説明

シート貼付構造体

【課題】ディスプレイ表面の保護などを目的としたシートの貼付を容易にするための構造体を提供する。
【解決手段】片面をディスプレイ面に対する接着面として利用する保護シート本体0300と、保護シート本体をディスプレイ面に接着する前に前記接着面を保護する剥離シート0302と、からなるシート貼付構造体であって、剥離シートは、ディスプレイ端領域に最初に貼り付けるべき接着面の領域であるイニシャル領域に配置される第一シートと、第一シート0303とは別体で、前記ディスプレイ端領域に続くディスプレイ残領域に貼り付けるべき接着面の領域であるメイン領域に配置され、第一シートとの境界付近で折り返されて接着面に密着する密着部分と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体からはみ出す大きさであるフリー部分とからなる第二シート0304と、を備えたシート貼付構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ表面の保護などを目的としたシートの該ディスプレイ表面への貼付を容易にするための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ディスプレイ装置の小型化が進み、例えば携帯電話やスマートフォン、ノートPCや携帯型の動画プレーヤなど、持ち運び可能なディスプレイ付きの各種デジタルガジェットが提供されている。そして、このようなデジタルガジェットは、携行された際に様々なものに接触する可能性があり、ディスプレイ面が傷つくことが多い。また最近ではディスプレイ面に直接触れて操作するタッチ操作が主流となってきており、タッチ操作可能なデジタルガジェットでは、そのディスプレイ面が手の脂で汚れたり、スタイラスペンで傷が付いたりすることもある。
【0003】
そこで、このようなデジタルガジェットのディスプレイ面を保護するため、該ディスプレイ面に貼付可能な保護シートが提供されている。この保護シートはシリコン接着面を有し、それによって何度でもディスプレイ面への貼付と剥離を繰り返すことができる。
【0004】
また保護シートをディスプレイに貼り付ける場合、間に埃が混入するとその埃の周囲に気泡が発生してしまい、見栄えがよくない、あるいはディスプレイの視認性が低下してしまうなどの問題が起こる。そのため保護シートの接着面には予め剥離シートが取り付けられており、取り付けの直前まで剥離シートで接着面を覆うことで埃が接着面に付着しないよう工夫されている。
【0005】
しかし、いったん剥離シートを取り外してからディスプレイ面に貼り付けるまでに時間がかかると、その間に静電気などで大気中の埃が吸い寄せられ、結局埃が混入してしまうことになる。そこで、例えば剥離シートを2つや3つなどの分割構造とし、少しずつ剥離シートを剥がしながらディスプレイ面に取り付けることができる保護シートなどが提供されている。
【0006】
あるいは特許文献1には、その接着面に取り付けられた剥離シートの一端部を剥がして折り曲げ可能に構成している保護シートが開示されている。この保護シートでは、まず剥離シートの一端部を剥がして折り曲げることで露出した接着面を対象物に貼り付け、つづいて、折り曲げた部分を引き手として引っ張り、それによって剥離シートを剥がしながら徐々に露出する残りの接着面を対象物に貼り付けていくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−192628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の保護シートには以下のような課題がある。すなわち特許文献1の構造においては引き手となる折り返し部分が短く、引き手を掴むためには保護シートとディスプレイ面の間に手を入れこむ必要がある。そのため、保護シートとディスプレイ面の間には手の大きさ分の空間ができることになり、その分だけ露出面とディスプレイが密着するまでに時間がかかり、やはり埃が混入する可能性が高くなる、という課題がある。
【0009】
また、保護性能を高めるためなどを目的として剛性の高い素材で保護シートを構成すると(ディスプレイ側を曲げることは当然できないため)、手を入れる空間を作ることができない、という課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明は、片面をディスプレイ面に対する接着面として利用する保護シート本体と、保護シート本体をディスプレイ面に接着する前に前記接着面を保護する剥離シートと、からなるシート貼付構造体であって、剥離シートは、ディスプレイ端領域に最初に貼り付けるべき接着面の領域であるイニシャル領域に配置される第一シートと、第一シートとは別体で、前記ディスプレイ端領域に続くディスプレイ残領域に貼り付けるべき接着面の領域であるメイン領域に配置され、第一シートとの境界付近で折り返されて接着面に密着する密着部分と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体からはみ出す大きさであるフリー部分とからなる第二シートと、を備えたシート貼付構造体を提供する。
