説明

ジヒドロベンゾフラニルアルカンアミンおよびそれらを含む医薬組成物

脳セロトニン受容体の2cサブタイプのアゴニストまたは部分アゴニストである式(1)の化合物:


式1
または医薬上許容されるその塩を提供する。本化合物および本化合物を含む組成物は、統合失調症などの様々な中枢神経系障害の処置に使用可能である。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2003年10月24日に出願された米国仮出願第60/514,266号の優先権の利益を主張し、該出願はすべての目的について出典明示により完全に本明細書の一部とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、5−HT2C受容体のアゴニストおよび部分アゴニストとして作用する新規1−(2,3,−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)アルカンアミン誘導体、それらの調製方法、並びに薬剤におけるそれらの使用に関する。
【0003】
(発明の背景)
統合失調症はおよそ500万人に影響を及ぼしている。現在では、統合失調症のもっとも一般的な処置は、ドーパミン(D)とセロトニン(5−HT2A)受容体アンタゴニズムとを組み合わせた「非定型」抗精神病薬である。典型的な抗精神病薬と比較して、非定型抗精神病薬の効能や副作用負担について改善が報告されているにもかかわらず、これらの化合物は統合失調症のすべての症状を十分に処置するものではないようであり、体重増加など、問題となる副作用を伴う(Allison, D. B.ら、 Am. J. Psychiatry, 156: 1686-1696, 1999; Masand, P. S., Exp. Opin. Pharmacother. I: 377-389, 2000; Whitaker, R., Spectrum Life Sciences. Decision Resources. 2:1-9, 2000)。
【0004】
非定型抗精神病薬もまた、5−HT2C受容体に対して高い親和性をもって結合し、5−HT2C受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニストとして機能する。体重増加は、クロザピンおよびオランザピンなどの非定型抗精神病薬と関連する問題の副作用であり、5−HT2Cアンタゴニズムが増大する体重増加の原因であることが示唆されている。これとは逆に、5−HT2C受容体刺激により、食事摂取量や体重が減少することが知られている(Walshら、 Psychopharmacology 124: 57-73, 1996; Cowen, P. J.ら、 Human Psychopharmacology 10: 385-391, 1995; Rosenzweig-Lipson, S.ら、 ASPET abstract, 2000)。
【0005】
様々な証拠が、統合失調症処置としての、5−HT2C受容体アゴニズムまたは部分アゴニズムの役割を支持している。研究により、5−HT2Cアンタゴニストは、ドーパミンのシナプスレベルを増大させること、およびパーキンソン病の動物モデルにて効果的であり得ることが示されている(Di Matteo, V.ら、 Neuropharmacology 37: 265-272, 1998; Fox, S. H.ら、 Experimental Neurology 151: 35-49, 1998)。統合失調症の陽性症状は増大されたドーパミンレベルと関連があるため、5−HT2Cアンタゴニストの作用と反対の作用を有する化合物、例えば5−HT2Cアゴニストおよび部分アゴニストが、シナプスのドーパミンレベルを低下させるはずである。最近の研究で、5−HT2Cアゴニストが、クロザピンのような薬剤の重要な抗精神病薬の効果を媒介すると考えられている脳領域、前頭前皮質および中隔側坐核において、ドーパミンレベルを低下させることが実証された(Millan, M. J.ら、 Neuropharmacology 37: 953-955, 1998; Di Matteo, V.ら、 Neuropharmacology 38: 1195-1205, 1999; Di Giovanni, G.ら、 Synapse 35: 53-61, 2000)。しかしながら、5−HT2Cアゴニストは、錐体外路の副作用に非常に深く関係する脳領域、線条体ではドーパミンレベルを低下させない。さらに、最近の研究で、5−HT2Cアゴニストは腹側被蓋領域(VTA)では熱症を軽減するが、黒質では軽減しないことが実証された。黒質線条体経路に対する中脳辺縁系経路での5−HT2Cアゴニストの異なる効果は、5−HT2Cアゴニストが辺縁系選択性を有しており、典型的な抗精神病薬に伴う錐体外路の副作用を起こす傾向を低下させることを示唆している。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、特定のジヒドロベンゾフラニルアルカンアミン誘導体、および薬剤におけるその使用に関する。1つの態様において、本発明は、5−HT2C受容体のアゴニストまたは部分アゴニストとして作用する新規1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)アルカンアミン誘導体に関する。この化合物は、例えば統合失調症およびそれに伴う気分障害並びに統合失調症の認知障害の処置に使用することができる。本発明の化合物は、好ましいことに、現在の非定型抗精神病薬に伴う体重増加を起こしにくい。本発明の化合物はまた、肥満症およびその併存疾患の処置に使用することができる。
【0007】
特定の実施形態において、本発明は、式(1)の化合物:
【化1】

式(1)
[式中、
RおよびR’は、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたはシクロアルキル環中に3〜6個の炭素を有する4〜12個の炭素原子のアルキルシクロアルキルであり;
別に、RおよびR’は、それらが結合している窒素と一緒になって、2〜5個の炭素原子を含む環を形成してもよく、その環炭素原子の1つが窒素、硫黄または酸素により置換されていてもよい。
およびRは、それぞれ独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり;
3aおよびR3bは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシであり;
とRまたはRとRまたはRとRから選択される2つの隣接置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される環部分を形成し(ここで、その単環式シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環部分は、単一の炭素原子において、3〜5個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を含む3〜5員ヘテロシクロアルキルで置換されてスピロ環基を形成していてもよい);
残りのR〜R置換基は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシ、5〜10個の炭素原子を有するアリール、5〜10個の炭素原子を有するアリールオキシ、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、カルボキサミド、2〜6個の炭素原子を有するアルカンアミド、1〜6個の炭素原子を有するアルカンスルホンアミド、アミノ、1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ、アルキル部分につき1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキルであり;および
nは、1、2または3である;
(ここで、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基はいずれも、飽和または一部飽和であり、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい)]
または医薬上許容されるその塩に関する。
【0008】
特定の他の実施形態において、本発明は、統合失調症、分裂病様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、L−DOPA誘発性精神病、アルツハイマー痴呆に関連する精神病、パーキンソン病に関連する精神病、レビ小体病(Lewy body disease)に関連する精神病、痴呆、記憶障害、アルツハイマー病に関連する知的機能欠損(intellectual deficit)、躁鬱病、抑うつ障害、気分エピソード、不安障害、適応障害、摂食障害,癲癇、睡眠障害、片頭痛、性機能障害、物質乱用、アルコールおよびコカインやニコチンを含む種々の他の薬物に対する中毒、胃腸障害、肥満症、または外傷、脳卒中もしくは脊髄損傷に関連する中枢神経系欠陥から選択される症状を患っている患者を処置する方法であって、式(1)の化合物または医薬上許容されるその塩の治療上有効な量を患者に投与することを含む方法に関する。
【0009】
さらに別の実施形態において、本発明は、式(1)の化合物または医薬上許容されるその塩、および1つまたはそれ以上の医薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。
【0010】
(実施形態の詳細な説明)
本発明は、脳セロトニン受容体の2cサブタイプのアゴニストまたは部分アゴニストである新規1−(2,3,−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)アルカンアミン誘導体に関する。
【0011】
用語「アルキル」は、本明細書中にて用いる場合、8個までの炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を意味する。用語「アルキル」は、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシルおよびイソヘキシルなどの直鎖および分岐鎖を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する分岐鎖である。用語「低級アルキル」は、1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0012】
用語「アルケニル」は、本明細書中にて用いる場合、1〜3個の二重結合を含むことある2〜8個の炭素原子を有する脂肪族直鎖または分岐鎖炭化水素鎖を意味する。アルケニル基の例として、ビニル、prop−1−エニル、アリル、メタリル、ブト−1−エニル、ブト−2−エニル、ブト−3−エニルまたは3,3−ジメチルブト−1−エニルが含まれる。いくつかの実施形態において、アルケニルは、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する分岐鎖アルケニルである。
【0013】
用語「シクロアルキル」は、本明細書中にて用いる場合、3〜10個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子、より好ましくは5〜7個の炭素原子を含む、飽和または一部飽和炭化水素環である。明細書中に特に明記しない限り、シクロアルキル基は、単環式または二環式であり得る。シクロアルキルは、単環式であることが好ましい。二環式シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個の炭素原子を含んで架橋されている。「架橋」は、シクロアルキル環の2つの非隣接炭素原子間に少なくとも1つの炭素−炭素結合を含むシクロアルキル基を意味する。シクロアルキル基は飽和であることが好ましい。シクロアルキル基は、以下に記載のように置換されていても置換されていなくてもよい。
【0014】
用語「アルキルシクロアルキル」は、本明細書中にて用いる場合、シクロアルキルは上記で定義したとおりであり、Rは1〜6個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル部分である−R−シクロアルキル基を意味する。
【0015】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書中にて用いる場合、シクロアルキル基の1〜3個の炭素原子が、酸素、窒素または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子で置換されている、3〜8員、より好ましくは5〜7員のシクロアルキル基を意味する。ヘテロシクロアルキル基は飽和または一部飽和であってよく、特に明記しない限り、単環式または二環式(例えば架橋)であってよい。ヘテロシクロアルキルは単環式であることが好ましい。ヘテロシクロアルキル基は、以下に記載するように置換されていても置換されていなくてもよい。
【0016】
「一部飽和」は、本明細書中にて用いる場合、少なくとも1つの二重結合および好ましくは1つまたは2つの二重結合を含む非芳香族シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0017】
用語「スピロ環」は、本明細書中にて用いる場合、二置換されていてもよいシクロアルキル基、二置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、または連結された2つの環の中で唯一の共通メンバーである単一のsp3炭素原子により連結された一置換されていてもよいシクロアルキル基と一置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0018】
用語「アリール」は、本明細書中にて用いる場合、5〜10員炭素環式芳香環を意味する。特に明記しない限り、アリール単環式または二環式であってよく、置換されてても置換されていなくてもよい。単環式アリール基は5、6または7員であることが好ましく、二環式アリール基は8、9または10員であることが好ましい。アリール基の具体例として、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0019】
用語「アリールオキシ」は、本明細書中にて用いる場合、前記のようにArが5〜10個の炭素原子を有するアリール基であるAr−O−基を意味する。
【0020】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書中にて用いる場合、特に明記しない限り、窒素、硫黄もしくは酸素から独立して選択される1〜3個の環員を有する芳香環を含む5〜10員の単環式または二環式炭素を意味する。単環式環は好ましく5〜6員の、二環式環は好ましくは8〜10員の環構造を有する。ヘテロアリール基は、以下に記載のとおり、置換されていても置換されていなくてもよい。ヘテロアリールの例として、限定するものではないが、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、キノリル,イソキノリル、キノキサリニルまたはキナゾリニルが挙げられる。
【0021】
用語「ペルフルオロアルキル」は、本明細書中にて用いる場合、全ての水素がフッ素で置換されている、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素鎖を意味する。
【0022】
用語「アルカンアミド」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるR−C(=O)−NH−基を意味する。
【0023】
用語「アルカノイル」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるR−C(=O)−基を意味する。
【0024】
用語「アルカノイルオキシ」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるR−C(=O)−O−基を意味する。
【0025】
用語「アルカンスルホンアミド」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるR−S(O)−NH−基を意味する。
【0026】
用語「アルコキシ」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるR−O−基を意味する。
【0027】
用語「ペルフルオロアルコキシ」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であるR−O基を意味する。
【0028】
用語「モノアルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」は、本明細書中にて用いる場合、RおよびRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択されるそれぞれ−NHRおよび−NRRを意味する。
【0029】
用語「カルボキサミド」は、本明細書中にて用いる場合、NH−C(=O)−基を意味する。
【0030】
用語「カルボアルコキシ」は、本明細書中にて用いる場合、Rが1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるR−O−C(=O)−基を意味する。
【0031】
用語「カルボキシ」は、本明細書中にて用いる場合、−COOH基を意味する。
【0032】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書中にて用いる場合、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を意味する。
【0033】
用語「置換された」は、本明細書中にて用いる場合、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシもしくは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシから独立して選択される1〜約5個の置換基、より好ましくは1〜約3個の置換基を有する、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはスピロ環部分などの部分を意味する。好ましい置換基は、ハロゲン原子、低級アルキル、1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ基または1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシである。
【0034】
用語「有効な量」および「治療上有効な量」は、本明細書中にて用いる場合、患者に投与する場合に、患者が罹患している症状を少なくとも部分的に処置するのに有効な式(1)の化合物の量を意味する。そのような症状には、限定するものではないが、統合失調症、統合失調感情障害、分裂病様障害、L−DOPA誘発性精神病、躁鬱病、肥満症、強迫性障害、抑うつ症、パニック障害、睡眠障害、摂食障害および癲癇が含まれる。
【0035】
用語「医薬上許容される塩(群)」または「医薬上許容される塩」は、式(1)の化合物を、例えば酢酸、乳酸、クエン酸、桂皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、塩化臭素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸または類似の既知の許容される酸などの有機または無機酸で処理して誘導される塩を意味する。
【0036】
用語「患者」は、本明細書中にて用いる場合、哺乳動物を意味する。
【0037】
用語「投与する」「投与すること」または「投与」は、本明細書中にて用いる場合、化合物または組成物を患者に直接投与するか、あるいは患者の体内で同等量の活性化合物または物質を形成することとなるプロドラッグ誘導体またはその化合物の類似物を患者に投与することを意味する。
【0038】
用語「処置する」または「処置」は、本明細書中にて用いる場合、症状を部分的にまたは完全に緩和、阻害、予防、改善および/または軽減することを意味する。
【0039】
用語「罹患する」または「罹患」は、本明細書中にて用いる場合、患者が診断された、または有することが疑われる1つまたはそれ以上の症状を意味する。
【0040】
特定の実施形態において、本発明は、式(1)の化合物:
【化2】

