説明

シート

【課題】操作力が小さくなるシートを提供する。
【解決手段】シート21の側部フレームの外側に、リクライニング装置31のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構71を設け、シート21の側部フレームの内側に、シートバック前傾ストッパ装置41のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構及びシートスライド装置のロック状態を解除するシートスライドロック解除リンク機構84を設け、リクライニングレバー(第1操作部材)33によるリクライニングロック解除リンク機構71への操作力をシートバック前傾ストッパ解除機構へ伝達する伝達機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバック前倒し機構とウォークイン機構とを備えたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、3列シートを有する車両において、2列目のシートには、シートバック前倒れ機構とウォークイン機構とを備えたものがある。
【0003】
図5、図6において、シート1は着座者の背部を支持するシートバック3と、着座者の臀部を支持するシートクッション5とからなっている。
【0004】
シートバック3は、図示しないリクライニング装置により、最前傾位置と最後傾位置との間で回転可能となっている。また、シートバック3は、図示しない第1付勢部材により、前倒方向に付勢されている。さらに、このリクライニング装置は、図示しないリクライニングロック解除リンク機構により、リクライニング装置のロック解除が行われるようになっている。
【0005】
シートクッション5は、シートスライド装置7により、フロアFに対して最前方位置と最後方位置との間で移動可能となっている。また、図示しない第2付勢部材により、シートクッション5は前方へ付勢されている。さらに、このシートスライド装置7は、図示しないシートスライドロック解除リンク機構により、シートスライド装置のロック解除が行われるようになっている。
【0006】
また、図示しないシートバック前傾ストッパ装置により、シートバック3は、着座可能な傾動範囲で、最起立位置と最前傾位置との間に位置するウォークイン前傾位置から前傾方向への回転が禁止される。
(前倒し機構)
前倒し機構の作動を図5を用いて説明する。図において、シートバック前倒し機構の第1操作部材(操作レバー)9を操作すると、シートバック前傾ストッパ装置のストッパ状態を解除すると共に、リクライニング装置をロック解除する。すると、第1付勢部材により前傾方向に付勢されているシートバック3は最前傾位置(シートクッション5と重なる位置)へ傾動し、シートバック3の背面3aが3列目シート着座者のテーブルとなる。
(ウォークイン機構)
ウォークイン機構の作動を図6を用いて説明する。図において、ウォークイン機構の第2操作部材を操作すると、リクライニング装置をロック解除し、シートバックをウォークイン前傾位置まで傾動させると共に、シートスライド装置をロック解除する。すると、第1付勢部材により前傾方向に付勢されているシートバック3は、ウォークイン前傾位置まで傾動する。
【0007】
また、シートスライドロック解除リンク機構が駆動されると、シートスライド装置7がロック解除され、シートクッション5は最前方位置まで移動可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−74149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載されたシートでは、シートの側部フレームの一方の側に、リクライニングロック解除リンク機構と、シートスライドロック解除リンク機構とが重なるように配置されている。リンク機構が重なると、シートクッションフレームから離れた位置のあるリンク部材を回転可能に支持する軸長が長くなる。軸とシートフレームとの垂直度の誤差により、リンク部材を支持する位置での軸倒れ量も大きくなり、リンク部材を操作する操作力が大きくなる問題点がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、操作力が小さくなるシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、着座者の臀部を支持するシートクッションと、着座者の背部を支持するシートバックと、前記シートクッションに対して最前傾位置と最後傾位置との間で前記シートバックを回転可能とするリクライニング装置と、前記シートバックの着座可能な傾動範囲での最起立位置と前記シートバックの最前傾位置との間に位置するウォークイン前傾位置から前傾方向への回転を禁止するシートバック前傾ストッパ装置と、フロアに対して最前方位置と最後方位置との間で前記シートクッションを移動可能とするシートスライド装置と、前記シートバック前傾ストッパ装置のストッパ状態を解除すると共に、前記リクライニング装置をロック解除し、前記シートバックを最前傾位置まで傾動可能とするシートバック前倒し機構と、前記リクライニング装置をロック解除し、前記シートバックをウォークイン前傾位置まで傾動可能とすると共に、前記シートスライド装置をロック解除し、前記シートクッションを最前方位置まで移動可能とするるウォークイン機構と、シートの側部フレームの外側に設けられ、前記リクライニング装置のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構と、前記シートの側部フレームの内側に設けられ、前記シートバック前傾ストッパ装置のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構及び前記シートスライド装置のロック状態を解除するシートスライドロック解除リンク機構と、前記リクライニングロック解除リンク機構への操作力を前記シートバック前傾ストッパ解除機構へ伝達する伝達機構と、を有することを特徴とするシートである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記リクライニングロック解除リンク機構は、回転可能に設けられ、前記ウォークイン機構を操作する第2操作部材の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置のロック解除を行うリクライニングロック解除レバーと、回転可能に設けられ、一方の方向に回転することにより前記リクライニングロック解除レバーを押し、前記リクライニングロック解除レバーを一方の方向へ回転させる連動レバーと、前記連動レバーに取り付けられ、前記シートバック前倒し機構を操作する第1操作部材の操作力を前記連動レバーへ伝達する第1リンクとからなり、前記シートバック前傾ストッパ解除機構は、前方へ回転する前記シートバックに押されて回転可能なストッパ位置と、前記シートバックと当接しない退避位置との