説明

シングルレバー水栓

【課題】構成が簡易であって、不用意な湯の吐出を防止することができると共に、止水状態において、二つの弁孔における水圧に差が生じ難く、且つ、操作性が容易なシングルレバー水栓を提供する。
【解決手段】固定ディスク25には、固定ディスク25の前後方向の中心線CL1に対して同じ角度範囲内に、円弧状の長孔としての湯流入孔26と、同じく円弧状の長孔としての水流入孔27とが配置されている。この水流入孔27は、大径壁27aと小径壁27bを備える。また、可動ディスクの混合連通路の湯流入孔側には突出部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば台所、洗面所、風呂等において使用され、1つの操作レバーで水や湯の温度及び流量を簡単に調節することができるシングルレバー水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシングルレバー水栓では、操作レバーを左右回動させることにより吐出水の温度を調節し、上下回動させることにより吐出水の流量を調節することができる。一般に、シングルレバー水栓においては、操作レバーを左右方向の中央位置で使用すると使い勝手が良いため、無意識のうちにそのような位置で使用される。この位置では、湯と水が混合された混合湯水が吐出される。従って、湯を必要としない場合であっても、無意識のうちに湯が使用され、湯の無駄つまりエネルギーの無駄が生じていた。このような事態を回避するための方策が検討されている。
【0003】
例えば特許文献1に示されているシングルレバー式湯水混合栓が提案されている。すなわち、このシングルレバー式湯水混合栓は、湯流入弁孔、水流入弁孔及び混合水流出弁孔を有する固定弁体と、該固定弁体に摺動自在に重合配置され、前記両流入弁孔から流入された湯及び水を混合水流出弁孔に流出させる内部流路を有する可動弁体と、該可動弁体を操作するハンドルとを備えている。そして、水流入弁孔の口部が湯流入弁孔側に拡大されるとともに、湯流入弁孔の口部が小さく形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3200540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、特許文献1に記載されているシングルレバー式湯水混合栓においては、水流入弁孔の口部が湯流入弁孔側に拡大されると共に、湯流入弁孔の口部が小さく形成されているため、湯流入弁孔からの湯の流入量は、その口部の小ささのために限定された量となってしまう。従って、必要時に多量の湯を得られるシングルレバー式湯水混合栓とは言い難い。
【0006】
また、固定弁体の水流入弁孔と湯流入弁孔とのそれぞれの開口度合いが大きく異なることを要件としているため、二つの弁孔における水圧差により、弁体には不均一な圧力が作用することになる。従って、長期間の使用によって、この種のシングルレバー式湯水混合栓では、パッキンのシール性が落ちたり、摺動部の摺動性が落ちたりする虞がある。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、構成が簡易であって、不用意な湯の吐出を防止することができると共に、止水状態において、二つの弁孔における水圧に差が生じ難く、且つ、操作性が容易なシングルレバー水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために請求項1に記載のシングルレバー水栓の発明は、水栓本体内には湯水混合用のカートリッジが装着され、該カートリッジは湯流入孔、水流入孔及び混合湯水流出孔が設けられた固定ディスクと、該固定ディスクに摺動可能に重合配置され、湯流入孔から流入される湯及び水流入孔から流入される水の少なくとも一方を混合湯水流出孔に流出させる混合連通路を有する可動ディスクとを備え、前記可動ディスクを操作する操作レバーの上下回動によって吐出量を調節し、その左右回動によって温度を調節するように構成されたシングルレバー水栓において、前記湯流入孔及び水流入孔が、前記固定ディスクの前後方向の中心線に対して同じ角度範囲内に設けられると共に、前記混合連通路の湯流入孔側には突出部が設けられたことを特徴とするものである。
【0009】
上記構成によれば、湯流入孔及び水流入孔を、固定ディスクの前後方向の中心線に対して同じ角度範囲内に設けると共に、混合連通路の湯流入孔側には突出部を設けるようにした。このため、操作レバーが上下方向の下限位置又はその近傍にあって、シングルレバー水栓が止水状態にある時、湯流入孔及び水流入孔から可動ディスクに作用する水圧は略均等である。従って、不均等な水圧の作用が繰り返されることにより、パッキンのシール性が低下することを防止することができる。
【0010】
また、可動ディスクの混合連通路に突出部が設けられているので、操作レバーが左右方向の中心位置にある時、操作レバーを上下方向の下限位置から上方へ回動し、更に上限位置まで回動しても、湯流入孔と混合連通路とは非連通状態に保たれる。
