説明

シートの製造方法及び加工装置

【課題】精度の高い延伸加工を施すことができ、高い伸縮特性及び強度を有するシートを製造可能なシートの製造方法及びそれに使用されるシートの加工装置を提供すること。
【解決手段】本発明のシートの製造方法は、互いに噛み合う歯溝20、30が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロール2、3を回転させ、それらの噛み合い部分に基材シート10を供給し、基材シート10に延伸加工を施す工程を具備している。そして、一対のロール2,3を基材シート10の流れ方向に複数配置して基材シート10に延伸加工を繰り返し施すと共に、各対のロールの噛み合い部分に、基材シート10の流れ方向に張力を加えながら該基材シート10を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法及びそれに使用されるシートの加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを備えた加工装置を使用し、該ロールを回転させてそれらの噛み合い部分に不織布等のシートを供給し、該シートに加工を施す技術が種々提案されている(例えば、下記特許文献1〜4参照)。
また、一対のロールをシートの流れ方向に複数配置して該シートに延伸加工を繰り返し施す技術も提案されている(下記特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】特表2002−501127号公報
【特許文献2】特開2001−328191号公報
【特許文献3】特開2003−73967号公報
【特許文献4】特開2004−174234号公報
【特許文献5】特開2006−089907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの技術のように歯溝を有する一対のロール間にシートを通して延伸加工を施す場合、歯溝の深さを深くすれば、延伸倍率が高い加工を施すことができるが、その一方において、シート全体としての強度が低下し易いという問題がある。また、一対のロールの噛み合い部分において、歯の先端とシートとの間にすべりが生じて、設計通りの延伸倍率に延伸できない場合がある。
【0005】
従って本発明は、精度の高い延伸加工を施すことができ、高い伸縮特性及びダメージが少なくて、強度を有するシートを製造可能なシートの製造方法及びそれに使用されるシートの加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを回転させ、それらの噛み合い部分に基材シートを供給し、該基材シートにその流れ方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、前記一対のロールを前記基材シートの流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、前記各対のロールの噛み合い部分に、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを供給するシートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、前記シートの製造方法を実施するためのシートの加工装置であって、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを、前記基材シートの流れ方向に複数備えており、前記一対のロールの噛み合い部分に供給される前記基材シートに対して、該基材シートの流れ方向に張力を加える張力付加手段が設けられており、該張力付加手段は、該一対のロール毎に設けられているシートの加工装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、互いに噛み合う歯溝が周方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを回転させ、それらの噛み合い部分に基材シートを供給し、該基材シートにその幅方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、前記一対のロールを前記基材シートの流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、前記各対のロールの噛み合い部分に、前記基材シートの幅方向に張力を加えながら該基材シートを供給するシートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、精度の高い延伸加工を施すことができ、高い伸縮特性及びダメージが少なくて、強度を有するシートを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき、図面を参照しながら説明する。
図1及び2は本発明のシートの加工装置(以下、単に加工装置ともいう。)の一実施形態を模式的に示したものである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の加工装置1は、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロール2、3を、基材シート10の流れ方向に直列に複数備えている。具体的には、それぞれ一対のロール2、3を備えた3つの延伸部が、基材シート1の流れ方向に間隔を開けて設けられている。以下、これら3つの延伸部を、基材シート1の流れ方向における上流側の延伸部から下流側の延伸部に向かって順に、第1延伸部4A、第2延伸部4B及び第3延伸部4Cともいう。
