説明

シート状物の熱処理装置

【課題】随伴気流の影響が少ないシート状物熱処理装置を提供する。
【解決手段】連続して送り込まれるシート状物7を、複数の熱処理室で熱処理をする熱処理装置1において、熱処理装置は空気の温度を制御する温度制御装置を有し、熱処理室は温度制御装置で温度制御された空気をシート状物の上下方向から噴き付ける、シート状物の幅方向に延在した噴き付けノズル2を複数有し、かつ複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置が、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置よりもシート状物送り込み方向上流側寄りに配設されていることを特徴とする、シート状物熱処理装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物の熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状物の熱処理装置としては、連続して送り込まれるシート状物を複数の熱処理室で熱処理するものが知られている。シート状物が熱可塑性樹脂フィルムである場合、熱処理装置はテンターオーブンと呼ばれ、テンターオーブンは連続して水平に送り込まれるフィルムの上下から温度制御された空気を噴き付けて、フィルムを各熱処理室で所望の温度に加熱または冷却することで、フィルムに対して予熱、延伸、熱処理、冷却などの処理を施すように構成されている。よってテンターオーブンは、予熱、延伸、熱処理、冷却などの処理を施すために、複数の熱処理室を有している。フィルムを予熱するための予熱室では、送り込まれる常温のフィルムに対して、予熱温度に制御された空気をフィルムの上下から噴き付けて加熱する。このときフィルムの送り込み方向上流から、フィルムとともに常温の空気まで予熱室に入り込んでしまうことがある。予熱室に常温の空気が入り込んだ場合、予熱室が設定した温度に達しないといった問題や、予熱室に不均一に常温の空気が入り込んでしまうために、予熱室内に温度斑が生じる問題があった。また、この常温の空気の入り込み量は、フィルムの送り込み速度が速くなるとともに増加するという問題もある。フィルムの送り込み方向において、予熱室の下流に位置する延伸室では、予熱室から送られるフィルムとともに、予熱室の温度に制御された空気が入りこんでしまう問題があった。また、延伸室に不均一に常温の空気が入り込んでしまうために、延伸室内に温度斑が生じる問題もあった。さらに熱固定室では、延伸室でフィルムが幅方向に延伸されたために幅方向長さが長くなり、フィルムの中央部付近と端部付近において、熱固定室内の温度斑が大きくなる問題があった。
【0003】
これらの問題の対策として特許文献1では、フィルムに噴き付けた空気を、室(例えば予熱室)の、フィルム送り込み方向の直角方向となる幅方向の両側に回流するようにしたものが提案されている。この方法では、例えば予熱室の幅方向両端にフィルムに噴き付けた空気がよどみなく回流するように、予熱室の幅方向両側に多孔整流板が設けてある。
【0004】
また別の対策法として特許文献2では、フィルムの送り込み方向に並ぶ、噴き付けノズルと噴き付けノズルの間に回流させる方法が提案されている。噴き付けノズルと噴き付けノズルの間に、フィルムに噴き付けられた空気を回収するための吸引孔を設けている。
【特許文献1】特許公開2002−361730号公報(第1−5ページ、第1−5図)
【特許文献2】特許公開2003−25420号公報(第1−7ページ、第1−7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術には以下のような問題点がある。
【0006】
すなわち、フィルムに噴き付けられた空気が室(例えば予熱室)の幅方向の両端に回流する構造である場合は、端部に近いところの空気は幅方向両端部に回流するが、中央部の空気は幅方向両端部に回流できず、フィルムの送り込み方向に流れてしまう問題である。この傾向はフィルムの幅方向長さが長くなるほど強くなり、フィルムの送り込み速度が大きくなるほど強くなる。これによりフィルム幅方向の温度斑が大きくなるので、幅が広く送り込み速度が大きいことにより生産効率をあげている熱処理装置ほど、温度斑が大きくなり、品質が悪くなるという大きな問題となる。
【0007】
また、フィルムの送り込み方向に並ぶ、噴き付けノズルと噴き付けノズルの間に、フィルムに噴き付けられた空気を回収するための吸引孔を設けている装置の場合は、噴き付けノズルからフィルムに吹き付けられるように出た空気の流が途中で曲がり、フィルムに届く前に吸引孔に回流してしまう問題がある。このため温度制御された空気がフィルムに届かないので、フィルムが所定の温度に達せず加熱不足になる。この加熱不足の問題解決のために、噴き出し風速を大きくしても、噴き出し風速が大きくなったことに関連して吸引孔から吸引される速度も大きくなり、解決には至らない。この場合、大きな速度で出た空気が曲がることとなり、加熱が不安定になるという問題となった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のシート状物熱処理装置は下記の構成からなる。
(1)連続して送り込まれるシート状物を、複数の熱処理室で熱処理をする熱処理装置において、熱処理装置は空気の温度を制御する温度制御装置を有し、熱処理室は温度制御装置で温度制御された空気をシート状物の上下方向から噴き付ける、シート状物の幅方向に延在した噴き付けノズルを複数有し、かつ複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置が、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置よりもシート状物送り込み方向上流側寄りに配設されていることを特徴とする、シート状物熱処理装置。
(2)複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置と、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置との、互いの中心位置のずれ距離Lが、下記式を満たすことを特徴とする、(1)に記載のシート状物熱処理装置。
【0009】
【数1】

【0010】
L:中心ずれ距離(単位:m)
P:ノズルの噴き出し位置とノズルの噴き出し位置の間隔(ノズルピッチ)(単位:m)
S:シート送り込み速度(単位:m/s)
B:噴き付け風速(単位:m/s)
T:ノズル先端からシート状物までの距離(単位:m)
(3)噴き付けノズルからシート状物に噴き付けられた空気をブロアーに戻すための戻り流路配管が、シート状物に対し上側吸入口と下側吸入口とを有していることを特徴とする、(1)または(2)に記載のシート状物熱処理装置。
(4)噴き付けノズルからシート状物下側に噴き付けられた空気をブロアーに戻すための下側戻り流路配管の縦配管は、熱処理室のシート状物送り込み方向下流側に配設されていることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
(5)空気をブロアーに戻すための戻り流路配管において、上側戻り流路配管と下側戻り流路配管の合流部に、シート状物上側の戻り流量とシート状物下側の戻り流量とのバランスを調整する戻り流量調整手段を有することを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
(6)温度制御装置で温度制御された空気を噴き付けノズルに供給する供給配管には、上側噴き付けノズルと下側噴き付けノズルとの流量バランスを調整する噴き出し流量調整手段を有することを特徴とする、(1)から(5)のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
(7)シート状物がプラスチックフィルムであることを特徴とする、(1)から(6)のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
