ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストを含む薬学的組成物とその調製方法
本発明は、生物学的利用能を向上させ溶解度を改善するためにアエロジルTMのようなコロイド状二酸化ケイ素と併用して、治療的有効量のレルカニジピン又はその塩のようなジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストを含有する固形投薬形態の製剤、及び湿式造粒法によるその調製方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的有効量のジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、より特定的にはレルカニジピン又はその塩、誘導体及び多形体を含有する生物学的利用能を向上させた錠剤やカプセル等の改善された投薬形態、特に経口投与のための製剤、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アムロジピン(amlopidipine)、ニフェジピン、ラシジピン及びレルカニジピンのようなジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト化合物は、とりわけ高血圧及び冠状動脈疾患の治療に極めて有用であることが知られている化合物である。
レルカニジピン(1,1−N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)アミノエチル1,4−ジヒドロ−6−ジメチル(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボン酸メチル)は、長い作用期間と高い血管選択性を有する高度に親油性のジヒドロピリジンカルシウムアンタゴニストである。それは通常毎日一回10mgから20mgの用量で使用され、最大用量は毎日約30mgである。レルカニジピンは経口投与後に急速に吸収され、ピーク血漿中濃度が投薬の1.5−3時間後に生じるが、広範な初回通過代謝を受ける。
【0003】
ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストは低水溶解度を有し、活性成分の低い生物学的利用能となる。
水溶解度が低い薬剤(これは20℃で水中0.1重量パーセント未満の溶解度を有していることを意味する)は、消化液を含む水性媒体中における分解速度及び度合いが乏しいため更なる製剤化問題を生じ、これが経口消化後の全身循環への吸収性が低いものとなってしまう。
胃腸管からの吸収を最大にするかかる薬剤を含む組成物を製造するためには、それを消化液に溶解させるために薬剤の溶解度を増加させる特徴を組成物中に導入する必要がある。
【0004】
その有用な治療特性のために活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する経口投薬形態の工業的な製造のための様々な方法が既に知られている。しかしながら、従来の方法は、上記活性成分の乏しい溶解度のため所望の生物学的利用能の経口固形製剤の製造に大きな困難に直面した。
非晶質形態の活性化合物は対応の結晶性活性化合物よりも高い生物学的利用能を有していることが多いことが知られている。独国特許出願公開第3024858号は、分解と吸収を増加させるためにその非晶質形態で使用される難溶性ジヒドロピリジンのニカルジピンを含有する投薬形態を開示している。通常、非晶質活性成分は、再結晶化する傾向があり、生物学的利用能が再現性がないか又は分解産物のために所定の保存期間後に顕著に減少するので、注意深く製剤化されなければならない。
【0005】
欧州特許出願公開第0385582号は、100ミクロン未満の粒径を有するニフェジピン組成物を開示している。ニフェジピンの分解の制御は物質を大きな比表面積になるように加工することによって達成されるが、活性成分の小さな結晶が凝集して大きな粒径を再形成する傾向がある。
欧州特許出願公開第0557244号は、分解及び吸収の速度を遅延させ制御するために親水性ゲル形成ポリマーと共に、溶解度を増加させるために小さい結晶に微粒子化されたニフェジピンを含む組成物を開示している。しかしながら、一般的な装置を使用してニフェジピンを微粒子化できる最小粒径は約1ミクロンであり、この粒径はニフェジピンの完全な分解と吸収を可能にするほど十分小さくはない。
更に、錠剤の各バッチで結晶粒径が同じに注意深く制御されない場合には放出特性がバッチ毎に変動しうる。
【0006】
英国特許出願公開第1456618号は、界面活性剤の存在下でポリエチレングリコール中でニフェジピンの固体溶液を調製することによりニフェジピンの分解及び吸収を改善することを開示している。
欧州特許出願公開第0448091号は、界面活性剤と共にジヒドロピリジンを開示しているが、多量の界面活性剤は通常患者の胃に刺激を与える。
また、特定の表面を有する界面活性剤、可溶化剤及びある種の賦形剤の使用は、生成物が望ましくない大きさの投与形態になることがよくある。飲み込みを容易にするために、かかる錠剤又はカプセルは例えば楕円又は縦長形状のような特定の形態に転換されることがよくあるが、これもまた満足できる結果をもたらさず、400mgを越える重さの生成物になる。より小さい生成物をより頻繁に投与することもまた満足できる解決手段ではない。
【0007】
上記の各特許はジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストを含有する薬学的組成物に伴う不安定性の問題を解消する試みをているが、かかる薬学的組成物の生物学的利用能を改善する必要性が尚も存在する。
【発明の概要】
【0008】
従って、従来技術の欠点を解消し活性成分の生物学的利用能を向上させる、活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための改善された固体投薬製剤を提供することが本発明の目的である。
本発明の他の態様は、生物学的利用能があり効果的で、十分な保存期間、患者の服薬率を向上させ可能な副作用を減少させる良好かファーマコテクニカルな(pharmacotechnical)性質を有する、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための固体投薬製剤を提供することにある。
【0009】
更に、本発明の他の態様は、賦形剤と活性成分の量を比例的に調節し、活性成分の分解プロファイルと生物学的利用能に影響を及ぼさないでファーマコテクニカルな線形性を提供することにより異なった強度の投薬形態に調製することができる、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための固体投薬製剤を提供することにある。
本発明の更なる態様は、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための安定な固体投薬製剤を調製し、それによって活性成分の生物学的利用能を向上させ、長期間にわたって安定で、組成物のファーマコテクニカルな特性を改善する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の上記目的に従って、活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させるためにアエロジルのようなコロイド状二酸化ケイ素の有効量を含有する経口投与のための薬学的組成物が提供される。
【0011】
本発明の他の実施態様によれば、活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させるためにコロイド状二酸化ケイ素の治療的有効量を含む錠剤、カプセル又はサシェのような経口投与のための固体投薬形態の調製方法であって、
− 上記活性成分の全量、上記コロイド状二酸化ケイ素の全量の一部及び場合によってはバインダーを水/EtOH溶媒に溶解させ;
− 形成された溶液にコロイド状二酸化ケイ素の残りの部分と、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、滑剤のような任意成分の賦形剤を加え、湿式造粒し;
− 湿潤剤を少量の水/EtOH溶媒中に溶解させ、最初の溶液と混練し;
− 湿った塊を乾燥させ;
