説明

シームレスベルト用シームレスチューブの製造方法

【課題】膜厚ムラが少ない耐久性に優れたシームレスベルトを安定的に低コストで製造できる方法を提供すること。
【解決手段】インフレーション成形によるシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法であり、熱可塑性樹脂を溶融して押出す押出機と直径Dを有する環状ダイとエアー吹き出し口を有するエアリングを用い、環状ダイ直径Dとシームレスチューブ直径Dbの関係が1.1≦Db/D≦2.7、第1エアー吹き出し口の最上部の高さH1[mm]が30≦H1≦100、第1エアー吹き出し口の最上部の外径Rと第2エアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとの関係が0.8≦R/Dt≦1.2、第2エアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置のチューブ状フィルムの直径Dtとシームレスチューブの直径Dbの関係が0.8≦Dt/Db。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に用いられるシームレスベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラー電子写真装置には、転写搬送ベルト(像担持体上のトナー像を紙等の記録用紙に転写するために用いるベルト)や、中間転写ベルト(感光体上に形成されたトナー画像を紙等の記録用紙に転写する前に、一旦前記トナー像を中間転写ベルト上に転写して、その後中間転写ベルト上のトナー像を記録用紙に転写して画像を得るために用いるベルト)等のシームレスベルトが用いられている。そして、これらのシームレスベルトを用いたフルカラー電子写真装置は、2つのタイプに大別される。
【0003】
1つは、図1や図2のように複数の感光体上に形成した、異なる色の現像剤(トナー)を転写搬送ベルト又は中間転写ベルトによって順次転写して行く、いわゆるタンデム型のフルカラー電子写真装置である。
【0004】
もう1つは、図3のように1つの感光体と中間転写ベルトを用いるものであり、中間転写ベルトが4回転した後に、転写用紙Pに一括して転写する、いわゆる4パス型のフルカラー電子写真装置である。
【0005】
近年のフルカラー電子写真装置においては、印刷速度の向上が重視されており、高速化に有利なタンデム型のフルカラー電子写真装置が増加している。
【0006】
このような背景の中、中間転写ベルトや転写搬送ベルトに求められる機能の1つとして、ベルト移動速度が安定していることが挙げられる。もし、移動速度が安定していないと、複数色のトナー画像を中間転写ベルト上或は紙上で所望の位置に重ね合わせることができなくなり、色ずれが発生してしまう。ベルト移動速度の変動要因は幾つかあるが、ベルト自身の要因としては、ベルトの膜厚ムラがベルト移動速度の変動要因となる。
【0007】
4パス型の電子写真装置では、次色を転写するためにベルトを一回転させる。従って、ベルトの膜厚ムラによって発生する速度変動、つまり色ずれは原理的にキャンセルされ、色ずれに有利である。但し、実際には完全にキャンセルされる訳ではないため、ベルト移動速度ムラによる色ずれが少し発生する。これに対して、タンデム型の場合は、ベルトが1回転しない間に次色の転写が行われるので、ベルトの膜厚ムラがそのまま色ずれに反映されてしまう。このため、タンデム型に用いられる中間転写ベルトや転写搬送ベルトには、より一層膜厚ムラの少ないベルトが求められている。
【0008】
又、近年、タンデム型、4パス型を問わず、著しい低価格化が進んでおり、中間転写ベルト、転写搬送ベルトには一層の低コスト化も求められている。
【0009】
このような状況の中、現在市場で用いられている中間転写ベルトや転写搬送ベルトは、材料及び製法の観点から、3つに大別することができる。
【0010】
1つ目は、熱硬化する前の樹脂(前駆体)に導電剤を添加し、その後、加熱による硬化反応によって固化された、いわゆる熱硬化タイプの樹脂ベルトで、その代表例がポリイミド樹脂から成るベルトである(特許文献1参照)。このタイプのベルトは、金型内にベルトの素になる塗料を塗布し、遠心力によって塗料を金型内に均一に広げる、いわゆる遠心成形法によって製造されることが多い。このため、得られるベルトは、膜厚均一性に優れるという利点があるが、熱硬化及び溶剤の蒸発に長時間を要するため、低コスト生産には向いていない。
【0011】
2つ目は、ゴムに導電剤を添加し、加硫及び研摩して作られたベルトである。このタイプのベルトは、繊維等の芯体を入れることで耐久性に優れたベルトを得ることができる。しかし、加硫及び研摩のために長時間を要するため、低コスト生産には不利である。又、ベルト駆動時に弾性変形し易く、ベルト移動速度に微小な速度変動が発生し易いため、色ずれが発生し易い。
【0012】
3つ目は、熱可塑性樹脂に導電剤を添加した樹脂組成物をチューブ状に押し出した後、所定長さに切断したベルトである。このベルトは、連続押し出しによる低コスト生産が可能になるため、低コスト化には最も有利であり、現在のところ最も主流なシームレスベルトの製造方法である。例えば、環状ダイから押し出されたチューブを温調されたマンドレルに接触させると共に、温調された気体を吹き付ける方法が開示されている(特許文献2参照)。
【0013】
しかしながら、この方法で押し出されたチューブは、マンドレルと接触して製造されているので、チューブとマンドレルの微妙な接触状態のばらつきにより、ベルト周方向における長周期の膜厚ムラ(偏肉)が大きいものであった。又、膜厚ムラの個体差が激しく、膜厚ムラが良好なサンプルを安定的に得ることは不可能であった。又、環状ダイ周方向における熱可塑性樹脂の流動ムラ(押し出しスジ)によるベルト周方向における短い周期での膜厚ムラも見られた。本出願人等の検討によれば、上述のようにして得られたベルトを画像形成装置に搭載して使用した場合、色ずれや耐久によるクラックが発生してしまうというものであった。
【0014】
一方、本出願人等は、押し出し成形の一種であるインフレーション成形において、溶融押し出しする熱可塑 性樹脂を或る特定の熱特性を有するものを使用し、押し出された円筒溶融物を環状ダイの直径の100〜400%に膨張させ、室温で徐冷することにより膜厚ムラが比較的小さいシームレスベルトを得ることができることを見出している(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−064389号公報
【特許文献2】特許第2886350号公報
【特許文献3】特開2001−252988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、徐冷しながら膨張させることから、作業者の移動当により発生する軽微な空気の流れによっても膜厚ムラに影響する場合があり、製造する環境に大きな配慮を要すると同時に、環状ダイの押し出しスジによるベルト周方向における短い周期での膜厚ムラを少なからず有しており、場合によっては耐久によりクラックが発生することもあった。
【0016】
