説明

ジヒドロプテリジノン、その製造方法および医薬薬剤としてのその使用

本発明は、下記一般式(I)
【化1】


(式中、基 R1〜R5、Ra〜Rc、W、Q1 および Q2 は特許請求の範囲および明細書中に与えられた意味を有する)の新規ジヒドロプテリジノン、その異性体、および、過剰または異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療するための医薬組成物を調製するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、基 R1 から R5、Ra から Rc、W、Q1 および Q2 は、特許請求の範囲および明細書において与えられる意味を有する)の新規ジヒドロプテリジノン、その異性体、これらのジヒドロプテリジノンの製造方法および医薬組成物としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プテリジノン誘導体は、抗増殖活性を有する活性物質として従来技術より知られる。WO 01/019825 および WO 03/020722 は、腫瘍性疾患の治療のためのプテリジノン誘導体の使用を説明する。
腫瘍細胞は体による調節および制御を完全または部分的に逃れ、増殖が制御されないことを特徴とする。これは、一方では制御タンパク質(例えばRb、p16、p21 および p53など)の欠失、更にはいわゆる細胞周期の促進因子、サイクリン-依存キナーゼ(CDK)の活性化に基づくものである。
加えて、タンパク質キナーゼのオーロラ B が、有糸分裂への進入の際に必須の機能を有することが説明されている。オーロラ B はヒストン H3 を Ser10 においてリン酸化し、それにより染色体凝集を開始させる(Hsu et al. 2000, Cell 102:279-91)。しかしながら、G2/M 期 における特異的な細胞周期停止は、例えば特定のホスファターゼ(例えばCdc25Cなど)の阻害によっても引き起こすことが可能である(Russell and Nurse 1986, Cell 45:145-53)。欠陥のある Cdc25 遺伝子を有する酵母はG2 期で停止する一方で、Cdc25 の過剰発現は有糸分裂期への時期尚早な進入を引き起こす(Russell and Nurse 1987, Cell 49:559-67)。さらには、G2/M 期の停止は、特定のモータータンパク質、例えばEg5などのいわゆるキネシンの阻害(Mayer et al. 1999, Science 286:971-4)、または、微小管を安定化または不安定化する薬剤(例えばコルヒチン、タキソール、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン)によっても開始することができる(Schiff and Horwitz 1980, Proc Natl Acad Sci USA 77:1561-5)。
【0003】
サイクリン-依存およびオーロラキナーゼに加えて、セリン/スレオニンキナーゼの小さなファミリーであるいわゆるポロ様キナーゼが、真核細胞周期の調節に重要な役割を果たす。これまでに、ポロ様キナーゼ PLK-1、PLK-2、PLK-3 および PLK-4 が文献に説明されている。特にPLK-1 が有糸分裂期の調節において重要な役割を果たすことが示されている。PLK-1 は、中心体の成熟、ホスファターゼ Cdc25Cの活性化、および後期促進複合体の活性化を担う(Glover et al. 1998, Genes Dev. 12:3777-87; Qian et al. 2001, Mol Biol Cell. 12:1791-9)。PLK-1 抗体のインジェクションは、非形質転換細胞における G2 停止につながる一方で、腫瘍細胞は有糸分裂期に停止する(Lane and Nigg 1996, J Cell Biol. 135:1701-13)。PLK-1 の過剰発現が、様々な種類の腫瘍(例えば非小細胞肺癌、プレート上皮癌腫、乳癌および結腸直腸癌など)について示されている(Wolf et al. 1997, Oncogene 14 :543 -549; Knecht et al. 1999, Cancer Res. 59:2794 -2797; Wolf et al. 2000, Pathol. Res. Pract. 196:753 -759; Takahashi et al. 2003, Cancer Sci. 94:148-52)。したがって、このカテゴリーのタンパク質もまた、増殖性疾患における治療的介入への興味深いアプローチを構成する(Liu and Erikson 2003, Proc Natl Acad Sci USA 100:5789-5794)。
多くの種類の腫瘍細胞の耐性は、腫瘍に有効な新規の医薬組成物の開発を要求する。本発明の目的は、抗増殖活性を有する新規の化合物を提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の詳細な説明
驚いたことに、一般式(I)の化合物(式中、基 R1 から R5、Ra から Rc、W、Q1 および Q2 は後述の意味を有する)が、特定の細胞周期キナーゼ、特にポロ様キナーゼの阻害剤として作用することが発見された。名前を挙げた化合物は、プログラム細胞死が開始される前に細胞を細胞周期の有糸分裂期に停止させるという点において、抗増殖活性を有する。したがって、本発明の化合物は、例えば、特定の細胞周期キナーゼの活性と関連し、かつ、過剰もしくは異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療するために使用することができる。
【0005】
従って、本発明は、下記一般式(1)
【化2】

