説明

シート状玩具

【課題】車玩具の通過を検知したときの状況等に応じて出力する音声を制御することで、遊び方にバリエーションを持たせることが可能なシート状玩具を提供する。
【解決手段】表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路A及び駐車スペースBが描かれたシート状玩具10であって、前記道路A及び前記駐車スペースBの上を車玩具が通過したことを検知するための複数の検知部15を備えた通過検知手段14と、音声を出力するためのスピーカ12と、シート状玩具10全体の作動を制御するための制御装置100と、を備え、前記制御装置100は、予め複数の音声データを記憶した音声記憶手段120と、前記通過検知手段14が車玩具の通過を検知したときに、前記音声記憶手段120が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択する音声選択手段130と、前記音声選択手段130が選択した音声データを前記スピーカ12に対して出力するスピーカ制御手段140と、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状玩具に関し、特に、表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路及び駐車スペースが描かれるとともに、これら道路及び駐車スペースの上を車玩具が通過することにより音声が出力されるシート状玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上からの圧力により接点が押下されてスイッチが導通するメンブレンスイッチが知られている。このようなメンブレンスイッチは、上部接点を有する上シートと下部接点を有する下シートとの間に孔の開いた絶縁物(スペーサーシート)を挟み込んで形成され、このスペーサーシートの孔の位置に上部接点と下部接点とが対向して設けられ、この上部接点が上から押されることにより上シートが撓んでスイッチが導通するように形成されている。
【0003】
このようなメンブレンスイッチを利用した玩具としては、例えばシート状玩具の表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路などを描き、このシート状玩具の内部にメンブレンスイッチを設けたものがある。
【0004】
例えば、特許文献1記載の玩具では、マップ上で車玩具を走行させて遊んだときに、車玩具の車輪がスペーサーシートの孔の上に来ることでスイッチが作動し、その場所に対応した音声が発せられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−126633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した従来の玩具では、単に押されたスイッチに対応した音声が発せられるだけであるので、遊び方が単調になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、車玩具の通過を検知したときの状況等に応じて出力する音声を制御することで、遊び方にバリエーションを持たせることが可能なシート状玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載のシート状玩具は、表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路及び駐車スペースが描かれたシート状玩具であって、前記道路及び前記駐車スペースの上を車玩具が通過したことを検知するための複数の検知部を備えた通過検知手段と、音声を出力するためのスピーカと、シート状玩具全体の作動を制御するための制御装置と、を備え、前記制御装置は、予め複数の音声データを記憶した音声記憶手段と、前記通過検知手段が車玩具の通過を検知したときに、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択する音声選択手段と、前記音声選択手段が選択した音声データを前記スピーカに対して出力するスピーカ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、前記音声選択手段は、前記複数の検知部が車玩具の通過を検知した順序に基づいて、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択することを特徴とする。
【0013】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記制御装置は、前記複数の検知部で車玩具の通過が検知されるべき順序をルートデータとして複数記憶するルート記憶手段と、前記複数の検知部が車玩具の通過を検知した検知順序を取得するとともに、当該検知順序に合致するルートデータを前記ルート記憶手段が記憶する複数のルートデータから抽出するルート抽出手段と、を更に備え、前記音声選択手段は、前記ルート抽出手段が抽出したルートデータに基づいて、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択することを特徴とする。
