説明

シールドパネル及びシールドパネル連結構造並びにこれらを用いたシールド壁体、シールドルーム及びその構築方法

【課題】電磁シールド機能と磁気シールドとを同時に発揮させる際に、その施工性を改善し、コストの削減を図るとともに、特にパネルの連結部分に施工労力を軽減させることを可能とする。
【解決手段】シールドパネル1は、平板状の充填体11と、充填体11の一面側に取付けられた導電性を有する第1金属板13と、充填体11の他面側に取付けられ、充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部16を有する電磁鋼板15とを備えている。また、連結すべきシールドパネル1は、互いの第1金属板13間並びに突出部16間が離間した状態となるように隣接配置され、突出部16間を跨いで短冊状の形状からなる補助電磁鋼板31が当接され、また第1金属板16間には導電性を有する第1金具41が架設されることにより、それぞれの間隙が密閉されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁シールド及び磁気シールド性能を有するシールドパネル、このシールドパネルを互いに連結するために用いられるシールドパネル連結構造、並びにこのシールドパネル連結構造により構成されるシールド壁体、シールドルーム及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコン内蔵の家電製品やコードレス電話の普及等により、電磁波ノイズの影響を受ける対象は、インテリジェントビルや研究所、更には住宅にまで及び、電磁波障害への社会的な関心が高まっている。特にLSIの高集積化、高速化等により各デバイスが小型大容量化し、その結果、耐ノイズ性能が低下する傾向にあることから、かかる電磁波障害に対する対策がより一層求められる状況になっている。
【0003】
特に電磁波障害の対策を講じる上では、シールド技術とともに各デバイスが正常に動作する場としての条件を備えた快適な空間を創造することが重要になる。近年では、電磁遮蔽機能力を持ったシールドビルが脚光を浴びている。このシールドビルでは、建物の用途や構造に基づいて、外壁や内壁、天井等に電磁シールド機能を持たせ、建物全体はもとより、各フロア単位、各部屋単位で電磁波をシールドすることができる。これにより、建物内部において電磁波遮蔽空間を自在に作り出すことができる。
【0004】
実際に、このシールドビルにおいて壁体等に電磁シールド機能を持たせる場合には、かかる壁体を、電磁シールド機能を持つ電磁シールドパネルを互いに嵌合することにより構成する場合が多い(例えば、特許文献1参照)。この電磁シールドパネルは、シールドビルのみならず、電子機器から漏洩する電磁波を正確に測定するための測定施設としての電波暗室、或いは放送スタジオや音楽ホール等、あらゆる電磁遮蔽空間の壁体に適用されるものである。
【0005】
また、近年においては、脳磁計測や心磁計測などのように微弱な磁場を測定し検出する生体磁気測定システムや、半導体製造プロセスに際し微細な回路パターンを電子線で描画する電子線描画装置等のいわゆる磁気利用装置が普及しつつある。このような生体磁気測定システムにおいては、測定磁場や電子線が外部からの磁気的な影響を受けるのを防止することにより、正常な動作を保証する必要があり、また、このような磁気利用装置においては、磁気的影響から人体や他の機器を保護する必要があるため、電磁シールド技術に加えて、磁気シールド技術に対する要求が高まっている。
【0006】
このような磁気障害への対策としては、磁性材料板の群を簾状又はルーバ状に並べて構成した、いわゆる開放型磁気シールド構造が提案されている(例えば、特許文献2〜3参照。)。この開放型磁気シールド構造では、短冊状の磁性材料板を板厚方向へ所定間隔をおいて複数段に亘り積層させることにより列状簾体を形成させる。またこの開放型磁気シールド構造では、空気や光の透過性も良好となる。
【0007】
また、これら電磁波障害と磁気障害との両方への対策として、例えば特許文献4に示すような密閉型シールド構造が提案されている。この密閉型シールド構造では、芯材の外側面に強磁性材プレートを覆設し、内側面に導電性材プレートを覆設してなるシールドパネルを使用する。このシールドパネル間の連結手段は、端面が対向するように複数個配置されたシールドパネルの外側面に強磁性材当て板を当接させるとともに、内側面に導電性材当て板を当接させた状態で、これら当て板をスタッドボルト、ナットを締め付け螺合することによりシールドパネルを挟持するようにして構成される。このような構成によりシールドパネルを連結して設けられるシールドルームは、簡易な構成によって電磁シールド性能及び磁気シールド性能を同時に発揮させることが可能となる。
【特許文献1】特開2000−299588号公報
【特許文献2】特開2002−164686号公報
【特許文献3】特開2006−351598号公報
【特許文献4】特開平06−6069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、MRI(Magnetic Resonance Imaging)室においては、MRIからの強磁場が室外のペースメーカー保有者へ影響するのを防ぐとともに、MRI室内外で使用される機器が外来電波及び磁気ノイズによって影響を受けるのを防止する必要がある。このため、MRI室内空間に対しては、電磁シールドとともに磁気シールドも同時に実現する必要がある。しかしながら、上述した特許文献1〜3は、電磁シールドと磁気シールドをそれぞれ独立して実行する場合を想定しているものであって、これらの性能を同時に発揮させるための特別な構成については何ら開示されていない。
【0009】
このため、従来において、電磁シールド並びに磁気シールドは、材料及び施工がそれぞれ別建てとなることから、これらを2段階に分けて施工しなければならず、施工期間が長くなるとともに、別部材を使用することによる材料費用が高騰するという問題があった。また、電磁シールド並びに磁気シールドをそれぞれ独立して施工していくことから、品質上の性能管理も煩雑になるという問題点もあった。
