スイッチ装置
【課題】複数のスイッチ部を備えるスイッチ装置の構成、特に、内部回路を改良して、構成を簡単にすると共に薄型化を図る。
【解決手段】ケース内部の下部に電源線と、アース線と、負荷と続された電線が収容されると共に、前記ケース内部の上部に前記電源線およびアース線にそれぞれ端子を介して接続されるプラス側バスバーおよびマイナス側バスバーとからなるバスバー層が一層収容され、前記バスバーの配置側に、前記電線を介して前記負荷に正逆方向の電力を切り換えて供給する複数の操作スイッチ部が設けられ、前記操作スイッチ部は、揺動によって前記プラス側またはマイナス側のバスバーの接点に接触する第1の揺動接触子と、該第1の揺動接触子と連動して揺動すると共に第1の揺動接触子とは異なる側のバスバーの接点に接触する第2の揺動接触子と、前記負荷に接続された一対の電線に一端側が直接接続されると共に他端が前記第1または第2の揺動接触子に常時接触させる端子部材とを備えている。
【解決手段】ケース内部の下部に電源線と、アース線と、負荷と続された電線が収容されると共に、前記ケース内部の上部に前記電源線およびアース線にそれぞれ端子を介して接続されるプラス側バスバーおよびマイナス側バスバーとからなるバスバー層が一層収容され、前記バスバーの配置側に、前記電線を介して前記負荷に正逆方向の電力を切り換えて供給する複数の操作スイッチ部が設けられ、前記操作スイッチ部は、揺動によって前記プラス側またはマイナス側のバスバーの接点に接触する第1の揺動接触子と、該第1の揺動接触子と連動して揺動すると共に第1の揺動接触子とは異なる側のバスバーの接点に接触する第2の揺動接触子と、前記負荷に接続された一対の電線に一端側が直接接続されると共に他端が前記第1または第2の揺動接触子に常時接触させる端子部材とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、詳しくは、自動車の各部に設けたモータ等の負荷への電力供給を切り換えるスイッチ装置に関し、特に、パワーシート(電動シート)の各部に配置されたモータを正転方向および逆転方向に駆動するスイッチ装置として好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のパワーシートには、リクライニングスイッチ、リフタースイッチ、スライドスイッチ、フロントチルトスイッチ等のシートの所要部分を駆動するモータを電源に接続するスイッチが設けられている。このスイッチは、例えば、図10,11のように構成されている。図10は従来のスイッチ装置の全体を示す図であり、図11はスイッチ回路の部分の断面図である。
【0003】
図10,11に示すスイッチ装置90は、例えば、3層のバスバー91〜93を収納したケース94と、最上層のバスバー91に形成された接点95と、スイッチングを行う揺動接触子96とを備えている。バスバー91〜93にはスイッチ装置90に設けた各スイッチ回路から各負荷Ma〜Mdへ供給される電流の流路となる部分が含まれるので、バスバー91〜93は多層にならざるを得ず、本実施例では3層のバスバー91〜93である。
【0004】
ところが、前記スイッチ装置90に用いられる3層のバスバー91〜93を製造するためには、金型による打ち抜き加工を行う必要があり、複数種類のバスバー91〜93を組み合わせて用いる場合には、複数種類の金型が必要となる。すなわち、スイッチ装置90の製造コストが引き上げられるという問題がある。
【0005】
また、従来のスイッチ装置90は、スイッチ装置90と各負荷との接続部において、バスバー91〜93の一部を端子91a〜93aとして用いて、これらバスバーをコネクタ97と接続し、このコネクタ97に各負荷Ma〜Mdに接続されう電線をコネクタ接続している場合が多い。
しかしながら、一部を端子91a〜93aとしたバスバー91〜93に接続されたコネクタ97はスイッチ装置90の一端部に集中して形成していると、このコネクタ97から各負荷Ma〜Mdへの電線の配線には無理が生じる問題があった。そこで、スイッチ装置90に複数のコネクタ97を設けて電線の引き出し位置を複数設けることも可能であるが、スイッチ装置90の製造コストがアップする問題が新たに生じる。
【0006】
さらに、3層のバスバー91〜93を絶縁保持して間隔をあけて配置すると、スイッチ装置90に厚みが必要となり、これがスイッチ装置90を大型化する原因となっていた。
【0007】
そこで、特許文献1には、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)を出力側に配置することにより、FFCがスイッチ回路の回路の一部となるようにして、FFCをスイッチ回路から直接的に配線できるようにしたスイッチモジュールが提供されている。
【特許文献1】特開2000−57894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、FFCは電線(ディスクリート線)に比べて、その横方向の幅が広くなる傾向にある。このため、特に複数回路の併走する場合、このFFCをスイッチ回路の回路の一部とするスイッチモジュールの幅は広くならざるを得なかった。また、特許文献1に記載の構成では、FFCとスイッチ回路との接続部においてFFCを折り曲げるなどしており、FFCとスイッチ回路との接続部において大きなスペースが必要であるだけでなく、その構成に無理があるのでスイッチ回路分の固定が難しくなるなどして、スイッチ操作の操作性を悪くするだけでなく、接触不良などの問題が発生する恐れもあった。
【0009】
さらに、FFCはディスクリート線に比べて高価であるから、電動シートの各部にFFCを配線することによる製造コストの引き上げが問題となる。
【0010】
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたもので、構成を簡素にして製造コストの削減を図ると共に、狭いスペースにおける配線を容易に行うことができるスイッチ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、ケース内部の下部に電源線と、アース線と、負荷と接続された電線が収容されると共に、前記ケース内部の上部に前記電源線およびアース線にそれぞれ端子を介して接続されるプラス側バスバーおよびマイナス側バスバーとからなるバスバー層が一層収容され、前記バスバーの配置側に、前記電線を介して前記負荷に正逆方向の電力を切り換えて供給する複数の操作スイッチ部が設けられ、
