説明

シート処理装置および画像形成装置

【課題】上流側装置の排出速度とバッファローラ23の周速との差が大きくても、バッファローラ23に巻き付く1枚目と2枚目のシートPの搬送方向の位置ずれを有効かつ容易に解消できるシート処理装置を、特開平10−194582号公報に示されるシート処理装置の機構と制御を大幅に変更すること無しに提供する。
【解決手段】入口ローラ対10の搬送速度を上流側装置の排出速度に設定してシートPを受け入れる。シートPの先端が入口センサ28で検知された後、搬送距離aにてバッファローラ23を起動し、搬送距離aより大きな搬送距離bにて入口ローラ対10を排出速度からバッファローラ23の周速度まで減速させる。バッファローラ23の周速度とシートPの搬送速度が一致するため、バッファローラ23に巻き付けた1枚目と2枚目のシートPの先端合わせが高精度で達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やその他の事務機等から排出されるシートを処理するシート処理装置、およびシート処理装置を内蔵/接続した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置から搬出されるシートを受け入れて、整合、仕分け、積載、折り曲げ、封筒詰め、綴じ処理、製本、穴あけ、検査、加工等の様々な処理を行うシート処理装置が実用化されている。また、複写機等の画像形成装置では、このようなシート処理装置が内蔵されたり、オプションとして接続されたりしている。
【0003】
特許文献1に示されるシート処理装置は、画像が記録されたシートの揃えや分類等を行うソート処理、複数枚のシートからなる束を選択的に綴じる綴じ処理、複数枚のシートからなる束を選択的に折り込む折り処理、シート或いはシート束を積載収容するスタック処理等の処理を選択的に施すための、いわゆるフィニッシャ、ステッチャ等の機能を実現している。
【0004】
特許文献1に示されるシート処理装置は、また、受け入れた1枚目のシートを停止状態で保持するバッファローラと、バッファローラの上流側に配置された進入センサとを備え、2枚目のシート先端が進入センサを通過したタイミングでバッファローラを起動させて1枚目と2枚目のシートを重ね合わせて一緒に搬送させており、バッファローラに2枚、3枚とシートを蓄えて一度に排出させることにより、整合等の都合で排出が停滞しても連続的に上流側からシートを受け入れ可能としている。
【0005】
特許文献1に示されるシート処理装置は、さらに、上流側の画像形成装置から取得した第1速度(シート排出速度)に応じてバッファローラの起動タイミングを設定することにより、シート排出速度の違いに起因する1枚目と2枚目のシートの搬送誤差(重ね位置ずれ)を相殺している。
【0006】
【特許文献1】特開平10−194582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、画像形成装置の高速化が著しく、また、画像形成の最適化を図るためにシート種類や画像状態(カラー/モノクロ等)によって種々の処理速度が設定されるようになっている。
【0008】
従って、シート処理装置には、以前には予想できなかった高速度の排出速度や広範囲の排出速度への対応が求められている。しかし、特許文献1に示される1枚目と2枚目のシートの搬送誤差の解消方法は、上流側装置のシート排出速度とバッファローラの搬送速度が近い場合には有効であるが、シート排出速度とバッファローラの搬送速度の差が大きいと、1枚目と2枚目のシートの重ね合わせ誤差を十分に解消できない。
【0009】
具体的に説明すれば、低速搬送されるバッファローラ上の1枚目のシートに高速搬送される2枚目のシートを重ね合わせると、両者の速度が一致した瞬間に2枚目のシートが外側へ膨らんで、周囲の壁面に衝突する可能性がある。そして、この衝突を回避するために両者の拘束を緩めると1枚目と2枚目のシートが搬送方向に位置ずれする。この膨らみはシート間の摩擦が小さいと滑って吸収されてしまうから、両者の摩擦係数や押し付け圧力に応じても変化し、特許文献1に示されるように、両者の速度差だけに応じてバッファローラの起動タイミングを一義的に設定することはできない。
【0010】
ここで、バッファローラの搬送速度を毎回設定し直して排出速度に一致させると、両者の速度差に起因する位置ずれは解消できるが、口径が大きくて重いバッファローラを広範囲の排出速度に対応させるのは機構的、制御的に無理が多い。例えば、特許文献1に示されるような機械的なシート検知センサでは、バッファローラの搬送速度が変化するとシート先端の検出誤差が発生して、新たな重ね合わせ誤差を生じてしまう。
【0011】
本発明は、従来のバッファローラの機構と制御を大幅に変更すること無しに、バッファローラの搬送速度とシート排出速度の差が大きくても1枚目と2枚目のシートの搬送方向の位置ずれを有効かつ容易に解消できるシート処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のシート処理装置は、上流側から第1速度にて受け入れたシートを搬送する第1搬送部材と、前記第1搬送部材が搬送した1枚目のシートを受け取って停止状態で保持する第2搬送部材と、前記第1搬送部材が2枚目のシートを受け入れた後に前記第2搬送部材を起動させて、前記第1速度よりも低い第2速度にて前記1枚目と前記2枚目の前記シートを一緒に搬送させる駆動装置と、を備えたシート処理装置であって、前記駆動装置は、前記第1搬送部材の搬送速度を、前記2枚目のシートの搬送中に前記第1速度から前記第2速度へ減速させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシート処理装置では、第1搬送部材がシートを第1速度で上流側から無理(たるみ、引張り)なく受け入れる。そして、上流側の拘束を離脱した後に第1搬送部材の搬送速度を第2速度まで減速して、第2速度の第2搬送部材へ無理なく受け渡す。
