説明

シリンダを測定するための方法及び装置

作動シリンダの幾何学的形状を、特にその研磨操作中に、明らかにするための機器は、固定中間構造体(15)に関して互いに遠ざかる方向及び近づく方向に動くことができる一対の可動クランプ(13、14)を備え、クランプ(13、14)は、該クランプ間と固定中間構造体(15)の表面(21)との間に位置決めされた被測定シリンダ(11)に対して燕尾形配置に従う、互いに対向する向きの傾斜面(19、20)を有し、可動クランプ(13、14)の表面(19、20)及び固定中間構造体(15)の表面(21)は、シリンダ(11)が静止していても回転していても、常にシリンダ(11)との接触を保ち、固定構造体(15)はまた、その内部に、クランプ(13、14)の動きを相関させるための、互いに相互作用する部材のグループ(32、33;29、43;28、35、36、37、38)有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動シリンダ、例えば、圧延機向けのシリンダのような材料加工用のシリンダの幾何学的形状を明らかにするための方法及び機器に関する。
本発明による方法及び機器は、限定ではないが、特に作動シリンダの研磨操作において用いるためのものである。
さらに、本発明による方法及び機器は、金属材料のストリップを得るための圧延機におけるシリンダのみならず、製紙業用のシリンダ、ロール及び類似の物品、より一般的には平坦な非鉄積層体の研磨加工を含むその他の分野、及び/又は、大きな寸法を有する船舶用機関及び/又は油圧系の建造のような分野に、すなわち一般の工業にも同様に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知のように、圧延機は、原料の厚さを(原料が、鋼、アルミニウム又はその他の材料のいずれであっても)要求された寸法まで減少させる機能を有する。
圧延機のシリンダは、固定された構造体(圧延機のケージ)から出た材料をストリップに変形させるのに必要な負荷を伝達するように設計されている。
【0003】
圧延機プロセス中に、ストリップ又は他のシリンダ(中間シリンダ及び静止シリンダの場合)との直接接触によって生じる負荷、偶発的な応力、そして多くの場合には高温曝露が、そのシリンダに、磨耗、疲労及び各種の損傷の現象を生じさせる。機械的及び熱的な原因によるこれらの現象はシリンダの表面を劣化させ、一方では、例えば、形状誤差、へこみ又は粗さのばらつきのような、ストリップの品質を低下させて結果としてその販売価格を低下させる欠陥を生じさせ、他方ではまた、圧延機プロセス中のシリンダの破損のような破局的な事象をもたらしかねない、構造的な種類の欠陥(例えば、焼け及び割れなど)生じさせることもあり、これはさらに重大な経済的損失につながる。
【0004】
それゆえ、シリンダは、定期的にケージから取り外され、稼働の再許可に先立って、その幾何学的特徴が測定され、非破壊制御(NDC)技術を用いて分析され、研磨によって整備される。一組のシリンダに必要とされる投資が高額である結果として、測定及び整備の時間を削減し、その精度及び信頼性を高め、その動作寿命を延ばす各々の技術革新は、積層体製造者にとっての正味の有形の利益をもたらすことになる。
【0005】
特に、作動シリンダの幾何学的形状を明らかにするための装置の現在の有力候補は、特に複雑で費用のかかる解決法を特徴としており、その場合、シリンダの幾何学的形状の検出は、その複雑さに起因してこれもまた煩わしい整備要求事項を有する、多数の測定点を有する機械によって行われる。
この種の解決法は、特許文献1において提案されている。
【0006】
さらに、特許文献2又は特許文献3は、正反対の位置に配置された2つの読取り計器、又は固定された燕尾形状で補助された1つの計器に基づいて形状誤差を測定することができる、2つの測定点を有するゲージを記載する。しかしながら、これらの場合には、構造上の単純さ及び費用の節減は、精度、測定の信頼性及び臨界的性質を犠牲にして達成され、計器の較正は複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/084072号
【特許文献2】米国特許第6,159,074号明細書
【特許文献3】特開平8−285504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の一般的な目的は、この種の測定に要求される信頼性及び正確度をいかなる場合にも維持することができる単純化を見出すことによって、公知技術の欠点を解決する測定機器を提供することである。
