説明

ジオールの製造方法

本発明は、以下に示した式(I)によって特徴付けられる特別な構造を有するジオールの製造方法に関する。該ジオールは、2つのOH基に加えてC=C二重結合を含んでなる物質であるので、ポリマーを製造するためのモノマーとして適している。前記ポリマーは、好ましくは医療分野、例えば眼科学分野におけるデバイスおよび固定具、インプラント、人工装具およびヒドロゲル物品、特にハードコンタクトレンズまたはソフトコンタクトレンズに使用されるポリマーである。本発明の方法は、対応する環状前駆体を、水性媒体中、前記水性媒体に溶解された酸の存在下で加水分解する工程(前記加水分解は、カルボニル化合物を除去しながら実施する。)、および続く、反応混合物中に存在する酸を塩基によって中和する工程(該塩基は、0.18超、好ましくは3.0超のpK値を有し、不均一状態で存在する。)を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後述の式(I)によって特徴付けられる特別な構造を有するジオールの製造方法に関する。該ジオールは、2つのOH基に加えてC=C二重結合を含有する物質であるので、ポリマーを製造するためのモノマーとして適している。
【背景技術】
【0002】
グリセリルモノメタクリレート(以下、短縮してGMMAと称する)は、イソプロピリデングリセリルメタクリレート(以下、短縮してIPGMAと称する)の加水分解によって得ることができる。
【0003】
GMMAは、以下の構造(A):
【化1】

