説明

シート

背もたれ(2)とシートクッション(4)とを有するシート(1)が、前記シート(1)の縦中心面(10)の左右両側に上下に並べて一列に配置される調節要素(A、C、E、GないしはB、D、F、H)を有している。前記シート(1)の左右両側の半部に互いに高さをずらして配置される前記各調節要素(AからH)を交互にあてがうことにより、シート利用者の背中および場合によっては骨盤に、歩行時の背中および場合によっては骨盤の回転運動に相当する回転運動を能動的に加えられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念(所謂おいて部分、プリアンブル部分)に係るシートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、二つ一組で背もたれの垂直軸に対して対称に配置される複数の往復運動要素が備えられた背もたれを有するシートが知られている。
ほかにも特許文献2には、様々なマッサージ効果を達成するために、シートの輪郭形状に影響を与えられるようにする複数の押付け力を加えることができる要素が背もたれおよびシートクッション(座部)に備えられたシートが説明されている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,558,398号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第2004/026623号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第19726409号明細書
【特許文献4】ドイツ特許発明第3830235号明細書
【特許文献5】ドイツ実用新案登録第20108345号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特にシート利用者の背中のモビライゼーション(易動性)が向上されるように、特許文献1から知られるシートを改良発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えたシートにより解決される。
本発明の核となる考え方は、シートの背もたれに、シート利用者のサポート面に対して概ね垂直な向きに往復運動を行うことができるような性質を持つ複数の調節要素を配置することにある。これらの調節要素は、背もたれの所定の領域に備えられ、そこでシート利用者に狙いを定めてあてがわれることにより、背中の能動的な運動を達成するようになっている。調節要素は、シート利用者の脊柱の左右に、好ましくは背もたれの縦中心面に対して対称に配置される。いずれにせよ、背もたれの上側の領域、すなわちシート利用者の肩と向き合った領域には、二つの調節要素が備えられることになる。これらの肩まわりの二つの調節要素に補足して、シート利用者の胸まわりに二つの中央の調節要素、および/または、シート利用者の腰まわりと向き合った背もたれの下側の領域に二つの調節要素が備えられるようになっている。本発明にしたがって、シート利用者の背中の所定の部位に対応した背もたれの上述の領域に調節要素を配置することにより、調節装置の往復運動を通じて、以下で詳述するように、背中(ならびに背中の個々の脊柱部分または椎節)の目的に適った能動的な運動を達成することができる。
【0006】
本発明にしたがった動作制御方式により、調節要素は、シート利用者の背中に回転モビライゼーションを持たせるように活動化される。この能動的な回転モビライゼーションにより、歩行時の脊柱の運動に相当する、すなわちシート利用者が静止姿勢をとるときには自ら能動的に行うことが不可能な、自然な運動経過を模倣した背中の運動が発生されるようにしている。調節要素により背中に加えられるこのひねり運動により、疲労現象や緊張に殊のほか効果的に対処することができる。
【0007】
これらの調節装置により―十分なストローク量を前提とするが―個々の椎の相互間のモビライゼーションないしは椎節のモビライゼーションがもたらされる。付勢される椎ないしは付勢される椎節は、隣接する椎ないしは椎節に対して微細に運動されることになる。この微細運動は、医学における脊柱の「手技治療」から知られており、椎ないしは椎節にモビライゼーションを持たせて、体感できる心地よさの向上として現れる運動改善を達成するために導入されて成果をあげている。
【0008】
回転モビライゼーションは、シート利用者の背中をひねる、背もたれの内部に備えられる四つまたは六つの調節要素により達成されることが好ましい。この場合は上記で説明したように、肩まわりの調節要素が、胸および/または腰まわりの調節要素と一緒に、適切に動作制御されることになる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態の一例においては、調節要素が、シート利用者の背中を可能な限り外側に位置する領域で能動的に運動させることができるように、背もたれの左右両側の側縁部領域に配置されることにより、可能な限り大きい梃子の効果が達成されるようにしている。当然ながら調節要素は、小柄または細身のシート利用者であっても、なおも効果的に動作できるように配置されなければならない。
