説明

シートの接合装置及び押圧機構付き搬送ロール

【課題】搬送ロールにてシートを搬送し、該シートをホットメルト型の接着剤を介して他の部材に接合させるに際し、ホットメルト型の接着剤を強固に他の部材に結合させることのできるシートの接合装置を提供すること。
【解決手段】ホットメルト型の接着剤が塗工されたシート13を、該接着剤を介して他の部材22に接合するシートの接合装置であり、前記シート13を外周面に保持しつつ回転し、該シート13を他の部材22との接合部Aまで搬送する搬送ロール30を具備し、搬送ロール30は、軸長方向の一部に、押圧面32aが非金属材料からなり且つ上下動する押圧用パッド32と、円弧状の外周面を有するガイド部33とを備えており、シート13の前記接着剤が塗工された部分11が、押圧用パッド32の押圧面32aに押圧されて前記他の部材22に接合されるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの接合装置及び押圧機構付き搬送ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品として、図4及び図5に示すように、本体とウイング部とを有し、本体及び/又はウイング部をホットメルト型接着剤によりショーツ等の衣類に固定して使用するものが知られている。
この種の物品における前記ホットメルト型接着剤は、通常、吸収性物品を使用するまで剥離紙等によって被覆されており、吸収性物品を使用する際に、該剥離紙を剥離して、ホットメルト型接着剤を露出させるのが一般的である。
本体やウイング部に、このようなホットメルト型接着剤を設ける方法として、剥離紙の剥離処理された面にホットメルト型接着剤を予め塗工しておき、その剥離紙を本体やウイング部に取り付ける方法がある(特許文献1参照)。この方法においては、剥離紙がホットメルト型接着剤を介して本体やウイング部に接合された状態となるが、剥離紙を本体やウイング部から剥離すると、剥離紙とホットメルト型接着剤との界面が剥離して、ホットメルト型接着剤が本体やウイング部側に残るため、ホットメルト型接着剤を用いて本体やウイング部をショーツ等に固定することができる。
【0003】
しかし、近年においては、本体やウイング部のホットメルト型接着剤を設ける面を、不織布で構成する場合があり、そのような場合には、ホットメルト型接着剤の不織布に対する結合力が不足し、剥離紙を剥離する際に、ホットメルト型接着剤の一部が剥離紙と共に剥がれる場合があった。
尚、ホットメルト型接着剤を介してシートを他の部材に接合する方法として、該シートを押圧する押圧ロールとして、非押圧面の形状に応じて変形し得る押圧ロールを用いる方法がある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特表平5−506799号公報
【特許文献2】特開2001−198156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、搬送ロールにてシートを搬送し、該シートをホットメルト型の接着剤を介して他の部材に接合させるに際し、ホットメルト型の接着剤を強固に他の部材に結合させることのできるシートの接合装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、シートを外周面に保持しつつ搬送し、搬送した該シートの一部を他の部材に強く押し付けることができ、該一部を他の部材に強固に結合等することのできる押圧機構付き搬送ロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ホットメルト型の接着剤が塗工されたシートを、該接着剤を介して他の部材に接合するシートの接合装置であって、前記シートを外周面に保持しつつ回転し、該シートを他の部材との接合部まで搬送する搬送ロールを具備し、前記搬送ロールは、軸長方向の一部に、押圧面が非金属材料からなり且つ上下動する押圧用パッドと、円弧状の外周面を有するガイド部とを備えており、前記シートの前記接着剤が塗工された部分が、前記押圧用パッドの押圧面に押圧されて前記他の部材に接合されるようになされているシートの接合装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、外周面にシートを保持しつつ回転し、該シートを所定位置において他の部材へと押し付けることができる押圧機能付きの搬送ロールであって、前記搬送ロールは、軸長方向の一部に、外周面に多数の吸引孔を有する吸着保持部を有し、軸長方向の他の一部における周方向に、押圧面が非金属材料からなり且つ上下動する押圧用パッドと、円弧状の外周面を有するガイド部とを備えている、押圧機能付き搬送ロールを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、ショーツ等の衣類に固定するための粘着部を衣類当接面に有する吸収性物品の製造方法であって、ホットメルト型の接着剤が塗工されたシートを、請求項1記載のシートの接合装置を用いて、衣類当接面に接合し、前記粘着部が該接着剤からなり該粘着部が前記シートにより使用時まで被覆保護された形態の吸収性物品を得る、吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシートの接合装置によれば、搬送ロールにてシートを搬送し、該シートをホットメルト型の接着剤を介して他の部材に接合させるに際し、ホットメルト型の接着剤を強固に他の部材に結合させることができる。
本発明の押圧機能付き搬送ロールによれば、シートを外周面に保持しつつ搬送し、搬送した該シートの一部を他の部材に強く押し付けることができ、該一部を他の部材に強固に結合等することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明のシート接合装置の一実施形態であるシートの接合装置1は、図1に示すように、ウイング部固定用のホットメルト型の接着剤11aが間欠塗工された帯状の剥離紙(帯状シート)10を、該接着剤の塗工部11,11間で切断して短尺シート13とし、該短尺シート13を、吸収性本体21とウイング部22とを有する生理用ナプキン製造中間体(吸収性物品製造中間体)20における該ウイング部(他の部材)22にホットメルト型接着剤11aを介して接合する装置である。図1中に、帯状シート10の切断位置を符号12で示した。
【0011】
本実施形態で用いた生理用ナプキン製造中間体20は、図1及び図4に示すように、肌当接面を構成する表面シート23、非肌当接面を構成する裏面シート24、及びこれら両シート間に介在された液保持性の吸収体25を備えた縦長の吸収性本体21と、該吸収性本体21の両側縁から幅方向外方に延出する不織布製の一対のウイング部22,22とを有するものである。生理用ナプキン製造中間体20は、図5に示すように、各ウイング部22の衣類当接面にホットメルト型の接着剤からなるウイング部固定用の粘着部11bが設けられることにより、生理用ナプキン26として完成するものである。ウイング部固定用の粘着部11bは、生理用ナプキン(吸収性物品)のウイング部22を、ショーツ等の衣類に固定し、着用中に位置ズレが生じないようにするものである。完成した生理用ナプキン26において、ウイング部固定用の粘着部11bは、短尺シート13により被覆され、生理用ナプキンを使用するときまで保護されている。
【0012】
短尺シート13を接合する際のウイング部22,22は、図1に示すように、吸収性本体21の肌当接面P側に折り曲げられており、短尺シート13は、その折り曲げられたウイング部22,22にホットメルト型接着剤11aを介して接合される。
【0013】
本実施形態のシート接合装置1は、図1に示すように、短尺シート13を外周面に保持しつつ回転し、該短尺シート13をウイング部22(他の部材)との接合部Aまで搬送する搬送ロール(押圧機能付き搬送ロール)30と、帯状シート(帯状の剥離紙)10にホットメルト型の接着剤11aを塗工する接着剤の間欠塗工装置(図示せず)と、該接着剤11aを塗工した帯状シート10を幅方向に亘って切断し、切断により生じた短尺シート13を、搬送ロール13の外周面に供給するシート切断供給装置50と、該搬送ロール30に対向配置され、該搬送ロールとの間で、短尺シート13及びウイング部22(他の部材)を押圧する第2ロール60とを備えている。
【0014】
搬送ロール30は、図1〜図3に示すように、該ロールの軸長方向の中央部(一部)に、外周面に多数の吸引孔31aを有する吸着保持部31を有し、該ロールの軸長方向の両端部(他の一部)における周方向に、押圧面32aが非金属材料からなり且つカム機構により上下動する押圧用パッド32と、円弧状の外周面33aを有するガイド部33とを備えている。
【0015】
吸着保持部31は、略円形の2側面34,34と円筒状の外周面35とを有し、その外周面35に多数の吸引孔31aを有している。より具体的には、搬送ロール30の軸長方向に複数の吸引孔31aが直列してなる吸引孔31aの列が、周方向に多列に形成されている。
搬送ロール30は、吸着保持部31の2側面34,34それぞれから突出する軸部36,37を回転軸として図中R1方向に回転可能になされている。
吸着保持部31の吸引孔31aは、搬送ロール30の一方の軸部36中に設けた通気路を介して、図示しない外部の吸引装置と連通されている。搬送ロール30の他方の軸部37は、ギアを介してモータ(何れも図示せず)と連結されている。