間を回転可能に設けられたストッパレバーと、前記シートバックに押された前記ストッパレバーが当接し、前記シートバックが前記ウォークイン前傾位置より前方へ回転するのを禁止するストッパ部と、前記退避位置に位置する前記ストッパレバーを前記ストッパ位置方向へ付勢する第3付勢部材とからなり、前記シートスライドロック解除リンク機構は、一方の方向に回転すると、前記シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除レバーと、一端部が前記シートスライドロック解除レバーに取り付けられ、他端部が前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに取り付けられ、ストッパ位置にある前記ストッパレバーのストッパ部への動きを前記シートスライドロック解除レバーに伝達し、シートスライドロック解除レバーを一方の方向に回転させる第2リンクと、からなり、前記伝達機構は、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの一方に設けられた突部と、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの他方に設けられ、前記突部が係合し、前記第1操作部材の操作力により前記第1リンクが移動すると、前記ストッパレバーをフリー状態に移動させる長穴と、前記シートの側部フレームに設けられ、前記突部が挿通するフレーム長穴と、からなることを特徴とする請求項1記載のシートである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記リクライニングロック解除リンク機構は、回転可能に設けられ、前記ウォークイン機構を操作する第2操作部材の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置のロック解除を行うリクライニングロック解除レバーと、回転可能に設けられ、一方の方向に回転することにより前記リクライニングロック解除レバーを押し、前記リクライニングロック解除レバーを一方の方向へ回転させる連動レバーと、前記連動レバーに取り付けられ、前記シートバック前倒し機構を操作する第1操作部材の操作力を前記連動レバーへ伝達する第1リンクとからなり、前記シートバック前傾ストッパ機構は、前方へ回転する前記シートバックと当接可能なストッパ位置と、前記シートバックと当接しない退避位置との間を回転可能に設けられたストッパレバーと、前記シートバックに押された前記ストッパレバーが当接し、前記シートバックが前記ウォークイン前傾位置より前方へ回転するのを禁止するストッパ部と、前記退避位置に位置する前記ストッパレバーを前記ストッパ位置方向へ付勢する第3付勢部材とからなり、前記シートスライドロック解除リンク機構は、一方の方向に回転すると、前記シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除レバーと、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに回転可能に取り付けられ、前方へ回転する前記シートバックに押されて回転する第1レバーと、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに回転可能に取り付けられ、回転する前記第1レバーに押されて回転する第2レバーと、一端部が前記シートスライドロック解除レバーに取り付けられ、他端部が前記第2レバーに取り付けられ、前記第2レバーの回転により、シートスライドロック解除レバーを一方の方向に回転させる第2リンクと、からなり、前記伝達機構は、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの一方に設けられた突部と、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの他方に設けられ、前記突部が当接し、前記第1操作部材の操作力により前記第1リンクが移動すると、前記ストッパレバーをフリー状態に移動させる面と、からなることを特徴とする請求項1記載のシートである。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記ストッパ部はシートクッションフレームに一体的に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシートである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1−請求項4に係る発明によれば、シートの側部フレームの外側に設けられ、前記リクライニング装置のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構と、前記シートの側部フレームの内側に設けられ、前記シートバック前傾ストッパ装置のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構及び前記シートスライド装置のロック状態を解除するシートスライドロック解除リンク機構と、前記リクライニングロック解除リンク機構への操作力を前記シートバック前傾ストッパ解除機構へ伝達する伝達機構と、を有することにより、シートの側部フレームとリクライニングロック解除リンク機構のリンク部材との距離及びシートの側部フレームとシートスライドロック解除リンク機構のリンク部材との距離が短くなり、リンク部材を回転可能に支持する軸の軸倒れ量が小さくなり、リンク部材を操作する操作力が小さくなる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記リクライニングロック解除リンク機構は、回転可能に設けられ、前記ウォークイン機構を操作する第2操作部材の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置のロック解除を行うリクライニングロック解除レバーと、回転可能に設けられ、一方の方向に回転することにより前記リクライニングロック解除レバーを押し、前記リクライニングロック解除レバーを一方の方向へ回転させる連動レバーと、前記連動レバーに取り付けられ、前記シートバック前倒し機構を操作する第1操作部材の操作力を前記連動レバーへ伝達する第1リンクとからなることにより、第1操作部材の操作力は剛体でなるリンク部材のみを介してリクライニング装置のロック解除が行われ、ケーブル等の非剛体である伝達部材を介してリクライニング装置のロック解除を行う場合に比べて操作力が軽くなり、安価となる。
【0017】
