説明

シート製造装置および製造方法

【課題】被着体に対する接着シートの貼付方向を適切に保つことができるシート製造装置および製造方法を提供すること。
【解決手段】シート製造装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面に帯状シートがS1仮着された第1原反R1を繰り出す繰出手段2と、繰出手段2により繰り出された第1原反R1の帯状シートS1から剥離シートRLを一旦剥離して迂回させる迂回手段4と、迂回手段4で剥離シートRLが迂回されている部分の帯状シートS1を切断して所定長さの接着シートSを形成する切断手段6と、切断手段6で形成された接着シートSを剥離シートRLに再仮着させることで第2原反R2を形成する再仮着手段5と、第2原反R2を巻き取る巻取手段8と、巻取手段8で巻き取られた第2原反R2を再び巻き取る再巻取手段9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着シートを製造するシート製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剥離シートに仮着された帯状シートを切断してラベル等の接着シートを形成するシート製造装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のシート製造装置は、ラベル形状の切断刃を有するラベル型抜ロールが帯状シート上を転動してラベルの型抜きを行った後、剥離シートから一旦剥離したラベルを剥離シートのラベル型抜き跡からずらして剥離シートに再仮着するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−37090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接着シートは、例えば、公知のシート貼付装置等で自動貼付する場合に、適切な向きで被着体に貼付することができるよう、被着体に対する接着シートの貼付方向を考慮して製造する必要がある。このため、例えば、接着シートに予め印刷を施しておく場合や、所定形状にラベル型抜きする場合には、後のシート貼付方向を考慮にして、接着シートの印刷の向きやラベル型抜きの方向が設定されている。
しかしながら、特許文献1に記載のシート製造装置では、形成された接着シートが再仮着された原反を回収ローラで巻き取って回収するため、回収された原反の接着シートを被着体に向けて繰り出すと、被着体に対する接着シートの貼付方向が反対になってしまうという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、被着体に対する接着シートの貼付方向を適切に保つことができるシート製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート製造装置は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された第1原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段により繰り出された第1原反の帯状シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、前記迂回手段で剥離シートが迂回されている部分の帯状シートを切断して所定長さの接着シートを形成する切断手段と、前記切断手段で形成された接着シートを前記剥離シートに再仮着させることで第2原反を形成する再仮着手段と、前記第2原反を巻き取る巻取手段と、前記巻取手段で巻き取られた第2原反を再び巻き取る再巻取手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明のシート製造装置において、前記再巻取手段は、前記繰出手段によって構成され、前記帯状シートまたは前記接着シートと前記迂回された剥離シートとの間に位置する部材を前記剥離シートの迂回部分から退避させる退避手段を備えていることが好ましい。
本発明のシート製造装置は、前記切断手段により前記接着シートと切り離された帯状シートを前記再仮着手段に架け渡す架渡手段を備えていることが好ましい。
また、本発明のシート製造装置において、前記架渡手段は、架け渡し途中の帯状シートを付勢して当該帯状シートの前記再仮着手段への架け渡しを補助する架渡補助手段を有することが好ましい。
さらに、本発明のシート製造装置において、前記迂回手段は、前記接着シート同士の間隔を拡げる間隔形成手段を備えていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート製造方法は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された第1原反を繰り出し、繰り出された第1原反の帯状シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させ、前記剥離シートが迂回されている部分の帯状シートを切断して所定長さの接着シートを形成し、前記接着シートを迂回さていれた剥離シートに再仮着させて第2原反を形成し、前記第2原反を巻き取り、巻き取られた第2原反を再び巻き取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、繰出手段から繰り出された第1原反の帯状シートを切断して接着シートを形成し、接着シートが再仮着された第2原反を巻き取った後、この第2原反を再巻取手段により再び巻き取るため、第1原反の帯状シートの繰出方向と、再巻き取りされた接着シートを繰り出す繰出方向とが等しくなる。従って、接着シートの貼付方向が反対になってしまうといった不都合を防止することができ、被着体に対する接着シートの貼付方向を適切に保つことができる。