【0010】
また、特許文献2、3において開示されている磁気シールドパネルは、磁性材料板の群を簾状又はルーバ状に並べて構成しなければならず、施工性の観点において改善の余地があった。また、このような磁気シールドパネルを互いに連結する際には、互いに連結すべき電磁鋼板同士に接続用の電磁鋼板を架設、ビス止めしなければならず、施工労力が増大し、ひいては工期の短縮化が困難になるという場合もあった。
【0011】
さらに、特許文献2、3に開示された技術では、パネルの厚みが50mmと厚く構成しなければならず、パネル本体の軽量化を図ることにより、運搬性、施工性を向上させる必要もあった。
【0012】
さらにまた、特許文献4に開示された技術では、電磁シールド性能がシールドパネルの一側面にのみ覆設された導電性材プレートによって発揮され、いわゆる一重シールドとして構成されている。このため、二重シールドとして構成される他の電磁シールドパネル等に比べ、電磁シールド性能を十分に発揮させることができないという問題点があった。
【0013】
また、密閉型のシールドルームにおいて最も電磁波及び磁気が漏洩し易い箇所は、シールドルームにおいて互いに直交する2以上の平面が交差する交差部であるが、特許文献4に開示された技術では、交差部におけるシールドパネルやシールドパネルの連結構造について何ら具体的な構成が開示されていない。このため、二重シールドとして構成しつつ、交差部においても十分なシールド性能を有する密閉型のシールドルームが望まれていた。
【0014】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、電磁シールド機能と磁気シールド機能とを同時に発揮させる際に、その施工性を改善し、コストの削減を図るとともに、特にパネルの連結部分に施工労力を低減させつつ所期の各機能を実現させることが可能なシールドパネル、及びこのシールドパネルを互いに連結するために用いられるシールドパネル連結構造、並びにこのシールドパネル連結構造により構成されるシールド壁体、シールドルーム及びその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、上述した課題を解決するために、平板状の充填体と、充填体の一面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、充填体の他面側に取付けられ、充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えるシールドパネルを発明した。また更に、本発明者は、当該シールドパネルを、互いの第1金属板間並びに突出部間が離間した状態となるように隣接配置し、突出部間を跨いで短冊状の形状からなる補助電磁鋼板を当接させ、また第1金属板間には導電性を有する第1金具を架設させることにより、それぞれの間隙を密閉させるシールドパネル連結構造を発明した。
【0016】
即ち、本願請求項1に係るシールドパネルは、電磁波及び磁気を遮蔽する壁体の一部を構成するシールドパネルにおいて、平板状の充填体と、充填体の一面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、充填体の他面側に取付けられ、充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えることを特徴とする。
【0017】
本願請求項2に係るシールドパネルは、請求項1に係る発明において、電磁鋼板が導電性を有する第2金属板によりその外面側が被覆されていることを特徴とする。
【0018】
本願請求項3に係るシールドパネル構造体は、電磁波及び磁気を遮蔽する壁体であって、互いに直交する2以上の平面が交差する交差部を構成する電磁波シールドパネル構造体において、互いに直交する平板状の2以上の充填体と、各充填体の内周面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、各充填体の外周面側に取付けられ、充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えることを特徴とする。
【0019】
本願請求項4に係るシールドパネル構造体は、請求項3に係る発明において、電磁鋼板が導電性を有する第2金属板によりその外面側が被覆されていることを特徴とする。
【0020】
本願請求項5に係るシールドパネル連結構造は、シールドパネルを互いに連結することにより構成されるシールドパネル連結構造において、シールドパネルは、平板状の充填体と、充填体の一面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、充填体の他面側に取付けられ、充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備え、連結すべきシールドパネルは、互いの上記第1金属板間並びに上記突出部間が離間した状態となるように隣接配置され、突出部間を跨いで短冊状の形状からなる補助電磁鋼板が当接されるとともに、第1金属板間に導電性を有する第1金具が架設されることにより、それぞれの間隙が密閉されていることを特徴とする。
【0021】
本願請求項6に係るシールドパネル連結構造は、請求項5に係る発明において、連結すべき一方又は両方のシールドパネルが、互いに直交する平板状の2以上の充填体と、各充填体の内周面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、各充填体の外周面側に取付けられ、充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えるシールドパネル構造体として構成されていることを特徴とする。
【0022】
本願請求項7に係るシールドパネル連結構造は、請求項5又は6に係る発明において、第1金具が、両端部を残して中央部に凹部を形成させた断面略ハット型で構成され、凹部が第1金属板間に介装されるとともに、両端部が第1金属板表面に当接されてなることを特徴とする。
【0023】