【0015】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項3記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記制御装置は、任意の検知部が車玩具の通過を検知したときに、当該検知部が前記ルート抽出手段により抽出されたルートデータから外れているか否かを判定するルート判定手段を更に備え、前記ルート判定手段がルートデータから外れていると判定した場合には、前記ルート抽出手段により抽出されたルートデータがキャンセルされ、前記ルート抽出手段によるルートデータの抽出が再実行されることを特徴とする。
【0017】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、前記検知部は、前後に複数の検知点を有するように形成されていることを特徴とする。
【0019】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、前記通過検知手段は、前記道路及び前記駐車スペースの上を車玩具が通過したことにより接点が押下されてスイッチが導通するメンブレンスイッチで形成され、前記検知部は、上下に対向する位置に設けられた接点で形成されていることを特徴とする。
【0021】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、上記した請求項1〜6のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0022】
すなわち、遊び方を選択するための遊び方選択スイッチを有し、この遊び方選択スイッチによりどの遊び方が選択されたかによって、前記音声選択手段が選択する音声データを変更したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、通過検知手段が車玩具の通過を検知したときに複数の音声データから1の音声データを選択する音声選択手段を備え、この音声選択手段が選択した音声データがスピーカに対して出力されて音声が決定するため、通過検知手段の検知に応じて出力する音声を制御することが可能となっており、同じ検知部が検知した場合でも異なる音声を出力することができる。例えば、検知されたタイミングや順序などを基に出力する音声データを変更することもできる。このため、様々なパターンの音声出力が可能となり、遊び方にバリエーションを持たせることができる。
【0024】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、音声選択手段は、前記複数の検知部が車玩具の通過を検知した順序に基づいて、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択する。すなわち、車玩具の通過を検知した順序により、車玩具の進行方向と位置とを特定することができるので、それに応じた音声出力をすることができる。例えば、所定の目的地までの道順を案内する音声を出力することで、カーナビゲーションを模した遊び方を提供することもできる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、ルート記憶手段が予め複数のルートデータを記憶するとともに、ルート抽出手段が検知順序に合致するルートデータを抽出する。そして、前記音声選択手段は、前記ルート抽出手段が抽出したルートデータに基づいて音声データを選択する。このため、上記したような所定の目的地までの道順を案内する音声を出力する際に、毎回ルートを計算しなくても抽出したルートデータに従った音声出力をすればよいため、プログラムを簡略化できる。
【0026】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、任意の検知部が車玩具の通過を検知したときに、当該検知部が前記ルート抽出手段により抽出されたルートデータから外れているか否かを判定するルート判定手段を更に備え、前記ルート判定手段がルートデータから外れていると判定した場合には、前記ルート抽出手段により抽出されたルートデータがキャンセルされ、前記ルート抽出手段によるルートデータの抽出が再実行されるように形成されている。このため、実際に走行させた車玩具の経路がルートから外れてしまった場合でも新しいルートが抽出されて音声案内がされるようになっており、玩具で遊んでいる幼児などが誤った操作(音声案内に従わない操作)をした場合でも遊びに復帰することができるようになっている。
【0027】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、検知部が前後に複数の検知点を有するように形成されているため、車玩具が検知部のどちら側から入ってきたときでも最初に導通された検知点を有効とすればよく、素早く導通を検知することができ、音声出力をタイミングよく行うことができる。
