説明

シート読み取り仕分け装置

【目的】バーコード等の情報が印刷されたシートを順次給紙して情報を読み取り、正常に読み取れたものと読み取れなかったものとを、別々の排出部に仕分けて排出するシート読み取り仕分け装置を、設置面積が小さく壁際などの空間的制約のある場所に設置しても操作性を損なわないように構成し、かつ処理速度も向上させる。
【構成】装置の一方の面側に下方から順に、給紙部と、正常に読み取れなかったシートを排出する排出部と、正常に読み取れたシートを排出する排出部とを配置し、正常に読み取れたシートは装置内でUターンさせて排出させ、正常に読み取れなかったシートは装置内で搬送方向を逆転させて排出させる。さらに、スキャナの位置調整やスタンプの着脱も、装置の一方の面側から行えるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードや二次元コード、またはその他の画像などの情報が印刷されたシートの束から1枚ずつ取り出して給送し、給送されたシートを搬送しながら情報を読み取り、さらに正常に読み取られたシートと正常に読み取られなかったシートを仕分けて排出積載するシート読み取り仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝票等のシートに印刷されたバーコードや二次元コード、またはその他の画像などの情報を読み取るため、このシートの束を積載して1枚ずつ取り出して給送し、給送されたシートを搬送しながら情報を読み取り、コンピュータ等に転送する装置が用いられる。読取済みのシートは排出積載部まで搬送され、積載される。このとき、印刷面の汚れ、シート自体のキズ、情報そのものの異常等により、情報が正常に読み取ることができない場合があり、このような不良シートは正常に読み取られたシートとは区別して排出積載する必要がある。したがって排出積載部は正常に読み取られたシートを積載する正常シート排出積載部と、正常に読み取られなかったシートを積載する不良シート排出積載部にわけて積載される。
【0003】
従来知られているこのようなシート読取仕分け装置には、図10に示す装置が有る。
【0004】
図10において、200はシート読み取り仕分け装置、120は情報が印刷されたシートを積載する給紙板であり、この給紙板に積載されたシートの最上位の1枚を、互いに圧接する供給ローラ121とサバキ板140とによって図示左方へ給送する。給送された1枚のシートは搬送機構122で図示左方に搬送されながら、読取機構123によってシートに印刷された情報が読み取られる。情報が読み取られたシートはさらに図示左方に搬送され、正逆送り機構124に入る。
【0005】
正逆送り機構124の搬送方向は、正逆方向に切替可能になっている。また、搬送機構122と正逆送り機構124との境界付近から下方に分岐して正常送り機構127が設けられ、この分岐部にシートの搬送経路を切り替えるための切替ゲート126が設けられている。正逆送り機構124に入ったシートは一旦停止し、このシートに印刷された情報が読取機構123によって正常に読み取られている場合は正逆送り機構124が逆転する。同時に切替ゲート126が、正逆送り機構124から正常送り機構127への通路を開放するので、シートは逆方向に搬送されるとともに正常送り機構127に進入してUターンし、正常シート収納部1102に収納される。
【0006】
情報が読取機構123によって正常に読み取られなかったシートである場合は、正逆送り機構124は正転する。従ってシートはそのまま図示左方に搬送され、不良排出部125に排出される。
【0007】
さらに、供給ローラ121とサバキ板140との圧接点の正搬送方向下流側に、シートが2枚以上同時に送られたのを検知する重送検知センサ142が設けられている。重送検知センサ142で重送が検知されたシートも、不良排出部125に排出される。
【0008】
さらにまた各搬送機構の駆動源としてモータ(図示せず)を有しており、このモータから供給ローラ121および各搬送ローラに駆動が与えられる。このうち供給ローラ121への駆動伝達は図示しない電磁クラッチを介して行われ、給紙板120に積載されたシート束の給送時のみ電磁クラッチが連結して供給ローラ121が回転するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平9−62798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景技術のシート読み取り仕分け装置では、シートが装置を横切って(図示右方から左方に)水平に搬送されるので、水平搬送路を構成可能な設置面積が少なくとも必要であり、設置面積が大きくなるという問題がある。さらに処理を終えて収納されたシートは給紙板とは反対の方向から取り出さなければならない上、シートに印刷されている情報の位置に応じて、読取機構123の位置をシートの幅方向に調整する際に、ネジ176を緩めて動かす必要があるので、この作業を装置の上方から行わなければならない。すなわち装置の少なくとも一方の側面側、他方の側面側、上面側の三方向から操作可能に設置する必要があるので、壁際などでは壁が邪魔で操作がしにくくなることがあるなど、設置場所が限られてしまうという問題があった。
