説明

スイッチ構造

【課題】簡単な構成で多数の操作を可能とするとともに、操作性の向上を図ったスイッチ構造を提供すること。
【解決手段】手のひらで宛がわれて回転操作されるメカニカルスイッチ10を備え、このメカニカルスイッチ10の略同心円上に当該メカニカルスイッチ10に宛がわれた手の親指が触れる第1の領域A1と、他の指が触れる第2の領域A2とを設け、これら各領域A1、A2にそれぞれ第1の静電スイッチ20A及び第2の静電スイッチ20Bとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置などの車両に搭載された電子機器の操作を行うスイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車には、エアコンやオーディオ装置、ナビゲーション装置等の各種の電子機器が搭載されている。この種の電子機器にはそれぞれ個別の操作子が設けられているのが一般的である。
ところで、目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置は、近年、多機能化が進む傾向にある。このため、この種のものでは、表示部の地図上に各機能のアイコンを多数表示したり、操作パネル部に多数のスイッチを設けているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−122876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のものでは、ユーザが各機能を実行する毎に、アイコンやスイッチの位置を確認する必要があるため不便であった。さらに、操作パネルに多数のスイッチを設けることにより、部品点数が多くなり操作パネルのスイッチ構成が煩雑になるとともに、操作性が悪くなるといった問題があった。
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で多数の操作を可能とするとともに、操作性の向上を図ったスイッチ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、手のひらで宛がわれて操作される回転操作子を備え、この回転操作子の略同心円上に当該回転操作子に宛がわれた手の親指が触れる第1の領域と、他の指が触れる第2の領域とを設け、これら各領域に静電スイッチを設けたことを特徴とする。
この構成によれば、回転操作を行う回転操作子と、静電スイッチとを同一軸上に設けることができるため、手を回転操作子の上においた状態で、当該回転操作子と静電スイッチとを使い分けることができ、簡単な構成で多数の操作を可能とするとともに操作性の向上を図ることができる。
【0005】
この構成において、前記静電スイッチは、前記回転操作子の略同心円上に並設される複数の電極を有する構成としても良い。この構成によれば、各電極に触れる順序から当該静電スイッチの操作方向を検知することができる。
【0006】
また、前記静電スイッチは、前記第1の領域に配置される第1の静電スイッチと、前記第2の領域に配置される第2の静電スイッチとを備え、この第2の静電スイッチがオフの場合には、前記第1の静電スイッチの操作を受け付けず、前記第2の静電スイッチがオンの場合に、前記第1の静電スイッチの操作を受け付ける操作検知部を備える構成としても良い。この構成によれば、第1の静電スイッチにのみ触れて操作したとしても、操作検知部は、当該第1の静電スイッチの操作を許可しないため、ユーザが誤って触れた際の誤作動を防止することができる。
【0007】
また、前記静電スイッチが操作されている場合には、前記回転操作子の操作を受け付けない構成としても良い。この構成によれば、静電スイッチを操作中に誤って回転操作子を操作したとしても、この回転操作子の操作コマンドは操作対象機器に送られないため、静電スイッチ及び回転操作子の操作コマンドが混在することがなく、誤作動を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転操作を行う回転操作子と、静電スイッチとを同一軸上に設けることができるため、手を回転操作子の上においた状態で、当該回転操作子と静電スイッチとを使い分けることができ、簡単な構成で多数の操作を可能とするとともに操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかるスイッチのダッシュボードへの取付状態を示す斜視図である。スイッチ1は、自動車に搭載されたナビゲーション装置3に対して各種操作を行うものである。ナビゲーション装置3は、ダッシュボード5の運転席と助手席との間に配置され、ダッシュボード5から車室内に露出した表示部3Aと、ダッシュボード5内に収納された本体部(不図示)とを備える。
