説明

シート給送装置

【課題】 シートを積載位置にセットするときの操作性及びシートを分離して給送する性能にすぐれたシート給送装置を提供する。
【解決手段】 原稿2を積載位置に案内するために、原稿の上面及び下面を案内する案内部材150を設ける。案内部材に、原稿を給送ローラ155と接触しないように積載位置へ案内するためのセット位置と、記録紙3を分離給送するために待避する記録紙分離位置と、原稿を給送ローラに案内する原稿分離位置と、シートを積載位置に戻す部材159の動作を可能にするためのシート戻し位置とを設ける。案内部材を、シート戻し位置からセット位置へ自己復帰するように弾性部材を介して保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、読取装置あるいは画像読取記録装置等に搭載するのに好適なシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給送装置は、プリンタ、複写機あるいはファクシミリ等の機能を有する装置において画像形成部や読取部にシートを給送する手段として広く使用されている。この給送装置は、紙、布、プラスチックシート、OHP等の記録媒体(以下では、記録紙と称する)や読取媒体(以下では、原稿と称する)などのシートの束から1枚を分離して画像形成部や読取部などの処理部へ給送するように構成されている。
【0003】
また、画像読取記録装置では、装置の小型化やコストダウンの観点から、記録紙と原稿の給送機構を共通化することで、部品の点数を減らしたものが提案されている。さらに、特許文献1には、原稿と記録紙を共通の給送装置で分離して給送し、共通の搬送機構で搬送することで、コストダウンや小型化を図った画像読取記録装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−008273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像読取記録装置では、記録紙の積載部の上に原稿の積載部を配置しており、原稿を積載部にセットするときに原稿の束の先端が給送ローラの周面上に位置するようにセットする必要がある。このため、上側にカールした原稿をセットするときや、ユーザにより粗野にセットされたときに原稿の先端が給送ローラに接触し、セット状態が不安定になり、分離給送性能が低下することがあった。
【0005】
また、特許文献1に記載の画像読取記録装置では、記録紙の積載部の上に原稿の積載部が配置されており、原稿の下面を保持して案内することはできるが、原稿の上面を案内することはできない構成になっている。かかる構成では、セットされた原稿の上面の空間が広くなり、伝票などの薄い原稿をセットするときに原稿自身の重さで先端部が折れ、折れた状態でセットされることがある。このために原稿を送り出すときの分離給送性能が低下することがあった。また、はみ出した原稿を戻しレバーにより積載位置へ戻す際に先端部を折り曲げてしまい、分離性能が低下することもあった。
【0006】
このような事情に鑑みて、本発明の目的は、第1シートを積載するための第1積載部と、第2シートを積載するための第2積載部と、第1シートまたは第2シートを給送する給送ローラと、を備える構成において、シートを積載位置にセットするときの操作性及びシートを分離して給送する性能にすぐれたシート給送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、第1シートを積載するための第1積載部と、第2シートを積載するための第2積載部と、前記第1積載部に積載された第1シートまたは前記第2積載部に積載された第2シートを給送する給送ローラと、前記第1シートまたは前記第2シートを対応する積載部に戻すための戻し部材と、前記第2積載部に配され前記第2シートを案内する案内部材と、を備え、前記案内部材は、第2シートを前記第2積載部に積載するときのセット位置と、前記第2積載部に積載された第2シートを前記給送ローラで給送するときの第2シート分離位置と、前記第1積載部に積載された第1シートを前記給送ローラで給送するときの第1シート分離位置と、前記戻し部材によりシートを戻すときのシート戻し位置と、に移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートを積載位置にセットするときの操作性及びシートを分離して給送する性能にすぐれたシート給送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明の一実施形態に係る画像読取記録装置の全体構成を示す縦断面図であり、図2は画像読取記録装置の斜視図である。図3は画像読取記録装置の斜視図である。図1〜図3において、画像読取記録装置1は、キャリッジ270に搭載された記録ヘッド4、原稿を読み取る読取手段6、記録紙または原稿を供給するためのシート給送装置7、記録紙または原稿を搬送するための搬送ローラ110を有する搬送手段、並びに記録紙または原稿を排出するための排紙ローラ112を有する排紙手段を備えている。記録ヘッド4は、記録紙へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドである。
