説明

シート処理装置、および画像形成装置

【課題】 多くの部材を必要としない簡素な構成で、シートの整合、束排出を行うことができるシート処理装置を提供する。
【解決手段】 短い水平な処理トレイ410の上方に昇降して処理トレイ410に当接可能なオフセットローラ407を配置する。処理トレイ410にはオフセットローラ407に対応させて束出しコロ440を配置する。処理トレイ410に供給されたシートをオフセットローラ407で後端ストッパ411に引き戻してシートクランプ部材412で挟み込む操作を繰り返してシート束を形成する。形成されたシート束は、回転するオフセットローラ407と束出しコロ440とで挟み込んでスタックトレイ421へ搬送して積載させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やその他の事務機等から排出されるシートを処理トレイ手段に積載してシート束を形成する機能を備えたシート処理装置、およびシート処理装置を内蔵/接続した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置から排出されるシートを受け入れて、仕分け、端綴じ、束折り製本、穿孔、検査等の処理を行うシート処理装置が実用化されている。また、画像形成装置の一部の機種では、このようなシート処理装置が内蔵されたり、購入選択肢(いわゆるオプション)として接続されたりする。
【0003】
針綴じ装置(ステイプラ)を備えて端綴じを行うシート処理装置は、最終的にシート束を積載する積載トレイ手段(スタックトレイ)の上流側に処理トレイ手段を設け、処理トレイ手段にシートを積載してシート束を形成している。
【0004】
特許文献1に示されるシート処理装置は、昇降可能な積載トレイ手段の上流側に処理トレイ手段を設けてシート束を形成している。処理トレイ手段には、シートの後端を当接させる後端当接部材と、シートに当接して後端当接部材側へ搬送する搬送ベルトと、シートの側端を両側から挟み込んで整合させる側端整合部材とが設けられている。
【0005】
そして、処理トレイ手段と搬送ベルトとの間にシートを次々に挟み込んで形成したシート束は、処理トレイ手段の出口側(積載トレイ手段側)に配置した一対の排出ローラ部材で挟み込んで積載トレイ手段へ搬送される。
【0006】
特許文献2に示されるシート処理装置は、処理トレイ手段の上流側にバッファローラを設けており、処理トレイ手段上で針綴じ処理やシート束を行わせている期間にもシートを受け入れてバッファローラに巻き付けて保持させ、処理トレイ手段からシート束が排出されると、バッファローラに保持したシートを処理トレイ手段へ一度に移動させている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−37512号公報
【特許文献2】特開平9−48545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されるシート処理装置は、シートを自重で奥側へ移動させるべく、処理トレイ手段の積載面にシートの全長に匹敵する長さを付与して奥側へ向かって低く傾斜させているので、処理トレイ手段の小型化が困難である。また、搬送ベルト部材とその駆動機構、側端整合部材とその駆動機構、および排出ローラ部材とその駆動機構を処理トレイ手段の周囲に配置しているので、部品点数が多く、機構が入り組んで調整箇所も多く、従って、シート処理装置の部品点数の削減や小型化が困難である。
【0009】
特許文献2に示されるシート処理装置は、バッファローラの口径が巨大で、その駆動機構や制御用センサを含めて部品点数が多く、部品点数の削減や小型化が困難である。
【0010】
本発明は、処理トレイ手段の大幅な小型化が可能で、少ない部品点数の簡素な機構によってシート束を形成し、積載トレイ手段へ排出もできるシート処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシート処理装置は、シートが積載される処理トレイ手段と、前記処理トレイ手段の上流側に配置されて、前記処理トレイ手段上のシートの後端を当接可能な後端当接部材と、前記後端当接部材に当接したシートの後端側を挟み込んで前記処理トレイ手段上にシート束を形成する挟み込み手段と、昇降可能に配置され、下降して前記処理トレイ手段上のシートに当接した状態でシートを前記上流側へ搬送して前記後端当接部材に当接させる搬送手段とを備え、前記搬送手段は、前記シート束に当接して下流側へ搬送することにより、前記シート束を前記処理トレイ手段から排出する手段を兼ねているものである。
【0012】
別の発明のシート処理装置は、シート束が積載される積載トレイ手段と、前記積載トレイ手段の上流側に配置されて、シートが積載される処理トレイ手段とを備えるシート処理装置において、前記処理トレイ手段の上流側に配置されて、前記処理トレイ手段上のシートの後端を当接可能な後端当接部材と、前記後端当接部材に当接させたシートの後端側を挟み込み可能な挟み込み手段と、昇降可能に配置され、下降して前記処理トレイ手段上のシートに当接した状態で、シートを前記上流側へ搬送可能な搬送手段と、前記処理トレイ手段に供給されたシートを前記搬送手段により搬送して前記挟み込み手段により挟み込む操作を繰り返してシート束を形成させるとともに、形成されたシート束を前記搬送手段により下流側へ搬送して前記積載トレイ手段へ積載させる制御手段とを備えたものである。
【0013】
そして、別の発明のシート処理装置は、前記搬送手段がシートに当接して正逆回転可能な搬送ローラ部材と、回転可能、回転の軸方向へ移動可能、および前記処理トレイ手段に対して当接・離間が可能に前記ローラ部材を支持する搬送ローラ部材支持機構とを有し、前記搬送ローラ部材に当接して回転可能な対向ローラ部材を前記処理トレイ手段に設けることにより、前記搬送ローラ部材と前記対向ローラ部材との間にシート束を挟み込んで前記積載トレイ手段へ搬送することとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート処理装置では、シートの後端を整合してシート束を形成させるための搬送手段をそのまま用いて、処理トレイ手段からシート束を排出するので、シート束を排出する専用のシート束駆動機構が不要である。そして、シートの自重に頼ることなく搬送手段によって後端当接部材へシートを引き戻すので、処理トレイ手段の積載面を水平で短いものとすることができる。従って、長大かつ斜めの積載面とシート束駆動機構とを備えた特許文献1のシート処理装置に比較して大幅な部品点数削減、機構の小型化が可能である。
