説明

シート材検知装置及び画像形成装置

【課題】 シート材の種類を正確に検知するシート材検知装置、及び、検知したシート材の種類に基づいて好適な画像形成条件を設定する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 シート材に対して超音波を発信する発信器112と、発信器112から発信され、シート材を通過した超音波を受信する受信器113と、発信器112から発信され、シート材で反射した超音波を受信する受信器114と、受信器113の受信結果と受信器114の受信結果から、シート材の種類を判別するCPU104とを有することを特徴とするシート材検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材の種類を検知するシート材検知装置に関する。また、シート材の種類に応じて画像形成プロセスを制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の画像形成装置において使用されるシート材は、それぞれの装置によって推奨されるシート材がほぼ決められている。これは、複写機等では、紙などのシート材に画像を形成する際、シート材の厚さ、坪量(単位面積あたりの重さ)、表面処理を施したシート材等の表層、シート材のすき目の粗密等、シート材の種類との相関関係が知られており、画像の品質を決める上で非常に大きなファクタになっているためである。
【0003】
特に、4色のトナー(現像剤)を1枚のシート材上に重ね合わせて1つの画像を形成するカラー複写機にあっては、白黒複写機に比べてシート材上に載せられるトナーの量が多くなるため、シート材の厚さの違いが画質に大きく影響する。すなわち、トナーを溶融させて定着する一般的な加熱方式の定着器にあっては、シート材の厚さが厚い程、定着時にシート材によって奪われる熱量が多くなり、その分、トナーの溶融に供される熱量が少なくなる。
【0004】
このため、トナー量の多いカラー画像にあってはトナーが十分に溶融されずに定着不良を起こしがちとなる。このような定着不良を防止するため、カラー複写機においては、白黒複写機に比して、特に、シビアな温度管理が要求される。
【0005】
また、シート材の厚さ(素材の密度)に応じて、トナー像をシート材に転写するための転写条件(例えば、転写バイアス)を変更することなども、良好な転写を行う上で重要である。
【0006】
上述の定着及び転写を良好に行うべく、従来の画像形成装置においては、ユーザー自身がシート材の種類についての情報を装置本体上の操作部から入力し、この入力情報に基づいて、制御装置により定着温度や定着速度等の定着条件、また転写バイアス等の転写条件を制御するようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、この従来の画像形成装置においては、シート材の厚さを検知し、シート材の厚さに応じて画像形成条件の設定を行っている。
【特許文献1】特開平9−34316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来例によると、シート材の厚さの検出はできるものの、例えば同じ厚さのシート材であっても、表面処理を施したコート紙と普通紙の違いが検出できない。
【0008】
そのため、ユーザー自身が手入力によってシート材の種類について入力した情報に誤りがあった場合、制御装置はその誤入力に基づいて定着条件、転写条件等の画像形成条件を設定してしまい、不具合が発生するおそれがあった。例えば、定着条件1つをとっても、入力ミスによる定着不良や熱のかけすぎによるシート材の変形等の問題があった。
【0009】
なお、近時、画像形成に使用されるシート材の種類は非常に多く、シート材についての情報としては、上述の厚さ以外にも、その大きさ、普通紙か特種紙か、さらには紙かそれ以外の樹脂フィルムか等のさまざまなものがある。これらについて、ユーザーが正確に認識し、装置本体に正しく入力することは困難であり、また煩雑な作業でもある。
【0010】