【0010】
シート積載部14には、第1シートである記録紙3の積載位置と第2シートである原稿2の積載位置が設けられている。なお、本願では、記録紙及び原稿の両方もしくは一方を指す場合、シートと称する。シート給送装置7には、積載された記録紙3または原稿2を1枚ずつ分離して給送するための給送ローラ155が配されている。給送ローラ155によって分離された記録紙3は、搬送ローラ110を有する搬送路11へ給送される。
【0011】
給送ローラ155によって分離されたシートは、搬送ローラ110と搬送ローラ110に圧接されたピンチローラ261により搬送され、記録又は読取を終えたシートは排紙ローラ112により装置本体外へ排出される。
【0012】
キャリッジ270は、左右方向に延びるシャーシレール268及びシャーシ267の一部に形成されたサポートレール267aに沿って、シートの搬送方向と直交する方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ270に搭載された記録ヘッド4と対向する位置にプラテン231が配置されている。本実施形態では、プラテン231は原稿2を読み取る読取動作時には搬送路11の上側に移動し、記録紙3に記録を行う記録動作時には図1に示す使用位置に移動する。記録ヘッド4からインクを吐出することにより記録された記録紙3は、搬送ローラ110及び排紙ローラ112により装置本体から排出され、トレイ等に載置される。
【0013】
図2において、キャリッジ270の移動範囲内であって、記録を行う記録領域を外れた図示右側に吐出回復部21が配置されている。この吐出回復部は、記録ヘッド4のインク吐出性能を正常に維持回復するための装置である。図2中の領域Aは、キャリッジ270の移動範囲を示す。そのうち、領域A1は、記録ヘッド4からキャップ183が離間したキャップオープン状態でキャリッジ270が移動する領域を示す。また、領域A2は、キャップ183が記録ヘッド4に当接したキャップクローズ状態(キャッピング状態)でキャリッジ270が移動する領域を示す。
【0014】
図4は読取動作時の読取手段の周辺部を示す縦断面図である。図5は記録動作時の読取手段の周辺部を示す縦断面図である。記録動作も読取動作も行わない待機状態においては、原稿2を読み取るための読取手段6は図4に示すような状態に保持される。図4の待機状態から操作パネル26の操作などにより記録指令が発せられると、読取手段6が搬送路11の下側の退避位置へ移動するとともにプラテン231が搬送路11の下側の使用位置(図5)へ移動する。
【0015】
記録動作が終了すると、読取手段6は搬送路11の下側から上側へ移動して図4の読取状態(待機状態と同じ)となる。この読取手段6の移動に伴って、プラテン231は搬送路11の上側へ移動する。なお、読取手段6が搬送路11の上側にあるとき、もしくは移動しているときには、キャリッジ270は図2に示す装置右側のシート搬送領域を外れた位置へ退避しており、読取手段6と干渉することはない。
【0016】
次に読取動作について説明する。図4に示すように、記録装置の待機状態では読取手段6は搬送路11の上側に位置している。ユーザーによる操作パネル26の操作などによる読取指令が発せられると、シート積載部14の積載位置にセットされた原稿2は搬送ローラ155により1枚ずつ分離され、搬送ローラ110へ給送される。給送される原稿は、搬送ローラ110及び排紙ローラ112により搬送路11に沿って搬送されながら、読取手段6により画像を読み取られる。読取手段6は読取センサ246及び白基準部材228等で構成されている。読取動作が終了すると、原稿2は排紙ローラ112を通して装置本体から排出される。
【0017】
