説明

ジオールの調製方法

【課題】本発明は、ジオールの調製プロセスに関する。
【解決手段】式(I)の重合性モノマーの調製プロセスが提供され、このプロセスは、式(II)の化合物を、固定化された酸と接触させる工程であって、ここでX、Y、Z、R1、PおよびQは独立して、ヒドロカルビル基または水素から選択され、そしてAは(CH2nであり、ここでnは0または1である、工程を包含する。このとき、固定化された酸は強酸であったり、また、イオン交換樹脂上に固定化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジオールの調製プロセスに関する。ジオールはその後、血液適合性コーティング、医用デバイス、水溶性ポリマー材料、塗料、水性コーティングまたは眼用デバイス(例えばコンタクトレンズ)のようなポリマーデバイスまたは材料の調製のためのモノマーとして用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
重合性(polymerisable)モノマーから作製されるポリマーは広範囲な用途を有する。例えば、ポリマーは、塗料および接着剤のようなコーティング用途のための添加剤として用いられる。ポリマーはまた、コンタクトレンズのようなレンズの調製にも用いられる。
【0003】
ポリマーは、1つまたはそれ以上のタイプの重合性モノマーを、例えば、乳化重合、溶液重合、懸濁重合またはバルク重合によって重合することによって調製される。モノマーは、任意の成分、例えば、乳化剤、安定剤、界面活性剤(surface active agent)、開始剤(例えば光開始剤)、阻害剤、分散剤、酸化剤、還元剤、粘度調整剤、触媒、結合剤、活性化剤、促進剤、粘着付与剤、可塑剤、鹸化剤、連鎖移動剤、界面活性剤(surfactant)、充填剤、染料、金属塩、および溶媒のうちの任意のものの存在下で重合され得る。
【0004】
重合性モノマーの重合に関する多数の参考文献がある。例えば、いくつかの教示が、D.C.Blackley(Wiley刊、1975)による「Emulsion Polymerization:Theory and Practice」およびF.A.Boveyら(Interscience Publishers刊、1965)による「Emulsion Polymerization」の中に見いだされ得る。例えば、ポリマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル、ビニルエステル、C9、C10およびC11第三級モノカルボン酸、塩化ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、クロロプレン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸のようなモノマーから調製され得る。
【0005】
重合性モノマーの重合に対する更なる教示の例は、C.E.Schildknecht(New York:John Wiley & Sons 1952)による「Vinyl and Related Polymers」およびE.H.Riddle(New York:Reinhold Publishing Corp.1954)による「Monomeric Acrylic Esters」およびA.G.Alexanderによる(J Oil Colour Chemists’ Association[1962]45 12)ならびにG.G.GrethおよびJ.E.Wilson(J Appl Polymer Sci[1961]5 135)の中に見いだされ得る。
【0006】
重合方法に関する、より最近の教示は、EP−A−0622378、EP−A−0634428、EP−A−0623632、EP−A−0635522、EP−A−0633273、EP−A−0632157、EP−A−0630908、EP−A−0630641、EP−A−0628614、EP−A−0628610、EP−A−0622449、EP−A−0626430およびEP−A−0625529の中に見いだされ得る。
【0007】
上記のように、ポリマーの特定の用途の1つは、レンズ、特にコンタクトレンズまたは眼内レンズの調製にある。コンタクトレンズの調製についての教示の例は、EP−A−0359539に見いだされ得、これはソフトコンタクトレンズの形成方法を開示する。コンタクトレンズの調製を記載する他の文献としては、ホスホニウム基を有するビニルポリマーから作製されるコンタクトレンズを開示するWO−A−9502617、末端ホスホリルコリン基を有するポリマーから作製されるコンタクトレンズを開示するJP−A−06313009、ブロックコポリマーと第2のポリマー成分とから作製される気体透過性眼用レンズを開示するWO−A−9429756、ポリマーおよびUV吸収成分を含むコンタクトレンズを開示するWO−A−9409042、ならびにポリマーと染料とを含み、ポリマーが形成されるときに親水性ポリマー中に染料を取り込むことによって調製される色付きコンタクトレンズを開示するWO−A−9211407が挙げられる。重合性モノマーからコンタクトレンズ等の調製を記載する他の文献としては、EP−A−0574352、EP−A−0439394、EP−A−0378511およびEP−A−0424520が挙げられる。
