説明

ジョイスティック装置及び位置入力制御装置

【課題】従来のジョイスティック装置では、入力部が操作ボタンであったため、操作レバーの操作に基づく制御動作に対する微調整を行うことが難しく、制御の微調整を行うためには操作者の熟練性を要していた。
【解決手段】把持部16を有し且つ揺動可能に支持されて揺動姿勢に応じて第1の相対位置情報を出力する操作レバー2と、この操作レバーの把持部に設けられ且つ指が接触することで第2の相対位置情報を出力するタッチパネル20と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、握って操作する操作部である操作レバーに、触って入力するタッチパネルを有する入力部を設けたジョイスティック装置、及び、このジョイスティック装置を備えた位置入力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジョイスティック装置は、操作レバーとポテンショメータを有し、これらを機械的に連動させる構成として、操作レバーの操作角度に応じた電気的出力を得るようにしている。そして、このジョイスティック装置に各種のスイッチ類を加え、そのスイッチ類による出力でジョイスティック装置の出力を制御し、或いは、別個独立の機能を発揮させるように構成しているものもある。例えば、操作レバーを前後左右方向に倒すことでX軸及びY軸における二次元方向の動作をさせ、この操作レバーの操作に加えて、所望の位置で操作ボタンを押すことにより、第3の方向であるZ軸方向への動作を加える構成となっている。
【0003】
従来のこの種のジョイスティック装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、油圧ショベルやクレーン等の建設機械を操作するジョイスティック装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたジョイスティック装置は、操作レバーと操作手段と電圧出力手段と増幅回路とを備えて構成されている。操作レバーは、揺動可能に支持され且つ操作者が把持可能に形成された中空体からなり、また、操作手段は、操作レバーの先端部に設けられ、所定方向に移動可能に支持されている。電圧出力手段は、操作手段の移動量に比例した電圧を出力し、増幅回路は、電圧出力手段から出力された電圧を増幅する。特許文献1に係る発明は、増幅回路を操作レバーの内部に設けた、ことを特徴としている。
【0004】
この特許文献1に記載されたジョイスティック装置によれば、操作対象を変位させる方向に応じて操作手段の配置を変えることにより、従来に比して操作性を向上させることができる、という効果が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−135078号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたジョイスティック装置によれば、操作レバーの上部に操作パネルを取り付け、その操作パネルに2個の操作ボタンと1個のスライドスイッチを設ける構成となっていた。2個の操作ボタンと1個のスライドスイッチは操作パネルに固着されていて、その操作パネルを介して全ての操作ボタン等が操作レバーに固定されている。操作ボタン及びスライドスイッチは、それぞれの操作部を操作パネルの表面上に露出させる必要があると共にこれら自体がある程度の容積を有するため、1個の操作レバーに取り付けることができるスイッチの数に限界があった。また、操作レバーの揺動姿勢の変化量に応じて制御対象が制御されるため、姿勢変化を微調整することが難しく、揺動姿勢の微調整には操作者による熟練性を要している、という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来のジョイスティック装置では、操作レバーの操作に貢献し得る入力部を把持部に設けた装置は存在したが、その入力部が操作ボタンやスライドスイッチであったため、操作レバーの操作に基づく制御動作に対する微調整を行うことが難しく、制御の微調整を行うためには操作者の熟練性を要するという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願のジョイスティック装置は、把持部を有し且つ揺動可能に支持されて揺動姿勢に応じて第1の相対位置情報を出力する操作レバーと、この操作レバーの把持部に設けられ且つ指が接触することで第2の相対位置情報を出力する接触位置入力部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本出願の位置入力制御装置は、把持部を有し且つ揺動可能に支持されて揺動姿勢に応じて第1の相対位置情報を出力する操作レバーと、この操作レバーの把持部に設けられ且つ指が接触することで第2の相対位置情報を出力する接触位置入力部と、第1の相対位置情報と第2の相対位置情報とに基づいて制御対象を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本出願のジョイスティック装置及び位置入力制御装置によれば、第1の相対位置情報を出力する操作レバーの把持部に第2の相対位置情報を出力する接触位置入力部を設ける構成とした。そして、操作レバーと接触位置入力部とを協働させ、これらを片手で操作できる構造とすることにより、片手で制御対象の制御を確実に行うことができると共に、制御の微調整が容易であって正確な制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本出願のジョイスティック装置の第1の実施の例を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示すジョイスティック装置の正面図である。
【図3】図1に示すジョイスティック装置の左側面図である。
【図4】図1に示すジョイスティック装置を中央部にて縦方向に断面した説明図である。
【図5】図1に示すジョイスティック装置の操作レバーを二軸回動軸部から分離した状態の外観斜視図である。
【図6】図1に示すジョイスティック装置を斜め下方から見た斜視図である。
【図7】図1に示すジョイスティック装置の操作レバーを分解して斜め前方から見た斜視図である。
【図8】図1に示すジョイスティック装置の操作レバーを分解して斜め後方から見た斜視図である。
【図9】図1に示すジョイスティック装置の操作レバーのリアケースの内面を表した斜視図である。
