説明

ジチオジ(アリールカルボン酸)を含む水系作動流体

本発明は、
a)水
b)少なくとも一種のグリコール類、ポリグリコール類またはこれらの両者、及び
c)0.1〜30重量%の次式1の少なくとも一種の化合物、
を含む水系作動流体に関する。


[式中、
Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを意味し、
Ar及びArは互いに独立して単核もしくは多核芳香族基を意味し、これらは置換基を有していても、ヘテロ原子を含んでいてもよい]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジチオジ(アリールカルボン酸)を含みかつ改善された応用技術上の特性を有する水系作動流体、並びに作動流体中での腐食保護添加剤または潤滑添加剤としてのジチオジ(アリールカルボン酸)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水系作動流体は、多くの用途に、特に油圧装置から生ずる鉱油含有の作動流体によって火災の危険または環境リスクがある場合に使用される。典型的な使用分野は、鋼鉄製品、鍛冶、石炭採鉱及び石油採掘プラント並びにウインドパークである。
【0003】
鉱油含有流体と比較して潤滑作用が低くかつ腐食の危険が高いために、綿密に調整された添加剤パッケージが使用される。水系の作動流体は、典型的には、以下の成分を含む(例えば独国特許出願公開第2534808号明細書(特許文献1)またはT.Mang,W.Dressel:”Lubricants and Lubrications“,Wiley−VCH,Weinheim,2001,第11.4.6章(非特許文献1)に記載):
(1)水 35〜70%
(2)増粘剤または凝固点降下剤(例えばグリコール類) 25〜50%
(3)潤滑剤 0〜20%
(4)腐食保護剤 0〜10%
(5)pH値調整剤(例えばアルカノールアミン類) 0〜10%
(6)消泡剤 0〜2%
(7)酸化防止剤 0〜2%
(8)染料 0〜0.1%
pH値は典型的にはアルカリ性、一般的にpH>9である。pH値の上昇は腐食保護に寄与する。上記の組成では、腐食保護剤及び潤滑剤に決定的な重要性がある。
【0004】
欧州特許出願公開第0059461号明細書(特許文献2)は、腐食保護剤としても働く潤滑剤としてのポリアルキレングリコール類、並びに潤滑剤としてのジチオホスホネート類の使用を開示している。
【0005】
独国特許出願公開第2534808号明細書(特許文献1)は、向上した潤滑特性を有する、ジカルボン酸及びオリゴアミンからなるオキシアルキル化されたポリアミド、並びに水系作動流体中でのそれらの使用を記載している。
【0006】
米国特許第41434066号明細書(特許文献3)は、水性作動流体中の潤滑剤としてヒドロキシ−もしくはニトロ−置換芳香族カルボン酸を開示している。
【0007】
米国特許第4138346号明細書(特許文献4)は、水系作動流体中の潤滑剤として、リン酸モノ−及びジエステル及び硫黄化合物、例えばメルカプトベンズチアゾール類、ジチオビス(チアゾール類)及びアルキルジスルフィド類を開示している。
【0008】
国際公開第9634076号パンフレット(特許文献5)は、水系作動流体中の腐食保護剤として、脂肪族カルボン酸類及びそれらのアルカリ−またはアンモニウム塩を開示している。
【0009】
欧州特許出願公開第0059461号明細書(特許文献2)は、水系作動流体中の腐食保護剤としてのカルボン酸ジエタノールアミド類、アミン類及び置換されたイミダゾリン類、脂肪酸エトキシレート類を開示している。
【0010】
米国特許第4452710号明細書(特許文献6)は、水系作動流体中の腐食保護剤として、追加的な遊離のカルボン酸官能基を有するカルボン酸アミド類を開示している。
【0011】
現在使用されている水系作動流体には、良好な潤滑及び腐食保護作用の上記の要件に対して更なるものが求められる。流体の使用中に塩が入り込むこと、あるいは経済的な理由から流体の調合のために必要な硬水またはそれどころか海水の使用によって、添加剤の硬水または電解質適合性が要求される。現在知られている添加剤の多くはこの条件の一つまたはそれ以上を満たさない。例えば、多くのカルボン酸、中でもリン酸エステルは、硬水に対して安定していない。
【0012】
更に、経済的及び生態学的な理由から、消泡剤はしばしば避けられ、それによって選択が非発泡性添加剤に制限される。エトキシレート及び他のアルコキシレート、脂肪族カルボン酸、特に脂肪酸、並びに脂肪族カルボン酸アルカノールアミドは、それらの界面活性剤構造の故に、強い発泡作用で知られている。