そこで、本発明は、シート材の種類を正確に検知するシート材検知装置、及び、検知したシート材の種類に基づいて好適な画像形成条件を設定する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るシート検知装置は、シート材に対して超音波を発信する発信手段と、前記発信手段から発信され、シート材を通過した超音波を受信する第1受信手段と、前記発信手段から発信され、シート材で反射した超音波を受信する第2受信手段と、前記第1受信手段の受信結果と前記第2受信手段の受信結果から、シート材の種類を判別する判別手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、シート材に画像を形成する画像形成手段と、シート材に対して超音波を発信する発信手段と、前記発信手段から発信され、シート材を通過した超音波を受信する第1受信手段と、前記発信手段から発信され、シート材で反射した超音波を受信する第2受信手段と、前記第1受信手段の受信結果と前記第2受信手段の受信結果から、シート材の種類を判別する判別手段と、前記判別手段で判別したシート材の種類に応じて、前記画像形成手段の画像形成条件を変更する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シート材に対して超音波を発信する発信手段と、発信手段から発信され、シート材を通過した超音波を受信する第1受信手段と、発信手段から発信され、シート材で反射した超音波を受信する第2受信手段と、第1受信手段の受信結果と第2受信手段の受信結果から、シート材の種類を判別する判別手段とを有することで、シート材の種類を正確に検知することが可能となる。
【0014】
また、判別手段で判別したシート材の種類に応じて、画像形成手段の画像形成条件を変更する制御手段を有することで、シート材の種類に基づいて好適な画像形成条件を設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例として、デジタルカラーの画像形成装置1の概略構成を示す。
【0017】
まず、同図を参照してその構成及び動作を説明する。同図の画像形成装置1は、装置本体2の上部にリーダ部10を、また中間部にプリント部20を、そして下部にシート材Pの給搬送部50を備えている。
【0018】
リーダ部10は、原稿が載置される原稿台11、載置された原稿を上方から押圧する原稿圧板12、原稿の画像面を照射する光源13、画像面からの反射光を導く複数のミラー14とレンズ15、反射光の光電変換を行うCCD16a、そして種々の画像処理を行う画像処理部16を主要構成部材として構成されている。さらに、画像処理部16は、図2に示すように、CCD16a、A/D&S/H部16b、シェーディング補正部16c、入力マスキング部16d、変倍処理部16e、LOG変換部16f、圧伸部16g、マスキング・UCR部16h、γ補正部16i、そしてエッジ強調部16jを有している。
【0019】
上述構成のリーダ部10の動作は次のとおりである。原稿台11上に原稿を、その画像面が下方を向くようにして載置し、その上から原稿圧板12で押える。光源13は、光を照射しながら矢印K1方向に移動し、原稿の画像面を走査する。画像面からの反射光像は、複数のミラー14及びレンズ15を介して、RGBの3色のフィルタが施されたCCD16上に結像され、ここで、RGBの各色の信号に光電変換される。
【0020】
電気信号となった画像信号は、画像処理部16において、図2に示す流れに従って、以下のように処理される。CCD16aからの信号は、A/D&S/H部16bにおいてデジタルデータに変換され、さらに返還されたデジタルデータはシェーディング補正部16cと入力マスキング部16dとによって修正される。また、変倍動作時には変倍処理部16eで変倍処理を受ける。
【0021】
次に、LOG変換部16fでRGBのデータがCMYのデータに変換され、画像データの圧縮、記憶、伸長を行う圧伸部16gに入力される。格納された画像データは、後述するプリント部20のそれぞれの色に同期して読み出され、マスキング・UCR部16hにてマスキング処理された後、γ補正部16iとエッジ強調部16jとによりYMCKの出力画像データが作られ、次のプリント部20に送出される。
【0022】
プリント部20は、図1に示すように、各色の同期をとる画像制御部21、4つのレーザー素子、すなわちマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色用のレーザー素子22M、22C、22Y、22K、後述の感光ドラム表面をレーザー光によって走査するポリゴンスキャナ23、4つの画像形成部、すなわちシート材Pの搬送方向上流側から下流側に向かって(同図中、右側から左側にかけて)順に配置されたマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色用の画像形成部30M、30C、30Y、30K、そして最下流側の画像形成部30Kの更に下流側に配設した定着器40を主要構成部材として構成されている。