− 乾燥した塊を分級し、分級された混合物に、バインダー、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤及び/又は流動促進剤のような少なくとも一種の任意成分の賦形剤の全量を加え、均一になるまで混合し、
− 得られた混合物を、それを所望の錠剤形に圧密化するか又はカプセル又はサシェに充填することによって固形投薬形態に製剤化する
ことを含む方法が提供される。
【0012】
本発明の更なる好ましい実施態様は従属の請求項2から11及び13から16に記載されている。
本発明の他の目的及び利点は次の詳細な説明に照らすと当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図2】本発明の実施例1の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図3】本発明の実施例3の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図4】本発明の実施例3の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図5】非晶質レルカニジピンHClのX−RDスペクトルを示す。
【図6】実施例3の組成物のプラシーボのX−RDスペクトルを示す。
【図7】実施例3の組成物のX−RDスペクトルを示す。
【図8】非晶質レルカニジピンHClのSEMを示す。
【図9】本発明に係る非晶質レルカニジピンHClとコロイド状二酸化ケイ素の微細分散液のSEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的では、難溶性活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、例えばレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩)を含有する薬学的組成物は、上記成分がそれ自身及び/又は既知の薬学的組成物中におけるよりも少なく又はより遅く分解するならば「安定」であると考えられる。
投薬形態に含まれる活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、例えばレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩)は、投薬形態で投与されるとき、投薬形態から放出され、吸収され、同じ量の同じ活性成分を含み同じ用途が意図される市販の製品よりも高い血漿中濃度レベルに達するならば、「向上した生物学的利用能」を有する。
【0015】
薬学的組成物は様々な形態をとりうるが、好ましい固形形態は錠剤、カプセル及びカプレットである。
本発明の目的が、活性成分の生物学的利用能を向上させるためにアエロジルTMのようなコロイド状二酸化ケイ素を用いることによって達成されることが以外にも見出された。
既に述べたように、レルカニジピンHClのようなジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストは非常に乏しい溶解度を有しており、よって活性物質の乏しい生物学的利用能となる。
コロイド状二酸化ケイ素は、約15nmの粒径を持つ超顕微鏡的ヒュームドシリカである。それは軽く、ばらばらで、青みがかった白色の無臭、無味、非粗(nongritty)非晶質粉末である。コロイド状二酸化ケイ素は医薬に広く使用されている。その小さい粒径と大きな比表面積は、乾燥粉末の流動特性を改善するために使用される所望の流動特性を付与する。
【0016】
本発明に係る薬学的組成物にコロイド状二酸化ケイ素を導入する場合、コロイド状二酸化ケイ素の表面上の活性成分の非晶質粒子の微細分散体が形成され、一相系を生じる。上記一相系は活性成分の溶解度を改善する。
活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、例えばレルカニジピン又はその塩、誘導体及び多形体)と適切な量のコロイド状二酸化ケイ素、例えばアエロジルTMは、微細分散体を形成するために溶媒に溶解され、続いてバインダーが混合される。コロイド状二酸化ケイ素の残りと任意成分の賦形剤が溶液に添加され、湿式造粒される。湿った塊を乾燥させ、乾燥塊を分級した後、任意成分の更なる賦形剤をついで添加する。ついで、組成物を均一になるまで混合する。ついで、得られた組成物を圧密化することができる。
【0017】
更に、それらが組成物の活性成分と適合性である限り、これら物質の乏しい流動特性及び望ましくないファーマコテクニカルな特性に伴う問題を解消するため、また薬剤の安定性及び薬学的生成物の保存寿命を増大させ、優れた生物学的利用能を示す生成物を提供するため、任意の賦形剤を場合によっては上記組成物に添加することができる。
本発明は、溶解度及び生物学的利用能の問題を有する活性成分の経口又は舌下投与のための錠剤、カプセル、カプレット、サシェ又は他の固形投薬形態の製剤に利用することができる
【0018】
更に、適切な量の同組成物を使用し、よって製造コストを制限し、当局による製品の承認に必要な臨床実験の数、従って費用を最小にして、異なった強度の投薬形態を調製することができる。
本発明に係る調製のための製造方法は、任意の他の一般的な方法と比較して簡単で費用がかからない。
従って、第一の実施態様では、本発明は、重量で約0.5%から30%のレルカニジピン又はその塩と重量で約3%から30%のコロイド状二酸化ケイ素を含有する薬学的組成物を提供する。コロイド状二酸化ケイ素に対するレルカニジピン又はその塩の重量比は、好ましくは10:1から1:60である。
【0019】
本発明に係るより好ましい薬学的組成物は、重量でおよそ3%から30%、より好ましくは5%から25%、最も好ましくは7%から20%のコロイド状二酸化ケイ素、例えばアエロジルTMを含有する。
バインダーは、存在する場合、約15重量%までの量で存在し得、湿潤剤は、存在する場合、約5重量%までの量で存在しうる。
好ましい薬学的組成物は、あらゆる形状及びサイズで被覆又は非被覆の、錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、パスティーユ(pastille)、丸薬、ドロップ等のような経口又は舌下投与のための固形投薬形態である。
ここで述べる全てのパーセントは、別段の記載がない限り、全組成物の重量に基づく重量パーセントである。
【0020】
本発明の他の実施態様は、レルカニジピン又はその塩、誘導体及び多形体を含む錠剤、カプセル及びサシェ等の経口投与のための固形投薬形態の調製のための湿式造粒法の使用である。該湿式造粒法は、
− 活性成分としてのジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩の全量、コロイド状二酸化ケイ素の全量の一部及び場合によってはバインダーを水/EtOH溶媒に溶解させ;
− 形成された溶液にコロイド状二酸化ケイ素の残りの部分と、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、滑剤のような任意成分の賦形剤を加え、湿式造粒し;
− 湿潤剤を少量の水/EtOH溶媒中に溶解させ、最初の溶液と混練し;
− 湿った塊を乾燥させ;
− 乾燥した塊を分級し、分級された混合物に、バインダー、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤及び/又は流動促進剤のような少なくとも一種の任意成分の賦形剤の全量を加え、均一になるまで混合し、
− 得られた混合物を、それを所望の錠剤形に圧密化するか又はカプセル又はサシェに充填することによって固形投薬形態に製剤化する
ことを含む。
【0021】
本発明の薬学的組成物は、様々な賦形剤から選択される一又は複数の更なる製剤成分を含んでいてもよい。組成物の所望の性質に従って、固形投薬形態組成物の調製におけるその既知の用法に基づいて、任意の数の成分を単独で又は組み合わせて選択することができる。
このような成分には、限定するものではないが、希釈剤、バインダー、圧密化補助剤、崩壊剤、界面活性剤、湿潤剤、抗酸化剤、流動促進剤、滑剤、香料、水スカベンジャー、着色料、甘味料、コーティング剤及び保存料が含まれる。
【0022】
任意成分の賦形剤は、組成物中で干渉しないようにジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト又はその塩と適合性がなければならない。