前記操作スイッチ部は、揺動によって前記プラス側またはマイナス側のバスバーの接点に接触する第1の揺動接触子と、該第1の揺動接触子と連動して揺動すると共に第1の揺動接触子とは異なる側のバスバーの接点に接触する第2の揺動接触子と、前記負荷に接続された一対の電線に一端側が直接接続されると共に他端が前記第1または第2の揺動接触子に常時接触させる端子部材とを備えていることを特徴とするスイッチ装置を提供している。
【0012】
前記したように、本発明は、スイッチ装置の内部回路を複数層のバスバーで構成するのではなく、バスバーは操作スイッチ部の揺動接触子と接触する回路材として一層だけ設け、電源線、アース線および負荷に接続した電線を直接的にスイッチ装置の内部回路として取り込んでいる。このように、スイッチ装置の内部回路をバスバーと電線とで構成することにより、従来は複数層に積層配置していたバスバーを一層のみとしている。
【0013】
具体的には、
前記ケースは上部ケースと下部ケースとからなり、
前記下部ケースに前記電源線、アース線、負荷に接続される電線群が収容される一方、
前記上部ケースに前記一層のバスバーが収容されると共に複数の前記操作スイッチ部が設けられ、かつ、これら各操作スイッチ部に略V形状として前記揺動接触子が取り付けられると共に該揺動接触子の下面に常時接触させた前記端子部材が設けられ、該端子部材の他端出力側が上部ケースから下方へ突出され、該上部ケースと下部ケースとが組みつけられた状態で前記端子部材が前記電線と接続されている構成としている。
【0014】
前記第1と第2の揺動接触子は一つの操作レバーの操作によって同じ方向に揺動することにより連動し、第1と第2の揺動接触子は操作部材を操作した状態において、操作レバーによってプラス側またはマイナス側のバスバーの接点と端子部材の入力側接点に押さえつけられる構成としている。
前記第1、第2の揺動接触子は、それぞれ略V字形状として下端点を支点として左右方向に揺動操作されるものとし、プラス側またはマイナス側のうち何れか一方のバスバーの接点と端子部材とを電気的に接続するものとしている。該構成としていることで、プラス側とマイナス側のバスバーをショートさせることは物理的に起こりえないので、それだけ、安全性の点で優れている。
【0015】
前記電源線およびアース線と、前記プラス側バスバーおよびアース側バスバーとは、これらバスバーに形成された圧接端子(圧接タブ)によって直接接続されていると共に、前記負荷側電線と接続される前記端子部材は圧接端子材とされ、該圧接端子材の下端側に形成された圧接刃により前記電線と接続されると共に上端面が前記揺動接触子に常時接触されている構成とすることが好ましい。
前記したように、電源線およびアース線をバスバーに形成した圧接タブと圧接接続すると端子部材を介在させる必要はなく、かつ、電源線およびアース線をケース内部まで直接引き込んでバスバーと接続することができる。
同様に、負荷に接続させた電線も圧接端子材からなる端子部材で圧接接続すると、これら電線をコネクタレスでケース内部まで直接的に引き込むことができる。
このように、電源線、アース線および負荷に接続させた電線をケース内部まで直接引き込むことにより、電気接続構造を非常に簡単にすることができる。
なお、バスバーと電源線、アース線の接続は端子部材を介して行っても良い。また、電源線およびアース線とバスバーとの接続および負荷側の電線と前記端子部材との接続は圧接接続に限らず、圧着端子部を設けて圧着接続しても良いし、電線の芯線を露出させて半田付けで接続してもよい。
【0016】
また、前記接点はバスバーに一体的に形成されていることが好ましい。これにより、接点を形成するための製造コストを抑えると共に、接触不良の原因となり得る接続部分をできるだけ排除することができる。
【0017】
また、本発明のスイッチ装置では、負荷を自動車の各部に配置された電装機器とし、自動車に搭載した所要の電装機器用のスイッチ装置としても良いが、特に、前記負荷を自動車のパワーシート(電動シート)に使用されるモータとし、パワーシートスイッチとして用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明より明らかなように、本発明のスイッチ装置では、バスバーは電源線とアース線とに接続させた一層のバスバーだけとし、負荷に接続した電線をケース内部に挿入して内部回路として利用しているため、従来のバスバーのみを内部回路として用いて多層化している構成と比較して、スイッチ装置の厚みを飛躍的に薄くすることができる。
かつ、使用するバスバーは前記したように、電源線と接続されるプラス側のバスバーとアース線に接続されるマイナス側のバスバーだけでよく、負荷側に接続させるバスバーが不要であるため、バスバーの打ち抜き成形のためにかかるコストを必要最小限に抑えてスイッチ装置の製造コストを低減することができる。
さらに、電源線、アース線、負荷に接続した電線はスイッチケースに直接挿入し、コネクタレスとしているため、スイッチ装置全体を小型化および簡単化することできる。
【0019】
また、バスバーと電線とをスイッチの開閉に応じて接続する前記端子部材は、一端(出力側端子部)を負荷に接続された電線(ディスクリート線)に直接接続しているので、従来のように全ての負荷への配線を一カ所に集めてコネクタによる接続を行う場合に比べて、電線の配線を行いやすくなる。つまり、スイッチ回路に接続された電線の配線方向に制限がないので、たとえば電線を異なる方向に配線することも可能であり、とりわけ狭い部分に配置するのに好適である。また、スイッチ回路から負荷までの配線にコネクタによる接続部分がないので、それだけ信頼性が向上する。
【0020】
さらに、前記バスバー、揺動接触子および端子部材は、いずれも肉厚の導電体によって容易に形成できるので、その電流容量を大きくすることができる。つまり、大電流を流す回路に配置されて、スイッチ装置によって大電流を直接的に切り換えることができる。また、端子部材に十分の保形強度を持たせることができるので、揺動接触子と安定して接触させることができ、スイッチ操作の操作フィーリングがよいだけでなく、接触不良などの問題が起こりにくいので信頼性が高くなる。
【0021】
また、本発明のスイッチ装置では、バスバーと、第1および第2の揺動接触子と、端子部材とを収容する上部ケースと、負荷に接続した電線を収容する下部ケースとを設け、上部ケースの下面に下部ケースを開閉自在に取り付けるように構成することにより、下部ケースを上部ケースから分離した状態で電線を配線することができ、下部ケースを上部ケースに取り付けることにより端子部材の出力側接点と電線との接続部を安定して保持することができる。
