説明

スイッチ構造及びそれを備える電子機器

【課題】押圧釦のストロークの変更が可能なスイッチ構造を提供する。
【解決手段】本発明のスイッチ構造は、押圧部(23)と、押圧部(23)から延びる延在部(25)とを有し、延在部(25)の側面の所定位置に第1導通部(32)が形成された押圧釦(9)と、押圧釦(9)の延在部(25)が挿入される挿入孔(28)が設けられた釦受け部(21)と、前記挿入孔(28)の内面に形成された、該挿入孔(28)の深さ方向に延びる第2導通部(34)と、前記挿入孔(28)の開口端部からの距離が異なる複数の位置に形成された複数の第3導通部(36)と、を備え、押圧釦(9)の延在部(25)が挿入孔(28)に挿入されたときに、第1導通部(32)により、第2導通部(34)と、延在部(25)が挿入された深さに応じて前記所定位置に形成された第1導通部(32)が接触する第3導通部(36)と、が導通すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ構造及びそれを備える電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器、例えばカメラは、レリーズ釦を備えている。そのレリーズ釦の押し力量は、レリーズ釦の付勢ばねの力量を機械的に変更することにより変更することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−295299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、レリーズ釦の半押しや全押しの際のストロークの変更を簡単な構造で達成できる技術は知られていない。
【0004】
本発明の課題は、押圧釦のストロークの変更が可能なスイッチ構造及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1に記載の発明は、押圧部(23)と、前記押圧部(23)から延びる延在部(25)とを有し、該延在部(25)の側面の所定位置に第1導通部(32)が形成された押圧釦(9)と、前記押圧釦(9)の前記延在部(25)が挿入される挿入孔(28)が設けられた釦受け部(21)と、前記挿入孔(28)の内面に形成された、該挿入孔(28)の深さ方向に延びる第2導通部(34)と、前記挿入孔(28)の開口端部からの距離が異なる複数の位置に形成された複数の第3導通部(36)と、を備え、前記押圧釦(9)の前記延在部(25)が前記挿入孔(28)に挿入されたときに、前記第1導通部(32)により、前記第2導通部(34)と、該延在部(25)の挿入深さに応じて前記第1導通部(32)が存在する位置に形成された前記第3導通部(36)と、が導通すること、を特徴とするスイッチ構造(20)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ構造(20)であって、前記第1導通部(32)、前記第2導通部(34)及び前記第3導通部(36)の少なくとも一つは二色成型により形成されていること、を特徴とするスイッチ構造(20)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスイッチ構造(20)を備える電子機器(1)であって、複数の前記第3導通部(36)がグループ分けされており、同一グループ内の前記第3導通部(36)のうちの、何れの前記第3導通部(36)が前記第2導通部(34)と導通したときにスイッチング機能が実施されるかを選択可能な操作部(10,40)と、前記操作部(10,40)により選択された前記第3導通部(36)が前記第2導通部(34)と導通したときにスイッチング機能を実施する制御部(7)と、を備えること、を特徴とする電子機器(1)である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電子機器(1)であって、前記第3導通部(36)のうちの何れが選択されているかを表示可能な表示部(11)を備えること、を特徴とする電子機器(1)である。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の電子機器(1)であって、
該電子機器がカメラ(1)であり、前記スイッチ構造(20)がレリーズ釦(9)のスイッチ構造(20)であり、前記スイッチング機能が、該レリーズ釦(9)の半押し機能と全押し機能であること、を特徴とする電子機器(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、押圧釦のストロークの変更が可能なスイッチ構造及びそれを備える電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、一眼レフのデジタルカメラを例に説明するが、これに限定されず、いわゆるコンパクトカメラでもよく、さらにカメラに限らず、スイッチ構造を有するものであれば、他の電子機器であってもよい。