【0008】
ポリマーは、重合性モノマーからかなり容易に調製され得るが、適切なモノマーを満足できる純粋な形態で確実かつ安価に得る点で問題が存在し得る。この点に関して、多くの所望の重合性モノマーは不純物を伴って供給される。これらの不純物は、最終生成物を損ない得、そこで、重合反応前に除去され、所望のポリマーを形成しなければならない。
【0009】
特に問題のある不純物は、モノマーの重合の際に架橋剤として作用する化合物である。架橋剤の存在は、直鎖ポリマーの形成を妨げ、そして/または阻害する。さらに、モノマーにおける架橋剤の存在は、それらから形成されたポリマーの可溶化を妨げ得る。
【0010】
このようなモノマーの別の例は、グリセリルメタクリレート(GMA)であり、これはコンタクトレンズの調製に好適なモノマーである。このようなモノマーの使用に言及した文献の例としては、US−A−5236969、JP−A−04335007、GB−A−2180243およびEP−A−0100381が挙げられる。GMAには2つの主な問題がある。第1に、不純物はしばしば、バッチ毎に異なっているので、標準的な精製プロトコルを有することが困難となる。第2に、GMAは非常に高価なモノマーである。
【0011】
GMAを、イソプロピリデングリセリルメタクリレート(IPGMA)のような他のモノマーから調製する試みがなされている。GMAを調製するためのこのようなプロセスの1つはUS−A−4056496に開示され、ここでこのプロセスは、IPGMAを硫酸およびヒドロキノンと16時間反応させる工程を包含する。
【0012】
GMAを調製するための別のプロセスもまたUS−A−4056496で言及されており、これはグリシジルメタクリレート(GYMA)を、GYMAを濃硫酸で6日間処理することによって加水分解する工程を包含する(M.F.Refojo[1965]Journal of Polymer Science 9、3161−3170頁)。このプロセスは、GMAへの鉱酸の添加が、架橋剤、および種々の他のジメタクリレートであるグリセリルジメタクリレートの形成を生じ得るために、特に不利である。
【0013】
GMAを蒸留して精製GMAを調製することもまた、当該分野で実施されている。しかし、蒸留は困難であり、かつ費用がかかる。GMAは高沸点であり、そのため蒸留の費用は高い。蒸留は、典型的には、精製されるべき生成物の15−20%の損失をもたらす。さらに、GMAは蒸留の間に重合し得、貴重なモノマーが失われる。更になお、蒸留を行うのに必要であり得る装置(例えば落下膜エバポレーター)は高価である。
【0014】
明らかに、これらの従来技術の方法は、非常に労働集約的であり、そして毒性の化学物質および可燃性溶媒を含む危険な化学物質の使用、ならびに危険なプロセス工程を含む。
【0015】
さらに、GMAポリマーを調製するための従来技術の方法は、US4338419、FR8207595、WO93/0841およびEzrielevら、Vysokomol.Soedin.Ser.B、20(10),777−9,Hild.Makromol.Chem.177,1947−1972(1976)およびBeinertら、Die Makromolekulare Chemie,175,2069−2077(1974)に開示されている。
【0016】
US−A−5532289は、ソフトコンタクトレンズを形成するためのプロセスを開示する。この特許の請求の範囲によれば、レンズは、実質的に2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート(すなわち、グリセリルメタクリレート[GMA])と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとからなるコポリマーから形成される。ヒドロキシエチルメタクリレートはときにHEMAと称される。US−A−5532289のプロセスは予備蒸留工程を必要とし、ここでGMAが蒸留される。それゆえ、US−A−5532289のプロセスは煩雑であり、かつ費用がかかる。
【0017】
WO98/07055は、本質的にGMAとHEMAとからなる眼用デバイス(例えばコンタクトレンズ)の調製プロセスを開示し、このプロセスは以下の工程を包含する:a)第2のモノマーと、付加された改質基を有する第1のモノマーとを共重合して、結合した改質基を有する第1のポリマーを形成する工程;およびb)第1のポリマーに結合した改質基の全部または一部を改質して、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを形成し、これにより本質的にGMAとHEMAとからなる眼用デバイスを形成する工程。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、ポリマーの調製のための既知のプロセスに関連する問題点を克服しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の局面によれば、式I
【0020】
【化1】

