説明

シリルエステル、これらを結合剤系および塗料組成物で使用する方法およびそれらを製造する方法

オルガノシリルエステルを塗料配合の結合剤系用のアルカリ加水分解もしくは侵食推進剤として用いることを記述する。そのような推進剤を塗料成分の1種以上が使用時に加水分解を起こすことが要求される塗料配合で用いる。本発明のオルガノシリルエステルもまた単独で膜を形成する。本オルガノシリルエステルはカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のエステルであり得る。本発明の結合剤系は塗料組成物、例えば自己浄化性防汚塗料などで使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオルガノシリルエステル(organosilyl esters)を結合剤系(binder systems)、例えば塗料組成物(paint compositions)で使用する方法に関し、より詳細には、オルガノシリルエステルを結合剤系、例えば自己浄化性(self−polishing)塗料、例えば防汚塗料などの結合剤系に入れる加水分解推進剤(hydrolysis booster)として用いる方法に関する。加うるに、本発明は、高沸点のモノ酸とオルガノシリルエステル(このエステルの酸の沸点の方が前記高沸点モノ酸の沸点より低く、高および低に対する言及はそれに従って理解されるべきである)を反応させることで高沸点の酸のオルガノシリルエステルを合成することにも関する。
【0002】
加水分解性樹脂状結合剤は、そのような樹脂状結合剤のマトリックスの中に入っている活性剤がゆっくり放出されることが要求される数多くの商業的用途で重要である。使用時に加水分解が起こることで前記活性剤がその取り巻く環境の中に放出されるが、これは、医薬および塗料、例えば防汚塗料および抗落書き性塗料などの如き多様な用途を包含する数多くの分野で適用される。加水分解速度の制御が非常に重要である、と言うのは、それによって活性剤の放出速度が制御されるからである。例えば、防汚塗料では、いろいろな海洋有機体、例えば貝殻、海草および水生細菌などを除去する目的で用いられる殺フジツボ剤などのいずれかが示す放出もしくは滲出速度は加水分解速度の影響を直接受ける。そのような海洋有機体が船底の如き水面下構造物に付着して増殖すると、船全体の表面の粗さが増すことで船の速度の低下または燃料消費量の増加が誘発される可能性が高くなる。その上、そのような水生有機体を船底から除去するには多大な労力と長い作業時間を要する。加うるに、そのような有機体が水面下構造物、例えば鋼製構造物などに付着して増殖すると、それらは防食塗膜を劣化させ、その結果として、前記水面下構造物の寿命が短くなってしまう。
【0003】
従って、いろいろな加水分解性基を含有する重合体が用いられている防汚塗料で水面下構造物を被覆することが行われている。そのような樹脂状結合剤の性質もまた重要である、と言うのは、その塗膜が腐食を起こすと船体の摩擦が増大する可能性があるからである。従って、また、そのような加水分解性樹脂結合剤に自己浄化特性を持たせることも重要である。
【0004】
上述した問題は、樹脂状結合剤は一般に個々の用途で使用時の加水分解速度が適切になるように選択されかつまた防汚塗料の場合には自己浄化特性が適切になるように選択されることを説明している。
【0005】
重要な種類の加水分解性樹脂状結合剤はオルガノシリル化合物である。オルガノシリル結合剤が防汚塗料で用いられることは一般的である。そのようなオルガノシリル化合物の例が数多くの出版物に記述されており、例えば特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20および21に記述されており、それらのシリルエステルは引用することによって本明細書に組み入れられる。
【0006】
上述したように、そのようなエステルが示す加水分解速度を制御することは、防汚塗料にとってばかりでなくオルガノシリルエステル結合剤系が混合されている如何なる組成物にとっても非常に有利であろう。
【0007】
塗料組成物で用いられるオルガノシリルエステルは、一般に、オルガノシリルエステル単量体から重合させたオルガノシリルエステルアクリレートである。そのような化合物は膜を形成する傾向がありかつ使用時に加水分解を受けて活性剤を放出する能力を有する。
【0008】
防汚塗料ではまたカルボン酸、例えばロジンなども用いられる。ロジンもまた海水に若干可溶(pH=8.1の時に8.6x10-5モル/L)であり、ロジンおよびこれの同様に可溶な塩が入っている防汚塗料が長年に渡って存在している。
【0009】
ロジンを塗料で用いた時の問題もまた知られている。ウッドロジンと銅もしくは亜鉛ピリチオンの組み合わせが基になった塗料は数日以内に濃密になるか或は受け入れられないほどゲル化することが分かっている。所望のゲル化抑制を与える目的でアミン化合物またはエステル化ウッドロジンを含有させた塗料が特許文献22に開示されている。
【0010】
ロジンを膜形成結合剤(film forming binder)と組み合わせることが基になった系が特許文献23、24および25に開示されている。しかしながら、前記特許文献に従って生じさせた塗膜は今日では「削摩的(ablative)」として分類分けされると言った技術的問題に苦しんでいる、と言うのは、その腐食は真の化学的加水分解が基になっていなくて、むしろ、溶解と滲出の組み合わせに続いて起こる摩擦による摩耗力によって表面層が弱くなる複雑な過程が基になっているからである。
【0011】
公開されていない同時係属中の出願である特許文献26の中でロジンのシリルエステル(別法として、シリル化樹脂酸エステルまたはアビエチン酸シリルとも呼ぶ)を用いることによってロジンもしくはロジンの金属塩が基になった塗料、特に防汚塗料が示す「削摩的」影響を大きく克服することができることを本発明者らが驚くべきことに見いだしたことを考察している。
【0012】
このように、特許文献26は、結合剤系の中にロジンのシリルエステルを含んで成る塗料組成物そしてロジンのシリルエステルを自己浄化性防汚塗料に入れる結合剤系の結合剤成分として用いることを提供するものである。
【0013】
本発明者らは、ここに、いろいろな酸のシリルエステルの製造を便利な合成で有利に実施できることを見いだした。
【0014】
カルボン酸基と置換シリル基の反応は本技術分野で良く知られており、例えば非特許文献1および2(これらの内容はカルボン酸基のシリル化に関する範囲内で引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0015】
シリルエステルを飽和酸から合成することは記述されている。例えば、脂肪族カルボン酸のトリアルキルシリルカルボン酸エステルはエステル交換で入手可能である。トリエチルシリルアセテートとハロゲン置換プロピオン酸の反応が非特許文献3に記述されており、そしてトリフルオロシリルアセテートもしくはプロピオネートとクロロ酢酸の反応が非特許文献4に記述されているが、それらでは、酢酸またはプロピオン酸を減圧下で留出させている。
【0016】
同様な反応が非特許文献5でも行われたが、温度はずっと高かった(190−210℃)。
【0017】
トリアルキルシリルアセテートとC6からC30カルボン酸(例えばパルミチン酸、ミリスチン酸、安息香酸など)の反応が特許文献27に開示されているが、そこでは、酢酸を減圧下またはヘキサンと一緒に共沸で留出させている。
【0018】
アシルオキシシランとカルボン酸の間のアシルオキシ交換反応の速度論が非特許文献6で研究された。より強い攻撃する酸および塩基性がより高い脱離アシルオキシ基を用いると反応速度がより速く進行することが確認された。
【0019】
オルガノシリル化カルボキシレート単量体の製造方法が特許文献28に開示されており、その方法は、アシルオキシシランと不飽和カルボン酸を反応させる段階を包含する。
【特許文献1】EP 0297505
【特許文献2】JP 10245451
【特許文献3】WO 8402915
【特許文献4】JP 63125780 A
【特許文献5】EP 131626
【特許文献6】米国特許第4593055号
【特許文献7】米国特許第4594365号
【特許文献8】JP 63118381 A
【特許文献9】EP 0775733
【特許文献10】WO 9638508
【特許文献11】JP 11116257 A
【特許文献12】EP 802243
【特許文献13】EP 0714957
【特許文献14】JP 07018216 A
【特許文献15】JP 01132668 A
【特許文献16】JP 05077712 A
【特許文献17】JP 01146969 A
【特許文献18】WO 01/62811
【特許文献19】WO 01/62858
【特許文献20】WO 03/018651
【特許文献21】米国特許第4957989号
【特許文献22】米国特許第5,112,397号(Olin Corp.)