【図10】図1に示すジョイスティック装置の防塵用のゴムカバーを取り除いて要部を現した斜視図である。
【図11】図1に示すジョイスティック装置の防塵用のゴムカバーを取り除いて要部を現した左側面図である。
【図12】図1に示すジョイスティック装置の操作レバーの把持部を拡大してタッチパネルによる表示形態の第1の例を現した説明図である。
【図13】図1に示すジョイスティック装置の操作レバーの把持部を拡大してタッチパネルによる表示形態の第2の例を現した説明図である。
【図14】図1に示すジョイスティック装置を用いて好適な位置入力制御装置の概略構成を表したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
把持部を持って操作レバーを揺動させて操作レバーの姿勢を変化させると、操作レバーの揺動姿勢に応じて第1の相対位置情報が出力される。この操作レバーの揺動操作は、一般的に粗いものであるため、制御対象を目的の状態に近い状態まで迅速に制御することができる。これと同時に又は前後して、把持部を持った手で指を接触位置入力部に接触させ、その指を目的の状態に相当する部位まで接触状態で移動させることにより、第2の相対位置情報を出力させる。これにより、一般に手の指は繊細且つ微小な動きが可能であるため、制御対象を目的の状態まで確実に移動させて、精度良く制御することができる。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図6は、本発明のジョイスティック装置の第1の実施の形態の例を示すものである。このジョイスティック装置1は、把持部を有する操作レバーに、液晶ディスプレイ等の表示デバイス上に位置入力部を組み付けたパネル(以下「タッチパネル」という。)を位置入力装置として組み合わせたものである。このように構成したことにより、把持部を手で把持して操作する操作レバーによって第1の相対位置情報を出力すると共に、把持部を把持する手の指でタッチパネルを触って第2の相対位置情報を出力することで、多種多様な機能を発揮させることが可能となる。
【0014】
図1〜図6に示すように、ジョイスティック装置1は、操作者が把持部を握って前後方向、左右方向或いは斜め方向へ揺動させる操作レバー2と、この操作レバー2の二次元的な揺動運動を可能とする二軸回動軸部3と、操作レバー2の姿勢(二次元方向の変位)を検出してその姿勢に応じた第1の相対位置情報を出力する姿勢検出部4と、操作レバー2の把持部に設けられ且つ指が接触することで第2の相対位置情報を出力する接触位置入力部5等を備えて構成されている。
【0015】
操作レバー2は、図4〜図9に示すような構成を有している。即ち、操作レバー2は、操作者側に対向されるフロントケース12と、このフロントケース12の背面側に重ね合わされるリアケース13と、重ね合わされたフロントケース12及びリアケース13の下部に設けられ且つ下端に開口された開口部14を閉じるレバー取付具15とによって構成されている。フロントケース12及びリアケース13は、断面形状が略半円形及び半角形をなす樋状の部材からなり、両ケースを重ね合わせることによって鞘状の中空体からなるケース本体11が構成されている。フロントケース12とリアケース13は、複数個の固定ねじ18,18によって着脱可能にねじ止めされている。
【0016】
ケース本体11の、ジョイスティック装置1が取り付けられる制御対象の取付部に近い基部は、断面形状がリング状をなす円筒部として形成されており、この円筒部の上部から先端までの部分が把持部16として構成されている。把持部16は、円筒部の中途部から先端部にかけて前方へ折り曲がるように略くの字状に湾曲形成されている。この把持部16は、その基部よりも幅を少し広くして角型に形成されていると共に、操作者が握り易い大きさ及び形状の角筒部となっている。この把持部16のフロントケース12における平面部12aの略中央部には、タッチパネル20が嵌合される矩形をなすパネル用開口穴21が設けられている。このフロントケース12の開口穴21より先端側には、2つの制御ボタン22,23が個別に嵌合される2つの矩形をなすボタン用開口穴24,25が横並びに設けられている。
【0017】
タッチパネル20は、接触位置入力部5の一実施形態を示すもので、液晶ディスプレイのような表示装置と、タッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、表示と入力の2つの機能を備えている。このタッチパネル20は、コンピュータ等の外部から受けた画像情報を液晶ディスプレイ等で表示すると共に、操作者が画面に表示された絵や文字等に手で触れることにより、触れられた画面位置の情報を感知して、第2の相対位置情報として情報信号を外部へ出力する。更に、タッチパネル20は、表示画面を切り換える機能も備えており、所定の位置に表示されたアイコン等を手で触ることにより、予め設定された表示画面を選択して表示することができる。
【0018】
タッチパネル20は、その動作原理によって様々な方式が存在するが、本実施例においては操作者が触って操作できるものであればよく、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式(超音波方式)等のものを適用することができる。また、タッチパネル20に入力された情報に基づく出力は、デジタル出力又はアナログ出力のいずれであってもよく、その出力形式を限定するものではない。なお、本発明の接触位置入力部としては、表示機能を持ったタッチパネルに限定されるものではなく、表示機能のないタッチパッド等の位置入力装置を用いることもできる。
【0019】
図12に示すタッチパネル20の表示画面は、Y軸(例えば前後方向)及びX軸(例えば左右方向)の直交する二軸方向に制御量を調整(「大小」、「強弱」、「遅速」等)可能な機構に対応するよう構成したものである。タッチパネル20の画面中央に設けた基準点CPが基準位置であり、その基準位置CPを中心として、操作レバー2が延在された上下方向を第1の方向とし、これに直交する方向であって操作レバー2の幅方向である左右方向を第2の方向としている。第1の方向Y軸では、基準点CPから上方を+側(「大きい」、「強い」、「速い」等)とし、その反対側である下方を−側(「小さい」、「弱い」、「遅い」等)としている。従って、例えば、基準点CPに触っている指をY軸+側へ滑らせると、その移動量に応じてY軸方向の速度が速くなり、基準点CPに触っている指をY軸−側へ滑らせると、その移動量に応じてY軸方向の速度が遅くなる。