希釈剤は、例えば炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、三塩基リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、微結晶ケイ化セルロース、粉末化セルロース、デキストレート(dextrates)、デキストロース、フルクトース、ラクチトール(lactitol)、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、ラクトース二水和物、ラクトース三水和物、マンニトールソルビトール、スターチ、予めゼラチン化されたスターチ、ゼラチン、液体グルコース、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、スターチペースト、予めゼラチン化されたスターチ、スクロースでありうる。
【0023】
崩壊剤は例えばアルギン酸、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、粉末化セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ドキュセートナトリウム、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スターチグリコール酸ナトリウム、スターチ、前もってゼラチン化されたスターチでありうる。
【0024】
湿潤剤は、プルロニックTM又はポロキサマーTMとして市販されているポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー、SolulanTMビタミン誘導体として市販されているエトキシル化コレステリン、例えばビタミンE誘導体、例えばトコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム;胆汁酸又はその塩、例えばコール酸、グリコール酸又は塩でありうる。
流動促進剤は例えばケイ酸カルシウム、粉末セルロース、スターチ、タルク、コロイド状二酸化ケイ素でありうる。
滑剤は、例えばポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ラウリル硫酸ナトリウム、スターチ、タルクでありうる。
次の実施例は、本発明の範囲又は精神を限定しないで本発明に係る好ましい実施態様を例証する:
【実施例】
【0025】
実施例1:20mgのレルカニジピンの錠剤(組成物1)
上記製剤の錠剤を次の製造方法に従って調製した:HPCを水/EtOH溶媒に溶解させた。レルカニジピンHClをミクロセラック、微結晶セルロース、スターチ150及びプリモジェル(Primojel)と混合して均一混合物を形成した。上記混合物をHPC溶液と混練した。顆粒状塊を乾燥させた。最後にステアリン酸Mgを乾燥塊に加え、完全に均一になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧密化した。
製造した錠剤を硬度、破砕性、崩壊性、及び含水量について試験した。全ての試験は、欧州薬局方5.1に従って実施したが、良好に仕様内に入っていた。
【0026】
実施例2:20mgのレルカニジピンの錠剤(組成物2)
上記製剤の錠剤を次の製造方法に従って調製した:Tween20を20mgの水に溶解させた(溶液1)。ラクトース一水和物、レルカニジピンHCl及びプリモジェル半量を残りの量の水とEtOHに溶解させ、混合した(溶液2)。溶液1及び2を組合せ、続いて、微結晶セルロース、スターチ150及び残りの量のプリモジェルの混合物を添加し、混合した。顆粒状塊を乾燥させた。微結晶セルロースを乾燥塊に加え、混合した。最後に、ステアリン酸Mgを顆粒に加え、完全に均一になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧密化した。
【0027】
実施例3:20mgのレルカニジピンの錠剤(組成物3)
上記製剤の錠剤を次の製造方法に従って調製した:レルカニジピンHClと半量のアエロジルTMを水/EtOH溶媒に溶解させ、続いてPVPを加えた。ラクトース一水和物と残りの量のアエロジルTMを混合し、前の溶液に加え、混練した。ついで、プリモジェルを上記溶液に加えた。ポロキサマーを少量の水/EtOH溶媒に溶解させ、前の溶液と混練るした。顆粒状塊を乾燥させ、分級した。最後に、ステアリン酸Mgを乾燥顆粒に加え、完全に均一になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧密化した。
【0028】
最も重要なファーマコテクニカルな試験の一つは、それが生成物の生物学的利用能に強く相関するため分解試験である。分解方法では、Paddles装置IIを75rpm、37℃±0.5℃で30分間操作する一方、分解媒体としてpH=1.2のバッファーを使用した。試験した各組成物に対する分解速度を表1にまとめる。該結果は、3種全ての組成物が約30分では完全には溶解していないことを示している。
【0029】
表1:実施例1,2,3の組成物の分解プロファイル
分解試験が満足できる結果を与えても多くの場合インビボ結果は予想されるものとはかけ離れていることは低溶解度の活性成分の薬学的組成物に対して一般的に知られている問題である。低溶解度及び高初回通過代謝のために吸収性が低い(10%より低い)この種の薬剤の場合、分解試験は判別可能ではなく、薬物動態試験結果が製剤に関して代表的である。
【0030】
本発明の他の目的は、安定であり、該活性成分が分解せず、長期間の保存の間、非晶質形態のまま残る薬学的組成物を調製することであった。従って、臨床試験の前に、3種の組成物をPVC/PE/PVDCアルミニウムブリスターに充填し、現在のICHガイドラインに従って通常の(25℃±2℃/60%±5%RH)及び加速された(40℃±2℃/75%±5%RH)安定性実験に暴露した。
6ヶ月後の安定性の結果を以下の表に示す。
結果は、コロイド状二酸化ケイ素を製剤中に導入した場合レルカニジピンがより安定であることを示している。
特定の試験と結果を安定性の表(表2)に記載する。
【0031】
表2:調製直後と通常及び加速条件下での6ヶ月の保存後における組成物1,2,3の安定性の結果
【0032】
本発明の他の態様によれば、活性成分は圧密化後に非晶質状態で残らなければならず、結晶形態に転換されるべきではない。X−RD解析によって図5に示されるように、レルカニジピンは、ブロードなピークのみが約2θ=20degで最大で記録されるので完全に非晶質である。結晶特性は他の賦形剤と共に混合物が薬学的組成物に導入されるときと同じ条件で6ヶ月後に未変化のままである。レルカニジピンの結晶形態に対応するピークは、調製直後又は6ヶ月後に観察されず、混合物が安定化されることを示している。
【0033】
実施例3の組成物の錠剤は、プラシーボ錠剤にもまた見出される主ピークがおよそ2θ=12.7、16.6、19.2、19.7、20.2、21.4、23.0、36.4、37.8度で得られる(図6及び7)。
本発明の3種の組成物全ての生物学的利用能及び薬物動態プロファイルは「インビボ」単一用量研究で決定された。
単一用量研究は、実施例1、2及び3に従って非晶質レルカニジピンHClを用いて調製した製剤を使用して、12名の健康な志願者で実施した。
参照化合物は、活性成分、ラクトース、微結晶セルロース、ナトリウムスターチグリコレート、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム及びOpadry Pink(組成物B)からなる20mgレルカニジピンHCl錠剤(Carmen 20mg)であった。
【0034】
各患者には、異なった時間に実施例1の組成物1の単一経口20mg用量と20mgの活性成分に等しい組成物Bの錠剤が投与された。異なった時間に血液試料を採取し、レルカニジピンの血漿中濃度を決定した。
実施例1による組成物1の薬物動態分析では、R−レルカニジピンとS−レルカニジピンを別個に測定する(キラル法)。表3は試験から得られた主要な薬物動態パラメータを示す。
【0035】
表3:組成物1対参照生成物(B)の薬物動態分析
ここで、
Cmax=(ピーク濃度)は、投薬後に血漿中で薬剤が達する最大濃度;
AUC0−t=(曲線下面積)は、線形台形法によって計算される時間0から最後の測定可能な濃度までの時間−血漿中濃度曲線下の全面積である;これは薬剤の生物学的利用能の測定値を表す。