本願請求項8に係るシールドパネル連結構造は、請求項5〜7のうち何れか1項に係る発明において、補助電磁鋼板が、突出部に密着されていることを特徴とする。
【0024】
本願請求項9に係るシールドパネル連結構造は、請求項5〜8のうち何れか1項に係る発明において、第1金具と補助電磁鋼板との間に、弾性体が介装され、弾性体により、補助電磁鋼板が、電磁鋼板の突出部に対して押圧されていることを特徴とする。
【0025】
本願請求項10に係るシールドパネル連結構造は、請求項5〜9のうち何れか1項に係る発明において、電磁鋼板が、導電性を有する第2金属板によりその外面側又は外周面側が被覆され、第2金属板間には導電性を有する第2金具が架設されていることにより、その間隙が密閉されていることを特徴とする。
【0026】
本願請求項11に係るシールドパネル連結構造は、請求項10に係る発明において、第1金具及び第2金具が、補助電磁鋼板を貫通したビス又はボルトにより固定されていることを特徴とする。
【0027】
本願請求項12に係るシールドパネル連結構造は、請求項5〜11のうち何れか1項に係る発明において、充填体が、木質材料から構成されていることを特徴とする。
【0028】
本願請求項13に係るシールドパネル連結構造は、請求項5〜11のうち何れか1項に係る発明において、充填体が、その上下端部並びに側端部に補強材が取り付けられていることを特徴とする。
【0029】
本願請求項14に係るシールドルームは、請求項5〜13のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造によりシールド壁体を構築し、上記シールド壁体により包囲された閉空間が構成されることを特徴とする。
【0030】
本願請求項15に係るシールド壁体の構築方法は、シールドパネルを互いに連結してシールド壁体を構築するシールド壁体の構築方法において、連結すべき請求項1又は3に記載のシールドパネルを、互いの第1金属板間並びに突出部間が離間した状態となるように隣接配置し、突出部間を跨いで短冊状の形状からなる補助電磁鋼板を当接させるとともに、第1金属板間に導電性を有する第1金具を架設することにより、それぞれの間隙を密閉させることを特徴とする。
【0031】
本願請求項16に係るシールド壁体の構築方法は、連結すべき一方又は両方のシールドパネルが、請求項2又は4に記載のシールドパネルであり、第2金属板間には導電性を有する金具を架設することにより、その間隙を密閉させることを特徴とする。
【0032】
本願請求項17に係るシールドルームの構築方法は、請求項15又は16に記載のシールド壁体の構築方法によりシールド壁体を構築し、シールド壁体により包囲された閉空間を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
上述した構成からなる本発明では、電磁シールド機能と磁気シールド機能とを同時に発揮させる際に、その施工性を改善し、コストの削減を図るとともに、特にパネルの連結部分に施工労力を低減させつつ所期の各機能を実現させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、電磁波及び磁気を遮蔽する壁体の一部を構成するシールドパネル1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明を適用したシールドパネル1を互いに連結することにより構築されるシールド壁体5の構成を示している。このシールド壁体5は、閉空間8周囲を取り囲む壁体の一部を構成しており、外部空間9から閉空間8、又は閉空間8から外部空間9に向けて入射する電磁波及び磁気を遮蔽するものである。また、閉空間8周囲を取り囲む壁体の全てをシールドパネル1によって構成してシールドルーム6を形成することも可能である。このシールドルーム6は、外部空間9と閉空間8との間での電磁波の漏洩、侵入を防止する電磁シールドルームとしての機能と、閉空間8内から外部空間9への磁気ノイズ及び外部空間9から閉空間8への磁気ノイズを遮断し、閉空間8と外部空間9との間を磁気的に絶縁する磁気シールドルームとしての機能との両方を併せ持つものである。
【0036】
これらのシールド壁体5及びシールドルーム6は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)室において特に好適に用いられる。このようなMRI室に対して用いられるシールド壁体5及びシールドルーム6は、MRIからの強磁場が室外のペースメーカー保有者へ影響するのを防ぐとともに、MRI室内外で使用される機器が外来電波及び磁気ノイズの影響を受けるのを防止可能とするものである。
【0037】
図2(a)は、このシールド壁体5及びシールドルーム6を構成するシールドパネル1の斜視図を、また図2(b)は、シールドパネル1の正面図を示している。また、図3は、シールドパネル1のA−A´線断面図を示している。
【0038】
シールドパネル1は、平板状の充填体11と、充填体11の一面側11aに取付けられた第1金属板13と、充填体11の他面側11bに取付けられた電磁鋼板15と、電磁鋼板15の外面側15aに被覆された第2金属板17とを備えている。また、この電磁鋼板15は、充填体11の上下端部11c並びに側端部11dから外側に向かって突出形成された突出部16を有している。更に、充填体11の上下端部11c並びに側端部11dには、それぞれ断面略コ字状又はロ字状の補強材19が取り付けられている。
【0039】
即ち、このようにして構成されるシールドパネル1は、第1金属板13と、第2金属板17及び電磁鋼板16とが互いに対向して設けられ、これらの間に充填体11が充填されて構成されている。また、このシールドパネル1は、外部から視認すると、全体として平板状の形状から構成されている。
【0040】
