説明

スイッチ装置

【課題】コストの低廉化及び装置の小型化・簡素化を図ることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置2は、配線パターンが形成された基板24と、プッシュ操作及びタッチ操作がされる操作面210を有する操作部としてのノブ21と、ノブ21を支持する導電性の支持部222を有し、操作面210に対するタッチ操作に基づく静電容量の変化を配線パターンに出力する第1のスイッチ部としての支持部材22と、 基板24及びノブ21の間に設けられ、ノブ21のプッシュ方向の変位に基づく信号を配線パターンに出力する第2のスイッチ部としてのプッシュスイッチ23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特に操作部へのタッチ操作状態及びプッシュ操作状態を検出する機能を備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作者によってスイッチ装置の操作部を操作したときに第1操作状態と第2操作状態を検出するスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このスイッチ装置は、プッシュ操作によって弾性変形する操作キーを有するキーパッドと、スイッチ用電極及び接点電極を有するドーム型スイッチと、変位電極及び容量素子用電極を有する容量素子と、スペーサを介して折り返して配置され、容量素子及びドーム型スイッチを搭載するフレキシブルプリント基板とを備える。ドーム型スイッチは、操作キーのプッシュ操作力をキーパッドから受けてスイッチ用電極が下方に変位し、接点電極に接触することにより、操作キーの第1操作状態を検出する。また、容量素子は、キーパッドに作用した操作キーのプッシュ操作力をドーム型スイッチから受けて変位電極が変位し、容量素子用電極に接近することにより、変位電極と容量素子用電極との間に形成されるコンデンサの静電容量が変化し、第2操作状態を検出する。
【0004】
また、電極板に対する操作者の接触あるいは近接を静電容量の変化により検出するタッチセンサが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このタッチセンサは、タッチ操作がされる電極板と、電極板を取り付けるホルダーと、静電容量の変化を検出する検出回路を有する回路基板と、電極板と回路基板とを電気的に接続するリード線等を備える。
【特許文献1】特開2004−45243号公報
【特許文献2】特開2006−196395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のタッチ装置によると、第1、第2操作状態を検出するために、キーパッド及びスペーサのみならず、フレキシブルプリント基板を必要とし、またフレキシブルプリント基板を折り返して配置するものであるため、部品点数が嵩むばかりか、構造全体が複雑になり、コスト高になるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のタッチセンサによると、電極板と回路基板とをリード線により接続しているため、コネクタ等の接続部品が必要となり、装置の小型化及び組み付け性の向上が困難という問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、コストの低廉化及び装置の小型化・簡素化を図ることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]配線部が形成された基板と、プッシュ操作及びタッチ操作がされる操作面を有する操作部と、前記操作部を動作可能に支持する導電性の支持部を有し、前記操作面に対する前記タッチ操作に基づく静電容量の変化を前記配線部に出力する第1のスイッチ部と、前記基板及び前記操作部の間に設けられ、前記プッシュ操作により前記操作部が動作したことによるプッシュ方向の変位に基づく信号を前記配線部に出力する第2のスイッチ部と、を備えたことを特徴とするスイッチ装置を提供する。
【0010】
[2]また、配線部が形成された基板と、プッシュ操作及びタッチ操作がされる2つの操作面を有する操作部と、前記2つの操作面の境界線を支点にしてシーソー状に前記操作部を支持する導電性の支持部を有し、前記操作面に対する前記タッチ操作に基づく静電容量の変化を前記配線部に出力する第1のスイッチ部と、前記2つの操作面にそれぞれ対応して設けられ、前記プッシュ操作により前記操作部がシーソー状に動作したことによるプッシュ方向の変位に基づく信号を前記操作面毎に前記配線部にそれぞれ出力する2つの第2のスイッチ部と、を備えたことを特徴とするスイッチ装置でもよい。
【0011】
