シリンダ式バルブの位置決構造
【課題】水栓の本体ボデーに対してシリンダ式バルブを位置決めする位置決リングにハンドルの回転規制のためのストッパ凸部を設けた場合において、ハンドルを強い力で回転させてもストッパ凸部が損傷することのない位置決構造を提供する。
【解決手段】位置決リング56に、リング外面から径方向外方に突出し、本体ボデー12の第1係合凹部78に回転方向に係合する第1係合凸部76と、軸方向に突出し弁ケース28の第2係合凹部82に回転方向に係合する第2係合凸部80とを設ける。位置決リング56にはまた、ハンドル16側の回転駆動軸58を回転規制するためのストッパ凸部84を径方向内方に突出する状態で設け、且つストッパ凸部84を第1係合凸部76に対し軸方向に重複する位置に設けておく。
【解決手段】位置決リング56に、リング外面から径方向外方に突出し、本体ボデー12の第1係合凹部78に回転方向に係合する第1係合凸部76と、軸方向に突出し弁ケース28の第2係合凹部82に回転方向に係合する第2係合凸部80とを設ける。位置決リング56にはまた、ハンドル16側の回転駆動軸58を回転規制するためのストッパ凸部84を径方向内方に突出する状態で設け、且つストッパ凸部84を第1係合凸部76に対し軸方向に重複する位置に設けておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は円筒形状をなすシリンダ弁体と、その外側の円筒形状をなす弁ケースとを有するシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決めする位置決構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓におけるバルブとして、円筒形状のシリンダ弁体を外側の円筒形状の弁ケースに回転可能に内嵌させるとともに、それぞれの周壁を内外に貫通する通水用の開口を形成し、シリンダ弁体を回転させることによって、弁ケースの開口に対するシリンダ弁体の開口を位置変化させ、以って水路の開度変化を行うようになしたシリンダ式バルブが用いられている。
【0003】
このシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決するための位置決構造として、それら本体ボデーとバルブの弁ケースとに跨って位置決リングを装着し、かかる位置決リングを介して本体ボデーと弁ケースとを位置決するようになしたものが公知である。
例えば下記特許文献1にその一例が開示されている。
図19はその一具体例を示している。
【0004】
図19において、200は円筒形状をなす水栓の本体ボデーで、開口側の軸方向の端部(図中左端部)の内面側且つ周方向(回転方向)に180°隔たった2個所に、第1係合凹部202が設けられている。
204は、本体ボデー200の軸端の開口を通じその内部に組み込まれるシリンダ式バルブで、円筒形状をなす弁ケース206の内部に、同じく円筒形状をなすシリンダ弁体が回転可能に内嵌されている。
このシリンダ弁体からは弁軸部208が弁ケース206の外側に突出している。
【0005】
弁ケース206には、軸方向端部(図中左端部)の外面に且つ周方向(回転方向)に180°隔たった2個所に第2係合凹部207が設けられており、またハンドル218を回転規制するための円弧状をなすストッパ凸部210が軸方向に突出する状態で一
体に構成されている。
【0006】
212はシリンダ式バルブ204、詳しくは弁ケース206を水栓の本体ボデー200に対し回転方向に位置決めするための位置決リングで、この位置決リング212は、リング外面から径方向に突出し、第1係合凹部202に対し回転方向に係合する第1係合凸部214と、リング内面から径方向内方に突出し、弁ケース206の第2係合凹部207に対し回転方向に係合する第2係合凸部216とを各一対有している。
【0007】
この位置決リング212は、第1係合凸部214を本体ボデー200の第1係合凹部202に、また第2係合凸部216を弁ケース206の第2係合凹部207に係合させる状態に、それら本体ボデー200と弁ケース206とに跨って装着され、各係合凸部と係合凹部との係合に基づいて、弁ケース206を本体ボデー200に対し回転方向に位置決めする。
【0008】
ハンドル218は、中心部にシリンダ弁体の弁軸部208に嵌り合って係合する係合孔220を有しており、その係合孔220と弁軸部208との係合に基づいて、加えらえた操作力によりシリンダ弁体を回転させる。
ハンドル218にはまた、弁ケース206に一体に構成されたストッパ凸部210を挿入させる溝224と、ハンドル218の回転規制を行うためのストッパ凸部222とを有している。
このストッパ凸部222は、周方向両端に当接面226を備えている。
【0009】
図19に示すものにおいては、ハンドル218を回転操作すると、弁軸部208にてシリンダ弁体が回転し、そしてある回転位置に至ると、ハンドル218側の一対の当接面226の一方が、弁ケース206のストッパ凸部210の周方向両端の一対のストッパ面209の一方に当接し、ここにおいてハンドル218の更なる回転が規制される。
またハンドル218を逆方向に回転操作したときにも、ハンドル218の他方の当接面226が、ストッパ凸部210の他方のストッパ面209に当接し、更なる回転が規制される。
【0010】
しかしながらこの図19に示す位置決構造の場合、ハンドル218の回転の力が、弁ケース206のストッパ凸部210に伝わり、更に弁ケース206の第2係合凹部207から位置決リング212の第2係合凸部216に、更に外向きの第1係合部214から本体ボデー200に伝わって、ハンドル218の回転規制が行われるため、ハンドル218を強い力で回転操作したときに、弁ケース206のストッパ凸部210に大きな力(回転トルク)がかかり、場合によってストッパ凸部210が破壊したり損傷したりしてしまう恐れがある。
【0011】
特許文献1にはまた、位置決リング自体にストッパ凸部を設けて、このストッパ凸部によりハンドルの回転を規制するようになした例も開示されている。図20はその具体例を示している。
図20において、212は軸方向に長い円筒形状をなす位置決リングで、その外面に径方向外方に突出する第1係合凸部214が設けられ、また軸方向(図中下方)に突出する形態で第2係合凸部216が設けられている。
この位置決リング212は、第1係合凸部214を水栓の本体ボデー200の第1係合凹部202に係合させ、また第2係合凸部216を弁ケース204の第2係合凹部207に係合させることで、弁ケース204を本体ボデー200に対し回転方向に位置決めする。
この例では、ハンドルと一体回転するハンドル側の回転駆動軸228に、円弧形状のストッパ凸部222が一体に構成され、このストッパ凸部222の周方向の両端面が当接面226とされている。
【0012】
一方位置決リング212には、径方向内方に突出するストッパ凸部210が、第1係合凸部214に対し軸方向に隔たった位置、具体的には図中下側位置に一体に構成され、このストッパ凸部210の周方向の両端面がストッパ面209とされている。
ここでストッパ凸部210の一対のストッパ面209は、何れも回転駆動軸228の回転中心(軸心)Oを中心とする放射方向の面をなしている。
【0013】
この図20に示すものでは、ハンドルの回転駆動力、具体的には回転駆動軸228からの力が、弁ケース204を経由しないで直接位置決リング212を介して本体ボデー200に伝わるものであり、従ってハンドルの強い回転力が弁ケース204に対し働くといったことはない。
【0014】
しかしながらこの図20に示すものにおいては、ハンドルの回転駆動力を直接受ける位置決リング212のストッパ凸部210と、位置決リング212を本体ボデー200に回転方向に固定する外向きの第1係合凸部214とが軸方向に隔たって位置しているため、ストッパ凸部210に対し回転駆動軸228からの回転駆動力が強く働いたときに、軸方向に長い位置決リング212に対し捩りの力が働いてしまうとともに、ハンドルに加えた力が効果的に本体ボデー200に伝わらず、従ってハンドルに対する回転規制力が効率的にハンドルに伝わらない問題がある。
【0015】
更にこの図20に示すものにおいては、位置決リング212におけるストッパ凸部210の一対のストッパ面209が、回転駆動軸228の回転中心Oを中心とした放射方向の面をなしていて、ストッパ作用時(回転規制時)にストッパ凸部210に対し大きな剪断力が働くため、ハンドルを強く回したときにそのストッパ凸部210が損傷を生じる恐れを有している。
【0016】
また図20に示すものでは、ハンドル側の回転駆動軸228が、ストッパリング212に対し図中下側から上向きに、即ちシリンダ弁体の側からハンドル側に挿入される構造であるため、回転駆動軸228の軸径を大きくすること、即ち軸強度を一定以上に大きくすることが難しいといった問題が内在する。
【0017】
【特許文献1】特開2002−323153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は以上のような事情を背景とし、位置決リングにハンドルの回転規制のためのストッパ凸部を設けた場合においても、ストッパ凸部に働くハンドルからの力を効率高く本体ボデーに伝え得て、ハンドルに対する回転規制を良好に行うことのできるシリンダ式バルブの位置決構造を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、ハンドルを強い力で回転させた場合においても、ストッパ凸部が折れたり欠けたりする等の損傷を生じるのを有効に防止することを目的とする。
また本発明の他の目的は、ハンドル側の回転駆動軸の軸径を大となし得て軸強度を強くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