AUC0−inf=(曲線下面積)は、時間0から無限までの時間−血漿中濃度曲線下の全面積である;AUCinfはAUC0−tプラス排出速度定数に対する最後の測定可能な血漿中濃度の比の合計として計算される。
これらのデータは、二種の製剤の性質が、主要な薬物動態パラメータに対して比較できることを示している。
【0036】
従って、組成物1(20mg錠剤)は市販のレルカニジピンHCl20mg錠剤と比較しておよそ50%の相対的生物学的利用能を有していることが見出された(図1及び2)。
更に、単一用量研究を、無作為化2方向クロスオーバー試験で12名のヒト志願者で実施し、実施例2の組成物の投薬形態を組成物Bの投薬形態と比較した。血漿試料を取り除き、所定間隔でレルカニジピンについて試験した。
実施例2による組成物2の薬物動態分析では、レルカニジピンのラセミ混合物を測定する。表4は、試験から得られた主要な薬物動態パラメータを示している。
【0037】
表4:組成物2対参照生成物(B)の薬物動態解析
従って、組成物2(20mg錠剤)は市販のレルカニジピンHCl20mg錠剤と比較しておよそ84%の相対的生物学的利用能を有していることが見出された
更に、単一用量研究を、無作為化2方向クロスオーバー試験で72名のヒト志願者で実施し、実施例3の組成物の投薬形態を組成物Bの投薬形態と比較した。血漿試料を取り除き、所定間隔でレルカニジピンについて試験した。
実施例3による組成物3の薬物動態分析では、R−レルカニジピンとS−レルカニジピンを別個に測定する(キラル法)。表5は、試験から得られた主要な薬物動態パラメータを示している。
【0038】
表5:組成物3対参照生成物(B)の薬物動態解析
従って、組成物3(20mg錠剤)は、市販のレルカニジピンHCl20mg錠剤と比較しておよそ144%の相対的生物学的利用能を有していることを見出した(図3及び4)。
【0039】
インビボの結果は、組成物1に対する血漿中の活性物質の濃度レベルが参照組成物のレベルのおよそ50%であることを示している。組成物2は組成物1と比較して68%の血漿中濃度の増加を示した。驚いたことに、参照組成物のレベルのおよそ144%である組成物3は組成物2及び1とそれぞれ比較して71%及び188%の増加を有している。
本発明の組成物3は従って、薬理学的性能に関して、現在入手できる最良の生物学的利用能の固形製剤と考えることができる。
【0040】
組成物3の増加した生物学的利用能は、コロイド状二酸化ケイ素とレルカニジピンHClの間の微細分散体の形成に寄与しうる。最適な分散体は走査型電子顕微鏡(SEM)分析によって証明され、図8及び9から分かるように、薬物物質の粒子も凝集体も観察されなかった。
活性な成分が吸収されるアエロジルTMの非常に大きな表面が比表面積の増加を生じ、過剰の生物学的利用能に寄与する。
バインダーの存在は、アエロジルTM粒子の表面上での活性成分の均一な分布を容易にする。
【0041】
同じ用量(20mg)を志願者に投与したが、組成物3は市販の参照製品と比較して向上した生物学的利用能を示した。
この事実は、参照生成物よりも少量の活性成分であるが同じ効果を有し良好な患者の服薬率と少ない副作用を生じる薬学的組成物を製造する可能性を付与する。
【0042】
本発明を特定の実施態様に対して説明したが、添付の特許請求の範囲に記載されたその精神及び範囲から逸脱することなく様々な変化及び変更を本発明においてなすことができることは当業者には明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的有効量のジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、より特定的にはレルカニジピン又はその塩、誘導体及び多形体を含有する生物学的利用能を向上させた錠剤やカプセル等の改善された投薬形態、特に経口投与のための製剤、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アムロジピン(amlopidipine)、ニフェジピン、ラシジピン及びレルカニジピンのようなジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト化合物は、とりわけ高血圧及び冠状動脈疾患の治療に極めて有用であることが知られている化合物である。
レルカニジピン(1,1−N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)アミノエチル1,4−ジヒドロ−6−ジメチル(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボン酸メチル)は、長い作用期間と高い血管選択性を有する高度に親油性のジヒドロピリジンカルシウムアンタゴニストである。それは通常毎日一回10mgから20mgの用量で使用され、最大用量は毎日約30mgである。レルカニジピンは経口投与後に急速に吸収され、ピーク血漿中濃度が投薬の1.5−3時間後に生じるが、広範な初回通過代謝を受ける。
【0003】
ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストは低水溶解度を有し、活性成分の低い生物学的利用能となる。
水溶解度が低い薬剤(これは20℃で水中0.1重量パーセント未満の溶解度を有していることを意味する)は、消化液を含む水性媒体中における分解速度及び度合いが乏しいため更なる製剤化問題を生じ、これが経口消化後の全身循環への吸収性が低いものとなってしまう。
胃腸管からの吸収を最大にするかかる薬剤を含む組成物を製造するためには、それを消化液に溶解させるために薬剤の溶解度を増加させる特徴を組成物中に導入する必要がある。
【0004】
その有用な治療特性のために活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する経口投薬形態の工業的な製造のための様々な方法が既に知られている。しかしながら、従来の方法は、上記活性成分の乏しい溶解度のため所望の生物学的利用能の経口固形製剤の製造に大きな困難に直面した。
非晶質形態の活性化合物は対応の結晶性活性化合物よりも高い生物学的利用能を有していることが多いことが知られている。独国特許出願公開第3024858号は、分解と吸収を増加させるためにその非晶質形態で使用される難溶性ジヒドロピリジンのニカルジピンを含有する投薬形態を開示している。通常、非晶質活性成分は、再結晶化する傾向があり、生物学的利用能が再現性がないか又は分解産物のために所定の保存期間後に顕著に減少するので、注意深く製剤化されなければならない。
【0005】
欧州特許出願公開第0385582号は、100ミクロン未満の粒径を有するニフェジピン組成物を開示している。ニフェジピンの分解の制御は物質を大きな比表面積になるように加工することによって達成されるが、活性成分の小さな結晶が凝集して大きな粒径を再形成する傾向がある。
欧州特許出願公開第0557244号は、分解及び吸収の速度を遅延させ制御するために親水性ゲル形成ポリマーと共に、溶解度を増加させるために小さい結晶に微粒子化されたニフェジピンを含む組成物を開示している。しかしながら、一般的な装置を使用してニフェジピンを微粒子化できる最小粒径は約1ミクロンであり、この粒径はニフェジピンの完全な分解と吸収を可能にするほど十分小さくはない。
更に、錠剤の各バッチで結晶粒径が同じに注意深く制御されない場合には放出特性がバッチ毎に変動しうる。
【0006】
英国特許出願公開第1456618号は、界面活性剤の存在下でポリエチレングリコール中でニフェジピンの固体溶液を調製することによりニフェジピンの分解及び吸収を改善することを開示している。
欧州特許出願公開第0448091号は、界面活性剤と共にジヒドロピリジンを開示しているが、多量の界面活性剤は通常患者の胃に刺激を与える。
また、特定の表面を有する界面活性剤、可溶化剤及びある種の賦形剤の使用は、生成物が望ましくない大きさの投与形態になることがよくある。飲み込みを容易にするために、かかる錠剤又はカプセルは例えば楕円又は縦長形状のような特定の形態に転換されることがよくあるが、これもまた満足できる結果をもたらさず、400mgを越える重さの生成物になる。より小さい生成物をより頻繁に投与することもまた満足できる解決手段ではない。
【0007】
上記の各特許はジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストを含有する薬学的組成物に伴う不安定性の問題を解消する試みをているが、かかる薬学的組成物の生物学的利用能を改善する必要性が尚も存在する。