充填体11は、いかなる材料で構成されていてもよいが、電磁波シールドパネル1に対して断熱性をもたせるために、断熱性の材料で構成されていることが望ましい。充填体11の材質としては、例えば、玄武岩、鉄鋼スラグ等に石灰等を混合し、高温中で溶解することにより形成されるロックウールを始めとして、グラスウール、炭化コルクといった繊維系の断熱材を適用するようにしてもよい。また、充填体11の材質としては、その他にも、けい酸カルシウムや撥水性パーライト、ウレタンフォーム、或いはポリエチレンフォーム等の発泡系断熱材や、グラスフォーム等のような発泡無機質系断熱材を適用するようにしてもよい。更に、充填体11の材質としては、例えば木質コンパウンド等のような硬度の高い木質材料を用いてもよい。なお、以下の例では、特別の記載がない限り、この充填体11につきロックウールで構成される場合を例にとり説明をする。
【0041】
第1金属板13及び第2金属板17は、平板状の形状からなり、導電性を有するものである。これらの第1金属板13及び第2金属板17は、例えば、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板としてのガルバリウム鋼板、或いは亜鉛めっき鋼板等によって具体化される。また、これらの第1金属板13及び第2金属板17としては、その他にステンレス鋼板、アルミめっき鋼板等を適用するようにしてもよい。また、ガルバリウム鋼板、亜鉛めっき鋼板、ステンレスメッキ鋼板等をこれら第1金属板13及び第2金属板17として用いる場合、これら鋼板の塗膜は後述する第1金具41及び第2金具37との接合部において通常そのまま用いるが、はがした状態で使用してもよい。
【0042】
このシールドパネル1では、閉空間8や外部空間9から入射されてきた電磁波を第1金属板13及び第2金属板17において反射させることができることから、このシールドパネル1により電磁シールド性能を発揮させることができる。特に、第1金属板13及び第2金属板17が上記で例示したようなガルバリウム鋼板等から構成されている場合、シールドパネル1は、コスト面において優れているとともに、高い電磁シールド性能を発揮させることが可能となる。
【0043】
なお、シールドパネル1は、第1金属板13と第2金属板17との2種類の金属板によって構成されているため、これら2種類の金属板がいわゆる二重シールドとして機能している。しかし、本発明の適用に際し少なくとも何れか1種類の金属板が設けられていればよく、この場合シールドパネル1は、設けられる1種類の金属板が一重シールドとして機能することになる。
【0044】
電磁鋼板15は、平板状の形状からなり磁気シールド性能を有するものである。この電磁鋼板15は、鋼板として一般に使用されている材質であれば、いかなる材質の鋼板を用いるようにしてもよい。また、電磁鋼板15は、いわゆる方向性電磁鋼板、無方向性電磁鋼板の何れを使用してもよい。電磁鋼板15の材質としては、例えば、純鉄、アモルファス、パーマロイ等を適用するようにしてもよい。
【0045】
この電磁鋼板15を有するシールドパネル1では、閉空間8や外部空間9から入射されてきた磁気をこの電磁鋼板15により引き込むことができることから、このシールドパネル1により磁気シールド性能を発揮させることが可能となる。
【0046】
補強材19は、鋼板を折り曲げたものであって、図3に示すように、第1金属板13及び電磁鋼板17の内面側に補強材19の両端部19aを内接させて固定されている。補強材19は、シールドパネル1の厚み方向に対する強度材として機能するものであり、さらに強度に対する耐性をもたせるためにロ字状に折り曲げていてもよい。なお、補強材19は、本発明の適用において必須の構成要件ではなく、充填材11として十分な硬度を有する木質材料を用いる場合には、補強材19を設けなくともよい。
【0047】
なお、これらの充填体11、第1金属板13、電磁鋼板15、第2金属板17及び補強材19は、如何なる手段を以って互いに固定されていてもよく、例えば接着剤による接着によって、又はビスやネジ等によって固定される。
【0048】
上述の如き構成からなるシールドパネル1の厚み、即ち、第1金属板13から第2金属板17までの長さは、各構成要素の厚み等を適宜変更して、5mm以上50mm以下とすることが可能となる。また、このシールドパネル1の厚みは、必要に応じて、10mm以上40mm以下とするようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明を適用したシールドパネル連結構造3によって、シールドパネル1を互いに連結させてシールド壁体5を構築する方法について説明をする。なお、以下において、充填体11の上下端部11c及び側端部11dの位置に対応するシールドパネル1の上下端部及び側端部は、単に側端部10とのみ表現する。
【0050】
図4(a)に示すように、連結すべき2枚のシールドパネル1は、互いの第1金属板13間並びに突出部16間が離間した状態となるように隣接配置される。換言すれば、2枚のシールドパネル1は、互いの側端部10が対向するようにして隣接配置される。このとき、各シールドパネル1は、第1金属板13の外面側13aに閉空間8が形成されるように、また、第2金属板17の外面側17aに外部空間9が位置するように配置する。また、隣接配置させたシールドパネル1の第1金属板13間、突出部16間及び第2金属板17間には、それぞれシールドパネル1の側端部10に沿う方向に向けて間隙S1、間隙S2及び間隙S3が形成される。
【0051】
次に図4(b)に示すように、これら2枚のシールドパネル1の突出部16間を跨ぐように、突出部16の内面側16aに対して短冊状の補助電磁鋼板31を当接させ、これにより突出部16間の間隙S2を密閉する。この後には、これらシールドパネル1の第1金属板13の外面側13aに対して導電性を有する第1金具41を架設させ、第1金属板13間の間隙S1を密閉する。更にこの後は、これらシールドパネル1の第2金属板17間の外面側17aに対して導電性を有する第2金具37を架設させ、第2金属板17間の間隙S3を密閉する。このようにして各シールドパネル1は、第1金具41、補助電磁鋼板31及び第2金具37によって連結されてシールド壁体5が構築されることになる。
【0052】
補助電磁鋼板31は、電磁鋼板15と同様の材質からなり、その形状は略短冊状として構成されている。更に、この補助電磁鋼板31は、その短手方向の幅が間隙S2の幅以上で構成されている。