【0013】
とりわけ、添加剤は、特に作動流体を、生態学的に過敏な領域、例えば北海や南氷洋に使用する場合に、良好な生態毒学的性質を有さなければならない。例えば、北海での石油採掘に使用するための作動流体の個々の成分は、良好な生分解性及び低い毒性を要求するOSPAR規準を満たさなければならない。多くの添加剤がこれらの規準を満たさない。例えばイミダゾリン類及びメルカプトベンズチアゾール類は海洋生物に対するそれらの毒性の為に認可されず、そのため、しばしば、応用技術上の性質がより劣った添加剤が使用される。同様に、生態学的な懸念の意味で並びに経済的な理由から、添加剤の使用濃度ができるだけ低いものが望まれる。これはしばしば困難である。というのも、特定の作用、例えば潤滑作用を達成する添加剤は、多くの場合に他の性質には負の影響を及ぼす、例えば腐食保護作用を劣化させるからである。例えば、エトキシレート類は、中でもそれが高度にエトキシル化されている場合には、確かに良好な潤滑作用を実現するが、腐食保護作用に関しては有害である(T.Mang,W.Dressel:”Lubricants and Lubrications“,Wiley−VCH,Weinheim,2001,第14.3章参照(非特許文献1))。それ故、多官能性であるかまたは他の添加剤と相乗作用を示す成分が本質的な改善を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第2534808号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0059461号明細書
【特許文献3】米国特許第41434066号明細書
【特許文献4】米国特許第4138346号明細書
【特許文献5】国際公開第9634076号パンフレット
【特許文献6】米国特許第4452710号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0085181号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】T.Mang,W.Dressel:“Lubricants and Lubrications“,Wiley−VCH,Weinheim,2001,第14.3章
【非特許文献2】Lubrication Engineering 1977,Vol 33,第291頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それゆえ、本発明の課題は、良好な生態毒学的な性質を有し、かつ低い使用濃度しか要しない、改善された、泡が少なく、及び硬水安定性の水系作動流体用の腐食保護剤及び潤滑添加剤を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
文献(Lubrication Engineering 1977,Vol 33,第291頁(非特許文献2))には、水性金属切削流体中のジチオジ安息香酸のアルカリ塩が、脂肪族硫黄含有酸と比べて弱い潤滑作用しか持たないことが記載されている。式1のジチオジ(アリールカルボン酸)が、特に高いpH値において、非常に良好な腐食保護性を示すことがここに見出された。更に、このジチオジ(アリールカルボン酸)が、作動流体中での使用に十分な良好な潤滑性も有することが見出された。加えて、これは泡立たず、硬水及び電解質に対して安定しており、かつ水性生物に対して低い毒性を有する。
【0018】
更に別の格別有利な性質として、水溶性腐食保護剤との組み合わせにおいて、この水溶性腐食保護剤の単独使用の場合と比べて更に向上された腐食保護作用を達成できることが見出された。ジチオジ(アリールカルボン酸)と慣用の水溶性腐食保護剤との相乗作用によって、作動流体中の添加剤パッケージの使用濃度を減少させることができる。このジチオジ(アリールカルボン酸)は、慣用の上記の従来技術に開示されている添加剤と相溶性である。腐食保護剤とジチオジ(アリールカルボン酸)との相乗性混合物の使用によって、既知の使用地域用の作動流体、特に北海などの生態学的に過敏な領域での沖合での使用のための作動流体を製造することができ、これらは、これまで既知でそしてそこで認可されている系よりも生態学的及び経済的に優れている。
【0019】
それ故、本発明の対象は、
a)水
b)少なくとも一種のグリコール類、ポリグリコール類またはこれらの両者、及び
c)0.1〜30重量%の少なくとも一種の次式1の化合物、
を含む、水系作動流体である。
【0020】
【化1】

