シーリング方法およびシール部材
【課題】簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができるシーリング方法、および、そのシーリング方法に用いられるシール部材を提供すること。
【解決手段】
壁11の厚み方向を貫通する開口部12と、開口部12に挿入されるダクト14との隙間をシールするためのシーリング方法に、弾性層2と、弾性層2の表面に積層される粘着層3と、粘着層3の表面に積層される離型シート4とを備え、それらの積層方向に沿って、ダクト14が挿入される貫通穴9が形成されたシール部材1を用意するシール部材用意工程、貫通穴9にダクト14を挿入して、離型シート4を壁11に当接させる挿入工程、および、離型シート4を粘着層3から剥離しながら、シール部材1を、ダクト14および壁11に貼付する貼付工程を備える。
【解決手段】
壁11の厚み方向を貫通する開口部12と、開口部12に挿入されるダクト14との隙間をシールするためのシーリング方法に、弾性層2と、弾性層2の表面に積層される粘着層3と、粘着層3の表面に積層される離型シート4とを備え、それらの積層方向に沿って、ダクト14が挿入される貫通穴9が形成されたシール部材1を用意するシール部材用意工程、貫通穴9にダクト14を挿入して、離型シート4を壁11に当接させる挿入工程、および、離型シート4を粘着層3から剥離しながら、シール部材1を、ダクト14および壁11に貼付する貼付工程を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング方法およびシール部材、詳しくは、外壁の開口部と挿入部材との隙間のシールに好適に用いられるシーリング方法、および、その方法に用いられるシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物などの外壁に、その厚み方向を貫通する開口部(貫通穴)を形成し、その開口部にダクト(導管)を挿入することにより、ダクトを介して、建物の内部と外部とを連通させて、建物の換気などを図ることがよく知られている。
【0003】
一方、開口部の内周面と、ダクトの外周面との間には、隙間を生じやすく、その隙間を介して、建物の外部から内部に水が浸入する場合がある。
【0004】
このような水の浸入を防ぐために、例えば、特定の伸びや変形応力を有する粘着テープを、ダクトに巻き付けるように貼付するとともに開口部周辺の外壁に貼付し、開口部とダクトとの隙間をシールする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−126521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記した特許文献1では、粘着テープが伸びを有するため、粘着テープを貼付するときに、ユーザが粘着テープを引っ張る度合いが変動することにより、粘着テープのダクトおよび外壁に対する貼付されたときの粘着テープの伸縮度合いが変動する場合がある。
【0007】
そのため、粘着テープを、隙間を生じないように、ダクトおよび外壁に均一に貼付するには、熟練を要する。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができるシーリング方法、および、そのシーリング方法に用いられるシール部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明のシーリング方法は、壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするためのシーリング方法であって、弾性層と、前記弾性層の表面に積層される粘着層と、前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、それらの積層方向に沿って、前記挿入部材が挿入される貫通穴が形成されたシール部材を用意するシール部材用意工程、前記シール部材に接触するように、前記貫通穴に前記挿入部材を挿入して、前記離型シートを前記壁に当接させる挿入工程、および、前記離型シートを前記粘着層から剥離しながら、前記シール部材を、前記挿入部材および前記壁に貼付する貼付工程を備えていることを特徴としている。
【0010】
この方法によれば、挿入工程において、シール部材に形成される貫通穴に、シール部材に接触するように、挿入部材を挿入して、離型シートを壁に当接させる。
【0011】
つまり、挿入工程において、シール部材は、挿入部材と壁との両方に当接される。そして、シール部材が挿入部材と壁との両方に当接された状態で、離型シートを粘着層から剥離しながら、シール部材を、挿入部材および壁に貼付する。
【0012】
そのため、挿入工程において、開口部と挿入部材との隙間をシールできるように、シール部材を、挿入部材と壁との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、貼付工程において、離型シートを粘着層から剥離して、シール部材を、挿入部材および壁に貼付し、開口部と挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0013】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0014】
また、本発明のシーリング方法では、前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備え、前記貼付工程では、第1剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記挿入部材に貼付するとともに、第2剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記壁に貼付することが好適である。
【0015】
この方法によれば、離型シートは、第1剥離部と第2剥離部とを備えており、貼付工程において、シール部材を挿入部材に貼付するときに、第1剥離部を剥離し、シール部材を壁に貼付するときに、第2剥離部を剥離する。
【0016】
そのため、貼付工程において、第1剥離部と第2剥離部とを個別に剥離させることができ、離型シートを容易に剥離させることができ、シール部材を、挿入部材および壁の両方に対して確実に貼付することができる。
【0017】
その結果、より安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0018】
また、本発明のシーリング方法では、前記シール部材は、前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えており、前記貼付工程では、前記第1引張部を引っ張ることにより前記第1剥離部を剥離させ、前記第2引張部を引っ張ることにより前記第2剥離部を剥離させることが好適である。
【0019】
この方法によれば、第1引張部および第2引張部を引っ張って、第1剥離部および第2剥離部を剥離させることができ、第1剥離部および第2剥離部を容易に剥離させることができる。
【0020】
また、本発明のシーリング方法では、前記第1引張部は、前記第1剥離部から貫通穴に向かって膨出するように設けられ、前記第2引張部は、前記第2剥離部から貫通穴と反対側に向かって膨出するように設けられていることが好適である。
【0021】
この方法によれば、第1引張部および第2引張部が膨出するように形成されているため、第1引張部および第2引張部を容易に把持して確実に引っ張ることができる。
【0022】
また、本発明のシール部材は、壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするために用いられるシール部材であって、弾性層と、前記弾性層の表面に積層される粘着層と、前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、それらの積層方向に沿って、前記挿入部材を挿入するための貫通穴が貫通形成されていることを特徴としている。
【0023】
このような構成によれば、弾性層、粘着層および離型シートの積層方向に沿って、挿入部材を挿入するための貫通穴が貫通形成されている。
【0024】
そのため、シール部材が挿入部材と壁との両方に当接されるように、貫通穴に挿入部材を挿入し、シール部材が挿入部材と壁との両方に当接された状態で、離型シートを粘着層から剥離しながら、シール部材を、挿入部材および壁に貼付することができる。
【0025】
つまり、開口部と挿入部材との隙間をシールできるように、シール部材を、挿入部材と壁との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、貼付工程において、離型シートを粘着層から剥離して、シール部材を、挿入部材および壁に貼付し、開口部と挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0026】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0027】