更なる目的は、特に研磨操作中に、シリンダの幾何学的形状を明らかにするための、極めて単純、経済的、かつ特に機能的な機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的に鑑みて、本発明により、添付の特許請求の範囲において特定される特徴を有する、シリンダの外形を明らかにするための方法及び機器が考案された。
本発明の構造上及び機能上の特徴並びに既知の技術に対するその利点は、本発明それ自体に従って製造された機器の実施形態を示す添付の図面を参照して、以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例えば研磨機(図示せず)上に配置することができる本発明による機器を、極めて概略的な方式で示す縦(rised)側面図である。
【図2】機器が図1のシリンダに比べて極めて限定された寸法を有するシリンダを測定している、図1と同様の機器の縦の図である。
【図3】研磨機上に取り付けられた機器を示す概略図である。
【図4】本発明の1つの実施形態による機器の部分断面斜視図である。
【図5】本発明の1つの実施形態による機器の部分断面斜視図である。
【図6】図4の細部の拡大図である。
【図7】様々な機能段階における図1及び図2と同様の機器の概略図である。
【図8】様々な機能段階における図1及び図2と同様の機器の概略図である。
【図9】様々な機能段階における図1及び図2と同様の機器の概略図である。
【図10】細部の幾つかを示す、図1−図9の機器の部分断面縦側面図である。
【図11】本発明による方法及び機器の異なる動作挙動を示す概略図である。
【図12】本発明による方法及び機器の異なる動作挙動を示す概略図である。
【図13】本発明による方法及び機器の異なる動作挙動を示す概略図である。
【図14】本発明による方法及び機器の異なる動作挙動を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の対象物である機器を取り付けることができる研磨機が、基部上で摺動する研磨トロリCRを含むこと、そしてその研磨トロリCRが、適切な砥石を装備した研磨ヘッド61を支持することは公知である。図3を参照して、例証されているような機器は、どんな作動目的のシリンダ、ロール等のための研磨機であっても、その正面に組み立てることができることを指摘したい。この解決法は、この機器を、砥石ホルダ・ヘッド又は砥石ホルダ・トロリの上ではなく、シリンダに関して砥石ホルダ・ヘッドの反対側に位置する更なる基部上で摺動する特定のトロリの上に組み立てることによって、達成することができる。
【0012】
本発明による機器12は、一般に、例えば、機械又は研磨機のヘッド部61と一体の固定構造体60のような、独立した系(図3)上に組み立てられる。
例えば空気式の、リニア・ガイド及び制御装置によりその内部に摺動する可動部62は、上述のシリンダの幾何学的形状の検出を行う可動部を内部に収容した機器12と一体となっている。
【0013】
本発明の機器12は、その第1の特定の特徴として、シリンダの幾何学的形状を明らかにするために、二点が可動装置によって得られ、一点が固定部を用いて得られる、三点を使用するという特徴を有する。
図1は、実際に、シリンダ11が、一対のクランプ、すなわち上部クランプ13と下部クランプ14と間にどのように配置されているかを示し、これらのクランプは、中間の固定構造体15に関して互いに遠ざかる方向及び近づく方向に動くことができる。
【0014】
これらの可動部は、可動部62の駆動系が測定対象シリンダに及ぼす推力の組み合わせによって、及び、傾斜面の原理を利用した測定クランプの特定の構造によって、直接動かされるので、それ自体の駆動系を有していないことを指摘したい。
この動きと、系の幾何学的形状とが一緒になって、シリンダ11が、ある寸法を有する1つのシリンダ11(図1)の場合でも、最小寸法を有するシリンダ11(図2)の場合でも、両方とも、本発明の機器に対して三点の限定された接点又は領域を常に有することが可能になる。
【0015】
2つのクランプ13及び14は、実際に、シリンダ11に関して対向する傾斜接触面19及び20を有するように、燕尾形(「V」)配置に従って作成されるので、その結果、限定されたシリンダとの接点又は領域16(上方点)及び17(下方点)は、シリンダの直径の違いに応じて、傾斜面19及び20に沿って摺動する。この配置は、シリンダが、2つのクランプ13と14との間に位置する固定中間構造体15の表面21の固定点又は限定領域18とも同時に接触することもまた可能にする。
【0016】
燕尾形配置は、接触面19及び20が、互いに遠ざかる方向及び近づく方向に自由に動いても、一定の角度を成すことを想定する。