【0011】
あるいは、保護シート本体の接着面の一部で最初に貼り付けられるイニシャル領域の替わりに、保護シート本体の一端側を仮止めするための仮止片を利用しても良い。具体的には、片面をディスプレイ面に対する接着面として利用する保護シート本体と、保護シート本体をディスプレイ面に貼り付ける作業中にディスプレイ面以外を足場として保護シート本体の一端側を仮止めするための仮止片と、保護シート本体をディスプレイ面に接着する前に前記接着面を保護する剥離シートであって、保護シート本体の前記一端付近で折り返されて接着面に密着する密着部分と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体の他端側からはみ出す大きさであるフリー部分とからなる剥離シートと、を備えたシート貼付構造体も提供する。
【0012】
また、上記構成を有し、その保護シート本体が、樹脂素材からなるシート貼付構造体も提供する。また、上記構成を有し、その保護シート本体が、曲げ剛性の高い素材からなるシート貼付構造体も提供する。
【発明の効果】
【0013】
以上のような構成をとる本発明によって、イニシャル領域や仮止片を足場として保護シートとディスプレイ面との位置関係を固定した後、保護シート本体の外側にはみ出したフリー部分を掴むことができるので、保護シート本体とディスプレイ面の間に手を入れるための空間をつくる必要が無い。そして、そのようにして掴んだフリー部分を引っ張って剥離シートを剥がしながら徐々に接着面をディスプレイ面に貼り付けていくことで、より接着面の露出時間を短くし、したがって埃の混入量を抑えて保護シート本体をディスプレイに貼り付けることができる。
【0014】
また、手を入れる空間を確保する必要がないため、剛性の高い素材で保護シートを構成することができる。したがって、保護シートのディスプレイの保護性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイへの貼り付け作業の一例を表す模式図
【図2】実施例1のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイへの貼り付け作業の一例を表す模式図
【図3】実施例1のシート貼付構造体における基本構成の一例を表す模式図
【図4】実施例1のシート貼付構造体におけるイニシャル領域の一例を表す模式図
【図5】実施例1のシート貼付構造体における第二シートの構造の一例を表す模式図
【図6】実施例2のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイへの貼り付け作業の一例を表す模式図
【図7】実施例2のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイへの貼り付け作業の一例を表す模式図
【図8】実施例2のシート貼付構造体における基本構成の一例を表す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0017】
なお、実施例1は、主に請求項1,3,4について説明する。また、実施例2は、主に請求項2、3,4について説明する。
【0018】
≪実施例1≫
<概要>
本実施例のシート貼付構造体は、保護シート本体の接着面に取り付けられる剥離シートが第一シートと第二シートの2枚の分割シートからなり、かつ、第二シートが折り曲げ構造となっており、その折曲げたフリー部分の一部が保護シートからはみ出ていることを特徴とする。
【0019】
<貼付方法>
図1および図2は、本実施例のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイへの貼り付け作業の一例を表す模式図である。なお、これらの図は接着面側を下に、保護シート本体側を上にしてシート貼付構造体を見た場合の斜視図である。まず、クリーニングクロスなどでディスプレイ表面の汚れや埃を除去する。つづいて、この図1(a)にあるように、第一の剥離シートαを矢印で示すようにめくって剥がし、接着面のイニシャル領域Aを露出させる。そして軽く保護シートをディスプレイ面の上に置いて位置合わせをした後、図1(b)にあるように、露出したイニシャル領域Aを、デジタルガジェットのディスプレイ面にゆっくり貼り付ける。
【0020】