また、前記シートスライドロック解除リンク機構は、一方の方向に回転すると、前記シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除レバーと、一端部が前記シートスライドロック解除レバーに取り付けられ、他端部が前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに取り付けられ、ストッパ位置にある前記ストッパレバーのストッパ部への動きを前記シートスライドロック解除レバーに伝達し、シートスライドロック解除レバーを一方の方向に回転させる第2リンクと、からなることにより、ケーブル等の非剛体である伝達部材を介してシートスライド装置のロック解除を行う場合に比べて操作力が軽くなり、安価となる。
【0018】
更に、前記伝達機構は、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの一方に設けられた突部と、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの他方に設けられ、前記ピンが係合し、前記第1操作部材の操作力により前記第1リンクが移動すると、前記ストッパレバーをフリー状態に移動させる長穴と、前記シートの側部フレームに設けられ、前記突部が挿通するフレーム長穴と、からなることにより、操作力はすべて剛体の部材を介して伝達され、ケーブル等の非剛体である伝達部材を介してリクライニング装置のロック解除を行う場合に比べて操作力が軽くなり、安価となる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、前記リクライニングロック解除リンク機構は、回転可能に設けられ、前記ウォークイン機構を操作する第2操作部材の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置のロック解除を行うリクライニングロック解除レバーと、回転可能に設けられ、一方の方向に回転することにより前記リクライニングロック解除レバーを押し、前記リクライニングロック解除レバーを一方の方向へ回転させる連動レバーと、前記連動レバーに取り付けられ、前記シートバック前倒し機構を操作する第1操作部材の操作力を前記連動レバーへ伝達する第1リンクとからなることにより、ケーブル等の伝達部材を介してリクライニング装置のロック解除を行う場合に比べて操作力が軽くなり、安価となる。
【0020】
また、前記シートスライドロック解除リンク機構は、一方の方向に回転すると、前記シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除レバーと、一端部が前記シートスライドロック解除レバーに取り付けられ、他端部が前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに取り付けられ、ストッパ位置にある前記ストッパレバーのストッパ部への動きを前記シートスライドロック解除レバーに伝達し、シートスライドロック解除レバーを一方の方向に回転させる第2リンクと、からなることにより、ケーブル等の伝達部材を介してシートスライド装置のロック解除を行う場合に比べて操作力が軽くなり、安価となる。
【0021】
更に、前記伝達機構は、前記伝達機構は、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの一方に設けられた突部と、前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの他方に設けられ、前記突部が当接し、前記第1操作部材の操作力により前記第1リンクが移動すると、前記ストッパレバーをフリー状態に移動させる面と、からなることにより、ケーブル等の伝達部材を介して伝達する場合に比べて操作力が軽くなり、安価となる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、前記ストッパ部はシートクッションフレームに一体的に形成したことにより、組み付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態のシートの発明部分を示す構成図で、シートバック前倒し機構を説明する図である。
【図2】図1のシートのウォークイン機構を説明する図である。
【図3】第2実施形態のシートの発明部分を示す構成図で、シートバック前倒し機構を説明する図である。
【図4】図3のシートのウォークイン機構を説明する図である。
【図5】前倒し機構を説明する図である。
【図6】ウォークイン機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
(全体構成)
図1、図2を用いて説明する。図1は第1実施形態のシートの発明部分を示す構成図で、シートバック前倒し機構を説明する図、図2は図1のシートのウォークイン機構を説明する図である。
(全体構成)
これらの図において、シート21は、着座者の臀部を支持するシートクッション23と、着座者の背部を支持するシートバック25とからなっている。
【0025】
シートクッション23の後部とシートバック25の下部との間には、シートクッション23に対して最前傾位置と最後傾位置との間でシートバック25を回転可能とするリクライニング装置31が設けられている。また、シートバック25は、図示しない第1付勢部材により、前倒方向に付勢されている。
【0026】
また、シート21には、シートバック25の着座可能な傾動範囲での最起立位置とシートバック25の最前傾位置との間に位置するウォークイン前傾位置(図2の実線のシートバック25の位置)から前傾方向への回転を禁止するシートバック前傾ストッパ装置41が設けられている。
【0027】
更に、シートクッション23が設けられ、フロアに対して最前方位置と最後方位置との間でシートクッション23を移動可能とする図示しないシートスライド装置も設けられている。また、シートクッション23は、図示しない第2付勢部材により、前方へ付勢されている。
(リクライニング装置)
リクライニング装置31は、シートクッション23のフレームに取り付けられた円盤状の第1部材と、シートバック25側のフレームに取り付けられ、前記第1部材に積層され、前記第1部材に対して回転可能な第2部材とを有し、第1部材と第2部材との間に第1部材と第2部材との相対回転を禁止/許可するロック機構が設けられている。そして、ロック解除軸31aを一方の方向に回転することにより、ロック状態が解除されるようになっている。
(シートバック前傾ストッパ装置)
シートバック前傾ストッパ装置41は、ストッパレバー43と、ストッパ部45と、ストッパレバーを付勢するスプリング(第3付勢手段)47とからなっている。
【0028】
ストッパレバー43は、中間部がシートクッション23のフレームの内側にピン48を用いて回転可能に取り付けられている。ストッパレバー43は3つの回転端部、即ち、第1回転端部43a、第2回転端部43b、第3回転端部43cを有している。
【0029】
また、シートクッション23の下部には、ストッパレバー43の第1回転端部43aが当接可能な突起25gが形成がされている。
【0030】
そして、ストッパレバー43は、前方へ回転するシートバック25の突起25gに押されて回転可能なストッパ位置(図2の二点鎖線で示す位置と実線の位置との間の位置)と、シートバック25の突起25gと当接しない退避位置(図1の実線の位置)との間を回転可能に設けられている。
