説明

スイッチング電源装置

【課題】従来と比べて特に軽負荷時の効率を向上させることが可能なスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】切換部8において、電流検出回路22により検出された電流の検出信号S(Iin1)と、電圧検出回路21により検出された電圧の検出信号S(Vin1)とに基づく合成信号S(Iin+Vin)に基づいて、整流回路5内のスイッチング素子SW51,SW52のオン・オフ状態を制御することにより、整流モードの切り換えを行う。これにより、従来と比べて整流モードの切換点(閾値電流Ith)を、入力電圧Vinの変動範囲においてより軽負荷側に設定することができる。よって、高効率である同期整流(第2の整流モード)を、より軽負荷側まで使用することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング回路および整流回路を備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スイッチング電源装置として種々のDC−DCコンバータが提案され、実用に供されている。その多くは、電力変換トランス(変圧素子)の1次側巻線に接続されたスイッチング回路のスイッチング動作により直流入力電圧をスイッチングし、スイッチング出力を電力変換トランスの2次側巻線に取り出す方式である。スイッチング回路のスイッチング動作に伴い、2次側巻線に現れる電圧は、整流回路によって整流された後、平滑回路によって直流に変換されて出力される。
【0003】
この種のスイッチング電源装置では、一般に、整流回路の導通損失等による効率低下を低減するため、整流回路においていわゆる同期整流動作を行うようになっている。この同期整流動作とは、FET(Field Effect Transistor)からなる整流素子における整流動作時に、FETがオン状態となるように制御する動作のことである。
【0004】
また、例えば特許文献1には、出力側の負荷の大きさに応じて、整流素子のみによる整流動作と上記同期整流動作とを切り換える(整流モードの切り換えを行う)ようにしたスイッチング電源装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−252971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1では、電源装置内の入力電流または出力電流を検出すると共に、その検出信号を用いて整流モードの切り換えを行うようになっている。ところが、入力電圧が変動した場合、検出対象の入力電流や出力電流における電流波形のピーク値やデューティも変動する。このため、整流モードの切り換えの判定を行うコンパレータの基準電位(一定)に対してこれら電流検出値が大きく変動することになり、整流モードの切換点も大きく変動してしまうことになる。
【0007】
すなわち、従来のスイッチング電源装置では、入力電圧が変動する場合に、整流モードの切換点が大きく変動してしまうため、入力電圧の変動範囲において、切換点を十分には軽負荷側に設定することができなかった。これは、軽負荷時において同期整流動作を行う場合、出力電流が整流回路側へ逆流したときに電力損失が生じて効率が低下してしまうことがあるため、切換点が大きく変動する場合にはあまり軽負荷側まで同期整流動作を利用できないからである。したがって、従来は、整流素子のみによる整流動作と比べてより高効率である同期整流動作を、十分に軽負荷側まで使用することができなかったため、軽負荷時の効率の更なる向上が望まれていた。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来と比べて特に軽負荷時の効率を向上させることが可能なスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1のスイッチング電源装置は、入力端子対から入力される入力電圧に基づいて電圧変換を行うことにより出力電圧を生成し、出力端子対から出力するものであって、入力端子対側に配置されたスイッチング回路と、このスイッチング回路と出力端子対との間に配置されると共に、複数の整流素子とこれら複数の整流素子にそれぞれ並列接続されたスイッチング素子とを有する整流回路と、入力端子対側を流れる入力電流または出力端子対側を流れる出力電流を検出する電流検出部と、入力電圧または出力電圧を検出する電圧検出部と、出力端子対側の負荷が小さい軽負荷時には、整流素子のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、軽負荷時よりも負荷が大きい重負荷時には、整流素子とスイッチング素子とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、整流回路における整流モードを切り換える切換部とを備えたものである。また、この切換部は、電流検出部により検出された電流検出信号と電圧検出部により検出された電圧検出信号との合成信号に基づいてスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することにより、整流モードの切り換えを行うようになっている。
【0010】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、入力端子対から入力した入力電圧がスイッチング回路においてスイッチングされ、交流電圧が生成される。そして、この交流電圧に基づく交流電圧が整流回路によって整流され、出力端子対から出力電圧が出力される。このとき、上記入力電流または上記出力電流が検出されて電流検出信号が得られると共に、上記入力電圧または上記出力電圧が検出されて電圧検出信号が得られる。また、上記軽負荷時には、整流素子のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、上記重負荷時には、整流素子とスイッチング素子とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、整流回路における整流モードが切り換えられる。ここで、上記電流検出信号と上記電圧検出信号との合成信号に基づいて整流回路内のスイッチング素子のオン・オフ状態が制御されることにより、上記整流モードの切り換えが行われるため、入力電圧や出力電圧が変動する場合に、整流モードの切換点の変動が従来よりも抑えられる(好ましくは、切換点が常に一定となる)。したがって、従来と比べて切換点をより軽負荷側に設定することができ、上記第1の整流モードよりも高効率である上記第2の整流モードを、より軽負荷側まで使用することができるようになる。
【0011】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記切換部が、合成信号を生成する際の電流検出信号と電圧検出信号との重み付けを調整するための抵抗器を有するようにするのが好ましい。このように構成した場合、そのような重み付けの調整により、整流モードの切換点の調整が容易となる。したがって、設計も容易となるため、設計の自由度が向上する。
【0012】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記切換部が、電流検出信号および電圧検出信号に含まれる脈流を平滑化する平滑回路を有すると共に、この平滑回路が、整流ダイオードと平滑コンデンサとを含むピークホールド回路を用いて構成されているようにするのが好ましい。このように構成した場合、負荷の変動に応じた合成信号の変動が低減されるため、整流モードの切換点の変動がさらに抑えられ、切換点をさらに軽負荷側に設定することができる。