図6はシート給送装置7に記録紙をセットした状態を示す縦断面図である。図6において、圧板148の上面には複数枚の記録紙3をセットできる空間を保って原稿台149が装置本体に固定されている。記録紙3の積載位置は、圧板148の上面に構成されている。原稿台149には、支点152を介して、原稿を積載位置に案内するための案内部材150が回動可能に軸支されている。原稿台149及び案内部材150は原稿2の積載位置を構成している。案内部材150には、原稿の下面を案内する下案内面150Aと原稿の上面を案内する上案内面150Bが設けられている。下案内面150Aと上案内面150Bとの間には原稿2をセットするための隙間が設けられている。この隙間は腰の弱い原稿を保持するためにもできる限り狭いほうが良く、最大セット枚数の原稿の厚さに少し余裕を持った寸法に設定されている。本実施例では、カールした原稿を考慮し、例えば原稿束の厚みに対し約2mm程度の余裕を持たしている。
【0018】
案内部材150は、自重と積載された原稿の重さにより発生する荷重よりも大きな荷重が作用したときに作動する(伸びる)バネ151により保持され、回動方向の位置を規制されている。つまり、案内部材150は、矢印E方向に作用する外力がバネ151の初期張力(案内部材の自重及び原稿の重さによる荷重)を超えたときに矢印E方向に回動し、この外力が初期張力以下になると初期位置に自己復帰する。また、矢印Fの方向に外力が作用する場合も、外力が初期張力を超えたときに回動し、外力が初期張力以下になると初期位置に自己復帰する。バネ151が作動していない状態(初期状態)における上案内面150Bの位置は、原稿をセットするときにその先端が給送ローラ155の外周面に引っ掛からないで案内できる位置に設定されている。本実施形態では、給送ローラ155の外周面と上案内面150Bが同一面上になるように設定されているが、上案内面150Bは、給送ローラ155の外周面より外側にあっても良く、また少し内側にあっても良い。
【0019】
案内部材150には、第2シートである原稿2が積載されたときに該原稿の先端が当接することで回転可能なシート当接部材153が支持されている。また、後述のように、シート当接部材153の移動により原稿有りの検知信号を発生することができる。すなわち、シート当接部材153は、積載位置にセットされた原稿2の先端と当接して回転できる位置に配されている。そして、シート当接部材153の位置により、原稿の有無はもちろん、原稿が給送可能な状態にあるかを検出することができる。具体的には、シート当接部材153は、ギア列等からなる伝動機構154を介して遮蔽部材156と同期して回転できるように連結されている。
【0020】
シート当接部材153に原稿の先端が当接していないときは、遮蔽部材156は検出信号発生部であるフォトセンサ157の光軸158を遮蔽している。シート当接部材153に原稿の先端が当接すると、シート当接部材153の回転が遮蔽部材156に伝達され、遮蔽部材156が回転する。これにより、光軸158の遮蔽が解除されることで、フォトセンサ157により原稿有りを検出することができる。シート当接部材153は、厚みが60μm程度の腰の弱い原稿である場合でも先端と当接して回転することで原稿有りを検出できるように、バネの弾性力で保持されている。本実施形態ではシート当接部材153をバネで保持しているが、遮蔽部材156又はシート当接部材153の自重によるトルクで保持する構成でも良い。
【0021】
次にシート給送装置7における複数枚の原稿の給送動作について説明する。図7はシート給送装置に複数枚の記録紙と複数枚の原稿をセットした状態を示す縦断面図である。図8はシート給送装置において複数枚の原稿から1枚の原稿を分離した状態を示す縦断面図である。図9はシート給送装置において1枚の原稿を分離した後に戻し部材が退避位置へ移動した状態を示す縦断面図である。
【0022】
図7において、原稿台149及び案内部材150からなる積載位置にセットされる複数枚の原稿2は、案内部材150の上案内面150Bと下案内面150Aの間に案内された状態でセットされる。原稿がセットされると、その先端でシート当接部材153が回動させられ、フォトセンサ157により原稿有りが検出される。このとき、案内部材150は、原稿の重さ分だけの荷重を受けているが、バネ151の初期張力によって初期位置に保持されている。この初期位置は、原稿が積載位置にセットされて読取動作の待機状態に入ったセット位置である。案内部材150がこのセット位置にあるとき、原稿2は案内部材150により給送ローラ155と接触しないように図示の積載位置へ案内されている。また、このセット位置では、積載部14内の原稿2と記録紙3は、戻し部材である戻し爪159によって分離部160への落ち込みを阻止されている。図7に示す戻し爪159の位置を戻し爪のセット位置とする。
【0023】