【発明の概要】
【0008】
従って、従来技術の欠点を解消し活性成分の生物学的利用能を向上させる、活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための改善された固体投薬製剤を提供することが本発明の目的である。
本発明の他の態様は、生物学的利用能があり効果的で、十分な保存期間、患者の服薬率を向上させ可能な副作用を減少させる良好かファーマコテクニカルな(pharmacotechnical)性質を有する、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための固体投薬製剤を提供することにある。
【0009】
更に、本発明の他の態様は、賦形剤と活性成分の量を比例的に調節し、活性成分の分解プロファイルと生物学的利用能に影響を及ぼさないでファーマコテクニカルな線形性を提供することにより異なった強度の投薬形態に調製することができる、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための固体投薬製剤を提供することにある。
本発明の更なる態様は、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその塩を含む経口投与のための安定な固体投薬製剤を調製し、それによって活性成分の生物学的利用能を向上させ、長期間にわたって安定で、組成物のファーマコテクニカルな特性を改善する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の上記目的に従って、活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させるためにアエロジルのようなコロイド状二酸化ケイ素の有効量を含有する経口投与のための薬学的組成物が提供される。
【0011】
本発明の他の実施態様によれば、活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させるためにコロイド状二酸化ケイ素の治療的有効量を含む錠剤、カプセル又はサシェのような経口投与のための固体投薬形態の調製方法であって、
− 上記活性成分の全量、上記コロイド状二酸化ケイ素の全量の一部及び場合によってはバインダーを水/EtOH溶媒に溶解させ;
− 形成された溶液にコロイド状二酸化ケイ素の残りの部分と、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、滑剤のような任意成分の賦形剤を加え、湿式造粒し;
− 湿潤剤を少量の水/EtOH溶媒中に溶解させ、最初の溶液と混練し;
− 湿った塊を乾燥させ;
− 乾燥した塊を分級し、分級された混合物に、バインダー、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤及び/又は流動促進剤のような少なくとも一種の任意成分の賦形剤の全量を加え、均一になるまで混合し、
− 得られた混合物を、それを所望の錠剤形に圧密化するか又はカプセル又はサシェに充填することによって固形投薬形態に製剤化する
ことを含む方法が提供される。
【0012】
本発明の更なる好ましい実施態様は従属の請求項2から11及び13から16に記載されている。
本発明の他の目的及び利点は次の詳細な説明に照らすと当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図2】本発明の実施例1の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図3】本発明の実施例3の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図4】本発明の実施例3の組成物に対する平均血漿値を示す。
【図5】非晶質レルカニジピンHClのX−RDスペクトルを示す。
【図6】実施例3の組成物のプラシーボのX−RDスペクトルを示す。
【図7】実施例3の組成物のX−RDスペクトルを示す。
【図8】非晶質レルカニジピンHClのSEMを示す。
【図9】本発明に係る非晶質レルカニジピンHClとコロイド状二酸化ケイ素の微細分散液のSEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的では、難溶性活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、例えばレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩)を含有する薬学的組成物は、上記成分がそれ自身及び/又は既知の薬学的組成物中におけるよりも少なく又はより遅く分解するならば「安定」であると考えられる。
投薬形態に含まれる活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、例えばレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩)は、投薬形態で投与されるとき、投薬形態から放出され、吸収され、同じ量の同じ活性成分を含み同じ用途が意図される市販の製品よりも高い血漿中濃度レベルに達するならば、「向上した生物学的利用能」を有する。
【0015】
薬学的組成物は様々な形態をとりうるが、好ましい固形形態は錠剤、カプセル及びカプレットである。
本発明の目的が、活性成分の生物学的利用能を向上させるためにアエロジルTMのようなコロイド状二酸化ケイ素を用いることによって達成されることが以外にも見出された。
既に述べたように、レルカニジピンHClのようなジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストは非常に乏しい溶解度を有しており、よって活性物質の乏しい生物学的利用能となる。
コロイド状二酸化ケイ素は、約15nmの粒径を持つ超顕微鏡的ヒュームドシリカである。それは軽く、ばらばらで、青みがかった白色の無臭、無味、非粗(nongritty)非晶質粉末である。コロイド状二酸化ケイ素は医薬に広く使用されている。その小さい粒径と大きな比表面積は、乾燥粉末の流動特性を改善するために使用される所望の流動特性を付与する。
【0016】
本発明に係る薬学的組成物にコロイド状二酸化ケイ素を導入する場合、コロイド状二酸化ケイ素の表面上の活性成分の非晶質粒子の微細分散体が形成され、一相系を生じる。上記一相系は活性成分の溶解度を改善する。
活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、例えばレルカニジピン又はその塩、誘導体及び多形体)と適切な量のコロイド状二酸化ケイ素、例えばアエロジルTMは、微細分散体を形成するために溶媒に溶解され、続いてバインダーが混合される。コロイド状二酸化ケイ素の残りと任意成分の賦形剤が溶液に添加され、湿式造粒される。湿った塊を乾燥させ、乾燥塊を分級した後、任意成分の更なる賦形剤をついで添加する。ついで、組成物を均一になるまで混合する。ついで、得られた組成物を圧密化することができる。
【0017】
更に、それらが組成物の活性成分と適合性である限り、これら物質の乏しい流動特性及び望ましくないファーマコテクニカルな特性に伴う問題を解消するため、また薬剤の安定性及び薬学的生成物の保存寿命を増大させ、優れた生物学的利用能を示す生成物を提供するため、任意の賦形剤を場合によっては上記組成物に添加することができる。
本発明は、溶解度及び生物学的利用能の問題を有する活性成分の経口又は舌下投与のための錠剤、カプセル、カプレット、サシェ又は他の固形投薬形態の製剤に利用することができる
【0018】
更に、適切な量の同組成物を使用し、よって製造コストを制限し、当局による製品の承認に必要な臨床実験の数、従って費用を最小にして、異なった強度の投薬形態を調製することができる。
本発明に係る調製のための製造方法は、任意の他の一般的な方法と比較して簡単で費用がかからない。
従って、第一の実施態様では、本発明は、重量で約0.5%から30%のレルカニジピン又はその塩と重量で約3%から30%のコロイド状二酸化ケイ素を含有する薬学的組成物を提供する。コロイド状二酸化ケイ素に対するレルカニジピン又はその塩の重量比は、好ましくは10:1から1:60である。
【0019】
本発明に係るより好ましい薬学的組成物は、重量でおよそ3%から30%、より好ましくは5%から25%、最も好ましくは7%から20%のコロイド状二酸化ケイ素、例えばアエロジルTMを含有する。