【0010】
本発明の有利な構成例においては、それ自体としては特許文献3(ドイツ特許出願公開第19726409号明細書)から知られているように、背もたれの調節要素に補足して、シートクッション(座部)にも調節要素が備えられるようになっている。この刊行物には、シートクッションの表面に対して概ね垂直な向きに往復運動を行う二つの調節要素を有するシートクッションが説明されている。これらの調節要素は、交互に運動されて、それにより歩行時の骨盤の運動に似たシート利用者の骨盤の傾斜運動を発生するようになっている。
【0011】
背もたれとシートクッションの調節要素をこのように組み合わせて、相応の動作制御方式と結び付けることにより、背もたれの調節要素がシートクッションの調節要素とともに、逆方向への調節運動を行うことで、背中と骨盤の三次元回転運動が達成される。背中の回転運動をこのように骨盤の傾斜運動により補足してやると、シート利用者の脊柱の全体的なモビライゼーションにとり極めて有利になる。この回転モビライゼーションは、歩行時に背中と骨盤が行う回転運動を模倣したものである。
【0012】
すなわち本発明の上述の実施例には、シートの背もたれに少なくとも四つないしは六つの調節要素と、シートクッションに少なくともさらにもう二つの調節要素とが備えられることになる。当然ながら、これとは異なる数の調節要素がシートに組み付けられてもかまわない。
【0013】
調節要素は、大きさが異なるもの、および/または機械構造が異なるもの、および/または幾何形状が異なるものが使用されてもかまわない。
基本的に調節要素は、シートの左右の半部に対称に配置される。しかしそれとは異なり、シートの構成形状に応じて、調節要素を少なくとも部分的に非対称に分散することも考えられる。
【0014】
調節要素は、シートのベーススプリング、すなわち力を吸収する構造と、通常は発泡材料であるシートのパッドとの間に配置されることが好ましい。調節要素をこのようにフレームとシート発泡材との間に配置することにより、調節要素がシート利用者の背中および場合によっては臀部に点状に作用して座り心地を損ねることを防止している。それどころかむしろ上述の配置方式により、シート利用者の身体に調節要素が点状に強く作用することのない、大面積の圧力分布が達成される。しかしそれと同時に、調節要素の上述の配置方式により、シート利用者の背中および場合によっては臀部への、十分正確に限局された入力が保証されるようになる。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態においては、これらの調節要素に補足して、それ自体としては特許文献4(ドイツ特許発明第3830235号明細書)および特許文献5(ドイツ実用新案登録第20108345号明細書)から知られているように、背もたれに上下に並べて配置される複数のマッサージ要素が備えられる。特許文献4の場合は、隣り合ったマッサージ要素が次から次へと付勢されることによって、背もたれの高さ方向に沿って進行するローラ状のウェーブ運動が生じるように、マッサージ要素の動作制御が行われるようになっている。
【0016】
シート利用者の背中に加えられるこのウェーブ運動により、脊柱に沿った筋肉、主として脊柱のわきの筋のマッサージがもたらされる。筋肉にこのように直接機械的に作用することによって、背中の筋肉の血行が改善し、その結果筋肉は、周辺の身体組織(軟骨、靭帯、腱)も含めて再生され、続いて緊張が解きほぐされることになる。ほかにも加えられるウェーブ運動により、脊柱が、周期的な背筋のばしの趣意で軽く運動されるようになっている。脊柱のこの運動により、ここでも椎間板に入れ替わりで作用する押し付け力が生じることによって、回転モビライゼーションのプラスの効果が増進され、その結果椎間板軟骨への補給が改善されることになる。
【0017】
本発明にしたがったシートは、自動車において非常に有利に適用することができるが、なぜならそこでは多くの場合利用者が長時間シート上で静止姿勢をとり続け、車中の所与の状況のために、また運転者である場合はほかにも交通事象のために、自身の能動的な運動が不可能となっているからである。回転モビライゼーションにより、脊柱は、歩行時の自然な運動経過に相当するように運動される。この運動の結果、椎間板に入れ替わりで作用する押し付け力が生じるが、これは、浸透プロセスによる椎間板軟骨への栄養分の補給に有利に作用する。すなわち椎間板は、これに入れ替わりで加えられるこの負荷のもとで、その再生が促進されることになる。ほかにもこの回転モビライゼーションが筋肉にも作用することによって、筋肉の緊張が好首尾に回避されるか、少なくとも低減されるようになる。
【0018】
調節要素の往復運動は、両腕を介してこの往復運動がステアリングホイールに伝達され、それにより運転行為にマイナスの影響が生じる事態を排除するためにも、限定されなければならない。この運転者の両腕を介した運動の直接伝達とならび、往復運動の量定に際しては、運転中に気を逸らされることが一切ないようにするためにも、運転者の両腕の運動感覚器官が反応しないように、配慮しなければならない。