次に、図8を用いて1枚の原稿を分離する状態を説明する。先ず、図7の状態から戻し爪159が図中の反時計回りに回転して退避することで、原稿及び記録紙を分離できる状態になる。図8に示す戻し爪159の位置を戻し爪の分離位置とする。また、カム機構等により所定のタイミングで圧板148が上昇することで、複数枚の原稿2は、記録紙3を間に挟んだ状態で給送ローラ155に押圧される。案内部材150も、圧板148の上昇により記録紙を介して押し上げられ、支点152を中心に図示時計回りに回転することで複数枚の原稿2を給送ローラ155へ案内し分離可能な原稿分離位置(第2シート分離位置)へ回転する。図8の案内部材150の原稿分離位置は、図7のセット位置よりも高くなっている。
【0024】
この状態で給送ローラ155が回転駆動されることで、原稿2は給送ローラ155と分離ローラ172により分離部160へ送り出される。続いて、給送ローラ155と分離ローラ172のニップ部で複数枚の原稿から最上位の1枚だけが分離され、搬送下流側の搬送ローラ110へ給送される。なお、原稿台149上に回転可能に保持された案内部材150は、初期張力より圧縮方向に変位していたバネ151の伸び方向の反発力により、図8の原稿分離位置(第2シート分離位置)から図7のセット位置へ自己復帰させることができる。あるいは、案内部材150の自重によって自己復帰させることができる。
【0025】
次に、図9を用いて分離した1枚の原稿を給送する状態を説明する。原稿2の分離が終了すると、圧板148が所定のタイミングで押圧を解除するセット位置に戻される。同時に、戻し爪159が図示時計回りに回転し、給送ローラ155と分離ローラ172のニップ部に残った原稿を積載位置へ戻していく。このとき、戻し爪159は、その先端が分離された1枚の原稿2Aの裏面に摺接しながら図示時計回りに回転し、原稿2Aの搬送経路と干渉しない位置まで回転する。図9に示す戻り爪159が給送される原稿と干渉しない位置を戻し爪の退避位置とする。
【0026】
戻し爪159は、図9の退避位置まで回転すると積載位置にある原稿2を押し下げ、原稿を介して案内部材150も押し下げられる。そして、案内部材150は、戻し爪159で押し下げられることにより、原稿台149上の支点152を中心に反時計回りに回転し、図9に示すシート戻し位置まで回転させられる。この案内部材150のシート戻し位置は、戻し爪159の戻し動作を可能にするための位置でもある。この案内部材150のシート戻し位置は、図7に示すセット位置(初期位置)よりも、支点152を中心に図示反時計回りに回転した位置にある。このため、バネ151には初期張力を超えた矢印E方向の荷重が作用しており、バネ151は伸びた状態(荷重の解放により自己復帰可能な状態)にある。分離された1枚の原稿2Aは、上案内面150Bと戻し爪159の裏面(背面)159Aとの間に形成される隙間を通って給送される。
【0027】
給送された原稿は、搬送ローラ110により搬送されながら読取手段6で読み取られ、排紙ローラ112により装置本体外へ排出される。原稿2の後端が給送ローラ155から抜け出した後、もしくは読取動作を終了した後、戻しレバー159は、図示反時計回りに回転されて図7の待機状態となる。同時に、案内部材150は、戻し爪159の押付け力から解放され、バネ151の弾性力により、図9のシート戻し位置から図7のセット位置へ自己復帰する。
【0028】
図10はシート給送装置において1枚だけセットされた原稿を分離給送するときに戻し爪159が退避位置に移動した状態を示す縦断面図である。図10において、圧板148は図9と同様に押圧を解除するセット位置に戻されている。案内部材150と戻し爪159は、シート幅方向において異なる位置に離れて配されている。従って、1枚だけセットされた原稿2Bが分離給送されるときは、戻し爪159が退避位置へ回転してきても、戻し爪と案内部材が干渉することはない。このため、戻し爪159は図10に示すように案内部材150と重なる位置まで回転して退避状態となる。また、案内部材150は、戻し爪159により押し下げられることはなく、図7に示すセット位置(初期位置)に保持される。
【0029】
このとき、案内部材150の上案内面150Bと分離給送されている原稿との間に空間がある。従って、戻し爪159が原稿2Bの裏面に摺接しながら図8の分離位置から図10の退避位置に移動するときに、原稿が上方に逃げることが可能になる。これにより、厚さの薄い原稿の場合でも、戻し爪159によって原稿を変形させることが無くなり、ジャム等の給送不良を無くすことができる。
【0030】