而して請求項1のものは、円筒形状のシリンダ弁体及びその外側の円筒形状の弁ケースの周方向所定位置に周壁を内外に貫通する通水用の開口をそれぞれ形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転により、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させて水路の開度変化を行うシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決めする位置決構造であって、前記本体ボデーに第1係合凹部を、前記弁ケースに第2係合凹部を設ける一方、リング外面から径方向外方に突出し該第1係合凹部に対し回転方向に係合する第1係合凸部と、軸方向に突出し前記第2係合凹部に対し回転方向に係合する第2係合凸部とを有する位置決リングを、それら本体ボデーと弁ケースとに跨って装着して、該位置決リングを介し該弁ケースを該本体ボデーに対し回転方向に位置決するようになし、該位置決リングは、該本体ボデーとハンドル側の回転駆動軸とに跨る位置に配置して、該位置決リングの内面に径方向内方に突出するストッパ凸部を設け、該ストッパ凸部に対し前記回転駆動軸に径方向外方に突出する状態で設けた当接部を回転方向に当接させることにより、ハンドルの回転規制を行うようになしてあり、且つ前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し少なくとも一部が軸方向に重複する位置に設けてあることを特徴とする。
【0020】
請求項2のものは、請求項1において、前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し前記回転方向の同一位置に設けてあることを特徴とする。
【0021】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ凸部の前記当接部への当り面となるストッパ面が、前記回転駆動軸の回転中心を中心とする放射方向の面に対し、該ストッパ凸部の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて該放射方向の面から前記回転駆動軸の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしてあることを特徴とする。
【0022】
請求項4のものは、請求項3において、前記当接部における当接面が、該ストッパ面に対応した形状で傾斜した面となしてあることを特徴とする。
【0023】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記位置決リングは、前記回転駆動軸を前記シリンダ弁体とは反対側から内部に挿入させるものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0024】
以上のように本発明は、位置決リングにハンドルの回転規制のためのストッパ凸部を設け、且つこのストッパ凸部を、位置決リングにおける水栓の本体ボデーとの位置決用の第1係合凸部に対し、少なくとも一部が軸方向に重複する位置に設けたものである。
【0025】
本発明によれば、位置決リングのストッパ凸部をハンドル側の回転駆動軸の当接部に当ててハンドルの回転規制を行う際、ストッパ凸部と第1係合凸部とが少なくとも部分的に軸方向に重なる位置に設けてあるため、ハンドルに加えられた回転の力によって位置決リングがねじり力を受けるのを回避し得、ハンドルからの回転の力をストッパ凸部からそのまま第1係合凸部に、更にその第1係合凸部を介して水栓の本体ボデーに直接的に伝えることができる。
即ちハンドルからの力を効率高く本体ボデーに伝えることができ、これによりハンドルに対する回転規制を良好且つ安定的に行うことができる。
本発明では、特に第1係合凸部全体にストッパ凸部を軸方向に重複させておくことが望ましい。
【0026】
本発明ではまた、ストッパ凸部を第1係合部に対し、周方向(回転方向)の同一位置に設けておくことが望ましい(請求項2)。
このようにすることで、ストッパ凸部に加わったハンドルからの力を、より効率高く第1係合凸部に伝え、更にその第1係合凸部から水栓の本体ボデーへと直接的に伝えることができる。
【0027】
次に請求項3は、ストッパ凸部のストッパ面を、回転駆動軸の回転中心を中心とした放射方向の面に対し、ストッパ凸部の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて放射方向の面から回転駆動軸の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしたものである。
【0028】
前述したようにこのストッパ面を放射方向の面となしておくと、ストッパ作用時にストッパ凸部に対し大きな剪断力が働き、ハンドルを強い力で回転したときに、その剪断力によってストッパ凸部が破壊や損傷を生じ易い問題がある。
【0029】
しかるにこの請求項3では、かかるストッパ面を放射方向の面に対し傾斜した面となしてあるため、ストッパ面に対し回転駆動軸の当接部が当って回転力が働いたとき、その力を、ストッパ凸部を径方向外方に向って圧縮する向きの力となすことができる。
即ち当接部からの力をストッパ凸部に対する径方向外方への圧縮力として働かせるようになすことができる。
これにより、ハンドルを回転規制する際の力でストッパ凸部が切断や破壊或いは損傷するのを効果的に防止することができる。
【0030】
加えてこの請求項3によれば、特に請求項2に従って第1係合凸部とストッパ凸部とを周方向の同一位置に設けてある場合、回転駆動軸の当接部からの力を、効果的に位置決リングの外面の第1係合凸部を本体ボデーの第1係合凹部に押し付ける向きの力として作用させることができ、ハンドルからの力をより効率高く本体ボデーへと伝達することができる。
即ち本体ボデーによる回転規制のための支持力を効率高くハンドル側へと及ぼすことができ、ハンドルの回転規制をより良好に行うことができる。
またこの請求項3によれば、ハンドルの回転規制のための力によって、第1係合凸部が損傷するのも有効に回避することができる。
尚請求項3において、上記ストッパ面は完全な平坦面でなくても良く、多少湾曲した面となしておいても良い。
【0031】
次に請求項4は、回転駆動軸における当接部の当接面を、上記ストッパ面に全面(周方向に重複する面の全面)で当接させるように、かかる当接面をストッパ面に対応した形状の傾斜した面となしたもので、この請求項4によれば、ストッパ面と当接面との接触面積を大となし得て面圧を小となすことができ、ストッパ凸部の損傷を更に有効に防止することができるとともに、回転駆動軸からの回転の力を更に効率高く本体ボデーへと伝達し、本体ボデーによるハンドル回転のための規制力をより良好にハンドル側に及ぼすことができる。
【0032】
次に請求項5は、位置決リングに対し上記回転駆動軸をシリンダ弁体とは反対側から内部に挿入する構造となしたもので、この請求項5によれば、回転駆動軸の軸径を大となし得、軸強度をより高強度となすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
【0034】
12は円筒形状をなす水栓10の本体ボデーで、この本体ボデー12から吐水部14が前方斜め下向きに突き出しており、また本体ボデー12の先端側には回転式のハンドル16が設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
【0035】
本体ボデー12は、図2及び図3に示しているように軸方向端部に雄ねじ管21を備えており、この雄ねじ管21が壁Wを貫通して裏側に突き出している。そして壁Wの裏側に突き出した雄ねじ管21に対し、図示を省略する固定ナットがねじ込まれることにより、本体ボデー12が大径のフランジ部23にて壁Wの表側を挟み付ける状態に壁Wに取り付けられるようになっている。
【0036】
図2及び図3に示しているように、本体ボデー14の内部には水路22の開度(遮断又は開放を含む)を制御するシリンダ式バルブ(以下単にバルブとする)24が組み込まれている。
このバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、その外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
【0037】
図13にも示しているように、シリンダ弁体26には周方向に180°隔たった2個所に周壁を内外に貫通する一対の通水用の開口30,32が形成されている。
また同じく弁ケース28の側にも開口30,32に対応する位置において、弁ケース28の周壁を内外に貫通する開口34,36が設けられている。
【0038】
これらシリンダ弁体26,弁ケース28を有する本例のバルブ24の場合、ハンドル16の操作によってシリンダ弁体26を回転させて位置変化させ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32を弁ケース28の開口34,36に完全一致させた状態で水路22が完全開放され、水路22を通じて送られてきた水が吐水口20から外部に吐水される。
【0039】
また一方ハンドル16の操作によって、シリンダ弁体26が上記の位置と異なる位置に回転させられ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32が弁ケース28の開口34,36に完全不一致となった状態で水路22が遮断され、吐水口20からの吐水が停止(止水)する。
更にシリンダ弁体26の開口30,32と弁ケース28の開口34,36とが重なり合った状態で、且つその重なり合った面積が変化することで、吐水口20から外部に吐水される水量が調節される。
【0040】
シリンダ弁体26には、これと別体をなす弁軸部38が一体回転状態に連結されている。
この弁軸部38には、図4,図6,図11及び図15に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに径方向に弾性を有する止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
【0041】
そして弁軸部38が弁ケース28の挿通孔46を軸方向に挿通した状態で、この止め輪44と弁軸部38の後述の大径の雄嵌合部90とが弁ケース28の内向きのフランジ部48を軸方向に挟み込む状態に、弁軸部38が弁ケース28に対し軸方向に固定され組み付けられている。
【0042】