(8)熱処理装置は、フィルムの幅方向両端を端部把持装置で把持して、室を通過しながらフィルムを所定温度にして、端部把持装置の幅方向の間隔を拡幅させることによりフィルムを幅方向に延伸する延伸装置、または端部把持装置の間隔を拡幅させることによりフィルムを幅方向に延伸しながら端部把持装置の送り込み方向の間隔を広げて縦方向の延伸もする同時2軸延伸装置であることを特徴とする、(7)に記載のシート状物熱処理装置。
【発明の効果】
【0011】
送り込み中のシート状物に、温度制御された空気を噴き付けるシート状物熱処理装置において、空気がシート状物送り込み方向に流れることを防止することによって、熱処理室の温度を均一化して、シート状物の品質と生産性を向上させる効果がある。特にシート状物の幅が広い場合、シート状物の中央部の空気がシート状物送り込み方向に流れやすいために大きな効果を発揮する。またシート状物送り込み速度が大きいと、随伴流によって空気がシート状物送り込み方向に流れ易くなるために、さらに大きな効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の最良の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の1実施形態にかかるシート状熱処理装置のシート状物送り込み方向断面概略構成図である。図2は、本発明の1実施形態にかかるシート状物熱処理装置のシート状物幅方向断面概略構成図である。また図3〜6はシート状物7の下側に設置された噴き付けノズル2の概略斜視図である。
【0013】
シート状物7は、シート状物熱処理装置1の開口部11より、送り込み速度S(単位:m/s)で連続して送り込まれる。送り込み速度Sは、1〜10m/sの範囲が好ましく用いられる。
【0014】
シート状物熱処理装置1内には、シート状物7を所定の温度にする目的で、噴き付けノズル2がシート状物7の上下に設置される。この噴き付けノズル2から、温度制御装置によって温度制御された吹き付け風速B(単位:m/s)の温調空気200が、シート状物7に噴き付けられる。この噴き付け風速Bは、10〜50m/sの範囲が好ましく用いられる。
【0015】
また噴き付けノズル2の位置は、噴き付けノズル2の先端とシート状物7との距離がT(単位:m)となるように設置される。ここで、噴き付けノズル2の先端とシート状物7との距離Tは、噴き付けノズル2の先端とシート状物7との最短距離である。また、各噴き付けノズル2毎に、噴き付けノズル2の先端とシート状物7までの最短距離が異なる場合は、全ての噴き付けノズル2の先端とシート状物7の最短距離との平均で定義される。噴き付けノズル2の先端とシート状物7の距離Tの好ましい範囲は、0.1〜0.5mである。さらに全ての噴き付けノズルの先端とシート状物との最短距離が等しい場合が最も好ましい。
【0016】
噴き付けノズル2の噴き付け口の形状は、シート状物7の幅方向に伸びるスリット状であってもよいし、多孔形状などであってもよい。
【0017】
噴き付けノズル2は、温度制御装置で温度制御された空気をシート状物の上下方向から吹き付ける機能を有す。またシート状物の幅方向に延在した噴き付けノズルとすることで、シート状物を幅方向に均一に加熱することができる。
【0018】
温度制御装置で温度制御された温調空気200は、シート状物7にぶつかった後、吸引口3から回収される。吸引口3から回収された温調空気200は、戻り流路配管31を通ってブロアー4に戻り、テンターオーブン1の上部に設置された熱交換機5、フィルター6を通って、再び噴き付けノズル2からシート状物7に供給される。ブロアー4、熱交換機5、フィルター6の位置は、シート状物熱処理装置1の上部への設置に限定されることはなく、シート状物熱処理装置1の下部や横部などに設置しても良いが、シート状物熱処理装置1の上部に設置する場合が一般的である。
【0019】
ここでシート状物に吹き付けられた空気をブロアーに脅すための戻り流路配管は、シート状物に対して上側吸入口のみを有していても、下側吸入口のみを有していてもよいが、シート状物に対して上側吸入口と下側吸入口の両方を有している場合が好ましい。これにより上下方向から吹き付けられた温調空気を効率的に回収することができる。
【0020】
また下側戻り流路配管の縦配管は、各熱処理室のシート状物送り込み方向の下流側に配設されていることが好ましい。下側戻り流路配管の縦配管をシート状物送り込み方向の下流側に配置することで、各熱処理室において、複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置が、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置よりも、シート状物上流側寄りに配設されたシート状物熱処理装置を作成しやすくなるためである。
【0021】
また回収された温調空気200が通る、吸引口3から噴き付けノズル2までの区間における、ブロアー4、熱交換機5、フィルター6の設置順序は限定されるものではない。つまり吸引口3から噴き付けノズル2までの区間において、吸引口3の側からフィルター6、ブロアー4、熱交換機5、等の設置順序であってもよいが、吸引口3の側からブロアー4、熱交換機5、フィルター6の設置順序が一般的に好ましく用いられる。
【0022】
シート状物熱処理装置1の一つの室12には、噴き付けノズル2が複数本ならんでいる。複数の噴き付けノズル2には、トランクダクト21によって温調空気200が供給される。噴き付けノズル2の噴き付け位置と、隣接して位置する噴き付けノズル2の噴き付け位置は、噴き付けノズルの中心部分どうしの間隔がP(単位:m)でならんでいる。ここで間隔Pは、0.1〜1mの範囲が好ましく用いられる。
【0023】
図1のように一つの室内の片側(シート状物7上側もしくは下側)に、複数本の噴き付けノズル2がある場合、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ複数の噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向の中心位置が、噴き付け位置中心25となる。つまり、複数本の噴き付けノズル2がある場合に、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向の両端(複数の噴き付けノズル2のうち最上流側噴き付けノズル2と最下流側噴き付けノズル2)の中心位置が、噴き付け位置中心25となる。
【0024】
またシート状物熱処理装置1中の一つの室内12において、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつその熱処理室内のシート状物送り込み方向の中心位置が、室中心13となる。つまりシート状物熱処理装置1中の一つの室内12において、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつその熱処理室内のシート状物送り込み方向の両端の中心位置が、室中心13である。
【0025】
本発明のシート状物熱処理装置は、複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置が、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置よりもシート状物送り込み方向上流側寄りに配設されていることが必要である。これはすなわち、上述した噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物7の送り込み方向上流側にずれるように配置されているということである。以下、噴き付け位置中心25と室中心13のずれ距離を中心ずれ距離Lとする。
【0026】
噴き付け位置中心25が室中心13よりも、シート状物7の送り込み方向上流側にずれるように配置されている場合、随伴気流の影響でフィルム7の送り込み方向下流に向かって流れる温調空気200が、送り込み方向下流側に隣接する室12に入り込むことを防ぐことができる。ここで本発明のシート状物熱処理装置では、噴き付け位置中心25が室中心13よりも、シート状物7の送り込み方向上流側にずれて配置されていればよく、中心ずれ距離Lの数値は特に限定されない。