【0022】
このように複数のスイッチ操作部を有するスイッチ装置を、小型化および薄型化できることにより、自動車内の限られた空間に配置されるスイッチ装置として有用なものとなる。
特に、前記負荷がパワーシートに使用されるモータである場合には、スイッチ装置が配置される部分が座席の側面などの、とりわけ限られた空間であり、かつ、スイッチ装置に対して各モータがあらゆる方向に接続されできる構成とすることは極めて有用なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係わる自動車に搭載される電動シート(以下、パワーシートと称す)用のスイッチ装置について図面を参照して説明する。
図1乃至図5は本発明の第1実施形態を示し、図1はスイッチ装置1の全体的な構成を示す斜視図、図2はスイッチ装置1を分解して示す図、図3は内部のスイッチ回路の構成を示す平面図、図4はスイッチ回路に対する配線を説明する図、図5は断面図である。
【0024】
本実施例のスイッチ装置1は、電動シートに配索されるシートワイヤハーネスの電源線V、アース線Gと、負荷となるモータMa〜Mdの夫々に接続された負荷側電線W1、W2の間に介在させた8ウェイタイプのパワーシートスイッチからなる。
このスイッチ装置1は、図外の電動シート内に配置され、パワーシートのリクライニング、リフター、スライド、フロントチルトをそれぞれ調節する4つのモータMa〜Md(以下、区別する必要がない場合はモータMという)の制御を行うものである。
【0025】
本スイッチ装置1は上下に分割可能な2つのケース2(以下、区別が必要なときは上部ケース2a、下部ケース2bという)を有する。
【0026】
図3に示すように、上部ケース2aはスイッチ操作部材として機能し、バッテリなどの電源からの電源線Vに接続されたプラス側のバスバー3(電源回路)と、アース線Gに接続されたマイナス側のバスバー4(アース回路)と、これらのバスバー3,4をモータMに接続することにより各モータMa〜Mdの正逆回転方向を切り換えるように給電する4セットのスイッチ回路5a〜5d(以下、区別する必要がない場合はスイッチ回路5という)とを有する。
【0027】
前記バスバー3,4は、導電性金属板を所要回路に打ち抜き加工したものであり、その適所の下方に前記電源線V,アース線Gに圧接接続するための圧接刃を設けた圧接端子(圧接タブ)3a,4aが形成されている。また、前記スイッチ回路5a〜5d内に配線されたバスバー3,4には適所に接点3b,4bが一体的に形成されている。
【0028】
図4に示すように、電源線Vとアース線Gは、下部ケース2b内の前記圧接刃3a,4aに対応する位置まで配線されている。また、各モータMa〜Mdへの電線W1a〜W1d,W2a〜W2d(以下、区別する必要がない場合は電線W1,W2という)もそれぞれスイッチ回路5a〜5dに対応する位置まで配線されている。すなわち、電源線V、アース線G、各モータと接続される電線W1,W2を下部ケース2bの内部にコネクタレスで直接挿入して配線している。
【0029】
各電線G,V,W1a〜W1d,W2a〜W2dはディスクリート線からなり、下部ケース2bに形成された配線ガイドB内に通して固定している。このように、本発明のスイッチ装置1においては、各電線G,V,W1a〜W1d,W2a〜W2dはケース内部に挿入して、そのまま内部回路の一部として用いている。
【0030】
図5に示すように、本実施例のスイッチ回路5は、揺動によって前記バスバー3,4の何れか一方に接触する略V形状の第1の揺動接触子6と、この第1の揺動接触子6に並べて配置されると共に第1の揺動接触子6と連動して揺動する略V形状の第2の揺動接触子7と、これらの揺動接触子6,7に常に接触する一対の端子部材8,9と、使用者が操作することにより前記揺動接触子6,7を同時に同じ方向に揺動させる操作部材10とを有する。
【0031】
前記一対の揺動接触子6,7は、図3に示すように、第1の揺動接触子6がプラス側のバスバー3に設けた接点3b(以下、電源回路接点3bと称す)に接触する方向に揺動させた状態で、第2の揺動接触子7はマイナス側のバスバー4に設けた接点4b(以下、アース回路接点4bと称す)に接触し、逆方向に揺動させた状態では、第1の揺動接触子6がアース回路接点4b、第2の揺動接触子7が電源回路接点3bに接触するように、接点3b,4bが配置されている。
【0032】
前記端子部材8,9は、導電性金属材から形成した圧接端子材からなり、その形状は、図5に示すように、下端部(一端側)には前記電線W1,W2の芯線にそれぞれ接続される圧接刃からなる出力側接点8a,9aを形成し、上端部(他端部)には前記揺動接触子6,7にそれぞれ接触する入力側接点8b,9bを形成している。
【0033】
したがって、端子部材8,9と電線W1,W2との接続は上部ケース2aの下面に、各電線G,V,W1a〜W1d,W2a〜W2dが配線された下部ケース2bを取り付けるときに圧接によって容易に行うことができる。なお、出力側接点8b、9bと電線を半田付けして接続してもよい。
【0034】
また、前記操作部材10は、その操作によって揺動接触子6,7を下方に押しつけるように構成し、操作部材を操作した状態では、揺動接触子6,7をバスバー3またはバスバー4と、前記端子部材8,9の頭部に押しつけるようにして、その接触抵抗を小さくすることができる。
【0035】
本発明のスイッチ装置では、スイッチ回路5は3つの状態を有し、操作部材10を操作しない状態においては、揺動接触子6,7がそれぞれ端子部材8,9のみに接触するので、モータMへの電線W1,W2には電流が流れない。
操作部材10を操作して揺動接触子6,7を接点3b,4bに接触させると、接点3b,4bが揺動接触子6,7によって端子部材8,9に接続されるので、電線W1,W2に順方向の電流を流してモータMを正転方向に回動させることができる。
さらに、操作部材10を逆に操作した場合にはモータMに逆方向の電流を流して、モータMを逆転方向に回動させることができる。
【0036】
上記構成のスイッチ装置1においては、電流を流す各部材3,4,6〜9を十分な厚みを持たせることができ、かつ、各接点における接触抵抗も小さくすることができるので、各スイッチ回路5は大電流を流す回路を直接的に切り換えることができる。
【0037】