【0053】
第1金具41及び第2金具37は、第1金属板13及び第2金属板17と同様の材質から構成されており、その形状は何れも略短冊状で構成されている。また、第1金具41は、その幅が間隙S1の幅以上で構成され、第2金具37は、その幅が間隙S3の幅以上で構成されている。
【0054】
このようなシールドパネル連結構造3によって構成されるシールド壁体5は、間隙S1、間隙S2及び間隙S3の何れもが第1金具41、補助電磁鋼板31及び第2金具37によって密閉されている。また、このシールド壁体5では、これら間隙の密閉に加えて、第1金具41及び第2金具37により各第1金属板13及び第2金属板17を電気的に連続させるとともに、補助電磁鋼板31により各電磁鋼板15を磁気的に連続させて磁気経路を形成させている。これにより、シールド壁体5のシールドパネル連結構造3を介して、閉空間8から外部空間9へ、また外部空間9から閉空間8へ、電磁波や磁気が漏洩するのを防止することが可能となる。特に、電磁波の漏洩に関しては、第1金具41と各第1金属板13、第2金具37と各第2金属板17によって二重シールドとして構成されており、電磁シールド性能に優れた構成となっている。
【0055】
また、本発明において、シールドパネル1に架設される第1金具41及び第2金具37の厚さは、2mm以上にすることが可能である。この場合、これら第1金具41及び第2金具37とともにシールドパネル1の厚さを適宜変更することにより、このシールド壁体5の厚さは、9mm〜60mmとすることが可能となる。これにより、電磁シールド性能及び磁気シールド性能を同時に発揮させつつも、シールド壁体5の施工に要するスペースを大幅に低減させることが可能となる。
【0056】
なお、これらの補助電磁鋼板31如何なる手段を以って固定されていてもよく、例えば、接着剤による接着や、ボルト、ビス等によって固定されている。特に、補助電磁鋼板31に予め接着剤等を塗布しておき、突出部16の内面側16aに対して密着固定されている場合は、一層磁気が漏洩しにくくなり、磁気シールド性能が向上することになる。
【0057】
次に、このようなシールド壁体5を構成可能な他のシールドパネル連結構造3について説明をする。
【0058】
図5(a)は、第1金具41と、補助電磁鋼板31との間に弾性材料からなる弾性体33を介装させた例を示している。この弾性体33は、補助電磁鋼板31を突出部16に対して押圧される程度に介装される。これにより、電磁鋼板15の突出部16と短冊状の補助電磁鋼板31との密着性が高まり、突出部16周囲での磁気シールド性能がより向上する。
【0059】
また、補助電磁鋼板31に対して接着剤を塗布して、突出部16を接着固定するようにしている場合に、弾性体33を介装させておけば、接着剤により補助電磁鋼板31が接着固定されるまで、位置を保持することが可能となる。また、補助電磁鋼板31と突出部16とは、この弾性体33による押圧、接着剤による接着により、密着性を高めることができ、磁気シールド性能をさらに向上させることが可能となる。
【0060】
図5(b)は、隣接配置されているシールドパネル1の各第2金属板17の構成を省略した例である。その結果、電磁波シールドパネル1の連結構造は、第2金具37の取り付け工程を省略することができる。仮に、この第2金属板17並びに第2金具37の構成を省略した場合においても、第1金属板13、第1金具41により電磁波を遮蔽することができる。また、この第2金具37の取り付け工程を省略することができるとともに、第2金属板17を貼り付ける前工程を省略することができ、更には材料コストも減らすことが可能となる。なお、本図5(b)においては、補助電磁鋼板31が、突出部16の内面側16aに取り付けられているが、突出部の外面側16bに取り付けられていてもよい。
【0061】
また、第2金属板17間の間隙S3を第2金具37によって密閉する場合は、第2金属板17及び第2金具37によって電磁シールド性能が発揮されることから、第1金具41及び第1金属板13の構成を省略するようにしてもよい。しかし、シールド壁体5の施工は、閉空間8側から行われるものであることから、閉空間8側から取り付け可能な第1金具41は、第2金具37を取り付ける場合と比較して、施工が容易となる。このため、第1金属板13、第1金具41の構成を残すことが望ましい。
【0062】
また、図5(c)に示すように、第1金具41と第2金具37とをビス35で固定するようにしてもよい。この場合、補助電磁鋼板31には、予め穿孔31aが設けられており、ビス35は、第1金具41を貫通し、この補助電磁鋼板31における穿孔31aを通過して第2金具37に到達する。即ち、このビス35は、この補助電磁鋼板31を介して第1金具41と第2金具37とを互いに固定している。このビス35は、ボルト等に代替してもよく、この場合、第1金具41と第2金具37とがボルト等により締め付け固定される。これにより、第1金属板13と第1金具41とが互いに強固に押圧されてより密着されることになり、また第2金属板17と第2金具37とが互いに強固に押圧されてより密着されることになり、電磁波のシールド性能を向上させることが可能となる。
【0063】
更にまた、図6(a)に示すように、突出部16に対して当接させるべき補助電磁鋼板31は、突出部16の内面側16aからでなく、外面側16bから当接させ、間隙S2を密閉するようにしてもよい。この場合においても、各電磁鋼板15は、補助電磁鋼板31により磁気的に連続した磁気経路を形成していることから、各電磁波シールドパネル1間での磁気シールド性能が発揮される。なお、2枚の補助電磁鋼板31を、外面側16bと内面側16aとの二面に当接させることにより磁気シールド性能を向上させるようにしてもよい。さらに、1枚の補助電磁鋼板31を突出部16の何れかの面に当接させる場合は、補助電磁鋼板31を当接させた面と異なる面に対して補助電磁鋼板と同様の形状からなる補強金具を架設するようにして、各シールドパネル1間の連結を磁気シールド上一層強固にするようにしてもよい。
【0064】
