説明

シールドシート、収納ケース、収納方法及びリーダライタ

【課題】 磁力線減衰板と磁力線遮蔽部を組み合わせたシールドシートを非接触型情報記録媒体用収納ケースに使用することにより、複数の非接触型情報記録媒体を重ねて使用することが可能な技術を提供する。
【解決手段】 このシールドシート12は、銅又はアルミニュウム等の完全導体又は反磁性体からなるシールド材(磁力線減衰板)13と、シールド材13の表裏に夫々取り付けられるフェライトコア等の磁性材料からなるフェライト材(磁力線遮蔽部)11、14と、を備え、フェライト材11、14同士は少なくとも一部が重複しないように配置される。この実施形態では、シールド材13の略半分に夫々フェライト材11、14を取り付け、それらが互いに重複しないようにしている。即ち、フェライト材11の位置に対向する裏面にシールド材13bがあり、フェライト材14の位置に対向する裏面にシールド材13aがくるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドシート、収納ケース、収納方法及びリーダライタに関し、さらに詳しくは、ICカード等の非接触型情報記録媒体を複数枚重ねた状態で、各記録媒体に対する読み書きを正確に行うことを可能にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる非接触型情報記録媒体が、市場に広く出回っている。ICカードは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内にICチップが組み込まれているものを総称した名称である。最近では、ICカード対応の自動改札機の普及に伴い、一部の利用者においては複数のICカードを定期入れやパスケース等に入れて所持している場面が増加している。例えば、ICカードに対応した自動改札機の利用例として、関東圏ではSuicaを、関西圏ではICOCAを利用する人の場合、夫々の自動改札機を通過する際にその都度、ICカードを定期入れやパスケースから取り出さなければならず煩わしかった。また誤って2枚のICカードを重ねた状態で利用すれば、読取りエラー(または処理エラー)となってしまう。
これらの課題を解決するために特許文献1には、非接触ICカードを入れるカードポケット部の片側に軟質磁性材料からなる磁力線遮蔽部を設けたり、あるいは、非接触ICカードを入れる第1、第2のカードポケット部を、軟質磁性材料からなる磁力線遮蔽部の両側に配設し、第1、第2のカードポケット部のうちの一方のカードポケット部の外側には、完全導体または反磁性体からなる磁力線減衰部を設けることにより、ポケットを向ける面によりどの非接触ICカードと交信するかを決定する技術について開示されている。
また特許文献2には、2枚の非接触式情報記録媒体を積層状に収納でき、かつ、その収納状態で非接触式情報記録媒体処理機のアンテナにかざされたときに、その非接触式情報記録媒体処理機との間でデータ授受を行うことのできる材質からなる収納部と、その収納部内で、かつ、積層状の前記非接触式情報記録媒体の間に設けられ、前記非接触式情報記録媒体処理機との間のデータ授受を阻止する材質からなる遮蔽板とからなり、2枚の非接触式情報記録媒体のうち交信が必要な非接触式情報記録媒体と選択的に交信する技術について開示されている。
【特許文献1】特開平10−201517号公報
【特許文献2】特開2001−76104公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、磁力線遮蔽部をICカード全面に設ける必要がある。一般に磁力線遮蔽部はフェライト等のコスト的に高価な部材を使用するため、部品単価が高くなるといった問題がある。
また特許文献2に開示されている従来技術は、特許文献1と同様にフェライトコアにより形成される遮蔽部をICカード全面に設ける必要があるため、部品単価が高くなるといった問題がある。また、遮蔽部の材質を金属で構成することが開示されているが、この場合、金属による磁力線の減衰が発生して不都合が発生する虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、磁力線減衰板と磁力線遮蔽部を組み合わせたシールドシートを非接触型情報記録媒体用収納ケースに使用することにより、複数の非接触型情報記録媒体を重ねて使用することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、完全導体又は反磁性体からなる磁力線減衰板と、該磁力線減衰板の表裏面に夫々取り付けられる磁性材料からなる磁力線遮蔽部と、を備え、前記各磁力線遮蔽部同士は少なくとも一部が重複しないように配置されることを特徴とする。
