説明

シールドコネクタ

【課題】十分なシールド機能を確保することができ、スライダの操作性の向上を図ることができるとともにフレキシブル導電部材の配置が容易で、且つ、スライダの引き抜き作業の際に損傷が生じてしまうことを防止することができる、シールドコネクタを提供する。
【解決手段】金属製のシェル13は、ハウジング11の両側面をそれぞれ覆う一対の側面シールド壁(28、28)と、これらに垂直でこれらを一体に連結する連結シールド壁29と有し、ハウジング11の周囲を覆う。金属製のスライダ14は、ハウジング11及びシェル13の少なくともいずれかに摺接しながら移動自在に取り付けられる。スライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、コンタクト12とフレキシブル導電部材10の導体16とを電気的に接続し、シェル13とフレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18とに対して電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド機能を有するとともに、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブル基板又はフレキシブルケーブルとして構成されるフレキシブル導電部材に接続されるシールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シールド機能を有するとともに、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブル基板又はフレキシブルケーブルとして構成されるフレキシブル導電部材に接続されるシールドコネクタが知られている(特許文献1を参照)。特許文献1に開示されたシールドコネクタは、ハウジングと、ホールドダウンと、複数のコンタクトと、スライダとを備えて構成されている。そして、複数のコンタクトを支持するハウジングには、フレキシブルケーブルとして構成されたフレキシブル導電部材の端部が配置される。また、ホールドダウンは、ハウジングの両側面にそれぞれ設けられ、ハウジングを回路基板上に固定する。また、ハウジングに対して移動自在に取り付けられた押圧部材としてのスライダは、ハウジング内に挿入されているときには、フレキシブル導電部材をコンタクトに対して電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材の表面で露出したシールド部とホールドダウンとに接触してこれらを電気的に接続するように構成されている。
【0003】
特許文献1に開示されたシールドコネクタでは、スライダがハウジング内に挿入されているときに、フレキシブル導電部材のシールド部とハウジングの両側面に配置されたホールドダウンとをスライダが電気的に接続することで、シールド機能が発揮されるように構成されている。そして、スライダは、ハウジングに対して、ハウジングにおけるフレキシブル導電部材の端部が配置される側である前方側からその反対側の後方側に向かって、且つ、ハウジングに対するフレキシブル導電部材の挿入方向に沿って、移動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3089464号公報(第3−4頁、第1−3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシールドコネクタは、前述のように、フレキシブル導電部材のシールド部が、ハウジングの両側面に配置されたホールドダウンにスライダを介して電気的に接続されることにより、電磁波ノイズ対策としてのシールド機能が果たされる。このため、フレキシブル導電部材のシールド部が配置された領域のみでしかシールド機能の効果を果たすことができず、十分なシールド機能を確保することが難しい。また、ハウジングの両側面に配置されたホールドダウンのみでは、コネクタの両側面における十分なシールド機能を確保することが難しい。
【0006】
また、特許文献1に開示のシールドコネクタでは、スライダが、ハウジングに対して、前方側から後方側に向かって、且つ、ハウジングへのフレキシブル導電部材の挿入方向に沿って移動する(押し込まれる)ことで、フレキシブル導電部材との電気的接続が完成するように構成されている。このため、スライダが操作されてフレキシブル導電部材とシールドコネクタとの電気的接続を完成させるためのコネクタ接続作業が行われる際には、スライダの操作部分とハウジングに端部が配置されたフレキシブル導電部材とが相当に接近した状態となる。これにより、スライダの操作時に、作業者の指とフレキシブル導電部材とが当接して操作しづらくなり、スライダの操作性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示のシールドコネクタでは、前述のように、スライダのハウジングに対する移動方向(押し込み方向)が、ハウジングへのフレキシブル導電部材の挿入方向に沿って前方側から後方側に向かう方向となっている。このため、フレキシブル導電部材の端部をハウジングへ挿入して配置する際に、スライダが作業者の視界を遮る障害物となり、フレキシブル導電部材の端部をハウジングにおける適切な位置に配置することが難しくなってしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献1に開示のシールドコネクタでは、スライダの幅方向の両側においてそれぞれ突起状に設けられた操作部分が設けられている。そして、電気的接続が一旦完成した状態から、コネクタ接続作業時とは反対側に向かってスライダを引き抜くように移動させる作業(スライダの引き抜き作業)を行う際には、作業者は、スライダの両側の操作部分を同時に操作し、スライダを引き抜くことになる。このため、両側の操作部分の操作タイミングがずれてしまうと、スライダがハウジング等をこじるような状態で無理やりに引き抜かれてしまうことになり、スライダやハウジング等の変形や破損を招き、シールドコネクタの損傷が生じてしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、十分なシールド機能を確保することができ、スライダの操作性の向上を図ることができるとともにフレキシブル導電部材の配置が容易で、且つ、スライダの引き抜き作業の際に損傷が生じてしまうことを防止することができる、シールドコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1発明に係るシールドコネクタは、樹脂材料で形成されたハウジングと、前記ハウジングに支持され、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブル基板又はフレキシブルケーブルとして構成されるフレキシブル導電部材における複数の前記導体に対してそれぞれ接続される複数のコンタクトと、金属材料で形成され、前記ハウジングの両側面をそれぞれ覆う一対の側面シールド壁と、前記一対の側面シールド壁に対して垂直で当該一対の側面シールド壁を一体に連結する連結シールド壁と有し、前記ハウジングの周囲を覆うように当該ハウジングに対して取り付けられるシェルと、金属材料で形成されるとともに、前記ハウジング及び前記シェルの少なくともいずれかに対して摺接しながら移動自在に取り付けられ、前記ハウジングにおいて前記フレキシブル導電部材の端部が配置される側である前方側とその反対側である後方側との間で移動可能に配置されるスライダと、前記シェルに一体に形成され、リジッド基板及びフレキシブル基板の少なくともいずれかとして構成される基板に対してはんだ付けされて固定されるリード部と、を備え、前記スライダは、前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動した状態で、前記コンタクトと前記フレキシブル導電部材の前記導体とを電気的に接続するとともに、前記シェルと前記フレキシブル導電部材の表面で露出したシールド部とに対して電気的に接続されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によると、ハウジングの周囲を覆うシェルがスライダを介してフレキシブル導電部材のシールド部と電気的に接続され、シェルに一体に形成されたリード部が基板のグランド側に固定され、シールド機能が果たされることになる。そして、シェルには、ハウジングの両側面をそれぞれ覆う一対の側面シールド壁と、一対の側面シールド壁に対して垂直でこの一対の側面シールド壁を一体に連結する連結シールド壁とが備えられている。このため、シェルによって覆われたハウジングの両側面とそれらに垂直な面とにおいて電磁波ノイズ対策としてのシールド機能が十分に確保されることになる。尚、シェルには、一対の側面シールド壁と連結シールド壁とに加え、連結シールド壁に対向して配置される対向シールド壁も設けられていてもよい。この場合、角筒状に形成されたシェルを構成でき、ハウジングの周囲四面をシェルのみによってシールド可能なシェル構造を実現することができる。
【0012】
そして、本発明によると、スライダは、ハウジングに対して後方側から前方側に向かって移動することで、コンタクトとフレキシブル導電部材の導体とを電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材の表面で露出したシールド部とシェルとに対して電気的に接続された状態となる。これにより、電気的接続が完成する。よって、スライダはハウジングに対して後方側から前方側に向かって移動するように操作されるため、スライダが操作されてフレキシブル導電部材とシールドコネクタとの電気的接続を完成させるためのコネクタ接続作業が行われる際には、スライダの操作部分とハウジングに端部が配置されたフレキシブル導電部材とは、ハウジングを介して互いに反対側で離れて位置することになる。これにより、スライダの操作時に、作業者の指とフレキシブル導電部材とが当接して操作しづらくなってしまうことがなく、スライダの操作性の向上を図ることができる。
【0013】
また、本発明によると、スライダは、このスライダの操作時にハウジングの後方側から前方側に向かって移動するように、ハウジング及びシェルの少なくともいずれかに取り付けられている。このため、フレキシブル導電部材の端部をハウジングの前方側へ挿入して配置する際に、スライダが作業者の視界を遮る障害物となってしまうことを防止できる。これにより、フレキシブル導電部材の端部をハウジングにおける適切な位置に配置することが容易となる。
【0014】
また、本発明によると、上述のように、スライダは、その操作時にハウジングの後方側から前方側に向かって移動するように、ハウジング及びシェルの少なくともいずれかに取り付けられている。このため、スライダを移動操作する場合、作業者は、スライダの幅方向の中間部分或いはその近傍の部分において容易にスライダを操作することができる。これにより、電気的接続が一旦完成した状態から、コネクタ接続作業時とは反対側に向かってスライダを引き抜くように移動させる作業(スライダの引き抜き作業)を作業者が行う際に、従来のようなシールドコネクタの損傷を招いてしまうことを防止できる。即ち、複数の操作部分での操作タイミングがずれることでスライダがハウジング等をこじるような状態で無理やりに引き抜かれてしまうような状況が生じることを防止でき、スライダの引き抜き作業の際にシールドコネクタに損傷が生じてしまうことを防止できる。
【0015】
従って、本発明によると、十分なシールド機能を確保することができ、スライダの操作性の向上を図ることができるとともにフレキシブル導電部材の配置が容易で、且つ、スライダの引き抜き作業の際に損傷が生じてしまうことを防止することができる、シールドコネクタを提供することができる。
【0016】