【0016】
吸引孔31aと外部の吸引装置とを連通させる他の方法として、搬送ロール30の軸長方向一端側の、押圧用パッド32及びガイド部33それぞれに、それらを水平方向に貫通する通気路(以下、中間通気路ともいう)を形成し、各中間通気路の一端開口部を、固定壁44に設けた、吸引装置と連通されたブローリングの開口部と気密に連通するようにする一方、該中間通気路の他端開口部を、吸引孔31aに通じる吸着保持部31内の通気路と接続し、ブローリング、中間通気路及び吸着保持部内通気路を介して、吸引孔31aと吸引装置とを連通させる方法を用いることもできる。この場合、ブローリングの開口部を、軸部36の周囲の半周分のみに開口するように設け、搬送ロール30が回転して、中間通気路がその開口部と対向している間のみ流路が連通するようにする等により、短尺シート13を受け取り部Bからウイング部22との接合部Aに搬送する間のみ吸引孔31aからの吸引が行われるようにすることが好ましい。
【0017】
外部の吸引装置を作動させて吸引孔31aからの吸気を行いつつ、搬送ロール30をモータで回転駆動することにより、吸着保持部31の外周面に短尺シート13が吸着され、吸着保持部31の外周面に保持された状態の短尺シート13が、搬送ロール30の回転に伴って、下方に位置する受け取り部Bから上方に位置するウイング部22との接合部Aまで搬送される。
【0018】
一対の押圧用パッド32,32それぞれは、搬送ロール30の回転に連動して上下動するようになされている。押圧用パッド32の上下動は、カム機構による、搬送ロールの半径方向に沿った直線運動である。
本実施形態におけるカム機構は、押圧用パッド32に一端部41aが固定されたシャフト41と、該シャフト41を上下動自在に支持する支持体42と、カム43とを備えている。支持体42は、シャフト41が貫通する環状体42aと、一端が環状体に固定され他端が吸着保持部の側面34に固定された軸部42bとからなる。カム43は、搬送ロールの軸長方向と平行な方向(図1中Y方向)から見た形状が楕円状又は卵形のカム溝43aを有し、該カム溝43a内にシャフトの他端部41bが、該カム溝43aに沿って移動可能なように保持されている。カム43は、図2に示すように、搬送ロール30の側面34に対向配置された回転しない固定壁44に固定され、搬送ロール30が回転しても連動して回転しないようになされている。
【0019】
本実施形態における各押圧用パッド32は、上記構成のカム機構により、搬送ロール30下方の短尺シート13の受け取り部Bに位置するときに軸心方向に最も下降し、ウイング部(他の部材)22との接合部Aに位置するときに最も上昇するように構成されている。図3に示すように、押圧用パッド32が受け取り部Bに位置するとき、該押圧用パッド32の押圧面32aは、ガイド部33の外周面33aと略同じ高さに位置し、押圧用パッド32がウイング部(他の部材)22との接合部Aに位置するとき、該押圧用パッド32の押圧面32aは、ガイド部の外周面からなる搬送ロールの外周面よりも外方に突出する。尚、図1〜図3には、押圧用パッド32が突出する程度をやや誇張して示してある。
【0020】
搬送ロール30の軸長方向の両端に位置する押圧用パッド32及びガイド部33は、図2に示すように、搬送ロール30の軸長方向における略同じ位置に形成されており、同方向の寸法も略同じである。また、一対のガイド部33それぞれは、図3に示すように、搬送ロール30の軸長方向に直交する断面における外周面33aの形状が略円弧状をなしている。
搬送ロール30の軸長方向の両端部に設けられた押圧用パッド32及びガイド部33は、図3に示すように、搬送ロール30の周方向に交互に配置されている。押圧用パッド32及びガイド部33は、それぞれ、搬送ロール30の軸部36を挟んで相対向する位置に一対形成されている。尚、ガイド部33は、L字金具45を介して吸着保持部31の側面34に固定されている。
【0021】
押圧用パッド32は、図1〜図3に示すように、搬送ロール30の他の部分における外周面よりも突出して、短尺シート13を押圧する。本実施形態における押圧用パッド32は、少なくとも短尺シート13と接触する押圧面32aが、非金属材料から形成されている。短尺シート13と接触する押圧面32aが非金属材料からなることで、押圧面32aと接触した状態で搬送され、該押圧面32aによって他の部材に押し付けられる短尺シート13の接着剤塗工部11が、搬送中に冷やされることを防止ないし軽減することができる。
【0022】