また、本発明のシール部材では、前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備えていることが好適である。
【0028】
このような構成によれば、離型シートは、第1剥離部と第2剥離部とを備えている。
【0029】
そのため、離型シートを剥離させるときには、第1剥離部と第2剥離部とを個別に剥離させることができ、離型シートを容易に剥離させることができ、シール部材を、挿入部材および壁の両方に対して確実に貼付することができる。
【0030】
その結果、より安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0031】
また、本発明のシール部材では、前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えていることが好適である。
【0032】
このような構成によれば、第1引張部および第2引張部を引っ張って、第1剥離部および第2剥離部を剥離させることができ、第1剥離部および第2剥離部を容易に剥離させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のシーリング方法およびシール部材によれば、開口部と挿入部材との隙間をシールできるように、シール部材を、挿入部材と壁との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、離型シートを粘着層から剥離して、シール部材を、挿入部材および壁に貼付し、開口部と挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0034】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のシール部材の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すシール部材の底面図である。
【図3】図1に示すシール部材の正面図である。
【図4】図1に示すシール部材の背面図である。
【図5】図1に示すシール部材の右側面図である。
【図6】図1に示すシール部材の左側面図である。
【図7】本発明のシーリング方法の一実施形態を説明するための説明図であって、挿入工程を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、A−A断面図である。
【図8】図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、貼付工程を示す斜視図である。
【図9】図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材の貼付が完了した状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、B−B断面図である。
【図10】本発明のシール部材およびシーリング方法の変形例を説明するための説明図であって、(a)は、シール部材の平面図を示し、(b)は、シール部材の正面図を示す。
【図11】図10に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材の貼付が完了した状態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明のシール部材の一実施形態を示す平面図である。図2は、図1に示すシール部材の底面図である。図3は、図1に示すシール部材の正面図である。図4は、図1に示すシール部材の背面図である。図5は、図1に示すシール部材の右側面図である。図6は、図1に示すシール部材の左側面図である。
【0037】
シール部材1は、図1に示すように、中央にダクト14(後述)が挿通される貫通穴9が形成された平面視略円板形状(すなわち、平面視略円環形状)に形成されている。なお、シール部材1の説明において、方向に言及するときには、弾性層2(後述)、粘着層3(後述)および離型シート4(後述)の積層方向において、弾性層2(後述)が積層される側(すなわち、図3において紙面上側。)を一方とし、離型シート4(後述)が積層される側(すなわち、図3において紙面下側。)を他方とする。
【0038】
貫通穴9は、ダクト14(後述)の外径よりも小径な平面視略円形状に形成されている。
【0039】
また、シール部材1は、図3に示すように、弾性層2と、弾性層2の積層方向他方面に積層される粘着層3と、粘着層3の積層方向他方面に積層される離型シート4とを備えている。
【0040】
弾性層2は、例えば、緩衝(クッション)作用および水密作用を有する弾性体から、シール部材1の外形形状に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0041】
弾性層2を形成する材料としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、例えば、1−ブテンなどのα−オレフィン・ジシクロペンタジエン、例えば、エチリデンノルボルネンなどの非共役二重結合を有する環状または非環状のポリエンを成分とするゴム系共重合体、例えば、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレンターポリマー、シリコーンゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリアミド系ゴム、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴム、アクリルゴムなどの各種ゴムが挙げられる。好ましくは、耐候性の観点から、EPDMが挙げられる。
【0042】
そして、弾性層2は、上記した材料、公知の発泡剤、(必要により、公知の架橋剤や、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、発泡助剤などの公知の添加剤)を含有する発泡組成物を、加熱して発泡および架橋することにより、発泡体として得ることができる。
【0043】
弾性層2の厚みは、例えば、0.5〜30mm、好ましくは、2〜15mmである。
【0044】
また、弾性層2の見掛け密度は、例えば、0.01〜0.5g/cm3、好ましくは、0.05〜0.25g/cm3である。
【0045】
また、弾性層2を発泡体として得た場合には、弾性層2の発泡倍率(体積発泡倍率)は、例えば、1.1〜25倍、好ましくは、1.5〜20倍である。
【0046】
粘着層3は、例えば、水密作用を有する粘着剤組成物から、弾性層2の全面を被覆するように、シール部材1の外形形状に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0047】
粘着層3を形成する粘着剤組成物としては、例えば、ゴム系粘着剤組成物、樹脂系粘着剤組成物などが挙げられる。
【0048】
ゴム系粘着剤組成物は、例えば、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ゴムアスファルトなどのゴムを主成分として含有する。
【0049】
樹脂系粘着剤組成物としては、アクリル系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物、ポリウレタン系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤組成物などが挙げられる。
【0050】
これら粘着剤としては、好ましくは、ゴム系粘着剤組成物が挙げられ、さらに好ましくは、耐久性の観点から、ブチルゴムを含有するゴム系粘着剤組成物が挙げられる。
【0051】
また、粘着剤組成物には、必要により、例えば、公知の粘着付与剤、充填剤および軟化剤が含有される。
【0052】
粘着層3の厚みは、例えば、10〜1000μm、好ましくは、100〜500μmである。
【0053】
離型シート4は、例えば、柔軟性(フレキシビリティ)および靭性(スティフネス)を有するフィルムから、粘着層3の全面を被覆するように、シール部材1の外形形状に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0054】
離型シート4を形成するフィルムとして、具体的には、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP、配向ポリプロピレン(OPP)を含む)フィルムなどのオレフィン系フィルム、例えば、PETフィルムなどのエステル系フィルムなどの合成樹脂フィルムなどが挙げられる。好ましくは、オレフィン系フィルムが挙げられる。
【0055】
また、離型シート4は、その表面を、適宜、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデンなどの剥離剤により表面処理することができる。
【0056】
