説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】固定部材の取り忘れを防ぐことのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート収納部に着脱可能に装着された固定部材22により、シート収納部に昇降可能に設けられたシート積載台3を固定する。また、固定部材22により、シート積載台3を昇降させるワイヤ巻き取り部11及びワイヤ巻き取り部11を駆動する駆動部の間に設けられ、駆動部の駆動をワイヤ巻き取り部11に伝達する駆動伝達部13のワイヤ巻き取り部11への駆動伝達を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシート給送装置を搬送する際に用いられる搬送用の固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、シート収納部のシート積載台に積載されたシートを、給送ローラにより画像形成部に給送するシート給送装置を備えたものが広く普及している。ここで、このようなシート給送装置としては、例えば画像形成装置本体(以下、装置本体という)に設けられるものの他、装置本体の下方に増設可能なオプションフィーダや、装置本体の側方に設けられるカセットデッキがある。
【0003】
ところで、画像形成装置にオプションフィーダやカセットデッキを装着した状態、あるいはオプションフィーダやカセットデッキを単体で工場等から輸送する際、シート収納部に設けられたシート積載台が振動して破損する場合がある。そこで、従来は、このようなシート積載台の振動による破損を防ぐため、例えば搬送用の固定部材を取り付けることにより、シート積載台が動かないようにしているものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−197204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような搬送用の固定部材により、シート積載台を固定する場合、輸送時の破損は回避できるが、画像形成装置を設置する際、固定部材をユーザが取り忘れてシート給送装置を動作させる場合がある。この場合、シート積載台が固定されているためシート積載台が破損する、あるいはシート積載台をリフトアップさせるためのモータに負荷がかかり、モータを脱調させるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、固定部材の取り忘れを防ぐことのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートを積載する昇降可能なシート積載台を有するシート収納部と、前記シート収納部に収納されたシートを給送するシート給送部とを備えたシート給送装置において、前記シート積載台を昇降させる昇降部と、前記昇降部を駆動する駆動部と、前記昇降部及び前記駆動部の間に設けられ、前記駆動部の駆動を前記昇降部に伝達する駆動伝達部と、前記シート収納部に着脱可能に装着され、前記シート積載台を固定し、かつ前記駆動伝達部から前記昇降部への駆動伝達を遮断する固定部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のように、シート収納部に着脱可能に装着された固定部によりシート積載台を固定すると共に、駆動伝達部の昇降部への駆動伝達を規制することにより、固定部の取り忘れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ(LBP)の全体構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置であるオプションフィーダの構成を説明する図。
【図3】上記オプションフィーダに着脱可能に装着される固定部材を説明する第1の図。
【図4】上記固定部材を説明する第2の図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置であるオプションフィーダの構成を説明する図。
【図6】上記オプションフィーダに着脱可能に装着される固定部材を説明する第1の図。
【図7】上記固定部材を説明する第2の図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ(LBP)の全体構成を示す図である。
【0011】
図1において、50はレーザビームプリンタ、50Aはレーザビームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。そして、このプリンタ本体50Aは、画像形成部50Bを備えると共に、プリンタ本体50Aの下部には給紙カセット1に積載収納された記録紙等のシートSを画像形成部50Bに給送するプリンタ本体側のシート給送装置50Cが設けられている。さらに、このプリンタ本体50Aには、給紙カセット1に積載収納されたシートSを画像形成部50Bに給送するオプションのシート給送装置であるオプションフィーダ50Dが増設されている。