第2発明に係るシールドコネクタは、第1発明のシールドコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記フレキシブル導電部材の端部が配置可能に開放形成された開放部が設けられ、前記開放部は、前記ハウジングにおいて、前記前方側から、前記基板に対向する側と反対側である上方側にかけて、複数の前記コンタクトを露出させるように開放形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明によると、ハウジングにおいて、複数のコンタクトを露出させるように前方側から上方側にかけて開放形成された開放部が設けられる。そして、このように大きく開放形成された開放部においてフレキシブル導電部材の端部を配置できるため、フレキシブル導電部材の配置が更に容易なシールドコネクタを実現できる。また、ハウジングにおいて、フレキシブル導電部材の端部が配置される領域である開放部が前方側から上方側に大きく開放形成されていることで、フレキシブル導電部材の端部をハウジングに挿入配置する形態のバリエーションを種々選択することができ、シールドコネクタとしての設計の自由度を大きく向上させることができる。
【0018】
第3発明に係るシールドコネクタは、第2発明のシールドコネクタにおいて、前記シェルには、前記基板に対して設置される側と反対側である上方側にて前記ハウジングを覆う前記連結シールド壁において、前記ハウジングの前記開放部を露出させるように開放形成されたシェル側開放部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明によると、シェルにおける連結シールド壁がハウジングの上方側を覆う壁部として設けられ、この連結シールド壁にハウジングの開放部に対応するシェル側開放部が開放形成される。このため、フレキシブル導電部材の端部がハウジングの開放部に配置される際に、スライダが作業者の視界を遮る障害物となることが防止されることに加え、シェルが作業者の視界を遮る障害物となることも防止されることになる。これにより、フレキシブル導電部材の端部をハウジングにおける適切な位置に配置することを更に容易にすることができる。
【0020】
第4発明に係るシールドコネクタは、第2発明又は第3発明のシールドコネクタにおいて、前記スライダは、前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動することで前記開放部の少なくとも一部を覆うとともに、前記コンタクトと前記フレキシブル導電部材の前記導体との接触部分を前記後方側から前記前方側に向かって越えるよう前記開放部を覆うことを特徴とする。
【0021】
この発明によると、コネクタ接続作業時にスライダが後方側から前方側に移動することで、コンタクトとフレキシブル導電部材の導体との接触部分を少なくとも覆うように、開放部がスライダで覆われる。これにより、開放部において少なくともコンタクトとフレキシブル導電部材の導体との接触部分の近傍の領域がスライダによってシールドされることになる。よって、フレキシブル導電部材の端部をハウジングに配置する際には開放部において容易にフレキシブル導電部材を配置できるとともに、電気的接続が完成した状態では開放部をスライダによって適切にシールドすることができるシールドコネクタを実現することができる。
【0022】
第5発明に係るシールドコネクタは、第1発明乃至第4発明のいずれかのシールドコネクタにおいて、前記スライダは、前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動する前の状態においても前記シェルに対して電気的に接続されているように、前記ハウジング及び前記シェルの少なくともいずれかに対して取り付けられていることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、コネクタ接続作業のためのスライダの操作の前後のいずれにおいても、スライダがシェルに対して電気的に接続されるように構成される。このため、コネクタ接続作業の前の状態においてもスライダがシェルに対して常時電気的に接続されている状態となり、静電気が蓄積されてしまうことが防止され、更にシールド機能の強化を図ることができる。
【0024】
第6発明に係るシールドコネクタは、第1発明乃至第5発明のいずれかのシールドコネクタにおいて、前記シェル及び前記スライダの少なくともいずれかに形成されて、前記ハウジングにおける前記後方側の面を覆う後面壁が設けられていることを特徴とする。
【0025】
特許文献1に開示されたシールドコネクタでは、ハウジングの後方側をシールドすることができない。しかしながら、本発明によると、シェル及びスライダの少なくともいずれかにハウジングの後方側の面を覆う後面壁が設けられるため、ハウジングの後方側をシールドでき、更にシールド機能の強化を図ることができる。また、後面壁は、フレキシブル導電部材の端部が配置されてフレキシブル導電部材が引き出される側であるハウジングの前方側と反対側に配置されることになる。このため、フレキシブル導電部材の配置への影響を生じさせることなく、容易に後面壁を設置することができる。
【0026】
第7発明に係るシールドコネクタは、第1発明乃至第6発明のいずれかのシールドコネクタにおいて、前記スライダ及び前記シェルの少なくともいずれかには、凸状に突出して形成された凸部が設けられ、前記スライダと前記シェルとは、前記凸部を介して電気的に接続されることを特徴とする。
【0027】
この発明によると、スライダ及びシェルの少なくともいずれかに凸状に形成された凸部を設けるという簡素な構成によって、シールド機能を発揮させるためのスライダとシェルとの電気的接続が確実に確保される構造を容易に実現することができる。
【0028】
第8発明に係るシールドコネクタは、第1発明乃至第7発明のいずれかのシールドコネクタにおいて、前記スライダ及び前記シェルには、前記スライダが前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動する前の状態で互いに係止する凸状の部分として形成された第1係止部と、前記スライダが前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動した後の状態で互いに係止する凸状の部分として形成された第2係止部と、が設けられていることを特徴とする。
【0029】
この発明によると、スライダ及びシェルに、コネクタ接続作業のためのスライダの操作の前の状態と後の状態とのそれぞれにおいて係止する第1係止部と第2係止部とが凸状の部分として設けられる。このため、第1係止部にてシェルとスライダとを係止させる動作が行われた際には、その動作によるクリック感(第1係止部での瞬間的な弾性回復動作に伴って生じる瞬間的な振動が作業者の指に伝わる感触)が生じ、コネクタ接続作業の前の状態においてシェルに対してスライダが係止された状態となったことを作業者が容易に確認することができる。そして、第2係止部にてシェルとスライダとを係止させる動作が行われた際には、その動作によるクリック感(第2係止部での瞬間的な弾性回復動作に伴って生じる瞬間的な振動が作業者の指に伝わる感触)が生じ、コネクタ接続作業が完成した状態となったことを作業者が容易に確認することができる。
【0030】
第9発明に係るシールドコネクタは、第1発明乃至第8発明のいずれかのシールドコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記フレキシブル導電部材の端部が挿入される方向をガイドするガイド溝が形成されていることを特徴とする。
【0031】
この発明によると、フレキシブル導電部材の端部がハウジングに対して挿入されて配置される際に、ハウジングに形成されたガイド溝に沿ってフレキシブル導電部材の端部が所定の位置までガイドされることになる。これにより、フレキシブル導電部材をハウジングに対して適切な位置に配置することを更に容易にすることができる。
【0032】
第10発明に係るシールドコネクタは、第9発明のシールドコネクタにおいて、前記フレキシブル導電部材の端部には、複数の前記導体が配置される方向である幅方向の両側において両側方に向かってそれぞれ突出するように形成されて前記ガイド溝に挿入される突出片部が設けられ、前記突出片部は、前記ハウジングに前記フレキシブル導電部材の端部が配置された状態で、前記ハウジングに対して前記前方側に向かって係合することを特徴とする。
【0033】
この発明によると、ハウジングに配置されるフレキシブル導電部材の端部には、幅方向の両側にて両側方に突出する突出片部が設けられる。そして、フレキシブル導電部材の端部がハウジングに対して挿入されて配置される際には、フレキシブル導電部材の端部は、その突出片部によってハウジングのガイド溝に沿って所定の位置までガイドされることになる。更に、フレキシブル導電部材の端部は、ハウジングにおける適切な位置まで達すると、ハウジングに対して、突出片部にて前方側に向かって係合する。このため、フレキシブル導電部材の端部がハウジングに配置された状態でスライダが後方側から前方側に向かって移動操作された場合に、スライダから作用する摩擦力によってフレキシブル導電部材がハウジングからその前方側に脱落してしまうことが防止される。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、十分なシールド機能を確保することができ、スライダの操作性の向上を図ることができるとともにフレキシブル導電部材の配置が容易で、且つ、スライダの引き抜き作業の際に損傷が生じてしまうことを防止することができる、シールドコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1(a)】本発明の一実施の形態に係るシールドコネクタを示す斜視図である。
【図1(b)】図1(a)に示すシールドコネクタについて図1(a)とは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図2】図1(a)に示すシールドコネクタの分解斜視図である。
【図3】図1(a)に示すシールドコネクタにフレキシブル導電部材が配置された状態を示す斜視図である。
【図4】図1(a)に示すシールドコネクタとフレキシブル導電部材との電気的接続が完成した状態を示す斜視図である。
【図5(a)】図1(a)に示すシールドコネクタに接続されるフレキシブル導電部材について、切欠き断面を含んだ状態で示す斜視図である。
【図5(b)】変形例に係るフレキシブル導電部材について、切欠き断面を含んだ状態で示す斜視図である。
【図6】図5(a)に示すフレキシブル導電部材の端部の長手方向における断面を示す断面図である。
【図7】図1(a)に示すシールドコネクタにおけるハウジングを示す斜視図である。
【図8(a)】図1(a)に示すシールドコネクタの平面図である。
【図8(b)】図8(a)におけるA−A線矢視位置での断面を示す断面図である。
【図9(a)】図8(a)のA−A線矢視位置における断面であって、ハウジングにフレキシブル導電部材が配置される途中の状態を示す断面図である。
【図9(b)】図8(a)のA−A線矢視位置における断面であって、ハウジングにフレキシブル導電部材が配置された状態を示す断面図である。
【図10】図1(a)に示すシールドコネクタにおけるシェルを示す斜視図である。
【図11】図1(a)に示すシールドコネクタにおけるスライダを示す斜視図である。
【図12(a)】図1(a)に示すシールドコネクタにおいてスライダがハウジングに対して前方側へ移動した状態を示す平面図である。
【図12(b)】図12(a)のB−B線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図13(a)】図12(a)に示すシールドコネクタの斜視図である。
【図13(b)】図13(a)に示すシールドコネクタについて図13(a)とは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図13(c)】図13(a)に示すシールドコネクタについて図13(a)とは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図14】図4に示すフレキシブル導電部材及びシールドコネクタの断面を示す断面図である。