【0020】
タッチパネル20の第2の方向X軸では、基準点CPから右側を+側(「大きい」、「強い」、「速い」等)とし、その反対側である左側を−側(「小さい」、「弱い」、「遅い」等)としている。従って、例えば、基準点CPに触っている指をX軸+側へ滑らせると、その移動量に応じてX軸方向の速度が速くなり、基準点CPに触っている指をX軸−側へ滑らせると、その移動量に応じてX軸方向の速度が遅くなる。なお、例えば、基準点CPに触っている指をX軸とY軸の中間である斜め方向へ滑らせると、その傾斜角度と移動量に応じて、その角度方向へ向かう速度が速くなり、或いは速度が遅くなる。
【0021】
図13に示すタッチパネル20の表示画面は、4つの異なる操作スイッチ26,27,28,29を同一平面上に配置し、任意の操作スイッチ26〜29を選択して操作できるように構成したものである。例えば、第1の操作スイッチ26は、制御対象を前方へ動かす動作を選択するもので、そのスイッチ範囲に指を接触させている間だけ、制御対象を前方へ移動させることができる。第2の操作スイッチ27は、制御対象を後方へ動かす動作を選択するもので、そのスイッチ範囲に指を接触させている間だけ、制御対象を後方へ移動させることができる。第3の操作スイッチ28は、制御対象を左方へ動かす動作を選択し、また、第4の操作スイッチ29は、制御対象を右方へ動かす動作を選択するもので、それぞれのスイッチ範囲に指を接触させている間だけ、制御対象を左方又は右方へ移動させることができる。
【0022】
本実施例のタッチパネル20を、図12に示すように、X軸及びY軸二次元の位置入力装置として使用する場合には、操作レバー2を握った状態のまま指先(例えば、親指、人差し指等)でタッチパネル20を操作できるため、操作レバー2による出力とは別の独立した入力装置の出力としてタッチパネル20に入力した位置情報に基づく出力を利用することができる。これにより、操作レバー2による出力情報とタッチパネル20による出力情報を任意に組み合わせることが可能となり、従来のジョイスティック装置では難しかった操作量(速度や角度等)の、初期段階では大きく調整し且つ最終段階では微細な調整を行うことが可能となる。なお、タッチパネル20による位置入力は、本実施例のようなX軸Y軸の二次元平面座標構造に限定されるものではなく、X軸のみ又はY軸のみの一次元座標として構成できることは勿論である。
【0023】
また、押しボタン等の機械的スイッチのみを操作レバーに搭載した従来のスイッチ機能付ジョイスティック装置では、スイッチの取付スペースの関係から搭載できるスイッチ数が限られてしまうが、本実施例のタッチパネル20の場合には、図13に示すように、タッチパネル20の表示画面上のエリアを分割して任意の数のスイッチを設定することができる。そのため、スイッチの数を増やすことが容易になり、ジョイスティック装置全体のスイッチ機能を増加させてジョイスティック装置の多機能化を図ることができる。なお、タッチパネル20において、図12に示した表示形態と図13に示した表示形態を同一画面上に表示してもよく、また、表示画面の切換え機能を設けて切換え画面として構成することもできる。
【0024】
フロントケース12の開口穴24,25に装着された2つの制御ボタン22,23は、制御対象に対する制御情報を出力するもので、何れの制御ボタン22,23も押しボタンスイッチによって構成されている。第1の制御ボタン22は、例えば、制御対象に対して第1の制御情報を出力し、制御対象がX軸方向に動くのを規制するX軸方向ロック部として適用することができる。また、第2の制御ボタン23は、例えば、制御対象に対して第2の制御情報を出力し、制御対象がY軸方向に動くのを規制するY軸方向ロック部として適用することができる。
【0025】
ケース本体11のリアケース13の把持部16には、第3の制御部31が装着される第1開口穴32と、第4の制御部33が装着される第2開口穴34が設けられている。第1開口穴32は、リアケース13の基部から遠い側に配置されていて、その延長線上で基部に近い側に第2開口穴34が配置されている。第3の制御部31は、例えば、制御対象に対して第3の制御情報を出力し、X軸及びY軸の双方に直交する第3の方向であるZ軸方向(例えば上下方向)への制御対象の移動を制御するZ軸方向制御部として適用することができる。また、第4の制御部33は、例えば、制御対象に対して第4の制御情報を出力し、制御対象を動作させる出力の大きさを制御する動力制御部として適用することができる。
【0026】
図4、図7〜図9に示すように、本実施例では、第3の制御部31としてシーソー式ポテンショメータを使用している。第3の制御部31は、第3の制御情報を出力し、制御対象を上下方向へ動作させる制御情報を出力する。第3の制御部31として、この実施例ではシーソー式ポテンショメータ45を適用している。シーソー式ポテンショメータ45は、前後方向に揺動可能とされたシーソーボタン47を有しており、シーソーボタン47の前側部分を押圧すると制御対象を上方へ移動させる制御情報を出力し、シーソーボタン47の後側部分を押圧すると制御対象を下方へ移動させる制御情報を出力する。
【0027】
また、本実施例では、第4の制御部33としてトリガースイッチを使用している。この第4の制御部33は、制御対象に対して第4の制御情報を出力し、制御対象が選択された出力に基づいて動作するように制御している。第4の制御部33としてトリガースイッチを使用し、そのオン・オフ操作で出力の大小を調整することにより、制御対象の駆動モータの出力を制御して、制御対象が出力し得るパワーを増減変化させることができるように構成している。
【0028】
第4の制御部33は、トリガースイッチ36と、このトリガースイッチ36が搭載されたスイッチ板37と、トリガースイッチ36をオン・オフ動作させる操作ボタン38と、この操作ボタン38を揺動可能に支持するボタン取付板39とによって構成されている。ボタン取付板39は操作ボタン38の一側に回動可能に支持されており、このボタン取付板39が複数の固定ねじ41でスイッチ板37にねじ止めされている。スイッチ板37はリアケース13の内側に配置されており、そのスイッチ板37が複数の固定ねじ42でリアケース13に締め付け固定されている。操作ボタン38は、スイッチ板37に対してリアケース13を挟んで外側に対向するように配置されており、その操作ボタン38の操作部がリアケース13の下方に露出されている。
【0029】