【0011】
更に、操作レバーが上下方向の下限位置にない非止水状態で、操作レバーを左右方向の中心位置から湯流入孔側へ回動させた時、湯流入孔と混合連通路とが速やかに連通され、回動するに従い、湯水の混合状態から湯のみに切り替えられる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシングルレバー水栓において、前記固定ディスクの水流入孔は、円弧状の長孔で形成されると共に、その大径側の壁には、その一部が内方に張出した張出部が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシングルレバー水栓において、前記操作レバーを、その左右方向の中央位置且つその上下方向の上限位置から、前記湯流入孔とは反対側方向の回動限に回動する途中において、前記水流入孔と前記混合連通路とが連通する部分の連通面積が、前記回動限における連通面積以下となるように、前記張出部の張出しにより前記連通面積が調節されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のシングルレバー水栓において、前記張出部は、平板状に形成された壁面であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
湯流入孔及び水流入孔を、固定ディスクの前後方向の中心線に対して同じ角度範囲内に設けると共に、混合連通路の湯流入孔側には突出部を設けるようにした。このため、シングルレバー水栓が止水状態にある時、湯流入孔及び水流入孔から可動ディスクに対して不均等な水圧の作用が繰り返されることが防止されるので、パッキンのシール性が低下することを防止したシングルレバー水栓を提供することができる。
【0016】
また、混合連通路の突出部により、操作レバーが左右方向の中心に位置する時、操作レバーを上下方向に回動しても、湯流入孔と混合連通路は非連通状態に保たれるので、湯の無駄な吐出を防止できるので節湯することができる。
【0017】
更に、操作レバーが上下方向の下限に位置しない非止水状態で、操作レバーを左右方向の中心位置から湯流入孔側へ回動させた時、湯流入孔と混合連通路とが速やかに連通される。そして、操作レバーの回動に伴い、混合連通路へ供給されるものは、湯水の混合状態から湯のみに切り替えられる。このため、必要時に、湯を速やかに、しかも多量に吐出することが可能なシングルレバー水栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態における湯水混合用のカートリッジを分解して示す斜視図。
【図2】シングルレバー水栓を分解して示す斜視図。
【図3】固定ディスクを示す平面図。
【図4】可動ディスクを示す平面図。
【図5】(a)は操作レバーが左右方向の中央位置において、可動ディスクの混合連通路が固定ディスクの湯流入孔及び水流入孔に連通しない状態を示す説明図、(b)は操作レバーが左右方向の左端において、混合連通路が湯流入孔及び水流入孔に連通しない状態を示す説明図、(c)は操作レバーが左右方向の右端において、混合連通路が湯流入孔及び水流入孔に連通しない状態を示す説明図。
【図6】(a)は操作レバーが左右方向の中央位置において、混合連通路が水流入孔の一部のみに連通する状態を示す説明図、(b)は操作レバーが左右方向の左端において、混合連通路が湯流入孔の一部のみに連通する状態を示す説明図、(c)は操作レバーが左右方向の右端において、混合連通路が水流入孔の一部のみに連通する状態を示す説明図。
【図7】(a)は操作レバーが左右方向の中央位置において、混合連通路が水流入孔の一部のみに連通する状態を示す説明図、(b)は操作レバーが左右方向の左端において、混合連通路が湯流入孔のみに連通する状態を示す説明図、(c)は操作レバーが左右方向の右端において、混合連通路が水流入孔のみに連通する状態を示す説明図。
【図8】シングルレバー水栓を示す平面図。
【図9】図8におけるA−A矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のシングルレバー水栓の実施形態を図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
図2に示すように、シングルレバー水栓(以下、単に水栓ともいう)10の水栓本体11内には、給湯器に接続されている湯流入通路12、水道管に接続されている水流入通路13及び混合湯水が流出する混合湯水流出通路14が設けられている。水栓本体11の下部には前記混合湯水流出通路14に連通し、斜め上方へ延びる吐出管15が回動自在に支持されている。水栓本体11の上部には、湯水混合用のカートリッジ16が取り替え可能に装着され、その上部には後述する操作レバー17の基体17aのガイド部材18が装着されるようになっている。水栓本体11上には、カートリッジ16及びガイド部材18を覆うカバー19が配置され、その下部内周の雌ねじ19aが水栓本体11上部の雄ねじ11aに螺合されることにより、水栓本体11に固定されている。