【図15(a)】図15(b)のC−C線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図15(b)】図1(a)に示すシールドコネクタの平面図である。
【図15(c)】図15(b)のD−D線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図16(a)】図16(b)のE−E線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図16(b)】図12(a)に示すシールドコネクタの平面図である。
【図16(c)】図16(b)のF−F線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図17(a)】変形例に係るシールドコネクタの平面図である。
【図17(b)】図17(a)のG−G線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図18(a)】変形例に係るシールドコネクタの平面図である。
【図18(b)】図18(a)のH−H線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図19(a)】変形例に係るシールドコネクタの平面図である。
【図19(b)】図19(a)のI−I線矢視位置における断面を示す断面図である。
【図20(a)】変形例に係るシールドコネクタの平面図である。
【図20(b)】図20(a)のJ−J線矢視位置における断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、シールド機能を有するとともに、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブル基板又はフレキシブルケーブルとして構成されるフレキシブル導電部材に接続されるシールドコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0037】
図1は、本発明の一実施の形態に係るシールドコネクタ1を示す斜視図である。尚、図1(a)及び図1(b)は、異なる角度から見た状態におけるシールドコネクタ1の斜視図である。図2は、シールドコネクタ1の分解斜視図である。図1及び図2に示すように、シールドコネクタ1は、ハウジング11と、複数のコンタクト12と、シェル13と、スライダ14と、リード部15とを備えて構成されている。
【0038】
シールドコネクタ1の組み立てにおいては、まず、複数のコンタクト12がハウジング11の内側に配置されて支持される。このとき、複数のコンタクト12は、一体のユニットとして取り扱いが可能なように、各端部において連結されている。そして、一体に連結された複数のコンタクト12がハウジング11に支持された状態で、複数のコンタクト12の各端部を一体に連結している部分(図示を省略)が切り離されて除去される。これにより、ハウジング11に複数のコンタクト12が分離した状態でそれぞれ支持される。
【0039】
ハウジング11に対して複数のコンタクト12が支持されると、その状態でハウジング11に対してスライダ14が取り付けられる。そして、筒状のシェル13が、シェル14が装着されたハウジング11に対して、シェル14の外側から挿入されるようにして取り付けられる。これにより、シールドコネクタ1は、図1に示す状態となる。
【0040】
また、図1に示す状態に組み立てられたシールドコネクタ1は、シェル13に対して一体に形成されるとともに小さく脚状に突出した複数のリード部15において、図示しない基板に対してはんだ付けされて固定される。これにより、シールドコネクタ1が基板に固定されるとともに、基板のグランド側に対して電気的に接続される。尚、本実施形態では、リード部15が、シェル13における4箇所から突出した形態を例示している。また、上記の基板については、リジッド基板及びフレキシブル基板の少なくともいずれかとして構成される。
【0041】
図3は、図1に示すように組み立てられたシールドコネクタ1に対してフレキシブル導電部材10が配置された状態を示す斜視図である。フレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1との電気的接続を完成させるためのコネクタ接続作業が行われる際には、図3に示すように、まず、フレキシブル導電部材10の端部が、シールドコネクタ1のハウジング11における所定位置に対して配置される。尚、図3では、フレキシブル導電部材10については、ハウジング11に配置される端部と反対側(ハウジング11から引き出される側)を切欠き状態の断面で図示している(後述の図4も同様)。
【0042】
また、図4は、上記のコネクタ接続作業が完了し、フレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1との電気的接続が完成した状態を示す斜視図である。フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されると(図3参照)、次いで、スライダ14が後述のように操作され、コネクタ接続作業が完了することになる。これにより、フレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1との電気的な接続及び機械的な接続のいずれもが完成することになる。以下、フレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1の各構成要素とについて、更に詳しく説明する。
【0043】
図5は、シールドコネクタ1に接続されるフレキシブル導電部材10の斜視図(図5(a))と、変形例に係るフレキシブル導電部材10aの斜視図(図5(b))とを示しており、それぞれ切欠き断面を含んだ状態で示している。また、図6は、フレキシブル導電部材10の端部の長手方向における断面を示す断面図である。図5(a)及び図6に示すフレキシブル導電部材10は、本実施形態におけるフレキシブル基板であるフレキシブルプリント回路基板(FPC)として構成されている。そして、フレキシブル導電部材10は、絶縁性材料で構成された被覆部17によって絶縁被覆されるとともに平行に配列された複数の線状の導体16と、電磁波ノイズ対策としてのシールド機能を発揮するシールド部18とを備えて構成されている。線状の各導体16は、例えば、1本の金属線材として、又は細かい金属線材が束ねられた集合体として構成されている。シールド部18は、金属材料で箔状に形成されている。
【0044】
また、被覆部17は、3層構造で構成され、フレキシブル導電部材10における一方の表面側に配置された被覆部17aと、他方の表面側に配置された被覆部17bと、中間に配置された被覆部17cと、を備えて構成されている。被覆部17a及び被覆部17cは、平行に配列された複数の導体16を両面から挟むように配置されている(即ち、複数の導体16が被覆部17a及び17cの間に配置されている)。そして、被覆部17b及び被覆部17cは、金属箔状のシールド部18を両面から挟むように配置されている(即ち、シールド部18が被覆部17b及び被覆部17cの間に配置されている)。このように、フレキシブル導電部材10は、被覆部17(17a、17b、17c)、複数の導体16、及びシールド部18が層構造を成すように構成されたフレキシブルプリント回路基板として構成されている。また、図6に示すように、フレキシブル導電部材10の端部は、両方の表面側に配置された被覆部17a及び被覆部17bが部分的に除去されている。これにより、フレキシブル導電部材10の端部において、一方の表面側に、絶縁被覆の被覆部17aが一部除去されて複数の導体16が表面に露出した導体露出部分19aが形成されている。また、フレキシブル導電部材10の端部において、他方の表面側に、絶縁被覆の被覆部17bが一部除去されてシールド部18が表面に露出したシールド部露出部分19bが形成されている。これらの導体露出部分19a及びシールド部露出部分19bは、例えば、フレキシブル導電部材10の端部において、被覆部17a及び被覆部17bがフレキシブル導電部材10の長手方向(即ち、複数の導体16が平行に延びる伸長方向)に沿って剥がされることで形成される。
【0045】
また、図5(a)に示すように、フレキシブル導電部材10の端部には、複数の導体16が配置される方向である幅方向の両側において両側方に向かってそれぞれ突出するように形成された一対の突出片部(20a、20b)が設けられている。これらの突出片部(20a、20b)は、後述するハウジング11におけるガイド溝23に挿入される部分として設けられ、絶縁性材料によって形成されて被覆部17と一体に設けられている。また、一方の突出片部20aと他方の突出片部20bとでは、位置及び形状が異なるように形成されており、フレキシブル導電部材10の長手方向において互いにずれた位置で突出するように設けられている。そして、ハウジング11の内側の両側壁にそれぞれ形成されたガイド溝23は、各溝の奥側の壁部の位置が、突出片部20aと突出片部20bとにそれぞれ対応して互いに異なるように設けられている。これにより、フレキシブル導電部材10がシールドコネクタ1に対して表裏面が逆の状態で配置されて誤接続されてしまうことが防止されるように構成されている。
【0046】
尚、図5(b)に示す変形例のように、突出片部(20a、20b)が設けられていないフレキシブル導電部材10aを用いてもよい。尚、本実施形態においては、シールドコネクタ1が接続されるフレキシブル導電部材が、フレキシブルプリント回路基板として構成された形態を例示しているが、この通りでなくてもよい。即ち、シールドコネクタ1が接続されるフレキシブル導電部材は、上述した形態のフレキシブルプリント回路基板に限らず、シールド部と絶縁被覆された複数の導体とを有するフレキシブル導電部材であればよい。例えば、フレキシブル導電部材として、上述した形態とは異なる層構造や導体配置構造を有するフレキシブルプリント回路基板が用いられてもよい。また、フレキシブル導電部材として、フレキシブルプリント回路基板以外の形態として構成されたフレキシブル基板が用いられてもよい。また、フレキシブル導電部材として、フレキシブルフラットケーブル(FFC)などのフレキシブルケーブルが用いられてもよい。
【0047】
図7は、ハウジング11の斜視図である。また、図8は、図1に示す状態のシールドコネクタ1の平面図(図8(a))と、図8(a)におけるA−A線矢視位置での断面を示す断面図(図8(b))とを示す図である。ハウジング11は、絶縁性材料である樹脂材料で形成され、薄型の略直方体状の部材として設けられている。ハウジング11を形成するための樹脂材料としては、例えば、LCP(液晶ポリマー、Liquid Crystal Polymer)やPA(ポリアミド、polyamide)、等の材料を用いることができる。そして、このハウジング11には、複数のコンタクト支持溝21、開放部22、ガイド溝23、スライダ係止部24、凹部25、等が設けられている。尚、ガイド溝23、スライダ係止部24、凹部25は、それぞれ一対で設けられている。
【0048】
複数のコンタクト支持溝21は、複数のコンタクト12がそれぞれ配置される溝として形成されており、ハウジング11の幅方向に沿って並ぶとともに互いに平行に延びるように形成されている。複数のコンタクト12は、各コンタクト支持溝21に各コンタクト12が嵌め込まれて配置されることで、ハウジング11に対して支持されることになる。尚、図8(a)では、ハウジング11の幅方向を両端矢印Wで示している。このハウジング11の幅方向は、シールドコネクタ1の幅方向、シェル13の幅方向、スライダ14の幅方向と同じ方向となる。
【0049】
開放部22は、ハウジング11において広く凹むように開放された中央部分として形成されており、フレキシブル導電部材10の端部が配置可能に開放形成された部分として設けられている。そして、開放部22は、ハウジング11においてフレキシブル導電部材10の端部が配置される側である前方側から、リード部15がはんだ付けで固定された基板(図示せず)に対向する側と反対側である上方側にかけて、複数のコンタクト12を露出させるように開放形成されている。尚、開放部22に端部が配置されたフレキシブル導電部材10は、本体ハウジング11に対して、前方側から外部に引き出されるように配置されることになる(図3参照)。