の重合性モノマーの調製プロセスが提供され、このプロセスは、式II
【0021】
【化2】

の化合物を、固定化された酸と接触させる工程であって、ここでX、Y、Z、R1、PおよびQは独立して、ヒドロカルビル基または水素から選択され、そしてAは(CH2nであり、ここでnは0または1である、工程を包含する。
【0022】
本発明の第2の局面によれば、本発明に記載のプロセスにより調製される眼用デバイス(コンタクトレンズのような)が提供される。
【0023】
本発明の第3の局面によれば、式I
【0024】
【化3】

の重合性モノマーの、式II
【0025】
【化4】

の化合物からの調製プロセスのための装置が提供され、この装置は、以下:
(i)固定化された酸を含有するための手段;
(ii)気体の入口であって、ここでこの入口は、使用の際に、気体が固定化された酸を通過するように構成される、入口;および、
(iii)上記固定化された酸を含有するための手段から、反応生成物P−C(O)−Qを含む気体を除去するための手段、
を備える。
【0026】
本発明は、多くの利点を提供し得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、モノマーの重合の間に、架橋剤として作用する不純物の存在が、低減されるか、または避けられる利点を有する。それゆえ、本発明は、重合の前にモノマーの精製を必要とすることなしに、直鎖ポリマーの形成のための重合が可能なモノマーを提供する。さらに、このモノマーは、容易に可溶化され得るポリマーを形成する重合を可能にする。
【0028】
本発明は、架橋剤の非存在またはモノマー中の初期架橋剤濃度が低いので、所望の/至適なレベルを達成するための更なる架橋剤の制御された添加が可能となるという利点を有する。対照的に、従来技術によるモノマー(例えば、GMA)を使用する場合、架橋剤のレベルは、レンズのような最終ポリマーの機械的特性を損なうことなく、更なる添加を可能とするには高すぎることが多い。GMAが重合される場合、本発明の利点が示される。結果として生じるポリマーは、水のような適切な溶媒中に簡単に溶解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明による好適なプロセスの反応スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
さらなる局面において、式Iの重合モノマーを含む組成物の調製のために、本発明のプロセスが提供される。
【0031】
当業者は、X、Y、ZまたはR1の少なくとも1つが重合性基であるならば、式Iの化合物は重合性モノマーとなることを理解する。好ましい局面において、R1は重合性基である。
【0032】
本発明のプロセスの好適な局面において、酸は強酸である。用語「強酸」は、pKaが3未満の酸を意味する。
【0033】
本発明のプロセスの好適な局面において、酸はイオン交換樹脂上に固定化される。より好ましくは、酸は、イオン交換樹脂上で固定化された強酸である。さらにより好ましくは、イオン交換樹脂は、米国のRoehm and Haasから入手可能なAmberlyst 15である。
【0034】
好ましくは、R1はヒドロカルビル基、およびヒドロカルビルエステル、好ましくは不飽和ヒドロカルビルエステルから選択される。
【0035】
用語「ヒドロカルビル基」は、本明細書において、少なくともCおよびHを含み、そして任意に1つ以上の他の適切な置換基を含み得る基を意味する。このような置換基の例としては、ハロ基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、アクリル基、炭化水素基、N−アシル基、または環式基等が挙げられる。置換基が環式基である可能性に加えて、置換基の組合せが環式基を形成し得る。ヒドロカルビル基が1つより多くのCを含むならば、これらの炭素は必ずしも互いに連結している必要はない。例えば、少なくとも2つの炭素は適切な要素または基を介して連結し得る。それゆえ、ヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含み得る。適切なヘテロ原子は当業者には明らかであり、例えば、硫黄、窒素および酸素を含む。
【0036】
用語「ヒドロカルビルエステル」は、本明細書において、−C(O)O−基を含むヒドロカルビル基を意味する。
【0037】
用語「不飽和ヒドロカルビルエステル」は、本明細書において、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むヒドロカルビルエステルを意味する。
【0038】
好ましくは、ヒドロカルビル基は直鎖状または分枝基である。分枝基は1つまたはそれ以上の分枝を含み得る。
【0039】
1つの局面において、直鎖状または分枝ヒドロカルビル基は、1から20個の炭素原子、1から15個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から5個の炭素原子、または1から3個の炭素原子を含み得る。
【0040】
直鎖状または分枝ヒドロカルビル基は、飽和または不飽和であり得る。1つの局面において、直鎖状または分枝ヒドロカルビル基は飽和であり得る。
【0041】
好ましくは、ヒドロカルビル基はアルキル骨格を含む。骨格は1つ以上の非アルキル基で中断されていてもよい。非アルキル基は、エステル、エーテルおよびそれらの組合せから選択され得る。
【0042】
1つの局面において、アルキル骨格は、1から20個の炭素原子、1から15個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から5個の炭素原子、または1から3個の炭素原子を含み得る。
【0043】
アルキル骨格は、アルキル骨格から分枝した1つ以上のアルキル基を含み得る。1つの局面において、各アルキル分枝は、1から20個の炭素原子、1から15個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から5個の炭素原子、または1から3個の炭素原子を含み得る。
【0044】
ヒドロカルビル基は環式基であり得る。この点に関して、ヒドロカルビル基は単環式基または多環式基であり得る。ここで、用語「多環式」は、縮合環および非縮合環構造を含み、それらの組合せを含む。
【0045】
多環式基の環式基のうちの少なくとも1つは複素環式基(複素環)または非複素環式基であり得る。
【0046】
環式基または多環式基の環式基の少なくとも1つは、飽和環構造または不飽和環構造(例えば、アリール基)であり得る。
【0047】
ヒドロカルビル基は、C、H、O、Si、N、P、ハロゲン(Cl、BrおよびIを含む)、SおよびPのうちの任意の1つ以上を含み得る。ヒドロカルビル基がアルキル骨格を有する好適な局面において、アルキル骨格は、C、H、O、Si、N、P、ハロゲン(Cl、BrおよびIを含む)、SおよびPのうちの任意の1つ以上によって中断され得る。
【0048】
好ましくは、ヒドロカルビル基は炭化水素基である。
【0049】
ここで、用語「炭化水素基」は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基(これらの基は直鎖状、分枝または環式であり得る)あるいはアリール基のうちの任意の1つを意味する。炭化水素という用語はまた、任意に置換されたこれらの基をも包含する。炭化水素がその上に置換基を有する分枝構造であるならば、置換は炭化水素骨格上、または分枝上のいずれかであり得る。あるいは置換は、炭化水素骨格上および分枝上であり得る。
【0050】
炭化水素基は、1から20個の炭素原子、1から15個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から5個の炭素原子、または1から3個の炭素原子を有し得る。
【0051】
好適な実施形態において、R1は、式III
【0052】
【化5】