【0015】
また、挟み込み手段によってシート束の後端を挟み込むので、シート束の上面に後続のシートが排出されてもその摩擦に耐えて整合状態が乱れない。従って、高さの限られた狭い空間でもかなりの枚数のシート束を形成できる。従って、搬送ベルトの作動空間を含んで後続のシートとの摩擦を回避する特許文献1のシート処理装置に比較して積載面の上方空間を節約できる。
【0016】
別の発明のシート処理装置では、1つの搬送手段によってシート束の形成と排出とを行うので、シート束の形成と排出とを別々の部材で行う特許文献1のシート処理装置に比較して部材の数とその駆動機構の数が少なくて済む。
【0017】
そして、回転可能、回転の軸方向へ移動可能、および処理トレイ手段に対して当接・離間が可能な搬送ローラ部材によって、シートの側端の整合も行えば、シート束の形成に係る部材と機構の数はさらに削減される。また、搬送ローラ部材と対向ローラ部材との間にシート束を挟み込んで処理トレイ手段から積載トレイ手段へ搬送する場合、厚いシート束を搬送手段の低い当接圧力で無理なく搬送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態であるシート処理装置400と、本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機500とを図面を参照して説明する。ただし、本発明のシート処理装置は、本実施形態のステイプル処理を行うシート処理装置400には限定されず、シート処理装置400は、単に積載トレイ手段にシートを積み重ねるだけの構成でもよく、束折り製本処理、穿孔処理等、他の処理を行う構成を付加してもよく、また、他の処理のみを行う構成や同じ処理を行う別の構成で実施してもよい。また、本発明の画像形成装置は、本実施形態のような複合機には限定されず、単独のファクシミリ、プリンタ、複写機等で実施されてもよい。
【0019】
また、本実施形態のシート処理装置400は、複写機500の装置本体500A以外の印刷装置等に接続されてもよく、本実施形態のシート処理装置400は、装置本体500Aから分離可能な別筐体で構成しても、また、装置本体500Aの筐体内に分離不能に組み込まれてもよい。
【0020】
<画像形成装置>
図1は本発明の一実施形態であるシート処理装置を備えた複写機の正面図である。本発明の画像形成装置である例えば複写機500は、画像形成手段である例えば装置本体500Aと、シート処理装置である例えばシート処理装置400とを備えている。
【0021】
複写機500は、原稿の画像を読み取るリーダ部120とシートに画像を形成するプリンタ部200とを装置本体500Aにまとめ、画像形成されたシートを整合してステイプル処理するシート処理装置400を装置本体500Aの下流側に連結している。装置本体500Aの上部には、リーダ部120のプラテンガラス102上に原稿を1枚ずつ供給する自動原稿給送装置(ADF)300を後方側へ開閉可能に取り付けてある。
【0022】
複写機500は、リーダ部120で読み取った原稿画像をプリンタ部200でシートに複写する複写機として機能する他、外部のパソコン等から送られてきた画像データをプリンタ部200で受けて、シートに画像を印刷するプリンタとしても機能する。さらに、複写機500は、リーダ部120で読み取った原稿画像のファクシミリ信号を他のファクシミリに送信したり、他のファクシミリからのファクシミリ信号を受信してプリンタ部200で印刷したりするファクシミリとしても機能する。
【0023】
複数枚の原稿の画像を複写する場合、ADF300に原稿を積載して、1枚ずつ順次リーダ部120のプラテンガラス102上に搬送させ、停止させたスキャナユニット101の上方を通過させる。また、ADF300で扱えない原稿の画像を複写する場合、ADF300を後方側へ開いてプラテンガラス102上に原稿を直接載置し、スキャナユニット101を図中左右方向へ移動させる。
【0024】
いずれにせよ、スキャナユニット101のランプ103で照明された帯状の領域の画像が、ミラー105、106、107及びレンズ108を経てCCDイメージセンサ部109に結像し、CCDイメージセンサ部109によって線画像が読み取られて画像信号に光電変換され、画像データ化や画像処理等のデジタル処理が施される。
【0025】
デジタル処理が施された画像信号は、プリンタ部200の露光制御部201に送信されて、変調されたレーザ光の光信号に変換される。露光制御部201は、光信号を走査して感光体ドラム202に照射し、この照射光によって感光体ドラム202の表面に静電気の潜像が形成される。現像器203でトナーを付着させて静電気の潜像が現像されることにより、感光体ドラム202にトナー像が形成される。
【0026】
このトナー像の先端とタイミングを合わせて、シートカセット204、205からシートSが搬送され、転写部206にてトナー像がシートSに転写される。シートSに転写されたトナー像は、定着部207で高温加圧を受けてシートに定着される。定着完了したシートSは、片面印刷の場合、フラッパ209が下方へ回動して搬送経路214を開くことにより、シート排出部208を通じてシート処理装置400へ受け渡される。
【0027】
一方、両面印刷の場合、フラッパ209が上方へ回動して搬送経路215を開くとともにフラッパ213が右方へ回動して反転経路212が開かれ、シートSは反転経路212へ搬送される。その後、フラッパ213を左方へ回動してシートSを搬送経路210へスイッチバック搬送することにより、シートSは、表裏反転状態で再び転写部206へ送り込まれて、裏面にもトナー像が転写される。その後は、片面印刷の場合と同様にしてシート処理装置400へ受け渡される。
【0028】
<シート処理装置>
図2はシート処理装置の主要部分を正面側から見た断面図、図3は処理トレイへシートを供給する状態の説明図、図4はシート処理装置装置の主要部分を上方から見た断面図、図5はシートクランプ部材の駆動系の説明図である。本実施形態のシート処理装置400は、処理トレイ手段である例えば処理トレイ410、供給手段である例えば搬送ローラ405、後端当接部材である例えば後端ストッパ411、挟み込み手段である例えばシートクランプ部材412、搬送手段、搬送ローラ部材、円筒形ローラ部材である例えばオフセットローラ407、制御手段である例えばCPU100、積載トレイ手段である例えばスタックトレイ421、側端当接部材である例えば位置決め壁416、搬送ローラ部材支持機構である例えばオフセットローラアーム406、対向ローラ部材である例えば束出しコロ440とを備えている。