【0050】
ガイド溝23は、ハウジング11の内側の幅方向における両側壁にそれぞれ形成されたガイド溝23a及びガイド溝23bとして構成されている。このガイド溝23(23a、23b)は、フレキシブル導電部材10の端部が挿入される方向をガイドする溝部分として形成されている。そして、一方のガイド溝23aがフレキシブル導電部材10の端部における一方の突出片部20aに対応し(図3参照)、他方のガイド溝23bが他方の突出片部20bに対応している。フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11の開放部22に配置される際には、突出片部20aがガイド溝23aに挿入され、突出片部20bがガイド溝23bに挿入され、各突出片部(20a、20b)が各ガイド溝(23a、23b)の奥側の壁部と当接するまで、フレキシブル導電部材10が挿入される。
【0051】
図9(a)は、図8(a)のA−A線矢視位置における断面であって、開放部22にフレキシブル導電部材10が配置される途中の状態を示す断面図である。また、図9(b)は、図8(a)のA−A線矢視位置における断面であって、開放部22にフレキシブル導電部材10が配置された状態を示す断面図である。図7、図8(b)、図9(a)及び図9(b)によく示すように、ハウジング11には、各ガイド溝(23a、23b)の上方側において、上方側から下方側に向かって斜めに傾斜する傾斜壁部26aが設けられている。フレキシブル導電部材10の端部の各突出片部(20a、20b)が各ガイド溝(23a、23b)に挿入されると、各突出片部(20a、20b)は、傾斜壁部26aに摺接しながら、各ガイド溝(23a、23b)の奥側(後方側)に誘導されることになる(図9(a)を参照)。
【0052】
尚、ハウジング11には、開放部22が形成される部分において、段状に高さが高くなるように形成された段部27が設けられている。そして、ハウジング11においては、各突出片部(20a、20b)が各ガイド溝(23a、23b)に挿入されると、各突出片部(20a、20b)が各ガイド溝(23a、23b)の奥側(後方側)の壁部に当接するとともに、フレキシブル導電部材10の端部の先端側が、その幅方向に亘って段部27に当接するように構成されている。これにより、シールドコネクタ1においては、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に対して適切な位置に対して極めて容易に位置決めされるように構成されている。また、ハウジング11には、各ガイド溝(23a、23b)の前方側の壁部として上下方向に延びる係合壁部26bが設けられている(図3、図7を参照)。各突出片部(20a、20b)は、ハウジング11の適切な位置にフレキシブル導電部材10の端部が配置された状態では、ハウジング11に対して前方側に向かって係合するように各係合壁部26bに当接するよう構成されている。
【0053】
スライダ係止部24は、ハウジング11の幅方向における両側壁に形成され、それぞれ外側に向かってレール状に突出する部分として一対で設けられている。ハウジング11に対してこのスライダ係止部24において、後述するスライダ14が係止される。そして、スライダ14がハウジング11に対して摺接しながら移動自在に取り付けられることになる。また、凹部25は、ハウジング11の幅方向における両側壁の外側にそれぞれ形成され、それぞれ内側に向かって凹み形成された部分として一対で設けられている。ハウジング11に対してスライダ14が取り付けられる際には、スライダ14におけるスライダ係止部24に対して係止する部分である後述のハウジング係止部36が、この凹部25に対して挿入されることになる。
【0054】
図1、図2、図8及び図9に示す複数のコンタクト12は、導電性材料である金属材料(例えば、リン青銅)でそれぞれ形成され、前述のように、ハウジング11に対して複数のコンタクト支持溝21においてそれぞれ支持される。そして、複数のコンタクト12は、フレキシブル導電部材10の端部が開放部22に配置されることで、フレキシブル導電部材10の端部の導体露出部分19aにて露出した複数の導体16に対してそれぞれ接触して電気的に接続されることになる。
【0055】
また、図8及び図9によく示すように、各コンタクト12は、例えば、細長い針状、棒状、又は柱状の部材が折り曲げ加工されることで形成されている。そして、各コンタクト12には、バネ部12a、接点部12b、接続部12c、等が設けられている。
【0056】
バネ部12aは、約180度に亘って屈曲形成された半円弧状の部分を含んで構成されており、弾性変形による可撓性を有する部分として設けられている。このバネ部12aにて発揮される弾性力によって、接点部12bがフレキシブル導電部材10の導体16に対して押し付けられることになる。尚、バネ部12aは、上記のように、約180度に亘って屈曲形成された半円弧状の部分を含んで構成されるため、コンパクトなスペースにおいて容易にバネ長を長く設定でき、弾性力を確保し易い構造を容易に実現できるとともに弾性力の設定についての設計の自由度を向上させることができる。また、シールドコネクタ1の薄型化を図ることができる。
【0057】
接点部12bは、各コンタクト12の先端部分において円弧状に屈曲形成されて突出した部分として形成され、フレキシブル導電部材10の各導体16に対して電気的に接続される部分として設けられている。尚、各接点部12bは、開放部22に配置されたフレキシブル導電部材10の端部の各導体16に接続可能なように、各コンタクト支持溝21から上方側に突出するように配置されている。接続部12cは、シールドコネクタ1が設置される基板における所定の導電部(図示せず)に対してそれぞれ電気的に接続される部分として設けられている。
【0058】
図10は、シェル13の斜視図である。図1乃至図4、図8乃至図10に示すシェル13は、導電性材料である金属材料(例えば、リン青銅)で形成され、例えば、一体に形成された一枚の板部材に折り曲げ加工等が施されることで略角筒状に形成されている。このシェル13には、一対の側面シールド壁(28、28)、連結シールド壁29、対向シールド壁30、シェル側開放部31、等が設けられている。そして、このシェル13は、ハウジング11の周囲を覆うようにハウジング11に対して取り付けられる(図3、図10を参照)。
【0059】
一対の側面シールド壁(28、28)は、シェル13において、ハウジング11の両側面をそれぞれ覆うように平行に配置されてシールド機能を有する壁部として設けられている。各側面シールド壁28の下端側(図示しない基板に設置される側)からは、複数(本実施形態では、2つ)のリード部15が突出して形成されている。尚、一対の側面シールド壁(28、28)のそれぞれには、係合溝28aがそれぞれ形成されている(図3、図10を参照)。シェル13がハウジング11に対して取り付けられる際には、各係合溝28aがハウジング11に設けられた各突起と係合することで、シェル13のハウジング11に対する前後方向の位置決めが行われる。
【0060】
連結シールド壁29は、一対の側面シールド壁(28、28)に対して垂直で一対の側面シールド壁(28、28)を一体に連結するとともにシールド機能を有する壁部として設けられている。また、連結シールド壁29は、図示しない基板に対して設置される側と反対側である上方側にてハウジング11を覆うように構成されている。また、上方側に配置されたこの連結シールド壁29には、ハウジング11の開放部22を露出させるように開放形成されたシェル側開放部31が設けられている。このシェル側開放部31は、ハウジング11における開放部22にて複数のコンタクト支持溝21に支持された複数のコンタクト12を露出させるように、シェル13の幅方向に亘って広く切り欠かれるように開放形成されている。
【0061】
対向シールド壁30は、連結シールド壁29に対向して配置されるとともにシールド機能を有する壁部として設けられている。そして、シェル13は、この対向シールド壁30にて基板(図示せず)に対向した状態で設置される。対向シールド壁30は、一対の側面シールド壁(28、28)のうちの一方に対して一体に連続する壁部と他方に対して一体に連続する壁部とが、それぞれの端部で組み合わされて互いに固定されることで構成されている。このように、シェル13は、一体に形成された一対の側面シールド壁(28、28)、連結シールド壁29及び対向シールド壁30が略角筒状に形成されることで構成されている。そして、シェル13は、前後方向における両側が開口するように形成されている。
【0062】
尚、対向シールド壁30には、上方側に向かって(即ち、ハウジング11側に向かって)斜めに突出するとともに片持ち状に形成された複数のハウジング係合部32が設けられている(図10を参照)。スライダ14が取り付けられたハウジング11の外周に沿ってシェル13が嵌め込まれるようにしてハウジング11に対して取り付けられる際には、ハウジング係合部32は、一旦弾性変形して下方側に撓んだ後、弾性回復して上方側(ハウジング11側に)突出するように構成されている。これにより、ハウジング係合部32が、ハウジング11の所定箇所に凹み形成された部分に嵌まり込んで係合し、シェル13からハウジング11が脱落してしまうことが防止されるように構成されている。
【0063】
図11は、スライダ14の斜視図である。図1乃至図4、図8乃至図11に示すスライダ14は、導電性材料である金属材料(例えば、ステンレス鋼)で形成され、例えば、一体に形成された一枚の板部材に折り曲げ加工等が施されることで形成されている。そして、このスライダ14は、平板部33、シールド接続部34、後面壁35、ハウジング係止部36、凸部37、等が設けられ、ハウジング11に対して摺接しながら移動自在に取り付けられるように構成されている。
【0064】
平板部33は平板状の部分として設けられ、この平板部33に対して、シールド接続部34、後面壁35、ハウジング係止部36、凸部37、等が一体に形成されている。この平板部33は、ハウジング11の上面側とシェル13の連結シールド壁29の下面側との間に配置される(図3、図4、図8、図9を参照)。ハウジング係止部36は、平板部33の幅方向(即ち、シェル13における幅方向)の両側において一対で設けられ、それぞれハウジング11のスライダ係止部24に対して摺動自在に嵌まり込んで係止するように折り曲げ形成された部分として設けられている。
【0065】
ハウジング11に対してスライダ14が取り付けられる際には、各ハウジング係止部36がハウジング11における各凹部25に対して上方側から挿入される。そして、ハウジング11に対してスライダ14が前方側に移動することで、各ハウジング係止部36が各スライダ係止部24に嵌め込まれるように係止することになる。スライダ14は、ハウジング係止部36においてハウジング11のスライダ係止部24に対して摺動自在に係止することで、ハウジング11における前方側とその反対側である後方側との間で前後方向で直線方向に沿って移動可能に配置されるように構成されている。
【0066】
尚、本実施形態では、スライダ14がハウジング11に対して前後方向で直線方向に沿って移動可能に構成された形態を例示しているが、この通りでなくてもよい。スライダ14がハウジング11に対して前後方向に対して斜めの方向で直線方向に沿って移動可能に構成されていてもよい。また、スライダ14がハウジング11に対して曲線方向に沿って移動可能に構成されていてもよい。また、スライダ14がハウジング11に対して回転動作を伴って移動可能に構成されていてもよい。
【0067】
後面壁35は、スライダ14において、シェル13の連結シールド壁部29と平行に配置される平板部33に対して垂直に折り曲げられて形成されている。そして、この後面壁35は、ハウジング11における後方側の面を覆うとともにシールド機能を有する壁部として設けられている。また、後面壁35の上端側における幅方向(スライダ14の幅方向)の中央部分には、幅方向に亘って長く延びた状態で上方に突出した操作部分35aが設けられている。コネクタ接続作業を行う作業者は、スライダ14の中央部分に大きく設けられたこの操作部分35aを操作することで、ハウジング11に対してスライダ14を移動させる移動操作を行うことができる。
【0068】
シールド接続部34は、平板部33の前方側において、平板部33の前方側の部分が折り曲げ形成された部分として設けられ、スライダ14の幅方向に亘って長く延びるように配置されている。また、このシールド接続部34は、弾性変形による可撓性を有し、板バネ状の部分を構成するように設けられている。そして、シールド接続部34は、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されて、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、フレキシブル導電部材10の端部のシールド部露出部分19bにて露出したシールド部18に接触するとともに、フレキシブル導電部材10を複数のコンタクト12の各接点部12bに向かって押圧するように構成されている。これにより、スライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、各コンタクト12の接点部12bとフレキシブル導電部材10の各導体16とを電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18に対して電気的に接続されるように構成されている。尚、シールド接続部34は、上記のように、平板部33の前方側で折り曲げ形成された部分を含んで構成されるため、コンパクトなスペースにおいて容易にバネ長を長く設定でき、弾性力を確保し易い構造を容易に実現できるとともに弾性力の設定についての設計の自由度を向上させることができる。また、シールドコネクタ1の薄型化を図ることができる。
【0069】
凸部37は、平板部33において、上方側に向かって凸状に突出して形成された部分(例えば、略球面状に或いは突起状に突出して形成された出っ張り部分)として設けられ、例えば、プレス加工によって形成される。また、本実施形態では、凸部37は、一対設けられ、スライダ14の幅方向における両側にそれぞれ配置されている。そして、この凸部37を介して、スライダ14とシェル13とが接触して電気的に接続されるように構成されている。即ち、スライダ14の平面部33に設けられた凸部37とシェル13の連結シールド壁29の内側とが電気的に接続されるように構成されている。尚、スライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動する前の状態と移動した後の状態とのいずれにおいても、凸部37を介して、シェル13に対して電気的に接続されるように、ハウジング11に対して取り付けられている(図9と、後述の図15及び図16とを参照)。
【0070】
図12(a)は、シールドコネクタ1においてスライダ14がハウジング11に対して前方側へ移動した状態を示す平面図であり、図12(b)は、図12(a)のB−B線矢視位置における断面を示す断面図である。また、図13は、図12に示す状態におけるシールドコネクタ1の斜視図である。尚、図13(a)、図13(b)及び図13(c)は、異なる角度から見た状態におけるシールドコネクタ1の斜視図である。また、図14は、フレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1との接続作業が行われ、電気的接続及び機械的接続が完成した状態でのフレキシブル導電部材10及びシールドコネクタ1の断面を示す断面図である。この図14は、図4に示す状態におけるフレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1とを示す断面図であって、図12(a)のB−B線矢視位置に対応する断面での断面図を示している。尚、図12及び図13は、フレキシブル導電部材10がハウジング11に配置されていない状態でスライダ14が前方側へ移動した状態を図示しており、スライダ14がハウジング11に対して移動したときの位置関係をより明瞭に示すための参考用の図として示している。
【0071】
作業者によってスライダ14の操作部分35aがシェル13に向かって押し込まれるように操作されることにより、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動する(図12乃至図14を参照)。そして、フレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1との接続作業が行われる際には、まず、フレキシブル導電部材10がハウジング11の開放部22に配置される。次いで、上記のように操作部分35aの押し込み操作が行われてスライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に移動した状態となることで、複数のコンタクト12の上方に配置されたフレキシブル導電部材10の端部を複数のコンタクト12に向かってスライダ14のシールド接続部34が押圧することになる。
【0072】
上記により、図14に示すように、各コンタクト12の各接点部12bとフレキシブル導電部材10の各導体16とが電気的に接続され、スライダ14のシールド接続部34とフレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18とが電気的に接続される。また、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に移動する前の状態においても後の状態においても、凸部37を介して、スライダ14とシェル13とが常時電気的に接続された状態が維持されることになる。尚、上記のように各コンタクト12の各接点部12bとフレキシブル導電部材10の各導体16とが電気的に接続される際には、シールド接続部34の弾性力と各バネ部12aの弾性力とによって、各接点部12bと各導体16とが強固に押圧されて接触した状態となり、確実な電気的接続が確保されることになる。
【0073】
また、スライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動することでハウジング11の開放部22を覆うとともに、各コンタクト12とフレキシブル導電部材10の各導体16との接触部分を後方側から前方側に向かって越えるように開放部22を覆うように構成されている(図4、図14を参照)。また、スライダ14は、ハウジング11における前方側へ移動して開放部22を覆った状態では、シェル側開放部31を下方にて塞ぐように位置することになる。
【0074】
また、シェル13の後方側における上端側の中央部分には、凹み形成された凹み部分29aが形成されている。そして、スライダ14が前方側に移動してコネクタ接続作業が完了した状態では、スライダ14の操作部分35aは、凹み部分29aに配置されることになる。これにより、スライダ14がシェル13に対してコンパクトに収容されることになる。
【0075】
ここで、スライダ14がハウジング11に対して前方側に向かって移動する前の状態と後の状態とにおいて、それぞれスライダ14をシェル13に対して係止させる構成について説明する。図15は、図1(a)に示す状態(フレキシブル導電部材10がハウジング11に配置されておらず、スライダ14を前方側へ移動させる操作が行われていない状態)のシールドコネクタ1の平面図(図15(b))と、図15(b)のC−C線矢視位置における断面図(図15(a))と、図15(b)のD−D線矢視位置における断面図(図15(c))とを示す図である。尚、図15においては、図15(a)については、図15(b)のC−C線矢視方向に対応して図示しているため、上下が逆の状態で図示している。
【0076】
図10、図11及び図15に示すように、スライダ14及びシェル13には、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動する前の状態(フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されている状態であってもコネクタ接続作業が行われる前の状態)で互いに係止する凸状の部分として形成された第1係止部38が設けられている。この第1係止部38は、スライダ14に設けられたスライダ側第1係止部(39a、39b)と、シェル13に設けられたシェル側第1係止部(40a、40b)とで構成されている。
【0077】
スライダ側第1係止部(39a、39b)は、平板部33に設けられて、上方に向かって突出するとともに、円弧状の断面で突出してスライダ14の幅方向に沿って短く延びた凸状の部分として形成されている。そして、スライダ側第1係止部(39a、39b)は、一対で設けられ、スライダ14の幅方向における両側にそれぞれ配置されている。一方、シェル側第1係止部(40a、40b)は、連結シールド壁29に設けられて、連結シールド壁29の下面側で下方に向かって突出するとともに、円弧状の断面で突出してシェル13の幅方向に沿って短く延びた凸状の部分として形成されている。そして、シェル側第1係止部(40a、40b)は、一対で設けられ、シェル13の幅方向における両側にそれぞれ配置されている。尚、図10及び図15(b)においては、シェル側第1係止部(40a、40b)の裏面側を図示している。スライダ側第1係止部(39a、39b)及びシェル側第1係止部(40a、40b)は、例えば、プレス加工によって形成される。
【0078】
図15に示す状態では、スライダ側第1係止部(39a、39b)とシェル側第1係止部(40a、40b)とが係止する前の状態を示している。この状態から、スライダ14が前方側に向かって少し押し込まれる動作が行われることで、スライダ側第1係止部(39a、39b)がシェル側第1係止部(40a、40b)を乗り越えるように移動し、スライダ側第1係止部(39a、39b)とシェル側第1係止部(40a、40b)とが互いに係止することになる。そして、スライダ側第1係止部(39a、39b)についてシェル側第1係止部(40a、40b)を乗り越えるように移動させてこの第1係止部38にてスライダ14とシェル13とを係止させる動作が作業者によって行われると、作業者は、その動作によるクリック感を感じることができることになる。即ち、作業者において、第1係止部38での瞬間的な弾性回復動作に伴って生じる瞬間的な振動が指に伝わる感触であるクリック感が生じることになる。
【0079】
尚、図15(a)に示すように、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動する前の状態においても、スライダ14の凸部37がシェル13の連結シールド壁29の内側に接触した状態が維持されている。これにより、スライダ14とシェル13との電気的接続が確保されている。
【0080】
図16は、図12(a)に示す状態(フレキシブル導電部材10がハウジング11に配置されていない状態でスライダ14を前方側へ移動させる操作が行われた状態)のシールドコネクタ1の平面図(図16(b))と、図16(b)のE−E線矢視位置における断面図(図16(a))と、図16(b)のF−F線矢視位置における断面図(図16(c))とを示す図である。尚、図16においては、図16(a)については、図16(b)のE−E線矢視方向に対応して図示しているため、上下が逆の状態で図示している。
【0081】
図10、図11及び図16に示すように、スライダ14及びシェル13には、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した後の状態(フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されている状態であればコネクタ接続作業が行われて電気的接続が完成した状態)で互いに係止する凸状の部分として形成された第2係止部41が設けられている。この第2係止部41は、スライダ14に設けられたスライダ側第2係止部42と、シェル13に設けられたシェル側第2係止部(43a、43b)とで構成されている。