図3,図4,図6,図8に示しているように本体ボデー12の図中左端部の内面には雌ねじ50が形成されており、そこに外面に雄ねじ52を有する固定リング54がねじ込まれている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、バルブ24が後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
【0043】
図4及び図5において、58はハンドル16とともに一体回転するハンドル16側の回転駆動軸(本実施形態では樹脂製)で、ここではハンドル16とは別体に構成されてハンドル16に対し一体回転状態に連結されている。
回転駆動軸58は、ハンドル16に加えられた操作力を上記弁軸部38に伝達してこれを一体回転させる。
この回転駆動軸58には、図中左端部の外面に図4に示しているように雄セレーション部60が設けられている。
一方ハンドル18の内面には、図4に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、回転駆動軸58がハンドル16と一体回転するようになっている。
【0044】
一方、回転駆動軸58は図5,図6に示すように図中右端側に嵌合孔64を有しており、この嵌合孔64において弁軸部38に嵌合させられている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ部66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と回転駆動軸58とが軸方向に締結されている。
図4に示しているように、弁軸部38は図中左端部が略四角形状をなしているとともに、軸直角方向に突出する突条70を備えている。
【0045】
一方これに嵌合する回転駆動軸58の嵌合孔64には、図6中左側の奥部に、弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、回転駆動軸58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
【0046】
上記位置決リング56は、図4,図5及び図7に示しているように軸方向に所定長さを有する円環状の部材であって、外周面の周方向に隔たった2個所に、径方向外方に突出する第1係合凸部76を有しており、これら一対の第1係合凸部76が、図4及び図8に示しているように水栓10の本体ボデー12の内面に形成された、対応する第1係合凹部78に軸方向に挿入され、周方向即ち回転方向に係合することによって、位置決リング56自体の本体ボデー12に対する回転方向の位置が定められるようになっている。
【0047】
位置決リング56はまた、第1係合凸部76と同じ周方向位置において、軸方向に突出する一対の第2係合凸部80を有しており、これらが図4,図9及び図10に示しているようにバルブ24、詳しくはバルブケース28の対応する一対の第2係合凹部82に軸方向に挿入されて周方向即ち回転方向に係合することによって、位置決リング56とバルブ24との回転方向の位置が定められるようになっている。
即ち、バルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
【0048】
これら一対の第2係合凸部80の内面には、径方向内方に突出する掛止爪(掛止部)88が設けられており、これら掛止爪88によって、位置決リング56がバルブ24に組み付けられている。
詳しくは、図11に示しているように位置決リング56をバルブ24に対し軸方向に押し込むと、掛止爪88がバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を掛止爪88が乗り越えたところで、掛止爪88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって掛止した状態となる。これにより位置決リング56がバルブ24に組み付いた状態となる。
尚、各掛止爪88には図7及び図11(II)の部分拡大図に示しているように、位置決リング56を図中軸方向(図7中下方向)に押し込んで、第2係合凸部80をバルブケース28の第2係合凹部82に軸方向に挿入する際に、止め輪44を乗越えガイドする傾斜面89が、押込方向の先端側に設けられている。
【0049】
位置決リング56にはまた、更にその内面の2個所に、具体的には外面の第1係合凸部76と同じ周方向(回転方向)位置の2個所において、径方向内方に突出する一対のストッパ凸部84が設けられている。
これらストッパ凸部84は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
【0050】
詳しくは、ハンドル16とともに一体回転して弁軸部38を回転駆動する上記回転駆動軸58には、図5,図8に示しているように径方向外方に突出する一対の当接部86が備えられており、図12に示しているようにハンドル16を回転させたときにこれら当接部86が、位置決リング56の一対のストッパ凸部84に当接することによって、ハンドル16の回転が一定角度範囲内に規制される。
尚図12中(A)はハンドル16の全閉状態を、(B)はハンドル16の全開状態を示している。
【0051】
ここでストッパ凸部84は、位置決リング56におけるリング本体の軸方向の全幅に亘って設けられており、また外周側の第1係合凸部76も実質的にリング本体の全幅に亘って、厳密には図7(B)の左端から右端に僅かに届かない位置にかけて、実質的にリング本体の全幅に亘って設けられている。
即ちストッパ凸部84は、第1係合凸部76全体に対して軸方向に重複(オーバーラップ)する状態で設けられている。
更にこのストッパ凸部84は、第1係合凸部76に対し周方向の同一位置に設けられている。
ここで一対のストッパ凸部84は、それぞれ周方向の両端にストッパ面84-1,84-2を備えている。
【0052】
一方、回転駆動軸58の当接部86は、図6,図8に示しているように周方向の両端に当接面86-1,86-2を有している。
回転駆動軸58は、ハンドルとともに回転したときに当接面86-1がストッパ面84-1に当接することにより正方向の回転が規制され、また当接面86-2がストッパ面84-2に当接することによって逆方向の回転がそこで規制される。
尚、図8(B)はハンドルを開方向まで一杯に回転させて、最大開位置で回転規制したときの状態を表している。
【0053】
この実施形態において、ストッパ面84-1は、図9(イ)に示しているように回転駆動軸58の軸心、即ち回転中心Oを中心とする放射方向の面に対し、付根の位置から径方向内方の先端側に進むにつれて、放射方向の面から回転駆動軸58の回転方向に離れる向きに傾斜する傾斜面とされている。
【0054】
また同様に、図9(ロ)に示しているように当接面86-1もまた、回転中心Oを中心とする放射面に対し、径方向外方の先端から径方向内方に進むにつれて、放射方向の面から回転駆動軸58の回転方向に離れる向きの傾斜面とされている。
この点はストッパ凸部84における他方のストッパ面84-2、及び回転駆動軸58における当接部86の他方の当接面86-2もまた同様である。
ここでストッパ面84-1と当接面86-1、及びストッパ面84-2と当接面86-2とは何れも同一角度で傾斜する面をなしている。
【0055】
この実施形態では、図9(ハ)に示しているようにストッパ面84-1を当接面86-1に当てて回転駆動軸58、即ちハンドル16の回転規制を行う際、ストッパ面84-1及び当接面86-1の傾斜面の作用で、回転駆動軸58からの回転力がストッパ凸部84に対し剪断方向の力として働かず、図(ハ)中矢印で示しているようにストッパ凸部84を径方向外方に向って圧縮する向きの力として作用する。
またその結果として、当接部86を通じて加えられる回転力が位置決リング56における外周側の第1係合部76を、本体ボデー12における第1係合凹部72の周方向側面に直接押し付ける向きの力として働く。
【0056】
本実施形態ではまた、図2及び図3,図4及び図5に示しているように回転駆動軸58は、位置決リング56に対しシリンダ弁体26とは反対側(図中左側)からシリンダ弁体26側に(右側に)位置決リング56内に挿入される。
即ち回転駆動軸58は位置決リング56を通過しなくても良く、従って大きな軸径でこれを構成することができる。
【0057】
図13,図16及び図17にシリンダ弁体26と弁軸部38との組付構造が具体的に示してある。
これらの図に示しているように樹脂製とされた弁軸部38には図16,図17中下端部に大径の円形の雄嵌合部90が設けられており、この雄嵌合部90が、金属製とされたシリンダ弁体26の図中上端の開口からその内部に嵌入させられ、かかる雄嵌合部90がシリンダ弁体26の図中上端部(軸端部)の雌嵌合部92に弾性的に嵌合されている。
ここで雄嵌合部90の外周面には、図16(ロ)に示しているように周方向に180°隔たった2個所に、各一対の位置決突起94が径方向外方に突出する状態で一体に形成されている。
【0058】
一方シリンダ弁体26の図中上端部には、開口に続いて正面形状が矩形状の切欠き96が形成されており、そこに位置決突起94が嵌り込むことによって、弁軸部38とシリンダ弁体26との回転方向位置が規定されている。
【0059】
金属製のシリンダ弁体26は、図18(A)に示しているように金属製の板材100を絞り加工し、そして底部102を打ち抜いて除去して得た絞り加工品からなるものであって、図中上側の軸端部が、軸端の開口に至るまで開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、その湾曲部分の内側が全周に亘って係合爪98とされている。
【0060】
ここで径方向内方に突出する形態をなす係合爪98は、軸端の開口に向って漸次小径化して開口に至る形状をなしている。
一方湾曲部分の外面は、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面(R面)106をなしている(図16(ハ)参照)。
尚シリンダ弁体26の図中下端部には、フランジ部104が全周に亘って環状に形成されている。
【0061】
一方、弁軸部38の大径の雄嵌合部90の外周面には、図16(ロ)に示しているように周方向に略120°ずつ隔たった3個所に径方向外方に突出する係合突起108が設けられており、これら係合突起108がシリンダ弁体26の係合爪98に対し、軸方向且つ弁軸部38の抜き方向に係合させられ、それら係合突起108と係合爪98との係合により、弁軸部38とシリンダ弁体26とが軸方向に抜止状態に連結され組み付けられている。
