説明

ジニトリルの製造方法

【課題】生成物及び触媒の損失の少ないアジポニトリルとメチルグルタロニトリルとの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)ペンテンニトリルを含む反応物質流とシアン化水素とを少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の促進剤の存在下で反応させ、ペンテンニトリル、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む反応生成物流を得る段階、(b)上記反応生成物流を蒸留し、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつペンテンニトリルが減少した流3を塔底生成物として、ペンテンニトリルが濃縮された流4を塔頂生成物として得る段階、(c)流3を流5中に存在する抽出剤を使用して抽出し、触媒を含みかつ抽出剤が濃縮された流6を塔頂生成物として、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつ抽出剤が減少した流7を塔底生成物として得る段階、(d)流6を蒸留して、上記触媒を含む流8を塔底生成物として、上記抽出剤を含む流9を塔頂生成物として得る段階、(e)流7を蒸留して、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流10を塔底生成物として、上記抽出剤を含む流11を塔頂生成物として得る段階、(f)流10を蒸留して、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流12を塔底生成物として、ペンテンニトリルを含む流13を塔頂生成物として得る段階、(g)流12を蒸留して、触媒分解生成物及び上記少なくとも1種の促進剤を含む流14を塔底生成物として、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを含む流15を塔頂生成物として得る段階、(h)流15を蒸留して、アジポニトリルを含む流16を塔底生成物として、メチルグルタロニトリルを含む流17を塔頂生成物として得る段階、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的にアジポニトリルを製造する方法における主要な特徴は、US4080374号公報に開示されており、この方法では、1,3−ブタジエンを例えばUS3496215号公報の方法に従ってシアン化水素と反応させ、3−ペンテンニトリルと2−メチル−3−ブテンニトリルを含む混合物を得ている。2−メチル−3−ブテンニトリルは、例えばUS3542874号公報の方法に従い、3−ペンテンニトリルに異性化することができる。続く段階で、得られた3−ペンテンニトリルを例えばUS3752839号公報の方法に従ってシアン化水素と反応させ、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルとを含む混合物を得ている。
【0003】
アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを製造するための公知の方法は、多段階で行う方法である。各々の段階、使用する設備構成、及び改良点についても既に検討されている。
【0004】
例えば、US3773809号公報及びUS4385007号公報は、3−ペンテンニトリル及び4−ペンテンニトリルを含む混合物からシアン化水素付加工程で使用されたニッケル(0)触媒を抽出する方法を開示している。この方法における必須要件は、シアン化水素付加の転化率が60%を超えていることである。しかしながら、この転化率は、ニッケル(0)触媒の損失が大きい場合にのみ達成することができる値である。
【0005】
上述の抽出工程で得られた流の処理方法がUS4080374号公報に記載されており、この公報には、抽出のアジボニトリル濃縮相からの抽出剤及びニトリルを回収するために、抽出、抽残物の遠心分離、及びこれに続く蒸留によってシアン化水素付加後の流体を精製する方法が記載されている。しかしながら、この回収方法において、工業的に実行可能な圧力下で触媒流から抽出剤とペンテンニトリルを極めて良好に回収するためには、価値のある生成物であるアジポニトリルが使用された特別な促進剤である塩化亜鉛又はトリフェニルボロンとの反応により少なくとも部分的に分解されてしまうような、高温での回収を余儀なくされる。
【0006】
ペンテンニトリルからアジポニトリルへのシアン化水素付加後の反応流体を未反応のペンテンニトリルを循環させながら精製する方法については、US3564040号公報に記載されており、この公報は、シス−、トランス−3−ペンテンニトリルと4−ペンテンニトリルの混合物から、トランス−2−ペンテンニトリルを、トランス−2−ペンテンニトリルをシス−2−ペンテンニトリルに触媒的に異性化することにより回収する方法を開示している。この異性化の後で、シス−2−ペンテンニトリルを除去するための分留と、反応器中でシス−2−ペンテンニトリルに異性化される残留トランス−2−ペンテンニトリルを含むペンテンニトリル流の循環とが行われる。US3564040号公報の実施例から、シアン化水素付加用の触媒がわずかに2.5質量%のトランス−2−ペンテンニトリルによっても被毒されることがわかっている。
【0007】
3−ペンテンニトリルと4−ペンテンニトリルの混合物からのシス−2−ペンテンニトリルの除去については、US3852325号公報及びUS3852327号公報に開示されており、これらの公報は、トリアリールボロンハライド又はトリトリルホスフィット配位子を有するNi(0)化合物によりトランス−2−ペンテンニトリルをルイス酸を添加して異性化し、トランス−2−ペンテンニトリルを3−ペンテンニトリルからの除去がより容易なシス−2−ペンテンニトリルへと転化する方法を記載している。
【0008】
アジポニトリルの精製は、US3766241号公報に記載されており、この公報は、シアン化水素付加において促進剤として使用されている塩化亜鉛をアンモニア付加物として沈殿させるために、シアン化水素付加後の流体をアンモニアで処理して精製する方法に関する。
【0009】
【特許文献1】US4080374号公報
【特許文献2】US3496215号公報
【特許文献3】US3542874号公報
【特許文献4】US3752839号公報
【特許文献5】US3773809号公報
【特許文献6】US4385007号公報
【特許文献7】US3564040号公報
【特許文献8】US3852325号公報
【特許文献9】US3852327号公報
【特許文献10】US3766241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来から知られている、シアン化水素付加後の混合物からアジポニトリルを分離するために必要な各々の段階、及び、原料の損失を回避するための未反応のペンテンニトリルとニッケル(0)触媒の反応工程への循環は、価値のある生成物及び触媒の損失を伴うものであり、満足の得られる結果が得られていない。
【0011】
従って、本発明の目的は、上述の先行技術における問題点を実質的に回避し、以下に示すような利点を有する、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを製造するための統合された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的は、以下に示す本発明のアジポニトリルとメチルグルタロニトリルを製造する方法によって達成される。
【0013】
本発明は、以下に示す各段階によって特徴づけられる。
【0014】
(a)ペンテンニトリルを含む反応物質流とシアン化水素とを少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の促進剤の存在下で反応させ、ペンテンニトリル、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む反応生成物流を得る段階、
(b)上記反応生成物流を蒸留し、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつペンテンニトリルが減少した流3を塔底生成物として、ペンテンニトリルが濃縮された流4を塔頂生成物として、得る段階、
(c)流3を流5中に存在する抽出剤を使用して抽出し、触媒を含みかつ抽出剤が濃縮された流6を塔頂生成物として、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつ抽出剤が減少した流7を塔底生成物として、得る段階、
(d)流6を蒸留して、上記触媒を含む流8を塔底生成物として、上記抽出剤を含む流9を塔頂生成物として、得る段階、
(e)流7を蒸留して、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流10を塔底生成物として、上記抽出剤を含む流11を塔頂生成物として、得る段階、
(f)流10を蒸留して、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流12を塔底生成物として、ペンテンニトリルを含む流13を塔頂生成物として、得る段階、
(g)流12を蒸留して、触媒分解生成物及び上記少なくとも1種の促進剤を含む流14を塔底生成物として、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを含む流15を塔頂生成物として、得る段階、
(h)流15を蒸留して、アジポニトリルを含む流16を塔底生成物として、メチルグルタロニトリルを含む流17を塔頂生成物として、得る段階。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
段階(a)では、ペンテンニトリルを含む反応物質流を、少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の促進剤の存在下でシアン化水素と反応させ、ペンテンニトリル、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む反応生成物流を得る。反応生成物流における他の成分として、吉草酸が挙げられる。
【0016】
この場合に使用される反応物質流は、反応自体は公知であるニッケル(0)触媒の存在下でのブタジエンの均一シアン化水素付加反応から得られる流であるのが好ましい。
【0017】
段階(a)で使用される触媒は、ニッケル(0)−リン配位子錯体であるのが好ましい。
【0018】
リン配位子を含むNi(0)錯体及び/又は遊離リン配位子は、均一に溶解しているのが好ましい。
【0019】
ニッケル(0)錯体のリン配位子及び遊離リン配位子は、単座配位又は二座配位のホスフィン、ホスフィット、ホスフィニット、及びホスホニットから選択されるのが好ましい。
【0020】
これらのリン配位子として、式(I)
P(X11)(X22)(X33) (I)
で表わされる化合物が好ましい。本発明に関する限り、式(I)で表わされる化合物は単一の化合物であっても良く、上述の式で表わされる異なる化合物の混合物であっても良い。
【0021】
本発明では、X1、X2、及びX3はそれぞれ酸素又は単結合を表わす。X1、X2、及びX3の全部が単結合の場合には、化合物(I)は式P(R123)で表わされるホスフィンである。R1、R2、及びR3の意味は以下に示す。
【0022】
1、X2、及びX3のうちの2個が単結合であり、1個が酸素である場合には、化合物(I)は式P(OR1)(R2)(R3)又はP(R1)(OR2)(R3)又はP(R1)(R2)(OR3)で表わされるホスフィニットである。R1、R2、及びR3の意味は以下に示す。
【0023】
1、X2、及びX3のうちの1個が単結合であり、2個が酸素である場合には、化合物(I)は式P(OR1)(OR2)(R3)又はP(R1)(OR2)(OR3)又はP(OR1)(R2)(OR3)で表わされるホスホニットである。R1、R2、及びR3の意味は以下に示す。
【0024】
好ましい形態では、X1、X2、及びX3の全てが酸素である。すなわち、化合物(I)は式P(OR1)(OR2)(OR3)で表わされるホスフィットであるのが好ましい。R1、R2、及びR3の意味は以下に示す。
【0025】