【0031】
また、ストッパ部45は、シートクッション23のフレームの内側に一体的に形成され、シートバック25の突起25gに押されたストッパレバー43が当接し、シートバック25がウォークイン前傾位置より前方へ回転するのを禁止するようになっている。
【0032】
更に、スプリング(第3付勢手段)47は、シートクッション23のフレームの内側に設けられ、一端部がシートクッション23のフレームに係止され、他端部がストッパレバー43の第3回転端部43cに係止されている。そして、スプリング47の付勢力により、退避位置に位置するストッパレバー43は、ストッパ位置方向に付勢されている。
【0033】
ストッパレバー43がストッパ位置にある場合、シートバック25が前傾すると、その突起25gがストッパレバー43を押し、ストッパレバー43がストッパ部45に当接する(ウォークイン前傾位置)まで回転する。
【0034】
また、ストッパレバー43が退避位置にある場合、シートバック25が前傾すると、シートバック25は最前傾位置(図1の実線に示すシートバック25の位置)まで回転する。
(シートスライド装置)
図1、2において、49はシートスライド装置のアンロックレバーである。図1の実線、図2の二点鎖線で示すアンロックレバー49の状態がシートスライド装置のロック状態であり、図2の実線で示すアンロックレバー49の状態がシートスライド装置のロック解除状態である。
(リクライニングロック解除リンク機構)
シート21の側部フレームの外側に、リクライニング装置31のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構71が設けられている。このリクライニングロック解除リンク機構71は、リクライニングロック解除レバー73と連動レバー75と、リクライニングレバー(第1操作部材)33の操作力を連動レバー75へ伝達するリンク77とからなっている。
【0035】
リクライニングロック解除レバー73は、リクライニング装置31のロック解除軸31aに固着され、回転可能となっている。また、リクライニングロック解除レバー73の回転端部には、ウォークインケーブル(第2操作部材)51が接続されウォークインケーブル51の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置31のロック解除を行うようになっている。
【0036】
また、連動レバー75は、リクライニング装置31のロック解除軸31aに回転可能に取り付けられている。また、連動レバー75の回転端部には、切り起こし部75aが形成され、一方の方向に回転することによりリクライニングロック解除レバー73を押し、リクライニングロック解除レバー73を一方の方向(ロック解除方向)へ回転させるようになっている。
【0037】
リンク77の一端部は、連動レバー75にピン79を用いて回転可能に取り付けられている。リクライニングレバー(第1操作部材)33は、中間部がピン35を用いてシートクッション23の側部フレームに回転可能に取り付けられている。そして、リクライニングレバー33の一方の回転端部側は操作部33aとなっている。リクライニングレバー33の他方の回転端部側には、ピン81を用いて、リンク77の他端部が回転可能に取り付けられている。
(シートバック前傾ストッパ解除機構)
シート21の側部フレームの内側に、シートバック前傾ストッパ装置41のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構83が設けられている。このシートバック前傾ストッパ解除機構83は、前述したリンク77と、ストッパレバー43に立設されたピン95とからなっている。
【0038】
リンク77の中間部には、リンク77の長手方向に延びた長穴77aが形成され、この長穴77aにストッパレバー43に立設されたピン95が嵌合している。
【0039】
図1において、二点鎖線の位置にあるリクライニングレバー(第1操作部材)33を実線位置へ引き上げると、リンク77が下降する。リンク77が下降することにより、長穴77aに嵌合したピン95を有するストッパレバー43がストッパ位置から退避位置に回転移動する。
(シートスライドロック解除リンク機構)
シート21の側部フレームの内側に、シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除リンク機構84が設けられている。
【0040】
シートスライドロック解除レバー85は、中間部がピン89を用いてシートクッション23の側部フレームに回転可能に取り付けられる。シートスライドロック解除レバー85は一方の方向に回転すると、その一方の回転端部側は、シートスライド装置のアンロックレバー49を押圧するように配置される。
【0041】
ロッド87の一方の端部側は折曲され、シートスライドロック解除レバー85の他方の回転端部に形成された穴91に回転可能に取り付けられている。ロッド87の他方の端部側にはロッド87の長手方向に延びる長穴87aが形成されている。そして、ストッパレバー43の第2回転端部43bに設けられたピン93がロッド87の長穴87aに係合している。
【0042】
図2に示すように、ストッパレバー43が二点鎖線で示すストッパ位置にある場合、シートバック25が前傾すると、ストッパレバー43は突起25gに押され、実線で示すストッパ部45に当接するウォークイン位置まで回転する。この時、ストッパレバー43の第2回転端部43bに設けられたピン93が長穴87aの内壁面を押し、二点鎖線の位置にあるロッド87は実線の位置まで上昇する。ロッド87が上昇することにより、シートスライドロック解除レバー85が一方の方向に回転し、シートスライド装置のアンロックレバー49を押圧する。
(伝達機構)
リクライニングレバー(第1操作部材)33のリクライニングロック解除リンク機構71への操作力をシートバック前傾ストッパ解除機構83へ伝達する伝達機構が設けられている。
【0043】
リクライニングレバー33により操作されるリンク77の中間部には、リンク77の長手方向に延びた長穴77aが形成されている。一方、シートバック前傾ストッパ解除機構83のストッパレバー43には、長穴77aに係合するピン95が設けられている。
【0044】
本実施形態例では、シートの側部フレームを介して、リクライニングロック解除リンク機構71は外側にあり、シートバック前傾ストッパ解除機構83は内側にある。よって、シートの側部フレームには、ピン95が挿通する図示しないフレーム長穴が形成されている。
【0045】
次に、上記構成の作動を説明する。
(シートバック前倒し)