【0021】
式中、
Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを意味し、
Ar及びArは、互いに独立して、置換基を有していてもよく、またヘテロ原子を含んでいてもよい、単核もしくは多核の芳香族基を意味する。
【0022】
本発明の更に別の対象の一つは、水系作動流体中での腐食保護剤または潤滑性向上剤としての、0.1〜30重量%の量での式(1)の化合物の使用である。
【0023】
本発明の更に別の対象の一つは、作動流体に0.1〜30重量%の式(1)の化合物を添加することによって、水系作動流体の腐食保護性及び潤滑性を向上する方法である。
【0024】
置換基Mは、遊離の酸の場合には、水素であり、塩の場合にはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンである。アンモニウムイオンの場合には、好ましくは、以下に中和剤として記載されるアミン類からプロトン化によって生ずる化合物である。
【0025】
アリール基Ar及びArは同一かまたは異なることができる。しかし、製造上の理由から、両方の芳香族が同じように置換されている化合物が好ましい。好ましくは、Ar及びArは単核もしくは多核の芳香族基、特に単核芳香族基である。Ar及びArは、好ましくは式2a〜2cの単核安息香酸誘導体である。Ar及びArはヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0026】
以下の式では、両方の遊離の原子価は、スルフィドブリッジまたはCOOM基への結合部位を示す。
【0027】
【化2】

【0028】
基Ar及びAr中の置換基R〜Rは、好ましくは互いに独立して、水素、線状、分枝状及び/または環状C−C20−アルキル基及び/またはC−〜C20−アルケニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基もしくはヒドロキシ−C−C20−アルキル基である。好ましくは、アルキル−またはアルケニル基は、水溶性をあまり悪化させない炭素原子数1〜6の短鎖基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル及びtert−ブチル基である。本発明では、更に、芳香族部分に一つだけの更なる置換基を有する化合物、すなわち基R〜Rのうちの三つが水素を表す化合物が好ましい。特に好ましくは、水素ではない基は、スルフィドブリッジに対してメタ位またはパラ位にある。好ましい実施形態の一つでは、Ar及びArは、(2a)及び(2c)の置換パターンを有し、特に好ましいものは式(2a)の置換パターンである。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態一つでは、基Ar及びArはそれぞれ次式(3)の単核芳香族基を表す。
【0030】
【化3】

【0031】
式中、遊離の原子価はスルフィド基の位置を示し、そしてXは、C〜C−アルキル基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。この実施形態では、式(1)の化合物は次式(4)に相当する。
【0032】
【化4】

【0033】
更に、式(1)の化合物が次式(5)に相当することも好ましい。
【0034】
【化5】

【0035】
式中、Xは上記の意味を有する。
【0036】
特に好ましくは、Xはスルフィドブリッジに対しパラ位にある。
【0037】
特に好ましくは、Xはメチル基またはエチル基である。
【0038】
更に別の特に好ましい実施形態では、式(1)はジチオジ安息香酸を表す。すなわちR、R、R及びRはHである。
【0039】
式(1)の化合物の製造は従来技術から既知であり、例えば欧州特許出願公開第0085181号明細書(特許文献7)に記載されている。
【0040】
本発明の更に別の対象の一つは、ジチオジ(アリールカルボン酸)と組み合わせて更に別の腐食保護剤を含む、水系作動流体である。
【0041】
好ましい形態の一つでは、該作動流体は、ジチオジ(アリールカルボン酸)の他に少なくとも一種の更に別の腐食保護剤を含む。適当な腐食保護剤は、ベンゼンスルホン酸アミドカプロン酸、トルエンスルホン酸アミドカプロン酸、ベンゼンスルホン酸(N−メチル)アミドカプロン酸、トルエンスルホン酸(N−メチル)アミドカプロン酸(全て式6)、アルカノイルアミドカルボン酸、特にイソノナノイルアミドカプロン酸(式(7))及びトリアジン−2,4,6−トリス(アミノヘキサン酸)(式(8))、または式(6)〜(8)の化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアミン塩である。
a)トルエン−もしくはベンゼンスルホンアミドカプロン酸(式(6))
【0042】
【化6】