第3の制御部31は、シーソー式ポテンショメータ45と、このシーソー式ポテンショメータ45が搭載されたポテンションメータ取付板46とによって構成されている。シーソー式ポテンショメータ45は、揺動自在に支持されたシーソーボタン47を有しており、そのシーソーボタン47が第1開口穴32を貫通してリアケース13の下方に露出されている。シーソー式ポテンショメータ45は、複数の取付ねじ43によってポテンションメータ取付板46に取り付けられている。そして、ポテンションメータ取付板46が複数の固定ねじ44によってリアケース13の内側に締め付け固定されている。
【0030】
このようにタッチパネル20等が装着されるケース本体11の上端側は閉じ合わされて把持部16が構成されている。そして、ケース本体11の下端に形成された開口部14にレバー取付具15が嵌合されている。ケース本体11の開口部14側には、フロントケース12及びリアケース13の各外周縁から半径方向外側へ展開するように形成されたフランジ部12b,13aが設けられている。各フランジ部12b,13aには、互いのフランジ部12b,13a間をねじ止めするための複数の挿通孔48a,48aと、レバー取付具15をねじ止めするための複数の挿通孔48b,48bが設けられている。そして、対向する挿通孔48a,48aを貫通する固定ねじ49とこれに螺合されるナット49aの締め込みにより、フロントケース12のフランジ部12bとリアケース13のフランジ部13aがねじ結合されている。
【0031】
レバー取付具15は、外周面に段差を設けることによって形成された小径部15aと大径部15bを有する円筒状の部材からなっている。レバー取付具15の軸心部分には軸方向に貫通する貫通穴51が設けられており、その貫通穴51に二軸回動軸部3のセンタ軸60の先端部が嵌合されている。レバー取付具15の小径部15aには、外周面に開口され且つ半径方向に延びて貫通穴51に連通された複数のねじ孔52と、端面に開口され且つ軸方向の中途部まで延在された軸方向溝53が設けられている。複数のねじ孔52には止めねじ54が螺合されていて、この止めねじ54の締め込みによりレバー取付具15がセンタ軸60の先端部に締め付け固定されている。
【0032】
レバー取付具15の小径部15aの軸方向溝53には、フロントケース12に設けたキー状の位置決め突起55が係合されている。この位置決め突起55を軸方向溝53に係合することにより、レバー取付具15に対するケース本体11の回転変化を防止している。また、レバー取付具15の大径部15bには周方向に連続する環状溝が設けられており、その環状溝に装着されたO−リングからなるシール部材56によって開口部14が密封されている。更に、大径部15bには、半径方向内側へ放射状に延びる複数のねじ孔15cが設けられている。これら複数のねじ孔15cは、フロントケース12及びリアケース13のフランジ部12b,13aに設けた複数の挿通孔48bに対向されている。そして、挿通孔48bを貫通してねじ孔15cに螺合される複数の固定ねじ57,57により、レバー取付具15にケース本体11がねじ止めされている。
【0033】
ケース本体11のフロントケース12及びリアケース13の材質としては、例えば、変性ポリアミドが好適である。しかしながら、これらの材質は変性ポリアミドに限定されるものではなく、これと同程度の剛性、強度を有する各種のエンジニアリングプラスチックを用いることができることは勿論のこと、アルミニウム合金等の金属を用いることもできる。レバー取付具15の材質としては、例えば、アルミニウム合金が好適であるが、ステンレス鋼、スチール鋼その他の金属を用いることができ、また、適度な剛性、強度を有する各種のエンジニアリングプラスチックを用いることもできる。
【0034】
図4〜図6に示すように、二軸回動軸部3は、センタ軸60と、第1回動軸61と、第2回動軸62と、二軸ホルダ63と、摺動スリーブ64と、ばね受けカップ65と、コイルばね66と、低摩擦板67と、ストッパ板68等を備えて構成されている。センタ軸60は、軸心部を軸方向に貫通する中央穴70を有するパイプ状の部材からなり、その軸心線を上下方向へ向けた状態で配置されている。センタ軸60の中央穴70には、把持部16に設置されたタッチパネル20、トリガースイッチ36及びシーソー式ポテンショメータ45に接続された各リード線が一まとめにされて挿通され、この中央穴70を介して外部に引き出されている。
【0035】
センタ軸60の下部は、第1回動軸61に設けた軸方向長穴71と第2回動軸62に設けた軸方向長溝72を貫通しており、これら軸方向長穴71及び軸方向長溝72に対してそれぞれ摺動可能に係合されている。第1回動軸61の回動中心と第2回動軸62の回動中心は、同一平面上において互いの軸心線を直交させた状態に配置されている。第1回動軸61は、軸方向の中間部に軸方向長穴71を有する棒状の部材からなり、軸方向長穴71は、直径方向に貫通していると共に軸方向へ直線状に延在されている。第2回動軸62は、U字状に形成された中間軸部62aと、この中間軸部62aの両端に一体に設けられた軸端部62b,62bとからなり、2つの軸端部62b,62bは同一軸心線上に設定されている。この第1回動軸61と第2回動軸62が、組立等における基礎部材となる二軸ホルダ63にそれぞれ回動自在に支持されている。
【0036】
二軸ホルダ63は、ジョイスティック装置1を外部装置に取り付ける矩形の板体からなるベース部材73と、このベース部材73の一面に一体に設けられた矩形の枠体からなる支持枠部74とを有している。支持枠部74の一方に対向する二辺のそれぞれ略中央部に、第1回動軸61の軸方向の両側部が、ベアリング等の軸受部材(図示せず。)を介して回動自在に支持されている。そして、支持枠部74の他方に対向する二辺のそれぞれ略中央部に、第2回動軸62の軸方向両側に設けた軸端部62b,62bが、ベアリング等の軸受部材75を介して回動自在に支持されている。
【0037】
第1回動軸61の両側部を支持する軸受部材と第2回動軸62の両側部を支持する軸受部材75は同一平面上に配置されており、第2回動軸62の軸端部62b,62b間に設定された空間部に、所定の隙間をあけて第1回動軸61が介在されている。第2回動軸62の中間軸部62aには、軸方向に延在された軸方向長溝72が設けられており、第1回動軸61の軸方向長穴71を貫通したセンタ軸60の先端部が、そのまま軸方向長溝72をも貫通して第2回動軸62の下方に突出されている。
【0038】