【0013】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、スイッチング回路と整流回路との間にトランスを設けると共に、出力電圧が入力電圧よりも低くなるように設定された降圧型のスイッチング電源装置である場合において、電流検出部および電圧検出部が、高圧側に対応する入力電流および入力電圧を検出するようにするのが好ましい。このように構成した場合、上記スイッチング回路において生成された交流電圧(入力交流電圧)がトランスにより変圧され、その第2の巻線側に出力交流電圧が出力される。そして、この出力交流電圧が整流回路によって整流され、出力端子対から出力電圧が出力される。また、高圧側で入力電流および入力電圧を検出しているため、低圧側で検出する場合と比べて電力損失が抑えられ、効率がさらに向上する。
【0014】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、整流モードの切り換えの際の閾値が、負荷の増加傾向時と減少傾向時とで互いに異なる値となっているようにするのが好ましい。このように構成した場合、切換点付近において整流モードが頻繁に切り換わってしまうのが回避されるため、それに起因したスイッチングノイズの発生が抑えられる。
【0015】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、直流入力電圧に基づいて直流出力電圧を生成するDC/DCコンバータとして機能するように構成することが可能である。
【0016】
本発明の第2のスイッチング電源装置は、第1および第2の入出力端子対のうちの一方の入出力端子対から入力される入力電圧に基づいて電圧変換を行うことにより出力電圧を生成し、他方の入出力端子対から出力するものであって、第1の入出力端子対側に配置されると共に、複数の第1の整流素子と、これら複数の第1の整流素子にそれぞれ並列接続された第1のスイッチング素子とを有する第1の回路と、この第1の回路と第2の入出力端子対との間に配置されると共に、複数の第2の整流素子とこれら複数の第2の整流素子にそれぞれ並列接続された第2のスイッチング素子とを有する第2の回路と、一方の入出力端子対側を流れる入力電流または他方の入出力端子対側を流れる出力電流を検出する電流検出部と、入力電圧または出力電圧を検出する電圧検出部と、他方の入出力端子対側の負荷が小さい軽負荷時には、第1または第2の整流素子のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、軽負荷時よりも負荷が大きい重負荷時には、第1または第2の整流素子と第1または第2のスイッチング素子とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、第1または第2の回路における整流モードを切り換える切換部とを備えたものである。また、この切換部は、電流検出部により検出された電流検出信号と電圧検出部により検出された電圧検出信号との合成信号に基づいて第1または第2のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することにより、整流モードの切り換えを行うようになっている。なお、この場合において、上記切換部が、第1の入出力端子対から入力される入力電圧に基づいて第2の入出力端子対から出力電圧を出力する動作時と、第2の入出力端子対から入力される入力電圧に基づいて第1の入出力端子対から出力電圧を出力する動作時と、のうちの一方の動作時のみにおいて、整流モードの切換を行うようにしてもよい。
【0017】
本発明の第2のスイッチング電源装置では、順方向動作時には、第1の入出力端子対から入力電圧が入力され、インバータ回路として機能する第1の回路内の第1のスイッチング素子によって、交流電圧が生成される。そして、この交流電圧に基づく交流電圧が、整流回路として機能する第2の回路において整流され、第2の入出力端子対から出力電圧が出力される。一方、逆方向動作時には、第2の入出力端子対から入力電圧が入力され、インバータ回路として機能する第2の回路内の第2のスイッチング素子によって、交流電圧が生成される。そして、この交流電圧に基づく交流電圧が、整流回路として機能する第1の回路において整流され、第1の入出力端子対から出力電圧が出力される。このとき、上記入力電流または上記出力電流が検出されて電流検出信号が得られると共に、上記入力電圧または上記出力電圧が検出されて電圧検出信号が得られる。また、上記軽負荷時には、第1または第2の整流素子のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、上記重負荷時には、第1または第2の整流素子と第1または第2のスイッチング素子とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、整流回路として機能する第1または第2の回路における整流モードが切り換えられる。ここで、上記電流検出信号と上記電圧検出信号との合成信号に基づいて第1または第2のスイッチング素子のオン・オフ状態が制御されることにより、上記整流モードの切り換えが行われるため、入力電圧や出力電圧が変動する場合に、整流モードの切換点の変動が従来よりも抑えられる(好ましくは、切換点が常に一定となる)。したがって、従来と比べて切換点をより軽負荷側に設定することができ、上記第1の整流モードよりも高効率である上記第2の整流モードを、より軽負荷側まで使用することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスイッチング電源装置によれば、電流検出信号と電圧検出信号との合成信号に基づいて整流回路(第1または第2の回路)内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することによって、整流モードの切り換えを行うようにしたので、従来と比べて整流モードの切換点を、より軽負荷側に設定することができる。よって、高効率である上記第2の整流モードをより軽負荷側まで使用することができ、従来と比べて特に軽負荷時の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
【図2】図1に示したスイッチング電源装置における軽負荷時の基本動作について説明するための回路図である。
【図3】図1に示したスイッチング電源装置における軽負荷時の基本動作について説明するための回路図である。
【図4】図1に示したスイッチング電源装置における重負荷時の基本動作について説明するための回路図である。
【図5】図1に示したスイッチング電源装置における重負荷時の基本動作について説明するための回路図である。
【図6】比較例に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
【図7】図6に示したスイッチング電源装置における出力電流と効率との関係の一例を表す特性図である。
【図8】図1に示した切換部による入力電流および入力電圧の検出信号の合成処理の一例について説明するための特性図である。
【図9】図1に示したスイッチング電源装置における出力電流と効率との関係の一例を表す特性図である。
【図10】比較例および実施の形態に係る軽負荷時の効率の一例を対比して表す特性図である。
【図11】本発明の変形例1に係る平滑回路の構成を表す回路図である。
【図12】図11に示した平滑回路を用いた場合の入力電流および入力電圧の検出信号の合成処理の一例について説明するための特性図である。
【図13】本発明の変形例2に係る整流モードの切換動作について説明するための特性図である。
【図14】図13に示した切換動作を行う切換部の構成例を表す回路図である。
【図15】本発明の変形例3に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