【0062】
係合突起108は、図17に示しているように軸方向に延びる長手形状をなしており、その上端は鋭く屈曲した角部とされている。
一方、図中の下端部は下方に進むにつれて径方向内方に移行する傾斜面110とされている。
尚、雄嵌合部90の下端の外周縁部は曲面(R面)112とされている。
【0063】
図14及び図15において、114は弁ケース28の開口36縁部に装着されて、シリンダ弁体26と水栓の本体ボデー12との間を水密にシールするゴム等の弾性材で構成されたリング状のパッキンで、116はそのリング状をなすパッキン114の内周側に嵌込状態に装着されて、パッキン114の求心方向の変形を防止する硬質の拘束リングである。
【0064】
この実施形態では、図16(イ)に示しているように弁軸部38側の位置決突起94を、シリンダ弁体26の切欠き96に対し回転方向位置を合わせた状態で、弁軸部38をシリンダ弁体26の図中上端の開口を通じ下向きに弾性的に押し込んで内部に嵌入させ、弁軸部38の大径の雄嵌合部90と、シリンダ弁体26の雌嵌合部92とを弾性嵌合させる。
このとき、弁軸部38の位置決突起94がシリンダ弁体26の切欠き96に嵌り込んで係合し、これにより弁軸部38とシリンダ弁体26とが回転方向に位置決され固定される。
【0065】
このようにして弁軸部38をシリンダ弁体26に軸方向に押し込むとき、雄嵌合部90の外面に突出形成された、図17に示す複数の係合突起108が先ず傾斜面110のカム作用でシリンダ弁体26の図中上端部を弾性的に押し開き、続いて各係合突起108が、下向きの押込力でシリンダ弁体26の上端部に嵌入される。
【0066】
嵌入後において各係合突起108は、図17に示しているようにシリンダ弁体26の係合爪98に係合した状態となり、ここにおいて弁軸部38がシリンダ弁体26に対し軸方向に抜止状態に結合される。
尚、弁軸部38のシリンダ弁体26に対する押込量は、一対の位置決突起94が切欠き96の底部に当接することによって規定される。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、位置決リング56のストッパ凸部84をハンドル16側の回転駆動軸58の当接部86に当ててハンドルの回転規制を行う際、ストッパ凸部84が第1係合凸部76の全体に軸方向に重なる位置に設けてあるため、ハンドル16に加えられた回転の力によって位置決リング56がねじり力を受けるのを回避し得、ハンドル16からの回転の力をストッパ凸部84からそのまま第1係合凸部76に、更にその第1係合凸部76を介して水栓の本体ボデー12に直接的に伝えることができる。
即ちハンドル16からの力を効率高く本体ボデー12に伝えることができ、これによりハンドル16に対する回転規制を良好且つ安定的に行うことができる。
【0068】
またストッパ凸部84を第1係合凸部76に対し周方向(回転方向)の同一位置に設けているため、ストッパ凸部84に加わったハンドル16からの力を、より効率高く第1係合凸部76に伝え、更にその第1係合凸部76から水栓の本体ボデー12へと伝えることができる。
【0069】
更にストッパ凸部84におけるストッパ面84-1,84-2を、回転駆動軸の回転中心Oを中心とする放射方向の面に対し、ストッパ凸部84の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて放射方向の面から回転駆動軸58の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしてあるため、ストッパ面84-1,84-2に対し回転駆動軸38の当接部86が当ってストッパ凸部84に対し回転力が働いたとき、その力をストッパ凸部84を径方向外方に向って圧縮する向きの力として働かせることができ、これによりハンドル16を回転規制する際の力によりストッパ凸部84が損傷するのを効果的に防止することができる。
【0070】
加えて第1係合凸部76とストッパ凸部84とが周方向の同一位置に設けてあるため、回転駆動軸58の当接部86からの力を効果的に本体ボデー12の第1係合凹部78に対して第1係合凸部76を押し付ける向きの力として作用させることができ、ハンドル16からの力をより効率高く本体ボデー12へと伝達することができる。
即ち本体ボデー12による回転規制のための支持力を効率高くハンドル側へと及ぼすことができ、ハンドル16の回転規制をより良好に行うことができる。
またハンドル16の回転規制のための力によって、第1係合凸部76が損傷するのも有効に回避することができる。
【0071】
更に回転駆動軸58における当接部86の当接面86-1,86-2をストッパ面84-1,84-2に全面(周方向に重複する面の全面)で当接させるようになしているため、それらの接触面積を大となし得て面圧を小となすことができ、ストッパ凸部84の損傷を更に有効に防止することができるとともに、回転駆動軸58からの回転の力をより効率高く本体ボデー12へと伝達し、本体ボデー12によるハンドル回転の規制のための力を良好にハンドル16側に及ぼすことができる。
【0072】
また位置決リング56に対し回転駆動軸58をシリンダ弁体26とは反対側から内部に挿入する構造となしてあるため、回転駆動軸58の軸径を大となし得て、軸強度を高強度となすことができる。
【0073】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の適用対象である水栓の一例を外観状態で示す図である。
【図2】図1の水栓の平面断面図である。
【図3】図1の水栓の側面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態のシリンダ式バルブの位置決構造を水栓とともに分解して示した斜視図である。
【図5】図4の各部品を別の方向から示した斜視図である。
【図6】図4及び図5に示した各部品の側面断面図である。
【図7】同実施形態における位置決リングの単品図である。
【図8】図7の位置決リングと水栓の本体ボデー及び回転駆動軸との組付関係を示した図である。
【図9】同実施形態における作用説明図である。
【図10】図7の位置決リングと弁ケースとの位置決構造を示した図である。
【図11】図7の位置決リングと弁ケースとの組付構造を示した図である。
【図12】図7の位置決リングのハンドルに対する回転規制作用を示した作用説明図で、(A)は全閉状態を(B)は全開状態を表している。
【図13】シリンダ式バルブを組付状態で単体で示した図である。
【図14】図13のシリンダ式バルブを弁ケースとシリンダ弁体とに分解して示した斜視図である。
【図15】図13のシリンダ式バルブを弁ケースとシリンダ弁体とに分解して図13とは異なる方向で示した斜視図である。
【図16】シリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体と弁軸部との組付構造を示した図である。
【図17】図15のシリンダ弁体と弁軸部とを組み付けた状態で示す断面図である。
【図18】図15及び図16のシリンダ弁体の製造工程の要部を示した図である。
【図19】従来のシリンダ式バルブにおける位置決構造の一例を示した図である。
【図20】図19とは異なる位置決構造の従来例を示した図である。
【符号の説明】
【0075】
10 水栓
12 本体ボデー
22 水路
24 シリンダ式バルブ
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30 開口
56 位置決リング
58 回転駆動軸
76 第1係合凸部
78 第1係合凹部
80 第2係合凸部
82 第2係合凹部
84 ストッパ凸部
84-1,84-2 ストッパ面
86 当接部
86-1,86-2 当接面
【技術分野】
【0001】
この発明は円筒形状をなすシリンダ弁体と、その外側の円筒形状をなす弁ケースとを有するシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決めする位置決構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓におけるバルブとして、円筒形状のシリンダ弁体を外側の円筒形状の弁ケースに回転可能に内嵌させるとともに、それぞれの周壁を内外に貫通する通水用の開口を形成し、シリンダ弁体を回転させることによって、弁ケースの開口に対するシリンダ弁体の開口を位置変化させ、以って水路の開度変化を行うようになしたシリンダ式バルブが用いられている。
【0003】
このシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決するための位置決構造として、それら本体ボデーとバルブの弁ケースとに跨って位置決リングを装着し、かかる位置決リングを介して本体ボデーと弁ケースとを位置決するようになしたものが公知である。
例えば下記特許文献1にその一例が開示されている。
図19はその一具体例を示している。
【0004】
図19において、200は円筒形状をなす水栓の本体ボデーで、開口側の軸方向の端部(図中左端部)の内面側且つ周方向(回転方向)に180°隔たった2個所に、第1係合凹部202が設けられている。
204は、本体ボデー200の軸端の開口を通じその内部に組み込まれるシリンダ式バルブで、円筒形状をなす弁ケース206の内部に、同じく円筒形状をなすシリンダ弁体が回転可能に内嵌されている。
このシリンダ弁体からは弁軸部208が弁ケース206の外側に突出している。
【0005】
弁ケース206には、軸方向端部(図中左端部)の外面に且つ周方向(回転方向)に180°隔たった2個所に第2係合凹部207が設けられており、またハンドル218を回転規制するための円弧状をなすストッパ凸部210が軸方向に突出する状態で一
体に構成されている。
【0006】
212はシリンダ式バルブ204、詳しくは弁ケース206を水栓の本体ボデー200に対し回転方向に位置決めするための位置決リングで、この位置決リング212は、リング外面から径方向に突出し、第1係合凹部202に対し回転方向に係合する第1係合凸部214と、リング内面から径方向内方に突出し、弁ケース206の第2係合凹部207に対し回転方向に係合する第2係合凸部216とを各一対有している。