したがって、本発明の機器は、三点ゲージであることに加えて、さらに、2つの接点、すなわち、クランプ13及び14の接触面19及び20上に定められた点16及び17が可動であり、1つの接点、すなわち、固定中間構造体15の表面21の点18が固定されていることを想定する。
【0017】
本発明の方法によれば、三点16、17及び18は、シリンダが静止している場合又は回転している場合のどちらを想定しても、測定段階の間は、常にシリンダ11の表面との接触を保たなければならない。
このようにして、表面21とシリンダ11との間の接触を維持することによって、クランプ13及び14の接触面19及び20の傾斜角が既知であれば、かつそのクランプ13と14との間の相対距離が既知であれば、シリンダ11の直径を検出することが可能である。
【0018】
さらに、シリンダの軸に沿って装置を摺動することによって、シリンダ自体の母線の外形を明らかにすることが可能である。
最後に、シリンダ11を回転させることによって、装置の測定点に対応したシリンダの断面の偏心及び円形誤差が明らかにされる。
【0019】
上述の結果は、適切なアルゴリズムにより、ゲージから受け取ったデータを処理することによって明白に得られる。
このようにして、被加工シリンダの正しい全体的な幾何学的形状を再構成することができる。さらに、この連続的な検出により、所望の幾何パラメータで被加工シリンダを整備するために、研磨機の砥石を適切に作動させるように絶え間なく介入することが可能になる。
【0020】
「最も細い」もの(「Sendzimir」など)から最大のものまで多様なシリンダ直径に適用することができるこの機器は、したがって、研磨プロセスと同時に機能し、構造上、極めて単純であり、実時間で加工を制御するために必要な精度を保証する。
さらに、本発明は、シリンダに関して砥石とは正反対に対向する位置に位置し、更なる基部上で摺動する、特定のトラックに容易に適用することができ、この解決法により、測定装置は、砥石ホルダ・トロリに対して独立に動作することが可能になる。
【0021】
本発明の目的である性能を得ることを可能にする、図示された実施形態の幾つかの詳細をここで説明する。シリンダ11の幾何学的形状を求めることを可能にする全ての機構は、固定構造体15の内部に収納される。
より具体的には、図示された実施形態によれば、上部アーム32及び下部アーム33は、リニア・ガイドにより、その内部に摺動する。
【0022】
2つのアーム32及び33の動きは、同期しており、かつ反対方向であり、すなわち、上部アーム32が上向きに移動すると、下部アーム33は下向きに動き、逆もまた同様である。
2つのアーム32及び33の動きのこの特定の特徴は、ケーブル若しくはワイヤ又はプーリ系による接続により可能となる。ケーブル又はワイヤ43(図4、図5及び図6)を用いて上部アーム32と下部アーム33との間の接続を得る手段は以下の通りである。
【0023】
上部アーム32において、ワイヤ43と該アームとの間の接続は、アーム自体の上にねじ止めされた止め部28を用いて得られ、そこでワイヤ43がブロックされる。
ワイヤ43は、止め部28から立ち上がり、固定構造体15の上部に位置するプーリ29に巻き付けられる。プーリ29の周囲を半周した後、ワイヤ43は下降し、3つのブロックを通って、下部アーム33に接続される。
【0024】
第1のブロック35は、アーム33とは一体ではないが、ワイヤ43とは一体であり、第2のブロック36は、下部アーム33とは一体であるが、ワイヤ43とは一体ではないので、ワイヤは、ブロック36自体の中に設けられた穴(図示せず)を通って自在に動くことができ、第3のブロック37は、これもまたアーム33には接続されていないが、ワイヤ43には接続されており、ワイヤ43のための最終的な止め部及びばね38のための反応点を形成する。ブロック36の下端及びブロック37の上端は、ばねの収容を保証するように形作られており、最適な位置決めを確保し、同時に2つのブロック36及び37とのばねの連結の安定性を保証するようになっていることも指摘したい。
【0025】
可動部又は上部アームと、可動部又は下部アームとが異なる重量を有することもまた指摘したい。特に、上部アーム32の方が大きな重量を有しており、これらの2つの間の重量の差異により下部アーム33を持ち上げることが可能であり、その結果、装置が停止状態であるとき、すなわち、2つのクランプ13と14との間にシリンダが存在しないときには、上部クランプは下降し、下部アーム33上に組み立てられた装置52と上部ストッパ54上に組み立てられた装置53とが接触して系が平衡に達するまで(図10)、下部クランプを上方に引き上げる。
【0026】