以上のように、低コストであり、画像形成装置で使用した際の色ずれと耐久性を満足したシームレスベルトを製造する技術は未だ確立されていない。
【0017】
そこで、本発明者等は、前述の問題点を解決した、従来と異なる新規なシームレスベルトの製造方法を提案するものである。
【0018】
従って、本発明の目的は、膜厚ムラが非常に少ない耐久性に優れたシームレスベルト用シームレスチューブを安定的に低コストで製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明は、インフレーション成形により製造されるシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法として、熱可塑性樹脂を溶融して押出す押出し機と、直径Dを有する環状ダイと、複数のエアー吹き出し口を有するエアリングを用い、環状ダイの直径Dとシームレスチューブの直径Dbの関係が1.1≦Db/D≦2.7、第1のエアー吹き出し口の、最上部の高さH1[mm]が30≦H1≦100、第1のエアー吹き出し口の、最上部の外径Rと、第2のエアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとの関係が0.8≦R/Dt≦1.2、第2のエアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとシームレスチューブの直径Dbの関係が0.8≦Dt/Dbであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、膜厚ムラが非常に少ない耐久性に優れたシームレスベルト用シームレスチューブを安定的に低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
先ず、本発明者らが、本発明に至った経緯を説明する。
【0022】
本発明に至る前、本願出願人らも、ベルトの膜厚ムラに起因する色ずれを低減させるためには、ベルト周方向の膜厚精度を向上させるだけで良いと考えていた。又、ベルトの耐久性は、ベルトに使用する材料として機械特性の高いものを用いることにより向上すると考えていた。
【0023】
しかしながら、各種のベルトを試作及び評価した結果、単純にベルトの膜厚ムラが±何パーセントであるかということと、色ずれの間には、余り相関が見られなかった。又、ベルトの弾性率が何MPaであるということと、ベルト耐久性の間にも余り相関がなかった。
【0024】
上述の点に関して詳細に検討した結果、色ずれにはベルト周方向における長周期の膜厚ムラ(偏肉)が大きく影響し、ベルトの耐久性にはベルト周方向における短周期の膜厚ムラが大きく影響していることを見出した。
【0025】
ベルト周方向における長周期の膜厚ムラ(偏肉)がタンデム型の画像形成装置で色ずれに影響する大きな原因の1つは、画像或は紙等の転写材を搬送するシームレスベルト(中間転写ベルトや転写搬送ベルト)の表面速度の変動であることは先述の通りである。例えば、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の4つの画像形成部を有するタンデム型画像形成装置の場合、ベルトに長周期の厚みムラ(偏肉)がある場合にはであれば第1の画像形成部におけるベルト表面移動速度と、第4の画像形成部におけるベルト表面移動速度は大きく異なってしまい、結果として第1の色成分と第4の色成分が大きく色ずれしてしまう。
【0026】
又、ベルト周方向における短周期の膜厚ムラがベルト耐久性に影響する理由としては、ベルトには一般的に蛇行防止部材をベルト内周面に設置し、ローラに張架して使用されるが、ベルトの微妙な周長左右差やベルトを張架しているローラのアライメントのズレ等の要因により、ベルトはベルト軸方向の片側に寄る力(寄り力)が発生する。この軸方向の寄り力は蛇行防止部材の存在により、軸方向の寄り力から、蛇行防止部材と嵌合する溝から蛇行防止部材を乗り上げさせようとする力に変換されてしまう。ここで、短い周期の膜厚ムラがない場合には、この力をベルト周方向で均一に力を分散して吸収することができる。しかし、短い周期の膜厚ムラがある場合には、周囲と比較して膜厚の薄い部分に張力が集中して掛かるために、クラックが発生すると考えられる。
【0027】
上記のようなことから、ベルト周方向に長周期及び短周期の膜厚ムラがなく、低コストなシームレスベルトを得ることができる製造方法に関して鋭意検討を行った結果、インフレーション成形において、エアリングの寸法とチューブ状フィルムの形状の関係が、或る範囲になる条件で製造した場合に、チューブ状フィルムの周方向に長周期及び短周期の膜厚ムラがなく、長時間安定して製造できることを見出し本発明に至った。
【0028】
即ち、インフレーション成形により製造されるシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法であり、熱可塑性樹脂を溶融して押出す押出し機と、直径Dを有する環状ダイと複数のエアー吹き出し口を有するエアリングを用い、
環状ダイの直径Dとシームレスチューブの直径Dbの関係が1.1≦Db/D≦2.7、
第1のエアー吹き出し口の最上部の高さH1[mm]が30≦H1≦100、
第1のエアー吹き出し口の最上部の外径Rと、第2のエアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとの関係が0.8≦R/Dt≦1.2、
第2のエアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとシームレスチューブの直径Dbの関係が0.8≦Dt/Db、
であるシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法により、ベルト周方向における長周期、短周期の膜厚ムラを低減することが可能になり、画像形成措置に使用した場合に色ずれの低減と高い耐久性を満足できる。
【0029】
ここで、図4及び図5を用いて本発明を詳細に説明する。
【0030】
図4はインフレーション成形機の概略図である。
【0031】
図4において、100は押出し機であり、抵抗調整剤等を予め分散した熱可塑性樹脂組成物をホッパー110に投入し、押出し機に設置されたヒータよる加熱及び押し出しスクリューによるせん断発熱により、熱可塑性樹脂組成物を溶融して押し出し、環状ダイ140からチューブ状フィルム160を吐出する。吐出されたチューブ状フィルム160は、環状ダイ140に設けられたチューブ状フィルム直径調整用エアー給排気路からエアーにより直径を制御され、不図示のブロワー等の送風装置にエアー供給口210を介して接続されたエアリング200からのエアーにより冷却され、安定板170により徐々に折り畳まれた後、ピンチロール180で完全に折り畳まれて引き取られる。ピンチロールで畳まれたフィルムはカッター190で任意の長さに切断され、シームレスチューブ220が得られる。
【0032】
図5はエアリング200近傍を拡大したものであり、第1のエアー吹き出し口201及び第2のエアー吹き出し口202を有している。熱可塑性樹脂は、不図示の押出し機により加熱溶融されて押し出され、環状ダイ140からチューブ状に吐出される。チューブ状に吐出された熱可塑性樹脂はエアリングから吹き出されるエアー流によるベンチュリー効果と、チューブ内に導入された気体の圧力により膨張されながら、不図示の引取り装置により引き取られ、チューブ状フィルム160となる。