[3]また、前記第1のスイッチ部は、前記境界線上に前記支持部を配列するように2つ設けられ、前記2つの操作面毎に前記静電容量の変化を前記配線部にそれぞれ出力する前記[2]に記載のスイッチ装置でもよい。
【0012】
[4]また、前記操作部は、前記支持部と前記操作面との間又は前記操作面上に、前記支持部と静電容量結合される電極部材を備えたことを特徴とする前記[1]から[3]のいずれか1つに記載のスイッチ装置でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、コストの低廉化及び装置の小型化・簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の使用状況を示す図である。車両1は、スイッチ装置2と表示画面3を備える。表示画面3には、カーソル30と、メニュー31とが表示され、図1では、メニュー31の「テレビ」がカーソル30によって選択された場合を示す。
【0015】
図2は、スイッチ装置の図1のA―A線断面図である。図3(a)は、スイッチ装置の基板及び支持部材を示す斜視図である。なお、説明に用いる各図は概念図であり、各パーツの寸法は図の縮尺に関係ない。
【0016】
(スイッチ装置2の全体構成)
スイッチ装置2は、装置本体20と、ノブ(操作部)21と、支持部材(第1のスイッチ部)22と、プッシュスイッチ(第2のスイッチ部)23と、基板24とから概略構成されている。なお、図1に示す構成では、ノブ21が1個のみであるが、例えば表示画面3における複数のメニュー31と対応させる場合には、ノブ21、支持部材22及びプッシュスイッチ23からなるユニットを複数個用意してもよい。
【0017】
(装置本体20の構成)
装置本体20は、ノブ21を挿通する挿通孔200を有し、例えば合成樹脂材料によって形成されている。
【0018】
(ノブ21の構成)
ノブ21は、外部に露呈し、操作者(手指)によりプッシュ操作及びタッチ操作がされる操作面210と、プッシュ操作によるプッシュ操作力をプッシュスイッチ23に伝達する伝達面211と、支持部材22を嵌合する凹部212とを備える。また、ノブ21は、装置本体20と同様に合成樹脂材料によって形成されている。
【0019】
凹部212は、図2に示すように、操作面210の裏側に形成された溝であり、その断面は略円弧状の形状を有する。また、凹部212の最薄部は、タッチ操作による静電容量の変化が検出可能な厚みに設計され、例えば1.5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
【0020】
(支持部材22の構成)
支持部材22は、図3(a)に示すように、略コ字状の形状を有し、基板24に固定された2つの端部220と、基板24から略垂直に配設された2つの支柱部221と、ノブ21を動作可能に支持する支持部222とを備える。
【0021】
支持部材22は、例えば、導電性材料からなる棒材を略コ字状に折り曲げ加工することにより製作される。
【0022】
端部220は、例えば、半田付けやねじ止め等により基板24に固定されている。また、2つのうち1つの端部220は、基板24に電気的に接続されている。なお、2つの端部220の両方を基板24に接続してもよい。
【0023】
支持部222は、ノブ21の凹部212に嵌合され、支持部222を回転軸にしてノブ21が所定の角度だけ回転動作可能となるように構成されている。従って、ノブ21は、操作面210に対するプッシュ操作によって、支持部材22を回転軸にして所定の角度だけ回転し、その回転に対応する分だけ伝達面211は、プッシュ方向に変位する。
【0024】
また、支持部222は、ノブ21の操作面210に操作者の手指が触れることにより、この手指との間でコンデンサを形成し、そのコンデンサの静電容量の変化を基板24に出力するスイッチとして機能する。そして、その出力された静電容量の変化に基づいて、後述の静電容量ICによりタッチ操作状態が検出される。
【0025】
(支持部材22の変形例)
図3(b)は、支持部材の変形例を示す斜視図である。図3(b)に示す支持部材22は、図3(a)に示す支持部材22と比較して、支持部222の形状が異なり、プッシュ操作の方向に厚みを増したものである。このような支持部材22は、例えば、導電性材料からなる板材を切削加工することにより製作される。これにより、支持部材22のプッシュ操作に対する強度を向上することができる。
【0026】
(プッシュスイッチ23の構成)
プッシュスイッチ23は、基板24上に設けられ、ノブ21のプッシュ方向の変位に基づく信号を基板24に出力するスイッチである。プッシュスイッチ23は、ノブ21の伝達面211に設けられた可動電極230と、プッシュ操作によって変形する変形部231と、基板24上に可動電極230と対向する位置に設けられた固定電極232とを備える。
【0027】