【特許文献23】EP 289481(Sigma Coatings)
【特許文献24】EP 526441(Sigma Coatings)
【特許文献25】WO 9744401(Hempel’s)
【特許文献26】PCT/EP02/11957
【特許文献27】JP 95070152 A
【特許文献28】WO 03/027124(Sigma)
【非特許文献1】J.D.Nicholson、The Analyst.、103巻、n゜1224、293−222頁(1978年3月)
【非特許文献2】M.Lalonde、T.H.Chan、Synthsis、817−845頁(1985年9月)
【非特許文献3】H.H.Anderson他、J.Org.Chem 1716(1953)
【非特許文献4】J.Org.Chem.1296(1954)
【非特許文献5】ロシアの化学者[Izv.Akad.Nauk.Ussr.Ser.Khim.968(1957)]
【非特許文献6】S.Kozuka他、Bull.Chem.Soc.Jap.52(7)1950(1979)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、ここに、また驚くべきことに、酸のオルガノシリルエステル、例えばシリル化樹脂酸エステルまたはアビエチン酸シリルなどを用いると塗料の結合剤系が示す加水分解または侵食を受ける傾向を驚くべきほど向上させることができることも見いだした。加うるに、本発明者は、それはまたロジン以外のシリル化ポリカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸またはシリル化モノカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸にも当てはまることも注目した。
【0021】
本発明の1番目の面に従い、オルガノシリルエステルを塗料配合物の結合剤系用のアルカリ加水分解もしくは侵食推進剤(erodability booster)として用いることを提供する。
【0022】
疑惑を回避する目的で、用語「オルガノシリルエステル」にはカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルが含まれると解釈されるべきである。
【0023】
本発明は、特に、使用時に塗料に含まれる成分の1種以上が加水分解を起こすことが要求される塗料配合物にとって有利である。例えば、防汚塗料では結合剤成分がアルカリ条件下で加水分解を起こすことが要求される。驚くべきことに、本発明のオルガノシリルエステル、好適には飽和酸のオルガノシリルエステルを塗料、例えば防汚塗料などの結合剤系に添加すると前記結合剤系に入っている結合剤または共結合剤(co−binders)が起こす加水分解の速度が速くなることを見いだした。
【0024】
所定配合に使用可能なオルガノシリルエステルは2種以上であり得る、即ちそのようなシリルエステルの混合物を推進剤として用いることができると考えている。そのようなシリルエステルのカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸部分は飽和もしくは不飽和であってもよいが、好適には、アルファ炭素の所がビニル型ではなく、より好適には、アルファ炭素の所が飽和である。それ以外、カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸の種類には制限がない。好適には、モノカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルを用いる。そのような結合剤が示す膜形成特性の向上に役立てる目的で前記結合剤に多官能酸を含有させることも可能である。この目的で用いるに適した多官能酸の例はDymerex(商標)である。
【0025】
好適には、膜を形成する結合剤を用いる。好適には、本発明のオルガノシリルエステルもまた単独で膜を形成する。そのようなオルガノシリルエステルはカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のエステル、好適にはカルボン酸、例えばロジンなどのエステルであってもよい。
【0026】
従って、本発明のさらなる面は、非ビニル型(non−vinylic)アルファ炭素を有する酸のオルガノシリルエステルを膜もしくは樹脂状結合剤の成分として含んで成る膜もしくは樹脂状結合剤に向けたものである。好適には、前記オルガノシリルエステルは非重合性である。
【0027】
本発明の2番目の面に従い、カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸(この酸は非ビニル型アルファ炭素を有しかつロジン以外のものである)のオルガノシリルエステルを結合剤系の結合剤成分として含んで成る塗料組成物を提供する。
【0028】
本発明の3番目の面に従い、カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸(この酸は非ビニル型アルファ炭素を有しかつロジン以外のものである)のオルガノシリルエステルを結合剤成分として含んで成る結合剤系を含んで成る塗料組成物を提供する。
【0029】
本発明の結合剤系は塗料組成物、例えば自己浄化性防汚塗料などで使用可能である。
【0030】
疑惑を回避する目的で、カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のシリルエステルの混合物を用いることができかつ混合物の場合にはまたロジンのオルガノシリルエステルをロジン以外のオルガノシリルエステルと一緒に前記混合物に混合してもよいことを注目すべきである。
【0031】
従って、本発明は、酸のオルガノシリルエステルを結合剤系の中に含んで成る塗料組成物を提供する。その上、本発明は、自己浄化性防汚塗料の中の結合剤系の結合剤成分として酸のオルガノシリルエステルを用いることも提供する。
【0032】
本明細書の目的で、用語「結合剤系」は、本質的に酸のシリルエステルおよび場合により本分野の技術者に良く知られている他の結合剤成分で構成されている組成物を意味する。
【0033】
本発明は、また、防汚塗料を製造する方法も提供し、この方法は、この方法の1つの段階が酸のオルガノシリルエステルを結合剤系の結合剤成分として添加する段階であることを特徴とする。
【0034】
しかしながら、本発明のシリルエステルは防汚塗料以外の組成物でも使用可能である。例えば、他の組成物、例えば「抗落書き性」塗料組成物などで自己浄化効果を利用することも可能である。
【0035】
前記カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のシリルエステルは、好適には、C3(例えばプロピオネート)に等しいか或はそれ以上、より好適には少なくともC4、最も好適には少なくともC5のカルボキシレート残基が基になっている。
【0036】
前記オルガノシリルエステルは、一般式(I):
【0037】
【化1】

【0038】
[式中、
Zは、
【0039】
【化2】

【0040】
を表し、
各R4およびR5は、ヒドロキシルであってもよいか、或は独立して、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシル、−L’−SiR123、−L’−(SiR45L’)n−SiR123、−L’−SiR12−、−L’−(SiR45L’)n−SiR12−、アルケニル、アルキニル、アラルキルまたはアラルキルオキシル基から選択されてもよく、ここで、これらは場合によりアルキル、アルコキシル、アラルキル、アラルキルオキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシル、ハロゲン、アミノ(好適には第三級アミノ)またはアミノアルキル基を包含する群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或はR4またはR5は、独立して、−O−Z−R8基であってもよく、ここで、R8は以下に示すR7と同様に定義され、
各R1、R2およびR3は、独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルまたはアラルキルオキシル基を表してもよく、ここで、これらは場合によりアルキル、アルコキシル、アラルキル、アラルキルオキシル、アリール、アリールオキシル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ(好適には第三級アミノ)またはアミノアルキル基を包含する群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或はR1、R2またはR3は、独立して、−O−Z−R8基であってもよく、
L’は、O、SまたはNR6(ここで、R6は以下に示すR9と同様に定義される)を表し、
各nは、独立して、0から1000の−Si(R4)(R5)−L’−基数を表し、
7は、アラルキル、アリール、アルケニル、アルキニルまたはC2以上のアルキル基であり、ここで、これらは場合により置換されていてもよく、ヒドロカルビル基の場合には、この上でR1、R2、R3、R4およびR5に関して定義した置換基と同等な置換基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいが、但しR7がアルケニルまたはアルキニルの場合にはこれがビニル型アルファ炭素を含まないことを条件とする]
で描写可能である。
【0041】
7の大きさは、これが置換されているか或は置換されていないかに拘わらず、好適にはC60以下、より好適にはC40以下であってもよい。R7がR1、R2、R3、R4およびR5から選択される1個以上の置換基を持つ場合、好適には、それらは適切な重合条件下で重合を起こし得るビニル型不飽和を含有しない、好適にはそれらは如何なるビニル型不飽和も全く含有しない。好適には、R7はアラルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキニルまたはC2以上のアルキル基であり、ここで、これらは場合により上述した如く置換されていてもよく、より好適には、R7はアラルキル、アリールまたはC2以上のアルキル基であり、ここで、これらは場合により上述した如く置換されていてもよい。
【0042】
請求するシリルエステルの合成に関して、本発明者は、驚くべきことに、モノ−もしくはポリアシルオキシシランを脱離アシルオキシ基より揮発性が低い飽和カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸と反応させると防汚塗料の結合剤系で用いるのが最も容易なオルガノシリル化カルボキシレート化合物を合成することができることを見いだした。この示す実用的な合成方法は通常の方法に比べてもたらされる生成物の収率がより高く(>>90%)、触媒を必要とせず、副反応の確率および最終生成物に入っている不純物の量がより低くかつ蒸留後に如何なる処理も必要としないと言ったいくつかの利点を有する。
【0043】
従って、式(I)で表されるオルガノシリルエステルの合成は、便利に、式(II)
【0044】
【化3】

【0045】
[式中、ZおよびR7は、この上に記述した通りである]
で表される高沸点の酸と式(III)
【0046】
【化4】

【0047】
[式中、