【0082】
スライダ側第2係止部42は、平板部33に設けられて、上方に向かって突出するとともに、円弧状の断面で突出してスライダ14の幅方向に沿って長く延びた凸状の部分として形成されている。そして、スライダ側第2係止部42は、一つ設けられ、スライダ14の幅方向における中央部分に亘って配置されている。一方、シェル側第2係止部(43a、43b)は、連結シールド壁29に設けられて、連結シールド壁29の下面側で下方に向かって突出するとともに、円弧状の断面で突出してシェル13の幅方向に沿って短く延びた凸状の部分として形成されている。そして、シェル側第2係止部(43a、43b)は、一対で設けられ、シェル13の幅方向における両側にそれぞれ配置されている。尚、図10及び図16(b)においては、シェル側第2係止部(43a、43b)の裏面側を図示している。スライダ側第2係止部42及びシェル側第2係止部(43a、43b)は、例えば、プレス加工によって形成される。
【0083】
図16に示す状態では、スライダ側第2係止部42とシェル側第2係止部(43a、43b)とが係止した後の状態を示している。即ち、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動する動作が行われ、スライダ側第2係止部42がシェル側第2係止部(43a、43b)を乗り越えるように移動し、スライダ側第2係止部42とシェル側第2係止部(43a、43b)とが互いに係止した状態となっている。そして、このように、スライダ側第2係止部42についてシェル側第2係止部(43a、43b)を乗り越えるように移動させてこの第2係止部41にてスライダ14とシェル13とを係止させる動作が作業者によって行われると、作業者は、その動作によるクリック感を感じることができることになる。即ち、作業者において、第2係止部41での瞬間的な弾性回復動作に伴って生じる瞬間的な振動が指に伝わる感触であるクリック感が生じることになる。
【0084】
尚、図16(a)に示すように、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した後の状態においても、移動前の状態から継続して、スライダ14の凸部37がシェル13の連結シールド壁29の内側に接触した状態が維持されている。これにより、スライダ14とシェル13との電気的接続が確保されている。
【0085】
シールドコネクタ1においては、前述したように、図1に示す状態に組み立てられて図示しない基板に対してリード部15にてはんだ付けされて固定されたシールドコネクタ1に対して、フレキシブル導電部材10の端部が配置される。フレキシブル導電部材10の端部は、ハウジング11の開放部22に配置される。このとき、フレキシブル導電部材10の端部は、ハウジング11のガイド溝23によってガイドされ、ハウジング11における適切な位置に配置されることになる。
【0086】
フレキシブル導電部材10の端部のハウジング11への配置が終了すると、次いで、スライダ14を移動させる操作が行われる。このとき、スライダ14は、その操作部分35aにて操作され、ハウジング11に対して後方側から前方側へ移動することになる。この移動操作が完了すると、スライダ14によってフレキシブル導電部材10がコンタクト12側に向かって押圧され、フレキシブル導電部材10の各導体16と各コンタクト12とが電気的に接続される。そして、スライダ14は、シールド接続部34にてフレキシブル導電部材10のシールド部18に対して電気的に接続される。また、スライダ14とシェル13との凸部37を介した電気的接続状態は、スライダ14の移動前後において継続して維持されている。
【0087】
以上説明したように、シールドコネクタ1によると、ハウジング11の周囲を覆うシェル13がスライダ14を介してフレキシブル導電部材10のシールド部18と電気的に接続され、シェル13に一体に形成されたリード部15が基板のグランド側に固定され、シールド機能が果たされることになる。そして、シェル13には、ハウジング11の両側面をそれぞれ覆う一対の側面シールド壁(28、28)と、一対の側面シールド壁(28、28)に対して垂直でこの一対の側面シールド壁(28、28)を一体に連結する連結シールド壁29とが備えられている。このため、シェル13によって覆われたハウジング11の両側面とそれらに垂直な面とにおいて電磁波ノイズ対策としてのシールド機能が十分に確保されることになる。
【0088】
また、シェル13には、一対の側面シールド壁(28、28)と連結シールド壁29とに加え、連結シールド壁29に対向して配置される対向シールド壁30も設けられている。このため、角筒状に形成されたシェル13を構成でき、ハウジング11の周囲四面をシェル13のみによってシールド可能なシェル構造を実現することができる。尚、シェル13が、金属材料で形成された角筒状に構成されるため、シールドコネクタ1全体としての断面二次モーメントをコンパクトな構造で効率よく確保でき、強度及び剛性の向上を図ることができる。これにより、シールドコネクタ1の幅方向の中央部分における撓み変形を効率よく抑制することができる。
【0089】
そして、シールドコネクタ1によると、スライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動することで、コンタクト12とフレキシブル導電部材10の導体16とを電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18とシェル13とに対して電気的に接続された状態となる。これにより、電気的接続が完成する。よって、スライダ14はハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動するように操作されるため、スライダ14が操作されてフレキシブル導電部材10とシールドコネクタ1との電気的接続を完成させるためのコネクタ接続作業が行われる際には、スライダ14の操作部分35aとハウジング11に端部が配置されたフレキシブル導電部材10とは、ハウジング11を介して互いに反対側で離れて位置することになる。これにより、スライダ14の操作時に、作業者の指とフレキシブル導電部材10とが当接して操作しづらくなってしまうことがなく、スライダ14の操作性の向上を図ることができる。
【0090】
また、シールドコネクタ1によると、スライダ14は、このスライダ14の操作時にハウジング11の後方側から前方側に向かって移動するように、ハウジング11に取り付けられている。このため、フレキシブル導電部材10の端部をハウジング11の前方側へ挿入して配置する際に、スライダ14が作業者の視界を遮る障害物となってしまうことを防止できる。これにより、フレキシブル導電部材10の端部をハウジング11における適切な位置に配置することが容易となる。
【0091】
また、シールドコネクタ1によると、上述のように、スライダ14は、その操作時にハウジング11の後方側から前方側に向かって移動するように、ハウジング11に取り付けられている。このため、スライダ14を移動操作する場合、作業者は、スライダ14の幅方向の中間部分或いはその近傍の部分である操作部分35aにおいて容易にスライダ14を操作することができる。これにより、電気的接続が一旦完成した状態から、コネクタ接続作業時とは反対側に向かってスライダ14を引き抜くように移動させる作業(スライダの引き抜き作業)を作業者が行う際に、従来のようなシールドコネクタの損傷を招いてしまうことを防止できる。即ち、複数の操作部分での操作タイミングがずれることでスライダがハウジング等をこじるような状態で無理やりに引き抜かれてしまうような状況が生じることを防止でき、スライダ14の引き抜き作業の際にシールドコネクタ1に損傷が生じてしまうことを防止できる。
【0092】
従って、本実施形態によると、十分なシールド機能を確保することができ、スライダ14の操作性の向上を図ることができるとともにフレキシブル導電部材10の配置が容易で、且つ、スライダ14の引き抜き作業の際に損傷が生じてしまうことを防止することができる、シールドコネクタ1を提供することができる。
【0093】
また、シールドコネクタ1によると、ハウジング11において、複数のコンタクト12を露出させるように前方側から上方側にかけて開放形成された開放部22が設けられる。そして、このように大きく開放形成された開放部22においてフレキシブル導電部材10の端部を配置できるため、フレキシブル導電部材10の配置が更に容易なシールドコネクタ1を実現できる。また、ハウジング11において、フレキシブル導電部材10の端部が配置される領域である開放部22が前方側から上方側に大きく開放形成されていることで、フレキシブル導電部材10の端部をハウジング11に挿入配置する形態のバリエーションを種々選択することができ、シールドコネクタとしての設計の自由度を大きく向上させることができる。
【0094】
また、シールドコネクタ1によると、シェル13における連結シールド壁29がハウジング11の上方側を覆う壁部として設けられ、この連結シールド壁29にハウジング11の開放部22に対応するシェル側開放部31が開放形成される。このため、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11の開放部22に配置される際に、スライダ14が作業者の視界を遮る障害物となることが防止されることに加え、シェル13が作業者の視界を遮る障害物となることも防止されることになる。これにより、フレキシブル導電部材10の端部をハウジング11における適切な位置に配置することを更に容易にすることができる。
【0095】
また、シールドコネクタ1によると、コネクタ接続作業時にスライダ14が後方側から前方側に移動することで、コンタクト12とフレキシブル導電部材10の導体16との接触部分を少なくとも覆うように、開放部22がスライダ14で覆われる。これにより、開放部22において少なくともコンタクト12とフレキシブル導電部材10の導体16との接触部分の近傍の領域がスライダ14によってシールドされることになる。よって、フレキシブル導電部材10の端部をハウジング11に配置する際には開放部22において容易にフレキシブル導電部材10を配置できるとともに、電気的接続が完成した状態では開放部22をスライダ14によって適切にシールドすることができるシールドコネクタ1を実現することができる。
【0096】
また、シールドコネクタ1によると、コネクタ接続作業のためのスライダ14の操作の前後のいずれにおいても、スライダ14がシェル13に対して電気的に接続されるように構成される。このため、コネクタ接続作業の前の状態においてもスライダ14がシェル13に対して常時電気的に接続されている状態となり、静電気が蓄積されてしまうことが防止され、更にシールド機能の強化を図ることができる。
【0097】
また、シールドコネクタ1によると、スライダ14にハウジング11の後方側の面を覆う後面壁35が設けられるため、ハウジング11の後方側をシールドでき、更にシールド機能の強化を図ることができる。また、後面壁35は、フレキシブル導電部材10の端部が配置されてフレキシブル導電部材10が引き出される側であるハウジング11の前方側と反対側に配置されることになる。このため、フレキシブル導電部材10の配置への影響を生じさせることなく、容易に後面壁35を設置することができる。
【0098】
また、シールドコネクタ1によると、スライダ14に凸状に形成された凸部37を設けるという簡素な構成によって、シールド機能を発揮させるためのスライダ14とシェル13との電気的接続が確実に確保される構造を容易に実現することができる。
【0099】
また、シールドコネクタ1によると、スライダ14及びシェル13に、コネクタ接続作業のためのスライダ14の操作の前の状態と後の状態とのそれぞれにおいて係止する第1係止部38と第2係止部41とが凸状の部分として設けられる。このため、第1係止部38にてシェル13とスライダ14とを係止させる動作が行われた際には、その動作によるクリック感が生じ、コネクタ接続作業の前の状態においてシェル13に対してスライダ14が係止された状態となったことを作業者が容易に確認することができる。そして、第2係止部41にてシェル13とスライダ14とを係止させる動作が行われた際には、その動作によるクリック感が生じ、コネクタ接続作業が完成した状態となったことを作業者が容易に確認することができる。