押圧用パッドの押圧面32aを形成する非金属材料としては、鉄やステンレス等の金属よりも熱伝導率の低い材料が好ましく用いられ、例えば、シリコンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム等のゴムや、アクリル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂成形体が挙げられる。これらの中でも、熱伝導率が低く、ホットメルト系接着剤の温度を低下させにくい点及び材料としての耐熱性と硬度の点からウレタンゴムが好ましく、フッ素樹脂がより好ましい。
押圧用パッドの押圧面32aを形成する非金属材料は、熱伝導率(JIS A1412)が、0〜0.5W/m・℃、特に0〜0.3W/m・℃であるものが好ましい。
押圧用パッドの押圧面32aを形成する非金属材料は、表面硬さ(JIS K6253)に規定されたデュロメータ(タイプA)が、1〜20、特に2〜10であるものが好ましい。
【0023】
押圧用パッド32は、厚み方向における押圧面32a及びその近傍のみが非金属材料からなっていても良いが、押圧用パッドの厚みT1(図2参照)の50〜100%、特に70〜100%の部分が非金属材料からなることが好ましい。数値的には、押圧面32aから深さ10mmまでの部分が少なくとも非金属材料からなることが好ましく、押圧面32aから深さ20mmまでの部分が少なくとも非金属材料からなることがより好ましい。尚、図2に示す例においては、押圧用パッド32の全体が非金属材料からなる。
【0024】
ガイド部33は、搬送ロール30の外周面にシートを保持して搬送する際に該シートの両端部等がばたついたりしないように該シートを安定に支持するものである。
本実施形態においては、ガイド部33の外周面33aも非金属材料から形成されている。ガイド部の外周面が非金属材料からなることで、接着剤11aを塗工された帯状シート10が外周面33aに触れても、帯状シートの温度は冷やされず、帯状に塗工された粘着材が搬送中に冷やされることを防止ないし軽減することができる。
【0025】
ガイド部の外周面33aを形成する非金属材料としては、押圧用パッドの押圧面を形成する非金属材料として上述した各種の非金属材料が好ましく用いられ、それらの中でも、熱伝導率の点からウレタンゴムが好ましく、フッ素樹脂がより好ましい。
ガイド部の外周面を形成する非金属材料は、熱伝導率(JISA1412)が、0〜0.5W/m・℃、特に0〜0.3W/m・℃であるものが好ましい。
【0026】
ガイド部33は、厚み方向における外周面33a及びその近傍のみが非金属材料からなっていても良いが、ガイド部の厚みT2(図3参照)の50〜100%、特に70〜100%の部分が非金属材料からなっていることが好ましい。また、数値的には、外周面33aから深さ10mmまでの部分が少なくとも非金属材料からなることが好ましく、押圧面33aから深さ20mmまでの部分が少なくとも非金属材料からなることがより好ましい。尚、図3に示す形態においては、ガイド部の厚み方向の全体が非金属材料からなる。
【0027】
接着剤の間欠塗工装置(図示せず)は、公知の搬送機構により連続搬送される帯状シート10に対してホットメルト型接着剤11aを間欠塗工するように構成されており、具体的には、帯状シート10の幅方向の両端近傍それぞれに、それぞれ帯状シートの長手方向に所定の間隔おいてホットメルト型接着剤を間欠的に塗工するようになされている。間欠塗工装置としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、ダイコーター、ビード、スパイラルコーター、カーテンコーター等を用いることができる。
【0028】
シート切断供給装置50は、図1に示すように、カッターロール51と受け刃ロール55とを備えており、ホットメルト型接着剤の塗工後に更に公知の搬送機構により搬送されてきた帯状シート10を、カッターロールの切断刃52と受け刃ロール55の外周面との間で強圧して切断し、切断により生じた個々の短尺シート13を、上述した受け渡し部Bまで搬送して、搬送ロール30の外周面に供給するように構成されている。
カッターロール51は、軸長方向に延びる切断刃52を、該ロール51の周方向の2箇所に有している。受け刃ロール55は、カッターロールの切断刃52がその全長に亘って接触するに足る軸長方向の長さを有するが、その外周面部の一部に、回転軸の中心から表面までの距離が、切断刃が接触する部分56よりも短くなるように形成された接着剤接触回避用の窪み57を有している。
【0029】