【0028】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記通過検知手段がメンブレンスイッチで形成されているため、安価で故障に強い玩具を提供できる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明は上記の通りであり、遊び方を選択するための遊び方選択スイッチを有し、この遊び方選択スイッチによりどの遊び方が選択されたかによって、前記音声選択手段が選択する音声データを変更する。このため、上記したような所定の目的地までの道順を案内する遊び方のみならず、他の遊び方を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】シート状玩具の外観図(平面図)である。
【図2】シート状玩具の内部に設けられたメンブレンスイッチの検知部の配置を示す説明図である。
【図3】シート状玩具のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】カーナビ遊びにおいて工事現場M19が目的地とされた場合のルートデータを示す説明図である。
【図5】カーナビ遊びにおいて工事現場M19が目的地とされた場合の走行ルートを示す説明図である。
【図6】カーナビ遊びにおいてガソリンスタンドM16が目的地とされた場合のルートデータを示す説明図である。
【図7】カーナビ遊びにおいてガソリンスタンドM16が目的地とされた場合の走行ルートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0032】
本実施形態に係るシート状玩具10は、表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路Aや駐車スペースBが描かれるとともに、これら道路Aや駐車スペースBの上を車玩具が通過することによりメンブレンスイッチ14が押されて音声が出力される玩具である。このシート状玩具10の表面は、図1に示すように、道路A及び駐車スペースBが描かれたマップ部16と、このマップ部16の端に配置された操作部17と、で区画されて形成されている。
【0033】
操作部17には、メインスイッチ11と、主電源がONであることを示すための点灯するLED13と、音声を出力するためのスピーカ12と、が設けられている。メインスイッチ11はシート状玩具10の主電源をON/OFFするためのものであり、このメインスイッチ11が操作されて主電源がONとなると、後述する制御装置100に電力が供給され、この制御装置100がLED13を点灯させるとともに、スピーカ12を制御して音楽や音声が出力され、玩具が使用可能となる。
【0034】
マップ部16には、表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路A及び駐車スペースBが描かれており、内部にメンブレンスイッチ14が設けられている。
【0035】
メンブレンスイッチ14は、前記道路A及び駐車スペースBの上を車玩具が通過したことを検知するための検知通過手段として設けられている。このメンブレンスイッチ14は、特に図示しないが、上部接点を有する上シートと下部接点を有する下シートとの間に孔の開いた絶縁物(スペーサーシート)を挟み込んで形成されており、このスペーサーシートの孔の位置に上部接点と下部接点とが対向して設けられて複数の検知部15が形成されている。この検知部15は、シート状玩具10の表面に描かれた道路Aや駐車スペースBの上を車玩具が通過したときに、上部接点が下方に押下されて下部接点と接触し、導通するように形成されている。
【0036】
なお、特に図示しないが、シート状玩具10の内部には、CPUを中心に構成されてROM、RAM等を備えた制御装置100が内蔵されており、この制御装置100がシート状玩具10全体の作動を制御している。
【0037】
この制御装置100は、後述するように、検知部15の導通を監視してスピーカ12の音声出力を制御する手段として機能する。このため、メンブレンスイッチ14の検知部15が導通すると、この検知部15の導通信号を受け取った制御装置100が、前記スピーカ12の音声出力を制御し、導通された検知部15に対応付けられた音声がスピーカ12から出力されるようになっている。このため、シート状玩具10の表面に描かれたマップ上を、車玩具を手押しして走行させることにより、車玩具の車輪が検知部15を導通させて音声が出力されるようになっている。
【0038】
図2は、シート状玩具10の内部に設けられたメンブレンスイッチ14の検知部15の配置を示す説明図である。この図が示すように、メンブレンスイッチ14の検知部15は、マップ部16の道路A及び駐車スペースBと対応する位置に配置されるとともに、操作部17付近にも配置されている。
【0039】
具体的には、本実施形態に係るメンブレンスイッチ14は、図2にしめすように、M1〜34の34個の検知部15を有しており、その役割によって、道路スイッチM1〜12、駐車スイッチM13〜23、遊び方選択スイッチM24〜31、音声調節スイッチM32〜34に分類される。以下、各スイッチについて説明する。
【0040】