本発明において、R1、R2、及びR3はそれぞれ互いに独立に同一であっても異なっていても良い有機基である。R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に、アルキル基、好ましくは炭素原子数が1〜10個であるアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、アリール基、例えばフェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、1−ナフチル、2−ナフチル、又はヒドロカルビル基、好ましくは炭素原子数が1〜20個のヒドロカルビル基、例えば1,1´−ビフェノール、1,1´−ビナフトールである。R1、R2、及びR3は互いに直接結合していても良く、すなわち中心リン原子を介して単独で結合していなくとも良い。R1、R2、及びR3は互いに直接結合していないのが好ましい。
【0026】
好ましい形態では、R1、R2、及びR3は、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリルからなる群から選択される基である。特に好ましい形態では、R1、R2、及びR3のうちの最大2個がフェニル基である。
【0027】
他の好ましい形態では、R1、R2、及びR3のうちの最大2個がo−トリル基である。
【0028】
使用可能な特に好ましい化合物Iは、式Ia
(o−トリル−O−)w(m−トリル−O−)x(p−トリル−O−)y(フェニル−O−)zP (Ia)
で表わされる化合物である。式中、w、x、y、zはそれぞれ自然数であるが、w+x+y+z=3であり、w,z≦2である。
【0029】
このような式(Ia)で表わされる化合物としては、例えば、(p−トリル−O−)(フェニル−O−)2P、(m−トリル−O−)(フェニル−O−)2P、(o−トリル−O−)(フェニル−O−)2P、(p−トリル−O−)2(フェニル−O−)P、(m−トリル−O−)2(フェニル−O−)P、(o−トリル−O−)2(フェニル−O−)P、(m−トリル−O−)(p−トリル−O−)(フェニル−O−)P、(o−トリル−O−)(p−トリル−O−)(フェニル−O−)P、(o−トリル−O−)(m−トリル−O−)(フェニル−O−)P、(p−トリル−O−)3P、(m−トリル−O−)(p−トリル−O−)2P、(o−トリル−O−)(p−トリル−O−)2P、(m−トリル−O−)2(p−トリル−O−)P、(o−トリル−O−)2(p−トリル−O−)P、(o−トリル−O−)(m−トリル−O−)(p−トリル−O−)P、(m−トリル−O−)3P、(o−トリル−O−)(m−トリル−O−)2P、(o−トリル−O−)2(m−トリル−O−)P、又はこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0030】
(m−トリル−O−)3P、(m−トリル−O−)2(p−トリル−O−)P、(m−トリル−O−)(p−トリル−O−)2P、及び(p−トリル−O−)3Pを含む混合物は、例えば、原油を蒸留精製して得られるm−クレゾール及びp−クレゾールを含む混合物、特に2:1のモル比でm−クレゾール及びp−クレゾールを含む混合物を、三ハロゲン化リン、例えば三塩化リンと反応させることによって得ることができる。
【0031】
他の同様に好ましい形態では、リン配位子はDE−A−19953058に詳細に記載されているような、式Ib
P(O−R1x(O−R2y(O−R3z(O−R4p (Ib)
で表わされるホスフィットである。
【0032】
式中、R1は、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo位の位置にC1−C18−アルキル置換基を有している芳香族基、又は芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo位の位置に芳香族置換基を有している芳香族基、又は芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo位の位置に縮合芳香族環を有している芳香族基を意味し、
2は、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してm位の位置にC1−C18−アルキル置換基を有している芳香族基、又は芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してm位の位置に芳香族置換基を有している芳香族基、又は芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してm位の位置に縮合芳香族環を有している芳香族基であって、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo位の位置に水素を有する芳香族基を意味し、
3は、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してp位の位置にC1−C18−アルキル置換基を有している芳香族基、又は芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してp位の位置に芳香族置換基を有している芳香族基であって、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo位の位置に水素を有する芳香族基を意味し、
4は、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo、m、及びp位の位置にR1、R2及びR3に対して上述した基以外の基を有している芳香族基であって、芳香族環におけるリン原子と結合している酸素に対してo位の位置に水素を有する芳香族基を意味し、
xは1又は2を意味し、
y、z、pはそれぞれ独立に0、1又は2を意味し、x+y+z+p=3である。
【0033】
好ましい式(Ib)で表わされるホスフィットは、DE−A−19953058号公報に記載されている。R1は、好ましくはo−トリル、o−エチルフェニル、o−n−プロピルフェニル、o−イソプロピルフェニル、o−n−ブチルフェニル、o−s−ブチルフェニル、o−t−ブチルフェニル、(o−フェニル)フェニル、又は1−ナフチルであることができる。
【0034】
2は、好ましくはm−トリル、m−エチルフェニル、m−n−プロピルフェニル、m−イソプロピルフェニル、m−n−ブチルフェニル、m−s−ブチルフェニル、m−t−ブチルフェニル、(m−フェニル)フェニル、又は2−ナフチルであることができる。
【0035】
3は、好ましくはp−トリル、p−エチルフェニル、p−n−プロピルフェニル、p−イソプロピルフェニル、p−n−ブチルフェニル、p−s−ブチルフェニル、p−t−ブチルフェニル、(p−フェニル)フェニルであることができる。
【0036】
4は、好ましくはフェニルである。pは好ましくは0である。式(Ib)におけるx,y,z及びpに対して、以下のような可能性が存在する。
【0037】
【表1】

【0038】
好ましい式(Ib)で表わされるホスフィットは、pが0であり、R1、R2及びR3がそれぞれ独立にo−イソプロピルフェニル、m−トリル、及びp−トリルから選択され、R4がフェニルである化合物である。
【0039】
特に好ましい式(Ib)で表わされるホスフィットは、R1がo−イソプロピルフェニル、R2がm−トリル、R3がp−トリルで各指数が上表に示された値を有する化合物、R1がo−トリル、R2がm−トリル、R3がp−トリルで各指数が上表に示された値を有する化合物、さらに、R1が1−ナフチル、R2がm−トリル、R3がp−トリルで各指数が上表に示された値を有する化合物、R1がo−トリル、R2が2−ナフチル、R3がp−トリルで各指数が上表に示された値を有する化合物、及び、R1がo−イソプロピルフェニル、R2が2−ナフチル、R3がp−トリルで各指数が上表に示された値を有する化合物及びこれらのホスフィットの混合物である。
【0040】
式(Ib)で表わされるホスフィットは、
a)三ハロゲン化リンをR1OH、R2OH、R3OH及びR4OH又はこれらの混合物からなる群から選択されたアルコールと反応させ、ジハロゲン化リンモノエステルを生成させ、
b)得られたジハロゲン化リンモノエステルをR1OH、R2OH、R3OH及びR4OH又はこれらの混合物からなる群から選択されたアルコールと反応させ、モノハロゲン化リンジエステルを生成させ、
c)得られたモノハロゲン化リンジエステルをR1OH、R2OH、R3OH及びR4OH又はこれらの混合物からなる群から選択されたアルコールと反応させ、式(Ib)で表わされるホスフィットを生成させる、
ことにより得ることができる。
【0041】
反応は、3段階の分離した段階で行うことができる。同様に、上述の3段階のうちの2段階、すなわち、a)段階とb)段階又はb)段階とc)段階、を組み合わせることもできる。また、a)、b)、c)段階の全てを互いに組み合わせることもできる。
【0042】
1OH、R2OH、R3OH及びR4OH又はこれらの混合物からなる群から選択されたアルコールの量及び反応に適したパラメーターは、数回の簡単な予備実験により決定することができる。
【0043】
有用な三ハロゲン化リンは、原則として全ての三ハロゲン化リンであるが、使用されるハロゲンがCl、Br、I、特にClである化合物又はこれらの混合物が好ましい。三ハロゲン化リンとして、種々の同一の又は異なるハロゲンで置換されたホスフィンの混合物を使用することもできる。特に好ましいのはPCl3である。ホスフィット(Ib)の製造における反応条件及び精製に関する詳細は、DE−A−19953058号公報に記載されている。
【0044】
ホスフィット(Ib)はまた、異なるホスフィット(Ib)の混合物の形態で、配位子として使用することができる。このような混合物は、例えばホスフィット(Ib)の製造において得ることができる。
【0045】
しかしながら、多座配位、特に二座配位のリン配位子が好ましい。したがって、好ましく使用される配位子は、式(II)
【0046】
【化1】

で表わされる配位子である。式中、X11、X12、X13、X21、X22、X23は、それぞれ独立に酸素又は単結合を意味し、
11、R12はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、単独の又は架橋した有機基を意味し、
21、R22はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、単独の又は架橋した有機基を意味し、
Yは架橋基を意味する。
【0047】
本発明に関する限り、化合物IIは単一の化合物でも良く、上述の式で表わされる異なる化合物の混合物であっても良い。
【0048】
好ましい形態では、X11、X12、X13、X21、X22、X23は酸素であることができる。このような場合には、架橋基Yはホスフィット基に結合している。
【0049】
他の好ましい形態では、X11、X12、X13で囲まれているリン原子がホスホニットの中心原子であるように、X11及びX12が酸素であり、X13が単結合であることができ、又はX11及びX13が酸素であり、X12が単結合であることができる。この場合には、X21、X22、X23で囲まれているリン原子がホスフィット、ホスホニット、ホスフィニット又はホスフィン、好ましくはホスホニットの中心原子であるように、X21、X22、X23はそれぞれ酸素であることができ、又はX21及びX22が酸素であり、X23が単結合であることができ、又は、X21及びX23が酸素であり、X22が単結合であることができ、又は、X23が酸素であり、X21及びX23がそれぞれ単結合であることができ、又は、X21が酸素であり、X22及びX23がそれぞれ単結合であることができ、又はX21、X22、X23がそれぞれ単結合であることができる。
【0050】
他の好ましい形態では、X11、X12、X13で囲まれているリン原子がホスフィニットの中心原子であるように、X13が酸素であり、X11及びX12が単結合であることができ、又はX11が酸素であり、X12及びX13が単結合であることができる。この場合には、X21、X22、X23で囲まれているリン原子がホスフィット、ホスフィニット又はホスフィン、好ましくはホスフィニットの中心原子であるように、X21、X22、X23はそれぞれ酸素であることができ、又はX23が酸素であり、X21及びX22が単結合であることができ、又は、X21が酸素であり、X22及びX23が単結合であることができ、又はX21、X22、X23がそれぞれ単結合であることができる。
【0051】
他の好ましい形態では、X11、X12、X13で囲まれているリン原子がホスフィンの中心原子であるように、X11、X12、X13はそれぞれ単結合であることができる。このような場合には、X21、X22、X23で囲まれているリン原子がホスフィット又はホスフィン、好ましくはホスフィンの中心原子であるように、X21、X22、X23はそれぞれ酸素であることができ、又はX21、X22、X23がそれぞれ単結合であることができる。