【0007】
この位置決リング212は、第1係合凸部214を本体ボデー200の第1係合凹部202に、また第2係合凸部216を弁ケース206の第2係合凹部207に係合させる状態に、それら本体ボデー200と弁ケース206とに跨って装着され、各係合凸部と係合凹部との係合に基づいて、弁ケース206を本体ボデー200に対し回転方向に位置決めする。
【0008】
ハンドル218は、中心部にシリンダ弁体の弁軸部208に嵌り合って係合する係合孔220を有しており、その係合孔220と弁軸部208との係合に基づいて、加えらえた操作力によりシリンダ弁体を回転させる。
ハンドル218にはまた、弁ケース206に一体に構成されたストッパ凸部210を挿入させる溝224と、ハンドル218の回転規制を行うためのストッパ凸部222とを有している。
このストッパ凸部222は、周方向両端に当接面226を備えている。
【0009】
図19に示すものにおいては、ハンドル218を回転操作すると、弁軸部208にてシリンダ弁体が回転し、そしてある回転位置に至ると、ハンドル218側の一対の当接面226の一方が、弁ケース206のストッパ凸部210の周方向両端の一対のストッパ面209の一方に当接し、ここにおいてハンドル218の更なる回転が規制される。
またハンドル218を逆方向に回転操作したときにも、ハンドル218の他方の当接面226が、ストッパ凸部210の他方のストッパ面209に当接し、更なる回転が規制される。
【0010】
しかしながらこの図19に示す位置決構造の場合、ハンドル218の回転の力が、弁ケース206のストッパ凸部210に伝わり、更に弁ケース206の第2係合凹部207から位置決リング212の第2係合凸部216に、更に外向きの第1係合部214から本体ボデー200に伝わって、ハンドル218の回転規制が行われるため、ハンドル218を強い力で回転操作したときに、弁ケース206のストッパ凸部210に大きな力(回転トルク)がかかり、場合によってストッパ凸部210が破壊したり損傷したりしてしまう恐れがある。
【0011】
特許文献1にはまた、位置決リング自体にストッパ凸部を設けて、このストッパ凸部によりハンドルの回転を規制するようになした例も開示されている。図20はその具体例を示している。
図20において、212は軸方向に長い円筒形状をなす位置決リングで、その外面に径方向外方に突出する第1係合凸部214が設けられ、また軸方向(図中下方)に突出する形態で第2係合凸部216が設けられている。
この位置決リング212は、第1係合凸部214を水栓の本体ボデー200の第1係合凹部202に係合させ、また第2係合凸部216を弁ケース204の第2係合凹部207に係合させることで、弁ケース204を本体ボデー200に対し回転方向に位置決めする。
この例では、ハンドルと一体回転するハンドル側の回転駆動軸228に、円弧形状のストッパ凸部222が一体に構成され、このストッパ凸部222の周方向の両端面が当接面226とされている。
【0012】
一方位置決リング212には、径方向内方に突出するストッパ凸部210が、第1係合凸部214に対し軸方向に隔たった位置、具体的には図中下側位置に一体に構成され、このストッパ凸部210の周方向の両端面がストッパ面209とされている。
ここでストッパ凸部210の一対のストッパ面209は、何れも回転駆動軸228の回転中心(軸心)Oを中心とする放射方向の面をなしている。
【0013】
この図20に示すものでは、ハンドルの回転駆動力、具体的には回転駆動軸228からの力が、弁ケース204を経由しないで直接位置決リング212を介して本体ボデー200に伝わるものであり、従ってハンドルの強い回転力が弁ケース204に対し働くといったことはない。
【0014】
しかしながらこの図20に示すものにおいては、ハンドルの回転駆動力を直接受ける位置決リング212のストッパ凸部210と、位置決リング212を本体ボデー200に回転方向に固定する外向きの第1係合凸部214とが軸方向に隔たって位置しているため、ストッパ凸部210に対し回転駆動軸228からの回転駆動力が強く働いたときに、軸方向に長い位置決リング212に対し捩りの力が働いてしまうとともに、ハンドルに加えた力が効果的に本体ボデー200に伝わらず、従ってハンドルに対する回転規制力が効率的にハンドルに伝わらない問題がある。
【0015】
更にこの図20に示すものにおいては、位置決リング212におけるストッパ凸部210の一対のストッパ面209が、回転駆動軸228の回転中心Oを中心とした放射方向の面をなしていて、ストッパ作用時(回転規制時)にストッパ凸部210に対し大きな剪断力が働くため、ハンドルを強く回したときにそのストッパ凸部210が損傷を生じる恐れを有している。
【0016】
また図20に示すものでは、ハンドル側の回転駆動軸228が、ストッパリング212に対し図中下側から上向きに、即ちシリンダ弁体の側からハンドル側に挿入される構造であるため、回転駆動軸228の軸径を大きくすること、即ち軸強度を一定以上に大きくすることが難しいといった問題が内在する。
【0017】
【特許文献1】特開2002−323153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は以上のような事情を背景とし、位置決リングにハンドルの回転規制のためのストッパ凸部を設けた場合においても、ストッパ凸部に働くハンドルからの力を効率高く本体ボデーに伝え得て、ハンドルに対する回転規制を良好に行うことのできるシリンダ式バルブの位置決構造を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、ハンドルを強い力で回転させた場合においても、ストッパ凸部が折れたり欠けたりする等の損傷を生じるのを有効に防止することを目的とする。
また本発明の他の目的は、ハンドル側の回転駆動軸の軸径を大となし得て軸強度を強くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
而して請求項1のものは、円筒形状のシリンダ弁体及びその外側の円筒形状の弁ケースの周方向所定位置に周壁を内外に貫通する通水用の開口をそれぞれ形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転により、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させて水路の開度変化を行うシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決めする位置決構造であって、前記本体ボデーに第1係合凹部を、前記弁ケースに第2係合凹部を設ける一方、リング外面から径方向外方に突出し該第1係合凹部に対し回転方向に係合する第1係合凸部と、軸方向に突出し前記第2係合凹部に対し回転方向に係合する第2係合凸部とを有する位置決リングを、それら本体ボデーと弁ケースとに跨って装着して、該位置決リングを介し該弁ケースを該本体ボデーに対し回転方向に位置決するようになし、該位置決リングは、該本体ボデーとハンドル側の回転駆動軸とに跨る位置に配置して、該位置決リングの内面に径方向内方に突出するストッパ凸部を設け、該ストッパ凸部に対し前記回転駆動軸に径方向外方に突出する状態で設けた当接部を回転方向に当接させることにより、ハンドルの回転規制を行うようになしてあり、且つ前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し少なくとも一部が軸方向に重複する位置に設けてあることを特徴とする。
【0020】
請求項2のものは、請求項1において、前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し前記回転方向の同一位置に設けてあることを特徴とする。
【0021】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ凸部の前記当接部への当り面となるストッパ面が、前記回転駆動軸の回転中心を中心とする放射方向の面に対し、該ストッパ凸部の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて該放射方向の面から前記回転駆動軸の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしてあることを特徴とする。
【0022】
請求項4のものは、請求項3において、前記当接部における当接面が、該ストッパ面に対応した形状で傾斜した面となしてあることを特徴とする。
【0023】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記位置決リングは、前記回転駆動軸を前記シリンダ弁体とは反対側から内部に挿入させるものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0024】
以上のように本発明は、位置決リングにハンドルの回転規制のためのストッパ凸部を設け、且つこのストッパ凸部を、位置決リングにおける水栓の本体ボデーとの位置決用の第1係合凸部に対し、少なくとも一部が軸方向に重複する位置に設けたものである。
【0025】
本発明によれば、位置決リングのストッパ凸部をハンドル側の回転駆動軸の当接部に当ててハンドルの回転規制を行う際、ストッパ凸部と第1係合凸部とが少なくとも部分的に軸方向に重なる位置に設けてあるため、ハンドルに加えられた回転の力によって位置決リングがねじり力を受けるのを回避し得、ハンドルからの回転の力をストッパ凸部からそのまま第1係合凸部に、更にその第1係合凸部を介して水栓の本体ボデーに直接的に伝えることができる。
即ちハンドルからの力を効率高く本体ボデーに伝えることができ、これによりハンドルに対する回転規制を良好且つ安定的に行うことができる。
本発明では、特に第1係合凸部全体にストッパ凸部を軸方向に重複させておくことが望ましい。
【0026】
本発明ではまた、ストッパ凸部を第1係合部に対し、周方向(回転方向)の同一位置に設けておくことが望ましい(請求項2)。