1、R2、R3、R4、R5、L’およびnは、この上で定義した通りであるが、但し式I中のR1、R2、R3、R4またはR5が−O−Z−R8基の場合にはそれらは式III中では−O−Z−R10基に置き換わっていてもよく、
9は、この上に示したR7と同様に定義されるが、但しR9はまた水素またはC1アルキルであってもよく、かつR9を伴って前記エステルから生じる酸(R9ZOH)が沸騰する温度の方が式(II)の酸R7ZOHが沸騰する温度より低いことを条件とし、
10は、この上に示したR7と同様に定義されるが、但しR10はまた水素またはC1アルキルであってもよく、かつR10を伴って前記エステルから生じる酸(R10ZOH)が沸騰する温度の方が式(II)の酸R7ZOHが沸騰する温度より低いことを条件とする]
で表される低沸点の酸のシリルエステルを反応させながら生じた式(IV)および/または(V)
9ZOH (IV)
10ZOH (V)
で表される酸基をその系から除去することで前記式(I)の少なくとも1種の保護された酸基を生じさせることで実施可能である。
【0048】
本質的に、式Iに従うアシル化シリルエステルを生じさせる時、1個もしくは数個のケイ素原子と結合しているアシルオキシ基を2個以上存在させるのが好適である。その上、末端ケイ素原子が有するアシルオキシ基の最大数は3でありそして末端に位置しないケイ素原子が有するアシルオキシ基の最大数は2であり、それらが高沸点の酸で置換されるようにしてもよい。
【0049】
式(III)中のR1、R2、R3、R4およびR5がアルコキシル、アリールオキシル、アルカリールオキシルまたはヒドロキシルである場合、好適には、それらは式(I)中の−O−Z−R7−を表し得る。
【0050】
好適には、R4およびR5は、各々独立して、アルキル、アルコキシル、アリールもしくはヒドロキシル基、または−L’−(SiR45L’)n−SiR123基(ここで、L’、R1、R2、R3、R4およびR5は、この上で定義した通りであり、そして好適には、n=0−100、より好適にはn=0−10、最も好適にはn=0であるが、また、可能ならば1、2、3、4または5、好適には1であってもよい)を表す。
【0051】
より好適には、式(II)中のR4およびR5を、各々独立して、アルキル基、ヒドロキシル基もしくはアルコキシル基、または−L’−(SiR45L’)n−SiR123基(ここで、L’、R1、R2、R3、R4およびR5は、この上で定義した通りである)を含んで成る群から選択する。最も好適には、R1、R2、R3、R4およびR5は、各々独立してアルキル基を表す。前記アルキル基は分枝もしくは直鎖であってもよい。
【0052】
好適には、L’はOを表す。
【0053】
好適には、ZはCOを表す。
【0054】
好適には、基R1とR2とR3は同じである。等しく好適には、基R4とR5は同じである。
【0055】
4またはR5を−L’−(SiR45L’)n−SiR123として選択した時には、好適には、その選択した基の中のケイ素基と結合しているR4およびR5基自身は−L’−(SiR45L’)n−SiR123ではない。
【0056】
好適には、R1、R2、R3、R4、R5、R9およびR10は、各々独立して、水素原子、アルキルまたはアリール基を表す。
【0057】
より好適には、R1、R2、R3、R4、R5、R7、R9およびR10は、各々独立して、アルキル基を表す。
【0058】
本発明の1つの態様に従い、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9およびR10を、各々独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルを包含する群から選択する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9およびR10がアルキル基の時には、好適には、それらはメチルである。
【0059】
1、R2およびR3がアルキル基の時には、好適には、それらを独立してC1からC8のアルキル基、好適にはC1からC4、より好適にはメチル、エチル、イソプロピルおよびn−ブチルから成る群から選択する。前記アルキル基は分枝もしくは直鎖であってもよい。
【0060】
本明細書で用いる如きnは、各々独立して、好適には0から500、より好適には1から100、最も好適には4から50を表す。nに特に好適な値を0、1、2、3、4または5から選択する。
【0061】
本明細書で用いる如き用語「独立して選択」または「独立して表す」は、そのように記述した基または各基Rまたは他のパラメーターが同一もしくは異なってもよいことを示す。例えば、式(III)で表される化合物における各R4はnの各値毎に異なってもよい。
【0062】
本明細書で用いる如き用語「アルキル」は、炭素原子を1から50個、好適には炭素原子を1から40個、より好適には炭素原子を1から30個、場合により炭素原子を1から20個、1から10個、1から8個、1から6個または炭素原子を1から4個含有していて直鎖、分枝、多環状もしくは環状部分またはこれらの組み合わせを有する飽和炭化水素基に関する。C2以上のアルキルの言及はそれに相応して解釈されるべきである、即ちそれの炭素原子数は2から50などである。そのような基の例は、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、3−メチルペンチル、オクチル、完全水添アビエチル[Foral(商標)]などから選択可能である。
【0063】
本明細書で用いる如き用語「アルケニル」は、炭素原子を2から50個、好適には炭素原子を2から40個、より好適には炭素原子を2から30個、場合により炭素原子を2から18個、炭素原子を2から10個、炭素原子を2−6個または炭素原子を2から4個含有しかつ直鎖、分枝、多環状もしくは環状部分またはこれらの組み合わせを有していて二重結合を1から数個有する炭化水素基に関する。アルケニル基の例にはビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、イソプレニル、ファルネシル、ゲラニル、ゲラニルゲラニル、アビエチル、デヒドロアビエチル、ジヒドロアビエチル、アントラセニル、アビエチル二量体[Dymerex(商標)]などが含まれる。シクロアルケニル基の例は上述した如き環状基から選択可能である。
【0064】
本明細書で用いる如き用語「アルキニル」は、炭素原子を2から50個、好適には炭素原子を2から40個、より好適には炭素原子を2から30個、場合により炭素原子を2から18個、炭素原子を2から10個、炭素原子を2から8個、炭素原子を2から6個または炭素原子を2から4個含有しかつ直鎖、分枝、多環状もしくは環状部分またはこれらの組み合わせを有していて三重結合を1から数個有する炭化水素基に関する。アルキニル基の例にはエチニル、プロピニル、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが含まれる。
【0065】
本明細書で用いる如き用語「アリール」は、芳香族炭化水素から水素が1個取り除かれることで生じた有機基に関し、それらには、各環中の員数が7以下の一環状、二環状または多環状炭素環のいずれも含まれるが、少なくとも1個の環は芳香環である。前記基は場合によりアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ヒドロキシルまたはアミノ基から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。アリールの例にはフェニル、p−トリル、4−メトキシフェニル、4−(t−ブトキシ)フェニル、3−メチル−4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3−ニトロフェニル、3−アミノフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−アセトアミドフェニル、2−メチル−3−アセトアミドフェニル、2−メチル−3−アミノフェニル、3−メチル−4−アミノフェニル、2−アミノ−3−メチルフェニル、2,4−ジメチル−3−アミノフェニル、4−ヒドロキシフェニル、3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、1−ナフチル、ナフテニル、2−ナフチル、3−アミノ−1−ナフチル、2−メチル−3−アミノ−1−ナフチル、6−アミノ−2−ナフチル、4,6−ジメトキシ−2−ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、デヒドロアビエチルまたはアセナフチルなどが含まれる。
【0066】
本明細書で用いる如き用語「アラルキル」は、式アルキル−アリール(式中、アルキルおよびアリールは、この上で定義した意味と同じ意味を有する)で表される基に関する。アラルキル基の例にはベンジル、フェネチル、ジベンジルメチル、メチルフェニルメチル、3−(2−ナフチル)−ブチルなどが含まれる。
【0067】
式(IV)のカルボキシル基部分の例には、これらに限定するものでないが、ホルミル、アセチル、プロピオニルおよびブチリルが含まれ得る。
【0068】
式R7ZOHのカルボキシル基部分の例には、これらに限定するものでないが、独立して、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、オキサロイル(oxaloyl)、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、ベンゾイル、フタロイル、イソブチロイル、s−ブチロイル、オクタノイル、イソオクタノイル、ノナノイル、イソノナノイル、アビエチル、デヒドロアビエチル、ジヒドロアビエチル、ナフテニル、アントラセニル、アビエチル二量体[Dymerex(商標)]、完全水添ジヒドロアビエチル[Foral(商標)]などおよびこれらの重合体もしくは共重合体が含まれ得る。R7ZOHは好適には非重合性である、即ちそれは重合し得るビニル型基を含まない。
【0069】