【0020】
次に、前記カートリッジ16について説明する。図1及び図9に示すように、収容ケース20内の凹部にはパッキン21が嵌入され、前記湯流入通路12、水流入通路13及び混合湯水流出通路14に連通する湯流入路22、水流入路23及び混合湯水流出路24がそれぞれ形成されている。このパッキン21上にはセラミック製の固定ディスク25が配置されている。該固定ディスク25には、パッキン21における、湯流入路22に連通する円弧状の長孔としての湯流入孔26、水流入路23に連通する同じく円弧状の長孔としての水流入孔27及び混合湯水流出路24に連通する半円状の孔としての混合湯水流出孔28が開口されている。
【0021】
固定ディスク25上には、該固定ディスク25に摺動可能に重合配置され、湯流入孔26から流入される湯(熱湯)又は水流入孔27から流入される水(冷水)を混合湯水流出孔28に流出させる混合連通路29を有するセラミック製の可動ディスク30が配置されている。この可動ディスク30上には前記混合連通路29の上部を塞ぐ蓋板31が取着され、その上面には操作レバー17の基体17aの下端部を保持する保持凹部32が設けられている。蓋板31上には操作レバー17の基体17aを支持する支持体33が設けられ、該支持体33内には操作レバー17の基体17aを挿通するための挿通空間34が形成されている。
【0022】
支持体33にはその軸線と直交方向に回動軸35が挿通される挿通孔36が形成され、前記挿通空間34に嵌め込まれた操作レバー17の基体17aの貫通孔37に回動軸35が挿通されて、該回動軸35を中心に操作レバー17の基体17aが回動されるようになっている。この基体17aの上部が、図9に示す操作レバー17の底部に形成された連結用凹部38に嵌合され、操作レバー17が前記回動軸35を中心にして傾動可能に構成されている。前記収容ケース20には、固定ディスク25、可動ディスク30等が収容された状態でカバー39が装着されている。
【0023】
図1の実線矢印に示すように、湯は湯流入通路12から湯流入路22を経て湯流入孔26を通り、混合連通路29に到る。図1の破線矢印に示すように、水は水流入通路13から水流入路23を経て水流入孔27を通り、混合連通路29に到る。そして、図1の二点鎖線矢印に示すように、混合連通路29で混合された混合湯水は、混合湯水流出孔28から混合湯水流出路24、混合湯水流出通路14を経て吐出管15から吐出される。
【0024】
図3に示すように、前記湯流入孔26及び水流入孔27は、固定ディスク25の前後方向の中心線CL1に対して同じ角度範囲内に形成されている。この水流入孔27は、大径側の壁である大径壁27aと小径側の壁である小径壁27bを備える。そして、前記大径壁27aの一部、本実施形態では、大径壁27aの中ほどにおける全長の三分の一程度の範囲には、平板状の壁面を有する張出部27cが形成されている。この張出部27cが形成された部分では、大径壁27aと小径壁27bとの間隔が狭められている。なお、大径壁27aと小径壁27bとの間隔が狭められるのであれば、張出部27cの壁面は、大径壁27aとは曲率の異なる曲面状であっても良い。また、内方に向かって凸の曲面状であっても良い。
【0025】
また、図4に示すように、前記可動ディスク30には、その中心線CL2に対して対称形状のいわゆる鍵穴状を基本形状とする混合連通路29が形成されている。この混合連通路29には、その一部に内方へ向かって突出する突出部29aが形成されている。そして、左右方向の中央位置にある操作レバー17を上下方向の上限に回動しても、この突出部29aにより、混合連通路29と固定ディスク25の湯流入孔26とが連通されないようになっている。
【0026】
次に、図5〜図9を用いてこの実施形態の作用を説明する。
なお、図5〜図7では、理解を容易にするために可動ディスク30にハッチングが施されている。また、図5(a)〜(c)は、図9において実線で示すように、操作レバー17が上下方向の下限に位置している場合の態様を示し、図6(a)〜(c)は、図9に一点鎖線で示すように、操作レバー17が上下方向の中央に位置している時の態様を示す。そして、図7(a)〜(c)は、図9に二点鎖線で示すように、操作レバー17が上下方向の上限に位置している場合の態様を示す。
【0027】
図5〜図7に示すように、操作レバー17を上下方向に回動操作することにより、可動ディスク30の混合連通路29を、可動ディスクの中心線CL2と平行に移動させ、湯流入孔26又は水流入孔27と連通又は非連通させて、湯又は水を混合湯水流出孔28から流出させることができる。なお、図示はしないが、混合連通路29を湯流入孔26と水流入孔27との双方に同時に連通させて、混合湯水を混合湯水流出孔28から流出させることができる。
【0028】