【0023】
また、上述した最上流側のマゼンタの画像形成部30Mは、矢印方向に回転自在に支持された感光ドラム31、その周囲にその回転方向に沿ってほぼ順に配設された、感光ドラム31表面を帯電する一次帯電器32、感光ドラム31上の静電潜像を現像する現像器33、感光ドラム31上のトナー像をシート材Pに転写する転写帯電器34、感光ドラム31の転写残トナーを除去するクリーナ35、除電を行う補助帯電器36、そして残留電荷を除去する前露光ランプ37とを備えている。
【0024】
さらに、現像器33の現像ローラ33a上の現像剤からの反射光量により現像剤濃度を検出する現像剤濃度センサS1と、感光ドラム31上に形成されたトナー像からの反射光量を検出する現像濃度センサS2とが配置されている。
【0025】
なお、他の色の画像形成部30C、30Y、30Kについては、上述のマゼンタの画像形成部30Mと同様の構成であるのでその説明は省略する。
【0026】
上述構成のプリント部20は、前述のリーダ部10から送出された出力画像データに基づいて、次のようにしてシート材P上にトナー像を形成する。マゼンタの画像形成部30Mにおいて、一次帯電器32によって感光ドラム31表面を所定の電位に均一に帯電する。画像制御部21により出力画像データに基づいて他の色との同期をとってマゼンタ用のレーザー素子22Mを駆動し、上述の感光ドラム31表面を走査する。
【0027】
これにより感光ドラム31表面には、原稿画像のうちのマゼンタに対応する静電潜像が形成される。静電潜像は、現像バイアスが印加された現像ローラ33aによってマゼンタのトナーが付着されてトナー像として現像される。このトナー像は、後述の転写ベルトによって搬送されてくるシート材Pの表面に、転写ベルト内側からの転写帯電器34の放電によって転写される。
【0028】
トナー像転写後の感光ドラム31は、表面の転写残トナーがクリーナ35によって除去され、さらに、補助帯電器36による除電を受け、前露光ランプ37によって残留電荷が除去されて、一次帯電器32の帯電から始まる次の画像形成に供される。
【0029】
このマゼンタの画像形成部30Mと同様にして、下流側のシアン、イエロー、ブラックの各色の画像形成部30C、30Y、30Kにおいても、各感光ドラム表面にそれぞれの色のトナー像が形成される。表面にマゼンタのトナー像が転写されたシート材Pは、転写ベルトによって下流側のシアン、イエロー、ブラックの画像形成部30C、30Y、30Kに順次に搬送され、それぞれの色のトナー像が次々と転写され、表面に4色のトナー像が重ねられる。こうして4色のトナー像が転写されたシート材Pは、後述の定着前ベルトによって定着器40に搬送され、ここで定着ローラ40aと加圧ローラ40bとによる加熱加圧を受けて表面のトナー像が定着される。
【0030】
定着後のシート材Pは、裏面に対する画像形成が行われない場合は、そのまま装置本体2外部に排出され、一方、裏面に画像を形成する場合には、次に説明する給搬送部50によって、再度、画像形成部30M等に供給されて、裏面にトナー像が形成された後、装置本体2外部に排出されることになる。
【0031】
シート材Pの給搬送を行う給搬送部50は、シート材Pの搬送路を有し、そのシート材Pの搬送方向についての最上流側に、給紙カセット51a、51b、給紙ローラ52a、52b、搬送ローラ53a、53b等を有するシート材送り装置54を備えている。さらに給紙カセット51a、51bの下方には、これらを装置本体2に装着したときに、これら給紙カセット51a、51bに収納されたシート材Pのサイズを検知するためのサイズ検出部S3、S4が付設されている。
【0032】
サイズ検出部S3、S4は、給紙カセット51a、51b側に配置された係合部と装置本体2側のサイズ検知スイッチ(いずれも不図示)とを備えており、給紙カセット51a、51bが装着された際に、係合部がシート材Pのサイズに対応したサイズ検知スイッチを作動させ、これによってサイズに対応したコード信号をサイズ情報として装置本体2に対して出力する。
【0033】
このシート材送り装置54のほかに、マルチ手差し送り装置55が設けられている。このマルチ手差し送り装置55からは画像形成部30M等に対して、材質、大きさ等の性状の異なる種々のシート材Pを供給することができる。ここから供給されるシート材Pについての情報は、例えば、ユーザーが操作部(不図示)から入力したり、あるいは、シート材の種類については、後述のようにシート材種別検知によって自動的に検出したりする。ここで、シート材Pについての情報は、例えば材質、サイズ、厚さ等である。