【0010】
また、繰出手段によって再巻取手段を構成する、つまり繰出手段で接着シートを再び巻き取るように構成すれば、再巻取手段を専用に設ける必要がないので、シート製造装置を簡易な構成とすることができる。この際、帯状シートまたは接着シートと迂回手段によって迂回された剥離シートとの間に位置する部材を剥離シートの迂回部分から退避させるため、第2原反を再び巻き取る際に、接着シートが再仮着手段で剥離シートから剥離されることがなくなる上、接着シートが剥離シートと共に迂回経路を経由することがないので、当該第2原反を高速で再巻取することができる。
また、架渡手段を設けたことで、帯状シートの種類、材質、厚さ寸法等にかかわらず、切断後の帯状シートが垂れ下がり、当該帯状シートが再仮着手段で剥離シートに再仮着できなくなってしまうことを確実に防止することができる。さらに、架渡補助手段を設ければ、再仮着手段への帯状シートの架け渡しを補助することができるため、帯状シートが再仮着できなくなってしまうことをより確実に防止することができる。
また、間隔形成手段により接着シート間に所定の間隔が形成されるので、例えば、後に公知のシート貼付装置等で自動貼付する場合に、1つの被着体に対して複数の接着シートを貼付してしまうような貼付不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート製造装置の側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るシート製造装置の部分斜視図。
【図3】図1のシート製造装置の接着シート形成時の動作説明図。
【図4】図1のシート製造装置の接着シート形成時の動作説明図。
【図5】図1のシート製造装置に設けられた架渡手段の動作説明図。
【図6】図1のシート製造装置の接着シート再巻取時の動作説明図。
【図7】図1のシート製造装置の接着シート再巻取時の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態における明示のない例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図1を基準に用いられている。
図1に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面に仮着された帯状シートS1を所定長さに切断して所定長さの接着シートSを形成すると共に、この接着シートSが剥離シートRLに再仮着された第2原反R2をロール状に巻き取るものである。ここで、帯状シートS1は、図示しない基材シートの一方の面に接着剤層が積層されるとともに、当該接着剤層を介して剥離シートRLに仮着された第1原反R1として予め準備されている。
【0013】
シート製造装置1は、帯状シートS1が仮着された第1原反R1を繰り出す繰出手段2と、接着シートSの繰出方向長さを変更する接着シート長変更手段3と、繰り出された第1原反R1の帯状シートS1から剥離シートRLを一旦剥離して迂回させる迂回手段4と、帯状シートS1を切断して接着シートSを形成する切断手段6と、切断手段6で形成された接着シートSを剥離シートRLに再仮着させることで第2原反R2を形成する再仮着手段5と、切断手段6により接着シートSと切り離された帯状シートS1を再仮着手段5に架け渡す架渡手段7と、第2原反R2を巻き取る巻取手段8とを備えている。
【0014】
繰出手段2は、その全体が図示しないベースフレームに支持されている。この繰出手段2は、第1原反R1をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ25によって第2原反R2を再巻き取り可能に設けられた支持ローラ21と、駆動機器としての回動モータ22によって駆動する駆動ローラ23と、駆動ローラ23との間に第1、第2原反R1、R2を挟み込むピンチローラ24とを備えている。この繰出手段2は、第2原反R2が巻取手段8で巻き取られた後に、この第2原反R2を再び巻き取る再巻取手段9をも兼ねている。
【0015】
接着シート長変更手段3は、図示しないベースフレームに支持された駆動機器としての直動モータ31と、直動モータ31の図示しないスライダに取り付けられた第1移動フレーム32と、第1移動フレーム32の支持フレーム32Aに支持された駆動機器としての直動モータ33と、直動モータ33のスライダ33Aに支持フレーム34Aを介して支持された第2移動フレーム34とを備えている。第1移動フレーム32は、再仮着手段5および架渡手段7を支持するとともに、一対の支持フレーム32Bを介してレール35を支持している。第2移動フレーム34は、レール35のスライダ35Aに支持フレーム34Bを介して支持され、その移動が補助されるようになっている。なお、第2移動フレーム34と直動モータ33とで、退避手段が構成されている。
【0016】