【0011】
また、正逆送り機構124を逆転させる場合は駆動源であるモータを逆転させるため、正逆送り機構124が逆転している間に供給ローラ121の電磁クラッチを連結させると、供給ローラ121が逆回転してしまい、すると給紙板120に積載されているシートの束の最上位のシートが給送方向とは逆方向に動いてしまう。従って、正逆送り機構124の逆転搬送終了後でなければ、次のシートの供給動作に入れないという制約がある。シートの読取が正常に行われなかった場合、正逆送り機構124が一旦停止後に正転を再開してシートを不良排出部125に排出するから、駆動モータは正転のままであるので、正逆送り機構124一旦停止後に正転を再開すると同時かその直後に電磁クラッチを連結させ、次のシートを早めに取り込むことができる。しかし通常、積載されたシートのほとんどは正常に読み取ることができるので、ほとんどの場合逆転搬送が必要になり、シートの排出を待って供給ローラを駆動して次のシートを取り込むため、処理速度がその分遅くなるという問題がある。
【0012】
正逆送り機構124において逆転動作中に次のシートを給送可能にするには、供給ローラ121と正逆送り機構124とが同時に互いに異なる方向に回転可能とする機構が必要で、互いの駆動源を別々としたり、複雑な回転方向切替機構が必要となり、構造が複雑になるという問題が発生する。
【0013】
正常シート収納部1102と不良排出部125の位置を入れ替えると、正常シートの逆方向搬送は行わずに済むが、排出部では給紙板120に積まれた順序と逆順に積載されることになるので、回収した正常シートと、読み取ったデータとの照合がしにくくなってしまうという問題が発生する。
【0014】
本発明は、設置面積が小さく、壁際などの空間的制約のある場所に設置しても操作性を損なわず、構造が簡単で処理速度も速く、回収した正常シートと読み取ったデータとの照合も容易なシート読み取り仕分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の丁合処理システムは、下記の各構成を有する。

第1の構成は、情報が印刷もしくは貼付されたシートの束を積載する給紙板と、この給紙板に積載されたシート束からシートを1枚ずつ取り出す給紙機構と、この給紙機構により取り出されたシートを正搬送方向に搬送する第1の搬送機構と、この第1の搬送機構で搬送されるシートの情報を読み取る読取機構と、第1の搬送機構の正搬送方向下流側に設けられ、第1の搬送機構で搬送されてきたシートを受け入れて、このシートをなお正搬送方向に搬送するか、もしくは逆方向にスイッチバック搬送する第2の搬送機構と、シートを受け入れた第2の搬送機構の搬送方向を読取機構の読取結果に応じて正方向または逆方向とする正逆搬送制御手段と、第2の搬送方向の正搬送方向下流側に設けられ、第2の搬送機構において正方向に搬送されたシートを受けて蓄積する第1の排出積載部と、第2の搬送機構において逆方向に搬送されたシートを受けて蓄積する第2の排出積載部と、第2の搬送機構の逆搬送方向下流側に設けられ、逆方向に搬送されたシートを第2の排出積載部へ導くゲート部材とを有するシート読み取り仕分け装置において、給紙板と第1の排出積載部と第2の排出積載部とが、装置の一方の面側に上下方向に並列して設けられていることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。この構成により、第1の排出積載部、第2の排出積載部、給紙板が装置の一方の面側に上下方向に並列して設けられているので、搬送路は給紙板から供給されたシートを、給紙板よりも上方又は下方にある排出部へUターン搬送する形状となるので、設置面積を小さくすることができる。
【0016】
第2の構成は、上記第1の構成における正逆搬送制御手段が、シートを受け入れた第2の搬送機構の搬送方向を、受け入れたシートに印刷もしくは貼付された情報が読取機構において正常に読み取られた場合は正方向とし、受け入れたシートに印刷もしくは貼付された情報が読取機構において正常に読み取られなかった場合は逆方向とすることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。この構成により、正常シートは逆転することなく排出されるので、逆転搬送の回数を減らすことができるため、処理速度が向上する。また、正常シートは搬送方向を逆転することなくUターン搬送されるので、第1の排出積載部には正常シートが給紙板に積載された順序の通りに積載され、回収した正常シートと読み取ったデータとの照合が容易になる。