【0019】
本発明の有利な構成例は、従属請求項の対象となっている。
図面には本発明の可能性のある実施例が示されており、以下ではこれについて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1には、背もたれ2、ヘッドレスト3、およびシートクッション(座部)4を有するシートが、全体に符号1を付して示されている。背もたれ2およびシートクッション4の中央サポート面5および6は、背もたれ2およびシートクッション4の両側のサイドサポート7および8へと続いている。背もたれ2の上側の領域には、サイドサポートのないショルダ部9が備えられている。符号10は、シート1の縦中心面を示す。
【0021】
背もたれ2の内部には、本発明にしたがって六つの調節要素AからFが備えられているが、そこでは調節要素A、CおよびEが調節要素B、DおよびFに対して鏡像のように配置されている。したがってシート1の右側および左側は、上下に並べて配置される調節要素A、C、EならびにB、D、Fをそれぞれ一列ずつ有している。これらの調節要素AからFは、個別に動作制御できるようになっている。
【0022】
調節要素AおよびBは、背もたれ2のショルダ部に配置され、かなり外側寄りに、ショルダ部9の高さ方向に関してショルダ部9のほぼ中央に位置している。調節要素CおよびEならびにDおよびFはいずれも、背もたれ2の中央サポート面5とサイドサポート7間の移行領域に配置されている。そこでは調節要素CおよびDが、背もたれ2の高さ方向のほぼ中央、すなわちこのシート1に属する利用者の胸まわりに位置している。調節要素EおよびFは、背もたれ2の下側の部分に配置され、それにより利用者の腰まわりに対して割り当てられている。
【0023】
シートクッション4は、縦中央面10に対して概ね対称に配置される二つの調節要素GおよびHを有している。これらの調節要素GおよびHは、シート利用者の坐骨結節部と向き合っているシートクッション4の領域に配置されている。
【0024】
調節要素AからHは、シート利用者がシート1と密着するサポート面の下側に覆い隠されて配置されている。これらは、シートのベーススプリングとパッドとの間に位置することが好ましい。調節要素AからHは、往復運動要素として実施され、シート1の乗員サポート面に対してほぼ垂直な向きに運動を行うようになっている。それにより、シート利用者の背中ならびに臀部に力が加えられ、続いて一定の運動が加えられるようにしている。調節要素AからHの往復運動によりもくろまれて達成されるマッサージ効果は、ごく僅かな範囲に限られている。前面に押し出されるのは、それよりもむしろ脊柱のモビライゼーションである。
【0025】
図1には、調節要素AからFの非常に好ましい配置方式の一例が示されているが、この図は、特に調節要素AからFの形状に関しては、抽象的に描かれたものである。図2から5には、調節要素のそれに代わる配置方式および形状が示されている。
【0026】
図2には、角錐状の調節要素A、B、EおよびFが示されるが、これらは、シート1のこの正面図においては、三角形の側面を有している。調節要素A、B、EまたはFのいずれかが活動化されると、その三角形の側面の底辺領域のストロークを最大とする、楔形の形成物が生じるようになっている。この最大ストロークは、図1に示される調節要素A、B、EおよびFのストロークと等しいが、ここでは調節要素A、B、EおよびFが、垂直方向でその下またはその上に位置する調節要素に向かって先細りする楔形を描いて終わることにより、移行がソフトに行われるようになっている。
【0027】
図3には、調節要素AからFのほぼ実際的な別の構成形態が示されるが、これらは楔形状を有している。調節要素AからFは、これらが非活動時の位置にあるときには、実質的に平坦な、平面図(正面図)で見て矩形の形成物となっている。これら調節要素AからFは、活動化されると、「開かれ」て、先端がシート1の縦中心面10と向き合った楔11の形状をとるようになっている。したがって調節要素AからFの最大ストロークは、図1に示されるものに相応して、背もたれ2の両外側に位置する領域に生じることになる。背もたれ2が比較的平坦である場合は、この楔形状の調節要素AからFが有利であるが、なぜならそのような背もたれ2では、背もたれ2の平坦なサポート面と、シート利用者の、周辺がカーブしている背中との間に、楔形の間隔が存在するからである。この楔形の間隔が、有利なことにも楔形の調節要素AからFにより埋め合わされることになる。ほかにも楔形の調節要素AからFにより、乗員の背中に対して垂直な往復運動を加えることが達成される。それに加え、調節要素CおよびDの楔11は、胸まわりでシート利用者の背中に対する極めて優れた適合性を達成するために、縦中心面10に対して若干傾斜されている。
【0028】