【0033】
本発明において、Dbとは冷却固化後のチューブ状フィルム直径を指し、不図示のピンチロールで折り畳まれたフィルムの幅(折径)からシームレスチューブの直径Dbを計算により求めることもできる。又、本発明においてDtとは、第2のエアー吹き出し口最上部のダイ面からの高さH2から更に30mm上方の位置でのチューブ状フィルムの直径のことを指す。
【0034】
シームレスチューブの直径Dbと環状ダイの直径Dとの関係であるDb/D、つまりブロー比は1.1以上2.7以下である必要がある。ブロー比が1.1未満ではベルト周方向における長周期の膜厚ムラ(偏肉)及び押し出しスジによる短周期の膜厚ムラが悪くなり、2.7を超えると成形安定性が低下する。好ましいDb/D(ブロー比)の範囲は1.3以上2.0以下である。
【0035】
又、規定した位置でのチューブ状フィルムの直径Dtと第1のエアー吹き出し口最上部の外径Rとの関係は0.8≦R/Dt≦1.2である必要があり、規定した位置でのチューブ状フィルムの直径Dtとシームレスチューブの直径Dbとの関係は0.8≦Dt/Dbである必要があり、好ましくは0.9≦Dt/Dbである。このことは、環状ダイから吐出されたチューブ状フィルムを、エアリングから吹き出されるエアー流によるベンチュリー効果により吸い寄せることにより、第1のエアー吹き出し口の外径寸法程度まで急激に膨張させ、その後のチューブ状フィルムの寸法変化を抑えることを意味する。
【0036】
このようなチューブ形状に制御した場合にのみ、ベルト周方向における長周期及び短周期の膜厚ムラの双方を低減することが可能となる。その理由としては、ダイに近い部分から急速に膨張することにより、チューブ状フィルムは高温の状態、つまり粘度が比較的低い状態で変形することができ、他の部分より厚く吐出された部分が引き伸ばされ易く、薄くなり易い。それと同時に、チューブ状フィルムがエアリングの第1のエアー吹き出し口付近まで急速に膨張されることから、他の部分よりも薄く吐出された部分はエアリングからのエアーにより急速に冷却されることにより薄くなり難い。このような理由から押し出しスジのような短い周期の膜厚ムラと、環状ダイの微妙な調芯ズレや温度ムラ等による長周期の膜厚ムラの双方を効率的に除去できると考えられる。
【0037】
更に、このような条件とすることにより、周方向における膜厚ムラのプロファイルの成形時間による変化が殆どなくなり、精密な膜厚ムラ除去のための調整が可能となる。
【0038】
その理由としては、チューブ状フィルムがエアリングから吹き出されるエアー流によるベンチュリー効果により第1のエアー吹き出し口近傍まで吸い付けられていることにより、エアリングから吹き出されるエアーによりチューブ状フィルムが安定して冷却されることが1つの理由として考えられる。
【0039】
逆に、第1のエアー吹き出し口へのチューブ状フィルムの吸い付きが弱い場合は、チューブ状フィルムが微妙な歳差運動を起こす。歳差運動を起こした結果、チューブ状フィルム周方向で均一な冷却が行われず、偏肉が発生し、更にその偏肉する位相が時間により変化する。歳差運動の周期はエアリングから吹き出されるエアーの強度により変化するが、数Hz〜数十Hzと比較的短い周期で発生し、シームレスチューブを適当な長さ(例えば300mm)に連続して切断したチューブ状フィルムの、或る1本とその次の1本で膜厚ムラのプロファイルが違う場合もある。
【0040】
又、第1のエアー吹き出し口の外径寸法と規定の位置におけるチューブ状フィルムの直径を略同一とすることにより、第2のエアー吹き出し口から吹き出されたエアーは、チューブ状フィルムの表面に沿うように流れることにより、チューブ状フィルムの冷却に関して外乱の影響を受けにくくなっていることが、周方向における膜厚ムラのプロファイルの成形時間による変化を抑える第2の理由として考えられる。このような理由から、第2のエアー吹き出し口の外径R2はシームレスチューブの直径Dbよりも大きいことが好ましい。 このようなチューブ形状に制御する方法としては、
1)環状ダイの直径やダイギャップ(ダイ先端の熱可塑性樹脂が吐出される部分の間隔)を調整する
2)成形装置の設定温度を調整し、吐出する熱可塑性樹脂の粘度を調整する
3)エアリングから吹き出すエアー量、温度を調整する
4)第1、第2のエアー吹き出し口から吹き出すエアーの割合、風速等を調整する
5)エアー吹き出し口の形状や寸法を調整する
6)シームレスチューブの引取り速度を調整する
等を挙げることができ、それぞれ組み合わせることもできるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
又、第1のエアー吹き出し口最上部のダイ面からの高さH1は30mm≦H1≦100mmである必要がある。H1がこの範囲を外れるとR/Dbを前記範囲に制御することが非常に困難となる。
【0042】
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂としては特に制約はないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート及びポリアリレート等の芳香族ポリエステル樹脂、シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等の脂環族ポリエステル樹脂、ポリサルホンやポリエーテルサルホン及びポリフェニレンサルファイド等の硫黄含有樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素含有樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等やこれらの各種変性樹脂や共重合体を使用することができるが上記材料に限定されるものではない。又、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良く、複数種を混合して用いても良い。これらの熱可塑性樹脂の中でも結晶性樹脂を主たる熱可塑性樹脂成分として用いることが耐屈曲性に優れることから好ましく、ポリアミド12樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ETFEが結晶性樹脂の中では溶融張力が高く、本発明のチューブ形状にコントロールし易いことから特に好ましい。
【0043】
又、本発明のシームレスベルトには電気抵抗を制御するために導電性付与剤を含有していても良い導電性付与剤としては、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド等のポリエーテルユニットを含む帯電防止樹脂、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等のイオン性導電性付与剤、カーボンブラック、黒鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化スズ被覆酸化チタン、酸化スズ、酸化スズ被覆硫酸バリウム、チタン酸カリウム、アルミニウム金属粉末、ニッケル金属粉末等の導電性フィラー等を挙げることができ、電気抵抗を広い範囲で制御でることから導電性フィラーをシームレスベルトの導電性付与剤として添加することが好ましいが、本発明に使用できる導電性付与剤としては上記物質に限定されるものではない。