【0017】
第3の構成は、上記第1または第2の構成における一方の面側に、上方から、第1の排出積載部、第2の排出積載部、給紙板の順に配置されていることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。
【0018】
第4の構成は、上記第1ないし第3の構成に加え、前記読取機構のシート搬送方向に対し直角方向の位置を調整する手動調整機構が設けられ、この手動調整機構は前記一方の面側から調整可能であることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。この構成により、シートの積載と回収に加え、読取機構の位置調整も同じ側から行うことができるので、さらに操作性が良くなる。
【0019】
第5の構成は、上記第4の構成における手動調整機構に読取機構の位置を示す指針が設けられ、この指針は前記一方の面側から視認可能であるとともに給紙板に積載されたシート束上面の上方に位置していることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。この構成により、給紙板に積載されているシートのすぐ上の指針を、シートに実際に印刷されている情報の位置に合わせることで読取機構の位置調整ができるので、さらに操作性が良くなる。
【0020】
第6の構成は、上記第1ないし第5の構成に加え、前記第2の搬送機構に受け入れたシートに対し押印するスタンプと、このスタンプの押印面をシートに対し進退させるスタンプ駆動機構とを有し、このスタンプ及びスタンプ駆動機構は、前記一方の面側から露出可能に設けられていることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。この構成により、シートの積載と回収、読取機構の位置調整に加え、スタンプの保守交換も同じ側から行うことができるので、さらに操作性がよくなる。
【0021】
第7の構成は、上記第1ないし第6の構成における給紙機構、第1の搬送機構、第2の搬送機構が、1つの共通の正逆回転可能な駆動源より駆動力が与えられることを特徴とするシート読み取り仕分け装置である。この構成により、複数の駆動源や複雑な回転方向切換え機構を必要としないので、装置を簡単に構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の構成により本発明は、設置面積が小さく、壁際などの空間的制約のある場所に設置しても操作性を損なわず、構造が簡単で処理速度も速く、回収した正常シートと読み取ったデータとの照合も容易である、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明のシート読み取り仕分け装置1を示す斜視図である。この装置1の一方の面側2に、下方から順に給紙部3、第2の排出積載部4、第1の排出積載部5が設けられている。給紙部3にはシートを積載する給紙板3a、シートの両側縁に当接してガイドする1対のサイドガイド6、7が設けられている。これらの機構は縦方向に立設した1対のフレームF1,F2の間に設けられている。
【0024】
図2は本発明のシート読み取り仕分け装置1を示す模式正面図である。給紙板3a上にシートSの束が積載されている。給紙板3aはその一端部において軸7に回動可能に支持され、図示しないバネ等により他端が上方に付勢され、シートSの最上位のシートがその上方の給紙ローラ8に圧接するようになっている。
【0025】
給紙ローラ8は給紙ローラ軸9に固定支持され、その周面がサバキ板10と圧接している。給紙ローラ8は矢印A方向に回転することにより、給紙板3aに積載されたシートSの束の最上位のシートSを給紙ローラ8とサバキ板10の間に送り込む。このとき、給紙ローラ8とシートSとの摩擦係数、サバキ板10とシートSとの摩擦係数、シートS同士の摩擦係数それぞれの相違により、給紙ローラ8とサバキ板10との間にシートSが2枚以上進入しても、そのうちの最上位の1枚のみが給送される。
【0026】
給紙ローラ8の正搬送方向(矢印B方向)下流側には、第1の搬送機構11が設けられている。この第1の搬送機構11は、1対のガイド板12,13により搬送路14が形成され、駆動ローラ15と従動ローラ17、及び駆動ローラ16と従動ローラ18とが、それぞれ搬送路14においてニップを形成するように設けられている。駆動ローラ15,16はそれぞれ駆動ローラ軸19,20に固定支持され、従動ローラ17,18はそれぞれ駆動ローラ15,16に向かって、バネ(図示せず)で付勢されている。
