説明

シート排出装置

【課題】侵入検知器を無効化して連続運転を可能にした際の安全性を効果的に高めることができるシート排出装置を提供する。
【解決手段】紙Wを搬送する排紙チェーン22bと、排紙チェーンから排紙された紙を積載する積載板27a又は27bを多段に有した第1パイル26又は第2パイル26bと、第1パイル又は第2パイル内への侵入を検出する第1ビームセンサ62a又は62b、第2ビームセンサ63a又は63b及び第3ビームセンサ64a又は64bとを備えるとともに、積載板が板上限位置L2に位置付けられたことを検出する板上限位置検出センサ58a又は58bと、板上限位置検出センサの検出信号に基づいて第1〜第3ビームセンサによる駆動装置(印刷機)の停止指令を無視(無効化)する制御装置50とを設け、かつ積載板の板上限位置はオペレータの排紙チェーンの走行領域への侵入を阻止する位置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば枚葉印刷機のようなシートを取扱う装置に設けられ、排出されるシートを積載板に積載するシート排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、枚葉印刷機による印刷作業において、印刷後、走行する排紙チェーンに支持された爪でくわえられて搬送されるシートは、爪のくわえから解放されて積載板上に落下、積載される。このような排出作業においては、ひとつの積載板上にシートを大量に積む排出方法と、シートを少量ずつ複数の積載板に積載する方法があり、さらに、シートを少量ずつ複数の積載板に積載する方法には、シートを積載した積載板の4隅にコーナと呼ばれる支柱を載置してこのコーナの上に積載板を載置して積載板を積重ねる方法、積載板の外側四隅に無端チェーンを上下方向に走行するように配設し、これら4つの無端チェーンに積載板を支承させシートが所定量積載されたらこの積載板が下降するように無端チェーンを走行させ、シートが積載された積載板の上方に新たな積載板を支承させてシートを積載する方法がある。特に、無端チェーンを用いて少量のシートを複数の積載板に積載する排出装置は「循環式」と称され、以下、循環式の排出装置を例示して説明する。
【0003】
循環式の排出装置を詳細に説明すると、積載板の外側四隅に配設された4つの無端チェーンは互いに同期して走行し、爪によるシート搬送方向でみて左右一対の無端チェーンには、ガイドレールがシート搬送方向に対し直行する方向に延設するように、そして左右一対の無端チェーンの走行方向に等間隔で複数個取付けられ、爪によるシート搬送方向でみて前後一対のガイドレールで板取り板と称される積載板を支承するのである。このように構成された循環式の排出装置は、前後一対のガイドレールに支承された積載板上にシートが所定量積載されると、4つの無端チェーンを同期走行させて積載板を下降させ、積載板を支承するガイドレールの上方のガイドレールが所定位置に位置付けられたら無端チェーンの走行を停止させ、この所定位置に位置付けられた前後一対のガイドレールに排出装置の側方から積載板を挿入し、この新たな積載板上にシートを積載していくのである。この新たな積載板を挿入する動作をガイドレールのピッチごとに繰り返してシートを複数段に積載していくのである(特許文献1参照)。
【0004】
また、このようなシート排出装置として、紙積台を例えば紙の搬送方向に例えば三つ並べて設けたものがある。即ち、第1〜第3パイルを設け、紙の搬送方向上流側の2つのパイルである第1パイル及び第2パイルは正紙用として用い、これらの積載板上に交互に正紙を排紙して何段かに積載するとともに、紙の搬送方向最下流側の第3パイルはサンプル紙やヤレ紙用として用い、その積載板上にサンプル紙やヤレ紙を排紙して第1パイル及び第2パイルよりは少ない段数で積載されるようになっている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64−81762号公報
【特許文献2】特開2000−127349号公報
【特許文献3】国際公開第2004/078626号パンフレット
【特許文献4】実開昭63−81071号公報
【特許文献5】特開昭63−101273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなシート排出装置において、排紙チェーン(印刷機)の作動下で例えば第1〜第3パイルのアクセス領域内にオペレータが侵入すると危険であるので、このオペレータの侵入を検知器で検出したら駆動装置(印刷機)を停止させる一方、オペレータによる所定のスイッチ操作を伴う一定の条件下で、所定のアクセス領域内における検知器の作動を解除し、駆動装置(印刷機)を停止させることなく、所定のアクセス領域内でオペレータが例えば積載板の取出しや挿入等の所望の操作を行えるようにした安全装置を備えたものが、特許文献3に開示されている。