【0044】
又、本発明のシームレスベルトには各種添加剤を含有しても構わない。各種添加剤としては、有機顔料、無機顔料、pH調整剤、架橋剤、離型剤、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、成形助剤等を例示することができる。これらを2種以上組み合わせることも可能である。
【0045】
本発明のエアリングとしては、公知のエアリングを使用することができるが、冷却エアー流路の周方向に複数のヒータを有し、冷却エアーを分割して温調可能なエアリングを用いることが、効果的にシームレスチューブの偏肉を除去できることから好ましい。
【0046】
即ち、チューブの厚さが厚い部分には、温度の高い気体を、薄い部分には、温度の低い気体を吹き付ける。このようにすると、厚い部分は高温になるため、固化するまでの時間が長くなる。固化前のチューブは、引き取りによって引き伸ばされ、厚さが薄くなるので、固化が遅いほど、薄く伸ばされることになる。逆に、温度の低い気体を吹き付けられた部分は、早く固化されるので、余り引き伸ばされない。結果的に、厚い部分をより薄く、薄い部分は、薄くし過ぎない働きが得られ、より精密な膜厚ムラの除去が可能となる。このような効果はチューブ状フィルム形状が本発明の範囲の場合にのみ顕著に見られる効果である。つまり、チューブ状フィルム形状が本発明の範囲から外れる場合は、前述のように周方向における膜厚ムラのプロファイルの変化が短時間で発生することから、冷却エアーの部分的な温調を行っても、常に膜厚ムラが小さいチューブ状フィルムを得ることはできない。
【0047】
本発明において、冷却エアー流路の周方向に複数のヒータを有し、冷却エアーを分割して温調可能なエアリングを使用する際に、吹き付ける気体の温度が最も高温になる位相と、最も低温になる位相とで、気体にどの程度の温度差を与えるかは、膜厚ムラの程度に比例するが、おおよそ5〜100℃の範囲が好ましい。温度差が5℃より小さい場合には、膜厚ムラを除去する効果が殆どない。温度差を100℃より大きくしなければならないほど膜厚ムラが大きい場合には、チューブを真っ直ぐ上方に引き取ることが困難になる。
【0048】
冷却エアーの温度を周方向で変化させるためには、冷却エアー流路の周方向に配された複数のヒータへの供給電力を個別に制御すると良い。
【0049】
例えば、ヒータ出力をサイクル制御する方法を用いることができる。サイクル制御とは、全ヒータの通電制御において一定時間を1サイクルとして通電する方法であり、例えば5秒を1サイクルとする場合、出力1%につき0.05秒通電させて制御する方法である。このサイクル制御する場合には、1サイクルの周期を30秒以下にすることが好ましい。
【0050】
30秒より長いと、ヒータのON/OFFに連動して風の温度が変化するため、膜厚も変わってしまう。周期の下限は特にないが、実用的には0. 1秒程度である。勿論、ヒータへの投入電力の制御方法は、これに限られるものではなく、位相制御方式等、他の制御方式とすることもできる。
【0051】
隣り合うヒータの間には断熱部材(インシュレータ)を設けることが好ましい。断熱部材がないと、隣り合うヒータの熱が干渉し、個別制御の効果が薄れる。尚、エアリング内部の周方向に仕切りを設け、仕切られた部屋にヒータを1つずつ配置すると、隣り合うヒータの干渉が避けられて好ましいように思われるが、仕切りによって気体の流れが分割され、周方向の流量或は流速の均一性が損なわれ易いので、エアリングの内部を周方向に分割しない方が良い。
【0052】
又、ヒータから、吹き出し口までの距離は100〜600mm程度にすることが好ましい。100mmより近い場合は、ヒータ形状に起因する風の流れの不均一性が緩和されないので、膜厚ムラの原因となる。600mmより遠い場合は、隣り合うヒータを通過して流れてきた風が混ざり合ってしまい、風の温度差がなくなってしまうため、偏肉除去効果が薄れる。
【0053】
つまり、図8の各ヒータに取り付けるヒートシンクは、熱容量の小さいものにすると、気体の温度制御レスポンスが向上するので好ましい。好ましい熱容量の範囲は、ヒータの出力(W)によって変わる。例えばヒータ出力が200(W)の場合、ヒートシンクの熱容量は2〜100(J/K)が好ましい。より好ましくは3〜30(J/K)である。熱容量が小さくなるほど、制御レスポンスが向上して好ましいが、熱容量が2(J/K)より小さいヒートシンクを製作しようとすると、ヒートシンクが非常に薄くなり、機械的強度を出すことが困難になる。ヒートシンクの熱容量範囲の上限は、ヒータ出力に正比例する。即ち、ヒータ出力が100(W)であれば、ヒートシンクの熱容量の好ましい範囲は2〜50(J/K)である。3〜15(J/K)がより好ましい。
【0054】
ヒータの数は、多いほど得られるシームレスチューブの周方向膜厚ムラを細かく調整できることから好ましいが、ヒータ数を増やし過ぎると、隣り合うヒータが干渉し易くなるので、ヒータの数は10から100個の範囲が好ましい。
【0055】
ここで、冷却エアー流路の周方向に複数のヒータを有し、冷却エアーを分割して温調可能なエアリングを使用して、シームレスチューブの膜厚ムラを小さくする手順を説明する。
【0056】
先ず、エアリング周方向に配設されたヒータは全て動作OFFのまま、インフレーション成形を行う。そして、前述のようにしてチューブ状フィルムとエアリングとの位置関係が本発明の範囲になるように調整する。ヒータ動作OFFの状態は、通常のエアリングを用いて成形した場合に相当するのであるが、このとき得られたチューブを、チューブAとする。
【0057】
複数のヒータの位相と、チューブAの膜厚の測定位相が対応するように、エアリングに設置されたヒータと同じ数に等分した位置のチューブAの膜厚を測定する。膜厚の測定は、測定誤差の影響を小さくするために、図6のような測定装置を用いて、軸方向に3箇所測定し、3つの測定値(ゲージ1〜ゲージ3に対応する値)の相加平均値を、測定位相における膜厚とする。
【0058】
この膜厚測定データにおいて、(各測定位相の膜厚)−(最も厚さが薄い位相の膜厚)を求め、その値に比例係数(ゲイン)を掛けて、各ヒータの出力を決定し、各ヒータの制御を開始する。制御開始から十分な時間が経過した後に得られたチューブをチューブBとする。
【0059】
チューブBの膜厚測定結果とチューブAの膜厚測定結果を比較し、チューブAで膜厚が厚かった部分がチューブBでも厚く、チューブAで膜厚が薄かった部分がチューブBでも薄い場合は、前記ゲイン不足であることから、ゲインを大きくして再度各ヒータの制御を行う。又、逆の場合はゲインを小さくする。
【0060】
上記のような手順で各ヒータ出力を決定することにより、膜厚ムラは良好に補正することができる。
【0061】