【0029】
図2に示すように、装置本体500A(図1)から排出されたシートは、シート受け入れ部401からシート処理装置400へ進入して、入口センサ403により検知された後に、回転する搬送ローラ405と搬送コロ409とで挟み込まれて処理トレイ410へ搬送され、搬送ローラ405よりも少し速い周速度で回転するオフセットローラ407と束排出コロ440のニップへと受け渡される。処理トレイ410に落下したシートはシート束排出センサ415により検知される。
【0030】
図3に示すように、処理トレイ410へ落下したシートは、オフセットローラ407によってスタックトレイ421側へ搬送された後にオフセットローラ407の回転方向を反転させて後端ストッパ411まで引き戻される。この引き戻しに先立ってシートクランプ部材412は上方へ開かれており、引き戻されて後端ストッパ411に当接したシートの後端側をシートクランプ部材412で挟み込む操作を繰り返すことにより後続のシートの摩擦に抵抗してシート束が形成される。
【0031】
図12に示すように、処理トレイ410上に形成されたシート束は、ステイプラユニット420で隅を針綴じ処理した後、オフセットローラ407と束排出コロ440とで挟み込んでスタックトレイ421へ搬送される。
【0032】
スタックトレイ421は、モータを含む不図示の昇降駆動装置を備え、処理トレイ410の下方の空間を本体壁面400Aに沿って昇降して任意の高さ位置に位置決め停止が可能である。処理トレイ410へシートを積載・整合する過程では、スタックトレイ421が処理トレイ410に近い位置まで上昇して、処理トレイ410に積載されたシート束の先端側を支持する。処理トレイ410からスタックトレイ421へシート束を排出する過程では、スタックトレイ421が、図2に示すシート束受け取り高さに位置決めされ、シート束の排出後、排出されたシート束の厚みだけ下降して、シート束の最上面がシート束受け取り高さに位置決めされる。
【0033】
オフセットローラ407は、オフセットローラアーム406によって昇降可能に支持され、下降してシートに当接した状態で正(逆)回転することにより、処理トレイ410上のシートをスタックトレイ410側(後端ストッパ411側)へ搬送する。
【0034】
図4に示すように、オフセットローラアーム406は、オフセット軸406aを中心にして回動可能で、ダウンレバー433aに引っ張られることにより上昇方向へ回動する。ダウンレバー433aは、ピックアップソレノイド433に連結されており、ピックアップソレノイド433をオンするとダウンレバー433aが引き込まれてオフセットローラアーム406が上昇するが、ピックアップソレノイド433がオフすると、オフセットローラ407を含む自重によってオフセットローラアーム406が下降してダウンレバー433aを引き出す。
【0035】
オフセットローラアーム406は、オフセット軸406aに沿ってスライド移動が可能である。オフセットローラアーム406は、ラック406cとピニオン432aとを介してオフセットモータ432に連結されており、オフセットモータ432を正逆回転させることにより、オフセット軸406aに沿った両方向に移動する。これにより、オフセットローラ407は、後端ストッパ411に沿って移動し、後端ストッパ411の一端側に設けた位置決め壁416に接近し、または、遠ざかる。
【0036】
オフセットローラ407は、回転軸407aの方向に距離を隔てて一対配置されて同軸回転する。回転軸407aは、ベルト407b、431aを介して搬送モータ431に連結されている。搬送モータ431を正逆回転させることにより、ベルト431a、407bを介して回転軸407aが駆動されて、オフセットローラ407が正逆回転する。搬送ローラ405は、ベルト431bを介して搬送モータ431に連結され、オフセットローラ407と同一方向に少し遅い周速度で回転する。
【0037】
オフセットローラ407は、外周部がゴムもしくは発泡体等、ゴムに近い弾性を持った弾性体で形成され、摩擦係数は束出しコロ440よりも大きい。オフセットローラ407を回転停止状態で位置決め壁416側へ移動させると、オフセットローラ407に引き摺られたシートが位置決め壁416に当接する。シートが位置決め壁416に突き当った後、オフセットローラ407はシート上を滑りながら少し移動して停止する。
【0038】
オフセットローラ407に対向させて処理トレイ410に束出しコロ440が設置されている。束出しコロ440は、オフセットローラ407の移動範囲に対応させた長さを持たせて摩擦係数が小さい材料で形成した円筒形の回転ローラである。束出しコロ440は、スタックトレイ421へシートを1枚ずつ排出する単純積載処理では、オフセットローラ407と当接して従動回転して固定の排出ローラ対を構成するが、オフセットローラ407がシートを引き摺ってオフセット移動する際には、シートの摺動レールとして機能する。
【0039】
図5に示すように、シートクランプ部材412は、回転軸413bを中心にして回動可能に取り付けられ、不図示のバネ部材によって先端側が処理トレイ410に押し付けられる方向に付勢されている。シートクランプ部材412は、クランプレバー434aを介してクランプソレノイド434に連結されており、クランプソレノイド434をオンすると、不図示のバネ部材の付勢力に逆らってシートクランプ部材412が処理トレイ410から離間する。
【0040】
シートクランプ部材412は、オフセットローラ407が逆転している期間に開かれて新たなシートを受け入れ可能とされ、オフセットローラ407によって後端ストッパ411まで引き戻されて位置決め壁まで搬送されたシートの後端部を挟み込んで、順次送られてくる後続のシートによる連れ送り等の影響を受けることなく所定の位置に保持する。シートクランプ部材412は、位置決め壁416に向かってシートを移動させる期間および形成されたシート束を処理トレイ410から排出する際にも開かれる。
【0041】
本実施形態においては、シートを位置決め壁416に当接させた後に、再びオフセットローラを短時間逆転させて後端ストッパ411との当接を確実にし、これにより高精度の整合を実現している。指定された枚数のシートの整合・積載が完了すると、クランプソレノイド434をオフしてシートクランプ部材412を閉じてシート束を保持する。
【0042】