式(1)
[式中、
RおよびR’は、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたはシクロアルキル環中に3〜6個の炭素を有する4〜12個の炭素原子のアルキルシクロアルキルであり;
別にRおよびR’は、それらが結合している窒素と一緒になって、2〜5個の炭素原子を含む環を形成していてもよく、ここで、その環炭素原子の1つが窒素、硫黄または酸素により置換されていてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり;
3aおよびR3bが、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシであり;
とRまたはRとRまたはRとRから選択される2つの隣接置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリールまたはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される環部分を形成し、ここで、その単環式シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環部分は、単一の炭素原子において、3〜5個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を含む3〜5員ヘテロシクロアルキルで置換されてスピロ環基を形成していてもよく;
残りのR〜R置換基が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシ、5〜10個の炭素原子を有するアリール、5〜10個の炭素原子を有するアリールオキシ、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、カルボキサミド、2〜6個の炭素原子を有するアルカンアミド、1〜6個の炭素原子を有するアルカンスルホンアミド、アミノ、1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ、アルキル部分につき1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキルであり;および
nが1、2または3である;
(ここに、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基はいずれも、飽和または一部飽和であり、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい)]
または医薬上許容されるその塩を意味する。
【0041】
特定の他の実施形態において、本発明は式(1)の化合物
[式中、
RおよびR’が、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルまたは3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキであり;
別にRおよびR’は、それらが結合している窒素と一緒になって、環炭素原子の1つが窒素、硫黄または酸素により置換されていてもよい2〜5個の炭素原子を含む環を形成し;
およびRは、それぞれ独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり;
3aおよびR3bが、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシであり;
とRまたはRとRまたはRとRから選択される2つの隣接置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される環部分を形成し;
残りのR〜R置換基が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシ、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、カルボキサミド、2〜6個の炭素原子を有するアルカンアミド、1〜6個の炭素原子を有するアルカンスルホンアミド、アミノ、1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ、またはアルキル部分につき1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノであり;および
nが、1、2または3である;
(ここで、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基はいずれも、飽和または一部飽和であり、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい)]
または医薬上許容されるその塩に関する。
【0042】
本発明の他の実施形態は、nが1であり、R’が水素であり、R、RおよびRが、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルである式(1)の化合物に関する。
【0043】
その他の実施形態において、式(1)のR、R’、RおよびRが、好ましくはそれぞれ独立して水素または1〜6個の炭素原子を有するアルキル、より好ましくは水素から選択される。
【0044】
他の実施形態において、R3aおよびR3bは、好ましくはそれぞれ独立して水素または1〜3個の炭素原子を有するアルキルから選択され、より好ましくは水素である。
【0045】
本発明の特定の実施形態において、残りの(すなわち、縮合されていない)R〜R置換基は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、5〜10個の炭素原子を有するアリールオキシ、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールである。
【0046】
本発明の他の実施形態において、残りの(すなわち、縮合されていない)R〜R置換基は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシ、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、カルボキサミド、2〜6個の炭素原子を有するアルカンアミド、1〜6個の炭素原子を有するアルカンスルホンアミド、アミノ、1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ、またはアルキル部分あたり1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ、より好ましくは水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシである。
【0047】
本発明の特定の他の実施形態において、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、1〜8個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシであり、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリールまたはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールを形成する。
【0048】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、またはそれぞれ独立してアルキル、ハロゲンもしくはアルコキシ基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい5〜10個の炭素原子を有するアリールを形成し;RおよびRは、独立して水素、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたはハロゲンであり;R、RおよびRは、それぞれ水素または1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。
【0049】
本発明の特定の他の実施形態において、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、またはそれぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキルを形成し;RおよびRは、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシまたはハロゲンであり;R、RおよびRは、それぞれ水素である。
【0050】
本発明の他の実施形態において、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、それぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい5〜8個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル基を形成し、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲンまたは1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、R、RおよびRは、それぞれ水素である。
【0051】
本発明の他の実施形態において、RとRまたはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、それぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキルまたは3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキルを形成し、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、R、RおよびRは、それぞれ水素である。
【0052】
好ましいアリール基には、フェニルおよびナフチルが含まれ、好ましいヘテロアリール基には、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、キノリル,イソキノリル、キノキサリニルおよびキナゾリニルが含まれる。
【0053】
好ましいヘテロシクロアルキル基には、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラニル、1,2−ジオキソラニル、テトラヒドロチオフェン−イル、1,3−ジチオールアニル、1,2−ジチオールアニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサニル、1,2−ジオキサニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジチアニル、1,2−ジチアニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル、1,3−オキサチオールアニル、イソキサゾリジニル、1,2−オキサチオールアニル、チオモルホリニル、モルホリニル、1,4−オキサチアニル、1,3−チアジンアニル、1,3−オキサジンアニル、1,3−オキサチアニル、1,2−チアジンアニル、1,2−オキサジンアニルおよび1,2−オキサチアニルが含まれる。
【0054】
本発明のさらにより好ましい実施形態において、式(1)の化合物は:
(±)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミン、
(±)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(2R)−1−[(2R)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル]エチルアミン、
(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミン、
(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミン、
(±)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、または
(+)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンである。
【0055】
式(1)の化合物は、脳セロトニン受容体の2cサブタイプに対して親和性を有し、脳セロトニン受容体の2cサブタイプのアゴニストまたは部分アゴニスト活性を有しており、それゆえ妄想型、解体型、緊張型および未分化型を含む統合失調症などの精神病性障害、分裂病様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害並びに特定不能の精神病性障害;L−DOPA誘発性精神病;アルツハイマー痴呆に関連する精神病;パーキンソン病精神病に関連する精神病;レビ小体病に関連する精神病;躁鬱病、例えば双極性障害I型、双極性障害II型および循環病;抑うつ障害、例えば大うつ病性障害、気分変調性障害、物質誘発性気分障害および特定不能の抑うつ障害;気分エピソード、例えば大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソード;不安障害、例えばパニック発作、広場恐怖、パニック障害、特定恐怖症、対人恐怖、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障、分離不安障害、物質誘発性不安障害および特定不能の不安障害;適応障害、例えば不安および/または抑うつ気分の適応障害;知的機能欠損障害、例えば痴呆、アルツハイマー病および記憶障害;摂食障害(例えば、過食症、神経性大食症または神経性無食欲症)および哺乳動物にもたらされるであろうこれらの精神障害の組合せの精神障害の処置に重要である。例えば、抑うつ障害または躁鬱病などの気分障害は、統合失調症などの精神病性障害をしばしば伴う。前記の精神障害さらなる詳細は、精神障害の診断と統計マニュアル、第4版、(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition)、ワシントンDC、米国精神医学会(1994)に記されており、出展明示によりその全てを本発明の一部とする。
【0056】
式(1)の化合物はまた、癲癇;片頭痛;性機能障害;睡眠障害;物質乱用(アルコールおよびコカインやニコチンを含む種々の薬物中毒を含む);胃腸障害、例えば胃腸運動の機能不全;および肥満症の結果として生じる、II型糖尿病、心臓血管疾患、高血圧、高脂血症、脳卒中、変形性関節症、睡眠時無呼吸、胆嚢疾患、痛風、何らかの癌、何らかの不妊症および早期死亡を含む共存疾患と共に処置するのに重要である。式(1)の化合物はまた、例えば外傷、脳卒中および脊髄損傷に付随する中枢神経系欠損症の処置に使用してもよい。したがって、式(1)の化合物は、問題となる疾患もしくは外傷中に、またはその後に中枢神経系の活性を改善させるか、さらなる低下を阻害するのに使用できる。これらの改善には、運動性および自動運動性スキル、制御、調整および強度の維持または改善が含まれる。
【0057】
従って、特定の実施形態において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける上記したそれぞれの疾患の予防、阻害または緩和を含む処置方法であって、かかる疾患に罹患していると疑われる患者に式(1)の化合物の治療上有効な量を投与することを含む方法を提供する。
【0058】
他の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの式(1)の化合物もしくはその立体異性体または医薬上許容されるその塩、および1つまたはそれ以上の医薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。かかる組成物は、中枢神経系の病状または症状を処置または制御する医薬組成物を含む。特定の実施形態において、その組成物は、1つまたはそれ以上の式(1)の化合物の混合物を含む。
【0059】
特定の式(1)の化合物は、立体炭素原子または他のキラル要素を含むために、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む立体異性体が生じる。好ましい実施形態において、本発明は、1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)アルカンアミン誘導体のすべての立体異性体、および立体異性体の混合物に関する。本出願を通して、生成物の名称は、不斉中心の絶対配置が示されていない場合、個々の立体異性体および立体異性体の混合物を含むこととする。あるエナンチオマーをその他のものやラセミ体から区別する必要がある場合、旋光性の標識[(+)、(−)および(±)]を用いる。さらに、本出願を通して、RおよびSの表示は、最も小さい番号の不斉中心に自動的にRを付与するケミカルアブストラクツ(Chemical Abstracts)の慣習を採用して、相対的立体化学を示すために用いる。
【0060】
あるエナンチオマーが好ましい場合、いくつかの実施形態では、それに対応するエナンチオマーを実質的に含まないで提供され得る。従って、対応するエナンチオマーを実質的に含まないとは、分離技術を介して単離または分離されるか、あるいは対応するエナンチオマーを含まないで調製される化合物を意味する。「実質的に含まない」とは、本明細書中にて用いる場合、化合物が非常に高い割合で1つのエナンチオマーを作製することを意味する。好ましい実施形態において、化合物は少なくとも重量あたり約90%の好ましいエナンチオマーを含んで作製される。本発明の他の実施形態において、化合物は少なくとも重量あたり約99%の好ましいエナンチオマーを含んで作製される。好ましいエナンチオマーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびキラル塩の結晶化を含む当業者に既知方法のいずれかによりラセミ混合物から単離することができ、好ましいエナンチオマーは、本明細書中に記載の方法により調製可能である。好ましいエナンチオマーの調製方法は、例えば、Jacqueら、Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience、ニューヨーク、1981); Wilen, S.H.,ら、Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill、ニューヨーク、1962);およびWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press、ノートルダム、インディアナ州 1972)に記載されており、それぞれを出展明示によりその全てを本明細書の一部とする。
【0061】
本発明はまた、式(1)の化合物または医薬上許容されるその塩の調製方法であって、以下の工程:
a)式(7)の化合物:
【化3】

(式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1と同意義である)をアジ化ナトリウムと反応させ、その生成物を還元して、nが1であり、RとR’がいずれもHである式(1)の化合物を得る工程;
または、
b)上記定義の式(7)の化合物を、式NHRR’(ここで、RおよびR’は請求項1と同意義である)のアミンと反応させて、nが1である式(1)に相当する化合物を得る工程;
または
c)上記定義の式(7)の化合物をシアン化ナトリウムと反応させ、次いで還元して、nが2であり、RとR’がいずれもHである式(1)の化合物を得る工程;
d)請求項1で定義される式(1)の化合物を医薬上許容される塩に転換するか、またその逆を行う工程;
または
e)請求項1にて定義される式(1)の化合物または医薬上許容されるその塩の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーを、それらの混合物から単離する工程
のうちいずれかを含む方法を提供する。
【0062】
式(1)の1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)アルカンアミン誘導体は、スキーム1に示すように調製することができる。
【化4】

【0063】
用いる可変基は、特に記載がない限り式(1)と同意義である。適当に置換されたフェノール(2)を、適当に置換された臭化アリルとN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中の炭酸カリウムなどの適切な塩基とでアルキル化する。別法として、フェノール(2)を光延条件(Mitsunobu conditions)を利用して適当に置換されたアルコール(3)でアルキル化することができる。式(1)の化合物の合成に適当なフェノール、臭化アリルおよびアリルアルコールは、商業的に入手可能であり、当業者であれば容易に調製できる。得られたアリルエーテル(4)を、還流メシチレンまたは他の適切な高沸点溶媒中で処理して、所望のクライゼン転位生成物を得る。2−アリルフェノール(5)は中間体であり、その二重結合をジクロロメタン中の3−クロロペルオキシ安息香酸でエポキシ化し、続いて得られたエポキシフェノール中間体をメタノールなどの溶媒中の炭酸カリウムなどの適切な塩基で処理して環化を誘導し、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メタノール(6)を得る。(6)をp−トルエンスルホニルクロリドおよびピリジンなどの適切な塩基で処理してトシレート(7)を得る。(7)のアミン(1)への転換は、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中のアジ化ナトリウムで処理して、続いてそのアジドを還元することにより達成するか、または適当に置換されたアミンで直接処理して、n=1である式(1)の化合物を得る。別法として、トシレート(7)をDMSO中のシアン化ナトリウムで置換し、続いて対応するニトリルの触媒的還元により、n=2である式(1)の第一級アミンを得る。適当なアルキルまたはシクロアルキルを用いる後の反応を用いることで、第2級または第3級アミンを生成することができる。
【0064】
加えて、式(1)の化合物はスキームIIに示すように立体選択的な様式にて調製することができる。
【化5】

【0065】
N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中の臭化ベンジルと炭酸カリウムなどの適切な塩基で処理することにより、ベンジルなどの適切な保護基でフェノール(5)を保護してベンジルエーテル(8)を得る。二重結合の立体選択的酸化反応について当業者であれば知っている既存の方法論、例えばシャープレス不斉ジヒドロキシ化(A−D)を利用して(8)を処理し、立体化学的に富む形態でジオール(9)を得る。当業者であれば利用することのできる、(9)に存在する立体化学的情報を、立体化学的完全性を保持して式(1)の化合物に転換するための方法が数多く存在する。そのような方法の1つとして、メタノールなどの溶媒中、水素雰囲気(45psi)下、パラジウム炭素触媒でベンジルエーテルを脱保護してチオール(10)を得ることが挙げられる。前記の2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メタノール(6)の形成は、酢酸中の臭化水素で(9)を処理して中間体ビシナルアセトキシブロミド(vicinal acetoxy bromide)を得て、続いてメタノールなどの溶媒中の炭酸カルウムなどの適切な塩基で環化することで達成することができる。
【0066】
別法として、式(1)の化合物は、スキームIIIに示すように適切な保護基でジオール(9)を選択的に単一保護して調製することができる。
【化6】

