説明

シリコーン含有粒子

【課題】水中でシリコーン化合物を速やかに放出するシリコーン含有粒子を提供する。
【解決手段】(A)HLBが6以下のジメチルポリシロキサン及びその誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)流動点が40℃未満の非イオン界面活性剤5〜100質量部及び、(C)(B)成分以外の界面活性剤5〜100質量部と、(D)吸油性担体とを含有してなるシリコーン含有粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン含有粒子及びその製造方法に関する。また、本発明は、該シリコーン含有粒子を含有する粉末洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン化合物は、高い潤滑性を持つため繊維製品の風合い向上の目的に広く使用されている。一般に、シリコーン化合物は、重合度、すなわち粘度が高くなるほど、風合い改善効果が高くなることが知られている。また、水溶性が低いシリコーン化合物ほど繊維への吸着性及びすすぎ時の脱落防止の点から好ましいことが知られている。そのような風合い改善効果の高いシリコーン化合物は高粘度の液体であるため、液体洗剤等、液体組成物への適用は広く行われているが、粉末洗剤等、粉末組成物への適用は一般的には行われていない。
【0003】
粉末洗剤へのシリコーン化合物への適用が可能になれば、粉末洗剤の機能向上の上でも望ましいが、高粘度で水溶性の低いシリコーン化合物を粉末洗剤に配合する場合、シリコーン化合物が水中で素早く放出されること、更に、保存後の溶解性が維持されること、また、シリコーン化合物をシリコーン造粒物中に高配合することが要求される。
【0004】
シリコーン化合物を粉末化する技術として、消泡剤としてのシリコーン化合物を対象とした特許文献1〜3の技術が知られている。また、シリコーン化合物を自己乳化性の組成物として配合し、水中での分散性を向上させる技術も知られている(特許文献4〜5)。
【特許文献1】特開平3−186307号公報
【特許文献2】特開平7−70594号公報
【特許文献3】特開2001−158900号公報
【特許文献4】特開昭53−34854号公報
【特許文献5】特開昭56−129013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシリコーン化合物の粉末化技術は、殆どが粘度のそれほど高くない消泡剤としてのシリコーン化合物を対象としており、繊維製品の風合い向上に適した、より高粘度のシリコーン化合物を粉末化するのに適切な手法は特許文献1〜3からは見いだせない。また、特許文献4〜5は、具体的にシリコーン化合物を粉末化することについて言及しておらず、高粘度のシリコーン化合物を粉末洗剤等に配合できるように粉末化することや、粉末からシリコーン化合物を水中で速やかに放出し、且つ、保存後の溶解性を維持することについて、何ら知見を得ることはできない。
【0006】
本発明の課題は、水中でシリコーン化合物を速やかに放出し、更に保存後の溶解性を維持するシリコーン含有粒子を提供することである。特に、繊維製品の風合い向上に適した高粘度で水溶性の低いシリコーン化合物を含有し、該シリコーン化合物を水中で速やかに放出し、且つ、保存後の溶解性を維持し、更に該シリコーン化合物の含有量の高いシリコーン含有粒子を提供することである。更に、そのようなシリコーン含有粒子を簡易に製造できる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)HLBが6以下のジメチルポリシロキサン及びその誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)流動点が40℃未満の非イオン界面活性剤5〜100質量部及び、(C)(B)成分以外の流動点が40℃以上の界面活性剤5〜100質量部と、(D)吸油性担体とを含有してなるシリコーン含有粒子に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%含有する粉末洗剤組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、(A)HLBが6以下のジメチルポリシロキサン及びその誘導体〔以下、(A)成分という〕の1種または2種以上100質量部に対して、(B)流動点が40℃未満の非イオン界面活性剤〔以下、(B)成分という〕5〜100質量部及び、(C)(B)成分以外の界面活性剤〔以下、(C)成分という〕を含有する粒子5〜100質量部(当該界面活性剤の量として)と、(D)吸油性担体〔以下、(D)成分という〕の混合物に、(E)バインダー〔以下、(E)成分という〕を添加し押し出し造粒する、シリコーン含有粒子の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水中でシリコーン化合物を速やかに放出し、且つ、保存後の溶解性に優れたシリコーン含有粒子が得られる。特に、本発明では、繊維製品の風合い向上に適した高粘度で水溶性の低いシリコーン化合物を含有し、該シリコーン化合物を水中で速やかに放出し、且つ、保存後の溶解性に優れ、更に該シリコーン化合物の含有量の高いシリコーン含有粒子が提供される。また、本発明の製造方法により、そのような本発明のシリコーン含有粒子を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[シリコーン含有粒子]