【0052】
架橋基Yは、例えばC1−C4−アルキル、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、ハロゲン化アルキル、例えばトリフルオロメチル、アリール、例えばフェニルで置換されたアリール基又は非置換のアリール基であるのが好ましく、好ましくは芳香族環に6〜20個の炭素原子を有する基、特にピロカテコール、ビス(フェノール)又はビス(ナフトール)である。
【0053】
11、R12はそれぞれ同一であっても異なっていても良い有機基を意味することができる。好ましいR11、R12は、非置換であっても良く又は1個以上の置換基、特にC1−C4アルキル、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、ハロゲン化アルキル、例えばトリフルオロメチル、アリール、例えばフェニル、又は非置換アリール基で置換されていても良いアリール基、好ましくは炭素原子数が6〜10個のアリール基である。
【0054】
21、R22はそれぞれ同一であっても異なっていても良い有機基を意味することができる。好ましいR21、R22は、非置換であっても良く又は1個以上の置換基、特にC1−C4アルキル、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、ハロゲン化アルキル、例えばトリフルオロメチル、アリール、例えばフェニル、又は非置換アリール基で置換されていても良いアリール基、好ましくは炭素原子数が6〜10個のアリール基である。
【0055】
11、R12は、それぞれ単独の基であっても良く架橋していても良い。R21、R22もまた、それぞれ単独の基であっても良く架橋していても良い。R11、R12、R21、R22はそれぞれが単独の基であっても良く、2つが単独の基であって2つが架橋していても良く、4つ全てが上述のように架橋していても良い。
【0056】
特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5723641号公報において特定されている式I、II、III、IV及びVで表わされる化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5512696号公報において特定されている式I、II、III、IV、V、VI、VIIで表わされる化合物、特に例1〜31で使用されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5821378号公報において特定されている式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV及びXVで表わされる化合物、特に例1〜73で使用されている化合物である。
【0057】
特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5512695号公報において特定されている式I、II、III、IV、V、VIで表わされる化合物、特に例1〜6で使用されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5981772号公報において特定されている式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、及びXIVで表わされる化合物、特に例1〜66で使用されている化合物である。
【0058】
特に好ましい形態では、有用な化合物はUS6127567号公報において特定されている化合物、特に例1〜29で使用されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はUS6020516号公報において特定されている式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX及びXで表わされる化合物、特に例1〜33で使用されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5959135号公報において特定されている化合物、特に例1〜13で使用されている化合物である。
【0059】
特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5847191号公報において特定されている式I、II、IIIで表わされる化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はUS5523453号公報において特定されている化合物、特に式1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20及び21で表わされる化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はWO01/14392号パンフレットにおいて特定されている化合物であり、特に式V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XXI、XXII、XXIIIで表わされる化合物である。
【0060】
特に好ましい形態では、有用な化合物はWO98/27054号パンフレットにおいて特定されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はWO99/13983号パンフレットにおいて特定されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はWO99/64155号パンフレットにおいて特定されている化合物である。
【0061】
特に好ましい形態では、有用な化合物はドイツ特許出願DE10038037号公報において特定されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はドイツ特許出願DE10046025号公報において特定されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はドイツ特許出願DE10150285号公報において特定されている化合物である。
【0062】
特に好ましい形態では、有用な化合物はドイツ特許出願DE10150286号公報において特定されている化合物である。特に好ましい形態では、有用な化合物はドイツ特許出願DE10207165号公報において特定されている化合物である。本発明のさらに別の特に好ましい形態では、有用なリンキレート配位子はUS2003/100442A1号公報において特定されている化合物である。
【0063】
本発明のさらに別の特に好ましい形態では、有用なリンキレート配位子は、本出願の優先日より前の優先日を有するものの本出願の優先日の時点ではまだ公開されていない2003年10月30日のドイツ特許出願DE10350999.2号において特定されている化合物である。
【0064】
上述の化合物I、Ia、Ib、II及びその製造方法自体は公知である。使用されるリン配位子は、化合物I、Ia、Ib、IIのうちの少なくとも2種を含む混合物であっても良い。
【0065】
本発明の方法における特に好ましい形態では、ニッケル(0)錯体のリン配位子及び/又は遊離リン配位子は、トリトリルホスフィット、二座配位リンキレート配位子、及び式(Ib)
P(O−R1x(O−R2y(O−R3z(O−R4p (Ib)
で表わされ、R1、R2及びR3がそれぞれ独立にo−イソプロピルフェニル、m−トリル、及びp−トリルから選択され、R4がフェニルであり、xが1又は2であり、y、z、pがそれぞれ独立に0、1、又は2であり、x+y+x+p=3であるホスフィット又はこれらの混合物である。
【0066】
本発明の方法における段階(a)は、絶対圧力が好ましくは0.1〜10bar、より好ましくは0.5〜2bar、特に好ましくは0.8〜1.5bar、温度が好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜100℃、特に好ましくは60〜70℃の条件で行われる。
【0067】
段階(a)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。適当な反応器の例としては、逆混合が可能な装置が挙げられる。
【0068】
段階(a)におけるシアン化水素付加において、触媒が部分的に分解する可能性がある。触媒から発生する分解生成物としては、例えば、シアン化ニッケル(II)を含有する成分が挙げられる。形成される他の分解生成物としては、例えば、原料中、特に使用されるシアン化水素中に存在しうる痕跡量の水のために形成される、使用される特別な物質I及びIIの反応から誘導される、加水分解されたリン化合物が挙げられる。形成される他の分解生成物としては、酸素分子との反応、原料中に存在している可能性のある過酸化物との反応、特に装置の漏洩、又はペンテンニトリルへの例えば貯蔵中の酸素の溶解及びこれに続くペンテンニトリルの過酸化物の生成のために形成される、使用される特別な物質I及びIIの酸化状態(V)のリン原子を有する化合物を与える反応から誘導される、酸化されたリン化合物が挙げられる。形成される他の分解生成物、特に使用されたキレート配位子IIの分解生成物としては、好ましくない条件下で、例えば熱的に又はプロトン触媒又は塩基触媒により誘起された特別な構造のリン原子上の基の再配列により誘導され、出発物質よりもシアン化水素付加活性が低い、単座配位の分解生成物が挙げられる。
【0069】
段階(a)のシアン化水素付加において、さらに2−ペンテンニトリルが一般に形成されるが、この物質は、単座配位の配位子を有するニッケル(0)触媒とZnCl2又はBPh3のような促進剤とが使用される場合には触媒毒となる。
【0070】
本発明の方法における段階(a)で使用される促進剤は、ルイス酸のZnCl2、FeCl2、Et2AlCl、Et3Al2Cl3、EtAlCl2及びBPh3から成る群から好ましく選択される。
【0071】
段階(a)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。反応のために有用な装置は、この目的のために慣用的な、例えば、Kirl−Othmerの“Encyclopedia of Chemical Technology,4th ed.,Vol.20,John Wiley & Sons,New York,(1996)”の1040〜1055頁に記載されている装置、例えば攪拌槽反応器、ループ反応器、ガス循環反応器、気泡塔反応器又は管状反応器であり、これらの反応器は必要に応じて反応熱除去装置を有していても良い。反応は、複数の、例えば2個又は3個の装置内で行うことができる。
【0072】
段階(b)では、上記反応生成物流を蒸留し、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつペンテンニトリルが減少した流3を塔底生成物として、ペンテンニトリルが濃縮された流4を塔頂生成物として得る。
【0073】
後続の段階(c)における抽出の前に、ペンテンニトリルを実質的に除去するのが好ましい。そうしないと、抽出の際の相分離がしばしば複雑化し又は妨げられ、また、シアン化水素付加後の流体からの触媒成分の抽出効率が、高いペンテンニトリル濃度によって悪影響を受けるからである。
【0074】
段階(b)の蒸発は、1段階で行うことができ、又は異なる温度及び圧力で連続して行われる複数段階でも行うことができる。さらに、段階(b)における蒸発処理装置は、精留塔又はストリップ塔としての操作が可能な蒸留塔として設計されていても良い。好ましい形態において、段階(b)における蒸留処理装置は、ストリップモードの蒸留塔として操作される。
【0075】
本発明の方法の別の好ましい形態では、段階(b)の1個以上の蒸発処理装置のうちの少なくとも一つを、分離した塔底と共に操作する。この場合には、塔底排出物流に比較して一般に量が多い循環流が、問題の蒸発処理装置の第1の塔底から蒸発器に導かれ、この蒸発器からの液体流出物流が直接塔底に戻されず、むしろ、第1の塔底と分離した第2の塔底に収集され、塔底排出物流が第2の塔底から得られ、蒸留器の循環流の残余の部分が第1の塔底へと流れ込む。第2の塔底から得られた塔底排出物流は、第1の塔底からの排出物に比較して、低沸点物が減少した混合物である。
【0076】
段階(b)における絶対圧は、0.001〜1barが好ましく、0.005〜0.1barがより好ましく、0.01〜0.05barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは40〜180℃、より好ましくは70〜120℃、特に好ましくは80〜100℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が好ましくは−15〜150℃、より好ましくは0〜60℃、特に好ましくは20〜50℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が塔頂と塔底の両方で維持される。