道路スイッチM1〜12は、マップ部16の道路A部分と対応する位置に設けられる検知部15であり、前後に複数の検知点を有するように形成されている。すなわち、M2のように前後に2つの接点15aを有するものや、M8のように前後及びその間に3つの接点15aを有するものがある。すなわち、前述したスペーサーシートの孔が前後(または前後及びその間)に設けられることにより、複数の接点15aが形成されるとともに、このうちのいずれかの接点15aが導通したときに当該検知部15が導通したと判断されるように形成されている。これにより、車玩具が検知部15のどちら側から入ってきたときでも、最初に導通された接点15aが有効であると判断することができるので、素早く検知部15の導通を検知することができ、後述する音声出力をタイミングよく行うことができるようになっている。例えば、図2の道路スイッチM2を例にすると、車玩具が右から走行してきた場合には右側の接点15aが導通し、車玩具が左から走行してきた場合には左側の接点15aが導通するので、検知部15に入ったタイミングで車玩具の通過を検知できるようになっている。
【0041】
なお、検知部15を形成する複数の接点15aのうちのいずれかの接点15aが導通すると、その後に同じ検知部15を形成する接点15aが導通しても、その導通はキャンセルされる。すなわち、検知部15を形成する複数の接点15aのうちのいずれかの接点15aが導通したあとで、当該検知部15の他の接点15aが導通したり、当該接点15aが連続して導通しても、その導通はキャンセルされて無視される。これにより、検知部15が複数の接点15aを持っている場合でも、二重に検知部15の導通が入力されてしまうという問題がないように形成されている。
【0042】
なお、道路A上の所定位置には図1に示すようにバス停Cが複数設けられており、道路スイッチM1〜12のうちのいくつか(M1、M6、M7、M8、M9、M11)は、図1及び図2に示すように、このバス停Cの位置に配置されている。このバス停Cの位置に配置された道路スイッチM1〜12は、図2に示すように、接点15aを3つ有するように構成されている。これは、バス停C位置で車玩具を停車させたときに、その長押し状態を検知して特別な音声を出力するためである。すなわち、車玩具の通過ではなく長押しを検知するには、車玩具の位置が多少ずれても接点15aが導通しなければならないため、接点15aの数を増やして導通しやすいように形成している。
【0043】
駐車スイッチM13〜23は、マップ部16の駐車スペースBと対応する位置に設けられる検知部15であり、図1及び図2に示すように、消防署M13、警察署M14、病院M15、ガソリンスタンドM16〜M18、工事現場M19、車整備工場M20〜M23のいずれかに車玩具が停車していることを検知するためのものである。この駐車スイッチM13〜23は、後述する「ナビ遊び」において目的地として使用されるものである。
【0044】
遊び方選択スイッチM24〜31は、操作部17付近にも配置されて遊び方を選択するためのものである。この遊び方選択スイッチM24〜31によりどの遊び方が選択されたかによって、後述する音声選択手段130が選択する音声データが変更されるため、遊び方に応じた音声がスピーカ12から出力されるようになっている。
【0045】
具体的には、この遊び方選択スイッチM24〜31は、ナビ遊びスイッチM24と、タクシー遊びスイッチM25と、車種遊びスイッチM26〜31と、からなり、どのスイッチが押されたかによってスピーカ12から出力される音が異なるようになっている。各遊び方については後ほど説明する。
【0046】
音声調節スイッチM32〜34は、操作部17付近にも配置されてスピーカ12から出力される音声のボリュームを大きくしたり、小さくしたり、音声と一緒に流れるバックミュージックのON/OFFを調節したりするためのものである。
【0047】
次に、本実施形態に係るシート状玩具10の制御装置100について説明する。
【0048】
図3は、シート状玩具10のシステム構成を示すブロック図である。この図が示すように、制御装置100の入力側には、上述したメインスイッチ11やメンブレンスイッチ14が接続されている。また、制御装置100の出力側には、スピーカ12やLED13が接続されている。この制御装置100は、図3に示すように、検知処理手段110、音声記憶手段120、音声選択手段130、スピーカ制御手段140、ルート記憶手段150、ルート抽出手段160、ルート判定手段170の各手段として機能するものである。
【0049】
以下、各手段について説明する。
【0050】
検知処理手段110は、メンブレンスイッチ14を構成する検知部15のいずれかが導通したときに、その導通信号を受信して処理するためのものであり、すなわち、検知部15を形成する接点15aのうちのいずれかが閉回路となったときに出力される導通信号を受信するためのものである。なお、この検知処理手段110は、任意の検知部15を形成する接点15aが閉回路となった後に続けて同じ検知部15を形成する接点15aが閉回路となった場合には、2回目以降の閉回路は無視するように制御するものであり、これにより、上述したように、同じ検知部15の接点15aが複数回押された場合でも誤作動が起きないようにするための制御も行っている。
【0051】