【0006】
(式中、
W は、N または C-R4 を表し、
R1、R2 は、それぞれ互いに独立に、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニルを表し、
あるいは R1 と R2 は一緒になって、飽和もしくは部分的に不飽和の 2〜5-員アルキル架橋(-CH2- 基は O、S、-NR8 により置換されていてもよい、または、-CH- 基は N により置換されていてもよい)を形成し;
R3 は、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-12アルキル、C2-12アルケニル、C2-12-アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し、
あるいは R1 と R3 または R2 と R3 は、一緒になって飽和もしくは部分的に不飽和の 2〜5-員アルキル架橋(-CH2- 基は O、S、-NR8 により置換されていてもよい、または、-CH- 基は N により置換されていてもよい)を形成し;
R4 は、水素、-CN、ヒドロキシ、ハロゲン、-OR8 および -NR6R7 より選択される基、
または、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-5アルキルオキシ、C2-5アルケニルオキシ、C2-5アルキニルオキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルホキソおよび C1-6アルキルスルホニルより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
【0007】
Q1 は、一置換もしくは多置換されていてもよいピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、トロペニル、アザシクロヘプチルおよび -N(R8)-(CH2)n- より選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、R8、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
Q2 は、存在しないか、または、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-16アルキレン、C2-16アルケニレン、C2-16アルキニレン、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル およびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、R8、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
R5 は、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-16アルキル、C2-16アルケニル、C2-16アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、R8、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8COR9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
【0008】
Ra、Rb、Rc, は、それぞれ互いに独立に、水素、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される基;
または、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル 、C3-6シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8COR9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
R6、R7 は、それぞれ互いに独立に、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-16アルキル、C2-16アルケニル、C2-16アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
R8、R9 および R10 は、それぞれ互いに独立に、水素または置換されていてもよい C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、メチル、エチル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、-OH および擬ハロゲンより選択される)を表し;
n は、0、1、2 または 3 を表す)
の化合物に関し、ここで、前記化合物はその互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびその混合物の形体にあってもよく、また、その薬理学的に許容される酸付加塩の形体にあってもよい。
【0009】
ある態様において、本発明は、式中、W は C-R4 を表す、一般式(1)の化合物に関する。
別の態様において、本発明は、式中、Rb は、水素、-F、-Cl、メチルおよびエチルより選択される基を表す、一般式(1)の化合物に関する。
別の態様では、本発明は、式中、
Ra と Rc は、それぞれ互いに独立に、水素またはフッ素;
あるいは、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-2アルキル、C2アルケニル、C2アルキニル、C3-6シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表す、一般式(1)の化合物に関する。
さらなる態様において、本発明は、式中、Ra と Rc は、それぞれ互いに独立に水素またはフッ素を表す、一般式(1)の化合物に関する。
重要な態様において、本発明は、式中、R1 と R2 は、それぞれ互いに独立に、水素または置換されていてもよい C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C2-3-アルキニルを表し、
あるいは R1 と R2 は、一緒になって飽和もしくは部分的に不飽和の 2-5-員アルキル架橋(-CH2- 基は O、S、-NR8 により置換されていてもよい、または、-CH- 基は N により置換されていてもよい)を形成する、一般式(1)の化合物に関する。
本発明はまた、式中、R5 は、水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、F、Cl、Br、O-プロパルギル、CN、メチルチオ、CONH2、エチニル、プロピニル、ブチニルまたはアリルを表す、一般式(1)の化合物に関する。
本発明はまた、式中、Q1 はピペラジニルまたはホモピペラジニルを表す、一般式(1)の化合物をも包含する。
【0010】
ある態様において、本発明は、医薬組成物としての一般式(1)の化合物の使用に関する。
別の態様において、本発明は、抗増殖活性を有する医薬組成物としての、一般式(1)の化合物の使用に関する。
別の態様において、本発明は、癌、細菌およびウィルス感染症、炎症性および自己免疫性疾患、化学療法による脱毛症および粘膜炎、心臓血管疾患、腎臓疾患、並びに慢性および急性の神経変性疾患より選択される疾患の治療および/または予防のための医薬組成物を調製するための、一般式(1)の化合物の使用に関する。
付加的な態様において、本発明は、ポロ様キナーゼを阻害するための医薬組成物を調製するための、一般式(1)の化合物に関する。
重要な態様において、本発明は、ポロ様キナーゼPLK1を阻害するための医薬組成物を調製するための、一般式(1)の化合物に関する。
重要な態様において、本発明は、ポロ様キナーゼの過剰発現に基づく腫瘍性疾患の治療および/または予防のための医薬組成物を調製するための、一般式(1)の化合物に関する。
ある態様において、本発明は、癌、細菌およびウィルス感染症、炎症性および自己免疫性疾患、化学療法による脱毛症および粘膜炎、心臓血管疾患、腎臓疾患、並びに慢性および急性の神経変性疾患より選択される疾患の治療および/または予防の方法に関し、ここで前記方法は、効果的な量の式(I)の化合物が患者に投与されることを特徴とする。
本発明はまた、活性物質として1または2以上の一般式(I)の化合物を含む医薬製剤に関し、前記化合物は従来型の賦形剤および/または担体と混合されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
定義
本明細書に使用されるにあたり、別途記載した場合を除き以下の定義が適用される。
アルキル置換基は、各ケースにおいて、飽和の、直鎖もしくは分岐した脂肪族炭化水素基(アルキル基)を意味する。
アルケニル置換基は、各ケースにおいて、直鎖もしくは分岐した、少なくとも1つの二重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。
アルキニル置換基は、各ケースにおいて、直鎖もしくは分岐した、少なくとも1つの三重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。
ハロアルキルは、1または2以上の水素原子がハロゲン原子により置換されているアルキル基を表す。ハロアルキルは、飽和のアルキル基と不飽和のアルケニルおよびアルキニル基(例えば -CF3、-CHF2、-CH2F、-CF2CF3-,-CHFCF3、-CH2CF3、-CF2CH3、-CHFCH3、-CF2CF2CF3、-CF2CH2CH3、-CHFCH2CH3 および -CHFCH2CF3 など)の両方を含む。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素原子を表す。
擬ハロゲンは以下の基を意味する: -OCN、-SCN、-CF3 および -CN。
シクロアルキルは、単環式または二環式の環を意味し、ここで環系は飽和環または不飽和の非芳香環であってもよく、それはさらに二重結合を有していてもよく、例えばシクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ノルボルニル、ノルボルネニル、スピロ[5.5]ウンデカン、スピロ[5.4]デカンおよびスピロ[4.4]ノナンなどである。
アリールは、6〜12の炭素原子を有する単環式または二環式の環(例えばフェニルおよびナフチル)を表す。
【0012】
ヘテロアリールは、1または2以上の炭素原子の代わりに、1または2以上の同一または異なるヘテロ原子(例えば窒素、硫黄または酸素原子など)を有する単環式または二環式の環を意味する。例として、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルが挙げられる。二環式ヘテロアリール基の例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニルおよびベンゾトリアジニル、インドリジニル、オキサゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、ナフチリジニル、インドリニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、フェノオキサジニル、フェノチアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ベンゾイソオキサジニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クマリニル、イソクマリニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジニル-N-オキシド テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリノニル、ピロリル-N-オキシド、ピリミジニル-N-オキシド、ピリダジニル-N-オキシド、ピラジニル-N-オキシド、キノリニル-N-オキシド、インドリル-N-オキシド、インドリニル-N-オキシド、イソキノリル-N-オキシド、キナゾリニル-N-オキシド、キノキサリニル-N-オキシド、フタラジニル-N-オキシド、イミダゾリル-N-オキシド、イソオキサゾリル-N-オキシド、オキサゾリル-N-オキシド、チアゾリル-N-オキシド、インドリジニル-N-オキシド、インダゾリル-N-オキシド、ベンゾチアゾリル-N-オキシド、ベンゾイミダゾリル-N-オキシド、ピロリル-N-オキシド、オキサジアゾリル-N-オキシド、チアジアゾリル-N-オキシド、トリアゾリル-N-オキシド、テトラゾリル-N-オキシド、ベンゾチオピラニル-S-オキシドおよびベンゾチオピラニル-S,S-ジオキシドである。
【0013】
ヘテロシクリルは、5〜12炭素原子を有し、1または2以上の炭素原子の代わりに窒素、酸素または硫黄などのヘテロ原子を有する、飽和または不飽和、非芳香族の単環式、二環式または架橋二環式(bridged bicyclic)の環を表す。そのようなヘテロシクリル基の例は、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモモルホリニル、ホモピペリジル、ホモピペラジニル、チオモルホリニル-S-オキシド、チオモルホリニル-S,S-ジオキシド、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ホモピペリジニル、ホモチオモルホリニル-S,S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル-S-オキシド、テトラヒドロチエニル-S,S-ジオキシド、ホモチオモルホリニル-S-オキシド、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5-ジアザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、3,9-ジアザ-ビシクロ[4.2.1]ノナンおよび 2,6-ジアザ-ビシクロ[3.2.2]ノナン、2,7-ジアザ-スピロ[3.5]ノナン、2,7-ジアザ-スピロ[4.4]ノナン、2,8-ジアザ-スピロ[4.5]デカンおよび3,9-ジアザ-スピロ[5.5]ウンデカンである。
以下の実施例は本発明をその範囲を限定することなく説明する。
【実施例】
【0014】
本発明の化合物の調製:
分析
分取クロマトグラフィー:
中圧クロマトグラフィー(MPLC)には、ミリポア社製シリカゲル(製品名: Granula Silica Si-60A 35-70μm)またはMacherey Nagel社製C-18 RP-シリカゲル(製品名: Polygoprep 100-50 C18)が使用される。
分取高圧クロマトグラフィーには、Waters社製のカラム(製品名: XTerra Prep. MS C18, 5μM, 30*100 mm または Symmetrie C18, 5μm, 19*100)が使用される。
核磁気共鳴(NMR)分光法:
測定は重水素化ジメチルスルホキシド-d6の中で行われる。仮に他の溶媒を使用した場合、それらは実施例または実験方法の中で明確に記載する。測定値はデルタスケールでppmで与えられる。テトラメチルシランをスタンダードとしてとる。測定は、ブルカーバイオスピンGmbH社により製造されたAvance 400 (400MHz NMR 分光器)により行われる。
質量分析 / UV 分光計:
これらのデータはAgilent社製のHPLC-MS 装置(マス検出器付き高速液体クロマトグラフィー)を使用して作成される。
装置は、ダイオードアレイ検出器(Agilent社製G1315B)とマス検出器(1100 LS-MSD SL; G1946D; Agilent社) が、クロマトグラフィー装置(カラム: Zorbax SB-C8, 3.5μm, 2,1*50, Agilent社)の下流に直列に接続する形で構築される。装置は0.6 ml/分の流速で操作される。分離操作では、勾配液が3.5分以内に通過される(勾配の開始: 95% 水、5% アセトニトリル; 勾配の終了: 5% 水、95% アセトニトリル; それぞれで2つの溶媒に0.1% ギ酸が加えられる)。
本発明の化合物は、以下に説明する合成法A から C に従って調製することができる(一般式(I〜VI)の置換基は前述の意味を有する)。これらの方法は本発明の例示と理解されるべきであり、その内容に限定されるものではない。
【0015】
方法 A
ステップ 1A
中間体化合物IIIは、芳香族系I上の脱離基LG(例えばハロゲン、SCN、メトキシ、好ましくは塩素またはフッ素)を求核基IIで置換することにより調製される。
ダイアグラム 1A
【化3】