また、離型シート4は、上記した合成樹脂フィルムを単層として用いることができ、あるいは、上記した合成樹脂フィルムを複数積層した積層フィルムとして用いることができ、そのような積層フィルムとして、例えば、PEフィルムおよびその表面にOPPフィルムが積層された積層フィルム、PEフィルムおよびその表面にポリエステルフィルムが積層された積層フィルムなどが挙げられる。
【0057】
離型シート4の厚みは、例えば、50〜500μm、好ましくは、75〜400μm、さらに好ましくは、100〜300μmである。
【0058】
また、離型シート4の引張強度(JIS K 7113)は、例えば、10MPa以上、好ましくは、50MPa以上、さらに好ましくは、100MPa以上であり、通常、500MPa以下である。離型シート4の引張強度が、上記範囲内にない場合には、貼付工程(後述)において、離型シート4が破損して、破損した離型シート4が、粘着層3と、壁11やダクト14との間に残存する場合がある。
【0059】
また、離型シート4には、図2に示すように、その内周縁と外周縁との間において、貫通穴9と中心を共有する底面視略円形状の第1切り込み15が形成されている。これにより、離型シート4は、シール部材1の径方向において、径方向内側の第1剥離部5と、径方向外側の第2剥離部6とに分割されている。
【0060】
第1切り込み15の直径は、ダクト14(後述)の直径に対応して適宜設定され、より具体的には、ダクト14(後述)の直径に対して、例えば、100〜130%、好ましくは、110〜120%に設定される。
【0061】
第1切り込み15の直径が上記範囲内であれば、挿入工程(後述)において、第1剥離部5に対応するシール部材1の径方向内側部分を、ダクト14の外周に沿うように、第2剥離部6に対応するシール部材1の径方向外側部分に対して、立ち上げることができ、貼付工程(後述)において、第1剥離部5および第2剥離部6を、容易に剥離させることができる。
【0062】
第1剥離部5は、貫通穴9の周縁部において、シール部材1の径方向内側半分部分に対応する底面視略円環形状に形成されている。また、第1剥離部5は、第1引張部7を備えている。
【0063】
第1引張部7は、第1剥離部5の径方向内側端縁から、貫通穴9内、すなわち、径方向内側に向かって膨出する平面視略台形状に形成されている。
【0064】
第2剥離部6は、第1剥離部5の周囲において、シール部材1の径方向外側半分部分に対応する底面視略円環形状に形成されている。また、第2剥離部6は、第2引張部8を備えている。
【0065】
第2引張部8は、径方向において第1引張部7の反対側に配置され、第2剥離部6の径方向外側端縁から、貫通穴9と反対側(すなわち、径方向外側)に向かって膨出する平面視略台形状に形成されている。
【0066】
そして、離型シート4には、周方向において第1引張部7および第2引張部8の中央を通過するように、第1引張部7の径方向内側端縁と、第2引張部8の径方向外側端縁とにわたって、径方向に沿う底面視略直線状の第2切り込み16が形成されている。
【0067】
これにより、離型シート4は、第2切り込み16が形成されている部分において、周方向に切断されている。また、第1引張部7および第2引張部8は、周方向に2分割されている。
【0068】
そして、シール部材1を形成するには、まず、所定の基材の上に弾性層2を形成し、別途、所定の基材の表面に粘着層3を形成する。次いで、弾性層2と粘着層3とを貼り合わせる。その後、貼り合わされた弾性層2および粘着層3をシール部材1の形状に打ち抜き、予め所定形状に形成された離型シート4を粘着層3に積層させる。
【0069】
このとき、離型シート4には、第1切り込み15および第2切り込み16が形成されるが、これらの第1切り込み15および第2切り込み16は、粘着層3に影響(例えば、粘着層3に、第1切り込み15および第2切り込み16に対応する切り込みが入るなど)しないように、形成される。例えば、予め、第1切り込み15および第2切り込み16が形成された離型シート4を形成し、その離型シート4を、粘着層3に積層させる。
【0070】
次に、このシール部材1を用いたシーリング方法について説明する。
【0071】
図7は、本発明のシーリング方法の一実施形態を説明するための説明図であって、挿入工程を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、A−A断面図である。図8は、図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、貼付工程を示す斜視図である。図9は、図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材が貼付された状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、B−B断面図である。
【0072】
このシール部材1は、図9(a)に示すように、壁11と、挿入部材としてのダクト14との間の隙間20(後述)を、シールするために用いられる。
【0073】
壁11は、通常、家屋などの建築物の外壁であり、壁11には、その厚み方向に沿って、略円筒形状の開口部12が貫通形成されている。開口部12の直径は、シール部材1の貫通穴9の直径よりも大径に形成されている。
【0074】
なお、壁11には、壁11に水分が付着することを防止するための防水シート13が、壁11の表面をすべて被覆するように、設けられている。
【0075】
ダクト14は、壁11の厚み方向に延びる略円筒形状に形成されており、その外径は、開口部12の直径よりもわずかに小径に形成されている。
【0076】
そして、壁11の開口部12にダクト14が挿通されており、壁11の内周面と、ダクト14の外周面との間に隙間20が形成されている。
【0077】
そして、この方法では、まず、上記したシール部材1を用意する(シール部材用意工程)。
【0078】
次いで、この方法では、図7(a)に示すように、シール部材1の貫通穴9にダクト14を挿入して、シール部材1の離型シート4を壁11に当接させる(挿入工程)。
【0079】
詳しくは、離型シート4がダクト14の先端(壁11から突出している遊端部、図示せず)に対向し、積層方向に投影したときに貫通穴9とダクト14の先端とが重なるように、シール部材1をダクト14に対して位置合わせする。
【0080】
その後、貫通穴9にダクト14を圧入するように、シール部材1を積層方向他方に向かって押し込む。すると、ダクト14の先端の外周端面に第1剥離部5の内周端面が当接される。
【0081】
そして、さらに、シール部材1を積層方向他方に向かって押し込むと、ダクト14の先端の外周端面により、第1剥離部5に対応するシール部材1の径方向内側部分が、積層方向一方に向かって押圧されて、積層方向一方に向かって立ち上がるように屈曲する。
【0082】
このとき、シール部材1の径方向内側部分は、その弾性層2および粘着層3の弾性に抗して、ダクト14の外周面に沿うように押し拡げられる。
【0083】
また、図7(b)に示すように、シール部材1の径方向内側部分では、離型シート4の第1剥離部5と、ダクト14の外周面とが接触される。これにより、シール部材1を積層方向他方に向かって押し込むときに、離型シート4をダクト14に対して摺擦させることができ、シール部材1を円滑に押し込むことができる。
【0084】
そして、第2剥離部6に対応するシール部材1の径方向外側部分が、壁11の防水シート13に当接されるまで、シール部材1を押し込む。
【0085】
すると、離型シート4の第2剥離部6が、壁11の防水シート13に当接される。
【0086】
次いで、この方法では、図8に示すように、第1剥離部5を剥離しながら、シール部材1の径方向内側部分をダクト14に貼付するとともに、第2剥離部6を剥離しながら、シール部材1の径方向外側部分を壁11の防水シート13に貼付する。
【0087】
詳しくは、周方向一方の第1引張部7を、ダクト14の軸線方向に引っ張って、第1剥離部5の周方向一端部を粘着層3から剥離させる。
【0088】
その後、さらに、周方向一方から周方向他方へ向かって、ダクト14の周囲を一周りするように、第1引張部7を引っ張り、周方向すべてにわたって、第1剥離部5を粘着層3から剥離させる。
【0089】
これにより、ダクト14の外周面に対して粘着層3が順次露出されるが、露出された粘着層3は、ダクト14の外周面に順次貼付される。
【0090】
また、周方向一方の第2引張部8を、壁11に沿うように引っ張って、第2剥離部6の周方向一端部を粘着層3から剥離させる。
【0091】
その後、さらに、周方向一方から周方向他方へ向かって、ダクト14の周囲を一周りするように、第2引張部8を引っ張り、周方向すべてにわたって、第2剥離部6を粘着層3から剥離させる。
【0092】
これにより、防水シート13の表面に対して粘着層3が順次露出されるが、露出された粘着層3は、防水シート13の表面に順次貼付される。
【0093】