【0034】
画像形成部30Mの少し上流側には、搬送されてきたシート材Pを一旦停止させ、また画像形成部30M等に同期させて搬送するレジストローラ56が配置されている。レジストローラ56は、上下一対の上ローラと下ローラとを備えており、これらのローラによりシート材Pを表裏両面から挟み込むようにして搬送する。
【0035】
レジストローラ56の下流側には、前述の各色の画像形成部30M、30C、30Y、30Kの各感光ドラムに下方から接触するようにして矢印K57方向に周回する転写ベルト57が配置されている。転写ベルト57はその表面にシート材Pを担持して、これを各画像形成部30M、30C、30Y、30Kに搬送するように構成されている。
【0036】
転写ベルトの下流側には、定着器40との間に、矢印K58方向に周回可能な定着前ベルト58が配設されている。また、定着器40のすぐ下流側には、定着後のシート材Pの腰付けのための加圧を、切り換え可能な複数の加圧力で行うことができる加圧機構部(湾曲加圧装置)59(後に詳述)が配設されている。
【0037】
加圧機構部59の下流側には、シート材Pの排出か再給紙かを選択する排出フラッパ60、排紙トレイ61が配設され、また、排出フラッパ60の下方には、反転搬送路62、反転フラッパ63が配設され、さらに下流側には、再給紙搬送路64、再給紙装置65が配設されている。
【0038】
上述構成の給搬送装置50は、次のように動作する。シート材送り装置54又はマルチ手差し送り装置55から給紙されたシート材Pは、レジストローラ56によって一時停止され、その後、前述の画像形成部30M、30C、30Y、30Kの感光ドラム上に形成された各色のトナー像に同期するようにして、レジストローラ56によって挟持搬送され、さらに転写ベルト57によって担持搬送される。
【0039】
このとき、レジストローラ56を有する紙厚検出部S5により、紙厚が検知される。転写ベルト57に担持されたシート材Pは、マゼンタの画像形成部30Mを通過する際に、転写帯電器34によって、表面にマゼンタのトナー像が転写される。シート材Pは、その後同様にして、シアン、イエロー、ブラックの各画像形成部30C、30Y、30Kを通過する際に、それぞれの色のトナー像が順次に転写される。4色のトナー像の転写が終了したシート材Pは、定着前ベルト58によって定着器40に運ばれ、ここで加熱、加圧を受けて表面のトナー像が定着される。トナー像定着後のシート材Pは、加圧機構部59によって腰付けが行われる。
【0040】
ここで、片面画像形成時には、排出フラッパ60が排出側にセットされ、シート材Pは排紙トレイ61上に排出される。一方、両面画像形成時には、排出フラッパ60が再給紙側にセットされ、これにより、シート材Pは、反転搬送路62に導かれ、その後端が反転フラッパ63を通過するまで下方に向けて搬送される。
【0041】
その後、反転フラッパ63を切り換え、シート材Pを上方に向けて搬送すると、シート材Pは、反転フラッパ63により再給紙搬送路64に導かれ、再給紙装置65に収納される。これにより、シート材Pは、表裏反転される。シート材Pは、ここから画像形成部30M等に再給紙され、表面に画像形成を行ったときと同様にして、裏面に画像形成が行われ、その後、排紙トレイ61上に排出される。以上で、画像形成装置全体についての構成及び動作の説明を終える。
【0042】
次に、図3に、上述の画像形成装置におけるブロック図を示す。このブロック図は、シート材Pに応じた最適な画像形成を行うためのブロック図である。システムコントローラ71は、画像形成装置の各種制御を行うものであり、内部のCPUによって統括的に制御を行う。同図中、72はリーダ部10の一部を構成する画像入力部、16は画像処理部、21は画像データに基づき半導体レーザーを変調駆動するレーザー駆動回路(画像制御部)、そして22はレーザー駆動回路21によって駆動される半導体レーザー(レーザー素子)である。
【0043】
また、31、33、34は、前述のマゼンタの画像形成部30Mを構成する部材であり、それぞれ31は半導体レーザー22の出力光により静電潜像が形成される感光ドラム、33は感光ドラム31上の潜像に応じた現像を行う現像器、そして34は感光ドラム31上のトナー像をシート材Pに転写する転写帯電器である。さらに、40はシート材P上のトナー像を加熱加圧して定着させる定着器、59は定着後のシート材Pに腰を付けるための加圧機構部である。そしてS6は、画像処理部16から出力される画像データに基づいて画像濃度分布を推定する推定回路である。