【0016】
1当量の化合物Iと1〜1.5当量の化合物IIを溶媒(例えば1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリジノンまたは N,N-ジメチルアセトアミド)中に撹拌する。
15〜25℃の温度において、1〜2.5当量の塩基(例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、N-エチル-N,N-ジイソプロピルアミンまたはトリエチルアミンなど)が加えられる。反応混合物を50〜100℃の温度でさらに12〜72時間撹拌する。その後、溶媒を蒸留除去し、クロマトグラフィーにより残渣を精製する。
【0017】
ステップ 2A
中間体化合物IVは、ニトロ基をアミノ官能基に還元することにより調製される。
ダイアグラム 2A
【化4】

【0018】
化合物IIIを溶媒(例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランまたはアセトン)中に溶解する。触媒、例えば木炭上のパラジウム、水酸化パラジウムまたはラネーニッケルを加える。この懸濁物をオートクレーブ内に移す。これを2〜10 barの水素圧で処理する。混合物を20〜40℃で1〜10日間撹拌する。その後、触媒をろ過除去し、真空で溶媒を除去する。
【0019】
ステップ 3A
最終化合物VIは、ヘテロ芳香族系V上の脱離基LG(例えばハロゲン、SCN、メトキシ、好ましくは塩素)を求核剤IVで置換することにより調製される。
ダイアグラム 3A
【化5】