音声記憶手段120は、スピーカ12で出力するための複数の音声データを予め記憶するためのものであり、ROM等の不揮発性メモリで形成される。例えば、「・・・に向かいます」「次を右です」「次を左です」「まっすぐです」「もうすぐ目的地です」「目的地です運転お疲れさまでした」などのカーナビゲーションシステムの音声案内風の音声データや、消防車やパトロールカーのサイレン音の音声データなどが記憶されている。
【0052】
音声選択手段130は、前記メンブレンスイッチ14が検知部15の導通を検知したときに、前記音声記憶手段120が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択するためのものである。例えば、遊び方選択スイッチM24〜31によりどの遊び方が選択されているか、どの検知部15が導通したか、どういった順序で検知部15が導通したか、検知部15の導通がどの程度の時間継続したか、などのパラメータを基に音声データを選択するプログラムである。
【0053】
なお、この音声選択手段130は、検知部15から得られる情報のみならず、それ以外の情報を基に音声データを選択することとしてもよい。例えば、制御装置100に乱数発生装置を設け、この乱数発生装置が発生させた乱数値に基づいてランダムに音声データを選択するようにしてもよい。
【0054】
スピーカ制御手段140は、前記音声選択手段130が選択した音声データをスピーカ12に対して出力するためのものであり、すなわち、スピーカ12の出力を制御するためのプログラムである。
【0055】
ルート記憶手段150は、検知部15が導通されるべき順序をルートデータとして複数記憶するためのものであり、ROM等の不揮発性メモリで形成される。このルート記憶手段150が記憶するルートデータは、後述する「ナビ遊び」において使用されるデータである。
【0056】
ルート抽出手段160は、前記複数の検知部15が車玩具の通過を検知した検知順序を取得するとともに、当該検知順序に合致するルートデータを前記ルート記憶手段150が記憶する複数のルートデータから抽出するためのものである。このルート抽出手段160の具体的な処理については後述する。
【0057】
ルート判定手段170は、任意の検知部15が車玩具の通過を検知したときに、当該検知部15が前記ルート抽出手段160により抽出されたルートデータから外れているか否かを判定するためのものである。このルート判定手段170の具体的な処理についても後述する。
【0058】
次に、本実施形態に係るシート状玩具10の具体的な遊び方について説明する。ここでは、ナビ遊びスイッチM24が押下されたと仮定して、「ナビ遊び」について説明する。
【0059】
この「ナビ遊び」は、制御装置100がランダムに設定した目的地まで音声案内がなされ、遊戯者はこの音声案内に従って車玩具を走行させるという遊び方である。この「ナビ遊び」は、メインスイッチ11がONの状態でナビ遊びスイッチM24が押下されることで開始される。すなわち、ナビ遊びスイッチM24が押下されると、その導通信号が検知処理手段110に出力され、この導通信号をトリガとして音声選択手段130が音声データを選択し、選択された音声データがスピーカ制御手段140によりスピーカ12に出力されて、音声出力される。この場合には、「ナビ遊びしよう!」という音声が出力され、「ナビ遊び」が開始される。
【0060】
「ナビ遊び」が開始されると、制御装置100は乱数発生装置などで目的地を抽選し、こうして決定した目的地がスピーカ12より音声出力される。本実施形態においては、消防署M13、警察署M14、病院M15、ガソリンスタンドM16、工事現場M19、車整備工場M20のいずれかが抽選により決定され、その決定された目的地がスピーカ12より音声出力される。例えば、「消防署へ向かいます」などと出力される。
【0061】
「ナビ遊び」において、遊戯者は任意の位置から車玩具の走行を開始することができる。すなわち、マップ部16の道路A上の任意の位置から車玩具を走行させれば、その走行を道路スイッチM1〜12が検知し、導通した2点の検知部15の検知順序を基に自動的に車玩具の進行方向と位置とを把握し、この車玩具の進行方向と位置とを基に目的地までの音声案内を開始する。
【0062】
以下、この音声案内の具体的な処理について、工事現場M19が目的地として選択された例を挙げて、図4及び図5を参照しつつ説明する。
【0063】
図4は、ルート記憶手段150が記憶しているルートデータのうち、工事現場M19を目的地とするルートに係るデータである。この図4が示すように、最初に導通した検知部15(初回入力キー)と、その次に導通した検知部15(判定キー)とで走行ルートが決定するように構成されている。すなわち、ルート抽出手段160が、初回入力キーと判定キーとの組み合わせ(検知部15の検知順序)を取得することにより、この組み合わせに合致するルートデータを抽出するように形成されている。これは、最初に導通した検知部15とその次に導通した検知部15とが分かれば、車玩具の進行方向と位置とを特定できるため、その進行方向と位置とに基づいてルートを特定できるためのである。
【0064】
具体的には、例えば、最上段に記載されているように、初回入力キーが「M2」で判定キーが「M1」であった場合、その後のルートは「M10」→「M9」→「M8」→「M7」→「M12」→「M4」→「M6」→「M19」となる。また、その次の段に記載されているように、初回入力キーが「M10」で判定キーが「M1」であった場合、その後のルートは「M1」→「M2」→「M3」→「M4」→「M6」→「M19」となる。