【0077】
段階(b)におけるペンテンニトリルが濃縮された流4は、一般に、トランス−3−ペンテンニトリル、シス−3−ペンテンニトリル、4−ペンテンニトリル、トランス−2−ペンテンニトリル、シス−2−ペンテンニトリル、及び(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを含む。特に好ましい形態では、この流4を少なくとも部分的に別の段階(i)で蒸留し、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが減少した流18と、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが濃縮された流19とを得る。シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが減少した流18は、段階(a)のシアン化水素付加に循環されるのが好ましい。流19は、さらなる精製工程に供給し、この工程で、例えばDE10323803号公報又はDE−A−102004004716号公報に記載されている方法に従ってシス−2−ペンテンニトリルを3−ペンテンニトリルに異性化することによって、価値のある物質を回収することができる。
【0078】
この任意の段階(i)の蒸留は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(i)の蒸留は、好ましくは1個以上の蒸留塔で行う。これらの塔には、1箇所以上の側方排出口が設けられていても良い。この蒸留塔のために使用される内部部品は、構造化された板状金属充填物、構造化された繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則な充填物の床、又はこれらの2種以上の分離内部部品の組み合わせが好ましい。
【0079】
段階(i)の1個以上の塔は、側方排出口を備えた隔壁塔として設計されていても良い。段階(i)の塔には、流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、又は強制循環減圧蒸発器を蒸発装置として備えることができる。
【0080】
段階(i)における絶対圧は、0.01〜10.0barが好ましく、0.05〜5.0barがより好ましく、0.1〜1.0barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が好ましくは40〜250℃、より好ましくは50〜180℃、特に好ましくは60〜150℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が好ましくは0〜200℃、より好ましくは15〜180℃、特に好ましくは20〜150℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、任意の段階(i)において上述の温度範囲が塔頂と塔底の両方で維持される。
【0081】
本発明では、先行技術とは反対に、キレート配位子を有するニッケル(0)触媒を使用してシアン化水素付加を行っても、2−ペンテンニトリルが触媒毒にならないことがわかっている。従って、段階(a)のシアン化水素付加においてキレート配位子を有するニッケル(0)触媒を使用した場合に、シアン化水素付加に循環される流18からシス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを完全に除去する必要がない。
【0082】
段階(b)におけるペンテンニトリルが減少した流3は、依然として、好ましくは0.1〜90質量%、より好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%のペンテンニトリルを含んでいる。これらのペンテンニトリルは、一般に、シス−3−ペンテンニトリル、トランス−3−ペンテンニトリル及び4−ペンテンニトリルから成り、さらにそれぞれ好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満のシス−2−ペンテンニトリル、トランス−2−ペンテンニトリル、(E)−2−メチル−2−ブテンニトリル及び(Z)−2−メチル−2−ブテンニトリル部分を含んでいる。さらなる成分として、微量のシアン化水素付加において形成された副生成物、例えばバレロニトリルが挙げられる。
【0083】
段階(c)では、流3を流5中に存在する抽出剤を使用して抽出し、少なくとも1種の触媒を含みかつ抽出剤が濃縮された流6を塔頂生成物として、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつ抽出剤が減少した流7を塔底生成物として得る。
【0084】
段階(c)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(c)の抽出は、好ましくは、向流抽出塔、ミキサーセトラー抽出装置、又はミキサーセトラー抽出装置と塔との組み合わせを使用して行う。特に好ましいのは、特に分散体として板状金属充填物を備えた向流抽出塔の使用である。シアン化水素付加後の流体が固体を含んでいるため、このことは予想外である。本発明では、段階(a)のシアン化水素付加により形成されたシアン化ニッケル(II)を含有する固体が、予想に反し、抽出の条件下では堆積する傾向がなく、塔の内部部品上には堆積物が余り形成されないことがわかっている。
【0085】
別の特に好ましい形態では、向流抽出が区画を設けた攪拌抽出塔で行われる。
【0086】
好ましい形態では、抽出剤が分散相として使用され、段階(b)で得られた塔底流又は段階(a)におけるシアン化水素付加後の流出物が連続相として使用される。
【0087】
抽出では、抽出されるべき混合物の体積に対する抽出剤の体積比の形態で計算される相比が、0.1〜10の範囲になるように設定される。好ましい形態において、抽出は相比が0.4〜2.5の範囲で行われ、特に好ましい形態において、抽出は相比が0.75〜1.5の範囲で行われる。
【0088】
段階(c)における絶対圧は、好ましくは0.1〜10bar、より好ましくは0.5〜5bar、特に好ましくは1.0〜2.5barである。抽出は、−15〜120℃、より好ましくは0〜60℃、特に好ましくは25〜45℃の温度で行うのが好ましい。
【0089】
本発明の好ましい形態では、抽出剤は、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、異性C6、C7、C8、C9脂環式化合物、異性C6、C7、C8、C9イソ脂肪族化合物、シス−、トランス−デカヒドロナフタレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0090】
特に好ましい形態において、使用される抽出剤は、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン又はn−ヘプタンである。
【0091】
使用される抽出剤は、無水物であるのが好ましい。本発明において、無水物とは、抽出剤が100ppm未満の水、好ましくは50ppm未満の水、特に10ppm未満の水を含むことを意味する。抽出剤は、当業者に公知の適当な方法、例えば吸着又は共沸蒸留によって乾燥することができる。
【0092】
抽出剤は、別の段階(j)で、共沸蒸留により乾燥させるのが好ましい。この蒸留段階は、ヘテロ共沸蒸留として行うのが好ましい。この段階(j)における絶対圧は、0.01〜10.0barが好ましく、0.05〜5.0barがより好ましく、0.1〜1.0barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは40〜250℃、より好ましくは50〜180℃、特に好ましくは60〜150℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは0〜200℃、より好ましくは5〜100℃、特に好ましくは20〜50℃になるように行う。本発明の方法における特に好ましい形態では、上述の温度範囲が蒸留装置の塔頂と塔底の両方で維持されている。
【0093】
抽出剤の共沸蒸留は、好ましくは、分離内部部品として特に泡錘段、構造化された板状金属充填物、構造化された繊維充填物、二重フロー段又は不規則な充填物の床を備えた蒸留塔で、場合により、必要に応じて側方排出口と、水を除去するために搭頂凝縮器の液体排出口に備えられた相分離器と、還流として有機相を分離して塔に循環させるための装置とを備えた隔壁塔で、さらに共沸蒸留に適した他の装置で行う。
【0094】
段階(d)では、流6の蒸留を行い、上記少なくとも1種の触媒を含む流8と、上記抽出剤を含む流9とを得る。
【0095】
この段階は、実質的に触媒と抽出剤とを回収する役割を果たす。
【0096】
段階(d)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(d)の蒸留は、1個以上の蒸発処理装置及び蒸留塔で行うのが好ましい。
【0097】
蒸留塔のための有用な内部部品は、好ましくは、構造化された板状金属充填物、構造化された繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則な充填物の床、又はこれらの2種以上の分離内部部品の組み合わせである。段階(d)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を有する塔として設計することができる。段階(d)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を有する隔壁塔として設計することができる。
【0098】
段階(d)の1個以上の蒸発装置又は蒸留塔は、特に、流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、強制循環減圧蒸発器、及び多相螺旋管蒸発器を備えることができる。
【0099】
本発明の方法の別の形態では、段階(d)の1個以上の蒸発処理装置のうちの少なくとも一つを、分離した塔底と共に操作する。この場合には、塔底排出物流に比較すると一般に量が多い循環流が、問題の蒸発処理装置の第1の塔底から蒸発器に導かれ、この蒸発器からの液体流出物流が直接塔底に戻されず、むしろ、第1の塔底とは分離した第2の塔底に収集され、塔底排出物流が第2の塔底から得られ、蒸留器の循環流の残余の部分が第1の塔底へと流れ込む。第2の塔底から得られた塔底排出物流は、第1の塔底からの排出物に比較して、低沸点物が減少した混合物である。
【0100】
段階(d)における絶対圧は、0.001〜2.0barが好ましく、0.01〜0.5barがより好ましく、0.09〜0.12barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは40〜150℃、より好ましくは70〜120℃、特に好ましくは80〜100℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは−15〜100℃、より好ましくは0〜60℃、特に好ましくは20〜50℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が塔頂と塔底の両方で維持される。
【0101】
段階(d)における触媒を回収するための抽出剤の除去において、本発明の好ましい形態では、3−ペンテンニトリルを中間の沸点を示す物質として蒸留に添加する。この溶媒変更の利点の一つとして、高沸点を有する触媒流からの抽出剤の効果的な減少化を、使用される特別なニッケル触媒と特にキレート配位子とを熱的に損傷しないような充分に低い蒸発器温度で行うことができると共に、圧力は、25〜50℃の慣用的な冷却水温度でさえ、蒸発処理装置又は蒸留塔の頂部において触媒成分に比較してかなり低い沸点を示す抽出剤を凝縮することができるような十分な高圧であるいうことが挙げられる。溶媒変化は、さらに、触媒溶液の流動性及び単相性が確保されるという利点を有する。というのは、抽出剤の温度及び残留含有量に依存して、触媒成分が3−ペンテンニトリルを添加しないと結晶化してしまうことがあるからである。圧力条件によっては例えばシクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン抽出剤から容易には完全に除去しにくいか、又は、最低の蒸気圧の共沸物が形成されるため全く除去することができない3−ペンテンニトリルは、段階(c)の抽出塔に供給される抽出剤流の総量に対して好ましくは10質量%まで、より好ましくは5質量%まで、特に好ましくは1質量%までの量で、本発明の方法に破壊的な影響を与えない。