後端ストッパ411と位置決め壁416との交差部分にステイプラユニット420が配置されている。ステイプラユニット420は、シートクランプ部材412に保持されたシート束の隅を針綴じする。
【0043】
<シート処理装置の制御>
図6はシート処理装置の制御系の構成を示すブロック図、図7は束形成処理のフローチャート前半部分、図8は束形成処理のフローチャート後半部分、図9はシートの後端整合および側端整合の説明図、図10はオフセットローラのホームポジション復帰の説明図、図11はステイプラユニットによる針綴じの説明図、図12はオフセットローラによる処理トレイからスタックトレイへのシート束排出の説明図である。
【0044】
なお、図9、図10、図11、図15、図16においては、オフセットローラ407がオフセットローラアーム406の内側に配置される点が図4と異なるが、この構成の違いは単に設計上の違いに過ぎず、図4に示した構成のものと、機能及び作用についての差異はない。
【0045】
図6に示すように、CPU100は、内部にROM110、RAM121、シリアルインターフェイス部130等を内蔵している。ROM110には、図7、図8に示すフローチャートの制御を含む処理プログラムと必要な各種データが書き込まれている。RAM121には、ROM110から読み出された処理プログラムが保持され、また、制御過程で順次発生する作業用データ、入力データ、通信データ、演算結果等がそのたびに書き込み/消去される。シリアルインターフェイス部130は、複写機500の装置本体500Aの制御部140との間で制御データの授受を行うとともに、他のコンピュータやFAX受信部(図示せず)とも双方向の通信が可能である。
【0046】
CPU100の入力ポートには、入口センサ403、シート束排出センサ415等のセンサが接続されている。また、CPU100の出力ポートには、搬送モータ431、オフセットモータ432、ピックアップソレノイド433、クランプソレノイド434等のモータ及びソレノイドが接続されている。
【0047】
CPU100は、ROM110から処理プログラムを読み出してRAM121に保持させ、処理プログラムに従って、これらのセンサの出力を参照し、複写機500の装置本体500Aの制御部140から送られてくる制御データに基づいて必要な演算処理を行い、これらの各種モータ、ソレノイド等を制御することにより、シート処理装置400の各部の制御を行う。
【0048】
CPU100は、装置本体500Aからシートが排出されるたびに、装置本体500Aの制御部140とシリアル通信をして、後続するシートの排出の有無を確認するとともに、処理トレイ410上に積載されたシートのサイズを把握し、シートサイズに応じたオフセットローラ407の幅方向の移動量を設定してオフセットモータ432を制御する。これにより、オフセットローラ407は、処理トレイ410上に排出されているシートのサイズに応じた量だけ移動し、シートの側部を幅方向位置決め壁416に確実に当接させる。
【0049】
CPU100は、シートが所定枚数スタックトレイ421へ積載されるごとに、あるいはシート束が積載されるごとに、スタックトレイ421を下降させて、積載済みシートの最上面(積載面)を所定の高さ位置へ位置決める。これにより、積載進行とともに、積載したシート束の厚みだけスタックトレイ421が下降して積載面の高さがほぼ一定に維持される。
【0050】
CPU100は、処理トレイ410へシートを積載する際には、シートの最上面(積載面)が処理トレイ410とほぼ一致する高さ位置までスタックトレイ421を上昇させて、処理トレイ410へ積載されたシートの先端側をスタックトレイ421(その積載面)によって支持させる。
【0051】
次に、図1〜図6を用いて説明した各部の動作と制御を、図7、図8に示すフローチャートに基づいて、図9〜図12の動作説明図を参照しつつ説明する。以下のフローチャートの説明は、シートがセンタ基準で搬送されてくるものとする。
【0052】
図7に示すように、装置本体500Aの制御部140がシート排出要求を行うと、CPU100は、処理内容を含む処理情報およびシートサイズを含むシート情報を取得する(S110)。そして、ピックアップソレノイド433をオンしてオフセットローラ407を持ち上げ(S120)、搬送モータ431を順方向に回転させて、搬送ローラ405およびオフセットローラ407を順方向に回転させて(S130)シート受け入れの準備をした後に、装置本体500Aの制御部140にシート排出を許可する(S140)。
【0053】
そして、入口センサ403がオンするとシート排出を禁止し(S160)、装置本体500Aのシート排出部208をシートが抜けると(S170のYES)、ピックアップソレノイド433をオフして(S180)、図9の(a)に示すように、オフセットローラ407を下降させてシートSに当接させる。
【0054】
そして、オフセットローラ407によってシートが所定位置まで搬送されると(S190のYES)、搬送モータ431を停止してシートSの搬送を停止させ(S200)、クランプソレノイド434をオンさせて、図9の(b)に示すように、シートクランプ部材412を上方へ開いた(S210)後に、搬送モータ431を逆転させてシートSを後端ストッパ411まで引き戻し(S220)て搬送モータ431を停止させる(S230)。
【0055】
なお、本実施形態の制御では、シートの後端が入口センサ403を抜けると、ピックアップソレノイド433がオフされるようになっており、これによりオフセットローラ407は、自重で下降してシート上に着地(当接)し、この後、順方向に所定時間回転して停止し、さらに所定時間が経過すると逆方向に回転する。これにより、シートを後端ストッパ411に確実に当接させることができる。そして、オフセットローラ407が逆方向に回転してシートが後端ストッパ411に当接した後、オフセットローラ407はシートを少し空回り(スリップ)して停止する。
【0056】
そして、取得したシート情報(S110)に基づいてシートサイズに応じたオフセット移動量、すなわち処理トレイ410に排出されたシートを位置決め壁416に当接させて少しオフセットローラ407をスリップさせるために必要なオフセットローラ407の移動距離であるオフセット移動量を算出する(S240)。
【0057】
そして、図9の(c)に示すように、オフセットモータ432をオンして、算出されたオフセット移動量だけオフセットローラ407を位置決め壁416に近付ける(S250)ことにより、シートを位置決め壁416に当接させてシートの幅方向を整合する。