【0007】
そこで、本発明は、侵入検知器を無効化して連続運転を可能にした際の安全性を効果的に高めることができるシート排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためのシート排出装置は、
シートを搬送するシート搬送装置と、
前記シート搬送装置から排出されたシートを積載する積載板を多段に有したパイルと、
前記パイル内への侵入を検出し、前記シート搬送装置を停止させる侵入検出器と、
を備えたシート排出装置において、
前記積載板がシート積載位置に位置付けられたことを検出するシート積載位置検出器と、
前記シート積載位置検出器の検出信号に基づいて前記侵入検出器の検出による前記シート搬送装置の停止を無効にする制御装置と、
を設けるとともに、
前記積載板のシート積載位置はオペレータの前記シート搬送領域への侵入を阻止する位置であることを特徴とする。
【0009】
また、
前記シート積載位置に位置付けられた積載板に隣接してカバーを設け、該カバーと前記積載板とでオペレータの前記シート搬送領域への侵入を阻止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した本発明に係るシート排出装置によれば、シート積載位置に位置付けられた積載板により、オペレータのシート搬送領域への侵入を阻止することができるので、侵入検知器を無効化して連続運転を可能にした際の安全性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示す凹版印刷機の概略構成図である。
【図2】排紙装置における積載紙取出装置と積載板挿入装置の説明図である。
【図3】安全バー及び積載紙取出装置の説明図である。
【図4】排出方法の概略説明図である。
【図5】排出装置の制御ブロック図である。
【図6】排出装置の自動制御時の工程図である。
【図7】排出装置の自動制御時の工程図である。
【図8】排出装置の自動制御時の工程図である。
【図9】排出装置の自動制御時の工程図である。
【図10】排出装置の自動制御時の工程図である。
【図11】排出装置の手動制御時の動作フロー図である。
【図12】排出装置の手動制御時の動作フロー図である。
【図13】排出装置の手動制御時の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るシート排出装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は本発明の一実施例を示す凹版印刷機の概略構成図、図2は排紙装置における積載紙取出装置と積載板挿入装置の説明図、図3は安全バー及び積載紙取出装置の説明図、図4は排出方法の概略説明図、図5は排出装置の制御ブロック図、図6は排出装置の自動制御時の工程図、図7は排出装置の自動制御時の工程図、図8は排出装置の自動制御時の工程図、図9は排出装置の自動制御時の工程図、図10は排出装置の自動制御時の工程図、図11は排出装置の手動制御時の動作フロー図、図12は排出装置の手動制御時の動作フロー図、図13は排出装置の手動制御時の動作フロー図である。
【0014】
図1に示すように、紙(シート)Wの積載された給紙装置10には、当該給紙装置10のサッカ機構で上層から一枚ずつ送り出された紙Wを受けて印刷見当を合わせる差板11が連絡している。差板11には、当該差板11上の紙Wをくわえて揺動するスイング装置12が配設されている。
【0015】
前記スイング装置12には、くわえ爪を周方向に沿って等間隔で3つ配設されて3枚のゴム製のブランケットを取り付けできる、いわゆる3倍胴の圧胴14が渡胴13を介して連絡しており、当該圧胴14は、フレーム23に支持されている。渡胴13には、上記圧胴14の上記くわえ爪と同様なくわえ爪が設けられており、スイング装置12からくわえ替えた紙100を圧胴14のくわえ爪にくわえ替えさせることができるようになっている。
【0016】
前記圧胴14には、周方向に沿って3枚の凹版を取り付けできる、いわゆる3倍胴の版胴15が対接しており、当該版胴15は、フレーム23に支持されている。版胴15の上記凹版には、周方向に沿って4枚のゴム製のブランケットを取り付けできる、いわゆる4倍胴のインキ集合胴16が対接しており、当該インキ集合胴16は、フレーム24に支持されている。このインキ集合胴16には、圧胴14のブランケットや版胴15の凹版の長さに対応した周面長をなす、いわゆる単一胴のシャブロン胴17が周方向にわたって5つ対接しており、当該シャブロン胴17は、フレーム24にそれぞれ支持されている。これらシャブロン胴17には、インキを供給するインキ装置18がそれぞれ対接しており、当該インキ装置18は、フレーム25にそれぞれ支持されている。これらインキ装置18内には、互いに異なる色のインキが各々充填されている。