【0020】
1 当量の化合物V (WO 03/020722)と1〜3当量の化合物IVを溶媒(例えば 1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、メタノール、水または N-メチル-2-ピロリジノン)中で撹拌する。
15〜40℃の温度で、0.1〜2当量の無機酸(例えば硫酸または塩酸)を加える。反応混合物を50〜120℃の温度でさらに1〜48時間撹拌する。その後、溶媒を蒸留除去し、クロマトグラフィーで残渣を精製する。
【0021】
方法 1
2-メトキシ-4-(4-ピロリジン-1-イル-ピペリジン-1-イル)-フェニルアミン
【化6】

【0022】
a) 4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロ-ベンゼン
20g (126 mmol) 5-フルオロ-2-ニトロ-フェノールを300 ml アセトンに溶解した。22.6g (163 mmol) 炭酸カリウムを加え、その混合物を20℃で30分間撹拌した。10分間にわたって9.4 ml (150 mmol) ヨウ化メチル(50 ml アセトンに希釈)を加え、その混合物を20℃でさらに18時間撹拌した。次いで、撹拌しながらそれを65℃にさらに12時間おいた。真空で溶媒を除き、残渣を水に回収し、そして酢酸エチルで3回抽出した。ついで、混合した有機相を10% 水性炭酸ナトリウム溶液で3回抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空で溶媒を除いた。
収量: 21.1 g (123 mmol; 98 %)
UV max: 230 / 266 / 322 nm
【0023】
b) 1-(3-メトキシ-4-ニトロ-フェニル)-4-ピロリジン-1-イル-ピペリジン
200 mg (1.170 mmol) 4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロ-ベンゼンを 1 ml NMPに溶解し、198 mg (1.284 mmol) 4-ピロリジン-1-イル-ピペリジンおよび 300μl ジイソプロピルエチルアミンと混合し、80℃で17時間撹拌した。その後、真空で溶媒を除いた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。使用した担体材料はC18-RP ゲルであり、開始点で95% 水、5% アセトニトリル、終了点で5% 水、95% アセトニトリルを含む勾配液を通した。
収量: 321 mg (1.053 mmol; 90 %)
UV max: 398 nm
MS (ESI): 306 (M+H)+
【0024】
c) 2-メトキシ-4-(4-ピロリジン-1-イル-ピペリジン-1-イル)-フェニルアミン
321 mg (1.053 mmol) 1-(3-メトキシ-4-ニトロ-フェニル)-4-ピロリジン-1-イル-ピペリジンを 10 ml THFに溶解し、30mg ラネーニッケルと混合し、そして、4 bar水素雰囲気下で20℃で9日間振とうした。触媒をろ過除去し、THFで再び洗浄した。真空で溶媒を除いた。
収量: 269 mg (0.980 mmol; 93 %)
UV max: 250 / 286 nm
MS (ESI): 276 (M+H)+
【0025】
この方法と同様にして、以下の化合物が調製される:
【化7】








【0026】
【化8】







【0027】
【化9】









【0028】
【化10】




【0029】
【化11】





【0030】
【化12】








【0031】
【化13】







【0032】
【化14】









【0033】
【化15】








【0034】
【化16】









【0035】
【化17】

【0036】
実施例 1
(R)-7-エチル-8-イソプロピル-2-[2-メトキシ-4-(4-ピロリジン-1-イル-ピペリジン-1-イル)-フェニルアミノ]-5-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-プテリジン-6-オン
【化18】

【0037】
50 mg (0.186mmol) (R)-2-クロロ-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-プテリジン-6-オンを0.5 mlのエタノールおよび 1 ml 蒸留水に溶解し、136μl の33% 水性塩酸および56 mg (0.203 mmol) 2-メトキシ-4-(4-ピロリジン-1-イル-ピペリジン-1-イル)-フェニルアミン (方法 1) と混合し、100℃で3時間撹拌した。
その後、真空で溶媒を除いた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。使用した担体材料はC18-RP ゲルであり、開始点で95% 水、5% アセトニトリル、終了点で5% 水、95% アセトニトリルを含む勾配液を通した。
収量: 37 mg (0.060 mmol; 32 %)
UV max: 286 nm
MS (ESI): 508 (M+H)+
1H-NMR: 0.72 - 0.79 (m, 3H), 1.25 - 1.37 (m, 6H), 1.76 - 2.04 (m, 8H), 2.10 - 2.22 (m, 2H), 2.73 - 2.84 (m, 2H), 3.01 - 3.11 (m, 2H), 3.19 (s, 3H), 3.81 (s, 3H), 3.84 - 3.92 (m, 2H), 4.23 - 4.31 (m, 1H), 4.44 - 4.49 (m, 1H), 6.62 - 6.86 (m, 2H), 7.37 - 7.65 (m, 2H), 9.49 (sb, 1H), 11.07 (sb, 1H)
【0038】
実施例 2-35
実施例 1に説明した方法と同様の方法により、以下の化合物を調製した。(R)-2-クロロ-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-プテリジン-6-オンおよび対応のアニリン誘導体(方法 1) を使用した。
【化19】



【0039】
【化20】










【0040】
【化21】








【0041】
【化22】









【0042】
【化23】








【0043】
【化24】








【0044】
【化25】






【0045】
【化26】








【0046】
【化27】








【0047】
【化28】








【0048】
【化29】










【0049】
【化30】

【0050】
実施例 36
(R)-2-{4-[4-(3-アミノ-プロピル)-ピペラジン-1-イル]-2-メトキシ-フェニルアミノ}-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-プテリジン-6-オン
【化31】