可動電極230及び変形部231は、例えば、導電性と弾性を兼ね備えた導電性ゴムによって形成されている。なお、可動電極230及び変形部231は、導電性ゴムの代わりに、導電性を有しないゴム及び金属等の弾性部材でこれらを形成し、配線によって電気的に接続してもよい。
【0028】
可動電極230は、変形部231を介して基板24の接地パターン(図示せず)に接続されている。
【0029】
変形部231は、伝達面211がプッシュ操作によってプッシュ方向に変位すると、その変位に応じて屈曲した状態に弾性変形し、かつプッシュ操作の解除によって屈曲した状態から弾性復帰する。
【0030】
固定電極232は、プッシュ方向に変位した可動電極230と電気的に接続されると、接地パターンに接続されたこととなる。その結果、後述の静電電容量ICから分圧された電圧がゼロになり、プッシュ操作状態が検出される。
【0031】
基板24は、図3(a)に示すように、支持部材22に電気的に接続される配線パターン(配線部)240を有する。支持部材22は、この配線パターン240を介して静電容量IC11に接続される。また、プッシュスイッチ23も、同様に配線パターン(図示せず)を介して静電容量IC11に接続される。
【0032】
(静電容量IC11の構成)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置のブロック図である。静電容量IC11は、配線パターン240を介して支持部材22及びプッシュスイッチ23と電気的に接続され、例えば100kHzの高周波信号を出力する発振部110と、例えば100kΩの抵抗値を有する負荷抵抗111と、発振部110から出力された高周波信号の平滑化を行うダイオード112と、例えば2kHz以下の信号を通過させるLPF(Low Pass Filter)113と、オペアンプ114とから構成されている。
【0033】
コンデンサC1は、支持部222及び手指によって形成され、コンデンサC1及びプッシュスイッチ23からの出力信号は、重畳されて配線パターン240を介して静電容量IC11に出力される。オペアンプ114は、増幅及びオフセットが行われた信号(Vout)として発振部110からの高周波信号をコントローラ12に出力する。
【0034】
(コントローラ12の構成)
コントローラ12は、後述する各種しきい値等のデータを記憶するメモリ120を有する。コントローラ12は、例えば、車両用ECU(Electric Control Unit)により実現され、車両1に配設されている。コントローラ12は、メモリ120に記憶されたしきい値と、静電容量IC11からの重畳された出力信号とに基づいて、表示画面3に表示されたメニュー31の選択及び決定を行い、その結果を表示画面3に出力する。
【0035】
(スイッチ装置2の動作)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するために用いる信号波形図である。図5(a)は、タッチ操作による静電容量ICの検出信号を、図5(b)は、その出力信号を、図5(c)は、プッシュ動作による静電容量ICの検出信号を、図5(d)は、その出力信号をそれぞれ示す。以下の説明では、操作者が、スイッチ装置2に触れない状態で出力される基準電圧100(Vc)を2v、タッチ用しきい値40を1.5v、プッシュ用しきい値50を0.5vとする。
【0036】
図2に示すように、操作者が、手指によってノブ21の操作面210にタッチ操作をすると、静電容量IC11の発振部110から出力された高周波信号は、コンデンサC1のインピーダンスと負荷抵抗111とで分圧され、ダイオード112で整流され、LPF113でフィルタされた後に、オペアンプ114に入力する。
【0037】
この場合、タッチ区間におけるオペアンプ114に入力される高周波信号の第1の出力レベルは、操作面210に手指が触れていない場合の出力レベルと比べて小さくなる。そして、オペアンプ114は、タッチ操作がされる前に比べて、電位差Aが生じている信号(Vout)をコントローラ12に出力する。電位差Aは、タッチ操作がされる前の電圧である基準電圧100と、タッチ操作又はプッシュ操作がされた後に静電容量IC11から出力される電圧である第1の出力レベルとしての検出電圧101との差である。
【0038】
コントローラ12は、タッチ用しきい値40及びプッシュ用しきい値50と、電位差Aに基づいて、操作者によって操作面210にタッチ操作がされたか否か、又はプッシュ操作がされたか否かを判断する。図5(b)に示す電位差Aは、基準電圧100とタッチ用しきい値40との差より大きく、基準電圧100とプッシュ用しきい値50との差よりも小さいので、コントローラ12は、タッチ区間において操作者によるタッチ操作状態(入状態)と判断し、例えば、図1に示す表示画面3に表示されたカーソル30が指示するメニュー31が選択されたものとして、「テレビ」を選択状態にする。