【0100】
また、シールドコネクタ1によると、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に対して挿入されて配置される際に、ハウジング11に形成されたガイド溝23に沿ってフレキシブル導電部材10の端部が所定の位置までガイドされることになる。これにより、フレキシブル導電部材10をハウジング11に対して適切な位置に配置することを更に容易にすることができる。
【0101】
また、シールドコネクタ1によると、ハウジング11に配置されるフレキシブル導電部材10の端部には、幅方向の両側にて両側方に突出する突出片部(20a、20b)が設けられる。そして、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に対して挿入されて配置される際には、フレキシブル導電部材10の端部は、その突出片部(20a、20b)によってハウジング11のガイド溝23に沿って所定の位置までガイドされることになる。更に、フレキシブル導電部材10の端部は、ハウジング11における適切な位置まで達すると、ハウジング11に対して、突出片部(20a、20b)にて前方側に向かって係合する。このため、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置された状態でスライダ14が後方側から前方側に向かって移動操作された場合に、スライダ14から作用する摩擦力によってフレキシブル導電部材10がハウジング11からその前方側に脱落してしまうことが防止される。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0103】
(1)前述の実施形態では、シェルが、一対の側面シールド壁と連結シールド壁と対向シールド壁とを備えて角筒状に形成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。シェルは、一対の側面シールド壁と連結シールド壁とを備え、対向シールド壁が備えられていない形態であってもよい。この場合、連結シールド壁がハウジングの上面側に配置され、ハウジングの下面側については、基板のグランド側にてシールド機能が確保される形態であってもよい。
【0104】
(2)前述の実施形態では、スライダがハウジングに対して摺接しながら移動自在に取り付けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スライダは、ハウジング及びシェルの少なくともいずれかに対して摺接しながら移動自在に設けられる形態であればよい。即ち、スライダがシェルに対して摺接しながら移動自在に取り付けられる形態であってもよく、スライダがハウジング及びシェルの両方に対して途中で交替して摺接しながら移動自在に取り付けられる形態であってもよい。
【0105】
(3)前述の実施形態では、後面壁がスライダに形成されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。後面壁は、シェル及びスライダの少なくともいずれかに形成されている形態であればよい。即ち、後面壁がシェルに形成されている形態であってもよく、後面壁がシェル及びスライダの両方に形成されている形態であってもよい。
【0106】
(4)前述の実施形態では、スライダとシェルとの電気的接続を確保するための凸部がスライダに設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。上記凸部は、スライダ及びシェルの少なくともいずれかに形成されている形態であればよい。即ち、凸部がシェルに設けられた形態であってもよく、凸部がシェル及びスライダの両方に設けられた形態であってもよい。
【0107】
(5)開放部、シェル側開放部、第1係止部、第2係止部の形態については、前述の実施形態で例示した形態に限らず、形状や配置を種々変更して実施してもよい。
【0108】
(6)コンタクト及びスライダの形状については、前述の実施形態で例示した形態に限らず、形状を種々変更して実施してもよい。例えば、図17乃至図20に示すように変更して実施してもよい。
【0109】
図17は、変形例に係るシールドコネクタ1aを示す平面図(図17(a))と、その図17(a)のG−G線矢視位置における断面図とを示す図である。尚、図17は、前述の実施形態における図12の状態(フレキシブル導電部材10が配置されていない状態でスライダ14がハウジング11の前方側へ移動した状態)に対応した図として図示している。図17の変形例に係るシールドコネクタ1aは、前述の実施形態に係るシールドコネクタ1と同様に構成され、ハウジング11と、シェル13と、スライダ14と、複数のコンタクト51とを備えている。但し、シールドコネクタ1aは、コンタクト51の構造において、シールドコネクタ1のコンタクト12と異なっている。尚、図17の変形例に係るシールドコネクタ1aの説明では、シールドコネクタ1と同様の構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0110】
図17に示すように、変形例に係るシールドコネクタ1aのコンタクト51には、バネ部51a、接点部51b、コンタクト12の接続部12cと同様に構成される接続部12c、等が設けられている。
【0111】
バネ部51aは、コンタクト51におけるハウジング11のコンタクト支持溝21に支持される部分に対して鈍角を成すように片持ち状に延びる部分として形成され、弾性変形による可撓性を有する部分として設けられている。そして、このバネ部51aにて発揮される弾性力によって、接点部51bがフレキシブル導電部材10の導体16に対して押し付けられることになる。尚、バネ部51aは、上記のように、コンタクト51におけるコンタクト支持溝21に支持される部分に対して鈍角を成すように延びる部分として構成されるため、コンパクトなスペースにおいて容易にバネ長を長く設定でき、弾性力を確保し易い構造を容易に実現できるとともに弾性力の設定についての設計の自由度を向上させることができる。また、シールドコネクタ1aの薄型化を図ることもできる。
【0112】
接点部51bは、各コンタクト51の先端部分において三角断面状に屈曲形成されるとともに三角断面の頂点部分において上方に突出した部分として形成され、フレキシブル導電部材10の各導体16に対して電気的に接続される部分として設けられている。尚、各接点部51bは、開放部22に配置されるフレキシブル導電部材10の端部の各導体16に接続可能なように、各コンタクト支持溝21から上方側に突出するように配置されている。
【0113】
図18は、変形例に係るシールドコネクタ1bを示す平面図(図18(a))と、その図18(a)のH−H線矢視位置における断面図とを示す図である。尚、図18は、前述の実施形態における図12の状態(フレキシブル導電部材10が配置されていない状態でスライダ14がハウジング11の前方側へ移動した状態)に対応した図として図示している。図18の変形例に係るシールドコネクタ1bは、前述の実施形態に係るシールドコネクタ1と同様に構成され、ハウジング11と、シェル13と、スライダ14と、複数のコンタクト12とを備えている。但し、シールドコネクタ1bは、スライダ14のシールド接続部52の構造において、シールドコネクタ1のスライダ14のシールド接続部34と異なっている。尚、図18の変形例に係るシールドコネクタ1bの説明では、シールドコネクタ1と同様の構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0114】
図18に示すように、シールド接続部52は、平板部33の前方側において、平板部33の前方側の部分が約180度に折り曲げ形成された部分として設けられ、スライダ14の幅方向に亘って長く延びるように配置されている。また、このシールド接続部52は、平板部33に対して折り曲げられた部分の更に先端側の部分が、平板部33に対して密着して又は近接して略平行に後方側に向かって延びるように形成されている。
【0115】
そして、シールド接続部52は、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されて、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、フレキシブル導電部材10のシールド部18に接触するとともに、フレキシブル導電部材10を複数のコンタクト12の各接点部12bに向かって押圧するように構成されている。これにより、シールドコネクタ1の場合と同様に、シールドコネクタ1bのスライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、各コンタクト12の接点部12bとフレキシブル導電部材10の各導体16とを電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18に対して電気的に接続されるように構成されている。
【0116】
シールドコネクタ1bにおいては、上述したように、シェル14において、平板部33に対して約180度に折り曲げ形成されるとともに更にその先端側の部分が平板部33に対して密着して又は近接して略平行に後方側に向かって延びるように形成されたシールド接続部52が設けられる。このため、シールドコネクタ1bの薄型化を図ることができる。
【0117】
図19は、変形例に係るシールドコネクタ1cを示す平面図(図19(a))と、その図19(a)のI−I線矢視位置における断面図とを示す図である。尚、図19は、前述の実施形態における図12の状態(フレキシブル導電部材10が配置されていない状態でスライダ14がハウジング11の前方側へ移動した状態)に対応した図として図示している。図19の変形例に係るシールドコネクタ1cは、前述の実施形態に係るシールドコネクタ1と同様に構成され、ハウジング11と、シェル13と、スライダ14と、複数のコンタクト12とを備えている。但し、シールドコネクタ1cは、スライダ14のシールド接続部53の構造において、シールドコネクタ1のスライダ14のシールド接続部34と異なっている。尚、図19の変形例に係るシールドコネクタ1cの説明では、シールドコネクタ1と同様の構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0118】
図19に示すように、シールド接続部53は、平板部33の中央部分の前方側において、平板部33の一部が片持ち状態で後方側に向かって突出した状態となるように切り出されて且つ折り曲げられた板状の部分として設けられ、スライダ14の幅方向に亘って長く延びるように配置されている。また、シールド接続部53は、平板部33に対し一体で片持ち状に支持されるとともに、片持ち状に切り出された部分が後方側の斜め下方に向かって延びた後に平板部33と略平行に延びるように形成されている。そして、このシールド接続部53は、弾性変形による可撓性を有し、板バネ状の部分を構成するように設けられている。尚、シールド接続部53の先端部分は、フレキシブル導電部材10に対する引っ掛かりを防止するために円弧状の断面になるように丸く折り曲げられる処理が施されている。
【0119】
シールド接続部53は、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されて、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、フレキシブル導電部材10のシールド部18に接触するとともに、フレキシブル導電部材10を複数のコンタクト12の各接点部12bに向かって押圧するように構成されている。これにより、シールドコネクタ1の場合と同様に、シールドコネクタ1cのスライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、各コンタクト12の接点部12bとフレキシブル導電部材10の各導体16とを電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18に対して電気的に接続されるように構成されている。