更に、充填体11として木質コンパウンド等の十分な硬度を有する充填材を用いている場合は、図6(b)に示すように、補強材19の構成は省略するようにしてもよい。これにより、シールドパネル1の製造コストの低減に寄与するとともに、補強材を取り付ける工程を省略できる。
【0065】
また、第1金具41と第1金属板13間との間に、図示しない導電性を有するガスケットを挟むようにしてもよい。このガスケットは、弾性材の周囲に高導電性の不織布又は織布を巻き回すことにより構成される。このガスケットは、第1金具41と第1金属板13との接触性を向上させるものである。また、このガスケットを挟むことにより、施工の過程において生じたズレから生じた第1金具41と第1金属板13との間の隙間が密閉され、より電磁波が漏洩することを防止する。
【0066】
このガスケットを構成する弾性材は、例えば、ゴムやシリコンを始めスポンジや発泡性プラスチック、ウレタン、ネオプレン、エチレンプロピルゴム等を適用するようにしても良い。また、ガスケットを構成する織布又は不織布としては、例えば、銀コーティングやニッケルメッキを施したナイロン繊維、モネル等の特殊金属メッシュ、モネル線等を埋め込んだシリコンゴム、シリコンに銀等の導電性粒子を混入したもの等が適用される。また、ガスケットとしては、モネル等の特殊金属メッシュを紐状に形成したものでもよい。
【0067】
因みに、本発明を適用したシールド壁体5又はシールドルーム6を構築する上で、図2に示す平板状の電磁波シールドパネル1は、例えば図1におけるシールド壁体5又はシールドルーム6の一面を構成する平面6aに対して適用される。(以下では、このようなシールド壁体5又はシールドルーム6の一面を構成する平面6aに対して適用されるシールドパネル1を平面パネル1aという。)
【0068】
また、本発明を適用したシールド壁体5又はシールドルーム6を構築する上で、例えば図1における互いに直交する2平面が交差する交差部6bに対して適用されるシールドパネル1は、図7、8に示すような、側部パネル1bを適用する。
【0069】
側部パネル1bは、互いに直交する平板状の2つの充填体11と、各充填体11の内周面11e側に取付けられた導電性を有する第1金属板13と、各充填体11の外周面11f側に取付けられ、充填体11の上下端部11c並びに側端部11dから外側に向かって突出形成された突出部16を有する電磁鋼板15とを備えている。さらに、充填体11の上下端部11c並びに側端部11dには、それぞれ断面略コ字状の補強材19が取付けられている。
【0070】
更にまた、本発明を適用したシールド壁体5又はシールドルーム6を構築する上で、例えば図1に示すような互いに直交する3平面が交差する交差部6cにおいて適用されるシールドパネル1は、図9に示すような、角部パネル1cを適用する。
【0071】
角部パネル1cは、互いに直交する平板状の3つの充填体11と、各充填体11の内周面11e側に取付けられた導電性を有する第1金属板13と、各充填体11の外周面11f側に取付けられ、充填体11の上下端部11c並びに側端部11dから外側に向かって突出形成された突出部16を有する電磁鋼板15とを備えている。さらに、充填体11の側端部11dには、それぞれ断面略コ字状の補強材19が取付けられている。
【0072】
この側部パネル1b、角部パネル1cの構成において、上述したシールドパネル1と同一の構成要素、部材に関しては同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。この側部パネル1b、角部パネル1cに適用される、内周面11eに取り付けられた第1金属板13間及び外周面11fに取り付けられた第2金属板16間は、互いに電気的に連続しており、また、外周面11fに取り付けられた電磁鋼板15間も互いに磁気的に連続している。このため、このようなコーナー部においても同様に電磁波シールド、磁気シールド機能を発揮させることが可能となる。
【0073】
このような構成からなる平面パネル1aと側部パネル1bとを互いに連結させてシールド壁体5又はシールドルーム6の交差部6bを構築する際には、図10に示すような構成となる。即ち、連結すべき2枚の平面パネル1aと、側部パネル1bとの間で、互いの第1金属板13間並びに突出部16間が離間した状態となるように隣接配置させる。換言すると、平面パネル1aと側部パネル1bとは、互いの側端部10が対向するようにして隣接配置される。このとき、各シールドパネル1は、第1金属板13の内面側13aに閉空間8が形成されるように、また、第2金属板17の外面側17aに外部空間9が位置するように配置される。更にまた、隣接配置させた各シールドパネル1の第1金属板11間、突出部16間及び第2金属板17間には、それぞれシールドパネル1の側面に沿う方向に向けて間隙S1、間隙S2及び間隙S3が形成される。
【0074】
そして、平面パネル1a及び側部パネル1bの突出部16の内面側16aに対して短冊状の補助電磁鋼板31を当接させ、これにより電磁鋼板15間の間隙S2を密閉する。また、これら平面パネル1a及び側部パネル1bの第1金属板13の内面側13aに対して導電性を有する第1金具41として断面略ハット型で構成されるハット型金具42を架設させ、第1金属板13間の間隙S1を密閉する。また、平面パネル1a及び側部パネル1bの第2金属板17間の外面側17aに対して導電性を有する第2金具37を架設させ、第2金属板17間の間隙S3を密閉する。これにより、図1に示すようなシールド壁体5及びシールドルーム6の交差部6bにおいても同様に、電磁シールド、磁気シールドを同時に実現することが可能となる。
【0075】
なお、図1に示すようなシールド壁体5又はシールドルーム6の交差部6cを電磁波シールドパネル1を用いて構築する際には、側部パネル1bと角部パネル1cとを上述したように連結させる。即ち、平面パネル1aと、側部パネル1bとを互いに隣接配置させる代わりに、側部パネル1bと、側部パネル1cとを互いの第1金属板13間並びに突出部16間が離間した状態となるように隣接配置させる。この後に、上述した手順と同様に、補助電磁鋼板31、ハット型金具42及び第2金具37を用いる。これにより、交差部6cにおいても同様に、電磁シールド、磁気シールドを同時に実現することが可能となる。