【0065】
なお、ルート抽出手段160によるルートデータの抽出は、初回入力キーと判定キーとが入力されたときに目的地までのすべての経路を抽出するものであってもよいし、判定キー以降の検知部15の導通ごとに次の検知部15を順次抽出するものであってもよい。すなわち、上記説明のように、初回入力キーが「M2」で判定キーが「M1」であった場合、「M10」→「M9」→「M8」→「M7」→「M12」→「M4」→「M6」→「M19」というすべての経路を抽出するものであってもよいし、まずは「M10」のみを抽出し、その後「M10」が導通したら「M9」を抽出し、というように順次抽出するものであってもよい。いずれにせよ、このようにルート抽出手段160によって抽出されたルートデータは、RAM等に記憶されて、ルート判定手段170によるルート判定に使用される(ルート判定については後述する)。
【0066】
初回入力キーと判定キーとが入力されてルート抽出手段160によってルートデータが抽出されると、そのルート上を車玩具が走行することで、前記音声選択手段130は、前記複数の検知部15が車玩具の通過を検知した順序に基づいて、目的地への音声案内に適した音声データを選択し、この音声データがスピーカ12から出力される。
【0067】
具体的には、初回入力キーが「M2」で判定キーが「M1」であった場合を例にすると、図4に示すように、「M1」が導通したときには「次を左です」→「M10」が導通したときには「次を右です」→「M9」が導通したときには「次を左です」→「M8」が導通したときには「次を左です」→「M7」が導通したときには「まっすぐです」→「M12」が導通したときには「次を右です」→「M4」が導通したときには「次を右です」→「M6」が導通したときには「もうすぐ目的地です」→「M19」が導通したときには「目的地です運転お疲れさまでした」と音声出力される。
【0068】
図5は、工事現場M19を目的地とする実際の走行ルートを示す図であるが、この図5を見ても分かるように、上記した音声案内に従うことで、次に導通すべき検知部15の方向へと導かれ、最終的に目的地に到着することが分かる。このように、本実施形態に係る「ナビ遊び」においては、初回入力キーと判定キーとの最初の2つの検知部15の導通により、車玩具の進行方向と位置とを把握し、その後音声案内で目的地へと誘導するように形成されている。
【0069】
なお、初回入力キーと判定キーとが入力されたときにルート抽出手段160によって抽出されるルートデータは、必ずしも最短ルートを示すものである必要はない。すなわち、迂回しつつ最終的に目的地に到達するようなものであってもよい。例えば、ルートデータのパターンを減らしてメモリ資源を節約するために、最短ルートにこだわらないルートデータをルート記憶手段150に記憶させておいてもよい。すなわち、この「ナビ遊び」は、通常のカーナビゲーションシステムと異なり早く目的地に到着するためのものではないため、迂回路を音声案内しても問題がない。むしろ、「ナビ遊び」の目的は決められたルートを走行して遊ぶことであるから、予想外のルートを音声案内することによる面白味を生むことができる。
【0070】
ところで、上記説明においては、ルート抽出手段160によってルートデータが抽出された後に、そのルート上を正しく車玩具が走行した場合について説明した。しかしながら、このシート状玩具10がターゲットとする年齢層の遊戯者は幼児であるので、誤ってルートを外れてしまったり、寄り道をしてルートを外れてしまったりすることが考えられる。このため、本実施形態に係るシート状玩具10は、ルート抽出手段160によって抽出されたルートデータに従って車玩具が走行しているか否かを判定するためのルート判定を行うように形成されている。
【0071】
具体的には、上記したように、初回入力キーと判定キーとが入力されると、ルート抽出手段160によりルートデータが抽出され、RAM等に記憶される。その後、任意の検知部15が車玩具の通過を検知すると、その結果がルート判定手段170に出力される。ルート判定手段170は、当該検知部15の位置情報と抽出されたルートデータとを比較し、当該検知部15がルートデータから外れているかを判定する。
【0072】
ここで、ルート判定手段170が、ルートデータから外れていないと判定した場合(車玩具が正しいルートを走行している場合)には、上記したように、予め定められた音声データ(「次を右です」「次を左です」などの音声案内)が音声選択手段130により選択されて、スピーカ12より出力される。
【0073】
一方、ルート判定手段170が、ルートデータから外れていると判定した場合には、前記ルート抽出手段160により抽出されたルートデータがキャンセルされて待機状態となる。この待機状態において次の初回入力キーと判定キーとが入力されると、再度ルート抽出手段160によるルートデータの抽出が再実行され、音声案内が再開される。すなわち、カーナビゲーションシステムにおける再ルート検索に相当する処理が行われる。その際、「(目的地)へ向かいます」という音声出力を再度行い、ナビ遊びが再開されたことを通知するのが望ましい。