【図16】図15に示したスイッチング電源装置における逆方向動作について説明するための回路図である。
【図17】図15に示したスイッチング電源装置における逆方向動作について説明するための回路図である。
【図18】図15に示したスイッチング電源装置における逆方向動作について説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
(スイッチング電源装置の全体構成例)
図1は、本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1)の回路構成を表すものである。スイッチング電源装置1は、例えば自動車などに適用される降圧型のDC/DCコンバータとして機能するものであり、高圧バッテリ10側の入力端子T1,T2から入力される直流の入力電圧Vinを電圧変換する(降圧する)ことにより、直流の出力電圧Voutを生成すると共に、この出力電圧Voutを出力端子T3,T4を介して低圧バッテリ90へ供給するようになっている。このスイッチング電源装置1は、入力平滑コンデンサCinと、電圧検出回路21と、電流検出回路22と、スイッチング回路3と、共振用インダクタLrと、トランス4と、整流回路5と、平滑回路6と、制御部71と、トランス72と、SW駆動部73と、切換部8とを備えている。
【0022】
なお、高圧バッテリ10は、100Vから500V程度の電圧を蓄電するバッテリである。一方、低圧バッテリ90は、12V程度の電圧を蓄電するバッテリである。
【0023】
入力平滑コンデンサCinは、入力端子T1,T2から入力された直流の入力電圧Vinを平滑化するためのものである。
【0024】
電圧検出回路21は、入力端子T1,T2に接続された1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間に配置されており、両端間の入力電圧Vinを検出すると共に、この検出した入力電圧Vinに対応する検出信号S(Vin1)を切換部8内へ出力するものである。このような電圧検出回路21の具体的な回路構成としては、例えば、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間に配置された分圧抵抗(図示せず)によって電圧を検出し、これに応じた電圧を生成するものなどが挙げられる。
【0025】
電流検出回路22は、1次側高圧ラインL1H上において、電圧検出回路21とスイッチング回路3との間に配置されており、この1次側高圧ラインL1H上を流れる入力電流Iinを検出すると共に、この検出した入力電流Iinに対応する検出信号S(Iin1)を切換部8内へ出力するものである。このような電流検出回路22の具体的な回路構成としては、例えばカレントトランスを含んだものが挙げられる。
【0026】
スイッチング回路3は、スイッチング素子SW1〜SW4を有しており、フルブリッジ型のインバータ回路を構成している。これらスイッチング素子SW1〜SW4はそれぞれ、例えば電界効果型トランジスタ(MOS−FET;Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)や、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などにより構成される。ここでは、スイッチング素子SW1〜SW4はそれぞれ、NチャネルのMOS−FETにより構成されている。ここで、スイッチング素子SW1のゲートはSW制御信号S1の信号ラインに接続され、ソースがスイッチング素子SW2のドレインに接続され、ドレインが1次側高圧ラインL1Hに接続されている。また、スイッチング素子SW2のゲートはSW制御信号S2の信号ラインに接続され、ソースが1次側低圧ラインL1Lに接続され、ドレインがスイッチング素子SW1のソースに接続されている。また、スイッチング素子SW3のゲートはSW制御信号S3の信号ラインに接続され、ソースがスイッチング素子SW4のドレインに接続され、ドレインが1次側高圧ラインL1Hに接続されている。また、スイッチング素子SW4のゲートはSW制御信号S4の信号ラインに接続され、ソースが1次側低圧ラインL1Lに接続され、ドレインがスイッチング素子SW3のソースに接続されている。また、スイッチング素子SW3のソースは、後述する共振用インダクタLrを介して後述するトランス4内の1次側巻線41の一端に接続されている。また、スイッチング素子SW1のソースは、この1次側巻線41の他端に接続されている。スイッチング回路3はこのような構成により、後述するSW駆動部73から供給されるSW制御信号S1〜S4に応じて、直流の入力電圧Vinを入力交流電圧に変換するようになっている。なお、これらのSW制御信号S1〜S4はそれぞれ、パルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)によるスイッチング駆動を行うための制御信号である。
【0027】
共振用インダクタLrは、スイッチング素子SW1のソースと上記した1次側巻線41との間に配置されており、スイッチング素子SW1〜SW4内の寄生容量素子と共に所定のLC共振回路を構成するためのものである。
【0028】
トランス4は、磁芯40と、互いに絶縁された1次側巻線41および2次側巻線421,422を有している。このうち、一対の2次側巻線421,422の一端同士はセンタタップCTで互いに接続され、このセンタタップCTからの配線が出力ラインLOに導かれている。このトランス4は、スイッチング回路3によって生成された入力交流電圧を変圧し、一対の2次側巻線421,422の各端部(センタタップCTとは反対側の端部)から、互いに180度位相が異なる出力交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の変圧の度合いは、1次側巻線41と2次側巻線421,422との巻数比によって定まる。
【0029】
整流回路5は、一対の整流ダイオードD51,D52(例えば、スイッチング素子S51,S52の寄生ダイオード)と、これら整流ダイオードD51,D52に並列接続されたスイッチング素子SW51,SW52からなる単相全波整流型のものである。スイッチング素子SW51,SW52はそれぞれ、例えばMOS−FETや、バイポーラトランジスタ、IGBTなどにより構成される。ここでは、スイッチング素子SW51,SW52はそれぞれ、NチャネルのMOS−FETにより構成されている。スイッチング素子SW51のゲートはSW制御信号S51の信号ラインに接続され、ソースは接地ラインLGに接続され、ドレインが2次側巻線421の他端に接続されている。スイッチング素子SW52のゲートはSW制御信号S52の信号ラインに接続され、ソースは接地ラインLGに接続され、ドレインが2次側巻線422の他端に接続されている。なお、これらのSW制御信号S51,S52はそれぞれ、PWMによるスイッチング駆動を行うための制御信号である。一方、整流ダイオードD51のカソードは2次側巻線421の他端に接続され、整流ダイオードD52のカソードは2次側巻線422の他端に接続されている。また、これら整流ダイオードD51,D52のアノード同士は互いに接続され、接地ラインLGに導かれている。つまり、この整流回路5はセンタタップ型のアノードコモン接続の構成となっており、トランス4からの出力交流電圧の各半波期間を、それぞれ整流ダイオードD51,D52によって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
【0030】