図6に示すように、第1回動軸61の軸方向、いわゆるX軸方向の−側に、センタ軸60の姿勢変化(揺動)に基づく第1の方向(Y軸方向)に関する相対的な位置情報を出力する第1ポテンショメータ76の回転軸が軸継手77を介して連結されている。第1ポテンショメータ76は第1ブラケット78に固定されており、この第1ブラケット78が複数の固定ねじ79によって支持枠部74に取り付けられている。また、第2回動軸62の軸方向、いわゆるY軸方向の+側に、センタ軸60の姿勢変化(揺動)に基づく第1の方向と直交する第2の方向(X軸方向)に関する相対的な位置情報を出力する第2ポテンショメータ81の回転軸が軸継手82を介して連結されている。第2ポテンショメータ81は第2ブラケット83に固定されており、この第2ブラケット83が複数の固定ねじ79によって支持枠部74に取り付けられている。第1ポテンショメータ76と第2ポテンショメータ81によって姿勢検出部4が構成されている。
【0039】
図4に示すように、二軸ホルダ63のベース部材73の中央部には、センタ軸60が挿通される貫通穴84が表裏面間を貫通するように設けられている。ベース部材73の支持枠部74が設けられた面と反対側の面には円形の凹部が設けられており、その凹部には低摩擦板67とストッパ板68が収納されている。低摩擦板67とストッパ板68の中央部には、センタ軸60が挿通される貫通穴67a,68aがそれぞれ設けられている。そして、ストッパ板68の上に低摩擦板67が重ね合わされ、低摩擦板67の一面がベース部材73の上面に露出されている。この低摩擦板67の上に摺動スリーブ64が載置されている。
【0040】
摺動スリーブ64は、センタ軸60が摺動可能に貫通される筒軸部64aと、この筒軸部64aの一端に連続して設けられたフランジ部64bとからなっている。摺動スリーブ64のフランジ部64bは、筒軸部64aの半径方向外側に展開されており、このフランジ部64bがコイルばね66によって低摩擦板67に圧接されている。フランジ部64bの直径は低摩擦板67の貫通穴67aの直径よりも大きく形成されており、センタ軸60がどのように傾斜した場合においても、少なくともフランジ部64bの外周縁の何れかの部分が低摩擦板67の上面に押圧されるように構成している。
【0041】
低摩擦板67は、摺動スリーブ64と接触する面の摩擦抵抗を小さくして、コイルばね66のばね力に抗して摺動スリーブ64を滑らかにスライド動作(姿勢変化)させるために設けたものである。この低摩擦板67の材質としては、例えば、ポリアミド(PA)が好適であるが、これに限定されるものではなく、表面の摩擦抵抗が小さい各種のプラスチックやセラミックス等を用いることができる。また、ストッパ板68は、センタ軸60の揺動角度(姿勢変化)を制限するもので、貫通穴68aの周縁でセンタ軸60をストップさせて操作レバー2の操作角度(前後、左右及び斜め方向へ操作レバー2を傾けることができる角度)を制限している。
【0042】
センタ軸60と摺動スリーブ64とストッパ板68の材質としては、例えば、ステンレス鋼(SUS304)が好適である。しかしながら、これらの材質は、この実施例に限定されるものではなく、その他の金属を用いることができることは勿論である。
【0043】
図4、図10及び図11に示すように、摺動スリーブ64の筒軸部64aに、圧縮ばねからなるコイルばね66が装着されている。コイルばね66の一端はフランジ部64bに着座され、その他端はばね受けカップ65に着座されている。ばね受けカップ65は、コイルばね66の外径よりも大きな内径を有する円筒状のカップ部65aと、このカップ部65aの軸方向の一側に連続された小径軸部65bとを有し、カップ部65aの穴内の端面にコイルばね66の他端が着座されている。センタ軸60のばね受けカップ65より先端側にはレバー止めナット85が螺合されている。このレバー止めナット85に対して、コイルばね66のばね力でばね受けカップ65が付勢されている。レバー止めナット85は、レバー取付具15を支える機能も有しており、このレバー止めナット85の上面にレバー取付具15の下面が当接され、その当接した状態でレバー取付具15が複数の止めねじ54でセンタ軸60にねじ止めされている。
【0044】
図4に示すように、コイルばね66の周辺部には、防護用のゴムカバー86が覆われている。ゴムカバー86は、円錐形状に形成された蛇腹状の部材からなり、上端の小径側には小径部86aが設けられ、下端の大径側には大径部86bが設けられている。ゴムカバー86の小径部86aは、ばね受けカップ65の小径軸部65bに嵌合され、その小径部86aの弾性による締付力で固定されている。ゴムカバー86の大径部86bには、半径方向の内側に突出されたリング状のフランジ部86cが設けられており、このフランジ部86cの内側に、リング状に形成されたインナ取付板87が配置されている。
【0045】
ゴムカバー86の大径部86bの外側には、インナ取付板87に対応させて、矩形に形成されたアウタ取付板88が配置されており、このアウタ取付板88とインナ取付板87は、取付ねじ89を介してベース部材73に固定される。なお、アウタ取付板88とインナ取付板87をベース部材73に固定した際に、アウタ取付板88とインナ取付板87との間には隙間が形成される。そして、ゴムカバー86は、フランジ部86cをアウタ取付板88とインナ取付板87との隙間に引っかけることで、ベース部材73に取り付けられる。
【0046】
このような構成を有するジョイスティック装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、図7及び図8に示すように、第3の制御部31であるシーソー式ポテンショメータ45を、複数の固定ねじ43でポテンションメータ取付板46に取り付ける。そして、リアケース13の内側から第1開口穴32にシーソーボタン47を嵌合し、その操作部をリアケース13の下面から露出させた状態でポテンションメータ取付板46をリアケース13にねじ止めする。
【0047】
次に、第4の制御部33であるトリガースイッチ36をリアケース13に取り付ける。この場合、ボタン取付板39が取り付けられているトリガースイッチ36用の操作ボタン38をリアケース13の下側から第2開口穴34に臨ませると共に、トリガースイッチ36を有するスイッチ板37をリアケース13の内側から第2開口穴34に臨ませる。そして、複数の固定ねじ41でボタン取付板39をスイッチ板37に取り付ける。その後、複数の固定ねじ42でスイッチ板37をリアケース13にねじ止めする。これにより、図9に示すように、トリガースイッチ36とシーソー式ポテンショメータ45がリアケース13に取り付けられる。