【0067】
N,N,−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、イミダゾールなどの適切な塩基の存在下にてtert−ブチルジメチルシリルクロリドで(9)を処理し、続いて、前記したように水素雰囲気下のパラジウム炭素触媒でベンジルエーテルを脱保護してフェノール(12)を得る。トルエンなどの溶媒中のアゾジカルボン酸ジエチルの存在下にてトリフェニルホスフィンなどの標準の光延条件を用いて(12)を脱水環化し、シリルエーテルで保護された2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メタノール(13)を得る。テトラヒドロフランなどの溶媒中のテトラブチルアンモニウムフッ化物などの標準条件を用いて(13)中のシリルエーテルを除去し、その後アルコール(6)を得て、それを前記のように(スキームI)、式(1)の化合物に転換することができる。
【0068】
保護基の代わりに、ジオール(9)を、p−トルエンスルホニルクロリドおよびピリジンなどの適切な塩基で処理することによりモノ−トリル化誘導体(12a)に転換し、スキームIVに示す所望の生成物を得ることができる。
【化7】

【0069】
パラジウム炭素触媒を用いてベンジルエーテルを脱保護して、フェノール(12b)を得て、続いて前記したようにアゾジカルボン酸ジエチルの存在下にてトリフェニルホスフィンで脱水環化して、前記の2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(7)を得る。
【0070】
立体化学的に富む式(1)の化合物を生成するさらなる工程をスキームVに示す。
【化8】