平滑回路6は、チョークコイル61と出力平滑コンデンサ62とを有している。チョークコイル61は出力ラインLOに挿入配置されており、一端はセンタタップCTに接続され、他端は出力ラインLOの出力端子T3に接続されている。出力平滑コンデンサ62は、出力ラインLOと接地ラインLGとの間に接続されている。接地ラインLGの端部には、出力端子T4が設けられている。このような構成により平滑回路6では、整流回路5で整流された直流電圧を平滑化して直流の出力電圧Voutを生成し、これを出力端子T3,T4から低圧バッテリ90に給電するようになっている。
【0031】
制御部71は、出力電圧Voutに対応する検出信号S(Vout)に基づいて、この出力電圧Voutが一定値を保つこととなるように、SW制御信号S1〜S4の基となるSW制御信号S0を、トランス72を介してSW駆動部73へ供給すると共に、SW制御信号S51,S52の基となるSW制御信号S50を後述する切換部8内のSW駆動部86へ供給するものである。
【0032】
SW駆動部73は、トランス72を介して入力されたSW制御信号S0に基づいて、前述したSW制御信号S1〜S4を生成し、スイッチング素子SW1〜SW4へ供給するものである。
【0033】
切換部8は、トランス811,812と、平滑回路821,822と、バッファ831,832と、抵抗器R81,R82と、リファレンス電源84と、比較器(コンパレータ)85と、SW駆動部86とを有している。この切換部8は、電流検出回路22により検出された検出信号S(Iin1)と、電圧検出回路21により検出された検出信号S(Vin1)とに基づいて、整流回路5における整流モードの切換動作を行うものである。具体的には、出力端子T3,T4の負荷(図示せず)が小さい軽負荷時には、整流ダイオードD51,D52のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、上記軽負荷時よりも負荷が大きい重負荷時には、整流ダイオードD51,D52とスイッチング素子SW51,SW52とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、整流回路5における整流モードを切り換えるようになっている。なお、このような整流モードの切換動作の詳細については、後述する。
【0034】
トランス811は、電流検出回路22から供給される電流の検出信号S(Iin1)を低圧の信号に変圧して、平滑回路821へ出力するものである。また、トランス812は、電圧検出回路21から供給される電圧の検出信号S(Vin1)を低圧の信号に変圧して、平滑回路822へ出力するものである。
【0035】
平滑回路821は、トランス811を介して供給された検出信号S(Iin1)に含まれる脈流を平滑化するための回路である。また、平滑回路822は、トランス812を介して供給された検出信号S(Vin1)に含まれる脈流を平滑化するための回路である。これらの平滑回路821,822は、例えば、抵抗器とコンデンサとを含むLPF(ローパス・フィルタ)などにより構成される。
【0036】
バッファ831は、平滑回路821から出力される検出信号S(Iin1)に対してインピーダンス変換を行うことにより、電流の検出信号S(Iin2)を出力するものである。また、バッファ832は、平滑回路822から出力される検出信号S(Vin1)に対してインピーダンス変換を行うことにより、電圧の検出信号S(Vin2)を出力するものである。
【0037】
抵抗器R81,R82は、バッファ831から出力される電流の検出信号S(Iin2)と、バッファ832から出力される電圧の検出信号S(Vin2)とを合成(合算)することにより、これら検出信号S(Iin2)と検出信号S(Vin2)との合成信号(合算信号)S(Iin+Vin)を生成するものである。また、これら抵抗器R81,R82の抵抗値に応じて、そのような合成信号S(Iin+Vin)を生成する際の重み付けが調整できるようになっている。すなわち、抵抗器R81の抵抗値が検出信号S(Iin2)の重み付け係数を構成すると共に、抵抗器R82の抵抗値が検出信号S(Vin2)の重み付け係数を構成するようになっている。
【0038】
比較器85は、反転入力端子に対して上記合成信号S(Iin+Vin)が入力されると共に、非反転入力端子に対して、リファレンス電源(基準電源)84から供給されるリファレンス電圧(基準電圧)Vrefが供給されている。これにより、この比較器85では、リファレンス電圧Vrefと合成信号S(Iin+Vin)との電位が比較され、その比較結果に応じた値を示す出力信号Soutが出力端子から出力されるようになっている。
【0039】
SW駆動部86は、制御部71から供給されるSW制御信号S50と、比較器85から供給される出力信号Soutとに基づいて、SW制御信号S51,S52を生成すると共に、スイッチング素子SW51,SW52へ供給するものである。
【0040】
ここで、整流ダイオードD51,D52が、本発明における「複数の整流素子」の一具体例に対応し、スイッチング素子SW51,SW52が本発明における「スイッチング素子」の一具体例に対応する。また、電流検出回路22が本発明における「電流検出部」の一具体例に対応し、電圧検出回路21が本発明における「電圧検出部」の一具体例に対応する。また、抵抗器R81,R82が本発明における「抵抗器」の一具体例に対応し、平滑回路821,822が本発明における「平滑回路」の一具体例に対応する。
【0041】
次に、本実施の形態のスイッチング電源装置1の作用および効果について説明する。
【0042】
(スイッチング電源装置の基本動作例)
最初に、図2〜図5を参照して、スイッチング電源装置1の基本動作について説明する。図2〜図5は、このスイッチング電源装置1の基本動作の状態を、回路図を用いて表したものである。このうち、図2,図3は軽負荷時の動作を、図4,図5は重負荷時の動作を、それぞれ表している。なお、これらの図2〜図5では、説明の容易化のため、スイッチング素子SW1〜SW4,SW51,SW52をそれぞれ、スイッチの形状で示している。
【0043】
このスイッチング電源装置では、スイッチング回路3において、高圧バッテリ10から入力端子T1,T2を介して供給される直流の入力電圧Vinがスイッチングされることにより入力交流電圧が生成され、この入力交流電圧がトランス4の1次側巻線41へ供給される。そしてトランス4では入力交流電圧が変圧され、2次側巻線421,422から、変圧された出力交流電圧が出力される。
【0044】
整流回路5では、トランス4から出力された出力交流電圧が、整流ダイオードD51,D52、あるいは、これら整流ダイオードD51,D52およびスイッチング素子SW51,SW52によって整流される。これにより、センタタップCTと整流ダイオードD51,D52同士の接続点(アノード側)との間に、整流出力が発生する。
【0045】
平滑回路6では、この整流回路5において発生する整流出力が、チョークコイル61と出力平滑コンデンサ62とによって平滑化され、出力端子T3,T4から直流の出力電圧Voutとして出力される。そしてこの出力電圧Voutは、低圧バッテリ90に給電されてその充電に供されると共に、図示しない負荷が駆動される。
【0046】
このとき、図2,図3に示した軽負荷時には、図2に示した動作状態と図3に示した動作状態とが、交互に繰り返される。
【0047】
具体的には、まず、図2に示したように、スイッチング回路3のスイッチング素子SW1,SW4がそれぞれオン状態になると、スイッチング素子SW1からスイッチング素子SW4の方向に、1次側ループ電流Ia1が流れる。すると、トランス4の2次側巻線421,422にそれぞれ現れる電圧は、整流ダイオードD52に対して逆方向となる一方、整流ダイオードD51に対して順方向となる。このため、整流ダイオードD51から2次側巻線421、チョークコイル61および出力平滑コンデンサ62を順に通る2次側ループ電流Ia2が流れる。そしてこの2次側ループ電流Ia2により、直流の出力電圧Voutが低圧バッテリ90に給電されると共に、図示しない負荷が駆動される。