【0051】
50 mg (0.186mmol) (R)-2-クロロ-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-プテリジン-6-オンを0.5 ml のエタノールと 1 ml 蒸留水に混合し、25μl の 33% 水性塩酸および82 mg (0.206 mmol) ベンジル 2{3-[4-(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-プロピル}-カルバマート (方法 1) と混合し、100℃で3時間混合した。
次いで、溶媒を真空で除いた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。使用した担体材料はC18-RP ゲルであり、開始点で95% 水、5% アセトニトリル、終了点で5% 水、95% アセトニトリルを含む勾配液を通した。
33 mg (0.045mmol) ベンジル (3-{4-[4-((R)-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-6-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-プテリジン-2-イルアミノ)-3-メトキシ-フェニル]-ピペラジン-1-イル}-プロピル)-カルバマートを5 ml のメタノールに回収し、4 mg 水酸化パラジウムと混合し、20℃および7 bar 水素圧で24時間撹拌した。その後、触媒をろ過除去し、真空で溶媒を除いた。
収量: 26 mg (0.040 mmol; 22 %)
UV max: 282 nm
MS (ESI): 497 (M+H)+
1H-NMR: 0.71 - 0.78 (m, 3H), 1.25 - 1.35 (m, 6H), 1.69 - 1.92 (m, 2H), 2.02 - 2.15 (m, 2H), 2.89 - 2.98 (m, 2H), 3.75 - 3.91 (m, 5H), 4.30 - 4.43 (m, 2H), 6.56 - 6.62 (m, 1H), 6.70 - 6.75 (m, 1H), 7.60 - 7.70 (m, 1H), 8.02 - 8.15 (m, 1H)
【0052】
実施例 37
(R)-2-{4-[4-(3-アミノ-ブチル)-ピペラジン-1-イル]-2-メトキシ-フェニルアミノ}-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-プテリジン-6-オン
【化32】