【0039】
一方、操作者が、ノブ21の操作面210にプッシュ操作をすると、ノブ21が支持部222を軸に下方に移動し、伝達面211を介して可動電極230をプッシュする。これに伴い、変形部231は、屈曲した状態に弾性変形し、可動電極230が固定電極232に電気的に接触、つまり、図5に示すプッシュ区間においてプッシュスイッチ23が入状態になる。そのとき、可動電極230は、基板24の接地パターンに接続されていることから第2の出力レベルはゼロになり、図5(c)及び(d)に示すように、電位差Bは2vになる。
【0040】
コントローラ12は、タッチ用しきい値40及びプッシュ用しきい値50と、電位差Bに基づいて、操作面210にタッチ操作がされたか否か、又はプッシュ操作がされたか否かを判断する。図5(d)に示す電位差Bは、基準電圧100とプッシュ用しきい値50との差よりも大きいので、コントローラ12は、操作者によるプッシュ操作状態と判断し、例えば図1に示す表示画面3に表示されたメニュー31が選択・決定されたものとして表示画面3の表示状態をテレビに変更する。
【0041】
(第1の実施の形態の効果)
上記した本実施の形態によると、支持部材22はノブ21を支持するとともにタッチスイッチの電極としての機能を兼ね備えているため、部品点数を削減でき、構造を簡素化することができるので、コストの低廉化及び装置の小型化・簡素化を図ることができる。
【0042】
また、支持部材22は、端部220を介して基板24に固定されるので、支持部材22と配線パターン240との接続強度及び組み付け性を向上することができる。
【0043】
また、支持部材22は、装置本体20及びノブ21の内部に収納されるため、スイッチ装置2の外観に関してデザイン上の制約を少なくすることができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るスイッチ装置の図1のA−A線断面図である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の構成及び機能を有する部分については共通の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分だけ説明する。
【0045】
(スイッチ装置2の構成)
スイッチ装置2のノブ21は、ノブ21の内部に埋設された平板形状のノブ電極(電極部材)213を備える。ノブ電極213は、操作面210と支持部222との間に設けられ、支持部222に静電容量結合される。また、ノブ電極213は、例えば、導電めっき、金属スパッタ、導電性ゴム等により形成されている。なお、ノブ電極213は、操作面210の表面上に形成されていてもよい。
【0046】
上記の構成を有するスイッチ装置2において、タッチ操作がされると、操作者の手指とノブ電極213との間で第1のコンデンサが形成され、ノブ電極213と支持部222との間で第2のコンデンサが形成される。それら形成された第1及び第2のコンデンサは、静電容量結合することにより第1の実施の形態のコンデンサC1を構成する。そして、そのコンデンサC1の静電容量の変化に応じてタッチ操作状態が検出される。また、プッシュ操作状態については、第1の実施の形態と同様に検出される。
【0047】
(第2の実施の形態の効果)
上記した本実施の形態によると、第1の実施の形態の効果に加え、ノブ電極が支持部222に静電容量結合されることにより、タッチセンサの電極として機能する面積が、ノブ電極213の面積に拡大するので、タッチ操作の検出性能を向上することができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るスイッチ装置の図1のA−A線断面図である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の構成及び機能を有する部分については共通の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分だけ説明する。
【0049】
(スイッチ装置2の構成)
スイッチ装置2は、装置本体20と、ノブ21と、支持部材22と、第1及び第2のプッシュスイッチ23A,23Bと、基板24とから概略構成されている。スイッチ装置2は、1つのタッチ操作状態と、2つのプッシュ操作状態とを検出する。
【0050】
(ノブ21の構成)
ノブ21は、ノブ21の中央で分割される第1及び第2の操作面210A,210Bと、第1及び第2の操作面210A,210Bに対するプッシュ操作力をそれぞれ第1及び第2のプッシュスイッチ23A,23Bに伝達する第1及び第2の伝達面211A,211Bと、第1及び第2の操作面210A,210Bに対向するようにノブ21の内部に埋設された平板形状のノブ電極213と、第1及び第2の操作面210A,210Bを分割する境界線であり、支持部材22上でノブ21がシーソー状に動作する際の支点となる支点部214とを有する。