図4に示される背もたれ2においては、図1の調節要素AないしはBないしはEないしはFのそれぞれに代わり、調節要素A、A、A、A、AないしはB、B、B、B、BないしはE、E、E、E、EないしはF、F、F、F、Fが五つずつ備えられている。このように小分けすることにより、それぞれのストロークを段刻みにすることで、図2に示される角錐形の調節要素A、B、EおよびFの場合と同様の効果、すなわち、ストロークが最大である調節要素A、B、EないしはFから始まり、流れるように徐々に静止する運動を達成することができる。あるいはその代わりに、調節要素A、B、EないしはFが最大ストロークを実行するようにしてもよい。
【0029】
図5に示される調節要素AからFについても、これと同様である。図5からはっきりとわかるように、図1の調節要素AからFのそれぞれに代わり、調節要素A、A、AからF、F、Fが三つまたは四つずつ備えられることにより、相応に段刻みにした動作制御によりソフトな移行を達成できるようにしている。
【0030】
図6には、背中ないしは背中および骨盤の回転モビライゼーションを達成するための、各調節要素AからHの好ましい動作制御方式が一覧表で示されている。
調節パタンa)では、調節要素AおよびDならびにBおよびCが交互に活動化されることによって、シート利用者の背中にあてがうせり出し運動が、はす向かいに、すなわち背もたれ2の右側と左側の半部とで高さをずらして行われるようになっている。これにより背中の「単純な回転」が達成される。対角線上で対向する二つの調節要素により発生される背中のこの回転運動は、比較的強い運動として現れる。
【0031】
調節要素CおよびDの代わりに、調節要素EおよびFが活動化されるようにしてもよいが、このときには、上述と同じ効果が得られるものの、肩まわりと腰まわりに配置される調節要素A、BないしはE、F間の距離が大きくなる。これは、調節パタンb)によりもたらされる。
【0032】
モビライゼーションの次の段階c)では、調節要素A、DおよびEが、調節要素B、CおよびFと入れ替わりで作動されるようになっている。換言すれば、背もたれ2の左側ないしは右側の半部にある一方の肩部往復運動要素AないしはBおよび腰部往復運動要素EないしはFが、背もたれ2の右側ないしは左側の半部にある一方の胸部往復運動要素DないしはCと一緒に活動化されるようになっている。それにより、上述の「単純な回転」とは異なり、「セグメント回転」が達成されるようにしている。この「セグメント回転」では、常に少なくとも三つの調節要素が関与することになるが、そこでは、胸まわりの中央調節要素CないしはDに対して、背中が少しの回転運動しか実施しないために、背中のひねりは、単純な回転と比べると少しとなっている。それにより肩甲帯の運動がかなり低減されることになり、自動車の運転者の両腕に伝達される往復運動に関して有利となる。
【0033】
背もたれ2の四つないしは六つの調節要素AからFを、シートクッション4の二つの調節要素GおよびHと組み合わせることにより、シート利用者に加えられる三次元運動を達成することができる。そのために背もたれ2の調節要素A、DおよびEは、シートクッション4の調節要素Hと一緒に、この調節パタンd)においては、活動化されたそれぞれの調節要素により「ジグザグ線」が生じるように運動される。調節要素B、C、FおよびGの作動は、これと入れ替わりで周期的に行われるようになっている。
【0034】
この調整パタンd)により、歩行時に起こるような、脊柱および骨盤の生理学的運動経過が作り出される。
調節要素A、DおよびEの活動化を、調節パタンe)にしたがって調節要素Gの活動化と組み合わせて、これと交互に調節要素B、C、FおよびHが活動化されるようにしてもよい。
【0035】
上述の活動化パタンにより、シート利用者の背中および場合によっては骨盤に、歩行時の自然な運動のように感じ取られる、主として回転により決まる運動が加えられることになる。それにより、外部から、それ自体としては静的に着席している乗員に、脊柱および骨盤にモビライゼーションを持たせて筋肉の緊張を防ぐように作用する、解剖学的に有意な運動経過が加えられることになる。
【0036】
背もたれの中央領域5には、さらにそれに追加して、縦中心面10の左右に二列のマッサージ要素11から16が等間隔で配置されている。
図7には、これらのマッサージ要素11から16の活動化経過の五通りの可能性i)からv)が、表形式で示されている。
【0037】
経過i)では、シート利用者の背中に沿って上から下へと進行するウェーブ運動と、下から上へと進行するウェーブ運動とが入れ替わりで発生される。
あるいはその代わりに、経過ii)ないしはiii)にしたがって、背もたれ2の上側または下側の半部だけにウェーブ運動が繰り広げられるようにしてもよい。
【0038】
図7に示される経過iv)においては、最初に背もたれ2の上から中央までウェーブ運動が行われた後、引き続いて背もたれの下から再び中央までウェーブ運動が行われる。本発明の好ましい構成例においては、この両方のウェーブ運動が同時に行われることにより、背もたれ2に上および下から中央に向かって走るウェーブが生じるようにしている。
【0039】
図7に示される経過v)においては、ウェーブ運動が背もたれ2の中央から上ないしは下に向かって移動する。ここでも、運動が両方向に同時に進行することが好ましい。