【0048】
一方、図3に示したように、スイッチング回路3のスイッチング素子SW1,SW4がそれぞれオフ状態になると共に、スイッチング回路3のスイッチング素子SW2,SW3がそれぞれオン状態になると、スイッチング素子SW3からスイッチング素子SW2の方向に、1次側ループ電流Ib1が流れる。すると、トランス4の2次側巻線421,422にそれぞれ現れる電圧は、整流ダイオードD51に対して逆方向となる一方、整流ダイオードD52に対して順方向となる。このため、整流ダイオードD52から2次側巻線422、チョークコイル61および出力平滑コンデンサ62を順に通る2次側ループ電流Ib2が流れる。そしてこの2次側ループ電流Ib2により、直流の出力電圧Voutが低圧バッテリ90に給電されると共に、図示しない負荷が駆動される。
【0049】
このようにして、図2および図3に示した軽負荷時には、スイッチング素子SW51,SW52がいずれもオフ状態となるように切換部8内のSW駆動部86からSW制御信号S51,S52が供給されることにより、整流回路5における整流モードは、整流ダイオードD51,D52のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなる。
【0050】
また、図4,図5に示した重負荷時には、図4に示した動作状態と図5に示した動作状態とが、交互に繰り返される。具体的には、これら図4および図5に示した動作状態では、図2および図3に示した軽負荷時における動作に加え、スイッチング素子SW51,SW52が同期整流動作を行う。すなわち、ダイオードD51の整流動作時(図4)にはスイッチング素子SW51がオン状態となると共に、ダイオードD52の整流動作時(図5)にはスイッチング素子SW52がオン状態となるように、切換部8内のSW駆動部86からSW制御信号S51,S52が供給される。これにより、この重負荷時には、整流ダイオードD51,D52とスイッチング素子SW51,SW52とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなり、図中に示した2次側ループ電流Ia3,Ib3が流れることになる。
【0051】
ここで、このような軽負荷時および重負荷時のいずれにおいても、制御部71は、出力電圧Voutに対応する検出信号S(Vout)に基づいて、この出力電圧Voutが一定値を保つこととなるように、SW制御信号S0をトランス72を介してSW駆動部73へ供給すると共に、SW制御信号S50をSW駆動部86へ供給する。また、電流検出回路22において、入力電流Iinに対応する電流の検出信号S(Iin1)が検出されると共に、電圧検出回路21において、入力電圧Vinに対応する電圧の検出信号S(Vin1)が検出され、それぞれ切換部8へ入力される。
【0052】
(切換部による整流モードの切換動作例)
次に、図1に加えて図6〜図10を参照して、本発明の特徴的部分の1つである、切換部8による整流回路5の整流モードの切換動作について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。ここで、図6は、比較例に係る従来のスイッチング電源装置(スイッチング電源装置101)の回路構成を表したものであり、図7は、このスイッチング電源装置101における出力電流Iout(定格電流に対しての負荷率)と装置全体の効率との関係の一例を表したものである。
【0053】
まず、図6に示した比較例に係るスイッチング電源装置101では、本実施の形態における電圧検出回路21が設けられていないと共に、本実施の形態の切換部8の代わりに切換部108が設けられている。具体的には、この切換部108では、入力電流Iinに対応する電流の検出信号S(Iin1)のみに基づいてSW制御信号S51,S52を生成することにより、整流回路5における整流モードの切り換えを行うようになっている。すなわち、電流の検出信号S(Iin1)に基づいて、トランス811、平滑回路821およびバッファ831により電流の検出信号S(Iin2)を生成すると共に、比較器85においてこの検出信号S(Iin2)とリファレンス電圧Vrefとの比較結果に応じた出力信号Soutを出力し、SW駆動部86がこの出力信号Soutに基づいてSW制御信号S51,S52を生成している。
【0054】
ところが、入力電圧Vinが変動した場合、検出対象の入力電流Iinにおける電流波形のピーク値やデューティも変動する。このため、整流モードの切り換えの判定を行う比較器85のリファレンス電圧Vref(一定)に対して、電流の検出信号S(Iin2)が大きく変動することになる。これにより、この比較例では、例えば図7中の符号P101,P102で示したように、ダイオード整流(第1の整流モード)と同期整流(第2の整流モード)との整流モードの切換点も、入力電圧Vinの大きさ(ここでは、定格入力電圧が260V,入力電圧範囲が100V〜420V)に応じて大きく変動してしまうことになる(負荷の大きさに対応する出力電流Ioutにおける変動幅が大きい)。なお、図7に示した効率特性線は、図中の上側から、入力電圧Vin=100V〜420Vの順に並んだものとなっている。
【0055】
すなわち、この比較例に係るスイッチング電源装置101では、入力電圧Vinが変動する場合に、整流モードの切換点が大きく変動し、入力電圧Vinが大きくなるのに従って切換点も高負荷側へ変位してしまうため、入力電圧Vinの変動範囲において、切換点を十分には軽負荷側に設定することができない(例えば、図7中に示した目標の出力電流範囲ΔIout内に、切換点を設定することができない)。これは、以下の理由によるものである。すなわち、まず、軽負荷時において同期整流動作を行う場合、図6中に示した電流I101のように、出力電流が低圧バッテリ90から整流回路5側へ逆流したときに電力損失が生じ、効率が低下してしまうことがある。また、この逆流した電流I101によってチョークコイル61に蓄えられたエネルギーに基づいて、スイッチング素子SW51,SW52の両方がオフ状態となったときにサージ電圧が発生し、これによりスイッチング素子SW51,SW52が破壊されてしまうおそれがある。したがって、これらのことを考慮すると、切換点が大きく変動する場合には、あまり軽負荷側まで同期整流動作を利用できないからである。以上のことから、この比較例では、ダイオード整流(第1の整流モード)と比べてより高効率である同期整流(第2の整流モード)を十分に軽負荷側まで使用することができず、軽負荷時の効率が低くなってしまう。
【0056】
これに対して、本実施の形態では、図1に示したように、切換部8において、電流検出回路22により検出された電流の検出信号S(Iin1)と、電圧検出回路21により検出された電圧の検出信号S(Vin1)とに基づく合成信号S(Iin+Vin)に基づいて、整流回路5内のスイッチング素子SW51,SW52のオン・オフ状態を制御することにより、整流モードの切り換えを行っている。具体的には、比較器85において、例えば、上記合成信号S(Iin+Vin)が所定のリファレンス電圧Vrefよりも小さいときには、ダイオード整流(第1の整流モード)が行われるように、すなわち、スイッチング素子SW51,SW52がオフ状態となるように、スイッチング素子SW51,SW52のオン・オフ状態を制御する。一方、例えば、上記合成信号S(Iin+Vin)が所定のリファレンス電圧Vrefよりも大きいときには、同期整流(第2の整流モード)が行われるように、すなわち、整流時にスイッチング素子SW51,SW52がオン状態となるように、スイッチング素子SW51,SW52のオン・オフ状態を制御する。
【0057】