【0071】
ジクロロメタン中のジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)などの適当な触媒を用いて、前記の2−アリルベンジルエーテル(8)中にある二重結合をパラジウムまたは遷移金属の触媒転位により、スチレン誘導体(14)を得る。ジオキサン中の二酸化セレンで(14)を処理してカルボニル誘導体(15)を得る。カルボニルのアリル型アルコールへの還元(16)は、ジクロロメタンなどの溶媒中のテトラブチルアンモニウムなどの適当な還元剤で処理することにより達成することができる。アリル型アルコール(16)は、その立体化学的完全性を式(1)の化合物に移すことができる、酸化の立体選択的導入に適切な中間体を提供する。シャープレス不斉エポキシ化(A−E)反応は、アリル型アルコールを立体選択的にエポキシ化する一般的な方法であり、(16)を適当な条件下にて処理することにより、立体選択性の高いエポキシアルコール(17)を得る。次いで(17)中に存在するアルコールを、前記したようにp−トルエンスルホニルクロリドでトシル化し、誘導体(18)を得ることができる。シャープレスA−Eにより導入された立体化学的情報を維持したまま、エポキシドの付随する位置選択的開裂を伴ってベンジルエーテルを脱保護して、適当な条件下でエタノールなどの溶媒中水素雰囲気下にてパラジウム炭素で(18)を処理することにより達成する。次いで、前記したように光延条件を用いた脱水環化により、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(7)を得る。
【0072】
特定の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの式(1)の化合物または立体異性体あるいは医薬上許容されるその塩、および1つまたはそれ以上の医薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。かかる組成物は、許容される製薬製法、例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences, 第17版, 著者 Alfonoso R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, PA(1985)に記載の方法に従って調製され、出展明示によりその全てを本発明の一部とする。医薬上許容される担体は、製剤中の他の成分と混和可能であり、生物学的に許容される。
【0073】
式(1)の化合物は、経口または非経口的に、単独または通常の医薬担体と組み合わせて投与することができる。適用可能な担体は、芳香剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、充填剤、流動促進剤、圧縮補助剤、結合剤、錠剤−分解剤またはカプセル化物質としても作用し得る1つまたはそれ以上の物質を含んでいてもよい。粉剤の場合、担体は、細かく砕かれた固体であり、細かく砕かれた有効成分と共に混合物中に存在する。錠剤の場合、有効成分は適切な割合で必要な圧縮特性を有する担体と混合され、所望の形および大きさに圧縮される。粉剤および錠剤の場合、好ましくは99%までの有効成分を含む。適切な固体担体は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂を含む。
【0074】
液体担体は、溶液、懸濁液、乳剤、シロップおよびエルキシル剤の調製に使用可能である。有効成分は、水、有機溶媒、両者の混合物または医薬上許容される油脂などの医薬上許容される液体担体中に溶解または懸濁してもよい。液体担体は、他の適切は医薬品添加物、例えば、溶解補助剤、乳化剤、バッファー、保存剤、甘味剤、芳香剤、懸濁化剤、糊料、着色剤、粘性調節剤、安定剤または浸透圧調節剤を含んでいてもよい。経口および非経口投与のための液体担体の適切な例として、水(特に上記した、例えば、セルロース誘導体、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液などの添加剤を含む)、アルコール(一価アルコール、およびグリコールなどの多価アルコールを含む)およびそれらの誘導体、並びに油状物(例えば、分留されたやし油および落花生油)が含まれる。非経口投与の場合、担体は、油性エステル、例えばオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルであってもよい。滅菌液体担体は、非経口投与用の滅菌液体型組成物にて使用される。加圧組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の医薬上許容される噴射剤(propellant)であってもよい。
【0075】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹膜内または皮下注射により投与することできる。滅菌溶液は静脈注射により投与することもできる。経口投与用組成物は、液体形状または固体形状であってもよい。
【0076】
式(1)の化合物は、経直腸または経膣的に通常の坐剤の形状にて投与することができる。鼻腔内もしくは気管支内吸入または吹送による投与の場合、式(1)の化合物は、水性または一部水性溶液中に製剤化することができ、次いで、エアロゾルの形状に利用し得る。式(1)の化合物はまた、活性化合物およびその活性化合物に対して不活性であり、皮膚に無害であり、そして皮膚を介して血流中に入り全身吸収性の薬剤運搬を可能にする担体を含む、経皮パッチの使用を通じて経皮的に投与することも可能である。担体は、多数の形状、例えばクリームおよび軟膏、ペースト、ゲル並びに閉塞デバイス(occlusive devices)をとることができる。クリームおよび軟膏は、粘性液体、または水中油型もしくは油中水型のいずれかの半固体乳濁液であってよい。有効成分を含み、鉱油または親水性油中に散在している吸水性粉末からなるペーストもまた、適切であり得る。様々な閉塞デバイス、例えば担体を含むまたは含まない、有効成分を含有する貯蔵体もしくは有効成分を含むマトリックス覆う半透膜などは、血流中に有効成分を放出するために使用することができる。他の閉塞デバイスは、文献にて既知である。
【0077】
好ましくは医薬組成物は単位投与形状であり、例えば錠剤、カプセル剤、粉剤、溶液、懸濁液、乳濁液、粒剤または坐剤である。かかる形状の場合、組成物は適当な量の有効成分を含む単位容量に補助的に分けられ、その単位投与形状は、例えば袋詰めされた粉剤、バイアル、アンプル剤、予め充填された注射器または液体を含む小袋など、袋詰めされた組成物であってよい。単位投与形状は、例えば、カプセルまたは錠剤それ自体であってもよいし、もしくはかかる組成物のいずれかの適当数を袋詰めした形態であってもよい。
【0078】
患者に提供される量は、投与する対象、投与の目的、例えば予防または治療および患者の状態、投与方法などによって変化するであろう。治療への適用において、式(1)の化合物は、既に罹患している患者に対して、疾患およびその合併症の症状を治療するため、または少なくとも部分的に改善させるのに十分な量で提供される。これを達成するのに十分な量を「治療上有効な量」と定義する。特定の症例の治療に使用される投与量は、主治医により主観的に決定されなければならない。関連する変量には、特定の状態並びに患者の身長、年齢および反応パターンが含まれる。物質乱用の治療は、主治医の指示の下で対象となる薬物投与と同じ方法で行われる。通常の1日投与量は、固有の化合物、治療方法および治療される状態に依存する。通常の1日投与量は、経口投与の場合0.01〜1000mg/kg、好ましくは0.5〜500mg/kgであり、非経口投与の場合0.1〜100mg/kg、好ましくは0.5〜50mg/kgである。化合物は、経口的、経直腸的、非経口的または局所的に皮膚および粘膜に投与される。
【0079】
特定の実施形態において、本発明は式(1)の化合物のプロドラッグに関する。用語「プロドラッグ」は、本明細書中にて用いる場合、インビボ(in vivo)にて代謝方法により(例えば加水分解により)式(1)の化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの様々な形状は、例えばBundgaard,(著)、Design of Prodrugs, Elsevier(1985); Widderら(著)、Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press(1985); Krogsgaard-Larsenら(著). “Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 113-191(1991)、Bundgaardら、 Journal of Drug Delivery Reviews, 8:1-38(1992)、Bundgaard, J. of Pharmaceutical Sciences, 77:285 et seq.(1988);並びにHiguchiおよび Stella(著)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society(1975)などに記載され、当分野で周知であり、それらは出展明示によりその全てを本発明の一部とする。
【0080】
中間体1:5−アリル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル ベンジルエーテル
N,N−ジメチルホルムアミド(350mL)中の炭酸カリウム(23.49g、0.170mol)懸濁液にインダン−4−オール(7.60g、0.057mol)に続いて臭化アリル(8.22g、0.068mol)を加え、該反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を水(1000mL)で希釈して全ての固体を溶かし、ジエチルエーテル(3×250mL)で抽出した。合した有機層を水(4×500mL)、塩化ナトリウム水溶液(400mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、4−(アリルオキシ)インダンを得た。アリルエーテルをメシチレン(40mL)に溶かし、還流温度で8時間加熱した。減圧にて溶媒を除去し、5−アリルインダン−4−オールを得て、それをN,N−ジメチルホルムアミド(250mL)に再び溶かした。炭酸カリウム(14.28g、0.103mol)、臭化ベンジル(6.48g、0.038mol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(2.54g、0.007mol)を反応混合物に加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。その反応混合物を水(1000mL)で希釈してすべての固体を溶かし、ジエチルエーテル(3×250mL)で抽出した。合した有機層を水(4×500mL)、塩化ナトリウム水溶液(400mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:9)により精製して、10.22g(68%)の5−アリル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル ベンジルエーテルを淡黄色油状物として得た。Rf=0.45(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:19); C19H20Oの理論値: C, 86.32; H, 7.63。測定値: C, 85.90; H, 7.49。
【0081】
中間体2: (±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2-ジオール
0℃の水(200mL)中のAD−mix−α(53.00g)懸濁液にtert−ブチルアルコール(200mL)中の5−アリル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル ベンジルエーテル(10.00g、37.8mmol)溶液をゆっくりと加え、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウムを加えることによりクエンチし、水(500mL)および酢酸エチル(400mL)で希釈した。水相を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合した有機抽出物を水(2×250mL)、塩化ナトリウム水溶液(400mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:1)により精製して、9.10g(91%、31% ee)の(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオールを無色の油状物として得た。Rf=0.3(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:1); C19H22O3の理論値: C, 76.48; H, 7.43。測定値: C, 76.14; H, 7.52。
【0082】
中間体3: (±)−1−[4−(ベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オール
N,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中の(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオール(9.10g、30.5mmol)溶液にtert−ブチルジメチルシリルクロリド(4.83g、32.04mmol)に続いてイミダゾール(2.49g、36.60mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をメタノール(5mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(500mL)で希釈した。有機層を塩化水素水溶液(200mL、0.5N)、水(3×200mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4)により精製して、9.20g(73%)の(±)−1−[4−(ベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オールを無色の油状物として得た。Rf=0.37(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4); C25H36O3Siの理論値: C, 72.77; H, 8.79。測定値: C, 72.3; H, 8.48。
【0083】
中間体4: (±)−5−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)インダン−4−オール
エタノール(200mL)中の(±)−1−[4−(ベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オール(9.20g、22.29mmol)溶液にパラジウム炭素(1.00g、10重量%)加え、反応混合物をH雰囲気(50psi)下で4時間振盪させた。反応混合物を濾過(セライト)し、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:6)により精製して、6.78g(94%)の(±)−5−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)インダン−4−オールを無色の油状物として得た。Rf=0.47(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:3); C18H30O3Siの理論値: C, 67.03; H, 9.38。測定値: C, 66.01; H, 9.33。
【0084】
中間体5: (±)−tert−ブチル(ジメチル)(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメトキシ)シラン
0℃に冷却したテトラヒドロフラン(210mL)中の(±)−5−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)インダン−4−オール(6.78g、21.02mmol)溶液に、トリフェニルホスフィン(5.79g、22.07mmol)に続いてアゾジカルボン酸ジエチル(3.84g、22.07mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物に水(10mL)を加えることによりクエンチし、溶媒を減圧にて除去して、粗固体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:7)により精製して、2.93g(46%)の(±)−tert−ブチル(ジメチル)(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメトキシ)シランを無色の油状物として得た。Rf=0.86(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:5); C18H28O2Siの理論値: C, 71.0; H, 9.27。測定値: C, 69.77; H, 9.21。
【0085】
中間体6: (±)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメタノール
0℃に冷却したテトラヒドロフラン(100mL)中の(±)−tert−ブチル(ジメチル)(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメトキシ)シラン(2.93g;9.62mmol)溶液にフッ化テトラブチルアンモニウム(10.6mL、テトラヒドロフラン中1.0M溶液)を加え、反応混合物を室温で8時間攪拌した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。合した有機抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液(400mL)、乾燥させ(硫酸マグネシウム)で洗浄し、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:3)により精製して、1.67g(91%)の(±)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメタノールを無色の油状物として得た。Rf=0.63(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:2); C12H14O2:の理論値 C, 75.76; H, 7.42。測定値: C, 74.46; H, 7.44。
【0086】
中間体7: (±)−ベンジル 3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメチルカルバメート
0℃に冷却したテトラヒドロフラン(30mL)中の(±)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン(0.568g、3.00mmol)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.427g、3.30mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(0.538g、3.15mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えることによりクエンチし、ジエチルエーテル(2×150mL)で抽出した。合した有機抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:9)により精製して、0.663g(68%)の(±)−ベンジル 3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメチルカルバメートを白色固体として得た。Rf=0.30(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:9);融点99-101℃;C20H21NO3の理論値: C, 74.28; H, 6.55; N, 4.33。測定値: C, 73.82; H, 6.53; N, 4.25。(±)−ベンジル 3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメチルカルバメート(キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 7:3)のキラルHPLC分離により2つの画分を得た。画分1(R=13.237分、キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 3:7);画分2(R=16.526分、キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 3:7)
【0087】
中間体8: 2−アリル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル ベンジルエーテル
概して中間体1について記載の手順に従って、2−アリル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−オール(18.48g、0.098mol)を炭酸カリウム(41.46g、0.300mol)、臭化ベンジル(18.81g、0.110mol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(7.39g、0.020mol)で処理して、24.05g(88%)の2−アリル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イルベンジルエーテルを淡黄色油状物として得た。Rf=0.39(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:19); C20H22O 0.2H2Oの理論値: C, 85.19; H, 8.01。測定値: C, 84.95; H, 7.75。
【0088】
中間体9: (±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]プロパン−1,2−ジオール
概して中間体2について記載の手順に従って、2−アリル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル ベンジルエーテル(11.02g、0.040mol)をAD−mix−α(55.42g)で処理して、9.6g(78%、32% ee)の(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]プロパン−1,2−ジオールを無色の油状物として得た。Rf=0.42(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:1); C20H24O・0.5H2Oの理論値: C, 74.74; H, 7.84。測定値: C, 74.39; H, 7.60。
【0089】
中間体10: (±)−1−[1−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オール
概して中間体3について記載の手順に従って、(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]プロパン−1,2−ジオール(9.6g、0.031mol)をtert−ブチルジメチルシリルクロリド(4.86g、0.032mol)およびイミダゾール(2.51g、0.037mol)で処理して、7.93g(61%)の(±)−1−[1−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オールを無色の油状物として得た。Rf=0.63(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:3); 1H NMR(DMSO-d6H 7.48(d, 2H); 7.35(m, 3H); 7.03(d, 1H); 6.78(d, 1H); 4.77(q, 2H); 4.55(d, 1H); 3.75(m, 1H); 3.45(m, 2H); 2.85(dd, 1H); 2.69(m, 4H)、2.51(dd, 1H); 1.68(m, 4H); 0.8(s, 9H); 0.0(d, 6H)。
【0090】
中間体11: (±)−2−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−オール
概して中間体4について記載の手順に従って、(±)−1−[1−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オール(7.93g、0.019mol)をパラジウム炭素(10重量%、0.80g)で処理して、5.75g(92%)の(±)−2−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−オールを無色の油状物として得た。Rf=0.55(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:3); C19H32O3Si・0.3C4H8O2の理論値: C, 66.84; H, 9.55。測定値: C, 66.47; H,9.74。
【0091】
中間体12: (±)−tert−ブチル(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシラン
概して中間体5について記載の手順に従って、(±)−2−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−オール(5.75g、0.017mol)をトリフェニルホスフィン(4.71g、0.018mol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(3.12g、0.018mol)で処理して、4.38g(80%)の(±)−tert−ブチル(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシランを無色の油状物として得た。Rf=0.71(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:5);C19H30O2Siの理論値: C, 71.64; H, 9.49。測定値: C, 71.4; H, 9.62。
【0092】
中間体13: (±)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメタノール
概して中間体6について記載の手順に従って、(±)−tert−ブチル(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシラン(4.38g;0.014mol)をフッ化テトラブチルアンモニウム(16.5mL、テトラヒドロフラン中1.0M溶液)で処理して、1.9g(67%)の(±)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメタノールを無色の油状物として得た。Rf=0.12(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4); C13H16O2・0.1H2Oの理論値: C, 75.77; H, 7.92。測定値: C, 75.77; H, 7.93。
【0093】
中間体14: (±)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチル 4−メチルベンゼンスルホナート
ジクロロメタン(50mL)中の(±)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメタノール(1.37g、6.71mmol)溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(2.56g、13.41mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.164g、1.34mmol)およびトリエチルアミン(1.70g、16.77mmol)を加え、反応混合物を40℃で12時間攪拌した。反応混合物を水(250mL)で希釈し、水層をジクロロメタン(2×150mL)で抽出した。合した有機抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:5)により精製して、2.05g(85%)の(±)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチル 4−メチルベンゼンスルホナートを無色の油状物として得た。Rf=0.5(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4); C20H22O4Sの理論値: C, 67.01; H, 6.19。測定値: C, 66.50; H, 6.27。
【0094】
中間体15: (±)−ベンジル 2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン(0.846g、4.16mmol)をジイソプロピルエチルアミン(0.592g、4.58mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(0.745g、4.37mmol)で処理して、1.11g(79%)の(±)−ベンジル 2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメートを白色固体として得た。Rf=0.39(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4);融点88-90℃; 1H NMR(DMSO-d6H 7.49(t, 1H); 7.33(m, 4H); 6.87(d, 1H); 6.50(d, 1H); 5.02(s, 2H); 4.76(m, 1H); 3.20(m, 3H); 2.83(dd, 1H); 2.62(s, 2H); 2.49(m, 2H); 1.67(m, 4H)。(±)−ベンジル 2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメート(キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 9:1)のキラルHPLC分離により2つの画分を得た。画分1(R=11.576分、キラルセルOD、イソプロパノール:ヘキサン 1:9);画分2(R=14.729分、キラルセルOD、イソプロパノール:ヘキサン 1:9)
【0095】
中間体16: 5−アリル−4−(ベンジルオキシ)−7−メチルインダン
概して中間体1について記載の手順に従って、7−メチルインダン−4−オール(10.00g、0.067mol)を炭酸カリウム(37.3g、0.270mol)および臭化アリル(9.80g、0.081mol)で処理して、4−(アリルオキシ)−7−メチルインダンを得た。概して中間体1について記載の手順に従って、メシチレン中のアリルエーテルを還流して5−アリル−7−メチルインダン−4−オールを得た。概して中間体1について記載の手順に従って、フェノールを炭酸カリウム(27.99g、0.203mol)および臭化ベンジル(12.70g、0.074mol)で処理して、8.41g(45%)の5−アリル−4−(ベンジルオキシ)−7−メチルインダンを無色の油状物として得た。Rf=0.42(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:19);C20H22O・0.3H2Oの理論値: C, 84.65; H, 8.03。測定値: C, 84.64; H, 7.78。
【0096】
中間体17: (±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオール
概して中間体2について記載の手順に従って、5−アリル−4−(ベンジルオキシ)−7−メチルインダン(8.41g、0.030mol)をAD−mix−α(42.29g)で処理して、9.12g(97%、26% ee)の(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオールを白色固体として得た。Rf=0.45(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:1);融点77-80℃;C20H24O3の理論値: C, 76.89; H, 7.74。測定値: C, 76.79; H, 7.7。
【0097】
中間体18: (±)−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
0℃に冷却した無水ピリジン(290mL)中の(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオール(9.12g、0.029mol)溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(5.84g、0.031mol)を加え、反応混合物を0℃で12時間攪拌した。反応混合物に水(10mL)を加えることによりクエンチし、その反応混合物を室温で15分間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(800mL)で希釈し、塩化水素水溶液(4×1000mL、2.0N)、水(500mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを粗固体として得た。概して中間体11について記載の手順に従って、トシレートをパラジウム炭素(10重量%、1.50g)で処理して、(±)−2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ−7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体12について記載の手順に従って、フェノールをトリフェニルホスフィン(10.17g、0.039mol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(6.75g、0.039mol)で処理して、9.44g(91%)の(±)−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを白色固体として得た。Rf=0.62(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4);融点61-64℃;C20H22O4Sの理論値: C, 67.01; H, 6.19。測定値: C, 67.02; H, 6.15。
【0098】
中間体19: (±)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
概して中間体15について記載の手順に従って、(±)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン(2.28g、11.2mmol)をジイソプロピルエチルアミン(2.16g、16.7mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(2.19g、12.8mmol)で処理して、4.05g(81%)の(±)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。Rf=0.33(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4);融点109-113℃;C21H23NO3の理論値: C, 74.75; H, 6.87; N, 4.15。測定値: C, 74.42; H, 6.91; N, 4.10。(±)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート(キラルセルOJ、メタノール)のキラルHPLC分離により2つの画分を得た。画分1(R=19.001分、キラルセルOJ、メタノール);画分2(R=23.125分、キラルセルOJ、メタノール)。
【0099】
中間体20: (+)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
(±)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、メタノール)から得た画分1の単離により、(+)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。[α]25=+36.02(クロロホルム中c 10.0);融点128-131℃;C21H23NO3・0.2H2Oの理論値:C, 73.96; H, 6.92; N, 4.11。測定値:C, 73.86; H, 6.73; N, 4.07。
【0100】
中間体21: (−)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
(±)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、メタノール)から得た画分2の単離により、(−)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。[α]25=-37.00(クロロホルム中c 10.0);融点128-131℃;C21H23NO3・0.2H2Oの理論値: C, 73.96; H, 6.92; N, 4.11。測定値: C, 73.77; H, 6.77; N, 4.05。
【0101】
中間体22: (±)−1−[1−(ベンジルオキシ)−2−ナフチル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オール
概して中間体2について記載の手順に従って、2−アリル−1−(ベンジルオキシ)ナフタレン(15.00g、54.7mmol)をAD−mix−α(76.54g)で処理して、16.00g(69%)の(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−2−ナフチル]プロパン−1,2−ジオールを油状物として得た。概して中間体3について記載の手順に従って、そのジオールをtert−ブチルジメチルシリルクロリド(8.60g、57.1mmol)およびイミダゾール(4.42g、64.9mmol)で処理をして19.3g(83%、42% ee)の(±)−1−[1−(ベンジルオキシ)−2−ナフチル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オールを無色の油状物として得た。C26H34O3Si・0.5H2Oの理論値: C, 72.35; H, 8.17。測定値: C, 72.34; H, 8.16。
【0102】
中間体23: (±)−tert−ブチル(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシラン
概して中間体4について記載の手順に従って、(±)−1−[1−(ベンジルオキシ)−2−ナフチル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オール(19.00g、45.0mmol)をパラジウム炭素(10重量%、1.90g)で処理して、13.2g(91%)の(±)−2−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)−1−ナフトールを油状物として得た。そのフェノールをトリフェニルホスフィン(10.52g、40.1mmol)に続いてアゾジカルボン酸ジエチル(6.98g、40.1mmol)で処理し、5.49g(44%)の(±)−tert−ブチル(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシランを無色の油状物として得た。C19H26O2Siの理論値: C, 72.56; H, 8.33。測定値: C, 72.23; H, 8.61。
【0103】
中間体24: (±)−2−(アジドメチル)−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン
概して中間体6について記載の手順に従って、(±)−tert−ブチル(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシラン(2.70g;8.59mmol)をフッ化テトラブチルアンモニウム(9.4mL、テトラヒドロフラン中の1.0M溶液)で処理して、(±)−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメタノールを得た。概して中間体14について記載の手順に従って、そのアルコールをp−トルエンスルホニルクロリド(1.64g、8.59mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.105g、0.86mmol)およびトリエチルアミン(1.67g、12.89mmol)で処理をして(±)−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。ジメチルスルホキシド(50mL)中のそのトシレートの溶液にアジ化ナトリウム(0.558g、8.59mmol)を加え、反応混合物を70℃で12時間攪拌し、室温まで冷却し、水(200mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。合した有機抽出物を水(4×75mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(75mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:9)により精製して、1.38g(71%)の(±)−2−(アジドメチル)−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フランを無色の油状物として得た。Rf=0.46(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:9);C13H11N3O・0.1H2Oの理論値: C, 68.77; H, 4.97; N, 18.51。測定値: C, 68.4; H, 4.62; N, 18.12。