【0027】
本発明のシート状物熱処理装置は、熱処理装置中の全ての熱処理室において、噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物7の送り込み方向上流側にずれるように配置されていることが好ましい。
【0028】
より好ましくは、噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物7の送り込み方向上流側にずれるように配置されており、その中心ずれ距離L(単位:m)が式(1)の範囲内の場合である。
【0029】
【数2】

【0030】
噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物7の送り込み方向上流側にずれており、その中心ずれ距離Lが式(1)の範囲内の場合、噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、中心ずれ距離Lだけシート状物7送り込み方向上流側にずれて配置されることで、随伴気流の影響でフィルム7の送り込み方向下流に向かって流れる温調空気200が、送り込み方向下流側に隣接する室12に入り込むことをより効率的に防ぐことができる。さらに中心ずれ距離Lが大きくなると一つの室12の大きさが大きくなり設備費が高額になる、シート状物がばたつき易くなるなどの弊害が出てくるが、中心ずれ距離Lを式(1)の範囲内とすることでこのような問題も抑制できるために、中心ずれ距離Lは式(1)の範囲内とすることがより好ましい。なおこの数式は実験結果により求めたものである。
【0031】
【数3】

【0032】
ここで式(1)は、式(2)において定数a=1から10の場合である。式(2)中の定数aは、中心ずれ距離Lについて、好ましい範囲があることを実験により見いだしたものである。定数aの範囲としては1より大きく10未満の範囲で任意に選択できる。そして定数aと他の数値の積により、中心ずれ距離Lの好ましい範囲の計算値が算出される。また中心ずれ距離Lは、最も好ましくは、式(2)において定数aが5より大きく、10未満の場合である。
【0033】
ここで中心ずれ距離Lは、噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物の送り込み方向上流側の場合に、正の値を有し、噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物の送り込み方向下流側の場合に、負の値を有するように定義される。
【0034】
Lが式(1)の範囲内にあることで、シート状物熱処理装置内に温度斑が生じにくく、シート状物に対して均一に加熱でき、またシート状物のばたつき等を防止できるので好ましい。
【0035】
ノズルピッチPは、隣の噴き付けノズルから出た温調空気200がどのように回収されるかによって、中心ずれ距離Lを検討する場合に大きく影響する。ノズルピッチPは、中心ずれ距離Lを求める場合に重要な数値であり、ノズルピッチが大きくなればなるほど、中心ずれ距離Lを大きくするのが好ましい。
【0036】
ここでノズルピッチPは、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ一つの噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向の中央から、隣の噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向の中央までの距離である。また噴き付けノズル2が等間隔で配置されていない場合は、上述の方法で互いに隣接する各ノズルピッチの距離を求めてその平均値を、本願のノズルピッチPとした。
【0037】
送り込み速度Sと噴き付けノズル2の先端からシート状物7までの距離Tと噴き付け風速Bとの関係については、送り込み速度Sが早くなればなるほど随伴気流が大きくなるので、中心ずれ距離Lは大きく取る必要があり、また、噴き付けノズル2の先端からシート状物7までの距離Tが大きくなると温調空気200がこの間で曲がりやすくなるので、中心ずれ距離Lは大きく取る必要がある。しかし噴き付け風速Bが大きくなると随伴気流を阻止するので中心ずれ距離Lは小さくてよい。これらの関係を実験結果に照らし合わせたところ、中心ずれ距離Lを式(1)の範囲内とする事が最良であることを確認した。
【0038】
シート状物7に噴き付けられた温調空気200は、シート状物7との間で熱交換したあとで、吸引口3により回収される。吸引口3には、金網または多孔板などによって、ゴミ吸い込み防止の対策をしていることが好ましい。吸引口3は、シート状物7の上側と下側にそれぞれ設置する。
【0039】
シート状物7の上側と、シート状物7の下側との回収割合は、戻り流路配管31に設置された戻り流量調整手段32によって調整する。シート状物7上側に設置した吸引口3の回収割合を、シート状物7下側に設置した吸引口3の回収割合より多くしたり、逆に少なくしたりを、任意に調整できるが、シート状物7上側と下側への供給の割合と合わせるのが好ましい。供給がシート状物7の上下で同じ割合の場合、回収もシート状物7の上下で同じ割合にするのが最も好ましい。
【0040】
シート状物7下側の吸引口3からの戻り流路配管31は、シート状物熱処理装置1の内部を通って戻り流量調整手段32に接続されるのが一般的である。このとき戻り流路配管31は、噴き付けノズル2のシート状物7送り込み方向下流側を通ることが好ましい。
【0041】
吸引口から回収された温調空気200は、図2のブロアー4によって熱交換機5に送りだされる。熱交換機5は、温調空気200を加熱する場合や冷却する場合の両方に用いられ、加熱機能か冷却機能のどちらか一方に固定されるものではない。温調空気200を加熱する場合は、蒸気や電気ヒータにより加熱するのが一般的である。冷却する場合は、冷凍機で冷却するのが一般的である。また、ブロアー4と熱交換機5の間では、外気を取り込む場合もある。
【0042】
本発明のシート状物熱処理装置は、空気の温度を制御する温度制御装置を有するが、熱交換器5が温度制御装置として機能する。
【0043】
熱交換機5で温度調節された温調空気200は、フィルター6を通ることで不純物が除去される。フィルター6は濾材による濾過が考えられが、不純物の除去方法は限定されるものではない。
【0044】
フィルター6を通過した温調空気200は、供給配管である供給ダクト22によって、シート状物7の上側の噴き付けノズル2と下側の噴き付けノズル2に振り分けられて供給される。シート状物7の上側に供給される温調空気200と下側に供給される温調節空気の割合は、噴き出し流量調整手段23によって調整される。シート状物7の上側に供給する温調空気200の割合を、下側に供給する温調空気200の割合より多くしたり、逆に少なくしたりを任意に調整できるが、同じ割合に調整することが好ましい。噴き出し流量調整手段23によって、シート状物7の上側と下側に振り分けられた温調空気200は、噴き付けノズル2により再びシート状物7に噴き付けられる。
【0045】
図3を用いてさらに説明する。図3は、シート状物熱処理装置1の一つの室12内についての、シート状物7とシート状物7の下側の噴き付けノズル2を抜き出した斜視図である。
【0046】
各噴き付けノズル2の、シート状物7送り込み方向の中央に、シート状物7の幅方向に伸びるスリット状の噴き付け口29が設けてある。図3では、噴き付けノズル2として同じものが3本平行に並んでおり、噴き付け間隔26は図3記載の通りとなる。つまり噴き付け間隔26は、シート状物7送り込み方向の両端(最上流側噴き付けノズル2と最下流側噴き付けノズル2)に位置する噴き付け口29の間隔である。そして図3の場合、噴き付け位置中心25は、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ中央に位置する噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向の中央と一致する。ここで噴き付け位置中心25は、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ噴き付け間隔26の中央で定義される。図3では、同じ噴き付けノズル2が平行に等間隔で奇数個配置されているため、噴き付け位置中心25は、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ中央に位置する1つの噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中央と一致することとなった。