【0017】
つまり、インキ集合胴16を4倍胴として、シャブロン胴17およびインキ装置18を5つ配設すると共に、インキ集合胴16およびシャブロン胴17を独立したフレーム24で支持して、大型のインキ集合胴16でも十分に支持できるようにしたのである。
【0018】
また、前記版胴15の上記凹版には、ワイピングローラ19が対接している。このワイピングローラ19は、洗浄液を貯えたワイピングタンク20内に浸漬している。
【0019】
また、前記圧胴14には、排紙胴21が対接している。排紙胴21には、排紙装置(シート搬送装置)22の図示しないスプロケットが同軸をなして設けられている。排紙装置22の上記スプロケットとスプロケット22aには、一対の排紙チェーン22bが張架されている。排紙チェーン22bには、図示しない排紙爪が設けられている。排紙チェーン22bの走行方向下流側には、シート排出装置としての第1〜第3のパイル26a〜26cが紙搬送方向に並設されている。
【0020】
前,中段の第1パイル26a及び第2パイル26bは正紙用として用い、これらの積載板27a,27b上に交互に正紙を排紙して複数段(例えば10段)に積載するとともに、後段の第3パイル26cはサンプル紙やヤレ紙用として用い、その積載板34上にサンプル紙やヤレ紙を排紙して複数段(例えば5段)に積載するようになっている。
【0021】
一方、前記フレーム24のフレーム23側には、窓24aが形成されており、当該窓24aから作業者が出入りできるようになっている。
【0022】
このような凹版印刷機においては、給紙装置10から差板11上へ一枚ずつ送り出された紙Wがスイング装置12から渡胴13を経て圧胴14のくわえ爪にくわえ替えられて搬送される一方、各インキ装置18のインキがシャブロン胴17を介してインキ集合胴16に転写されて版胴15の前記凹版面上に供給され、当該インキの余剰分がワイピングローラ19で取り除かれる。そして、上記紙Wが圧胴14と凹版胴15との間を通過することにより、紙Wに上記インキが転写されて印刷され、当該紙Wが排紙胴21を介して排紙装置22の排紙チェーン22bで搬送されて第1〜第3のパイル26a〜26cに選択的に排紙される。
【0023】
そして、本実施例では、図2に示すように、排紙装置22における第1パイル26aと第2パイル26bのアクセス領域には、安全装置としての第1ビームセンサ62a(62b),第2ビームセンサ63a(63b)及び第3ビームセンサ64a(64b)と安全バー66a(66b)が配設され、適宜排紙装置22のフレームに支持されている。図示例では、アクセス領域として、後述する積載紙取出装置70が進退する第1パイル26aと第2パイル26bの作業側の開口部に例をとったが、後述する積載板挿入装置71から積載板27a(27b)が挿入される第1パイル26aと第2パイル26bの駆動側の開口部と、メンテナンス等のための第1パイル26aの後面側の開口部にも安全装置を配設しても良いことは言うまでもない。勿論、第3パイル26cのアクセス領域にも安全装置を配設しても良い。
【0024】
前記第1ビームセンサ62a(62b),第2ビームセンサ63a(63b)及び第3ビームセンサ64a(64b)は上下方向に所定間隔離間して設けられ、オペレータ(及び積載紙取出装置70等の操作機器)のアクセス領域(パイル)内への侵入を検出する例えば投受光型の侵入検出器で、侵入を検出すると本機モータ51(図5参照)の駆動を停止する即ち排紙チェーン22bを停止するとともに、後述する一定の条件下では第1ビームセンサ62a(62b),第2ビームセンサ63a(63b)及び第3ビームセンサ64a(64b)により侵入を検出しても本機モータ51を停止させないようにもなっている。
【0025】
前記安全バー66a(66b)は、排紙装置22の排紙チェーン22bと第1パイル26a及び第2パイル26bの最上段に位置する積載板27a(27b)との間の上部空間(シート搬送領域)の側方を遮蔽すべく柵状に配設され、手動により安全バー66a(66b)が開かれる(上げられる)とこれを安全バー開閉センサ61a,61b(図5参照)が検出して第1パイル26a及び第2パイル26bにおける無端チェーン(図示しないが図2中の無端チェーン走行ラインL3参照)を走行させて積載板27a(27b)を昇降するパイル昇降モータ53a,53b(図5参照)の駆動を停止するようになっている。尚、図2中67a(67b)は断面L字状のカバーであり、その水平板部が後述する板上限位置(シート積載位置)L2(図3参照)にある積載板27a(27b)と面一になることで、上述した上部空間の下面及び側面においてより大きく遮蔽して他物との干渉を回避し得るようになっている。