の基であり、ここでR2は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択され、そしてR3は、不飽和C1-5アルキルから選択される。非常に好適な実施形態において、R2はCH3であり、かつR3は=CH2である。
【0053】
好ましくは、本明細書において与えられる式のX、Y、PおよびQは独立して、ヒドロカルビル基および水素から選択される。好ましくは、ヒドロカルビル基は炭化水素基である。より好ましくは、ヒドロカルビル基は1から20個の炭素を有する炭化水素基である。さらになお好ましくは、ヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択される。
【0054】
非常に好適な実施形態において、XはH、YはH、ZはH、PはCH3、QはCH3、n=0、そしてR1は式IIIの基であり、ここでR2がCH3であり、かつR3は=CH2である。
【0055】
それゆえ、本発明の非常に好適な局面は、式I
【0056】
【化6】

の重合性モノマーの調製プロセスを提供し、このプロセスは、
式II
【0057】
【化7】

の化合物を、固定化された酸と接触させる工程であって、
ここでXはH、
YはH、
ZはH、
Aは(CH20
PはCH3
QはCH3
であり、そしてR1は式III
【0058】
【化8】

の基であり、ここでR2はCH3であり、そしてR3は=CH2である、工程、を包含する。
【0059】
換言すれば、非常に好適な局面において、本発明は、(2,2 1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(GMAK)を、固定化された酸と接触させる工程を包含する、グリセリルメタクリレート(GMA)の調製プロセスを提供する。
【0060】
本発明の好適な実施形態において、プロセスはさらに、固定化された酸を含有するための手段を提供する工程、該固定化された酸を式IIの化合物と接触させる工程、および気体を上記固定化された酸に通す工程を包含する。
【0061】
好ましくは、気体は酸素を含む。より好ましくは気体は空気である。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、固定化された酸が、有機溶媒の非存在において、式IIの化合物と接触する。
【0063】
好ましくは、固定化された酸を含有するための手段は流動床反応器を含む。
【0064】
本発明のさらに好適な局面において、プロセスは、気体が固定化された酸を通った後、固定化された酸を含有するための手段から気体を抽出する工程を包含する。抽出された気体は式IIと固定化された酸との接触の反応生成物を含み得る。反応生成物は、式P−C(O)−Qであり得る。反応生成物を除去することによって、平衡
【0065】
【数1】