を有する。
【0004】
IPGMAは、以下の構造(B):
【化2】

を有する。
【0005】
IPGMAは時々、文献でGMAKとも短縮されている。一般的な命名法では、IPGMAは(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレートと称されることもある。
【0006】
1960年に公開されたGB 852,384は、IPGMAの加水分解によるGMMAの製造方法を記載しており、該加水分解は、強無機酸の希釈水溶液の存在下で実施されている。適当な無機酸の例として、硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸が挙げられている。典型的な手順は、実施例1から明らかである。この実施例によれば、IPGMAの加水分解後に反応混合物中に存在する硫酸を、水酸化バリウムの添加によって除去した。難溶性硫酸バリウムが生じ、それを濾過によって除去した。水/アセトン(12:1)中約20%溶液として、粗目的生成物GMMAを得た。目的生成物を分離しようとする場合は、溶液をNaClで飽和し、ベンゼンまたはエーテルで抽出し、有機溶媒を除去した。
【0007】
残念ながら、GB 852,384から知られている方法は、重大な欠点を有する。例えば、その重金属含有量の故に、水酸化バリウムの使用は、生態学上の理由および毒物学上の理由で、ある程度のリスクを伴う。有機溶媒の付加的使用は、もう1つの望ましくない因子である。また、実施例2〜4では、可燃性であり毒性でもあるベンゼンを溶媒として使用している。そこでは中和を実施しておらず、ベンゼンを含有する酸性水性反応混合物から目的生成物を直接抽出することが明らかである。溶媒としてのベンゼンの使用に加えて、この変法は、目的生成物GMMA中に残留するごく少量の酸を排除できないという欠点を有する。しかしながら、安定性を損なうという点においてGMMAの安定性にかなり影響するので、ごく少量の酸でさえも極めて望ましくない。
【0008】
また、GB 852,384の実施例1の模倣に基づいた同出願人自身の研究において、以下のことが見出された:反応混合物を水酸化バリウムで中和する場合、および有機溶媒を用いて抽出することなくストリッピングによって水を除去する場合、バリウム含有量が高い(>1000ppm)GMMAが得られる。
【0009】
概して、GB 852,384に開示されている方法は、特に高品質GMMAが要求されている場合に不十分である。
【0010】
先に引用したGB特許から20年が経っても、GMMAの製造方法に関する有意な進展は、なお存在しなかった。例えば、1977年に公開されたUS−A−4,056,496の第4欄、第42行などには、GB 852,384への、特に該GB特許に開示されている加水分解およびその後の手順への言及が存在する。従って、US−A−4,056,496の実施例1は、加水分解に硫酸を、中和に水酸化バリウムを使用しており、その後、濾過、NaClの添加、ベンゼンまたはエーテルでの抽出、および有機溶媒の除去が続く。
【0011】
更に20年後でさえ、US−A−6,011,081の実施例1は「古い方法」、即ちUS−A−4,056,496の方法を、なお指称している。
【0012】
高純度GMMAは、様々な工業用途に、例えば、被覆目的、ラッカー、塗料、接着剤またはコンタクトレンズのためのポリマーを製造するためのモノマーとして使用され得る。特にコンタクトレンズの製造において、GMMAは技術的に極めて重要なモノマーである(EP−B−1,171,410 B1、第2頁、第6行〜第3頁、第19行に記載されている従来技術を参照)。
【0013】
ごく僅かな不純物でさえ、一方ではモノマーの貯蔵中、他方では該モノマーから製造されたポリマーの品質に極めて悪い影響を及ぼし得るので、高純度のモノマー(例えばGMMA)を供給するという目的は、とりわけ非常に重要である。モノマー中の特に望ましくない不純物は、重合反応で架橋剤として作用できる不純物である。なぜなら、重合反応中の架橋剤の存在は、直鎖ポリマーの生成を妨げるおよび/または阻害するからである。
【0014】
より最近の特許EP−B−1,171,410 B1およびEP−B−1,171,411 B1は、IPGMAの加水分解によるGMMAの製造方法を記載しており、各々の特許の重要な特徴は、IPGMAの加水分解を固定化酸の存在下で実施することである。EP−B−1,171,410 B1の実施例1によれば、IPGMA、脱イオン水および陽イオン交換体を反応器に導入し、反応バッチを撹拌する目的で、空気流を混合物に48時間通過させる。これらの特許に記載されている方法の欠点は、加水分解中に空気流を通過させることによって、酸性イオン交換体の摩耗が増大することである。摩耗によって生じた微小物は、生成物純度が厳しい要求を満たさなければならない場合に許容できないし、続く濾過によってさえ完全には除去できない。
【0015】
その他の点に関しては、特許EP−B−1,171,410 B1およびEP−B−1,171,411 B1に対応するPCT(即ち、WO 00/63149およびWO 00/63150)によって表された従来技術の様々な他の欠点が、DE−A−103 49 972(第2頁、段落[0007]および段落[0009]参照)に記載されている。
【0016】
酸性イオン交換体の存在下での加水分解の技術は、後者の出願DE−A−103 49 972 A1にも記載されているが、そこに記載されている方法は、連続的に実施されなければならない。反応を固定床で実施し、加水分解によって放出されたカルボニル化合物を、反応媒体から連続的に除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】GB 852,384
【特許文献2】US−A−4,056,496
【特許文献3】US−A−6,011,081
【特許文献4】EP−B−1,171,410 B1
【特許文献5】EP−B−1,171,411 B1
【特許文献6】DE−A−103 49 972 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の欠点を有さない、以下の式(I)で示される重合性モノマーの製造方法を提供することである。特に、本発明の方法は、純度の高い化合物(I)をもたらすべきであり、とりわけIPGMAからGMMAを製造するのに適している。化合物(I)は、コンタクトレンズの製造に有用である。従って、本発明の方法は、特に、酸含有量が極めて低い化合物(I)をもたらすべきである。このことは、コンタクトレンズ上へのタンパク質付着および脂質付着の見込みを低減するので、重要である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、式(I):
【化3】

[式中、
・基Rは、水素またはC1〜4アルキル基であり、
・基R〜Rは、相互に独立に、水素、或いは脂肪族、脂環式または芳香族基を表し、
・基Xは基−(CH−であり、nは0または1の数であり、
・基Yは基−(CHR−であり、mは0、1または2の数であり、基Rは水素またはOH基である。]
で示される重合性モノマーの製造方法であって、
式(II):
【化4】

[式中、基R、R〜R、XおよびYは先に定義した通りであり、基RおよびRは、相互に独立に、水素または脂肪族基を表す。]
で示される化合物を、水性媒体中、前記水性媒体に溶解された酸の存在下で加水分解する工程(該加水分解は、化合物(III):
【化5】