【0026】
前記積載紙取出装置70は、台車70a上に昇降可能に支持された昇降フレーム70bに複数段(図示例では10段)に亘ってフォーク部材70cが櫛状に支持されてなり、昇降フレーム70bの下降状態で第1パイル26a及び第2パイル26b内に進入し、その後昇降フレーム70bが若干上昇することで積載板27a(27b)が第1パイル26a及び第2パイル26bにおける無端チェーン側から、10段そっくり、昇降フレーム70bに支持されたフォーク部材70cに受け渡され、この状態で台車70aが第1パイル26a及び第2パイル26b外に後退することで10段分の積載板27a(27b)の取出し(山出し)が可能となるものである。尚、この積載紙取出装置70は、特許文献4等で公知であるので詳細な説明は省略する。
【0027】
前記積載板挿入装置71は、台車71a上に積層された積載板27a(27b)をリフター71bで第1パイル26a及び第2パイル26bの板挿入位置L1(図3参照)の高さまで一枚ずつ持ち上げた後、プッシャー71cで第1パイル26a及び第2パイル26b内へ押し出しすることで第1パイル26a及び第2パイル26bにおける無端チェーン側に積載板27a(27b)を受け渡しするものである。尚、この積載板挿入装置71は、特許文献5等で公知であるので詳細な説明は省略する。
【0028】
また、図3に示すように、積載板27a(27b)の挿入位置である板挿入位置L1には板挿入位置検出センサ57a,57b(図5参照)が設けられるとともに、積載板27a(27b)の上昇限である板上限位置L2には板上限位置検出センサ(シート積載位置検出器)58a,58b(図5参照)が設けられる。さらに、積載板27a(27b)上に積載される紙Wの設定枚数(設定量)はカウンタ52(図5参照)で計測されるようになっている。
【0029】
従って、第1パイル26a及び第2パイル26bにおいては、図4に示すように、安全バー66a(66b)が閉じられた(下げられた)状態下で、板挿入位置L1でパイル内に挿入された後板上限位置L2まで上昇された10段目の積載板27a(27b)上に排紙された紙Wが設定枚数に達すると、10段分の排紙が完了し、パイルが下降されることになる(図4の(a)参照)。
【0030】
次に、無端チェーンの走行によりパイルを下降させて板挿入位置L1で12段目(の板支持部材)に次の10段分の内の1段目の積載板27a(27b)を挿入する。即ち、11段目(の板支持部材)には積載板27a(27b)を挿入しないでやり過ごすのである(図4の(b)参照)。
【0031】
次に、無端チェーンの走行によりパイルを上昇させて12段目の積載板27a(27b)を板上限位置L2に位置決めして紙Wの排紙を可能とする一方、安全バー66a(66b)を開いて(上げて)パイル内に積載紙取出装置70(台車71a)を進入させることで積載済みの10段分の積載板27a(27b)の取出し(山出し)が可能となる(図4の(c)参照)。
【0032】
このような動作を第1パイル26aと第2パイル26bとの間で交互に行うのであるが、本実施例では、自動制御(操作)と手動制御(操作)の両方で実施可能となっている。
【0033】
即ち、図5に示すように、前述した制御装置50には、カウンタ52からの検出信号が入力されるとともに、図示しない操作パネルに設けた第1パイル26a及び第2パイル26bのマニュアル操作スイッチ54a,54b、パイル下降スイッチ55a,55b、パイル上昇スイッチ56a,56b、板挿入スイッチ59a,59b、パイル切替スイッチ60a,60bからの操作信号が入力される。
【0034】
同様に、制御装置50には、第1パイル26a及び第2パイル26bの前述した板挿入位置検出センサ57a,57b、板上限位置検出センサ58a,58b、紙面高さ検知センサ65a,65bからの検出信号に加えて、安全バー開閉センサ61a,61bと第1ビームセンサ62a,62b、第2ビームセンサ63a,63b、第3ビームセンサ64a,64bからの検出信号が入力される。
【0035】
また、制御装置50は、後述する各種入力信号に基づいて本機モータ51を駆動制御するとともに、第1パイル26a及び第2パイル26bのパイル昇降モータ53a,53bを駆動制御するようになっている。
【0036】
そして、自動制御(操作)は、図6乃至図10に示す自動制御時の工程図に従って実施される。
【0037】
先ず、工程(a)で、カウンタ52により第1パイル26aの1段目の積載板27a上に紙Wが設定枚数(設定量)排出(積載)されたのが計測されると、第2パイル26bへ紙Wを排出するようパイル切替が行われる。
【0038】