【0044】
続いて、図3のブロック図を参照して前述構成の画像形成装置において、最適な画像形成を行うための動作について説明する。原稿の画像情報は、画像入力部72を通して電気信号として入力され、画像処理部16において、A/D変換、シェーディング補正、LOG変換、UCR処理、γ補正など画像形成に必要な画像処理が加えられ、出力画像データとして出力される。
【0045】
この出力画像データに基づいて、レーザー駆動回路21が駆動され、半導体レーザー22を変調駆動する。その半導体レーザー22の出力光を帯電済の感光ドラム31上にスキャン露光することにより、感光ドラム31表面には、画像データに対応する電荷分布、すなわち静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器33によってトナーが付着されマゼンタのトナー像として現像される。
【0046】
このマゼンタのトナー像は、前述の給搬送部50によって搬送されてきたシート材P表面に転写される。このシート材Pは、トナー像転写前に、あらかじめサイズ検出部S3またはS4によってサイズが検出され、また、紙厚検出部S5によって厚さが検知されたものである。またトナー像の転写によって、現像器33内のトナーはシート材P上に転移することになるが、シート材Pではトナー像は、トナーの分布として認識される。
【0047】
推定回路S6は、このシート材P上のトナーの分布、すなわち画像濃度分布を、画像形成に用いたものと同じ画像データを基にして推定する。シート材P上には、さらに、下流側のシアン、イエロー、ブラックの各画像形成部30C、30Y、30Kによって、それぞれの色のトナー像が順次に転写される。これらの転写に際しても、上述の推定回路S6によって、同様に、それぞれの色の画像濃度分布の推定が行われる。
【0048】
シート材P上に転写された4色分のトナー像は、定着器40によって加熱、加圧されて定着される。このトナーを加熱定着するには、最適な定着温度があり、それは、サイズ検出部S3、S4が検出するシート材Pのサイズ、シート材種別検知S5が検出するシート材Pの種別をシステムコントローラ71で判定し、推定回路S6で推定された画像濃度分布等に基づいて定着条件を変更することで、実現している。
【0049】
例えば、定着器40の定着ローラ40aと加圧ローラ40bとによってシート材Pを挟持搬送しながら加熱するに際し、シート材の種類に応じて、定着ローラ40aの回転数制御を行ってシート材Pの搬送速度(定着速度)を変化させ、これにより、最適な定着条件を実現している。
【0050】
一例として、シート材Pの厚さが厚い場合には、定着速度を遅くし、反対にシート材Pの厚さが薄い場合には、定着速度を速くして、トナー像に対しこれを溶融するに十分な熱量が与えられるようにしている。
【0051】
また、感光ドラム31からシート材P上にトナー像を転写する際に転写帯電器34に印加する転写バイアスを、シート材Pのサイズ、厚さについての情報に基づいて、決定するようにしている。
【0052】
さらに、シート材Pのサイズ、厚さに応じて、加熱定着後のシート材Pの腰付けを行う加圧機構部59の加圧量を切り換えることにより、最適なカール取りの加圧制御が可能となる。
【0053】
すなわち、図3に示すブロック図においては、サイズ検出部S3、S4、シート材種別検知部S5、推定回路S6の出力に基づいて、転写帯電器34、定着器40、加圧機構部59等を適宜に制御し、最適な画像形成を行うようにしている。
【0054】
次に、サイズ検出部S3、S4については前述したので、ここでは、推定回路S6、シート材種別検知部S5、加圧機構部59について詳述する。
【0055】
図4に、推定回路S6の詳細な回路図を示す。ここで、現像剤(トナー)使用量は概略としては画像データの積算値に比例すると考えられることから、推定回路S6として一画像中を複数の領域に分け、その各領域での画像データ値の積算を行う回路を用いる。本実施の形態では、図5に示すように、画像を4×4の16領域に分割した、C00〜C33を算出する例で説明を行う。ここで、Cmnは各領域の画像濃度値である。
【0056】
図4中、Dataは画像データであり、本実施の形態では8ビットの信号とする。Vclkは画像データの同期信号であり、Vsyncは一画像区間開始を示す副走査同期信号である。Henableは主走査画像有効区間信号であり、Venableは副走査画像有効区間信号である。サイズ検出部S3、S4によって検出されたシート材Pのサイズに基づき、システムコントローラ71は画像形成を行う主走査の画素数N、副走査の画素数Mを導き出し、濃度分布の一領域に対応するM/4、N/4の算出を行う。