【0120】
シールドコネクタ1cにおいては、上述したように、シェル14のシールド接続部53が、平板部33に対し一体で片持ち状に支持されるとともに、片持ち状に切り出された部分が後方側の斜め下方に向かって延びた後に平板部33と略平行に延びるように形成される。このため、シールド接続部53については、コンパクトなスペースにおいて容易にバネ長を長く設定でき、弾性力を確保し易い構造を容易に実現できるとともに弾性力の設定についての設計の自由度を向上させることができる。また、シールドコネクタ1cの薄型化を図ることができる。
【0121】
図20は、変形例に係るシールドコネクタ1dを示す平面図(図20(a))と、その図20(a)のJ−J線矢視位置における断面図とを示す図である。尚、図20は、前述の実施形態における図12の状態(フレキシブル導電部材10が配置されていない状態でスライダ14がハウジング11の前方側へ移動した状態)に対応した図として図示している。図20の変形例に係るシールドコネクタ1dは、前述の実施形態に係るシールドコネクタ1と同様に構成され、ハウジング11と、シェル13と、スライダ14と、複数のコンタクト12とを備えている。但し、シールドコネクタ1dは、スライダ14のシールド接続部54の構造において、シールドコネクタ1のスライダ14のシールド接続部34と異なっている。尚、図20の変形例に係るシールドコネクタ1dの説明では、シールドコネクタ1と同様の構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0122】
図20に示すように、シールド接続部54は、平板部33の中央部分の前方側において、平板部33の一部が下方側に向かって突出した状態となるように折り曲げ形成された部分として設けられ、スライダ14の幅方向に亘って長く延びるように配置されている。また、シールド接続部54は、例えば、プレス加工によって形成され、平板部33に対し一体であって平板部33の上面側では下方に向かって凹んだ状態に(即ち、平板部33の下面側では下方に向かって膨らんだ状態に)形成されている。また、このシールド接続部54として折り曲げ形成された部分の底部分(最も下方側に配置される部分)には、平板部33と略平行に延びるように形成された部分が設けられている。
【0123】
シールド接続部54は、フレキシブル導電部材10の端部がハウジング11に配置されて、スライダ14がハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、フレキシブル導電部材10のシールド部18に接触するとともに、フレキシブル導電部材10を複数のコンタクト12の各接点部12bに向かって押圧するように構成されている。これにより、シールドコネクタ1の場合と同様に、シールドコネクタ1dのスライダ14は、ハウジング11に対して後方側から前方側に向かって移動した状態で、各コンタクト12の接点部12bとフレキシブル導電部材10の各導体16とを電気的に接続するとともに、フレキシブル導電部材10の表面で露出したシールド部18に対して電気的に接続されるように構成されている。
【0124】
シールドコネクタ1dにおいては、上述したように、シェル14のシールド接続部54が、平板部33の一部が下方側に向かって突出した状態となるように折り曲げ形成されるとともに、その折り曲げられた部分の底部分が平板部33と略平行に延びるように形成される。このため、シールドコネクタ1cの薄型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、シールド機能を有するとともに、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブル基板又はフレキシブルケーブルとして構成されるフレキシブル導電部材に接続されるシールドコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 シールドコネクタ
10 フレキシブル導電部材
11 ハウジング
12 コンタクト
13 シェル
14 スライダ
15 リード部
16 導体
18 シールド部
28 側面シールド壁
29 連結シールド壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料で形成されたハウジングと、
前記ハウジングに支持され、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブル基板又はフレキシブルケーブルとして構成されるフレキシブル導電部材における複数の前記導体に対してそれぞれ接続される複数のコンタクトと、
金属材料で形成され、前記ハウジングの両側面をそれぞれ覆う一対の側面シールド壁と、前記一対の側面シールド壁に対して垂直で当該一対の側面シールド壁を一体に連結する連結シールド壁と有し、前記ハウジングの周囲を覆うように当該ハウジングに対して取り付けられるシェルと、
金属材料で形成されるとともに、前記ハウジング及び前記シェルの少なくともいずれかに対して摺接しながら移動自在に取り付けられ、前記ハウジングにおいて前記フレキシブル導電部材の端部が配置される側である前方側とその反対側である後方側との間で移動可能に配置されるスライダと、
前記シェルに一体に形成され、リジッド基板及びフレキシブル基板の少なくともいずれかとして構成される基板に対してはんだ付けされて固定されるリード部と、
を備え、
前記スライダは、前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動した状態で、前記コンタクトと前記フレキシブル導電部材の前記導体とを電気的に接続するとともに、前記シェルと前記フレキシブル導電部材の表面で露出したシールド部とに対して電気的に接続されていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のシールドコネクタであって、
前記ハウジングには、前記フレキシブル導電部材の端部が配置可能に開放形成された開放部が設けられ、
前記開放部は、前記ハウジングにおいて、前記前方側から、前記基板に対向する側と反対側である上方側にかけて、複数の前記コンタクトを露出させるように開放形成されていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のシールドコネクタであって、
前記シェルには、前記基板に対して設置される側と反対側である上方側にて前記ハウジングを覆う前記連結シールド壁において、前記ハウジングの前記開放部を露出させるように開放形成されたシェル側開放部が設けられていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のシールドコネクタであって、
前記スライダは、前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動することで前記開放部の少なくとも一部を覆うとともに、前記コンタクトと前記フレキシブル導電部材の前記導体との接触部分を前記後方側から前記前方側に向かって越えるよう前記開放部を覆うことを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシールドコネクタであって、
前記スライダは、前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動する前の状態においても前記シェルに対して電気的に接続されているように、前記ハウジング及び前記シェルの少なくともいずれかに対して取り付けられていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシールドコネクタであって、
前記シェル及び前記スライダの少なくともいずれかに形成されて、前記ハウジングにおける前記後方側の面を覆う後面壁が設けられていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシールドコネクタであって、
前記スライダ及び前記シェルの少なくともいずれかには、凸状に突出して形成された凸部が設けられ、
前記スライダと前記シェルとは、前記凸部を介して電気的に接続されることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシールドコネクタであって、
前記スライダ及び前記シェルには、前記スライダが前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動する前の状態で互いに係止する凸状の部分として形成された第1係止部と、前記スライダが前記ハウジングに対して前記後方側から前記前方側に向かって移動した後の状態で互いに係止する凸状の部分として形成された第2係止部と、が設けられていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシールドコネクタであって、
前記ハウジングには、前記フレキシブル導電部材の端部が挿入される方向をガイドするガイド溝が形成されていることを特徴とする、シールドコネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のシールドコネクタであって、
前記フレキシブル導電部材の端部には、複数の前記導体が配置される方向である幅方向の両側において両側方に向かってそれぞれ突出するように形成されて前記ガイド溝に挿入される突出片部が設けられ、
前記突出片部は、前記ハウジングに前記フレキシブル導電部材の端部が配置された状態で、前記ハウジングに対して前記前方側に向かって係合することを特徴とする、シールドコネクタ。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図13(c)】
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【図14】
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【図15(a)】
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【図15(b)】
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【図15(c)】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図16(c)】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図18(a)】
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【図18(b)】
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【図19(a)】
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【図19(b)】
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【図20(a)】
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【図20(b)】
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【公開番号】特開2012−9183(P2012−9183A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142163(P2010−142163)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】