バインダーは、存在する場合、約15重量%までの量で存在し得、湿潤剤は、存在する場合、約5重量%までの量で存在しうる。
好ましい薬学的組成物は、あらゆる形状及びサイズで被覆又は非被覆の、錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、パスティーユ(pastille)、丸薬、ドロップ等のような経口又は舌下投与のための固形投薬形態である。
ここで述べる全てのパーセントは、別段の記載がない限り、全組成物の重量に基づく重量パーセントである。
【0020】
本発明の他の実施態様は、レルカニジピン又はその塩、誘導体及び多形体を含む錠剤、カプセル及びサシェ等の経口投与のための固形投薬形態の調製のための湿式造粒法の使用である。該湿式造粒法は、
− 活性成分としてのジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩の全量、コロイド状二酸化ケイ素の全量の一部及び場合によってはバインダーを水/EtOH溶媒に溶解させ;
− 形成された溶液にコロイド状二酸化ケイ素の残りの部分と、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、滑剤のような任意成分の賦形剤を加え、湿式造粒し;
− 湿潤剤を少量の水/EtOH溶媒中に溶解させ、最初の溶液と混練し;
− 湿った塊を乾燥させ;
− 乾燥した塊を分級し、分級された混合物に、バインダー、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤及び/又は流動促進剤のような少なくとも一種の任意成分の賦形剤の全量を加え、均一になるまで混合し、
− 得られた混合物を、それを所望の錠剤形に圧密化するか又はカプセル又はサシェに充填することによって固形投薬形態に製剤化する
ことを含む。
【0021】
本発明の薬学的組成物は、様々な賦形剤から選択される一又は複数の更なる製剤成分を含んでいてもよい。組成物の所望の性質に従って、固形投薬形態組成物の調製におけるその既知の用法に基づいて、任意の数の成分を単独で又は組み合わせて選択することができる。
このような成分には、限定するものではないが、希釈剤、バインダー、圧密化補助剤、崩壊剤、界面活性剤、湿潤剤、抗酸化剤、流動促進剤、滑剤、香料、水スカベンジャー、着色料、甘味料、コーティング剤及び保存料が含まれる。
【0022】
任意成分の賦形剤は、組成物中で干渉しないようにジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト又はその塩と適合性がなければならない。
希釈剤は、例えば炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、三塩基リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、微結晶ケイ化セルロース、粉末化セルロース、デキストレート(dextrates)、デキストロース、フルクトース、ラクチトール(lactitol)、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、ラクトース二水和物、ラクトース三水和物、マンニトールソルビトール、スターチ、予めゼラチン化されたスターチ、ゼラチン、液体グルコース、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、スターチペースト、予めゼラチン化されたスターチ、スクロースでありうる。
【0023】
崩壊剤は例えばアルギン酸、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、粉末化セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ドキュセートナトリウム、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スターチグリコール酸ナトリウム、スターチ、前もってゼラチン化されたスターチでありうる。
【0024】
湿潤剤は、プルロニックTM又はポロキサマーTMとして市販されているポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー、SolulanTMビタミン誘導体として市販されているエトキシル化コレステリン、例えばビタミンE誘導体、例えばトコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム;胆汁酸又はその塩、例えばコール酸、グリコール酸又は塩でありうる。
流動促進剤は例えばケイ酸カルシウム、粉末セルロース、スターチ、タルク、コロイド状二酸化ケイ素でありうる。
滑剤は、例えばポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ラウリル硫酸ナトリウム、スターチ、タルクでありうる。
次の実施例は、本発明の範囲又は精神を限定しないで本発明に係る好ましい実施態様を例証する:
【実施例】
【0025】
実施例1:20mgのレルカニジピンの錠剤(組成物1)
上記製剤の錠剤を次の製造方法に従って調製した:HPCを水/EtOH溶媒に溶解させた。レルカニジピンHClをミクロセラック、微結晶セルロース、スターチ150及びプリモジェル(Primojel)と混合して均一混合物を形成した。上記混合物をHPC溶液と混練した。顆粒状塊を乾燥させた。最後にステアリン酸Mgを乾燥塊に加え、完全に均一になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧密化した。
製造した錠剤を硬度、破砕性、崩壊性、及び含水量について試験した。全ての試験は、欧州薬局方5.1に従って実施したが、良好に仕様内に入っていた。
【0026】
実施例2:20mgのレルカニジピンの錠剤(組成物2)
上記製剤の錠剤を次の製造方法に従って調製した:Tween20を20mgの水に溶解させた(溶液1)。ラクトース一水和物、レルカニジピンHCl及びプリモジェル半量を残りの量の水とEtOHに溶解させ、混合した(溶液2)。溶液1及び2を組合せ、続いて、微結晶セルロース、スターチ150及び残りの量のプリモジェルの混合物を添加し、混合した。顆粒状塊を乾燥させた。微結晶セルロースを乾燥塊に加え、混合した。最後に、ステアリン酸Mgを顆粒に加え、完全に均一になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧密化した。
【0027】
実施例3:20mgのレルカニジピンの錠剤(組成物3)
上記製剤の錠剤を次の製造方法に従って調製した:レルカニジピンHClと半量のアエロジルTMを水/EtOH溶媒に溶解させ、続いてPVPを加えた。ラクトース一水和物と残りの量のアエロジルTMを混合し、前の溶液に加え、混練した。ついで、プリモジェルを上記溶液に加えた。ポロキサマーを少量の水/EtOH溶媒に溶解させ、前の溶液と混練るした。顆粒状塊を乾燥させ、分級した。最後に、ステアリン酸Mgを乾燥顆粒に加え、完全に均一になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧密化した。
【0028】
最も重要なファーマコテクニカルな試験の一つは、それが生成物の生物学的利用能に強く相関するため分解試験である。分解方法では、Paddles装置IIを75rpm、37℃±0.5℃で30分間操作する一方、分解媒体としてpH=1.2のバッファーを使用した。試験した各組成物に対する分解速度を表1にまとめる。該結果は、3種全ての組成物が約30分では完全には溶解していないことを示している。
【0029】
表1:実施例1,2,3の組成物の分解プロファイル
分解試験が満足できる結果を与えても多くの場合インビボ結果は予想されるものとはかけ離れていることは低溶解度の活性成分の薬学的組成物に対して一般的に知られている問題である。低溶解度及び高初回通過代謝のために吸収性が低い(10%より低い)この種の薬剤の場合、分解試験は判別可能ではなく、薬物動態試験結果が製剤に関して代表的である。
【0030】
本発明の他の目的は、安定であり、該活性成分が分解せず、長期間の保存の間、非晶質形態のまま残る薬学的組成物を調製することであった。従って、臨床試験の前に、3種の組成物をPVC/PE/PVDCアルミニウムブリスターに充填し、現在のICHガイドラインに従って通常の(25℃±2℃/60%±5%RH)及び加速された(40℃±2℃/75%±5%RH)安定性実験に暴露した。