本実施形態の加工装置1は、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれの一対のロール2、3が回転されているときに、基材シート10を、第1延伸部4Aにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給し、引き続き、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分及び第3延伸部4Cにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給することで、該基材シート10の流れ方向に延伸加工を複数回施し、該基材シート10に伸縮性を付与する。
【0012】
本実施形態の加工装置1には、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれのロール2、3の噛み合い部分に供給される基材シート10に対して、該基材シート10の流れ方向に張力を加える張力付加手段5が設けられており、該張力付加手段5は、一対のロール2,3毎に張力を設定できるようになされている
また、本実施形態の加工装置1には、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれのロール2、3の噛み合い部分から、基材シート10の流れ方向に張力を加えながら該基材シート10を引き出す下流側張力付加手段6が設けられており、該張力付加手段6は、該一対のロール2,3毎に設けられている。
【0013】
以下、第1延伸部4Aのロール2,3及び第1延伸部4Aに対応して設けられた張力付与手段5A及び下流側張力付与手段6について説明するが、第2延伸部4B及び第3延伸部4Cについても同様である。
第1延伸部4Aの一対のロール2、3は同じ形態のロールで構成されている。ロール2、3に互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられているとは、図1に示すように、ロール2、3の回転軸と、歯20、30がロール2、3の幅方向に延びる方向とが、それぞれ平行になるように周面部に設けられ、歯20と歯20、又は歯30と歯30の間が溝になっていて、噛み合い部分では、互いのロールの歯が互いの溝に噛み合うように設けられていることを意味する。
【0014】
図2に示すように、各ロール2、3における隣接する歯20、30どうしのピッチPは、1.0mm〜5.0mmであり、前記各歯の幅Wが前記ピッチの1/2未満であり、且つ前記歯の高さHは隣接する歯のピッチ以上であることが好ましい。各ロールにおける歯溝の形態が斯かる範囲であり、これらロール2、3間に供給されるシートに従来にない高い伸縮性を付与することができる。ここで、ロールにおける隣接する歯どうしのピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。ロールの歯の幅とは、1つの歯の幅をいう。歯の幅は均等でなく、歯の根元から歯の先端に向って細くなる台形型の歯であってもよい。ロールの歯の高さとは、歯の根元から先端までの長さをいう。
【0015】
各ロール2、3における隣接する歯どうしのピッチPは、伸びの均一化を考慮すると、1.5〜3.5mmが好ましく、2.0〜3.0mmがより好ましい。また、各ロール2、3における歯の幅Wは、歯の強度を考慮すると、歯どうしのピッチの1/4〜1/2が好ましく、1/3〜1/2がより好ましい。さらに、各ロールの歯の高さHは、材料に伸縮性を与えるためには延伸倍率を高くすることを考慮すると、歯のピッチが例えば2.0mmの場合は2.0(ピッチの1.0倍)〜4.0(ピッチの2.0倍)mmが好ましく、2.5(ピッチの1.25倍)〜3.5(ピッチの1.75倍)mmがより好ましい。
【0016】
また、各ロール2、3における歯20、30の先端の角部は、材料が角部でダメージが与えられないように、面取りしておくのが好ましい。面取りの曲率半径は0.1〜0.3mmが好ましい。
【0017】
ロール2、3の歯20、30の噛み合い深さDは材料に伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。ここで、歯の噛み合い深さとは、ロール同士を噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯の重なり合う長さをいう。
【0018】
ロール2、3は、何れか一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。ロール2、3の各軸に歯20、30とは別に、一般的な、JIS B1701に規定されているギアを駆動伝達用のギアとして取り付けてもよい。それによって、ロール2、3の歯20、30が噛み合うのではなく、これらのギアが噛み合うことによって、ロール2、3に駆動が伝達され、ロール2、3を回転させることができる。この場合、ロール2、3の歯20、30は接触することはない。
【0019】