<(A)成分>
【0012】
(A)成分はHLBが6以下のジメチルポリシロキサン及びその誘導体の1種または2種以上から選ばれる。HLBの測定方法を下記に示す。
【0013】
*HLBの測定方法
HLBは界面活性剤便覧(西一郎ら編集、産業図書株式会社、昭和35年発行)の324ページに記載されている下記の方法により測定した曇数Aから算出できる。
<HLBの測定方法>
評価試料(シリコーン)0.5gを98%エチルアルコール5mlに溶解し、25℃に保ちながらかき混ぜながら2%フェノール水溶液で滴定し、液が混濁を呈する時を終点とする。この滴定に要した2%のフェノール水溶液のml数を曇数Aとする。HLBは下記の式より算出する。
HLB値=0.89×A+1.11
【0014】
(A)成分のHLBは、繊維への吸着性及びすすぎ時の脱落防止の点から、6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。
【0015】
(A)成分のうち、ジメチルポリシロキサンの誘導体としては、アルキル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン〔(B)成分以外のもの〕、脂肪酸エステル変性シリコーン、フルオロアルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
【0016】
(A)成分は、粘度(25℃)が2000mPa・s以上、更に5000mPa・s以上、特に10000mPa・s以上であることが、繊維製品に対する風合い向上の点で好ましい。
【0017】
粘度はB型粘度計(例えばTOKYO KEIKI社製 DVM−B型)を用い、適宜ローター及び回転数を選択して測定することができる。
【0018】
<(B)成分>
(B)成分の流動点が40℃未満の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレナルキロール(脂肪酸)アミド等が挙げられる。
【0019】
非イオン界面活性剤のうち、特に、炭素数10〜16のアルコールに、アルキレンオキシドを平均で2〜20モル、更に3〜16モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。アルキレンオキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキサイドが挙げられる。
【0020】
(B)成分の流動点は、JIS K 2269(1987)の「最低流動点試験方法」に記載の方法に準拠して測定される。つまり、加熱溶融させた後は記載条件に沿って測定する。
【0021】
(B)成分は、(A)成分100質量部に対して、5〜100質量部、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは15〜50質量部の割合で用いられる。
【0022】
<(C)成分>
(C)成分の、(B)成分以外の界面活性剤は、(B)成分との関係から流動点を持たない、或いは流動点が40℃以上の界面活性剤が挙げられる。例えば、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤やこれらの界面活性剤からなる粒子やこれらの界面活性剤を含有する粒子、例えば50質量%以上含有する粒子も使用できる。具体的には、ラウリン酸ナトリウム粉末、直鎖アルキル(炭素数8〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム粉末、アルキル(炭素数12〜18)硫酸ナトリウム粉末、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム粉末(アルキル基炭素数12〜18、平均EO付加モル数0.2〜3)、α−オレフィン(炭素数12〜18)スルホン酸ナトリウム粉末、脂肪酸(炭素数14〜18)ジエタノールアミド粉末、更に公知の粉末化/顆粒化法を用いて製造された活性剤を50質量%以上含有する粉末(顆粒の場合は必要に応じて粉砕して使用する)等が挙げられ、このうちアルキル硫酸ナトリウム粉末がより好ましい。