図8には、調節要素AからHならびにマッサージ要素1から6の可能性のある活動特性の経時変化が示されている。記載の時間は、あくまでも具体例としてあげたものである。
【0040】
調節要素A、D、E、Hは、5秒の活動化時間t内に最大ストロークに到達する。保持時間tは10秒である。これに再び5秒の非活動化時間tDが続いている。次のサイクルは、150秒の休止時間tを間にはさんでから開始している。
【0041】
調節要素A、D、E、Hの往復運動サイクルの終了後に、5秒の待機時間tをはさんで、調節要素B、C、F、Gの往復運動サイクルが、好ましくは同じパラメータt、tおよびtで開始される。
【0042】
調節要素AからHのサイクルの後には、5秒の待機時間Tをはさんで、マッサージ要素1から6のマッサージサイクルが続いている。その活動化時間T、保持時間Tおよび非活動化時間Tはいずれも5秒である。マッサージ要素1の非活動化の後には、待機時間Tをはさまずに、マッサージ要素2以下の活動化が直接続いている。最後のマッサージ要素6のサイクル終了後には、待機時間Tをはさんで、調節要素A、D、E、Hの活動化が再び開始される。
【0043】
調節要素A、D、E、Hの2回の往復運動サイクルの間の休止時間tは、この例においては、その間にマッサージサイクルをはさむために、相応に長くなっている。シート1にマッサージ要素1から6がない場合、またはマッサージ要素1から6が非活動状態にあるときには、シート利用者のためにシート1の非活動状態が長引かないようにするために、この休止時間tが大幅に短縮されるようになっている。
【0044】
具体例として記載した時間は、動作制御方式の実施方法により、上記の時間とは大幅に異なっていてもかまわない。1回のマッサージサイクルが15秒間持続する上述の実施例とは異なり、1回のマッサージサイクルの長さをたとえば5秒から120秒の間としてもよい。当然ながら、回転サイクルおよびマッサージサイクルは、このような「対称」な構成とは異なり、「非対称」に進行するようにしてもよい。記載の時間は全て、基本的には個別に量定されるとよい。待機時間tおよびTは、削除または追加してもよい。
【0045】
調節要素AからHのストロークは、たとえば8センチメートルである。もっともこの調節量は、シート1のベーススプリングとパッドにより有効ストローク量の大半が費消されるために、シート利用者の背中において有効となるストローク量と同一視することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図式的に示される複数の調節要素およびマッサージ要素が備えられた、本発明にしたがったシートの第1の実施例の見取り図である。
【図2】調節要素の形状および配置方式の代替実施例を示す、図1と同様の図である。
【図3】調節要素の形状および配置方式の代替実施例を示す、図1と同様の図である。
【図4】調節要素の形状および配置方式の代替実施例を示す、図1と同様の図である。
【図5】調節要素の形状および配置方式の代替実施例を示す、図1と同様の図である。
【図6】調節要素による様々な回転運動の発生経過を示す表である。
【図7】マッサージ要素による様々なマッサージ効果の発生経過を示す表である。
【図8】回転およびマッサージの経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1 シート
2 背もたれ
3 ヘッドレスト
4 シートクッション
5 サポート面
6 サポート面
7 サイドサポート
8 サイドサポート
9 ショルダ部
10 縦中心面
11 楔
A 調節要素
B 調節要素
C 調節要素
D 調節要素
E 調節要素
F 調節要素
G 調節要素
H 調節要素
1 マッサージ要素
2 マッサージ要素
3 マッサージ要素
4 マッサージ要素
5 マッサージ要素
6 マッサージ要素
活動化時間
非活動化時間
保持時間
待機時間
活動化時間
非活動化時間
保持時間
待機時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれとシートクッションを有するシートであって、利用者と向き合った前記背もたれのサポート面の内側に配置されかつ前記サポート面に対して概ね垂直な向きに往復運動を行うことができる複数の調節要素が前記背もたれに備えられたシートにおいて、
前記利用者の背中に、歩行時の背中の回転運動に匹敵する回転運動が加えられるように、前記各調節要素(A〜F)を時間に関して互いに調整した順序で活動化する動作制御方式が備えられることを特徴とする、シート。
【請求項2】
請求項1に記載のシートにおいて、
前記各調節要素(A〜F)が、前記背もたれ(2)の次の領域:
‐上側領域(肩まわり)、
‐中央領域(胸まわり)、および/または
‐下側領域(腰まわり)
に、前記背もたれ(2)の左側と右側の半部にそれぞれ少なくとも一つの調節要素(A〜F)を備えて配置されていることを特徴とする、シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートにおいて、
前記各調節要素(A〜F)が、前記背もたれ(2)の側部外側に位置する領域に配置されていることを特徴とする、シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートにおいて、