このナビゲーション装置3の下方には、ダッシュボード5から車体後方に延びる箱状のコンソール7が設けられ、このコンソール7の上面部7Aに上記スイッチ1が設けられている。このスイッチ1は、ナビゲーション装置3の表示部3Aと近接して設けられ、運転者が運転席に着座した状態で、当該表示部3Aを見ながら片手(本実施形態では左手)でナビゲーション装置3を操作できるようになっている。
【0010】
図2は、スイッチ1の機能構成を説明するブロック図である。
このスイッチ1は、回転操作が可能なメカニカルスイッチ(回転操作子)10と、このメカニカルスイッチ10の周囲に配置される一対の静電スイッチ20A、20Bと、上記メカニカルスイッチ10が操作されたことを検知するメカニカルスイッチ操作検知部30と、上記静電スイッチ20A,20Bが操作されたことを検知する静電スイッチ操作検知部40と、メカニカルスイッチ10または静電スイッチ20A,20Bの一方が操作された場合には、他方の信号を受け付けないように制御する操作制御部50とを備える。
メカニカルスイッチ10は、後述するように、回転(回動)操作だけでなく、スライド操作、押下操作が可能に構成されており、ナビゲーション装置3の表示部3Aに表示された地図画面のスクロール操作等に利用される。
静電スイッチ20A,20Bは、後述するように、当該静電スイッチ20A,20B上をなぞる指の方向を検知可能に構成されており、ナビゲーション装置3の音声ガイダンスのボリューム調整等に利用される。
メカニカルスイッチ操作検知部30は、いずれの操作がなされたかを検知して操作制御部50に出力する。
また、静電スイッチ操作検知部40は、静電スイッチ20A,20Bがそれぞれ操作されたか否かを検知し、一方の静電スイッチのみが操作された場合には、操作制御部50への出力を行わず、両方の静電スイッチ20A,20Bが操作された場合にのみ操作制御部50に出力する。
操作制御部50は、メカニカルスイッチ操作検知部30及び静電スイッチ操作検知部40からの操作信号を択一的にナビゲーション装置3に出力する。このため、例えば、静電スイッチ20A,20Bを操作中に、誤ってメカニカルスイッチ10に触れてしまった場合には、操作制御部50は、メカニカルスイッチ操作検知部30からの操作コマンドの受信を禁止する。このため、誤ってメカニカルスイッチ10に触れた際の操作コマンドが実際にナビゲーション装置3に送信されないため、静電スイッチ20A,20B及びメカニカルスイッチ10の操作コマンドが混在することはなく、誤作動を確実に防止することができる。
【0011】
次に、スイッチ1の具体的構成について説明する。
図3は、スイッチ1の上面図であり、図4は、スイッチ1の右側面図である。
スイッチ1は、図3に示すように、ベース板11の略中央に回動自在に設けられたノブ15を備えるメカニカルスイッチ10と、上記ノブ15が有するノブ本体43の周囲に配置される左右一対の静電スイッチ20A,20Bとを備える。
ノブ本体43は、手のひらを宛がって操作できる程度の大きさ(本実施形態では直径約80mm)に形成され、ベース板11上には、このノブ本体43に手のひらを宛がった状態で、この手の親指が触れる第1の領域A1と、他の指(具体的には、人差し指、中指、薬指、小指のいずれか)が触れる第2の領域A2とが形成される。
これら第1及び第2の領域A1,A2の位置関係は、運転席の位置によって予め決定されるものであり、本実施形態では、運転席を右側(図1参照)に設けているため、スイッチ1は左手で操作される。従って、第1の領域A1は、ノブ本体43の右側に形成され、第2の領域A2は、ノブ本体43の左側に形成される。
第1の領域A1には、ノブ本体43の同心円に沿って第1の静電スイッチ20Aが配置され、第2の領域A2には、当該同心円に沿って第2の静電スイッチ20Bが配置される。これら第1及び第2の静電スイッチ20A,20Bは、ノブ本体43に手のひらを宛がった状態で、指を図3中の矢印に沿って動作させることによって操作されるものである。
【0012】
