説明

ジルコニア及びシリカナノ粒子を含む充填剤、並びにコンポジット材料

シリカ−ジルコニアナノクラスタを含有する充填剤が開示される。充填剤は、シリカナノ粒子のゾルと、予成形結晶ナノジルコニア粒子のゾルとを混合することにより調製され得る。充填剤は、乳白光等の所望の光学特性を提供し、歯科用組成物において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用コンポジット材料を含む、コンポジット材料で用いるためのナノ粒子充填剤に関する。より具体的には、本発明は、歯科用組成物で用いるための、乳白光等の所望の光学特性を提供するシリカ−ジルコニアナノクラスタを含む充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数世紀にわたって、歯科医及び歯科患者の間で、より美しい歯科修復に対する要求が高まっている。歯科業界が審美歯科に重点的に取り組みようになったことにより、天然歯の外観により酷似している歯科修復組成物の開発が進んだ。例えば、より天然に近い外観の歯科修復を行うために、例えば、金属アマルガム充填剤の代わりに用いることができる、歯の色をしたコンポジット樹脂材料が開発された。近年、余所目には実質的に分からないほど天然に近い外観の歯科修復を歯科医が行うことを可能にする、陰影系及び不透明度の選択肢を備える、シリカ及び/又はジルコニアナノ充填剤を含有する審美性の高いコンポジット材料が入手可能になった。
【0003】
天然歯のエナメル質は、より短い(青)光の波長を優先的に屈曲させるという、乳白光品質を有するため、暗色背景に対しては青みがかって見え、白色背景に対してはよりオレンジ/黄色に見える。乳白光を発する歯科用コンポジットが開発されているが、シリカ−ジルコニアナノ充填剤系を用いる歯科用コンポジットはこの特性を欠いていることが多い。シリカ−ジルコニアナノ充填剤は多くの有益な特性を付与するにもかかわらず、乳白光を発しないことが欠点と見られる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、歯科用コンポジットの好適な取扱性、X線不透過性、透明性、半透明性、及び他の所望の特性を維持しながら、天然歯の外観をより模倣するために乳白光を発する特性を有する歯科用コンポジットを提供する、充填剤系、特にシリカ−ジルコニアナノ充填剤系が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コンポジット材料で使用するための充填剤を特徴とする。充填剤は、反射及び透過の両方において優れた光学的透明性と共に、乳白光及びX線不透過性を提供するジルコニア及びシリカナノ粒子のクラスタを含む。
【0006】
充填剤は、(a)約3nm〜約30nmの直径を有する、予め成形された結晶ジルコニアナノ粒子を含むジルコニアゾルを提供し、(b)約10nm〜約100nmの直径を有するシリカナノ粒子を含むシリカゾルを提供し、(c)ジルコニアゾルとシリカゾルとを組み合わせて、ジルコニア及びシリカナノ粒子の混合物を形成し、(d)その混合物を約450℃〜約950℃の温度に加熱し、次いで得られた物質を粉砕して、約0.25マイクロメートル〜約50マイクロメートルの直径を有するシリカ−ジルコニアナノクラスタを含む充填剤を形成することにより調製され得る。
【0007】
典型的には、ナノジルコニアゾルは、ナノシリカゾルと混合する前に酸還元される。幾つかの実施では、シリカナノ粒子及びジルコニアナノ粒子は、得られるナノクラスタ中に均一に分布する。所望により、方法は、例えば、シランカップリング剤でシリカ−ジルコニアナノクラスタを表面処理するか、又は類似の処理を行って、樹脂成分への組み込みを補助する工程を更に含む。
【0008】
本発明のジルコニア−シリカ充填剤は、歯科用コンポジット材料を含む、コンポジット材料において有用である。幾つかのコンポジットは、典型的には、メタクリレート又は他のエチレン性不飽和化合物等の重合性成分、反応開始剤系、及びシリカ−ジルコニアナノクラスタを含む充填剤を含む。これらコンポジット材料は、典型的には、少なくとも15、より典型的には少なくとも18、最も典型的には少なくとも20のCab値を有する。
【0009】
典型的には、本発明の歯科用コンポジットは、約1.44〜約1.65、より典型的には約1.50〜約1.6、最も典型的には約1.50〜約1.56の屈折率を有する。コンポジットはまた、典型的には、優れた取扱特性、X線不透過性、低い曇り度(典型的には70ヘイズ(haze unit)未満、より典型的には60ヘイズ未満、最も典型的には55ヘイズ未満)を示し、方向に依存しない透明性又は半透明性を有する、即ち、透明性は物質を透過する光の角度にそれ程依存せず、これにより、歯科用修復材(例えば、充填材、流動性修復材、予成形クラウン及びブリッジ、暫間修復材)、歯科用接着剤、歯科用セメント、キャビティーライナ、歯列矯正用接着剤、歯科用シーラント、歯科用コーティング等を含む種々の歯科用途及び歯列矯正用途において有益になる。組成物及び関連する方法を用いて、例えば、歯科用充填剤、歯科用ミルブランク(mill blank)、歯科用クラウン及びブリッジ、歯科補綴、歯列矯正装置等を形成するために硬化させることにより、歯科用物品を調製することができる。
【0010】
上記の要約は、本発明の各実施形態又はあらゆる実施を記載するものではない。本発明の他の実施形態、特徴及び利点は、本発明の実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」から明らかになるであろう。
【0011】
定義
「結晶ジルコニア」とは、X線回折において有意な結晶(単斜晶、正方晶、立方晶、又は偽立方晶)ピークを呈するジルコニアを意味する。典型的には、結晶ジルコニアは、全文を参照することにより本明細書に援用する、1999年10月28日出願の米国特許第6,376,590号(Kolbら)、又は2007年6月7日出願の米国特許第7,429,422号(Davidsonら)に記載されているジルコニアゾルの結晶化度パラメータを満たす。
【0012】
「予成形」結晶ジルコニアナノ粒子とは、充填剤を製作するために用いられるゾルが、充填剤の乾燥及び焼成前にゾル内に結晶性であるジルコニア粒子を有することを意味する。
【0013】
「ゾル」とは、固体が液体に懸濁している連続液相を有するコロイドを意味する。典型的には、ゾルは、液体中の直径1〜500nmの固体粒子の安定なコロイド懸濁液であり、粒子は、通常、凝集又は塊化していない。
【0014】
本明細書で使用するとき、「硬化性」は、(例えば、蒸発及び/又は加熱により)例えば溶媒を除去する、加熱して重合及び/若しくは架橋を誘発する、放射線を照射して重合及び/若しくは架橋を誘発する、並びに/又は1つ以上の成分を混合して重合及び/若しくは架橋を誘発することにより硬化(例えば、重合又は架橋)又は固化され得る材料又は組成物の記述である。
【0015】
「歯科用組成物」とは、口腔表面に塗布され得る又は接着し得る無充填又は充填(例えば、コンポジット)材料(例えば、歯科用又は歯列矯正用材料)を意味する。歯科用組成物としては、例えば、接着剤(例えば、歯科用及び/又は歯列矯正用接着剤)、セメント(例えば、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、及び/又は歯列矯正用セメント)、プライマー(例えば、歯列矯正用プライマー)、修復材(例えば、修復用充填材)、ライナー、シーラント(例えば、歯列矯正用シーラント)、並びにコーティングが挙げられる。しばしば、歯科組成物は、歯科物品を歯牙構造に固着させるために使用される場合がある。
【0016】
「硬化性歯科用組成物」とは、歯科用物品を形成するために硬化され得る、ペースト等の歯科用組成物を意味する。
【0017】
「歯科用物品」とは、口腔表面(例えば、歯牙構造)に接着(例えば、固着)し得る物品を意味する。典型的には、歯科用物品は、修復される歯列又はその一部である。例としては、修復材、置換材、インレー、アンレー、ベニヤ、完全及び部分クラウン、ブリッジ、インプラント、インプラント橋脚歯、コーピング、前歯填塞剤、後方歯填塞剤、キャビティーライナー、シーラント、義歯、ポスト、ブリッジフレームワーク及び他のブリッジ構造、橋脚歯、歯列矯正器具及び装置、並びに補綴(例えば、部分入れ歯又は総入れ歯)が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「歯科用組成物」及び「歯科用物品」は、歯科用途で用いられる組成物及び物品に限定されないが、それぞれ歯列矯正用組成物(例えば、歯列矯正用接着剤)及び歯列矯正用装置(例えば、保定装置、ナイトガード、ブラケット、バッカルチューブ、バンド、クリート、ボタン、舌保定装置、咬合オープナー、ポジショナー等)も含む。
【0019】
「口腔表面」とは、口腔環境中の軟質又は硬質表面を意味する。硬質表面としては典型的に、例えば、天然及び人口歯の表面、骨、歯の模型、象牙質、エナメル質、セメント質等を包含する歯牙構造が挙げられる。
【0020】
「充填剤」とは、口内環境に使用するのに適した微粒子物質を意味する。一般に、歯科充填剤は、最大100マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0021】
「ナノ充填剤」とは、最大200ナノメートルの平均一次粒径を有する充填剤を意味する。ナノ充填剤成分は、単一のナノ充填剤であってよく、又はナノ充填剤の組み合わせであってよい。典型的にナノ充填剤は、非発熱性ナノ粒子又はナノクラスタを含む。「ナノ構造化」とは、少なくとも1つの寸法が、平均で、最大200ナノメートルである形態の材料(例えば、ナノサイズの粒子)を意味する。したがって、ナノ構造化材料とは、例えば、本明細書において以下のように定義されるナノ粒子を包含する材料を意味する;ナノ粒子の集合体;粒子上にコーティングされた材料、ここでコーティングは、最大200ナノメートルの平均厚さを有する;粒子の集合体上にコーティングされた材料、ここでコーティングは、最大200ナノメートルの平均厚さを有する;最大200ナノメートルの平均孔径を有する多孔質構造に侵潤された材料;及びこれらの組み合わせ。多孔質構造は、例えば、多孔質粒子、粒子の多孔質集合体、多孔質コーティング、及びこれらの組み合わせを包含する。
