説明

シリンダヘッドガスケット

【解決手段】 シリンダヘッドガスケット1を構成する第1シールプレート2および第2シールプレート3には中央の第3シールプレート4に向けて突出する第1、第2フルビード2a,3aが設けられ、第1、第2フルビード2a,3aは第3シールプレート4に強く密着して燃焼ガスをシールする密着部8を構成する。
第3シールプレート4はヘミング部10を備えており、該ヘミング部10と上記密着部8とによって空間9を形成するとともに、上記ヘミング部10には燃焼室孔5と上記空間9とを連通させるスリット10aが設けられている。
燃焼ガスが上記スリット10aを介して上記空間9に流入すると、自封効果によって第1シールプレート2および第3シールプレート4をそれぞれ上下に押圧するようになっている。
【効果】 良好なシール性を得ることができるとともに、容易に製造することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリンダヘッドガスケットに関し、より詳しくは、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間をシールするようにしたシリンダヘッドガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持され、燃焼室孔の穿設された複数枚のシールプレートからなるシリンダヘッドガスケットが知られている。
このようなシリンダヘッドガスケットとして、自封効果を利用してシリンダヘッドとシリンダブロック間をシールするようにしたシリンダヘッドガスケットが知られている(特許文献1)。
この特許文献1のシリンダヘッドガスケットは、シリンダヘッド側となるシールプレートに、上記燃焼室孔を囲んでシリンダヘッド側に突出する突出部を形成するとともに、この突出部の半径方向中央部分をシリンダブロック側に向けて突出させている。
また、シリンダブロック側となるシールプレートには、上記燃焼室孔を囲んでシリンダブロック側に突出する突出部を形成するとともに、この突出部の半径方向中央部分をシリンダヘッド側に向けて突出させている。
そして両シールプレートを重合させて、両方の突出部の半径方向中央部分を円周方向に連続して密着させるようにしている。
上記構成を有するシリンダヘッドガスケットによれば、両突出部の半径方向中央部分を相互に円周方向に連続して密着させているので、その間から外部に吹き抜けようとする燃焼ガスは、その圧力により一方の突出部をシリンダヘッド側に向けて押圧すると同時に、他方の突出部をシリンダブロック側に向けて押圧することとなる。
そして一方の突出部が燃焼ガスの圧力によりシリンダヘッドに押圧されると、その押圧部分のシール性が向上し、また他方の突出部が燃焼ガスの圧力によりシリンダブロックに押圧されるとその押圧部分のシール性も向上する。
そしてさらに、一方の突出部がシリンダヘッドに、他方の突出部がシリンダブロックに押圧されると、その反力により一方の突出部の半径方向中央部分と他方の突出部の半径方向中央部分とがより強く密着されるようになるので、その部分におけるシール性も向上するようになる。
つまり特許文献1のシリンダヘッドガスケットは、燃焼ガスの圧力を利用した自封効果により、良好なシール効果が得られるようになっている。
【特許文献1】特開2000−88105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記特許文献1のシリンダヘッドガスケットにおいては、シリンダヘッド側となるシールプレートとシリンダブロック側となるシールプレートとのそれぞれに突出部を形成し、この突出部の各半径方向中央部分を互いに円周方向に連続して密着させなければならないことから、両シールプレートを高精度に製造しなくてはならないという欠点があった。
本発明はそのような事情に鑑み、自封効果による良好なシール性を得ることができ、かつ容易に製造可能なシリンダヘッドガスケットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち本発明は、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持され、それぞれ燃焼室孔の形成された複数枚のシールプレートを備えたシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記燃焼室孔を囲繞してシールプレートを相互に強く密着させる密着部と、上記密着部よりも燃焼室孔側で該燃焼室孔を囲繞する封止手段と、この封止手段と上記密着部との間に形成した空間と、さらにこの空間を上記燃焼室孔に連通させる連通路とを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、シリンダヘッドガスケットをシリンダヘッドとシリンダブロックとで挟持すると、シールプレートの間には上記密着部と封止部材とによって空間が形成される。
この空間には連通路を介して燃焼ガスが流入するようになっており、この燃焼ガスは上記密着部によってシールされるため、シリンダヘッド側のシールプレートをシリンダヘッドに、シリンダブロック側のシールプレートをシリンダブロックにそれぞれ密着させることができる。