【0102】
本発明の方法の好ましい形態では、段階(d)で得られかつ抽出剤を含む流9を、少なくとも部分的に抽出段階(c)に循環する。循環流9を、抽出段階(c)の前に例えば上述の段階(j)で乾燥し、この流の水含有量が好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、特に好ましくは10ppm未満になるようにする。
【0103】
本発明の方法の別の好ましい形態では、段階(d)で得られかつ触媒を含む流8を、少なくとも部分的に段階(a)のシアン化水素付加に循環する。本発明の方法の好ましい形態では、流8における抽出剤の割合を、流8の総量に対して好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満にする。
【0104】
触媒からの抽出剤の除去は従って定量的である必要はないから、流8中に依然として存在する抽出剤もシアン化水素付加段階に循環させることができる。この抽出剤を、次いで下流の上述の段階(b)においてペンテンニトリルを含む流4に実質的に移送し、そこで蓄積する。抽出剤を流4に移送すると、さらなる段階(k)において、この流4から抽出剤を蒸留により除去するのに有効である。段階(k)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(k)の蒸留は、1個以上の蒸留塔で行うのが好ましい。蒸留塔のために有用な内部部品としては、構造化された板状金属充填物、構造化された繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則な充填物の床、又はこれらの2種以上の分離内部部品の組み合わせが好ましい。段階(k)の蒸留塔には、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を設けることができる。段階(d)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口が設けられた隔壁塔として設計することができる。
【0105】
このことにより、ペンテンニトリルを含む流21と、抽出剤を含む流22が形成される。流21は、必要に応じてこの流から存在するシス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを除去するために行われるべき上述の段階(i)に循環するのが好ましい。抽出剤を含む流22は、段階(c)の抽出段階に循環するのが好ましい。
【0106】
本発明の方法の好ましい形態では、このようにして得られた抽出剤を含む流22を、少なくとも部分的に抽出段階(c)に循環させる。循環された流22は、抽出段階(c)の前に例えば上述の段階(j)で乾燥し、この流の水含有量が好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、特に好ましくは10ppm未満になるようにする。
【0107】
別の形態では、流9と流22を抽出段階(c)に循環させる前に適当な装置内で乾燥させる。
【0108】
任意の段階(k)における絶対圧は、0.01〜10.0barが好ましく、0.05〜5.0barがより好ましく、0.1〜1.0barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは40〜250℃、より好ましくは50〜180℃、特に好ましくは60〜150℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは0〜200℃、より好ましくは15〜180℃、特に好ましくは20〜150℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が塔頂と塔底の両方で維持される。
【0109】
段階(e)では、流7を蒸留して、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流10を塔底生成物として、上記抽出剤を含む流11を塔頂生成物として得る。
【0110】
段階(e)は、当業者に公知の適当な装置内で行うことができる。段階(e)の蒸留は、1個以上の蒸発処理装置又は1個以上の蒸留塔内で行うのが好ましい。蒸留塔のための有用な内部部品としては、構造化板状金属充填物、構造化繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則充填物の床又は2種以上のこれらの分離内部部品の組み合わせが挙げられる。段階(e)の蒸留塔に1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を設けるように設計してもよい。段階(e)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を設けた隔壁塔として設計することができる。
【0111】
1個以上の蒸発処理装置又は1個以上の蒸留塔のための蒸発装置には、特に流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、強制循環減圧蒸発器、及び多相螺旋管蒸発器を備えることができる。
【0112】
本発明の方法における好ましい形態では、段階(e)の1個以上の蒸発処理装置のうちの少なくとも一つを、分離した塔底と共に操作する。この場合には、塔底排出物流に比較すると一般に量が多い循環流が、問題の蒸発処理装置の第1の塔底から蒸発器に導かれ、この蒸発器からの液体流出物流が直接塔底に戻されず、むしろ第1の塔底とは分離した第2の塔底に収集され、塔底排出物流が第2の塔底から得られ、蒸留器の循環流の残余の部分が第1の塔底へと流れ込む。第2の塔底から得られた塔底排出物流は、第1の塔底からの排出物に比較して、低沸点物が減少した混合物である。
【0113】
段階(e)の絶対圧は、0.1〜10.0barが好ましく、0.5〜5.0barがより好ましく、0.15〜0.2barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは40〜250℃、より好ましくは50〜200℃、特に好ましくは100〜180℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは−15〜150℃、より好ましくは0〜60℃、特に好ましくは20〜50℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が塔頂と塔底の両方で維持される。
【0114】
抽出剤を含む流11は、段階(c)の抽出段階に循環するのが好ましい。段階(c)の抽出に循環する前に、流11を、この流の水含有量が好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、特に好ましくは10ppm未満になるように乾燥するのが好ましい。この乾燥は、例えば上述の段階(j)において行うことができる。
【0115】
本発明の方法の好ましい形態Aでは、段階(e)における蒸留を、得られる流10が、10質量%未満、より好ましくは1質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満の抽出剤を含むように行う。
【0116】
本発明の方法の別の好ましい形態Bでは、流11が、10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、特に好ましくは2質量%未満のペンテンニトリルを含む。
【0117】
特に好ましい形態Cでは、上述の形態AとBの両方の条件が達成される。
【0118】
本発明の方法のさらに別の形態Dでは、段階(e)の蒸留が、得られる流10が、10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満のペンテンニトリルを含むように行われる。流10のこの条件が達成されると、段階(f)を行わずに、流10を直接段階(g)に移送することができる。この条件は、段階(e)において、ペンテンニトリルが塔底から大幅に除去されかつペンテンニトリルと使用される特別な抽出剤の混合物が塔の上部で得られるように、温度に依存するペンテンニトリルの蒸気圧に適合させて蒸発温度と蒸留圧の組み合わせを設定することによって、好ましく達成される。好ましい形態では、このかなり異なる凝縮点を有する物質の混合物を、閉鎖系の凝縮により凝縮させる。この閉鎖系の凝縮により、慣用の開放系の凝縮に比較して顕著に高い温度で、又は同じ冷媒温度における開放系の凝縮に比較してかなり低い塔圧力で、流11を完全に凝縮させることができ、従って、同じ塔底温度でも塔底排出物流中の低沸点物の含有量が低下する。この形態により、流7からのペンテンニトリルを循環するための蒸留処理装置を省略することができる。
【0119】
本発明の方法を経済的に実施するために、抽出後の流7に典型的に認められるペンテンニトリルの量を除去減少させる必要がある。閉鎖系の凝縮は、当業者に公知の他の全ての適当な方法により行うことができる。好適な実施の形態のひとつとして、垂直な管束凝集器で凝縮を行うことが挙げられる。この場合には、生成物が管内に導入され、これらの管の蒸気側入り口が、凝縮器に付属の凝縮物収集容器からの搭頂排出物量より多量の循環流で洗い流される。他の好適な形態として、凝縮を管束熱交換器内で行うことが挙げられる。この場合には、生成物がジャケット部に導かれ、ジャケット部が凝縮器に付属の凝縮物収集容器からの循環流で洗い流される。閉鎖系の凝縮の特に好ましい形態は、直接凝縮器を使用する形態である。この凝縮器は、段階(e)の塔に付属したカラム部として、収集容器、1個以上のポンプ循環のための液体排出口、及び凝縮熱を除去して冷却された循環流をカラム部に循環させるためのポンプ循環路内の熱交換器を備えている。本発明の方法の好ましい形態Eでは、流11は、1〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは10〜60質量%のペンテンニトリルを含有する。
【0120】
別の特に好ましい形態Fでは、上述の形態DとEの両方の条件が充足される。
【0121】
段階(f)では、流10を蒸留して、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流12を塔底生成物として、ペンテンニトリルを含む流13を塔頂生成物として得る。
【0122】
段階(f)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(f)の蒸留は、1個以上の蒸発処理装置又は1個以上の蒸留塔で行うのが好ましい。蒸留塔のための有用な内部部品としては、構造化板状金属充填物、構造化繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則充填物の床又は2種以上のこれらの分離内部部品の組み合わせが好ましい。段階(f)の蒸留塔に1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を設けるように設計してもよい。段階(f)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を設けた隔壁塔として設計することができる。
【0123】
1個以上の蒸発処理装置又は1個以上の蒸留塔のための蒸発装置には、特に流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、強制循環減圧蒸発器、及び多相螺旋管蒸発器を備えることができる。
【0124】
本発明の方法における好ましい形態では、段階(f)の1個以上の蒸発処理装置のうちの少なくとも一つを、分離した塔底と共に操作する。この場合には、塔底排出物流に比較すると一般に量が多い循環流が、問題の蒸発処理装置の第1の塔底から蒸発器に導かれ、この蒸発器からの液体流出物流が直接塔底に戻されず、むしろ、第1の塔底とは分離した第2の塔底に収集され、塔底排出物流が第2の塔底から得られ、蒸留器の循環流の残余の部分が第1の塔底へと流れ込む。第2の塔底から得られた塔底排出物流は、第1の塔底からの排出物に比較して、低沸点物が減少した混合物である。
【0125】
段階(f)の絶対圧は、0.001〜1.0barが好ましく、0.005〜0.1barがより好ましく、0.01〜0.05barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは40〜250℃、より好ましくは50〜200℃、特に好ましくは100〜180℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは−15〜150℃、より好ましくは0〜60℃、特に好ましくは20〜50℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が塔頂と塔底の両方で維持される。