【0027】
給紙ローラ8と駆動ローラ15との間に、搬送されるシートSの重送を検知する重送検知センサ21が設けられている。重送検知センサ21は発光センサ21aと受光センサ21bより成り、シートSを通過する光量の多少により、重送か否かを判断する。
【0028】
駆動ローラ15と駆動ローラ16との間に、読取機構23が設けられている。この読取機構23は、光を照射してその反射光によりシートに印刷されたバーコードや画像等の情報を読み取るスキャナ24を有している。このスキャナ24で読み取られたデータは、通信線76を通じて外部PCの記憶部77に送信され、記憶・蓄積される。このバーコードや画像等の情報は適用するシートによって印刷されている位置が異なることがあるので、スキャナ24のシート搬送方向に直交する方向の位置を、シートSに印刷された情報の位置に合わせて調整しなければならず、そのための手動調整機構29が設けられている。
【0029】
この手動調整機構29について説明する。前記スキャナ24はブラケット25に固定されいて、このブラケット25は装置の一方の面側2に向かって延設されている。そしてその延設方向の端部において下方に曲げられ、その曲げ部には指針部25aが形成されていて、その下端には図1に示すように指針25bが形成されている。指針部25aは、フレームF1,F2に両端が固定された調整板26に重なるように設けられ、この指針部25aに形成された穴と、調整板26に形成された長穴26aに、ツマミネジ27のネジ部が挿通されている。このツマミネジ27のつまみ部に対し、指針部25aと調整板26を挟んで反対側の面に、ツマミネジ27のネジ部と螺合するメネジを有するネジ板28が設けられているので、ツマミネジ27を締めるとネジ板28とつまみ部とで指針部25aと調整板26を挟んで締め付ける。この構成により、ツマミネジ27を緩めると指針部25aが長穴26aに沿って移動自在となり、任意の位置でツマミネジ27を締めると、指針部25aはその位置に固定される。これらの機構により、手動調整機構29が構成されている。
【0030】
図3は給紙部3及び手動調整機構29を、図2における矢印C方向から見た図である。図3に示すように、指針25bは給紙部3の上方に設けられているので、給紙板3aに積載されたシートSの束の上面に印刷されている情報Sbの位置に指針25bの位置を合わせることによって、スキャナ24の位置と情報印刷位置とを容易に合わせることができる。
【0031】
第1の搬送機構11の正搬送方向下流側には、第2の搬送機構30が設けられている。この第2の搬送機構30は、1対のガイド板31,32により搬送路33が形成され、駆動ローラ34と従動ローラ36、及び駆動ローラ35と従動ローラ37,38とが、それぞれ搬送路33においてニップを形成するように設けられている。駆動ローラ34,35はそれぞれ駆動ローラ軸39,40に固定支持され、従動ローラ36は駆動ローラ34に向かって付勢され、従動ローラ37,38は駆動ローラ40に向かって付勢されている。
【0032】
第2の搬送機構30には、第1の搬送機構11から正搬送方向(矢印B,D方向)に搬送されてきたシートSが搬入され、その後シートSはそのまま正搬送方向に搬送されるか、もしくは第2の搬送機構30の搬送方向が逆転され、逆搬送方向(矢印E方向)に搬送される。第2の搬送機構30において正搬送方向に搬送されたシートSは、第1の排出積載部5の第1排出トレイ42の上に排出される。
【0033】
第2の搬送機構30の正搬送方向上流側には、ゲート部材43が設けられている。このゲート部材43は、回動軸44に固定支持され、シートSの逆搬送時にガイドとなるゲート48を有している。この回動軸44にはさらにレバー45が固定支持されており、レバー45には、バネ46が掛けられている。バネ46の引張力はレバー45及び回動軸44を図示反時計方向に回動する方向に付勢するもので、すなわちゲート48も反時計方向に付勢される。レバー45の先端はストッパ47に当接した位置で、すなわちシートSの搬送路を塞ぐ位置で停止している。
【0034】
シートSが第1の搬送機構11から第2の搬送機構へ移動する時は、第1の搬送機構11を搬送されてきたシートSの先端がゲート48の一方の面48aに当接する。さらにシートSが前進すると、ゲート48はシートSに押されてバネ46の付勢に抗して図示時計方向に回動することにより搬送路が開放されるので、シートSは第2の搬送機構30に進入する。
【0035】
シートSが第2の搬送機構30において逆搬送方向(矢印E方向)に搬送された場合は、シートSの逆搬送方向の先端がゲート48の他方の面48bに当接し、その後はゲート48にガイドされて、分岐搬送路49に侵入する。分岐搬送路49には、駆動ローラ34とこれに圧接して転動回転する従動ローラ50とがニップを形成していて、シートSはこのニップに挟持されて搬送され、第2の排出積載部4の第2排出トレイ52の上に排出される。