【0022】
本明細書で使用するとき「ナノ粒子」は、「ナノサイズの粒子」と同意であり、最大200ナノメートルの平均サイズを有する粒子を指す。本明細書で使用するとき、球状粒子において、「サイズ」とは粒子の直径を指す。本明細書で使用するとき、非球状粒子において、「サイズ」とは、粒子の最長の寸法を指す。特定の実施形態では、ナノ粒子は、別個の非塊化及び非凝集粒子から構成される。
【0023】
「ナノクラスタ」とは、それらを塊、即ち凝集体にする比較的弱い分子間力によって共に引きつけられるナノ粒子の会合を意味する。典型的に、ナノクラスタは、最大10マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「エチレン性不飽和化合物」は、少なくとも1つのエチレン性不飽和を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含むことを意味する。
【0025】
「重合」とは、モノマー又はオリゴマーから、より高重量の物質を形成することを意味する。重合反応はまた、架橋反応を含み得る。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はその組み合わせの略称参照であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル又はその組み合わせの略称参照である。本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリレート官能性化合物」とは、とりわけ、(メタ)アクリレート部分を包含する化合物である。
【0027】
「含む」、「含んでいる」という用語及びその変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、限定的な意味を有しない。
【0028】
本明細書において端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図される(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0029】
本明細書で使用するとき、別段の指定が無い限り、不定冠詞は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味する。加えて、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、複数の指示物を含む。したがって、例えば「化合物」を含有する組成物の言及は、二種以上の化合物の混合物を含む。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0031】
特に指示がない限り、本明細書及び本特許請求の範囲で使用される成分量、例えばコントラスト比等の性質の測定値を表す全ての数字全ての場合において「約」という語句によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に異議を唱えない限り、先の明細書及び添付した特許請求の範囲に記述されている数値パラメータは、当業者により本発明の技術を利用して獲得しようとされてきた所望の性質に応じて変化しうる概算である。最低限でも、また、特許請求の範囲への同等物の原則の適用を限定する試行としてではなく、少なくとも各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、そして通常のまるめ方を適用することによって解釈されなければならない。本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値もそれらの各試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】角度依存性半透明コンポジットと、角度非依存性半透明コンポジットとの差を示す図。図1Aでは、コンポジット材料(2)は、観察者(1)により真っ直ぐに見られる。この状況では、実施例E1〜E3、並びに比較例CE1及びCE2は、透明であった。
【図1B】角度依存性半透明コンポジットと、角度非依存性半透明コンポジットとの差を示す図。図1Bでは、コンポジット材料(2)は、観察者(1)に対して角度を成して見られる。この状況では、実施例E1〜E3は、透明なままであるが、比較例CE1及びCE2は、真っ直ぐに見られたときよりも不透明であった。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、シリカのナノ粒子(SiO)及びジルコニアのナノ粒子(ZiO)から構成される充填材を提供する。シリカ及びジルコニアナノ粒子は、典型的には、シリカ−ジルコニアナノクラスタの形態で集塊している。本発明の幾つかの実施では、シリカのナノ粒子及びジルコニアのナノ粒子は、ナノクラスタ全体にわたって均一に分布しており、このナノクラスタは、所望により、樹脂への組み込みを強化するために、シラン又は他の好適なカップリング剤で表面処理されていてもよい。
【0034】
本発明のシリカ−ジルコニアナノクラスタ充填剤は、ナノシリカゾルを予成形ナノジルコニア微粒子ゾルと混合することにより調製される。ナノジルコニアゾルは、典型的には、結晶ジルコニアナノ粒子から構成される。ジルコニア源は、得られる充填材の乳白光に影響を与えると考えられている。以下の実施例に示すように、予成形ナノジルコニアゾルの使用は、特定の状況では、酢酸ジルコニルから誘導されるものよりも優れた乳白光特性を有するシリカ−ジルコニアナノ充填剤を提供する。具体的には、本発明のシリカ−ジルコニアナノクラスタ充填材を含有するコンポジット材料は、典型的には、少なくとも15、より典型的には少なくとも18、及び最も典型的には少なくとも20の乳白光値(Cab)を示す。酢酸ジルコニルから誘導されるシリカ−ジルコニアナノクラスタ充填剤は、典型的には、低い乳白光値を有する、又は全く乳白光を発しない。
【0035】
乳白光に加えて、シリカ−ジルコニアナノクラスタ充填材は、幾つかの実施形態では、酢酸ジルコニルから誘導される充填剤と比べたとき、物質が見られる角度にそれほど依存しないX線不透過性、透明性、及び光透過性を提供する。このような光学特性は、天然歯と比べたとき外観が実物に酷似しており、かつ流動性歯科用修復材、予成形歯科用クラウン及びブリッジ、暫間歯科材料、並びに他の修復用歯科材料を含む、様々な製品分野で望ましい材料を提供する。
【0036】
本発明のシリカ−ジルコニアナノクラスタ充填剤は、様々な異なるコンポジット材料中で用いることができ、また硬化性歯科用組成物で使用するのに特に好適である。このような材料は、典型的には、重合性成分、反応開始剤系、1種以上の充填剤、及び1種以上の任意の添加剤を含む。これらの各成分について、以下でより詳細に論じる。
【0037】
重合性成分
本発明の歯科用組成物は、典型的には重合性成分が存在するため、硬化性である。幾つかの実施形態では、組成物は、口腔表面に塗布する前に硬化させ得る(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術によって重合し得る)。他の実施形態では、組成物は、口腔表面に塗布された後に硬化させ得る(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術によって重合し得る)。
【0038】
特定の実施形態では、組成物は光重合性である、即ち、組成物は、化学線を照射した際に組成物の重合(又は硬化)を開始する、光反応開始剤系を含有する。他の実施形態では、組成物は化学的に硬化性である、即ち、組成物は、化学線の照射に依存することなく、組成物を重合、硬化、又は別の方法で硬化させ得る化学反応開始剤(即ち、反応開始剤系)を含有する。このような化学硬化性組成物は、時に、「自己硬化」組成物と呼ばれる。
重合性成分は、典型的には、酸官能基を有する又は有しない1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
組成物、特に光重合性実施では、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含してもよい、フリーラジカル活性官能基を有する化合物を包含してもよい。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。このようなラジカル重合可能な化合物としては、モノ−、ジ−又はポリ−(メタ)アクリレート(即ち、アクリレート及びメタクリレート)例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;(メタ)アクリルアミド(即ち、アクリルアミド及びメタクリルアミド)例えば、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、並びにジアセトン(メタ)アクリルアミド;ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリレート(好ましくは、分子量200〜500)、米国特許第4,652,274号(Boettcherら)に記載されているような、アクリレート化されたモノマーの共重合性混合物、米国特許第4,642,126号(Zadorら)に記載されているような、アクリレート化されたオリゴマー、並びに米国特許第4,648,843号(Mitra)に開示されているもののような、ポリ(エチレン部が不飽和の)カルバモイルイソシアヌレート、並びにビニル化合物、例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート及びジビニルフタレートが挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開第00/38619号(Guggenbergerら)、同第01/92271号(Weinmannら)、同第01/07444号(Guggenbergerら)、同第00/42092号(Guggenbergerら)に開示されているシロキサン官能性(メタ)アクリレート、並びに例えば、米国特許第5,076,844号(Fockら)、同第4,356,296号(Griffithら)、欧州特許第0373 384号(Wagenknechtら)、同第0201 031号(Reinersら)、及び同第0201 778号(Reinersら)に開示されているフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2つ以上のフリーラジカル重合可能な化合物の混合物を使用することが可能である。