【0023】
(C)成分は、(B)成分より高い流動点を持つか加熱分解する等によって流動点を持たない界面活性剤が好ましい。好ましくは、流動点を持つ場合60℃以上が好ましい。ここで(C)成分の流動点は、(B)成分と同様に、JIS K 2269の方法に準拠して測定される値をさすものとする。
【0024】
(C)成分と(B)成分が流動点40℃で区切られていることにより、常温で流動するものとそうでないものが並存することで溶解性と構造の安定との両立に寄与する。
【0025】
(C)成分の形状が粒子状(粉末、顆粒、造粒物等も含む)の場合、その平均粒径は、分散性と溶解性発現効果の点から1〜50μmの範囲が好ましく、3〜40μmの範囲がより好ましく、5〜30μmの範囲が更に好ましい。(C)成分の平均粒径の測定方法は、乾式ユニットの装備されたレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0026】
(C)成分は、(A)成分100質量部に対して、5〜100質量部、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは20〜70質量部の割合で用いられる。(C)成分を含む粒子を用いる場合も、(C)成分の純分換算でこの比率となるように当該粒子を用いることが好ましい。
【0027】
<(D)成分>
(D)成分の吸油性担体は、例えば、珪酸塩、アルミノ珪酸塩などが挙げられる。珪酸塩、アルミノ珪酸塩の具体例としては、非晶質シリケート((株)トクヤマ製「トクシールNR」)、ベントナイト(ズードケミー製「Laundrosil EXM0242」)、珪酸カルシウム((株)トクヤマ製「フローライト」)、アルミシリコレート(正友化学製「TIXOLEX 25」)が挙げられ、このうち非晶質シリケート、珪酸カルシウムがより好ましい。なお、商品名はかぎ括弧で示す。
【0028】
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、5〜200質量部、好ましくは20〜150質量部、より好ましくは40〜120質量部の割合で用いられる。
【0029】
<(E)成分>
本発明のシリコーン含有粒子は、更に、(E)成分としてバインダーを含有することが好ましい。バインダーを用いて押し出し造粒により本発明のシリコーン含有粒子を得ることが好ましい。(E)成分のバインダーとしては、熱可塑性の水溶性バインダー等が挙げられ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンフェニルエーテル等からなる群より選択される1種以上が好ましい。また、本発明において水溶性バインダーは、その融点又は軟化点が35〜80℃のものが好適に用いられるが、45〜70℃のものが好ましく、50〜65℃のものが特に好ましい。
【0030】
バインダーの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたGPC法で4000〜20000、更に6000〜13000、特に7000〜9000のものが、造粒する際の粘度の点で好ましい。
【0031】
(E)成分は、(A)100質量部に対して10〜300質量部、更に30〜200質量部、特に50〜150質量部の割合で用いられることが好ましい。
【0032】
<(F)成分>
本発明のシリコーン含有粒子は、更に、(F)成分としてHLBが6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーンを含有することが好ましい。(F)成分としては、下記一般式(F−1)で表される化合物が好ましい。
【0033】
【化2】

【0034】
〔式中、Rは炭素数1〜10、好ましくは2〜5のアルキレン基、R’は水酸基または炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基、n/(m+n)は0.04以上、a/bは0.7〜1.3である。〕
【0035】
式中、n/(m+n)は好ましくは0.05以上、更に0.06以上、a/bは好ましくは0.8〜1.2、更に0.9〜1.1が好ましい。また、C24OとC36Oの配列はブロックでもランダムでも何れでもよい。
【0036】
(F)成分は、粘度(25℃)が10000mPa・s未満、更に8000mPa・s以下、特に5000mPa・s以下であることが、ハンドリング性の点で好ましい。また、(F)成分のHLB(測定方法:(A)成分の欄に記載)は6より大きく、更に7以上が好ましい。一般式(F−1)で表される化合物は、この粘度やHLBとなるように構造を選択することが好ましい。
【0037】
(F)成分のm,n,a,bの値はNMR測定により算出することができる。
【0038】