【0043】
、RはHまたはCHである。
b)イソノナノイルアミドカプロン酸(式(7))
【0044】
【化7】

【0045】
c)トリアジン−トリスアミノヘキサン酸(式(8))
【0046】
【化8】

【0047】
更に別の既知の適当な腐食保護剤は、線状もしくは分枝状C〜C−カルボン酸、例えばオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−イソデカン酸、ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、マレイン酸、クエン酸、並びにより長鎖のジカルボン酸、例えばデカン二酸、ウンデカン二酸またはドデカン二酸(この際、鎖は分枝状または環状であることもできる)、及びポリカルボン酸である。同様に好適な腐食保護剤は、アルカンスルホン酸アミド、アルカンスルホンアミドカルボン酸及びフタル酸半アミドである。更に、上記の化合物の塩も使用することができる。
【0048】
上記の腐食保護剤のうちの一つの塩が使用される場合には、これは、好ましくは、遊離の酸と、作動流体中に含まれる中和剤との反応によって生ずる塩である。
【0049】
該作動流体は、式(1)のジチオジ(アリールカルボン酸)を好ましくは1〜15%、特に1〜10%含む。
【0050】
更に別の腐食保護剤が使用される場合には、ジチオジ(アリールカルボン酸)及び更なる腐食保護剤の総量は、一般的に0.1〜30%、好ましくは1〜10%、特に1〜5%の腐食保護剤である。この際、ジチオジ(アリールカルボン酸)の使用濃度は0.05〜20%、好ましくは0.5〜5%、特に0.5〜3%である。
【0051】
腐食保護剤の塩が使用される場合には、重量%として表される使用される腐食保護剤の濃度は、塩のより大きい分子量の故に、遊離の酸に対して相応して多い。
【0052】
本発明では、該作動流体は、摩擦及び摩耗を減らすために潤滑剤を含むことができる。この際、適当な潤滑剤は、アルキル−もしくはアリールリン酸エステルのアミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、及び/またはアルコキシル化アルコールのリン酸エステルのアミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩である。同様に、ポリアルキレングリコールも使用することができる。これらは、次式(9)のアルキレンオキシドと、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはポリ官能性アルコールもしくはアミンまたはこれらの混合物とをアニオン重合または金属触媒重合することによって得ることができる。
【0053】
【化9】

【0054】
式中、Rは水素、メチル、エチルである。
【0055】
複数種のアルキレンオキシドを使用する場合には、重合は、順次に(モノマーのブロック状配列)またはこれらの酸化物の混合物を用いて(モノマーのランダム状配列)、行うことができる。これらのポリアルキレングリコールのための適当な出発アルコールは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール及び更に別の多価アルコールである。適当なアミン類は、例えば、以下に中和剤として記載の化合物であるが、それらが酸性N−H結合を含む場合に限る。こうして得られたポリアルキレングリコールの分子量は500g/モル〜50,000g/モルの範囲で様々なものであることができ、通常は分子量は2,000〜10,000g/モルである。
【0056】
更に別の好適な潤滑剤は、硫黄化合物、例えばメルカプトベンズチアゾール類、ジチオビス(チアゾール類)及びアルキルジスルフィド類、チオホスホネート類または無機化合物、例えばリン酸または硫化金属である。本発明の好ましい形態では、該作動流体は潤滑剤を含まない。なぜならば、腐食保護剤、特にジチオジ(アリールカルボン酸)の潤滑作用で既に十分だからである。
【0057】
本発明の作動流体は、中和剤を用いて、8〜12のpH値、特に好ましくは9〜10のpH値に調節する。適当な中和剤は、次式(10)のアミン類である。
【0058】
【化10】