このようにすることで、ストッパ凸部に加わったハンドルからの力を、より効率高く第1係合凸部に伝え、更にその第1係合凸部から水栓の本体ボデーへと直接的に伝えることができる。
【0027】
次に請求項3は、ストッパ凸部のストッパ面を、回転駆動軸の回転中心を中心とした放射方向の面に対し、ストッパ凸部の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて放射方向の面から回転駆動軸の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしたものである。
【0028】
前述したようにこのストッパ面を放射方向の面となしておくと、ストッパ作用時にストッパ凸部に対し大きな剪断力が働き、ハンドルを強い力で回転したときに、その剪断力によってストッパ凸部が破壊や損傷を生じ易い問題がある。
【0029】
しかるにこの請求項3では、かかるストッパ面を放射方向の面に対し傾斜した面となしてあるため、ストッパ面に対し回転駆動軸の当接部が当って回転力が働いたとき、その力を、ストッパ凸部を径方向外方に向って圧縮する向きの力となすことができる。
即ち当接部からの力をストッパ凸部に対する径方向外方への圧縮力として働かせるようになすことができる。
これにより、ハンドルを回転規制する際の力でストッパ凸部が切断や破壊或いは損傷するのを効果的に防止することができる。
【0030】
加えてこの請求項3によれば、特に請求項2に従って第1係合凸部とストッパ凸部とを周方向の同一位置に設けてある場合、回転駆動軸の当接部からの力を、効果的に位置決リングの外面の第1係合凸部を本体ボデーの第1係合凹部に押し付ける向きの力として作用させることができ、ハンドルからの力をより効率高く本体ボデーへと伝達することができる。
即ち本体ボデーによる回転規制のための支持力を効率高くハンドル側へと及ぼすことができ、ハンドルの回転規制をより良好に行うことができる。
またこの請求項3によれば、ハンドルの回転規制のための力によって、第1係合凸部が損傷するのも有効に回避することができる。
尚請求項3において、上記ストッパ面は完全な平坦面でなくても良く、多少湾曲した面となしておいても良い。
【0031】
次に請求項4は、回転駆動軸における当接部の当接面を、上記ストッパ面に全面(周方向に重複する面の全面)で当接させるように、かかる当接面をストッパ面に対応した形状の傾斜した面となしたもので、この請求項4によれば、ストッパ面と当接面との接触面積を大となし得て面圧を小となすことができ、ストッパ凸部の損傷を更に有効に防止することができるとともに、回転駆動軸からの回転の力を更に効率高く本体ボデーへと伝達し、本体ボデーによるハンドル回転のための規制力をより良好にハンドル側に及ぼすことができる。
【0032】
次に請求項5は、位置決リングに対し上記回転駆動軸をシリンダ弁体とは反対側から内部に挿入する構造となしたもので、この請求項5によれば、回転駆動軸の軸径を大となし得、軸強度をより高強度となすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
【0034】
12は円筒形状をなす水栓10の本体ボデーで、この本体ボデー12から吐水部14が前方斜め下向きに突き出しており、また本体ボデー12の先端側には回転式のハンドル16が設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
【0035】
本体ボデー12は、図2及び図3に示しているように軸方向端部に雄ねじ管21を備えており、この雄ねじ管21が壁Wを貫通して裏側に突き出している。そして壁Wの裏側に突き出した雄ねじ管21に対し、図示を省略する固定ナットがねじ込まれることにより、本体ボデー12が大径のフランジ部23にて壁Wの表側を挟み付ける状態に壁Wに取り付けられるようになっている。
【0036】
図2及び図3に示しているように、本体ボデー14の内部には水路22の開度(遮断又は開放を含む)を制御するシリンダ式バルブ(以下単にバルブとする)24が組み込まれている。
このバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、その外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
【0037】
図13にも示しているように、シリンダ弁体26には周方向に180°隔たった2個所に周壁を内外に貫通する一対の通水用の開口30,32が形成されている。
また同じく弁ケース28の側にも開口30,32に対応する位置において、弁ケース28の周壁を内外に貫通する開口34,36が設けられている。
【0038】
これらシリンダ弁体26,弁ケース28を有する本例のバルブ24の場合、ハンドル16の操作によってシリンダ弁体26を回転させて位置変化させ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32を弁ケース28の開口34,36に完全一致させた状態で水路22が完全開放され、水路22を通じて送られてきた水が吐水口20から外部に吐水される。
【0039】
また一方ハンドル16の操作によって、シリンダ弁体26が上記の位置と異なる位置に回転させられ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32が弁ケース28の開口34,36に完全不一致となった状態で水路22が遮断され、吐水口20からの吐水が停止(止水)する。
更にシリンダ弁体26の開口30,32と弁ケース28の開口34,36とが重なり合った状態で、且つその重なり合った面積が変化することで、吐水口20から外部に吐水される水量が調節される。
【0040】
シリンダ弁体26には、これと別体をなす弁軸部38が一体回転状態に連結されている。
この弁軸部38には、図4,図6,図11及び図15に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに径方向に弾性を有する止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
【0041】
そして弁軸部38が弁ケース28の挿通孔46を軸方向に挿通した状態で、この止め輪44と弁軸部38の後述の大径の雄嵌合部90とが弁ケース28の内向きのフランジ部48を軸方向に挟み込む状態に、弁軸部38が弁ケース28に対し軸方向に固定され組み付けられている。
【0042】
図3,図4,図6,図8に示しているように本体ボデー12の図中左端部の内面には雌ねじ50が形成されており、そこに外面に雄ねじ52を有する固定リング54がねじ込まれている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、バルブ24が後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
【0043】
図4及び図5において、58はハンドル16とともに一体回転するハンドル16側の回転駆動軸(本実施形態では樹脂製)で、ここではハンドル16とは別体に構成されてハンドル16に対し一体回転状態に連結されている。
回転駆動軸58は、ハンドル16に加えられた操作力を上記弁軸部38に伝達してこれを一体回転させる。
この回転駆動軸58には、図中左端部の外面に図4に示しているように雄セレーション部60が設けられている。
一方ハンドル18の内面には、図4に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、回転駆動軸58がハンドル16と一体回転するようになっている。
【0044】
一方、回転駆動軸58は図5,図6に示すように図中右端側に嵌合孔64を有しており、この嵌合孔64において弁軸部38に嵌合させられている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ部66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と回転駆動軸58とが軸方向に締結されている。
図4に示しているように、弁軸部38は図中左端部が略四角形状をなしているとともに、軸直角方向に突出する突条70を備えている。
【0045】
一方これに嵌合する回転駆動軸58の嵌合孔64には、図6中左側の奥部に、弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、回転駆動軸58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
【0046】
上記位置決リング56は、図4,図5及び図7に示しているように軸方向に所定長さを有する円環状の部材であって、外周面の周方向に隔たった2個所に、径方向外方に突出する第1係合凸部76を有しており、これら一対の第1係合凸部76が、図4及び図8に示しているように水栓10の本体ボデー12の内面に形成された、対応する第1係合凹部78に軸方向に挿入され、周方向即ち回転方向に係合することによって、位置決リング56自体の本体ボデー12に対する回転方向の位置が定められるようになっている。
【0047】
位置決リング56はまた、第1係合凸部76と同じ周方向位置において、軸方向に突出する一対の第2係合凸部80を有しており、これらが図4,図9及び図10に示しているようにバルブ24、詳しくはバルブケース28の対応する一対の第2係合凹部82に軸方向に挿入されて周方向即ち回転方向に係合することによって、位置決リング56とバルブ24との回転方向の位置が定められるようになっている。
即ち、バルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
【0048】
これら一対の第2係合凸部80の内面には、径方向内方に突出する掛止爪(掛止部)88が設けられており、これら掛止爪88によって、位置決リング56がバルブ24に組み付けられている。
詳しくは、図11に示しているように位置決リング56をバルブ24に対し軸方向に押し込むと、掛止爪88がバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を掛止爪88が乗り越えたところで、掛止爪88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって掛止した状態となる。これにより位置決リング56がバルブ24に組み付いた状態となる。