磁力線減衰板とは電磁誘導を遮断する働きがあるもので、例えば銅板やアルミニュウム等の完全導体又は反磁性体を指す。また磁力線遮蔽部とは磁力線が減衰しない材料でフェライトコア等の磁性材料を指す。本発明では磁力線減衰板の表裏に各磁力線遮蔽部同士が少なくとも一部が重複しないように配置される。
請求項2は、前記磁力線減衰板の表裏面に夫々磁力線遮蔽部用凹部を設け、各磁力線遮蔽部用凹部内に前記各磁力線遮蔽部を嵌合させたことを特徴とする。
平坦な磁力線減衰板の表裏に厚みのある磁力線遮蔽部を取り付けると、全体の厚みが厚くなると共に、表面に凹凸が生じてしまう。そこで本発明では、磁力線減衰板に磁力線遮蔽部が収まるような凹部を設けることにより、全体の厚みを薄くすると共に、表面を平らにするものである。
請求項3は、前記磁力線減衰板は、銅、若しくはアルミニュウムにより構成されていることを特徴とする。
磁力線は導体内を通過するときにジュール熱としてエネルギーが減衰する。その結果、磁力線が減衰する。従って、磁力線減衰板の材料としては反磁性材料である銅、若しくはアルミニュウムが好ましい。
請求項4は、前記磁力線遮蔽部はフェライトコアにより構成されていることを特徴とする。
磁力線は磁性材料内を通過するときはほとんど減衰しない。この原理を応用して磁束密度は小さいが、保磁力が大きいフェライトコアを磁力線遮蔽部として使用するには最適である。それによりフェライトコアにより磁力線が遮蔽される。
【0005】
請求項5は、2枚の非接触型情報記録媒体を重ねて収納する収納ケースであって、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシールドシートと、前記非接触型情報記録媒体を夫々1枚ずつ収納する2つの収納部と、を備え、前記2つの収納部は前記シールドシートにより分離されていることを特徴とする。
収納ケースに2枚の非接触型情報記録媒体を重ねて収納する場合、2枚の非接触型情報記録媒体の間に本発明のシールドシートを介在させ、一方から放射された磁力線が片面の非接触型情報記録媒体だけに到達するように構成する。
請求項6は、前記2枚の非接触型情報記録媒体を前記収納部に夫々個別に収納する場合、夫々の非接触型情報記録媒体の制御を司るICチップ搭載部分が前記シールドシートに取り付けられた磁力線減衰板と対向するように、前記各非接触型情報記録媒体を収納することを特徴とする。
シールドシートによる非接触型情報記録媒体へのシールド効果は、非接触型情報記録媒体のシールド面積を一定とした場合、非接触型情報記録媒体のチップ搭載部周辺に施した場合がもっとも高いことが実験により判明した。逆に言えば、非接触型情報記録媒体のチップ搭載部にあたる場所の磁力線減衰板の両面に磁力線遮蔽部があると、シールド効果が低下するとも言える。
請求項7は、請求項6記載の収納方法により収納した2枚の非接触型情報記録媒体に対する情報の読み書きをリーダライタにより行う場合、前記2枚の非接触型情報記録媒体の何れか一方の面を前記リーダライタのアンテナ部に近接することにより、当該面に対する情報の読み書きが行われることを特徴とする。
本発明の収納ケースに本発明の収納方法により2枚の非接触型情報記録媒体を収納した場合、動作させる方の非接触型情報記録媒体をアンテナ部に近接する必要がある。これによりアンテナ部に近接した非接触型情報記録媒体とリーダライタとが交信し、反対側に収納された非接触型情報記録媒体とは交信しない。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、磁力線減衰板の表裏に各磁力線遮蔽部同士が少なくとも一部が対向し合わないように配置されるので、少ない部品で且つ磁力線遮蔽効果を高めたシールドシートを実現することができる。
また請求項2では、磁力線減衰板に磁力線遮蔽部が収まるような凹部を設けるので、シールドシート全体の厚みを薄くすると共に、表面を平らにすることができる。
また請求項3では、磁力線減衰板の材料としては反磁性材料である銅、若しくはアルミニュウムを使用するので、比較的安価で且つ磁力線の減衰効果を高めることができる。
また請求項4では、磁束密度は小さいが、保磁力が大きいフェライトコアを磁力線遮蔽部として使用するので、磁力線遮蔽効果を高め、且つその効果を長く持続することができる。
また請求項5では、2枚の非接触型情報記録媒体の間に本発明のシールドシートを介在させるので、同じ収納ケースに2枚の非接触型情報記録媒体を重ねて収納しても読み取りエラーをなくすことができる。