この装置が良好に機能するということは、例えば偏心又は円形誤差に起因するシリンダ自体の外形の小さな非対称が存在し、ある瞬間に、接点(シリンダと関連のクランプとの間の)とシリンダの理論軸(若しくは機械軸、又はシリンダを支持する中心連結部)との間の距離が厳密には等しくないようになったときでも、2つの測定クランプ13及び14が測定対象シリンダと絶えず接触しているということを意味する。
【0027】
この要件は、2つのクランプ間に自由な相互作用が存在することを必要とし、その特徴は、プーリ及びケーブルによる単純な接続によっては保証することができない。従って、上部クランプ13に対する下部クランプ14の位置の小さな変動又は微小変動を許容するために、下部アーム33(及びそれに接続されたクランプ)は、上述のばね38によって上向きに押し上げられる。測定装置の起動の際に、シリンダ11の理論軸に対する機器12の中心線の位置の垂直方向でのオフセットによって、ばね38の予荷重が、以下の説明に従い発生する。すなわち、装置12がシリンダ11に接近すると、可動アーム62の制御により、下部クランプ14は、上部クランプより前にシリンダに接触し、それに接続された下部アーム33の下向きのシフトを生じさせ、これがばね38を圧縮する。上記のオフセットは、ばね38の現在の予荷重(オフセットの行程をばねの弾性定数と掛け合わせた積に等しい)が上部可動部の重量を超える前に上部クランプがシリンダの表面に接触するように、計算される。特に、系は、系が機能している間の更なる予荷重をばねが可能にしそれゆえ、その予荷重が上部可動部の重量に等しくなって上部可動部をシリンダから脱離させるより前に、2つのアーム32、33の更なる相対距離を可能にするような寸法にされる。
【0028】
このようにして、2つのクランプが常にシリンダと接触している系を得るという結果が、純粋に機械的な方法で、したがって単純で信頼性のある装置を用いて得られる。この装置は、クランプ間の接点とシリンダ自体の理論軸との距離間の小さな差異又は微小差異の存在下で、以下のように挙動する。
a)上部接点が中心に向かう方向に移動する場合には、上部アームは、重力によって下降し、ワイヤの張力が、想定されるシフトに等しい量だけばね38を圧縮する。このシフトが、ばねの予荷重の増大を生じさせる。機器が良好に機能するためには、上部アームの重量の力がこの更なる予荷重を生じさせることができることが重要であり、これができなければ、上部クランプとシリンダとの間には接触が存在しないことになる(図11)。
b)上部接点が中心から遠ざかる方向に移動する場合には、上部アームは、シリンダの外形によって押し上げられるにつれて持ち上げられ、その結果として生じたワイヤの張力の損失は、想定されるシフトに等しいばねの伸長(すなわち、その予荷重の損失)によって補償される。機器は、その構造の仕組みにより、ばねの初期予荷重がゼロになるまで、この種のシフトを補償することができ、そのポイントから先は、下部クランプとシリンダとの間に接触が存在しなくなる(図12)。
c)下部接点が中心に向かう方向に移動する場合には、下部アームは、想定されるシフトに等しい量だけ荷重が軽減されたばね38によって押されるにつれて、シリンダとの接触を維持するように持ち上げられる。機器は、ばねの初期予荷重がゼロになるまで、この種のシフトを補償することができ、そのポイントから先は、下部クランプとシリンダとの間に接触が存在しなくなる(図13)。
d)下部接点が中心から遠ざかる方向に移動する場合には、下部アームが下げられ、ばねを圧縮し、その結果として予荷重を増大させる。ばねの予荷重が、シリンダからの上部クランプの脱離を生じさせるような値に達しない限り、機器は良好に機能することが保証される(図14)。
【0029】
上述の2つのクランプ間の自由な相互作用の別の利点は、例えば装置自体及び装置が取り付けられる機械の構造及び組立ての公差に起因する、シリンダの軸と本発明の目的である装置の軸との間の小さな位置ずれの存在下でも、系がその機能を完全に発揮することができることである。
【0030】
光学ライン49と読取り装置50とで構成される測定装置の構成要素もまた、2つのアーム32、33上に固定される。光学ライン49は下部アーム33上に固定されているのに対して、読取り装置50は、上部アーム32に固定された支持部58内に収容される。光学ライン49は、増分型であり、すなわち、2つのアーム間の相対シフトを測定するが、2つのクランプ13と14との間の距離の絶対値を与えることはできない。系のゼロを表す基準点を得るために、基準部52が下部アーム33上に取り付けられ、基準部53が、上部ストッパ54(これは上部アーム32に拘束される)上に取り付けられる。このようにすると、ゲージが作動していないとき、すなわち2つのクランプ間にシリンダが存在していないときには小部品(detail)52と53とが接触しているので(図10)、装置の始動のたびに、測定系のゼロを定める、光学ラインと読取り装置との間の相対位置が登録される。