【0040】
重合性成分はまた、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基も含有してよい。こうした物質の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;並びに2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物はまた、多種多様な供給元、例えばSigma−Aldrich,St.Louisから入手可能である。必要に応じて、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することが可能である。
【0041】
特定の実施形態では、重合性成分としては、PEGDMA(分子量が約400のポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、米国特許第6,030,606号(Holmes)に記載されるようなビスEMA6、及び/又はNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)が挙げられる。必要に応じて、種々の組み合わせのこれら硬化性成分を使用してもよい。
【0042】
組成物が、酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物を含有するとき、一般に、無充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、より典型的には少なくとも10重量%、最も典型的には少なくとも15重量%の量の、酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物が存在する。本発明の組成物は、無充填組成物の総重量に基づいて、典型的には最大95重量%、より典型的には最大90重量%、最も典型的には最大80重量%の、酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物を包含する。
【0043】
幾つかの実施形態では、重合性成分は、酸官能基を有する1つ以上のエチレン性不飽和化合物を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「酸官能基を有する」エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和並びに酸及び/又は酸−前駆体官能基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーが包含されることを意味する。酸−前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0044】
酸性官能性を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、α,β−不飽和酸性化合物、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸等が挙げられる。これらは、硬化性成分系中の成分として使用してもよい。(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリル化酸(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)等の不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマー、並びにこれらの無水物を使用することも可能である。本発明のある種の好ましい組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
【0045】
特定のこれら化合物は、例えば、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との反応生成物として得られる。酸官能基及びエチレン性不飽和成分の両方を有するこの種の追加の化合物は、米国特許第4,872,936号(Engelbrecht)及び同第5,130,347号(Mitra)に記載されている。エチレン性不飽和部分及び酸部分の両方を含有する多種多様のこのような化合物を使用することが可能である。必要に応じて、このような化合物の混合物を使用することが可能である。
【0046】
酸官能基を有する追加のエチレン性不飽和化合物には、例えば、2002年12月30日出願の米国特許仮出願第60/437,106号に記載のような重合性ビスホスホン酸;AA:ITA:IEM(アクリル酸:メタクリレートのペンダントを有するイタコン酸のコポリマーであって、例えば、米国特許第5,130,347号(Mitra)の実施例11に記載のように、AA:ITAコポリマーを十分な2−イソシアネートエチルメタクリレートと反応させて、コポリマーの酸基の一部分をペンダントメタクリレート基に変換することによって作製される);及び米国特許第4,259,075号(Yamauchiら)、同第4,499,251号(Omuraら)、同第4,537,940号(Omuraら)、同第4,539,382号(Omuraら)、同第5,530,038号(Yamamotoら)、同第6,458,868号(Okadaら)、及び欧州特許出願第712,622(Tokuyama Corp.)並びに欧州特許第1,051,961号(Kuraray Co.,Ltd.)に列挙される物が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物はまた、エチレン性不飽和化合物と酸官能基との組み合わせを含み、それらは、例えば、2004年8月11日出願の米国特許出願公開第2007/0248927号(Luchterhandtら)に記載されている。組成物はまた、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物との混合物を含んでもよい。
【0048】
組成物が酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含有するとき、一般に、無充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも3重量%、最も典型的には少なくとも5重量%の量の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が存在する。本発明の組成物は、無充填組成物の総重量に基づいて、典型的には最大で80重量%、より典型的には最大で70重量%、最も典型的には最大で60重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を包含する。
【0049】
反応開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は光重合性である、即ち、この組成物は、化学線の照射時に、組成物の重合(又は硬化)を開始する光重合性成分及び光反応開始剤系を含有する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合性又はカチオン重合性であってもよい。
【0050】
フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに好適な光反応開始剤(即ち、1つ以上の化合物を含む光反応開始剤系)としては、二成分及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光反応開始剤は、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されたようなヨードニウム塩、光増感剤及び電子供与体化合物を含む。好適なヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩である。好適な光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の一部の光を吸収するモノケトン及びジケトンである。特に好適な化合物としては、400nm〜520nm(更により好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の光を吸収するαジケトンが挙げられる。好適な化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状α−ジケトンである。好適な電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン重合性樹脂を光重合させるのに有用な他の好適な三級光反応開始剤系は、例えば米国特許第6,765,036号(Dedeら)に記載されている。
【0051】
フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに有用な他の光反応開始剤としては、典型的に機能的波長範囲が380nm〜1200nmであるホスフィンオキシドの部類が挙げられる。好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル反応開始剤は、380nm〜450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号(Lechtkenら)、同第4,324,744号(Lechtkenら)、同第4,385,109号(Lechtkenら)、同第4,710,523号(Lechtkenら)、及び同第4,737,593号(Ellrichら)、同第6,251,963号(Kohlerら);及び欧州特許出願公開第0173567A2号(Ying)に記載されているもののようなアシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
【0052】
380nm〜450nmを超える波長範囲で照射されたときフリーラジカル反応開始可能な市販のホスフィンオキシド光反応開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819、Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403、Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(IRGACURE 1700、Ciba Specialty Chemicals)の重量で25:75混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 4625、Ciba Specialty Chemicals)の重量で1:1混合物、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(LUCIRIN LR8893X、BASF Corp.,Charlotte,NC)が挙げられる。
【0053】
典型的には、ホスフィンオキシド反応開始剤は、無充填組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜5.0重量%等、触媒的に有効な量で光重合性組成物中に存在する。
【0054】
三級アミン還元剤を、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。本発明で有用な三級アミンの一例としては、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、無充填組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜5.0重量%の量で光重合性組成物中に存在する。他の反応開始剤の有用な量は、当業者には周知である。
【0055】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、化学的に硬化可能である、即ち、組成物は、化学硬化性成分と、化学線の照射に依存することなく重合、硬化、又は別の方法で組成物を硬化できる化学反応開始剤(即ち、反応開始剤系)とを含有する。このような化学的硬化性組成物は、時に、「自己硬化」組成物と呼ばれる。
【0056】
化学硬化性組成物は、重合性成分(例えば、エチレン性不飽和重合性成分)並びに酸化剤及び還元剤を包含するレドックス剤を含むレドックス硬化系を包含してもよい。好適な硬化性成分、レドックス剤、任意の酸官能基成分、及び本発明において有用な任意の充填剤は、米国特許出願公開第2003/0166740号(Mitraら)、及び同第2003/0195273号(Mitraら)に記載されている。
【0057】
還元剤及び酸化剤は、互いに反応、又は別の方法で協働して、樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始させることができるフリーラジカルを生成すべきである。この種の硬化は、暗反応である、即ち、光の存在に依存せずかつ光が存在しない状態下で進行可能である。還元剤及び酸化剤は、典型的な歯の状態下での保存及び使用が可能な程度の十分な保管安定性がありかつ不不所望の着色が無いことが好ましい。それらは樹脂系と十分に混和性(かつ好ましくは水溶性)であり、組成物の他の成分に容易に溶解可能で(かつそこから分離しないようなもので)なければならない。
【0058】
有用な還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及び米国特許第5,501,727号(Wangら)に記載されているようなアスコルビン酸化合物;アミン、特に4−t−ブチルジメチルアニリン等の三級アミン;p−トルエンスルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩等の芳香族スルフィン酸塩;1−エチル−2−チオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、1,1−ジブチルチオウレア及び1,3−ジブチルチオウレア等のチオウレア;及びこれらの混合物が挙げられる。他の二級還元剤としては、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、亜ジチオン酸塩又は亜硫酸塩アニオンの塩類、及びこれらの混合物を挙げてもよい。好ましくは、還元剤はアミンである。
【0059】
好適な酸化剤はまた、当業者によく知られており、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩等の過硫酸及びその塩類が挙げられるが、これらに限定されない。更なる酸化剤としては、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド(例えば、クミルヒドロペルオキシド)、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシド、並びに遷移金属の塩類、例えば、塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)、過ホウ酸並びにそれらの塩類、過マンガン酸及びその塩類、過リン酸及びその塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
1以上の酸化剤又は1以上の還元剤を使用することが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物を添加して、レドックス硬化速度を速めてもよい。幾つかの実施形態では、米国特許出願公開第2003/0195273号(Mitraら)に記載されているような重合性組成物の安定性を高めるために、二級イオン性塩を包含することが好ましい場合がある。
【0061】
還元剤及び酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を得るのに十分な量で存在する。これは、任意の充填剤を除く、組成物の全成分を組み合わせ、硬化した塊が得られるか否かを観察することにより、評価することができる。
【0062】
典型的には、還元剤は、少しでも用いる場合は、組成物の成分の総重量(水を含めて)に基づいて、少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.1重量%の量で存在する。典型的には、還元剤は、無充填組成物の成分の総重量(水を含む)に基づいて、10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
【0063】
典型的には、酸化剤は、少しでも用いる場合は、組成物の成分の総重量(水を含めて)に基づいて、少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.10重量%の量で存在する。酸化剤は、無充填組成物の成分の総重量(水を含む)に基づいて、典型的には10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
【0064】
還元剤又は酸化剤は、米国特許第5,154,762号(Mitraら)に記載されているように、マイクロカプセル化することができる。これは、一般に、組成物の貯蔵安定性を高め、必要であれば、還元剤及び酸化剤を共に包装することができる。例えば、封入剤を適切に選択することにより、酸化剤及び還元剤を酸官能基成分及び任意の充填剤と組み合わせて、貯蔵安定状態に維持することができる。同様に、非水溶性封入剤を適切に選択することにより、還元剤及び酸化剤をFASガラス及び水と組み合わせて、貯蔵安定状態に維持することができる。
【0065】
レドックス硬化系は、光反応開始剤系を含む他の硬化系と、又は米国特許第5,154,762号(Mitraら)に記載されているような組成物と組み合わせることができる。
【0066】
シリカ−ジルコニアナノクラスタ
本発明の組成物は、組成物に乳白光を付与するシリカ−ジルコニアナノクラスタ充填剤を含む。乳白光を発する効果は、少なくとも部分的に、シリカ−ジルコニアクラスタを形成するとき、予成形ナノジルコニア粒子の利用に起因すると考えられている。これら予成形粒子の使用は、例えば、酢酸塩等の他の前駆体から出発するときに得られるよりも優れた乳白光を有する充填剤を提供する。
【0067】
ナノクラスタは、シリカナノ粒子のゾルと、予成形結晶ジルコニアナノ粒子のゾルとを組み合わせることにより調製され得る。シリカゾルは、典型的には、約10nm〜約100nm、より典型的には、約15nm〜約60nm、最も典型的には、約15nm〜約35nmの平均直径を有するシリカ粒子を含み、約20nmの平均粒径がナノクラスタの製作に特に好適である。ジルコニアゾルは、典型的には、大部分の可視光を散乱しないのに十分な程度小さいが、より短い波長の青色光を屈曲させて乳白光効果を与えるのに十分な程度大きいジルコニア粒子を含む。約3nm〜約30nmの平均粒径を有するジルコニアゾルが、ナノクラスタの形成に好適である。典型的には、ゾル中のジルコニア粒子は、約5nm〜約15nm、より典型的には、約6nm〜約12nm、最も典型的には、約7nm〜約10nmの平均粒径を有する。pH 2未満等、ゾル混合物が安定な酸性条件下で混合したとき、予成形ジルコニアナノ粒子は、ゲル化及び乾燥時に、最終コンポジット材料の光学的透明性を高いレベルで維持しながら、所望の乳白光特性を付与する、シリカナノ粒子を有する構造を形成する。