【0057】
81は主走査の領域を計数するカウンタ、82、85はORゲート、83は主走査の領域を指示する数値を示すアップカウンタ、84は副走査の領域を計数するカウンタ、86は副走査の領域を指示する数値を示すアップカウンタである。
【0058】
87はアップカウンタ83、86の領域を示す数値をエンコードするエンコーダ、88は画像データが入力されるフリップフロップ、89はイネーブル信号を生成するANDゲートである。
【0059】
90は画像データと選択された領域の画像データ積算値とを加算する加算器、91、93、95は各領域の画像データ加算値を記憶するフリップフロップである。
【0060】
92、94、96は各領域のイネーブルを生成するANDゲート、97、98、99は各領域の画像データ積算値を加算器に出力する出力イネーブル付きのバッファである。
【0061】
主走査の領域の計数を行う際には、まず、主走査の領域の画素数N/4を画像形成前にVsyncによりカウンタにロードし、Vclkを計数しダウンカウントする。そして、N/4まで計数した時点でN/4を再ロードするとともにアップカウンタ83にnクロックとなるキャリーを出力し、領域を示すアップカウンタ83の出力をインクリメントしていくことで、N/4画素ごとにアップカウンタ83の出力を増加させることで実現する。
【0062】
副走査の領域に関しても主走査の場合と同様に、HsyncをM/4個ずつカウントすることで、M/4ラインごとの領域信号を生成し、エンコーダ87に出力する。
【0063】
一方、画像データは、HenableとVenableとのANDゲート89によるイネーブル区間の間、フリップロップ88にVclk同期で記憶される。そのフリップロップ88の出力は加算器90の一方の入力に入力される。加算器90の他方の入力には、各領域を示すエンコード信号によって出力制御されたバッファ97、98、99からの所定の領域のデータ出力が入力される。
【0064】
この2つのデータを加算しその出力を、所定の領域に対応するようにイネーブル制御されたフリップロップに記憶することで、エンコーダ87が指示する領域に対応する画像データの積算値C00〜C33が各フリップロップに記憶され、システムコントローラ71に読み込まれた濃度分布が推定される。また、図6にビデオ系の各信号、すなわちVsync、Venable、Hsync、Henable、Data、Cの概略のタイミングを示す。
【0065】
算出された画像濃度データC00〜C33からの画像濃度分布の推定はシステムコントローラ71での演算によって行う。
【0066】
次に、本実施の形態におけるシート材種別検知部S5を図7に示す。71はシステムコントローラであり、シート搬送路上のシートセンサーS7でシートを検知し、このシート検知信号をトリガーにタイミング発生回路101で超音波発生タイミング信号を生成する。
【0067】
次に、生成されたタイミング信号に基づいて、バースト波回路102でパルス信号を生成する。このパルス信号に基づき、基板111に設けられたドライバー110は、発信器112に超音波を発生させる。この超音波はシート材Pを透過して減衰し受信器113で受信する。また、シート材Pで反射した超音波は受信器114で受信する。
【0068】
この受信器113、114は、各々基板115、116上に設けられた、プレアンプ、絶対値変換回路、積分回路、増幅回路、A/Dコンバータを介してシステムコントローラ71に信号が送られる。この際、上述の超音波の発信タイミングに整合したタイミングで信号データを、データラッチ回路103でラッチする。
【0069】
CPU104は、シート材Pを透過して減衰した超音波を受信する受信器113で受信した信号と、シート材Pで反射した超音波を受信する受信器114で受信した信号に応じてシート材を判別する。
【0070】
この判断の一例をあげると、厚紙普通紙の際には、受信器113で受信した信号はA/D変換値で0(H)、受信器114で受信した信号はA/D変換値で10(H)である。
【0071】
それに対し、上述の厚紙普通紙と同じ厚さであるが、シート材表面をコートしたコート紙の際には、受信器113で受信した信号はA/D変換値で30(H)、受信器114で受信した信号はA/D変換値で80(H)となる。
【0072】