それから、図2(a)にあるように、例えばヘラなどで保護シートを上から押さえつけながら、保護シートの右側から飛び出ているフリー部分βを手で持ち、それを右側に引っ張りながら接着面のメイン領域を徐々に露出させていく。またフリー部分の引っ張り動作と協調するようヘラでの押さえつけ位置を右側にずらしながら移動させ、メイン領域の露出した部分から順次ディスプレイ面に保護シートを貼り付けていく。なお、図2(b)は、上記の貼付工程を横から見た場合の模式図である。
【0021】
そして、保護シート全体をディスプレイ面に貼り付け終えると、図2(c)にあるように、保護シート表面に取り付けられた保護シート表面の保護用フィルムを剥がし、取り付けが完了する。
【0022】
<基本構成>
図3は、本実施例のシート貼付構造体における基本構成の一例を表す模式図である。なお、図3(a)は保護シート本体側を上にした場合の斜視図、図3(b)は側面図を示す。
【0023】
そして、この図3にあるように、本実施例の「シート貼付構造体」(0300)は、「保護シート本体」(0301)と、「剥離シート」(0302)と、を備え、かつ、その剥離シートが「第一シート」(0303)と、「第二シート」(0304)と、備えていることを特徴とする。
【0024】
「保護シート本体」(0301)は、片面をディスプレイ面に対する接着面として利用するシート状の構造体であって、その素材としては、例えばPET(ポリエチレン・テレフタレート)をハードコーティングしたものや、ポリエステルフィルムをエラストマー樹脂コーティングしたもの、その他樹脂素材、あるいは剛性の高いアクリルなどが挙げられる。
【0025】
また、保護シート本体の片面を接着面として機能させる方法は特に限定せず、例えば粘着性のあるシリコン層などを保護シート本体の最下層に積層する方法や、視認性を低下させない接着用の溶剤を塗布する方法などがある。
【0026】
なお、保護を目的としたシート本体以外の、例えばグレア/ノングレア(輝度向上/輝度抑制)シートや覗き見防止シートなども、ディスプレイ面に貼り付けられることで結果的にその保護の役割を果たしている。したがって本実施例における「保護シート本体」とは、ディスプレイ面に貼り付けられるこれら保護以外の機能を備えるシート状の構造体も含むものとする。また、その場合、保護シート本体には、それら保護機能以外の機能を付与するための素材や加工などが施されていると良い。
【0027】
また、接着面によって保護シート本体が貼り付けられる「ディスプレイ面」とは、映像などを表示する表示画面のみであっても良いし、例えばその表示画面の保護枠である「ベゼル」などのその他の構造体も含んでいても良い。
【0028】
「剥離シート」(0302)は、保護シート本体をディスプレイに接着する前に前記接着面を保護する機能を有する。具体的に、保護シート本体をディスプレイに接着する前の、例えば輸送時や店頭展示時などに、接着面にこの剥離シートが貼り付けられることで接着面を保護するという具合である。
【0029】
また、この剥離シートの素材は特に限定せずシート状のものであれば何でも良いが、一時的に保護シート本体の接着面をカバーするためのものであるので、接着面からの剥離が容易である素材や形状、あるいは剥離容易とする加工がされたものであることが好ましい。
【0030】
そしてディスプレイに保護シート本体を貼り付ける際には、この剥離シートが接着面から剥がされ、露出した接着面をディスプレイに密着させることで行われることになる。しかし、接着面が露出した状態からディスプレイに密着させるまでの時間が長ければ長いほど、保護シート本体とディスプレイとの間に埃が混入し気泡が生じてしまう可能性が高くなる。
【0031】
そこで、本実施例の剥離シートは、接着面の露出時間をできるだけ短くするため、以下のような構造を備える「第一シート」と「第二シート」から構成されることを特徴とする。
【0032】
「第一シート」(0303)とは、接着面のイニシャル領域に配置される剥離シートの一部を構成するシートをいう。「イニシャル領域」とは、ディスプレイ端領域に最初に貼り付けるべき接着面の領域をいい、例えば図4に示すように、ディスプレイAの破線で示す右端領域に対応する、保護シート本体Bの接着面の例えば横方向で3分の1の斜線で示す領域などが挙げられる。
【0033】
なお、このイニシャル領域の形状は特に限定されないが、ディスプレイの形状に沿ってその端部に貼り付けるのに好適な形状であることが望ましい。また、イニシャル領域に配置される第一シートは、さらに2以上のシートなどに分割可能に構成されていても良い。
【0034】