【0104】
中間体25: (±)−ベンジル 2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン(1.19g、5.97mmol)をジイソプロピルエチルアミン(0.849g、6.57mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(1.07g、6.27mmol)で処理して、1.80g(90%)の(±)−ベンジル 2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメートを白色固体として得た。Rf=0.47(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:4);融点110-112℃;C21H19NO3 の理論値: C, 75.66; H, 5.74; N, 4.2。測定値: C, 75.4; H, 5.57; N, 4.12。(±)−ベンジル 2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメート(キラルセルOJ、エタノール)のキラルHPLC分離により2つの画分を得た。画分1(R=19.572分、キラルセルOJ、エタノール);画分2(R=30.782分、キラルセルOJ、エタノール)。
【0105】
中間体26: (±)−ベンジル 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメチルカルバメート
概して中間体2について記載の手順に従って、1−アリル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルベンジルエーテルおよび3−アリル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルベンジルエーテル(26.12g、0.094mol)の混合物をAD−mix−α(131.36g)で処理して、(±)−3−[3−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]プロパン−1,2−ジオールおよび(±)−3−[2−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]プロパン−1,2−ジオールの混合物を得た。概して中間体3について記載の手順に従って、そのジオール(5.00g、16.00mmol)をtert−ブチルジメチルシリルクロリド(2.65g、17.6mmol)およびイミダゾール(1.31g、19.2mmol)で処理して、(±)−1−[3−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オールおよび(±)−1−[2−(ベンジルオキシ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロパン−2−オールを得た。概して中間体4について記載の手順に従って、ベンジルエーテル(5.2g、12.2mmol)をパラジウム炭素(10重量%、0.52g)で処理して、(±)−3−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールおよび(±)−1−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヒドロキシプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールを得た。概して中間体5について記載の手順に従って、そのフェノール(4.32g、12.8mmol)をトリフェニルホスフィン(4.04g、15.4mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(2.68g、15.4mmol)で処理して、(±)−tert−ブチル(2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシランおよび(±)−tert−ブチル(1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イルメトキシ)ジメチルシランを得た。概して中間体6について記載の手順に従って、ジヒドロベンゾフラン(2.82g、8.91mmol)をフッ化テトラブチルアンモニウム(10.0mL、テトラヒドロフラン中の1.0M溶液)で処理して、(±)−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメタノールおよび(±)−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イルメタノールを得た。概して中間体14について記載の手順に従って、そのアルコール(2.53g、12.4mmol)をp−トルエンスルホニルクロリド(3.54g、18.6mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.151g、1.24mmol)およびトリエチルアミン(2.26g、22.3mmol)で処理して、(±)−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメチル 4−メチルベンゼンスルホナートおよび(±)−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イルメチル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体24について記載の手順に従って、そのトシレート(3.00g、8.37mmol)をアジ化ナトリウム(1.63g、25.1mmol)で処理して、(±)−2−(アジドメチル)−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フランおよび(±)−2−(アジドメチル)−1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フランを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、得られたアジドをパラジウム炭素(10重量%、0.191g)で処理して、(±)−1−(2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イル)メタンアミンおよび(±)−1−(1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イル)メタンアミンを得た。概して中間体7について記載の手順に従って、そのアミン(1.34g、6.57mmol)をジイソプロピルエチルアミン(2.12g、16.44mmol)およびクロロギ酸ベンジル(1.23g、7.23mmol)で処理して、(±)−ベンジル 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメチルカルバメートおよび(±)−ベンジル 1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イルメチルカルバメートを得た。構造異性体のキラルHPLC分離(キラルセルOJ、エタノール)によりベンジル 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメチルカルバメートを白色固体として得た。融点114-115℃;C21H23NO3の理論値: C, 74.75; H, 6.87; N, 4.15。測定値: C, 74.7; H, 6.95; N, 4.12。
【0106】
中間体27: (1R,4S)−5−(アリルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン
概して中間体1について記載の手順に従って、(1R,4S)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−オール(14.61g、0.077mol)を炭酸カリウム(31.84g、0.23mol)および臭化アリル(10.68g、0.088mol)で処理して、15.8g(89%)の(1R,4S)−5−(アリルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレンを無色の油状物として得た。 C15H18O2・0.3H2Oの理論値: C, 76.44; H, 7.95。測定値: C, 76.43; H, 7.79。
【0107】
中間体28: (1R,4S)−6−アリル−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−オール
概して中間体1について記載の手順に従って、(1R,4S)−5−(アリルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン(15.8g、0.069mol)を還流メシチレン中で処理して、12.58g(80%)の(1R,4S)−6−アリル−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−オールを無色の油状物として得た。C20H22O・0.2H2Oの理論値: C, 77.02; H, 7.93。測定値: C, 76.68; H, 7.88。
【0108】
中間体29: (1R,4S)−6−アリル−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン
概して中間体1について記載の手順に従って、(1R,4S)−6−アリル−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−オール(14.2g、61.66mmol)を炭酸カリウム(34.09g、0.247mol)、臭化ベンジル(11.07g、64.74mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.224g、6.166mmol)で処理して、17.86g(90%)の(1R,4S)−6−アリル−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレンを無色の油状物として得た。C22H24O2・0.5H2Oの理論値: C, 80.21; H, 7.65。測定値: C, 79.81; H, 7.48。
【0109】
中間体30: (2S)−3−[(1R,4S)−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−イル]プロパン−1,2−ジオール
概して中間体2について記載の手順に従って、(1R,4S)−6−アリル−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン(17.80g、55.55mmol)をAD−mix−α(77.77g)で処理して、13.99g(71%)の(2S)−3−[(1R,4S)−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−イル]プロパン−1,2−ジオールを無色の油状物として得た。C22H26O4・0.3H2Oの理論値: C, 73.43; H, 7.45。測定値: C, 73.23; H, 7.7。
【0110】
中間体31:[(2R,6R,9S)−5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−メタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル]メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体18について記載の手順に従って、(2S)−3−[(1R,4S)−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−イル]プロパン−1,2−ジオール(13.95g、39.56mmol)を無水ピリジン(350mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(8.25g、43.92mmol)で処理して、(2S)−3−[(1R,4S)−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体4について記載の手順に従って、そのトシレートをパラジウム炭素(10重量%、1.6g)で処理して、12.77g(77%)の(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(1R,4S)−5−ヒドロキシ−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−イル]プロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体5について記載の手順に従って、そのフェノール(12.73g、30.4mmol)をトリフェニルホスフィン(8.78g、33.5mmol)に続いてアゾジカルボン酸ジエチル(5.83g、33.5mmol)で処理して、7.67g(48%)の[(2R,6R,9S)−5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−メタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル]メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを無色の油状物として得た。C22H24O5Sの理論値: C, 65.98; H, 6.04。測定値: C, 65.61; H, 5.92。
【0111】
中間体32:6−アリル−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン
概して中間体1について記載の手順に従って、8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−5−オール(11.30g、0.055mol)を炭酸カリウム(22.94g、0.166mol)および臭化アリル(7.36g、0.061mol)で処理して、5−(アリルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレンを得た。概して中間体1について記載の手順に従って、そのアリルエーテルを還流メシチレン中で処理して、6−アリル−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−5−オールを得た。概して中間体1について記載の手順に従って、そのフェノールを炭酸カリウム(20.04g、0.145mol)、臭化ベンジル(9.09g、0.053mol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(1.79g、0.005mol)で処理して、15.05g(82%)の6−アリル−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレンを無色の油状物として得た。C23H26O2・0.1H2Oの理論値: C, 82.16; H, 7.85。測定値: C, 81.98; H, 7.71。
【0112】
中間体33: (±)−3−[5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル]プロパン−1,2−ジオール
概して中間体2について記載の手順に従って、6−アリル−5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン(15.00g、44.8mmol)をAD−mix−α(62.79g)で処理して、15.85g(96%、36% ee)の(±)−3−[5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル]プロパン−1,2−ジオールを無色の油状物として得た。C23H28O4・0.4H2Oの理論値: C, 73.53; H, 7.73。測定値: C, 73.14; H, 7.59。
【0113】
中間体34: (±)−3−[5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体18について記載の手順に従って、(±)−3−[5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル]プロパン−1,2−ジオール(15.82g、0.043mol)を無水ピリジン(400mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(9.00g、0.047mol)で処理して、20.12g(90%)の(±)−3−[5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを無色の油状物として得た。C30H34O6S・0.5H2Oの理論値: C, 67.77; H, 6.64。測定値: C, 67.86; H, 6.55。
【0114】
中間体35: (±)−2−ヒドロキシ−3−(5−ヒドロキシ−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル)プロピル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体4について記載の手順に従って、(±)−3−[5−(ベンジルオキシ)−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート(20.00g、38.3mmol)をパラジウム炭素(10重量%、2.0g)で処理して、15.18g(92%)の(±)−2−ヒドロキシ−3−(5−ヒドロキシ−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル)プロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを褐色油状物として得た。C23H28O6Sの理論値: C, 63.34; H, 6.56。測定値: C, 62.98; H, 6.66。
【0115】
中間体36: (±)−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体5について記載の手順に従って、(±)−2−ヒドロキシ−3−(5−ヒドロキシ−8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−6−イル)プロピル 4−メチルベンゼンスルホナート(15.14g、35.0mmol)をトリフェニルホスフィン(10.10g、38.5mmol)に続いてアゾジカルボン酸ジエチル(6.71g、38.5mmol)で処理して、10.9g(75%)の(±)−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを白色固体として得た。融点136-141℃;C23H26O5Sの理論値: C, 66.64; H, 6.32。測定値: C, 66.53; H, 6.51。
【0116】
中間体37:2−アリル−4−クロロ−1−ナフトール
N,N−ジメチルホルムアミド(600mL)中の4−クロロ−1−ナフタノール(17.8g、0.10mol)溶液に、水素化ナトリウム(4.4g、0.11mol)を加え、該混合物を30分間攪拌した。臭化アリル(14.5g、0.12mol)を加え、反応混合物を室温で20時間攪拌した。溶媒を減圧にて除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)で希釈し、水(2×250mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(250mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、褐色油状物に濃縮した。その油状物をメシチレン(1000mL)に再び溶かし、還流温度で24時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン)により精製して、20.0g(91%)の2−アリル−4−クロロ−1−ナフトールを白色固体として得た。融点55-57℃;C13H11ClOの理論値: C, 71.40; H, 5.07。測定値: C, 71.26; H, 5.15。
【0117】
中間体38: (±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−2−ナフチル]プロパン−1,2−ジオール
N,N−ジメチルホルムアミド(700mL)中の2−アリル−4−クロロ−1−ナフトール(20.0g、0.091mol)溶液に、水素化ナトリウム(60重量%、4.39g、0.11mol)を加え、反応混合物を室温で30分攪拌した。次いで、臭化ベンジル(18.8g、0.11mol)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧にて除去し、粗油状物を得た。残渣を酢酸エチル(500mL)に再び溶かし、有機層を水(2×250mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(250mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:ヘキサン 1:4)により精製して、23.0g(82%)の2−アリル−1−(ベンジルオキシ)−4−クロロナフタレンを淡褐色油状物として得た。概して中間体2について記載の手順に従って、そのベンジルエーテルをAD−mix−α(104.3g)で処理して、24.0g(94%)の(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−2−ナフチル]プロパン−1,2−ジオールを白色固体として得た。融点69-71℃;C20H19ClOの理論値: C, 70.07; H, 5.59。測定値: C, 68.01; H, 5.47。
【0118】
中間体39: (±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−2−ナフチル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体18について記載の手順に従って、(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−2−ナフチル]プロパン−1,2−ジオール(24g、0.07mol)をピリジン(600mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(14g、0.074mol)で処理して、27.9g(80%)の(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−2−ナフチル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを白色固体として得た。融点85-87℃;C27H25ClO5Sの理論値: C, 65.25; H, 5.07。測定値: C, 65.37; H, 4.97。
【0119】
中間体40: (±)−ベンジル(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン(0.83g、3.07mmol)をジイソプロピルエチルアミン(1.20g、9.28mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(0.79g、4.60mmol)で処理して、1.00g(89%)の(±)−ベンジル(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。融点117-119℃;C21H18ClNO3.0.5 H2Oの理論値: C, 66.93; H, 5.08; N, 3.72。測定値: C, 66.81; H, 4.96; N, 3.67。
【0120】
中間体41: (±)−メチル(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルアミン(2.60g、9.62mmol)をジイソプロピルエチルアミン(3.73g、28.85mmol)およびクロロギ酸メチル(1.36g、9.62mmol)で処理して、2.60g(93%)の(±)−メチル(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。融点128-130℃;C15H14ClNO3の理論値: C, 61.76; H, 4.84; N, 4.80。測定値: C, 61.43; H, 4.87; N, 4.68。
【0121】
中間体42: 1−(アリルオキシ)−4−クロロ−2−メトキシベンゼン
概して中間体37について記載の手順に従って、N,N−ジメチルホルムアミド(600mL)中の4−クロロ−2−メトキシフェノール(40.00g、0.25mol)を水素化ナトリウム(60重量%、12.0g、0.30mol)に続いて臭化アリル(40.54g、0.34mol)で処理して、50.0g(99%)の1−(アリルオキシ)−4−クロロ−2−メトキシベンゼンを淡褐色油状物として得た。1H NMR(CDCl3) δH 6.80(m, 3H); 6.08(m, 1H); 5.35(dd, 2H); 4.60(dd, 2H); 3.85(s, 3H)。
【0122】
中間体43:2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェノール
概して中間体1について記載の手順に従って、1−(アリルオキシ)−4−クロロ−2−メトキシベンゼン(50g、0.25mol)を還流メシチレン(1500mL)中で処理して、44.7g(89%)の2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェノールを淡黄色油状物として得た。 1H NMR(CDCl3H 6.78(m, 2H); 6.00(m, 1H); 5.65(s, 1H); 5.10(m, 2H); 3.85(s, 3H); 3.40(dd, 2H)。
【0123】
中間体44: 2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェニル トリフルオロメタンスルホナート
0℃に冷却したジクロロメタン(500mL)中の2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェノール(24.8g、0.125mol)溶液にジイソプロピルエチルアミン(28.3mL、0.162mol)に続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物(45.8g、0.162mol)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(500mL)で希釈し、有機層を塩化水素水溶液(1.0N、2×500mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、その溶媒を減圧にて除去し、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン)により精製して、30.0g(75%)の2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェニル トリフルオロメタンスルホナートを淡黄色油状物として得た。 1H NMR(CDCl3H 6.90(s, 2H); 5.90(m, 1H); 5.20(m, 2H); 3.90(s, 3H); 3.45(dd, 2H)。
【0124】
中間体45: 6−クロロ−4−メトキシインダン
0℃に冷却した9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(130mL、テトラヒドロフラン中0.5M)に、テトラヒドロフラン(100mL)中の2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェニル トリフルオロメタンスルホナート(16.5g、0.050mol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(1.5g、1.84mmol)およびリン酸カリウム(16.0g、0.075mol)を加え、反応混合物を還流温度で20時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(2.5N、30mL)を加え、続いて過酸化水素(30重量%、25mL)を加え、攪拌を1時間続けた。溶媒を減圧にて除去し、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン)により精製して、6.2g(68%)の6−クロロ−4−メトキシインダンを白色固体として得た。融点38-40℃;C10H11ClOの理論値: C, 65.76; H, 6.07。測定値: C, 66.08; H, 6.11。
【0125】
中間体46: 6−クロロインダン−4−オール
6−クロロ−4−メトキシインダン(12.0g、0.072mol)に臭化水素(酢酸中30重量%、325mL)を加え、反応混合物を50℃で24時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(750mL)で希釈し、水(3×500mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×500mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、溶媒を減圧にて除去して、褐色油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)により精製して、10.5g(80%)の6−クロロインダン−4−オールを黄白色固体として得た。融点56-59℃;C9H9ClO・0.2H2Oの理論値: C, 62.77; H, 5.50。測定値: C, 62.75; H, 5.26。
【0126】
中間体47:4−(アリルオキシ)−6−クロロインダン
概して中間体37について記載の手順に従って、6−クロロ−4−インダノール(6.5g、0.0385mol)を水素化ナトリウム(2.12g、0.053mol)に続いて臭化アリル(6.99g、0.058mol)で処理して、4−(アリルオキシ)−6−クロロインダンを褐色油状物として得た。1H NMR(CDCl3H 6.82(s, 1H); 6.62(s, 1H); 6.00(m, 1H); 5.40(dd, 1H); 5.30(dd, 1H); 4.50(dd, 2H); 2.90(t, 2H); 2.85(t, 2H); 2.10(m, 2H)。
【0127】
中間体48: 5−アリル−6−クロロインダン−4−オール
概して中間体1について記載の手順に従って、4−(アリルオキシ)−6−クロロインダン(8.0g、0.038mol)を還流メシチレン(270mL)中で処理して、4.5g(56%)の5−アリル−6−クロロインダン−4−オールを無色油状物として得て、それを白色固体になるまで放置して凝固させた。融点37-39℃;C12H13ClO・0.1H2Oの理論値: C, 68.48; H, 6.32。測定値: C, 68.54; H, 6.29。
【0128】
中間体49: 5−アリル−4−(ベンジルオキシ)−6−クロロインダン
概して中間体38について記載の手順に従って、5−アリル−6−クロロインダン−4−オール(4.5g、0.0216mol)を水素化ナトリウム(60重量%、1.32g、0.033mol)に続いて臭化ベンジル(6.0g、0.035mol)で処理して、5.76g(89%)の5−アリル−4−(ベンジルオキシ)−6−クロロインダンを無色の油状物として得た。1H NMR(CDCl3H 7.40(m, 5H); 7.05(s, 1H); 6.00(m, 1H); 5.00(m, 2H); 4.90(s, 2H); 3.53(dd, 2H); 2.90(m, 4H); 2.05(m, 2H)。
【0129】
中間体50: (±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオール
概して中間体2について記載の手順に従って、5−アリル−4−(ベンジルオキシ)−6−クロロインダン(5.76g、0.0193mol)をAD−mix−α(27.0g)で処理して、5.76g(91%)の(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオールを白色固体として得た。融点101-104℃;C19H21O3Clの理論値: C, 68.57; H, 6.36。測定値: C, 68.24; H, 6.33。
【0130】
中間体51: (±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体18について記載の手順に従って、(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]プロパン−1,2−ジオール(5.60g、0.0168mol)をピリジン(200mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(3.70g、0.0194mol)で処理して、6.30g(77%)の(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを淡黄色油状物として得た。1H NMR(DMSO-d6H 7.65(d, 2H); 7.40(m, 7H); 7.05(s, 1H); 5.25(s, 1H); 4.90(s, 2H); 3.80(m, 3H); 2.90(m, 2H); 2.80(m, 3H); 2.65(dd, 1H); 2.40(s, 3H); 2.00(m, 2H)。
【0131】
中間体52: (±)−3−(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体4について記載の手順に従って、(±)−3−[4−(ベンジルオキシ)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート(6.30g、0.013mol)をパラジウム炭素(5重量%、0.51g)および塩化水素(3.4mL、イソプロパノール中4M)で処理して、4.7g(91%)の(±)−3−(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを淡黄色固体として得た。融点125-127℃;C19H21ClO5S・0.1H2Oの理論値: C, 57.24; H, 5.36。測定値: C, 56.92; H, 5.23。
【0132】
中間体53: (±)−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体5について記載の手順に従って、(±)−3−(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート(4.7g、0.012mol)をトリフェニルホスフィン(4.64g、0.018mol)およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.57g、0.018mol)で処理して、4.09g(91%)の(±)−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを白色固体として得た。融点95-97℃;C19H19ClO4Sの理論値: C, 60.23; H, 5.05。測定値: C, 60.12; H, 4.97。
【0133】
中間体54: (±)−ベンジル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン(1.11g、4.27mmol)をジイソプロピルエチルアミン(1.65g、12.8mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(0.87g、5.12mmol)で処理して、1.5g(98%)の(±)−ベンジル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。融点127-130℃;C20H20ClNO3の理論値: C, 67.13; H, 5.63; N, 3.91。測定値: C, 67.03; H, 5.42; N, 3.80。(±)−ベンジル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOD、メタノール:水 9:1)により2つの画分を得た。画分1(R=12.714分、キラルセルOD、メタノール:水 9:1);画分2(R=16.644分、キラルセルOD、メタノール:水 9:1)。
【0134】
中間体55: (±)−メチル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン塩酸塩(0.60g、2.3mmol)をジイソプロピルエチルアミン(0.89g、6.9mmol)およびクロロギ酸メチル(0.44g、4.6mmol)で処理して、0.6gの(±)−メチル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。融点139-141℃;C14H16ClNO3の理論値: C, 59.68; H, 5.72; N, 4.97。測定値: C, 58.99; H, 5.72; N, 4.86。
【0135】
中間体56: (±)−3−[2−(ベンジルオキシ)−5−クロロ−3−メトキシフェニル]プロパン−1,2−ジオール
概して中間体38について記載の手順に従って、2−アリル−4−クロロ−6−メトキシフェノール(20.0g、0.1mol)を水素化ナトリウム(4.7g、0.117mol)および臭化ベンジル(22.3g、0.13mol)で処理して、28.0gの1−アリル−2−(ベンジルオキシ)−5−クロロ−3−メトキシベンゼンを淡黄色油状物として得た。概して中間体2について記載の手順に従って、そのベンジルエーテルをAD−mix−α(132.0g)で処理して、20.2(65%)gの(±)−3−[2−(ベンジルオキシ)−5−クロロ−3−メトキシフェニル]プロパン−1,2−ジオールを白色固体として得た。融点65-68℃;C17H19ClO4の理論値: C, 63.26; H, 5.93。測定値: C, 75.17; H, 6.31。
【0136】
中間体57: (±)−(5−クロロ−7−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体18について記載の手順に従って、(±)−3−[2−(ベンジルオキシ)−5−クロロ−3−メトキシフェニル]プロパン−1,2−ジオール(32.28g、0.1mol)をピリジン(1000mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(21g、0.11mol)で処理して、(±)−3−[2−(ベンジルオキシ)−5−クロロ−3−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体4について記載の手順に従って、そのトシレートをパラジウム炭素(5重量%、2.32g)および塩化水素(19mL、イソプロパノール中4.0M)で処理して、(±)−3−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体5について記載の手順に従って、そのフェノールをトリフェニルホスフィン(23.6g、0.09mol)およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(18.2g、0.09mol)で処理して、28.2g(76%)の(±)−(5−クロロ−7−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを黄白色固体として得た。融点99-102℃;C17H17ClO5Sの理論値: C, 55.36; H, 4.65。測定値: C, 55.35; H, 4.62。
【0137】
中間体58: (±)−(6−アリル−5−クロロ−7−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
(±)−(5−クロロ−7−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(22.1g、0.06mol)を臭化水素(酢酸中30重量%、400mL)に続いて炭酸カリウム(4.15g、0.03mol)で処理して、(±)−(5−クロロ−7−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを褐色油状物として得た。概して中間体37について記載の手順に従って、そのフェノールを水素化ナトリウム(3.2g、0.053mol)および臭化アリル(6.4g、0.053mol)で処理して、(±)−[7−(アリルオキシ)−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体1について記載の手順に従って、そのアリルエーテルを還流メシチレン(250mL)中で処理して、4.5g(19%)の(±)−(6−アリル−5−クロロ−7−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを黄白色固体として得た。融点128-131℃;C19H19ClO5Sの理論値: C, 57.79; H, 4.85。測定値: C, 58.28; H, 4.68。