【0009】
図1はカメラ1の構成を示すブロック図である。カメラ1は、光軸Aに沿って、撮影レンズ2、ミラー部3及び撮像素子4を備える。また、撮影レンズ2に入射した光のうちの、ミラー部3によって図中上方に向けられた光が入射するファインダー部5と、ミラー部3によって図中下方に向けられた光が入射する測距部6とを備える。カメラ1は、更に、撮像素子4及び測距部6からの情報が入力される制御部7を備え、その制御部7には、レリーズ釦9、操作部10、液晶表示部11、及びフォーカス制御部13が接続されている。
【0010】
撮影レンズ2は、被写体像光を撮像素子4の撮像面等に結像させる光学系であり、この光学系の焦点位置を調節するためのフォーカスレンズを含む複数のレンズ群を備えている。
【0011】
ミラー部3は、撮影レンズ2の出射側に配置されており、メインミラー3a及びサブミラー3bを備えている。メインミラー3aは、撮影レンズ2を通過した光をファインダー部5に向けて反射する鏡である。メインミラー3aは、その一部がハーフミラーとなっており、光の一部を透過させる。また、メインミラー3aは、撮影時にレリーズ釦9が押されると、その端部に設けられた不図示の軸の回りに回動して反射面が光軸Aに対して略平行となる位置に退避する、いわゆる、クイックリターンミラーである。サブミラー3bは、メインミラー3aのハーフミラー部分を透過した光の進路を、例えば90°、メインミラー3aとは反対の方向に屈曲させて後述する測距部6に反射させる鏡である。
【0012】
撮像素子4は、メインミラー3aが退避したときに、光軸Aに沿った光が届く位置に設けられ、撮影レンズ2が結像した像を電気信号に変換する例えばCCD(Charge−Coupled Device)等の撮像素子である。ミラー部3と撮像素子4との間には、露光時間を制御するシャッタ12が設けられている。
【0013】
ファインダー部5は、メインミラー3aによって図中上方に向けられた光が入射するものであり、ペンタプリズム5aと焦点板5bと備えている。ペンタプリズム5aは、メインミラー3aが反射した光の進路を屈曲させて接眼部(接眼レンズ5c)に導く光学素子である。ペンタプリズム5aは、例えば、カメラ1を通常撮影位置としたときに、ミラー部3の上方に設けられている。なお、本明細書において、カメラの通常撮影位置とは、カメラ本体の光軸を水平にして横長の画像を撮影する際のカメラの位置をさすものとする。
【0014】
測距部6は、サブミラー3bによって屈曲された光を2つに分けて視差のある二つの像を生成し、生成した二つの像をそれぞれ電気信号に変換する。そして、変換した電気信号を制御部7に出力する。
【0015】
制御部7は、カメラ1を構成する各要素を統括的に制御する情報処理部である。制御部7は、測距部6からの出力に基づいて、デフォーカス量を算出する。そして、フォーカス制御部13により公知の位相差検出方式のオートフォーカス制御(AF制御)を行い、デフォーカス量がゼロとなるようにAFモータ15を作動させてフォーカスレンズを駆動する。
【0016】
制御部7は、撮像素子4により電気信号に変換された撮像情報を表示部11に表示するように制御する。また、後述するように、制御部7は、表示部11に各種操作画面を表示させ、操作部10の操作によって表示部11の画面上で任意の項目を選択できるように制御する。
【0017】
表示部11は、LCD等からなり、カメラ1のボディ背面に設けられており、撮影済みの画像やスルー画像を表示する。さらに表示部は、再生条件、撮影条件、カメラの基本設定等の設定が可能なメニュー画面等を表示することができる。
【0018】
レリーズ釦9は、シャッタ12を作動させるための押し釦スイッチであり、ユーザによる押圧操作に応じて、所定のストロークで半押し状態及び全押し状態に変位するようになっている。
【0019】
操作部10は、後述する十字キー40やその他メニュー釦、再生釦等の各種スイッチを含む。操作部10の操作により、表示部11に表示されたメニュー画面において、カーソルは移動可能である。
【0020】
図2は、本実施形態のレリーズ釦9のスイッチ構造20を示す。レリーズ釦9は押圧部23と、押圧部23の下面の略中心部分から下方に延びた延在部25とが一体化されることにより形成されており、カメラボディ1aの上面に設けられている。押圧部23はシャッタ12の操作のために押圧操作される部位であり、上面が平面となっている。