具体的には、第1の静電スイッチ20Aは、ノブ本体43の同心円に沿って並設された複数(本実施形態では8つ)の電極101〜108を備え、これら電極101〜108の表面を導電性のアクリルシート110で覆って形成される。また、第2の静電スイッチ20Bは、上記同心円に沿って並設された複数(本実施形態では8つ)の電極121〜128を備え、これら電極121〜128の表面を導電性のアクリルシート130で覆って形成される。これら静電スイッチ20A,20Bは、上記電極101〜108、121〜128相当箇所をユーザが指等で触れた際に、導体である人体の影響により、当該当該電極箇所の静電容量が擬似的に変化することを検知するものである。
【0013】
本実施形態では、第2の領域A2に配置された第2の静電スイッチ20Bはオンオフ操作用であり、第1の領域A1に配置された第1の静電スイッチ20Aは操作方向を検知するためのものである。すなわち、静電スイッチ操作検知部40は、第2の静電スイッチ20Bの電極121〜128のいずれかにユーザの上記他の指が触れている場合に、第1の静電スイッチ20Aの操作を許可するようになっている。このため、第1の静電スイッチ20Aにのみ触れて操作したとしても、静電スイッチ操作検知部40は、当該第1の静電スイッチ20Aの操作を許可しないため、ユーザが誤って触れた際の誤作動を防止することができる。
また、静電スイッチ操作検知部40は、他の指が第2の静電スイッチ20Bに触れた状態で親指が第1の静電スイッチ20A上を図3中の矢印方向に移動した場合に、その操作方向を検知する。具体的には、例えば、親指が第1の静電スイッチ20Aの電極105に触れた状態から電極106、電極107と順次触れていった場合には、静電スイッチ操作検知部40は、電極101〜108の配置順序から左回り方向への操作を検知し、操作制御部50を介してナビゲーション装置3にボリュームを小さくする旨の信号を出力する。
逆に、親指が第1の静電スイッチ20Aの電極105に触れた状態から電極104、電極103と順次触れていった場合には、静電スイッチ操作検知部40は、電極101〜108の配置順序から右回り方向への操作を検知し、操作制御部50を介してナビゲーション装置3にボリュームを大きくする旨の信号を出力する。
【0014】
メカニカルスイッチ10は、図4に示すように、ベース板11の下方に並設される一対のジョグスイッチ13A,13Bと、ベース板11の上方に配置されて当該ジョグスイッチ13A,13Bを同時に操作するためのノブ15とを備えて構成されている。
ベース板11は、メカニカルスイッチ10のノブ15を支持するための支持部材であり、図3に示すように、4隅には当該ベース板11をコンソール7の上面部7Aに止めつけるためのねじ孔11Aがそれぞれ設けられている。
ノブ15のノブ本体43は、ベース板11に対して、上記静電スイッチ20A,20Bの操作方向と同一方向である図3中の矢印で示した回動方向への回動操作が自在であるとともに、図3中に矢印で示した8方向(前方、後方、左方、右方、右斜め前方、右斜め後方、左斜め前方及び左斜め後方)にスライド操作が自在となるように当該ベース板11に支持されている。このノブ15を支持する構造については後述する。
【0015】
ジョグスイッチ13A,13Bは、図4に示すように、スイッチ本体21A,21Bと、これらスイッチ本体21A,21Bの上面からそれぞれ上方に延びる操作軸22A,22Bとを備え、上記コンソール7内に設けられた保持部材(不図示)によって保持されている。本実施形態では、ジョグスイッチ13A,13Bは、操作軸22A,22Bが8方向(前方、後方、左方、右方、右斜め前方、右斜め後方、左斜め前方及び左斜め後方)に傾倒自在に構成されるとともに、スイッチ本体21A,21Bの内部には上記各方向に対応する接点(不図示)を備える。これにより、ジョグスイッチ13A,13Bは、操作軸22A,22Bがある方向に傾倒した際に、当該操作軸22A,22Bの動作により当該方向の接点が閉じるため、当該操作軸22A,22Bの操作方向を検出することができる。
ジョグスイッチ13A,13Bは、スイッチ本体21A,21Bの側面に出力端子23A,23Bを備え、これら出力端子23A,23Bは信号ケーブル(不図示)を介してメカニカルスイッチ操作検知部30(図2)に接続されている。
本構成では、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bには、上記したノブ15が架け渡されている。このため、ノブ15の操作に応じて、操作軸22A,22Bが所定の方向に傾倒されるため、各操作軸22A,22Bの傾倒方向を検出し、当該傾倒方向に対応する出力信号を組み合わることにより、メカニカルスイッチ10は複数パターンの信号を出力することができる。