また、この接着面のイニシャル領域は、前述の概要で記載しているように、第一シートが剥がされた後、普通にディスプレイ端領域に貼り付けられるものである。そのため埃が混入しやすく、したがってイニシャル領域の面積はなるべく小さくすることが望ましい。その上で、最初の貼付による保護シート本体の位置固定力を確保するために、例えばディスプレイの縦又は横方向(後述する第二シートのフリー部分を引っ張る方向)で10分の1に分割した端領域と同じ程度の面積などが挙げられる。また、同縦又は横方向で2分の1以上分割した端領域と同じ面積では、前述のように埃が混入しやすい領域が広くなりすぎるため好ましくない。
【0035】
そして、この接着面のイニシャル領域がディスプレイ面に貼り付けられることで、保護シート本体のディスプレイ面への貼付作業中における足場として作用する、という具合である。
【0036】
「第二シート」(0304)は、第一シートとは別体で、接着面のメイン領域に配置される。「メイン領域」とは、前記ディスプレイ端領域に続くディスプレイ残領域に貼り付けるべき接着面の領域をいい、イニシャル領域同様にその形状は特に限定されない。また後述する構成によって、このメイン領域の露出時間を極めて短くしてディスプレイに貼り付けることができるため、その面積も特に問わない。
【0037】
そしてこの第二シートは折り曲げ構造となっており、図5に示すように破線で示す折り曲げ線を境とする「密着部分」(0505)と「フリー部分」(0506)からなることを特徴とする。なお、図5(a)は第二シートを折り曲げていない状態の一例を表す図であって、図5(b)は第二シートを折り曲げ線から折り曲げ密着部分とフリー部分が重ねられている状態の一例を表す図である。
【0038】
「密着部分」(0505)は、第二シートのうち、第一シートとの境界付近で折り返されて接着面に密着する部分をいい、この部分が保護シート本体をディスプレイに接着する前の、例えば輸送時や店頭展示時などに接着面を保護する機能を実現する。
【0039】
「フリー部分」(0506)は、前記折り返しによって密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体からはみ出す大きさであることを特徴とする。具体的に、例えば図5(b)に示すように第一シートとの境界付近で折り曲げられたフリー部分の一部が、その折曲げられた状態で保護シート本体からはみ出している。そのため、保護シート本体とディスプレイを密着させたままでも容易にその部分を掴み引っ張ることができる。
【0040】
なお、フリー部分のはみ出し量や形状などは特に限定しないが、手で持って引っ張る機能を実現可能なはみ出し量や形状であることが望ましい。例えばはみ出し量としては、5mm〜1cm、あるいはそれ以上あると掴んで引っ張り易い。また、形状は、密着部分と異なり接着面を覆いきる必要がないため、持ちやすさ、加工しやすさ、引っ張った際の切れ難さなどを考慮したうえで自由な形状とすることができる。
【0041】
また、このように第二シートが密着部分とフリー部分に折り曲げられることから折り曲げ容易な素材であることが好ましく、さらに引っ張った際に第二シートの一部が常にディスプレイに触れながら剥がされることになるので、その触れている部分が画面を傷つけないような素材であることが好ましい。
【0042】
なお、本発明の「シート貼付構造体」は、前述の携行可能なデジタルガジェットのディスプレイのみならず、例えば据置型のテレビジョン装置やデスクトップPCなどのディスプレイに貼り付ける際にも好適な構造である。
【0043】
<効果の簡単な説明>
以上のような構成をとる本実施例のシート貼付構造体によって、保護シート本体の外側にはみ出したフリー部分を掴み引っ張ることで、剥離シートを剥がしながら徐々に接着面をディスプレイ面に貼り付けていくことができる。したがって接着面の露出時間を短くすることができ、埃の混入量を抑えて保護シート本体をディスプレイに貼り付けることができる。
【0044】
また、保護シート本体の形状を撓ませるなどその形状を変化させずにそのままディスプレイに貼り付けることができるので、保護シート本体を剛性の高い素材とすることができる。したがって、保護シートのディスプレイの保護性能を高めることもできる。
【0045】
≪実施例2≫
<概要>
本実施例のシート貼付構造体は、上記実施例1と同様にその剥離シートが折り曲げ構造となっており、その折曲げたフリー部分の一部が保護シートからはみ出ている構成である。そして本実施例の特徴点は、貼付作業の足場とするため最初に貼り付けられる部分を、上記実施例1のような接着面の一部(イニシャル領域)ではなく、貼付作業の完了後に容易に取り外すことができる「仮止片」としている点である。
【0046】
つまりイニシャル領域は、従来の方法同様に第一シートの剥離後に普通にディスプレイ面に貼り付けられるため、その領域に関しては従来同様に埃が混入しやすいなどの問題がある。しかし、本実施例では貼付作業後に取り外すことができる「仮止片」を別途設けているため、保護シート本体全体を埃などが混入し難くいようにして貼り付けることができる、という具合である。