【0036】
ゲート部材43の正搬送方向上流側に第1通過検知センサ53、分岐搬送路49における第2の排出積載部4への排出口付近に第2通過検知センサ55がそれぞれ設けられ、通過するシートSを検知可能になっている。
【0037】
さらに、第2の搬送機構30において、駆動ローラ34と駆動ローラ35との間に、スタンプ機構56が設けられている。図4はこのスタンプ機構56を示す上面図である。図4に示すように、このスタンプ機構56は、シートSに対し押印する印面57aを有するスタンプ57と、このスタンプ57の駆動機構であるソレノイド58とが設けられ、ソレノイド58が励磁するとスタンプ57の印面57aが第2の搬送機構30の搬送路33に進出するので、第2の搬送機構30に位置するシートSに押印することができる。また、このスタンプ機構56は、軸59を中心に回動可能に設けられたブラケット60を有し、このブラケット60にアングル61介してソレノイド58が固定されている。ブラケット60の回動端部60aは、フレームF2に固定された磁石62と磁着することにより、その位置が保持されていて、手動で磁着を解除してブラケット60を回動することが可能になっている。
【0038】
このブラケット60の回動端部60aを、装置の一方の面側2から手動で磁着を解除して回動させた状態を図5に示す。図5に示す開放状態とすることにより、スタンプ57及びソレノイド58が装置の一方の面側2に露出するので、装置の一方の面側2からスタンプ57の交換作業や調整等が容易に可能である。なお、本実施形態では、第1排出トレイ42が着脱可能になっており(図2参照)、スタンプ機構56を開放状態とするには第1排出トレイ42を取り外してから行う。
【0039】
図6は本発明の駆動伝達機構を示す模式図である。駆動源であるモータ91の出力軸91aから、ベルト92、64を介し、減速プーリ63を経由して、駆動プーリ65に駆動が伝達される。駆動プーリ65は駆動ローラ軸20に固定支持されている。また、この駆動ローラ軸20には伝動プーリ66も固定支持されており、この伝動プーリ66からベルト71を介して、伝動プーリ67,68,69,70に駆動が伝達される。伝動プーリ67,68,69はそれぞれ駆動ローラ軸19,39,40に固定支持されており、それぞれの軸に回転力を伝達する。また、伝動プーリ70の同軸上に伝動プーリ70とともに回転するギヤ72が設けられ、ギヤ72はギヤ73と噛合し、ギヤ73はギヤ74と噛合している。これらのギヤ列を通じてギヤ74に駆動力が与えられる。ギヤ74は電磁クラッチ75を介して給紙ローラ軸9に支持されており、電磁クラッチ75が連結状態であると給紙ローラ軸9にギヤ74の回転力が伝わるので給紙ローラ8が回転し、電磁クラッチ75が開放状態であると給紙ローラ軸9にギヤ74の回転力は伝わらず、給紙ローラ8は回転しない。モータ91は正逆回転可能であって、矢印F方向に回転すると、各駆動ローラはシートSを正搬送方向(図2に示す矢印B,D方向)に搬送するように回転し、矢印G方向に回転すると、各駆動ローラはシートSを逆搬送方向(図2に示す矢印E方向)に搬送するように回転するようになっている。この正逆回転を制御する正逆搬送制御手段78が設けられている。正逆搬送制御手段78は装置のCPU内か、もしくはスキャンデータ送信先のPC等に設けられ、スキャナ24の読み取り結果に応じて正逆回転を制御する。
【0040】
次に、本発明のシート読み取り仕分け装置1の動作を、図2及び図6を参照して説明する。バーコードや画像等の情報が印刷されたシートSを給紙板3a上に積載し、その両側端縁からシートSの束を挟むようにサイドガイド6,7の位置を設定する。スタートスイッチ(図示せず)を押すと、モータ91が矢印F方向に回転を開始し、電磁クラッチ75が連結状態となって給紙ローラ8が矢印A方向に回転する。すると、給紙板3aに積載されたシートSの束の最上位のシートSが給紙ローラ8によって送り出される。送り出されたシートSは給紙ローラ8とサバキ板10との間に進入する。ここで2枚以上進入しても、給紙ローラ周面、サバキ板上面、シート表面のそれぞれの摩擦係数の相違によって確実に1枚のみが給紙ローラ8とサバキ板10との間を抜けて前進し、第1の搬送機構11に入る。シートSが駆動ローラ15と従動ローラ17に挟持された後電磁クラッチ75は開放状態となり、給紙ローラ8が停止するので、次位のシートSが続けて送り出されることはない。
【0041】