また、各スイッチ回路5に対する電線W1,W2の配線方向は、コネクタレスでスイッチ装置内部に挿入しているため、自在に変更可能である。よって、狭い自動車の車内、特に、電動シートの各部に配置されたモータMの回転を切り換え制御するためのスイッチ装置1として有用である。
【0038】
図6乃至図9は、本発明の第2実施形態を示す。
本実施形態では、電源線Vとバスバー3、アース線Gとバスバー4の接続構造および端子部材8’,9’と電線W1,W2の接続構造を第1実施形態と相違させている。
【0039】
電源線V,アース線Gとバスバー3,4の接続は、図6に示すように、電源線V,アース線Gの端末に接続したメス型圧着端子20とバスバー3,4の先端を屈折させて設けたオスタブ3c,4cとを雌雄嵌合接続することにより行っている。
電源線Vとアース線Gの端末に接続するメス型圧着端子20は、一端に設けたバレルからなる圧着部20aと他端に設けたメス端子部20bとの間で略直角に屈曲させたL型端子とし、電源線Vとアース線Gの端末に圧着した圧着部20aを下部ケース2b内にモールドして水平配置する一方、メス端子部20bを上方に向けて延在させ、上端に設けた開口をバスバー3,4のオスタブ3c,4cの挿入口としている。
一方、バスバー3,4には、所要箇所の先端を下方に向けて屈折させてオスタブ3c,4cを設け、該オスタブ3c,4cを上部ケース2aに設けた貫通孔Hを通して上部ケース2aの下面側に突出させている。
【0040】
第1実施形態と同様、上部ケース2aと下部ケース2bを組み付けると、電源線Vとアース線Gの端末に接続したメス型圧着端子20のメス端子部20bにバスバー3,4のオスタブ3c,4cが挿入されて雌雄嵌合接続され、電源線Vとバスバー3,アース線Gとバスバー4とが接続される。
【0041】
また、本実施形態では、図7に示すように、端子部材8’,9’を電線W1、W2に圧着接続している。端子部材8’9’は、図8,9に示すように、一端に設けたバレルからなる圧着部8a’,9a’(入力側接点)と他端に設けたオスタブ8c’,9c’との間で略直角に屈曲させたL型オス端子としている。端子部材8’,9’を電線W1,W2の端末に圧着した状態で、圧着部8a’,9a’を下部ケース2b内にモールドして水平配置する一方、オスタブ8c’,9c’を下部ケース2bから上方に向けて突出させ、該オスタブ8c’,9c’の上端を前記揺動接触子6,7にそれぞれ接触する入力側接点8b’,9b’としている。
なお、端子部材8’,9’を用いて接続する電線W1,W2の軸線方向と揺動接触子6,7の長さ方向が一致する場合には、図8に示すようなオスタブ8c’,9c’の幅方向と電線W1,W2の軸線方向が直交する端子部材8’,9’を用いている。一方、図7に示すように、電線W1,W2の軸線方向と揺動接触子6,7の長さ方向が直交する場合には、図9に示すようなオスタブ8c’,9c’の幅方向と電線W1,W2の軸線方向が一致する端子部材8’,9’を用いている。
【0042】
前記のように、上部ケース2aと下部ケース2bを組み付けると、電線W1,W2の端末に接続した端子部材8’,9’のオスタブ8c’,9c’の上端の入力側接点8b’,9b’が揺動接触子6,7の下面に接触して、電線W1,W2と揺動接触子6,7とが端子部材8’,9’を介して接続される。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例に係るスイッチ装置および負荷の接続例を示す図である。
【図2】前記スイッチ装置の一部を分解して示す図である。
【図3】前記スイッチ装置内のスイッチ回路の構成を示す図である。
【図4】前記スイッチ装置内の電線の配線例を示す図である。
【図5】前記スイッチ回路の構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の電源線、アース線とバスバーとの接続構造を示す断面図である。
【図7】第2実施形態のスイッチ回路の構成を示す縦断面図である。
【図8】電線に接続した圧着端子を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図9】電線に接続した他の圧着端子を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図10】従来のスイッチ装置および負荷の接続例を示す図である。
【図11】従来のスイッチ装置内の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 スイッチ装置
3 プラス側のバスバー
4 マイナス側のバスバー
3a、4a 圧接端子(圧接タブ)
5 スイッチ回路
6 第1の揺動接触子
7 第2の揺動接触子
8,9 端子部材
8a,9a 出力側接点
8b,9b 入力側接点
Ma〜Md 負荷
W1,W2 一対の電線
V 電源線
G アース線
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、詳しくは、自動車の各部に設けたモータ等の負荷への電力供給を切り換えるスイッチ装置に関し、特に、パワーシート(電動シート)の各部に配置されたモータを正転方向および逆転方向に駆動するスイッチ装置として好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のパワーシートには、リクライニングスイッチ、リフタースイッチ、スライドスイッチ、フロントチルトスイッチ等のシートの所要部分を駆動するモータを電源に接続するスイッチが設けられている。このスイッチは、例えば、図10,11のように構成されている。図10は従来のスイッチ装置の全体を示す図であり、図11はスイッチ回路の部分の断面図である。
【0003】
図10,11に示すスイッチ装置90は、例えば、3層のバスバー91〜93を収納したケース94と、最上層のバスバー91に形成された接点95と、スイッチングを行う揺動接触子96とを備えている。バスバー91〜93にはスイッチ装置90に設けた各スイッチ回路から各負荷Ma〜Mdへ供給される電流の流路となる部分が含まれるので、バスバー91〜93は多層にならざるを得ず、本実施例では3層のバスバー91〜93である。
【0004】
ところが、前記スイッチ装置90に用いられる3層のバスバー91〜93を製造するためには、金型による打ち抜き加工を行う必要があり、複数種類のバスバー91〜93を組み合わせて用いる場合には、複数種類の金型が必要となる。すなわち、スイッチ装置90の製造コストが引き上げられるという問題がある。
【0005】