【0059】
式中、
、R及びR10は、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜100の炭化水素残基を表す。
【0060】
第一の好ましい実施形態では、R及び/またはR及び/またはR10は互いに独立して脂肪族基を表す。これは、好ましくは1〜24個、特に好ましくは2〜18個、特に3〜6個の炭素原子を有する。前記脂肪族基は、線状、分枝状または環状であることができる。更にこれは飽和または不飽和であることができる。好ましくは前記脂肪族基は飽和状である。前記脂肪族基は、置換基、例えばヒドロキシ基、C〜Cアルコキシ基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基及び/またはC〜C20アリール基、例えばフェニル基を有することができる。前記C〜C20アリール基は、それ自体が、場合によりハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、C〜C20アルキル基、C〜C20アルケニル基、ヒドロキシル基、C〜Cアルコキシ基、例えばメトキシ基、アミド基、シアノ基、ニトリル基及び/またはニトロ基によって置換されていてもよい。特に好ましい実施形態の一つでは、R及び/またはR及び/またはR10は互いに独立して水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cシクロアルキル基を表し、特に炭素原子数が1、2または3のアルキル基を表す。これらの基は三つまでの置換基を有してもよい。特に好ましい脂肪族基R及び/またはR及び/またはR10は、水素、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、n−プロピル、iso−プロピル、ヒドロキシプロピル、n−ブチル、iso−ブチル及びtert−ブチル、ヒドロキシブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びメチルフェニルである。
【0061】
更に別の好ましい実施形態の一つでは、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒なって環を形成する。この環は、好ましくは4またはそれ以上、例えば4、5、6またはそれ以上の環員を有する。この際、特に好ましい更なる環員は、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子である。これらの環は、この場合もそれら自体が、置換基、例えばアルキル基を有してもよい。適当な環構造は、例えばモルホリニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、イミダゾリル基及びアゼパニル基である。好ましい実施形態の一つでは、R10はHまたは炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。
【0062】
更に別の好ましい実施形態の一つでは、R、R及び/またはR10は、互いに独立して、場合により置換されたC〜C12アリール基、または場合により置換された、環員数5〜12のヘテロ芳香族基を表す。
【0063】
更に別の好ましい実施形態の一つでは、R、R及び/またはR10は、互いに独立して、ヘテロ原子が割り込んだアルキル基を表す。特に好ましいヘテロ原子は酸素及び窒素である。
【0064】
例えば、R、R及び/またはR10は互いに独立して好ましくは次式(11)の基を表す。
【0065】
【化11】

【0066】
式中、
11は、炭素原子数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基、例えばエチレン、プロピレン、ブチレンまたはこれらの混合物を表し、
12は、水素、炭素原子数1〜24の炭化水素残基、または式−NR1314の基を表し、
nは、2〜50の数、好ましくは3〜25の数、特に4〜10の数を表し、そして
13、R14は、互いに独立して、水素、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数2〜18の脂肪族基、環員数5〜12のアリール基またはヘテロアリール基、ポリ(オキシアルキレン)単位数1〜50のポリ(オキシアルキレン)基(この際、ポリオキシアルキレン単位は炭素原子数2〜6のアルキレンオキシド単位から誘導される)を表すか、またはR13及びR14は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、環員数が4、5、6またはそれ以上の環を形成する。
【0067】
更に、好ましくは、R、R及び/またはR10は、互いに独立して、次式(12)の基を表す。
【0068】
【化12】