【0031】
しかしながら、系の最初の始動時には、既知の直径(dima)を有するサンプル・シリンダの直径を明らかにしなければならないことを指摘したい。この測定は、測定を遂行するために機能する基準値を上述のゼロ位置に割り当てるために用いられる。
【0032】
液体及び加工残渣の侵入から固定部15の内部に収容された装置を保護するために、上部ベロー56及び下部ベロー57の2つのベローが取り付けられ、これらは、それぞれ上部ストッパ54及び下部ストッパ55に接続される。さらに、これらの2つのベローの密閉性を高めるために、汚染物質対する入口障壁を形成する、僅かに加圧された空気が構造体15の内部に導入される。
【0033】
簡単に述べると、機器12全体の機能は、以下の通りである。
静止位置において、機器の可動部62は(図3に図式化されるように)、測定機器又は研磨機の支持部と一体の固定構造体60内に配置され、機器又はゲージの本体の2つのアーム32及び33は、走行端にあり、下部アームの小部品52は、上部アームの小部品53に接している。
【0034】
測定を行うために、機器12が一体に取り付けられたゲージの可動部62は、下部クランプ14の表面20がシリンダ11に接触するまで(図7)、シリンダ11に向かって押される。
可動アーム62は、シリンダ11に向かって前進し続け、クランプ14の傾斜面20により下部アーム33の下方へのシフトが生じ、このシフトが、ばね38の予荷重を決定すし、既に述べたように、この予荷重は上部アームの重量よりも小さい。
このように、上記で明示されたことから、両方のクランプ13、14とシリンダとの間の絶え間のない接触が、シリンダの欠陥(非対称性)の存在下でも保証される。
【0035】
上部クランプ13も表面19を介してシリンダと接する(図8)まで、ゲージのアーム62は前進を続ける。上部クランプ13がシリンダ11に接触したときに、ばね38には依然としてある程度までの予荷重がかかっており、このようにして生じた力の合計がシリンダ11から上部クランプ13を脱離させることのないように、系の幾何学的形状を研究したことを再度言及する。ゲージのクランプの特定のV字形状は、ゲージがシリンダ11の方向に移動している間に、上部アーム32及び下部アーム33がそれぞれ上向き及び下向きに動くことを保証する。シリンダ11の方向へのゲージのアーム62の前進は、ゲージ本体の固定部15の表面21がシリンダ11と接するところまできて、中心の接点18を生じさせ、同時に、その他の位置制御の電気機械式装置の補助なしにアーム62の走行を機械的に止める(図9)まで続く。
【0036】
このようにして、ゲージ12とシリンダ11との間に3つの接点が得られ、これらの接点を維持してシリンダ11を回転させることによって、適切なアルゴリズムを用いて、クランプに対応したシリンダの断面の幾何学的形状(偏心、円形)が明らかにされる。同じ構成を用いるがシリンダを静止状態に維持すると、逆に、シリンダ11の絶対直径を明らかにすることが可能である。シリンダ11を静止状態に保持して、ゲージをシリンダの表面の全長にわたって並進させることによって、シリンダ自体の母線の外形を明らかにすることが可能である。
【0037】
測定の最後に、ゲージの可動アーム62は、静止位置に戻り、上部アームは、その重量による静止位置に達するまで下降する。上部アームの下降は、同時に下部アームの上昇をもたらす。
したがって、この説明の導入部において述べた目的が達成される。
本発明の機器には多くの実施形態の形が当然に存在し得る。
本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動シリンダの幾何学的形状を、特にその研磨操作中に、明らかにするための機器であって、固定中間構造体(15)に関して互いに遠ざかる方向及び近づく方向に動くことができる一対のクランプ(13、14)を備え、前記クランプ(13、14)は、該クランプ間及び前記固定中間構造体(15)の表面(21)との間に位置決めされた被測定シリンダ(11)に対して燕尾形配置に従う、互いに対向する向きの傾斜面(19、20)を有し、前記可動クランプ(13、14)の前記表面(19、20)及び前記固定中間構造体(15)の前記表面(21)は、前記シリンダ(11)が静止していても回転していても、常に該シリンダ(11)との接触を保つことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記固定構造体(15)は、その内部に、前記クランプ(13、14)の動きを相関させるための、互いに相互作用する部材のグループ(32、33;29