つまり、燃焼ガスの圧力を利用したいわゆる自封効果による良好なシール性を得ることができ、また上記封止部材と連通路を形成する構成であることからシリンダヘッドガスケットを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明にかかる第1の実施例について説明すると、図1、図2に示すシリンダヘッドガスケット1は図示しないシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持されて両者の間をシールするようになっている。
シリンダヘッドガスケット1は相互に重合された3枚の第1〜第3シールプレート2〜4を備え、第1シールプレート2は上方に位置してシリンダヘッドに当接し、第2シールプレート3は下方に位置してシリンダブロックに当接し、第3シールプレート4はこれら第1、第2シールプレート2、3の間に位置している。
これら第1〜第3シールプレート2〜4にはそれぞれシリンダボアに合わせて形成された複数の燃焼室孔5と、締結ボルトを挿通するための複数のボルト孔6と、冷却水を流通させるための水孔7と、潤滑油を流通させるための油孔(図示せず)とが形成されている。
また、上方の第1シールプレート2の表面すなわちシリンダヘッドとの接触面には、フッ素、ニトリル系等のゴム又はエラストマーの材料などのコーティング材が塗布されており、また下方の第2シールプレート3の表面すなわちシリンダブロックとの接触面にも同様なコーティング材が塗布されている。
さらに第1シールプレート2と第3シールプレート4との接触面、および第3シールプレート4と第2シールプレート3との接触面にも、それぞれ上記コーティング材が塗布されている。
上記コーティング材は、それぞれ相手材との密着性、シール性を向上させる目的で設けたものであるが、さらに必要に応じて、すべり性や非粘着性を確保するために、上記コーティング材の表面にグラファイトやワックスなどのトップコートを施してもよい。
【0007】
上記第1、第2シールプレート2、3には、上記燃焼室孔5を無端状に囲繞する第1、第2フルビード2a,3aが形成されており、第1フルビード2aは第2シールプレート3に向けて突出するように形成され、第2フルビード3aは第1シールプレート2に向けて突出するように形成されている。
このため、シリンダヘッドガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持すると、第1フルビード2aの頂部と第3シールプレート4とが強く密着して密着部8を形成し、該密着部8により燃焼室で発生した燃焼ガスをシールするようになっている。
一方、上記第2フルビード3aの頂部も第3シールプレート4に強く密着して密着部8を形成するようになっており、該密着部8により燃焼室で発生した燃焼ガスをシールするようになっている。
【0008】
次に、上記第3シールプレート4の第1シールプレート2側には燃焼室孔5を囲繞するように封止手段としてのヘミング部10が形成されている。
このヘミング部10は、第3シールプレート4に燃焼室孔5の径よりも小径の孔を穿設し、その後燃焼室孔5の位置でヘミング加工により折り返して形成したものとなっている。
またヘミング部10の先端は上記第1フルビード2aによる密着部8よりも燃焼室孔5側に位置しており、ヘミング部10の上面には上記コーティング材が塗布されている。
このため、シリンダヘッドガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持すると、ヘミング部10と第1シールプレート2とは気密を保った状態で強く密着し、燃焼室で発生した燃焼ガスをシールするようになっている。
以上のことから、シリンダヘッドガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持すると、第1シールプレート2と第3シールプレート4との間には、上記ヘミング部10および上記密着部8との間に空間9が形成されることとなる。
【0009】
そして、上記ヘミング部10には連通路として少なくとも一つのスリット10aが形成され、該スリット10aにより上記空間9と燃焼室孔5とが相互に連通するようになっている。
このスリット10aは第3シールプレート4を製造する際に、燃焼室孔5よりも小径の孔を穿設するのと同時に第3シールプレート4を貫通する切欠きを形成し、その後ヘミング加工によりヘミング部10を形成すると、上記切欠きがスリット10aとして形成されるようにしたものである。
このスリット10aを形成したことにより、燃焼室で発生した燃焼ガスはスリット10aを介して第1シールプレート2と第3シールプレート4との間に形成された上記空間9に流入することとなる。
空間9に流入した燃焼ガスは、自封効果により第1シールプレート2をシリンダヘッド側に押圧し、また第3シールプレート4をシリンダブロック側に押圧することとなる。
その結果、第1シールプレート2とシリンダヘッドとが強く密着してこれらの間をシールすることができる。一方、第3シールプレート4は第2シールプレート3を押圧するので、第2シールプレート3とシリンダブロックとが強く密着し、これらの間を燃焼ガスが漏洩しないようにシールすることができる。