はIの側に移動する。従って、転化速度および/または最終的なIの転化率は増大する。本質的に定量的な転化率が得られ得る。
【0066】
好適な局面において、本発明のプロセスは、式Iの重合モノマーを重合する工程を包含する。任意の代表的な、適切な重合方法が使用され得る。好ましい方法が、熱またはUVで開始される、フリーラジカル重合である。
【0067】
本発明のプロセスの好適な局面において、更に、式Iの重合性モノマーを重合して医用デバイス、特に、コンタクトレンズのような眼用デバイスを提供する工程を包含する。
【0068】
本発明は、コンタクトレンズ(ハードおよびソフトコンタクトレンズの両方)、眼内レンズ、眼間レンズ(interocular lenses)および角膜内インプラントのような眼用デバイス、ならびに補綴物品およびハイドロゲル物品の調製のために得に有利である。この点について、本発明は、眼用デバイスをより容易に作成することができるようにするのみならず、得られるポリマーの、収縮、寸法安定性、膨潤、水感受性、疎水性または親水性、あるいはそれらの組合せの任意のものをより広く制御することを可能にする。
【0069】
医用デバイスおよび/または重合性モノマーおよび/または組成物はまた、従来の添加成分、例えば、乳化剤、安定剤、界面活性剤(surface active agent)、抑制剤(例えば、光抑制剤)、阻害剤、分散剤、酸化剤、還元剤、粘度調節剤、触媒、結合剤、活性化剤、促進剤、粘着付与剤、可塑剤、鹸化剤、連鎖移動剤、架橋剤、界面活性剤(surfactant)、充填材、染料、金属塩、および溶媒のいずれか1つ以上を含み得る。
【0070】
例として、界面活性剤および分散剤は、脂肪ロジンおよびナフテン酸の塩、ナフタレンスルホン酸と低分子量のホルムアルデヒドとの縮合物、カルボン酸ポリマーおよび適切な親水性−親油性バランスのコポリマー、高級アルキル硫酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルベンゼンスルホン酸あるいはイソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩;スルホコハク酸塩、例えば、ジオクチルスルホコハク酸アルカリ金属、高級アルキルスルホコハク酸塩、例えばオクチルスルホコハク酸ナトリウム、N−メチル−N−パルミトイル−タウリンナトリウム、オレイルイセチオン酸ナトリウム、アルキルアリールポリエトキシエタノール硫酸またはスルホン酸のアルカリ金属塩、例えば、t−オクチルフェノキシ−ポリエトキシエチル硫酸ナトリウム(1から5個のオキシエチレン単位を有する)であり得る。用いられ得る典型的な重合抑制剤は、ハイドロキノン、モノメチルエーテル、ベンゾキノン、フェノチアジンおよびメチレンブルーを包含する。
【0071】
好適な実施形態において、染料は、2−ヒドロキシベンゾフェノン、オキシジアゾール、サリチル酸、モノ安息香酸レゾルシノール、ベンゾトリアゾール、好ましくは2H−ベンゾトリアゾール、ベントチアゾロアジン、好ましくは2N−ベンゾチアゾロアジン、α−シアノ−β−フェニルケイ皮酸、ポリアルキルピペリジン(polyalkypiperidine)およびそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0072】
好ましくは、染料は、ベンゾトリアゾール、特に2H−ベンゾトリアゾールおよびその誘導体から選択される。
【0073】
本発明の組成物および/または医用デバイスは、1つ以上のさらなるコモノマーを含み得る。本発明において用いられ得る1つ以上のさらなるコモノマーの例としては、以下のものが挙げられる:(アルキルおよびシクロアルキル)アクリレート;(アルキルおよびシクロアルキル)メタクリレート;フリーラジカル重合性オレフィン酸(それらのアルコキシ−、アルキルフェノキシ−、アルキルフェノキシ−(ポリエチレンオキシド)−、ビニルエステル−、アミン置換(その四級アンモニウム塩を含む)、ニトリル−、ハロ−、ヒドロキシ−、および酸置換(例えば、ホスホ−またはスルホ−)誘導体を含む);および他の適切なエチレン性不飽和(ethylenically unsaturated)重合性部分;それらの組合せ。好ましくは、アルキルおよびシクロアルキル基は、20個までの炭素原子を含む(例えば(C1−C20アルキルおよびC1−C20シクロアルキル)アクリレート、および(C1−C20アルキルおよびC1−C20シクロアルキル)メタクリレート(。より詳細には、典型的なコモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートt−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソ−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソ−オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ビニルステアレート、ノニルフェノキシ−(エチレンオキシド)1-20アクリレート、オクタデセン、ヘキサデセン、テトラデセン、ドデセン、ドデシルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ノニルフェノキシ(エチレンオキシド)1-20メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水フマル酸、無水クロトン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリルアミド2−シアノエチルアクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリルアクリレート、グリセリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、シロキサン、シランおよびそれらの混合物のうち任意のものを包含する。他の重合性モノマーは、米国特許第2879178号、同第3037006号、同第3502627号、同第3037969号および同第347485号に開示されている。