【0047】
<貼付方法>
図6と図7は、本実施例のシート貼付構造体による、保護シートのディスプレイ面への貼り付け作業の一例を表す模式図である。まず、図6(a)にあるように仮止片αの接着面に取り付けられた仮止片用剥離シートをはがす。つづいて、図6(b)にあるように、保護シート本体を破線で示す貼付対象物のディスプレイの表示画面に合せて位置取りし、位置があったところで仮止片を表示画面の外枠などに貼り付けて固定する。
【0048】
そしてその後は上記実施例1と同様に、例えばヘラなどで保護シート本体を上から押さえつけながら図7(a)にあるようにフリー部分βを手で持ち、それを矢印方向に引っ張りながら徐々に露出する接着面を貼り付けていく。そして、保護シート全体をディスプレイ面に貼り付け終えると、図7(b)にあるように仮止片を剥がし(保護シート本体の上面に防護フィルムがあればそれとともに剥がし)、保護シート本体のディスプレイ面への取り付けが完了する。
【0049】
<基本構成>
図8は、本実施例のシート貼付構造体における基本構成の一例を表す模式図である。なお、この図は保護シート本体側を上にし、各構成の位置関係を保ちながら分離した場合の斜視図である。
【0050】
そして、この図8にあるように、本実施例の「シート貼付構造体」(0800)は、「保護シート本体」(0801)と、「仮止片」(0802)と、密着部分およびフリー部分からなる「剥離シート」(0803)と、を備えている。
【0051】
「保護シート本体」(0801)とは、片面をディスプレイ面に対する接着面として利用するシート状の構造体である。なお、この保護シート本体についての詳細は上記実施例1で記載したものと同様であるので省略する。
【0052】
「仮止片」(0802)とは、保護シート本体をディスプレイ面に貼り付ける作業中にディスプレイ面以外を足場として保護シート本体の一端側を仮止めするための構造体をいう。また、「ディスプレイ面以外を足場とする仮止め」とは、この仮止片を最初にディスプレイ面以外に貼り付けることで、本実施例のシート貼付構造体とディスプレイ面との位置合わせなど貼付に必要な各種作業を行う際の足場となるよう両者を仮に(後で仮止片を剥がせるように)固定することをいう。つまり、この仮止片によって保護シート本体をディスプレイ面に貼り付けることなく両者を固定することができる。
【0053】
また仮止めされる「ディスプレイ面以外」とは、ディスプレイ面が表示画面のみである場合はそのベゼルなどが挙げられる。また、ベゼルやその他表示画面の枠も含めてディスプレイ面とする場合は、貼付対象物の側面などが挙げられる。
【0054】
そしてこの仮止片は、一部が保護シート本体の外側にはみ出るよう構成され、そのはみ出た部分に接着機能を有することで、その接着機能によってディスプレイ面以外に足場となるよう貼り付けられる、という具合である。
【0055】
なお仮止片の素材は特に限定せず、例えばPETやポリエステルフィルム、あるいはアクリルなどが挙げられる。またその大きさや形も、一部が保護シート本体の外側にはみ出るよう構成されるのであれば特に限定しない。図7に示すように保護シート本体よりも小型の舌片であっても良いし、保護シート本体の上面(接着面の反対側)全体を覆う程度の大きさで、かつ仮止めできるようその一端が保護シート本体の外側にはみ出しているような形であっても良い。
【0056】
また、本実施例のシート貼付構造体内での仮止片の構成位置は、保護シート本体の貼付作業後に容易に取り外せる位置であれば特に限定しない。例えば保護シート本体接着面と剥離シートの間で、かつ剥離シートの折り返し側端部付近に設けられても良い(ただし仮止片の大きさが小さな舌片程度であることが前提)が、基本的には保護シート本体の上面側に設けられていることが好ましい。
【0057】
また、仮止片における仮止のための接着機構は特に限定せず、粘着性のあるシリコン層などを仮止片の最下層に積層する方法や接着用の溶剤を仮止片の接着面に塗布する方法などがある。また、仮止のために保護シート本体からはみ出した部分の接着機構に対しては仮止め前の例えば輸送時や店頭展示時などに接着機構の保護用部材(セパレータ)が取り付けられていると良い。
【0058】
また、保護シート本体上面に、輸送や販売用展示時などにその表面に擦過傷などがつかないようにするための「防護フィルム」が、図8に示すように取り付けられていてもよい。その場合、その防護フィルムの上に仮止片が取り付けられていれば、防護フィルムの取り外し時に仮止片も一緒に取り外すことができる。あるいは前述のように、仮止片を保護シート本体全体を覆う大きさで、かつ仮止めできるようその一端が保護シート本体の外側にはみ出している形とすることで、仮止片に前記防護フィルムの機能を実現させるよう構成しても良い。