【0014】
従って、第1速度がどのような速度であっても、第2搬送部材は、第2速度に等しく減速された2枚目のシートを受け取ることとなって速度差自体が解消される結果、第1速度と第2速度の速度差に起因するシートの膨らみや搬送方向の位置ずれが第2搬送部材で発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<実施例1>
図1は実施例1のシート処理装置を備えた複写機の構成の説明図、図2はシート処理装置の機械的構成の説明図、図3はバッファローラの制御に関する構成の説明図、図4はステイプルトレイ周辺の平面図、図5はシートの幅方向の整合の説明図、図6はスタックトレイ周辺の斜視図、図7はパドル動作の説明図、図8はシート処理装置の制御回路のブロック図、図9は複数枚排出処理のフローチャートである。
【0016】
実施例1のシート処理装置は、第1搬送部材である例えば入口ローラ対10と、第2搬送部材である例えばバッファローラ23と、駆動装置である例えば入口搬送モータ107、第一搬送モータ108、ドライバD4、D5、中央演算処理装置100、入口センサ28、バッファセンサ26、エンコーダ113、114とを備える。また、入口検知手段である例えば入口センサ28と、バッファ検知手段である例えばバッファセンサ26と、計測手段である例えばエンコーダ113と、先端計測手段である例えばエンコーダ114とを有する。
【0017】
図1に示すように、複写機の装置本体Aは、原稿給送装置1から自動給送させた原稿の画像を画像読取部2によって光学的に読み取らせ、画像をデジタル信号として画像形成部3へ送信して、普通紙やOHPシート等のシートに記録する。
【0018】
装置本体Aの下部には各種サイズのシートを収納した複数のシートカセット4が装備される。シートカセット4から搬送ローラ5によって搬送されたシートPに対して、画像形成部3が電子写真方式によって画像形成する。すなわち、画像読取部2で画像データに対応して形成された駆動信号を用いて、光照射手段3aからレーザー光を感光体ドラム3bに照射して潜像を形成し、これをトナー現像してシートPに転写する。トナー像が転写されたシートPは、定着部6にて熱と圧力を印加されて、画像が永久定着される。
【0019】
そして、片面記録モードの場合はシートPがそのままシート処理装置Bへ排出されるが、両面記録モードの場合は、シートPをスイッチバックさせて再送パス7へ搬送し、表裏を反転したシートPを再度画像形成部3へ搬送して反対面にも画像を形成した後、定着部6を経てシート処理装置Bへ排出する。シートPは、シートカセット4からのみならず、マルチトレイ8からも給送可能である。
【0020】
シート処理装置Bは、2段のスタックトレイ18と、スタックトレイ18にシートPを積載させるフィニッシャユニット9とを備えている。フィニッシャユニット9は、装置本体Aから排出されたシートPを入口ローラ対10で受け取り、搬送ローラ対15からストレートパス19を通じて上流排出ローラ対16から下流排出ローラ対17へ搬送することができる。また、入口ローラ対10の下流側に配置された第二フラッパ22の向きを変えると、入口ローラ対10で受け取ったシートPがバッファパス14を通じてバッファローラ23へ搬送することができる。
【0021】
フィニッシャユニット9は、以下の各種モードでスタックトレイ18にシートPを積載する。
(1)通常モード:スタックトレイ18へ単純にシートPを積載する。
(2)ソート排出モード:シートPをソート処理して、2段のスタックトレイ18へ部数毎に分配積載する。
(3)オフセットモード:ステイプルトレイ12上でシートPをオフセット処理して1段のスタックトレイ18へ積載し、ソートされた部数毎の区切りを形成する。
(4)ステイプルモード:ステイプルトレイ12上で針綴じ処理をした後にスタックトレイ18へシートPを積載する。
(5)複数枚排出モード:バッファローラ23で重ね合わせた複数枚のシートPをスタックトレイ18へまとめて排出する。
(6)その他、割り込みモード等
【0022】
ここで、通常モードでは、ストレートパス19を通じて下流排出ローラ対17へ遅滞なくシートPが送られるが、オフセットモードやステイプルモードでは、ステイプルトレイ12にシートPを積載して必要な処理を行うため、スタックトレイ18への排出に遅延を生じる。そこで、特許文献1にも示されるように、実施例1のシート処理装置Bでは、バッファパス14にバッファローラ23を設けて、バッファローラ23に2枚、3枚とシートPを巻き付けて保持させ、これにより、スタックトレイ18への排出が途絶えても、シート処理装置Bが装置本体Aから連続的にシートPを受け入れられるようにしている。言い換えれば、バッファローラ23を用いたステイプルトレイ12への複数枚排出制御を実行して、装置本体Aからシート処理装置Bへのシート排出を停止させなくてもよいようにしている。
【0023】
図2に示すように、フィニッシャユニット9は、入口ローラ対10から下流側へ向かって入口センサ28、第一フラッパ21、第2フラッパ22を配置している。入口ローラ対10は、図1の装置本体Aから排出されたシートPをシート処理装置Bへ受け入れ、入口センサ28は、受け入れたシートの先端および後端を検知する。第一フラッパ21は、フィニッシャユニット9の下方に配置された図示しない別ユニットへ搬送経路を切り替え、第二フラッパ22は、ストレートパス19とバッファパス14へ向かうバッファ入口パス14Aとの間で搬送経路を切り替える。
【0024】
ストレートパス19には搬送ローラ対15が配置され、バッファパス14には、バッファ入口センサ27、バッファローラ23、バッファコロ24、第三フラッパ25、バッファセンサ26が配置される。バッファ入口センサ27は、バッファローラ23へ接触する直前のシートPの先端を検知し、バッファセンサ26は、バッファローラに巻き付いたシートPの先端を検知する。入口センサ28、バッファ入口センサ27、バッファセンサ26は、いずれもシートPに機械的に接触して回動するアーム部材の回動を光学的に検知してON/OFFするスイッチである。