【0058】
そして、所定枚数のシートが積載完了して束形成が終了したか否かを判断し(S260)、未完了の場合(S260のNO)、ピックアップソレノイド433をオンして、図10の(a)に示されるようにオフセットローラ407を上昇させ(S270)、続いて、クランプソレノイド434をオフさせて、図10の(b)に示されるように、シートSをシートクランプ部材412で挟み込み(S280)、オフセットローラ407をホームポジションへ復帰させて(S290)、次のシートの受け入れに備えて搬送モータ431をオンさせる(S130)。
【0059】
そして、ステップS130〜S290の操作を繰り返して処理トレイ410上にシート束が形成されると(S260のYES)、図8のフローチャートに移行し、取得した処理情報(S110)に基づいてステイプル処理が選択されているか否かを判断し(S310)、選択されていれば(S310のYES)、クランプソレノイド434をオフしてシート束をシートクランプ部材412で一体に挟みこんだ(S320)まま、図11に示すように、ステイプラユニット420を作動させてシート束の隅を針綴じする(S330)。
【0060】
そして、クランプソレノイド434をオンさせてシートクランプ部材412によるシート束の拘束を解除し(S340)、続いて搬送モータ431を順方向に回転させて(S350)、図12に示すように、オフセットローラ407と束排出コロ440とで挟み込んだシート束SAを処理トレイ410からスタックトレイ421へ搬送して積載させる。搬送モータ431は、シート束がシート束排出センサ415をオフさせた後、所定時間回転して停止する(S360)。その後、上述したように、スタックトレイ421を下降、上昇させてスタックトレイ421の停止高さを再調整する(S370)。
【0061】
そして、クランプソレノイド434をオフさせてシートクランプ部材412を閉じさせ(S380)、ピックアップソレノイド433をオンして、オフセットローラ407を上昇させ(S390)た状態でオフセットローラ407をホームポジションへ復帰させる(S400)。
【0062】
そして、最終の束か否かを判別し(S410)、最終の束であれば、ピックアップソレノイド433をオフして(S420)オフセットローラ407を下降させた状態で制御を終了する(S420)が、最終の束でない場合(S410のNO)、オフセットローラ407を上昇させたまま、搬送モータ431をオンして次のシート排出に備える(図7のS130)。
【0063】
処理トレイ410上のシートは、クランプソレノイド434をオフする(S380)ことにより、図10の(b)に示すようにシートクランプ部材412によって挟持されているので、積載済みシートが後続のシートにより連れ送りされない。
【0064】
ステップS310でステイプル処理が選択されていない場合(S310のNO)、クランプソレノイド434をオフしてシートクランプ部材412により挟持させることなく、直ちに搬送モータ431をオンさせて、オフセットローラ407と束出しコロ440とで挟み込んだシート束をオフセットローラ407により搬送して、針綴じすることなくスタックトレイ421へ搬送して積載する(S350)。
【0065】
また、シート束を形成することなく、受け入れたシートを1枚ずつスタックトレイ421へ積載するいわゆる単純積載処理が指定されている場合、オフセットローラ407は、終始下降状態で束出しコロ440と当接した状態で順方向に回転し続ける。装置本体500A(図1)から排出されたシートは、シート受け入れ部401(図2)から搬送ローラ405を経てオフセットローラ407と束出しコロ440とのニップに受け渡され、そのままスタックトレイ421へ排出して積載される。
【0066】
本実施形態のシート処理装置400は、後端ストッパ411へ当接させるシート搬送と、位置決め壁416へ当接させるシート搬送と、シート束をスタックトレイ421へ排出するシート束搬送とを1個のオフセットローラ407によって行うため、多くの部材を必要としない簡素な構成で、シートの整合、束排出を行うことができる。
【0067】
なお、本実施形態では、シート束を綴じるステイプラユニット420を固定式とし、位置決め壁416付近に配設しているが、本発明は、これに限らず、ステイプラユニット420を移動式とし、シート搬送方向(幅方向)に移動可能としても良い。シート搬送方向(幅方向)に移動可能な移動式のステイプラユニットを採用すれば、シート束のシート搬送方向(幅方向)の別箇所や複数箇所を針綴じ処理できる。
【0068】
また、本実施形態では、回転するオフセットローラ407によってシートを搬送方向に移動させ、停止したオフセットローラ407を幅方向に移動させてシートを幅方向に引き摺る構成を採用したが、本発明はこの組み合わせに限らず、シートに当接して搬送方向にシートを引き摺る部材が幅方向へも移動可能であるような搬送手段によっても実現できる。
【0069】
また、本実施形態では、マイコン制御回路を用いて、図7、図8のフローチャートの制御に対応するプログラムをROM110に書き込み、ROM110からプログラム読み出してCPU100が制御を行っているが、制御プログラム上の処理を専用論理回路やシーケンサで行うように構成しても同様の効果が得られる。
【0070】
<シート処理装置の別の制御>
図13は本実施形態のシート処理装置における束形成処理の変形例のフローチャート、図14は束排出時に次のシートを排出させた状態の説明図、図15は残ったシートの整合処理の説明図、図16は続く2枚目のシートの整合処理の説明図である。ここでは、図1〜図7および図9〜図12を参照して説明したシート処理装置400を用いて、図8のフローチャートを図13のフローチャートに置き換えている。また、図13のフローチャート中、ステップS310〜S350、ステップS360〜S400の処理については図8のフローチャートと同じなので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
図13に示すように、処理トレイ410上にシート束が形成され(図7のS110〜S290)、ステイプル処理の有無に応じた処理が完了する(S310〜S340)と、搬送モータ431がオンされて、オフセットローラ407と束出しコロ440とで挟み込まれたシート束の排出が開始される(S350)。
【0072】