[式中、基RおよびRは先に定義した通りである。]
の除去を伴う。)、および
得られた混合物を弱塩基と接触させて、該混合物中に存在する酸を中和する工程(該塩基は、0.18超のpK値を有し、不均一状態で存在する。)
を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方法の特に好ましい態様では、使用される塩基は3.0超のpK値を有さなければならない。
【0021】
混合物中に存在する酸の中和は、本発明の方法の重要な特徴である。上記した通り、この目的のために塩基を使用し、この塩基は0.18超のpK値を有し、不均一状態で存在する。「不均一状態で存在する」とは、塩基が水に溶解せず、固体状で存在しているという意味である。好ましい態様では、塩基を固定化状態で使用する。このことは、塩基が、固体状不水溶性粒子の外表面および/または内表面に適用され、該表面に物理的および/または化学的に結合され得た状態であることを意味する。本発明の方法の最も好ましい態様では、塩基として塩基性イオン交換樹脂を使用し得る。
【0022】
塩基が0.18超のpK値を有さなければならないという特徴を、以下に説明する。pK値の重要性は、当業者に知られている。pK値は、塩基のプロトン結合能の尺度であり、以下の平衡反応に関する。
【化6】

【0023】
この化学反応式において、Bは塩基である。化学反応式は、塩基と水との平衡反応を表している。その過程で、塩基はそれ自体の固有速度でプロトンを引き抜き、プロトン化状態BHに変化する。塩基によって引き抜かれたプロトンは水に由来するので、水は必然的にOH状態に変化する。pK値は通常25℃での値を指すので、同じことを本発明に適用する。水酸化リチウムは0.18のpK値を有する。従って、本発明の方法で使用される塩基が0.18超のpK値を有さなければならないという先の記載は、該塩基が水酸化リチウムより弱いということを意味する。
【0024】
また、一部の塩基が複数のpK値を有し得るという当業者によく知られている事実に言及する。そのような塩基の一例は水酸化鉛Pb(OH)であり、文献には、pKb1値(3.02)およびpKb2値(7.5)が記載されている。そのような塩基のもう1つの例はエチレンジアミンであり、文献には、pKb1値(4.07)およびpKb2値(7.15)が記載されている。同じことが、例えば、pKb1値(4.19)およびpKb2値(8.45)を特徴とするピペラジンにもあてはまる。複数のpK値を有する塩基としてたった今挙げた例は、単に、ここで議論中の本質を説明しようとしているにすぎないということを指摘しておく。
【0025】
その特別な構造の故に2つ以上のpK値を有する塩基を使用する場合、本発明の方法のために先に定義した塩基のpK値(0.18超、好ましくは3.0超)は、pK値と理解される値がpKb1値であることを意味する。
【0026】
上記した通り、本発明の方法では、塩基性イオン交換樹脂を使用することが好ましい。これについては、そのような樹脂の製造業者は、典型的には、そのような樹脂のpK値を引用するということを指摘しておく。pK値とpK値との関係は以下の通りなので、この等式からpK値を容易に計算することができる。
【数1】