【0016】
次に、メカニカルスイッチ10の内部構成について説明する。
図5は、図3及び図4のV−V断面図である。ベース板11は、図5に示すように、上板31と下板32とを重ね合わせた二層構造となっている。上板31の略中央部には円形の開口部31Aが形成されている。一方、下板32の略中央部には上記開口部31Aよりも大きく形成された円形の凹部32Aが形成されており、この凹部32Aと上板31との間には当該凹部32Aの高さに相当する隙間11Bが形成されている。
【0017】
ノブ15は、ベース板11が備える上記隙間11Bに介装されるスライド板41と、このスライド板41の上部に設けらえたノブ本体43と、このノブ本体43に固着されて上記スライド板41を貫通する一対の支柱45A,45Bと、これら支柱45A,45Bの下端部間を連結してベース板11の下板32の下方に延在する連結体47とを備える。
スライド板41は、支柱45A,45Bを介して、ノブ本体43と一体に上記した隙間11B内をスライド移動する板材であり、上板31の開口部31Aよりも大きく、下板32の凹部32Aよりも小さい大きさの円板状に形成されている。スライド板41は、このスライド板41の厚みが隙間11Bの高さよりも薄く形成されるとともに、スライド板41の上面及び下面の外周部にそれぞれ円環状の突条41Aを備える。このため、ベース板11とスライド板41との接触面積を低減し、スライド板41のスライド時の抵抗を低減することができる。スライド板41は、上記支柱45A,45Bが貫通する孔部41Bを備え、この孔部41Bの上部には当該支柱45A,45Bを摺動自在に案内するガイド孔部41Cが立設されている。
【0018】
ノブ本体43は、図3乃至図5に示すように、略円筒形状の胴体51と、この胴体51の上部を覆う蓋体53とを備える。この蓋体53は、手のひらで包みこめる程度の大きさに形成されており、外周部の対向する位置には、それぞれノブ本体43を手のひらで宛がって操作する際にグリップとして機能するグリップ部53A,53Aが形成されている。
胴体51の周面には、所定間隔毎に複数の孔部51A(図4)が形成され、この孔部51AにはLED素子(不図示)が配置されている。このLED素子は、ノブ本体43の操作に応じて発色を変更するように構成されており、ユーザに視覚で操作を認識させることが可能となっている。
【0019】
胴体51は、図5に示すように、その内部に支柱45A,45Bの上端部と固着される固着部55,55を備える。この固着部55,55は、支柱45A,45Bの上端部がそれぞれ挿入されて当該支柱45A,45Bの上端部と嵌合する一対の嵌合孔部である。この固着部55,55で支柱45A,45Bとノブ本体43とが固着されることにより、このノブ本体43は、スライド板41に対して上下に摺動可能となっている。本実施形態では、ノブ本体43は胴体51内に当該ノブ本体43を押下する操作により作動する押下スイッチ(不図示)が設けられている。
また、胴体51は、この胴体51内の略中央部に延在する円柱状の作動部57を備え、この作動部57の下方には、スライド板41上の略中央部に、内部が中空に形成されたゴム製のばね体(付勢手段)59が設けられている。このばね体59は、ノブ本体43の作動部57の下面と当接するように配置されており、ノブ本体43を押下した場合には、作動部57によりばね体59が弾性変形して、当該ノブ本体43が下方に摺動する。一方、ノブ本体43から手を離すと、ばね体59の復元力によってノブ本体43は上方に摺動され、ばね体59が復元すると、当該ばね体59の付勢力によってノブ本体43はその位置で停止した状態を保持する。
【0020】
連結体47は、横長の板材であり、その両端には支柱45A,45Bの下端部と固着する嵌合孔部61,61が形成されている。これにより、連結体47はノブ本体43とともにスライド板41に対して上下に摺動可能とされる。
また、連結体47は、嵌合孔部61,61の略中央部に、上方に突出した半球形状の軸体(回動軸)63が形成されている。
一方、ベース板11の下板32の下面には、上記軸体63と係合自在な軸受32Bと、上記した支柱45A,45Bが貫通する貫通孔32C,32Cとが形成されている。これら貫通孔32C,32Cは支柱45A,45Bの径に比べて十分大きく形成されている。また、軸受32Bは、下方に開放したすり鉢形状をなしており、ばね体59の付勢力によって、ノブ本体43が上方に摺動すると、連結体47の軸体63が軸受32Bと係合する。これにより、ノブ15は、ベース板11に対して水平方向へのスライド操作が規制され、軸受32Bに嵌った軸体63を回動軸として、支柱45A,45Bが貫通孔32C,32C内を移動できる範囲を限度として、図3に矢印で示すような、回動操作を行うことが可能となる。