ここで、例えば図8に示したように、同じ出力電圧Voutおよび出力電流Ioutの下では、入力電流Iinの検出信号S(Iin1)は、入力電圧Vinが低いほど検出値が高くなると共に、入力電圧Vinが高いほど検出値が低くなる(ここでは、入力電圧Vinに対して反比例関係となっている)。また、平滑回路821,822がLPFなどにより構成されているため、ダイオードによるピーク検出とは異なり、温度による変動をほとんど受けない。一方、入力電圧Vinの検出信号S(Vin1)の検出値は、入力電圧Vinに対して比例関係となる。したがって、これらの検出信号S(Iin1)と検出信号S(Vin1)とに基づく合成信号S(Iin+Vin)では、図に示したように、ある出力電流Ioutにおいて入力電圧Vinが変動しても、ほぼ一定に保たれることになる。
【0058】
これにより、例えば図9に示したように、入力電圧Vinが変動する場合に、ダイオード整流(第1の整流モード)と同期整流(第2の整流モード)との整流モードの切換点(出力電流Ioutの閾値電流Ith)の変動が、比較例と比べて抑えられる(好ましくは、切換点が常に一定となる)。したがって、従来と比べて切換点(閾値電流Ith)をより軽負荷側に設定することができ(例えば、図9中に示した目標の出力電流範囲ΔIout内に、閾値電流Ithを設定することが可能となり)、ダイオード整流(第1の整流モード)と比べてより高効率である同期整流(第2の整流モード)を、より軽負荷側まで使用することができるようになる。なお、図9に示した効率特性線においても、図中の上側から、入力電圧Vin=100V〜420Vの順に並んだものとなっている。
【0059】
以上のように本実施の形態では、切換部8において、電流検出回路22により検出された電流の検出信号S(Iin1)と、電圧検出回路21により検出された電圧の検出信号S(Vin1)とに基づく合成信号S(Iin+Vin)に基づいて、整流回路5内のスイッチング素子SW51,SW52のオン・オフ状態を制御することによって、整流モードの切り換えを行うようにしたので、従来と比べて整流モードの切換点(閾値電流Ith)を、入力電圧Vinの変動範囲においてより軽負荷側に設定することができる。よって、高効率である同期整流(第2の整流モード)をより軽負荷側まで使用することができ、従来と比べて特に軽負荷時の効率を向上させることが可能となる。
【0060】
ここで、図10は、上記比較例および本実施の形態に係る軽負荷時の効率の一例を対比して表したものであり、図中の符号G101で示した特性は比較例のものを、図中の符号G1で示した特性は本実施の形態のものを、それぞれ表している。図中の矢印P1に示したように、本実施の形態(G1)では、比較例(G101)と比べ、軽負荷時の効率が向上していることが分かる。
【0061】
また、切換部8内に、合成信号S(Iin+Vin)を生成する際の電流の検出信号S(Iin2)と電圧の検出信号S(Vin2)との重み付けを調整するための抵抗器R81,R82を設けるようにしたので、そのような重み付けの調整により、整流モードの切換点(閾値電流Ith)の調整が容易となる。したがって、設計も容易となるため、設計の自由度を向上させることが可能となる。また、これらの抵抗R81,R82によって、電流の検出信号S(Iin2)と電圧の検出信号S(Vin2)とを合成しているため、例えばオペアンプを使用した加算器と比較して安価な構成とすることが可能となる。
【0062】
さらに、降圧型のスイッチング電源装置1において、電流検出回路22および電圧検出回路21が、高圧側に対応する入力電流Iinおよび入力電圧Vinを検出するようにしたので、低圧側に対応する出力電流Ioutや出力電流Voutを検出して整流モードの切換動作を行う場合と比べて電力損失を抑えることができ、効率をさらに向上させることが可能となる。
【0063】
なお、前述したように、軽負荷時において同期整流動作を行った場合に、逆流した電流I101に起因してチョークコイル61に蓄えられたエネルギーに基づいてサージ電圧が発生するおそれがあること等を考慮すると、本実施の形態で説明した整流モードの切り換え動作は、出力側にチョークコイルが設けられたスイッチング電源装置において特に有効であると言える。
【0064】
[変形例]
次に、本発明の変形例をいくつか挙げて説明する。なお、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0065】
(変形例1)
図11は、本発明の変形例1に係る平滑回路(平滑回路821A,822A)の回路構成を表すものである。これらの平滑回路821A,822Aは、整流ダイオードD82と平滑コンデンサC82とを有するピークホールド回路を用いて構成されている。具体的には、整流ダイオードD82のアノードがトランス811,812側からの入力信号線に接続され、カソードが平滑コンデンサC82の一端および出力信号線に接続され、平滑コンデンサC82の他端は接地されている。すなわち、上記実施の形態の平滑回路821,822では、LPFを用いた構成を挙げて説明したが、本変形例の平滑回路821A,822Aでは、ピークホールド回路を用いた構成となっている。
【0066】
このような構成の平滑回路821,822では、例えば図12中の矢印P2,P3で示したように、負荷(出力電流Iout)の変動に応じた合成信号S(Iin+Vin)の変動が低減されるため、整流モードの切換点(閾値電流Ith)の変動をさらに抑えることができ、切換点をさらに軽負荷側に設定することができる。
【0067】
(変形例2)
図13(A)は、本発明の変形例2に係る整流モードの切換動作を表すものである。本変形例では、整流モードの切り換えの際の出力電流の閾値(閾値電流)が、出力電流Ioutの増加傾向時と減少傾向時とで、互いに異なる値(閾値電流IthL,IthH))となっている。すなわち、上記実施の形態では、図13(B)に示したように、閾値電流Ithが、出力電流Ioutの増加傾向時と減少傾向時とで互いに一致しているのに対し、本変形例では、ヒステリシスを示すようになっている。
【0068】
具体的には、本変形例では、図13(A)に示したように、出力電流Ioutの増加傾向時には、閾値電流IthH(>IthL)において整流モードが切り換わる。一方、出力電流Ioutの減少傾向時には、閾値電流IthL(<IthH)において接続状態が切り換わる。
【0069】
また、このような切換動作を実現するため、本変形例の切換部(切換部8A)では、例えば図14に示したようなヒステリシスコンパレータが設けられている。すなわち、上記実施の形態で説明した比較器85において、出力端子と非反転入力端子との間に抵抗器R85が設けられている。これにより、合成信号S(Iin+Vin)に基づいて、出力電流Ioutの増加傾向時と減少傾向時とで、互いに異なるリファレンス電圧Vrefとの比較結果に応じた出力信号Soutが出力される。そして、この抵抗器R85の抵抗値に応じて、閾値電流IthL,IthHの値を任意に調整することができるようになっている。
【0070】
このような構成により本変形例では、閾値電流付近において整流モードが頻繁に切り換わってしまうのが回避されるため、それに起因したスイッチングノイズの発生を抑えることが可能となる。
【0071】
(変形例3)