【0047】
図4を用いてさらに説明する。図4は、シート状物熱処理装置1の一つの室12内についての、シート状物7とシート状物7の下側の噴き付けノズル2を抜き出した斜視図である。
【0048】
各噴き付けノズル2の、シート状物送り込み方向中央に、シート状物7の幅方向に伸びるスリット状の噴き付け口29が開けてある。この噴き付けノズル2は4本並んでおり、その中の1本は、斜めに噴き付ける傾斜ノズル201である。傾斜ノズル201のような、異なる噴き付けノズルが混ざっている場合であっても、噴き付け間隔27は、シート状物送り方向の両端(最上流側噴き付けノズルと最下流側噴き付けノズル)に位置する噴き付け口29の間隔である。さらに噴き付け位置中心25は、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ噴き付け間隔27の中央となる。
【0049】
図5を用いてさらに説明する。シート状物熱処理装置1の一つの室12のシート状物7とシート状物7下側の噴き付けノズル2の斜視図である。
【0050】
噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向上流寄りに、シート状物7の幅方向に伸びるスリット状の噴き付け口29が設けてある。図5のように、噴き付け口29の位置が、噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向上流よりに設けてある場合であっても、噴き付け間隔28は、シート状物送り込み方向の両端(最上流側噴き付けノズルと最下流側噴き付けノズル)に位置する噴き付け口29の間隔である。さらに図5における噴き付け位置中心25は、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ噴き付け間隔28の中央となる。
【0051】
図6を用いてさらに説明する。シート状物熱処理装置1の一つの室12のシート状物7とシート状物7下側の噴き付けノズル2の斜視図である。
【0052】
噴き付けノズル2には丸孔上の噴き付け口29Aが設けてある。噴き付け口29Aが丸孔であっても、幅方向に伸びるスリット状の噴き付け口29と同じように噴き付け間隔26は図6記載の通りとなる。つまり噴き付け間隔26は、シート状物送り込み方向の両端(最上流側噴き付けノズルと最下流側噴き付けノズル)に位置する噴き付け口29の間隔である。そして図6の場合、噴き付け位置中心25は、シート状物7の幅方向の中心線上であり、かつ中央に位置する噴き付けノズル2のシート状物送り込み方向の中央と一致する。
【0053】
図7を用いてさらに説明する。シート状物7の横延伸が可能な、シート状物熱処理装置1のシート状物送り込み方向断面概略図を示す。図7のシート状物熱処理装置1は、シート状物7の送り込み方向上流側から、シート状物7を所定の温度に加熱する予熱1室14Aと予熱2室14B、加熱されたシート状物7を幅方向横に延伸する延伸1室15Aと延伸2室15B、延伸したシート状物7を形状を固定して冷却する熱固定1室16A、熱固定2室16B、熱固定3室16C、熱固定4室16D、と続いて配置されている。それぞれの室には噴き付けノズル2が、シート状物7の上下に5本ずつ(上下の合計10本)設置している。予熱2室14Bと延伸2室15Bと熱固定2室16Bには赤外線温度計100が設置している。
【0054】
シート状物7としてプラスチックフィルムを用いた場合、シート状物熱処理装置1は延伸装置としても働く。この場合、フィルム幅方向の端部を端部把持装置で把持しながら、予熱室を通してフィルムを所定温度に加熱する。続いて延伸室で幅方向に延伸する。延伸室では、端部把持装置の幅方向の間隔を拡幅させることによりフィルムを幅方向にのみ延伸したり、端部把持装置の間隔を拡幅させることでフィルムを幅方向に延伸しながら端部把持装置の送り込み方向の間隔も広げて縦方向の延伸を行う。その後熱固定室でフィルムが熱固定される。
【0055】
予熱室や延伸室、熱固定室で温度斑が大きかったり、十分な加熱ができない場合、延伸中や熱固定中にフィルムに破れが生じることがあるため、シート状物熱処理装置1の各室は温度斑が小さく、また設定通りに加熱できることが好ましい。
【0056】
なお本願発明のシート状物熱処理装置1では、室数や一つの室の中に配置される噴き付けノズル2の数は、図7に示した室数や噴き付けノズル2の数に限定される訳ではなく、それぞれの用途に合わせて選択される。例えばシート状物熱処理装置1は、予熱室としては2から6室有することが好ましく、延伸室としては2から8室有することが好ましく、熱固定室としては2から8室有することが好ましい。さらに一つの室に設置される噴き付けノズル2の数は、シート状物7の上側と下側の合計数として6から40本有するものが好ましく用いられる。また、噴き付けノズル2の上下の数は適宜選択できるが、上側と下側が同数であることが好ましく、特に上側の噴き付けノズル2と下側の噴き付けノズル2の位置が、シート状物7を対称に平行に向かいあっていることが好ましい。
【0057】
図8に、シート状物7の概略幅を示す。延伸前シート状物幅71は、シート状物7の延伸前の幅を示す。例えば予熱1室や予熱2室中のシート状物幅が、延伸前シート状物幅71に相当する。予熱後、延伸1室や延伸2室において延伸され、最終的なシート状物7の幅は、延伸後シート状物幅72となる。
【0058】
工程管理のためには、送り込み中のフィルム7の温度を測定するために、シート状物熱処理装置1の内部に赤外線放射温度計100を設置するのが一般的である。シート状物7の幅方向の温度斑を測定するために、幅方向の複数点を測定することが好ましい。幅方向の温度斑を測定するには、幅方向の測定点数だけ赤外線放射温度計100を設置する方法や、1台の赤外線温度計を幅方向に移動させる方法が用いられる。幅方向に移動させる方法の方が、1台で測定できるために経済的であるが、同時に幅方向測定ができないという欠点がある。赤外線温度計100の耐環境温度は、50℃ぐらいのものが広く用いられており、そのような赤外線温度計をそのままシート状物熱処理装置1の中にいれると、赤外線温度計100が壊れてしまうことがある。このため、赤外線温度計100を水冷のジャケットの中に入れて冷却する方法が好ましい。
【0059】
また赤外線温度計100は、シート状物7の上側に設置する方法や、下側に設置する方法のどちらも用いられるが、好ましくはシート状物7の下側に設置する方法である。
【0060】
本発明のシート状物はプラスチックフィルムや金属・布・紙等が考えられる。プラスチックフィルムは特に限定されないが、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルムなどのポリアミドフィルムなどに好ましく用いることができる。ポリエステルフィルムの場合、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリプロピレンナフタレートなどのフィルムが挙げられ、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。また、これらと他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたポリエステルであってもよいが、この場合は、結晶配向が完了したフィルムにおいて、その結晶化度が好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは35%以上のフィルムを用いることが好ましい。結晶化度が25%未満の場合には、寸法安定性や機械的強度が不十分となりやすい。結晶化度は、密度勾配法(JIS−K7112(1980))やラマンスペクトル分析法により得ることができる。上述したポリエステルを使用する場合には、その極限粘度(JIS K7367に従い、25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gである。