【0076】
このように、本発明においては、シールド壁体5及びシールドルーム6の交差部6b、6cについて、予め製作しておいた側部パネル1b、角部パネル1cを電磁波シールドパネル1と連結するのみでその施工を実現することが可能となる。このため、現場での施工工程を非常に簡略化させることができ、工期の短縮化を図ることが可能となる。
【0077】
更に、電磁波や磁気が漏洩しやすいシールドルーム6の各面の交差部6b、6cについて、側部パネル1b及び角部パネル1cを用いることにより、交差部においても十分な電磁シールド性能及び磁気シールド性能を有するシールドルーム6を構築することが可能となる。特に、第1金属板13とハット型金具42、第2金属板17と第2金具37とによって二重シールドとして構成されているため、電磁波の漏洩が一層強固に防止される。
【0078】
なお、ハット型金具42は、例えば図11に示すように、第1金属板13に接触可能な面が両端部42aにおいて形成され、両端部42aを残して中央部42bに凹部を形成され、断面略ハット型で構成されている。この凹部を有する中央部42bは、第1金属板13間の間隙S1に介装され、両端部42aは第1金属板13表面に密接させるように当接されている。これにより、間隙S1周囲における、電磁波の漏洩をより一層効果的に防止することが可能となる。因みに、このハット型金具42の形状は、凹部が第1金属板13側から電磁鋼板16側に向けて形成されているが、電磁鋼板16側から第1金属板13側に向けて形成されるようにしてもよい。
【0079】
ちなみに、3枚の平面パネル1aを連結する際には、例えば図12に示すように、3方向にT字が形成されるように間隙が形成される場合がある。このような場合に用いられるハット型金具42としては、図12に示すような略T字状に形成されたT字状のハット型金具43を用いるのが望ましい。
【0080】
また、例えば図13に示すように、4枚の平面パネル1aを連結することにより、4方向に向けて十字が形成されるように間隙が形成される場合がある。このような場合に用いられるハット型金具42としては、図13に示すような略十字状に形成された十字状のハット型金具45を用いるのが望ましい。
【0081】
更にまた、例えば図14に示すように、2枚の側部パネル1bを連結することにより2方向に向けてL字状の間隙が形成される場合がある。このような場合に用いられるハット型金具42としては、2方向に向けて延びたL字状のハット型金具47を用いるのが望ましい。
【0082】
なお、上述したT字状及び十字状の間隙が形成された場合に用いられる補助電磁鋼板31は、これらの間隙に対応して3方向又は4方向に向けて延びた短冊状の形状からなる補助電磁鋼板が用いられる。また、上述したL字状の間隙が形成された場合に用いられる補助電磁鋼板31は、直角に折り曲げられた短冊状の補助電磁鋼板が用いられる。
【0083】
即ち、このように最も電磁シールド性能が悪くなりやすい交差部において、これらのハット型金具42を用いることにより、容易に電磁シールド性能を維持することが可能となる。
【0084】
因みに、上述したシールドパネル連結構造5は、例えば図15に示されるような組合せにするのが望ましい。即ち、ハット型金具42を用い、第2金具37を第2金属板17に架設させる。更に、補助電磁鋼板31とハット型の金具42との間に弾性体33を介装させ、更に、ハット型金具42と第2金具37とをビス35により締め付け固定する。このような実施形態により、第1金属板13とハット型金具42、第2金属板17と第2金具37による二重シールドと、ハット型金具42による電磁シールド性能の向上と、ビス35の締め付け固定による電磁シールド性能の向上との相乗効果により、優れた電磁シールド性能が発揮される。また、このような実施形態により、電磁シールド性能の向上に加えて、弾性体33の介装による更なる磁気シールド性能の向上に寄与することになる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を適用したシールド壁体およびシールドルームについて説明するための図である。
【図2】本発明を適用したシールドパネルの構成図である。
【図3】本発明を適用したシールドパネルの断面図である。
【図4】本発明を適用したシールド連結構造について説明するための図である。
【図5】本発明を適用したシールド連結構造の他の実施例について説明するための図である。
【図6】本発明を適用したシールド連結構造の他の実施例について説明するための図である。
【図7】側部パネルの斜視図である。
【図8】側部パネルの断面図である。
【図9】角部パネルの斜視図である。
【図10】平面パネルと側部パネル及び角部パネルとのシールド連結構造について説明するための図である。
【図11】ハット型金具について説明するための図である。
【図12】T字状のハット型金具について説明するための図である。
【図13】十字状のハット型金具について説明するための図である。
【図14】L字状のハット型金具について説明するための図である。
【図15】シールド連結構造について説明するための図である。
【符号の説明】
【0086】
1 シールドパネル
1a 平面パネル
1b 側部パネル
1c 角部パネル
3 シールドパネル連結構造
5 シールド壁体
6 シールドルーム
8 閉空間
9 外部空間
10 側端部
11 充填体
11a 一面側
11b 他面側
11c 上下端部
11d 側端部
11e 内周面
11f 外周面
13 第1金属板
15 電磁鋼板
16 突出部
16a 内面側
16b 外面側
17 第2金属板
19 補強材
31 補助電磁鋼板
31a 穿孔
33 弾性体
35 ビス
37 第2金具
41 第1金具
42 ハット型金具
43 ハット型金具
45 ハット型金具
47 ハット型金具
S1、S2、S3 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波及び磁気を遮蔽する壁体の一部を構成するシールドパネルにおいて、
平板状の充填体と、