【0068】
NALCO 1042シリカゾル(Nalco Chemical Company,Naperville,IL)又は他の市販のコロイドシリカゾルを用いてもよい。塩基で安定化されたゾルを用いるとき、典型的には、例えば、Amberlite IR−120イオン交換樹脂を用いて、ナトリウムを除去するために、先ずイオン交換に付す、又は硝酸でpHを調整する。通常、シリカのpHを1.2未満、典型的には約0.8〜約1.0になるように調整し、次いでそれにジルコニアをゆっくりと添加して、局所的ゲル化及び凝集を防ぐことが望ましい。得られた混合物のpHは、典型的には、約1.1〜約1.2である。好適なコロイドシリカゾルは、Nalco(Ondeo−Nalco,Grace chemical),H.C.Stark,Nissan Chemical(Snowtex)、Nyacol、及びLudox(DuPont)を含む種々の供給業者から入手可能である。選択されたゾルは、分離性であり、かつ本明細書で特定された適切な大きさのシリカ粒子を有するべきである。シリカゾルを処理して、ゲル化することなくジルコニアゾルと混合し得る酸性度の高いシリカゾル(例えば、硝酸で安定化された)を提供することができる。
【0069】
ジルコニアゾルは、1999年10月28日出願の米国特許第6,376,590号(Kolbら)、又は2007年6月7日出願の米国特許第7,429,422号(Davidsonら)に記載されているプロセスを用いて得ることができる。本明細書で使用するとき、用語「ジルコニア」は、酸化ジルコニウムの種々の化学量論、最も典型的にはZrOを指し、酸化ジルコニウム又は二酸化ジルコニウムとしても知られる場合がある。ジルコニアは、最高30重量%の他の化学部分、例えば、Y及び有機材料等を含有し得る。
【0070】
シリカ−ジルコニアナノクラスタは、ナノシリカゾルをナノジルコニアゾルと混合し、混合物を少なくとも450℃に加熱することにより調製し得る。典型的には、混合物を、約400〜約1000℃、より典型的には、約450〜約950℃の温度で4〜24時間加熱して、水、有機材料、及び他の揮発性成分を除去し、それに加えて粒子を潜在的に弱く凝集させる(必須ではない)。あるいは、又は更に、ゾル混合物を異なる処理工程に付して、水及び揮発性物質を除去してもよい。得られる材料は、粉砕又は微粉化し、選別して、大きな凝集体を除去してもよい。次いで、充填剤を、例えば、シランで表面処理した後、樹脂と混合してもよい。
【0071】
コンポジット材料で用いられる充填剤の量は、以下でより詳細に記載するように、具体的な用途に依存する。典型的には、歯科用修復材組成物では、充填剤の含量は、組成物の約40重量%〜90重量%である。幾つかの実施では、充填剤の屈折率(IR)を、樹脂の屈折率と実質的に一致させることも望ましい(即ち、充填剤のRIは、約0.02〜約0.05 RI単位の量しか樹脂のRIと異ならない)。
【0072】
本明細書で使用するとき、「屈折率」とは、材料(例えば、モノマー)の絶対屈折率を意味し、自由空間中の電磁放射線の速度とその材料中の放射線の速度との比であると理解される。屈折率は既知の方法を使用して測定でき、例えば、Abbeの屈折計(例えば、Fisher Instruments of Pittsburgh,Pa.から市販品として入手可能)を使用して可視光領域内にて測定することができる。測定された屈折率は、計器に依存してある程度変動しうることは一般的に認識されている。測定は、典型的には、機器の製造業者の推奨及び優れた研究室の慣習に従って実行される。屈折率の値はまた、試験サンプルを(典型的には、室温で)異なる既知の特定の屈折率を有する光学液体に分散させることによっても測定され得る。検量された光学液体を含むキットは、この目的のために、Cargille Laboratories(Cedar Grove,N.J.)から入手可能である。分散の観察には、光学顕微鏡を用いる。固体材料の屈折率は、顕微鏡観察下で分散した粒子の外縁に沿って現れる光のバンドとしてベッケ線を用いて測定され得る。ベッケ線は、固体材料と光学液体との屈折率の相対差又は相等性を示す。
【0073】
更なる充填剤(単数又は複数)
シリカ−ジルコニアナノクラスタ充填剤に加えて、本発明の組成物は、所望により、1種以上の他の充填剤を含有し得る。これらの充填剤は、例えば、歯科修復組成物等において現在使用される充填剤のような、歯科用途に使用される組成物への組み込みに好適な多種多様な材料の中から1つ以上選択されてもよい。
【0074】
充填剤の選択は歯科用コンポジットの重要な特性、例えば、外観、X線不透過性並びに物理的及び機械的特性のような特性に影響を及ぼす。外観は、コンポジットの成分の量及び相対屈折率の調節によって部分的に影響を受け、これによりコンポジットの半透明性、不透明性、又は真珠光沢性を変化させることができる。このような方法で、歯科用材料の外観を、必要であれば、天然歯の外観に酷似するように作製できる。
【0075】
X線不透過性は、X線検査による歯科用コンポジットが検出される能力を測定するものである。X線不透過である歯科用コンポジットは、例えば、歯科修復物が健全に維持されているか否かを歯科医が判断するのを可能にするために望ましいことが多いであろう。他の状況では、X線不透過ではないコンポジットが望まれる場合もある。X線不透過である製剤用の好適な充填剤は、欧州特許公開第A2−0 189 540号、欧州特許第B−0 238 025号、及び米国特許第6,306,926 B1号に記載される。
【0076】
コンポジットに組み入れる充填剤の量は、本明細書では「装填濃度(loading level)」とも呼ばれ、歯科用材料の総重量を基準にした重量%で表され、その量は充填剤、硬化性樹脂、及び組成物中の他の成分の種類、並びにコンポジットの最終用途によって変化するであろう。
【0077】
シーラントのような、幾つかの歯科用材料では、本発明の組成物は少量の充填(例えば、約40重量%未満の装填濃度を有する)、又は無充填であることができる。このような実施では、歯科用材料の粘度は、その材料が咬合歯表面の小窩裂溝に、及びエナメル質の侵食領域の中に貫入でき、それにより歯科用材料の保持に役立るように十分に低い。強度又は耐久性の高いことが望まれる用途(例えば、前歯又は臼歯用修復材、補綴、クラウン及びブリッジ用セメント材、人口クラウン、人口歯及び入れ歯)では、装填濃度は約95%もの高さであってもよい。大部分の歯科修復材及び補綴用途では、装填濃度は、一般に、少なくとも40重量%、より典型的には約60〜90重量%である。
【0078】
本発明の組成物に使用される充填剤(単数及び複数)は、典型的には、超微粒子状である。充填材(単数及び複数)は、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。充填剤(単数及び複数)の最大粒径(粒子の最大寸法、通常は直径又は体積平均)は、典型的には50マイクロメートル未満、より典型的には10マイクロメートル未満、最も典型的には5マイクロメートル未満である。幾つかの実施形態では、充填剤(単数及び複数)の数平均粒径は、典型的には、0.5マイクロメートル未満、より典型的には0.2マイクロメートル未満であるが、他の実施形態では、平均粒径は、より大きくてもよく、材料は、約40マイクロメートルの最大粒径を有する粒子を含んでもよい。
【0079】
充填剤(単数又は複数)は、無機材料であってもよい。充填剤は、樹脂系に不溶性の架橋された有機材料であることもでき、所望により、無機充填剤と一緒に充填される。充填剤(単数又は複数)は、いかなる場合にも非毒性であるべきであり、口内に使用するのに好適であるべきである。充填剤(単数又は複数)は、放射線不透過性又は放射線透過性であることができる。充填剤は典型的には、実質的に水に不溶性である。
【0080】
SiO−ZrOナノクラスタに加えて、組成物に含まれ得る他の好適な無機充填剤の例は、石英(即ち、シリカ、SiO);窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAlから誘導されるガラス;長石;ボロシリケートガラス;カオリン;タルク;チタニア;低モース硬度充填剤、例えば、米国特許第4,695,251号(Randklev)に記載されているようなもの;並びにサブミクロンのシリカ粒子(例えば、商品名AEROSIL(Degussa Corp.,Akron,OH製の「OX 50」、「130」、「150」及び「200」シリカ並びにCabot Corp.,Tuscola,IL製のCAB−O−SIL M5シリカを含む)にて入手可能なもののような焼成シリカ)を含む天然素材の物質又は合成された物質であるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、シリカ又はナノシリカ粒子は、非発熱性である、即ち、非ヒュームドシリカを含む。好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は無充填粉砕ポリカーボネート(olycarbonates)、ポリエポキシド等が挙げられる。更なる充填剤(単数又は複数)は、酸反応性、非酸反応性、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0081】
IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIII族、IB族、又はIIB族のもののような純金属、IIIB族のアルミニウム、インジウム、及びタリウム、及びIVB族の錫及び鉛、又はそれらの合金類から作製される微粒子金属充填剤等の、金属充填剤も同様に組み入れることができる。従来の歯科用アマルガム合金粉、代表的には銀、錫、銅、及び亜鉛の混合物も同様に、必要に応じて組み入れてもよい。微粒子金属充填剤は、好ましくは約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均粒径を有し、より好ましくは約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルである。これら充填剤の混合物、並びに有機及び無機の材料から作製された組み合わせ充填剤も同様に意図される。未処理の又はシラノール処理されたフルオロアルミノシリケートガラス充填剤は、特に好ましい。これらのガラス充填剤は、口内環境に配置された場合、歯科作業の位置でフッ化物を放出するという追加の利点を有する。
【0082】
幾つかの実施では、組成物は、酸反応性充填剤を含み得る。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。FASガラスを硬化型組成物の成分と混合させるとき、硬化済み歯科組成物を形成させるように、FASガラスは、存在する場合、典型的に十分な溶出性カチオンを含有する。ガラスは更に、典型的には、十分な溶出性フッ化物イオンを含有し、これにより硬化した組成物が抗う蝕性を有する。このようなガラスは、FASガラス製造技術において当業者に馴染みが深い技術を使用して、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶解物から、製造することができる。FASガラスは、存在する場合、典型的には、他のセメント成分と利便的に混合することができるように十分に超微粒子状の粒子の形態であるため、得られた混合物を口内で用いる場合に、よく機能するであろう。
【0083】
一般に、このような組成物で用いられるFASガラスの平均粒径(典型的には、直径)は、例えば、沈殿分析器を使用して測定した場合、約12マイクロメートル以下、典型的には10マイクロメートル以下、より典型的には5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者によく知られており、かつ多種多様な供給元から入手可能であり、多くは、商品名VITREMER、VITREBOND、RELY X LUTING CEMENT、RELY X LUTING PLUS CEMENT、PHOTAC−FIL QUICK、KETAC−MOLAR、及びKETAC−FIL PLUS(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN)、FUJI II LC及びFUJI IX(G−C Dental Industrial Corp.,Tokyo,Japan)、及びCHEMFIL Superior(Dentsply International,York,PA)として市販されているもの等現在利用可能なガラスアイオノマーセメント内に見出される。必要に応じて、充填剤の混合物を使用することが可能である。
【0084】
充填剤及び樹脂間の結合を高めるために、充填剤粒子の表面を更に、カップリング剤で処理することができる。好適なカップリング剤は、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を包含する。シラン処理ジルコニア−シリカ(ZrO−SiO)充填剤及びナノ充填剤、シラン処理シリカ充填剤及びナノ充填剤、シラン処理ジルコニア充填剤及びナノ充填剤、並びにこれらの組み合わせは、特定の修復組成物に特に好適である。その他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(Zhangら)、同第6,572,693号(Wuら)、同第6,730,156号(Windisch)、及び同第6,899,948号(Zhang)、並びに国際公開第03/063804号(Wuら)、に記載される。これらの参考文献に記載された充填剤構成要素としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤は、同様に米国特許公開第2005/0252413号(Kangasら)、同第2005/0252414号(Craigら)、及び同第2005/0256223号(Kolbら)に記載される。
【0085】
充填剤を含む本発明の幾つかの実施形態に関して(例えば、歯科用接着剤組成物)、組成物は、組成物の総重量に基づいて、典型的には少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも2重量%、最も典型的には少なくとも5重量%の充填剤を含む。そのような実施形態に関して、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、典型的には最大40重量%、より典型的には最大20重量%、最も典型的には最大15重量%の充填剤を含む。
【0086】
(例えば、組成物が歯科用修復剤又は歯列矯正用接着剤である)他の実施形態に関して、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて典型的には少なくとも40重量%、より典型的には少なくとも45重量%、最も典型的には少なくとも50重量%の充填剤を含む。そのような実施形態に関して、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、典型的には最大90重量%、より典型的には最大80重量%、更により典型的には最大70重量%の充填剤、最も典型的には最大50重量%の充填剤を含む。
【0087】
他の添加剤
所望により、本発明の組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロロリジノン))、又はこれらの混合物を含有してもよい。
【0088】
本発明の幾つかの実施では、組成物は非水性である。他の実施では、組成物は、所望により水を含有してもよい。水は、蒸留水、脱イオン水、又は淡水の(plain)水道水であることができる。存在する場合、水の量は、適した取り扱い及び混合特性を提供するため、並びに/又は特に充填剤−酸反応において、イオンの輸送を許容するために、十分であるべきである。このような実施形態では、水は、硬化性組成物を形成するために用いられる成分の総重量の、少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%存在する。一般に、水は、硬化性組成物を形成するために用いられる成分の総重量の、約75重量%以下、より好ましくは約50重量%以下存在する。
【0089】
必要な場合、本発明の組成物は、指示薬、染料(光漂白可能な染料を含む)、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調節剤、湿潤剤、酸化防止剤、酒石酸、キレート化剤、緩衝剤、安定剤、希釈剤、及び当業界に明らかであろうその他の同様な成分等の添加剤を含有することができる。界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びそれらの組み合わせ、が必要に応じて使用されてもよい。有用な界面活性剤には、非重合性及び重合性の界面活性剤が挙げられる。更に、薬剤又は他の治療用物質を、所望により歯科用組成物に添加することができる。例としては、歯科組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物源、増白剤、抗う歯剤(例えば、キシリトール)、無機質補充剤(例えば、リン酸カルシウム化合物及び他のカルシウム源及びリン酸源)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、チキソトロピー剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤、抗真菌剤、口腔乾燥症治療剤、減感剤等が挙げられるが、これらに限定されない。上述のいずれかの添加剤の組み合わせを用いてもよい。このような添加剤のどれか1つの選択及び量は、過度な実験なしで所望の結果を達成するために、当業者によって選択することができる。
【0090】
シリカ−ジルコニア充填剤を含有する歯科用組成物の調製及び使用
本発明の歯科用組成物は、従来の混合技術を使用して様々な成分を全て組み合わせて調製できる。得られる組成物は、所望により、充填剤、溶媒、水及び本発明で記載したような他の添加剤を含有してよい。典型的には、本発明の光重合性組成物は、「安全光(safe light)」の下で本発明の組成物の成分を単純に混合させて調製される。この混合物を処置する場合、必要に応じて、好適な不活性溶媒を取り入れてもよい。本発明の組成物の成分とはそれほど反応しない、いずれの溶媒を使用してよい。好適な溶媒の例には、アセトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、及びラクトンが挙げられる。重合される液体材料を、重合される別の液体又は固体の材料に対する溶媒として使用できる。無溶媒組成物は、穏やかに加熱して溶解を促進して又はせずに、単に(任意の)ヨードニウム錯塩、増感剤、及び電子供与体を重合性樹脂に溶解させることにより調製できる。
【0091】
歯科用組成物中の各々の含有物の量及び種類は、重合前後に望ましい物理的特性及び取扱性をもたらすように調節すべきである。例えば、歯科用材料の重合速度、重合安定性、流動性、圧縮強度、引っ張り強度、及び耐久性は、典型的には、重合開始剤の種類及び量、並びに充填剤の使用量及び粒径分布を変更することにより部分的に調節される。そのような調節は、典型的には歯科用材料を用いた以前の体験に基づいて実験的に行われる。歯科用材料が歯に適用される場合、歯は必要に応じてプライマー及び/又は接着剤を用いて当業界に既知の方法によって前処理することができる。
