説明

スイッチ装置

【課題】実行可能な機能が割り付けられたステアリングスイッチの機能内容を、視線移動することなく容易に確認できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】車両10のステアリングコラム20に回転可能に支持されたステアリング30の一部に設けられ、押下動作によりスイッチ動作する第1クリック位置、および、さらに押下されてスイッチ動作する第2クリック位置を有するステアリングスイッチ100と、ステアリングスイッチ100の第2クリック位置の押下動作による実行可能な機能を割り付ける機能割付部201と、第1クリック位置における押下動作時に機能割付部201によりステアリングスイッチ100に割り付けられた実行可能な機能の内容を報知して機能確認を行なうための報知部(コラム上ディスプレイ300、スピーカ320)と、を有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングに設けられ、操作ボタンを押下げすることにより種々の車載機器の制御を可能にするステアリングスイッチがある。この種のステアリングスイッチは、個々の操作ボタンに対して押下げにより実行可能な機能が予め割り付けられているものが多い。これに対して、ステアリングスイッチのそれぞれの操作ボタンにユーザの好みに応じた実行可能な機能を自由に割り付けることができるステアリングスイッチ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のスイッチ装置によれば、ユーザが操作スイッチを操作することで、センタークラスタPCに記憶された複数のステアリングスイッチ機能コードの中からステアリングスイッチ群に割り付けるステアリングスイッチ機能コードが選択できる。この割り付け後に、ユーザが、ステアリングスイッチを押下すると、センタークラスタPCにおいて、押下されたステアリングスイッチに割り付けられた機能が、ステアリングスイッチ機能コードを参照して特定され、それに応じた制御対象に制御信号が出力される。また、センタークラスタディスプレイやヘッドアップディスプレイによりフロントガラス上に上記のステアリングスイッチに割り付けられた割り付け機能図が表示される。
【特許文献1】特開平10−308136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のスイッチ装置によると、操作するステアリングスイッチとその内容が表示される場所が異なるので、運転者が視線移動する必要がある。従って、ステアリングスイッチを運転中に操作する場合、安全性において問題となる場合があり、ステアリングスイッチとその表示場所は可能な限り近接しているのが好ましい。
【0005】
従って、本発明の目的は、実行可能な機能が割り付けられたステアリングスイッチの機能内容を、視線移動することなく容易に確認できるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、車両のステアリングコラムに回転可能に支持されたステアリングの一部に設けられ、押下動作によりスイッチ動作する第1クリック位置、および、さらに押下されてスイッチ動作する第2クリック位置を有するステアリングスイッチと、前記ステアリングスイッチの前記第2クリック位置の押下動作による実行可能な機能を割り付ける機能割付部と、前記第1クリック位置における押下動作時に前記機能割付部により前記ステアリングスイッチに割り付けられた実行可能な機能の内容を報知する報知部と、を有することを特徴とするスイッチ装置を提供する。
【0007】
[2]前記報知部は、前記ステアリングコラム上に設けられたコラム上ディスプレイに前記実行可能な機能の内容を画像情報として表示することを特徴とする上記[1]に記載のスイッチ装置であってもよい。
【0008】
[3]また、前記報知部は、前記実行可能な機能の内容を音声情報としてアナウンスすることを特徴とする上記[1]に記載のスイッチ装置であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、実行可能な機能が割り付けられたステアリングスイッチの機能内容を、視線移動することなく容易に確認できるスイッチ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(本発明の実施の形態)
図1は、ステアリングスイッチを有する車両内部の斜視図である。図2は、図1におけるステアリング付近を拡大した拡大図である。図3は、ステアリングスイッチの第1クリック位置、および、第2クリック位置を示す図2におけるA−A断面図である。図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置1の概略ブロック構成図である。図5は、ステアリングスイッチ100の押下動作時のコラム上ディスプレイ300上の表示部301の変化を示す部分平面図である。
【0011】
(スイッチ装置1の構成)
本発明の実施の形態に係るスイッチ装置1は、車両10のステアリングコラム20に回転可能に支持されたステアリング30の一部に設けられ、押下動作によりスイッチ動作する第1クリック位置、および、さらに押下されてスイッチ動作する第2クリック位置を有するステアリングスイッチ100と、ステアリングスイッチ100の第2クリック位置の押下動作による実行可能な機能を割り付ける機能割付部201と、第1クリック位置における押下動作時に機能割付部201によりステアリングスイッチ100に割り付けられた実行可能な機能の内容を報知して機能確認を行なうための報知部(コラム上ディスプレイ300、スピーカ320)と、を有して概略構成されている。