張力付与手段5Aは、第1延伸部4Aのロール2、3の上流側に配された一組のニップロール51、52と、該ニップロール51、52と該ロール2、3との間の搬送経路上に配された張力検出器(図示せず)と、該張力検出器の検出出力に基づいてニップロール51、52の周速度を制御する制御部(図示せず)とを備えており、前記張力検出器の検出出力に基づいてニップロール51、52の周速度をロール2、3の周速度に対して所定速度に調整し、ロール2、3間に供給される基材シート10に所望の張力を付与する。前記制御部による具体的な制御方法としては、所望の張力よりも大きな張力を検出した場合、ロール51、52の周速度を微増することによって、この区間の張力を小さくすることによって、所望の張力に近づくよう調整する。所望の張力より小さい張力を検出した場合、ロール51、52の周速度を微減することによって、この区間の張力を大きくすることによって、所望の張力に近づくよう調整する。
【0020】
第1延伸部4Aに対応して設けられた下流側張力付与手段6は、第1延伸部4Aのロール2、3の下流側に配された一組のニップロール61、62と、該ニップロール61、62と該ロール2、3との間の搬送経路上に配された張力検出器(図示せず)と、該張力検出器の検出出力に基づいてニップロール61、62の周速度を制御する制御部(図示せず)とを備えており、前記張力検出器の検出出力に基づいてニップロール61、62の周速度をロール2、3の周速度に対して所定速度に調整し、加工済みの基材シートに所望の張力を付与する。前記制御部による具体的な制御は、前述の張力付与手段5における制御と同様に行われる。
【0021】
本実施形態においては、図1に示すように、第1延伸部4Aに対応して設けられた下流側張力付与手段6は、第2延伸部4Bに対応して設けられた張力付与手段5Bを兼ねており、第2延伸部4Bに対応して設けられた下流側張力付与手段6は、第3延伸部4Bに対応して設けられた張力付与手段5Cを兼ねている。
張力付与手段又は下流側張力付与手段が一対のロール2,3毎に設けられているとは、一対のロール2,3毎に、そのロール2,3間に供給する基材シートの張力又はそのロール2,3間から引き出す基材シートの張力を個別に設定できることを意味する。
【0022】
加工装置1は、制御手段(図示せず)を備えており、該制御手段は、前記駆動手段や張力検出器による張力の検出やそれに基づくニップロール51,52,61,62の速度制御を、所定の動作シーケンスに従って制御する。
【0023】
本実施形態の加工装置1によれば、各延伸部4A〜4Bにおいて、延伸倍率が好ましくは50%以上、特に好ましくは100〜400%という高い延伸倍率の延伸加工を行うことができる。ここで、延伸倍率とは(歯溝を有するロールの噛み合いによって材料が延伸された時の長さ−該ロールの噛み合いによって延伸する前の材料長さ)/(該ロールの噛み合いによって延伸する前の材料長さ)×100(%)のことをいう。
【0024】
次に、本発明のシートの製造方法の一実施形態を、前記実施形態の加工装置1を用いて基材シートに加工を施す工程を具備するシートの製造方法に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、加工装置1における、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれの一対のロール2、3を回転させながら、基材シート10を、第1延伸部4Aにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給する。そして、図3に示すように、第1延伸部4Aにおけるロール2、3間において、基材シート10に延伸加工を施す。
そして、第1延伸部4Aにおけるロール2,3の噛み合い部分から引き出した基材シート10を、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給する。そして、第2延伸部4Bにおけるロール2,3間においても、図3に示すように、基材シート10に延伸加工を施す。
更に、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分から引き出した基材シート10を、第3延伸部4Cにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給する。そして、第3延伸部4Cにおけるロール2,3間においても、図3に示すように、基材シート10に延伸加工を施す。
【0026】
本実施形態においては、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれにおける一対のロール2,3の噛み合い部分に基材シート10を供給する際に、噛み合い部分に導入する前の基材シート10に、ニップロール51、52によってその流れ方向に張力を加え、張力を加えた状態の基材シート10をロール2、3の噛み合い部分に供給する。
【0027】
基材シート10の流れ方向の最も上流側に位置する一対のロールである、第1延伸部4Aの一対のロール2,3の噛み合い部分に基材シート10を供給する際には、供給する基材シート10に加える張力は、その基材シート10の破断荷重の10〜90%が好ましく、より好ましくは20〜80%である。