例えば、イオン交換樹脂「Amberlyst A21」は、製造業者によれば8.5のpK値を有するが、これは、5.5のpK値を有することを意味する(pK = 14 − pK)。或いは、9.5のpK値を有する「Amberlyst A24」のpK値は、4.5と算出される。
【0027】
本発明の方法の好ましい態様は、アミン官能基、特に第三級アミン官能基を含有する(弱)塩基性イオン交換樹脂を使用することを特徴とする。
【0028】
適当な塩基性イオン交換樹脂の例は、(1)Rohm & Haas社製のAmberlite IRA96RF、Amberlyst A21、Amberlyst A23およびAmberlyst A23、並びに(2)Dow社製のDowex 66、Dowex Monosphere 66、Dowex Monosphere 77、Dowex Marathon WBA、Dowex Marathon WBA-2、Dowex UPCORE Mono WB-500、XUS 43594.00、Dowex M-43およびDowex M4195である。Dowex M4195以外は、記載した塩基性イオン交換樹脂は全て第三級アミンに基づく。
【0029】
1つの態様では、
・Rは、水素またはメチル基であり、
・基R、RおよびRは水素を表し、
・Xは基−(CH−であり、nは0の数であり、
・Yは基−(CH−であり、mは1の数である。
【0030】
もう1つの態様では、
・Rはメチル基であり、
・基R、RおよびRは水素を表し、
・Xは基−(CH−であり、nは0の数であり、
・Yは基−(CH−であり、mは1の数であり、
・基RおよびRは各々メチル基である。
【0031】
この態様では、化合物(II)はIPGMAであり、化合物(III)はアセトンであり、化合物(I)はGMMAであることが容易にわかる。
【0032】
本発明の方法の加水分解工程における酸として、無機酸、特に硫酸、塩酸および臭化水素酸からなる群から選択された無機酸を使用することが好ましい。
【0033】
本発明の方法の一態様では、反応混合物から放出された化合物(III)を除去するために、加水分解工程中、気体流を反応混合物に通過させる。使用される気体は、好ましくは空気である。この場合、好ましくは、一定量で水を連続的に導入することによって、加水分解を実施する。
【0034】
本発明の方法の一態様では、禁止剤の存在下、化合物(II)を加水分解する。禁止剤の種類は本質的に重要ではない。禁止剤として、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を使用することが好ましい。
【0035】
本発明の方法の好ましい態様では、有機溶媒の不存在下で加水分解工程を実施する。
【0036】
本発明の方法のもう1つの態様では、中和工程の後に濾過工程が続く。濾過後に得たモノマー(I)の水溶液からストリッピングによって、特にストリッピングに膜式蒸発器または管式蒸発器を用いて、水を除去することが好ましい。膜式蒸発器の好ましいタイプは、薄膜式蒸発器、例えばロータリーエバポレーターまたはワイプトフィルムエバポレーターである。管式蒸発器の好ましいタイプは、流下膜式蒸発器またはライジングフィルムエバポレーターである。
【0037】
本発明の方法の中和工程は、不連続的(回分式で)または連続的に実施され得る。
【0038】
本発明はまた、ポリマー、特に医療用途(例えば、眼科学分野における器具および装具、インプラント、人工装具およびヒドロゲル物品)に使用されるポリマーを製造するための、本発明の方法によって得られたモノマー(I)の使用に関する。本発明の方法によって得られたモノマー(I)は、好ましくは、コンタクトレンズの製造に使用される。このとき、該モノマー(I)は、単独のモノマーとしてまたは他のコモノマーと組み合わせて使用され得る。コンタクトレンズとは、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの両方を意味する。
【0039】
本発明はまた、本発明の方法によって得られた1種以上のモノマー(I)および任意に更なる1種以上のコモノマーに基づいたポリマーの製造方法に関する。ポリマーは、好ましくは医療用途、例えば眼科学分野における器具および装具、インプラント、人工装具およびヒドロゲル物品、特にハードコンタクトレンズまたはソフトコンタクトレンズに使用されるポリマーである。基本的に、そのようなポリマーは、当業者に既知の適切な方法によって製造することができる。常套の助剤および添加剤の全てを使用してもよい。適当な添加剤の例は、EP−B−1,171,410、第7頁、第8〜12行に記載されている添加剤である。適当な界面活性剤および分散剤の例は、EP−B−1,171,410、第7頁、第13〜20行に記載されているものである。適当なコモノマーの例は、EP−B−1,171,410、第7頁、第26行〜第8頁、第16行に記載されているコモノマーである。
【実施例1】
【0040】
80ppmのMEHQを含有する27kgのイソプロピリデングリセリルメタクリレート(IPGMA)(IPGMAは、メタクリル酸メチルと2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランのエステル交換によって得た。)および17.8kgの脱イオン水を、空気注入管を備えた反応器に導入した。空気流を反応混合物に通過させながら(10リットル/分)、反応混合物を撹拌した。
【0041】
77gの10重量%塩酸を添加し、20℃で反応を続けた。反応を一定量で実施するため、空気流によって生じた反応器中の水の損失を、水の永続的添加によって補った。反応混合物のIPGMA含有量が0.16重量%未満になるまで反応を続けた。反応の終点までに要した時間は48時間であった。
【0042】
次いで、過剰の酸を除去するため、1.9kgのAmberlyst A24(Rohm & Haasから商業的に入手可能な塩基性イオン交換樹脂)を添加することによって反応混合物を中和した。前記イオン交換樹脂は、事前に脱イオン水で洗ったばかりであった。懸濁液を1時間撹拌すると、その後、酸度は0.05mgKOH/g未満になった。続いて、懸濁液を濾過し、GMMA水溶液を得た。
【0043】
このGMMA水溶液中に存在する水を、ワイプトフィルムエバポレーター(Lab-Plant Distillation Systems社製の標準的な1/100系)を用いてストリッピングによって除去した。メインカラムは100mmの内径を有し、加熱される長さは480mm、加熱される表面は0.15mであった。GMMA水溶液を800g/時の量で、40℃の温度に調節した予熱器を介して蒸留装置に送った。エバポレーターの壁を60℃の温度まで加熱した。GMMA水溶液を3パス、ストリッピングした。このとき、50mbar〜10mbarの減圧まで低下させた。このようにして高純度GMMAを得た。それは以下のような特徴を有していた。
・1重量%未満の含水量
・0.06重量%未満のグリセリルジメタクリレート(GDMA)含有量
・0.02重量%未満のメタクリル酸含有量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
・基Rは、水素またはC1〜4アルキル基であり、
・基R〜Rは、相互に独立に、水素、或いは脂肪族、脂環式または芳香族基を表し、
・基Xは基−(CH−であり、nは0または1の数であり、
・基Yは基−(CHR−であり、mは0、1または2の数であり、基Rは水素またはOH基である。]
で示される重合性モノマーの製造方法であって、
式(II):
【化2】

