキサニル基を表す。R1は重合性基を有する炭素数1〜20の置換基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20の置換基または−X−Aを表す。Xは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の置換基を表す。)
【請求項2】
前記シロキサニル基Aが下記式(b)
【化3】

で表された原子団であるシリコーン化合物。
[式(b)中、A1 〜A11はそれぞれが互いに独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。nは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしn=a=b=c=0の場合を除く。]
【請求項3】
シロキサニル基Aがトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基からなる群から選ばれたものである請求項記載のシリコーン化合物。

【公開番号】特開2011−201880(P2011−201880A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86154(P2011−86154)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【分割の表示】特願2005−50278(P2005−50278)の分割
【原出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】