例えば、基材シート10の破断荷重が100mm幅あたり約60Nの場合は、延伸加工前に加える張力は100mm幅あたり6〜54Nが好ましく、100mm幅あたり12〜48Nがより好ましい。従来の搬送張力は、一般に100mm幅あたり3〜5N程度であるので、高い張力をかけた状態で延伸加工を施すことになる。
最初の延伸加工時の張力を破断荷重の10〜90%とすることにより、基材シート10を構成する繊維層が延伸されやすくなること、また高い張力を与えることによって噛み合って回転するロール2,3間で該基材シート10の流れ方向すなわち延伸方向での滑り、収縮を抑えることの効果より、該基材シート10に効果的に延伸加工を施し、これによって張力を与えない場合と比べて高い伸縮性が発現される。
【0028】
基材シート10の流れ方向の上流側から2つ目以降の一対のロールである第2延伸部4B及び第3延伸部4Cそれぞれにおける一対のロール2,3の噛み合い部分に基材シート10を供給する際には、供給する基材シート10に加える張力は、それより前の延伸加工を経た後の基材シート10の破断荷重の5〜80%が好ましく、より好ましくは10〜70%である。
このように、それより上流のロール2,3間で延伸された後の基材シート10に延伸加工を施す際には、延伸により低下した強度を考慮し、延伸後の該基材シート10の破断荷重を基準とすることが、延伸加工後の材料の破断を防ぐ点から好ましい。該基材シート10に張力を与えながら、延伸加工を施すことによる効果は前述の通りである。
【0029】
また、複数回の延伸加工により基材シート10を延伸させる場合、基材シート10は、次第に破断強度が低下する。そのため、上流側の延伸部に供給するときの張力より、下流側の延伸部に供給するときの張力を小さくすることが好ましく、本実施形態のように3つ以上の延伸部を設ける場合、基材シートの流れ方向の上流側に配置した一対のロールから下流側に配置した一対のロールに向かって、ロール2,3間に供給する基材シート10に加える張力を漸次低下させることが好ましい。張力は隣り合う延伸部間で15%以上低下させることが好ましく、20%以上低下させることが好ましい。
【0030】
また、各延伸部における延伸加工後の基材シート10は、ニップロール61、62によって張力を加えて、各延伸部のロール2,3間から引き出すことが好ましい。供給する基材シート10に加える張力は、加工後の基材シートの流れ方向に加工後の基材シートの破断荷重の5%〜80%加えることが好ましく、10%〜70%加えることがより好ましい。材料の破断荷重は延伸加工前に比べて、加工後では小さくなる。また、延伸加工によって伸縮性を付与された加工済み基材シート10はわずかな張力でも伸びやすい。そのような観点から、加工済みの基材シート10に加える張力を加工前の基材シート10に加える張力よりも弱くすることが好ましい。
【0031】
加工を施す基材シート10の材質に特に制限はないが、加工装置1による延伸加工によりもたらされる効果をより一層奏させる上で、伸縮性を有する不織布が好ましく、特に、弾性繊維層の少なくとも一面に、実質的に非弾性の非弾性繊維層が配され、両繊維層は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面接合されており、非弾性繊維層の構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態になっている伸縮性不織布(以下、伸縮性複合不織布という。)が好ましい。また、弾性繊維と非弾性繊維の接合をより強固にするため、エンボス加工を施した伸縮性複合不織布がより好ましい。
【0032】
非弾性繊維層の厚みは、弾性繊維層の厚みの1.2〜20倍が好ましく、且つ坪量は非弾性繊維層よりも弾性繊維層の方が高くなっていることが好ましい。また、弾性繊維層の構成繊維の繊維直径が、非弾性繊維層の構成繊維の繊維直径の1.2〜5倍であり、且つ10〜100μmであることが好ましい。
【0033】
前記弾性繊維層の構成繊維は、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーからなる繊維であることが好ましい。また、非弾性繊維層の構成繊維は、非弾性繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる短繊維からなる繊維が好ましい。
【0034】
上述のような構成の基材シートに加工装置1を用いて、上述のような高い張力を与えながら、複数回の延伸加工を施すことによって、伸度が80〜160%(100cN/25mm荷重負荷時)といった高い伸縮性を有するシートを連続的に製造することができる。ここで、伸度とは(引っ張り荷重を与えた後の材料長さ−引っ張り荷重を与える前の材料長さ)/(引っ張り荷重を与える前の材料長さ)×100(%)のことをいう。
【0035】
上述の基材シート10のほか、以下に説明する積層シート及び単層の繊維シートを基材シートとして用いることが高い伸縮性を得る上で好ましい。
【0036】
前記積層シートとしては、図4(a)及び(b)に示すように、弾性伸縮性を有する第1繊維層(弾性層)11の両面に、それぞれ実質的に非弾性の第2及び第3繊維層(非弾性繊維層)12,13が積層されており、これらが規則的なパターンで、部分的に接合されている積層シート10Aが挙げられる。
【0037】