なお、離型シート4を粘着層3から剥離させるには、周方向他方側の第1引張部7および第2引張部8を引っ張ることもできる。その場合には、周方向他端部を剥離させた後、周方向他方から周方向一方へ向かって、ダクト14の周囲を一周りするように、第1引張部7および第2引張部8を引っ張る。
【0094】
すると、図9(a)および図9(b)に示すように、シール部材1の径方向内側部分と、ダクト14の外周面とが、ダクト14の周方向すべてにわたって密着されるとともに、開口部12の周縁部において、シール部材1の径方向外側部分と、防水シート13とが、開口部12の周方向すべてにわたって密着される。
【0095】
これにより、壁11とダクト14との隙間20のシールが完了される。
【0096】
このシーリング方法およびシール部材1によれば、図8に示すように、挿入工程において、シール部材1に形成される貫通穴9に、シール部材1に接触するように、ダクト14を挿入して、離型シート4を壁11に当接させる。
【0097】
つまり、挿入工程において、シール部材1は、ダクト14と壁11との両方に当接される。そして、シール部材1がダクト14と壁11との両方に当接された状態で、離型シート4を粘着層3から剥離しながら、シール部材1を、ダクト14および壁11に貼付する。
【0098】
そのため、挿入工程において、開口部12とダクト14との隙間20をシールできるように、シール部材1を、ダクト14と壁11との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、貼付工程において、離型シート4を粘着層3から剥離して、シール部材1を、ダクト14および壁11に貼付し、開口部12とダクト14との隙間20をシールすることができる。
【0099】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁11の厚み方向を貫通する開口部12と、その開口部12に挿入されるダクト14との隙間20をシールすることができる。
【0100】
また、このシーリング方法およびシール部材1によれば、図8に示すように、離型シート4は、第1剥離部5と第2剥離部6とを備えており、貼付工程において、シール部材1をダクト14に貼付するときに、第1剥離部5を剥離し、シール部材1を壁11に貼付するときに、第2剥離部6を剥離する。
【0101】
そのため、貼付工程において、第1剥離部5と第2剥離部6とを個別に剥離させることができ、離型シート4を容易に剥離させることができる。
【0102】
また、シール部材1を、ダクト14または壁11のいずれか一方に貼付した後、他方に貼付することができる。
【0103】
そのため、シール部材1を、ダクト14および壁11の両方に対して確実に貼付することができる。
【0104】
その結果、より安定に、壁11の厚み方向を貫通する開口部12と、その開口部12に挿入されるダクト14との隙間20をシールすることができる。
【0105】
また、このシーリング方法およびシール部材1によれば、図8に示すように、第1引張部7および第2引張部8を引っ張って、第1剥離部5および第2剥離部6を剥離させることができ、第1剥離部5および第2剥離部6を容易に剥離させることができる。
【0106】
また、このシーリング方法およびシール部材1によれば、図1に示すように、第1引張部7および第2引張部8が膨出するように形成されているため、第1引張部7および第2引張部8を容易に把持して確実に引っ張ることができる。
【0107】
なお、上記した実施形態では、第1剥離部5を剥離してシート部材1をダクト14に貼付し、第2剥離部6を剥離してシート部材1を壁11に貼付したが、第1剥離部5および第2剥離部6を剥離する順序は特に限定されず、第1剥離部5を剥離してから第2剥離部6を剥離(すなわち、シール部材1をダクト14に貼付してから壁11に貼付)することもでき、第2剥離部6を剥離してから第1剥離部5を剥離(すなわち、シール部材1を壁11に貼付してからダクト14に貼付)することもできる。また、第1剥離部5と第2剥離部6とを同時に剥離することもできる。
(変形例)
図10は、本発明のシール部材およびシーリング方法の変形例を説明するための説明図であって、(a)は、シール部材の平面図を示し、(b)は、シール部材の正面図を示す。図11は、図10に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材の貼付が完了した状態の断面図を示す。なお、図10および図11において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
上記した実施形態では、防水シート13を有する壁11に、シール部材30を貼付したが、特に限定されず、図10(c)に示すように、防水シート13を有さない壁11にシール部材30を貼付した後、壁11およびシール部材1を被覆するように、防水シート13を設けてもよい。
【0109】
その場合には、シール部材30は、図10(a)および図10(b)に示すように、弾性層2の積層方向一方面に積層される防水シート側粘着層31、および、防水シート側粘着層31の積層方向一方面に積層される防水シート側離型シート32を備えている。
【0110】
防水シート側粘着層31は、シール部材30の外側半分部分に積層される平面視略円環形状に形成されている。
【0111】
防水シート側離型シート32は、防水シート側粘着層31に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0112】
そして、上記した実施形態と同様にして、シール部材30を壁11およびダクト14に対して貼付した後、防水シート側離型シート32を防水シート側粘着層31から剥離して防水シート側粘着層31を露出させ、その防水シート側粘着層31に対して、防水シート13を貼付する。
【0113】
変形例のシール部材30によれば、弾性層2の積層方向一方面に積層される防水シート側粘着層31が設けられているため、防水シート側粘着層31に対して防水シート13を貼付することができ、防水シート13をシール部材30に対して固定することができる。
【0114】
また、変形例のシール部材30においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 シール部材
2 弾性層
3 粘着層
4 離型シート
5 第1剥離部
6 第2剥離部
7 第1引張部
8 第2引張部
9 貫通穴
11 壁
12 開口部
14 ダクト
30 シール部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング方法およびシール部材、詳しくは、外壁の開口部と挿入部材との隙間のシールに好適に用いられるシーリング方法、および、その方法に用いられるシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物などの外壁に、その厚み方向を貫通する開口部(貫通穴)を形成し、その開口部にダクト(導管)を挿入することにより、ダクトを介して、建物の内部と外部とを連通させて、建物の換気などを図ることがよく知られている。
【0003】
一方、開口部の内周面と、ダクトの外周面との間には、隙間を生じやすく、その隙間を介して、建物の外部から内部に水が浸入する場合がある。
【0004】
このような水の浸入を防ぐために、例えば、特定の伸びや変形応力を有する粘着テープを、ダクトに巻き付けるように貼付するとともに開口部周辺の外壁に貼付し、開口部とダクトとの隙間をシールする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−126521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記した特許文献1では、粘着テープが伸びを有するため、粘着テープを貼付するときに、ユーザが粘着テープを引っ張る度合いが変動することにより、粘着テープのダクトおよび外壁に対する貼付されたときの粘着テープの伸縮度合いが変動する場合がある。
【0007】
そのため、粘着テープを、隙間を生じないように、ダクトおよび外壁に均一に貼付するには、熟練を要する。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができるシーリング方法、および、そのシーリング方法に用いられるシール部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明のシーリング方法は、壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするためのシーリング方法であって、弾性層と、前記弾性層の表面に積層される粘着層と、前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、それらの積層方向に沿って、前記挿入部材が挿入される貫通穴が形成されたシール部材を用意するシール部材用意工程、前記シール部材に接触するように、前記貫通穴に前記挿入部材を挿入して、前記離型シートを前記壁に当接させる挿入工程、および、前記離型シートを前記粘着層から剥離しながら、前記シール部材を、前記挿入部材および前記壁に貼付する貼付工程を備えていることを特徴としている。