また、従来のスイッチ装置90は、スイッチ装置90と各負荷との接続部において、バスバー91〜93の一部を端子91a〜93aとして用いて、これらバスバーをコネクタ97と接続し、このコネクタ97に各負荷Ma〜Mdに接続されう電線をコネクタ接続している場合が多い。
しかしながら、一部を端子91a〜93aとしたバスバー91〜93に接続されたコネクタ97はスイッチ装置90の一端部に集中して形成していると、このコネクタ97から各負荷Ma〜Mdへの電線の配線には無理が生じる問題があった。そこで、スイッチ装置90に複数のコネクタ97を設けて電線の引き出し位置を複数設けることも可能であるが、スイッチ装置90の製造コストがアップする問題が新たに生じる。
【0006】
さらに、3層のバスバー91〜93を絶縁保持して間隔をあけて配置すると、スイッチ装置90に厚みが必要となり、これがスイッチ装置90を大型化する原因となっていた。
【0007】
そこで、特許文献1には、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)を出力側に配置することにより、FFCがスイッチ回路の回路の一部となるようにして、FFCをスイッチ回路から直接的に配線できるようにしたスイッチモジュールが提供されている。
【特許文献1】特開2000−57894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、FFCは電線(ディスクリート線)に比べて、その横方向の幅が広くなる傾向にある。このため、特に複数回路の併走する場合、このFFCをスイッチ回路の回路の一部とするスイッチモジュールの幅は広くならざるを得なかった。また、特許文献1に記載の構成では、FFCとスイッチ回路との接続部においてFFCを折り曲げるなどしており、FFCとスイッチ回路との接続部において大きなスペースが必要であるだけでなく、その構成に無理があるのでスイッチ回路分の固定が難しくなるなどして、スイッチ操作の操作性を悪くするだけでなく、接触不良などの問題が発生する恐れもあった。
【0009】
さらに、FFCはディスクリート線に比べて高価であるから、電動シートの各部にFFCを配線することによる製造コストの引き上げが問題となる。
【0010】
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたもので、構成を簡素にして製造コストの削減を図ると共に、狭いスペースにおける配線を容易に行うことができるスイッチ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、ケース内部の下部に電源線と、アース線と、負荷と接続された電線が収容されると共に、前記ケース内部の上部に前記電源線およびアース線にそれぞれ端子を介して接続されるプラス側バスバーおよびマイナス側バスバーとからなるバスバー層が一層収容され、前記バスバーの配置側に、前記電線を介して前記負荷に正逆方向の電力を切り換えて供給する複数の操作スイッチ部が設けられ、
前記操作スイッチ部は、揺動によって前記プラス側またはマイナス側のバスバーの接点に接触する第1の揺動接触子と、該第1の揺動接触子と連動して揺動すると共に第1の揺動接触子とは異なる側のバスバーの接点に接触する第2の揺動接触子と、前記負荷に接続された一対の電線に一端側が直接接続されると共に他端が前記第1または第2の揺動接触子に常時接触させる端子部材とを備えていることを特徴とするスイッチ装置を提供している。
【0012】
前記したように、本発明は、スイッチ装置の内部回路を複数層のバスバーで構成するのではなく、バスバーは操作スイッチ部の揺動接触子と接触する回路材として一層だけ設け、電源線、アース線および負荷に接続した電線を直接的にスイッチ装置の内部回路として取り込んでいる。このように、スイッチ装置の内部回路をバスバーと電線とで構成することにより、従来は複数層に積層配置していたバスバーを一層のみとしている。
【0013】
具体的には、
前記ケースは上部ケースと下部ケースとからなり、
前記下部ケースに前記電源線、アース線、負荷に接続される電線群が収容される一方、
前記上部ケースに前記一層のバスバーが収容されると共に複数の前記操作スイッチ部が設けられ、かつ、これら各操作スイッチ部に略V形状として前記揺動接触子が取り付けられると共に該揺動接触子の下面に常時接触させた前記端子部材が設けられ、該端子部材の他端出力側が上部ケースから下方へ突出され、該上部ケースと下部ケースとが組みつけられた状態で前記端子部材が前記電線と接続されている構成としている。
【0014】
前記第1と第2の揺動接触子は一つの操作レバーの操作によって同じ方向に揺動することにより連動し、第1と第2の揺動接触子は操作部材を操作した状態において、操作レバーによってプラス側またはマイナス側のバスバーの接点と端子部材の入力側接点に押さえつけられる構成としている。
前記第1、第2の揺動接触子は、それぞれ略V字形状として下端点を支点として左右方向に揺動操作されるものとし、プラス側またはマイナス側のうち何れか一方のバスバーの接点と端子部材とを電気的に接続するものとしている。該構成としていることで、プラス側とマイナス側のバスバーをショートさせることは物理的に起こりえないので、それだけ、安全性の点で優れている。
【0015】
前記電源線およびアース線と、前記プラス側バスバーおよびアース側バスバーとは、これらバスバーに形成された圧接端子(圧接タブ)によって直接接続されていると共に、前記負荷側電線と接続される前記端子部材は圧接端子材とされ、該圧接端子材の下端側に形成された圧接刃により前記電線と接続されると共に上端面が前記揺動接触子に常時接触されている構成とすることが好ましい。
前記したように、電源線およびアース線をバスバーに形成した圧接タブと圧接接続すると端子部材を介在させる必要はなく、かつ、電源線およびアース線をケース内部まで直接引き込んでバスバーと接続することができる。
同様に、負荷に接続させた電線も圧接端子材からなる端子部材で圧接接続すると、これら電線をコネクタレスでケース内部まで直接的に引き込むことができる。
このように、電源線、アース線および負荷に接続させた電線をケース内部まで直接引き込むことにより、電気接続構造を非常に簡単にすることができる。
なお、バスバーと電源線、アース線の接続は端子部材を介して行っても良い。また、電源線およびアース線とバスバーとの接続および負荷側の電線と前記端子部材との接続は圧接接続に限らず、圧着端子部を設けて圧着接続しても良いし、電線の芯線を露出させて半田付けで接続してもよい。