ここで、通常ゲインはインフレーション成形条件、シームレスチューブの材質により決まるので、同一の成形条件、材質でシームレスチューブを製造する際には、ほぼ同一のゲインで膜厚ムラを補正することができる。
【0062】
本発明においては、熱可塑性樹脂を溶融押し出しする押出し機と、環状ダイの間にギアポンプを設置することにより、安定した吐出量が得られることから好ましい。ギアポンプの計量部に使用されるギアはできるだけ細かいものが計量の脈動が細かくなり好ましいが、細か過ぎるとギアの耐久性が低下することから、シームレスチューブ100mm当たりのギアの歯数は5以上40以下が好ましい。例えば、シームレスチューブの引き取り速度が9m/分でギアポンプの回転数が30回転/分、計量部のギアの歯数が60枚の場合は、シームレスチューブ100mm当たりのギアの歯数は20となる。
【0063】
又、本発明におけるシームレスチューブの引き取り速度は5m/分以上20m/分以下が、シームレスチューブの成形安定性が非常に高く好ましい。
【0064】
シームレスチューブの規定の位置における直径の測定方法は、非接触で測定する必要があることから、エアリングのエアー吹き出し口とチューブ状フィルム近傍を撮影し、撮影された映像を用いて、エアー吹き出し口の寸法とチューブ状フィルムの寸法の関係から、チューブ状フィルムの寸法を測定する方法や、レーザーを用いた変位計を用いる方法を挙げることができる。エアー吹き出し口とチューブ状フィルム近傍を撮影して、チューブ状フィルムの寸法を測定する場合には、同一条件で少なくとも10枚の画像を撮影、測定し、その平均値を用いる。
【0065】
本発明のシームレスチューブの直径Db及び規定の位置でのチューブ状フィルムの直径Dtは以下のようにして測定したが、エアリング形状等の制約から、以下のような測定が困難な場合は、上記の撮影による測定を用いても良い。
<チューブ状フィルム直径Dtの測定>
<測定機>
レーザ式変位計コントローラ:VG−300(キーエンス社製)
レーザ式変位計センサヘッド:VG−035(キーエンス社製)
2対の上記レーザ式変位計センサヘッドを、センサヘッド中心部がエアリングの第1のエアー吹き出し口から30mmの高さの位置になるようにセットし、2台のレーザ変位計コントローラVG−300にそれぞれ接続する。
【0066】
詳しくは第2のエアー吹き出し口の最上部から、更に30mm高い位置におけるチューブ状フィルム近傍の概略図である図7を用いて説明する。
【0067】
2対のセンサヘッドVG−035が既知の距離Wkの間隔で投光面と受光面がチューブ状フィルムを向くようにセットされており、チューブ状フィルムにより遮光された部分の幅W1,W2がそれぞれのコントローラVG−300に出力される。このとき、W1,W2の値はコントローラVG−300により64回平均処理したものを10秒サンプリングしたものの平均値を用いる。
【0068】
即ち、規定の位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtは、センサヘッド間距離Wkとチューブ状フィルムにより遮光された部分の距離W1,W2の和、
Dt=Wk+W1+W2
とする。
<シームレスチューブの直径Dbの測定>
チューブ状フィルムの直径Dtの測定で用いたものと同じ装置を用いて、ピンチロールで折り畳まれたチューブ状フィルムの幅(折径)を計測し、計測された折径からシームレスチューブの直径を算出した。即ち、計測された折径を2倍して、シームレスチューブの周長を計算し、計算された周長を円周率で除することによりシームレスチューブの直径Dtを算出した。
【0069】
本発明で製造されるシームレスチューブとしては、平均厚さが70〜150μmが好ましい。70μm未満であると、ベルトとして使用した際の強度が不足し、耐久中に破断し易くなる。150μmより厚いと、ベルトの剛性が高くなり過ぎて、円滑な駆動が困難になってくる。好ましい厚み範囲は80〜120μmである。
【0070】
膜厚は、以下のように測定する。
<膜厚の測定>
<測定機>
図6に示すように、3つの厚みゲージが互いに100mm離れた位置に設置され、ベルト厚さを同時に3箇所測定できる測定機を用いる。膜厚を正確に測定するために、ゲージは、繰り返し測定精度が1μm以下のものが好ましい。本発明では、リニヤゲージLBG2−0105L(ミツトヨ製)を使用した。測定子先端の形状は、直径5mmの球面(SΦ5)の一部を有する形状とした。図13の測定機は、ベルトを張架するためのローラを任意の角度だけ断続的に回転させることにより、張架したベルトを任意の距離だけ断続的に送ることができる機構を有する。この測定機を用いると、シームレスチューブの周方向の任意の位相において、軸方向に3箇所の厚みが同時に測定されるが、これら3点の測定値の相加平均値を、その測定位相におけるシームレスチューブの膜厚とした。
【0071】
本発明においては長周期の膜厚ムラと短周期の膜厚ムラを以下のように定義した。
【0072】
即ち、本発明においては長周期の膜厚ムラを示すパラメータとして以下の式で示すZを使用した。
【0073】
【数1】

Zは以下のようにして求める。
【0074】
上述の膜厚測定機でシームレスチューブの1/40の測定ピッチで40点測定する。各測定位置における厚さt(μm)を、tn(μm)と表現する(tnの添え字:nは1〜40である)。ここで、各測定位置において3つのゲージを使用して測定しているので、厚さtは各ゲージの相加平均の値を使用した。膜厚測定開始位置(t1の測定位置)の位相を0°とすると、測定位相は0°、9°(t2の測定位置)、18°(t3の測定位置)、…351°(t40の測定位置)という具合に、9°毎にシームレスチューブの膜厚を測定することになる。
【0075】
このようにして得られたt1〜t40を用い、前述の式に従ってZを求めると、Zは、t1〜t40を円グラフ表示した時に、円グラフによって囲まれた面の重心に相当する(図12参照)。即ち、長周期の膜厚ムラ(偏肉)が小さいものほどZの値も小さくなり、電子写真用シームレスベルトとして使用した場合の色ずれが小さくなる。電子写真用シームレスベルトとして良好な色ずれを得るためには、具体的にはZの値は2.0以下が好ましく、更に好ましくは1.0以下である。
【0076】
一方、短周期の膜厚ムラを示すパラメータとしては、以下の式で示すSを使用した。
【0077】
S=(tmax−tmin)×100/tave
Sは以下のようにして求める。
【0078】
前述の膜厚測定機で、シームレスチューブの周長の10%に相当する長さだけ、1mmの測定ピッチで測定する。測定された膜厚データで最も厚い値をtmax、最も薄いものをtmin、全測定データの平均値をtaveとし、上記の式に従ってSを求める。即ち、短周期の膜厚ムラが小さいものほどSの値も小さくなり、電子写真用シームレスベルトとして使用した場合の耐久性が向上する。良好な耐久性の電子写真用シームレスベルトを得るためには、具体的にはSの値は10以下が好ましく、更に好ましくは5以下である。
【0079】
本発明により製造されるシームレスチューブの体積抵抗率は108 (Ω・cm)〜1013(Ω・cm)である。
【0080】