また、ノブ本体43を押下すると、このノブ本体43の作動部57によりばね体59が弾性変形し、当該ノブ本体43及び連結体47が下方に摺動するため、この連結体47の軸体63が軸受32Bから離脱する。これにより、ノブ15は、支柱45A,45Bが貫通孔32C,32C内を移動できる範囲を限度として、図3に矢印で示すような、スライド操作を行うことが可能となる。
【0021】
次に、ノブ15とジョグスイッチ13A,13Bとの連結構造について説明する。図6は、図3のVI−VI断面図である。この図6では、ベース板11の下板32と、ノブ本体43の胴体51の記載を省略している。
ジョグスイッチ13A,13Bは、図6に示すように、操作軸22A,22Bの上端部に、当該操作軸22A,22Bよりも拡径した頭部24A,24Bを備え、これら頭部24A,24Bには、円筒状の一対の筒体71,71が接続されている。この筒体71,71は、下板(不図示)及びスライド板41を貫通した後、ノブ本体43の胴体(不図示)に固着されている。これにより、ノブ本体43を操作した場合には、この操作に応じて、各筒体71,71が操作軸22A,22Bを所定の方向に傾倒するため、当該操作に相当する信号を出力することができる。
また、この筒体71は、操作軸22A,22Bの頭部24A,24Bと隙間を有して接続されている。本構成では、この隙間を設けることにより、自動車の運転中等に当該自動車の振動等を拾わず、スイッチ1の各機構に負荷がかからないといった効果を奏する。また、上記隙間はノブ本体43を操作した際に、操作軸22A,22Bが傾倒できる程度に設けるのが良い。
また、本実施形態では、筒体71,71の略中央に、上記連結体47の軸体63が嵌る軸受32Bが設けられている。すなわち、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bは、軸受32Bを挟んだ直線上であって、当該軸受32Bから略等距離の位置に設けられている。このため、ノブ本体43を、軸受32Bに嵌った軸体63を中心に回動した場合、操作軸22A,22Bには、同じ大きさの力が作用するため、ジョグスイッチ13A,13Bでの誤検出を防止することができる。
【0022】
次に、メカニカルスイッチ10の動作について説明する。
ノブ本体43を押下すると、このノブ本体43の作動部57によりばね体59が弾性変形し、当該ノブ本体43及び連結体47が下方に摺動するため、この連結体47の軸体63が軸受32Bから離脱する。これにより、ノブ本体43をベース板11に対して水平方向にスライド操作することが可能となる。
このスライド操作を実行する場合、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bは、ノブ本体43のスライド操作によって同一の方向に傾倒する。具体的には、図3に示すように、ノブ本体43を図中上方にスライド操作すると、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bは、図7に示す上方への矢印X方向に傾倒する。
また、図3に示すように、ノブ本体43を図中左方にスライド操作すると、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bは、図7に示す左方への矢印Y方向に傾倒する。
【0023】
また、ノブ本体43の押下をやめると、ばね体59の付勢力によってノブ本体43が上方に摺動するため、連結体47の軸体63が軸受32Bと係合する。これにより、このノブ本体43は、軸受32Bに嵌った軸体63を回動軸としてベース板11に対して回動操作を行うことが可能となる。
この回動操作を実行する場合、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bは、ノブ本体43の回動操作によって異なる方向に傾倒する。具体的には、図3に示すように、ノブ本体43を右に回動操作すると、ジョグスイッチ13Aの操作軸22Aは、図7に示す右方への矢印Z方向に傾倒し、ジョグスイッチ13Bの操作軸22Bは、図中左方への矢印Y方向に傾倒する。また、図3に示すように、ノブ本体43を左に回動操作すると、ジョグスイッチ13Aの操作軸22Aは、図7に示す左方への矢印Y方向に傾倒し、ジョグスイッチ13Bの操作軸22Bは、図中右方への矢印Y方向に傾倒する。