【0048】
次に、第1の制御ボタン22をフロントケース12の第1のボタン用開口穴24に嵌め込み、第2の制御ボタン23をフロントケース12の第2のボタン用開口穴25に嵌め込み、タッチパネル20をフロントケース12のパネル用開口穴21に嵌め込む。次いで、フロントケース12の凹側をリアケース13の凹側に臨ませ、タッチパネル20に接続されたリード線と2つの制御ボタン22,23に接続されたリード線と、トリガースイッチ36に接続されたリード線と、シーソー式ポテンショメータ45に接続されたリード線を一まとめにして開口部14からケース本体11の外に引き出す。そして、フロントケース12とリアケース13を重ね合わせ、複数の固定ねじ18〜18と2組の固定ねじ49及びナット49aによって両ケース12,13をねじ結合する。これにより、フロントケース12とリアケース13が組み立てられ、ケース本体11が一体的に構成される。
【0049】
次に、二軸回動軸部3の組み立てを行い、その二軸回動軸部組立体に姿勢検出部4とゴムカバー86を組み立てる。図4、5、10及び11に示すように、まず、二軸ホルダ63の支持枠部74に第1回動軸61と第2回動軸62を組み立てる。そして、支持枠部74の一辺の外面に第1ブラケット78を取り付け、この第1ブラケット78に第1ポテンショメータ76を固定する。そして、第1ポテンショメータ76の回転軸と第1回動軸61の軸方向の一方の端部を軸継手77で連結する。次いで、第1ポテンショメータ76が取り付けられた辺と隣り合う辺の外面に第2ブラケット83を取り付け、この第2ブラケット83に第2ポテンショメータ81を固定する。そして、第2ポテンショメータ81の回転軸と第2回動軸62の軸方向の一方の軸端部62bを軸継手82で連結する。
【0050】
次に、二軸ホルダ63のベース部材73の凹部にストッパ板68と低摩擦板67を収納する。そして、低摩擦板67の貫通穴67aとストッパ板68の貫通穴68aとベース部材73の貫通穴84とにセンタ軸60の一端を貫通させ、その先端を、第1回動軸61の軸方向長穴71と第2回動軸62の軸方向長溝72に挿通する。次いで、センタ軸60に摺動スリーブ64をフランジ部64b側から挿入し、その筒軸部64aにコイルばね66を装着し、更にばね受けカップ65をセンタ軸60に挿入する。そして、センタ軸60にレバー止めナット85を螺合し、ばね受けカップ65でコイルばね66を所定量だけ圧縮させる。
【0051】
この際、防塵用のゴムカバー86を二軸ホルダ63側に取り付ける。まず、ベース部材73の所定の位置にアウタ取付板88を載置し、このアウタ取付板88にインナ取付板87を載置する。そして、複数の取付ねじ89を閉め込むことで、ベース部材93にインナ取付板87とアウタ取付板88を固定する。この際、アウタ取付板88とインナ取付板87の周縁部には、隙間が形成される。そして、この隙間にゴムカバー86のフランジ部86cを引っ掛ける。次いで、ゴムカバー86の小径部86aをばね受けカップ65の小径軸部65bに係合させる。これにより、ゴムカバー86の組立作業が完了する。
【0052】
次いで、図5に示すように、センタ軸60の先端部にレバー取付具15を取り付ける。即ち、レバー取付具15の貫通穴51にセンタ軸60の先端部を挿入し、小径部15aに設けたねじ孔52に止めねじ54を螺合し、この止めねじ54でセンタ軸60の先端部を側方から押圧する。これにより二軸回動軸部組立体の組立工程が終了する。
【0053】
次に、図5に示すように、二軸回動軸部組立体のレバー取付具15に操作レバー2の開口部14を臨ませる。そして、フロントケース12に設けた位置決め突起55をレバー取付具15の軸方向溝53に係合させて位置決めすると共に、所定の深さまで挿入し、レバー取付具15の下端面をレバー止めナット85に当接させる。これにより、二軸回動軸部組立体に対して操作レバー2が所定位置に位置決めされる。その後、フロントケース12とリアケース13の各フランジ部12b,13aを複数の固定ねじ57〜57でレバー取付具15の大径部15bに締め付け固定する。これにより、ジョイスティック装置1の組立作業が完了する。
【0054】
このようにして組み立てられる本実施例のジョイスティック装置1は、例えば、次のようにして使用することができる。このジョイスティック装置1は、例えば、建設機械の油圧ショベル、ブルドーザ、タイヤ式ローダ、その他の建設機械及び産業車輌、ロボット操作用コントローラ、医療機器、更に、大型コンバイン等の農業機械等に用いて好適である。しかしながら、本発明は、これらの建設機械や農業機械に限定されるものではなく、例えば、ゲーム機、コピー機その他各種の機械、装置に適用することができるものである。本実施例では、建設機械の油圧ショベルに適用した例について説明する。
【0055】
図14は、本実施例の位置入力制御装置100について、油圧ショベルのブームによって動作されるパケットを制御対象として適用したものである。図14は、位置入力制御装置100の一実施例の概略構成を示すもので、ジョイスティック装置1とタッチパネル20と制御部101等を備えて構成されている。制御部101は、中央処理装置110と、RAM,ROM等からなる記憶装置111等を備えており、記憶装置111に記憶された情報に基づいて中央処理装置110が所定の演算処理を実行し、その処理結果に基づいて制御部101から制御対象である油圧ショベル200に制御信号が出力される。
【0056】
制御部101の中央処理装置110は入出力装置(I/O:インターフェース)102と接続されており、入出力装置102にはジョイスティック装置1とタッチパネル20と第1及び第2の制御ボタン22,23と表示部120とが電気的に接続されている。制御部101に対してジョイスティック装置1からは、操作レバー2の揺動姿勢に応じて出力される第1の相対位置情報を表すX軸方向のX1軸情報と、同じくY軸方向のY1軸情報と、同じくZ軸方向のZ軸情報とが供給される。そして、制御部101に対してタッチパネル20からは、タッチパネル20の入力面に対する指の接触状態に応じて出力される第2の相対位置情報を表すX軸方向のX2軸情報と、同じくY軸方向のY2軸情報とが供給される。
【0057】