尚、各掛止爪88には図7及び図11(II)の部分拡大図に示しているように、位置決リング56を図中軸方向(図7中下方向)に押し込んで、第2係合凸部80をバルブケース28の第2係合凹部82に軸方向に挿入する際に、止め輪44を乗越えガイドする傾斜面89が、押込方向の先端側に設けられている。
【0049】
位置決リング56にはまた、更にその内面の2個所に、具体的には外面の第1係合凸部76と同じ周方向(回転方向)位置の2個所において、径方向内方に突出する一対のストッパ凸部84が設けられている。
これらストッパ凸部84は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
【0050】
詳しくは、ハンドル16とともに一体回転して弁軸部38を回転駆動する上記回転駆動軸58には、図5,図8に示しているように径方向外方に突出する一対の当接部86が備えられており、図12に示しているようにハンドル16を回転させたときにこれら当接部86が、位置決リング56の一対のストッパ凸部84に当接することによって、ハンドル16の回転が一定角度範囲内に規制される。
尚図12中(A)はハンドル16の全閉状態を、(B)はハンドル16の全開状態を示している。
【0051】
ここでストッパ凸部84は、位置決リング56におけるリング本体の軸方向の全幅に亘って設けられており、また外周側の第1係合凸部76も実質的にリング本体の全幅に亘って、厳密には図7(B)の左端から右端に僅かに届かない位置にかけて、実質的にリング本体の全幅に亘って設けられている。
即ちストッパ凸部84は、第1係合凸部76全体に対して軸方向に重複(オーバーラップ)する状態で設けられている。
更にこのストッパ凸部84は、第1係合凸部76に対し周方向の同一位置に設けられている。
ここで一対のストッパ凸部84は、それぞれ周方向の両端にストッパ面84-1,84-2を備えている。
【0052】
一方、回転駆動軸58の当接部86は、図6,図8に示しているように周方向の両端に当接面86-1,86-2を有している。
回転駆動軸58は、ハンドルとともに回転したときに当接面86-1がストッパ面84-1に当接することにより正方向の回転が規制され、また当接面86-2がストッパ面84-2に当接することによって逆方向の回転がそこで規制される。
尚、図8(B)はハンドルを開方向まで一杯に回転させて、最大開位置で回転規制したときの状態を表している。
【0053】
この実施形態において、ストッパ面84-1は、図9(イ)に示しているように回転駆動軸58の軸心、即ち回転中心Oを中心とする放射方向の面に対し、付根の位置から径方向内方の先端側に進むにつれて、放射方向の面から回転駆動軸58の回転方向に離れる向きに傾斜する傾斜面とされている。
【0054】
また同様に、図9(ロ)に示しているように当接面86-1もまた、回転中心Oを中心とする放射面に対し、径方向外方の先端から径方向内方に進むにつれて、放射方向の面から回転駆動軸58の回転方向に離れる向きの傾斜面とされている。
この点はストッパ凸部84における他方のストッパ面84-2、及び回転駆動軸58における当接部86の他方の当接面86-2もまた同様である。
ここでストッパ面84-1と当接面86-1、及びストッパ面84-2と当接面86-2とは何れも同一角度で傾斜する面をなしている。
【0055】
この実施形態では、図9(ハ)に示しているようにストッパ面84-1を当接面86-1に当てて回転駆動軸58、即ちハンドル16の回転規制を行う際、ストッパ面84-1及び当接面86-1の傾斜面の作用で、回転駆動軸58からの回転力がストッパ凸部84に対し剪断方向の力として働かず、図(ハ)中矢印で示しているようにストッパ凸部84を径方向外方に向って圧縮する向きの力として作用する。
またその結果として、当接部86を通じて加えられる回転力が位置決リング56における外周側の第1係合部76を、本体ボデー12における第1係合凹部72の周方向側面に直接押し付ける向きの力として働く。
【0056】
本実施形態ではまた、図2及び図3,図4及び図5に示しているように回転駆動軸58は、位置決リング56に対しシリンダ弁体26とは反対側(図中左側)からシリンダ弁体26側に(右側に)位置決リング56内に挿入される。
即ち回転駆動軸58は位置決リング56を通過しなくても良く、従って大きな軸径でこれを構成することができる。
【0057】
図13,図16及び図17にシリンダ弁体26と弁軸部38との組付構造が具体的に示してある。
これらの図に示しているように樹脂製とされた弁軸部38には図16,図17中下端部に大径の円形の雄嵌合部90が設けられており、この雄嵌合部90が、金属製とされたシリンダ弁体26の図中上端の開口からその内部に嵌入させられ、かかる雄嵌合部90がシリンダ弁体26の図中上端部(軸端部)の雌嵌合部92に弾性的に嵌合されている。
ここで雄嵌合部90の外周面には、図16(ロ)に示しているように周方向に180°隔たった2個所に、各一対の位置決突起94が径方向外方に突出する状態で一体に形成されている。
【0058】
一方シリンダ弁体26の図中上端部には、開口に続いて正面形状が矩形状の切欠き96が形成されており、そこに位置決突起94が嵌り込むことによって、弁軸部38とシリンダ弁体26との回転方向位置が規定されている。
【0059】
金属製のシリンダ弁体26は、図18(A)に示しているように金属製の板材100を絞り加工し、そして底部102を打ち抜いて除去して得た絞り加工品からなるものであって、図中上側の軸端部が、軸端の開口に至るまで開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、その湾曲部分の内側が全周に亘って係合爪98とされている。
【0060】
ここで径方向内方に突出する形態をなす係合爪98は、軸端の開口に向って漸次小径化して開口に至る形状をなしている。
一方湾曲部分の外面は、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面(R面)106をなしている(図16(ハ)参照)。
尚シリンダ弁体26の図中下端部には、フランジ部104が全周に亘って環状に形成されている。
【0061】
一方、弁軸部38の大径の雄嵌合部90の外周面には、図16(ロ)に示しているように周方向に略120°ずつ隔たった3個所に径方向外方に突出する係合突起108が設けられており、これら係合突起108がシリンダ弁体26の係合爪98に対し、軸方向且つ弁軸部38の抜き方向に係合させられ、それら係合突起108と係合爪98との係合により、弁軸部38とシリンダ弁体26とが軸方向に抜止状態に連結され組み付けられている。
【0062】
係合突起108は、図17に示しているように軸方向に延びる長手形状をなしており、その上端は鋭く屈曲した角部とされている。
一方、図中の下端部は下方に進むにつれて径方向内方に移行する傾斜面110とされている。
尚、雄嵌合部90の下端の外周縁部は曲面(R面)112とされている。
【0063】
図14及び図15において、114は弁ケース28の開口36縁部に装着されて、シリンダ弁体26と水栓の本体ボデー12との間を水密にシールするゴム等の弾性材で構成されたリング状のパッキンで、116はそのリング状をなすパッキン114の内周側に嵌込状態に装着されて、パッキン114の求心方向の変形を防止する硬質の拘束リングである。
【0064】
この実施形態では、図16(イ)に示しているように弁軸部38側の位置決突起94を、シリンダ弁体26の切欠き96に対し回転方向位置を合わせた状態で、弁軸部38をシリンダ弁体26の図中上端の開口を通じ下向きに弾性的に押し込んで内部に嵌入させ、弁軸部38の大径の雄嵌合部90と、シリンダ弁体26の雌嵌合部92とを弾性嵌合させる。
このとき、弁軸部38の位置決突起94がシリンダ弁体26の切欠き96に嵌り込んで係合し、これにより弁軸部38とシリンダ弁体26とが回転方向に位置決され固定される。
【0065】
このようにして弁軸部38をシリンダ弁体26に軸方向に押し込むとき、雄嵌合部90の外面に突出形成された、図17に示す複数の係合突起108が先ず傾斜面110のカム作用でシリンダ弁体26の図中上端部を弾性的に押し開き、続いて各係合突起108が、下向きの押込力でシリンダ弁体26の上端部に嵌入される。
【0066】
嵌入後において各係合突起108は、図17に示しているようにシリンダ弁体26の係合爪98に係合した状態となり、ここにおいて弁軸部38がシリンダ弁体26に対し軸方向に抜止状態に結合される。
尚、弁軸部38のシリンダ弁体26に対する押込量は、一対の位置決突起94が切欠き96の底部に当接することによって規定される。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、位置決リング56のストッパ凸部84をハンドル16側の回転駆動軸58の当接部86に当ててハンドルの回転規制を行う際、ストッパ凸部84が第1係合凸部76の全体に軸方向に重なる位置に設けてあるため、ハンドル16に加えられた回転の力によって位置決リング56がねじり力を受けるのを回避し得、ハンドル16からの回転の力をストッパ凸部84からそのまま第1係合凸部76に、更にその第1係合凸部76を介して水栓の本体ボデー12に直接的に伝えることができる。
即ちハンドル16からの力を効率高く本体ボデー12に伝えることができ、これによりハンドル16に対する回転規制を良好且つ安定的に行うことができる。
【0068】
またストッパ凸部84を第1係合凸部76に対し周方向(回転方向)の同一位置に設けているため、ストッパ凸部84に加わったハンドル16からの力を、より効率高く第1係合凸部76に伝え、更にその第1係合凸部76から水栓の本体ボデー12へと伝えることができる。
【0069】
更にストッパ凸部84におけるストッパ面84-1,84-2を、回転駆動軸の回転中心Oを中心とする放射方向の面に対し、ストッパ凸部84の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて放射方向の面から回転駆動軸58の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしてあるため、ストッパ面84-1,84-2に対し回転駆動軸38の当接部86が当ってストッパ凸部84に対し回転力が働いたとき、その力をストッパ凸部84を径方向外方に向って圧縮する向きの力として働かせることができ、これによりハンドル16を回転規制する際の力によりストッパ凸部84が損傷するのを効果的に防止することができる。