斯かる積層シート10Aは、第1のカード機から供給されて一方向(流れ方向,MD)に連続搬送されている繊維ウエブ(第3繊維層)上に、繊維成形機により成形された弾性繊維を供給して、該繊維ウエブ上に、弾性繊維からなる層(第1繊維層)を連続的に形成し、更にその上に、第2のカード機から供給される繊維ウエブ(第2繊維層)を連続的に供給した後、得られた3層構造の積層シートに対して、エアースルー方式のドライヤーにより熱風処理を施し、熱風処理後の積層シートに対して、周面にエンボス用凸部が規則的に配置されたエンボスロール及びそれに対向配置されたアンビルロールを備えたエンボス装置により熱エンボス加工を施すことによって得ることができる。これにより、図4に示すように、接合部14が規則的なパターンで形成された積層シートが得られる。
【0038】
上述した積層シートの製造方法においては、ドライヤーによる熱風処理を、弾性繊維と非弾性繊維との熱融着や繊維の入り込みを目的として行っているが、斯かる熱風処理は省略することもできる。
【0039】
前記第1繊維層(弾性層)11は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものであり、少なくとも面と平行な一方向において、100%伸張後に収縮させたときの残留歪みが20%以下であることが好ましく、さらに好ましくは100%伸張後に収縮させたときの残留歪みが10%以下であることがより好ましい。これらの値は、少なくとも、MD方向及びCD方向の何れか一方において満足することが好ましく、両方向において満足することがより好ましい。最大伸度は30〜500%、特に300〜500%であることが好ましい。
【0040】
第1繊維層(弾性層)11は、弾性材料からなる弾性繊維を含むものが好ましい。弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、ゴム、エチレン・プロピレン共重合体等が挙げられ、これらの中でも、比較的容易に繊維状の弾性体が成形できる点から、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン、スチレン系(SBS,SIS,SEBS,SEPS等)、オレフィン系(エチレン、プロピレン、ブテン等の共重合体等)、塩化ビニル系、ポリエステル系等を挙げることができる。これらは一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
第1繊維層11中の、弾性材料からなる弾性繊維の含有率は、50〜100重量%、特に、75〜100重量%であることが好ましい。第1繊維層11の弾性繊維樹脂にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(PETやPBT)、ナイロン等の非弾性樹脂や有機又は無機顔料、各種添加剤(酸化防止剤、可塑剤、等)を含むこともできる。また、第1繊維層中に非弾性繊維、有機又は無機顔料を含むことができる。
弾性層としては、繊維層からなるものに代えて、フィルム状のもの、ネット状のもの等を用いることもできる。フィルムやネットの形成材料としては、上記各種の弾性材料を用いることができる。
【0042】
第2及び第3繊維層(非弾性繊維層)12、13は、伸張性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸張性は、構成繊維自体が伸張する場合と、構成繊維自体は伸張しなくても、繊維同士の交点において熱融着していた両繊維同士が離れたり、繊維同士の熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層として伸張する場合の何れであっても良い。
【0043】
非弾性繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(PETやPBT)、ナイロン等やポリ乳酸等の生分解樹脂からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維層を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に短繊維においては延伸により毛羽が起こりやすいが、本方法を用いると接合部の破壊が起こりにくいため、強度が高く、かつ、毛羽立ちが防止でき肌触りの良いものができる点で好ましい。
【0044】
接合部14は、例えば、図4(b)に示すように、積層シート10Aの流れ方向(MD)及びその直交方向(CD)の両方向に不連続に形成されていることが好ましい。また、積層シート10Aは、第2繊維層12及び/又は第3繊維層13は、肌触りの良い伸縮性不織布(伸縮性シート)を得る観点から、接合部14が積層シート10Aの表面に凹部を形成しており、それ以外の部分が、凸部となっていることが好ましい。
【0045】
一方、前記基材シート10に用いられる前記単層の繊維シートとしては、弾性成分と実質的に非弾性の成分とを含み、エンボス加工による部分的なエンボス部が形成されている単層の繊維シートが挙げられる。例えば、(1)芯部が弾性成分から構成され、鞘部が実質的に非弾性の成分からなる芯鞘型複合繊維、又は弾性成分若しくは非弾性の成分からなるサイド・バイ・サイド型複合繊維、多数分割型複合繊維で構成された、繊維ウエブや各種製法の不織布等に、上述した第1実施形態におけるのと同様のパターンでエンボス加工によるエンボス部を形成したもの、(2)弾性繊維と非弾性繊維とを混合状態で含む、繊維ウエブや各種製法の不織布等に、上述した積層シートにおける接合部と同様のパターンでエンボス加工によるエンボス部を形成したもの等を用いることができる。繊維シートの具体例としては、カード法で得られた繊維ウエブやスパンボンド、メルトブローンなどによって紡糸した繊維ウエブ、水流交絡繊維ウエブ、ニードル交絡繊維ウエブに、ヒートロールで多数の熱融着部を平面視において散点状に形成したものを挙げることができる。