【0126】
流12におけるペンテンニトリルの含有量は、10質量%未満であるのが好ましく、2質量%未満であるのがより好ましく、0.5質量%未満であるのが特に好ましい。
【0127】
段階(f)で得られた流13は、一般に、トランス−3−ペンテンニトリル、シス−3−ペンテンニトリル、4−ペンテンニトリル、トランス−2−ペンテンニトリル、シス−2−ペンテンニトリル、及び(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを含有する。特に好ましい形態では、この流13は、別の段階(l)で、少なくとも部分的に蒸留され、トランス−3−ペンテンニトリル、シス−3−ペンテンニトリル、4−ペンテンニトリル、トランス−2−ペンテンニトリル、シス−2−ペンテンニトリル、及び(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが減少した流22と、トランス−3−ペンテンニトリル、シス−3−ペンテンニトリル、4−ペンテンニトリル、トランス−2−ペンテンニトリル、シス−2−ペンテンニトリル、及び(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが濃縮された流23が得られる。シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが減少した流22は、段階(a)のシアン化水素付加に循環されるのが好ましい。
【0128】
本発明の方法の特に好ましい形態において、場合により段階(i)の同じ装置において流4と流13の両方を蒸留し、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを減少させる。得られたシス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルとが減少した流19は、場合によりシアン化水素付加段階に少なくとも部分的に循環させる。
【0129】
段階(g)では、流12を蒸留して、触媒分解生成物及び上記少なくとも1種の促進剤を含む流14を塔底生成物として、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを含む流15を塔頂生成物として得る。
【0130】
段階(g)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(g)の蒸留は、1個以上の蒸留塔で行うのがより好ましい。蒸留塔は、1個以上の側方排出口を備えることができる。蒸留塔に使用される内部部品としては、構造化板状金属充填物、構造化繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則充填物の床又は2種以上のこれらの分離内部部品の組み合わせが好ましい。
【0131】
段階(g)の蒸留は、当業者に公知の、連結された1個以上の装置による蒸発として、また複数の蒸発器による凝縮として、行うのが好ましい。1個以上の蒸発処理装置のための好適な蒸発器の例としては、流下薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、強制循環減圧蒸発器、薄膜型蒸発器、短経路蒸発器、及び多相螺旋管蒸発器が挙げられる。特に好ましい蒸発器は、所望の蒸発度を達成するのに蒸発器表面温度を極めて低くすることができかつ蒸発器表面への接触時間を短くすることができ、従って濃縮されるべき物質の熱による損傷がわずかである蒸発器である。この目的のために好適な蒸発器としては、特に流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、多相螺旋管蒸発器、及び短経路蒸発器が挙げられる。
【0132】
段階(g)における絶対圧は、0.0001〜0.5barが好ましく、0.001〜0.05barがより好ましく、0.002〜0.01barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは60〜300℃、より好ましくは120〜220℃、特に好ましくは140〜180℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは5〜250℃、より好ましくは40〜180℃、特に好ましくは60〜120℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が蒸留装置の塔頂と塔底の両方で維持される。
【0133】
段階(g)では、触媒分解生成物と上記少なくとも1種の促進剤とを含む流14が除去される。この流は一般に粘性に富み、この流を液体を添加することにより流動性を高めるのが有効であることがわかっている。この目的のために好適なのは、例えば、下流の段階(h)で得られるメチルグルタロニトリルである。本発明の特に好ましい形態は従って段階(g)が2段階の蒸留として行われ、段階(g)で得られた流14を後続の段階(m)で圧搾し、この圧搾された流14を段階(h)で得られたメチルグルタロニトリルを含む流17の少なくとも一部で希釈する。さらに好ましい形態では、段階(m)で得られた流をペンテンニトリル異性体、より好ましくは流19の少なくとも一部で希釈する。
【0134】
流14のための希釈剤として好ましい別の物質は、アジポニトリルより高沸点を有しておりかつ流動性を高める物質である。
【0135】
段階(m)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。装置としては、薄膜型蒸発器、強制循環減圧蒸発器、又は多相螺旋管蒸発器が好ましい。1個以上の蒸発処理装置のための好適な蒸発器としては、例えば流下薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、強制循環減圧蒸発器、薄膜型蒸発器、短経路蒸発器、及び多相螺旋管蒸発器が挙げられる。特に好ましいのは、濃縮されるべき物質の粘性を考慮に入れると、所望の蒸発度を達成するめに蒸発器表面温度を極めて低くすることができかつ蒸発器表面への接触時間を短くすることができ、従って濃縮されるべき物質の熱による損傷がわずかであり価値のある生成物の損失を最小化できる蒸発器である。この目的のために好適な蒸発器としては、特に流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、多相螺旋管蒸発器、及び短経路蒸発器が挙げられる。
【0136】
段階(m)における絶対圧は、0.0001〜0.5barが好ましく、0.001〜0.05barがより好ましく、0.002〜0.01barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは60〜350℃、より好ましくは120〜250℃、特に好ましくは160〜220℃になるように行う。特に好ましい形態では、段階(m)における圧力が上述の範囲内にあり、同時に段階(g)における圧力より低い。
【0137】
段階(h)では、流15を蒸留して、アジポニトリルを含む流16を塔底生成物として、実質的にメチルグルタロニトリルを含む流17を塔頂生成物として得る。
【0138】
段階(h)は、当業者に公知の適当な装置で行うことができる。段階(h)の蒸留は、1個以上の蒸留塔で行うのが好ましい。蒸留塔のための有用な内部部品は、好ましくは、構造化された板状金属充填物、構造化された繊維充填物、泡錘段、二重フロー段又は不規則な充填物の床、又はこれらの2種以上の分離内部部品の組み合わせである。段階(h)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を有する塔として設計することができる。段階(h)の蒸留塔は、1個以上の側方液体排出口又は側方気体排出口を有する隔壁塔として設計することができる。
【0139】
1個以上の蒸留塔のための蒸発装置は、特に、流下薄膜型蒸発器、薄膜型蒸発器、自然循環蒸発器、強制循環減圧蒸発器、及び多相螺旋管蒸発器を備えることができる。
【0140】
段階(h)における絶対圧は、0.0001〜0.5barが好ましく、0.005〜0.06barがより好ましく、0.01〜0.03barが特に好ましい。蒸留は、蒸留装置の塔底の温度が、好ましくは60〜300℃、より好ましくは120〜220℃、特に好ましくは140〜180℃になるように行う。蒸留は、蒸留装置の搭頂の温度が、好ましくは40〜250℃、より好ましくは60〜180℃、特に好ましくは100〜140℃になるように行う。本発明の方法の特に好ましい形態では、上述の温度範囲が蒸留装置の塔頂と塔底の両方で維持される。
【0141】
流15にはペンテンニトリルが依然として存在するだろうが、ペンテンニトリルは蒸留塔の搭頂を介して好ましく得ることができる。この場合には、メチルグルタロニトリル流17は蒸留塔の側方排出口を介して得られ、アジポニトリルは蒸留塔の塔底から得られる。
【0142】
本発明の方法の別の好ましい形態では、アジポニトリルを含む流16が側方排出口から得られる。供給点の下方の側方気体排出口からの排出の形態で流16の排出を行うのが好ましい。次いで、混合物23が塔底を介して得られ、この流は実質的にアジポニトリルと高沸点リン含有成分を含んでいる。高沸点リン含有成分は、低い蒸気圧にもかかわらず、段階(g)及び存在する場合には段階(m)を介して流15に入り込む。
【0143】
本発明の方法の別の形態では、メチルグルタロニトリルを含有する流17が段階(e)に中間の沸点を示す物質として循環される。本発明の別の好ましい形態では、メチルグルタロニトリルを含む流17が段階(f)に中間の沸点を示す物質として循環される。別の特に好ましい形態では、メチルグルタロニトリルを含む流17が同時に且つ完全に又は部分的に段階(e)及び/又は(f)に中間の沸点を示す物質として循環される。流17の段階(e)及び/又は段階(f)への循環により、本質的に段階(e)及び/又は(f)における塔底温度が低くなり、依然として存在する3−ペンテンニトリルが促進剤、例えば塩化亜鉛と反応しなくなる。
【0144】
別の好ましい形態では、他の適当な中間の沸点を示す物質が、段階(h)の塔の搭頂又は側方排出口から段階(e)及び/又は(f)に循環される。上述の適当な物質は、ペンテンニトリル又は抽出剤及びその成分と蒸気圧が最低の共沸物を形成せず、特に段階(e)及び/又は(f)の塔底温度では、ペンテンニトリルの蒸気圧とメチルグルタロニトリルの蒸気圧との間の蒸気圧を示す物質である。例としては、触媒成分の分解生成物として本発明の方法において痕跡量で形成され、段階(h)の塔の搭頂域で濃縮化される、クレゾール異性体又はt−ブチルフェノールのようなアルキルフェノールが挙げられる。
【0145】
本発明の方法の別の形態では、実質的にメチルグルタロニトリルを含む流17が、流14を希釈するために使用される。
【0146】
上述の方法により得ることができるアジポニトリルは、第二成分が、好ましくは1ppm〜1質量%、より好ましくは5〜1000質量ppm、特に好ましくは10〜500質量ppmのメチルグルタロニトリルと、元素リンとして計算したときに、好ましくは0.01〜1000質量ppm、より好ましくは0.1〜500質量ppm、特に好ましくは1〜20質量ppmのリン化合物であるという特徴で表される純度を有する。但し、リン化合物は、揮発性リン化合物と不揮発性リン化合物の合計量である。
【0147】
上述の方法によって得ることができるメチルグルタロニトリルは、メチルグルタロニトリルと異性体のエチルスクシノニトリルの合計量として計算したときに、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜99質量%、特に好ましくは90〜98質量%の純度を有する。異性体のエチルスクシノニトリルは、シアン化水素付加においてメチルグルタロニトリルと並列的に得られ、事実上メチルグルタロニトリルと分離することができない。
【0148】
本発明では、メチルグルタロニトリルという語は、常に、メチルグルタロニトリルを意味するか、又はメチルグルタロニトリルとエチルスクシノニトリルとの混合物を意味する。
【0149】