第1の搬送機構11においては、シートSは駆動ローラ15と従動ローラ17、駆動ローラ16と従動ローラ18によってそれぞれ挟持搬送されながら、スキャナ24によってシートSに印刷された情報を読み取る。その後シートSはその先端でゲート48を押しのけて第2の搬送機構30に進入し、第1通過検知センサ53によってシートSの後端が検知されてから一定時間後にモータ91の回転を止めることにより、シートSの後端がゲート48を抜けた後にいったん停止する。
【0042】
この後、情報が正常に読み取られていた場合は、正常に読み取られたとの信号を正逆搬送制御手段78が受信し、これに応じて正逆搬送制御手段78はモータ91が矢印F方向に回転するように信号を出す。すると停止していたモータ91が矢印F方向に再び回転を開始し、シートSは駆動ローラ34と従動ローラ36、駆動ローラ35と従動ローラ37とにそれぞれ挟持されて正搬送方向(矢印D方向)に搬送され、第1の排出積載部5に排出される。また、モータ91が再起動すると同時に電磁クラッチ75が連結状態となり、給紙ローラ8が回転駆動し、次位のシートSの給送が開始される。このとき、モータ再駆動前に、必要に応じてスタンプ機構56を駆動させて押印を行う。スタンプの押印は、ソレノイド58が励磁し、スタンプ57の印面57aが搬送路33に進出することにより行う(図4参照)。
【0043】
情報が正常に読み取られなかった場合は、シートSが第2の搬送機構30においていったん停止した後、スキャナ24において正常に読み取られなかったとの信号を正逆搬送制御手段78が受信し、これに応じて正逆搬送制御手段78はモータ91が矢印G方向に回転するように信号を出す。するとモータ91が矢印G方向に方向に回転し、シートSは駆動ローラ34と従動ローラ36、駆動ローラ35と従動ローラ37とにそれぞれ挟持されて逆搬送方向(矢印E方向)に搬送され、ゲート48に導かれて第2の排出積載部4に排出される。
【0044】
また、重送検知センサ21によりシートSの重送が検知された場合も、シートSの重送信号を正逆搬送制御手段78が受信し、これに応じて正逆搬送制御手段78は、重なって送られたシートSが第2の搬送機構30に入って停止した後、モータ91が矢印G方向に回転するように信号を出すので、重送したシートSは第2の排出積載部4に排出される。
【0045】
このとき、モータ91の矢印G方向への駆動開始とともに電磁クラッチ75を連結状態とすると、給紙ローラ8が逆方向に回転してしまうため、次位のシートSが給送方向とは逆方向に動いてシートSの束が崩れてしまい、それ以降の正常な給送動作ができなくなるので、モータ91が矢印G方向に回転している間は電磁クラッチ75を連結状態として次位のシートSを給送することはできない。この後シートSが第2の排出積載部4に排出され、第2通過検知センサ55によりシートSの排出が検知されると、モータ91は逆転して矢印F方向に回転するとともに電磁クラッチ75が連結状態となって、次位のシートSの給送が開始される。
【0046】
図8は情報が正常に読み取られた場合の動作を示すタイムチャートである。図8に示すように、シートSの後端が第1通過検知センサ53を抜けるタイミングt1から一定時間後のタイミングt2において、モータ91の駆動が停止する。その後、情報のスキャンと送信と、正常に読み取れたかどうかの判別が終了し(タイミングt3)、正常であると判別されると、直後のタイミングt4においてモータ91が正回転(矢印F方向)を開始する。そしてシートSを第1の排出積載部5に排出するとともに、電磁クラッチ75が連結して次位のシートSを給送開始する。すなわち、最初のシートSの給送が開始されてから、次位のシートSの給送が開始されるまでの時間T1は、図8におけるタイミングt0からt4までの間となる。
【0047】
図9は情報が正常に読み取られなかった場合の動作を示すタイムチャートである。本図において、情報のスキャンと送信と正常に読み取れたかどうかの判別が終了するタイミングt3以前の動作は図8と全く同じである。但し図9においては情報が正常に読み取れなかったとタイミングt3において判別された場合であるので、その直後のタイミングt4ではモータ91が逆回転(矢印G方向)を開始し、シートSを第2の排出積載部4に排出する。シートSが排出されて第2通過検知センサ55をシートSの後端が通過する(タイミングt5)とモータ91は逆回転を停止し、直後のタイミングt6において正回転を開始するとともに、電磁クラッチ75が連結されて次位のシートSを給送開始する。すなわち、最初のシートSの給送が開始されてから、次位のシートSの給送が開始されるまでの時間T2は、図9におけるタイミングt0からt6までの間となる。
【0048】