弾性成分としては、上述した弾性繊維の構成材料を挙げることができる。実質的に非弾性の成分としては、上述した非弾性繊維の構成材料が挙げられる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の加工装置1及びそれを用いたシートの製造方法によれば、複数回の延伸加工により徐々に延伸倍率を高めていくことができるので、延伸倍率が高い一度の延伸加工により高倍率に延伸させる場合に比べて、シートの強度低下を軽減することができる。そのため、高い伸縮特性と充分な強度とが両立されたシートを得ることができる。
しかも、一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際に、該基材シートに張力を加えながら供給するようにしたので、一対のロールの噛み合い部分において、歯の先端とシートとの間の滑りが生じることを防止でき、基材シートに対して設計値に近い延伸倍率による精度の高い延伸加工を安定して施すことができる。
【0047】
また、延伸倍率が低い場合でも、高い張力を与えることによって、高い延伸倍率で延伸加工を施したものと同等の伸縮性を備えたシートを製造することができるので、以下のような加工上優位な効果が奏される。即ち、従来技術のように歯溝を有する一対のロール間にシートを通して延伸加工を施す場合、歯溝の噛み合い深さを深くすれば、延伸倍率が高い加工を施すことができるが、ロール同士を噛み合わせて回転させる必要がある。噛み合い深さを大きくする一方で、ロール同士を噛み合わせて回転させるためには、歯溝の形状の制限から、ロールの歯の幅を小さくしなければならない。しかし、本実施形態のように、複数回の延伸加工により徐々に延伸倍率を高めて行く場合、次第に高い延伸加工を施すロールが必要となるが、張力を与えながら延伸加工を施す場合は、これらの高い延伸倍率が必要な場合でも、張力を与えることによって、低い延伸倍率でも高い延伸倍率で延伸加工を施したものと同等の加工が可能なことである。なお、低い延伸倍率で延伸加工を施すロール(歯溝を有するロール)では、ロールの設計時において、形状の制限が幾分か緩和されるため、高い延伸倍率で延伸加工を施すロールよりも歯の幅を広くすることが可能となる。すなわち歯溝の強度を確保することができる。これによって、装置寿命を長くすることができるほか、装置の製作の手間、コストを抑えることができる。
【0048】
更に、数回に分け、延伸することで、材料が延伸される基点を第1延伸部4A、第2延伸部4B、第3延伸部4Cと異ならせることがき、材料の延伸ピッチを1対の歯溝ロールによる加工と比較してさらに細かくすることができ、より均一した伸びが得ることができる。即ち、例えば、1個の歯溝ロールのみで延伸した場合の延伸の基点は該歯溝ロールの歯のピッチの半分の値と同じになるが、2、3個の歯溝ロールで順次延伸する場合は、1回目の歯溝ロールによる延伸の基点と2,3回目の延伸加工のそれとが必ずしも一致したものとはならず、別のところが、延伸の基点となる。その結果として、細かな延伸ピッチとなり、延伸ピッチが細かくなることで均一した伸びが得られる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
本発明の他の実施形態のシートの製造方法は、図5及び図6に示すように、互いに噛み合う歯溝が周方向に沿うように周面部に設けられた一対のロール2,3を回転させ、それらの噛み合い部分に基材シート10を供給し、該基材シート10にその幅方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、一対のロール2,3を基材シート10の流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、各対のロール2,3の噛み合い部分に、基材シート10の幅方向に張力を加えながら該基材シート10を供給する。
【0050】
本実施形態の製造方法に用いるシートの加工装置1’は、図5及び図6に示すように、互いに噛み合う歯溝が周方向に沿うように周面部に設けられた一対のロール2、3を、基材シート10の流れ方向に直列に複数備えている。具体的には、それぞれ一対のロール2、3を備えた第1〜第3の延伸部4A〜4Cが、基材シート1の流れ方向に間隔を開けて設けられている。
【0051】
本実施形態の加工装置1’には、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれのロール2、3の噛み合い部分に供給される基材シート10に対して、該基材シート10の幅方向に張力を加える張力付加手段が設けられている。本実施形態における張力付加手段は、基材シート10の幅を、上流側から下流側に向かうにつれて漸増させ得るように構成されたピンテンターであり、基材シート10の両側縁部をそれぞれ拘束しながら下流に向かって移動させ、下流に移動するに連れて左右の拘束した部分間の距離を拡大させるように構成された左右一対の拘束搬送機構53,54を備えている。
【0052】