6ヶ月後の安定性の結果を以下の表に示す。
結果は、コロイド状二酸化ケイ素を製剤中に導入した場合レルカニジピンがより安定であることを示している。
特定の試験と結果を安定性の表(表2)に記載する。
【0031】
表2:調製直後と通常及び加速条件下での6ヶ月の保存後における組成物1,2,3の安定性の結果
【0032】
本発明の他の態様によれば、活性成分は圧密化後に非晶質状態で残らなければならず、結晶形態に転換されるべきではない。X−RD解析によって図5に示されるように、レルカニジピンは、ブロードなピークのみが約2θ=20degで最大で記録されるので完全に非晶質である。結晶特性は他の賦形剤と共に混合物が薬学的組成物に導入されるときと同じ条件で6ヶ月後に未変化のままである。レルカニジピンの結晶形態に対応するピークは、調製直後又は6ヶ月後に観察されず、混合物が安定化されることを示している。
【0033】
実施例3の組成物の錠剤は、プラシーボ錠剤にもまた見出される主ピークがおよそ2θ=12.7、16.6、19.2、19.7、20.2、21.4、23.0、36.4、37.8度で得られる(図6及び7)。
本発明の3種の組成物全ての生物学的利用能及び薬物動態プロファイルは「インビボ」単一用量研究で決定された。
単一用量研究は、実施例1、2及び3に従って非晶質レルカニジピンHClを用いて調製した製剤を使用して、12名の健康な志願者で実施した。
参照化合物は、活性成分、ラクトース、微結晶セルロース、ナトリウムスターチグリコレート、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム及びOpadry Pink(組成物B)からなる20mgレルカニジピンHCl錠剤(Carmen 20mg)であった。
【0034】
各患者には、異なった時間に実施例1の組成物1の単一経口20mg用量と20mgの活性成分に等しい組成物Bの錠剤が投与された。異なった時間に血液試料を採取し、レルカニジピンの血漿中濃度を決定した。
実施例1による組成物1の薬物動態分析では、R−レルカニジピンとS−レルカニジピンを別個に測定する(キラル法)。表3は試験から得られた主要な薬物動態パラメータを示す。
【0035】
表3:組成物1対参照生成物(B)の薬物動態分析
ここで、
Cmax=(ピーク濃度)は、投薬後に血漿中で薬剤が達する最大濃度;
AUC0−t=(曲線下面積)は、線形台形法によって計算される時間0から最後の測定可能な濃度までの時間−血漿中濃度曲線下の全面積である;これは薬剤の生物学的利用能の測定値を表す。
AUC0−inf=(曲線下面積)は、時間0から無限までの時間−血漿中濃度曲線下の全面積である;AUCinfはAUC0−tプラス排出速度定数に対する最後の測定可能な血漿中濃度の比の合計として計算される。
これらのデータは、二種の製剤の性質が、主要な薬物動態パラメータに対して比較できることを示している。
【0036】
従って、組成物1(20mg錠剤)は市販のレルカニジピンHCl20mg錠剤と比較しておよそ50%の相対的生物学的利用能を有していることが見出された(図1及び2)。
更に、単一用量研究を、無作為化2方向クロスオーバー試験で12名のヒト志願者で実施し、実施例2の組成物の投薬形態を組成物Bの投薬形態と比較した。血漿試料を取り除き、所定間隔でレルカニジピンについて試験した。
実施例2による組成物2の薬物動態分析では、レルカニジピンのラセミ混合物を測定する。表4は、試験から得られた主要な薬物動態パラメータを示している。
【0037】
表4:組成物2対参照生成物(B)の薬物動態解析
従って、組成物2(20mg錠剤)は市販のレルカニジピンHCl20mg錠剤と比較しておよそ84%の相対的生物学的利用能を有していることが見出された
更に、単一用量研究を、無作為化2方向クロスオーバー試験で72名のヒト志願者で実施し、実施例3の組成物の投薬形態を組成物Bの投薬形態と比較した。血漿試料を取り除き、所定間隔でレルカニジピンについて試験した。
実施例3による組成物3の薬物動態分析では、R−レルカニジピンとS−レルカニジピンを別個に測定する(キラル法)。表5は、試験から得られた主要な薬物動態パラメータを示している。
【0038】
表5:組成物3対参照生成物(B)の薬物動態解析
従って、組成物3(20mg錠剤)は、市販のレルカニジピンHCl20mg錠剤と比較しておよそ144%の相対的生物学的利用能を有していることを見出した(図3及び4)。
【0039】
インビボの結果は、組成物1に対する血漿中の活性物質の濃度レベルが参照組成物のレベルのおよそ50%であることを示している。組成物2は組成物1と比較して68%の血漿中濃度の増加を示した。驚いたことに、参照組成物のレベルのおよそ144%である組成物3は組成物2及び1とそれぞれ比較して71%及び188%の増加を有している。
本発明の組成物3は従って、薬理学的性能に関して、現在入手できる最良の生物学的利用能の固形製剤と考えることができる。
【0040】
組成物3の増加した生物学的利用能は、コロイド状二酸化ケイ素とレルカニジピンHClの間の微細分散体の形成に寄与しうる。最適な分散体は走査型電子顕微鏡(SEM)分析によって証明され、図8及び9から分かるように、薬物物質の粒子も凝集体も観察されなかった。
活性な成分が吸収されるアエロジルTMの非常に大きな表面が比表面積の増加を生じ、過剰の生物学的利用能に寄与する。
バインダーの存在は、アエロジルTM粒子の表面上での活性成分の均一な分布を容易にする。
【0041】
同じ用量(20mg)を志願者に投与したが、組成物3は市販の参照製品と比較して向上した生物学的利用能を示した。
この事実は、参照生成物よりも少量の活性成分であるが同じ効果を有し良好な患者の服薬率と少ない副作用を生じる薬学的組成物を製造する可能性を付与する。
【0042】
本発明を特定の実施態様に対して説明したが、添付の特許請求の範囲に記載されたその精神及び範囲から逸脱することなく様々な変化及び変更を本発明においてなすことができることは当業者には明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させ、及び/又は溶解度を改善するためにアエロジルTMのようなコロイド状二酸化ケイ素の有効量を含有する経口投与のための薬学的組成物。
【請求項2】
上記コロイド状二酸化ケイ素がアエロジルTMである請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
コロイド状二酸化ケイ素に対する上記ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト又はその薬学的に許容可能な塩の重量比は、好ましくは10/1から1/60である請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
重量でおよそ0.5%から30%、より好ましくは3%から25%、最も好ましくは5%から10%の上記ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト又はその薬学的に許容可能な塩を含有する請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
重量でおよそ3%から30%、より好ましくは5%から25%、最も好ましくは7%から20%のコロイド状二酸化ケイ素を含有する請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストがレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩である請求項1から5の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
PVP等のバインダーを更に含有する請求項1から6の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
希釈剤、湿潤剤、バインダー、崩壊剤、滑剤、及び流動促進剤からなる群から選択される少なくとも一種の任意成分の賦形剤を更に含有する請求項1から7の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