迂回手段4は、第1移動フレーム32に支持されて帯状シートS1から剥離シートRLを剥離させる剥離ローラ41と、剥離ローラ41で剥離された剥離シートRLをガイドして迂回させる複数の迂回ローラ42,43と、第2移動フレーム34の図1中奥側に設けられた駆動機器としての直動モータ44とを備えている。迂回ローラ42は、直動モータ44のスライダ44Aに回転可能に支持され、第2移動フレーム34に形成されたスロット孔34Cに沿って左右方向に移動可能に設けられ、迂回ローラ43は、第2移動フレーム34に回転可能に支持されている。なお、迂回ローラ42と直動モータ44とで、接着シートS同士の間隔を拡げる間隔形成手段が構成される。
【0017】
切断手段6は、第2移動フレーム34に設けられた図示しない駆動機器によって昇降可能な下切断刃61と、帯状シートS1を挟んで下切断刃61と対向して設けられるとともに、第1移動フレーム32に設けられた駆動機器としての直動モータ63によって昇降可能な上切断刃62と、下切断刃61に付着してしまった帯状シートS1に、下方から上方に向けてエアを吹付けることで当該帯状シートS1を下切断刃61から切り離す切離し手段64とを備えている。切離し手段64は、図2に示すように、端部が閉じたパイプに複数の通気孔64Aが形成され、これらの通気孔64Aからエアが噴出するように構成されている。なお、下切断刃61には、帯状シートS1の接着剤層が接着しないように、フッ素樹脂コート等の不接着処理を施しておくのが好ましい。また、切離し手段64としては、エアを吹付けるもの以外に、下切断刃61に付着した帯状シートS1をシャフトやプレート等によって切り離したり、帯状シートS1の上方から帯状シートS1を吸引したりするもの等、下切断刃61に付着した帯状シートS1を下方から上方に向けて付勢できるものであれば足りる。
【0018】
再仮着手段5は、迂回手段4で迂回してきた剥離シートRLを接着シートSの送り方向に誘導する誘導ローラ51と、誘導ローラ51に対向して設けられたピンチローラ52と、このピンチローラ52を誘導ローラ51に向けて進退させる駆動機器としての直動モータ53とを備え、接着シートSと剥離シートRLとを誘導ローラ51およびピンチローラ52間に挟み込むことにより、接着シートSを剥離シートRLに再仮着させる。
【0019】
架渡手段7は、駆動機器としての直動モータ71と、この直動モータ71のスライダ72に固定された駆動機器としての直動モータ73と、この直動モータ73のスライダ74に支持され下面側に図示しない多数の吸着孔を有する吸着プレート75と、架け渡し途中の帯状シートS1に下方から上方に向けてエアを吹付けることで、当該帯状シートS1の先端部分が下方に垂れ下がることを防止しつつ、当該帯状シートS1を確実に誘導ローラ51上の剥離シートRL上に導く架渡補助手段76とを備えている。
【0020】
吸着プレート75は、図2に示すように、端部に端寸幅方向に切り欠かれた切欠部77を有しており、帯状シートS1を再仮着手段5側に架け渡した状態でピンチローラ52を下降させても、当該ピンチローラ52が吸着プレート75と干渉することはない。
架渡補助手段76は、図2に示すように、端部が閉じたパイプに複数の通気孔76Aが形成され、これらの通気孔76Aからエアが噴出するように構成されている。なお、架渡補助手段76としては、エアを吹付けるもの以外に、ガイドシャフトやガイドプレート、帯状シートS1の上方から帯状シートS1を吸引するもの等、架け渡し途中の帯状シートS1を下方から上方に向けて付勢できるものであれば足りる。
【0021】
巻取手段8は、その全体が図示しないベースフレームに支持されている。この巻取手段8は、駆動機器としての回動モータ85によって第2原反R2を巻き取る巻取ローラ81と、駆動機器としての回動モータ82によって駆動する駆動ローラ83と、駆動ローラ83との間に第2原反R2を挟み込むピンチローラ84とを備えている。
【0022】
以上のシート製造装置1において、接着シートSを製造する手順としては、先ず、図1に示すように、剥離シートRLを迂回手段4で剥離して迂回させた状態で、第1原反R1を巻取ローラ81にセットして起動指令が入力される。起動指令が入力されたシート製造装置1は、図3(A)に示すように、直動モータ63および図示しない駆動機器が上、下切断刃62、61を駆動することにより、剥離シートRLが迂回されている部分の帯状シートS1を切断する。このとき、下切断刃61には、不接着処理が施されているものの、経時によって不接着処理が機能しなくなる場合があり、図3(B)中二点鎖線で示すように、下切断刃61に帯状シートS1が付着してしまい、架渡手段7による帯状シートS1の架け渡しに悪影響を及ぼす場合がある。このような場合、切離し手段64が下切断刃61に付着している帯状シートS1に下方から上方に向けてエアを吹付け、下切断刃61と帯状シートS1とを切り離すことができる。なお、切離し手段64は、図示しない付着検知センサによって下切断刃61と帯状シートS1とが付着していることを検出したときに、エアを吹付けるようにしてもよいし、切断手段6が帯状シートS1を切断する度にエアを吹付けるようにしてもよい。
【0023】