【0021】
レリーズ釦9を取り付けるため、カメラボディ1aの上面には、凹み状の釦受け部21が形成されている。釦受け部21の略中央部分には、支持壁部27が筒状となって起立しており、支持壁部27の内部が延在部25を挿入するための挿入孔28となっている。延在部25が挿入孔28内に挿入されることによりレリーズ釦9がカメラボディ1aに取り付けられる。延在部25は挿入孔28の内面に接触する径となっており、延在部25が挿入孔28を上下方向に摺動する。この摺動によってレリーズ釦9のスイッチングが行われる。
【0022】
レリーズ釦9と釦受け部21との間には、ばね29が配置されている。ばね29は、釦受け部21の底面21aとレリーズ釦9の押圧部23との間に位置するように配置されており、レリーズ釦9の押圧操作によって沈み込んだレリーズ釦9を元の位置に復帰させるリターンスプリングとなっている。
【0023】
レリーズ釦9には、取付脚部30が設けられている。取付脚部30は、押圧部23の外周部分の下面から下方に延びており、釦受け部21の底面21aを貫通している。取付脚部30の貫通端はフック部30aとなっており、フック部30aが釦受け部21の底面21aに係止される。これにより、レリーズ釦9が釦受け部21から外れることがなくなる。取付脚部30は、押圧部23に対し、円周方向に離隔して2〜3箇所に設けられることが好ましい。
【0024】
レリーズ釦9の延在部25には、第1導通部32が設けられている。第1導通部32は延在部25における長さ方向の所定位置に設けられるものであり、延在部25に対しリング状に形成されている。一方、釦受け部21の支持壁部27における内面には第2導通部34及び第3導通部36が設けられている。
【0025】
第2導通部34は、支持壁部27の内面に対し、上下方向に延びるように形成されている。第2導通部34は支持壁部27の内面の一部分で上下方向に延びるものであり、支持壁部27の内面の全体(全面)に形成されることはない。この第2導通部34は挿入孔28の全長にわたって深さ方向に沿って連続的に延びており、レリーズ釦9の第1導通部32が常に接触している。かかる第2導通部34はグラウンド(GWD)電極として作用する。
【0026】
第3導通部36は、第2導通部34と対向するように支持壁部27の内面に形成されている。第3導通部36は支持壁部27の内面に対し、所定間隔で上下方向に離隔された複数の端子によって構成されている。本実施形態において、第3導通部36は挿入孔28の開口端部から釦受け部21の底面に向かって離隔された状態で順に配置された第1端子36a、第2端子36b、第3端子36c、第4端子36d、第5端子36e、第6端子36f、第7端子36gによって構成されている。
【0027】
第3導通部36は、第2導通部34とは離隔した位置に形成されることにより通常状態においては第2導通部34と電気的に遮断されている。レリーズ釦9が挿入孔28内を摺動する際には、延在部25の深さ位置に対応したいずれかの端子がレリーズ釦9の第1導通部32と接触する。この接触によって、第1導通部32を介して第3導通部36のいずれかの端子と第2導通部34とが導通する。即ち、レリーズ釦9とカメラボディ1a内の制御部7とが接続されてスイッチングが行われ、レリーズ釦9の半押しによるオートフォーカスやレリーズ釦9の全押しによる撮影が行われる。本実施形態において、レリーズ釦9の半押し、全押しの際のストロークは後述するように、任意に変更可能となっている。
【0028】
本実施形態において、第1導通部32、第2導通部34、第3導通部36は樹脂の2色成型により形成されたものである。2色成型は、メッキ用ABS樹脂等のメッキしやすい第1樹脂材料と、ポリカーボネート等のメッキしにくい第2樹脂材料とを用いて行う成型である。
【0029】
例えば、レリーズ釦9を2色成型により成形する場合には、金型に第2樹脂材料を注入して第1導通部32の対応部分を除いた外形のベースを成型し、次にその金型の一部を交換または移動して、その交換または移動によって第1導通部32の対応部分に空間を形成する。そして、この空間に第1樹脂材料を注入して第1導通部32の対応部分の外形を形成する。この2色成型で成型された部材に対して化学メッキ処理を行うと、メッキしやすい第1樹脂材料の表面にのみメッキが施され、メッキしにくい第2樹脂材料の表面はメッキされない。化学メッキ処理としては、第1樹脂材料の表面に下地としての銅をメッキする第1メッキ処理を行い、次に銅の上に金をメッキする第2メッキ処理を行う。これにより、レリーズ釦9の延在部25の外周面に対してリング状の第1導通部32を形成することができる。