次に、工程(b)で、第2パイル26bの1段目の積載板27b上に紙Wが排出されている間に、パイル昇降モータ53aにより第1パイル26aが下降し、第1パイル26aの2段目(の板支持部材)が板挿入位置検出センサ57aにより板挿入位置L1に位置決めされる。
【0039】
次に、工程(c)で、第1パイル26aの2段目(の板支持部材)に積載板挿入装置71により積載板27aが挿入される。
【0040】
次に、工程(d)で、パイル昇降モータ53aにより第1パイル26aが上昇し、第1パイル26aの2段目の積載板27aが板上限位置検出センサ58aにより板上限位置(紙積載位置)に位置決めされる。そして、カウンタ52により第2パイル26bの1段目の積載板27b上に紙Wが設定枚数(設定量)排出(積載)されたのが計測されると、第1パイル26aへ紙Wを排出するようパイル切替が行われる。
【0041】
次に、工程(e)で、パイル昇降モータ53bにより第2パイル26bが下降し、第2パイル26bの2段目(の板支持部材)が板挿入位置検出センサ57bにより板挿入位置L1に位置決めされる。
【0042】
次に、工程(f)で、第2パイル26bの2段目(の板支持部材)に積載板挿入装置71により積載板27aが挿入される。
【0043】
次に、工程(g)で、パイル昇降モータ53aにより第2パイル26bが上昇し、カウンタ52により第2パイル26bの2段目の積載板27b上に紙Wが設定枚数(設定量)排出(積載)されたのが計測されると、第1パイル26aへ紙Wを排出するようパイル切替が行われる。
【0044】
以上の動作が第1パイル26aと第2パイル26bとの間で交互に行なわれ、第1パイル26aと第2パイル26bの3段目から9段目の積載板27a,27bに紙Wが積載される。
【0045】
次に、工程(h)で、第1パイル26aの10段目の積載板27a上に紙Wが排出される。
【0046】
次に、工程(i)で、カウンタ52により第1パイル26aの10段目の積載板27a上に紙Wが設定枚数(設定量)排出(積載)されたのが計測されると、第2パイル26bへ紙Wを排出するようパイル切替が行われる。そして、第1パイル26aにおける積載済みの10段分の積載板27aの取出し(山出し)工程が実施される。
【0047】
即ち、工程(j)で、第2パイル26bへの紙Wの排出中に、パイル昇降モータ53aにより第1パイル26aが下降し、紙Wが積載された10段目の積載板27aの2つ上の12段目(の板支持部材)が板挿入位置検出センサ57aにより板挿入位置L1に位置決めされる。
【0048】
次に、工程(k)で、第1パイル26aの12段目(の板支持部材)に積載板挿入装置71により積載板27aが挿入される。即ち、11段目(の板支持部材)に積載板27aが挿入されない状態にするのである。
【0049】
次に、工程(l)で、パイル昇降モータ53aにより第1パイル26aが上昇し、第1パイル26aの12段目の積載板27aが板上限位置検出センサ58aにより板上限位置に位置決めされる。
【0050】
次に、工程(m)で、第1パイル26aに対し積載紙取出装置70(台車70a)が進退し、積載済みの10段分の積載板27a(27b)がパイル外に取出し(山出し)される。そして、カウンタ52により第2パイル26bの10段目の積載板27b上に紙Wが設定枚数(設定量)排出(積載)されたのが計測されると、第1パイル26aへ紙Wを排出するようパイル切替が行われる。
【0051】
次に、工程(n)で、第1パイル26aへの紙Wの排出中に、パイル昇降モータ53bにより第2パイル26bが下降し、第1パイル26aにおける工程(j)と同じことが第2パイル26bでも実施される。
【0052】
次に、工程(o)で、第2パイル26bの12段目(の板支持部材)に積載板挿入装置71により積載板27bが挿入され、第1パイル26aにおける工程(k)と同じことが第2パイル26bでも実施される。
【0053】
次に、工程(p)で、パイル昇降モータ53bにより第2パイル26bが上昇し、第2パイル26bの12段目の積載板27bが板上限位置検出センサ58bにより板上限位置に位置決めされ、第1パイル26aにおける工程(l)と同じことが第2パイル26bでも実施される。そして、第1パイル26aにおける積載済みの10段分の積載板27aの取出し(山出し)は、工程(m)〜工程(p)の間で行われる。尚、工程(p)で第1パイル26aの12段目の積載板27a上に紙Wが設定枚数排出されるまでに、第1パイル26aにおける積載済みの10段分の積載板27aの取出し(山出し)を行わないと機械が停止される。
【0054】
次に、工程(q)で、第2パイル26bに対し積載紙取出装置70(台車70a)が進退し、積載済みの10段分の積載板27bがパイル外に取出し(山出し)され、第1パイル26aにおける工程(m)と同じことが第2パイル26bでも実施される。