【0074】
このように、ルート判定手段170によるルート判定が実行されることで、音声案内が的確に実行されるとともに、ルートから外れてしまった場合でも容易にナビ遊びに復帰することができるように形成されている。
【0075】
なお、上記においては工事現場M19が目的地として選択された例を挙げて説明したが、他の場所が目的地に選択された場合も同様の処理が実行される。
【0076】
すなわち、図6及び図7は、ガソリンスタンドM16が目的地として選択された例を示す図であるが、この図が示すように、ガソリンスタンドM16を目的地とするルートについても、ルート記憶手段150がそのルートデータを記憶しており、そのルートに応じた音声出力がされるようになっている。
【0077】
以上、「ナビ遊び」について説明したが、他の遊び方についても簡単に説明する。
【0078】
まず、「タクシー遊び」について説明する。この「タクシー遊び」は、制御装置100がランダムに設定した目的地まで音声案内なしで車玩具を走行させるという遊び方である。
【0079】
この「タクシー遊び」は、タクシー遊びスイッチM25が押下されることで、「タクシー遊びしよう!」という音声出力とともに開始される。
【0080】
この「タクシー遊び」が開始されると、制御装置100は乱数発生装置などで目的地を抽選し、こうして決定した目的地がスピーカ12より音声出力される。本実施形態においては、消防署M13、警察署M14、病院M15、ガソリンスタンドM16、工事現場M19、車整備工場M20のいずれかが抽選により決定され、その決定された目的地がスピーカ12より音声出力される。例えば、「運転手さん、消防署へ行ってください」などと出力される。
【0081】
その後、車玩具がマップ部16の上を走行して検知部15が導通されるたびにランダムな音声が音声選択手段130により選択されて、スピーカ12から出力される。
【0082】
そして、設定された目的地に着くと、「消防署に到着。ありがとう!」などと出力され、「タクシー遊び」の1サイクルが終了する。
【0083】
次に、「車種遊び」について説明する。この「車種遊び」は、車種に適した音声が出力される遊び方である。
【0084】
この「車種遊び」は、車種遊びスイッチM26〜31のうちのいずれかが押下されることで開始される。
【0085】
車種遊びスイッチM26〜31は、乗用車遊びスイッチM26、バス遊びスイッチM27、パトロールカー遊びスイッチM28、救急車遊びスイッチM29、救急車遊びスイッチM30、消防車遊びスイッチM31からなり、それぞれに応じた「車種遊び」ができるようになっている。
【0086】
例えば、バス遊びスイッチM27が押された場合には、バス停で停車すると「・・・前のバス停です」と音声出力されるなど、バスに関連した音声出力がされるようになっている。このように、バスの車玩具で遊ぶのに適した音声が出力される。また、救急車遊びスイッチM30が押された場合には、病院に停車すると「病人を運んできました」と音声出力されるなど、救急車に関連した音声出力がされるようになっている。このように、救急車の車玩具で遊ぶのに適した音声が出力される。このように、車種遊びスイッチM26〜31で選択された車種と、導通した検知部15の位置と、を基にして音声選択手段130が音声データを選択し、選択された音声データがスピーカ12から出力される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、メンブレンスイッチ14の導通に応じて出力する音声を制御することが可能となっており、同じ検知部15が導通した場合でも異なる音声を出力することができる。例えば、検知部15が導通されたタイミングや順序などを基に出力する音声データを変更することができる。このため、様々なパターンの音声出力が可能となり、バリエーションに富んだ遊び方を提供できる玩具となっている。
【0088】
また、前記複数の検知部15が車玩具の通過を検知した順序に基づいて、車玩具の進行方向と位置とを特定し、これに基づいて音声データを選択するので、所定の目的地までの道順を案内する音声を出力することができ、カーナビゲーションを模した音声案内を行うことで面白味のある玩具を提供できる。
【0089】
また、音声案内に使用するルートデータをルート記憶手段150が予め記憶しており、このルートデータからルート抽出手段160がルートデータを抽出するように形成されている。このため、検知部15の導通ごとに毎回ルートを計算しなくても抽出したルートデータに従った音声出力をすればよいため、プログラムを簡略化できる。
【0090】
また、任意の検知部15が車玩具の通過を検知したときに、当該検知部15が前記ルート抽出手段160により抽出されたルートデータから外れているか否かを判定するルート判定手段170を更に備え、前記ルート判定手段170がルートデータから外れていると判定した場合には、前記ルート抽出手段160により抽出されたルートデータがキャンセルされ、前記ルート抽出手段160によるルートデータの抽出が再実行されるように形成されている。このため、実際に走行させた車玩具の経路がルートから外れてしまった場合でも新しいルートが抽出されて音声案内がされるようになっており、玩具で遊んでいる幼児などが誤った操作(音声案内に従わない操作)をした場合でも遊びに復帰することができるようになっている。