このように、自封効果によって燃焼室孔5の周辺のシール性を向上させることができるので、エンジン組み立ての際における締結ボルトの締め付け力を小さくしても良好なシール性を得ることができる。
このため、シリンダヘッドガスケット1の耐久性を向上させることができ、またシリンダブロックがアルミ製の場合に、締め付けによる圧痕が生じないようにすることができるため、該圧痕によるシール性能の低下もない。
さらに、密着部8とヘミング部10とを設けて第1シールプレート2と第3シールプレート4との間に上記空間9を形成し、この空間9と燃焼室孔5とを連通させるスリット10aを形成するだけでよいので、容易に製造することが可能となっている。
【0010】
なお、この第1の実施例におけるシリンダヘッドガスケット1おいて、上記ヘミング部10に代えて、封止部材として所定厚さのシムを第1シールプレート2と第3シールプレート4との間に設けてもよい。
この場合、燃焼室孔5と上記空間9とを連通させる連通路として、シムの表面に溝を形成したりスリットを形成すれば、上記実施例と同様、自封効果による良好なシール性を容易に得ることができる。
また、この第1の実施例におけるシリンダヘッドガスケット1の第3シールプレート4に、上記ヘミング部10とは反対側に連通路としての溝を形成した封止部材としてのシムを設けてもよい。
このような構成とすれば、上記シムによって第2シールプレート3と第3シールプレート4との間にも、上記第2フルビード3aによる密着部8と上記シムとの間で空間が形成されることとなる。
そしてこの空間には上記溝を介して燃焼ガスが流入するので、自封効果により第2シールプレート3がシリンダブロックに強く密着するようになり、良好なシール性を得ることができる。
【0011】
図3は第2の実施例にかかるシリンダヘッドガスケット1を示している。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1は第1、第2シールプレート2、3から構成され、第1、第2シールプレート2、3には上記第1実施例のシリンダヘッドガスケット1と同様、燃焼室孔5、ボルト孔、水孔、油孔がそれぞれ形成されている。
また、第1、第2シールプレート2、3にはそれぞれ相互に対向する方向に第1、第2フルビード2a,3aが形成され、これら第1、第2フルビード2a,3aの頂部同士が強く密着することで密着部8を構成し、燃焼ガスをシールするようになっている。
そして、第1シールプレート2にはリング状のシム11が固定され、このシム11には連通路として少なくとも一つの溝11aが形成されている。
【0012】
このような構成を有するシリンダヘッドガスケット1によれば、シリンダヘッドガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持すると、第1シールプレート2と第2シールプレート3との間には、上記シム11および上記密着部8との間に空間9が形成されることとなる。
一方、上記シム11には上記溝11aが形成されているため、燃焼ガスはこの溝11aを介して上記空間9内に進入し、自封効果により第1シールプレート2がシリンダヘッドに強く密着し、第2シールプレート3がシリンダブロックに強く密着して、燃焼ガスをシールするようになっている。
このように、本実施例によるシリンダヘッドガスケット1も自封効果により良好なシール性を有しており、また容易に製造することが可能である。
なお、この第2実施例において、上記シム11を上記第1実施例のようなヘミング部としても良く、このヘミング部に連通路としてスリットを形成すれば、本実施例と同様の効果を得ることができる。
【0013】
図4は上記第2実施例におけるシム11を異なる構造のシム11としたものであり、このシム11はいわゆるハニカム構造を有している。
このハニカム構造を構成する無数の通路11bは燃焼室孔5から放射状に向けて形成されており、この各通路11bは燃焼室孔5と上記空間9とを相互に連通させる連通路を構成している。
このような構成により、燃焼ガスが上記各通路11bを介して空間9に進入するので、自封効果によって上記第2実施例と同様の効果を得ることができる。
【0014】
図5は第3の実施例にかかるシリンダヘッドガスケット1を示している。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1は第1実施例と同様、第1〜第3シールプレート2〜4によって構成され、第1〜第3シールプレート2〜4には上記第1実施例のシリンダヘッドガスケット1と同様、燃焼室孔5、ボルト孔、水孔、油孔がそれぞれ形成されている。
また、第1、第2シールプレート2、3には第1、第2フルビード2a,3aが形成され、第1フルビード2aと第3シールプレート4との当接部と、第2フルビード3aと第3シールプレート4との当接部とはそれぞれ強く密着し、燃焼ガスをシールする密着部8を形成している。
そして、第3シールプレート4には、該燃焼室孔5から放射状に形成された複数の突起によって波型部12が形成され、この放射状の波型部12の上方側および下方側の頂部はそれぞれ第3シールプレート4の平端部よりも上方および下方に突出している。