また、制御部101に対して第1の制御ボタン22からは、例えば、制御対象に対して第1の制御情報を出力し、制御対象がX軸方向に動くのを規制するX軸方向ロック情報が供給される。また、第2の制御ボタン23からは、例えば、制御対象に対して第2の制御情報を出力し、制御対象がY軸方向に動くのを規制するY軸方向ロック情報が供給される。そして、例えば液晶ディスプレイによって構成される表示部120には、制御部101からの出力に基づいて制御対象の制御情報等が表示される。
【0058】
制御部101では、ジョイスティック装置1からのX1軸情報とタッチパネル20からのX2軸情報とに基づいてX軸方向への移動量X(=X1+X2)を決定し、その決定に対応した制御信号を出力する。同様に、制御部101は、ジョイスティック装置1からのY1軸情報とタッチパネル20からのY2軸情報とに基づいてY軸方向への移動量Y(=Y1+Y2)を決定し、その決定に対応した制御信号を出力する。なお、制御部101は、ジョイスティック装置1からのZ軸情報によっては、その情報に対応した制御信号を出力し、第1及び第2の制御ボタン22,23からの制御情報によっては、その情報に対応した制御信号を出力する。
【0059】
本実施例の位置入力制御装置100の具体的な動作は、例えば、次のようなものである。まず、把持部16を持つ手で操作レバー2を第1の方向である前方又は後方(Y軸方向)に移動させると、操作レバー2の姿勢変化に応じた第1の相対位置情報のうちY軸方向に関する位置情報(Y1位置情報)が第1ポテンショメータ76から制御部101に出力される。この操作レバー2の揺動操作は、一般的に粗いものであって変化量が大きいために、制御対象を目的の状態に近い状態まで迅速に制御動作させることができる。
【0060】
これに続いて、把持部16を持った手の指を接触位置入力部であるタッチパネル20の操作面に接触させ、その指を、Y軸方向における目的の状態に相当する部位まで接触状態で移動させる。これにより、指の移動量に応じた第2の相対位置情報のうちY軸方向に関する位置情報(Y2位置情報)がタッチパネル20から制御部101に出力される。この指による移動操作は、一般的に微細なものであり、その変化量が小さいために、制御対象を目的の状態まで確実に移動させて、精度良く制御動作させることができる。
【0061】
一方、把持部16を持つ手で操作レバー2を第2の方向である右方又は左方(X軸方向)に移動させると、操作レバー2の姿勢変化に応じた第1の相対位置情報のうちX軸方向に関する位置情報(X1情報)が第2ポテンショメータ81から制御部101に出力される。この操作レバー2の揺動操作は、一般的に粗いものであって変化量が大きいために、制御対象を目的の状態に近い状態まで迅速に制御動作させることができる。
【0062】
これに続いて、把持部16を持った手の指を接触位置入力部であるタッチパネル20の操作面に接触させ、その指を、X軸方向における目的の状態に相当する部位まで接触状態で移動させる。これにより、指の移動量に応じた第2の相対位置情報のうちX軸方向に関する位置情報(X2位置情報)がタッチパネル20から制御部101に出力される。この指による移動操作は、一般的に微細なものであり、その変化量が小さいために、制御対象を目的の状態まで確実に移動させて、精度良く制御動作させることができる。
【0063】
また、把持部16を持つ手の指で操作レバー2に設けた第3の制御部31であるシーソー式ポテンショメータ45のシーソーボタン47の前側部分又は後側部分を押圧すると、その押圧によるシーソーボタン47の変位量に応じたZ軸方向に関する位置情報(Z位置情報)がシーソー式ポテンショメータ45から制御部101に出力される。これにより、シーソー式ポテンショメータ45の操作に対応した制御信号が制御部101から制御対象に出力される。その結果、シーソーボタン47の前側部分を押圧しているときには制御対象を目的の上方位置まで上昇させる制御が実行され、シーソーボタン47の後側部分を押圧しているときには制御対象を目的の下方位置まで下降させる制御が実行される。
【0064】
また、把持部16を持つ手の指で操作レバー2に設けた第4の制御部33であるトリガースイッチ36の操作ボタン38を押圧すると、その押圧操作によって制御対象の動力源である駆動モータの電力が切り換えられ、その状態を表す制御情報がトリガースイッチ36から制御部101に出力される。これにより、トリガースイッチ36の操作に基づく制御信号が制御部101から制御対象に出力される。その結果、駆動モータの電力が大きくなると、制御対象の動作が速く或いは強くなり、駆動モータの電力が小さくなると、制御対象の動作が遅く或いは弱くなる制御が実行される。
【0065】
一方、把持部16を持つ手の指で操作レバー2に設けた第1の制御ボタン22をオンすると、その制御情報が制御部101に供給され、第1の制御ボタン22の操作に基づく制御信号が制御部101から制御対象に出力される。これにより、制御対象がX軸方向に動くのを規制するX軸方向ロックの制御が実行される。そして、第1の制御ボタン22をオフすることにより、X軸方向ロックの制御が解除される。また、第2の制御ボタン23をオンすると、その制御情報が制御部101に供給され、第2の制御ボタン23の操作に基づく制御信号が制御部101から制御対象に出力される。これにより、制御対象がY軸方向に動くのを規制するY軸方向ロックの制御が実行される。そして、第2の制御ボタン23をオフすることにより、Y軸方向ロックの制御が解除される。
【0066】
このような制御を実行し得るジョイスティック装置1の二軸回動軸部3における動作を簡単に説明すると、次のようなものである。操作レバー2が取り付けられるセンタ軸60には摺動スリーブ64がスライド可能に嵌合されており、その摺動スリーブ64がコイルばね66のばね力によって低摩擦板67に付勢されている。コイルばね66の一端は、センタ軸60に固定されたばね受けカップ65に着座されているため、操作レバー2を揺動させてセンタ軸60を傾けると、コイルばね66のばね力に抗して摺動スリーブ64が押し上げられる。このような摺動スリーブ64の動作により操作レバー2を、前後方向、左右方向、斜め方向の四方八方何れの方向に対しても自由に揺動させることができる。なお、操作レバー2の揺動運動は、ストッパ板68に設けた貫通穴68aの範囲内において行うことができる。
【0067】
本実施例では、タッチパネル20上でX軸及びY軸(二次元)の位置を指先で指示入力することにより、ジョイスティック装置1の操作レバー2の操作による出力(X1軸、Y1軸、Z軸の3出力)とは別の独立した2出力(X2軸、Y2軸)が得られる。これにより、次のような使い方が可能となる。
【0068】