次に、記録紙の給送動作について説明する。図11はシート給送装置において記録紙を分離したときの状態を示す縦断面図である。図11において、先ず戻し爪159が図示反時計回りに回転して図示の退避位置(開放位置)にくることで、第1シートである記録紙3を分離給送可能な状態になる。そこで、カム機構等により圧板148が所定のタイミングで上昇させられ、記録紙3が給送ローラ155に押圧される。
【0031】
すると、案内部材150も、圧板148の上昇により記録紙3を介して押し上げられ、支点152を中心に図示時計回り方向へ回転し図11に示す位置まで上昇する。この案内部材150の位置は、第1シートである記録紙3を分離給送するために退避する第1シート分離位置(記録紙分離位置)である。この案内部材150の記録紙分離位置は、図8に示す原稿分離位置よりもさらに回転した位置である。このとき、遮蔽部材156は案内部材150と一体に支点152を中心に回転するが、フォトセンサ157の光軸158は遮蔽部材156によって遮蔽されたままであり、原稿なしと検知する。
【0032】
この状態で、給送ローラ155が回転駆動されると、給送ローラ155に押圧された記録紙は給送ローラ155と分離ローラ172の分離部160へ送り出される。続いて、記録紙は給送ローラ155と分離ローラ172のニップ部で最上位の1枚だけ分離されて給送方向へ搬送される。その後、原稿の場合と同様、戻し爪159は図示時計回りに回転しながら、残りの記録紙を積載位置へ戻す。次いで、戻し爪159は、図示反時計回りに回転して図示の退避位置へ戻る。一方、案内部材150は、分離された1枚の記録紙により下面(底面)を支持されるため、図示の記録紙分離位置に保持される。そして、記録紙3の後端が給送ローラ155と分離ローラ172のニップ部を抜けると、案内部材150は自重により図7に示すセット位置(初期位置)へ自己復帰する。つまり、初期張力より圧縮方向に変位していたバネ151の伸び方向の反発力により、図7に示すセット位置に自己復帰する。
【0033】
なお、本実施形態では、案内部材150は、図11の記録紙分離位置又は図8の原稿分離位置から、図7のセット位置に自己復帰する際に自重で回転するように構成したが、自己復帰させるための付勢手段を設けても良い。そして、この付勢手段としてバネ151を使用しても良い。
【0034】
以上説明した実施形態は、記録紙の上に重なるように原稿を積載し、1つの給送ローラにより記録紙または原稿を分離給送するシート給送装置において、積載された原稿2の上面及び下面を案内するための上案内面150B及び下案内面150Aを有する案内部材150を備える。この案内部材150は、少なくとも上から記録紙分離位置、原稿分離位置、セット位置(初期位置)、シート戻し位置の4つの位置を取り得ることができる。案内部材150の位置は、下からシート戻し位置、セット位置、原稿分離位置(第2シート分離位置)、記録紙分離位置(第1シート分離位置)、の順番である。なお、本実施形態では、案内部材150は、支点152を中心として回転する構成としたが、上下方向に平行移動する構成としても良い。
【0035】
このような構成によれば、原稿を積載位置にセットするときに原稿の先端が給送ローラの表面に当接してセットが不安定となることを防止でき、給送性能の低下を回避することができる。また、原稿の先端が給送ローラの表面に当接して原稿の先端が折れ曲がることを防止できる。また、上記構成の案内部材150を用いることで、所定の空間内で原稿の上面と下面の両方を案内することができる。このため、厚さの薄い原稿をセットしたり、分離給送したりするときに原稿が自重で折れ曲がることを防止でき、折れ曲がりに起因する給送性能の低下も回避することができる。こうして、シートを積載位置セットするときの操作性及びシートを分離して給送する性能にすぐれたシート給送装置が提供される。
【0036】
なお、以上の実施形態では、第1シートである記録紙と第2シートである原稿を分離給送する場合を例に挙げて説明したが、記録紙と記録紙、あるいは原稿と原稿を分離給送する場合にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取記録装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】画像読取記録装置の斜視図である。
【図3】画像読取記録装置の斜視図である。
【図4】読取動作時の読取手段の周辺部を示す縦断面図である。
【図5】記録動作時の読取手段の周辺部を示す縦断面図である。
【図6】シート給送装置に記録紙をセットした状態を示す縦断面図である。
【図7】シート給送装置に複数枚の記録紙と複数枚の原稿をセットした状態を示す縦断面図である。