本実施形態における接着剤接触回避用の窪み57は、受け刃ロール55の軸長方向の両端部における周方向の2箇所に設けられている。受け刃ロール55の周方向における窪み55,55同士間の領域57は、回転軸の中心から表面までの距離が、軸長方向の中央領域55aと同じであり、カッターロールの切断刃52を受ける部分となっている。
受け刃ロール55が接着剤接触回避用の窪み57を有し、受け刃ロール55と短尺シートの接着剤塗工部11との接触を回避することで、ホットメルト型接着剤の温度低下を一層防止することができ、短尺シート13をウイング部22に接合する際に、該ホットメルト型接着剤を一層確実にウイング部22に結合させることができる。
【0030】
尚、受け刃ロール55の軸長方向の中央領域55aの外周面には、搬送ロール30の吸引孔31aと同様に吸引孔(図示せず)が形成されている。そのため、切断により生じた短尺シート13は、受け刃ロール55の外周面に保持された状態で、受け刃ロール55の回転に伴い上述した搬送ロール30への受け渡し部Bにまで搬送される。受け刃ロール55の吸引孔による短尺シートに働く吸着力は、搬送ロール30の吸引孔による短尺シートに働く吸着力より弱く、シートの受け渡し部Bにおいて、受け刃ロール55から搬送ロール30への受け渡しがスムーズに進行する。
【0031】
上述した搬送ロール30、カッターロール51及び受け刃ロール55は、それぞれの軸部がギア(図示せず)を介して連結されており、カッターロール51と受け刃ロール55とは、カッターロールの切断刃52と受け刃ロールの前記窪み間の領域57とが半回転毎に重なるように同期して回転し、また、搬送ロール30と受け刃ロール55とは、受け刃ロール55の外周面に保持されて搬送された各短尺シート13が、搬送ロールの各押圧用パッド32上に受け渡されるように連動して回転するようになされている。尚、受け刃ロール55から搬送ロール30への短尺シート13の受け渡しの際には、両ロール55,30の周速度の差により短尺シート間に所定の間隔が形成される。
【0032】
第2ロール60は、搬送ロール30の上方に配されており、図1に示すように、搬送ロール30の外周面に保持されて、ウイング部(他の部材)22との接合部Aにまで搬送されてきた短尺シート13を、押圧用パッド32で押圧してウイング部22に押し付けるに当たり、該ウイング部22の裏面側を押さえるものである。第2ロール60でウイング部22の裏面側を押さえることで、短尺シート13はウイング部22と共に両ロール30,60間で強く加圧されることになる。
本実施形態のシート接合装置1においては、短尺シート13とウイング部(他の部材)との間に、短尺シートの片面に塗工したホットメルト系接着剤が介在するため、該短尺シート13における接着剤塗工部11とウイング部22とを重ねた状態で加圧することにより両者が強固に接合される。
【0033】
本実施形態において、第2ロール60は、ハンマーロールである。
ハンマーロールは、搬送ロールと平行な状態を維持して固定されている。ハンマーロールは、アンビルロールと同様に圧力受けロールである。ハンマーロールを用いることで、加圧パッドによる加圧力が向上する。
【0034】
上述したシートの接合装置1を用いて、帯状の剥離紙である帯状シート10から生じた短尺シート13をウイング部22に接合するには、先ず、図1に示すように、帯状シート10を公知の搬送機構により連続搬送させつつ、接着剤の間欠塗工装置(図示せず)により、該帯状シート10にホットメルト型接着剤11aを間欠的に塗工する。この塗工により、ホットメルト型接着剤が塗工された接着剤塗工部11が、帯状シート10の幅方向の両端近傍それぞれに、それぞれ帯状シート10の長手方向に間欠的に形成される。
そして、接着剤が塗工された帯状シート10をシート切断供給装置50に供給し、カッターロールの切断刃52と受け刃ロール55との間で帯状シート10を幅方向に亘って切断させる。カッターロール51と受け刃ロール55との間への帯状シート10の導入は、受け刃ロール55の接着剤接触回避部57の位置と、該帯状シート10の接着剤塗工部11の位置とが一致するように制御した状態下に行う。位相の調整方法としては、各種公知の手法が特に制限なく用いられる。
【0035】
帯状シート10の切断により生じた短尺シート13は、受け刃ロール55の周面に吸着保持されて、搬送ロール30への受け渡し部Bにまで搬送される。受け渡し部Bにおいて、短尺シート13は、搬送ロール30の強い吸引力により、搬送ロール30の外周面に受け渡される。搬送ロール30の外周面に受け渡された短尺シート13は、搬送ロールに吸着保持されたまま、搬送ロールの回転に伴って搬送され、ウイング部(他の部材)との接合部Aまで搬送される。
【0036】