【0069】
式中、
15は、炭素原子数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基、例えばエチレン、プロピレンまたはこれらの混合物を表し、
各R16は、互いに独立して、水素、炭素原子数が24個まで、例えば炭素原子数2〜20のアルキル−もしくはヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基−(R11−O)−R12、またはポリイミノアルキレン基−[R15−N(R16)]−(R16)を表し、この際R11、R12、R15及びR16は上記の意味を有し、そしてq及びpは互いに独立して1〜50を表し、そして
mは、1〜20、好ましくは2〜20の数、例えば3、4、5または6を表す。
【0070】
式(12)の基は、好ましくは1〜50個、特に2〜20個の窒素原子を含む。
【0071】
特に好ましい中和剤は、水溶性アルキルアミン類、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、及びより長鎖のモノ−、ジ−及びトリアルキルアミン類であるが、但しこれらが少なくとも1重量%まで、好ましくは1〜5重量%の程度で水溶性であることが条件である。この際、アルキル鎖は分枝状であることができる。同様に、オリゴアミン類、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、これらのより高級な同族体、並びにこれらの混合物も好適である。この系列の更に別の適当なアミン類は、これらのオリゴアミンのアルキル化、特にメチル化物、例えばN,N−ジメチルジエチレンアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、及び同じ構造原理のより長鎖の及び/またはより高度にアルキル化されたアミン類である。本発明において特に好適なものは、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリコールアミン、トリグリコールアミン及びより高級の同族体、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン及びより長鎖のアルキルジエタノールアミンであり、この際アルキル基は環状及び/または分枝状であることもできる。更に別の適当なアルカノールアミン類は、ジアルキルエタノールアミン類、例えばジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン及びより長鎖のジアルキルエタノールアミンであり、この際アルキル基は分枝状または環状であることもできる。更に、本発明の意味において、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール及びより高級の同族体、並びに対応するモノ−及びジメチルプロパノールアミン及びより長鎖のモノ−及びジアルキルアミノアルコール類も使用できる。就中、2−アミノ−メチルプロパノール(AMP)、2−アミノプロパンジオール、2−アミノ−2−エチルプロパンジオール、2−アミノブタンジオール、及び他の2−アミノアルカノール類、アミノアルキルアミンアルコール類、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの特殊なアミン類、並びに末端がキャップされた物、例えばメチルグリコールアミン、メチルジグリコールアミン及びより高級の同族体、ジ(メチルグリコール)アミン、ジ(メチルジグリコール)アミン及びこれらのより高級な同族体、並びに対応するトリアミン類及びポリアルキレングリコールアミン類(例えばJeffamine(登録商標))である。通常及び本発明の意味において、上記のアミン類の混合物が、所望のpH値を調節するために使用される。
【0072】
更に別の好適な中和剤は、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムである。
【0073】
上記の中和剤は、作動流体の所望のpH知を調節するのに必要な量で使用される。この望ましいpH値は7〜11、好ましくは8〜10、特に9〜10である。このために必要な中和剤の量は一般的に0.1〜10%である。
【0074】
本発明では、該作動流体は、水の他に、凝固点降下剤または粘度調節剤を含むことができる。適当な凝固点降下剤は、ポリオール類、好ましくは2〜10個のOH基を含むポリオール類である。これの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びより高級のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びより高級のポリプロピレングリコール類、対応するメチルグリコール類、エチル−、ブチル−及び更に別のアルキルグリコール類、並びにアルキルプロピレングリコール類である。同様に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン及びより高級の同族体、1,3−プロパンジオール、並びにこれらのオリゴマー及びポリマーも使用することができる。上記の化合物の混合物も使用できる。それらの使用濃度は、要求される凝固点に依存し、これは用途及び使用地域に応じて大きく変動し得る。1〜50%、好ましくは20〜50%、特に30〜40%の凝固点降下剤が使用される。
【0075】
適当な粘度調節剤は、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類及びポリアルキレングリコール類、特に高分子量ポリアルキレングリコール類である。これらは、次式(9)のアルキレンオキシドまたはこれらの混合物と、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはポリ官能性アルコール類またはアミン類とのアニオン重合または金属触媒重合によって得ることができる。
【0076】
【化13】