【0030】
次に、スイッチ構造20におけるレリーズ釦9の半押し、全押しのストロークの変更について説明する。本実施形態のカメラ1は、操作部10より、レリーズ釦9のストローク変更を行う「ストローク調整モード」を選択することができる。図3は、「ストローク調整モード」が選択された場合の、カメラ1の背面側の一部を示したもので、表示部11と、その表示部11に隣接して配置された、操作部10の一部としての十字キー40を示す。
【0031】
十字キー40は、中央の決定釦41と、決定釦41周囲の選択釦とを備えている。選択釦は決定釦41の上下に位置する上釦42及び下釦43と、決定釦41の左右に位置する左釦44と右釦45とを有している。これらの選択釦42,43,44,45を押圧することにより、表示部11で表示されているカーソル46,47を移動させることができる。本実施形態において、カーソル46,47は矢印状の画像で示される。また、レリーズ釦9のストローク変更の際には、上釦42及び下釦43によりカーソル46,47が上下方向に移動される。
【0032】
図3に示すように、表示部11には、「半押し」及び「全押し」のストロークがスケールで表示されている。「半押し」のスケール表示48には、上から順に、第3導通部36の端子36a,36b,36cに対応するa,b,cの3つの点が表示されている。「全押し」のスケール表示49には、上から順に、第3導通部36の端子36d,36e,36f,36gに対応するd,e,f,gの4つの点が表示されている。
【0033】
図4は、スイッチ構造20の制御のブロック図である。図4に示すように、表示部11は制御部7に接続された表示制御部14によって表示が制御される。この制御により、図3で示すストローク変更の画面を表示することができる。
【0034】
図4に示すように、第3導通部36のそれぞれの端子36a〜36と接続可能なラインが制御部7に接続されていると共に、十字キー40の決定釦41、上釦42、下釦43、左釦44、右釦45のそれぞれが制御部7に接続されている。端子36a〜36cは半押しに対応し、端子36d〜36gは全押しに対応する。
【0035】
半押しのストロークが、図3の画面で例えば位置「a」として選択されると、図4の端子36aが制御部から延びるラインと接続される。そしてレリーズ釦9が押圧されて第1導通部32が図2で示す第3導通部36aの位置に到達したとき、半押しの操作が行われる。すなわち、制御部7は、フォーカス制御部13(図1参照)を制御してオートフォーカスを行なう。
【0036】
また、全押しストロークが、図3の画面で例えば位置「f」として選択されると、図4の端子36fが制御部から延びるラインと接続される。そしてレリーズ釦9が押圧されて、半押し動作が行われた後、第1導通部32が図2で示す第3導通部36fの位置に到達したとき、半押しの操作が行われる。すなわち、制御部7は、シャッタ12(図1参照)を制御して撮影動作を行なう。
【0037】
図5は、半押し及び全押しのストロークを変更する場合のフローチャートを示す。カメラ1において「ストローク調整モード」が選択されると、図3で示す「ストローク調整モード」の画面が表示部11に表示され、「半押し」のカーソル46が点滅する(ステップS11)。半押しのストロークの調整を行うか否かが判断され(ステップS12)行わない場合には、決定釦41が押下される(ステップS15)。半押しストローク調整を行う場合には、ステップS13に移行する。
【0038】
ステップ13においては、ユーザが、例えばレリーズ釦9を押圧したときに、深く押圧することなくすぐに半押し操作が行われることを希望する場合、上下釦42,43を操作することにより図3中「a」で示す位置にカーソル46を移動させる(ステップS14)。そして、決定釦41を押圧することにより、半押しのストロークが「早い」(レリーズ釦9を押圧したときに浅い位置でレリーズ半押し動作が開始される)に決定される(ステップS15)。
【0039】
また、ユーザが、例えばレリーズ釦9を押圧したときに、中間深さ又は深く押したときに半押し操作が行われることを希望する場合、上下釦42,43を操作することにより図3「b」又は「c」で示す位置にカーソル46を移動させる(ステップS14)。そして、決定釦41を押圧する。これにより、半押しのストロークが「標準」又は「遅い」に決定される(ステップS15)。
【0040】
ステップS15に続くステップS16では、「半押し」マークが点滅から点灯(点滅していないで点灯し続ける状態)することにより半押しのストロークが決定したことを表示する。これと並行して「全押し」の矢印が点滅する。ステップS17では、全押しストローク調整を行うか否かを判断し、行わない場合にはステップS20に移行して従前の全押しのストロークの決定を行う。