上記充填体の一面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、
上記充填体の他面側に取付けられ、上記充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えること
を特徴とするシールドパネル。
【請求項2】
上記電磁鋼板は、導電性を有する第2金属板によりその外面側が被覆されていること
を特徴とする請求項1記載のシールドパネル。
【請求項3】
電磁波及び磁気を遮蔽する壁体であって、互いに直交する2以上の平面が交差する交差部を構成するシールドパネル構造体において、
互いに直交する平板状の2以上の充填体と、
上記各充填体の内周面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、
上記各充填体の外周面側に取付けられ、上記充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えること
を特徴とするシールドパネル構造体。
【請求項4】
上記電磁鋼板は、導電性を有する第2金属板によりその外周面側が被覆されていること
を特徴とする請求項3記載のシールドパネル構造体。
【請求項5】
シールドパネルを互いに連結することにより構成されるシールドパネル連結構造において、
上記シールドパネルは、平板状の充填体と、上記充填体の一面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、上記充填体の他面側に取付けられ、上記充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備え、
連結すべき上記シールドパネルは、互いの上記第1金属板間並びに上記突出部間が離間した状態となるように隣接配置され、
上記突出部間を跨いで短冊状の形状からなる補助電磁鋼板が当接されるとともに、上記第1金属板間に導電性を有する第1金具が架設されることにより、それぞれの間隙が密閉されていること
を特徴とするシールドパネル連結構造。
【請求項6】
上記連結すべき一方又は両方のシールドパネルは、互いに直交する平板状の2以上の充填体と、上記各充填体の内周面側に取付けられた導電性を有する第1金属板と、上記各充填体の外周面側に取付けられ、上記充填体の上下端部並びに側端部から外側に向かって突出形成された突出部を有する電磁鋼板とを備えるシールドパネル構造体として構成されていること
を特徴とする請求項5記載のシールドパネル連結構造。
【請求項7】
上記第1金具は、両端部を残して中央部に凹部を形成させた断面略ハット形で構成され、上記凹部が上記第1金属板間に介装されるとともに、上記両端部が上記第1金属板表面に当接されてなること
を特徴とする請求項5又は6記載のシールドパネル連結構造。
【請求項8】
上記補助電磁鋼板は、上記突出部に密着されていること
を特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造。
【請求項9】
上記第1金具と上記補助電磁鋼板との間には、弾性体が介装され、
上記弾性体により、上記補助電磁鋼板が、上記電磁鋼板の突出部に対して押圧されていること
を特徴とする請求項5〜8のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造。
【請求項10】
上記電磁鋼板は、導電性を有する第2金属板によりその外面側又は外周面側が被覆され、上記第2金属板間には導電性を有する第2金具が架設されていることにより、その間隙が密閉されていること
を特徴とする請求項5〜9のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造。
【請求項11】
上記第1金具及び上記第2金具は、上記補助電磁鋼板を貫通したビス又はボルトにより固定されていること
を特徴とする請求項10記載のシールドパネル連結構造。
【請求項12】
上記充填体は、木質材料から構成されていること
を特徴とする請求項5〜11のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造。
【請求項13】
上記充填体は、その上下端部並びに側端部に補強材が取り付けられていること
を特徴とする請求項5〜11のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造。
【請求項14】
請求項5〜13のうち何れか1項記載のシールドパネル連結構造によりシールド壁体を構築し、上記シールド壁体により包囲された閉空間が構成されること
を特徴とするシールドルーム。
【請求項15】
シールドパネルを互いに連結してシールド壁体を構築するシールド壁体の構築方法において、
連結すべき請求項1又は3に記載のシールドパネルを、互いの上記第1金属板間並びに上記突出部間が離間した状態となるように隣接配置し、
上記突出部間を跨いで短冊状の形状からなる補助電磁鋼板を当接させるとともに、上記第1金属板間に導電性を有する第1金具を架設することにより、それぞれの間隙を密閉させること
を特徴とするシールド壁体の構築方法。
【請求項16】
上記連結すべき一方又は両方のシールドパネルは、請求項2又は4に記載のシールドパネルであり、
上記第2金属板間には導電性を有する第2金具を架設することにより、その間隙を密閉させること
を特徴とする請求項15記載のシールド壁体の構築方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のシールド壁体の構築方法によりシールド壁体を構築し、上記シールド壁体により包囲された閉空間を構成すること
を特徴とするシールドルームの構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−46857(P2009−46857A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213068(P2007−213068)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】