【0025】
バッファローラ23は、バッファパス14へ進入するシートPを巻き付けて保持し、バッファコロ24は、バッファローラ23の外周に沿って3個配置されて、バッファローラ23に巻き付いたシートPをバッファローラ23の表面へ押し付ける。第三フラッパ25は、バッファローラ23を囲むバッファパス14とストレートパス19へ合流するバッファ出口パス14Bとの間で搬送経路を切り替える。
【0026】
バッファ出口パス14Bとストレートパス19の合流点には、上流排出ローラ対16が配置され、上流排出ローラ対16の下流側に下流排出ローラ対17が排出される。下流排出ローラ対17は、固定側の下流排出ローラ17aと移動側の移動排出ローラ17bとで構成されており、移動排出ローラ17bを軸止した揺動ガイド20は、軸20Aを中心にして上下に回動可能である。揺動ガイド20は、下方へ回動された状態で下流排出ローラ対17を接合させ、上方へ回動された状態で下流排出ローラ対17を離間させる。
【0027】
下流排出ローラ対17を離間させた状態で、上流排出ローラ対16は、バッファ出口パス14Bやストレートパス19を通じて搬送されたシートPをステイプルトレイ12に排出する。しかし、下流排出ローラ対17を接合させた状態で、上流排出ローラ対16は、バッファ出口パス14Bやストレートパス19を通じて搬送されたシートPを下流排出ローラ対17へ受け渡す。また、ステイプルトレイ12に複数枚のシートPを積載させた状態で下流排出ローラ対17を接合させると、複数枚のシートPを下流排出ローラ対17に挟み込んで一気にスタックトレイ18へ排出することができる。
【0028】
スタックトレイ18は、フィニッシャユニット9の筐体構造に対して昇降可能に支持され、それぞれ独立した駆動装置を内蔵して、積載壁部35に沿って任意の位置へ昇降、停止する。スタックトレイ18に積載されたシートPは、スタックトレイ18の傾斜に沿って滑り落ち、積載壁部35に後端を突き当てて整合される。積載壁部35の下流排出ローラ対17の位置にはシート排出口36が形成され、積載壁部35の内側にはスノコシャッタ34が配置されている。スノコシャッタ34は、スタックトレイ18の昇降に先立たせてシート排出口36へ移動され、スタックトレイ18上のシートPがシート排出口36へ逆流するのを阻止する。
【0029】
また、スタックトレイ18に積載されたシートPの最上面が測距センサ54によって検知されており、スタックトレイ18へのシートPの積載中は、測距センサ54で計測された最上面までの距離が一定になるようにスタックトレイ18の高さが次第に下降される。また、下流排出ローラ対17を離間させてステイプルトレイ12へシートPを積載する際には、計測された最上面までの距離がステイプルトレイ12よりもわずかに長くなる高さ位置までスタックトレイ18が上昇されて、ステイプルトレイ12へ排出されたシートPがスタックトレイ18へ自重でずり落ちないようにしている。
【0030】
図3に示すように、入口ローラ対10は入口搬送モータ107によって、下流側排出ローラ対17は排紙モータ110によってそれぞれ駆動される。バッファローラ23および搬送ローラ対15は第一搬送モータ108によって駆動され、上流排出ローラ対16およびローレットベルト32は第二搬送モータ109によって駆動される。入口搬送モータ107、排紙モータ110、第一搬送モータ108、第二搬送モータ109は、中央演算処理装置(CPU)100によって制御される。
【0031】
そして、入口搬送モータ107にはエンコーダ113が付設され、ドライバD4(図8)は、エンコーダ113のパルス出力を用いて入口搬送モータ107をPLL制御する。中央演算処理装置100は、ドライバD4への参照電圧出力を変化させて、入口搬送モータ107に任意の回転速度を設定可能である。
【0032】
一方、第一搬送モータ108にはエンコーダ114が付設され、ドライバD5(図8)によって一定の回転速度にPLL制御される。中央演算処理装置100は、ドライバD5への参照電圧出力をON/OFFさせて、第一搬送モータ108を任意のタイミングで起動/停止可能である。
【0033】
中央演算処理装置100は、入口センサ28によってシートPの先端を検知して、その後のエンコーダ113のパルスカウントによって入口搬送モータ107の回転角度、すなわち入口ローラ対10の搬送距離を計測する。そして、中央演算処理装置100は、バッファセンサ26によってバッファローラ23に巻き付いたシートPの先端を検知して、その後のエンコーダ114のパルスカウントによって、第一搬送モータ108の回転角度、すなわちバッファローラ23の搬送距離、すなわちバッファローラ23に巻き付いたシートPの先端位置を計測する。
【0034】
一方、ステイプルトレイ12への積載に関連して、サイドガイド11、パドル31、ローレットベルト32、ステイプラ13が配置されている。図4に示すように、ステイプラ13は、シートPの幅方向に移動可能であって、ステイプルトレイ12に積載された複数枚のシートの縁を1箇所または複数箇所で針綴じする。また、図5に示すように、ステイプラ13は、シートPの隅へ斜めに位置させてシートPの束を斜めに針綴じすることも可能である。
【0035】
サイドガイド11は、溝11Aに沿って移動され、ステイプルトレイ12に排出されたシートPの側面を押して、対向する基準ガイド37へ押し付けることにより、シートPの幅方向の整合を行う。また、下流排出ローラ対17を接合させた状態では、最も内側位置へ移動してシートPの先端がステイプルトレイ12へ落ち込まないように案内する。
【0036】