タイミングt6はタイミングt4よりも後であるので、必然的にT1<T2となる。すなわち、シートを逆方向搬送させない場合は、逆方向搬送させる場合に比べて、早いタイミングで次位のシートSを給送できることになる。情報は正常に読み取られる回数の方が読み取られない回数よりもはるかに多いため、正常に読み取られたシートを逆方向搬送する特許文献1記載の読み取り仕分け装置では逆方向搬送する回数が多くなる。これに対して本発明の読み取り仕分け装置では、正常に読み取られなかった場合に逆方向搬送させ、正常に読み取られた場合は逆方向搬送させないので、特許文献1記載の装置に比べて逆方向搬送回数が少なくなり、処理速度が向上する。なお、正常に読み取られた場合にスタンプ57の押印を行っても、この押印はきわめて短時間で行うことができるので、前記したT1<T2の関係に影響を与えることはない。
【0049】
また、正常に読み取られて第1の排出積載部5に排出して重ねられたシートSは、読み取った順序にどおりに重なっている方が、読み取りデータとシートとを照合するのに都合が良い。図7は本発明のシート読み取り仕分け装置において、シートSの給紙部3への積載順序と、読み取り仕分けを終えたシートSの積載順序、さらに記憶部77におけるデータ蓄積順序を示す図である。給紙部3には、シートSは情報の印刷面を上方として積載する。ここでは一例として、上からS1、S2・・・の順にS7までの7枚のシートSが積載されたとする。シートSは上方から順に1枚ずつ給送されていくので、S1、S2・・・の順に給送され、そのたびにスキャナ24で情報が読み取られる。読み取られた情報は通信線76を経由して、外部PCの記憶部77に送信され、蓄積される。ここで、シートS1、S2、S4、S5、S7の情報が正常に読み取られ、シートS3、S6の情報が読み取られなかったとする。正常に読み取られたシートS1、S2、S4、S5、S7は、逆転することなく第1の排出積載部5に排出され、情報印刷面を下向きにして積載される。読み取られた情報はシートS1、S2、S4、S5、S7の順に、記憶部77に蓄積される。正常に読み取れなかったシートSは、印刷面を上向きに第2の排出積載部4に積載される。このとき、第1の排出積載部5に積載されたシートSの束を取り出すと、印刷面側からシートS1、S2、S4、S5、S7の順に並んでいることになり、記憶部77へのデータ蓄積順序と一致するので、印刷面を表として視認しながらシートSを裏返したりすることなく順々に蓄積データと照合することができる。
【0050】
以上説明したように本発明のシート読み取り仕分け装置1では、給紙台3a、第1の排出積載部5、第2の排出積載部4がすべて装置の一方の面側2に設けられているので、シートSの積載、取出しが同じ側から行えるので操作性が良くなる。さらに、スキャナ24の位置調整や、スタンプ機構56の交換・保守も同じ一方の面側2から行うことができる。さらにこの構成により、搬送路は給紙板から供給されたシートを、給紙板よりも上方又は下方にある排出部へUターン搬送する形状となるので、設置面積を小さくすることができるので、部屋の隅の壁際等、狭くて空間的制約の多い場所でも容易に操作することができる。また、すべての駆動部の駆動を同一の駆動源から得るとともに、給紙軸にのみ電磁クラッチを設けた構成としているので、逆転搬送を行うにもかかわらず複雑な逆転機構や複数の駆動源を必要としないので、装置を簡単で安価に構成できる。
【0051】
なお、上記実施形態では、シートSが第1の搬送機構11から第2の搬送機構30に入る際に、シートSの先端がゲート48を押しのけるようにしたが、ゲート48をソレノイド等の駆動手段で駆動するようにして、必要に応じてシートSが通過する通路を開放するように動作制御しても良い。
【0052】
また、シートSに印刷され、スキャナで読み取られる情報は、バーコード、2次元コードをはじめとして、スキャナで読み取り可能などのようなものでも良い。スキャナでの読み取り時にシートSを停止させる必要がある場合は、これに応じて搬送路に出没可能なストッパを設けたり、搬送駆動をいったん停止させる等といった構成とすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のシート読み取り仕分け装置1を示す斜視図である。
【図2】本発明のシート読み取り仕分け装置1を示す模式正面図である。
【図3】給紙部3及び手動調整機構29を、図2における矢印C方向から見た図である。
【図4】スタンプ機構56を示す上面図である。
【図5】スタンプ機構56において、ブラケット60の回動端部60aを、装置の一方の面側2から手動で磁着を解除して回動させた状態を示す図である。
【図6】本発明の駆動伝達機構を示す模式図である。
【図7】本発明のシート読み取り仕分け装置において、シートSの給紙板3aへの積載順序と、読み取り仕分けを終えたシートSの積載順序、さらにスキャナ24におけるデータ蓄積順序を示す図である。
【図8】情報が正常に読み取られた場合の動作を示すタイムチャートである。
【図9】情報が正常に読み取られなかった場合の動作を示すタイムチャートである。