図1を用いて説明する。二点鎖線の位置にあるリクライニングレバー33の操作部33aを実線の位置まで引き上げる。すると、リンク77が下降し、二点鎖線で示すストッパ位置にあるストッパレバー43が実線で示す退避位置へ回転移動する。尚、ストッパレバー43が回転しても、ストッパレバー43の第2回転端部43bに設けられたピン93は、ロッド87の長穴87a内を移動し、ロッド87は移動しない。よって、シートスライドロック解除レバー85も回転せず、シートスライド装置はロック解除されない。
【0046】
リンク77が下降することにより、リクライニング装置31の連動レバー75が一方の方向に回転し、リクライニングロック解除レバー73を押し、リクライニングロック解除レバー73が一方の方向(ロック解除方向)へ回転し、リクライニング装置31がロック解除される。すると、二点鎖線の位置にあるシートバック25が図示しない第1付勢部材により、前倒方向に付勢され、実線で示す最前傾位置まで回転する。
【0047】
よって、リクライニングロック解除リンク機構71と、シートバック前傾ストッパ解除機構83とで、シートバック前傾ストッパ装置41のストッパ状態を解除すると共に、リクライニング装置31をロック解除し、シートバック25を最前傾位置まで傾動させるシートバック前倒し機構が構成されている。
(ウォークイン)
図2を用いて説明する。ウォークインケーブル51を引き、二点鎖線の位置にあるリクライニングロック解除レバー73を一方の方向に実線の位置まで回転させると、リクライニング装置31がロック解除される。すると、二点鎖線の位置にあるシートバック25は、図示しない第1付勢部材により、前倒方向に回転する。尚、この時、ストッパレバー43は、二点鎖線で示すストッパ位置にある。
【0048】
シートバック25が前傾すると、その突起25gがストッパレバー43を押し、ストッパレバー43はストッパ部45に当接する(実線で示すウォークイン前傾位置)まで回転する。更に、ストッパレバー43が回転することにより、二点鎖線の位置にあるロッド87は実線の位置まで上昇する。ロッド87が上昇することにより、二点鎖線の位置にあるシートスライドロック解除レバー85が実線の位置まで一方の方向に回転し、二点鎖線の位置にあるシートスライド装置のアンロックレバー49を押圧し、アンロックレバー49は実線の位置まで移動し、シートスライド装置はロック解除される。シートスライド装置がロック解除されると、図示しない第2付勢部材により、シート(シートクッション)21(23)は最前方位置まで移動する。
【0049】
よって、シートバック前傾ストッパ解除機構83と、シートスライドロック解除リンク機構84とで、リクライニング装置31をロック解除し、シートバック25をウォークイン前傾位置まで傾動させると共に、シートスライド装置をロック解除し、シートクッション23を最前方位置まで移動させるウォークイン機構が構成されている。
【0050】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0051】
(1) シート21の側部フレームの外側に、リクライニング装置31のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構71を設け、シート21の側部フレームの内側に、シートバック前傾ストッパ装置41のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構83及びシートスライド装置のロック状態を解除するシートスライドロック解除リンク機構84を設け、リクライニングレバー(第1操作部材)33によるリクライニングロック解除リンク機構71への操作力をシートバック前傾ストッパ解除機構83へ伝達する伝達機構を設けたことにより、シート21の側部フレームとリクライニングロック解除リンク機構71のリンク部材であるリンク77、リクライニングレバー33、連動レバー75との距離や、シート21の側部フレームとシートスライドロック解除リンク機構84のリンク部材であるロッド87、シートスライドロック解除レバー85との距離が短くなり、これらのリンク部材を回転可能に支持する軸の軸倒れ量が小さくなり、リンク部材を操作する操作力が小さくなる。
【0052】
(2) リクライニングロック解除リンク機構71、シートバック前傾ストッパ解除機構83、シートスライドロック解除リンク機構84を構成している部材は、すべて剛体なので、ケーブル等の非剛体である伝達部材を用いる場合に比べて、操作力が軽くなり、安価である。
【0053】
(3) ストッパ部45は、シートクッション23のフレームの内側に一体的に形成されたことにより、組み付けが容易となる。
【0054】
尚、本発明は、上記実施形態に限定するものではない。上記実施形態の伝達機構は、シート21の側部フレームの外側にあるリクライニングロック解除リンク機構71のリンク77に長穴77aを設け、シート21の側部フレームの内側にあるシートバック前傾ストッパ解除機構83のストッパレバー43に長穴77aに係合するピン95を設けたが、逆に、リクライニングロック解除リンク機構71のリンク77にピンを設け、シートバック前傾ストッパ解除機構83のストッパレバー43に長穴77aを形成してもよい。
<第2実施形態例>
図3、図4を用いて説明する。図3は第2実施形態のシートの発明部分を示す構成図で、シートバック前倒し機構を説明する図、図4は図3のシートのウォークイン機構を説明する図である。
(全体構成)
これらの図おいて、シート121は、着座者の臀部を支持するシートクッション123と、着座者の背部を支持するシートバック125とからなっている。
【0055】
シートクッション123の後部とシートバック125の下部との間には、シートクッション123に対して最前傾位置と最後傾位置との間でシートバック125を回転可能とするリクライニング装置131が設けられている。また、シートバック125は、図示しない第1付勢部材により、前倒方向に付勢されている。
【0056】
また、シート121には、シートバック125の着座可能な傾動範囲での最起立位置とシートバック125の最前傾位置との間に位置するウォークイン前傾位置(図2の実線のシートバック25の位置)から前傾方向への回転を禁止するシートバック前傾ストッパ装置141が設けられている。
【0057】
更に、シートクッション123が設けられ、フロアに対して最前方位置と最後方位置との間でシートクッション123を移動可能とする図示しないシートスライド装置も設けられている。また、シートクッション123は、図示しない第2付勢部材により、前方へ付勢されている。
(リクライニング装置)
リクライニング装置131は、シートクッション123のフレームに取り付けられた円盤状の第1部材と、シートバック125側のフレームに取り付けられ、前記第1部材に積層され、前記第1部材に対して回転可能な第2部材とを有し、第1部材と第2部材との間に第1部材と第2部材との相対回転を禁止/許可するロック機構が設けられている。そして、ロック解除軸131aを一方の方向に回転することにより、ロック状態が解除されるようになっている。
(シートバック前傾ストッパ装置)
シートバック前傾ストッパ装置141は、ストッパレバー143と、ストッパ部145と、ストッパレバーを付勢する図示しないスプリング(第3付勢手段)とからなっている。
