説明

スイッチホールド構造及びスイッチホールド方法

【課題】スイッチボタンの誤操作を防止すると同時にバッテリを消耗しないスイッチホールド構造を提供すること。
【解決手段】筐体1内に軸支したカバー部材2を、収納部1bを介して挿通可能に設け、筐体1の表面に係止するまでカバー部材2を回動して、カバー部材2でスイッチボタン11を被装して誤操作を防止する保護カバーとする。そして、カバー部材2を収納部1b方向へ回動して収納部1bに収めることにより、そのスイッチボタン11の操作が行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の筐体表面に配設されたスイッチボタンの誤操作を防止するスイッチホールド構造及びスイッチホールド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器の筐体表面に配設されたスイッチボタンの誤操作を防止する技術手段が提案されている。
【0003】
例えば、CDプレーヤの前面にスライドボタンを設け、そのスライドボタンをオンの位置にスライドすることで、停止ボタン、再生ボタン、サーチボタン等の各ボタンが押されても、これらの操作ボタンが機能しないように電気的な制御によって実現している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−266645号公報(第3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術は、例えばバックの中にCDプレーヤを仕舞い込んで持ち運びしても、スライドボタン自体は誤操作されないことを前提にしているわけであるが、しかしながら、実際には、何かの拍子にオフの位置になってしまうケースがあった。その結果、各ボタンが機能してしまい、各スイッチボタンの誤操作を確実に防止することはできなかった。
【0005】
また、電気的な制御によって各ボタンの誤操作を防止するために待機電力が必要であるが、CDプレーヤやMDプレーヤ等のポータブルミュージックプレーヤ、デジタルカメラ、携帯電話等の持ち運びを前提とした電子機器においては、バッテリの消耗に直接結びついていた。
【0006】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題を解決できるスイッチホールド構造及びスイッチホールド方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかるスイッチホールド構造及びスイッチホールド方法は、下記の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1にかかるスイッチホールド構造は、電子機器の筐体の表面にスイッチボタンが配設された電子機器におけるスイッチホールド構造であって、前記筐体に設けられ、前記スイッチボタンの周囲近傍を凹設または切欠させて形成された収納部と、該収納部に収納可能に、かつ、前記スイッチボタンの直上方向に回動可能に前記収納部に軸支されると共に、該スイッチボタンが被装されるように前記筐体の表面に当接させて係止可能なカバー部材とを備えてなることを特徴とする。
請求項2にかかるスイッチホールド構造は、請求項1において、前記収納部は、前記スイッチボタンを取り囲むように正面視略コ字状に形成されると共に、前記カバー部材は、前記収納部に沿うように略コ字状に、かつ、正面視略コ字状の該収納部の両先端部より前方の前記筐体表面に当接可能に側面視略逆L字状に形成されていることを特徴とする。
請求項3にかかるスイッチホールド構造は、請求項1または2において、前記カバー部材は、被装させた前記スイッチボタンを視認可能なように透明または半透明の部材で構成されていることを特徴とする。
請求項4にかかるスイッチホールド構造は、請求項1〜3の何れかにおいて、前記スイッチボタンのスイッチングに基づいて前記カバー部材を照明させるLEDが設けられていることを特徴とする。
請求項5にかかるスイッチホールド方法は、スイッチホールド構造は、電子機器の筐体表面にスイッチボタンを配設した電子機器におけるスイッチホールド方法であって、前記スイッチボタンの周囲近傍の前記筐体一部を凹設または切欠してなる収納部を介して、回動可能かつ挿通可能に設けたカバー部材を、前記スイッチボタンを被装するように該筐体の表面に当接して係止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筐体内に軸支したカバー部材を、収納部を介して挿通可能に設け、筐体の表面に係止するまでカバー部材を回動して、カバー部材でスイッチボタンを被装するから、スイッチボタンの押動操作が規制されてスイッチボタンの誤操作を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