【0059】
「剥離シート」(0803)は、保護シート本体をディスプレイに接着する前に前記接着面を保護する機能を有する。なお、その機能やそのための構造などについては上記実施例1で記載しているので、その説明は省略する。
【0060】
そして上記実施例1との相違点は、剥離シートが第一シートと第二シートの分離構造になっていない点である。これは前述の通り、本実施例はイニシャル領域の替わりに仮止片を有することを特徴とするシート貼付構造体であり、第一シートはそのイニシャル領域に配置されるものだからである。
【0061】
逆に言うと、本実施例の剥離シートは上記実施例1の第二シートと同様の構造体のみで構成されている。具体的には、この「剥離シート」は、上記接着面の保護機能を有し、さらに保護シート本体の前記一端付近で折り返されて接着面に密着する「密着部分」(0804)と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体の他端側からはみ出す大きさである「フリー部分」(0805)とからなることを特徴とする。
【0062】
なお、「密着部分」や「フリー部分」に関する説明、およびフリー部分を引っ張ることによる保護シート本体の貼付などについては、上記実施例1で記載済みであるのでその説明は省略する。
【0063】
<効果の簡単な説明>
以上のような構成をとる本実施例のシート貼付構造体によっても、保護シート本体の外側にはみ出したフリー部分を掴み引っ張ることで、剥離シートを剥がしながら徐々に接着面をディスプレイ面に貼り付けていくことができる。したがって接着面の露出時間を短くすることができ、埃の混入量を抑えて保護シート本体をディスプレイに貼り付けることができる。
【0064】
また、仮止片での仮止めにより保護シート全体についてその接着面の露出時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0065】
0300 シート貼付構造体
0301 保護シート本体
0302 剥離シート
0303 第一シート
0304 第二シート
0505 密着部分
0506 フリー部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面をディスプレイ面に対する接着面として利用する保護シート本体と、
保護シート本体をディスプレイ面に接着する前に前記接着面を保護する剥離シートと、
からなるシート貼付構造体であって、
剥離シートは、
ディスプレイ端領域に最初に貼り付けるべき接着面の領域であるイニシャル領域に配置される第一シートと、
第一シートとは別体で、前記ディスプレイ端領域に続くディスプレイ残領域に貼り付けるべき接着面の領域であるメイン領域に配置され、第一シートとの境界付近で折り返されて接着面に密着する密着部分と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体からはみ出す大きさであるフリー部分とからなる第二シートと、
を備えたシート貼付構造体。
【請求項2】
片面をディスプレイ面に対する接着面として利用する保護シート本体と、
保護シート本体をディスプレイ面に貼り付ける作業中にディスプレイ面以外を足場として保護シート本体の一端側を仮止めするための仮止片と、
保護シート本体をディスプレイ面に接着する前に前記接着面を保護する剥離シートであって、保護シート本体の前記一端付近で折り返されて接着面に密着する密着部分と、この密着部分に重ねられることが可能で、重ねられた状態でその一部が前記保護シート本体の他端側からはみ出す大きさであるフリー部分とからなる剥離シートと、
を備えたシート貼付構造体。
【請求項3】
前記保護シート本体は、樹脂素材からなる請求項1または2に記載のシート貼付構造体。
【請求項4】
前記保護シート本体は、曲げ剛性の高い素材からなる請求項1から3のいずれか一に記載のシート貼付構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−67219(P2012−67219A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214149(P2010−214149)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【特許番号】特許第4887451号(P4887451)
【特許公報発行日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000113414)株式会社ホリ (9)
【Fターム(参考)】