このような構成により、波型部12の各突起の頂部と第1シールプレート2とは相互に強く密着し、これにより第1シールプレート2と第3シールプレート4との間には、波型部12と密着部8との間に空間9が形成され、これと同様、第2シールプレート3と第3シールプレート4との間にも空間9が形成される。
一方、波型部12を形成する各突起と突起との間には燃焼室孔5と上記空間9とを連通させる連通路12aが形成されるため、この連通路12aを介して燃焼ガスが上記空間9に流入するようになっている。
このような構成を有するシリンダヘッドガスケット1によれば、連通路12aを介して流入した燃焼ガスは上記密着部8によってシールされるため、自封効果により第1シールプレート2がシリンダヘッドに、第2シールプレート3がシリンダブロックにそれぞれ強く密着し、良好なシール性を得ることができる。
また、第1、第2フルビード2a,3aと、燃焼室孔5を囲繞する放射状の波型部12とを形成すればよいので、容易にシリンダヘッドガスケット1を製造することができる。
【0015】
図6は第4の実施例にかかるシリンダヘッドガスケット1を示している。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1は第1実施例と同様、第1〜第3シールプレート2〜4によって構成され、第1〜第3シールプレート2〜4には上記第1実施例のシリンダヘッドガスケット1と同様、燃焼室孔5、ボルト孔、水孔、油孔がそれぞれ形成されている。
また、第1、第2シールプレート2、3には第1、第2フルビード2a,3aが形成され、第1フルビード2aと第3シールプレート4との当接部と、第2フルビード3aと第3シールプレート4との当接部とでそれぞれ強く密着し、燃焼ガスをシールする密着部8を形成している。
一方第3シールプレート4には、該燃焼室孔5を囲繞する複数の突起からなる環状の波型部13が形成され、この環状の波型部13の上方側および下方側の頂部はそれぞれ第3シールプレート4の平端部よりも上方および下方に突出している。
このような構成により、波型部13の各突起の頂部と第1シールプレート2とは相互に強く密着し、これにより第1シールプレート2と第3シールプレート4との間には波型部13と密着部8との間に空間9が形成され、これと同様、第2シールプレート3と第3シールプレート4との間にも空間9が形成される。
一方、環状の波型部13の一部には、上記突起を変形させるなどして燃焼室孔5と上記空間9とを連通させる溝13aが形成されており、この溝13aを介して燃焼ガスが上記空間9に流入するようになっている。
このような構成を有するシリンダヘッドガスケット1によれば、溝13aを介して流入した燃焼ガスは上記密着部8によってシールされ、自封効果により第1シールプレート2がシリンダヘッドに、第2シールプレート3がシリンダブロックにそれぞれ強く密着するので、良好なシール性を得ることができる。
また、第1、第2フルビード2a,3aと燃焼室孔5を囲繞するように環状の波型部13を形成すればよいので、容易にシリンダヘッドガスケット1を製造することができる。
【0016】
図7は第5の実施例にかかるシリンダヘッドガスケット1を示している。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1は第1実施例と同様、第1〜第3シールプレート2〜4によって構成され、第1〜第3シールプレート2〜4には上記第1実施例のシリンダヘッドガスケット1と同様、燃焼室孔5、ボルト孔、水孔、油孔がそれぞれ形成されている。
また、第1、第2シールプレート2、3には第1、第2フルビード2a,3aが形成され、第1フルビード2aと第3シールプレート4との当接部と、第2フルビード3aと第3シールプレート4との当接部とでそれぞれ強く密着し、燃焼ガスをシールする密着部8を形成している。
さらに、第1、第2シールプレート2、3の燃焼室孔5の部分には、それぞれ第3シールプレート4に向けてヘミング加工により折り曲げられたヘミング部14,15が形成されており、このヘミング部14,15はそれぞれ上記第3シールプレート4に当接するようになっている。
このような構成により、第1シールプレート2と第3シールプレート4との間および、第2シールプレート3と第3シールプレート4との間には、ヘミング部14,15と第1、第2フルビード2a,3aによる密着部8との間でそれぞれ空間9が形成されることとなる。
一方第3シールプレート4には、上下に貫通する連通孔としてのスリット16が設けられており、このスリット16の先端は上記ヘミング部14,15よりも密着部8側まで設けられている。これにより燃焼室孔5と上記空間9とが相互に連通するようになっている。
このような構成を有するシリンダヘッドガスケット1によれば、上記スリット16を介して上記空間9に流入した燃焼ガスは、上記密着部8によってシールされ、自封効果により第1シールプレート2をシリンダヘッド側に、第2シールプレート3をシリンダブロック側にそれぞれ強く押圧するので、良好なシール性を得ることができる。
また、第1、第2シールプレート2、3にヘミング部14,15を設けるとともに、第3シールプレート4にスリット16を設ける構成であることから、容易にシリンダヘッドガスケット1を製造することができる。
【0017】