また請求項6では、ICチップ搭載部分がシールドシートに取り付けられた磁力線遮蔽部と重ならないように、各非接触型情報記録媒体を収納するので、各非接触型情報記録媒体へのシールド効果を更に高めることができる。
また請求項7では、本発明の収納ケースに本発明の収納方法により2枚の非接触型情報記録媒体を収納した場合、動作させる方の非接触型情報記録媒体をアンテナ部に近接するので、明らかに使用する非接触型情報記録媒体の向きを間違えることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なICカード用リーダライタの構成を示すブロック図である。このICカード用リーダライタ(以下、単にリーダライタと呼ぶ)100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカード(RFタグ)との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
図2は、ICカードの構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0008】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード200がリーダライタ100に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICカード200内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード200が規格に合致したICカードであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICカード200の間でポーリングが行われる。
【0009】
図3(a)は本発明の第1の実施形態に係るシールドシートの構成を示す図である。このシールドシート12は、銅又はアルミニュウム等の完全導体又は反磁性体からなるシールド材(磁力線減衰板)13と、シールド材13の表裏に夫々取り付けられるフェライトコア等の磁性材料からなるフェライト材(磁力線遮蔽部)11、14と、を備え、フェライト材11、14同士は少なくとも一部が重複しないように配置される。この実施形態では、シールド材13の略半分に夫々フェライト材11、14を取り付け、それらが互いに対向しないようにしている。即ち、フェライト材11の位置に対向する裏面にシールド材13bがあり、フェライト材14の位置に対向する裏面にシールド材13aがくるようにしている。
図3(b)はパスケース(詳細は後述する)に収納した2枚のICカードをICカード読み取り部に近接した場合の動作を説明する図である。この実施形態では、パスケース(収納ケース)15は2枚のICカードA200aとICカードB200bを重ねて収納するパスケースであって、図3(a)で説明したシールドシート12と、ICカードA200aとICカードB200bを夫々1枚ずつ収納する2つの収納部17、18と、を備え、2つの収納部17、18はシールドシート12により分離されている。このパスケースをリーダライタ100のアンテナ9に近接すると、例えば図3(b)の場合は、ICカードB200bがパスカード12の収納部18に収納されているので、アンテナ9から放射された磁力線16によりICカードB200bに備えられたアンテナ20によりリーダライタ100と交信が可能となる。このときICカードA200aはシールドシート12により磁力線16が遮断されてリーダライタ100と交信が不可能となる(詳細は後述する)。
図3(c)はパスケースを正面から見た図である。パスケース15は正面に収納部17、18の口17a、18aがあり、その境界に上下を分けるようにシールドシート12により分離されている。この場合、パスケース15の外壁は磁力線影響を与えない材質(例えば樹脂材等)により構成される。
【0010】
図4(a)はICカードのチップ搭載部のシールド方法を説明する図である。シールドシート12によるICカードへのシールド効果は、ICカードのシールド材13の面積を一定とした場合、ICカードのチップ搭載部周辺に施した場合がもっとも高いことが実験により判明した。逆に言えば、ICカード200aのチップ搭載部30にあたる場所のシールド材13bの両面にフェライト材があると、シールド効果が低下するとも言える。そこで本実施形態では、シールド材13の両面の略半分にフェライト材11とフェライト材14を取り付け、ICカードA200aのチップ搭載部30がフェライト材11とのみと重なるようにするため、フェライト材11と重なるシールド材13bにはフェライト材を取り付けないようにする。また同様にしてICカードB200bのチップ搭載部31がフェライト材14とのみと重なるようにするため、フェライト材14と重なるシールド材13aにはフェライト材を取り付けないようにする。図4(b)はシールドシート12にICカードA200aのチップ搭載部30がフェライト材11に重なるようにセットした場合の上面図である。従って、パスケース15にICカードA200aを収納する場合は、どの方向で重ねてもチップ搭載部の下はシールドされる。即ち、シールド効果が高いのは、図4(b)においてチップ搭載部30が右側にあるときである。