そして、上述のオフセットモードでは、基準ガイド37はステイプルトレイ12よりも低い位置まで退去する。この状態でステイプルトレイ12上にシートPを積載するごとにサイドガイド11を作動させてシートPを内壁面(図6)まで押し込み、図4に示すように、複数枚のシートPの束の側面を基準ガイド37の外側に位置させることも可能である。このようにして、オフセットモードでは、図6に示すように、シートPの束ごとに側面を出し入れして交互に積み重ねることができる。また、特許文献1に示されるように、シートPの束ごとにその1枚目だけをサイドガイド11で押し込むことも設定可能である。
【0037】
図7に示すように、揺動ガイド20の上方に軸止されたパドル31は、上流排出ローラ対16によるシートPの排出のタイミングで起動されて1回転し、ステイプルトレイ12に排出されたシートPの表面に接触してシートPをローレットベルト32に突き当てる。ローレットベルト32は、ステイプルトレイ12に排出されたシートPをステイプルトレイ12に沿って後端ストッパ33に突き当たる位置まで奥へ引き込む。
【0038】
図8に示すように、中央演算処理装置(CPU)100は、ROM(リードオンリメモリ)101、102、RAM(ランダムアクセスメモリ)103を有し、入力として入口センサ28、バッファ入口センサ27、バッファセンサ26、排紙センサ29、エンコーダ113、114、およびその他の複数のセンサ等を接続している。
【0039】
中央演算処理装置100は、所定の制御処理プログラムに従ってこれらの出力を読み込み、必要な演算を行い、ドライバD1〜D13等を介して第一フラッパ21を駆動する第一フラッパソレノイド104、第二フラッパ22を駆動する第二フラッパソレノイド105、第三フラッパ25を駆動する第三フラッパソレノイド106、上述の入口モータ107、第一搬送モータ108、第二搬送モータ109、下流排出ローラ17対を駆動する排紙モータ110、サイドガイド11を駆動する整合モータ111、基準ガイド37をステイプルトレイ12から退避させる基準ガイドソレノイド112、2段のスタックトレイをそれぞれ駆動するスタックトレイ1モータ115およびスタックトレイ2モータ116、ステイプラ13の綴じや針の送りを行うステイプラモータ117、ステイプラ13の位置移動を行うステイプラ移動モータ118、パドル31と前記第二搬送モータ109との間で駆動力の連結/解除を行うパドルソレノイド(不図示)等を作動させる。
【0040】
中央演算処理装置100のROM101には、上述の通常モード、オフセットモード、ステイプルモード等の各排出処理を含む種々の動作を実行させるための制御処理プログラムが書き込まれている。RAM103は、中央演算処理装置100の演算データや装置本体Aから受信した制御データを記憶保持する。
【0041】
さて、上述したように、オフセットモードやステイプルモードでは、揺動ガイド20を上方へ開いてステイプルトレイ12での処理を実行する期間、第二フラッパ22をストレートパス19側へ倒してバッファパス14を開き、バッファローラ23へシートPを次々に受け入れて先頭を揃えて巻き付ける。つまり、中央演算処理装置100は、ROM101から読み出した複数枚排出制御のプログラムをRAM103に保持して、バッファローラ23を用いたステイプルトレイ12への複数枚排出を行う。
【0042】
複数枚排出制御では、中央演算処理装置100は、特許文献1にも示されるように、シートPの先端が入口センサ28で検知されるのを待って、停止状態のバッファローラ23を回転開始させ、その後、バッファローラ23に巻き付けたシートPの先端をバッファセンサ26で検知してバッファローラ23を停止させている。
【0043】
しかし、中央演算処理装置100は、入口センサ28がシートPを検知してから第一搬送モータ108起動までの搬送距離aと、入口センサ28がシートPを検知してから入口搬送モータ107の減速を開始させるまでの搬送距離bとを、装置本体Aから送信されたシートPの排出速度に応じて演算する。搬送距離aと搬送距離bは、装置本体AのシートPの排出速度が変更された場合に更新され、シート処理装置Bの電源がONされたときに初期化されて、装置本体Aから最初のシートPが排出される前に設定される。
【0044】
詳しく説明すれば、装置本体Aの排出速度が高い場合には、搬送距離aを短く設定して、シートPが入口センサ28を通過した直後にバッファローラ23が回転を開始するようにし、装置本体Aの排出速度が低い場合には、搬送距離aを長く設定して、シートPが入口センサ28を通過して所定距離搬送後にバッファローラ23が回転を開始するようにしてもよい。回転後にバッファローラ23を等しく排出速度まで加速させれば、排出速度で回転するバッファローラ23へシートPを受け渡すことができ、バッファローラ23に巻き付けた複数枚のシートPの先端のズレ量をある程度は一定にすることができる。
【0045】
しかし、装置本体Aの排出速度がさらに高速となると、バッファローラ23に巻き付いたシートPと装置本体Aから排出されたシートPの速度差が過大となって、バッファローラ23が排出速度まで加速される以前にシートPの先端がバッファローラ23に到達して、速度差を残したまま巻き付きが開始されてしまう。そして、不安定な速度差によって、シートPの先端が揃わなくなる。
【0046】
そこで、実施例1のシート処理装置Bでは、装置本体Aの排出速度が800mm/secより高い場合、排出速度に応じて第一搬送モータ108起動までの搬送距離aと入口搬送モータ107の減速開始までの搬送距離bを設定し、搬送距離aでバッファローラ23を起動して周速800mm/secまで加速させる一方、搬送距離bで減速開始して800mm/secまで入口ローラ対10の搬送速度を低下させることにより、いかなる排出速度であっても、シートPが800mm/secの一定速度でバッファローラ23に巻き付き開始するようにしている。
【0047】
すなわち、中央演算処理装置100は、装置本体AからシートPが排出されるごとに、搬送距離aと搬送距離bを設定し、シートPの先端が入口センサ28で検知されるとエンコーダ113の出力パルスをカウント開始し、カウント累積値が搬送距離aに達すると第一搬送モータ108を起動させてバッファローラ23の回転を開始させ、その後、搬送距離bに達すると入口搬送モータ107を減速させて、入口ローラ対10によるシートPの搬送速度をバッファローラ23の周速に一致させる。