【0138】
中間体59: (±)−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート
概して中間体44について記載の手順に従って、(±)−(6−アリル−5−クロロ−7−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(4.5g、11.4mmol)をジイソプロピルエチルアミン(2.18mL、12.5mmol)に続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.11g、12.5mmol)で処理して、4.8g(81%)の(±)−(6−アリル−5−クロロ−7−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを褐色油状物として得た。概して中間体45について記載の手順に従って、そのトリフレートを9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(25mL、テトラヒドロフラン中0.5M)に続いてジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.3g、0.37mmol)およびリン酸カリウム(2.96g、13.9mmol)で処理して、1.4g(40%)の(±)−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを白色固体として得た。融点82-84℃;C19H19ClO4Sの理論値: C, 60.23; H, 5.05。測定値: C, 60.59; H, 5.06。
【0139】
中間体60: (±)−ベンジル(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン(0.51g、1.96mmol)をジイソプロピルエチルアミン(0.76g、5.88mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(0.50g、2.94mmol)で処理して、0.58g(84%)の(±)−ベンジル(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを白色固体として得た。融点118-121℃;C20H20ClNO3の理論値: C, 67.13; H, 5.63; N, 3.91。測定値: C, 66.95; H, 5.93; N, 3.82。(±)−ベンジル(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルパックAD、ヘキサン:イソプロパノール 9:1)により2つの画分を得た。画分1(R=11.191分、キラルパックAD、ヘキサン:イソプロパノール 9:1);画分2(R=12.735分、キラルパックAD、ヘキサン:イソプロパノール 9:1)。
【0140】
実施例1: (±)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
テトラヒドロフラン(25mL)中の(±)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメタノール(0.500g、2.63mmol)溶液にトリフェニルホスフィン(1.03g、3.94mmol)、フタルイミド(0.58g、3.94mmol)に続いてアゾジカルボン酸ジエチル(0.687g、3.94mmol)を加え、反応混合物を室温で12時間攪拌した。該反応物に水(5mL)を加えることによりクエンチし、溶媒を減圧にて除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:3)により精製して、0.65gの(±)−2−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを白色固体として得た(融点131〜135℃)。その固体をメタノール(10mL)に再び溶かし、ヒドラジン一水和物(0.153g、3.06mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物を還流温度で12時間加熱し、濃塩化水素(12.1M、3mL)を加え、さらに1時間加熱を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、水(150mL)および水酸化ナトリウム水溶液(2.5N、10mL)で希釈した。反応混合物を酢酸エチル(2×75mL)で抽出し、合した有機層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、10%水酸化アンモニウム水溶液/メタノール:酢酸エチル 1:19)により精製して、無色の油状物を得た。その油状物をイソプロパノール(1mL)に再び溶かし、塩化水素(ジエチルエーテル中1.0N、5mL)を加えた。得られた沈殿物を濾過し、洗浄し(ジエチルエーテル)、乾燥させて0.42g(71%)の(±)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>230℃(dec);C12H15NOHClの理論値: C, 63.85; H, 7.14; N, 6.21。測定値: C, 63.64; H, 7.25; N, 6.02。
【0141】
実施例2: (+)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
エタノール(25mL)中の(±)−ベンジル 3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 7:3)から得られた0.190gの画分1の溶液にパラジウム炭素(10重量%、0.05g)を加え、反応混合物を水素雰囲気(50psi)下で4時間振盪させた。反応混合物を濾過し(セライト)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。その油状物をイソプロパノール(1mL)に再び溶かし、塩化水素(ジエチルエーテル中1.0N、5mL)を加えた。得られた沈殿物を濾過し、洗浄して(ジエチルエーテル)、乾燥させて0.102g(76%)の(+)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+39.00(メタノール中c 10.0);C12H15NOHClの理論値: C, 63.85; H, 7.14; N, 6.21。測定値: C, 63.87; H, 7.34; N, 6.14。
【0142】
実施例3: (−)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 7:3)から得られた0.410gの画分2をパラジウム炭素(10重量%、0.05g)で処理して、0.235g(83%)の(−)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=-39.98(メタノール中c 10.0);C12H15NOHClの理論値: C, 63.85; H, 7.14; N, 6.21。測定値: C, 63.81; H, 7.07; N, 6.14。
【0143】
実施例4: (±)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体24について記載の手順に従って、(±)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチル 4−メチルベンゼンスルホナート(2.05g、5.72mmol)をアジ化ナトリウム(0.929g、14.30mmol)で処理して、(±)−2−(アジドメチル)−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フランを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドをパラジウム炭素(10重量%、0.094g)で処理して、0.917g(67%)の(±)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>220℃(dec.);C13H17NOHCl・0.1H2Oの理論値: C, 64.15; H, 7.50; N, 5.75。測定値: C, 64.41; H, 7.64; N, 5.67。
【0144】
実施例5: (+)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 9:1)から得られた0.285gの画分1をパラジウム炭素(10重量%、0.03g)で処理して、0.088g(43%)の(+)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+35.2(メタノール中c 10.0);融点>220℃(dec); 1H NMR(DMSO-d6H 8.12(s, 3H); 6.91(d, 1H); 6.56(d, 1H); 4.96(m, 1H); 3.29(m, 1H); 3.14(m, 1H); 2.95(m, 2H); 2.65(m, 2H); 2.5(m, 2H); 1.70(m, 4H)。
【0145】
実施例6: (−)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、イソプロパノール:ヘキサン 9:1)から得られた0.650gの画分2をパラジウム炭素(10重量%、0.07g)で処理して、0.326g(70%)の(−)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=-37.8(メタノール中c 10.0);融点>220℃(dec); 1H NMR(DMSO-d6H 8.12(s, 3H); 6.91(d, 1H); 6.56(d, 1H); 4.96(m, 1H); 3.29(m, 1H); 3.14(m, 1H); 2.95(m, 2H); 2.65(m, 2H); 2.5(m, 2H); 1.70(m, 4H)。
【0146】
実施例7: (±)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体24について記載の手順に従って、(±)−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(0.862g、2.40mmol)をアジ化ナトリウム(0.469g、7.21mmol)で処理して、(±)−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルアジドを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドをパラジウム炭素(10重量%、0.055g)で処理して、0.460g(80%)の(±)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>200℃(dec.);C13H17NOHClの理論値: C, 65.13; H, 7.57; N, 5.84。測定値: C, 64.97; H, 7.61; N, 5.67。
【0147】
実施例8: (+)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(+)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート(0.93g、2.74mmol)をパラジウム炭素(10%、0.093g)で処理して、0.427g(65%)の(+)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+48.0(メタノール中c 10.0);融点>220℃;C13H17NOHCl・0.1H2Oの理論値: C, 64.64; H, 7.59; N, 5.80。測定値: C, 64.63; H, 7.63; N, 5.76。
【0148】
実施例9: (−)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(−)−ベンジル(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート(1.39g、4.12mmol)をパラジウム炭素(10重量%、0.139g)で処理して、0.862g(87%)の(−)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+48.6(メタノール中c 10.0);融点>220℃;C13H17NOHCl・0.1H2Oの理論値: C, 64.64; H, 7.59; N, 5.80。測定値: C, 64.62; H, 7.66; N, 5.77。
【0149】
実施例10: (±)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−2−(アジドメチル)−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン(1.61g、7.15mmol)をパラジウム炭素(10重量%、0.160g)で処理して、1.48g(88%)の(±)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>250℃(dec.);C13H13NOHClの理論値: C, 66.24; H, 5.99; N, 5.94。測定値: C, 66.23; H, 6.07; N, 5.77。
【0150】
実施例11: (+)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、エタノール)から得られた0.83gの画分1をパラジウム炭素(10重量%、0.083g)で処理して0.452g(77%)の(+)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+10.85(メタノール中c 9.95);融点>250℃;の理論値C13H13NOHCl: C, 66.24; H, 5.99; N, 5.94。測定値: C, 66.03; H, 5.95; N, 5.87。
【0151】
実施例12: (−)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、エタノール)から得られた1.22gの画分2をパラジウム炭素(10重量%、0.122g)で処理して、0.498g(58%)の(−)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=-13.23(メタノール中c 9.75);融点>250℃;C13H13NOHClの理論値: C, 66.24; H, 5.99; N, 5.94。測定値: C, 65.88; H, 5.93; N, 5.86。
【0152】
実施例13: (±)−1−(2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメチルカルバメート(1.00g、2.96mmol)をパラジウム炭素(10重量%、0.100g)で処理して、0.643g(91%)の(±)−1−(2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>225℃;C13H17NOHClの理論値: C, 65.13; H, 7.57; N, 5.84。測定値: C, 65.0; H, 7.87; N, 5.77。
【0153】
実施例14: (±)−1−(1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イルメチルカルバメートおよび(±)−ベンジル 1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イルメチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、エタノール)から得られた(±)−ベンジル 1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イルメチルカルバメート(1.00g、2.96mmol)をパラジウム炭素(10重量%、0.100g)で処理して、0.455g(64%)の(±)−1−(1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>225℃;C13H17NOHClの理論値: C, 65.13; H, 7.57; N, 5.84。測定値: C, 64.64; H, 7.68; N, 5.8。
【0154】
実施例15: (9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミン
概して中間体24について記載の手順に従って、[(2R,6R,9S)−5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−メタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル]メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(1.2g、2.30mmol)をアジ化ナトリウム(0.78g、11.99mmol)で処理して、(2R,6R,9S)−2−(アジドメチル)−5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−メタノナフト[1,2−b]フランを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドをパラジウム炭素(10重量%、0.10g)で処理して、0.45g(53%)の(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>200℃(dec);C16H21NO2HClの理論値: C, 63.94; H, 7.15; N, 4.97。測定値: C, 64.68; H, 7.63; N, 4.5。(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミンの立体異性体の分離により>99%の光学純度を有する化合物を得た。
【0155】
実施例16
(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミンのジアステレオノマーを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+77.00(メタノール中c 10.00);融点>180℃(dec);C15H19NO2HClの理論値: C, 63.94; H,7.15; N, 4.97。測定値: C, 63.54; H, 7.21; N, 4.95。
【0156】
実施例17
(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミンのジアステレオノマーを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=-74.5(メタノール中c 10.00);融点>150℃(dec);C15H19NO2HCl・0.1H2Oの理論値: C, 63.53; H, 7.18; N, 4.94。測定値: C, 63.28; H, 7.07; N, 4.58。
【0157】
実施例18
(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミンのジアステレオノマーを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+7.3(メタノール中c 8.91);融点>150℃(dec);C15H19NO2HCl・0.2H2Oの理論値: C, 63.13; H, 7.21; N, 4.91。測定値: C, 62.87; H, 6.93; N, 4.69。
【0158】
実施例19: (±)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体24について記載の手順に従って、(±)−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(5.45g、13.1mmol)をアジ化ナトリウム(3.419g、52.6mmol)で処理して、(±)−2−(アジドメチル)−5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フランを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドをパラジウム炭素(10重量%、0.350g)で処理して、2.88g(74%)の(±)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>210℃;C16H21NO2HClの理論値: C, 64.97; H, 7.5; N, 4.74。測定値: C, 64.71; H, 7.69; N, 4.54。
【0159】
実施例20: (+)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体7について記載の手順に従って、(±)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン(2.5g、8.45mmol)をジイソプロピルエチルアミン(2.73g、21.12mmol)に続いてクロロギ酸ベンジル(1.73g、10.14mmol)で処理して、3.08g(93%)の(±)−ベンジル(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートを無色の油状物として得た。(±)−ベンジル(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、メタノール)により2つの画分を得た。画分1(R=13.252分、キラルセルOJ、メタノール);画分2(R=18.196分、キラルセルOJ、メタノール)を得た。概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、メタノール)から得られた0.460gの画分1をパラジウム炭素(10重量%、0.05g)で処理して、0.304g(88%)の(+)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=+40.03(メタノール中c 9.99);融点>220℃;C16H21NO2HClの理論値: C, 64.97; H, 7.5; N, 4.74。測定値: C, 64.62; H, 7.79; N, 4.54。
【0160】
実施例21: (−)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOJ、メタノール)から得られた1.91gの画分2をパラジウム炭素(10重量%、0.20g)で処理して、1.18g(82%)の(−)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。[α]25=-40.98(メタノール中c 10.01);融点>220℃;C16H21NO2HClの理論値: C, 64.97; H, 7.5; N, 4.74。測定値: C, 64.61; H, 7.56; N, 4.53。
【0161】
実施例22: (2R)−1−[(2R)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル]エチルアミン
0℃に冷却したトルエン(500mL)中のインダン−4−オール(6.71g、50.00mmol)溶液にトリフェニルホスフィン(14.43g、55.00mmol)を加え、続いてアゾジカルボン酸ジエチル(9.58g、55.00mmol)、そして最後に3−ブテン−2−オール(3.97g、55.00mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水(10mL)を加えることによりクエンチし、溶媒を減圧にて除去して、粗固体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 1:99)により精製して、(±)−4−[(1−メチルプロプ−2−エニル)オキシ]インダンを得た。概して中間体1について記載の手順に従って、アリルエーテルを還流メシチレン中で処理して、5−[(2E)−ブト−2−エニル]インダン−4−オールを得た。0℃に冷却したジクロロメタン(400mL)中のオレフィン(7.74g、41.1mmol)溶液に3−クロロペルオキシ安息香酸(25.34g、0.103mol)を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。溶媒を減圧にて除去し、残渣をメタノール(400mL)に再び溶かした。炭酸カリウム(28.42g、0.206mol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧にて除去し、残渣を酢酸エチル(250mL)と水(500mL)の間に分配した。水層を酢酸エチル(250mL)で抽出し、合した有機層を水(2×250mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 2:3)により精製して、(2S)−1−[(2R)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル]エチルアミンを得た。概して中間体18について記載の手順に従って、そのアルコール(3.05g、14.93mmol)をピリジン(150mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(4.27g、22.40mmol)で処理して、(1S)−1−メチル−2−[(2R)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル]エチル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体24について記載の手順に従って、そのトシレート(4.55g、12.7mmol)をアジ化ナトリウム(3.30g、50.8mmol)で処理して、(2R)−2−[(2S)−2−アジドプロピル]−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フランを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドをパラジウム炭素(10重量%、0.290g)で処理して、2.29g(75%)の(2R)−1−[(2R)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル]エチルアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点>250℃;C13H17NOHClの理論値: C, 65.13; H, 7.57; N, 5.84。測定値: C, 65.16; H, 7.69; N, 5.63。
【0162】
実施例23: (±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体4について記載の手順に従って、(±)−3−[1−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−2−ナフチル]−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナート(4.6g、9.26mmol)をパラジウム炭素(5重量%、0.50g)およびイソプロパノール(4.0M、4.0mL)中の塩化水素で処理して、(±)−3−(4−クロロ−1−ヒドロキシ−2−ナフチル)−2−ヒドロキシプロピル 4−メチルベンゼンスルホナートを得た。概して中間体5について記載の手順に従って、そのフェノールをトリフェニルホスフィン(3.5g、13.3mmol)に続いてアゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.69g、13.3mmol)で処理して、(±)−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナートを無色の油状物として得た。概して中間体24について記載の手順に従って、そのトシレートをアジ化ナトリウム(1.1g、16.4mmol)で処理して、(±)−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルアジドを薄茶色油状物として得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドを硫化白金炭素(sulfided platinum on carbon)(5重量%、0.15g)で処理して、1.07g(43%)の(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点269-271℃;C13H12ClNOHCl・0.8 H2Oの理論値: C, 54.87; H, 5.17; N, 4.92。測定値: C, 54.68; H, 4.78; N, 4.79。
【0163】
実施例24: (±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミン
テトラヒドロフラン(45mL)中の水素化アルミニウムリチウム(95重量%、0.45g、11.25mmol)懸濁液に(±)−メチル(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート(1.16g、3.98mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で40時間攪拌した。反応混合物をテトラヒドロフラン(150mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム(50mL)でクエンチし、有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を減圧にて除去して、粗油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール:ジクロロメタン 1:39)により精製して、淡褐色油状物を得た。その油状物をテトラヒドロフラン(50mL)に再び溶かし、塩化水素水溶液(1.0N、1mL)を加えた。得られた沈殿物を濾過し、洗浄して(ジエチルエーテル)、乾燥させて、0.23g(20%)の(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点224-226℃;C14H14ClNOHCl・0.1 H2Oの理論値: C, 58.80; H, 5.36; N, 4.90。測定値: C, 58.65; H, 5.30; N, 4.84。
【0164】
実施例25: (±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体24について記載の手順に従って、(±)−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(4.0g、10.6mmol)をアジ化ナトリウム(2.75g、42.2mmol)で処理して、(±)−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルアジドを得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドを硫化白金炭素(5重量%、0.63g)に続いて塩化水素(3mL、イソプロパノール中4M)で処理して、2.1g(76%)の(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点251-254℃;C12H14ClNOHClの理論値: C, 55.40; H, 5.81; N, 5.38。測定値: C, 55.10; H, 5.68; N, 5.29。
【0165】
実施例26: (−)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOD、メタノール:水 9:1)から得られた0.34gの画分1をパラジウム炭素(5重量%、0.13g)および塩化水素(イソプロパノール中4.0M、0.7mL)で処理して、0.23g(93%)の(−)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点265-268℃; [α]25=-51.96(メタノール中c 10);C12H14ClNOHCl.0.5 H2Oの理論値: C, 53.55; H, 5.99; N, 5.20。測定値: C, 53.50; H, 5.59; N, 4.99。
【0166】
実施例27: (+)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例2について記載の手順に従って、(±)−ベンジル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルセルOD, メタノール:水 9:1)から得られた0.26gの画分2をパラジウム炭素(5重量%、0.10g)および塩化水素(イソプロパノール中4.0M、0.7mL)で処理して、0.18g(95%)の(+)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点265-268℃; [α]25=+54.02°(メタノール中c 10);C12H14ClNOHCl.0.5 H2Oの理論値: C, 53.55; H, 5.99; N, 5.20。測定値: C, 53.27; H, 5.54; N, 5.01。
【0167】
実施例28: (±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミン
概して実施例24について記載の手順に従って、(±)−メチル(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメート(0.60g、2.12mmol)を水素化アルミニウムリチウム(95重量%、0.35g、8.75mmol)で処理して、0.15g(30%)の(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミンを白色固体として得た。融点58-60℃;C13H16ClNOの理論値: C, 65.68; H, 6.78; N, 5.89。測定値: C, 65.31; H, 6.79; N, 5.52。
【0168】
実施例29: (±)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して中間体24について記載の手順に従って、(±)−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホナート(1.4g、3.70mmol)をアジ化ナトリウム(0.96g、14.78mmol)で処理して、(±)−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルアジドを粗油状物として得た。概して実施例2について記載の手順に従って、そのアジドを硫化白金炭素(5重量%、0.15g)で処理して、0.74g(77%)の(±)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、塩酸塩として得た。融点270℃(dec);C12H14ClNOHClの理論値: C, 55.4; H, 5.81; N, 5.38。測定値: C, 55.4; H, 5.8; N, 4.91。
【0169】
実施例30: (−)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
(±)−ベンジル(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルパックAD、ヘキサン:イソプロパノール 9:1)から得られた0.3gの画分1に臭化水素(酢酸中30重量%、7mL)を加え、反応混合物を1時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(20mL)で希釈し、得られた沈殿物を濾過し、洗浄して(ジエチルエーテル)、乾燥させて0.192g(76%)の(−)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、臭化水素酸塩として得た。融点>330℃; [α]25=-43.5°(メタノール中c 10);C12H14ClNOHBrの理論値: C, 47.32; H, 4.96; N, 4.6。測定値: C, 46.97; H, 4.76; N, 4.5。
【0170】
実施例31: (+)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン
概して実施例30について記載の手順に従って、(±)−ベンジル(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メチルカルバメートのキラルHPLC分離(キラルパックAD、ヘキサン:イソプロパノール 9:1)から得られた0.12gの画分2を臭化水素(酢酸中30重量%、7mL)で処理して、0.066g(64%)の(+)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミンを白色固体、臭化水素酸塩として得た。融点>330℃; [α]25=+42.9°(メタノール中c 10);C12H14ClNOHBrの理論値: C, 47.32; H, 4.96; N, 4.6。測定値: C, 46.98; H, 4.77; N, 4.55。
【0171】
実施例32:式1の結合親和性およびアゴニスト活性の決定
5HT2Cアゴニストおよび部分的なアゴニストとして作用する本発明化合物の能力を、種々の標準的な薬理試験手順を用いて確立し、用いた手順および得られた結果を以下に示す。試験手順において、5−HTは5−ヒドロキシトリプタミン、mCPPはメタ−シクロロフェニルピペラジン、DOIは1−(2,5−ジメトキシ−4−ヨードフェニル)イソプロピルアミンを表す。
【0172】
5−HT2C受容体に対する種々の式1の化合物の親和性を評価するために、ヒト5−ヒドロキシトリプタミン−2C(h5−HT2C)受容体を発現するcDNAを用いてトランスフェクトされたCHO(チャーイニーズハムスター卵巣)細胞系を、胎児ウシ血清、グルタミンおよびマーカーとして、グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GTP)とヒポキサンチンチミジン(HT)を含むDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で維持した。この細胞を、培地を途中で交換し、分割して大きい培養皿で密集するまで増殖させた。密集すると、細胞をスクラップして回収した。回収した細胞を半分量の新鮮な生理学的リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液中に懸濁し、低速(900×g)で遠心分離した。この操作をもう一度繰り返した。次いで、集められた細胞を、10倍量の50mM トリスHCl、pH7.4および0.5mM EDTA中で15秒間、セッティング7番のポリトロンを用いてホモジナイズした。このホモジネートを900×gで15分間遠心して核粒子や他の細胞の残骸を取り除いた。ペレットを廃棄し、上澄みを40,000×gで30分間遠心した。この結果得られたペレットを少量のトリスHCl緩衝液に再懸濁し、組織蛋白質含有物を10〜25マイクロリッター(μL)にて決定した。ウシ血清アルブミン(BSA)を、ローリーらの方法(J. Biol. Chem., 193:265 (1951)のによる蛋白質決定の標準物質として用いた。懸濁された細胞膜の容量を、懸濁液の組織蛋白質濃度が1〜2mg/mlとなるように0.1%アスコルビン酸、10mMパルギリンおよび4mM CaClを含む50mMトリスHCl緩衝を用いて調節した。調製した膜懸濁液(数倍に濃縮されている)を1ml容量に小分けにして、次の結合測定に使用するまで−70℃で保存した。
【0173】
結合測定は、96ウェルのマイクロタイタープレート形式で総量200μLにて実施した。各ウェルに、4mM CaCl;20μLの[125I]DOI(S.A., 2200 Ci/mmol, NEN Life Science)を含む50mMトリスHCl緩衝液(pH7.4)で作製されたインキュベーション緩衝液60μLを添加した。
【0174】
125I]DOIの濃度を増加させる飽和結合により、ヒト・セロトニン5−HT2C受容体における[125I]DOIの解離定数・KDは0.4nMであった。受容体蛋白質50μgを含む組織懸濁液100μLを最終的に加えることで、この反応を開始させた。非特異結合を、20μL容量中に添加された1μMの非標識DOIの存在下で測定した。試験化合物を20μL中に添加した。その混合液を室温で60分間インキュベートした。インキュベーションは素早く濾過することで停止させた。結合したリガンド−受容体複合体を、パッカード・フィルターメート(登録商標)196ハーベスターを用いる96ウェル・ユニフィルターにて濾過した。そのフィルターディスクに捕捉された結合複合体を真空オーブンで60℃にまで加熱して乾燥させ、放射能を、6個の(6)フォトマルチプライアー検出器を備えたパッカード・トップカウント(登録商標)にて40μLマイクロシント−20シンチラントを用いて液体シンチレーションにより測定した。
【0175】
特異的結合は、1μMの非標識DOIの存在下での結合量よりも小さい総結合放射能として定義される。種々の濃度の検査薬物が存在する中での結合を、薬物が存在しない中での特異的な結合のパーセントとして表する。次に、これらの結果をログ%結合に対する試験薬物のログ濃度としてプロットする。データポイントの非線形回帰分析により、95%密集度制限での試験化合物のIC50およびK値の両方が得られる。別法として、直線回帰線の減衰データポイントをプロットし、そこからIC50値をその曲線から読み取ることができ、K値は以下の方程式を解くことにより決定することができる:
【数1】