図15は、本発明の変形例3に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1A)の回路構成を表すものである。本変形例のスイッチング電源装置1Aは、双方向のスイッチング電源装置(DC/DCコンバータ)として機能するものである。具体的には、このスイッチング回路1Aでは、スイッチング回路(整流回路)3Aにおけるスイッチング素子S1〜S4に対し、整流ダイオードD31〜D32(例えば、スイッチング素子S1〜S4の寄生ダイオード)が並列接続されている。これにより、上記実施の形態で説明したような、入力端子T1,T2から入力される直流の入力電圧Vinを降圧して直流の出力電圧Voutを出力端子T3,T4から出力する降圧動作に加え、以下説明するような、出力端子T3,T4から入力される直流の入力電圧Vinを昇圧して直流の出力電圧Voutを入力端子T1,T2から出力する昇圧動作も行うことが可能となる(双方向動作が可能となる)。その場合、降圧動作時(順方向動作時)には、スイッチング回路3Aがインバータ回路として機能すると共にスイッチング回路(整流回路)5が整流回路として機能し、昇圧動作時(逆方向動作時)には、スイッチング回路5がインバータ回路として機能すると共にスイッチング回路3Aが整流回路として機能することになる。
【0072】
また、このスイッチング電源装置1Aでは、切換部8内の比較器85から出力される、合成信号S(Iin+Vin)に基づく出力信号Soutが、SW駆動部86に加えてSW駆動部73へ入力されるようになっている。これにより、上記逆方向動作時には、整流回路として機能するスイッチング回路3A内のスイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ状態が制御され、このスイッチング回路3Aにおける整流モードの切り換えが行われる。
【0073】
なお、この場合、入力端子T1,T2が本発明における「第1の入出力端子」の一具体例に対応し、出力端子T3,T4が本発明における「第2の入出力端子」の一具体例に対応する。また、スイッチング回路(整流回路)3Aが本発明における「第1の回路」の一具体例に対応し、スイッチング回路(整流回路)5が本発明における「第2の回路」の一具体例に対応する。また、スイッチング素子SW1〜SW4が本発明における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応し、整流ダイオードD31〜D34が本発明における「複数の第1の整流素子」の一具体例に対応する。また、スイッチング素子SW51,SW52が本発明における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応し、整流ダイオードD51,D52が本発明における「複数の第2の整流素子」の一具体例に対応する。
【0074】
このスイッチング電源装置1Aでは、順方向動作時には、上記実施の形態と同様の基本動作および整流モードの切換動作がなされることにより、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
一方、逆方向動作時には、図16〜図18に示した動作状態が、交互に繰り返される。なお、図17および図18では、軽負荷時の電流ループが実線で示されていると共に、重負荷時の電流ループは実線および破線で示されている。
【0076】
まず、図16に示したように、スイッチング素子SW51,SW52とも、オン状態となる。したがって、スイッチング回路5を含む低圧側には、図中に示したようなループ電流Ic11,Ic12が低圧バッテリ70から流れ、インダクタ61が励磁される。また、トランス4の巻線421,422は互いに巻回し方向が逆であると共に巻数が等しいため、これら巻線421,422に流れる電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合うこととなり、巻線421,422の両端間の電圧はいずれも0Vとなる。よって、この期間では、低圧側から高圧側への電力伝送はなされない。ただし、高圧側では、図中に示したような出力電流Ioutが、入力平滑コンデンサCinから高圧バッテリ10Lへと流れている。
【0077】
次に、図17に示したように、スイッチング素子SW52がオフ状態となる。よって、低圧側には、図中に示したようなループ電流Ic11のみが流れ、インダクタ61に蓄積されたエネルギーに基づいて、低圧側から高圧側への電力伝送がなされる。また、スイッチング回路3Aを含む高圧側では、図中に示したような2次側ループ電流Ic21および出力電流Ioutが流れる。なお、この図17に示した動作状態の期間の後は、再び、図16に示した動作状態となる。
【0078】
次に、そのような再度の図16に示した状態の後は、図18に示したように、スイッチング素子SW51がオフ状態となる。よって、低圧側には、図中に示したようなループ電流Ic12のみが流れ、インダクタ61に蓄積されたエネルギーに基づいて、低圧側から高圧側への電力伝送がなされる。また、スイッチング回路3Aを含む高圧側では、図中に示したような2次側ループ電流Ic22および出力電流Ioutが流れる。
【0079】
ここで、このような逆方向動作時では、切換部8が、合成信号S(Iin+Vin)に基づく出力信号SoutをSW駆動部73へ供給することにより、整流回路として機能するスイッチング回路3A内のスイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ状態を制御し、このスイッチング回路3Aにおける整流モードの切り換えを行う。これにより、上記実施の形態で説明した順方向動作時と同様の作用により、従来と比べて特に軽負荷時の効率を向上させることが可能となる。ただし、本変形例のような双方向のスイッチング電源装置(DC/DCコンバータ)において、このような整流モードの切換動作を、順方向動作時または順方向動作時の一方のみにおいて行うようにしてもよく、あるいは、上記したように順方向動作時および逆方向動作時の双方において行うようにしてもよい。
【0080】
なお、本変形例のような双方向のスイッチング電源装置においても、上記した整流モードの切り換え動作は、出力側にチョークコイルが設けられたスイッチング電源装置において特に有効である。すなわち、例えば図15に示したスイッチング電源装置1Aでは、出力側にチョークコイルが設けられることになる順方向動作時において特に有効である。
【0081】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0082】
例えば、上記実施の形態等で説明したスイッチング回路、トランス、整流回路、平滑回路および制御部等の構成は、これらには限られず、他の構成であってもよい。具体的には、例えば上記実施の形態等では、スイッチング回路がフルブリッジ型の回路である場合について説明したが、例えばハーフブリッジ型等の他の回路構成のスイッチング回路を用いるようにしてもよい。また、例えば上記実施の形態等で説明した比較器85の機能(ハードウェアによる構成)を、ソフトウェアによって構成するようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態等では、電流検出回路22および電圧検出回路21が、高圧側に対応する電流または電圧を検出する場合について説明したが、場合によっては、低圧側に対応する電流または電圧を検出するようにしてもよい。
【0084】
更に、これまでは、トランスを用いた絶縁型のスイッチング電源装置を例に挙げて説明したが、本発明は、例えば非絶縁のチョッパ型のスイッチング電源装置等の、トランスを有しないスイッチング電源装置にも適用することが可能である。
【0085】
加えて、これまでは、スイッチング電源装置がDC/DCコンバータとして機能する場合について説明したが、本発明のスイッチング電源装置は、例えば、AC/DCコンバータやDC/ACインバータとして機能するものなどにも適用することが可能である。
【0086】
加えてまた、これまでは、スイッチング電源装置が降圧型のスイッチング電源装置(DC/DCコンバータ)である場合について説明したが、本発明のスイッチング電源装置は、例えば、昇圧型のスイッチング電源装置にも適用することが可能である。
【0087】