【実施例】
【0061】
次に本発明の効果を実施例により説明する。実施例では、シート状物7としてポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルムを用いて、シート状物熱処理装置1によるシート状物の製膜性を検討した。シート状物熱処理装置1としては、幅方向の延伸が可能な延伸装置を用いた。
【0062】
実施例1−1〜1−4、比較例1−1では、シート状物熱処理装置1の予熱工程の条件を種々変更した場合のPETフィルムの製膜性を検討した。
【0063】
実施例2−1〜2−4、比較例2−1では、シート状物熱処理装置1の延伸工程の条件を種々変更した場合のPETフィルムの製膜性を検討した。
【0064】
実施例3−1〜3−4、比較例3−1では、シート状物熱処理装置1の予熱工程の条件を種々変更した場合のPETフィルムの製膜性を検討した。
(1)評価方法
本発明のシート状物熱処理装置1を用いて得られたフィルムについて、以下の基準に従って評価した。
【0065】
○:破れや欠点なくフィルムを得た。
【0066】
△:破れなくフィルムを得たが、工程中でフィルムが不安定であったり、フィルムに欠点が生じた。
【0067】
×:フィルムに破れが生じた。
実施例1−1
実施例1−1では、シート状物7としてPETフィルムを用いて、幅方向の延伸が可能なシート状物熱処理装置1、つまりテンターオーブンによって処理をした。PET(限界粘度0.65dl/g)チップを、180℃で3時間十分に真空乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融後、T字型口金からシート状に押し出し静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャストドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸シートとした。この時ドラムでの冷却時間(ドラム接触時間)を2.5秒とした。このようにして得られた未延伸シートを75℃に加熱されたロール群で予熱後、95℃でシート状物送り込み方向に3.2倍延伸したのち、テンターオーブンで幅方向の延伸を行い巻き取り装置で巻き取った。以下にテンターオーブンの条件を記す。
【0068】
実施例1のテンターオーブンとしては、シート状物送り込み方向断面図として図7に示す、総室数が8室(予熱室が2室、延伸室が2室、熱固定室が4室)、噴き付けノズル2の数が各室の上下に各5本であるものを作成した。このテンターオーブンのシート状物幅方向断面は図2の構成である。つまり、下側の噴き付けノズル2とシート状物7の概略図は、図3に記載の噴き付けノズル2と同形状の噴き付けノズル2が、片側合計で5本(上側下側合計で10本)、上下の噴き付けノズル2がシート状物7を対称に向かい合って設置されている(つまり図3の噴き付けノズル2の両端側に、さらに同形状の噴き付けノズル2が2本追加されたものが、下側の噴き付けノズル2の概略図である)。
【0069】
またシート状物7の温度を測定するため、予熱2室15の送り込み方向下流側でシート状物7の下側に、キーエンス社製赤外線放射温度計(型式:IT−20、測定範囲:0〜500、測定距離−測定範囲:800mm−Φ120、測定素子:サーモパイル、測定波長:6〜12μm、使用周囲温度:0〜+50℃)を水冷ジャケットで水冷できるようにして幅方向に3台設置した。
【0070】
赤外線放射温度計の設置場所としては図7と図8に示すとおり、予熱2室14Bのシート状物7の最下流側の噴き付けノズルの位置から0.3m下流側の位置であり、かつシート状物の幅方向中央に1台設置した。さらにシート状物送り方向の下流側から上流側を見たときに幅方向左手にある側を左、右手にある側を右としたときに、シート状物7の最下流側の噴き付けノズルの位置から0.3m下流側の位置であり、かつ噴き付けノズル2の左端部から0.1m内側の位置に1台、右端部から0.1m内側の位置に1台設置した。つまり合計3台設置した。また、赤外線放射温度計のシート状物7からの垂直距離は、0.5m下の位置である。
【0071】
延伸2室15B中の赤外線放射温度計の設置場所は図7と図8に示すとおりである。つまり、延伸2室15Bの最下流側の噴き付けノズルの位置から0.3m下流側の位置であり、かつシート状物下流側の幅方向中央に1台設置した。さらに、シート状物7の最下流側の噴き付けノズルの位置から0.3m下流側の位置であり、噴き付けノズルの左端部から0.1m内側の位置に1台、噴き付けノズルの左端部から0.8m内側の位置に1台、右端部から0.1m内側の位置に1台、右端部から0.8m内側の位置に1台設置した。つまり合計5台設置した。また、赤外線放射温度計のシート状物7からの垂直距離は、0.5m下の位置である。
【0072】
熱固定2室16B中の赤外線放射温度計の設置場所は図7と図8に示すとおりである。つまり、熱固定2室16Bの最下流側の噴き付けノズルの位置から0.3m下流側の位置であり、かつシート状物下流側の幅方向中央に1台設置した。さらに、シート状物7の最下流側の噴き付けノズルの位置から0.3m下流側の位置であり、噴き付けノズルの左端部から0.1m内側の位置に1台、噴き付けノズルの左端部から0.8m内側の位置に1台、右端部から0.1m内側の位置に1台、右端部から0.8m内側の位置に1台の合計5台設置した。
【0073】
予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは0.25mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.20mとした。設定温度は、予熱1室14Aを110℃、予熱2室14Bを100℃とした。
【0074】
また、延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.16mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.15mとした。設定温度は、延伸1室15Aを90℃、延伸2室15Bを90℃とした。ここで延伸室では幅方向の延伸のみが可能な装置を用いた。
【0075】
また、熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定3室16Cと熱固定4室16Dとについて、中心ずれ距離Lは0.30mとし、ノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.30mとした。設定温度は、熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0076】
また延伸前シート状物幅71は0.93mとし、厚みは40μmとし、延伸後フィルム幅72は3.02mとし、最終厚みは12.3μmとなった。
シート状物7の温度斑は、予熱2室14Bに設置した赤外線温度計100より、中央位置と右端若しくは左端位置のうち温度差の大きい方の赤外線温度計による温度差が2℃であり、良好に製膜できた(予熱2室の幅方向温度斑2℃)。
実施例1−2
以下に記載の点を除いては、実施例1−1と同様にして試験を実施した。
予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは0.06mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端からフィルム7間での距離Tを0.20mとした。設定温度について、予熱1室14Aは110℃、予熱2室14Bは100℃とした。