[式中、Lは用いた放射能リガンドの濃度であり、KDは受容体に対するリガンドの解離定数であり、両方ともnMで表される]。
【0176】
以下のKの(95%信頼区間)が種々の参照化合物に対して得られる。
【表1】

【0177】
式1の化合物の脳5−HT2Cでのアゴニスト応答を生ずる能力を、以下の手順を用いてカルシウム流動におけるその影響を決定することで評価した:ヒト5−HT2C受容体を安定に発現するCHO細胞を、10%胎児ウシ血清および非必須アミノ酸を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中にて培養した。5HT2C受容体刺激によるカルシウム流動の評価を行う24時間前に、細胞を96ウェルの透明底の黒色ウェルに40K細胞/ウェルの密度で撒いた。カルシウム研究のために、37℃のハンク緩衝食塩水(HBS)中で60分間、細胞にカルシウム指示薬である色素フルオ−3−AMを付加した。細胞を室温のHBSで洗浄し、カルシウムイメージを取得するためにフルオロメトリック・イメージング・プレートリーダー(FLIPR, Molecular Devices, Sunnyvale, CA)に移した。488nmの励起はアルゴンイオンレーザーを用いて行い、510−560nmの発光フィルターを用いた。蛍光イメージおよび相対強度を1秒間隔で取得し、FLIPRの内部液体モジュールを用いて10回の基底線測定を行った後に、アゴニストを添加して細胞を刺激した。蛍光のカウントが増加するのに対応して、細胞内カルシウムが増加する。
【0178】
アゴニストの薬理を評価するために、種々のアゴニスト濃度存在下でのカルシウム変化は、生の蛍光カウントデータの最大値から最小値を差し引いて決定した。次に、カルシウム変化は、5−HTの最大有効濃度を用いて観察された応答のパーセンテージとして表され、EC50値は、4つのパラメーターの理論式を用いて、ログ−濃度%最大5−HT応答曲線を非線形回帰分析して評価した。
【0179】
以下のEC50が種々の参照化合物について得られた。
【表2】