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜8質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられる。
【0039】
(A)成分、(B)成分、及び(F)成分は、予め混合して混合液として(D)成分等と混合することが好ましい。
【0040】
また、(F)成分と(B)成分の質量比は、(F)/(B)で、1/2〜1/100、更に1/5〜1/50であることが、減粘効果の点で好ましい。
【0041】
更に、(A)成分、(F)成分、及び(B)成分の質量比は、〔(F)+(B)〕/(A)で、10/1〜1/10、更に5/1〜1/5であることが、減粘効果を繊維の仕上がり性のバランスの点で好ましい。
【0042】
<その他の任意成分>
また、任意成分として、糖、多糖類が挙げられる。具体例としては、セルロースや澱粉、およびそれらの誘導体があげられる。セルロース及びその誘導体の具体例としては、粉末セルロース(東亜化成(株)製「ARBOCELシリーズ」)、カルボキシメチルセルロース(日本製紙ケミカル(株)製「サンローズ」)、メチルセルロース(信越化学工業(株)製「メトローズ」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(松本油脂製薬(株)製「マーポローズ」)、カチオン化セルロース(花王(株)「ポイズ60H」、ダウケミカル製「JR30M」、「LR400」)、また、ヒドロキシエチルセルロースをアルキル基、ポリオキシエチレンアルキル基及びグリシジルエーテル基で疎水化変性した誘導体が挙げられる。これらのうち疎水化変性ヒドロキシエチルセルロースがシリコーンの繊維への吸着促進の観点からより好ましい。
【0043】
澱粉の具体例としては、デキストリン(松谷化学工業(株)製「パインフローKH」)、デキストリン(松谷化学工業(株)製「パインデックス」)、カチオン化澱粉(松谷化学工業(株)製「ポジパリン」)が挙げられる。このうちデキストリンがより好ましく、吸油能の観点から、比容積が5〜10m2/gであるものがさらに好ましく、高温での安定性の観点から、このガラス転移温度が200℃以上であるものが特に好ましい。
【0044】
また、硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、リン酸塩を用いることもできる。更に、界面活性剤やビルダー成分を噴霧乾燥した粒子や複数の洗剤成分を混合造粒して得られる粒子などを任意成分として用いても良い。
【0045】
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の質量比は、〔(A)+(B)+(C)〕/(D)で5/1〜1/5、さらに5/1.5〜1/4、更に5/2〜1/3であることが、造粒適性の点で好ましい。
【0046】
本発明では、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を混合する際の温度は、40〜160℃、更に50〜120℃、更に55〜100℃が好ましい。
【0047】
本発明のシリコーン含有粒子は、上記成分以外に、色素(染料、顔料)、香料、ソイルリリース剤、再汚染防止剤、漂白剤、漂白活性化剤、抗菌剤、酵素等を含有することができる。
【0048】
最終的な本発明のシリコーン含有粒子における各成分の好ましい含有量は、(A)成分が15〜60質量%、更に20〜50質量%、(B)成分が1〜30質量%、更に5〜20質量%、(C)成分が1〜30質量%、更に5〜20質量%、(D)成分が15〜60質量%、更に20〜50質量%、(E)成分が15〜50質量%、更に20〜40質量%、(F)成分が0.05〜10質量%、更に0.1〜5質量%である。
【0049】
[シリコーン含有粒子の製造方法]
本発明のシリコーン含有粒子は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分5〜100質量部、(C)成分5〜100質量部及び、(D)成分を混合することで製造できる。その際、混合時の温度は、40〜160℃、更に50〜120℃、更に55〜100℃が好ましい。本発明では、更に、(A)、(B)、(F)成分の混合物に(D)成分を混合することが好ましく、(A)〜(D)成分を混合した混合物に、(E)成分を添加して適宜混合し、押し出し造粒により圧密化することで本発明のシリコーン含有粒子を製造することが更に好ましい。押し出し造粒して圧密化する製造方法を用いることで、輸送及び保存時の安定性が高まるという利点がある。
【0050】