上記組成物は、レルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩のような活性成分を含有する錠剤、カプセル又はサシェのような固体投薬形態である請求項1から8の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
上記組成物が徐放性である請求項1から9の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
上記組成物が即効性である請求項1から10の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させるためにコロイド状二酸化ケイ素の治療的有効量を含む錠剤、カプセル又はサシェのような経口投与のための固体投薬形態の調製方法であって、
− 上記活性成分の全量、上記コロイド状二酸化ケイ素の全量の一部及び場合によってはバインダーを水/EtOH溶媒に溶解させ;
− 形成された溶液にコロイド状二酸化ケイ素の残りの部分と、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、滑剤のような任意成分の賦形剤を加え、湿式造粒し;
− 湿潤剤を少量の水/EtOH溶媒中に溶解させ、最初の溶液と混練し;
− 湿った塊を乾燥させ;
− 乾燥した塊を分級し、分級された混合物に、バインダー、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤及び/又は流動促進剤のような少なくとも一種の任意成分の賦形剤の全量を加え、均一になるまで混合し、
− 得られた混合物を、それを所望の錠剤形に圧密化するか又はカプセル又はサシェに充填することによって固形投薬形態に製剤化する
ことを含む方法。
【請求項13】
上記活性成分がレルカニジピン又はその塩である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記コロイド状二酸化ケイ素がアエロジルTMである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記製剤が徐放性である請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
上記製剤が即効性である請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項1】
活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させ、及び/又は溶解度を改善するためにアエロジルTMのようなコロイド状二酸化ケイ素の有効量を含有する経口投与のための薬学的組成物。
【請求項2】
上記コロイド状二酸化ケイ素がアエロジルTMである請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
コロイド状二酸化ケイ素に対する上記ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト又はその薬学的に許容可能な塩の重量比は、好ましくは10/1から1/60である請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
重量でおよそ0.5%から30%、より好ましくは3%から25%、最も好ましくは5%から10%の上記ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト又はその薬学的に許容可能な塩を含有する請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
重量でおよそ3%から30%、より好ましくは5%から25%、最も好ましくは7%から20%のコロイド状二酸化ケイ素を含有する請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニストがレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩である請求項1から5の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
PVP等のバインダーを更に含有する請求項1から6の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
希釈剤、湿潤剤、バインダー、崩壊剤、滑剤、及び流動促進剤からなる群から選択される少なくとも一種の任意成分の賦形剤を更に含有する請求項1から7の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
上記組成物は、レルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩のような活性成分を含有する錠剤、カプセル又はサシェのような固体投薬形態である請求項1から8の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
上記組成物が徐放性である請求項1から9の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
上記組成物が即効性である請求項1から10の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
活性成分として、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネルアンタゴニスト、特にレルカニジピン又はその薬学的に許容可能な塩、誘導体及び多形体と、生物学的利用能を向上させるためにコロイド状二酸化ケイ素の治療的有効量を含む錠剤、カプセル又はサシェのような経口投与のための固体投薬形態の調製方法であって、
− 上記活性成分の全量、上記コロイド状二酸化ケイ素の全量の一部及び場合によってはバインダーを水/EtOH溶媒に溶解させ;
− 形成された溶液にコロイド状二酸化ケイ素の残りの部分と、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、滑剤のような任意成分の賦形剤を加え、湿式造粒し;
− 湿潤剤を少量の水/EtOH溶媒中に溶解させ、最初の溶液と混練し;
− 湿った塊を乾燥させ;
− 乾燥した塊を分級し、分級された混合物に、バインダー、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤及び/又は流動促進剤のような少なくとも一種の任意成分の賦形剤の全量を加え、均一になるまで混合し、
− 得られた混合物を、それを所望の錠剤形に圧密化するか又はカプセル又はサシェに充填することによって固形投薬形態に製剤化する
ことを含む方法。
【請求項13】
上記活性成分がレルカニジピン又はその塩である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記コロイド状二酸化ケイ素がアエロジルTMである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記製剤が徐放性である請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
上記製剤が即効性である請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−534211(P2010−534211A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517273(P2010−517273)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006517
【国際公開番号】WO2009/012791
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510022369)ファーマシェン エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006517
【国際公開番号】WO2009/012791
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510022369)ファーマシェン エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】
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