【0074】
好ましいコモノマーはグリセリルメタクリレート(GMA)、(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(GMAK)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メタクリル酸、アクリル酸、GYMA、N−ビニルピロリドン、アルキルメタクリレート(例えば、C1-20アルキルメタクリレート、より好ましくはC1-15アルキルメタクリレート、より好ましくはC1-10アルキルメタクリレート、より好ましくはC1-5アルキルメタクリレート、例えばメチルメタクリレート)、アルキルアクリレート(例えば、C1-20アルキルアクリレート、より好ましくはC1-15アルキルアクリレート、より好ましくはC1-10アルキルアクリレート、より好ましくはC1-5アルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート)、アリールメタクリレート、アリールアクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(例えば、C1-20N−アルキルアクリルアミド、より好ましくはC1-15N−アルキルアクリルアミド、より好ましくはC1-10N−アルキルアクリルアミド、より好ましくはC1-5N−アルキルアクリルアミド、例えばメチルアクリルアミド)、N−アルキルメタクリルアミド(例えば、C1-20N−アルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1-15N−アルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1-10N−アルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1-5N−アルキルメタクリルアミド、例えばメチルメタクリルアミド)、酢酸ビニル、ビニルエステル、スチレン、他の置換オレフィン、N−ジアルキルアクリルアミド(例えば、C1-20N−ジアルキルアクリルアミド、より好ましくはC1-15N−ジアルキルアクリルアミド、より好ましくはC1-10N−ジアルキルアクリルアミド、より好ましくはC1-5N−ジアルキルアクリルアミド、例えばNNジメチルアクリルアミド)、N−ジアルキルメタクリルアミド(例えば、C1-20N−ジアルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1-15N−ジアルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1-10N−ジアルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1-5N−ジアルキルメタクリルアミド、例えばNNジメチルメタクリルアミド)、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシリルシロキシ)シラン(TRISモノマー)、フッ素置換アルキルおよびアリールアクリレートおよびメタクリレート(好ましくは、ここでアルキルはC1-20アルキル、より好ましくはC1-15アルキル、より好ましくはC1-10アルキル、より好ましくはC1-5アルキル)、およびこれらの組合せのうちの任意のものを含む。
【0075】
より好ましいコモノマーは、グリセリルメタクリレート(GMA)、(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(GMAK)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)、メタクリル酸およびアクリル酸またはこれらの組合せのうちの任意のものを含む。
【0076】
コモノマーのリストはまた、これらのモノマーの置換誘導体、例えば、ハロゲン化モノマー、特にフッ化モノマー誘導体、ならびにアセタールおよびケタール誘導体も含む。
【0077】
本発明の重合性モノマー、ならびに1つ以上のさらなるコモノマーは、本発明の組成物および/または眼用デバイスが本質的にGMAおよびHEMAからなるように、選択され得る。
【0078】
本発明の好適な局面において、本発明はまた、本発明のプロセスによって得られる眼用デバイス(例えば、コンタクトレンズ)を提供し、ここでこの眼用デバイスは、80−20重量%のHEMAと;20−80重量%のGMAと;必要に応じて5%以下の架橋重合モノマーとを含み;そしてここで眼用デバイスはメタクリル酸を0.01%未満含む。
【0079】
本発明の好適な局面において、式IIの化合物はGMAの誘導体、例えば(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(GMAK)である。GMAKは、Moriら([1994]Macromolecules 27 35−39頁)およびOguchiら、Polym Eng.Sci.([1990]30 449)の教示に従って調製され得る。本発明のこの好適なプロセスはまた、GMAKが安価な市販材料から容易に合成でき、かつ純粋な状態で、すなわち市販のGMA中に通常存在する物質、特に架橋性物質を含まずに調製できるため、特に興味深い。
【0080】
従って、本発明の1つの局面において、式IIの化合物は、ポリマーであるか、またはポリマーの1部である。しかし、上記に説明されるように、式IIの化合物は、好ましくはモノマーである。
【0081】
本発明に従って調製されるポリマーは、ボタンあるいはキャスト成型またはスパンキャスト(spun cast)レンズとして作製され得る。
【0082】
上記のように、1つの局面において、本発明は、上記のようなプロセスにおける使用のための装置を提供する。本発明は、式I
【0083】
【化9】