【0011】
図5は本発明の第2の実施形態に係るシールドシートの構成を示す図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。図5(a)は第1の実施形態のシールドシートの構成であり、平坦なシールド材13の表裏に厚みのあるフェライト材11、14を取り付けるため全体の厚みが厚くなると共に、両面に凹凸が生じてしまう。図5(b)は本実施形態におけるシールドシートの構成である。本実施形態のシールドシートは、フェライト材11、14をシールド材13の表裏の少なくとも一部が重複しない位置に取り付け、且つフェライト材11、14の表裏に夫々フェライト材用凹部(磁力線遮蔽部用凹部)11a、14aを設け、各フェライト材用凹部11a、14a内にフェライト材11、14を嵌合させるものである。
図6は本発明のシールドシートにICカードを重ねた場合の磁力線の動きを説明する模式図である。図6のようにICカード200の片面に磁束70、73の磁路を形成するフェライト材11(14)を配置することにより、ICカード200の直下にシールド材13が存在していても、磁束70、73がフェライト材11(14)を磁路として利用してICカード200の図示しないループアンテナを横切るため、図示しないリーダライタとの交信を行うことができる。尚、図では磁束74がシールド材13により減衰されるが、フェライト材11(14)が磁束の通路となり金属の影響を無視することができる。
図7は図6の原理に基づいて本発明のシールドシートによる磁力線の動きを説明する模式図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。尚、説明を簡略化するために磁力線を2本として説明する。リーダライタのアンテナ9から放射した磁力線40は、ICカードB200bの図示しないアンテナを横切ってフェライト材14に到達する。フェライト材14は磁性材料であるため、磁力線40を減衰することなく矢印の方向に通過させる。仮にフェライト材14から漏洩した磁力線が存在しても、シールド材13が完全導体又は非磁性体から構成されているので、漏洩した磁力線は減衰してICカード200a側には殆ど到達しない。また、他の磁力線41は、ICカードB200bの図示しないアンテナを横切って直接シールド材13に到達する。シールド材13は完全導体又は非磁性体から構成されているので、磁力線は減衰してフェライト材11を矢印の方向に通過する。そして再びシールド材13により減衰されてその表面から磁力線42として放射されるが、磁力線42はシールド材13により大きく減衰して磁力線40には殆ど影響を与えない。このときフェライト材11は磁性材料であるため、磁力線41を減衰することなく矢印の方向に通過させるため、ICカード200a側には殆ど到達しない。
前述したように、シールドシート12によるICカードへのシールド効果は、ICカードのシールド材13の面積を一定とした場合、ICカードのチップ搭載部周辺に施した場合がもっとも高いことが実験により判明している。従って、ICカード200aのチップ搭載部30にあたる場所のシールド材13bの両面にフェライト材があると、シールド効果が低下するので、本発明ではシールド材13bにはフェライト材を設置しないようにしている。
【0012】
以上の通り本発明によれば、シールド材13の表裏に各フェライト材11、14同士が少なくとも一部が対向し合わないように配置されるので、少ない部品で且つ磁力線遮蔽効果を高めたシールドシート12を実現することができる。
また、シールド材13にフェライト材11、14が収まるような凹部11a、14aを設けるので、シールドシート12全体の厚みを薄くすると共に、表面を平らにすることができる。
また、シールド材13の材料としては反磁性材料である銅、若しくはアルミニュウムを使用するので、比較的安価で且つ磁力線の減衰効果を高めることができる。
また、磁束密度は小さいが、保磁力が大きいフェライトコアを磁力線遮蔽部として使用するので、磁力線遮蔽効果を高め、且つ効果を長く持続することができる。