そして、前述した各種の状態においては、操作レバー17の上下方向への回動により湯、水又はその混合湯水の吐出量を調節できるようになっている。
図9に実線で示すように、操作レバー17が上下方向の下限に位置しているときには、図5(a)、(b)及び(c)に示すように、混合連通路29は湯流入孔26及び水流入孔27のいずれにも連通せず、全閉状態(止水状態)である。
【0029】
図9に一点鎖線で示すように、操作レバー17が上下方向の中央に位置しているとき、図6(a)の状態では、混合連通路29は、混合連通路29の突出部29aのために湯流入孔26に非連通であり、且つ水流入孔27に部分的に連通している。また、図6(b)の状態では、混合連通路29は、湯流入孔26に部分的に連通しているが、水流入孔27とは非連通となっている。更に、図6(c)の状態では、混合連通路29は、湯流入孔26に非連通であり、且つ水流入孔27に部分的に連通している。
【0030】
図9に二点鎖線で示すように、操作レバー17が上下方向の上限位置にあるとき、図7(a)の状態では、混合連通路29は、前記図6(a)の場合と同様に湯流入孔26に非連通であり、且つ水流入孔27に部分的に連通している。しかし、この連通度合いは、図6(a)の状態の連通状態よりも、高くなっている。図7(b)の状態では、混合連通路29は、湯流入孔26とは大流量が得られる全開状態で連通しているが、水流入孔27とは非連通となっている。更に図7(c)の状態では、混合連通路29は、湯流入孔26とは非連通であり、且つ水流入孔27とは大流量が得られる全開状態で連通している。
【0031】
上記の各態様は、混合連通路29を介して混合湯水流出孔28に水又は湯が単独で供給されるものであるが、水と湯が混合した混合湯水の場合は次のようになる。即ち、図8に示すように操作レバー17が左右方向の中央に位置する状態で、且つ図9に実線で示す位置の操作レバーを上下方向の中央付近から上限の間に位置させる時は、可動ディスク30は図6(a)の位置にある。また、図8に実線で示す位置の操作レバー17を一点鎖線で示す操作レバー17の方向(左方向)へ回動させる。すると、混合連通路29は、水流入孔27のみの連通状態(水吐出)から、湯流入孔26と水流入孔27との両方への連通状態(湯水混合吐水)となる。更に、操作レバー17の回動に伴って、混合連通路29と水流入孔27との連通度合いが減少し、やがて、混合連通路29は、図6(b)に示すように、湯流入孔26のみとの連通状態となる。
【0032】
なお、操作レバー17が左右方向の中央に位置し、且つ上下方向の下限に位置する時は、可動ディスク30は図5(a)の位置にある。この状態で、操作レバー17を、上記と同様に左方向に回動した後、上方向に回動して、湯と水との混合水又は湯のみを混合連通路29を介して混合湯水流出孔28に供給することもできる。また、混合湯水又は湯の量を増やすことは、操作レバー17を上方向へ回動させることにより行われる。
【0033】
また、水のみを混合連通路29を介して混合湯水流出孔28に供給する場合、水量を増やすことは次のようにして行われる。即ち、操作レバー17が左右方向の中央に位置する時、且つ上下方向の中央付近から上限の間に位置する時(図6(a)の状態)は、図8に実線で示す位置の操作レバー17を二点鎖線で示す位置の方向(右方向)へ回動させることにより水量は増える。また、操作レバー17を上方向へ回動させることによっても水量は増える。
【0034】
この場合、本実施形態においては、水流入孔27の大径壁27aに形成された張出部27cにより、大径壁27aと小径壁27bとの間の間隔が狭められているので、この張出部27cが形成された部位における前記連通面積は減少される。従って、操作レバー17の操作が不用意に行われても、操作レバー17の回動途中において、吐出管15から所望以上の水量が無駄に吐出されることが防止される。
【0035】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、固定ディスク25には、固定ディスク25の前後方向の中心線CL1に対する同じ角度範囲内に、円弧状の長孔としての湯流入孔26と、同じく円弧状の長孔としての水流入孔27とを形成した。このため、シングルレバー水栓10が止水状態にある時、湯流入孔及び水流入孔から可動ディスクに対して不均等な水圧の作用が繰り返されることが防止されるので、パッキンのシール性が低下することを防止したシングルレバー水栓10を提供することができる。
【0036】
更に、操作レバー17が上下方向の下限に位置しない非止水状態で、操作レバー17を左右方向の中心位置から湯流入孔26側へ回動させた時、湯流入孔26と混合連通路29とが速やかに連通され、回動するに従い、湯水は、混合状態から湯のみに切り替えられる。このため、必要時に、湯を速やかに、しかも多量に吐出することが可能なシングルレバー水栓10を提供することができる。
【0037】