【0077】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における延伸室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例1−1と同じにした。
【0078】
シート状物7の温度斑は、予熱2室14Bに設置した赤外線温度計100より、中央位置と右端若しくは左端位置のうち温度差の大きい方の赤外線温度計による温度差が3℃であり、良好に製膜できた(予熱2室の幅方向温度斑3℃)。
実施例1−3
以下に記載の点を除いては、実施例1−1と同様にして試験を実施した。
予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは0.45mとし、ノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7間での距離Tを0.20mとした。設定温度について、予熱1室14Aは110℃、予熱2室14Bは100℃とした。
【0079】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における延伸室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例1−1と同じにした。
【0080】
シート状物温度が若干低めではあるもののシート状物7の温度斑は予熱2室14Bに設置した赤外線温度計100より、中央位置と右端若しくは左端位置のうち温度差の大きい方の赤外線温度計による温度差が1℃程度であり、良好に予熱できた(予熱2室の幅方向温度斑1℃)。
比較例1
以下に記載の点を除いては、実施例1−1と同様にして試験を実施した。
【0081】
予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは−0.04m(つまり噴き付け位置中心25が、室中心13よりも、シート状物の送り込み方向下流側に位置する)、とし、ノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7間での距離Tを0.20mとした。設定温度について、予熱1室14Aは110℃、予熱2室14Bは100℃とした。
【0082】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における延伸室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例1−1と同じにした。
【0083】
シート状物7の随伴流が防止できなかったために開口部11より大量の室温空気が入り込み、シート状物の温度斑は予熱2室14Bに設置した赤外線温度計100より、中央位置と右端若しくは左端位置のうち温度差の大きい方の赤外線温度計による温度差が5℃以上となり、予熱工程における温度斑が大きく、そのため後の延伸工程において正常に延伸できず、シート状物7が延伸工程で破れた(予熱2室の幅方向温度斑5℃以上)。
実施例1−4
以下に記載の点を除いては、実施例1−1と同様にして試験を実施した。
【0084】
予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは0.60mとし、ノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを1m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7間での距離Tを0.20mとした。設定温度について、予熱1室14Aは110℃、予熱2室14Bは100℃とした。
【0085】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における延伸室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例1−1と同じにした。
【0086】
シート状物7の温度斑は予熱2室14Bに設置した赤外線温度計100より、中央位置と右端若しくは左端位置のうち温度差の大きい方の赤外線温度計による温度差が1℃程度で(予熱2室の幅方向温度斑1℃)破れなくシート状物7が得られた。しかし、シート状物7は温調空気200が噴き付けられずに送り込まれる距離が長く、シート状物7が設定温度まで加熱できなかった。そのため十分な予熱ができないまま延伸したため内部応力が発生し寸法安定性に劣る製品となった。
実施例2−1
以下に記載の点を除いては、実施例1−1と同様にして試験を実施した。
予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは0.25mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.20mとした。
【0087】
延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.16mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2先端からシート状物7までの距離Tを0.15mとした。
【0088】
また延伸前シート状物幅71は0.93mとし、延伸後シート状物幅72は3.02mとし、設定温度について延伸1室15Aは90℃、延伸2室15Bは90℃とした。
【0089】
また、熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定3室16Cと熱固定4室16Dとについて、中心ずれ距離Lは0.30mとし、ノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.30mとした。設定温度は、熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0090】
また得られたシート状物の最終厚みは12.3μmとなった。
【0091】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における赤外線温度計の設置位置等などについては実施例1−1と同じにした。
【0092】
シート状物7の温度斑は延伸2室15Bに設置した赤外線温度計101より、中央位置と右端位置の温度差が最大であり、その差は2℃程度であったため良好に延伸できた(延伸2室の幅方向温度斑2℃)。
実施例2−2
以下に記載の点を除いては、実施例2−1と同様にして試験を実施した。
【0093】
延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.04mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7間での距離Tを0.15mとした。設定温度について延伸1室15Aは90℃、延伸2室15Bは90℃とした。
【0094】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例2−1と同じにした。
【0095】
シート状物7の温度斑は延伸2室15Bに設置した赤外線温度計101より、中央位置と右端位置の温度差が最大であり、その差は2℃程度であったため良好に延伸できた(延伸2室の幅方向温度斑2℃)。
実施例2−3
以下に記載の点を除いては、実施例2−1と同様にして試験を実施した。
【0096】
延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.30mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7までの距離Tを0.15mとした。設定温度について延伸1室15Bは90℃、延伸2室15Bは90℃とした。
【0097】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例2−1と同じにした。
【0098】
シート状物7の温度斑は延伸2室15Bに設置した赤外線温度計101より、中央位置と右端位置の温度差が最大であり、その差は1℃程度で良好に延伸できた(延伸2室の幅方向温度斑1℃)。
比較例2
以下に記載の点を除いては、実施例2−1と同様にして試験を実施した。
【0099】