【0070】
加えて第1係合凸部76とストッパ凸部84とが周方向の同一位置に設けてあるため、回転駆動軸58の当接部86からの力を効果的に本体ボデー12の第1係合凹部78に対して第1係合凸部76を押し付ける向きの力として作用させることができ、ハンドル16からの力をより効率高く本体ボデー12へと伝達することができる。
即ち本体ボデー12による回転規制のための支持力を効率高くハンドル側へと及ぼすことができ、ハンドル16の回転規制をより良好に行うことができる。
またハンドル16の回転規制のための力によって、第1係合凸部76が損傷するのも有効に回避することができる。
【0071】
更に回転駆動軸58における当接部86の当接面86-1,86-2をストッパ面84-1,84-2に全面(周方向に重複する面の全面)で当接させるようになしているため、それらの接触面積を大となし得て面圧を小となすことができ、ストッパ凸部84の損傷を更に有効に防止することができるとともに、回転駆動軸58からの回転の力をより効率高く本体ボデー12へと伝達し、本体ボデー12によるハンドル回転の規制のための力を良好にハンドル16側に及ぼすことができる。
【0072】
また位置決リング56に対し回転駆動軸58をシリンダ弁体26とは反対側から内部に挿入する構造となしてあるため、回転駆動軸58の軸径を大となし得て、軸強度を高強度となすことができる。
【0073】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の適用対象である水栓の一例を外観状態で示す図である。
【図2】図1の水栓の平面断面図である。
【図3】図1の水栓の側面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態のシリンダ式バルブの位置決構造を水栓とともに分解して示した斜視図である。
【図5】図4の各部品を別の方向から示した斜視図である。
【図6】図4及び図5に示した各部品の側面断面図である。
【図7】同実施形態における位置決リングの単品図である。
【図8】図7の位置決リングと水栓の本体ボデー及び回転駆動軸との組付関係を示した図である。
【図9】同実施形態における作用説明図である。
【図10】図7の位置決リングと弁ケースとの位置決構造を示した図である。
【図11】図7の位置決リングと弁ケースとの組付構造を示した図である。
【図12】図7の位置決リングのハンドルに対する回転規制作用を示した作用説明図で、(A)は全閉状態を(B)は全開状態を表している。
【図13】シリンダ式バルブを組付状態で単体で示した図である。
【図14】図13のシリンダ式バルブを弁ケースとシリンダ弁体とに分解して示した斜視図である。
【図15】図13のシリンダ式バルブを弁ケースとシリンダ弁体とに分解して図13とは異なる方向で示した斜視図である。
【図16】シリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体と弁軸部との組付構造を示した図である。
【図17】図15のシリンダ弁体と弁軸部とを組み付けた状態で示す断面図である。
【図18】図15及び図16のシリンダ弁体の製造工程の要部を示した図である。
【図19】従来のシリンダ式バルブにおける位置決構造の一例を示した図である。
【図20】図19とは異なる位置決構造の従来例を示した図である。
【符号の説明】
【0075】
10 水栓
12 本体ボデー
22 水路
24 シリンダ式バルブ
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30 開口
56 位置決リング
58 回転駆動軸
76 第1係合凸部
78 第1係合凹部
80 第2係合凸部
82 第2係合凹部
84 ストッパ凸部
84-1,84-2 ストッパ面
86 当接部
86-1,86-2 当接面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のシリンダ弁体及びその外側の円筒形状の弁ケースの周方向所定位置に周壁を内外に貫通する通水用の開口をそれぞれ形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転により、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させて水路の開度変化を行うシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決めする位置決構造であって
前記本体ボデーに第1係合凹部を、前記弁ケースに第2係合凹部を設ける一方、リング外面から径方向外方に突出し該第1係合凹部に対し回転方向に係合する第1係合凸部と、軸方向に突出し前記第2係合凹部に対し回転方向に係合する第2係合凸部とを有する位置決リングを、それら本体ボデーと弁ケースとに跨って装着して、該位置決リングを介し該弁ケースを該本体ボデーに対し回転方向に位置決するようになし
該位置決リングは、該本体ボデーとハンドル側の回転駆動軸とに跨る位置に配置して、該位置決リングの内面に径方向内方に突出するストッパ凸部を設け、該ストッパ凸部に対し前記回転駆動軸に径方向外方に突出する状態で設けた当接部を回転方向に当接させることにより、ハンドルの回転規制を行うようになしてあり、
且つ前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し少なくとも一部が軸方向に重複する位置に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項2】
請求項1において、前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し前記回転方向の同一位置に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ凸部の前記当接部への当り面となるストッパ面が、前記回転駆動軸の回転中心を中心とする放射方向の面に対し、該ストッパ凸部の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて該放射方向の面から前記回転駆動軸の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項4】
請求項3において、前記当接部における当接面が、該ストッパ面に対応した形状で傾斜した面となしてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記位置決リングは、前記回転駆動軸を前記シリンダ弁体とは反対側から内部に挿入させるものとなしてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項1】
円筒形状のシリンダ弁体及びその外側の円筒形状の弁ケースの周方向所定位置に周壁を内外に貫通する通水用の開口をそれぞれ形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転により、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させて水路の開度変化を行うシリンダ式バルブを水栓の本体ボデーに対し回転方向に位置決めする位置決構造であって
前記本体ボデーに第1係合凹部を、前記弁ケースに第2係合凹部を設ける一方、リング外面から径方向外方に突出し該第1係合凹部に対し回転方向に係合する第1係合凸部と、軸方向に突出し前記第2係合凹部に対し回転方向に係合する第2係合凸部とを有する位置決リングを、それら本体ボデーと弁ケースとに跨って装着して、該位置決リングを介し該弁ケースを該本体ボデーに対し回転方向に位置決するようになし
該位置決リングは、該本体ボデーとハンドル側の回転駆動軸とに跨る位置に配置して、該位置決リングの内面に径方向内方に突出するストッパ凸部を設け、該ストッパ凸部に対し前記回転駆動軸に径方向外方に突出する状態で設けた当接部を回転方向に当接させることにより、ハンドルの回転規制を行うようになしてあり、
且つ前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し少なくとも一部が軸方向に重複する位置に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項2】
請求項1において、前記ストッパ凸部は、前記第1係合凸部に対し前記回転方向の同一位置に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ凸部の前記当接部への当り面となるストッパ面が、前記回転駆動軸の回転中心を中心とする放射方向の面に対し、該ストッパ凸部の付根位置から径方向内方側の先端に向うにつれて該放射方向の面から前記回転駆動軸の回転方向に離れる向きに傾斜した面となしてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項4】
請求項3において、前記当接部における当接面が、該ストッパ面に対応した形状で傾斜した面となしてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記位置決リングは、前記回転駆動軸を前記シリンダ弁体とは反対側から内部に挿入させるものとなしてあることを特徴とするシリンダ式バルブの位置決構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−185158(P2008−185158A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20190(P2007−20190)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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