【0092】
組成物は種々の形態で供給でき、それには一液系及び多液系、例えば、二液系である、粉末/液体系、ペースト/液体系、ペースト/粉末系、及びペースト/ペースト系、が挙げられる。多液組み合わせ(即ち、2つ又はそれ以上の部分の組み合わせ)を用いる他の形態の各々は、粉末、液体、ゲルの形態であり、あるいはペーストも利用可能である。組成物の様々な成分は、望ましいいかなる方式で別個の部分に分割してもよいが、ただし、レドックス多液系では、ある液が典型的には酸化剤を含有し、別の液が典型的には還元剤を含有する。しかし、例えば、マイクロカプセル化の使用によって、成分を分離したままで保持した場合、還元剤と酸化剤を系の同じ液中に組み合わせることができる。また、歯科用組成物が樹脂修飾ガラスアイオノマー(RMGI)であるこれら実施では、ポリ酸、酸反応性充填剤、及び水は、一般に、同じ部分に全てが存在する訳ではないが、これらのうち任意の2つは、他の成分の任意の組み合わせと共に、同じ部分に一緒に分類され得る。
【0093】
組成物の成分は、キット中に含有でき、その場合、組成物の内容物はパッケージ化され、それらが必要となるまで成分の貯蔵を可能にする。
【0094】
組成物の成分は、混合し、従来の技術を使用して臨床的に塗布できる。硬化用光源が、光重合性組成物の反応開始のために一般に必要とされる。組成物は、象牙質及び/又はエナメル質に非常に良好に接着するコンポジット又は修復剤の形態であることができる。所望により、プライマー層を歯の組織(その上に硬化性組成物を使用する)上に使用することが可能である。
【0095】
本発明は、広範な歯科用組成物を包含する。代表的な歯科用材料には、歯科用修復剤(例えば、コンポジット、充填物、シーラント、インレー、アンレー、クラウン、及びブリッジ)、歯列矯正用器具、及び歯列矯正用接着剤が挙げられる。そのような歯科用材料には、審美的修復材料(例えば、前歯及び臼歯用修復材)、補綴物、口腔硬質組織用の接着剤及びプライマー、シーラント、ベニア、キャビティーライナー、あらゆるタイプのブラケット(例えば、金属、プラスチック及びセラミック)と用いるための歯列矯正ブラケット用接着剤、クラウン及びブリッジ用セメント材、人口クラウン、人口歯、入れ歯、等が挙げられる。これらの歯科用材料は口内で使用され、天然歯に隣接して配置される。本明細書で使用するとき、成句「隣接して配置される」は、歯科用材料を天然歯と、一時的又は永久的に固着させるため(例えば、接着)、又は接触させるため(例えば、咬合又は近位側に)に配置することを指す。
【0096】
本発明の特徴及び利点が、次の実施例によって更に例示されるが、それはそれらをいかなる意味でも制限するものではない。これらの実施例において列挙されるその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に制限しないと解釈されるべきである。指示がない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
【実施例】
【0097】
特に明記しない限り、試薬及び溶媒は、Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MOから入手した。
【0098】
本明細書で使用するとき、
「ビスGMA」は、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパンを指し、
「TEGDMA」は、Sartomer Co.,Inc.,Exton,PAから入手したトリエチレングリコールジメタクリレートを指し、
「UDMA」は、Rohm America LLC,Piscataway,NJから商品名「ROHAMERE 6661−0」として入手した、ジウレタンジメタクリレートを指し、
「ビスEMA6」は、Sartomer Co.,Inc.,Exton,PAから入手した、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートを指し、
「BHT」は、ブチル化ヒドロキシトルエンを指し、
「BZT」は、Ciba,Inc.,Tarrytown,NYから入手した2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを指し;
「ENMAP」は、参照により本明細書に援用される、Adamsonら;JCSOA9;J.Chem.Soc.;1949;spl.144,152に記載のもの等の、既知の方法を用いて合成される、エチル−(N−メチル−N−フェニル)アミノプロピオネートを指し;
「CPQ」は、カンファーキノンを指し、
「Irgacure 819」は、Ciba,Inc.,Tarrytown,NYから入手したビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドを指し、
「PEG 600 DM」は、Sartomer Co.,Inc.,Exton,PAから入手可能な、平均分子量〜600の、ポリエチレングリコールジメタクリレートを指し;
「GENIOSIL GF−31」又は「GF−31」は、Wacker Chemie AG,Munich,Germanyから入手可能な3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン組成物を指す。
【0099】
樹脂Aの調整
以下の表1に示す相対量(全ての量は重量分率である)で成分を混合することにより、樹脂を作製した。
【表1】

【0100】
充填剤Aの調製:
105.24gのNALCO 1042シリカゾルを計量し、3.15gの70重量%HNO溶液を添加し、これを45.16gの酸還元ジルコニアゾル(本質的に、2007年6月7日出願の米国特許第7,429,422号(Davidsonら)に記載の通り調製)に添加することにより、充填剤Aを調製した。これにより、酸化物の重量に基づいて、約73重量%のシリカと、27重量%のジルコニアとの酸化物混合物が生じた。この混合物に、100gの顆粒糖を添加した。得られたゾルを、セラミック容器に注ぎ、625℃で焼成して、揮発性物質及び有機物質を除去した。次いで、得られた焼成物質を乳鉢と乳棒で微粉化し、75マイクロメートルのナイロン篩を通して選別して、大きな粒塊を除去した。次いで、物質を、25.000gの得られた微粉酸化物、3.270gのGF−31シラン、27.4gの酢酸エチル、及び0.447gの30% NHOH溶液と混合することによりシラン処理した。これを約4時間混合した後、パイレックス(登録商標)のトレイ内で酢酸エチルを蒸発分離(flashing off)させ、90℃で30分間加熱した。
【0101】
充填剤Bの調製(無糖):
45.16gの酸還元ジルコニアゾル(本質的に、2007年6月7日出願の米国特許第7,429,422号(Davidsonら)に記載の通り調製)を計量し、これに105.65gのNALCO 1042シリカゾル及び1.19gの70重量%の硝酸溶液の混合物を添加することにより、充填剤Bを調製した。この混合物を直接セラミック焼成容器に注ぎ、625℃で4時間焼成して、水及び有機揮発性物質を除去した。この得られた酸化物も、約73重量%がシリカ、27重量%がジルコニアであった。得られた充填剤を乳鉢と乳棒で微粉化し、75マイクロメートルのナイロン篩を通して選別して、大きな粒塊を除去した。40gのこの物質を6.02gのGF−31シラン、49gの酢酸エチル、及び0.76gの30% NH4OH溶液に添加した。それを3時間反応させ、溶媒をパイレックス(登録商標)のトレイ内で蒸発分離させ、物質を90℃で30分間焼成して最終充填剤を得た。
【0102】
充填剤Cの調製:
充填剤Cは、充填剤Bで上記したのと同じ比の物質を用いて調製した。充填剤を825℃で8時間(625℃の代わりに)加熱し、乳鉢と乳棒の代わりにボールミルで粉砕し、充填剤を、1−メトキシ−2−プロパノールに分散させることによりシラン処理し、充填剤の重量に対して11%のGF−31と共に、pH 8.75(NH4OHで調整)において、80℃で30分間加熱し、次いで物質をギャップ乾燥させた。
【0103】
充填剤Dの調製(陰性対照):
713℃で11時間粉砕した後、充填剤を再度か焼し、次いでシラン化して更なる残留物を除去したことを除いて、約73%のシリカと27%のジルコニアとの比を有する酢酸ジルコニルから誘導されるシラン処理シリカ/ジルコニア充填剤を、本質的に米国特許第6,730,156号の予備実施例A及びBに記載の通り調製した。
【0104】
実施例E1〜E3及び比較例CE1〜CE2
以下の表2に記載のように成分を混合することにより、幾つかの異なるペーストを作製した。
【表2】

【0105】
ペーストE1、E2、E3、及びCE2は、肉眼に対して著しい乳白光を示し、白色背景上ではオレンジ/黄色に、黒色背景上では青/白色に見えた。ペーストCE1は、肉眼に対して乳白光特性を示さず、黒色及び白色背景上の両方で肉眼により黄色に見えた。全てのペーストは、半透明〜透明に見えた。
【0106】
乳白光は、下記の通り、透過性モードで、黒色背景に対する反射率で測定したaとbとの間の差を取ることにより測定された値Cab(乳白光)を用いて、HunterLab Ultrascan XE(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston VA,USA)分光光度計により、ペーストE1、E3、CE1、及びCE2に対して定量的に測定した。これは、2つの測定値に対する、色空間のa−b面におけるベクターの差である。結果を表3に示す。
【0107】