搬送ロールの押圧用パッド32は、上記のカム機構により、接合部Aに向かうに連れて漸次上昇し、接合部Aにおいては、搬送ロールのそれ以外の部分における外周面(ガイド部の外周面33aや吸着保持部の外周面等)より突出した状態となる。
ウイング部(他の部材)との接合部Aには、生理用ナプキン製造中間体20が公知の搬送手段により搬送されて順次供給されるようになされている。ナプキン製造中間体20は、それぞれのウイング部22が、搬送ロールの押圧用パッド32上に位置するように速度や間隔を調整されて供給される。そして、短尺シート13がホットメルト型接着剤を介してナプキン製造中間体20におけるウイング部22に接合される。この接合の際には、短尺シート13の接着剤塗工部11が、押圧用パッドの押圧面により強く押圧される。
【0037】
本実施形態においては、押圧用パッド32の押圧面32aが非金属材料からなり、接着剤塗工装置により塗工されたホットメルト型接着剤11aがウイング部22と接触するまでに冷え難い上に、押圧用パッド32で短尺シート13におけるホットメルト型接着剤が塗工された部分をウイング部22に強く押し付けるため、搬送ロール30に加温手段を設けなくても、ホットメルト型接着剤11aをウイング部22に強固に固定することができる。そのため、短尺シート13を剥離しても、ホットメルト型接着剤がウイング部22から剥離しにくい生理用ナプキンを得ることができる。
【0038】
本発明は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、ホットメルト型接着剤を介してシートを接合する対象は、吸収性物品のウイング部に限られず、吸収性本体の肌当接面を不織布で形成した場合の該不織布等であっても良い。また、短尺シートを接合する対象(ウイング部等)は、不織布のみからなるものの他、不織布と他の材料(樹脂フィルム、織布等)との積層体からなり、ホットメルト型接着剤を押し付ける面が不織布からなるものであっても良い。
また、短尺シートを接合する対象は、そのホットメルト型接着剤を押し付ける面が不織布以外の材料、例えば、樹脂フィルム、紙、織布等からなるものであっても良い。
【0039】
また、(押圧機能付き)搬送ロールにおける押圧用パッドは、カム機構により上下動するものに代えて、他の任意の機構により上下動するものであっても良い。例えば、リニアアクチュエータを用いたリニアシステムによる機構、空圧/油圧シリンダの上下動を用いた機構によって上下動するものであっても良い。
【0040】
また、吸収性物品は、生理用ナプキンの他、失禁パッド、パンティライナー、使い捨ておむつ等であっても良く、生理用ナプキン等は、ウイング部を有しないものであっても良い。吸収性物品の製造方法において、ホットメルト型の接着剤を転写させる部位は、ウイング部の衣類当接面に代えて、吸収性本体の衣類当接面であっても良く、また、ウイング部及び吸収性本体それぞれの衣類当接面にホットメルト型の接着剤を転写させるが、その一方のみを、押圧用パッドの押圧面により押圧して行っても良い。
また、本発明は、上述した実施形態におけるように、短尺シート(剥離紙)を他の部材から剥離したときに、ホットメルト型接着剤を該他の部材側に残すものであることが好ましいが、短尺シートをホットメルト型の接着剤を介して他の部材に剥離不可能に固定するものであっても良い。ホットメルト型接着剤は、他の部材側に残るホットメルト型接着剤をズレ止め材として用いる場合、常温で粘着性を示すものが好ましい。
ホットメルト型接着剤としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において、従来ズレ止め材として用いられているもの等を特に制限なく用いることができる。
【0041】
好ましく用いられるホットメルト接着剤の一例としては、ベースポリマー、常温で固体の粘着付与成分、軟化剤成分及び酸化防止剤を構成成分として含むものが挙げられる。
ベースポリマーとしては、スチレンブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体等が挙げられる。ベースポリマーは、粘着付与成分及び軟化剤成分の合計量を100重量部とした時、30〜130重量部、特に40〜120重量部の範囲で用いられることが好ましい。前記粘着付与成分としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、該粘着付与成分及び前記軟化剤成分の合計量100重量部中、60〜99重量部、特に70〜95重量部の範囲で用いられることが好ましい。前記軟化剤成分としては、軟化点が10℃以下で平均分子量が200〜700のプロセスオイル、鉱油、各種可塑剤、ポリブテン、及び液状粘着付与樹脂等が挙げられ、前記粘着付与成分及び該軟化剤成分の合計量100重量部中、1〜40重量部、特に5〜30重量部の範囲で用いられることが好ましい。前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等が用いられ、前記ベースポリマー、前記粘着付与成分及び前記軟化剤成分の合計量を100重量部とした時、0.5〜3重量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0042】