【0024】
このように、本実施形態のメカニカルスイッチ10は、一対のジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bを同一の方向に傾倒させるスライド操作と、当該操作軸22A,22Bを異なる方向に傾倒させる回動操作とを実行可能としているため、各操作軸22A,22Bの傾倒方向を検出し、当該傾倒方向に対応する出力信号を組み合わることにより、メカニカルスイッチ10は各種操作に応じた複数パターンの信号を出力することができる。
そして、これら各種信号を受けるナビゲーション装置3では、当該各種信号に対するコマンドを指定しておくことにより、ナビゲーション装置3の操作パネルのスイッチ構成の簡素化を図ることが可能となる。
具体的には、図8に示すように、地図画面表示中にスライド操作がされた場合には、このスライド操作がされた方向へのスクロール表示を行い、地図画面表示中に回動操作がされた場合には、この回動操作がされた方向に地図を回転して表示する。また、メニュー画面表示中に回動操作がされた場合には、随時、選択項目を変更する操作としても良い。
特に、本構成では、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bは、8方向に傾倒自在に構成されているため、これら操作軸22A,22Bの傾倒方向の組み合わせは(8×8=)64通りあり、一方の操作軸が傾倒しない状態(8×2=16)を含めれば、理論上合計80通りの組み合わせを実現できる。このため、これらの組み合わせにそれぞれ操作コマンドを割り当てることにより、1つのスイッチで多数の操作コマンドの出力を実現することができる。
【0025】
本実施形態によれば、手のひらで宛がわれて回転操作されるメカニカルスイッチ10を備え、このメカニカルスイッチ10の略同心円上に当該メカニカルスイッチ10に宛がわれた手の親指が触れる第1の領域A1と、他の指が触れる第2の領域A2とを設け、これら各領域A1、A2にそれぞれ第1の静電スイッチ20A及び第2の静電スイッチ20Bとを設けたため、回転操作を行うメカニカルスイッチ10と、第1及び第2の静電スイッチ20A,20Bを同一軸上に設けることができるため、手をメカニカルスイッチ10のノブ本体43上においた状態で、当該メカニカルスイッチ10と静電スイッチ20A,20Bとを使い分けることができ、簡単な構成で多数の操作を可能とするとともに操作性の向上を図ることができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、静電スイッチ20A,20Bは、略同心円上に並設される複数の電極101〜108、121〜128を有するため、各電極101〜108、121〜128に触れる順序から当該静電スイッチ20A,20Bの操作方向を検知することができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、第2の静電スイッチ20Bがオフの場合には、第1の静電スイッチ20Aの操作を受け付けず、第2の静電スイッチ20Bがオンの場合に、第1の静電スイッチ20Aの操作を受け付ける静電スイッチ操作検知部40を備えるため、第1の静電スイッチ20Aにのみ触れて操作したとしても、静電スイッチ操作検知部40は、当該第1の静電スイッチ20Aの操作を許可しないため、ユーザが誤って触れた際の誤作動を防止することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、静電スイッチ20A,20Bが操作されている場合には、メカニカルスイッチ10の操作を受け付けないため、静電スイッチ20A,20Bを操作中に誤ってメカニカルスイッチ10に触れたとしても、このメカニカルスイッチ10の操作コマンドはナビゲーション装置3に送られないため、静電スイッチ20A,20B及びメカニカルスイッチ10の操作コマンドが混在することがなく、誤作動を確実に防止することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、ベース板11に並設されて多方向に傾倒自在な操作軸22A,22Bを有する一対のジョグスイッチ13A,13Bと、これらジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22B間に架け渡されるとともに、ベース板11に対して回動するための軸体63を備えるノブ15とを備え、このノブ15の軸体63をベース板11の軸受32Bに係脱自在に構成し、この軸体63をベース板11の軸受32Bから離脱させ、ノブ15をベース板11に対してスライドさせて操作軸22A,22Bを同一の方向に傾倒させるスライド操作と、当該軸体63をベース板11の軸受32Bに係合させ、ノブ15をベース板11に対して回動させて操作軸22A,22Bを異なる方向に傾倒させる回動操作とを実行可能に構成したため、当該軸体63をベース板11の軸受32Bに係脱することにより、簡単にノブ15のスライド操作と回動操作とを実行することができる。