【0012】
ここで、画像形成部50Bは、感光体ドラム57a、帯電器57b、現像スリーブ57c、クリーナ57d等を備えたプロセスカートリッジ57を備えている。また、感光体ドラム57aの表面を露光して感光体ドラム57a上に静電潜像を形成する露光手段であるレーザスキャナ58を備えている。また、このプリンタ本体50Aは、感光体ドラム57aと当接し、感光体ドラム57aと共に転写部を構成する転写ローラ59、転写部にて転写されたトナー画像をシートSに定着させる定着部60等を備えている。
【0013】
プリンタ本体側のシート給送装置50Cは、シート収納部である給紙カセット1に積載されたシートSを最上側より送り出すシート給送部である給紙ローラ6を備えている。また、装置本体側のシート給送装置50Cは、フィードローラ7と、トルクリミッタ9を介してフィードローラ7によって搬送されるシートSを戻す方向へ所定のトルクで回転するリタードローラ8とを備えている。
【0014】
そして、このフィードローラ7とリタードローラ8とにより、給紙ローラ6により送り出されたシートSを一枚ずつ分離搬送するリタード分離方式の分離ローラ対が構成される。なお、オプションフィーダ50Dも同様に、給紙ローラ6と、フィードローラ7及びリタードローラ8を備えている。
【0015】
次に、このように構成されたレーザビームプリンタ50における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず感光体ドラム57aは矢印方向に回転して表面が帯電器57bにより帯電され、この後、感光体ドラム57aに対し、レーザスキャナ58から画像情報に基づいてレーザ光が発光される。これにより、感光体ドラム上には静電潜像が形成される。次に、この静電潜像は、現像スリーブ57cの回転に伴い適度の帯電を受けたトナーが感光体ドラム57a上に供給されて静電潜像に付着することにより、現像されてトナー画像として可視化される。
【0016】
一方、このようなトナー像形成動作に並行してプリンタ本体側のシート給送装置50C、又はオプションフィーダ50Dの給紙ローラ6が回転し、給紙カセット1上の最上位のシートSを送り出す。そして、このように給紙ローラ6により送り出されたシートSは、リタードローラ対7,8により搬送され、停止しているレジストローラ対56で先端位置合わせ(斜行補正)が行われる。次に、画像形成部50Bにおいて感光体ドラム57aに形成される画像とタイミングを合わせるようにレジストローラ対56によりシートSが転写部に搬送され、転写ローラ59により感光体ドラム57aの画像がシートSに転写される。
【0017】
次に、このようにトナー画像が転写されたシートSは、定着部60に設けられた加熱ローラ60a及び加圧ローラ60bにより構成される定着ニップに搬送され、ここで未定着トナー像が加熱・加圧されてシート表面に定着される。なお、このようにしてトナー像が定着された後のシートSは、排紙ローラ61により排紙トレイ62上に排出される。
【0018】
図2は、オプションフィーダ50Dの構成を示す図である。図2に示すように給紙カセット1は、シート束を積載する昇降自在に設けられたシート積載台3と、シート束のシート給送方向と直交する幅方向の規制を行うサイド規制部材4と、シート束の後端を規制する後端規制部材5とを備えている。
【0019】
ここで、シート積載台3は、ワイヤ10により昇降可能に支持されており、給紙カセット1は、このワイヤ10を巻き取り、あるいは巻き出すことによってシート積載台3を昇降させるワイヤ巻き取り部11を備えている。そして、このシート積載台3を昇降させる昇降部であるワイヤ巻き取り部11は、図3に示す駆動伝達部13により伝達される駆動部である駆動モータMからの駆動力により動作する。
【0020】
なお、図3において、13aは駆動モータMにギア連結されている入力ギア、13bは入力ギア13aの軸13eを支点として上下方向に回動可能に支持されている回動アームである。13cは、回動アーム13bに回転自在に支持されると共に入力ギア13aと噛合する回動ギア、13dは回動ギア13cと噛合してワイヤ巻き取り部11を駆動する駆動伝達ギアである。
【0021】
ここで、シート積載台3はワイヤ10で吊ってあるだけの状態のため、シート積載台3は自由に動くことが出来る。そこで、オプションフィーダ50Dを輸送する場合、シート積載台3の破損を防止するために、図2に示すように、輸送用の固定部としての固定部材12をシート積載台3に着脱可能に取り付け、シート積載台3と給紙カセット1を固定する。そして、オプションフィーダ50Dをプリンタ本体50Aに増設した後、この固定部材12を取り外す。
【0022】