【0048】
これにより、シートPがバッファローラ23に接触して巻き付くまで、シートPは、終始バッファローラ23と等しい速度で搬送され続ける。1枚目のシートPは、設定距離a、設定距離bで制御されたバッファセンサ26に対する一定の位相位置でバッファローラ23に巻き付き開始する。そして、2、3、・・n枚目のシートPは、設定距離a、設定距離bで制御されたバッファセンサ26に対する一定の位相位置でバッファローラ23に巻き付いて、n−1枚目のシートPに重ね合わせられる。
【0049】
図9に示すように、ステップS11では、バッファローラ22でのシート合わせ制御を含む複数枚排出制御を開始する。ステップS12では、搬送距離aと搬送距離bのパルスカウント値を設定し、ステップS13で入口センサ28がシートPの先端を検知すると、ステップS14へ進んでエンコーダ113のパルスカウントを実行する。そして、パルスカウント値が搬送距離aに達するとステップS15へ進んで第一搬送モータ109を起動させ、ステップS16へ進んでエンコーダ113のパルスカウントを継続する。その後、パルスカウント値が搬送距離bに達するとステップS17へ進んで入口搬送モータ107の減速を開始する。ステップS18では、バッファローラ23の周速度まで減速されたシートPがシート合わせポイント(バッファセンサ26から一定搬送距離の位置)へ到達する。ステップS19ではバッファセンサ26でシートPの先端を検知してバッファローラ23を停止させる。そして、ステップS11〜S19を繰り返すことにより、バッファローラ23に1、2、3、・・n枚のシートPがそれぞれの先端位置を合わせた状態で巻き付けられる。
【0050】
以上のように構成された実施例1のシート処理装置では、装置本体Aの排出速度に応じて搬送距離aと搬送距離bとを設定し、搬送距離aでバッファローラ23を起動して搬送距離bでシートPを減速するように構成したから、バッファローラ23に保持したシートPとバッファローラ23へ向かうシートPとの間で適切な同期と速度マッチングを取ることができる。従って、装置本体Aの広範囲の排出速度に対処できるシート処理装置をコストアップ少なく、従来機種との変更少なく提供できる。
【0051】
実施例1のシート処理装置では、2枚目のシートPの搬送中に、入口ローラ対10の搬送速度を排出速度からバッファローラ23の周速度まで減速させるから、入口ローラ対10がシートPを排出速度で装置本体Aから無理(たるみ、引張り)なく受け入れる。そして、シートPが装置本体Aの拘束を離脱した後に入口ローラ対10の搬送速度をバッファローラ23の搬送速度まで減速してバッファローラ23へ受け渡す。
【0052】
従って、装置本体Aの排出速度がどのような速度であっても、バッファローラ23は、その周速度に等しく減速された2枚目のシートを受け取ることとなって速度差自体が解消される結果、排出速度とバッファローラ23の速度差に起因するシートPの膨らみや搬送方向の位置ずれが発生しにくい。
【0053】
また、入口ローラ対10によって搬送されるシートPの先端を検知する入口センサ28と、入口ローラ対10の単位の搬送距離ごとにパルスを出力するエンコーダ113とを備え、中央演算処理装置100は、エンコーダ113のパルスカウントによって入口センサ28がシートPの先端を検知した以降の搬送距離を計測するから、排出速度や入口ローラ対10の途中の搬送速度の変化と無関係に、搬送経路上の減速位置やバッファローラ23との接触位置を再現できる。
【0054】
また、慣性質量と速度変化が大きなバッファローラ23を起動させた後に慣性質量と速度変化が小さな入口ローラ対10の搬送速度を減速させるから、バッファローラ23の加速時間を十分に確保でき、第一搬送モータ108の過負荷や急加速による速度不安定を引き起こさないで済む。同時に、排出速度でシートPを奥まで引き込むことができ、A3縦送り等の長いシートPでも、装置本体Aの拘束を逃れた後にシートPを減速できる。
【0055】
また、バッファパス14の特定位置に配置されてバッファローラ23に巻き付いたシートP1の先端を検知するバッファセンサ26を有し、エンコーダ114のパルスカウントによって、バッファセンサ26から所定距離の下流位置にシートP1の先端を位置させて、バッファローラ23を停止させるから、エンコーダ114の1パルスに相当する高精度で、1枚目のシートPの先端の停止位置が毎回同じく再現され、バッファローラ23の加速曲線さえ再現すれば、その起動後に2枚目のシートに接触する位置も毎回同じく再現される。
【0056】
また、特許文献1に示されるような入口ローラ対10を持たないシート処理装置に、入口ローラ対10、入口搬送モータ107、エンコーダ113を付加し、複数枚排出処理のわずかなプログラム変更だけで、1枚目のシートPと2枚目のシートPの位置あわせを格段の精度で達成できるようにしたから、開発に要する時間と費用を大幅に削減でき、改造に伴う新たな問題も発生しにくく、既存のシート処理装置を引き取って改造することも容易である。
【0057】
また、このようにバッファローラ23上でn枚のシートPを格段の精度で重ね合わせてステイプルトレイ12へ排出できるシート処理装置を備えたから、画像形成手段である例えば複写機1は、その処理枚数を損なうことなく高速の画像形成を行いつつ、精度高くシートの整合やステイプル処理を行うことができる。
【0058】
なお、実施例1のシート処理装置Bでは、エンコーダ113、114のパルス出力をフィードバックして直流モータの入口搬送モータ107、第一搬送モータ108の速度や加減速曲線を制御する構成としたが、ステップモータを用いて入力パルスで直接に速度や加減速を制御し、併せてパルスカウントで搬送距離を制御するようにしてもよい。
【0059】