【0041】
全押しストローク調整を行う場合には、ステップS18に移行し、半押しのときと同様に所定ストロークで全押しが行われるように、上下釦42,43によりカーソル49を移動させ(ステップ18)、全押しのストロークを選択する(ステップS19)。その後、決定釦41を押圧することにより(ステップS20)、変更したストロークが全押しのストロークに決定される。ステップS20に続くステップS21では、「全押し」マークが点灯し、全押しのストロークが決定したことを表示する。その後、再度十字キー40の決定釦41を押すことにより(ステップS22)、「ストローク調整モード」が終了する。
【0042】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と「ストローク調整モード」が選択された際に表示部11に表示される画面以外、同様であるので、同様な箇所の説明は省略する。
【0043】
図6は、第2実施形態における、「ストローク調整モード」が選択された際の表示部11の表示形態を示す。図6においては、一本のスケール表示50が行われており、スケール表示50が半押し及び全押しの領域に区分けされている。そして半押しのカーソル46は半押しの領域で移動可能で、全押しカーソル47は、全押しの領域で移動可能となっている。
【0044】
「ストローク調整モード」が選択されると、半押し領域のカーソル46が点滅する。この状態で上釦42及び下釦43を操作すると、カーソル46が上下に移動する。そして、図中a〜cで示す位置のうちの、所望の位置で決定釦41を押すと、図2で示す第3導通部36における、選択した点に対応する端子が図4で示すように制御部7と接続される。そしてその選択した点に対応する点の端子の位置が、レリーズ釦9の半押しの際のストローク深さとなる。
【0045】
次いで、全押し領域のカーソル47が点滅する。この状態で上釦42及び下釦43を操作すると、カーソル47が上下に移動する。そして、図中d〜gで示す位置のうちの、所望の位置で決定釦41を押すと、図2で示す第3導通部36における、選択した点に対応する端子が図4で示すように制御部7と接続される。そしてその選択した点に対応する点の端子の位置が、レリーズ釦9の全押しの際のストローク深さとなる。
【0046】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態も、第1実施形態と「ストローク調整モード」が選択された際の画面表示の方法以外、同様であるので、同様な箇所の説明は省略する。
【0047】
図7は、第3実施形態における、「ストローク調整モード」が選択された際の表示部11の表示形態を示す。図7においては、一本のスケール表示51に対して半押しのカーソル46及び全押しのカーソル47が全範囲に移動可能となっている。
【0048】
「ストローク調整モード」が選択されると、半押し領域のカーソル46が点滅する。この状態で上釦42及び下釦43を操作すると、カーソル46が上下に移動する。そして、図中a〜gで示す位置のうちの、所望の位置で決定釦41を押すと、図2で示す第3導通部36における、選択した点に対応する端子が図4で示すように制御部7と接続される。そしてその選択した点に対応する点の端子の位置が、レリーズ釦9の半押しの際のストローク深さとなる。
【0049】
次いで、全押し領域のカーソル47が点滅する。この状態で上釦42及び下釦43を操作すると、カーソル47が上下に移動する。そして、図中d〜gで示す位置のうちの、所望の位置で決定釦41を押すと、図2で示す第3導通部36における、選択した点に対応する端子が図4で示すように制御部7と接続される。そしてその選択した点に対応する点の端子の位置が、レリーズ釦9の全押しの際のストローク深さとなる。
【0050】
本実施形態が第2実施形態と異なる点は、半押し及び全押しの領域が区切られていない点である。例えば、半押しを「a」の位置にし、全押しを「b」の位置にし、両方のストロークを浅くすることができる。また、半押しを「f」の位置にし、全押しを「g」の位置にし、両方のストロークを深くすることができる。さらには、半押しよりも全押しの設定位置を上に設定した場合、全押し操作のみ行われるようにすることもできる。
【0051】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)第3導通部36の複数の端子36a〜36gの内のいずれかの端子を選択することにより、半押しのストローク及び全押しのストロークを変更することができる。このため、ばね力を機械的に変更する必要がなく、簡単な構造で半押しのストローク及び全押しのストロークを変更することができる。