[式中、基R、R〜R、XおよびYは先に定義した通りであり、基RおよびRは、相互に独立に、水素または脂肪族基を表す。]
で示される化合物を、水性媒体中、前記水性媒体に溶解された酸の存在下で加水分解する工程(該加水分解は、化合物(III):
【化3】

[式中、基RおよびRは先に定義した通りである。]
の除去を伴う。)、および
得られた混合物を弱塩基と接触させて、該混合物中に存在する酸を中和する工程(該塩基は、0.18超のpK値を有し、不均一状態で存在する。)
を含む方法。
【請求項2】
塩基が3.0超のpK値を有し、不均一状態で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩基を固定化状態で使用する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
塩基として塩基性イオン交換樹脂を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
・Rが、水素またはメチル基であり、
・基R、RおよびRが水素を表し、
・Xが基−(CH−であり、nが0の数であり、
・Yが基−(CH−であり、mが1の数である、
請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
・基Rがメチル基であり、
・基RおよびRが各々メチル基である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酸として無機酸を使用する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
無機酸が硫酸、塩酸および臭化水素酸からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
固定化塩基としてアミン官能基含有塩基性イオン交換樹脂を使用する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
塩基として第三級アミン官能基含有塩基性イオン交換樹脂を使用する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
塩基性イオン交換樹脂が、Amberlite IRA96RF、Amberlyst A21、Amberlyst A23、Amberlyst A23、Dowex 66、Dowex Monosphere 66、Dowex Monosphere 77、Dowex Marathon WBA、Dowex Marathon WBA-2、Dowex UPCORE Mono WB-500、XUS 43594.00およびDowex M-43からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
加水分解工程中、気体流を反応混合物に通過させて、反応混合物から放出された化合物(III)を除去する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
気体が空気である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
一定量で水を連続的に導入することによって加水分解工程を実施する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
禁止剤の存在下で化合物(II)を加水分解する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
禁止剤としてMEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル)を使用する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
有機溶媒の不存在下で加水分解を実施する、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
中和工程の後に濾過工程が続く、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
濾過後に得たモノマー(I)の水溶液からストリッピングによって水を除去する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ストリッピングに薄膜式蒸発器を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
中和工程を不連続的に実施する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
中和工程を連続的に実施する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
ポリマーを製造するための、請求項1〜22のいずれかに記載の方法によって得られたモノマー(I)の使用。
【請求項24】
医療用途に使用されるポリマーを製造するための請求項23に記載の使用。
【請求項25】
コンタクトレンズを製造するための請求項24に記載の使用。

【公表番号】特表2010−526841(P2010−526841A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507820(P2010−507820)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003540
【国際公開番号】WO2008/138497
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】