操作レバーは手で押し倒すように操作されるため、操作角度に応じた操作レバー2によるX1軸及びY1軸による出力も手動感覚がそのまま出力に反映されることになるが、ジョイスティック装置を使うアプリケーションによっては手動による操作角度指示だけでは出力の微調整が難しい場合が考えられる。
これに対して、本発明では、タッチパネル20上で指示したX軸及びY軸の出力を、それぞれジョイスティック装置1の操作レバー2の操作によるX軸及びY軸の出力に対する微調整用出力として構成することで、操作角度指示の操作レバー2による粗調整機能とタッチパネル20による微調整機能を簡単に構成することができ、操作角度の制度を高めることができる。
【0069】
この場合において、ジョイスティック装置1の出力を粗調整用とし、タッチパネル20の出力を微調整用として構成したが、これらを逆に構成して、ジョイスティック装置1の出力を微調整用とし、タッチパネル20の出力を粗調整用としてもよい。なお、操作レバー2は、手で操作することから操作レバー2を一定の位置に保持し続けることが難しいため、操作レバー2を動かしながらタッチパネル20を操作した場合、操作レバー2による出力(粗調整)がぶれて、タッチパネル20操作による微調整の効果が見込めなくなる場合も考えられる。しかしながら、操作レバー2に設けた第1、第2の制御ボタン22,23を、操作レバー2による出力のロック及びロック解除機能として使うことで、操作レバー2のふらつきの影響を受けずに、タッチパネル20操作による微調整機能を確保することができる。
【0070】
また、ジョイスティック装置1を手元で操作する場合、ジョイスティック装置1を見ながら操作レバー2を動かすことは一般的ではないため、スイッチを操作する際は、指先感覚でスイッチを特定してオン・オフ操作することになるが、第1、第2の制御ボタン22,23とタッチパネル20上のスイッチを、次のように連動させることで問題が生じるのを防ぐことができる。
例えば、タッチパネル20上には操作レバー2を握った状態でも位置を特定できるようなスイッチ入力領域をパネル上に配置(例えば、左右に分けた2箇所や四隅に分けた4箇所等)し、どの入力領域でスイッチを押したか、押した回数は何回か、等で押しボタンスイッチの接続を切り替えるようにする。これにより、押しボタンスイッチを階層化して使うことができるようになる。
【0071】
この際、照光式の押しボタンスイッチを使用してタッチパネルスイッチで入力された情報を押しボタンスイッチの照光量若しくは発光色にフィードバックすることで、押しボタンスイッチの今の状態を容易に判別することが可能となる。また、押しボタンスイッチで操作レバー2とタッチパネル20の連動オン/オフに切り替え、連動の有効・無効を選択可能として使用することも可能である。この場合、連動無効時はジョイスティック装置1を通常の入力装置として使うことができるため、ジョイスティック装置1を組み込んだシステムへのデータ入力や情報表示等として活用することができる。
【0072】
以上説明したが、本発明は、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施例においては、押しボタンスイッチ2個、トリガースイッチ1個の合計3個のメカスイッチを使用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。更に、実施例中のポテンショメータは接触式のものであるが、ホール素子やインダクタンスを使った無接触式のポテンショメータであってもよいことは勿論である。また、タッチパネルは、制御対象との間で信号の送受信が可能な機器等からの指令信号に基づいて、画面表示が切り替わる機能を有することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…ジョイスティック装置、 2…操作レバー、 3…二軸回動軸部、 4…姿勢検出部、 5…接触位置入力部、 11…ケース本体、 12…フロントケース、 13…リアケース、 14…開口部、 15…レバー取付具、 16…把持部、 20…タッチパネル(接触位置入力部)、 22,23…制御ボタン、 31…第3の制御部、 33…第4の制御部、 36…トリガースイッチ、 45…シーソー式ポテンショメータ、 55…位置決め突起、 60…センタ軸、 61…第1回動軸、 62…第2回動軸、 63…二軸ホルダ、 64…摺動スリーブ、 65…ばね受けカップ、 66…コイルばね、 67…低摩擦板、 68…ストッパ板、 76…第1ポテンショメータ、 81…第2ポテンショメータ、 85…レバー止めナット、 86…ゴムカバー、 100…位置入力制御装置、 101…制御部、 200…制御対象


【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を有し且つ揺動可能に支持されて揺動姿勢に応じて第1の相対位置情報を出力する操作レバーと、
前記操作レバーの把持部に設けられ且つ指が接触することで第2の相対位置情報を出力する接触位置入力部と、
を備えたジョイスティック装置。
【請求項2】
前記接触位置入力部は、表示機能のあるタッチパネルである
請求項1記載のジョイスティック装置。
【請求項3】
前記タッチパネルは、形態の異なる複数の画面に切り替え可能である
請求項2記載のジョイスティック装置。
【請求項4】
前記把持部に、前記接触位置入力部とは別に、制御対象を制御するための制御情報を出力する一又は二以上の操作ボタンを設けた
請求項1記載のジョイスティック装置。
【請求項5】
把持部を有し且つ揺動可能に支持されて揺動姿勢に応じて第1の相対位置情報を出力する操作レバーと、
前記操作レバーの把持部に設けられ且つ指が接触することで第2の相対位置情報を出力する接触位置入力部と、
前記第1の相対位置情報と前記第2の相対位置情報とに基づいて制御対象を制御する制御部と、
を備えた位置入力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−234278(P2012−234278A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101227(P2011−101227)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000120489)栄通信工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】