加工装置1’を用いて基材シートに延伸加工を加えるには、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれの一対のロール2、3を回転させ、基材シート10を、第1延伸部4Aにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給し、引き続き、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分及び第3延伸部4Cにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給する。このようにして、基材シート10に、該基材シート10を幅方向に延伸させる延伸加工を複数回施すことにより、該基材シート10に幅方向の伸縮性が付与される。
【0053】
本実施形態に用いた加工装置1’及びそれを用いた本実施形態のシートの製造方法によれば、複数回の延伸加工により徐々に延伸倍率を高めていくことができるので、シートの強度低下を軽減することができ、そのため、高い伸縮特性と充分な強度とが両立されたシートを得ることができる。
しかも、一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際に、該基材シートに張力を加えながら供給するようにしたので、基材シートに付与される伸縮性の伸縮方向が異なる以外は、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
本実施形態のように、基材シートをその幅方向(機械方向MDと直交する方向)に延伸させる延伸加工を施す場合、基材シート10の流れ方向の上流側の延伸加工時のシート10の幅(両側縁端間の直線距離)より、下流側の延伸加工時のシート10の幅を広くすることが好ましい。延伸加工を施されるにつれて基材シート10が幅方向に伸びやすくなるが、このような構成とすることで、各延伸加工の際に基材シート10に十分な張力を加えることができる。本実施形態におけるように、基材シートの流れ方向に直列に3つ以上の延伸部を設ける場合には、下流側の下流側に向かうにつれて延伸加工時のシート10の幅を漸増させることがより好ましい。
【0055】
他方、延伸加工時に基材シート10に対して付加する張力は、該基材シートの流れ方向の延伸加工時に付加する張力より、下流側の延伸加工時に付加する張力を小さくすることが好ましい。延伸加工を施されるにつれて基材シート10の幅方向の引張強度が低下するが、このような構成とすることで、基材シート10の強度の低下を抑制しつつ、伸縮特性に優れた基材シート10を得ることができる。
【0056】
本実施形態のように、基材シートをその幅方向(機械方向MDと直交する方向)に延伸させる延伸加工を施す場合の基材シートとしては、基材シートをその流れ方向に延伸させる上述した実施形態における基材シートに対し、その基材シートの長手方向の物性を幅方向に有する以外は同様の構成を有するシートを用いることができる。
【0057】
本発明は、前記実施形態に制限されない。
前記実施形態の加工装置1は、JIS B1701に規定されている標準基準ラック寸法に準じた寸法形状の規定から外れるような形態の歯溝を有するロールを使用したが、これは高い張力をかけながら高い延伸倍率で延伸加工を施すことによって、伸縮性に優れたシートが得られるからである。本発明のシートの製造方法は、該規定に適合する歯溝を有するロールを使用することもでき、その場合にも同様の効果が奏される。
【0058】
また、基材シート10の機械流れ方向に直列に配置する一対のロール2,3の数(延伸部の数)は、上述した実施形態の3個に代えて、2個あるいは4個以上とすることができる。一対のロール2,3の数(延伸部の数)は、2〜6個が好ましく、3〜5個がより好ましい。
【0059】
また、本発明の加工装置及びそれを用いたシートの製造方法は、前述したような不織布を基材シートとし、伸縮性のシートを製造する場合に特に好適であるが、それ以外、例えば、他の不織布、紙、樹脂フィルム或いはこれらを複合化した複合シート等を基材シートとし、該基材シートに高い延伸加工を施すことができる。このような延伸加工が施されたシートに伸縮性の付与を施すことができる。
【0060】
本発明の加工装置には、必要に応じてヒーター等を備え、ロールを加熱したりしてその温度を調整する温度調節手段を付設してもよい。また、一方のロールにその周面部において開孔する吸引路を設け、該吸引路を通して加工済みのシートを吸引する吸引手段を付設し、加工済みのシートを移送できるようにしてもよい。
【0061】
また、基材シートを流れ方向に延伸する延伸部に基材シートを供給する際の基材シートの張力は、上流側の延伸部に供給するときの張力より、下流側の延伸部に供給するときの張力を大きくしても良い。
また、加工装置における張力付加手段及び下流側張力付加手段は、ダンサーロール等であっても良い。更に、基材シートの流れ方向の最も上流側に位置する延伸部に対応する張力付加手段は繰り出しロールであっても良く、基材シートの流れ方向の最も下流側に位置する延伸部に対応する下流側張力付加手段は巻き取りロールであっても良い。
また、基材シートを幅方向に延伸する延伸部に基材シートを供給する際の基材シートの張力は、上流側の延伸部に供給するときの張力より、下流側の延伸部に供給するときの張力を大きくしても良い。