【0055】
次に、工程(r)〜工程(t)へと進行し、第1パイル26aにおける工程(b)〜工程(d)と同じことが第2パイル26bでも実施される。そして、第2パイル26bにおける積載済みの10段分の積載板27bの取出し(山出し)は、工程(q)〜工程(t)の間で行われる。尚、工程(t)で第2パイル26bの12段目の積載板27b上に紙Wが設定枚数排出されるまでに、第2パイル26bにおける積載済みの10段分の積載板27bの取出し(山出し)を行わないと機械が停止される。
【0056】
以後、前述した工程(a)〜工程(t)が繰り返される。
【0057】
一方、手動制御(操作)は、図11乃至図13に示す手動制御時の動作フローに従って実施される。
【0058】
先ず、ステップP1で積載された10段分の紙Wを取り出す第1パイル26a又は第2パイル26bが排出中か否かが判断され、可であればステップP2でパイル切替スイッチ60a又は60bが操作されて別パイルへ排出が切り替えられる。即ち、第1パイル26aが排出中であれば、第2パイル26bのパイル切替スイッチ60bが操作されて紙Wの排出が第2パイル26bに切り替えられるとともに、第2パイル26bが排出中であれば、第1パイル26aのパイル切替スイッチ60aが操作されて紙Wの排出が第1パイル26aに切り替えられるのである。一方、前記ステップP1で否であればステップP3へ直に移行される。
【0059】
次に、前記ステップP3で紙Wを取り出す第1パイル26a又は第2パイル26bのマニュアル操作スイッチ54a又は54bがONされると、ステップP4で紙Wを取り出す第1パイル26a又は第2パイル26bのパイル下降スイッチ55a又は55bがONされたか否かが判断される。尚、パイル下降スイッチ55a,55bは、押している間パイルは下降し、押下げを止めるとパイルの下降は停止する。
【0060】
次に、前記ステップP4で可であれば、ステップP5で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bがパイル昇降モータ53a又は53bにより下降される一方、否であればステップP6で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの下降が停止されてステップP4に戻る。
【0061】
次に、ステップP7で板挿入位置検出センサ57a又は57bがONされたか否か、即ち、紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bの一つ上の段(の板支持部材)を板挿入位置検出センサ57a又は57bが検出したか否かが判断され、可であればステップP8で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの下降が停止される一方、否であればステップP4に戻る。
【0062】
次に、ステップP9で紙Wを取り出す第1パイル26a又は第2パイル26bのパイル下降スイッチ55a又は55bがONされたか否かが判断され、可であれば、ステップP10で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bがパイル昇降モータ53a又は53bにより下降される一方、否であればステップP11で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの下降が停止されてステップP9に戻る。
【0063】
次に、ステップP12で板挿入位置検出センサ57a又は57bがONされたか否かが判断され、可であればステップP13で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの下降が停止される、即ち、紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bの二つ上の段(の板支持部材)が板挿入位置L1で停止される一方、否であればステップP9に戻る。
【0064】
次に、ステップP14で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26b側の板挿入スイッチ59a又は59bがONされると、ステップP15で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26b側に積載板挿入装置71により積載板27a又は27bが挿入される。即ち、紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bの二つ上の段(の板支持部材)に積載板27a又は27bが挿入されるのである。
【0065】