【0091】
また、遊び方選択スイッチM24〜31によりどの遊び方が選択されたかによって、前記音声選択手段130が選択する音声データを変更するようにしたため、「ナビ遊び」以外にも「タクシー遊び」や「車種遊び」などの他の遊び方を提供することができる。
【0092】
なお、本実施形態においては、通過検知手段としてメンブレンスイッチを使用したが、これに限らない。例えば、通過検知手段としてフォトセンサなどを用い、車玩具が通過したことを検知してもよい。また、通過検知手段としてICタグリーダーを設け、ICタグなどを車玩具に装着することで、車玩具が通過したことを検知してもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 シート状玩具
11 メインスイッチ
12 スピーカ
13 LED
14 メンブレンスイッチ(通過検知手段)
15 検知部
15a 接点(検知点)
16 マップ部
17 操作部
100 制御装置
110 検知処理手段
120 音声記憶手段
130 音声選択手段
140 スピーカ制御手段
150 ルート記憶手段
160 ルート抽出手段
170 ルート判定手段
M1〜12 道路スイッチ
M13〜23 駐車スイッチ
M24 ナビ遊びスイッチ(遊び方選択スイッチ)
M25 タクシー遊びスイッチ(遊び方選択スイッチ)
M26〜31 車種遊びスイッチ(遊び方選択スイッチ)
M32〜34 音声調節スイッチ
A 道路
B 駐車スペース
C バス停

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に車玩具を走行させて遊ぶための道路及び駐車スペースが描かれたシート状玩具であって、
前記道路及び前記駐車スペースの上を車玩具が通過したことを検知するための複数の検知部を備えた通過検知手段と、
音声を出力するためのスピーカと、
シート状玩具全体の作動を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
予め複数の音声データを記憶した音声記憶手段と、
前記通過検知手段が車玩具の通過を検知したときに、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択する音声選択手段と、
前記音声選択手段が選択した音声データを前記スピーカに対して出力するスピーカ制御手段と、
を備えることを特徴とする、シート状玩具。
【請求項2】
前記音声選択手段は、前記複数の検知部が車玩具の通過を検知した順序に基づいて、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択することを特徴とする、請求項1記載のシート状玩具。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記複数の検知部で車玩具の通過が検知されるべき順序をルートデータとして複数記憶するルート記憶手段と、
前記複数の検知部が車玩具の通過を検知した検知順序を取得するとともに、当該検知順序に合致するルートデータを前記ルート記憶手段が記憶する複数のルートデータから抽出するルート抽出手段と、
を更に備え、
前記音声選択手段は、前記ルート抽出手段が抽出したルートデータに基づいて、前記音声記憶手段が記憶する複数の音声データから1の音声データを選択することを特徴とする、請求項2記載のシート状玩具。
【請求項4】
前記制御装置は、任意の検知部が車玩具の通過を検知したときに、当該検知部が前記ルート抽出手段により抽出されたルートデータから外れているか否かを判定するルート判定手段を更に備え、
前記ルート判定手段がルートデータから外れていると判定した場合には、前記ルート抽出手段により抽出されたルートデータがキャンセルされ、前記ルート抽出手段によるルートデータの抽出が再実行されることを特徴とする、請求項3記載のシート状玩具。
【請求項5】
前記検知部は、前後に複数の検知点を有するように形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のシート状玩具。
【請求項6】
前記通過検知手段は、前記道路及び前記駐車スペースの上を車玩具が通過したことにより接点が押下されてスイッチが導通するメンブレンスイッチで形成され、
前記検知部は、上下に対向する位置に設けられた接点で形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のシート状玩具。
【請求項7】
遊び方を選択するための遊び方選択スイッチを有し、この遊び方選択スイッチによりどの遊び方が選択されたかによって、前記音声選択手段が選択する音声データを変更したことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のシート状玩具。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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