の重合性モノマーの、式II
【0084】
【化10】

の化合物からの調製プロセスのための装置であって、
上記装置が、以下:
(i)固定化された酸を含有するための手段;
(ii)気体の入口であって、ここで上記入口は、使用の際に、気体が上記固定化された酸を通るように配置される、入口;および
(iii)上記固定化された酸を含有するための手段から、反応生成物P−C(O)−Qを含む気体を除去するための手段、
を包含する、装置を提供する。
【0085】
本発明のプロセスに関して、上記に与えられる好ましい特徴の各々が、本発明の装置に等しく適用される。
【0086】
反応生成物P−C(O)−Qは、揮発性化合物であることが理解される。用語「揮発性化合物」により、本発明者らは、150℃に満たない沸点および標準状態および圧力を有する化合物または水との共沸点を形成し得る化合物を意味する。
【0087】
本装置は、有利である。なぜなら、反応生成物を除去することにより、平衡
【0088】
【数2】

が、I側に移動するからである。従って、Iの生成物は、増大する。本質的に、定量的な収量が得られ得る。
【0089】
本発明のプロセスの好ましい化合物と共に、本発明の装置の使用により、非常に高い転化率が達成された。GMAKが固定化された酸と接触する場合、99.9%より大きい転化率が達成された。
【0090】
本発明の装置は、有利である。なぜなら、さらなる精製をせずに処理するのに適切なモノマーの高い収率が、単純な装置を利用して得られ得る。固定化された酸を通る、気体の供給は、このプロセスの化合物と酸との間の十分な接触を保証する。固定化された酸がイオン交換樹脂の形態である本発明の好ましい局面において、気体は、樹脂と反応物との間の十分な接触を保証して、樹脂を撹拌する(agitate)。さらに、気体が酸素を含む本発明の好ましい局面において、酸素の存在は、本発明の重合性モノマーIの重合を妨げる。
【0091】
式IIの化合物は、固定化された酸と接触し、式Iの重合性モノマーを提供する場合、酸はこの反応によって形成され得る。例えば、(2,2ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(GMAK)が固定化された酸と接触し、GMAを提供する場合、メタクリル酸は、少量で形成される。本発明の好ましい局面において、酸は、後に中和されない。代替の好ましい局面において、ここで本発明は式Iの重合性モノマーを含む組成物を提供し、このプロセスは、重合性モノマー組成物が重合前に中和されない条件で、式Iの重合性モノマーを重合する工程を、さらに包含する。本発明の好ましい局面において、酸は、メタクリル酸またはアクリル酸である。
【0092】
任意の酸の中和の省略は、架橋剤の形成を避け、そして/または低減する。例えば、GMAKが固定化された酸と接触し、GMAを形成する上記の本発明の局面において、GMAを含む組成物中に存在するメタクリル酸が中和される場合、グリセロールジメタクリレートが形成される(DGMA)。グリセロールジメタクリレートは、架橋剤である。
【0093】
従って、さらなる局面において、本発明は、ポリマーの調製プロセスを提供し、このプロセスは、以下:
(i) 式II
【0094】
【化11】

の化合物を、固定化された酸と接触させる工程であって、
ここでX、Y、Z、R1、PおよびQが炭化水素基または水素から独立して選択され、そしてAは(CH2nであり、ここでnは0または1である、工程であって;
その結果、式I
【0095】
【化12】

の重合性モノマーが提供される、工程、および、
(ii)前記重合性組成物に存在する任意の酸が、重合の前に中和されないという条件で、式Iの該重合性モノマーを重合する工程、
を包含する。
【0096】
本発明を以下、例示のみのために、添付の図面を参照して説明する。ここで: 図1は、本発明に従う好適なプロセスの反応スキームを示す。
【実施例】
【0097】
(実施例)
(1.GMAKの、グリセリンメタクリレート(GMA)への転化)
この方法は、ケタール(GMAK)を強酸性カチオン交換樹脂で酸触媒加水分解することを伴う。
【0098】
使用試薬
GMAK(水洗浄) 2000ml
脱イオン水 640ml
Amberlyst 15(湿式)カチオン交換樹脂 200g
GMAKは、メチルメタクリレートおよびSolketal(2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン)とのエステル転移反応によって調製して得た。
【0099】
Amberlyst 15(湿式)を使用前に、脱イオン水で繰り返し洗浄して、酸性不純物を除去した。
【0100】
使用前に、GMAKを同量の脱イオン水で洗浄して、いかなるSolketalをも除去した。GMAKが高濃度のSolketalを含んでいる場合は、分離は困難である。この場合、さらなる脱イオン水の添加は、より容易な分離をもたらす。
【0101】
試薬を3リットルアンバーガラスビンに入れ、そして濾過した空気のゆるやかなストリーム(6リットル/分)を混合物に48時間通した。
【0102】
次いでブフナー漏斗およびフラスコを用いて、カチオン交換樹脂を濾別した。
このステージでGMAは、代表的に20〜22%の水および0.1%のメタクリル酸を含む。
【0103】
濾液を2リットルのアンバーガラスビンに移し、そして乾燥濾過空気の急激なストリームを通して、水含量を2%未満まで減少させた。50ppmのMeHQを、0.1%未満のメタクリル酸含量を有する得られたモノマー中に溶解する。
【0104】
(2.キャスト成型)
10gのGMA(実施例1で調製)を10gのHEMAとブレンドした。アゾイソブチロニトリル(AIBN)(0.2%)を混合物に溶解し、次いでこれを濾過した。混合物をポリプロピレンモールドに仕込み、これを組み立てて、120℃で30分間加熱した。硬化したレンズを取り出し、そして生理食塩水溶液中で平衡化した。得られたヒドロゲルレンズは水分含量60%であった。
【0105】
(3.スピンキャスティング)
10gのGMA(実施例1で調製)を10gのHEMAとブレンドした。ベンゾイル(benzoir)メチルエーテル(0.2%)を混合物に溶解し、次いでこれを濾過した。この混合物をスピンキャスティングのために設計されたPVCモールドに仕込んだ。UVランプの群(bank)に通した後、温水に曝露することにより硬化したレンズをモールドから取り出して、次いで生理食塩水で平衡化した。
【0106】
(4.ボタン)
10gのGMA(実施例1で調製)を10gのHEMAとブレンドした。イソプロピルペルジカーボネート(0.1%)を混合物に溶解し、次いでこれを濾過した。この混合物をポリプロピレンボタンモールドへ仕込み、これを密封して、水浴中に浸漬した。32℃で16時間後、透明無色のボタンを取りだし、そして120℃で1時間加熱し、そして17℃/時間の割合で50℃に冷却した。レンズをボタンから切り出し、生理食塩水中で平衡化した。
【0107】
上記明細書中で言及した全ての刊行物は本明細書中に参考として援用される。
本発明の記載された方法およびシステムの種々の改変および変化は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明を特定の好適な実施形態と関連させて記載してきたが、特許請求する発明は、このような特定の実施形態に過度に限定すべきではない。実際、化学および関連分野の当業者には自明である、記載した発明の実施の形態の種々の改変は、添付の請求項の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の重合性モノマーの調製プロセスであって、該プロセスは、式II
【化2】