また、2枚のICカード200a、200bの間に本発明のシールドシート12を介在させるので、同じ収納ケースに2枚のICカード200a、200bを重ねて収納しても読み取りエラーをなくすことができる。
また、ICチップ搭載部30、31がシールドシート12に取り付けられたフェライト材11、14と重ならないように、各ICカード200a、200bを収納するので、各ICカード200a、200bへのシールド効果を更に高めることができる。
また、本発明の収納ケース15に本発明の収納方法により2枚のICカード200a、200bを収納した場合、動作させる方のICカードをアンテナ部9に近接するので、明らかに使用するICカードの向きを間違えることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一般的なICカード用リーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】ICカードの構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係るシールドシートの構成を示す図、(b)はパスケースに収納した2枚のICカードをICカード読み取り部に近接した場合の動作を説明する図、(c)はパスケースを正面から見た図である。
【図4】(a)はICカードのチップ搭載部のシールド方法を説明する図、(b)はシールドシート12にICカードA200aのチップ搭載部30がフェライト材11に重なるようにセットした場合の上面図である。
【図5】(a)(b)は本発明の第2の実施形態に係るシールドシートの構成を示す図である。
【図6】本発明のシールドシートにICカードを重ねた場合の磁力線の動きを説明する模式図である。
【図7】図6の原理に基づいて本発明のシールドシートによる磁力線の動きを説明する模式図である。
【符号の説明】
【0014】
9 アンテナ部、11、14 フェライト材、12 シールドシート、13 シールド材、15 パスカード、17、18収納部、30、31 チップ搭載部、100 リーダライタ、200 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全導体又は反磁性体からなる磁力線減衰板と、該磁力線減衰板の表裏面に夫々取り付けられる磁性材料からなる磁力線遮蔽部と、を備え、
前記各磁力線遮蔽部同士は少なくとも一部が重複しないように配置されることを特徴とするシールドシート。
【請求項2】
前記磁力線減衰板の表裏面に夫々磁力線遮蔽部用凹部を設け、各磁力線遮蔽部用凹部内に前記各磁力線遮蔽部を嵌合させたことを特徴とする請求項1に記載のシールドシート。
【請求項3】
前記磁力線減衰板は、銅、若しくはアルミニュウムにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドシート。
【請求項4】
前記磁力線遮蔽部はフェライトコアにより構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のシールドシート。
【請求項5】
2枚の非接触型情報記録媒体を重ねて収納する収納ケースであって、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシールドシートと、前記非接触型情報記録媒体を夫々1枚ずつ収納する2つの収納部と、を備え、
前記2つの収納部は前記シールドシートにより分離されていることを特徴とする収納ケース。
【請求項6】
前記2枚の非接触型情報記録媒体を前記収納部に夫々個別に収納する場合、夫々の非接触型情報記録媒体の制御を司るICチップ搭載部分が前記シールドシートに取り付けられた磁力線減衰板と対向するように、前記各非接触型情報記録媒体を収納することを特徴とする収納方法。
【請求項7】
請求項6記載の収納方法により収納した2枚の非接触型情報記録媒体に対する情報の読み書きをリーダライタにより行う場合、前記2枚の非接触型情報記録媒体の何れか一方の面を前記リーダライタのアンテナ部に近接することにより、当該面に対する情報の読み書きが行われることを特徴とするリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−314556(P2006−314556A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140377(P2005−140377)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】