【0010】
この方法によれば、挿入工程において、シール部材に形成される貫通穴に、シール部材に接触するように、挿入部材を挿入して、離型シートを壁に当接させる。
【0011】
つまり、挿入工程において、シール部材は、挿入部材と壁との両方に当接される。そして、シール部材が挿入部材と壁との両方に当接された状態で、離型シートを粘着層から剥離しながら、シール部材を、挿入部材および壁に貼付する。
【0012】
そのため、挿入工程において、開口部と挿入部材との隙間をシールできるように、シール部材を、挿入部材と壁との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、貼付工程において、離型シートを粘着層から剥離して、シール部材を、挿入部材および壁に貼付し、開口部と挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0013】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0014】
また、本発明のシーリング方法では、前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備え、前記貼付工程では、第1剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記挿入部材に貼付するとともに、第2剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記壁に貼付することが好適である。
【0015】
この方法によれば、離型シートは、第1剥離部と第2剥離部とを備えており、貼付工程において、シール部材を挿入部材に貼付するときに、第1剥離部を剥離し、シール部材を壁に貼付するときに、第2剥離部を剥離する。
【0016】
そのため、貼付工程において、第1剥離部と第2剥離部とを個別に剥離させることができ、離型シートを容易に剥離させることができ、シール部材を、挿入部材および壁の両方に対して確実に貼付することができる。
【0017】
その結果、より安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0018】
また、本発明のシーリング方法では、前記シール部材は、前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えており、前記貼付工程では、前記第1引張部を引っ張ることにより前記第1剥離部を剥離させ、前記第2引張部を引っ張ることにより前記第2剥離部を剥離させることが好適である。
【0019】
この方法によれば、第1引張部および第2引張部を引っ張って、第1剥離部および第2剥離部を剥離させることができ、第1剥離部および第2剥離部を容易に剥離させることができる。
【0020】
また、本発明のシーリング方法では、前記第1引張部は、前記第1剥離部から貫通穴に向かって膨出するように設けられ、前記第2引張部は、前記第2剥離部から貫通穴と反対側に向かって膨出するように設けられていることが好適である。
【0021】
この方法によれば、第1引張部および第2引張部が膨出するように形成されているため、第1引張部および第2引張部を容易に把持して確実に引っ張ることができる。
【0022】
また、本発明のシール部材は、壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするために用いられるシール部材であって、弾性層と、前記弾性層の表面に積層される粘着層と、前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、それらの積層方向に沿って、前記挿入部材を挿入するための貫通穴が貫通形成されていることを特徴としている。
【0023】
このような構成によれば、弾性層、粘着層および離型シートの積層方向に沿って、挿入部材を挿入するための貫通穴が貫通形成されている。
【0024】
そのため、シール部材が挿入部材と壁との両方に当接されるように、貫通穴に挿入部材を挿入し、シール部材が挿入部材と壁との両方に当接された状態で、離型シートを粘着層から剥離しながら、シール部材を、挿入部材および壁に貼付することができる。
【0025】
つまり、開口部と挿入部材との隙間をシールできるように、シール部材を、挿入部材と壁との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、貼付工程において、離型シートを粘着層から剥離して、シール部材を、挿入部材および壁に貼付し、開口部と挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0026】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0027】
また、本発明のシール部材では、前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備えていることが好適である。
【0028】
このような構成によれば、離型シートは、第1剥離部と第2剥離部とを備えている。
【0029】
そのため、離型シートを剥離させるときには、第1剥離部と第2剥離部とを個別に剥離させることができ、離型シートを容易に剥離させることができ、シール部材を、挿入部材および壁の両方に対して確実に貼付することができる。
【0030】
その結果、より安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0031】
また、本発明のシール部材では、前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えていることが好適である。
【0032】
このような構成によれば、第1引張部および第2引張部を引っ張って、第1剥離部および第2剥離部を剥離させることができ、第1剥離部および第2剥離部を容易に剥離させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のシーリング方法およびシール部材によれば、開口部と挿入部材との隙間をシールできるように、シール部材を、挿入部材と壁との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、離型シートを粘着層から剥離して、シール部材を、挿入部材および壁に貼付し、開口部と挿入部材との隙間をシールすることができる。
【0034】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁の厚み方向を貫通する開口部と、その開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のシール部材の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すシール部材の底面図である。
【図3】図1に示すシール部材の正面図である。
【図4】図1に示すシール部材の背面図である。
【図5】図1に示すシール部材の右側面図である。
【図6】図1に示すシール部材の左側面図である。
【図7】本発明のシーリング方法の一実施形態を説明するための説明図であって、挿入工程を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、A−A断面図である。
【図8】図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、貼付工程を示す斜視図である。
【図9】図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材の貼付が完了した状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、B−B断面図である。
【図10】本発明のシール部材およびシーリング方法の変形例を説明するための説明図であって、(a)は、シール部材の平面図を示し、(b)は、シール部材の正面図を示す。
【図11】図10に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材の貼付が完了した状態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明のシール部材の一実施形態を示す平面図である。図2は、図1に示すシール部材の底面図である。図3は、図1に示すシール部材の正面図である。図4は、図1に示すシール部材の背面図である。図5は、図1に示すシール部材の右側面図である。図6は、図1に示すシール部材の左側面図である。
【0037】