一般式(III)で表されるオルガノシリル化カルボキシレート化合物の例には、これらに限定するものでないが、トリメチルシリルホルメート、ジメチルシリルジホルメート、メチルシリルトリホルメート、トリ−n−ブチル 1−アセトキシ−シラン、ジ−n−ブチル 1,1−ジアセトキシ−シラン、n−ブチル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリ−n−プロピル−1−アセトキシシラン、ジ−n−プロピル 1,1−ジアセトキシ−シラン、n−プロピル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリ−t−ブチル−1−アセトキシ−シラン、トリ−イソプロピル−1−アセトキシ−シラン、トリ−イソブチル−1−アセトキシ−シラン、トリ−メチル−1−アセトキシ−シラン、ジ−メチル 1,1−ジアセトキシ−シラン、メチル 1,1,1−トリアセトキシシラン、トリエチル−1−アセトキシ−シラン、ジエチル−1,1−ジアセトキシ−シラン、エチル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、ビニル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリベンジル−1−アセトキシ−シラン、トリアミル−1−アセトキシ−シラン、トリフェニル−1−アセトキシ−シラン、トリメチルシリルプロピオネート、t−ブチルジメチルシリルアセテート、ペンタメチル−1−アセトキシ−ジシロキサン、ヘプタメチル−1−アセトキシ−トリシロキサン、ノナメチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナエチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−t−ブチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナベンジル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−イソプロピル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−n−プロピル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−イソブチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−アミル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−n−ブチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−ドデシル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−ヘキシル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−フェニル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−オクチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ウンデカメチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカエチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−t−ブチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカベンジル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−イソプロピル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−n−プロピル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−イソブチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−アミル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−n−ブチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−ドデシル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−ヘキシル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−フェニル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−オクチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、トリデカメチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカエチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−t−ブチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカベンジル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−イソプロピル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−n−プロピル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−イソブチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−アミル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−n−ブチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−ドデシル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−ヘキシル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−フェニル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−オクチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサンが含まれる。
【0070】
式IIIのカルボキシル部分の典型的な例はホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルである。好適には、アセチルを用いる。
【0071】
7、R8、R9およびR10は、独立して、部分もしくは完全ハロゲン置換アルキル、アラルキルもしくはアリール基であってもよい。
【0072】
例えば、前記アシルオキシシランは、この上で定義した如き部分もしくは完全ハロゲン置換カルボキシレート化合物であってもよい。そのようなハロゲン置換カルボキシレートは典型的にフッ素置換または塩素置換である。
【0073】
そのような化合物の例にはトリメチルシリルトリフルオロアセテートおよびトリメチルシリルトリクロロアセテートが含まれる。
【0074】
シリル化剤の具体例には、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランおよびトリメチルシリルアセテートが含まれる。
【0075】
本発明の方法を用いるとオルガノシリル化カルボキシレート化合物を製造することができるが、そのような化合物には、オルガノシリル化樹脂および非樹脂酸エステルが含まれる。
【0076】
1つの好適な態様に従い、本発明の方法で得たオルガノシリルエステルが有するジヒドロカルビルシロキサン単位の数(n)は0に等しい。
【0077】
別の好適な態様に従い、本発明の方法で得たオルガノシリルエステルが有するジヒドロカルビルシロキサン単位の数(n)は1から200、好適には1から19、より好適には1から4である。
【0078】
この反応の進行は適切な分析方法のいずれかに加えて留出する酸の量を測定することで監視可能である。
【0079】
本発明の1つの利点は、本方法で用いる反応体の取り扱いが容易であり得る点にある。別の利点は手順が簡単で安全な点にある(塩の濾過も腐食性気体状物質を捕捉する必要もない)。その上、別の利点は、如何なる触媒も添加することなく反応を実施することができかつ減圧下で実施することができる点にある。さらなる利点は、生じたカルボン酸を除去、好適には蒸留、好ましくは共沸蒸留で除去することができる点にある。本発明の方法は時間が短く、処理手順が容易でありかつ収率が高いことから、この上に記述した現存方法に対する実質的な向上であると見なすことができる。
【0080】
本発明のシリルエステルを生じさせる目的でシリル化を受けさせることができる高沸点酸の例には、好適には、C3以上の酸、即ちプロピオン酸に等しいか或はそれ以上の脂肪酸同族体、例えばC4−C60酸、例えばイソステアリン酸など、環状脂肪酸、例えばナフテン酸など、およびC4−C60酸(芳香族または不飽和環状酸を包含)、例えば水添ロジン、例えばアビエチン酸およびそれらの誘導体などが含まれる。
【0081】
ロジンは大まかに用いられる用語であり、特定種の木に生じさせた表面切り傷から出るゴム抽出物を収穫する結果として得られる物を表す。ロジンは時には限定的に松から得られた製品であると定義されるが、本明細書で用いる如き一般的用語「ロジン」に包含される同様な製品には、コンゴコーパル、カウリコーパル、ダマルおよびマニラゴムが含まれる。ロジンを得るに適した他の方法には、森を伐採した後の松切り株から得たウッドロジンを溶解させる方法、またはクラフト紙製造工程の副生成物を精製してトール油ロジンを製造する方法が含まれる。
【0082】
ロジンおよびロジン誘導体のより広範な説明を特許文献25(これの内容はカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸基をシリル化で利用される分子1個当たり少なくとも1個有するロジンもしくはロジン誘導体の定義に関する範囲で引用することによって本明細書に組み入れられる)に見ることができる。
【0083】
シリル化を受けさせることができかつ本発明で推進剤として使用可能な商業的に重要なロジン誘導体を以下に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
好適には、松に由来するロジンを選択する。そのようなロジンの主成分(約80%)はアビエチン酸であり、それはまたシルビン酸(CAS RN.=514−10−03)とも呼ばれ、それをロジンの代わりに用いることも可能である。
【0086】
本発明におけるロジンのシリルエステルはまたロジン誘導体のシリルエステルであってもよい。
【0087】
本文脈では、用語「ロジン」にゴムロジン、B、C、D、E、F、FF、G、H、I、J、K、L、M、N、W−G、W−W等級(ASTM D509標準で定義される如き)のウッドロジン、バージンロジン、ハードロジン、イエローディップロジン、NFウッドロジン、トール油ロジン、またはコロフォニーもしくはコロフォニウムばかりでなく天然ロジンの性質を有する全ての単一成分、例えばアビエチン酸、アビエチニン酸、シルビン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、左旋性ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、パルストリン酸、デキストロ−ピマル酸、イソデキストロ−ピマル酸、デキストロ−ピマリナール、イソデキストロ−ピマリナール、キサントペロール、タタロール、ポドカルプ酸、フィロクラデン、スギオール、フェルギノール、ヒモキオール、マヌール、マノイルオキサイド、ケトマノイルオキサイド、カチビン酸、エペルアン酸、およびアビエチン酸のジテルペン骨格が基になった他のあらゆるロジン成分ばかりでなくそれらの任意混合物を包含させることを意図するが、それらはシリル化で利用される(必要ならば酸化を通して)カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸を少なくとも1個持つ。用語「ロジン」はこの上に挙げた化学種のいずれかそのままばかりでなくそのような化学種の任意混合物も示し得ると理解されるべきである。
【0088】
本文脈において、用語「ロジン誘導体」はカルボン酸基をシリル化で利用される分子1個当たり少なくとも1個脱離させるいろいろな化学的反応もしくは方法に従って変性または誘導化を受けさせたあらゆる種類のロジン(この上で定義した如き)を意味することを意図する。機械的特性の向上および/または自己浄化特性の制御に関して優れた塗料成分特性を有するロジン誘導体をもたらす方法は数多く存在すると予想する。