、43;28、35、36、37、38)を有することを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記グループは、前記クランプ(13、14)を支持するとともに、ケーブル又はワイヤ系(43)及びプーリ(29)によって反対方向に同期運動するように接続された、上部可動アーム又は部材(32)及び下部可動アーム又は部材(33)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記2つの可動アーム又は部材は、異なる重量を有し、前記上部可動アーム又は部材(32)は前記下部可動アーム又は部材(33)より大きな重量を有しており、これらの2つの間の重量の差異により、前記下部可動アーム又は部材(33)を持ち上げることができることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記ケーブル又はワイヤ系(43)及びプーリ(29)は、該ワイヤ(43)の端部が、前記上部アーム(32)に拘束された止め部(28)に拘束されることを想定し、前記ワイヤ(43)は、前記固定構造体(15)の上部に位置する前記プーリ(29)上に巻き付けられ、該プーリ(29)の周囲を半周した後、下降して、前記ワイヤ(43)と一体であるが前記下部アーム(33)とは一体ではない第1のブロック(35)と、前記下部アーム(33)と一体であるが前記ワイヤ(43)とは一体ではなく、そのブロック(36)の穴の中を該ワイヤが自在に動く第2のブロック(36)と、前記ワイヤ(43)の他端と一体になって、最終止め部、及び予荷重をかけられたばね(38)のための反応点を形成する、第3のブロック(37)とを通って、前記下部アーム(33)に接続され、これが、前記上部アーム(13)と前記下部アーム(14)と前記シリンダ(11)との間の連続的な接触を保証することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項またはそれより多くの請求項に記載の機器。
【請求項6】
特に、前記シリンダ(11)と前記上部クランプ(13)との間の接点と該シリンダの理論軸(又は機械軸)との間の距離と、該シリンダ(11)と前記下部クランプ(14)との間の接点と前記軸との間の距離とが異なることを想定する構成のために用いられることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項またはそれより多くの請求項に記載の機器。
【請求項7】
作動シリンダの幾何学的形状を、特にこれの研磨操作中に、明らかにするための方法であって、被整備シリンダ(11)は、固定中間構造体(15)に関して互いに遠ざかる方向及び近づく方向に動くことができる一対のクランプ(13、14)を備えた機器内に位置決めされ、前記クランプ(13、14)は、該クランプ間及び前記固定中間構造体(15)の表面(21)との間に位置決めされた前記シリンダ(11)に対して燕尾形配置に従う、互いに対向する向きの傾斜面(19、20)を有しており、前記方法において、前記可動クランプ(13、14)の前記表面(19、20)及び前記固定中間構造体(15)の前記表面(21)は、前記シリンダ(11)が静止していても回転していても、常に該シリンダ(11)との接触を保つことを特徴とする方法。
【請求項8】
上部アーム(32)及び下部アーム(33)上に配置された前記クランプ(13、14)の動きを生じさせる、互いに相互作用する部材のグループ(32、33;29、43;28、35、36、37、38)は、前記固定構造体(15)の内部に想定されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アーム(32、33)は、反対方向に同期するように動かされることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記2つの可動アーム又は部材(32、33)は、異なる重量を有し、前記上部アーム(32)は前記下部アーム(33)より大きな重量を有しており、これらの2つの間の重量の差異により前記下部アーム(33)を持ち上げることができ、前記シリンダ(11)の直径の減少の存在下で、前記上部クランプ(13)と前記シリンダ(11)との間の接点(16)は、重力によって生じる前記上部アーム(32)の下向きのシフトによって保証され、前記上部アーム(32)の前記シフトは、ワイヤ(43)とばね(38)とによる接続、及び重量の差異に起因して、前記下部アーム(33)の、等しくかつ逆向きシフトを生じさせ、その結果、両方のクランプ(13、14)が常に前記シリンダ(11)と接触するようになっていることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記2つの可動アーム又は部(32、33)は、異なる重量を有し、前記上部アーム(32)は前記下部アーム(33)より大きな重量を有しており、これらの2つの間の重量の差異により前記下部アーム(33)を持ち上げることができるので、前記シリンダ(11)の直径の増大の存在下で、前記上部クランプ(13)と前記シリンダ(11)との間の接点(16)は、該クランプ(13)と該シリンダ(11)との間の接触によって生じる前記上部アーム(32)の上向きのシフトによって保証され、前記上部アーム(32)の前記シフトは、ワイヤ(43)とばね(38)とによる接続、及び重量の差異に起因して、前記下部アーム(33)の、等しくかつ逆向きのシフトを生じさせ、その結果、両方のクランプ(13、14)が常に前記シリンダ(11)と接触するようになっていることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれか1項またはそれより多くの請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記2つのアーム(32)、(33)とケーブルの2つのヘッドとの間の接続は剛直ではないが、2つのうちの一方はばねの挿入によって得られ、前記ばねは、前記シリンダへのゲージの接近段階中に適切に予荷重をかけられ、前記ゲージの測定フィールド内で、前記シリンダの形状誤差、さらに前記ゲージと前記シリンダとの軸線間の位置合わせ誤差に対応して、前記2つのクランプ(13)及び(14)と前記シリンダ(11)との間の接触を保証することを特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれか1項またはそれより多くの請求項に記載の方法。
【請求項13】
上部接点が中心に向かう方向に移動する場合に、上部アームは、重力により下降し、ワイヤの張力が、想定されるシフトに等しい量だけばね(38)を圧縮し、このシフトが、前記ばね(38)の予荷重の増大を生じさせ、前記上部アームの重量の力は、この更なる予荷重を生じさせることが可能であり、これにより前記2つのクランプ(13、14)と前記シリンダ(11)との接触を常に保証することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
上部接点が中心から遠ざかる方向に移動する場合に、上部アームは、前記シリンダの外形によって押し上げられるにつれて持ち上げられ、その結果として生じるワイヤの張力の損失は、想定されるシフトに等しいばね(38)の伸長、すなわち、その予荷重の損失によって補償され、前記機器は、前記ばね(38)の初期予荷重がゼロになるまで、この種のシフトを補償することが可能であり、これにより前記2つのクランプ(13、14)と前記シリンダ(11)との接触を常に保証することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
下部接点が中心に向かう方向に移動する場合に、下部アームは、想定されるシフトに等しい量だけ荷重が軽減されたばね(38)によって押されるにつれて、前記シリンダとの接触を維持するように持ち上げられ、前記機器は、前記ばね(38)の初期予荷重がゼロになるまで、この種のシフトを補償することが可能であり、これにより前記2つのクランプ(13、14)と前記シリンダ(11)との接触を常に保証することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
下部接点が中心から遠ざかる方向に移動する場合に、下部アームが下げられ、ばね(38)を圧縮し、その結果として予荷重を増大させ、前記ばねの予荷重が前記シリンダからの上部クランプの脱離を生じさせるような値に達しない限り、前記機器は良好に機能することが保証され、その結果として、前記2つのクランプ(13、14)と前記シリンダ(11)との接触が常に保証されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−515250(P2013−515250A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545139(P2012−545139)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007626
【国際公開番号】WO2011/076356
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(509201724)テノヴァ ソシエタ ペル アチオニ (4)
【Fターム(参考)】