【0077】
式中、Rは水素、メチル、エチルである。
【0078】
複数種のアルキレンオキシドが使用される場合、重合は順次に(モノマーのブロック状配列)または酸化物の混合物を用いて(モノマーのランダム状配列)、行うことができる。これらのポリアルキレングルコール類のための適当な出発アルコールは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール及び他の多価アルコールである。適当なアミン類は、例えば、以下に中和剤として記載の化合物であるが、但しこれらが酸性のN−H結合を含むことが条件である。これらのポリアルキレングリコール類は、通常は、それら分子量ではなく、むしろそれら40℃また50℃の粘度に基づき選択される。この粘度は、通常、数mPas〜50,000mPasまたはそれ以上であることができ、そして用途に合わせられる。粘度調節剤の使用濃度は、所望の粘度に依存し、そして1〜50%、好ましくは20〜50%、特に好ましくは30〜40%であることができる。
【0079】
本発明では、従来技術に記載の添加剤である消泡剤、染料及び酸化防止剤も作動流体中に使用することができる。しかし、好ましい実施形態では、上記の理由からこれらの使用は避けることができる。
【0080】
本発明の作動流体の製造は、室温または高められた温度下で上記の成分から直接混合することによって、あるいは予め調製した添加剤パッケージを水で希釈することによって、あるいは予め調製した添加剤パッケージを、水と凝固点降下剤との混合物で希釈することによって、行うことができる。作動流体を上記成分から直接製造する場合には、最初に水、場合によって及び凝固点降下剤を仕込み、次いで更に別の成分を添加することが推奨され、この際好ましくは先ず中和剤を、その後式(1)の化合物を、そして必要な場合には更に別の潤滑剤及び追加の腐食保護剤を添加する。消泡剤、染料、酸化防止剤及び粘度調節剤などの他の添加剤は最後に添加する。添加剤パッケージを別途調製する場合には、水及び(添加剤パッケージの一部である場合には)凝固点降下剤を最初に仕込み、次いで中和剤を加え、次に他の成分を上記の順序で加える。粘度が高い場合、特に凝固点降下剤が添加剤パッケージの一部ではない場合には、混合の際に室温よりも高い温度が必要であり得る。しかしこの温度は一般的に80〜100℃は超えない。粘度が特に高い場合には、添加剤パッケージを水で希釈することができる。
【0081】
本明細書において全てのパーセンテージの記載は重量%であり、これは作動流体の総重量に基づくものである。例外は明記する。
【実施例】
【0082】
式(2a)のジチオジアリールカルボン酸を、以下、o−(オルト)と、式(2b)のジチオジアリールカルボン酸をm−(メタ)と、そして式(2c)のジチオジアリールカルボン酸をp−(パラ)と称する。使用濃度は、作動流体が所望の腐食保護作用を達成するように選択した(15%の使用濃度で腐食無し)。
【0083】
例1(従来技術)−次の成分からなる作動流体A
水 43%
モノエチレングリコール 40%
モノエタノールアミン 5%
トリエタノールアミン 3%
モノ及びジブチルリン酸エステルの混合物 7%
イソノナノイルアミドカプロン酸 2%
【0084】
例2(従来技術)−次の成分からなる作動流体B
水 43%
モノエチレングリコール 40%
モノエタノールアミン 2%
トリエタノールアミン 5%
EO−POブロックポリマー 5%
Mw600(ポリアルキレングリコール)
イソノナノイルアミドカプロン酸 5%
【0085】
例3−次の成分からなる作動流体C
水 46%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 3%
o−ジチオジ安息香酸 7%
【0086】
例4−次の成分からなる作動流体D
水 44%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 4%
m−ジチオジ安息香酸 9%
【0087】
例5−次の成分からなる作動流体E
水 42%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 5%
p−ジチオジ安息香酸 8%
【0088】
例6−次の成分からなる作動流体F
水 46%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 3%
o−ジチオジ(4−クロロ安息香酸) 7%
【0089】
例7−次の成分からなる作動流体G
水 46%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 3%
o−ジチオジ(4−メチル安息香酸) 7%
【0090】
例8−次の成分からなる作動流体H
水 46%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 3%
o−ジチオジ(4−ニトロ安息香酸) 7%
【0091】
例9−次の成分からなる作動流体I
水 45%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 3%
o−ジチオジ(2,5−ジメチル安息香酸) 8%
【0092】
例10−次の成分からなる作動流体J
水 45%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 4%
モノエタノールアミン 3%
1,1’−ジチオジ(ナフタレン−2−カルボン酸) 9%
【0093】
例11−次の成分からなる作動流体K
水 46%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 3%
モノエタノールアミン 3%
5,5’−ジチオジ(キノリン−6−カルボン酸) 9%
【0094】
例12−次の成分からなる作動流体L
水 49%
モノエチレングリコール 40%
トリエタノールアミン 5%
モノエタノールアミン 2%
o−ジチオジ安息香酸 2%
イソノナノイルアミドカプロン酸 2%
【0095】
【表1】