【0089】
例として下記を挙げることができる:
A. 不飽和酸(例えばアクリル酸、マレイン酸またはフマル酸)および二酸のモノエステルとロジンの付加体。
B. ロジン自身の付加体(二量化したロジン、オリゴマー化または重合したロジン)。
C. 水添もしくは部分水添ロジン。
D. 不均化ロジン。
【0090】
本発明のシリルエステルと組み合わせて使用可能な共結合剤は下記から選択可能である:
・ Ca、CuまたはZnの樹脂酸塩、
・ Ca、CuまたはZnのナフテン酸塩、
・ Laroflex MP(BASFから商業的に入手可能)の如きビニル、
・ Neocryl B725(Aveciaから商業的に入手可能)の如きアクリレート、
・ アクリル酸Cu/Zn/Ca、例えばEP 342276、EP 982324(Kansai)に記述されている如きアクリル酸Cu/Zn/Ca、またはポリエステル、例えばEP 1033392(Kansai)に記述されている如きポリエステル、
・ トリ−オルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体、例えばEP 131626(M&T)、米国特許第4593055号(M&T)、EP 775773(Chugoku)、EP 646630(NOF)、米国特許第5436284号(NOF)、WO 0162811およびWO 0162858(SIGMA COATINGS)に記述されている如きトリ−オルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体、親水性(メタ)アクリレート、例えばFR 2 557 585(Jotun)、EP 526441およびEP 289441(SIGMA COATINGS)に記述されている如き親水性(メタ)アクリレート。
【0091】
本発明のオルガノシリルエステルと一緒に共結合剤として用いた時に加水分解、好適にはアルカリ加水分解の速度を速める適切な結合剤はシリルアクリレート、例えばEP 131626、米国特許第4593055号、EP 775773、EP 646630、米国特許第5436284号、WO 0162811およびWO 0162858に記述されている如きトリ−オルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体などである。
【0092】
加うるに、本結合剤系ではポリ(シリルエステル)を本発明のオルガノシリルエステルと一緒に用いることも可能である。Wooley他は、様々なポリ(シリルエステル)の製造を様々な出版物の中で開示しており、そのような出版物には、Macromolecules (1995)28 8887、Macromolecules (1998)31 7606、J.Polym.Sci.、パートA:Polym.Chem.(1999)37 3606、Macromolecules (1998)31 15、J.Organomet.Chem.(1998)542 235、Macromolecules (2000)33 734、J.Organomet.Chem.(1998)542 235、Macromolecules (2000)33 734、Macromolecules (2001)34 3214およびそれらに引用されている文献、およびMacromolecules (1998)31 15が含まれる。それらに記述されているポリ(シリルエステル)は引用することによって本明細書に組み入れられる。
【0093】
そのようなトリオルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体を好適にはトリアルキルシリル(メタ)アクリレート共重合体、より好適にはトリC2−C6シリル(メタ)アクリレート(ここで、前記アルキルは、この上でR1、R2またはR3で定義したように置換されているか或は置換されていなくてもよい)から選択し、最も好適にはトリブチルもしくはトリイソプロピルシリル(メタ)アクリレートを用いる。
【0094】
アルカリ加水分解は、pHが7より大、より好適には9より大、最も好適には11より大の時の加水分解を意味する。
【0095】
本発明は、また、1種以上の防汚剤を成分として含有する防汚塗料も提供する。
【0096】
本発明にとって必須ではないが、本発明の塗料組成物に入れる成分として防汚剤を用いてもよく、それは通常通り公知の1種以上の防汚剤のいずれであってもよい。公知の防汚剤は大まかに無機化合物、金属含有有機化合物および金属を含有しない有機化合物に分類分けされる。
【0097】
無機化合物の例には、銅化合物(例えば硫酸銅、銅粉、チオシアン酸銅、炭酸銅、塩化銅および伝統的に好適な酸化銅)、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸ニッケル、および銅とニッケルの合金が含まれる。
【0098】
金属含有有機化合物の例には、有機銅化合物、有機ニッケル化合物および有機亜鉛化合物が含まれる。また、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン(maneb)、プロピネブ(propineb)なども使用可能である。有機銅化合物の例には、ノニルフェノール−スルホン酸銅、ビス(エチレンジアミン)ビス(ドデシルベンゼンスルホン酸)銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、銅ピリチオンおよび銅ビス(ペンタクロロフェノラート)が含まれる。有機ニッケル化合物の例には、酢酸ニッケルおよびジメチルジチオカルバミン酸ニッケルが含まれる。有機亜鉛化合物の例には、酢酸亜鉛、カルバミン酸亜鉛、ビス(ジメチルカルバモイル)亜鉛エチレン−ビス(ジチオカルバメート)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、亜鉛ピリチオンおよびエチレン−ビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛が含まれる。混合金属含有有機化合物の例として、亜鉛塩と一緒に錯体を形成している(ポリマー状)マンガンエチレンビスジチオカルバメート(mancozeb)を挙げることができる。
【0099】
金属を含有しない有機化合物の例には、N−トリハロメチルチオフタルイミド、トリハロメチルチオスルファミド、ジチオカルバミン酸、N−アリールマレイミド、3−(置換アミノ)−1,3 チアゾリジン−2,4−ジオン、ジチオシアノ化合物、トリアジン化合物、オキサチアジンなどが含まれる。
【0100】
N−トリハロメチルチオフタルイミドの例には、N−トリクロロメチルチオフタルイミドおよびN−フルオロジクロロメチルチオフタルイミドが含まれる。
【0101】
ジチオカルバミン酸の例には、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウムおよびエチレンビス(ジチオカルバミン酸)アンモニウムが含まれる。
【0102】
トリハロメチルチオスルファミドの例には、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミドおよびN−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−(4−メチルフェニル)スルファミドが含まれる。
【0103】
N−アリールマレイミドの例には、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−4 トリルマレイミド、N−3 クロロフェニルマレイミド、N−(4−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(アニリノフェニル)マレイミドおよびN−(2,3−キシリル)マレイミドが含まれる。
【0104】
3−(置換アミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの例には、2−(チオシアノメチルチオ)−ベンゾトリアゾール、3−ベンジリデンアミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(4−メチルベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(2−ヒドロキシベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(4−ジメチルアミノベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンおよび3−(2,4−ジクロロベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンが含まれる。
【0105】
ジチオシアノ化合物の例には、ジチオシアノメタン、ジチオシアノエタンおよび2,5−ジチオシアノチオフェンが含まれる。
【0106】
トリアジン化合物の例には、2−メチルチオ−4−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンが含まれる。
【0107】
オキサチアジンの例には、PCT特許WO 98/05719に開示されている如き1,4,2−オキサチアジンおよびそれらのモノ−およびジオキサイド、3位に(a)フェニル;ヒドロキシ、ハロ、C1−12アルキル、C5−6シクロアルキル、トリハロメチル、フェニル、C1−C5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、テトラヒドロピラニルオキシ、フェノキシ、C1−4アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、C1−4アルキルスルフィニル、カルボキシもしくはこれのアルカリ金属塩、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、トリルアミノカルボニル、モルホリノカルボニル、アミノ、ニトロ、シアノ、ジオキソラニルまたはC1−4アルキルオキシイミノメチルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されているフェニル;ナフチル;ピリジニル;チエニル;フラニル;またはC1−C4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロ、シアノ、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ニトロ、C1−C4アルコキシカルボニル、フェニル、フェニルアミノカルボニルおよびC1−4アルキルオキシイミノメチルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されているチエニルもしくはフラニル、または(b)一般式
【0108】
【化5】

【0109】
[式中、
Xは酸素または硫黄であり、Yは窒素、CHまたはC(C1−4アルコキシ)であり、そしてC6環はC1−4置換基を1個持っていてもよく、場合により5位もしくは6位にC1−4アルキルまたはベンジルから選択される2番目の置換基が存在していてもよい]
で表される置換基に相当する置換基を有する1,4,2−オキサチアジンのモノ−およびジ−オキサイドが含まれる。