【0012】
ステアリングスイッチ100は、車両10のステアリングコラム20に回転可能に支持されたステアリング30の一部に設けられ、運転者がステアリングホイール31を把持した状態で指等により押下動作できる状態で設けられている。図1、2では、ステアリング30の左右2箇所に設けられ、それぞれのステアリングスイッチ100には図2で示すように第1スイッチ部101、第2スイッチ部102、第3スイッチ部103の3つのスイッチ部が設けられている。尚、ステアリングスイッチの配置位置はステアリング30の左右には限られず、また、ステアリングスイッチを構成するスイッチ部は3つ以外であってもよい。
【0013】
図3は、図2における第2スイッチ部102のA−A断面図である。第2スイッチ部102は、押下動作可能な操作ボタン104と図示しない2つの接点構造とからなる。操作ボタン104が押されてない状態、すなわち、OFF状態の位置104aから押下動作により第1クリック位置104bで1段目のスイッチ動作が行なわれ、さらに押下動作を行なうことにより第2クリック位置104cで2段目のスイッチ動作が行なわれる。1段目および2段目のスイッチ動作においてはクリック感(節度感)を有することが好ましい。上記は第2スイッチ部102について説明したが、第1スイッチ部101、及び第3スイッチ部103についても同様の構成である。
【0014】
図4は、スイッチ装置1の概略ブロック構成図である。上記したステアリングスイッチ100は、スイッチ装置1の制御全般を行なうステアリングスイッチECU(Electronic Control Unit)200に接続されている。ステアリングスイッチECU200には、ステアリングスイッチ100に割り付けられた実行可能な機能の内容を報知する報知部としてのコラム上ディスプレイ300またはスピーカ320が接続されている。また、ステアリングスイッチECU200には、ステアリングスイッチ100に機能割り付け可能な車載機器、例えば、オーディオ機器401、オートウインドウ装置402、フューエルリッド開閉装置403、カーナビゲーション404、エアコン装置405、・・・・・等の車載機器がCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の通信ライン400により接続されている。
【0015】
コラム上ディスプレイ300は、図1、2に示すように、ステアリングコラム20の一部に設けられた表示装置であり、液晶表示装置が表示部301として運転者がステアリングホイール31を把持した状態で容易に視認できる位置に配置されている。このコラム上ディスプレイ300は、ステアリングコラム20に設けられているので、インスツルメントパネル11の中央付近に設けられるセンタークラスタディスプレイ12等に比較して、ステアリングスイッチ100に最も近くに位置し、視線移動することなく容易に視認できる表示装置である。コラム上ディスプレイ300には種々の表示が可能であるが、例えば、オーディオ機器401、・・・・・等の車載機器の制御モード、制御メニュー等が表示可能である。
【0016】
また、スピーカ320は、ステアリングスイッチ100のそれぞれのスイッチ部(101、102、103)に割り付けられた実行可能な機能の内容を音声情報としてアナウンスする報知部として機能する。オーディオ装置401に備えられたスピーカと共用してもよく、また、別途専用に設けてもよい。
【0017】
ステアリングスイッチECU200は、スイッチ装置1の制御全般を行なうが、機能割付部201を有しており、ステアリングスイッチ100のそれぞれのスイッチ部(101、102、103)に実行可能な機能の割り付けを行なう。ここで、実行可能な機能は、オーディオ機器401、・・・・・等の車載機器の制御モード、制御メニューの単一機能の任意割り付け、単一機能を同時一括動作させる一括操作割り付け(例えば、窓開操作の単一機能を4箇所の窓全部に機能させる一括操作、等)、異なる単一機能を時系列に組み合わせたシーケンシャル操作割り付け、階層化された制御モード、制御メニューの途中にある単一機能を直接操作するショートカット割り付け、等の種々の割り付けが可能である。
【0018】
ステアリングスイッチECU200には、内部に、上記示した割り付け操作を行なうためのプログラムを記憶した記憶部を有する。また、この記憶部には、上記示した種々の車載機器の制御モード、制御メニューの単一機能表示データ、また、これらの実行可能な機能の内容を音声情報としてアナウンスするための音声データ(機能確認音)、割り付ける機能の動作時の動作確認音が記憶されている。尚、上記の単一機能表示データ、音声データは、CAN、LIN通信を介して各車載機器から参照することも可能である。
【0019】
従って、ステアリングスイッチECU200は、上記示した機能割付部201による種々の機能割り付けと、それに対応するアナウンス等を自由にカスタマイズする機能を有している。
【0020】
(スイッチ装置1の動作)
図3に示す第2スイッチ部102の断面図を参照して、以下にスイッチ装置1の動作説明を行なう。図3(a)に示す操作ボタン104が押下動作されていないOFF状態の位置104aから、操作ボタン104が1段下に押下動作されて図3(b)の第1クリック位置104bに操作されると、機能確認が行なわれる。例えば、第2スイッチ部102にカーナビゲーション404の制御モード、制御メニューとして、「VIEWセレクト」が割り付けられている場合、機能確認として、図5(a)の無表示状態から図5(b)の白抜き反転文字で、「VIEWセレクト」の文字がコラム上ディスプレイ300上の表示部301に表示される。音声により機能確認する場合は、「ビューセレクト」の音声がスピーカ320からアナウンスされる。これらの動作は、操作ボタン104が第1クリック位置に押下操作されると、ステアリングスイッチECU200が内部の記憶部またはCAN、LIN通信を介して表示データまたは音声データを参照して行なわれる。