【0053】
この物質は、実施例38と同様に調製された。
UV max: 282 nm
MS (ESI): 511 (M+H)+
1H-NMR: 0.72 - 0.78 (m, 3H), 1.28 - 1.35 (m, 6H), 1.59 - 1.67 (m, 2H), 1.69 - 1.91 (m, 4H), 2.79 - 2.87 (m, 2H), 3.78 - 3.89 (m, 5H), 4.30 - 4.45 (m, 2H), 6.55 - 6.60 (m, 1H), 6.70 - 6.74 (m, 1H), 7.60 - 7.70 (m, 1H), 7.94 (s, 1H)
【0054】
明らかになったように、一般式(I)の化合物は、治療分野のその広範な用途を特徴とする。特に、特定の細胞周期キナーゼの阻害(特に培養ヒト腫瘍細胞の増殖、さらには内皮細胞などの他の細胞の増殖に対する阻害効果)が役割を果たす用途に言及すべきである。
DNA染色およびその後のFACS分析で実証しうるように、本発明の化合物によって引き起こされる増殖の阻害は、特に細胞周期のG2/M期の細胞の停止によって媒介される。この細胞は、プログラム細胞死の開始する前に、細胞周期のこの期で特定の長さの時間(使用する細胞に依存する)停止する。細胞周期のG2/M期における停止は、例えば、特定の細胞周期キナーゼの阻害によって開始される。本発明の一般式Iの化合物、その異性体及びその生理学的に許容しうる塩は、その生物学的特性に基づき、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に好適である。
【0055】
このような病気として、例えば:ウィルス感染症(例えばHIV及びカポジ肉腫);炎症性及び自己免疫疾患(例えば大腸炎、関節炎、アルツハイマー病、糸球体腎炎及び創傷治癒);細菌、真菌及び/又は寄生虫感染症;白血病、リンパ腫及び固体腫瘍;皮膚病(例えば乾癬);骨疾患;心臓血管疾患(例えば再狭窄及び肥大)が挙げられる。それらは、放射線、UV治療及び/又は細胞停止治療によって引き起こされるDNAへの損傷から増殖性細胞(例えば毛髪、腸、血液及び前駆細胞)を保護することにも適する(Davis et al., 2001)。これら新規化合物は、同一効能のために用いられる他の活性物質(例えば細胞増殖抑止剤、ホルモン、抗体)と組み合わせて上記疾患の予防、短期又は長期治療のため使用することもできる。
本発明の化合物の活性は、PLK1阻害アッセイ、培養ヒト腫瘍細胞についての細胞毒性試験及び/又は例えばHeLaS3細胞についてのFACS分析で決定した。両試験法で、本化合物は非常に良い活性、すなわち例えばHeLaS3細胞毒性試験で5μmol、通常1μmol未満のEC50値を、そしてPLK1阻害アッセイで1μmol未満のIC50値を示した。
【0056】
PLK-1 キナーゼアッセイ
酵素調製:
N-末端でGSTに連結した組み換えヒトPLK1 酵素を、バキュロウィルス(Sf21)に感染させた昆虫細胞から単離した。精製は、グルタチオンセファロース上でのアフィニティークロマトグラフィーにより行った。
Sf-900 II 血清非含有昆虫細胞用培地(Life Technologies)中の4x107 個のSf21 細胞(ヨウトガ(Spodoptera frugiperda))をスピナーフラスコ中に接種した。27℃、70 rpmで72時間インキュベートした後、1x108 個のSf21 細胞を、新しいスピナーフラスコ中の計180 ml 培地に接種した。さらなる24時間後、20 ml の組み換えバキュロウィルスストック懸濁液を加え、そして細胞を27℃、70 rpmで72時間培養した。回収の3時間前に、オカダ酸を加え(Calbiochem, 最終濃度0.1μM)、懸濁液をさらにインキュベートした。細胞数を計測し、遠心(5 分, 4℃, 800 rpm)により細胞を除き、1 x PBS (8 g NaCl/l, 0.2 g KCl/l, 1.44 g Na2HPO4/l, 0.24 g KH2PO4/l)で洗浄した。再び遠心した後、液体窒素でペレットを瞬間凍結した。その後、ペレットを素早く融解し、氷冷溶解バッファー(50 mM HEPES pH 7.5, 10 mM MgCl2, 1 mM DTT, 5μg/ml ロイペプチン, 5μg/ml アプロチニン, 100μM NaF, 100μM PMSF, 10 mM β-グリセロールホスフェート, 0.1 mM Na3VO4, 30 mM 4-ニトロフェニルホスフェート)に再懸濁して 1x108 個/ 17.5 mlとした。細胞を氷上で30分間溶解させた。細胞デブリスを遠心(4000 rpm, 5 分)で除去した後、透明な上清をグルタチオンセファロースビーズと混合し(上清50 ml当たり1 ml の再懸濁/洗浄したビーズ)、混合物を回転板上で4℃で30分間インキュベートした。その後、ビーズを溶解バッファーで洗浄し、組み換えタンパク質を、再懸濁ビーズ1ml当たり1 mlの溶出バッファーを使用してビーズから溶出させた(溶出バッファー: 100 mM Tris/HCl pH=8.0, 120 mM NaCl, 20 mM 還元型グルタチオン(Sigma G-4251), 10 mM MgCl2, 1 mM DTT)。タンパク質濃度はブラッドフォード法で測定した。
【0057】
アッセイ手順
以下の成分を、96-ウェル丸底ディッシュ(グライナーバイオワン, PS マイクロタイタープレート No.650101)のウェルに混合した:
- 10μl の、6% DMSO, 0.5 mg/ml カゼイン (Sigma C-5890), 60 mM β-グリセロホスフェート, 25 mM MOPS pH=7.0, 5 mM EGTA, 15 mM MgCl2, 1 mM DTTの中にある様々な濃度(例えば、300μMから開始し、1:3への希釈)でのテスト化合物
- 20μl 基質溶液 (25 mM MOPS pH=7.0, 15 mM MgCl2, 1 mM DTT, 2.5 mM EGTA, 30 mM β-グリセロホスフェート, 0.25 mg/ml カゼイン)
- 20μl 酵素希釈液 (25 mM MOPS pH=7.0, 15 mM MgCl2, 1 mM DTTの中における、酵素ストックの1:100希釈物)
- 10μl ATP 溶液 (45μM ATP、1.11x106 Bq/ml ガンマ-P33-ATPを含む)。
ATP 溶液を加えることにより反応を開始し、穏やかに振とう(IKA Schuttler MTS2上で650 rpm)しながら30℃で45分間継続させた。ウェル当たり125μl の氷冷 5% TCA を加えることにより反応を停止させ、少なくとも30分間氷上でインキュベートした。フィルタープレート (96-ウェルマイクロタイターフィルタープレート: ユニフィルター-96, GF/B; パッカード; No.6005177)上に回収することにより沈殿を移し、次いで1% TCA で4回洗浄し、60℃で乾燥させた。ウェル当たり35μlのシンチレーション溶液(Ready-Safe; ベックマン)を加えた後、シーリングテープでプレートをシール密封し、沈殿したP33 の量をワラック・ベータカウンターで測定した。測定データは標準の グラフパッドソフトウェア(レーベンバーグ・マルカート・アルゴリズム)を使用して評価した。
【0058】
培養ヒト腫瘍細胞についての細胞毒性の測定
培養ヒト腫瘍細胞についての細胞毒性を測定するため、子宮頚癌腫瘍細胞系HeLaS3の細胞(American Type Culture Collection(ATCC)から得た)を、Ham's F12培地(Life Technologies)及び10%ウシ胎児血清(Life Technologies)の中で培養し、対数増殖期に収集した。次に、HeLaS3細胞を96-ウェルプレート(Costar)内に1000細胞/ウェルの密度で置き、インキュベーター(37℃かつ5%のCO2)内で一晩中インキュベートするが、各プレートについて6ウェル(3ウェルは培養液の対照として、3ウェルは還元型AlamarBlueとのインキュベーション用)は培養液だけで満たした。種々の濃度(DMSOに溶解;最終濃度:1%)の細胞に活性物質を添加した(各場合3回分の測定として)。72時間のインキュベーション後、各ウェルに20μlのAlamarBlue(AccuMed International)を加え、細胞をさらに5〜7時間インキュベートした。対照として20μlの還元型Alamar Blue(30分間オートクレーブ処理したAlamarBlue試薬)を3ウェルに加えた。インキュベーション後、個々ウェル内のAlamarBlue試薬の色の変化をPerkin Elmer蛍光分光光度計(励起530nm、発光590nm、スリット15、積分時間0.1)で決定した。反応したAlamarBlue試薬の量は細胞の代謝活性を表す。対照(インヒビターのないHeLa S3細胞)のパーセンテージとして相対細胞活性を計算し、50%まで細胞活性を阻害する活性物質濃度(IC50)を導いた。値は、ダミー値(培養液対照)について補正する3つの個々データの平均から計算した。
【0059】
FACS分析