また、装置本体Aから排出されるシートPの排出速度は、装置本体Aからの通信データから取得してもよいが、一般的には連続的に排出されるシートPの排出速度は1枚目のシートPの排出速度と同一であるから、画像形成開始後、最初のシートPの排出速度を計測して後続のシートPに対する入口ローラ10の搬送速度を調整するようにしてもよい。
【0060】
また、複数枚排出制御はオフセットモードやステイプルモードの処理時に行うと有効であるが、それ以外のモードや場合においても複数枚排出制御を行うようにしてもよい。また、逆にオフセットモードやステイプルモードで複数枚排出制御を行わないように設定することも可能である。
【0061】
<実施例2>
図10は3枚目のシートの受け入れ直後の状態の説明図、図11は3枚目のシートをバッファローラに接触させた状態の説明図、図12は4枚目のシートの受け入れ直後の状態の説明図、図13は4枚目のシートをバッファローラに接触させた状態の説明図、図14は2枚目のシートの先端の位置合わせ状態の説明図、図15は3枚目のシートの先端の位置合わせ状態の説明図である。
【0062】
実施例2のシート処理装置は、図1〜図9に示される実施例1の構成をそのまま用いて、ステイプルトレイ12への複数枚排出制御を更に詳しく説明する。
【0063】
図10に示すように、1枚目のシートP1が搬送ローラ対15からストレートパス19を経て上流排出ローラ対16からステイプルトレイ12に排出された後、第2フラッパ22は下方へ回動されてストレートパス19が閉じられる。そして、1枚目のシートP1がパドル31およびローレットベルト32によってステイプラ13の位置まで移動される間に装置本体Aから排出された2枚目のシートP2は、上述の複数枚排出制御によってバッファパス14へ送られてバッファローラ23に巻き付く。バッファローラ23は、2枚目のシートの先端がバッファセンサ26を通過すると、減速を開始するとともにエンコーダ114のパルスカウントを開始し、所定のパルスカウントで停止するように減速過程を制御される。従って、2枚目のシートPの先端位置は、バッファセンサ26から所定のパルスカウントに相当する搬送距離に位置している。
【0064】
この状態で3枚目のシートP3が入口ローラ対10を通過して入口センサ28に達すると、エンコーダ113のパルスカウントが実行されて搬送距離aに相当するパルスカウントで第一搬送モータ108が起動され、所定の加速曲線で搬送速度を立ち上げる。続いて搬送距離bに相当するパルスカウントで入口搬送モータ108が減速開始され、2枚目のシートP2がバッファローラ23とともに合流点へ移動する一方、3枚目のシートP3がバッファ入口パス14Aを合流点に向かって搬送される。
【0065】
図11に示すように、2枚目のシートP2は3枚目のシートP3よりも少し送れて合流点Zに到達する。図14に示すように、実施例2のシート処理装置では、2mmだけn枚目のシートPよりもn+1枚目のシートPが先行するように、n枚目のシートPのパルスカウント停止位置、すなわちバッファローラ23の起動位置が設定されている。この2mmは、バッファコロ24の間でn+1枚目のシートPが外側へ膨らむための搬送距離差に対応しており、図11に示す位置から図12に示す位置までバッファローラ23が回転してシートP2、P3が重ね合わせられる過程で吸収されるから、図13に示す4枚目のシートP4との合流点ZではシートP2、P3の先頭は揃っている。
【0066】
従って、4枚目のシートP4についても、3枚目のシートP3と同様、図15に示すように、4枚目のシートP4が3枚目のシートP3よりも2mm先行して合流点Zへ到達するように制御される。
【0067】
このようにしてバッファローラ23上で3枚のシートP2、P3、P4が先端位置を揃えて密着される。その後、図7に示すように、第三フラッパ25がバッファローラ23側へ回動されてバッファ出口パス14Bが開かれ、バッファローラ23に巻き付いた3枚のシートP2、P3、P4は、バッファ出口パス14Bを通じて上流排出ローラ対16へ搬送され、上流排出ローラ対16によって3枚一緒にステイプルトレイ12へ排出される。
【0068】
ステイプルトレイ12では、3枚のシートP2、P3、P4が重なった状態のままパドル31およびローレットベルト32によってステイプラ13の位置まで移動され、1枚目のシートP1に重ね合わせられる。その後、図12に示すように、ステイプラ13によって4枚のシートP1、P2、P3、P4が針綴じされると、揺動ガイド20が下方へ回動され、離間していた下流排出ローラ17aと移動排出ローラ17bでシートP1、P2、P3、P4を挟み込む。そして、排紙モータ110(図8)が起動されると、図13に示すように、下流排出ローラ対17が作動して、シートP1、P2、P3、P4のシート束PBがスタックトレイ18へ排出される。
【0069】
以上のように構成した実施例2のシート処理装置では、バッファパス14の合流点Zでn+1枚目のシートPがn枚目のシートPよりもバッファコロ24の間で外側へ膨らむ搬送距離差だけ先行するように、n枚目のシートPのパルスカウント停止位置が設定されているから、バッファローラ23に巻き付いた複数枚のシートPを、その先端を揃えた状態でステイプルトレイへ同時排出することが可能である。
【0070】
<実施例3>
図16は実施例3のシート処理装置の説明図である。
【0071】
図16に示すように、実施例3のシート処理装置BEは、不図示の画像形成装置から排出速度V1で受け入れた2枚目のシートPをストレートパス19Eに導き、ストレートパス19Eで待機させた1枚目のシートPと一緒に処理速度V2で搬送し、1枚目と2枚目のシートPを重ね合わせた状態でステイプルトレイ12Eに積載する。ストレートパス19Eの中間位置にはシート押さえ部材38Eが設けられ、ステイプルトレイの最奥部にはステイプラ13Eが配置される。下流排出ローラ対17Eは、第1実施例と同様に、下流排出ローラ17cに対して移動排出ローラ17dを圧接/離間可能である。
【0072】