【0058】
ストッパレバー143は、中間部がシートクッション123のフレームの内側にピン148を用いて回転可能に取り付けられている。
【0059】
また、シートクッション123の下部には、ストッパレバー143の(第1回転端部143a)が当接可能な突起125gが形成がされている。
【0060】
そして、ストッパレバー143は、前方へ回転するシートバック125の突起125gが当接可能なストッパ位置(図4の実線の位置との間の位置)と、シートバック125の突起125gと当接しない退避位置(図3の実線の位置)との間を回転可能に設けられている。
【0061】
また、ストッパ部145は、シートクッション123のフレームの内側に一体的に形成され、シートバック125の突起125gに押されたストッパレバー143が当接し、シートバック25がウォークイン前傾位置より前方へ回転するのを禁止するようになっている。
【0062】
更に、図示しないスプリング(第3付勢手段)の付勢力により、退避位置に位置するストッパレバー143は、ストッパ一方向に付勢されている。
【0063】
ストッパレバー143がストッパ位置にある場合、シートバック125が前傾すると、その突起125gがストッパレバー43に当接する(ウォークイン前傾位置)まで回転する。
【0064】
また、ストッパレバー143が退避位置にある場合、シートバック125が前傾すると、シートバック125は最前傾位置(図3の実線に示すシートバック125の位置)まで回転する。
(シートスライド装置)
図4において、149はシートスライド装置のアンロックレバーである。二点鎖線で示すアンロックレバー149の状態がシートスライド装置のロック状態であり、実線で示すアンロックレバー149の状態がシートスライド装置のロック解除状態である。
(リクライニングロック解除リンク機構)
図3に示すように、シート121の側部フレームの外側に、リクライニング装置131のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構171が設けられている。このリクライニングロック解除リンク機構171は、リクライニングロック解除レバー173と連動レバー175と、リクライニングレバー(第1操作部材)133の操作力を連動レバー175へ伝達するリンク177とからなっている。
(リクライニングロック解除リンク機構)
図3、図4に示すように、シート121の側部フレームの外側に、リクライニング装置131のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構171が設けられている。このリクライニングロック解除リンク機構171は、リクライニングロック解除レバー173と連動レバー175と、リクライニングレバー(第1操作部材)133の操作力を連動レバー175へ伝達するリンク177とからなっている。
【0065】
リクライニングロック解除レバー173は、リクライニング装置131のロック解除軸131aに固着され、回転可能となっている。また、リクライニングロック解除レバー173の回転端部には、ウォークインケーブル(第2操作部材)151が接続されウォークインケーブル151の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置131のロック解除を行うようになっている。
【0066】
また、連動レバー175は、リクライニング装置131のロック解除軸131aに回転可能に取り付けられている。また、連動レバー175の回転端部には、切り起こし部175aが形成され、一方の方向に回転することによりリクライニングロック解除レバー173を押し、リクライニングロック解除レバー173を一方の方向(ロック解除方向)へ回転させるようになっている。
【0067】
リンク177の一端部は、連動レバー175にピン179を用いて回転可能に取り付けられている。リクライニングレバー(第1操作部材)133は、中間部がピン135を用いてシートクッション23の側部フレームに回転可能に取り付けられている。そして、リクライニングレバー133の一方の回転端部側は操作部133aとなっている。リクライニングレバー133の他方の回転端部側には、ピン181を用いて、リンク177の他端部が回転可能に取り付けられている。
(シートバック前傾ストッパ解除機構)
シート121の側部フレームの内側に、シートバック前傾ストッパ装置141のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構183が設けられている。このシートバック前傾ストッパ解除機構183は、前述したリンク177と、ピン148を用いてシートクッション123のフレームの内側に回転可能に取り付けられたストッパレバー143と、ストッパレバー143に立設されたピン195とからなっている。
【0068】
リンク177の側部には、ピン195に当接可能な面177bを有する凸部177aが形成されている。
【0069】
図3において、二点鎖線の位置にあるリクライニングレバー(第1操作部材)133を実線位置へ引き上げると、リンク177が下降する。リンク177が下降することにより、凸部177aの面177bがストッパレバー143のピン195を押し、ストッパレバー143がストッパ位置から退避位置に回転移動する。
(シートスライドロック解除リンク機構)
シート121の側部フレームの内側に、シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除リンク機構184が設けられている。
【0070】
シートスライドロック解除レバー185は、中間部がピン189を用いてシートクッション123の側部フレームに回転可能に取り付けられる。シートスライドロック解除レバー185は一方の方向に回転すると、その一方の回転端部側は、シートスライド装置のアンロックレバー149を押圧するように配置される。
【0071】
ロッド187の一方の端部側は折曲され、シートスライドロック解除レバー185の他方の回転端部に形成された穴191に回転可能に取り付けられている。
【0072】
ストッパレバー143には、中間部がピン191を用いて回転可能に取り付けられ、一方の端部側が前傾方向に回転するシートバック125の突起125gに押されて回転する第1レバー189と、中間部がピン148に回転可能に嵌合し、一方の端部側が回転する第1レバー189の他方の端部側に押されて回転する第2レバー193とが設けられている。第2レバー193の他方の回転端部には、穴197が形成され、この穴197に折曲されたロッド187の他方の端部側が回転可能に取り付けられている。
【0073】
図4に示すように、シートスライド装置のロック状態では、シートスライドロック解除レバー185、第2レバー193は二点鎖線で示す位置にある。そして、第1レバー189の一方の端部側は、ストッパレバー143より飛び出し、前傾方向に回転するシートバック125の突起125gに当接可能となっている。