より詳細には、転写搬送ベルトとして用いる場合には、体積抵抗率は、109 〜1013(Ω・cm)であることが好ましい。109 (Ω・cm)より抵抗の低いベルトを転写搬送ベルトとして用いた場合、特に高温高湿度環境において、記録用紙Pを転写搬送ベルトに確実に吸着し、記録用紙Pを一定速度で搬送する能力が劣り、色ずれが悪化し易い。1013(Ω・cm)より抵抗が高いと、転写電流が流れにくくなり、その分高い転写電圧を必要とするので、転写時の異常放電が発生し易くなり、画像不良が出易い。
【0081】
本発明のベルトを中間転写ベルトとして用いる場合には、体積抵抗率は、108 〜1012(Ω・cm)であることが好ましい。109 (Ω・cm)より抵抗の低いベルトを中間転写ベルトとして用いた場合、突き抜け画像(画像の一部において濃度が薄い部分が発生する)が発生し易くなる。これは、中間転写ベルトの場合、感光体からのトナー転写時に紙を介することなく、ベルト上に直接転写するため、ベルト抵抗の影響が出易く、ベルト抵抗が低いために、転写ニップに掛かる実質的な電圧が増加して、異常放電を起こして感光体からの転写が完全に行われにくくなるためと考えられる。1013(Ω・cm)より抵抗が高いと、転写電流が流れにくくなり、その分高い転写電圧を必要とするので、転写時の異常放電が発生し易くなり、画像不良が出易い。
【0082】
体積抵抗率は、以下のように測定する。
<体積抵抗率の測定>
<測定器>
抵抗計:超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)
試料箱:超高抵抗計測定用試料箱TR42(アドバンテスト社製)
(主電極はφ22mm厚さ10mmの金属、ガードリング電極は内径41mm、外径49mm厚さ10mmの金属とする)
<サンプル>
シームレスチューブから直径56mmの円形の試験片を切り出す。切り出した試験片の片面には、その全面にPt−Pd蒸着を行うことで蒸着膜電極を設け、もう一方の面には同じくPt−Pd蒸着膜により、直径25mmの主電極膜と、内径38mm、外径50mmのガードリング電極膜を同心状に設ける。尚、Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所製)を用い、電流値15mAにて蒸着操作を2分間行って得る。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。測定時には、φ22mmの主電極を、φ25mmの主電極膜からはみ出さないように該膜の上に置く。又、内径41mmのガードリング電極を、内径38mmのガードリング電極膜からはみ出さないように、該膜の上に置いて測定する。
<測定条件>
測定雰囲気:23℃/50%RH
(測定サンプルは、予め測定雰囲気に24時間放置しておく)
測定モード:プログラムモード5
(チャージ及びメジャー30秒、ディスチャージ10秒)
印加電圧:100(V)
その他の条件及び体積抵抗率の計算は、ASTM−D257−78に準拠する。
【0083】
又、本発明の製造方法で製造したシームレスチューブを、電子写真装置のシームレスベルトとして使用する場合は、図10及び図11に示すような方法でシームレスチューブの折り目の除去を行うことができるが、この方法に限定されるものではない。以下にシームレスチューブの折り目除去方法の一例を図10及び図11を用いて説明する。
【0084】
図10はシームレスチューブの折り目除去に用いる円筒状内型301を説明する図である。
【0085】
図10において、
(1)シームレスチューブの内周長よりも若干(1%程度)短い外周長を有するアルミニウム製円筒体の外周面に、厚さ0.5mm程度の熱収縮性PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビ ニルエーテル共重合体)チューブを被せる。
(2)PFAチューブを220℃で加熱収縮させた後、端部をアルミニウム製円筒体の内側に巻き込みPFA固定部材で固定したものである。
【0086】
アルミニウム製円筒状体の内側には、先端に逆止弁を有する気体給排気口を設けてある。
【0087】
図11は図10の円筒状内型301を用いたシームレスチューブの折り目除去方法を説明するものである。図11の(1)〜(4)の各工程を詳しく説明する。
(1)円筒状内型301の外周面にシームレスチューブ220を嵌合する。
(2)シームレスチューブ220を嵌合した円筒状内型301の気体給排気口にシームレスチューブの折り目が伸びる程度の低圧(例えば0.2MPa)の気体を導入し、円筒状内型301表面にシームレスチューブ220を保持させる。
(3)外周にシームレスチューブ220が嵌合された円筒状内型301の更に外周に、シームレスチューブの外周長よりも若干大きな内周長を有し、内周面に転写面を有する円筒状外型302を嵌合する。
(4)円筒状外型302を嵌合した状態で、円筒状内型301の気体給排気口にシームレスチューブ220の外表面と円筒状外型302の内周面が密着する程度の圧力(例えば0.5MPa)の気体を導入する。この状態で、シームレスチューブの熱変形温度以上まで加熱、冷却後、気体給排気口からPFAチューブ内の気体を抜くことにより、シームレスチューブ220の折り目を除去されたシームレスベルトを得ることができる。
【0088】
又、上記のようにして折り目を除去したシームレスベルトには、ゴム、エラストマーやその発泡体から成る蛇行防止部材を設けて使用される。又、ポリエチレンテレフタレート樹脂等から成る端部補強テープをシームレスベルトの内周面端部又は外周面端部に設けても良い。
【0089】
以下実施例をもって本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
2軸押し出し機を利用して、以下の配合から成る熱可塑性樹脂ペレットを作製した。
【0090】
<配合>
ポリフッ化ビニリデン樹脂 87.8wt%
導電性カーボンブラック 6.2wt%
ポリエーテルエステルアミド樹脂 1.0wt%
酸化亜鉛 5.0wt%
次に、該ペレットを、図4に示すインフレーション成形装置を用いて、220℃でインフレーション成形することにより厚さ約100μm、長さ300mm、折径240mmのシームレスチューブを100本製造した。
【0091】
ここで、エアリングとしては図5、図8に示すような2つのエアー吹き出し口を有し、内部が周方向に仕切られていないものを使用した。
【0092】
又、図8に示すように、エアリング内部に1本200(W)のカートリッジヒータを、Φ700mmのピッチ円上に40本配設し、各カートリッジヒータに、銅板(ヒートシンク)2枚を1対として各ヒータを挟み込むように取り付けた(図9参照)。このときのヒートシンクの熱容量は1対当たり30(J/K)であり、隣り合うヒートシンクの間には、セラミックス製の棒(インシュレータ)で断熱した。又、各カートリッジヒータの制御は、5秒を1サイクルとするサイクル制御とした。
【0093】
以下に成形条件、成形に使用した部材の各部の寸法と成形物の各位置における寸法を示す。
【0094】
<成形条件>
設定温度 押出し機 C1/C2/C3=220/240/240
ギアポンプ 240℃
ダイ 240℃
エアリングブロワ出力(インバータ周波数) 20Hz
シームレスチューブの引取り速度 9m/min.