シール部材1は、図1に示すように、中央にダクト14(後述)が挿通される貫通穴9が形成された平面視略円板形状(すなわち、平面視略円環形状)に形成されている。なお、シール部材1の説明において、方向に言及するときには、弾性層2(後述)、粘着層3(後述)および離型シート4(後述)の積層方向において、弾性層2(後述)が積層される側(すなわち、図3において紙面上側。)を一方とし、離型シート4(後述)が積層される側(すなわち、図3において紙面下側。)を他方とする。
【0038】
貫通穴9は、ダクト14(後述)の外径よりも小径な平面視略円形状に形成されている。
【0039】
また、シール部材1は、図3に示すように、弾性層2と、弾性層2の積層方向他方面に積層される粘着層3と、粘着層3の積層方向他方面に積層される離型シート4とを備えている。
【0040】
弾性層2は、例えば、緩衝(クッション)作用および水密作用を有する弾性体から、シール部材1の外形形状に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0041】
弾性層2を形成する材料としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、例えば、1−ブテンなどのα−オレフィン・ジシクロペンタジエン、例えば、エチリデンノルボルネンなどの非共役二重結合を有する環状または非環状のポリエンを成分とするゴム系共重合体、例えば、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレンターポリマー、シリコーンゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリアミド系ゴム、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴム、アクリルゴムなどの各種ゴムが挙げられる。好ましくは、耐候性の観点から、EPDMが挙げられる。
【0042】
そして、弾性層2は、上記した材料、公知の発泡剤、(必要により、公知の架橋剤や、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、発泡助剤などの公知の添加剤)を含有する発泡組成物を、加熱して発泡および架橋することにより、発泡体として得ることができる。
【0043】
弾性層2の厚みは、例えば、0.5〜30mm、好ましくは、2〜15mmである。
【0044】
また、弾性層2の見掛け密度は、例えば、0.01〜0.5g/cm3、好ましくは、0.05〜0.25g/cm3である。
【0045】
また、弾性層2を発泡体として得た場合には、弾性層2の発泡倍率(体積発泡倍率)は、例えば、1.1〜25倍、好ましくは、1.5〜20倍である。
【0046】
粘着層3は、例えば、水密作用を有する粘着剤組成物から、弾性層2の全面を被覆するように、シール部材1の外形形状に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0047】
粘着層3を形成する粘着剤組成物としては、例えば、ゴム系粘着剤組成物、樹脂系粘着剤組成物などが挙げられる。
【0048】
ゴム系粘着剤組成物は、例えば、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ゴムアスファルトなどのゴムを主成分として含有する。
【0049】
樹脂系粘着剤組成物としては、アクリル系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物、ポリウレタン系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤組成物などが挙げられる。
【0050】
これら粘着剤としては、好ましくは、ゴム系粘着剤組成物が挙げられ、さらに好ましくは、耐久性の観点から、ブチルゴムを含有するゴム系粘着剤組成物が挙げられる。
【0051】
また、粘着剤組成物には、必要により、例えば、公知の粘着付与剤、充填剤および軟化剤が含有される。
【0052】
粘着層3の厚みは、例えば、10〜1000μm、好ましくは、100〜500μmである。
【0053】
離型シート4は、例えば、柔軟性(フレキシビリティ)および靭性(スティフネス)を有するフィルムから、粘着層3の全面を被覆するように、シール部材1の外形形状に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0054】
離型シート4を形成するフィルムとして、具体的には、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP、配向ポリプロピレン(OPP)を含む)フィルムなどのオレフィン系フィルム、例えば、PETフィルムなどのエステル系フィルムなどの合成樹脂フィルムなどが挙げられる。好ましくは、オレフィン系フィルムが挙げられる。
【0055】
また、離型シート4は、その表面を、適宜、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデンなどの剥離剤により表面処理することができる。
【0056】
また、離型シート4は、上記した合成樹脂フィルムを単層として用いることができ、あるいは、上記した合成樹脂フィルムを複数積層した積層フィルムとして用いることができ、そのような積層フィルムとして、例えば、PEフィルムおよびその表面にOPPフィルムが積層された積層フィルム、PEフィルムおよびその表面にポリエステルフィルムが積層された積層フィルムなどが挙げられる。
【0057】
離型シート4の厚みは、例えば、50〜500μm、好ましくは、75〜400μm、さらに好ましくは、100〜300μmである。
【0058】
また、離型シート4の引張強度(JIS K 7113)は、例えば、10MPa以上、好ましくは、50MPa以上、さらに好ましくは、100MPa以上であり、通常、500MPa以下である。離型シート4の引張強度が、上記範囲内にない場合には、貼付工程(後述)において、離型シート4が破損して、破損した離型シート4が、粘着層3と、壁11やダクト14との間に残存する場合がある。
【0059】
また、離型シート4には、図2に示すように、その内周縁と外周縁との間において、貫通穴9と中心を共有する底面視略円形状の第1切り込み15が形成されている。これにより、離型シート4は、シール部材1の径方向において、径方向内側の第1剥離部5と、径方向外側の第2剥離部6とに分割されている。
【0060】
第1切り込み15の直径は、ダクト14(後述)の直径に対応して適宜設定され、より具体的には、ダクト14(後述)の直径に対して、例えば、100〜130%、好ましくは、110〜120%に設定される。
【0061】
第1切り込み15の直径が上記範囲内であれば、挿入工程(後述)において、第1剥離部5に対応するシール部材1の径方向内側部分を、ダクト14の外周に沿うように、第2剥離部6に対応するシール部材1の径方向外側部分に対して、立ち上げることができ、貼付工程(後述)において、第1剥離部5および第2剥離部6を、容易に剥離させることができる。
【0062】
第1剥離部5は、貫通穴9の周縁部において、シール部材1の径方向内側半分部分に対応する底面視略円環形状に形成されている。また、第1剥離部5は、第1引張部7を備えている。
【0063】
第1引張部7は、第1剥離部5の径方向内側端縁から、貫通穴9内、すなわち、径方向内側に向かって膨出する平面視略台形状に形成されている。
【0064】
第2剥離部6は、第1剥離部5の周囲において、シール部材1の径方向外側半分部分に対応する底面視略円環形状に形成されている。また、第2剥離部6は、第2引張部8を備えている。
【0065】
第2引張部8は、径方向において第1引張部7の反対側に配置され、第2剥離部6の径方向外側端縁から、貫通穴9と反対側(すなわち、径方向外側)に向かって膨出する平面視略台形状に形成されている。
【0066】
そして、離型シート4には、周方向において第1引張部7および第2引張部8の中央を通過するように、第1引張部7の径方向内側端縁と、第2引張部8の径方向外側端縁とにわたって、径方向に沿う底面視略直線状の第2切り込み16が形成されている。
【0067】
これにより、離型シート4は、第2切り込み16が形成されている部分において、周方向に切断されている。また、第1引張部7および第2引張部8は、周方向に2分割されている。
【0068】
そして、シール部材1を形成するには、まず、所定の基材の上に弾性層2を形成し、別途、所定の基材の表面に粘着層3を形成する。次いで、弾性層2と粘着層3とを貼り合わせる。その後、貼り合わされた弾性層2および粘着層3をシール部材1の形状に打ち抜き、予め所定形状に形成された離型シート4を粘着層3に積層させる。
【0069】
このとき、離型シート4には、第1切り込み15および第2切り込み16が形成されるが、これらの第1切り込み15および第2切り込み16は、粘着層3に影響(例えば、粘着層3に、第1切り込み15および第2切り込み16に対応する切り込みが入るなど)しないように、形成される。例えば、予め、第1切り込み15および第2切り込み16が形成された離型シート4を形成し、その離型シート4を、粘着層3に積層させる。