ヨウ化プロピジウム(PI)は化学量論的に二重鎖DNAに結合するので、細胞DNA含量に基づいて細胞周期のG1、S及びG2/M期における細胞の割合を決定するのに好適である。G0及びG1期の細胞は二倍体DNA含量(2N)を有するが、G2又は有糸分裂期の細胞では4N DNA含量を有する。PI染色のため、例えば75cm2の細胞培養フレーク上に40万個のHeLaS3細胞を接種し、24時間後、対照として1% DMSOを加え、或いは種々の濃度(1% DMSO中)で本物質を加えた。24時間本物質又はDMSOと共に細胞をインキュベート後、細胞を2×PBSで洗浄し、トリプシン/EDTAで引き離した。細胞を遠心分離し(1000rpm,5分,4℃)、この細胞ペレットを2×PBSで洗浄後、細胞を0.1mlのPBS中で再懸濁させた。次に、4℃で16時間、或いは-20℃で2時間80%エタノールによって細胞を固定化した。固定化した細胞(106細胞)を遠心分離し(1000rpm,5分,4℃)、PBSで洗浄してから再び遠心分離した。細胞ペレットを0.25% PBS中の2mlのTriton X-100中で再懸濁させ、氷上で5分間インキュベートした後、5mlのPBSを加え、混合物を再び遠心分離した。細胞ペレットを350μlのPI染色液(0.1mg/mlのRaze A,10μg/mlのヨウ化プレシジウム(presidium)1×PBS中)内で再懸濁させた。暗所で20分間染色緩衝液と共に細胞をインキュベートした後、FACS走査用試料測定容器内に移した。DNA測定は、アルゴンレーザー(500mW,発光488nm)とDNA Cell Quest Program(BD)を備えたBecton Dickinson FACS Analyzerで行った。対数的PI蛍光をバンド-パスフィルター(BP 585/42)で測定した。細胞周期の個々の期における細胞集団をBecton DickinsonのModFit LTプログラムで数量化した。
本発明の化合物は、他の腫瘍細胞に対しても同様にテストされた。例えば、これらの化合物は、あらゆる種類の組織の癌腫(例えば乳房(MCF7); 結腸(HCT116)、頭および首(FaDu)、肺(NCI-H460)、膵臓(BxPC-3)、前立腺(DU145))、肉腫(例えばSK-UT-1B)、白血病およびリンパ腫(例えばHL-60; Jurkat, THP-1)並びに他の腫瘍(例えば黒色腫(BRO)、神経膠腫(U-87MG))に対して有効であり、そのような症例に対して使用することが可能である。これは、あらゆる種類の腫瘍タイプの治療に対する本発明の化合物の幅広い用途を証明するものである。
【0060】
一般式(I)の化合物は、それ単独又は本発明の他の活性物質と組み合わせて使用することができ、場合によっては他の薬理学的に活性な物質と共に使用することもできる。
好適な製剤として、例えば錠剤、カプセル剤、座剤、液剤、特に注射(皮下、静脈内、筋肉内)及び注入用液剤、エリキシル剤、乳剤又は散剤が挙げられる。医薬的に活性な化合物の量は、全組成物の0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜50重量%の範囲内、すなわち後に特定する薬用量範囲を達成するために十分な量でなければならない。必要な場合、指定用量を1日数回与えてよい。
例えば、活性物質を既知の賦形剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはラクトースのような不活性希釈剤、コーンスターチ若しくはアルギニン酸のような崩壊剤、スターチ若しくはゼラチンのような結合剤、ステアリン酸マグネシウム若しくはタルクのような潤沢剤及び/又はカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、若しくはポリビニルアセテートのような遅延放出用薬剤と混合することによって適切な錠剤を得ることができる。錠剤は、数層含んでもよい。
同様に、錠剤と同じ様に製造されたコアを、錠剤コーティングに常用される物質(例えばコリドン若しくはセラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖)でコーティングすることにより、コーティング錠を調製しうる。遅延放出を達成するため或いは不適合性を阻止するため、コアがいくつかの層から成ることもある。同様に、錠剤コーティングは、遅延放出を達成するため、おそらく錠剤について上述した賦形剤を用いていくつかの層から成りうる。
【0061】
本発明の活性物質又はその組合せを含有するシロップ剤又はエリキシル剤は、さらにサッカリン、シクラメイト、グリセロール若しくは糖類のような甘味剤及び風味向上剤、例えばバニリン若しくはオレンジエキスのような香料を含むことができる。それらは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのような懸濁補助剤又は増粘剤、例えば脂肪アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物のような湿潤剤、又はp-ヒドロキシベンゾエートのような保存剤を含むこともできる。
注射及び注入用液剤は、常法、例えばp-ヒドロキシベンゾエートのような保存剤、又はエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩のような安定剤を添加して、任意に乳化剤及び/又は分散剤を用いて調製し、例えば水を希釈剤として使用する場合は、任意に可溶化剤又は溶解助剤として有機溶剤を用いて調製し、注射用バイアル若しくはアンプル又は注入ボトル中に移す
【0062】
1種以上の活性物質又は活性物質の組合せを含有するカプセル剤は、例えば活性物質をラクトース又はソルビトールのような不活性担体と混合し、ゼラチンカプセル中に詰めることによって調製することができる。好適な座剤は、例えば中性脂肪若しくはポリエチレングリコール又はその誘導体のようなこの目的のために与えられる担体と混合することによって製造することができる。
使用し得る賦形剤は、例えば水、医薬的に許容しうる有機溶媒、例えばパラフィン(例えば石油留分)、野菜の油(例えば落花生又はゴマ油)、単-若しくは多官能性アルコール(例えばエタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然鉱物粉(例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク)、合成鉱物粉(例えば高分散性ケイ酸及びシリケート)、糖(例えばショ糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えばリグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びドデシル硫酸ナトリウム)でよい。
【0063】
製剤は、常法、好ましくは経口又は経皮経路、特に好ましくは経口経路で投与される。経口投与する場合、錠剤は当然、上記担体以外に、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムのような添加剤を、デンプン好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等のような種々の添加剤と共に含む。さらには、同時にステアリン酸マグネシウム、ドデシル硫酸ナトリウム及びタルクのような潤沢剤を打錠プロセスのために使用することができる。水性懸濁液の場合、上記賦形剤に加え、種々の風味向上剤又は着色剤と活性物質を併用することができる。
非経口用途では適切な液状担体材料との活性物質の溶液を使用することができる。
静脈内用途の薬用量は、1〜1000mg/時間、好ましくは5〜500mg/時間である。
しかし、体重又は投与経路、その薬物に対する個体反応、使用製剤の性質及びそれを投与する時間と間隔によっては、指定量から外すことが必要な場合もある。従って、ある場合には、上で指定した最少投与量未満の使用で十分であり、他の場合は、上限を超えなければならない。大量を投与する場合、その日全体でより少ない単用量数回に分散することが賢明かもしれない。
【0064】
以下の製剤例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を例示する。
医薬製剤の例
A) 錠剤 1錠剤当たり
活性物質 100mg
ラクトース 140mg
コーンスターチ 240mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
500mg
微細に粉砕した活性物質、ラクトース及びいくらかのコーンスターチを一緒に混合する。混合物を篩過してからポリビニルピロリドンの水溶液で湿らせ、混練し、湿式造粒して乾燥させる。この顆粒、残りのコーンスターチ及びステアリン酸マグネシウムを篩過し、一緒に混合する。混合物を圧縮して適切な形状と大きさの錠剤を製造する。
【0065】
B) 錠剤 1錠剤当たり
活性物質 80mg
ラクトース 55mg
コーンスターチ 190mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウムカルボキシメチルスターチ 23mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
400mg
微細に粉砕した活性物質、いくらかのコーンスターチ、ラクトース、微結晶性セルロース及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、混合物を篩過し、残りのコーンスターチ及び水と加工して造粒し、乾燥させて篩過する。ナトリウムカルボキシメチルスターチとステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、混合物を圧縮して適切な大きさに製錠する。
【0066】
C) アンプル液剤
活性物質 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射用水 5ml
活性物質をそれ自体のpH、又は任意にpH5.5〜6.5で水に溶かし、塩化ナトリウムを加えて等張性にする。得られた溶液を発熱物質なしでろ過し、ろ液を無菌条件下でアンプル中内に移してから滅菌かつ溶融封止する。アンプルは、5mg、25mg及び50mgの活性物質を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の化合物
【化1】