【0062】
本発明のシートの加工装置及びシートの製造方法は、加工を施すシートに応じて、多様な産業上の利用が可能であり、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品、衣料、医療用の包帯や湿布材等の様々な物品の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のシートの加工装置の一実施形態及びそれを用いたシートの製造工程を模式的に示す図である。
【図2】同実施形態におけるロールの部分拡大図である。
【図3】本実施形態の加工装置において一対のロール間で基材シートに延伸加工を施している状態を模式的に示す図である。
【図4】本発明のシートの製造方法に用いられる基材シートの一形態を模式的に示す拡大図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明のシートの加工方法の他の実施形態の製造工程及びそれに用いたシートの製造装置を模式的に示す図である。
【図6】図5に示す実施形態におけるロールの部分拡大図である。
【符号の説明】
【0064】
1、1’ シートの加工装置
2、3 ロール
20、30 歯
5 張力付与手段
6 下流側張力付与手段
10,10A 基材シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを回転させ、それらの噛み合い部分に基材シートを供給し、該基材シートにその流れ方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、
前記一対のロールを前記基材シートの流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、前記各対のロールの噛み合い部分に、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを供給するシートの製造方法。
【請求項2】
前記基材シートの流れ方向の最も上流側に位置する一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際には、その破断荷重の10〜90%の張力を加えながら該基材シートを供給する請求項1記載のシートの製造方法。
【請求項3】
前記基材シートの流れ方向の上流側から2つ目以降の一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際には、それより前の延伸加工を経た後の基材シートの破断荷重の5〜90%の張力を加えながら該基材シートを供給する請求項1又は2記載のシートの製造方法。
【請求項4】
前記各対のロールの噛み合い部分から、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを引き出す請求項1〜3の何れかに記載のシートの製造方法。
【請求項5】
前記基材シートが不織布からなり、複数回の前記延伸加工によって該基材シートの流れ方向に伸縮性を付与する請求項1〜4の何れかに記載のシートの製造方法。
【請求項6】
前記基材シートの流れ方向の上流側に配置した一対のロールから下流側に配置した一対のロールに向かって、ロール間に供給する前記基材シートに加える前記張力を低下させる請求項1〜5の何れかに記載のシートの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のシートの製造方法を実施するためのシートの加工装置であって、
互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを、前記基材シートの流れ方向に複数備えており、
前記一対のロールの噛み合い部分に供給される前記基材シートに対して、該基材シートの流れ方向に張力を加える張力付加手段が設けられており、該張力付加手段は、該一対のロール毎に設けられているシートの加工装置。
【請求項8】
前記一対のロールの噛み合い部分から、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを引き出す下流側張力付加手段が設けられており、該張力付加手段は、該一対のロール毎に設けられている請求項7に記載のシートの加工装置。
【請求項9】
互いに噛み合う歯溝が周方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを回転させ、それらの噛み合い部分に基材シートを供給し、該基材シートにその幅方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、
前記一対のロールを前記基材シートの流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、前記各対のロールの噛み合い部分に、前記基材シートの幅方向に張力を加えながら該基材シートを供給するシートの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−81849(P2008−81849A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259636(P2006−259636)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】