【0016】
また、前記接点はバスバーに一体的に形成されていることが好ましい。これにより、接点を形成するための製造コストを抑えると共に、接触不良の原因となり得る接続部分をできるだけ排除することができる。
【0017】
また、本発明のスイッチ装置では、負荷を自動車の各部に配置された電装機器とし、自動車に搭載した所要の電装機器用のスイッチ装置としても良いが、特に、前記負荷を自動車のパワーシート(電動シート)に使用されるモータとし、パワーシートスイッチとして用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明より明らかなように、本発明のスイッチ装置では、バスバーは電源線とアース線とに接続させた一層のバスバーだけとし、負荷に接続した電線をケース内部に挿入して内部回路として利用しているため、従来のバスバーのみを内部回路として用いて多層化している構成と比較して、スイッチ装置の厚みを飛躍的に薄くすることができる。
かつ、使用するバスバーは前記したように、電源線と接続されるプラス側のバスバーとアース線に接続されるマイナス側のバスバーだけでよく、負荷側に接続させるバスバーが不要であるため、バスバーの打ち抜き成形のためにかかるコストを必要最小限に抑えてスイッチ装置の製造コストを低減することができる。
さらに、電源線、アース線、負荷に接続した電線はスイッチケースに直接挿入し、コネクタレスとしているため、スイッチ装置全体を小型化および簡単化することできる。
【0019】
また、バスバーと電線とをスイッチの開閉に応じて接続する前記端子部材は、一端(出力側端子部)を負荷に接続された電線(ディスクリート線)に直接接続しているので、従来のように全ての負荷への配線を一カ所に集めてコネクタによる接続を行う場合に比べて、電線の配線を行いやすくなる。つまり、スイッチ回路に接続された電線の配線方向に制限がないので、たとえば電線を異なる方向に配線することも可能であり、とりわけ狭い部分に配置するのに好適である。また、スイッチ回路から負荷までの配線にコネクタによる接続部分がないので、それだけ信頼性が向上する。
【0020】
さらに、前記バスバー、揺動接触子および端子部材は、いずれも肉厚の導電体によって容易に形成できるので、その電流容量を大きくすることができる。つまり、大電流を流す回路に配置されて、スイッチ装置によって大電流を直接的に切り換えることができる。また、端子部材に十分の保形強度を持たせることができるので、揺動接触子と安定して接触させることができ、スイッチ操作の操作フィーリングがよいだけでなく、接触不良などの問題が起こりにくいので信頼性が高くなる。
【0021】
また、本発明のスイッチ装置では、バスバーと、第1および第2の揺動接触子と、端子部材とを収容する上部ケースと、負荷に接続した電線を収容する下部ケースとを設け、上部ケースの下面に下部ケースを開閉自在に取り付けるように構成することにより、下部ケースを上部ケースから分離した状態で電線を配線することができ、下部ケースを上部ケースに取り付けることにより端子部材の出力側接点と電線との接続部を安定して保持することができる。
【0022】
このように複数のスイッチ操作部を有するスイッチ装置を、小型化および薄型化できることにより、自動車内の限られた空間に配置されるスイッチ装置として有用なものとなる。
特に、前記負荷がパワーシートに使用されるモータである場合には、スイッチ装置が配置される部分が座席の側面などの、とりわけ限られた空間であり、かつ、スイッチ装置に対して各モータがあらゆる方向に接続されできる構成とすることは極めて有用なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係わる自動車に搭載される電動シート(以下、パワーシートと称す)用のスイッチ装置について図面を参照して説明する。
図1乃至図5は本発明の第1実施形態を示し、図1はスイッチ装置1の全体的な構成を示す斜視図、図2はスイッチ装置1を分解して示す図、図3は内部のスイッチ回路の構成を示す平面図、図4はスイッチ回路に対する配線を説明する図、図5は断面図である。
【0024】
本実施例のスイッチ装置1は、電動シートに配索されるシートワイヤハーネスの電源線V、アース線Gと、負荷となるモータMa〜Mdの夫々に接続された負荷側電線W1、W2の間に介在させた8ウェイタイプのパワーシートスイッチからなる。
このスイッチ装置1は、図外の電動シート内に配置され、パワーシートのリクライニング、リフター、スライド、フロントチルトをそれぞれ調節する4つのモータMa〜Md(以下、区別する必要がない場合はモータMという)の制御を行うものである。
【0025】
本スイッチ装置1は上下に分割可能な2つのケース2(以下、区別が必要なときは上部ケース2a、下部ケース2bという)を有する。
【0026】
図3に示すように、上部ケース2aはスイッチ操作部材として機能し、バッテリなどの電源からの電源線Vに接続されたプラス側のバスバー3(電源回路)と、アース線Gに接続されたマイナス側のバスバー4(アース回路)と、これらのバスバー3,4をモータMに接続することにより各モータMa〜Mdの正逆回転方向を切り換えるように給電する4セットのスイッチ回路5a〜5d(以下、区別する必要がない場合はスイッチ回路5という)とを有する。
【0027】
前記バスバー3,4は、導電性金属板を所要回路に打ち抜き加工したものであり、その適所の下方に前記電源線V,アース線Gに圧接接続するための圧接刃を設けた圧接端子(圧接タブ)3a,4aが形成されている。また、前記スイッチ回路5a〜5d内に配線されたバスバー3,4には適所に接点3b,4bが一体的に形成されている。
【0028】
図4に示すように、電源線Vとアース線Gは、下部ケース2b内の前記圧接刃3a,4aに対応する位置まで配線されている。また、各モータMa〜Mdへの電線W1a〜W1d,W2a〜W2d(以下、区別する必要がない場合は電線W1,W2という)もそれぞれスイッチ回路5a〜5dに対応する位置まで配線されている。すなわち、電源線V、アース線G、各モータと接続される電線W1,W2を下部ケース2bの内部にコネクタレスで直接挿入して配線している。
【0029】
各電線G,V,W1a〜W1d,W2a〜W2dはディスクリート線からなり、下部ケース2bに形成された配線ガイドB内に通して固定している。このように、本発明のスイッチ装置1においては、各電線G,V,W1a〜W1d,W2a〜W2dはケース内部に挿入して、そのまま内部回路の一部として用いている。