(式中、
W は、N または C-R4 を表し、
R1、R2 は、それぞれ互いに独立に、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニルを表し、
あるいは R1 と R2 は一緒になって、飽和もしくは部分的に不飽和の 2〜5-員アルキル架橋(-CH2- 基は O、S、-NR8 により置換されていてもよい、または、-CH- 基は N により置換されていてもよい)を形成し;
R3 は、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-12アルキル、C2-12アルケニル、C2-12-アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し、
あるいは R1 と R3 または R2 と R3 は、一緒になって飽和もしくは部分的に不飽和の 2〜5-員アルキル架橋(-CH2- 基は O、S、-NR8 により置換されていてもよい、または、-CH- 基は N により置換されていてもよい)を形成し;
R4 は、水素、-CN、ヒドロキシ、ハロゲン、-OR8 および -NR6R7 より選択される基、
または、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-5アルキルオキシ、C2-5アルケニルオキシ、C2-5アルキニルオキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルホキソおよび C1-6アルキルスルホニルより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
Q1 は、一置換もしくは多置換されていてもよいピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、トロペニル、アザシクロヘプチルおよび -N(R8)-(CH2)n- より選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、R8、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
Q2 は、存在しないか、または、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-16アルキレン、C2-16アルケニレン、C2-16アルキニレン、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル およびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、R8、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
R5 は、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-16アルキル、C2-16アルケニル、C2-16アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、R8、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8COR9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
Ra、Rb、Rc, は、それぞれ互いに独立に、水素、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される基;
または、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル 、C3-6シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8COR9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
R6、R7 は、それぞれ互いに独立に、水素または一置換もしくは多置換されていてもよい C1-16アルキル、C2-16アルケニル、C2-16アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表し;
R8、R9 および R10 は、それぞれ互いに独立に、水素または置換されていてもよい C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、メチル、エチル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、-OH および擬ハロゲンより選択される)を表し;
n は、0、1、2 または 3 を表す)
の化合物であって、その互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびその混合物の形体にあってもよく、また、その薬理学的に許容される酸付加塩の形体にあってもよい前記化合物。
【請求項2】
式中、W は C-R4 を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式中、Rb は水素、-F、-Cl、メチルおよびエチルより選択される基を表す、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
式中、Ra と Rc は、それぞれ互いに独立に、水素またはフッ素;
あるいは、一置換もしくは多置換されていてもよい C1-2アルキル、C2アルケニル、C2アルキニル、C3-6シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールより選択される基(置換基は、同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、-NO2、-OR8、-C(=O)R8、-C(=O)OR8、-C(=O)NR8R9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)OR9、-NR8C(=O)NR9R10、-NR8C(=O)ONR9R10、-NR8SO2R9、-N=CR8R9、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-SO2NR8R9、-NR8SO2NR9R10、-OSO2NR8R9 および擬ハロゲンより選択される)を表す、請求項1から3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
式中、Ra、Rc は、それぞれ互いに独立に、水素またはフッ素を表す、請求項1から4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
式中、R1 と R2 は、それぞれ互いに独立に、水素または置換されていてもよい C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C2-3-アルキニルを表し、
あるいは R1 と R2 は、一緒になって飽和もしくは部分的に不飽和の 2-5-員アルキル架橋(-CH2- 基は O、S、-NR8 により置換されていてもよい、または、-CH- 基は N により置換されていてもよい)を形成する、請求項1から5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
式中、R5 は、水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、F、Cl、Br、O-プロパルギル、CN、メチルチオ、CONH2、エチニル、プロピニル、ブチニルまたはアリルを表す、請求項1から6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
式中、Q1 はピペラジニルまたはホモピペラジニルを表す、請求項1から7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
医薬組成物としての、請求項1から8のいずれか1項記載の式(1)の化合物の使用。
【請求項10】
抗増殖活性を有する医薬組成物としての、請求項1から8のいずれか1項記載の式(1)の化合物の使用。
【請求項11】
癌、細菌およびウィルス感染症、炎症性および自己免疫性疾患、化学療法による脱毛症および粘膜炎、心臓血管疾患、腎臓疾患、並びに慢性および急性の神経変性疾患より選択される疾患の治療および/または予防のための医薬組成物を調製するための、請求項1から8のいずれか1項記載の式(1)の化合物の使用。
【請求項12】
キナーゼを阻害するための医薬組成物を調製するための、請求項1から8のいずれか1項記載の式(1)の化合物の使用。
【請求項13】
ポロ様キナーゼがPLK1である、請求項11記載の使用。
【請求項14】
ポロ様キナーゼの過剰発現に基づく腫瘍性疾患の治療および/または予防のための医薬組成物を調製するための、式(1)の化合物の使用。
【請求項15】
癌、細菌およびウィルス感染症、炎症性および自己免疫性疾患、化学療法による脱毛症および粘膜炎、心臓血管疾患、腎臓疾患、並びに慢性および急性の神経変性疾患より選択される疾患の治療および/または予防の方法であって、効果的な量の請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物が患者に投与されることを特徴とする前記方法。
【請求項16】
活性物質として1または2以上の一般式(I)の化合物を含む医薬製剤であって、従来型の賦形剤および/または担体と混合されていてもよい前記医薬製剤。

【公表番号】特表2008−510771(P2008−510771A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528834(P2007−528834)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054099
【国際公開番号】WO2006/021548
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】