帯状シートS1が切断されると、図3(B)に示すように、吸着プレート75の図示しない吸着孔で帯状シートS1の吸引を開始する。なお、この吸引は、帯状シートS1の切断前の段階から行われるようにしてもよい。次いで、繰出手段2が回動モータ25,22を駆動して支持ローラ21、駆動ローラ23を回転させて第1原反R1を繰り出し、直動モータ44が迂回ローラ42を第1原反R1の繰出方向へ所定距離移動させた後、巻取手段8が回動モータ82,85を駆動して駆動ローラ83、巻取ローラ81を回転させる。本実施形態の場合、迂回ローラ42の移動量は1mmに設定されているが、1mm以上でも1mm以下でもよく、また、迂回ローラ42が移動しなくてもよい。この第1原反R1の繰り出しの際、架渡手段7は、図4(A)に示すように、帯状シートS1を吸引しつつ、直動モータ71を駆動して第1原反R1の繰出速度と同速度で帯状シートS1を誘導ローラ51およびピンチローラ52間に向けて移動させ、帯状シートS1を誘導ローラ51上の剥離シートRL上に架け渡す。このとき、架渡補助手段76が帯状シートS1の先端部分にエアを吹付け、当該帯状シートS1の先端部分を下方から上方に向けて付勢するので、帯状シートS1を確実に誘導ローラ51上の剥離シートRL上に導くことができる。
【0024】
そして、図4(B)に示すように、帯状シートS1が架け渡されると、再仮着手段5は、直動モータ53を駆動してピンチローラ52を下降させると同時に、架渡手段7は帯状シートS1の吸引を解除する。下降したピンチローラ52は、切欠部77により吸着プレート75との干渉を回避しつつ、誘導ローラ51と共に帯状シートS1および剥離シートRLを挟み込む。これにより、帯状シートS1が、先に形成された接着シートS(先行する帯状シートS1)との間に所定の間隔(約1mm)を隔てて剥離シートRLに再仮着されて繰り出される。
【0025】
帯状シートS1の再仮着を終えた架渡手段7は、図5に示すように、直動モータ73を駆動して吸着プレート75をA1方向に移動させ、次いで、直動モータ71を駆動して吸着プレート75をA2方向に移動させた後、再び直動モータ73を駆動して吸着プレート75をA3方向に移動させることで、図1に示す元の位置に復帰させる。
【0026】
そして、第1原反R1が所定量繰り出された位置で回動モータ21,22,82及び85の回転が停止され、切断手段6が帯状シートS1を再度切断する。この第1原反R1の所定量の繰り出しが接着シートSの繰出方向長さとなる。上記の動作が繰り返し行われることにより、所定長さの接着シートSが剥離シートRL上に仮着されて第2原反R2が形成され、この第2原反R2が駆動ローラ83,85の回転によって巻取ローラ81に送られて巻取ローラ81に巻き取られる。そして、繰出手段2から第1原反R1が一通り繰り出されると、繰出手段2は、第1原反R1の繰り出しを停止すると同時に、巻取手段8は、第2原反R2の巻き取りを停止する。このとき第1原反R1は、その端部が図示しない紙管に接着されているので、当該第1原反R1が支持ローラ21の駆動によって巻き取れなくなることはない。次いで、シート製造装置1は、ピンチローラ52や上、下切断刃62、61を第1、第2原反R1、R2から離間した位置に移動させるとともに、吸着プレート75の吸引を解除する。なお、吸着プレート75も第1、第2原反R1,R2から離間した位置に移動させてもよい。
【0027】
そして、シート製造装置1は、図2および図6(A)に示すように、直動モータ33の駆動により第2移動フレーム34を移動させて、帯状シートS1または接着シートSと、迂回された剥離シートRLとの間に位置する部材、つまり、迂回ローラ42,43、下切断刃61、切離し手段64、および架渡補助手段76を剥離シートRLの迂回部分から退避させる。このとき、直動モータ44を介して迂回ローラ42を迂回ローラ43側に寄せることで、剥離シートRLの張力を緩和させ、これら迂回ローラ42,43を退避させ易くすることができる。これにより、剥離シートRLが剥離ローラ41および誘導ローラ51間に垂れ下がった状態となり、繰出手段2は、回動モータ22,25により駆動ローラ23および支持ローラ21を第1原反R1の繰り出し時とは反対の方向に回転駆動して、図6(B)に示すように、先ず剥離ローラ41および誘導ローラ51間に垂れ下がった剥離シートRLを引っ張り上げる。
【0028】
剥離シートRLの迂回部分が全て引っ張り上げられると、巻取手段8は、回動モータ82,85を回動モータ22に同期させて駆動し、駆動ローラ83および巻取ローラ81を第2原反R2の巻き取り時とは反対の方向に回転駆動することで、第2原反R2を繰出手段2に向けて繰り出すとともに、繰出手段2は、第2原反R2を支持ローラ21で再び巻き取っていく(図7参照)。この支持ローラ21で第2原反R2を再び巻き取る際、接着シートSが再仮着手段5で剥離シートRLから剥離されることがない、または、接着シートSが剥離シートRLと共に迂回ローラ42,43を経由することがないので、当該第2原反R2を高速で再巻取することができる。繰出手段2による第2原反R2の再巻き取りは、剥離シートRLの端部が巻取ローラ81から外れて、第2原反R2が完全に支持ローラ21に巻き取られるまで行われる。なお、巻取ローラ81から外れた剥離シートRLの端部から、最初に形成された接着シートSまでの間に位置する不要接着シート部S2を取り除くように構成してもよい。第2原反R2の再巻き取りが終わって完了指令が入力されると、シート製造装置1は、回動モータ22,82を停止し、次の接着シートSの製造に備える。