すると、直ちに最終の束か否かが判断され(S410)、最終の束であれば、図8のフローチャートと同様に、シート束がシート束排出センサ415をオフさせた後、所定時間搬送モータ431を回転させて停止し(S360)、スタックトレイ421の停止高さを再調整し(S370)、クランプソレノイド434をオフさせ(S380)、ピックアップソレノイド433をオンして(S390)、オフセットローラ407をホームポジションへ復帰させ(S400)、ピックアップソレノイド433をオフして(S420)オフセットローラ407を下降させた状態で制御を終了する(S420)。
【0073】
しかし、最終の束でない場合(S410のNO)、次のシート束形成のために、シート束の排出途中で装置本体500Aの制御部140に新たなシート排出を許可し(S510)、装置本体500Aからシートが排出されて入口センサ403がオンすると(S520のNO)シート排出を禁止し(S530)、搬送ローラ405により搬送されたシートを図14に示すようにシート束SAとオフセットローラ407との間に挟み込む。
【0074】
そして、オフセットローラ407によってシートが所定位置まで搬送されると(S540のYES)、それまでにシート束は、図15の(a)に示すように、処理トレイ410からスタックトレイ421へ落下して、残ったシートがオフセットローラ407と束出しコロ440とで挟み込まれ搬送されているので、搬送モータ431を一旦停止してシートSの搬送を停止させ(S550)、スタックトレイ421の停止高さが再調整される(S560)。
【0075】
そして、搬送モータ431を逆転させて、図15の(b)に示すように、オフセットローラ407によってシートSを後端ストッパ411まで引き戻し(S570)て搬送モータ431を停止させる(S580)。
【0076】
そして、図15の(c)に示すように、オフセットモータ432をオンして、若干のオフセット移動量(5〜10mm程度)だけ、つまり後続のシートを重ねた際に幅方向に少しはみ出す程度にオフセットローラ407を位置決め壁416に近付ける(S590)。その後、ピックアップソレノイド433をオンして、オフセットローラ407を上昇させ(S600)、クランプソレノイド434をオフさせて、シートSをシートクランプ部材412で挟み込み(S610)、オフセットローラ407をホームポジションへ復帰させて(S620)、次のシートの受け入れに備えて搬送モータ431をオンさせる(図7のS130)。
【0077】
そして、図16の(a)に示すように、次のシートが処理トレイ410に排出されると(図7のS130〜S170)、オフセットローラ407をシートに当接させて(図7のS180)シートを順方向へ搬送した後に停止させ(図7のS190、S200)、図16の(b)に示すように、シートクランプ部材412を開いてオフセットローラ407によりシートを後端ストッパ411まで引き戻す(図7のS210〜S230)。
【0078】
そして、図16の(c)に示すように、幅方向に少しずらせて重なったシートSをオフセットローラ407によりオフセット移動させると、下のシートSが位置決め壁416に当接した後に上のシートSが下のシートS上を滑って位置決め壁416に当接し、これにより、2枚のシートSの側端が同時に整合される(図7のS250)。
【0079】
その後は、図7のフローチャートを参照して説明したように、所定枚数のシートを重ねたシート束を形成し、図13のフローチャートを参照して説明したように、最後の束までシート束を形成し、必要なら針綴じ処理を行ってスタックトレイ421へ排出して積載させる。
【0080】
このような別の制御によれば、次のシートが処理トレイ410に排出されたとき、シート束と重ねて排出したシートは、後端ストッパ411には当接しているが、位置決め壁416には当接していない状態になっている。そして、位置決め壁416にオフセット移動する時に、2枚のシートを同時に移動させ2枚とも位置決め壁416に当接させている。
【0081】
1枚目のシートを若干量位置決め壁416方向にずらしていたのは、次のシートが装置本体500A(図1)から出てくる際、想定している幅方向のシートセンターがずれる可能性があるためであり、先に1枚目のシートを位置決め壁416に当接させてから次のシートSを当接させ、確実に2枚のシートを整合できる。
【0082】
ここで、単純にシートサイズに応じたオフセット移動量分だけオフセットローラ407を移動させてもよいが、そうするとシートの幅方向端部と位置決め壁416との距離が多いシート、つまりオフセット移動量が多いシートにおいて、オフセットローラ407の移動領域が大きくなってしまうことになり、シート後処理装置400が大型化してしまうため、2枚同時に整合する動作はシート後処理装置400の大型化を防ぐことができ、有効である。
【0083】
また、特許文献2に示されるシート処理装置では、処理トレイ手段からシート束を排出させている間もシートを受け入れ可能とするために、大型のバッファローラとその複雑な駆動機構を必要としていたが、この制御によれば、排出されるシート束と重ねてシートを受け入れることにより、処理トレイ410に直接、何らの機構追加を行うことなくシートを受け入れることができる。従って、装置本体Aの処理能力を活かして毎分処理枚数を増すことができ、バッファした別の場所から処理トレイ410へシートを移動させる時間も節約できる。
【0084】
言い換えれば、綴じ動作、排出動作を行っている間は、次のジョブのシートを処理トレイ410に積載することができない。従って、綴じ動作の間は次のシートが進入しないように装置本体500Aからてシート処理装置400への搬送を待たせるようにしていた。しかし、このように装置本体500Aにてシートの搬送を待たせると、生産性が低下してしまう。このような生産性の低下を防止する技術としては、特許文献2に示されるように、搬送路の途中にシートを回転するバッファローラに巻きつけて処理トレイへの搬送を待機させる方法がある。
【0085】
バッファローラにシートを巻きつけて搬送を待機させる技術は、高生産性の画像形成装置に用いられることが多く、中低速の画像形成装置に装着されるシート処理装置においては、スペースやコスト等の面からその技術を用いることが困難であり、綴じ動作の間は次のシートが進入しないように画像形成装置においてシート処理装置への搬送を待たせるようにしている。
【0086】
この制御は、このような現状に鑑みてなされたものであり、多くの部材を必要としない簡素な構成で、ステイプル処理時の生産性を向上させることができるシート処理装置およびこれを備えた画像形成装置を提供できる。