延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.00mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7までの距離Tを0.15mとした。設定温度について延伸1室15Aは90℃、延伸2室15Bは90℃とした。
【0100】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例2−1と同じにした。
【0101】
室中心13と噴き付け中心25とが一致しているため、シート状物7の随伴流が防止できずシート状物7の端部では送り込み方向に温調空気200が流れ、中央部では逆に送り込み方向とは逆方向に温調空気200が流れたために、シート状物7の温度斑は延伸2室15Bに設置した赤外線温度計101より、中央位置と右端位置の温度差が最大であり、その差は5℃以上となり正常に延伸できず、シート状物7に破れが発生した(延伸2室の幅方向温度斑5℃以上)。
実施例2−4
以下に記載の点を除いては、実施例2−1と同様にして試験を実施した。
【0102】
延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.40mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを3m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7までの距離Tを0.15mとした。設定温度について延伸1室15Aは90℃、延伸2室15Bは90℃とした。
【0103】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および熱固定室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例2−1と同じにした。
【0104】
シート状物7の温度斑は延伸2室15Bに設置した赤外線温度計101より、中央位置と右端位置の温度差が最大で、その差は1℃程度であり破れなくシート状物7が得られた(延伸2室の幅方向温度斑1℃)。しかし、シート状物7は温調空気200が噴き付けられずに送り込まれる距離が長くなり過ぎたためシート状物7にばたつきが発生し、噴き付けノズル2と接触しシート状物7に少しすり傷が発生した。
実施例3−1
以下に記載の点を除いては、実施例1−1と同様にして試験を実施した。
【0105】
熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定1室16Cと熱固定2室16Dについて、中心ずれ距離Lは0.30mとし、ノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2の先端からシート状物7までの距離Tを0.30mとした。設定温度について熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0106】
また予熱1室14Aと予熱2室14Bについて、中心ずれ距離Lは0.25mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.50mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを20m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.20mとした。設定温度は、予熱1室14を110℃、予熱2室15を100℃とした。
【0107】
また、延伸1室15Aと延伸2室15Bについて、中心ずれ距離Lは0.16mとし、ノズルピッチPは0.30mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを40m/sとし、噴き付けノズル2の先端とシート状物7間の距離Tを0.15mとした。設定温度は、延伸1室15Aを90℃、延伸2室15Bを90℃とした。
【0108】
また延伸前シート状物幅71は0.93mとし、厚みは40μmとし、延伸後シート状物幅72は3.02mとし、最終厚みは12.3μmとなった。
【0109】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における赤外線温度計の設置位置等などについては実施例1−1と同じにした。
【0110】
シート状物の温度斑は熱固定2室16Bに設置した赤外線温度計102より、中央位置と左端位置の温度差が最大であり、その差は3℃程度で良好に延伸できた(熱固定2室の幅方向温度斑3℃)。
実施例3−2
以下に記載の点を除いては、実施例3−1と同様にして試験を実施した。
【0111】
熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定1室16Cと熱固定2室16Dについて、中心ずれ距離Lは0.07mとし、ノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2からシート状物7間での距離Tを0.30mとした。設定温度について熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0112】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および延伸室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例3−1と同じにした。
【0113】
シート状物の温度斑は熱固定2室16Bに設置した赤外線温度計102より、中央位置と左端位置の温度差が最大であり、その差は5℃程度で良好に延伸できた(熱固定2室の幅方向温度斑5℃)。
実施例3−3
以下に記載の点を除いては、実施例3−1と同様にして試験を実施した。
【0114】
熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定1室16Cと熱固定2室16Dについて、中心ずれ距離Lは0.60mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2からシート状物7間での距離Tを0.30mとした。設定温度について熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0115】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および延伸室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例3−1と同じにした。
シート状物7の温度斑は熱固定2室16Bに設置した赤外線温度計102より、中央位置と左端位置の温度差が最大であり、その差は2℃程度で良好に延伸できた(熱固定2室の幅方向温度斑2℃)。
比較例3
以下に記載の点を除いては、実施例3−1と同様にして試験を実施した。
【0116】
熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定1室16Cと熱固定2室16Dについて、中心ずれ距離Lは−0.07mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2からシート状物7間での距離Tを0.30mとした。設定温度について熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0117】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および延伸室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例3−1と同じにした。
【0118】
噴き付け中心25が室中心13の送り込み方向下流側0.07mにずれているためシート状物7の随伴流が防止できずシート状物7の端部では送り込み方向に温調空気200が流れ、中央部では逆に送り込み方向とは逆方向に温調空気200が流れたために、シート状物7の温度斑は熱固定2室16Bに設置した赤外線温度計102より、中央位置と左端位置の温度差が最大であり、その差は10℃以上となり正常に熱固定できず、シート状物破れが発生した(熱固定2室の幅方向温度斑10℃以上)。