【図8】シート給送装置において複数枚の原稿から1枚の原稿を分離した状態を示す縦断面図である。
【図9】シート給送装置において1枚の原稿を分離した後に戻し部材が退避位置へ移動した状態を示す縦断面図である。
【図10】シート給送装置において1枚だけセットされた原稿を分離給送するときに戻し部材が退避位置に移動した状態を示す縦断面図である。
【図11】シート給送装置において記録紙を分離したときの状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 画像読取記録装置
2 第2シート(原稿)
3 第1シート(記録紙)
4 記録ヘッド
7 シート給送装置
14 シート積載部
148 圧板
149 原稿台
150 案内部材
151 バネ
153 シート当接部材
154 伝動機構
155 給送ローラ
156 遮断部材
157フォトセンサ
159 戻し爪
172 分離ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートを積載するための第1積載部と、
第2シートを積載するための第2積載部と、
前記第1積載部に積載された第1シートまたは前記第2積載部に積載された第2シートを給送する給送ローラと、
前記第1シートまたは前記第2シートを対応する積載部に戻すための戻し部材と、
前記第2積載部に配され前記第2シートを案内する案内部材と、を備え、
前記案内部材は、第2シートを前記第2積載部に積載するときのセット位置と、前記第2積載部に積載された第2シートを前記給送ローラで給送するときに第2シート分離位置と、前記第1積載部に積載された第1シートを前記給送ローラで給送するときの第1シート分離位置と、前記戻し部材によりシートを戻すときのシート戻し位置と、に移動可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記案内部材は付勢手段を介して保持され、初期状態において前記セット位置に移動させられることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記付勢手段により前記シート戻し位置から前記セット位置に移動させられることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記案内部材の位置は、下から前記シート戻し位置、前記セット位置、前記第2シート分離位置、前記第1シート分離位置、の順番であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記案内部材には第2シートが当接して移動するシート当接部材が支持されており、該シート当接部材が移動することにより第2シートが積載されているかを検知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記第2シート分離位置または前記第1シート分離位置にある前記案内部材を前記セット位置に移動させるための付勢手段をさらに設けることを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記第2シート分離位置または前記第1シート分離位置にある前記案内部材を前記セット位置に移動させるための付勢手段は、前記シート戻し位置にある前記案内部材を前記セット位置に移動させるための付勢手段と同一であることを特徴とする請求項6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記第1シートは記録紙であり、前記給送ローラにより給送された第1シートに記録ヘッドにより記録を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記記録ヘッドは、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項10】
前記第2シートは原稿であり、前記給送ローラにより給送された第2シートの画像を読み取る読取手段を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシート給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−179479(P2008−179479A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330961(P2007−330961)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】