入口ローラ対10Eは入口搬送モータ107E、搬送ローラ対15Eは第一搬送モータ108E、上流排出ローラ対16Eは第二搬送モータ109E、下流排出ローラ対17Eは排紙モータ110Eによってそれぞれ駆動される。入口搬送モータ107E、第一搬送モータ108E、第二搬送モータ109E、および排紙モータ110Eは、実施例1と同様にそれぞれエンコーダ(不図示)を設けてそのパルス出力を中央演算処理装置(CPU)100Eにフィードバックしており、中央演算処理装置100Eによって、それぞれの起動/停止、加速/減速、送り量を制御されている。
【0073】
中央演算処理装置100Eは、入口ローラ対10Eおよび搬送ローラ対15Eの搬送速度を画像処理装置の排出速度V1に等しく設定して、画像処理装置から1枚目のシートを受け入れてストレートパス19Eへ導く。中央演算処理装置100Eは、シートPが上流排出ローラ対16Eに達する直前に、上流排出ローラ対16Eおよび下流排出ローラ対17Eを起動して、その搬送速度を0から排出速度V1よりも低い一定の処理速度V2まで加速する。
【0074】
中央演算処理装置100Eは、1枚目のシートPが画像処理装置の拘束を離れる送り位置に達すると、入口搬送モータ107Eおよび第一搬送モータ108Eを減速させて、入口ローラ対10Eおよび搬送ローラ対15Eの搬送速度を排出速度V1から処理速度V2まで低下させ、処理速度V2の上流排出ローラ16EへシートPをたるみ無く受け渡す。そして、シートPが搬送ローラ対15Eの拘束を離れる送り位置に達すると、入口ローラ対10Eおよび搬送ローラ対15Eの搬送速度を再び処理速度V2から排出速度V1へ戻して次の受け入れに備えさせる。
【0075】
中央演算処理装置100Eは、シートPの後端がシート押さえ部材38Eを通過する送り位置に達すると、排紙モータ110Eおよび第二搬送モータ109Eを停止/逆転させ、シートPの後端がシート押さえ部材38へ突き当たる送り位置で排紙モータ110Eおよび第二搬送モータ109Eを停止させ、シートPの後端をシート押さえ部材38で挟み込む。この状態で1枚目のシートPがストレートパス19Eで待機する。
【0076】
続いて2枚目のシートPが画像処理装置から排出速度V1で排出されると、1枚目のシートPの場合と同様に、入口ローラ対10Eおよび搬送ローラ対15Eが排出速度V1でシートPを受け入れてストレートパス19Eへ導き、シートPが画像処理装置の拘束を離れる送り位置に達すると、中央演算処理装置100Eは、入口ローラ対10Eおよび搬送ローラ対15Eの搬送速度を処理速度V2まで減速し、2枚目のシートPの先端が上流排出ローラ対16Eに達する直前で、上流排出ローラ対16Eおよび下流排出ローラ対17Eを起動して処理速度V2に立ち上げる。これにより、2枚目のシートPは、処理速度V2で搬送される1枚目のシートPの上にたるみなく重なって上流排出ローラ対16Eから下流排出ローラ対17Eへと送られる。
【0077】
そして、中央演算処理装置100Eは、1枚目のシートPの後端部分が下流排出ローラ対17Eで挟持される送り位置までシートPを搬送すると、第二搬送モータ109Eおよび排紙モータ110Eを停止させて下流排出ローラ対17Eを離間させる。そして、排紙モータ110Eだけを逆転させて、下流排出ローラ17cにより1枚目のシートPをステイプルトレイ12Eにスイッチバックさせる。
【0078】
すなわち、下側の1枚目のシートPは、シート押さえ部材38Eから上流排出ローラ対16Eまでの距離をシートPの長さから差し引いた距離だけ、上側のシートPよりも下流排出ローラ対17Eから外側へ突出している。そこで、下流排出ローラ対17Eを離間させ、下流排出ローラ17cによって下側のシートPだけを摩擦してステイプルトレイ12Eに沿って移動させ、ステイプラ13Eに突き当てさせる。そして、1枚目のシートの先端と2枚目のシートの先端とがほぼ重なり合った状態で、再び下流排出ローラ対17Eを圧接させて第二搬送モータ109Eおよび排紙モータ110Eを正転させる。その後、2枚目のシートPの後端が上流排出ローラ対16Eを抜けてステイプルトレイ12Eに落ちた時点で排紙モータ110Eを逆転して、重なった2枚のシートPをステイプルトレイ12Eに沿ってステイプラ13Eに突き当たるまで搬送して排紙モータ110Eを停止させる。そして、後端を揃えた2枚のシートPがステイプラ13Eによって針綴じされる。
【0079】
その後、中央演算処理装置100Eは、下流排出ローラ対17Eを接合させて排出方向に作動させ、針綴じされた2枚のシートPを下流排出ローラ対17Eから不図示のスタックトレイへ排出させる。
【0080】
以上のように構成した実施例3のシート処理装置BEによれば、2枚目のシートPの搬送中に、入口ローラ対10Eの搬送速度を排出速度V1から処理速度V2まで減速させるから、入口ローラ対10EがシートPを排出速度V1で画像処理装置から無理なく受け入れることができるとともに、画像処理装置の排出速度V1がどのような高速度であっても、排出速度V1より低い処理速度V2の上流側排出ローラ対16EへもシートPを無理なく受け渡せる。従って、排出速度と上流排出ローラ16Eの速度差に起因するシートPの膨らみや搬送方向の位置ずれが発生しにくい。
【0081】
なお、実施例3で説明したストレートパス19Eでの1枚目のシートPの待機と2枚目のシートPとの重ね合わせは、図1〜図8を参照して実施例1で説明したストレートパス19(シート押さえ部材38Eを持たない)でも同様に再現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例1のシート処理装置を備えた複写機の構成の説明図である。
【図2】シート処理装置の機械的構成の説明図である。
【図3】バッファローラの制御に関する構成の説明図である。
【図4】ステイプルトレイ周辺の平面図である。
【図5】シートの幅方向の整合の説明図である。
【図6】スタックトレイ周辺の斜視図である。
【図7】パドル動作の説明図である。
【図8】シート処理装置の制御回路のブロック図である。