実施例3−4
以下に記載の点を除いては、実施例3−1と同様にして試験を実施した。
【0119】
熱固定1室16Aと熱固定2室16Bと熱固定1室16Cと熱固定2室16Dについて、中心ずれ距離Lは0.70mとし、ノズルとノズルの噴き付け位置の間隔いわゆるノズルピッチPは0.45mとし、送り込み速度Sを2m/sとし、噴き付け風速Bを30m/sとし、噴き付けノズル2からシート状物7間での距離Tを0.30mとした。熱固定1室16Aは220℃、熱固定2室16Bは220℃、熱固定3室16Cは150℃、熱固定4室16Dは110℃とした。
【0120】
テンターオーブン前までの工程、テンターオーブン工程における予熱室および延伸室の条件、赤外線温度計の設置位置等などについては実施例3−1と同じにした。
【0121】
シート状物7の温度斑は熱固定2室16Bに設置した赤外線温度計102より、中央位置と左端位置の温度差が最大で、その差は2℃程度で破れなくシート状物7が得られた(熱固定2室の幅方向温度斑2℃)。しかしシート状物7は温調空気200が噴き付けられずに送り込まれる距離が長過ぎたためにシート状物7に吹き上がりが発生し、噴き付けノズル2と接触してシート状物7にスリ傷が発生した。
【0122】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のシート状物熱処理装置は、熱可塑性フィルムを横延伸するテンターオーブンに限らず、ドライヤー、コーター、ラミネーターなどに使用可能である。また対象のシート状物についても、熱可塑性フィルムに限らず、紙・布などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート送り込み方向断面概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート幅方向断面概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート下側に設置された噴き付けノズルの一例の概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート下側に設置された噴き付けノズルの一例の概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート下側に設置された噴き付けノズルの一例の概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート下側に設置された噴き付けノズルの一例の概略斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るシート状物熱処理装置のシート送り込み方向断面概略構成図
【図8】本発明のシート状物熱処理装置によって、シート状物を横延伸する場合の、シート状物の概略幅を示す。
【図9】従来のシート状物熱処理装置のシート送り込み方向断面概略構成図である。
【符号の説明】
【0125】
1:シート状物熱処理装置
2:噴き付けノズル
3:吸引口
4:ブロワー
5:熱交換機
6:フィルター
7:シート状物
11:開口部
12:室
13:室中心
14A:予熱1室
14B:予熱2室
15A:延伸1室
15B:延伸2室
16A:熱固定1室
16B:熱固定2室
16C:熱固定3室
16D:熱固定4室
21:トランクダクト
22:供給ダクト
23:噴き出し流量調整手段
25:噴き付け位置中心
26:噴き付け間隔
27:噴き付け間隔
28:噴き付け間隔
29:吹き付け口
31:戻り流路配管
32:戻り流量調整手段
71:延伸前シート状物幅
72:延伸後シート状物幅
100:予熱2室14B中の赤外線放射温度計
101:延伸2室15B中の赤外線放射温度計
102:熱固定2室16B中の赤外線放射温度計
200:温調空気
201:傾斜ノズル
L:中心ずれ距離(単位:m)
a:定数
P:ノズルとノズルの噴き出し位置の間隔(ノズルピッチ)(単位:m)
S:シート送り込み速度(単位:m/s)
B:噴き付け風速(単位:m/s)
T:ノズル先端からシート状物までの距離(単位:m)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して送り込まれるシート状物を、複数の熱処理室で熱処理をする熱処理装置において、熱処理装置は空気の温度を制御する温度制御装置を有し、熱処理室は温度制御装置で温度制御された空気をシート状物の上下方向から噴き付ける、シート状物の幅方向に延在した噴き付けノズルを複数有し、かつ複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置が、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置よりもシート状物送り込み方向上流側寄りに配設されていることを特徴とする、シート状物熱処理装置。
【請求項2】
複数の噴き付けノズルのシート状物送り込み方向の中心位置と、熱処理室のシート状物送り込み方向の中心位置との、互いの中心位置のずれ距離Lが、下記式を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のシート状物熱処理装置。
【数1】

L:中心ずれ距離(単位:m)
P:ノズルの噴き出し位置とノズルの噴き出し位置の間隔(ノズルピッチ)(単位:m)
S:シート送り込み速度(単位:m/s)
B:噴き付け風速(単位:m/s)
T:ノズル先端からシート状物までの距離(単位:m)
【請求項3】
噴き付けノズルからシート状物に噴き付けられた空気をブロアーに戻すための戻り流路配管が、シート状物に対し上側吸入口と下側吸入口とを有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート状物熱処理装置。
【請求項4】
噴き付けノズルからシート状物下側に噴き付けられた空気をブロアーに戻すための下側戻り流路配管の縦配管は、熱処理室のシート状物送り込み方向下流側に配設されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
【請求項5】
空気をブロアーに戻すための戻り流路配管において、上側戻り流路配管と下側戻り流路配管の合流部に、シート状物上側の戻り流量とシート状物下側の戻り流量とのバランスを調整する戻り流量調整手段を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
【請求項6】
温度制御装置で温度制御された空気を噴き付けノズルに供給する供給配管には、上側噴き付けノズルと下側噴き付けノズルとの流量バランスを調整する噴き出し流量調整手段を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
【請求項7】
シート状物がプラスチックフィルムであることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のシート状物熱処理装置。
【請求項8】
熱処理装置は、フィルムの幅方向両端を端部把持装置で把持して、室を通過しながらフィルムを所定温度にして、端部把持装置の幅方向の間隔を拡幅させることによりフィルムを幅方向に延伸する延伸装置、または端部把持装置の間隔を拡幅させることによりフィルムを幅方向に延伸しながら端部把持装置の送り込み方向の間隔を広げて縦方向の延伸もする同時2軸延伸装置であることを特徴とする、請求項7に記載のシート状物熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−100456(P2008−100456A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285911(P2006−285911)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】