次に、ステップP16で紙Wを取り出す第1パイル26a又は第2パイル26bのパイル上昇スイッチ56a又は56bがONされたか否かが判断され、可であれば、ステップP17で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bがパイル昇降モータ53a又は53bにより上昇される一方、否であればステップP18で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの上昇が停止されてステップP16に戻る。
【0066】
次に、ステップP19で板上限位置検出センサ58a又は58bがONされたか否かが判断され、可であればステップP20で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの上昇が停止される、即ち、紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bの二つ上の段(の板支持部材)が板上限位置L2で停止される一方、否であればステップP16に戻る。
【0067】
次に、ステップP21で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bの第1ビームセンサ62a又は62b,第2ビームセンサ63a又は63b及び第3ビームセンサ64a又は64bによる印刷機の駆動装置の停止指令が無視(無効化)された後、ステップP22a及びステップP22bで第1ビームセンサ62a又は62b,第2ビームセンサ63a又は63b及び第3ビームセンサ64a又は64bの少なくともひとつが遮光される(OFFされる)或は安全バー開閉センサ61a又は61bがOFFされる(安全バーが開かれる)と、ステップP23でパイル昇降モータ53a又は53bの駆動が停止(ロック)される。
【0068】
次に、ステップP24で紙取り出しパイルである第1パイル26a又は第2パイル26bに対し積載紙取出装置70(台車71a)が進退され、積載済みの10段分の積載板27a又は27bがパイル外に取出し(山出し)される。
【0069】
以後、前述したステップP1〜ステップP23の動作が繰り返される。
【0070】
このようにして、本実施例によれば、第1パイル26a又は第2パイル26bにおいて、10段分の積載板27a又は27bへの紙Wの積載が終了し、この積載済みの10段分の積載板27a又は27bをパイル外に取出し(山出し)する際は、先ず、紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bの二つ上の段(の板支持部材)が板挿入位置L1に来るまで第1パイル26a又は第2パイル26bが下降される。
【0071】
次に、前記二つ上の段(の板支持部材)が板挿入位置L1に来たら第1パイル26a又は第2パイル26bの下降が停止され、当該段(の板支持部材)に、次の10段分の積載板27a又は27bに紙Wの積載(排紙)を開始すべく、未だ紙Wが積載されていない1段目(言い換えれば12段目)の積載板27a又は27bが挿入される。
【0072】
次に、第1パイル26a又は第2パイル26bが上昇され、前記未積載の1段目の積載板27a又は27bが板上限位置(紙積載位置)L2に来たら第1パイル26a又は第2パイル26bの上昇が停止される。この状態下で、積載紙取出装置70を用いて積載済みの10段分の積載板27a又は27bがパイル外に取出し(山出し)される。
【0073】
そして、本実施例では、前記未積載の1段目の積載板27a又は27bが板上限位置(紙積載位置)L2に来たら第1ビームセンサ62a又は62b、第2ビームセンサ63a又は63b及び第3ビームセンサ64a又は64bによる印刷機の駆動装置の停止指令が無視(無効化)されるとともに、この状態下では未積載の1段目の積載板27a又は27bと紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bとの間には積載板27a又は27bが1段抜きされているので、前記取出し(山出し)時に積載紙取出装置70(のフォーク部材70c)により積載済みの10段分の積載板27a又は27bが若干持ち上げられても最上段の積載板27a又は27b上の紙Wが前記未積載の1段目の積載板27a又は27bと干渉することがない。
【0074】
これにより、積載済みの10段分の積載板27a又は27bの取出し(山出し)時に、駆動装置(印刷機)を停止させることなく連続運転下で円滑に取り出すことができるので、印刷機の稼働率向上が図れる。
【0075】