本実施の形態にかかるスイッチホールド構造は、音楽コンテンツが記録されるHDDや半導体メモリ等の記録媒体を備えたミュージックプレイヤーや、携帯電話、デジタルカメラ、リモートコントローラ等の持ち運び可能な小型の電子機器に適用されるのに好適なものが例示されており、筐体1と、カバー部材2とを備えて構成される。
【0011】
筐体1は、ミュージックプレイヤーや、携帯電話、デジタルカメラ、リモートコントローラ等の電子機器の外装を構成するもので、略直方体状や、略円板状等、これら電子機器のデザインに応じて形設されている。
【0012】
そして、各機能を実現させるための複数個のスイッチボタン11が筐体1表面に操作可能なように筐体1に設けた貫通孔1aから突出するように配設されており、そのスイッチボタン11の中で任意のスイッチボタン11に対して、あるいは全てのスイッチボタン11に対して、図1に示すように、そのスイッチボタン11を周囲近傍で取り囲むように正面視略コ字状に凹設された収納部1bが設けられている。
【0013】
なお、本実施の形態で例示したスイッチボタン11は、筐体1内に実装された電子基板P上に左右前後の四箇所に配設されたタクトスイッチs1に、押圧可能な脚部11aを有した略円柱状に形成されており、スイッチボタン11を左右前後に押し分けることで、夫々のタクトスイッチs1に割り当てられた機能を実現するようになっている。
【0014】
この収納部1bは、図2〜5に示すように、筐体1の裏面側に略コ字状のリブ1cが垂設されており、そのリブ1cの厚みを利用して底面を有するように正面視略コ字状に凹設されて形成されている。
【0015】
本実施の形態では、筐体1内に実装された電子基板Pに近接する所要の長さでリブ1cを形成したものを図示しているが、リブ1cの底を電子基板Pに当接させて電子基板Pを抑えても良い。
【0016】
なお、本実施の形態にかかる収納部1bは、上記したように、筐体1の裏面側に垂設した略コ字状のリブ1cの厚みを利用して底面を有するように正面視略コ字状に凹設して形成されているが、このものに限定されず、筐体1の表裏を貫通する正面視略コ字状に切欠しても良い。この場合、後述するカバー部材2を軸支させるための支持部として帯板状のリブを筐体1裏面から垂設する。また、カバー部材2をシーソー状に揺動させる支点を電子基板P上に設けたり、あるいは、支点を設けた側面視L字状の部材を筐体1の裏面に設けても良い。
【0017】
カバー部材2は、図5に示すように、収納部1bに沿うように外観形状が略コ字状に形成されると共に側面視略逆L字状に形成された透明または半透明の合成樹脂からなる帯板部材であり、図4に示すように、略コ字状に形成された収納部1bを形成させる平行部分の先端より前方の筐体1表面に、略逆L字状に形成された先部底面2a(顎部)が当接可能なように、かつ、収納部1bに収納可能なように収納部1bに軸支される。
【0018】
すなわち、上記したカバー部材2は、筐体1表面に配設されたスイッチボタン11の直上に位置させることで、誤操作を防止させる保護カバーとなる。
【0019】
また、図5に示すように、タクトスイッチs1近傍の電子基板P上に複数個(4つ)の光色の異なるLED3が、4つのタクトスイッチs1と対応付けて実装されており、スイッチボタン11のスイッチ操作に基づいて、このLED3が発光するようになっている。
【0020】
このLED3の発光により、スイッチングが行われたことを視認可能とすると共に、透明または半透明の合成樹脂で構成されたカバー部材2の形状線が浮き立つように鮮明となることで、意匠的にも極めて好適になっている。
【0021】
以上のように構成された本実施の形態にかかるスイッチホールド構造は、カバー部材2を、筐体1表面に配設したスイッチボタン11の直上に位置するように回動することで、そのスイッチボタン11を覆って誤操作を防止する保護カバーとなる(図1、図7参照)。そして、カバー部材2を収納部1b方向へ回動して収納部1bに収めることにより、そのスイッチボタン11の操作が行えるようにする(図6、図8参照)。そしてこのスイッチ操作を行うと同時にLED3が発光してカバー部材2を照らし出す。
【0022】
このように、本実施の形態にかかるスイッチホールド構造は、筐体1内に軸支したカバー部材2を、収納部1bを介して挿通可能に設け、筐体1の表面に係止するまでカバー部材2を回動して、カバー部材2でスイッチボタン11を被装しているので、スイッチボタン11の押動操作が規制されてスイッチボタン11の誤操作を確実に防止することができるようになっている。