【0110】
金属を含有しない有機化合物の他の例には、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチル−ジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N,N−ジメチル−N’−フェニル(N−フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、カルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルブチル、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、フェニル(ビスピリジン)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、ジヒドロアビエチルアミン、N−メチロールホルムアミドおよびピリジントリフェニルボランが含まれる。
【0111】
好適な態様に従い、WO−A−9505739に開示されているオキサチアジンを防汚剤として使用することは、塗料の自己浄化性を向上させることに関して追加的利点になる(EP−A−823462に開示)。
【0112】
汚染有機体の中でフジツボが最も厄介であることが確かめられている、と言うのは、それらは大部分の殺生物剤に耐性があるからである。従って、本塗料配合に好適には少なくとも1種の殺フジツボ剤、例えば酸化銅またはチオシアン酸銅などを少なくとも有効量で含有させるべきである。好適な殺フジツボ剤がヨーロッパ特許出願公開第831134号に開示されている。ヨーロッパ特許出願公開第831134号には、5位が置換されておりかつ場合により1位が置換されていてもよい少なくとも1種の2−トリハロゲノメチル−3−ハロゲノ−4−シアノピロール誘導体(2位および3位のハロゲンは独立してフッ素、塩素および臭素から成る群から選択され、5位の置換基はC1−8アルキル、C1−8モノハロゲノアルキル、C5−6シクロアルキル、C5−6モノハロゲノシクロアルキル、ベンジル、フェニル、モノ−およびジ−ハロゲノベンジル、モノ−およびジ−ハロゲノフェニル、モノ−およびジ−C1−4−アルキルベンジル、モノ−およびジ−C1−4−アルキルフェニル、モノハロゲノモノ−C1−4−アルキルベンジルおよびモノハロゲノモノ−C1−4−アルキルフェニルから成る群から選択されるが、5位に位置する置換基が有する如何なるハロゲンも塩素および臭素から成る群から選択され、1位に位置する任意の置換基はC1−4アルキルおよびC1−4アルコキシC1−4アルキルから選択される)を当該組成物の乾燥質量の総重量を基準にして0.5から9.9重量%用いることが開示されている。
【0113】
本発明では、そのような防汚剤から選択した1種以上の防汚剤を用いる。そのような防汚剤を本塗料組成物の固体内容物中のそれの比率が通常は0.1から90重量%、好適には0.1から80重量%、より好適には1から60重量%であるような量で用いる。防汚剤の量があまりにも少ないと防汚効果がもたらされない一方、防汚剤の量があまりにも多いと結果として塗膜が生じてしまい、これは、亀裂および剥離などの如き欠陥部を生じる傾向があり、従って防汚特性の点で効果が低くなる傾向がある。
【0114】
本塗料に更に顔料1種または2種以上(または充填剤)、溶媒1種または2種以上および添加剤1種または2種以上も含有させてもよい。
【0115】
本塗料組成物に「活性」顔料、即ち海水に難溶な顔料を1種以上含有させてもよい。そのような顔料が海水中で示す溶解度は当該顔料粒子が塗膜表面の所に残存しないような溶解度である。そのような顔料は全体として滑らかさ(比較的動く海水が塗膜に影響を与える)を誘発し、局所的な腐食を最小限にしかつ塗料を塗布している時に生じた不要な付着物を優先的に除去する効果を有する。難溶性顔料は自己浄化性防汚塗料で長年に渡って用いられている。典型的な例はチオシアン酸銅、酸化銅、酸化亜鉛、酢酸メタ−ヒ酸銅、クロム酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛およびジエチルジチオカルバミン酸亜鉛である。好適な難溶性顔料は酸化亜鉛、酸化銅およびチオシアン酸銅である。難溶性顔料の混合物を用いることも可能であり、例えば塗料の漸次的溶解を誘発するに最も有効である酸化亜鉛をより有効な海洋生物防除剤である酸化銅、チオシアン酸銅、ジメチルもしくはジエチルジチオカルバミン酸亜鉛またはエチレンビス−(ジチオカルバミン酸)亜鉛と混合してもよく、酸化亜鉛と酸化銅もしくはチオシアン酸銅の混合物が最も好適である。
【0116】
本塗料組成物に海水に極めて不溶な1種以上の顔料、例えば二酸化チタン、タルクまたは酸化鉄などを含有させることも可能である。そのような極めて不溶な顔料を本塗料の顔料成分全体の40重量パーセント以下の量で用いてもよい。極めて不溶な顔料は当該塗料の侵食を遅らせる効果を有する。
【0117】
本塗料組成物に本塗料に色を与える1種以上の顔料もしくは染料、例えば二酸化チタン、酸化銅または酸化鉄などを含有させてもよい。
【0118】
顔料と重合体の比率を好適には乾燥塗膜中の顔料容積濃度が少なくとも25パーセント、より好適には少なくとも35パーセントになるような比率にする。顔料濃度の上限が臨界顔料容積濃度である。例えば、顔料容積濃度が約50パーセントまでの塗料が海洋用途にとって非常に有効であることを確認した。
【0119】
有機溶媒の例には、芳香族炭化水素、例えばキシレンおよびトルエンなど、脂肪族炭化水素、例えばヘキサンおよびヘプタンなど、エステル、例えば酢酸エチルおよび酢酸ブチルなど、アミド、例えばN−メチルピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドなど、アルコール、例えばイソプロピルアルコールおよびブチルアルコールなど、エーテル、例えばジオキサン、THFおよびジエチルエーテルなど、そしてケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびメチルイソアミルケトンなどが含まれる。そのような溶媒は単独または組み合わせて使用可能である。
【0120】
所望の粘度を得ようとする時に溶媒を用いる。海洋用途では、粘度が船体への塗布に予測される作業温度において好適には5−50dPa.s、より好適には10−20dPa.s、最も好適には約15dPa.sの範囲になるように選択する。明らかに、海洋用途(淡水または海水のいずれか)では、溶媒の性質をまた所望の乾燥時間を考慮に入れて船体への塗布に予想される作業温度にも適合させる。
【0121】
そのようにして生じさせた本発明の塗料組成物に場合により添加剤材料を混合してもよい。添加剤材料の例は除湿剤および塗料組成物で通常用いられる添加剤、例えば抗たるみ剤、アンチフラッディング剤(anti−flooding agents)、チキソトロープ剤および抗沈降剤、安定剤および消泡剤などである。
【0122】
本発明の選択した製品および方法をここに単なる例として示す。
製品1
冷却器と受け槽が付いている蒸留塔と機械的撹拌機を装備しておいた5Lの反応槽にForal AX−Eを2.66kgおよびエチルトリアセトキシシランを0.61kg入れた。この混合物を155℃、即ち酢酸の初期留出温度になるまで加熱した。温度をゆっくり上昇させることで蒸留を継続した。温度が175℃の時に酢酸の留出が終わった。蒸留を減圧(100−500ミリバール)下で1時間行うことで反応を完了させた。酢酸の収量は452ml(97%)であった。残存するオルガノシリルエステルをキシレンで固体量が69.1%になるまで希釈した。この溶液の粘度は7cPa.sであった。
製品2
冷却器と受け槽が付いている蒸留塔と機械的撹拌機を装備しておいた反応槽にインドンシアのゴムロジンを817g、エチルトリアセトキシシランを211gおよびキシレンを578g入れた。塔頂部温度を115℃にしながら前記混合物を135℃、即ちキシレン/酢酸共沸混合物の初期留出温度になるまで加熱した。温度を160℃になるまでゆっくり上昇させた。留出液を390ml得た後に追加的200mlのキシレンを前記反応混合物に加えた。その後、蒸留を650mlの留出液が得られかつ塔頂部温度が136℃の温度に到達するまで継続した。酢酸の収率は99.5%であった。残存する樹脂の固体量は78%で粘度は170cPa.sであった。
【0123】
製品3−8の調製をこの上に製品2に関して示した手順に従って実施した。その詳細を表1に示す。
製品9(水添ロジンの転化)
機械的撹拌機と蒸留用冷却器を装備しておいた0.5LのフラスコにForal AX−Eを84g、キシレンを18g、アセトキシトリメチルシランを33gおよびシクロヘキサンを206g加えた。この混合物を撹拌しながら加熱(85−105℃)することでシクロヘキサンと酢酸の全部を留出させた。留出させる酢酸の最終収率である97.3%に到達させるにはシクロヘキサンを100mlと150mlの2回再添加する必要があった。残存する樹脂酸トリメチルシリル溶液の粘度は20cPa.sで固体量は83%であった(24時間、60℃)。
製品10
冷却器と受け槽が付いている小型カラムと機械的撹拌機と温度制御装置を装備しておいた1.2LのフラスコにForal AX−Eを263gおよびDymerexを308g入れた。この混合物を220℃になるまで加熱することで溶融させた。次に、エチルシリルトリアセテートを120g加えた。酢酸の留出が155℃の時に始まって175℃の時に終了した。操作を減圧(150ミリバール)下で1時間行うことで蒸留を継続した。酢酸が93g留出し、これは生じ得る酸の101%であった。残存する樹脂を400gのキシレンで溶解させた後、周囲温度になるまで冷却した。測定固体量は60%であった。この溶液の粘度は30cPa.sであった。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
表2に示した実施例1−5は、トリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂をオルガノシリルエステル(表2の中で製品と呼ぶ)と混合するとアルカリ加水分解に対する感受性が高くなることを示している。実施例1−5に示した混合物は全部pH12.7の時にアルカリ加水分解を示したが、高純度のトリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂(比較実施例1および2)はpH12.7の時にも若干高いpHである13の時にも加水分解を示さない。請求するオルガノシリルエステル製品自身は迅速に加水分解を起こす(比較実施例3)。実施例1−5に見られる加水分解は単にオルガノシリルエステル(例えば表2の製品1、8、9および10)の加水分解が基になっているのではない。不溶なトリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂が溶解したと思われた。トリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂自身はアルカリ溶液に溶解しない。そのような見かけ可溶化の唯一の説明は、それらが加水分解を起こすことでアクリル酸基含有量が高いアクリレートがもたらされたと言った説明である。酸含有量が高いアクリレートはアルカリ溶液に溶解する。加うるに、実施例2の加水分解でトリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート樹脂が加水分解を起こすと、それに伴ってトリ−イソプロピルシラノールの特徴的な臭いも発生した。