押し出し造粒する場合、例えば、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、ナウターミキサー等の周知の混合機を用いて予め各成分を充分に前混合し、次いで、得られた混合物をペレッターダブル(不二パウダル(株)製)、ツインドームグラン(不二パウダル(株)製)等の周知の押出し機によって押し出し造粒して圧密化することで得ることができる。また、エクストルードオーミックス(ホソカワミクロン(株)製)のような混練押出装置も使用でき、この場合には前述の前混合が省略できる。
【0051】
押し出し造粒を経て得られるシリコーン含有粒子の短軸粒子径としては、好ましくは0.3〜2.5mm、より好ましくは0.5〜2.0mm、更に好ましくは0.7〜1.0mm程度であり、円筒形もしくはヌードル状造粒物等の形状にて押出すことができる。
【0052】
前記のようにして得られるシリコーン含有粒子は、既知の方法及び装置で粉砕又は整粒を行なってもよい。粉砕又は整粒する際に使用される機器は、特に限定されず、公知の粉砕機(あるいは破砕機)を用いることができる。例えば、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、マルメライザー、フィッツミル((株)ダルトン製)、パワーミル(パウレック(株)製)、コーミル(Quadro社製)等が挙げられるが、保存安定性に影響する微粉発生量と生産性の観点から、ナイフカッターによるパワーミルやインペラー及びスクリーンに粒子を押し付けて粉砕するコーミルといった粉砕機を用いるのが好ましい。
【0053】
パワーミルとしては、例えば特開平5−96195号公報等に開示されている装置が挙げられる。この装置は、カッター羽根と円筒形のスクリーンを持つ機器であり、パワーミル入口に投入された粒子はパワーミル内を自由落下し、この自然落下中にカッター羽根に配設された粉砕刃により粉砕及び整粒される。
【0054】
コーミルとしては、例えば、米国特許第4759507号明細書に開示されている装置が挙げられる。この装置は、インペラーとスクリーンを持つ機器であり、コーミル入口に投入された粒子は回転するインペラーによっておこされた遠心力でスクリーンに押し付けられる。小さな粒子は、瞬時にまた円錐型のために生じた渦巻流に乗って上昇した粒子はインペラーで粉砕及び整粒される。
【0055】
粉砕の程度は、得られたシリコーン含有粒子について、例えば、特開2003−130785号公報に記載されている様な画像解析法等によって、その長軸粒子径及び短軸粒子径を評価しつつ決定する。粉砕条件が決定すれば、同一の押出造粒物については、再現よく所望の形状のシリコーン含有粒子を製造することができる。
【0056】
[粉末洗剤組成物]
本発明のシリコーン含有粒子は、繊維製品の処理を目的とした種々の製品に適用できる。中でも粉末洗剤組成物に好適に配合される。粉末洗剤組成物は、本発明のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%、更に0.5〜10質量%、1〜5質量%含有することが好ましい。本発明のシリコーン含有粒子以外の成分は、繊維製品用の粉末洗剤組成物の成分として公知のものが使用できる。
【実施例】
【0057】
〔1〕シリコーン混合物の調製
(A)成分としてジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製、「KF96−3万cs」、HLB1.1、粘度(25℃)29200mPa・s)、(B)成分として非イオン界面活性剤(花王(株)製、「エマルゲン106」、流動点8℃)を用いた。(F)成分のポリエーテル変性シリコーンとしては下記のもの(東レダウコーニング社製)を用いた。
・ポリエーテル変性シリコーン:「SH−8700」(粘度(25℃)1440mPa・s、HLB7.8、一般式(F−1)中のa/b=1.04)
【0058】
〔2〕シリコーン含有粒子の調製及び評価
(2−1)シリコーン含有粒子の調製
表1の割合にて、シリコーン混合物、デキストリン〔「パインフローKH」、松谷化学(株)製〕、二酸化ケイ素〔「トクシールNR」、(株)トクヤマ製〕、ケイ酸カルシウム〔「フローライトR」、(株)トクヤマ製〕、アルキル硫酸ナトリウム〔「エマール10P」(花王(株))製、流動点:過熱により分解するため測定不能〕、活性剤顆粒粉砕品〔特開2005-68413号公報の実施例5の粒子を粉砕したもの、流動点:過熱により分解するため測定不能〕、粉末セルロース〔東亜化成(株)製「ARBOCEL BE600−30」〕、硫酸ナトリウム〔「中性無水芒硝」、四国化成(株)製〕、疎水化ヒドロキシエチルセルロース〔国際公開公報WO00/73351号の本発明化合物8と同じ〕をナウターミキサー〔ホソカワミクロン(株)〕製)に仕込み、ジャケット温度を75℃にして混合して昇温した。次に、粉体の温度が60℃になった時点で予め溶融させたポリエチレングリコール〔「KPEG6000LA」花王(株)製〕を添加し、さらに混合してから混合物を抜き出した。次に得られた混合物を押出し造粒機〔「ペレッターダブルEDX−60型」、不二パウダル(株)製〕により孔径0.7mmのスクリーンを通して押出し、圧密化した。さらに押出し造粒物を冷却した後、整粒機(パワーミルで1回粉砕)で粉砕し、篩にかけて粒径が355μm以下の粒子を除くことでシリコーン含有粒子を得た。