完全に硬化させるために、それぞれ20秒間9つの重複点でディスクの表面全体にXL 3000歯科用硬化光を用いて、マイラーフィルム下で硬化する成形型内でディスクを加圧することにより、直径1インチ(2.54cm)及び厚さ1mm(+/−0.02mm)のコンポジットディスクのコンポジット(各〜1.3g)の金属リング光学ディスクを作製することにより、サンプルを調製した。これらディスクをハンターユニットに取り、大きなサンプル利用(1インチ(2.54cm))及び大きな装置開口部用に較正後、黒色背景に対して反射率モードで測定した。透過性を測定するために機器を再較正し、次いで透過性モードで値を読み取り、曇り度測定値も透過性モードで測定した。L、a、b座標(反射及び透過の両方)、及び曇り値(透過のみ)を記録した。Cabは、Cab=((bref−btrans+(aref−atrans1/2により算出した。
【表3】

【0108】
表3から分かるように、予成形ジルコニア粒子から形成されたシリカ−ジルコニアナノクラスタと共に、充填剤A及び充填剤Cを含有するサンプルは、酢酸ジルコニル(CE1)から誘導されるシリカ/ジルコニア充填剤を含有するペーストよりも、多くの乳白光を発する。乳白光はまた、FILTEK SUPREME PLUS(商標)(CE2)の半透明の陰影(シリカのみ)に非常に類似する範囲であり、これは非常に望ましく、かつ天然のエナメル質に近い。
【0109】
E3及びCE1の曇り度測定値を、機器の透過率測定値から直接求め、これを表4に示す。乳白光を発する充填剤Cを含有するサンプルは、酢酸ジルコニル(CE1)から誘導されるシリカ/ジルコニ充填剤を含有するサンプルよりも著しく低い曇り度を示した。
【表4】

【0110】
この乳白光を発するシリカ−ジルコニア充填剤(E1、E2、及びE3)を用いて作製されたペーストはまた、光の透過において角度依存性の低い興味深い光学効果を有していた。図1に示すこの効果は、歯科用修復材で用いるとき、より力強く、実物に酷似した修復材をもたらす能力を有する。新規物質はまた、従来のペーストよりも、後ろに隠れた物体から更に除去したとき、それらを通して画像をよりクリアに透過することができる。
【0111】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明の範囲は、記述される特許請求の範囲によってのみ限定されると考えており、本発明が、本明細書で説明された例示的実施形態及び実施例により過度に限定されるものではないこと、及びこのような実施例及び実施形態は、例示のためにのみ提示されていることを理解されるべきである。
【0112】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポジット材料用の充填剤を作製する方法であって、
(a)約3nm〜約30nmの平均直径を有する、予め成形された結晶ジルコニアナノ粒子を含むジルコニアゾルを提供する工程と、
(b)約10nm〜約100nmの平均直径を有するシリカナノ粒子を含むシリカゾルを提供する工程と、
(c)前記ジルコニアゾルと前記シリカゾルとを組み合わせて、ジルコニア及びシリカナノ粒子の混合物を形成する工程と、
(d)前記混合物を約400℃〜約1000℃の温度に加熱する工程と、
(e)前記加熱された混合物を粉砕して、シリカ−ジルコニアナノクラスタを含む充填剤を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記ナノクラスタが、約0.01〜約100マイクロメートルの平均体積直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノクラスタが、約0.5〜約10マイクロメートルの平均体積直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シリカナノ粒子が、約15nm〜約60nmの平均直径を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ジルコニアナノ粒子が、約5nm〜約15nmの平均直径を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリカナノ粒子が、約15nm〜約35nmの平均直径を有し、前記ジルコニアナノ粒子が、約5nm〜約15nmの平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリカナノ粒子及び前記ジルコニアナノ粒子が、前記ナノクラスタ中に均一に分布している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シリカゾルのpHを1.2未満に低下させた後、前記ジルコニアゾルと混合する工程を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記充填剤を表面処理する工程を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤が、シランカップリング剤で表面処理される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリカ−ジルコニア充填剤が、約1.44〜約1.65の屈折率を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ジルコニアゾルが酸還元されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って調製される充填剤。
【請求項14】
請求項13に記載の充填剤を含むコンポジット材料。
【請求項15】
(a)重合性成分と、
(b)反応開始剤系と、
(c)ジルコニアナノ粒子及びシリカナノ粒子のナノクラスタを含む充填剤と、を含む硬化性歯科用組成物であって、
前記組成物が、乳白光試験方法に従って測定したとき、少なくとも15のCab値を有する、硬化性歯科用組成物。
【請求項16】
前記ナノクラスタが、約0.01〜約100マイクロメートルの平均体積直径を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ナノクラスタが、約0.5〜約10マイクロメートルの平均体積直径を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記シリカナノ粒子が、約15nm〜約60nmの平均直径を有する、請求項15〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記ジルコニアナノ粒子が、約5nm〜約15nmの平均直径を有する、請求項15〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記シリカナノ粒子が、約15nm〜約35nmの平均直径を有し、前記ジルコニアナノ粒子が、約5nm〜約15nmの平均直径を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
前記シリカナノ粒子及び前記ジルコニアナノ粒子が、前記ナノクラスタ中に均一に分布している、請求項15〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、乳白光試験方法に従って測定したとき、少なくとも18のCab値を有する、請求項15〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、乳白光試験方法に従って測定したとき、少なくとも20のCab値を有する、請求項15〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、70ヘイズ未満の曇り度測定値を有する、請求項15〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記曇り度測定値が60ヘイズ未満である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記曇り度測定値が55ヘイズ未満である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記ナノクラスタが表面処理されている、請求項15〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ナノクラスタが、シランで表面処理されている、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記重合性成分がエチレン性不飽和化合物を含む、請求項15〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記重合性成分が(メタ)アクリレートを含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、約1.44〜約1.65の屈折率を有する、請求項15〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記充填剤が、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って調製された、請求項15に記載の組成物。
【請求項33】
請求項15〜31のいずれか一項に記載の歯科用コンポジットを含む歯科用修復材。
【請求項34】
前記材料が、充填材、予成形ブリッジ若しくはクラウン、流動性修復材、又は暫間修復材である、請求項33に記載の歯科用修復材。
【請求項35】
請求項15に記載の組成物を含むミルブランク。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2012−505823(P2012−505823A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532156(P2011−532156)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060104
【国際公開番号】WO2010/045105
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】