【0127】
ロジン自身は観察したトリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂の加水分解の推進を誘発し得ない[比較実施例4;水添ロジン(=Foral AX)を使用]が、それ自身はアルカリに高度に溶解する(比較実施例5)。請求するオルガノシリルエステルの別の利点は、それらがトリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂と相溶する点にある(実施例1−5を参照)。このように、オルガノシリルエステルはトリアルキルシリル(メタ)アクリレート樹脂用の経済的な添加剤として用いることができるばかりでなくまた加水分解推進剤としても使用可能である。
固体含有量の測定
サンプルを120℃に1時間加熱する前と後の重量を計ることで固体含有量を測定した(標準的試験方法ISO 3233/ASTM 2697/DIN 53219)。(表1、%)
粘度の測定
ブルックフィールドを25℃で用いて結合剤溶液および塗料の粘度を測定した(ASTM試験方法D2196−86)。(表1、cPa.s)
結合剤が示す加水分解性の評価
ドローダウン(draw−downs)をアルカリ溶液(NaOH、pH12.0−13.4)に浸漬しそして加水分解が観察されるまでの分(誘導時間)を測定することで加水分解性を評価した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルを塗料配合物の結合剤系用のアルカリ加水分解もしくは侵食推進剤として使用する方法。
【請求項2】
前記塗料配合物のいずれかで2種以上のカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸シリルエステルを用いる、即ち前記シリルエステルの混合物を推進剤として用いる請求項1記載の使用方法。
【請求項3】
前記オルガノシリルエステルのカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸部分が非ビニル型アルファ炭素を有する請求項1または2記載の使用方法。
【請求項4】
前記結合剤系が膜形成結合剤を含んで成る請求項1−3のいずれか1項記載の使用方法。
【請求項5】
本発明のオルガノシリルエステルもまた単独で膜を形成する請求項1〜4のいずれか1項記載の使用方法。
【請求項6】
塗料組成物用膜もしくは樹脂性結合剤であって、ロジン以外であるアルファ炭素が非ビニル型のカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルを含んで成る塗料組成物用膜もしくは樹脂性結合剤。
【請求項7】
ロジン以外であるアルファ炭素が非ビニル型のモノカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルを塗料用結合剤系の結合剤成分として用いる使用方法。
【請求項8】
塗料組成物であって、ロジン以外であるアルファ炭素が非ビニル型のモノカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルを含んで成る塗料組成物。
【請求項9】
該塗料が結合剤系を含んで成っていて前記結合剤系が前記モノカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルを結合剤成分として含んで成る請求項8記載の塗料組成物。
【請求項10】
塗料組成物であって、ロジン以外のモノカルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のシリルエステルを結合剤系の結合剤成分として含んで成る塗料組成物。
【請求項11】
カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルの混合物が存在する請求項1〜10のいずれか1項記載の使用方法、結合剤もしくは塗料組成物。
【請求項12】
塗料組成物の製造方法であって、該方法の1つの段階がロジン以外の酸のオルガノシリルエステルを含んで成る結合剤成分を結合剤系の結合剤成分として添加する段階であることを特徴とする塗料組成物の製造方法。
【請求項13】
前記塗料が防汚塗料である請求項12記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項14】
前記カルボン酸、スルホン酸もしくは燐酸のオルガノシリルエステルがC3に等しいか或はそれ以上のヒドロカルビル残基が基になっている請求項1〜13のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤もしくは塗料組成物。
【請求項15】
前記酸のオルガノシリルエステルが一般式(I):
【化1】

[式中、
Zは、
【化2】

を表し、
各R4およびR5は、ヒドロキシルであってもよいか、或は独立して、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシル、−L’−SiR123、−L’−(SiR45L’)n−SiR123、−L’−SiR12−、−L’−(SiR45L’)n−SiR12−、アルケニル、アルキニル、アラルキルまたはアラルキルオキシル基から選択されてもよく、ここで、これらは場合によりアルキル、アルコキシル、アラルキル、アラルキルオキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシル、ハロゲン、アミノ(好適には第三級アミノ)またはアミノアルキル基を包含する群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或はR4またはR5は、独立して、−O−Z−R8基であってもよく、ここで、R8は以下に示すR7と同様に定義され、
各R1、R2およびR3は、独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルまたはアラルキルオキシル基を表してもよく、ここで、これらは場合によりアルキル、アルコキシル、アラルキル、アラルキルオキシル、アリール、アリールオキシル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ(好適には第三級アミノ)またはアミノアルキル基を包含する群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或はR1、R2またはR3は、独立して、−O−Z−R8基であってもよく、
L’は、O、SまたはNR6(ここで、R6は以下に示すR9と同様に定義される)を表し、
各nは、独立して、0から1000の−Si(R4)(R5)−L’−基数を表し、
7は、アラルキル、アリール、アルケニル、アルキニルまたはC2以上のアルキル基であり、ここで、これらは場合により置換されていてもよく、ヒドロカルビル基の場合には、この上でR1、R2、R3、R4およびR5に関して定義した置換基と同等な置換基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい]
で表される請求項1〜14のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤もしくは塗料組成物。
【請求項16】
式(I)
【化3】

[式中、
Zは、
【化4】

を表し、
各R4およびR5は、ヒドロキシルであってもよいか、或は独立して、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシル、−L’−SiR123、−L’−(SiR45L’)n−SiR123、−L’−SiR12−、−L’−(SiR45L’)n−SiR12−、アルケニル、アルキニル、アラルキルまたはアラルキルオキシル基から選択されてもよく、ここで、これらは場合によりアルキル、アルコキシル、アラルキル、アラルキルオキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシル、ハロゲン、アミノ(好適には第三級アミノ)またはアミノアルキル基を包含する群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或はR4またはR5は、独立して、−O−Z−R8基であってもよく、ここで、R8は以下に示すR7と同様に定義され、
各R1、R2およびR3は、独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルまたはアラルキルオキシル基を表してもよく、ここで、これらは場合によりアルキル、アルコキシル、アラルキル、アラルキルオキシル、アリール、アリールオキシル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ(好適には第三級アミノ)またはアミノアルキル基を包含する群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或はR1、R2またはR3は、独立して、−O−Z−R8基であってもよく、
L’は、O、SまたはNR6(ここで、R6は以下に示すR9と同様に定義される)を表し、
各nは、独立して、0から1000の−Si(R4)(R5)−L’−基数を表し、
7は、アラルキル、アリール、アルケニル、アルキニルまたはC2以上のアルキル基であり、ここで、これらは場合により置換されていてもよく、ヒドロカルビル基の場合には、この上でR1、R2、R3、R4およびR5に関して定義した置換基と同等な置換基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいが、但しR7がアルケニルまたはアルキニルの場合にはこれがビニル型アルファ炭素を含まないことを条件とする]
で表されるシリルエステルを製造する方法であって、式(II)
【化5】

[式中、ZおよびR7は、この上に記述した通りである]
で表される高沸点の酸と式(III)
【化6】

[式中、
1、R2、R3、R4、R5、L’およびnは、この上で定義した通りであるが、但し式I中のR1、R2、R3、R4またはR5が−O−Z−R8基の場合にはそれらは式III中では−O−Z−R10基に置き換わっていてもよく、
9は、この上に示したR7と同様に定義されるが、但しR9はまた水素またはC1アルキルであってもよく、かつR9を伴って前記エステルから生じる酸(R9ZOH)が沸騰する温度の方が式(II)の酸R7ZOHが沸騰する温度より低いことを条件とし、
10は、この上に示したR7と同様に定義されるが、但しR10はまた水素またはC1アルキルであってもよく、かつR10を伴って前記エステルから生じる酸(R10ZOH)が沸騰する温度の方が式(II)の酸R7ZOHが沸騰する温度より低いことを条件とする]
で表される低沸点の酸のシリルエステルを反応させながら生じた式(IV)および/または(V)
9ZOH (IV)
10ZOH (V)
で表される酸基をその系から除去することで前記式(I)の少なくとも1種の保護された酸基を生じさせる方法。
【請求項17】
生じさせた式Iに従うアシル化シリルエステルが1個または数個のケイ素原子と結合しているアシルオキシ基を2個以上有する請求項15または16記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項18】