なお、上記各実施例ではフルビードを対向するシールプレートまたはフルビードに強く密着させることで上記密着部8を形成しているが、この密着部8を形成する方法として、他にもシールプレート同士をレーザ溶接やポリイミド系、無機質系などの耐熱性を有する接着剤を用いて密着させることも可能である。
いずれの場合であっても、各シールプレート間を漏洩しようとする燃焼ガスをシールすることができればよく、特に接着剤を用いる場合には上記接着部よりもさらに外側となる部分の全面を接着してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの平面図。
【図2】第1の実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの断面図。
【図3】第2の実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの断面図。
【図4】第2の実施例に対し、異なる構造のシムを用いたシリンダヘッドガスケットの断面図。
【図5】第3の実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの断面図。
【図6】第4の実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの断面図。
【図7】第5の実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 シリンダヘッドガスケット 2〜4 第1〜第3シールプレート
5 燃焼室孔 8 密着部
9 空間 10 ヘミング部
10a スリット 11 シム
11a 溝 11b 通路
12 波型部 12a 連通路
13 波型部 13a 溝
16 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持され、それぞれ燃焼室孔の形成された複数枚のシールプレートを備えたシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記燃焼室孔を囲繞してシールプレートを相互に強く密着させる密着部と、上記密着部よりも燃焼室孔側で該燃焼室孔を囲繞する封止手段と、この封止手段と上記密着部との間に形成した空間と、さらにこの空間を上記燃焼室孔に連通させる連通路とを設けたことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
【請求項2】
上記封止手段は少なくとも1枚のシールプレートを他方のシールプレートに向けて折り曲げて形成したヘミング部、またはシールプレートとシールプレートとの間に設けたシムであることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項3】
上記封止手段は燃焼室孔より放射状に向けて形成された多数の通路を備えたハニカム状のシムであって、上記連通路は上記各通路であることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項4】
上記連通路は、上記封止手段に形成したスリット、または溝であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項5】
3枚のシールプレートを備え、中央のシールプレートに上記封止手段として燃焼室孔より放射状に形成された複数の突起からなる波型部を設け、上記連通路は上記波型部を形成する各突起と突起との間に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項6】
3枚のシールプレートを備え、中央のシールプレートに上記封止手段として燃焼室孔を囲繞する環状の突起からなる波型部を形成し、上記連通路は上記波型部を横切って上記空間と燃焼室孔とを連通させる溝であることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項7】
3枚のシールプレートを備え、外側に位置するシールプレートに封止手段として中央のシールプレートに向けて折り曲げたヘミング部を設け、中央のシールプレートに連通路として上記ヘミング部の先端よりも密着部側まで形成されたスリットを設けることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項8】
上記密着部は、少なくともいずれか一方のシールプレートより他方のシールプレートに向けて突出するフルビードと、該フルビードの当接する他方のシールプレートとの接触部に形成するか、またはシールプレート同士を溶接して形成することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシリンダヘッドガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−114863(P2009−114863A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285259(P2007−285259)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000228383)日本ガスケット株式会社 (43)
【Fターム(参考)】