加えて更に、これまでは、スイッチング電源装置全体を、バッテリ等に対する充電・放電装置として用いる場合について説明したが、本発明のスイッチング電源装置は、そのような充電・放電装置以外にも、例えば家電等の電源装置など、他の用途にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1,1A…スイッチング電源装置、10…高圧バッテリ、21…電圧検出回路、22…電流検出回路、3,3A…スイッチング回路(整流回路)、4…トランス、40…磁芯、41…1次側巻線(高圧側巻線)、421,422…2次側巻線(低圧側巻線)、5…整流回路(スイッチング回路)、6…平滑回路、61…チョークコイル、62…出力平滑コンデンサ、71…制御部、72…トランス、73…SW駆動部、8,8A…切換部、811,812…トランス、821,822,821A,822A…平滑回路、831,832…バッファ、84…リファレンス電源、85…比較器、86…SW駆動部、90…低圧バッテリ、T1,T2…入力端子(入出力端子)、T3,T4…出力端子(入出力端子)、Vin…入力電圧、Iin…入力電流、Vout…出力電圧、Iout…出力電流、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、Cin…入力平滑コンデンサ、SW1〜SW4,SW51,SW52…スイッチング素子(FET)、S0,S1〜S4,S50,S51,S52…SW制御信号、S(Vin1),S(Vin2),S(Iin1),S(Iin2),S(Vout)…検出信号、S(Iin+Vin)…合成信号(合算信号)、Sout…出力信号、Lr…共振用インダクタ、CT…センタタップ、D51,D52…整流ダイオード、R81,R82…抵抗器、Vref…リファレンス電圧、D82…整流ダイオード、C82…平滑コンデンサ、R85…抵抗器、Ia1,Ib1,Ic11,Ic12…電流(1次側電流ループ)、Ia2,Ia3,Ib2,Ib3,Ic21,Ic22…電流(2次側電流ループ)、ΔIout…出力電流範囲、Ith,IthL,IthH…閾値電流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子対から入力される入力電圧に基づいて電圧変換を行うことにより出力電圧を生成し、出力端子対から出力するスイッチング電源装置であって、
前記入力端子対側に配置されたスイッチング回路と、
前記スイッチング回路と前記出力端子対との間に配置されると共に、複数の整流素子と、これら複数の整流素子にそれぞれ並列接続されたスイッチング素子とを有する整流回路と、
前記入力端子対側を流れる入力電流または前記出力端子対側を流れる出力電流を検出する電流検出部と、
前記入力電圧または前記出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記出力端子対側の負荷が小さい軽負荷時には、前記整流素子のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、前記軽負荷時よりも負荷が大きい重負荷時には、前記整流素子と前記スイッチング素子とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、前記整流回路における整流モードを切り換える切換部と
を備え、
前記切換部は、前記電流検出部により検出された電流検出信号と前記電圧検出部により検出された電圧検出信号との合成信号に基づいて、前記スイッチング素子のオン・オフ状態を制御することにより、前記整流モードの切り換えを行う
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記切換部は、前記合成信号を生成する際の前記電流検出信号と前記電圧検出信号との重み付けを調整するための抵抗器を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記切換部は、前記電流検出信号および前記電圧検出信号に含まれる脈流を平滑化する平滑回路を有し、
前記平滑回路が、整流ダイオードと平滑コンデンサとを含むピークホールド回路を用いて構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記スイッチング回路と前記整流回路との間にトランスを備え、
前記出力電圧が前記入力電圧よりも低くなるように設定された降圧型のスイッチング電源装置として構成されており、
前記電流検出部および前記電圧検出部は、高圧側に対応する前記入力電流および前記入力電圧を検出する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記整流モードの切り換えの際の閾値が、負荷の増加傾向時と減少傾向時とで、互いに異なる値となっている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
直流入力電圧に基づいて直流出力電圧を生成するDC/DCコンバータとして機能する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
第1および第2の入出力端子対のうちの一方の入出力端子対から入力される入力電圧に基づいて電圧変換を行うことにより出力電圧を生成し、他方の入出力端子対から出力するスイッチング電源装置であって、
第1の入出力端子対側に配置されると共に、複数の第1の整流素子と、これら複数の第1の整流素子にそれぞれ並列接続された第1のスイッチング素子とを有する第1の回路と、
前記第1の回路と前記第2の入出力端子対との間に配置されると共に、複数の第2の整流素子と、これら複数の第2の整流素子にそれぞれ並列接続された第2のスイッチング素子とを有する第2の回路と、
前記一方の入出力端子対側を流れる入力電流または前記他方の入出力端子対側を流れる出力電流を検出する電流検出部と、
前記入力電圧または前記出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記他方の入出力端子対側の負荷が小さい軽負荷時には、前記第1または第2の整流素子のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、前記軽負荷時よりも負荷が大きい重負荷時には、前記第1または第2の整流素子と前記第1または第2のスイッチング素子とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、前記第1または第2の回路における整流モードを切り換える切換部と
を備え、
前記切換部は、前記電流検出部により検出された電流検出信号と前記電圧検出部により検出された電圧検出信号との合成信号に基づいて、前記第1または第2のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御することにより、前記整流モードの切り換えを行う
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記切換部は、前記第1の入出力端子対から入力される入力電圧に基づいて前記第2の入出力端子対から出力電圧を出力する動作時と、前記第2の入出力端子対から入力される入力電圧に基づいて前記第1の入出力端子対から出力電圧を出力する動作時と、のうちの一方の動作時のみにおいて、前記整流モードの切換を行う
ことを特徴とする請求項7に記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−206858(P2010−206858A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46301(P2009−46301)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】