促進剤は既に段階(g)でアジポニトリルとメチルグルタロニトリルから除去されているから、アジポニトリル/メチルグルタロニトリル蒸留を塩素耐久性を有する材料で製造された装置内で行うかどうかは重要ではない。塩化物含有ルイス酸が促進剤として使用された場合には、段階(e)、(f)、(g)及び(m)のための装置の設計を、使用される温度で塩化物含有材料からの攻撃に抵抗できるように、腐食耐久性を有する高級材料を使用して行うか、反応壁被覆を使用して行うか、又は他の腐食耐久性を有する構造物を使用して行う。同様のことが、臭化物含有促進剤を使用する場合にも当てはまる。
【0150】
以下、本発明を図と実施例を使用して詳細に説明する。
【0151】
図1は、本発明の方法の特に好ましい形態を示している。
【0152】
反応器(1)に、ニッケル(0)触媒、ブタジエンのシアン化水素付加により得られたペンテンニトリル、及びシアン化水素が供給される。他の成分としては、3−ペンテンニトリル及び場合により本発明の方法において循環された流18中の抽出剤がある。ニッケル(0)触媒上で、ペンテンニトリルのシアン化水素によるシアン化水素付加が生じる。ここから得られる、シアン化水素付加後のペンテンニトリル、上記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、抽出剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流1が、蒸留塔(2)に移送される。
【0153】
ここで、抽出剤とペンテンニトリルとの蒸留除去が、塔頂を介して行われる(流4)。この蒸留塔の塔底物(流3)は、実質的に触媒、触媒分解生成物、上記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル、及びメチルグルタロニトリルを含んでおり、ペンテンニトリルが減少している。
【0154】
蒸留塔(2)の搭頂から得られた、抽出剤とペンテンニトリルとを含む流4は、さらに別の蒸留塔に移送される。ここで、抽出剤が搭頂生成物として得られ、後に抽出のために使用される(流22)。この塔(10)の塔底生成物として、ペンテンニトリルが得られる(流21)。この塔底のペンテンニトリル流は、次いで別の塔(9)に移送され、ここで、3−ペンテンニトリル(流18)と、(E)−2−メチル−2−ブテンニトリル及びシス−2−ペンテンニトリル(流19)とに分離される。3−ペンテンニトリルは、反応器(1)のシアン化水素付加に循環され、抽出剤を含むことができる(流18)。
【0155】
蒸留塔(2)の塔底生成物は、次いで抽出塔(3)に移送される(流3)。ここで、流3の抽出が抽出剤を使用して行われ、抽出塔(3)の塔頂から排出される流6が形成される。この流6は、別の蒸留塔(4)に移送され、ここで、触媒を含む塔底生成物としての流8と、抽出剤を含む搭頂の流9とに分離される。このようにして得られた流9の抽出剤は、次いで抽出剤乾燥塔(11)に移送され、ここから乾燥した抽出剤が塔底生成物として排出される。
【0156】
蒸留塔(3)における塔底生成物として得られ、この蒸留塔(3)から排出された流7は、次いで別の蒸留塔(5)に移送される。
【0157】
この蒸留塔(5)では、依然として存在する抽出剤が塔頂から流11として除去され、同様に抽出剤乾燥塔(11)に移送される。
【0158】
この塔(5)から排出された塔底生成物は、流10である。この流10は、別の蒸留塔(6)に移送され、この塔から除去された搭頂生成物は、ペンテンニトリルを含む流13である。この流13は、次いで蒸留塔(9)に移送される。
【0159】
蒸留塔(6)から排出された塔底生成物は、触媒分解生成物、促進剤、アジポニトリル、及びメチルグルタロニトリルを含む流12である。この流12は、次いで別の蒸留塔(7)に移送される。
【0160】
この蒸留塔(7)で、ニッケル分解生成物と促進剤とを含む流14が塔底生成物として得られる。
【0161】
この蒸留塔から得られる搭頂生成物は、流15である。この後、流15は別の蒸留塔(8)に移送され、ここで、アジポニトリル、流16、及びメチルグルタロニトリル、流17への分離が行われる。
【実施例】
【0162】
実施例において使用される各記号は以下の意味を表す。
【0163】
HCN:シアン化水素
T3PN:トランス−3−ペンテンニトリル
C3PN:シス−3−ペンテンニトリル
4PN:4−ペンテンニトリル
E2M2BN:(E)−2−メチル−2−ブテンニトリル
T2PN:トランス−2−ペンテンニトリル
C2PN:シス−2−ペンテンニトリル
ADN:アジポニトリル
MGN:メチルグルタロニトリル
VAN:バレロニトリル
VCH:4−ビニルシクロヘキサン
【0164】
実施例1:
実施例1において、配位子混合物を有するニッケル(0)錯体に基づく触媒組成物が、ブタジエンのシアン化水素付加のために使用される。シアン化水素付加のための配位子混合物は、約60モル%のトリ(m/p−トリル)ホスフィットと40モル%の以下のキレートのホスホニット1とを含んでいる。
【0165】
【化2】

【0166】
ジェットノズル、衝撃交換チューブ、外部ポンプ循環路、及び、反応熱を除去するための熱交換器を備えた容量250Lのループ反応器R1に、以下の流を供給する。
【0167】
(1)10kg/hの、蒸留によって水を除去した安定化されていない液体シアン化水素、
(2)39kg/hの、DE−A−102004004671号公報の直鎖状ペンテンニトリルの製造方法によって得られた、合計で97%のT3PN、C3PN及び4PNと2%のE2M2BNとを含むペンテンニトリル、
(3)25kg/hの、段階(9)の塔K9から排出された流18として得られた、合計で81%のT3PN、C3PN及び4PNと、3%のT2PNと、1%のC2PNと、3%のE2M2BNを含むペンテンニトリル、
(4)6kg/hの、DE−A−10351002号公報の例13に従って製造された、40%の配位子混合物、2%のニッケル(0)及び3%のZnCl2を含むニッケル(0)触媒溶液。
【0168】
反応器R1から排出された流1は、合計で40%のT3PN、C3PN及び4PNと、47%のADNと、6%のMGNとを含み、ペンテンニトリルの転化率は51%である。
【0169】
段階2では、流1が、ストリップモードで操作されかつ理論段数が15段である構造化充填物を有する塔内部部品、強制循環減圧蒸発器、搭頂の凝縮器を供えている蒸留塔K2に供給される。塔K2は、塔頂の絶対圧が50mbar、搭頂の温度が313K、塔底排出物温度が353Kの条件下で操作される。
【0170】
塔K2の塔頂を介して、合計で81%のT3PN、C3PN及び4PNと、合計で8%のT2PN及びC2PNとを含む流4(22kg/h)が得られる。
【0171】
塔K2の塔底を介して、合計で19%のT3PN、C3PN及び4PNと、合計で1%のT2PN及びC2PNとを含む流3が57kg/hの量で得られる。供給物と比較すると、T2PNとC2PNはT3PN、C3PN及び4PNに対して明確に減少している。流3は、さらに、触媒成分のニッケル(0)、配位子混合物、ZnCl2及び触媒分解生成物を含んでいる。
【0172】
段階(3)では、流3が向流抽出塔K3の下端部に導入され、86kg/hの93%のメチルシクロヘキサンと種々のペンテンニトリル異性体とを含む流5により抽出される。抽出塔の搭頂から得られる流6は、91%の抽出剤を含み、さらに、合計で4%のT3PN、C3PN及び4PNの他に、触媒成分のニッケル(0)、配位子混合物を含んでいる。塩化亜鉛は、抽出塔の塔底排出物である流7に完全に残留している。
【0173】
段階(4)では、流6が、理論段12段の構造化充填物を有する塔内部部品、流下薄膜型蒸発器、分離した塔底、搭頂凝縮器を備えた蒸留塔K4に導入される。この塔は、塔頂の絶対圧が100mbar、搭頂温度が308K、塔底排出物温度353Kの条件で操作される。還流比は、合計で6%のT3PN、C3PN及び4PNが搭頂排出流中に存在するように調整される。
【0174】
塔K4の塔頂を介して抽出剤が回収され、これは、水含有量が10ppm未満に乾燥された純粋なメチルシクロヘキサンの少量の精製流とともに、流9として抽出塔K3に循環される。
【0175】
塔K4の塔頂では、抽出された触媒が、流8のペンテンニトリル溶液として得られる(13kg/h)。流8は、18%の配位子混合物、1%のニッケル(0)及び合計で68%のT3PN、C3PN及び4PNを含んでいる。流8におけるメチルシクロヘキサン含有量は、塔K4における流8中の濃度が10質量ppmになるように調整される。
【0176】
触媒が濃縮された流8は、ブタジエンからT3PN及び2M3BNへのシアン化水素付加において使用される。
【0177】
段階(5)では、抽出塔K3で得られた流7が、ストリップモードで操作され、理論段が5段の構造化充填物を有する塔内部部品、強制循環減圧蒸発器、頂部に回収器を有する塔部、巡回路、直接凝縮器としての外部熱除去器を備えた蒸留塔K5に移送される。塔K5は、塔頂の絶対圧が180mbar、塔頂の温度が313K、塔底排出物温度が453Kの条件下で操作される。
【0178】
塔K5の塔頂を介して、蒸留塔K4に移送される流11が得られる。流11(22kg/h)は、実質的に45%のメチルシクロヘキサン、合計で48%のT3PN、C3PN及び4PNの他、ペンテンニトリルを含んでいる。
【0179】
塔K5の塔底を介して、合計で5%のT3PN、C3PN及び4PN、83%のADN、MGN副生成物の他、触媒分解生成物及びZnCl2を含んでいる流10(45kg/h)が得られる。
【0180】
段階(7)では、流10が、塔底生成物を濃縮するために、強制循環減圧蒸発器、搭頂凝縮器、下流の薄膜型蒸発器B7aを備えた蒸発処理装置B7で精製される。蒸発処理装置は、絶対圧5mbar、塔底温度453Kの条件下で操作される。
【0181】
蒸発処理装置B7の塔頂を介して、粗ADNとして、合計で5%のT3PN、C3PN及び4PNと、10%のMGNとを含む流15(44kg/h)が排出される。
【0182】
薄膜式蒸発器B7aの塔底を介して、塔底温度473Kで、流14として塩化亜鉛と共に濃縮された触媒残渣が得られる。流14は、段階(8)の塔K8の塔頂から得られた0.5kg/hのMGNと混合することにより、液化する。
【0183】
段階(8)では、流15が、理論段が25段の構造化充填物を有する塔内部部品、薄膜型蒸発器、部分凝縮器として操作される塔頂の凝縮器を備えた蒸留塔K8に導入される。塔K8は、塔頂の絶対圧が25mbar、搭頂の温度が414K、塔底排出物温度が453Kの条件下で操作される。還流比は、搭頂生成物中に1%のADNが存在するように調整される。塔K8の塔底排出物の量は、塔底生成物が100質量ppmのMGNを含むように調整される。
【0184】
塔K8の塔底を介して、37kg/hのADNが流16として得られる。393Kで操作される塔K8の塔頂の凝縮器から、3kg/hのMGNが液相で流17として得られ、この流は痕跡量の3PN、ADN、及び、アルキルフェノールのような揮発性触媒生成物を含んでいる。塔K8の凝縮器からの気体排出物は、後続の凝縮器において313Kで凝縮され、4kg/hの合計で54%のT3PN、C3PN及び4PNと、41%のMGNとを含む流20が得られる。
【0185】
段階(9)では、塔K2からの流4が、理論段が35段の構造化充填物を有する塔内部部品、循環蒸発器、搭頂凝縮器を備えた蒸留塔K9で精製される。段階(9)の塔は、塔頂の絶対圧が46mbar、搭頂の温度が313K、塔底排出物温度が338Kの条件下で操作される。還流比は、搭頂生成物が依然として0.5%のT3PNを含むように調整される。
【0186】
塔K9の塔頂から、流19(1.4kg/h)が得られる。この流は、65%のC2PNと、29%のE2M2BNと、少量のVCH及びVANとを含んでいる。
【0187】
塔K9の塔底を介して、流18(25kg/h)が得られる。この流は、合計で81%のT3PN、C3PN及び4PNと、3%のT2PNと、1%のC2PNと、3%のE2M2BNとを含んでいる。流18は、反応器R1に循環流として循環される。
【0188】
実施例2:
実施例2において、配位子混合物を有するニッケル(0)錯体に基づく触媒組成物が、ブタジエンのシアン化水素付加のために使用される。シアン化水素付加のための配位子混合物は、約80モル%のトリ(m/p−トリル)ホスフィットと20モル%の以下のキレートのホスフィット2とを含んでいる。
【0189】
【化3】

【0190】
ジェットノズル、衝撃変換チューブ、外部ポンプ循環路、及び、反応熱を除去するための熱交換器を備えた容量250Lのループ反応器R1に、以下の流を供給する。
【0191】
(1)12kg/hの、蒸留によって水を除去した安定化されていない液体シアン化水素、
(2)39kg/hの、DE−A−102004004671号公報の直鎖状ペンテンニトリルの製造方法によって得られた、合計で98%のT3PN、C3PN及び4PNと2%のE2M2BNとを含むペンテンニトリル、