このため、スライド操作と回動操作に対応する操作軸22A,22Bの傾倒方向の組み合わせにそれぞれ操作コマンドを割り当てることにより、1つのスイッチで多数の操作コマンドの出力を実現することができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。本実施形態では、車両の右側に運転席があるものだったため、第1の領域A1は、ノブ本体43の右側に形成され、第2の領域A2は、ノブ本体43の左側に形成される構成について説明したが、車両の左側に運転席があるものでは第1の領域A1及び第2の領域A2の配置位置を上記構成のものと反対にすればよい。
また、本実施形態では、ノブ15は、ベース板11に対するスライド操作と回動操作を実行可能に構成したが、これに限るものではなく、ジョグスイッチ13A,13Bの操作軸22A,22Bを異なる方向に傾倒できるように構成できるのであれば、押下操作を採用することもできる。これによれば、スイッチの操作に基づく操作軸22A,22Bの傾倒方向の組み合わせパターンを増やすことができ、1つのスイッチでより多くの操作コマンドの出力を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態にかかるスイッチのダッシュボードへの取付状態を示す斜視図である。
【図2】スイッチの機能構成を説明するブロック図である。
【図3】スイッチの上面図である。
【図4】スイッチの右側面図である。
【図5】図3及び図4のV−V断面図である。
【図6】図3のVI−VI断面図である。
【図7】スイッチの模式図である。
【図8】スイッチの動作説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 スイッチ
3 ナビゲーション装置
3A 表示部
5 ダッシュボード
10 メカニカルスイッチ
11 ベース板
15 ノブ
20A 第1の静電スイッチ
20B 第2の静電スイッチ
30 メカニカルスイッチ操作検知部
32B 軸受
40 静電スイッチ操作検知部
43 ノブ本体
50 操作制御部
63 軸体
101〜108 電極
121〜128 電極
A1 第1の領域
A2 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手のひらで宛がわれて操作される回転操作子を備え、この回転操作子の略同心円上に当該回転操作子に宛がわれた手の親指が触れる第1の領域と、他の指が触れる第2の領域とを設け、これら各領域に静電スイッチを設けたことを特徴とするスイッチ構造。
【請求項2】
前記静電スイッチは、前記略同心円上に並設される複数の電極を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ構造。
【請求項3】
前記静電スイッチは、前記第1の領域に配置される第1の静電スイッチと、前記第2の領域に配置される第2の静電スイッチとを備え、この第2の静電スイッチがオフの場合には、前記第1の静電スイッチの操作を受け付けず、前記第2の静電スイッチがオンの場合に、前記第1の静電スイッチの操作を受け付ける操作検知部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ構造。
【請求項4】
前記静電スイッチが操作されている場合には、前記回転操作子の操作を受け付けないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスイッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−21118(P2010−21118A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183098(P2008−183098)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】