(2)半押しのストローク及び全押しのストロークの変更を十字キー40への操作によって行うため、ストローク変更の操作を簡単に行うことができる。
(3)変更した半押しのストローク及び全押しのストロークを表示部11が表示するため、ユーザが半押しのストローク及び全押しのストロークを認識することができる。
【0052】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、カメラのレリーズ釦9に対して半押しのストローク及び全押しのストロークを変更する場合を説明したが、これに限らず、パソコン等の電子機器の釦に対して適用することができる。すなわち、電子機器の釦に対して、ストロークを変更することにより、そのストロークに応じた処理や表示のスイッチングを行うことができる。
(2)また、本実施形態では、第1導通部32、第2導通部34、第3導通部36を2色成型している。しかし、これに限らず、通常の樹脂成型を行った後に導電材料を貼り付けて形成してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態のカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】レリーズ釦の構造を示す断面図である。
【図3】ストローク調整を行うための表示を示す図である。
【図4】ストローク変更の制御を行うためのブロック図である。
【図5】ストローク変更のフローチャートである。
【図6】ストローク調整を行うための第2実施形態を示す図である。
【図7】ストローク調整を行うための第3実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1:カメラ、7:制御部、9:レリーズ釦、11:表示部、20:スイッチ構造、21:釦受け部、23:押圧部、25:延在部、28:挿入孔、32:第1導通部、34:第2導通部、36:第3導通部、36a〜36g:端子、40:十字キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧部と、前記押圧部から延びる延在部とを有し、該延在部の側面の所定位置に第1導通部が形成された押圧釦と、
前記押圧釦の前記延在部が挿入される挿入孔が設けられた釦受け部と、
前記挿入孔の内面に形成された、該挿入孔の深さ方向に延びる第2導通部と、
前記挿入孔の開口端部からの距離が異なる複数の位置に形成された複数の第3導通部と、を備え、
前記押圧釦の前記延在部が前記挿入孔に挿入されたときに、前記第1導通部により、前記第2導通部と、前記延在部の挿入深さに応じて前記第1導通部が存在する位置に形成された第3導通部とが、導通すること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ構造であって、
前記第1導通部、前記第2導通部及び前記第3導通部の少なくとも一つは二色成型により形成されていること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスイッチ構造を備える電子機器であって、
複数の前記第3導通部がグループ分けされており、
同一グループ内の前記第3導通部のうちの、何れの前記第3導通部が前記第2導通部と導通したときにスイッチング機能が実施されるかを選択可能な操作部と、
前記操作部により選択された前記第3導通部が前記第2導通部と導通したときにスイッチング機能を実施する制御部と、
を備えること、を特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記第3導通部のうちの何れが選択されているかを表示可能な表示部を備えること、
を特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電子機器であって、
該電子機器が光学機器であり、
前記スイッチ構造がレリーズ釦のスイッチ構造であり、
前記スイッチング機能が、該レリーズ釦の半押し機能と全押し機能であること、
を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−49932(P2010−49932A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212990(P2008−212990)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】