【0023】
また、カバー部材2を回動してスイッチングを行う構成にしたことで、例えば親指などでの操作が心地よく、したがって、娯楽性に富んだスイッチホールド構造を提供できる。
【0024】
さらに、スイッチングが行われたことをLED3の発光により視認できるので利便性が向上すると共に、透明または半透明の合成樹脂で構成されたカバー部材2の形状線が浮き立つように鮮明となることで、意匠的にも極めて好適となる。
【0025】
なお、本実施の形態にかかるスイッチホールド構造は、カバー部材の開閉状態を維持させるロック機構を特に例示していないが、このロック機構を設けることは任意である。例えば、このロック機構は、カバー部材と電子機器筐体とに夫々係脱可能に凹部と凸部を設けることで可能である。
【0026】
以上、具体的な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できることは言うまでもない。
【0027】
例えば、スイッチボタンの周囲近傍の筐体一部を凹設または切欠してなる収納部を介して、回動可能かつ挿通可能に設けたカバー部材を、スイッチボタンを被装するように筐体の表面に当接して係止するスイッチホールド方法でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態にかかるスイッチホールド構造において、カバー部材を筐体表面に配設したスイッチボタンの直上に位置した状態の斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のB矢視図である。
【図4】図1のC矢視図である。
【図5】分解斜視図である。
【図6】カバー部材を収納させた状態の斜視図である。
【図7】図1の筐体を省いた状態の斜視図である。
【図8】図6の筐体を省いた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 筐体
1a 貫通孔
1b 収納部
1c リブ
11 スイッチボタン
11a 脚部
2 カバー部材
2a 先部底面
3 LED
s1 タクトスイッチ
P 電子基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体の表面にスイッチボタンが配設された電子機器におけるスイッチホールド構造であって、
前記筐体に設けられ、前記スイッチボタンの周囲近傍を凹設または切欠させて形成された収納部と、
該収納部に収納可能に、かつ、前記スイッチボタンの直上方向に回動可能に前記収納部に軸支されると共に、該スイッチボタンが被装されるように前記筐体の表面に当接させて係止可能なカバー部材と
を備えてなることを特徴とする電子機器におけるスイッチホールド構造。
【請求項2】
前記収納部は、前記スイッチボタンを取り囲むように正面視略コ字状に形成されると共に、
前記カバー部材は、前記収納部に沿うように略コ字状に、かつ、正面視略コ字状の該収納部の両先端部より前方の前記筐体表面に当接可能に側面視略逆L字状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器におけるスイッチホールド構造。
【請求項3】
前記カバー部材は、被装させた前記スイッチボタンを視認可能なように透明または半透明の部材で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子機器におけるスイッチホールド構造。
【請求項4】
前記スイッチボタンのスイッチングに基づいて前記カバー部材を照明させるLEDが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器におけるスイッチ構造。
【請求項5】
電子機器の筐体表面にスイッチボタンを配設した電子機器におけるスイッチホールド方法であって、
前記スイッチボタンの周囲近傍の前記筐体一部を凹設または切欠してなる収納部を介して、回動可能かつ挿通可能に設けたカバー部材を、前記スイッチボタンを被装するように該筐体の表面に当接して係止することを特徴とする電子機器におけるスイッチホールド方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−172970(P2007−172970A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367879(P2005−367879)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】