【0059】
(2−2)シリコーン含有粒子からのシリコーン溶出性の測定法
(2−2−1)初期の溶出率
1Lビーカーに20℃の蒸留水1Lと撹拌子を入れ、スターラーにて撹拌しながら、製造直後のシリコーン含有粒子約0.1gを投入し7分間後、すぐに濾紙(グレード:5C、ADVANTEC製)を用い、減圧濾過した。濾紙が乾燥した後、濾紙をクロロホルムに浸し10分間超音波をかけてシリコーンをクロロホルムに溶出させた。濾紙を取り出した後、クロロホルムを除去し、重クロロホルムを加えNMR測定を行い、シリコーン量を測定した。下記の式にてシリコーン溶出率を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン溶出率(%)=〔1−C/(A×B/100)〕×100
A:投入したシリコーン含有粒子の質量(g)
B:試験に供したシリコーン含有粒子中に含まれるシリコーンの割合(%)
C:NMR測定により算出した濾紙に残留したシリコーン質量(g)
【0060】
(2−2−2)保存後の溶出率
容量100mlのスクリュー管にシリコーン含有粒子約40gを入れ、密封状態にて40℃の電気乾燥器中で60日間保存した。保存後のシリコーン含有粒子のシリコーン溶出率を上記と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
なお、実施例1〜4のシリコーン含有粒子を、特許第3123757号の実施例3記載の粉末洗剤組成物に4質量%加え、全自動洗濯機(松下電器産業(株)製、NA−F60E)の標準コースにて洗濯を行ったところ、シリコーン含有粒子を添加しない場合に比べ、良好な仕上がり性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)HLBが6以下のジメチルポリシロキサン及びその誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)流動点が40℃未満の非イオン界面活性剤5〜100質量部及び、(C)(B)成分以外の界面活性剤5〜100質量部と、(D)吸油性担体とを含有してなるシリコーン含有粒子。
【請求項2】
更に、(E)バインダーを含有する請求項1記載のシリコーン含有粒子。
【請求項3】
更に、(F)HLBが6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーンを含有する請求項1又は2項記載のシリコーン含有粒子。
【請求項4】
(A)成分の粘度(25℃)が2000mPa・s以上である請求項1〜3の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【請求項5】
(A)成分の配合量が15〜60質量%である請求項1〜4の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【請求項6】
(F)成分が、下記一般式(F−1)で表される化合物である請求項1〜5の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【化1】


〔式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、R’は水酸基または炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基、n/(m+n)は0.04以上、a/bは0.7〜1.3である。〕
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%含有する粉末洗剤組成物。
【請求項8】
(A)HLBが6以下のジメチルポリシロキサン及びその誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)流動点が40℃未満の非イオン界面活性剤5〜100質量部及び、(C)(B)成分以外の界面活性剤を含有する粒子5〜100質量部(当該界面活性剤の量として)と、(D)吸油性担体の混合物に、(E)バインダーを添加し押し出し造粒する、シリコーン含有粒子の製造方法。

【公開番号】特開2008−280473(P2008−280473A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127698(P2007−127698)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】