【0070】
次に、このシール部材1を用いたシーリング方法について説明する。
【0071】
図7は、本発明のシーリング方法の一実施形態を説明するための説明図であって、挿入工程を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、A−A断面図である。図8は、図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、貼付工程を示す斜視図である。図9は、図7に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材が貼付された状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、B−B断面図である。
【0072】
このシール部材1は、図9(a)に示すように、壁11と、挿入部材としてのダクト14との間の隙間20(後述)を、シールするために用いられる。
【0073】
壁11は、通常、家屋などの建築物の外壁であり、壁11には、その厚み方向に沿って、略円筒形状の開口部12が貫通形成されている。開口部12の直径は、シール部材1の貫通穴9の直径よりも大径に形成されている。
【0074】
なお、壁11には、壁11に水分が付着することを防止するための防水シート13が、壁11の表面をすべて被覆するように、設けられている。
【0075】
ダクト14は、壁11の厚み方向に延びる略円筒形状に形成されており、その外径は、開口部12の直径よりもわずかに小径に形成されている。
【0076】
そして、壁11の開口部12にダクト14が挿通されており、壁11の内周面と、ダクト14の外周面との間に隙間20が形成されている。
【0077】
そして、この方法では、まず、上記したシール部材1を用意する(シール部材用意工程)。
【0078】
次いで、この方法では、図7(a)に示すように、シール部材1の貫通穴9にダクト14を挿入して、シール部材1の離型シート4を壁11に当接させる(挿入工程)。
【0079】
詳しくは、離型シート4がダクト14の先端(壁11から突出している遊端部、図示せず)に対向し、積層方向に投影したときに貫通穴9とダクト14の先端とが重なるように、シール部材1をダクト14に対して位置合わせする。
【0080】
その後、貫通穴9にダクト14を圧入するように、シール部材1を積層方向他方に向かって押し込む。すると、ダクト14の先端の外周端面に第1剥離部5の内周端面が当接される。
【0081】
そして、さらに、シール部材1を積層方向他方に向かって押し込むと、ダクト14の先端の外周端面により、第1剥離部5に対応するシール部材1の径方向内側部分が、積層方向一方に向かって押圧されて、積層方向一方に向かって立ち上がるように屈曲する。
【0082】
このとき、シール部材1の径方向内側部分は、その弾性層2および粘着層3の弾性に抗して、ダクト14の外周面に沿うように押し拡げられる。
【0083】
また、図7(b)に示すように、シール部材1の径方向内側部分では、離型シート4の第1剥離部5と、ダクト14の外周面とが接触される。これにより、シール部材1を積層方向他方に向かって押し込むときに、離型シート4をダクト14に対して摺擦させることができ、シール部材1を円滑に押し込むことができる。
【0084】
そして、第2剥離部6に対応するシール部材1の径方向外側部分が、壁11の防水シート13に当接されるまで、シール部材1を押し込む。
【0085】
すると、離型シート4の第2剥離部6が、壁11の防水シート13に当接される。
【0086】
次いで、この方法では、図8に示すように、第1剥離部5を剥離しながら、シール部材1の径方向内側部分をダクト14に貼付するとともに、第2剥離部6を剥離しながら、シール部材1の径方向外側部分を壁11の防水シート13に貼付する。
【0087】
詳しくは、周方向一方の第1引張部7を、ダクト14の軸線方向に引っ張って、第1剥離部5の周方向一端部を粘着層3から剥離させる。
【0088】
その後、さらに、周方向一方から周方向他方へ向かって、ダクト14の周囲を一周りするように、第1引張部7を引っ張り、周方向すべてにわたって、第1剥離部5を粘着層3から剥離させる。
【0089】
これにより、ダクト14の外周面に対して粘着層3が順次露出されるが、露出された粘着層3は、ダクト14の外周面に順次貼付される。
【0090】
また、周方向一方の第2引張部8を、壁11に沿うように引っ張って、第2剥離部6の周方向一端部を粘着層3から剥離させる。
【0091】
その後、さらに、周方向一方から周方向他方へ向かって、ダクト14の周囲を一周りするように、第2引張部8を引っ張り、周方向すべてにわたって、第2剥離部6を粘着層3から剥離させる。
【0092】
これにより、防水シート13の表面に対して粘着層3が順次露出されるが、露出された粘着層3は、防水シート13の表面に順次貼付される。
【0093】
なお、離型シート4を粘着層3から剥離させるには、周方向他方側の第1引張部7および第2引張部8を引っ張ることもできる。その場合には、周方向他端部を剥離させた後、周方向他方から周方向一方へ向かって、ダクト14の周囲を一周りするように、第1引張部7および第2引張部8を引っ張る。
【0094】
すると、図9(a)および図9(b)に示すように、シール部材1の径方向内側部分と、ダクト14の外周面とが、ダクト14の周方向すべてにわたって密着されるとともに、開口部12の周縁部において、シール部材1の径方向外側部分と、防水シート13とが、開口部12の周方向すべてにわたって密着される。
【0095】
これにより、壁11とダクト14との隙間20のシールが完了される。
【0096】
このシーリング方法およびシール部材1によれば、図8に示すように、挿入工程において、シール部材1に形成される貫通穴9に、シール部材1に接触するように、ダクト14を挿入して、離型シート4を壁11に当接させる。
【0097】
つまり、挿入工程において、シール部材1は、ダクト14と壁11との両方に当接される。そして、シール部材1がダクト14と壁11との両方に当接された状態で、離型シート4を粘着層3から剥離しながら、シール部材1を、ダクト14および壁11に貼付する。
【0098】
そのため、挿入工程において、開口部12とダクト14との隙間20をシールできるように、シール部材1を、ダクト14と壁11との両方に当接される姿勢にし、その姿勢を維持しながら、貼付工程において、離型シート4を粘着層3から剥離して、シール部材1を、ダクト14および壁11に貼付し、開口部12とダクト14との隙間20をシールすることができる。
【0099】
これにより、簡易な構成で、容易かつ安定に、壁11の厚み方向を貫通する開口部12と、その開口部12に挿入されるダクト14との隙間20をシールすることができる。
【0100】
また、このシーリング方法およびシール部材1によれば、図8に示すように、離型シート4は、第1剥離部5と第2剥離部6とを備えており、貼付工程において、シール部材1をダクト14に貼付するときに、第1剥離部5を剥離し、シール部材1を壁11に貼付するときに、第2剥離部6を剥離する。
【0101】
そのため、貼付工程において、第1剥離部5と第2剥離部6とを個別に剥離させることができ、離型シート4を容易に剥離させることができる。
【0102】
また、シール部材1を、ダクト14または壁11のいずれか一方に貼付した後、他方に貼付することができる。
【0103】
そのため、シール部材1を、ダクト14および壁11の両方に対して確実に貼付することができる。
【0104】
その結果、より安定に、壁11の厚み方向を貫通する開口部12と、その開口部12に挿入されるダクト14との隙間20をシールすることができる。
【0105】
また、このシーリング方法およびシール部材1によれば、図8に示すように、第1引張部7および第2引張部8を引っ張って、第1剥離部5および第2剥離部6を剥離させることができ、第1剥離部5および第2剥離部6を容易に剥離させることができる。
【0106】
また、このシーリング方法およびシール部材1によれば、図1に示すように、第1引張部7および第2引張部8が膨出するように形成されているため、第1引張部7および第2引張部8を容易に把持して確実に引っ張ることができる。
【0107】
なお、上記した実施形態では、第1剥離部5を剥離してシート部材1をダクト14に貼付し、第2剥離部6を剥離してシート部材1を壁11に貼付したが、第1剥離部5および第2剥離部6を剥離する順序は特に限定されず、第1剥離部5を剥離してから第2剥離部6を剥離(すなわち、シール部材1をダクト14に貼付してから壁11に貼付)することもでき、第2剥離部6を剥離してから第1剥離部5を剥離(すなわち、シール部材1を壁11に貼付してからダクト14に貼付)することもできる。また、第1剥離部5と第2剥離部6とを同時に剥離することもできる。