尚、図4に示す生理用ナプキン製造中間体における表面シート23は、不織布や開孔樹脂フィルム等からなる液透過性の中央部23aと、撥水性の不織布からなるサイド部23bとを有するものであるが、全体が一枚の不織布や開孔樹脂フィルムからなるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明のシート接合装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す装置の搬送ロール及び第2ロールの軸長方向に沿う断面を示す概略断面図である。
【図3】図3は、図2のII−II線断面図である。
【図4】図4は、図1に示すナプキン製造中間体を示す平面図である。
【図5】図5は、図1に示すナプキン製造中間体のウイング部にホットメルト型接着剤からなる粘着部11bを設けて得られる生理用ナプキンを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シートの接合装置
10 帯状シート
11 接着剤塗工部
20 生理用ナプキン製造中間体
21 吸収性本体
22 ウイング部(他の部材)
30 搬送ロール(押圧機能付き搬送ロール)
31 吸着保持部
31 吸引孔
32 押圧用パッド
33 ガイド部
40 カム機構
41 シャフト
42 支持体
43 カム
43a カム溝
50 シート切断供給装置
51 カッターロール
55 受け刃ロール
57 接着剤接触回避用の窪み
60 第2ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト型の接着剤が塗工されたシートを、該接着剤を介して他の部材に接合するシートの接合装置であって、
前記シートを外周面に保持しつつ回転し、該シートを他の部材との接合部まで搬送する搬送ロールを具備し、
前記搬送ロールは、軸長方向の一部に、押圧面が非金属材料からなり且つ上下動する押圧用パッドと、円弧状の外周面を有するガイド部とを備えており、
前記シートの前記接着剤が塗工された部分が、前記押圧用パッドの押圧面に押圧されて前記他の部材に接合されるようになされているシートの接合装置。
【請求項2】
前記押圧パッドは、カム機構により上下動する請求項1記載のシートの複接合装置。
【請求項3】
前記ガイド部の前記外周面が非金属材料からなる請求項1又は2記載のシートの接合装置。
【請求項4】
帯状シートを切断し、切断により生じた短尺シートを前記シートとして前記搬送ロールの外周面に供給するシート切断供給装置を具備し、
前記シート切断供給装置は、切断刃を有するカッターロールと、該切断刃を受ける受け刃ロールとを備え、
前記受け刃ロールは、前記シートの前記接着剤が通る位置に、該ロールの回転軸の中心から表面までの距離が、切断刃が接触する部分よりも短くなるように形成された接着剤接触回避用の窪みを有している、請求項1〜3の何れかに記載のシートの接合装置。
【請求項5】
外周面にシートを保持しつつ回転し、該シートを所定位置において他の部材へと押し付けることができる押圧機能付きの搬送ロールであって、
前記搬送ロールは、軸長方向の一部に、外周面に多数の吸引孔を有する吸着保持部を有し、軸長方向の他の一部における周方向に、押圧面が非金属材料からなり且つ上下動する押圧用パッドと、円弧状の外周面を有するガイド部とを備えている、押圧機能付き搬送ロール。
【請求項6】
ショーツ等の衣類に固定するための粘着部を衣類当接面に有する吸収性物品の製造方法であって、
ホットメルト型の接着剤が塗工されたシートを、請求項1記載のシートの接合装置を用いて、衣類当接面に接合し、前記粘着部が該接着剤からなり該粘着部が前記シートにより使用時まで被覆保護された形態の吸収性物品を得る、吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−221716(P2008−221716A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65409(P2007−65409)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】