【0087】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のシート処理装置400では、処理トレイ410の上流側に後端ストッパ411を配置しているので、特許文献1に示されるように奥まった下方位置に後端ストッパを配置する場合に比較して機構が単純化され、シートを当接させるための引き戻し距離も短くて済む。
【0088】
また、シートの自重に頼ることなくオフセットローラ407によって後端ストッパ411へシートを引き戻すので、処理トレイ410を水平で短い(10cm程度)ものとすることができる。
【0089】
また、挟み込み手段によってシート束の後端を挟み込むので、シート束の上面に後続のシートが排出されてもその摩擦に耐えて整合状態が乱れない。従って、高さの限られた狭い空間でもかなりの枚数のシート束を形成できる。従って、搬送ベルトの作動空間を含んで後続のシートとの摩擦を回避する特許文献1のシート処理装置に比較して積載面の上方空間を節約できる。
【0090】
また、オフセットローラ407を共用してシート束の形成と排出とを行うので、シート束の形成と排出とを別々の部材で行う特許文献1のシート処理装置に比較して部材の数とその駆動機構の数が少なくて済む。
【0091】
また、回転可能、回転の軸方向へ移動可能、および処理トレイ410に対して当接・離間が可能なオフセットローラ407によって、シート束の形成と排出とに加えてシートの側端の整合も行うので、シート束の形成、排出に係る部材と機構の数はさらに削減される。
【0092】
また、処理トレイ410に束出しコロ440を設けているので、シートが無くても下降した状態のオフセットローラ407を回転することができる。従って、スタックトレイ421へシートを1枚ずつ排出する際には、オフセットローラ407を下降したまま回転させればよく、束出しコロ440が無い場合のように、シートを検知してオフセットローラ407の下降と上昇とを繰り返す必要が無い。
【0093】
また、スタックトレイ421へシート束を排出する際には、オフセットローラ407と束出しコロ440との間にシート束を挟み込んで搬送するので、束出しコロ440が無い場合に比較して、オフセットローラ407の当接圧力が低くても厚いシート束を無理なく搬送できる。
【0094】
また、オフセットローラ407を用いてシートやシート束を処理トレイ410上でオフセット移動させることにより、スタックトレイ421上に積載されるシートやシート束の位置をシート幅方向に複数通りに異ならせることができるから、ジョブごとに積載位置を異ならせて、スタックトレイ421からのジョブごとのシート束の取り出しを容易にしたり、FAX受信等の割り込みジョブの見分けを容易にしたりすることも容易である。
【0095】
そして、束出しコロ440によって、オフセットローラ407は、滑り少なくシート束を搬送できるので、搬送開始後の刻々のシート束位置を正確に捕捉でき、シート束に重ねてシートを排出する上述の制御も可能になる。すなわち、シートを排出した際には、シート束が確実に後端ストッパ411から離れており、シートを重ねた後にシート束が停止してシート束上をシートだけが空滑りしてスタックトレイ421へ先行排出されてしまうことがない。
【0096】
また、オフセットローラ407は、シートに当接すると弾性体材料が変形してシートに面接触するので、硬くて変形しない場合に比較してシートの回転に対する抵抗力が大きく、オフセット移動する際のシートの回転による整合の乱れが少ない。
【0097】
また、オフセットローラ407は、回転軸方向に距離を隔てて一対配置されているので、1個の場合に比較してシートの回転に対する抵抗力が大きく、オフセット移動する際のシートの回転による整合の乱れが少ない。
【0098】
そして、このように小型化、軽量化されたシート処理装置400であれば、本実施形態の複写機500のように別筐体として装置本体500Aに連結するばかりでなく、装置本体500Aの平面内に収めてリーダ部120下に配置することも可能になる。
【0099】
また、部品点数の削減によって、組み立て、調整のコストも低下し、故障が少なく低稼働率が高く、高生産性でありながら精度と信頼性の高い低価格の複写機500を提供できる。
【0100】
なお、本実施形態では、装置本体500Aの各部を制御して画像形成を行う制御部140とは別の独立したマイコン制御装置であるCPU100をシート処理装置400に設けて、シート処理装置400の各部を制御させたが、CPU100の入出力をシート処理装置400の外部に引き出して制御部140に接続し、制御部140にて装置本体500Aの制御と並行してシート処理装置400の制御も行わせるようにしてもよい。また、CPU100と制御部140は、シート処理装置400あるいは装置本体500Aのどちらかに構成しても良く、また、CPU100と制御部140を一体に構成し、一体に構成した制御部が全体を制御するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート処置装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面図。
【図2】シート処理装置の主要部分を正面側から見た断面図である。
【図3】処理トレイへシートを供給する状態の説明図である。
【図4】シート処理装置装置の主要部分を上方から見た断面図である。
【図5】シートクランプ部材の駆動系の説明図である。
【図6】シート処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】束形成処理のフローチャート前半部分である。
【図8】束形成処理のフローチャート後半部分である。
【図9】シートの後端整合および側端整合の説明図である。
【図10】オフセットローラのホームポジション復帰の説明図である。
【図11】ステイプラユニットによる針綴じの説明図である。
【図12】オフセットローラによる処理トレイからスタックトレイへのシート束排出の説明図である。
【図13】本実施形態のシート処理装置における束形成処理の変形例のフローチャートである。
【図14】束排出時に次のシートを排出させた状態の説明図である。
【図15】残ったシートの整合処理の説明図である。
【図16】続く2枚目のシートの整合処理の説明図である。
【符号の説明】
【0102】
100 制御手段(CPU)
140 制御部
200 プリンタ部
400 処理手段(シート処理装置)
405 供給手段(搬送ローラ)
406 搬送ローラ部材支持機構(オフセットローラアーム)