ギアポンプ回転数 30rpm
ギアポンプの計量ギアの歯数 60枚
エアリングヒータのゲイン 3
<各部の寸法>
第1のエアー吹き出し口の内径R1 :130mm
第1のエアー吹き出し口の外径R :150mm
第2のエアー吹き出し口の外径R2 :185mm
環状ダイの外径D :100mm(内径98.4mm)
第1のエアー吹き出し口の最上部高さH1:60mm
第2のエアー吹き出し口の最上部高さH2:95mm
第2のエアー吹き出し口最上部高さH2
+30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dt:150mm
固化後のシームレスチューブの直径Db:153mm
ここで、エアリング周方向に配設されたヒータを制御しているとき、エアリング吹き出し口に線直径50μmの熱電対をかざして、周方向に風の温度を測定したところ、最も温度の低い部分で28℃、最も高い部分で55℃であった。つまり、風の温度差は27℃であった。
<膜厚測定結果>
得られたシームレスチューブの100本の周方向における膜厚を、図6の膜厚測定装置で測定し、前述の長周期の膜厚ムラを示すZ、短周期の膜厚ムラを示すSを求めたところ、その最大値、最小値、標準偏差は以下のようなものであり、Z,S共に小さく、そのばらつきも小さいものであった。
【0095】
Z(長周期の膜厚ムラを示す) S(短周期の膜厚ムラを示す)
最大値 1.20 2.0
最小値 0.11 1.3
標準偏差 0.25 0.24
上記のようにして得られたチューブ状フィルムで、Zの値が最も大きかったものと、Sの値が最も大きかったものを選び、図11の方法で、シームレスチューブの折り目を除去し、内周面の片端部に高さ1mm、幅5mmのゴム製の蛇行防止部材を両面テープで貼り付け、周長482mmのシームレスベルトを作製した。このときの加熱温度は180℃であった。Zが最も大きかったものをシームレスベルト1、Sが最も大きかったものをシームレスベルト2とした。
<色ずれ評価試験>
作製したシームレスベルト1を転写搬送ベルトとして、図1の画像形成装置に組み込んだ。駆動ローラ21の表面には、厚さ1 mmのゴム層を有しており、その外径は22mmである。駆動ローラへのベルトの巻き付け角は130°であった。隣り合う感光ドラムの回転軸は、その中心が互いに45mm離れている。
図1において、1−Y,1−Y,1−C,1−Bkは像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0096】
以下に、第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)が形成される過程を説明する。
【0097】
感光ドラム1−Yは、回転過程で、1次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段による像露光3を受ける。このようにしてカラー画像の第1の色成分像(この例ではイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0098】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器41)によりイエロー成分像に現像される。このようにして感光ドラム1−Y上に第1色(イエロー)のトナー像が形成される。そして、所定のタイミングで、感光ドラム1−M,1−C,1−Bk上にも第2色〜第4色のトナー像が形成される。
【0099】
一方、転写搬送ベルト24は、矢印の方向に感光ドラムとほぼ同じ周速度或は感光ドラムに対して所定の周速差(多くの場合、転写搬送ベルトの方が感光ドラムよりも速い)を有して回転駆動されている。そして、所定のタイミングで、給紙ローラ11から転写搬送ベルト24に記録用紙Pが給送され、記録用紙Pは、転写搬送ベルト24に吸着され、転写搬送ベルトの回転に伴って記録用紙Pが搬送されていく。
【0100】
図1の装置では、記録用紙Pを重力に逆らって上方向に搬送させる必要がある。加えて、転写搬送ベルト24への記録用紙Pの吸着力を大きくするための特別の手段を有していない。
【0101】
このため、図1のような装置構成においては、吸着が不安定となり易く、色ずれが発生し易くなる。このため、転写搬送ベルト24は、膜厚ムラに起因する速度変動による色ずれが非常に小さいものを用いないと、装置全体としての色ずれが大きくなってしまう。
【0102】
ベルトの吸着転写ニップ(感光ドラムと転写ローラ22が転写搬送ベルト24を介して対峙する部分)を、記録用紙Pが通過する際、バイアス電源28を通じて転写ローラ22に転写バイアスが印加される。これによって、感光体上のトナー像は、記録用紙Pに転写されてゆく。
【0103】
つまり、先ず第1色成分であるイエロートナー像が、続いて第2色成分であるマゼンタトナー像が、続いて第3色成分であるシアントナー像が、そして最後に第4色成分であるブラックトナー像が、記録用紙Pの搬送過程で、記録用紙Pの上に順次積層転写さてゆく。このときの転写バイアスは、例えば−3kV〜+3kV程度である。転写搬送ベルト24のクリーニングは、転写ローラ22にトナーと同極性のバイアスを印加することで、転写搬送ベルト24上のトナーを感光体に戻す、いわゆる静電クリーニング方式とした。尚、感光体1−Y〜1−Bkは、20μmの電荷輸送層を持ち、像露光前の電位(Vd)が−700(V)、像露光後の電位(V1)が−150(V)となるように一次帯電及び露光を行った。画像形成時の転写バイアスは+1000(V)とした。以上が画像形成装置の動作概略である。
【0104】
転写搬送ベルトの移動速度は50mm/秒である。
【0105】
図1の画像形成装置を用いて図14の色ずれ計測用画像出力パターンを出力し、色ずれを判定した。結果を表2に示す。尚、色ずれの評価は以下のようにして行った。
【0106】
図14に示すように、A4用紙の中央部に、線幅(線の太さ)100μm、長さ5mmの横線を、4色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)横一列に並べ、これを1行とするとき、該行を用紙の縦方向に2mmずつずらし、合計130行描画した(A4用紙の上下両端部約20mmを空白とし、中央部258mmに画像を出力)。各行において、ブラックの横線を基準として、他の3色の横線が、縦方向にどれだけずれているか、その絶対値を測定した。各行において測定された値の最大値を、そのページ内における色ずれ量(μm)とした。画像出力環境は、23±2℃、50±10%とした。
【0107】
色ずれ量による判定基準は以下の通り。
【0108】
200μm以下 :◎
200μmより大きく220μm以下 :○
220μmより大きく240μm以下 :△(実用可)
240μmより大きい :×(実用不可)
<ベルト回転耐久試験>
次に、シームレスベルト2を図13のベルト回転耐久装置に取り付け、1000時間のベルト回転耐久試験を行った。ベルトの回転速度は矢印の方向に100mm/sec.であり、駆動ローラ320、テンションローラ330共に直径が22mmのものを使用した。駆動ローラ表面には厚さ1mmのゴム層を有するものを使用し、テンションローラはアルミニウム製のものを使用した。又、テンションバネ340は、蛇行防止部材側を1.8Kgf、反蛇行防止部材側を1.3Kgfのものを使用し、ベルトテンションに左右差をつけた。
【0109】
ここで、1000時間の耐久試験後にベルトを目視確認し、クラック等の不具合は発生しなかったものは、もう1000時間の回転耐久試験を上記と同様に行った。
【0110】
ベルトの耐久性は以下のように判定した。
【0111】
2000時間の回転耐久後もクラック等の不具合がないもの :○
1000時間では不具合がないが、2000時間で不具合が発生したもの :△(実用可)
1000時間未満で不具合が発生したもの :×
[実施例2〜4]
配合を表1のように変更し、実施例1と同様に熱可塑性樹脂ペレットを作製した。
【0112】
作製した熱可塑性樹脂ペレットを、表2のようにインフレーション成形条件を変更した以外は実施例1と同様にしてシームレスチューブを各100本作製した。
【0113】
実施例1と同様にシームレスチューブの膜厚を測定してZとSを求めた。結果を表3に示す。
【0114】
Zの値が最も大きかったものと、Sの値が最も大きかったものを選び、実施例1と同様に図11の方法でシームレスチューブの折り目を除去し、内周面の片端部に高さ1mm、幅5mmのゴム製の蛇行防止部材を両面テープで貼り付け、周長482mmのシームレスベルトを作成し、Zが最も大きかったものをそれぞれシームレスベルト3(実施例2),シームレスベルト5(実施例3)、シームレスベルト7(実施例4)、Sが最も大きかったものをそれぞれシームレスベルト4(実施例2)、シームレスベルト6(実施例3)、シームレスベルト8(実施例4)とした。このときの加熱温度は、それぞれ270℃(実施例2)、180℃(実施例3)、290℃(実施例4)であった。
【0115】
実施例1と同様に、シームレスベルト3,5,7を図1の画像形成装置に組み込み色ずれ評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0116】