【0074】
シートバック125が前傾すると、第1レバー189は突起125gに押され、実線で示す位置まで回転する。第1レバー189が回転することにより、二点鎖線の位置にある第2レバー193も実線の位置まで回転し、二点鎖線の位置にあるロッド187は実線の位置まで上昇する。ロッド187が上昇することにより、シートスライドロック解除レバー185が一方の方向に回転し、シートスライド装置のアンロックレバー149を押圧する。
(伝達機構)
リクライニングレバー(第1操作部材)133のリクライニングロック解除リンク機構171への操作力をシートバック前傾ストッパ解除機構183へ伝達する伝達機構が設けられている。
【0075】
リクライニングレバー133により操作されるリンク177の中間部には、凸部177aが形成されている。一方、シートバック前傾ストッパ解除機構183のストッパレバー143には、凸部177aの面177bに当接可能なピン195が設けられている。
【0076】
本実施形態例では、シートの側部フレームを介して、リクライニングロック解除リンク機構171は外側にあり、シートバック前傾ストッパ解除機構183は内側にある。よって、シートの側部フレームには、ピン195が挿通する図示しないフレーム長穴が形成されている。
【0077】
次に、上記構成の作動を説明する。
(シートバック前倒し)
図3を用いて説明する。二点鎖線の位置にあるリクライニングレバー133の操作部133aを実線の位置まで引き上げる。すると、リンク177が下降し、二点鎖線示すストッパ位置にあるストッパレバー143が実線で示す退避位置へ回転移動する。尚、ストッパレバー143が回転しても、第1レバー189の他方の端部は、第2レバー193の一方の端部のまわりを摺接しながら移動し、第2レバー193は回転しないので、ロッド187は移動しない。よって、シートスライドロック解除レバー185も回転せず、シートスライド装置はロック解除されない。
【0078】
リンク177が下降することにより、リクライニング装置131の連動レバー175が一方の方向に回転し、リクライニングロック解除レバー173を押し、リクライニングロック解除レバー173が一方の方向(ロック解除方向)へ回転し、リクライニング装置131がロック解除される。すると、二点鎖線の位置にあるシートバック125が図示しない第1付勢部材により、前倒方向に付勢され、実線で示す最前傾位置まで回転する。
【0079】
よって、リクライニングロック解除リンク機構171と、シートバック前傾ストッパ解除機構183とで、シートバック前傾ストッパ装置141のストッパ状態を解除すると共に、リクライニング装置131をロック解除し、シートバック125を最前傾位置まで傾動させるシートバック前倒し機構が構成されている。
(ウォークイン)
図4を用いて説明する。ウォークインケーブル151を引き、二点鎖線の位置にあるリクライニングロック解除レバー173を一方の方向に実線の位置まで回転させると、リクライニング装置131がロック解除される。すると、二点鎖線の位置にあるシートバック125は、図示しない第1付勢部材により、前倒方向に回転する。尚、この時、ストッパレバー143は、ストッパ位置にある。
【0080】
シートバック125が前傾すると、その突起125gがストッパレバー143の突起125gが第1レバー189を押し、第1レバー189は実線で示す位置まで回転する。第1レバー189が回転することにより、二点鎖線の位置にある第2レバー193も実線の位置まで回転し、二点鎖線の位置にあるロッド187は実線の位置まで上昇する。ロッド187が上昇することにより、二点鎖線の位置にあるシートスライドロック解除レバー185が実線の位置まで一方の方向に回転し、二点鎖線の位置にあるシートスライド装置のアンロックレバー149を押圧し、アンロックレバー149は実線の位置まで移動し、シートスライド装置はロック解除される。シートスライド装置がロック解除されると、図示しない第2付勢部材により、シート(シートクッション)121(123)は最前方位置まで移動する。
【0081】
よって、シートバック前傾ストッパ解除機構183と、シートスライドロック解除リンク機構184とで、リクライニング装置131をロック解除し、シートバック125をウォークイン前傾位置まで傾動させると共に、シートスライド装置をロック解除し、シートクッション123を最前方位置まで移動させるウォークイン機構が構成されている。
【0082】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0083】
(1) シート121の側部フレームの外側に、リクライニング装置131のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構171を設け、シート121の側部フレームの内側に、シートバック前傾ストッパ装置141のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構183及びシートスライド装置のロック状態を解除するシートスライドロック解除リンク機構184を設け、リクライニングレバー(第1操作部材)133によるリクライニングロック解除リンク機構171への操作力をシートバック前傾ストッパ解除機構183へ伝達する伝達機構を設けたことにより、シート121の側部フレームとリクライニングロック解除リンク機構171のリンク部材であるリンク177、リクライニングレバー133、連動レバー175との距離や、シート121の側部フレームとシートスライドロック解除リンク機構184のリンク部材であるロッド187、シートスライドロック解除レバー185との距離が短くなり、これらのリンク部材を回転可能に支持する軸の軸倒れ量が小さくなり、リンク部材を操作する操作力が小さくなる。
【0084】
(2) リクライニングロック解除リンク機構171、シートバック前傾ストッパ解除機構183、シートスライドロック解除リンク機構184を構成している部材は、すべて剛体なので、ケーブル等の非剛体である伝達部材を用いる場合に比べて、操作力が軽くなり、安価である。
【0085】
(3) ストッパ部145は、シートクッション123のフレームの内側に一体的に形成されたことにより、組み付けが容易となる。
【0086】
尚、本発明は、上記実施形態に限定するものではない。上記実施形態のストッパレバー143上に設けられた第2レバー193は、ストッパレバー143の回転軸148に回転可能に設けたが、第1レバー189と同様に、ストッパレバー143上にピンを設け、そのピンに回転可能に設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
21 シート
31 リクライニング装置
41 シートバック前傾ストッパ装置
71 リクライニングロック解除リンク機構
83 シートバック前傾ストッパ解除機構