407 搬送手段、搬送ローラ部材、円筒形ローラ部材(オフセットローラ)
410 処理トレイ手段(処理トレイ)
411 後端当接部材(後端ストッパ)
412 挟み込み手段(シートクランプ部材)
416 側端当接部材(位置決め壁)
420 ステイプラユニット
421 積載トレイ手段(スタックトレイ)
432 オフセットモータ
433 ピックアップソレノイド
440 対向ローラ部材(束出しコロ)
500 画像形成装置(複写機)
500A 画像形成手段(装置本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される処理トレイ手段と、
前記処理トレイ手段の上流側に配置されて、前記処理トレイ手段上のシートの後端を当接可能な後端当接部材と、
前記後端当接部材に当接したシートの後端側を挟み込んで、前記処理トレイ手段上にシート束を形成する挟み込み手段と、
昇降可能に配置され、下降して前記処理トレイ手段上のシートに当接した状態で、シートを前記上流側へ搬送して前記後端当接部材に当接させる搬送手段と、を備え、
前記搬送手段は、前記シート束に当接して下流側へ搬送することにより、前記シート束を前記処理トレイ手段から排出する手段を兼ねていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
シート束が積載される積載トレイ手段と、
前記積載トレイ手段の上流側に配置されて、シートが積載される処理トレイ手段と、を備えるシート処理装置において、
前記処理トレイ手段の上流側に配置されて、前記処理トレイ手段上のシートの後端を当接可能な後端当接部材と、
前記後端当接部材に当接させたシートの後端側を挟み込み可能な挟み込み手段と、
昇降可能に配置され、下降して前記処理トレイ手段上のシートに当接した状態で、シートを前記上流側へ搬送可能な搬送手段と、
前記処理トレイ手段に供給されたシートを前記搬送手段により搬送して前記挟み込み手段により挟み込む操作を繰り返してシート束を形成させるとともに、形成されたシート束を前記搬送手段により下流側へ搬送して前記積載トレイ手段へ積載させる制御手段と、を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
前記処理トレイ手段上のシートの側端を当接可能な側端当接部材を備え、
前記搬送手段は、シートの後端に沿った方向へもシートを搬送可能で、
前記制御手段は、シートの後端を前記後端当接部材へ当接させた後に前記搬送手段により前記側端当接部材側へシートを当接させることを特徴とする請求項2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、シートに当接して正逆回転可能な搬送ローラ部材と、
回転可能、回転の軸方向へ移動可能、および前記処理トレイ手段に対して当接・離間が可能に前記搬送ローラ部材を支持する搬送ローラ部材支持機構と、を有することを特徴とする請求項3記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記搬送ローラ部材に当接して回転可能な対向ローラ部材を備え、
前記搬送ローラ部材と前記対向ローラ部材との間にシート束を挟み込んで前記積載トレイ手段へ搬送することを特徴とする請求項4記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記搬送ローラ部材は、外周部に摩擦の大きな弾性体材料を配置した一対の円筒形部材を有し、
前記一対の円筒形部材は、回転軸方向に距離を隔てて同軸回転可能に組み立てられていることを特徴とする請求項4または5記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記搬送手段によりシート束を前記積載トレイ手段へ搬送する過程で次のシートが前記シート束上に搬送されたとき、前記シート束が前記処理トレイ手段から排出された後に、前記処理トレイ手段に残った前記次のシートを、前記搬送手段により前記上流側へ搬送することを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記残ったシートを前記搬送手段により前記側端当接部材側へ搬送させた後に、前記残ったシートとその次に前記処理トレイ手段へ搬送されたシートとを重ねた状態で前記搬送手段により前記側端当接部材側へ搬送させることを特徴とする請求項7記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記搬送手段により前記積載トレイ手段へ搬送する際のシート束の位置は、シートの後端に沿った方向で複数とおりに選択可能であることを特徴とする請求項3乃至8いずれか1項記載のシート処理装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像形成されたシートを処理する処理手段と、を備えた画像形成装置において、
前記処理手段を請求項1乃至9いずれか1項記載のシート処理装置としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
シートに画像を形成可能な画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像を形成されたシートが積載される処理トレイ手段と、
前記処理トレイ手段の上流側に配置されて、前記処理トレイ手段上のシートの後端を当接可能な後端当接部材と、
前記処理トレイ手段上のシートの側端を当接可能な側端当接部材と、
前記後端当接部材に当接させたシートの後端側を挟み込み可能な挟み込み手段と、
前記処理トレイ手段上のシートに当接して前記後端当接部材側と前記側端当接部材側とへ搬送可能な搬送手段と、
前記処理トレイ手段上のシートを、前記搬送手段により上流側へ搬送して前記後端当接部材へ当接させた後に、前記搬送手段によりシートの後端に沿った方向へ搬送させて前記側端当接部材へ当接させて前記挟み込み手段によりシートの後端を挟み込む操作を繰り返すことにより、前記処理トレイ手段上にシート束を形成させる制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−39210(P2007−39210A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226012(P2005−226012)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】