また、前記未積載の1段目の積載板27a又は27bが板上限位置(紙積載位置)L2に位置決められると、当該積載板27a又は27bで排紙装置22の排紙チェーン22bと紙Wが積載されている最上段の積載板27a又は27bとの間の上部空間を仕切り、排紙チェーン22bの下面側(走行領域)を遮蔽して他物との干渉(オペレータの侵入)を回避することができるので、安全性が高まる。図示例では、板上限位置(紙積載位置)L2にある積載板27a又は27bが断面L字状のカバー67a又は67bの水平板部と面一になって、前記上部空間の下面及び側面においてより大きく遮蔽し得るようになっているので、より一層安全性が高まる。また、カバー67a又は67bに透明な材料を使用することにより透視が可能となり、内部監視が可能である。
【0076】
また、前記取出し(山出し)時に、第1ビームセンサ62a又は62b,第2ビームセンサ63a又は63b及び第3ビームセンサ64a又は64bの少なくともひとつが遮光される或は安全バー66a又は66bが開かれる(上げられる)と、無端チェーンを走行させて積載板27a又は27bを昇降するパイル昇降モータ53又は53bの駆動を停止(ロック)するようになっているので、積載紙取出装置70(台車70a)の進退時に、不用意に無端チェーンが走行し積載板27a又は27bが昇降するのが回避される。これにより、駆動装置(印刷機)の連続運転下であっても安全に取出し(山出し)が行える。勿論、安全バー66a又は66bは、前記取出し(山出し)時以外では、アクセス領域内への侵入阻止機能を有し、第1ビームセンサ62a又は62b、第2ビームセンサ63a又は63b及び第3ビームセンサ64a又は64bの故障・誤作動時のバックアップとなる。
【0077】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、パイル数や積載板の段数変更が可能であるとともに、積載板の段抜きも一段に限らず複数段に亘って抜いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、紙幣や有価証券等を印刷する所謂特殊な凹版印刷機に適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 給紙装置
11 差板
12 スイング装置
13 渡胴
14 圧胴
15 版胴
16 インキ集合胴
17 シャブロン胴
18 インキ装置
19 ワイピングローラ
20 ワイピングタンク
21 排紙胴
22 排紙装置
23,24,25 フレーム
24a 窓
26a〜26c 第1〜第3のパイル
27a,27b 積載板
34 積載板
50 制御装置
51 本機モータ
52 カウンタ
53a,53b パイル昇降モータ
54a,54b マニュアル操作スイッチ
55a,55b パイル下降スイッチ
56a,56b パイル上昇スイッチ
57a,57b 板挿入位置検出センサ
58a,58b 板上限位置検出センサ
59a,59b 板挿入スイッチ
60a,60b パイル切替スイッチ
61a,61b 安全バー開閉センサ
62a,62b 第1ビームセンサ
63a,63b 第2ビームセンサ
64a,64b 第3ビームセンサ
66a,66b 安全バー
67a,67b カバー
70 積載紙取出装置
70a 台車
70b 昇降フレーム
70c フォーク部材
71 積載板挿入装置
71a 台車
71b リフター
71c プッシャー
L1 板挿入位置
L2 板上限位置
L3 無端チェーン走行ライン
W 紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート搬送装置と、
前記シート搬送装置から排出されたシートを積載する積載板を多段に有したパイルと、
前記パイル内への侵入を検出し、前記シート搬送装置を停止させる侵入検出器と、
を備えたシート排出装置において、
前記積載板がシート積載位置に位置付けられたことを検出するシート積載位置検出器と、
前記シート積載位置検出器の検出信号に基づいて前記侵入検出器の検出による前記シート搬送装置の停止を無効にする制御装置と、
を設けるとともに、
前記積載板のシート積載位置はオペレータの前記シート搬送領域への侵入を阻止する位置であることを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記前記シート積載位置に位置付けられた積載板に隣接してカバーを設け、該カバーと前記積載板とでオペレータの前記シート搬送領域への侵入を阻止することを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−35622(P2013−35622A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170773(P2011−170773)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000184735)株式会社小森コーポレーション (403)
【Fターム(参考)】