の化合物を固定化された酸と接触させる工程を包含し、
ここでX、Y、Z、R1、PおよびQは独立して、ヒドロカルビル基または水素から選択され、そしてここでAは(CH2nであり、ここでnは0または1である、プロセス。
【請求項2】
前記酸が強酸である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記酸が、イオン交換樹脂上に固定化されている、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
XおよびYが、1から20個の炭素原子を有する炭化水素基および水素から独立して選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
1が、1から20個の炭素原子を有する炭化水素基、およびヒドロカルビルエステル、好ましくは不飽和ヒドロカルビルエステルから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
1が、式III
【化3】

の基であり、ここでR2が、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択され、かつR3が、不飽和C1-5アルキルから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
2がCH3であり、かつR3が=CH2である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
XがHであり、YがHであり、ZがHであり、PがCH3であり、QがCH3であり、n=0であり、R1が式IIIの基であって、ここでR2がCH3であり、かつR3が=CH2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記固定化された酸を含有するための手段を提供する工程、該固定化された酸を前記式IIの化合物と接触させる工程、および気体を該固定化された酸に通す工程を包含する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記気体が空気である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記固定化された酸が、有機溶媒の非存在下で前記式IIの化合物と接触される、請求項9または10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記固定化された酸を含有するための手段が流動床反応器を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のプロセスであって、ここで該プロセスは、前記気体が前記固定化された酸を通る後に、該固定化された酸を含有するための手段から該気体を抽出する工程を包含する、プロセス。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセスであって、該プロセスが、式Iの重合性モノマーを重合させる工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項15】
前記プロセスの間に形成される酸が、重合の前に中和されない、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記形成される酸が、メタクリル酸およびアクリル酸から選択される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ポリマーから眼用デバイスを形成する工程をさらに包含する、請求項14、15または16に記載のプロセス。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項で定義されたプロセスに従って得ることができる、重合性モノマー、ポリマーまたは組成物。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項で定義されたプロセスに従って得られる、重合性モノマー、ポリマーまたは組成物。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項で定義されたプロセスに従って調製される、眼用デバイス。
【請求項21】
式I
【化4】

の重合性モノマーの、式II
【化5】

の化合物からの調製プロセスのための装置であって、該装置は、以下:
(i)固定化された酸を含有するための手段;
(ii)気体の入口であって、ここで該入口が、使用の際に、該気体が該固定化された酸を通るように構成される、入口;および
(iii)該固定化された酸を含有するための手段から、反応生成物P−C(O)−Qを含む該気体を除去するための手段、
を備える、装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、ここでXがHであり、YがHであり、ZがHであり、n=0であり、R1が式IIIの基であって、ここでR2がCH3であり、そしてR3が=CH2である、装置。
【請求項23】
ポリマーの調製プロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(i) 式II
【化6】

の化合物を、固定化された酸と接触させる工程であって、
ここでX、Y、Z、R1、PおよびQが炭化水素基または水素から独立して選択され、そしてAは(CH2nであり、ここでnは0または1であり;
その結果、式I
【化7】

の重合性モノマーが提供される、工程、および、
(ii)前記重合性組成物中に存在する任意の酸が、重合の前に中和されないという条件で、式Iの該重合性モノマーを重合させる工程、
を包含する、プロセス。

【図1】
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【公開番号】特開2012−36211(P2012−36211A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221672(P2011−221672)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2000−612246(P2000−612246)の分割
【原出願日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【出願人】(508316416)クーパーヴィジョン インターナショナル ホウルディング カンパニー リミテッド パートナーシップ (13)
【Fターム(参考)】