【0051】
第1の伝達面211Aは、第1の操作面210Aに対するプッシュ操作(第1のプッシュ操作)によってプッシュ方向に変位し、第2の伝達面211Bは、第2の操作面210Bに対するプッシュ操作(第2のプッシュ操作)によってプッシュ方向に変位する。
【0052】
(支持部材22)
支持部材22は、支点部214を支点にしてシーソー状に動作可能にノブ21を支持する支持部222を有する。
【0053】
(プッシュスイッチ23の構成)
第1及び第2のプッシュスイッチ23A,23Bは、第1及び第2の伝達面211A,211Bにそれぞれ対応して設けられている。
【0054】
上記の構成を有するスイッチ装置2において、第1及び第2の操作面210A,210Bのいずれかにタッチ操作がされると、操作者の手指とノブ電極213との間で形成された第1のコンデンサと、ノブ電極213と支柱部221との間で形成された第2のコンデンサとが、静電容量結合によりコンデンサC1を構成し、そのコンデンサC1の静電容量の変化に応じてタッチ操作状態が検出される。
【0055】
また、第1のプッシュ操作がされると、ノブ21が支点部214を支点にしてシーソー状に動作し、第1の伝達面211Aがプッシュ方向に変位する。そして、第1のプッシュスイッチ23Aを介して第1のプッシュ操作状態が検出される。同様にして、第2のプッシュ操作がされると、第2の伝達面211Bがプッシュ方向に変位し、第2のプッシュスイッチ23Bを介して第2のプッシュ操作状態が検出される。
【0056】
(第3の実施の形態の効果)
上記した本実施の形態によると、第1及び第2の実施の形態の効果に加え、2つのプッシュスイッチによってプッシュ操作状態の検出数を増やすことができるので、スイッチ装置2の利便性を向上することができる。
【0057】
[第4の実施の形態]
図8(a)は、本発明の第4の実施の形態に係るスイッチ装置の上面図であり、図8(b)は、図8(a)のB−B線断面図である。なお、以下の説明において、第3の実施の形態と同一の構成及び機能を有する部分については共通の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分だけ説明する。
【0058】
(スイッチ装置2の構成)
スイッチ装置2は、装置本体20と、ノブ21と、第1及び第2の支持部材22A,22Bと、第1及び第2のプッシュスイッチ23A,23Bと、基板24とから概略構成されている。スイッチ装置2は、2つのタッチ操作状態と、2つのプッシュ操作状態とを検出する。
【0059】
(ノブ21の構成)
ノブ21は、第1及び第2の操作面210A,210Bにそれぞれ対向するようにノブ21の内部に埋設された第1及び第2のノブ電極213A,213Bを有する。第1及び第2のノブ電極213A,213Bは、図8(a)に示すように、L字型の平板形状を有し、第1及び第2の支持部材22A,22Bにそれぞれ静電容量結合さる。
【0060】
(支持部材22)
第1及び第2の支持部材22A,22Bは、それぞれの支持部222を境界線215上に配列するように基板24上に固定され、それら2つの支持部222によりノブ21を支持する。
【0061】
上記の構成を有するスイッチ装置2において、第1及び第2の操作面210A,210Bのいずれかにタッチ操作がされると、そのタッチ操作がされた操作面に対応するノブ電極及び支持部を介して静電容量の変化が出力され、タッチ操作状態が検出される。すなわち、タッチ操作がされた操作面を区別した状態で2つのタッチ操作状態が検出される。また、2つのプッシュ操作状態は、第3の実施の形態と同様に、第1及び第2のプッシュスイッチ23A,23Bを介してそれぞれ検出される。
【0062】
なお、本実施の形態では、2つのタッチ操作状態を検出したが、ノブ21の操作面を3つ以上に分割し、その分割した操作面の分割領域と分割数に応じて、ノブ電極及び支持部材を設けて、分割数分のタッチ操作状態を検出するようにしてもよい。
【0063】
(第4の実施の形態の効果)
上記した本実施の形態によると、第1乃至第3の実施の形態の効果に加え、複数の支持部材22によってノブ21を支持することにより、タッチ操作状態の検出数を増やすことができるので、スイッチ装置2の利便性を向上することができる。
【0064】
[他の実施の形態]
上記した各実施の形態におけるプッシュスイッチは、プッシュ方向の変位に基づく入・切状態を検出するスイッチであるが、例えば、プッシュ方向への変位量を多段階に検出したり、変位量自体を検出するスイッチでもよく、変位量を電気信号に変換する磁気センサ及び超音波センサ等のセンサを用いてもよい。
【0065】