(2)上記実施形態では、可動ディスク30の混合連通路29において、その一部を内方へ突出させて突出部29aを形成した。このため、操作レバー17が左右方向の中心に位置する時、操作レバー17を上下方向に回動しても、湯流入孔26と混合連通路29とは非連通状態に保たれるので、湯の無駄な吐出を防止できる。従って、不必要に湯沸かし器を作動させることがないので、省エネルギーに優れ、節湯することが可能なシングルレバー水栓10を提供することができる。
【0038】
(3)上記実施形態では、大径壁27a及び小径壁27bにより形成された固定ディスク25の水流入孔27において、その大径壁27aに張出部27cを形成したので、この張出部27cにより、大径壁27aと小径壁27bとの間隔が決定される。このため、張出部27cの張出し量を適宜選択することにより、前記間隔を調節できる。従って、混合連通路29と水流入孔27との連通面積を、この張出部27cの張出し量により調節することができる。
【0039】
(4)上記実施形態では、大径壁27aに形成した張出部27cにより、大径壁27aと小径壁27bとの間の間隔を狭めることができた。このため、操作レバー17の操作により、混合連通路29が水流入孔27に連通状態で右方向へ移動する際、前記連通面積は、この張出部27cにより、最大値となることなくほぼ同レベルを維持するに止まる。即ち、操作レバー17の位置が、左右方向の右端且つ上下方向の上限位置に至る間に、連通面積が最大になることがないので、所望の水量以上の水を吐出管15から吐出することを防止することができる。従って、節水性に優れているにも関らず操作が容易なシングルレバー水栓10を提供することができる。
【0040】
(5)上記実施形態では、張出部27cを平板状或いは曲面状の壁面で形成するようにした。このため、セラミック製の固定ディスク25を成形する成形型の一部を切削するだけでよいので、成形型の改造を容易に行うことができる。
【0041】
なお、前記各実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 操作レバー17の左右回動において、左方回動で水が吐出され、右方回動で湯が吐出されるように構成すること。また、操作レバー17の上下回動において、上方回動で吐出量が少なく、下方回動で吐出量が多くなるように構成すること。
【0042】
・ 前記実施形態では、張出部27cを水流入孔27の外径側に設けて、流量を調節するように構成したが、内径側に突出部(図示しない)を設けて流量を調整するように構成すること。
【符号の説明】
【0043】
CL1,CL2…中心線、10…シングルレバー水栓、11…水栓本体、16…カートリッジ、17…操作レバー、25…固定ディスク、26…湯流入孔、27…水流入孔、27c…張出部、28…混合湯水流出孔、29…混合連通路、29a…突出部、30…可動ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体内には湯水混合用のカートリッジが装着され、該カートリッジは湯流入孔、水流入孔及び混合湯水流出孔が設けられた固定ディスクと、該固定ディスクに摺動可能に重合配置され、湯流入孔から流入される湯及び水流入孔から流入される水の少なくとも一方を混合湯水流出孔に流出させる混合連通路を有する可動ディスクとを備え、前記可動ディスクを操作する操作レバーの上下回動によって吐出量を調節し、その左右回動によって温度を調節するように構成されたシングルレバー水栓において、
前記湯流入孔及び水流入孔が、前記固定ディスクの前後方向の中心線に対して同じ角度範囲内に設けられると共に、前記混合連通路の湯流入孔側には突出部が設けられたことを特徴とするシングルレバー水栓。
【請求項2】
前記固定ディスクの水流入孔は、円弧状の長孔で形成されると共に、その大径側の壁には、その一部が内方に張出した張出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシングルレバー水栓。
【請求項3】
前記操作レバーを、その左右方向の中央位置且つその上下方向の上限位置から、前記湯流入孔とは反対側方向の回動限に回動する途中において、前記水流入孔と前記混合連通路とが連通する部分の連通面積が、前記回動限における連通面積以下となるように、前記張出部の張出しにより前記連通面積が調節されていることを特徴とする請求項2に記載のシングルレバー水栓。
【請求項4】
前記張出部は、平板状に形成された壁面であることを特徴とする請求項2又は3に記載のシングルレバー水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−132484(P2012−132484A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283096(P2010−283096)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】