(変形例)
図10は、本発明のシール部材およびシーリング方法の変形例を説明するための説明図であって、(a)は、シール部材の平面図を示し、(b)は、シール部材の正面図を示す。図11は、図10に示すシーリング方法を説明するための説明図であって、シール部材の貼付が完了した状態の断面図を示す。なお、図10および図11において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
上記した実施形態では、防水シート13を有する壁11に、シール部材30を貼付したが、特に限定されず、図10(c)に示すように、防水シート13を有さない壁11にシール部材30を貼付した後、壁11およびシール部材1を被覆するように、防水シート13を設けてもよい。
【0109】
その場合には、シール部材30は、図10(a)および図10(b)に示すように、弾性層2の積層方向一方面に積層される防水シート側粘着層31、および、防水シート側粘着層31の積層方向一方面に積層される防水シート側離型シート32を備えている。
【0110】
防水シート側粘着層31は、シール部材30の外側半分部分に積層される平面視略円環形状に形成されている。
【0111】
防水シート側離型シート32は、防水シート側粘着層31に対応する平面視略円環形状に形成されている。
【0112】
そして、上記した実施形態と同様にして、シール部材30を壁11およびダクト14に対して貼付した後、防水シート側離型シート32を防水シート側粘着層31から剥離して防水シート側粘着層31を露出させ、その防水シート側粘着層31に対して、防水シート13を貼付する。
【0113】
変形例のシール部材30によれば、弾性層2の積層方向一方面に積層される防水シート側粘着層31が設けられているため、防水シート側粘着層31に対して防水シート13を貼付することができ、防水シート13をシール部材30に対して固定することができる。
【0114】
また、変形例のシール部材30においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 シール部材
2 弾性層
3 粘着層
4 離型シート
5 第1剥離部
6 第2剥離部
7 第1引張部
8 第2引張部
9 貫通穴
11 壁
12 開口部
14 ダクト
30 シール部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするためのシーリング方法であって、
弾性層と、前記弾性層の表面に積層される粘着層と、前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、それらの積層方向に沿って、前記挿入部材が挿入される貫通穴が形成されたシール部材を用意するシール部材用意工程、
前記シール部材に接触するように、前記貫通穴に前記挿入部材を挿入して、前記離型シートを前記壁に当接させる挿入工程、および、
前記離型シートを前記粘着層から剥離しながら、前記シール部材を、前記挿入部材および前記壁に貼付する貼付工程を備えていることを特徴とする、シーリング方法。
【請求項2】
前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備え、
前記貼付工程では、第1剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記挿入部材に貼付するとともに、第2剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記壁に貼付することを特徴とする、請求項1に記載のシーリング方法。
【請求項3】
前記シール部材は、前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えており、
前記貼付工程では、前記第1引張部を引っ張ることにより前記第1剥離部を剥離させ、前記第2引張部を引っ張ることにより前記第2剥離部を剥離させることを特徴とする、請求項2に記載のシーリング方法。
【請求項4】
前記第1引張部は、前記第1剥離部から貫通穴に向かって膨出するように設けられ、
前記第2引張部は、前記第2剥離部から貫通穴と反対側に向かって膨出するように設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のシーリング方法。
【請求項5】
壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするために用いられるシール部材であって、
弾性層と、
前記弾性層の表面に積層される粘着層と、
前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、
それらの積層方向に沿って、前記挿入部材を挿入するための貫通穴が貫通形成されていることを特徴とする、シール部材。
【請求項6】
前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備えていることを特徴とする、請求項5に記載のシール部材。
【請求項7】
前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えていることを特徴とする、請求項5または6に記載のシール部材。
【請求項1】
壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするためのシーリング方法であって、
弾性層と、前記弾性層の表面に積層される粘着層と、前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、それらの積層方向に沿って、前記挿入部材が挿入される貫通穴が形成されたシール部材を用意するシール部材用意工程、
前記シール部材に接触するように、前記貫通穴に前記挿入部材を挿入して、前記離型シートを前記壁に当接させる挿入工程、および、
前記離型シートを前記粘着層から剥離しながら、前記シール部材を、前記挿入部材および前記壁に貼付する貼付工程を備えていることを特徴とする、シーリング方法。
【請求項2】
前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備え、
前記貼付工程では、第1剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記挿入部材に貼付するとともに、第2剥離部を剥離しながら、前記シール部材を少なくとも前記壁に貼付することを特徴とする、請求項1に記載のシーリング方法。
【請求項3】
前記シール部材は、前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えており、
前記貼付工程では、前記第1引張部を引っ張ることにより前記第1剥離部を剥離させ、前記第2引張部を引っ張ることにより前記第2剥離部を剥離させることを特徴とする、請求項2に記載のシーリング方法。
【請求項4】
前記第1引張部は、前記第1剥離部から貫通穴に向かって膨出するように設けられ、
前記第2引張部は、前記第2剥離部から貫通穴と反対側に向かって膨出するように設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のシーリング方法。
【請求項5】
壁の厚み方向を貫通する開口部と、前記開口部に挿入される挿入部材との隙間をシールするために用いられるシール部材であって、
弾性層と、
前記弾性層の表面に積層される粘着層と、
前記粘着層の表面に積層される離型シートとを備え、
それらの積層方向に沿って、前記挿入部材を挿入するための貫通穴が貫通形成されていることを特徴とする、シール部材。
【請求項6】
前記離型シートは、前記貫通穴の周縁部に設けられる第1剥離部と、前記第1剥離部以外の部分に設けられる第2剥離部とを備えていることを特徴とする、請求項5に記載のシール部材。
【請求項7】
前記第1剥離部を剥離させるときに引っ張るための第1引張部と、前記第2剥離部を剥離させるときに引っ張るための第2引張部とを備えていることを特徴とする、請求項5または6に記載のシール部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−246604(P2011−246604A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121006(P2010−121006)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(509354651)錦産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(509354651)錦産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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