以上の構成によれば、同じ厚さのシート材で異なるシート種別のものに対しても、高精度で判別可能となる。
【0073】
さらに、本実施形態に係るシート材検知装置は、例えば、レーザービームプリンタ、インクジェットプリンタ、複写機、複写機のアプリケーションである、ペーパーデッキ、フィニッシャー、スタッカー、ドキュメントフィーダー等のシート搬送装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】画像処理部の詳細を示すブロック図である。
【図3】シート材の種類によって画像形成条件を変更する様子を示す図である。
【図4】推定回路の詳細を示すブロック図である。
【図5】推定回路の算出領域を示す図である。
【図6】推定回路を駆動する各制御信号のタイミングチャートである。
【図7】シート材種別検知部の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
31 感光ドラム
34 転写帯電器
40 定着器
59 加圧機構部
71 システムコントローラ
104 CPU(判別手段、制御手段)
112 発信器(発信手段)
113 受信器(第1受信手段)
114 受信器(第2受信手段)
S3 サイズ検出部
S4 サイズ検出部
S5 シート材種別検知部
S6 推定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材に対して超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から発信され、シート材を通過した超音波を受信する第1受信手段と、
前記発信手段から発信され、シート材で反射した超音波を受信する第2受信手段と、
前記第1受信手段の受信結果と前記第2受信手段の受信結果から、シート材の種類を判別する判別手段と、
を有することを特徴とするシート材検知装置。
【請求項2】
シート材に画像を形成する画像形成手段と、
シート材に対して超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から発信され、シート材を通過した超音波を受信する第1受信手段と、
前記発信手段から発信され、シート材で反射した超音波を受信する第2受信手段と、
前記第1受信手段の受信結果と前記第2受信手段の受信結果から、シート材の種類を判別する判別手段と、
前記判別手段で判別したシート材の種類に応じて、前記画像形成手段の画像形成条件を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、シート材に画像を転写する転写手段を有し、
前記制御手段は、前記判別手段で判別したシート材の種類に応じて、前記転写手段の転写バイアスを変更することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、シート材に画像を転写する転写手段と、該転写手段により転写された画像を定着する定着手段とを有し、
前記制御手段は、前記判別手段で判別したシート材の種類に応じて、前記定着手段の定着速度を変更することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、シート材を加圧して腰付けを行う加圧手段を有し、
前記制御手段は、前記判別手段で判別したシート材の種類に応じて、前記加圧手段の加圧量を変更することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1受信手段は、シート材に対して前記発信手段と反対側に設けられ、
前記第2受信手段は、シート材に対して前記発信手段を同じ側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
シート材のサイズを検知するサイズ検知手段と、
シート材上の画像濃度分布を推定する推定手段を有し、
前記制御手段は、前記サイズ検知手段で検知したシート材のサイズ、前記判別手段で判別したシート材の種類、及び前記推定手段で推定した画像濃度分布に応じて、前記画像形成手段の画像形成条件を変更することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−293144(P2006−293144A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115656(P2005−115656)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】