なお、固定部材12を装着する際、図4に示すように、固定部材12の側端に突設された係止片12aを、給紙カセット1の側板1aに設けられたスリット1dに差し込む。これにより、固定部材12をシート積載台3の上方の、シート積載台3の上下方向の移動を規制する位置に位置決めして保持することができる。
【0023】
そして、このように固定部材12によってシート積載台3の上下方向の移動を規制することにより、シート積載台3は、輸送時に給紙カセット1に対して上下方向に動かない状態となるので破損を防ぐことができる。なお、本実施の形態において、固定部材12はダンボール包材を箱状に形成して使用している。
【0024】
本実施の形態において、この固定部材12は、図3に示すように駆動伝達部13によるワイヤ巻き取り部11への駆動伝達を遮断する遮断部であるストッパ12bを備えている。そして、固定部材12を装着する際、既述した図2に示すサイド規制部材4に形成されたスリット4aから、このストッパ12bを差し込み、回動アーム13bの下方に入り込ませる。
【0025】
ここで、このようにストッパ12bが入り込むと、回動ギア13cと駆動伝達ギア13dとの噛合が解除された状態となり、回動アーム13bの下方への回動が規制される。これにより、オプションフィーダ50Dの増設時にユーザが固定部材12を取り忘れても、ストッパ12bにより回動ギア13cが駆動伝達ギア13dと噛合することがないので、ワイヤ巻き取り部11が駆動されることはない。
【0026】
このように、本実施の形態においては、固定部材12を取り付けると、駆動伝達部13による駆動伝達が遮断されるので、固定部材12を取り忘れると、オプションフィーダ50Dを動作させてもシート積載台3を上昇させることができなくなる。このため、シート積載台3の破損や駆動モータMの脱調を防ぐことができる。
【0027】
なお、オプションフィーダ50Dを動作させてから所定時間が経過しても、シート積載台3が所定位置にまで上昇しない場合には、これをオペレーエションパネル等に表示をする。これにより、ユーザがシート積載台の固定部材を取り忘れたことに気付かない場合でも、シート積載台が破損するのを防ぐことができると共に、駆動モータMに負荷がかかって駆動モータが脱調することもない。また、このように構成することにより、固定部材12の取り忘れを防ぐことができる。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態においては、輸送時、固定部材12によりシート積載台3を給紙カセット1に固定することができるので、振動等でシート積載台3が破損するのを防ぐことができる。また、固定部材12により、ワイヤ巻き取り部11への駆動伝達を遮断することができるので、固定部材12を外さずにユーザが使用した場合でもシート積載台3が上昇することはない。これにより、増設時、固定部材12の取り忘れを防ぐことができ、シート積載台3の破損及び駆動モータMの脱調を防ぐことができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。図5は本実施の形態に係るシート給送装置であるオプションフィーダの構成を説明する図である。なお、図5において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0030】
図5において、22はオプションフィーダ50Dを輸送する場合、シート積載台3の破損を防止するために、シート積載台3に取り付けられるシート積載台3の固定部としての固定部材である。そして、オプションフィーダ50Dを設置した時には、この固定部材22を取り外す。
【0031】
この固定部材22は、図6の(a)に示すように、輸送時、シート積載台3を給紙カセット1に固定する係止部23と、一側端にワイヤ巻き取り部11への駆動伝達を遮断するストッパ部材24aが設けられている遮断部であるストッパ24を備えている。なお、本実施の形態において、固定部材22を装着する際、図5に示すサイド規制部材4に形成されたスリット4aから、このストッパ24のストッパ部材24aを差し込む。
【0032】
また、本実施の形態において、図6の(b)に示すように、シート積載台3には段状の係止穴3aが形成されている。さらに、給紙カセット1の底板1bの、シート積載台3が底板1bに沿って位置しているときに係止穴3aと対向する位置には、底板1bを貫通するように係止穴1cが形成されている。
【0033】
一方、係止部23には、シート積載台3の係止穴3a及び給紙カセット1の底板1bに形成された係止穴1cに挿通可能な軸部23aが設けられている。さらに、この軸部23aの側壁面には上下方向に所定の間隔を設けて2つの係止片23b,23cが設けられている。なお、この2つの係止片23b,23cは、係止部23(の軸部23a)を挿通する際、2つの係止穴3a,1cと干渉することがない形状を有している。即ち、2つの係止片23b,23cは、2つの係止穴3a,1cに差し込むことができる形状を有している。