【0030】
図5に示すように、本実施例のスイッチ回路5は、揺動によって前記バスバー3,4の何れか一方に接触する略V形状の第1の揺動接触子6と、この第1の揺動接触子6に並べて配置されると共に第1の揺動接触子6と連動して揺動する略V形状の第2の揺動接触子7と、これらの揺動接触子6,7に常に接触する一対の端子部材8,9と、使用者が操作することにより前記揺動接触子6,7を同時に同じ方向に揺動させる操作部材10とを有する。
【0031】
前記一対の揺動接触子6,7は、図3に示すように、第1の揺動接触子6がプラス側のバスバー3に設けた接点3b(以下、電源回路接点3bと称す)に接触する方向に揺動させた状態で、第2の揺動接触子7はマイナス側のバスバー4に設けた接点4b(以下、アース回路接点4bと称す)に接触し、逆方向に揺動させた状態では、第1の揺動接触子6がアース回路接点4b、第2の揺動接触子7が電源回路接点3bに接触するように、接点3b,4bが配置されている。
【0032】
前記端子部材8,9は、導電性金属材から形成した圧接端子材からなり、その形状は、図5に示すように、下端部(一端側)には前記電線W1,W2の芯線にそれぞれ接続される圧接刃からなる出力側接点8a,9aを形成し、上端部(他端部)には前記揺動接触子6,7にそれぞれ接触する入力側接点8b,9bを形成している。
【0033】
したがって、端子部材8,9と電線W1,W2との接続は上部ケース2aの下面に、各電線G,V,W1a〜W1d,W2a〜W2dが配線された下部ケース2bを取り付けるときに圧接によって容易に行うことができる。なお、出力側接点8b、9bと電線を半田付けして接続してもよい。
【0034】
また、前記操作部材10は、その操作によって揺動接触子6,7を下方に押しつけるように構成し、操作部材を操作した状態では、揺動接触子6,7をバスバー3またはバスバー4と、前記端子部材8,9の頭部に押しつけるようにして、その接触抵抗を小さくすることができる。
【0035】
本発明のスイッチ装置では、スイッチ回路5は3つの状態を有し、操作部材10を操作しない状態においては、揺動接触子6,7がそれぞれ端子部材8,9のみに接触するので、モータMへの電線W1,W2には電流が流れない。
操作部材10を操作して揺動接触子6,7を接点3b,4bに接触させると、接点3b,4bが揺動接触子6,7によって端子部材8,9に接続されるので、電線W1,W2に順方向の電流を流してモータMを正転方向に回動させることができる。
さらに、操作部材10を逆に操作した場合にはモータMに逆方向の電流を流して、モータMを逆転方向に回動させることができる。
【0036】
上記構成のスイッチ装置1においては、電流を流す各部材3,4,6〜9を十分な厚みを持たせることができ、かつ、各接点における接触抵抗も小さくすることができるので、各スイッチ回路5は大電流を流す回路を直接的に切り換えることができる。
【0037】
また、各スイッチ回路5に対する電線W1,W2の配線方向は、コネクタレスでスイッチ装置内部に挿入しているため、自在に変更可能である。よって、狭い自動車の車内、特に、電動シートの各部に配置されたモータMの回転を切り換え制御するためのスイッチ装置1として有用である。
【0038】
図6乃至図9は、本発明の第2実施形態を示す。
本実施形態では、電源線Vとバスバー3、アース線Gとバスバー4の接続構造および端子部材8’,9’と電線W1,W2の接続構造を第1実施形態と相違させている。
【0039】
電源線V,アース線Gとバスバー3,4の接続は、図6に示すように、電源線V,アース線Gの端末に接続したメス型圧着端子20とバスバー3,4の先端を屈折させて設けたオスタブ3c,4cとを雌雄嵌合接続することにより行っている。
電源線Vとアース線Gの端末に接続するメス型圧着端子20は、一端に設けたバレルからなる圧着部20aと他端に設けたメス端子部20bとの間で略直角に屈曲させたL型端子とし、電源線Vとアース線Gの端末に圧着した圧着部20aを下部ケース2b内にモールドして水平配置する一方、メス端子部20bを上方に向けて延在させ、上端に設けた開口をバスバー3,4のオスタブ3c,4cの挿入口としている。
一方、バスバー3,4には、所要箇所の先端を下方に向けて屈折させてオスタブ3c,4cを設け、該オスタブ3c,4cを上部ケース2aに設けた貫通孔Hを通して上部ケース2aの下面側に突出させている。
【0040】
第1実施形態と同様、上部ケース2aと下部ケース2bを組み付けると、電源線Vとアース線Gの端末に接続したメス型圧着端子20のメス端子部20bにバスバー3,4のオスタブ3c,4cが挿入されて雌雄嵌合接続され、電源線Vとバスバー3,アース線Gとバスバー4とが接続される。
【0041】
また、本実施形態では、図7に示すように、端子部材8’,9’を電線W1、W2に圧着接続している。端子部材8’9’は、図8,9に示すように、一端に設けたバレルからなる圧着部8a’,9a’(入力側接点)と他端に設けたオスタブ8c’,9c’との間で略直角に屈曲させたL型オス端子としている。端子部材8’,9’を電線W1,W2の端末に圧着した状態で、圧着部8a’,9a’を下部ケース2b内にモールドして水平配置する一方、オスタブ8c’,9c’を下部ケース2bから上方に向けて突出させ、該オスタブ8c’,9c’の上端を前記揺動接触子6,7にそれぞれ接触する入力側接点8b’,9b’としている。
なお、端子部材8’,9’を用いて接続する電線W1,W2の軸線方向と揺動接触子6,7の長さ方向が一致する場合には、図8に示すようなオスタブ8c’,9c’の幅方向と電線W1,W2の軸線方向が直交する端子部材8’,9’を用いている。一方、図7に示すように、電線W1,W2の軸線方向と揺動接触子6,7の長さ方向が直交する場合には、図9に示すようなオスタブ8c’,9c’の幅方向と電線W1,W2の軸線方向が一致する端子部材8’,9’を用いている。
【0042】
前記のように、上部ケース2aと下部ケース2bを組み付けると、電線W1,W2の端末に接続した端子部材8’,9’のオスタブ8c’,9c’の上端の入力側接点8b’,9b’が揺動接触子6,7の下面に接触して、電線W1,W2と揺動接触子6,7とが端子部材8’,9’を介して接続される。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例に係るスイッチ装置および負荷の接続例を示す図である。
【図2】前記スイッチ装置の一部を分解して示す図である。