少なくとも二つの調節要素(G、H)が追加して前記シートクッション(4)に備えられ、これらが、前記利用者の背中と骨盤に、歩行時の背中と骨盤の回転運動に匹敵する回転運動を加えるように、前記動作制御方式により、前記背もたれ(2)の各調節要素(A〜F)に時間に関して調整された方式で活動化されることを特徴とする、シート。
【請求項5】
請求項4に記載のシートにおいて、
前記シートクッション(4)の右側と左側の半部に、少なくとも一つの追加調節要素(G、H)が配置されていることを特徴とする、シート。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシートにおいて、
前記追加調節要素(G、H)が、利用者の坐骨結節部の支持領域に配置されていることを特徴とする、シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシートにおいて、
各調節要素(A〜F)が、次のように配置され:
‐A:右肩まわり
‐B:左肩まわり
‐C:右胸まわり
‐D:左胸まわり
‐E:右腰まわり
‐F:左腰まわり
次の方式で:
a)調節要素Aと調節要素Dが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Cが同時に、または、
b)調節要素Aと調節要素Fが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Eが同時に、または、
c)調節要素Aと調節要素Dと調節要素Eが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Cと調節要素Fが同時に
活動化されることを特徴とする、シート。
【請求項8】
請求項1〜6に記載のシートにおいて、
各調節要素(A〜H)が、次のように配置され:
‐A:右肩まわり
‐B:左肩まわり
‐C:右胸まわり
‐D:左胸まわり
‐E:右腰まわり
‐F:左腰まわり
‐G:右骨盤まわり
‐H:左骨盤まわり
次の方式で:
a)調節要素Aと調節要素Dが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Cが同時に、または、
b)調節要素Aと調節要素Fが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Eが同時に、または、
c)調節要素Aと調節要素Dと調節要素Eが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Cと調節要素Fが同時に、または、
d)調節要素Aと調節要素Dと調節要素Eと調節要素Hが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Cと調節要素Fと調節要素Gが同時に、または、
e)調節要素Aと調節要素Dと調節要素Eと調節要素Gが同時に、これと入れ替わりで調節要素Bと調節要素Cと調節要素Fと調節要素Hが同時に
活動化されることを特徴とする、シート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のシートにおいて、
前記背もたれ(2)の高さ方向に沿って、複数のマッサージ要素(11〜16)が配置されていることを特徴とする、シート。
【請求項10】
請求項9に記載のシートにおいて、
前記各マッサージ要素(11〜16)が、前記背もたれ(2)の縦中心面(10)に対し対称に、前記各調節要素(A〜F)の側方内側に二列に配置されていることを特徴とする、シート。
【請求項11】
請求項10に記載のシートにおいて、
それぞれの列に六つのマッサージ要素(11〜16)が含まれることを特徴とする、シート。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載のシートにおいて、
前記シート利用者の背中にローラ状に転動するマッサージ運動が加えられるように、前記各マッサージ要素(11〜16)の動作制御を行う動作制御方式が備えられていることを特徴とする、シート。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のシートにおいて、
前記各マッサージ要素 (11〜16)の活動化が、前記各調節要素(A〜H)の活動化に対して、時間に関して調整されていることを特徴とする、シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−534061(P2009−534061A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505757(P2009−505757)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003281
【国際公開番号】WO2007/121874
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】