式(IV)のカルボキシル基部分がホルミル、アセチル、プロピオニルおよびブチリルから選択される請求項15−17のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項19】
式R7ZOHのカルボキシル基部分の例に、独立して、これらに限定するものでないが、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、オクザロイル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、ベンゾイル、フタロイル、イソブチロイル、s−ブチロイル、オクタノイル、イソオクタノイル、ノナノイル、イソノナノイル、アビエチル、デヒドロアビエチル、ジヒドロアビエチル、ナフテニル、アントラセニル、アビエチル二量体[Dymerex(商標)]、完全水添ジヒドロアビエチル[Foral(商標)]などおよびこれらの重合体もしくは共重合体が含まれ得る請求項15−18のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項20】
一般式(III)で表されるオルガノシリル化カルボキシレート化合物の例に、これらに限定するものでないが、トリメチルシリルホルメート、ジメチルシリルジホルメート、メチルシリルトリホルメート、トリ−n−ブチル 1−アセトキシ−シラン、ジ−n−ブチル 1,1−ジアセトキシ−シラン、n−ブチル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリ−n−プロピル−1−アセトキシシラン、ジ−n−プロピル 1,1−ジアセトキシ−シラン、n−プロピル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリ−t−ブチル−1−アセトキシ−シラン、トリ−イソプロピル−1−アセトキシ−シラン、トリ−イソブチル−1−アセトキシ−シラン、トリ−メチル−1−アセトキシ−シラン、ジ−メチル 1,1−ジアセトキシ−シラン、メチル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリエチル−1−アセトキシ−シラン、ジエチル−1,1−ジアセトキシ−シラン、エチル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、ビニル 1,1,1−トリアセトキシ−シラン、トリベンジル−1−アセトキシ−シラン、トリアミル−1−アセトキシ−シラン、トリフェニル−1−アセトキシ−シラン、トリメチルシリルプロピオネート、t−ブチルジメチルシリルアセテート、ペンタメチル−1−アセトキシ−ジシロキサン、ヘプタメチル−1−アセトキシ−トリシロキサン、ノナメチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナエチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−t−ブチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナベンジル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−イソプロピル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−n−プロピル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−イソブチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−アミル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−n−ブチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−ドデシル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−ヘキシル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−フェニル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ノナ−オクチル−1−アセトキシ−テトラシロキサン、ウンデカメチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカエチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−t−ブチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカベンジル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−イソプロピル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−n−プロピル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−イソブチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−アミル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−n−ブチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−ドデシル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−ヘキシル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−フェニル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、ウンデカ−オクチル−1−アセトキシ−ペンタシロキサン、トリデカメチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカエチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−t−ブチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカベンジル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−イソプロピル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−n−プロピル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−イソブチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−アミル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−n−ブチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−ドデシル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−ヘキシル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−フェニル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサン、トリデカ−オクチル−1−アセトキシ−ヘキサシロキサンが含まれる請求項16−19のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項21】
一般式(III)で表されるオルガノシリル化カルボキシレート化合物がエチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランおよびトリメチルシリルアセテートから選択される請求項16−20のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項22】
本発明のシリルエステルを生じさせる目的でシリル化を受けさせることができる高沸点酸の例にC3以上の酸、即ちプロピオン酸に等しいか或はそれ以上の脂肪酸同族体、例えばC4−C60酸、例えばイソステアリン酸など、環状脂肪酸、例えばナフテン酸など、およびC4−C60酸(芳香または不飽和酸を包含)、例えば水添ロジンなどが含まれる請求項15−21のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項23】
本発明のシリルエステルと組合わせて使用可能な共結合剤が
・ Ca、CuまたはZnの樹脂酸塩、
・ Ca、CuまたはZnのナフテン酸塩、
・ Laroflex MP(BASFから商業的に入手可能)の如きビニル、
・ Neocryl B725(Aveciaから商業的に入手可能)の如きアクリレート、
・ アクリル酸Cu/Zn/Ca、例えばEP 342276、EP 982324(Kansai)に記述されている如きアクリル酸Cu/Zn/Ca、またはポリエステル、例えばEP 1033392(Kansai)に記述されている如きポリエステル、トリ−オルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体、例えばEP 131626(M&T)、米国特許第4593055号(M&T)、EP 775773(Chugoku)、EP 646630(NOF)、米国特許第5436284号(NOF)、WO 0162811およびWO 0162858(SIGMA COATINGS)に記述されている如きトリ−オルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体、親水性(メタ)アクリレート、例えばFR 2 557 585(Jotun)、EP 526441およびEP 289441(SIGMA COATINGS)に記述されている如き親水性(メタ)アクリレート、
から選択されてもよい請求項1〜22のいずれか1項記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項24】
本発明のシリルエステルと組合わせて使用可能な共結合剤がトリオルガノシリル(メタ)アクリレート共重合体から選択される請求項23記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。
【請求項25】
前記結合剤が示す膜形成特性の向上に役立つように前記結合剤に多官能酸、例えばポリ(シリルエステル)またはDymerex(商標)などが混合されている請求項24記載の使用方法、製造方法、結合剤または塗料組成物。


【公表番号】特表2006−525396(P2006−525396A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505410(P2006−505410)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004997
【国際公開番号】WO2004/099326
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505258612)
【Fターム(参考)】