84 シートスライドロック解除リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の臀部を支持するシートクッションと、
着座者の背部を支持するシートバックと、
前記シートクッションに対して最前傾位置と最後傾位置との間で前記シートバックを回転可能とするリクライニング装置と、
前記シートバックの着座可能な傾動範囲での最起立位置と前記シートバックの最前傾位置との間に位置するウォークイン前傾位置から前傾方向への回転を禁止するシートバック前傾ストッパ装置と、
フロアに対して最前方位置と最後方位置との間で前記シートクッションを移動可能とするシートスライド装置と、
前記シートバック前傾ストッパ装置のストッパ状態を解除すると共に、前記リクライニング装置をロック解除し、前記シートバックを最前傾位置まで傾動可能とするシートバック前倒し機構と、
前記リクライニング装置をロック解除し、前記シートバックをウォークイン前傾位置まで傾動可能とすると共に、前記シートスライド装置をロック解除し、前記シートクッションを最前方位置まで移動可能とするるウォークイン機構と、
シートの側部フレームの外側に設けられ、前記リクライニング装置のロック状態を解除するリクライニングロック解除リンク機構と、
前記シートの側部フレームの内側に設けられ、前記シートバック前傾ストッパ装置のストッパ状態を解除するシートバック前傾ストッパ解除機構及び前記シートスライド装置のロック状態を解除するシートスライドロック解除リンク機構と、
前記リクライニングロック解除リンク機構への操作力を前記シートバック前傾ストッパ解除機構へ伝達する伝達機構と、
を有することを特徴とするシート。
【請求項2】
前記リクライニングロック解除リンク機構は、
回転可能に設けられ、前記ウォークイン機構を操作する第2操作部材の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置のロック解除を行うリクライニングロック解除レバーと、
回転可能に設けられ、一方の方向に回転することにより前記リクライニングロック解除レバーを押し、前記リクライニングロック解除レバーを一方の方向へ回転させる連動レバーと、
前記連動レバーに取り付けられ、前記シートバック前倒し機構を操作する第1操作部材の操作力を前記連動レバーへ伝達する第1リンクとからなり、
前記シートバック前傾ストッパ解除機構は、
前方へ回転する前記シートバックに押されて回転可能なストッパ位置と、前記シートバックと当接しない退避位置との間を回転可能に設けられたストッパレバーと、
前記シートバックに押された前記ストッパレバーが当接し、前記シートバックが前記ウォークイン前傾位置より前方へ回転するのを禁止するストッパ部と、
前記退避位置に位置する前記ストッパレバーを前記ストッパ位置方向へ付勢する第3付勢部材とからなり、
前記シートスライドロック解除リンク機構は、
一方の方向に回転すると、前記シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除レバーと、
一端部が前記シートスライドロック解除レバーに取り付けられ、他端部が前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに取り付けられ、ストッパ位置にある前記ストッパレバーのストッパ部への動きを前記シートスライドロック解除レバーに伝達し、シートスライドロック解除レバーを一方の方向に回転させる第2リンクと、
からなり、
前記伝達機構は、
前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの一方に設けられた突部と、
前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの他方に設けられ、前記突部が係合し、前記第1操作部材の操作力により前記第1リンクが移動すると、前記ストッパレバーをフリー状態に移動させる長穴と、
前記シートの側部フレームに設けられ、前記突部が挿通するフレーム長穴と、
からなることを特徴とする請求項1記載のシート。
【請求項3】
前記リクライニングロック解除リンク機構は、
回転可能に設けられ、前記ウォークイン機構を操作する第2操作部材の操作力により一方の方向に回転するとリクライニング装置のロック解除を行うリクライニングロック解除レバーと、
回転可能に設けられ、一方の方向に回転することにより前記リクライニングロック解除レバーを押し、前記リクライニングロック解除レバーを一方の方向へ回転させる連動レバーと、
前記連動レバーに取り付けられ、前記シートバック前倒し機構を操作する第1操作部材の操作力を前記連動レバーへ伝達する第1リンク
とからなり、
前記シートバック前傾ストッパ機構は、
前方へ回転する前記シートバックと当接可能なストッパ位置と、前記シートバックと当接しない退避位置との間を回転可能に設けられたストッパレバーと、
前記シートバックに押された前記ストッパレバーが当接し、前記シートバックが前記ウォークイン前傾位置より前方へ回転するのを禁止するストッパ部と、
前記退避位置に位置する前記ストッパレバーを前記ストッパ位置方向へ付勢する第3付勢部材とからなり、
前記シートスライドロック解除リンク機構は、
一方の方向に回転すると、前記シートスライド装置のロック解除を行うシートスライドロック解除レバーと、
前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに回転可能に取り付けられ、前方へ回転する前記シートバックに押されて回転する第1レバーと、
前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバーに回転可能に取り付けられ、回転する前記第1レバーに押されて回転する第2レバーと、
一端部が前記シートスライドロック解除レバーに取り付けられ、他端部が前記第2レバーに取り付けられ、前記第2レバーの回転により、シートスライドロック解除レバーを一方の方向に回転させる第2リンクと、
からなり、
前記伝達機構は、
前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの一方に設けられた突部と、
前記シートバック前傾ストッパ機構の前記ストッパレバー、前記リクライニングロック解除リンク機構の第1リンクのうちの他方に設けられ、前記突部が当接し、前記第1操作部材の操作力により前記第1リンクが移動すると、前記ストッパレバーをフリー状態に移動させる面と、
からなることを特徴とする請求項1記載のシート。
【請求項4】
前記ストッパ部はシートクッションフレームに一体的に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43565(P2013−43565A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182957(P2011−182957)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】