【0034】
そして、オプションフィーダ50Dを輸送する場合、係止部23を2つの係止穴3a,1cに挿通した後、90度回転させる。ここで、このように係止部23の回転操作により、図6の(c)に示すように、係止部23の下部の係止片23cが、底板1bに形成された係止穴1cの縁部に係止される状態となる。また、係止部23の上部の係止片23bが、底板1bとシート積載台3の間に入り込む。そして、シート積載台3は、係止部23の上部部分により押さえられる。これにより、シート積載台3に固定され、破損を防ぐことができる。
【0035】
係止部23はピニオンギア23dを有し、ストッパ24はラックギア24bを有している。これにより、係止部23を90度回転させると、これに連動してサイド規制部材4に形成されたスリット4aに差し込まれた状態のストッパ24は、図7に示すように駆動伝達部13の方向に移動し、ストッパ部材24aが回動アーム13bの下方に入り込む。このため、回動ギア13cと駆動伝達ギア13dとの噛合が解除された状態となり、回動アーム13bの下方への回動が規制される。
【0036】
これにより、設置時にユーザが固定部材22を取り忘れても、固定部材22により、回動ギア13cと駆動伝達ギア13dとの噛合が解除されているため、ワイヤ巻き取り部11への駆動伝達を遮断することができる。このため、固定部材12を外さずにユーザが画像形成装置を作動させた場合でもシート積載台3が上昇することはない。これにより、増設時、固定部材22を取り外し忘れた場合でも、シート積載台3の破損及び駆動モータMの脱調を防ぐことができる。
【0037】
なお、以上の説明においては、オプションフィーダ50Dのシート積載台3を固定する固定部材について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、プリンタ本体側のシート給送装置50Cのシート積載台や、カセットデッキのシート積載台を固定する固定部材にも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…給紙カセット、1c…係止穴、3…シート積載台、3a…係止穴、11…ワイヤ巻き取り部、12…固定部材、12a…係止片、12b…ストッパ、13…駆動伝達部、22…固定部材、23…係止部、24…ストッパ、24a…ストッパ部材、50…レーザビームプリンタ、50A…レーザビームプリンタ本体、50B…画像形成部、50C…プリンタ本体側のシート給送装置、50D…オプションフィーダ、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する昇降可能なシート積載台を有するシート収納部と、前記シート収納部に収納されたシートを給送するシート給送部とを備えたシート給送装置において、
前記シート積載台を昇降させる昇降部と、
前記昇降部を駆動する駆動部と、
前記昇降部及び前記駆動部の間に設けられ、前記駆動部の駆動を前記昇降部に伝達する駆動伝達部と、
前記シート収納部に着脱可能に装着され、前記シート積載台を固定し、かつ前記駆動伝達部から前記昇降部への駆動伝達を遮断する固定部と、を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記固定部は、
前記シート収納部に着脱可能に装着されると、前記シート積載台を固定する位置に前記固定部が位置決めされるように前記シート収納部に係止する係止部と、
前記駆動伝達部から前記昇降部への駆動伝達を遮断する遮断部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記シート収納部及び前記シート積載台に係止穴を設け、
前記固定部は、
前記シート収納部及び前記シート積載台の前記係止穴に挿通された後の回転操作により前記シート積載台を固定する係止部と、
前記係止部の回転操作による前記係止部の回転に連動して前記駆動伝達部から前記昇降部への駆動伝達を規制する遮断部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記固定部は、輸送時に前記シート収納部に着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
画像形成部と、前記画像形成部にシートを給送する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−206793(P2012−206793A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71784(P2011−71784)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】