また、上記の各実施の形態におけるスイッチ装置2は、車両1のステアリング部に設置したが、スイッチ装置2の設置位置はこれに限定されない。また、イッチ装置2は、表示画面3を操作する他に、空調装置等の他の車載機器の操作に用いられてもよいし、家庭用、業務用等の各種電子機器に用いられてもよい。
【0066】
また、本発明は、上記の各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の使用状況を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の図1のA−A線断面図である。
【図3】(a)は、スイッチ装置の基板及び支持部材を示す斜視図である。(b)は、支持部材の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置のブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するために用いる信号波形図であり、(a)は、タッチ操作による静電容量ICの検出信号を、(b)は、その出力信号を、(c)は、プッシュ動作による静電容量ICの検出信号を、(d)は、その出力信号である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチ装置の図1のA−A線断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るスイッチ装置の図1のA−A線断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第4の実施の形態に係るスイッチ装置の上面図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…車両、2…スイッチ装置、3…表示画面、11…静電容量IC、
12…コントローラ、20…装置本体、21…ノブ、
22,22A,22B…支持部材、23,23A,23B…プッシュスイッチ、
24…基板、30…カーソル、31…メニュー、40…タッチ用しきい値、
50…プッシュ用しきい値、100…基準電圧、101…検出電圧、
110…発振部、111…負荷抵抗、112…ダイオード、113…LPF、
114…オペアンプ、120…メモリ、200…挿通孔、
210,210A,210B…操作面、211,211A,211B…伝達面、
212…凹部、213,213A,213B…ノブ電極、214…支点部、
220…端部、221…支柱部、222…支持部、230…可動電極、
231…変形部、232…固定電極、240…配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部が形成された基板と、
プッシュ操作及びタッチ操作がされる操作面を有する操作部と、
前記操作部を動作可能に支持する導電性の支持部を有し、前記操作面に対する前記タッチ操作に基づく静電容量の変化を前記配線部に出力する第1のスイッチ部と、
前記基板及び前記操作部の間に設けられ、前記プッシュ操作により前記操作部が動作したことによるプッシュ方向の変位に基づく信号を前記配線部に出力する第2のスイッチ部と、
を備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
配線部が形成された基板と、
プッシュ操作及びタッチ操作がされる2つの操作面を有する操作部と、
前記2つの操作面の境界線を支点にしてシーソー状に前記操作部を支持する導電性の支持部を有し、前記操作面に対する前記タッチ操作に基づく静電容量の変化を前記配線部に出力する第1のスイッチ部と、
前記2つの操作面にそれぞれ対応して設けられ、前記プッシュ操作により前記操作部がシーソー状に動作したことによるプッシュ方向の変位に基づく信号を前記操作面毎に前記配線部にそれぞれ出力する2つの第2のスイッチ部と、
を備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1のスイッチ部は、前記境界線上に前記支持部を配列するように2つ設けられ、前記2つの操作面毎に前記静電容量の変化を前記配線部にそれぞれ出力する請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記支持部と前記操作面との間又は前記操作面上に、前記支持部と静電容量結合される電極部材を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−301854(P2009−301854A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154680(P2008−154680)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】