又、シームレスベルト4,6,8を実施例1と同様に図13のベルト回転装置に取り付け、ベルト回転耐久試験を行った。結果を表3に示す。
[実施例5〜12]
実施例1と同一配合の熱可塑性樹脂ペレットを実施例1と同様にして作製し、表2のようにインフレーション成形条件を変更した以外は実施例1と同様にシームレスチューブを各100本作製した。
【0117】
実施例1と同様にシームレスチューブの膜厚を測定してZとSを求めた。結果を表3に示す。
【0118】
Zの値が最も大きかったものと、Sの値が最も大きかったものを選び、実施例1と同様に図11の方法でシームレスチューブの折り目を除去し、内周面の片端部に高さ1mm、幅5mmのゴム製の蛇行防止部材を両面テープで貼り付け、周長482mmのシームレスベルトを作製し、Zが最も大きかったものをそれぞれシームレスベルト9(実施例5)、シームレスベルト11(実施例6)、シームレスベルト13(実施例7)、シームレスベルト15(実施例8)、シームレスベルト17(実施例9)、シームレスベルト19(実施例10)、シームレスベルト21(実施例11)、シームレスベルト23(実施例12)、Sが最も大きかったものをそれぞれシームレスベルト10(実施例5)、シームレスベルト12(実施例6)、シームレスベルト14(実施例7)、シームレスベルト16(実施例8)、シームレスベルト18(実施例9)、シームレスベルト20(実施例10)、シームレスベルト22(実施例11)、シームレスベルト24(実施例12)とした。
【0119】
実施例1と同様に、シームレスベルト9,11,13,15,17,19,21,23を図1の画像形成装置に組み込み色ずれ評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0120】
又、シームレスベルト10,12,14,16,18,20,22,24を実施例1と同様に図13のベルト回転装置に取り付け、ベルト回転耐久試験を行った。結果を表3に示す。
【0121】
<比較例1〜5>
実施例1と同一配合の熱可塑性樹脂ペレットを実施例1と同様にして作製し、表4のようにインフレーション成形条件を変更した以外は実施例1と同様にシームレスチューブを各100本作製した。
【0122】
実施例1と同様にシームレスチューブの膜厚を測定してZとSを求めた。結果を表5に示す。
【0123】
Zの値が最も大きかったものと、Sの値が最も大きかったものを選び、実施例1と同様に図11の方法でシームレスチューブの折り目を除去し、内周面の片端部に高さ1mm、幅5mmのゴム製の蛇行防止部材を両面テープで貼り付け、周長482mmのシームレスベルトを作製し、Zが最も大きかったものをそれぞれシームレスベルト25(比較例1)、シームレスベルト27(比較例2)、シームレスベルト29(比較例3)、シームレスベルト31(比較例4)、シームレスベルト33(比較例5)、Sが最も大きかったものをそれぞれシームレスベルト26(比較例1)、シームレスベルト28(比較例2)、シームレスベルト30(比較例3),シームレスベルト32(比較例4),シームレスベルト34(比較例5)とした。
【0124】
実施例1と同様に、シームレスベルト25,27,29,31,33を図1の画像形成装置に組み込み色ずれ評価試験を行った。結果を表5に示す。
【0125】
又、シームレスベルト26,28,30,32,34を実施例1と同様に図13のベルト回転装置に取り付け、ベルト回転耐久試験を行った。結果を表5に示す。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】転写搬送ベルトと複数の感光体を有する画像形成装置要部の断面図である。
【図2】中間転写ベルトと複数の感光体を有する画像形成装置要部の断面図である。
【図3】中間転写ベルトを有する4パス式画像形成装置要部の断面図である。
【図4】インフレーション成形機の概略図である。
【図5】エアー吹き出し口とチューブ状フィルムの関係を示す図である。
【図6】シームレスチューブの厚さ測定機概略図である。
【図7】チューブ状フィルムの直径測定方法を説明する図である。
【図8】エアリングの概略図である。
【図9】ヒートシンクでヒータを挟み込む様子を示す図である。
【図10】シームレスチューブの折り目を除去する部材を説明する図である。
【図11】シームレスチューブの折り目を除去する手段のイメージ図である。
【図12】シームレスチューブの周方向の厚さを円グラフ表示した図である。
【図13】ベルト回転耐久装置の概略図である。
【図14】色ずれ計測用画像出力パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0132】
1 感光体
1−Y イエロー色用感光体
1−M マゼンタ色用感光体
1−C シアン色用感光体
1−Bk ブラック色用感光体
2 1次帯電器
3 露光光
41 イエロー色現像器
42 マゼンタ色現像器
43 シアン色現像器
44 ブラック色現像器
5 中間転写ベルト
6 1次転写部材
7 2次転写ローラ
8 2次転写対向ローラ
9 ベルトクリーニング部材
11 給紙ローラ
13 感光体クリーニング部材
15 定着器
21 駆動ローラ
22 転写ローラ
23 コロナ除電器
24 転写搬送ベルト
25 吸着ローラ
26 ベルト張架ローラ
27〜33 バイアス電源
100 1軸押し出し機
110 ホッパー
140 環状ダイ
150 チューブ直径調節用エア吸排気路
160 チューブ状フィルム
170 安定板
180 ピンチロール
190 カッター
200 エアリング
201 第1のエアー吹き出し口
202 第2のエアー吹き出し口
210 エア供給口
220 シームレスチューブ
230 ギアポンプ
301 円筒状内型
302 円筒状外型
310 シームレスベルト
320 駆動ローラ
330 テンションローラ
340 テンションバネ
P 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレーション成形により製造されるシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を溶融して押出す押出し機と、直径Dを有する環状ダイと、複数のエアー吹き出し口を有するエアリングを用い、環状ダイの直径Dとシームレスチューブの直径Dbの関係が1.1≦Db/D≦2.7、第1のエアー吹き出し口の、最上部の高さH1[mm]が30≦H1≦100、第1のエアー吹き出し口の、最上部の外径Rと、第2のエアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとの関係が0.8≦R/Dt≦1.2、第2のエアー吹き出し口の最上部の高さH2の上30mmの位置におけるチューブ状フィルムの直径Dtとシームレスチューブの直径Dbの関係が0.8≦Dt/Dbであることを特徴とするシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項2】
前記環状ダイの直径Dとシームレスチューブの直径Dbの関係が1.3≦Db/D≦2.0であることを特徴とする請求項1記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項3】
チューブ状フィルムの直径Dtとシームレスチューブの直径Dbの関係が0.9≦Dt/Dbであることを特徴とする請求項1又は2記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項4】
シームレスベルト用シームレスチューブが少なくとも結晶性樹脂及び導電性付与材を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項5】
前記導電性付与材が導電性フィラーであることを特徴とする請求項4記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項6】
前記エアリングが冷却エアー流路の周方向に複数のヒータを有し、冷却エアーを分割して温調可能なエアリングであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項7】
前記押出し機と環状ダイの間にギアポンプを用いたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。
【請求項8】
前記シームレスチューブの引取り速度S[m/min.]が5≦S≦20であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のシームレスベルト用シームレスチューブの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−21982(P2007−21982A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209901(P2005−209901)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】