【0021】
次に、さらに操作ボタン104が押下動作されて、第2クリック位置104cで2段目のスイッチ動作が行なわれる。このスイッチ動作時には、動作確認が行なわれる。図5(c)に示すように、黒文字で、「VIEWセレクト」の文字がコラム上ディスプレイ300上の表示部301に表示される。また、音声により動作確認する場合は、「ピッ」の確認音がスピーカ320から出力される。これらの動作は、操作ボタン104が第2クリック位置104cに押下操作されると、ステアリングスイッチECU200が内部の記憶部またはCAN、LIN通信を介して表示データまたは音声データを参照して行なわれる。
【0022】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、次のような効果を有する。
(1)ステアリングスイッチECU200による割り付け機能により、ステアリングスイッチ100のそれぞれのスイッチ部に種々の実行可能な機能の割り付けを行なうことができるが、割付機能を忘れてしまったときや、設定者と違う人が運転する場合に、操作ボタン104を1段下に押下動作することで、煩わしい行為をすることなく、簡単に割り付けられた機能を確認することができる。
(2)上記の機能確認に続いて1段目まで押下動作することにより、動作確認をすることができる。
(3)ステアリングスイッチ100のそれぞれのスイッチ部は、1段目、2段目のクリック位置が共にメカ式に構成されているので、意図して押下動作することにより、不意に押して表示等することがない。
(4)報知手段として、コラム上ディスプレイ300上の表示部301、あるいは、スピーカ320を使用するので、運転者が容易にステアリングスイッチ100の割付機能の機能確認および動作確認をすることができる。コラム上ディスプレイ300は、ステアリングコラム20に設けられているので、ステアリングスイッチ100に最も近くに位置し、視線移動することなく容易に視認できる。また、スピーカ320による音声報知により、容易に割付機能の機能確認および動作確認をすることができる。
【0023】
尚、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、ステアリングスイッチを有する車両内部の斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるステアリング付近を拡大した拡大図である。
【図3】図3は、ステアリングスイッチの第1クリック位置、および、第2クリック位置を示す図2におけるA−A断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置1の概略ブロック構成図である。
【図5】図5は、ステアリングスイッチ100の押下動作時のコラム上ディスプレイ300上の表示部301の変化を示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…スイッチ装置、10…車両、11…インスツルメントパネル、12…センタークラスタディスプレイ、20…ステアリングコラム、30…ステアリング、31…ステアリングホイール、100…ステアリングスイッチ、101…第1スイッチ部、102…第2スイッチ部、103…第3スイッチ部、104…操作ボタン、104a…OFF状態の位置、104b…第1クリック位置、104c…第2クリック位置、200…ステアリングスイッチECU、201…機能割付部、300…コラム上ディスプレイ、301…表示部、320…スピーカ、400…通信ライン、401…オーディオ機器、402…オートウインドウ装置、403…フューエルリッド開閉装置、404…カーナビゲーション、405…エアコン装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングコラムに回転可能に支持されたステアリングの一部に設けられ、押下動作によりスイッチ動作する第1クリック位置、および、さらに押下されてスイッチ動作する第2クリック位置を有するステアリングスイッチと、
前記ステアリングスイッチの前記第2クリック位置の押下動作による実行可能な機能を割り付ける機能割付部と、
前記第1クリック位置における押下動作時に前記機能割付部により前記ステアリングスイッチに割り付けられた実行可能な機能の内容を報知する報知部と、
を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記ステアリングコラム上に設けられたコラム上ディスプレイに前記実行可能な機能の内容を画像情報として表示することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記実行可能な機能の内容を音声情報としてアナウンスすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−108860(P2010−108860A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281916(P2008−281916)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】