【0096】
表の注釈
1)20°dH(350ppm CaCOに相当)の水中20%溶液、24時間、20℃後の外観
2)海水中50%溶液、20℃で24時間後の外観
3)ライヒャルト摩擦摩耗バランス、重量1.5kg、周走行距離100m、周速1.6m/s、材料:スチール製ローラ
4)濾紙になおも錆が付かない限界濃度
例3〜11は、従来技術に比して、本発明の作動流体が安定性及び発泡性の無さに優れていることを示している。例3〜12は、ジチオジ(アリールカルボン酸)の単独使用時の向上した潤滑作用及び腐食保護性を証明しており、例12は、他の腐食保護剤との相乗作用によって、効果を損失することなく、潤滑/腐食保護剤の有効物質の組み合わせの減少された使用濃度(例1〜11の少なくとも7%に対し4%)を如何に達成できるかを示している。例12が、例1及び2(公知の有効物質の組み合わせ)との比較において示すように、ジチオジ(アリールカルボン酸)と慣用の水溶性腐食保護剤との相乗作用によって、作動流体中の添加剤パッケージの使用濃度を減少させることができる。
表2:生態毒学的データ
表2は、北海での使用にOSPARに従い要求されるような、腐食−及び潤滑物質添加剤の典型的な生態毒学的データを示す。OSPARの要求は、ジチオジ(安息香酸)によってしか満たされない。
【0097】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水、
b)少なくとも一種のグリコール類、ポリグリコール類またはこれらの両者、及び
c)0.1〜30重量%の次式1の少なくとも一種の化合物、
を含む、作動流体。
【化1】

[式中、
Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを意味し、
Ar及びArは、互いに独立して、単核もしくは多核の芳香族基を意味し、これらは置換基を有していても、ヘテロ原子を含んでいてもよい]
【請求項2】
水35〜70重量%、及びグリコール類、ポリグリコール類またはこれらの両者25〜50重量%を含む、請求項1の作動流体。
【請求項3】
Ar及びArが次の式2a〜2cの基を表す、請求項1及び/または2の作動流体。
【化2】

[式中、R、R、R、Rは、互いに独立して、H、CH、C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキル、ハロゲン、NO、NO、CN、OX、NH、NHXまたはN(X)を意味し、XはC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキルである]
【請求項4】
基Ar及びArが、それぞれ、カルボキシル基及びスルフィドブリッジの他に、H以外の置換基を一つだけ有する、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項5】
基Ar及びArのそれぞれが、次式3の単核芳香族基を表す、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の作動流体。
【化3】

[式中、遊離の原子価はスルフィドブリッジの位置を示し、そしてXはC〜Cアルキル基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す]
【請求項6】
Xがスルフィドブリッジに対してパラ位にある、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項7】
Xがメチル基またはエチル基である、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項8】
式1がジチオジ安息香酸を表す、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項9】
a)次式6のトルエン−もしくはベンゼンスルホンアミドカプロン酸
【化4】

[式中、R、RはHまたはCHである]
b)次式7のイソノナノイルアミドカプロン酸
【化5】

及び
c)次式8のトリアジン−トリスアミノヘキサン酸
【化6】

からなる群から選択される少なくとも一種の更に別の腐食保護剤を含む、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項10】
脂肪族もしくは芳香族カルボン酸、脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸、脂肪族もしくは芳香族ポリカルボン酸、フタル酸半アミド、アルカンスルホンアミド、アルカンスルホンアミドカルボン酸の群から選択される少なくとも一種の更に別の腐食保護剤を含む、請求項1〜9の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項11】
摩擦及び摩耗の減少のための潤滑剤を含む、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項12】
アミン類、アルカノールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属酸化物の群から選択される中和剤を含む、請求項1〜11の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項13】
エチレングリコール類、プロピレングリコール類、アルキルグリコール類、アルキルプロピレングリコール類の群から選択される凝固点降下剤を含む、請求項1〜12の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項14】
ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリアルキレングリコール類の群から選択される増粘剤を含む、請求項1〜13の一つまたはそれ以上の作動流体。
【請求項15】
作動流体中の腐食保護添加剤または潤滑性添加剤としての、次式1の化合物0.1〜30重量%の使用。
【化7】

[式中、
Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを意味し、
Ar及びArは互いに独立して単核もしくは多核芳香族基を意味し、これらは置換基を有していても、ヘテロ原子を含んでいてもよい]


【公表番号】特表2012−512286(P2012−512286A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541142(P2011−541142)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008586
【国際公開番号】WO2010/069464
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】