【図10】背景技術のシート読み取り仕分け装置200を示す模式正面図である。
【符号の説明】
【0054】
1;シート読み取り仕分け装置
2;一方の面側
3;給紙部
4;第1の排出積載部
5;第2の排出積載部
8;給紙ローラ
11;第1の搬送機構
21;重送検知センサ
23;読取機構
24;スキャナ
25;ブラケット
25a;指針
29;手動調整機構
30;第2の搬送機構
43;ゲート部材
49;分岐搬送路
53;第1通過検知センサ
55;第2通過検知センサ
56;スタンプ機構
74;ギヤ
75;電磁クラッチ
77;記憶部
78;正逆搬送制御手段
91;モータ
A,B,C,D,E,F,G;矢印
S,S1〜S7;シート
Sb;情報
t0〜t6;タイミング
T1,T2;最初のシートSの給送が開始されてから、次位のシートSの給送が開始されるまでの時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が印刷もしくは貼付されたシートの束を積載する給紙板と、この給紙板に積載されたシート束からシートを1枚ずつ取り出す給紙機構と、この給紙機構により取り出されたシートを正搬送方向に搬送する第1の搬送機構と、この第1の搬送機構で搬送されるシートの情報を読み取る読取機構と、第1の搬送機構の正搬送方向下流側に設けられ、第1の搬送機構で搬送されてきたシートを受け入れて、このシートをなお正搬送方向に搬送するか、もしくは逆方向にスイッチバック搬送する第2の搬送機構と、シートを受け入れた第2の搬送機構の搬送方向を読取機構の読取結果に応じて正方向または逆方向とする正逆搬送制御手段と、第2の搬送方向の正搬送方向下流側に設けられ、第2の搬送機構において正方向に搬送されたシートを受けて蓄積する第1の排出積載部と、第2の搬送機構において逆方向に搬送されたシートを受けて蓄積する第2の排出積載部と、第2の搬送機構の逆搬送方向下流側に設けられ、逆方向に搬送されたシートを第2の排出積載部へ導くゲート部材とを有するシート読み取り仕分け装置において、給紙板と第1の排出積載部と第2の排出積載部とが、装置の一方の面側に設けられていることを特徴とするシート読み取り仕分け装置。
【請求項2】
前記正逆搬送制御手段は、シートを受け入れた第2の搬送機構の搬送方向を、受け入れたシートに印刷もしくは貼付された情報が読取機構において正常に読み取られた場合は正方向とし、受け入れたシートに印刷もしくは貼付された情報が読取機構において正常に読み取られなかった場合は逆方向とすることを特徴とする請求項1記載のシート読み取り仕分け装置。
【請求項3】
前記一方の面側に、上方から、第1の排出積載部、第2の排出積載部、給紙板の順に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のシート読み取り仕分け装置。
【請求項4】
請求項1ないし3記載の構成に加え、前記読取機構のシート搬送方向に対し直角方向の位置を調整する手動調整機構が設けられ、この手動調整機構が前記一方の面側から調整可能であることを特徴とする請求項1ないし3記載のシート読み取り仕分け装置。
【請求項5】
前記手動調整機構には読取機構の位置を示す指針が設けられ、この指針が前記一方の面側から視認可能であるとともに給紙板に積載されたシート束上面の上方に位置していることを特徴とする請求項4記載のシート読み取り仕分け装置。
【請求項6】
請求項1ないし5記載の構成に加え、前記第2の搬送機構に受け入れたシートに対し押印するスタンプと、このスタンプの押印面をシートに対し進退させるスタンプ駆動機構とを有し、このスタンプ及びスタンプ駆動機構は、前記一方の面側に露出可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5記載のシート読み取り仕分け装置。
【請求項7】
前記給紙機構、第1の搬送機構、第2の搬送機構が、1つの共通の駆動源より駆動力が与えられることを特徴とする請求項1ないし6記載のシート読み取り仕分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−252215(P2006−252215A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68361(P2005−68361)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り [博覧会名] 第2回自動認識総合展・大阪[主催者名] 社団法人日本自動認識システム協会[開催日] 平成17年2月17日から平成17年2月18日まで(2日間)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】