【0180】
上記段落に記載の標準的な実験試験手法の結果を以下に示す:
【表3】

【0181】
本明細書中で引用または掲載した特許、特許出願および刊行物の全ての内容は、それぞれ出典明示により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物:
【化1】

式(1)
[式中
RおよびR’は、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたはシクロアルキル環中に3〜6個の炭素を有する4〜12個の炭素原子のアルキルシクロアルキルであり;
別に、RおよびR’は、それらが結合している窒素と一緒になって2〜5個の炭素原子を含む環を形成してもよく、ここで、その環炭素原子の1つが窒素、硫黄または酸素により置換されていてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり;
3aおよびR3bは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシであり;
とRまたはRとRまたはRとRから選択される2つの隣接置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される環部分を形成し、ここで、単環式シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環部分は、単一の炭素原子において、3〜5個の炭素原子を有するシクロアルキルまたはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を含む3〜5員ヘテロシクロアルキルで置換されてスピロ環基を形成してもよく;
残りのR〜R置換基は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシ、5〜10個の炭素原子を有するアリール、5〜10個の炭素原子を有するアリールオキシ、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、カルボキサミド、2〜6個の炭素原子を有するアルカンアミド、1〜6個の炭素原子を有するアルカンスルホンアミド、アミノ、1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ、アルキル部分につき1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキルであり;および
nは、1、2または3である;
(ここに、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも飽和または一部飽和であり、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい)]
または医薬上許容されるその塩。
【請求項2】
R’が水素であり、R、RおよびRは、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R、R’、RおよびRが、それぞれ独立して水素および1〜6個の炭素原子を有するアルキルから選択されるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R、R’、RおよびRが、それぞれ水素であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
3aおよびR3bが、それぞれ水素および1〜6個の炭素原子を有するアルキルから選択されるところの、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
残りのR〜R置換基がそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、5〜10個の炭素原子を有するアリールオキシ、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであるところの、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
およびRが、独立して、水素、ハロゲン、1〜8個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシであるところの、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
およびRが、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシまたはハロゲンであるところの、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
およびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールを形成するところの、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
およびRが、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、またはそれぞれ独立してアルキル、ハロゲンもしくはアルコキシ基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい5〜10個の炭素原子を有するアリールを形成するところの、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、またはそれぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ハロゲンもしくは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキルを形成するところの、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
およびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、それぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ハロゲンまたは1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、5〜8個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル基を形成するところの、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
とRまたはRとRまたはRとRから選択される2つの隣接置換基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有する架橋シクロアルキル、それぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員ヘテロシクロアルキル、5〜10個の炭素原子を有するアリール、またはそれぞれ独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される環部分を形成し;および
残りのR〜R置換基が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシ、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイル、2〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ、2〜6個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、カルボキサミド、2〜6個の炭素原子を有するアルカンアミド、1〜6個の炭素原子を有するアルカンスルホンアミド、アミノ、1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ、またはアルキル部分につき1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノである;
(ここに、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも、飽和または一部飽和であり、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれも、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい)
ところの、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
およびRが、独立して、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、R、RおよびRが、それぞれ水素であるところの、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
nが1であるところの、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
以下:
(±)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(5−メチル−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフト[2,3−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(1,2,6,7,8,9−ヘキサヒドロナフト[2,1−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(9−メトキシ−4−オキサテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,7]テトラデカ−2,7,9−トリエン−5−イル)メチルアミン、
(±)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(5−メトキシ−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−6,9−エタノナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(2R)−1−[(2R)−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル]エチルアミン、
(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(5−クロロ−2,3−ジヒドロナフト[1,2−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミン、
(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(+)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(±)−1−(4−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)−N−メチルメタンアミン、
(±)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、
(−)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン、または、
(+)−1−(5−クロロ−3,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[4,5−b]フラン−2−イル)メタンアミン;
のいずれか、または医薬上許容されるその塩であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
統合失調症、分裂病様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、L−DOPA誘発性精神病、アルツハイマー痴呆に関連する精神病、パーキンソン病に関連する精神病、レビ小体病に関連する精神病、痴呆、記憶障害またはアルツハイマー痴呆に関連する知的機能欠損障害に罹患している患者の処置方法であって、請求項1〜16のいずれかにおいて定義される少なくとも1つの式(1)の化合物、または医薬上許容されるその塩の治療上有効な量を投与することを含む方法。
【請求項18】
患者が統合失調症に罹患しているところの、請求項17記載の方法。
【請求項19】
躁鬱病、抑うつ障害、気分エピソード、不安障害、適応障害または摂食障害に罹患している患者の処置方法であって、請求項1〜16のいずれかにおいて定義される少なくとも1つの式(1)の化合物、または医薬上許容されるその塩の治療上有効な量を投与することを含む方法。
【請求項20】
症状が抑うつ障害、躁鬱病または気分エピソードであるところの、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
癲癇、睡眠障害、片頭痛、性機能障害、薬物中毒、アルコール中毒、胃腸障害または肥満症に罹患している患者の処置方法であって、請求項1〜16のいずれかにおいて定義される少なくとも1つの式(1)の化合物、または医薬上許容されるその塩の治療上有効な量を投与することを含む方法。
【請求項22】
外傷、脳卒中または脊髄損傷に関連する中枢神経系欠陥に罹患している患者の処置方法であって、請求項1〜16のいずれかにおいて定義される少なくとも1つの式(1)の化合物、または医薬上許容されるその塩の治療上有効な量を投与することを含む方法。
【請求項23】
請求項1〜16のいずれかにおいて定義される少なくとも1つの式(1)の化合物、または医薬上許容されるその塩、および1つもしくはそれ以上の医薬上許容される担体を含む組成物。
【請求項24】
請求項1記載の式(1)の化合物または医薬上許容されるその塩の調製方法であって、以下の工程:
a)式(7)の化合物:
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1と同意義である)をナトリウムアジドと反応させ、その生成物を還元して、nが1であり、RとR’がいずれもHである式(I)の化合物を得る工程;
または、
b)上記定義の式(7)の化合物を式NHRR’(ここにRおよびR’は請求項1と同意義である)のアミンと反応させて、nが1である式(1)に対応する化合物を得る工程;
または
c)上記定義の式(7)の化合物をシアン化ナトリウムと反応させ、続いて還元して、nが2であり、RとR’がいずれもHである式(1)の化合物を得る工程;
d)請求項1で定義される式(1)の化合物を医薬上許容される塩に変換するか、もしくはその逆の変換を行う工程;
または
e)請求項1で定義される式(1)の化合物または医薬上許容されるその塩の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーをその混合物から単離する工程、
のいずれかを含む方法。

【公表番号】特表2007−509167(P2007−509167A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536828(P2006−536828)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035043
【国際公開番号】WO2005/040146
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】