【図9】複数枚排出処理のフローチャートである。
【図10】3枚目のシートの受け入れ直後の状態の説明図である。
【図11】3枚目のシートをバッファローラに接触させた状態の説明図である。
【図12】4枚目のシートの受け入れ直後の状態の説明図である。
【図13】4枚目のシートをバッファローラに接触させた状態の説明図である。
【図14】2枚目のシートの先端の位置合わせ状態の説明図である。
【図15】3枚目のシートの先端の位置合わせ状態の説明図である。
【図16】実施例3のシート処理装置の構成の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
A 画像形成装置本体
B シート処理装置(フィニッシャ)
P シート
10 入口ローラ対(第1搬送部材)
12 ステイプルトレイ
14 バッファパス
16 上流排出ローラ対
17 下流排出ローラ対
18 スタックトレイ
23 バッファローラ(第2搬送部材)
26 バッファセンサ(バッファ検知手段)
28 入口センサ(入口検知手段)
100 中央演算処理装置(駆動装置)
107 入口搬送モータ(駆動装置)
108 第一搬送モータ(駆動装置)
113 エンコーダ(計測手段)
114 エンコーダ(先端計測手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から第1速度にて受け入れたシートを搬送する第1搬送部材と、
前記第1搬送部材が搬送した1枚目のシートを受け取って停止状態で保持する第2搬送部材と、
前記第1搬送部材が2枚目のシートを受け入れた後に前記第2搬送部材を起動させて、前記第1速度よりも低い第2速度にて前記1枚目と前記2枚目の前記シートを一緒に搬送させる駆動装置と、を備えたシート処理装置であって、
前記駆動装置は、前記第1搬送部材の搬送速度を、前記2枚目のシートの搬送中に前記第1速度から前記第2速度へ減速させることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記第1搬送部材による搬送中の前記2枚目の前記シートの搬送方向端部を検知する入口検知手段と、
前記第1搬送部材による前記シートの搬送距離を計測する計測手段と、を前記駆動装置が備え、
前記駆動装置は、前記入口検知手段が前記搬送方向端部を検知した以降の前記搬送距離を前記計測手段の出力に基づいて計測し、前記第1速度と前記第2速度との差に応じて定めた距離値に達すると前記第1搬送部材の搬送速度を前記第1速度から前記第2速度へ減速させることを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記第2搬送部材を起動させた後に、前記第1搬送部材の搬送速度を前記第1速度から前記第2速度へ減速させることを特徴とする請求項1または2記載のシート処理装置。
【請求項4】
回転して前記シートを巻き付け保持するとともに、前記シートの先端を取り出し可能に保持するバッファローラ部材と、
前記バッファローラ部材の外周に対向配置されて前記シートを前記バッファローラ部材へ付勢する複数のコロ部材と、を前記第2搬送部材が有し、
前記バッファローラ部材の外周に対向配置されて前記シートの前記先端を検知するバッファ検知手段と、
前記バッファローラ部材による前記シートの搬送距離を計測する先端計測手段と、を前記駆動装置が有し、
前記駆動装置は、前記バッファローラ部材を回転させて前記1枚目の前記シートを搬送する際に、前記バッファ検知手段によって前記先端が検知されると、前記先端計測手段の出力に基づいて前記バッファローラ部材の回転を停止させ、前記バッファ検知手段から所定距離に前記先端を位置させることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
シートを表面に保持して前記表面を移動させるバッファ部材を備え、
1枚目の前記シートを保持した前記バッファ部材を停止状態で待機させ、上流側装置から2枚目の前記シートを受け入れると前記バッファ部材を起動して前記表面を移動開始させて、前記1枚目と前記2枚目の前記シートを一緒に移動させるシート処理装置において、
前記上流側装置から排出された前記シートを搬送して前記バッファ部材に供給する第1搬送部材と、
前記第1搬送部材を作動させて、前記2枚目のシートの搬送中に、前記シートの搬送速度を、前記上流側装置の排出速度から前記表面の移動速度まで変化させる駆動装置と、を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
前記第1搬送部材による搬送中の前記2枚目の前記シートの搬送方向端部を検知する入口検知手段と、
前記第1搬送部材による前記シートの搬送距離を計測する計測手段と、を前記駆動装置が備え、
前記駆動装置は、前記入口検知手段が前記搬送方向端部を検知した以降の前記搬送距離を前記計測手段の出力に基づいて計測し、前記排出速度と前記表面の前記移動速度との差に応じて定めた距離値に達すると前記第1搬送部材の搬送速度を前記排出速度から前記表面の前記移動速度へ変化させることを特徴とする請求項5記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像形成手段によって画像を形成された前記シートを排出する排出手段と、を備えた画像形成装置において、
請求項1乃至6いずれか1項に記載のシート処理装置を前記排出手段の下流側に備えて、前記画像を形成された前記1枚目と前記2枚目の前記シートを重ね合わせることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−131397(P2007−131397A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325400(P2005−325400)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】