【0029】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、繰出手段2から繰り出された帯状シートS1を切断して接着シートSを形成し、接着シートSが再仮着された第2原反R2を巻き取った後、この第2原反R2を再巻取手段9により再び巻き取るため、第1原反R1の帯状シートS1の繰出方向と、再巻き取りされた接着シートSを繰り出す繰出方向とが等しくなる。従って、接着シートSの貼付方向が反対になってしまうことを防止することができ、被着体に対する接着シートSの貼付方向を適切に保つことができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
前記実施形態では、吸着プレート75は切欠部77を有していたが、吸着プレート75に切欠部77を設けなくてもよい。この場合は、吸着プレート75からはみ出ている帯状シートS1をピンチローラ52と誘導ローラ51とで挟み込めばよい。
【0032】
前記実施形態では、切断手段6は、上、下切断刃62、61を帯状シートS1に向けて昇降させることで帯状シートS1を切断していたがこれに限られない。要するに、剥離シートRLを迂回させた状態で帯状シートS1を切断できればよく、例えば、カッター刃を図1中紙面直交方向に移動させることで帯状シートS1を切断したり、接着シートSの外形に沿った形状の切断刃を有するロータリカッタによって帯状シートS1を切断したりしてもよい。
【0033】
前記実施形態では、再巻取手段9が繰出手段2で構成されたが、本発明の再巻取手段としては、繰出手段2に限らず、繰出手段2や巻取手段8とは別の巻取手段によって第2原反R2を再巻き取りするようにしてもよい。
【0034】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
更に、架渡補助手段76は、吸着プレート75全体を傾斜させて帯状シートS1の先端側を上方に持ち上げる構成としたり、吸着プレート75の左側部分を上方に持ち上げる構成としたりすることができる。
また、迂回手段4で帯状シートS1から剥離した剥離シートRLに換えて、別の剥離シートを再仮着手段5で接着シートSに仮着させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 シート製造装置
2 繰出手段
4 迂回手段
5 再仮着手段
6 切断手段
7 架渡手段
8 巻取手段
9 再巻取手段
33 直動モータ(退避手段)
34 第2移動フレーム(退避手段)
42 迂回ローラ(間隔形成手段)
44 直動モータ(間隔形成手段)
76 架渡補助手段
R1 第1原反
R2 第2原反
S 接着シート
S1 帯状シート
RL 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された第1原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段により繰り出された第1原反の帯状シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、
前記迂回手段で剥離シートが迂回されている部分の帯状シートを切断して所定長さの接着シートを形成する切断手段と、
前記切断手段で形成された接着シートを前記剥離シートに再仮着させることで第2原反を形成する再仮着手段と、
前記第2原反を巻き取る巻取手段と、
前記巻取手段で巻き取られた第2原反を再び巻き取る再巻取手段とを備えていることを特徴とするシート製造装置。
【請求項2】
前記再巻取手段は、前記繰出手段によって構成され、
前記帯状シートまたは前記接着シートと前記迂回された剥離シートとの間に位置する部材を前記剥離シートの迂回部分から退避させる退避手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項3】
前記切断手段により前記接着シートと切り離された帯状シートを前記再仮着手段に架け渡す架渡手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート製造装置。
【請求項4】
前記架渡手段は、架け渡し途中の帯状シートを付勢して当該帯状シートの前記再仮着手段への架け渡しを補助する架渡補助手段を有することを特徴とする請求項3に記載のシート製造装置。
【請求項5】
前記迂回手段は、前記接着シート同士の間隔を拡げる間隔形成手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシート製造装置。
【請求項6】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された第1原反を繰り出し、
繰り出された第1原反の帯状シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させ、
前記剥離シートが迂回されている部分の帯状シートを切断して所定長さの接着シートを形成し、
前記接着シートを迂回されていた剥離シートに再仮着させて第2原反を形成し、
前記第2原反を巻き取り、
巻き取られた第2原反を再び巻き取ることを特徴とするシート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−20421(P2012−20421A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158110(P2010−158110)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】