(3)78kg/hの、段階(9)の塔K9から排出された流18として得られた、合計で84%のT3PN、C3PN及び4PNと、2%のT2PNと、1%のC2PNと、3%のE2M2BNとを含むペンテンニトリル、
(4)5kg/hの、DE−A−10351002号公報の例4に従って製造された40%の配位子混合物、2%のニッケル(0)及び3%のZnCl2を含むニッケル(0)触媒溶液。
【0192】
反応器R1から排出された流1は、合計で54%のT3PN、C3PN及び4PNと、34%のADNと、3%のMGNとを含み、ペンテンニトリルの転化率は35%である。
【0193】
段階2では、流1が、流下薄膜型の蒸発器と塔頂凝縮器とを備えた蒸留処理装置B2に供給される。蒸留処理装置B2は、塔頂の絶対圧が20mbar、搭頂温度313K、塔底排出物温度343Kの条件下で操作される。
【0194】
蒸発処理装置B2の塔頂を介して、合計で82%のT3PN、C3PN及び4PNと、合計で5%のT2PN及びC2PNとを含む流4(64kg/h)が得られる。
【0195】
蒸発処理装置B2の塔底を介して、合計で19%のT3PN、C3PN及び4PNと、合計で1%のT2PN及びC2PNとを含む流3が65kg/hの量で得られる。流3は、さらに、触媒成分ニッケル(0)、配位子混合物、ZnCl2及び触媒分解生成物を含んでいる。
【0196】
段階(3)では、流3が向流抽出塔K3の下端部に導入され、97kg/hの94%のメチルシクロヘキサンと種々のペンテンニトリル異性体とを含む流5により抽出される。抽出塔の搭頂から得られた流6は、92%の抽出剤を含み、さらに、合計で4%のT3PN、C3PN及び4PNの他に、触媒成分のニッケル(0)と、配位子混合物とを含んでいる。塩化亜鉛は、抽出塔の塔底排出物である流7に完全に残留している。
【0197】
段階(4)では、流6が、理論段12段の構造化充填物を有する塔内部部品、流下薄膜型蒸発器、分離した塔底、搭頂凝縮器を備えた蒸留塔K4に導入される。この塔は、塔頂の絶対圧125mbar、搭頂の温度が308K、塔底排出物温度361Kの条件で操作される。還流比は、合計で5%のT3PN、C3PN及び4PNが搭頂排出物流中に存在するように調整される。
【0198】
流6に加えて。3kg/hの合計で98%のT3PN、C3PN及び4PNと少量の他のペンテンニトリルとを含む3PNが、塔K4に供給される。
【0199】
塔K4の塔頂を介して、抽出剤が回収され、これは、損失を補填するための水含有量が10ppm未満に乾燥された純粋なメチルシクロヘキサンの少量の精製流(10g/h)とともに、流9として抽出塔K3に循環される。
【0200】
塔K4の塔底では、抽出された触媒が、流8のペンテンニトリル溶液として得られる(5kg/h)。流8は、38%の配位子混合物、1%のニッケル(0)、及び合計で44%のT3PN、C3PN及び4PNを含んでいる。流8におけるメチルシクロヘキサン含有量は、塔K4において流8中の濃度が10質量ppmになるように調整される。
【0201】
段階(5)では、抽出塔K3で得られた流7が、理論段が5段の構造化充填物で構成された塔内部部品を有する精留部及びストリップ部、強制循環減圧蒸発器、分離した塔底を備えた蒸留塔K5に移送される。塔K5は、塔頂の絶対圧が460mbar、塔頂の温度が342K、塔底排出物温度が433Kの条件下で操作される。
【0202】
塔K5の塔頂を介して、蒸留塔K4に移送される流11が得られる。塔K5の還流比は、主としてメチルシクロヘキサン(87%)からなる搭頂生成物が5%のT3PNを含むように調整される。
【0203】
塔K5の塔底を介して、合計で21%のT3PN、C3PN及び4PNと、70%のADNと、MGN副生成物と、さらに、反応器R1におけるシアン化水素付加で形成された触媒分解生成物、ZnCl2、シアン化ニッケルを含んでいる流10(62kg/h)が得られる。
【0204】
段階(6)では、抽出塔K5において得られた流10が、理論段が4段の構造化充填物から成る塔内部部品を有する精留部、強制循環減圧蒸発器、分離した塔底を備えた蒸留塔K6に移送される。塔K6は、塔頂の絶対圧が15mbar、塔頂の温度が308K、及び塔底排出物温度が426Kの条件下で操作される。
【0205】
塔K6の塔頂を介して、段階(9)の蒸留塔K9に移送される流13が得られる。塔K6の還流比は、主としてペンテンニトリル(93%)から成る搭頂生成物が100ppmのMGNを含むように調整される。
【0206】
塔K6の塔底を介して、合計で1000ppmのペンテンニトリルと、89%のADNと、11%のMGN副生成物の他に、触媒分解生成物、ZnCl2及びシアン化ニッケルを含む流12(62kg/h)が得られる。
【0207】
段階(7)では、流12が、塔底生成物を濃縮するために強制循環減圧蒸発器、搭頂凝縮器、及び下流の薄膜型蒸発器B7aを備えた蒸発処理装置B7で精製される。蒸発処理装置は、絶対圧が1mbar、塔底温度が365Kの条件下で操作される。
【0208】
蒸発処理装置B7の塔頂を介して、粗ADNとして、ADNの他に合計で0.1%のT3PN、C3PN及び4PNと、11%のMGNとを含む流15(49kg/h)が排出される。
【0209】
薄膜式蒸発器B7aの塔底を介して、493Kで、流14(0.3kg/h)として塩化亜鉛と共に濃縮された触媒残渣が得られる。流14は、段階(8)の塔K8の塔頂から得られた0.1kg/hのMGNと混合することにより、液化する。
【0210】
段階(8)では、流15が、理論段が35段の構造化充填物を有する塔内部部品、流下薄膜型蒸発器、塔頂凝縮器を備えた蒸留塔K8に導入される。塔K8は、塔頂の絶対圧が7mbar、搭頂温度が393K、塔底排出物温度が443Kの条件下で操作される。還流比は、搭頂生成物中に0.1%のADNが存在するように調整される。塔K8の塔頂排出物の量は、塔底生成物が50質量ppmのMGNを含むように調整される。
【0211】
段階(9)では、蒸発処理装置B2からの流4が、理論段が35段の構造化充填物を有する塔内部部品、循環蒸発器、搭頂凝縮器を備えた蒸留塔K9で精製される。段階(9)の塔は、塔頂の絶対圧が46mbar、搭頂の温度が313K、塔底排出物温度が338Kの条件下で操作される。還流比は、搭頂生成物が依然として500ppmのT3PNを含むように調整される。
【0212】
塔K9の塔頂を介して、流19(1.6kg/h)が得られる。この流は、66%のC2PNと、29%のE2M2BNと、少量のVCH及びVANとを含んでいる。
【0213】
塔K9の塔底を介して、流18(78kg/h)が得られる。この流は、合計で84%のT3PN、C3PN及び4PNと、2%のT2PNと、1%のC2PNと、3%のE2M2BNとを含んでいる。流18は、反応器R1に循環流として循環される。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本発明の方法の特に好ましい形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを製造する方法であって、
(a)ペンテンニトリルを含む反応物質流とシアン化水素とを少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の促進剤の存在下で反応させ、ペンテンニトリル、前記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、前記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む反応生成物流を得る段階、
(b)前記反応生成物流を蒸留し、前記少なくとも1種の触媒、触媒分解生成物、前記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつペンテンニトリルが減少した流3を塔底生成物として、ペンテンニトリルが濃縮された流4を塔頂生成物として、得る段階、
(c)流3を流5中に存在する抽出剤を使用して抽出し、触媒を含みかつ抽出剤が濃縮された流6を塔頂生成物として、触媒分解生成物、前記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含みかつ抽出剤が減少した流7を塔底生成物として、得る段階、
(d)流6を蒸留して、前記触媒を含む流8を塔底生成物として、前記抽出剤を含む流9を塔頂生成物として、得る段階、
(e)流7を蒸留して、触媒分解生成物、前記少なくとも1種の促進剤、ペンテンニトリル、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流10を塔底生成物として、前記抽出剤を含む流11を塔頂生成物として、得る段階、
(f)流10を蒸留して、触媒分解生成物、前記少なくとも1種の促進剤、アジポニトリル及びメチルグルタロニトリルを含む流12を塔底生成物として、ペンテンニトリルを含む流13を塔頂生成物として、得る段階、
(g)流12を蒸留して、触媒分解生成物及び前記少なくとも1種の促進剤を含む流14を塔底生成物として、アジポニトリルとメチルグルタロニトリルを含む流15を塔頂生成物として、得る段階、
(h)流15を蒸留して、アジポニトリルを含む流16を塔底生成物として、メチルグルタロニトリルを含む流17を塔頂生成物として、得る段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記反応物質流がニッケル(0)触媒の存在下でのブタジエンの均一シアン化水素付加反応により得られた流である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ペンテンニトリルが濃縮された流4がシス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを含んでおり、流4の少なくとも一部を蒸留して、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが減少した流18と、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが濃縮された流19とを得る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
流13がシス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルを含んでおり、流13の少なくとも一部を蒸留して、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが減少した流18と、シス−2−ペンテンニトリルと(E)−2−メチル−2−ブテンニトリルが濃縮された流19とを得る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
流18の少なくとも一部を段階(a)に循環させる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
使用される抽出剤が無水物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
流9及び/又は流11の少なくとも一部を段階(c)に循環させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
段階(g)を2段階の蒸留として行い、段階(g)で得られた流14を後続の段階(m)で圧搾し、圧搾した流14を段階(h)で得られたメチルグルタロニトリルを含む流17の少なくとも一部で希釈する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出剤が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、異性C6、C7、C8、C9脂環式化合物、異性C6、C7、C8、C9イソ脂肪族化合物、シス−、トランス−デカヒドロナフタレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
段階(d)で得られた流9が10質量%未満のペンテンニトリルを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−519673(P2007−519673A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550098(P2006−550098)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000777
【国際公開番号】WO2005/073172
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】