【図3】前記スイッチ装置内のスイッチ回路の構成を示す図である。
【図4】前記スイッチ装置内の電線の配線例を示す図である。
【図5】前記スイッチ回路の構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の電源線、アース線とバスバーとの接続構造を示す断面図である。
【図7】第2実施形態のスイッチ回路の構成を示す縦断面図である。
【図8】電線に接続した圧着端子を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図9】電線に接続した他の圧着端子を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図10】従来のスイッチ装置および負荷の接続例を示す図である。
【図11】従来のスイッチ装置内の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 スイッチ装置
3 プラス側のバスバー
4 マイナス側のバスバー
3a、4a 圧接端子(圧接タブ)
5 スイッチ回路
6 第1の揺動接触子
7 第2の揺動接触子
8,9 端子部材
8a,9a 出力側接点
8b,9b 入力側接点
Ma〜Md 負荷
W1,W2 一対の電線
V 電源線
G アース線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部の下部に電源線と、アース線と、負荷と接続された電線が収容されると共に、前記ケース内部の上部に前記電源線およびアース線にそれぞれ端子を介して接続されるプラス側バスバーおよびマイナス側バスバーとからなるバスバー層が一層収容され、前記バスバーの配置側に、前記電線を介して前記負荷に正逆方向の電力を切り換えて供給する複数の操作スイッチ部が設けられ、
前記操作スイッチ部は、揺動によって前記プラス側またはマイナス側のバスバーの接点に接触する第1の揺動接触子と、該第1の揺動接触子と連動して揺動すると共に第1の揺動接触子とは異なる側のバスバーの接点に接触する第2の揺動接触子と、前記負荷に接続された一対の電線に一端側が直接接続されると共に他端が前記第1または第2の揺動接触子に常時接触させる端子部材とを備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ケースは上部ケースと下部ケースとからなり、
前記下部ケースに前記電源線、アース線、負荷に接続される電線群が収容される一方、
前記上部ケースに前記一層のバスバーが収容されると共に複数の前記操作スイッチ部が設けられ、かつ、これら各操作スイッチ部に略V形状として前記揺動接触子が取り付けられると共に該揺動接触子の下面に常時接触させた前記端子部材が設けられ、該端子部材の他端出力側が上部ケースから下方へ突出され、該上部ケースと下部ケースとが組みつけられた状態で前記端子部材が前記電線と接続されている請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記端子部材は上部にタブを設けたオス端子からなり、前記タブを前記揺動接触子の下面に常時接触させる一方、下部を前記電線に圧接あるいは圧着により接続している請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記負荷が自動車の各部に配置された電装機器である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記負荷が自動車の電動シートに使用されるモータで、パワーシートスイッチを構成している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項1】
ケース内部の下部に電源線と、アース線と、負荷と接続された電線が収容されると共に、前記ケース内部の上部に前記電源線およびアース線にそれぞれ端子を介して接続されるプラス側バスバーおよびマイナス側バスバーとからなるバスバー層が一層収容され、前記バスバーの配置側に、前記電線を介して前記負荷に正逆方向の電力を切り換えて供給する複数の操作スイッチ部が設けられ、
前記操作スイッチ部は、揺動によって前記プラス側またはマイナス側のバスバーの接点に接触する第1の揺動接触子と、該第1の揺動接触子と連動して揺動すると共に第1の揺動接触子とは異なる側のバスバーの接点に接触する第2の揺動接触子と、前記負荷に接続された一対の電線に一端側が直接接続されると共に他端が前記第1または第2の揺動接触子に常時接触させる端子部材とを備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ケースは上部ケースと下部ケースとからなり、
前記下部ケースに前記電源線、アース線、負荷に接続される電線群が収容される一方、
前記上部ケースに前記一層のバスバーが収容されると共に複数の前記操作スイッチ部が設けられ、かつ、これら各操作スイッチ部に略V形状として前記揺動接触子が取り付けられると共に該揺動接触子の下面に常時接触させた前記端子部材が設けられ、該端子部材の他端出力側が上部ケースから下方へ突出され、該上部ケースと下部ケースとが組みつけられた状態で前記端子部材が前記電線と接続されている請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記端子部材は上部にタブを設けたオス端子からなり、前記タブを前記揺動接触子の下面に常時接触させる一方、下部を前記電線に圧接あるいは圧着により接続している請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記負荷が自動車の各部に配置された電装機器である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記負荷が自動車の電動シートに使用されるモータで、パワーシートスイッチを構成している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−351507(P2006−351507A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337567(P2005−337567)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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