スタフィロコッカス・アウレウスに対して防御免疫応答を誘導するポリペプチド
本発明は、配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むポリペプチド、かかるポリペプチドの使用及びかかるポリペプチドを産生する発現系を特徴とする。配列番号1は完全長S.アウレウスポリペプチドの切断誘導体である。完全長ポリペプチドは、本明細書では完全長「ORF0657n」と称する。配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、S.アウレウスに対して防御免疫応答を生じることが判明した。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる2003年7月24日に出願された米国仮出願第60/489,840号及び2003年11月14日に出願された米国仮出願第60/520,115号の利益を主張するものである。
【0002】
本願を通して引用される参考文献は、本発明の従来技術であることを認めるものではない。
【0003】
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は広範な疾患及び症状の病原体である。S.アウレウスに起因する疾患及び症状の例としては、菌血症、感染性心内膜炎、毛包炎、せつ、よう、膿か疹、水ほう性膿か疹、蜂か織炎、ボトリオミセス症、毒素性ショック症候群、熱傷様皮膚症候群、中枢神経系感染症、感染性及び炎症性眼疾患、骨髄炎(osteomyletitis)並びに関節及び骨の他の感染症、気道感染症などが挙げられる。(The Staphylococci in Human Disease、Crossley and Archer(eds.)、Churchill Livingstone Inc. 1997)。
【0004】
S.アウレウス感染及びS.アウレウスの伝播を抑えるために、免疫学に基づく戦略を使用することができる。免疫学に基づく戦略としては、受動免疫、能動免疫などが挙げられる。受動免疫は、S.アウレウスを標的にした免疫グロブリンを使用する。能動免疫では、S.アウレウスに対する免疫応答が誘導される。
【0005】
S.アウレウスワクチン候補は、S.アウレウス多糖及びポリペプチドを標的にする。ターゲティングは、適切なS.アウレウス多糖又はポリペプチドをワクチン成分として使用して実施することができる。多糖ワクチン成分候補の例としては、S.アウレウス5型及び8型きょう膜多糖が挙げられる。(Shinefield等、N. Eng. J. Med. 346:491〜496、2002)。ワクチン成分候補として使用することができるポリペプチドの例としては、コラーゲン付着因子、フィブリノーゲン結合タンパク質及びクランピング因子が挙げられる。(Mamo等、FEMS Immunology and Medical Microbiology 10:47〜54、1994、Nilsson等、J. Clin. Invest. 101:2640〜2649、1998、Josefsson等、The Journal of Infectious Diseases 184:1572〜1580、2001)。
【0006】
S.アウレウスポリペプチド配列に関する情報は、S.アウレウスゲノムの配列を決定することによって得られた。(Kuroda等、Lancet 357:1225〜1240、2001、Baba等、Lancet 359:1819〜1827、2000、Kunsch他、1997年7月30日に公表された欧州特許公報EP 0 786 519号)。ゲノム配列決定から得られたポリペプチド配列を特徴づけようとしてバイオインフォマティクスがある程度使用された。(Kunsch他、1997年7月30日に公表された欧州特許公報EP 0 786 519号)。
【0007】
潜在的抗原をコードする遺伝子を特定するために、ディスプレイ技術などの技術及び感染者の血清を一部使用することができる。(Foster他、2001年12月27日に公表された国際公開第01/98499号、Meinke他、2002年8月1日に公表された国際公開第02/059148号)。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むポリペプチド、かかるポリペプチドの使用及びかかるポリペプチドを産生する発現系を特徴とする。配列番号1は完全長S.アウレウスポリペプチドの切断誘導体である。完全長ポリペプチドは、本明細書では完全長「ORF0657n」と称する。配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、S.アウレウスに対して防御免疫応答を生じることが判明した。
【0009】
「防御」免疫又は免疫応答という表記は、S.アウレウス感染に対する検出可能な防御レベルを指す。この防御レベルは、本明細書に記載されたモデルなどの動物モデルを用いて評価することができる。
【0010】
したがって、本発明の第1の側面は、配列番号2のアミノ酸609から645で与えられるカルボキシ末端を含まず、S.アウレウスに対して防御免疫を示し、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド免疫原である。配列番号2は、アミノ酸609から645がLPXTGモチーフ(本明細書では「細胞ウェル局在化シグナル(cell well sorting signal)」と称する)で始まるカルボキシ末端ドメインを与える完全長ORF0657nポリペプチドを与える。
【0011】
「免疫原」という表記は、防御免疫をもたらす能力を指す。
【0012】
配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むという表記は、配列番号1に関係する領域が存在し、追加のポリペプチド領域が存在し得ることを指す。追加のポリペプチド領域が存在する場合、このポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸609から645によって示されるカルボキシルLPXTGモチーフを持たない。
【0013】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対する防御免疫をもたらすアミノ酸配列を含む免疫原である。この免疫原は、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列と、カルボキシ末端又はアミノ末端において共有結合した1個以上の追加の領域又は部分とを含み、各領域又は部分は以下の諸性質、すなわち、免疫応答を増強する性質、精製を容易にする性質又はポリペプチドの安定性を高める性質のうち少なくとも1つを有する領域又は部分から独立に選択される。
【0014】
「追加の領域又は部分」という表記は、原核生物、真核生物宿主などの生物宿主において産生されるORF0657n関連ポリペプチドとは異なる領域又は部分を指す。例えば、追加の領域又は部分は、追加のポリペプチド領域又は非ポリペプチド領域とすることができる。
【0015】
本発明の別の側面は、患者においてS.アウレウスに対する防御免疫を誘導することができる組成物である。この組成物は、薬剤として許容される担体と、S.アウレウスに対する防御免疫をもたらす免疫原の免疫学的有効量とを含む。
【0016】
免疫学的有効量は、S.アウレウス感染に対する防御免疫をもたらすのに十分な量である。この量は、S.アウレウス感染の可能性又は重症度を有意に抑制するのに十分な量とすべきである。
【0017】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む核酸である。組換え遺伝子は、適切な転写及びプロセシングのための調節要素(翻訳要素及び翻訳後要素を含むことができる)と一緒にポリペプチドをコードする組換え核酸を含む。組換え遺伝子は、宿主ゲノムとは無関係に存在することができ、又は宿主ゲノムの一部とすることができる。
【0018】
組換え核酸は、その配列及び/又は形態のために天然には存在しない核酸である。組換え核酸の例としては、精製核酸、天然に存在するのとは異なる核酸を与える結合された2個以上の核酸領域、及び本来相互に関連する1個以上の核酸領域(例えば、上流又は下流領域)の欠如が挙げられる。
【0019】
本発明の別の側面は組換え細胞である。この細胞は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む。
【0020】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドを製造する方法である。この方法は、このポリペプチドをコードする組換え核酸を含む組換え細胞を増殖させるステップと、このポリペプチドを精製するステップとを含む。
【0021】
本発明の別の側面は、このポリペプチドをコードする組換え核酸を含む組換え細胞を宿主中で増殖させるステップとこのポリペプチドを精製するステップとを含むプロセスによって製造された、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドである。異なる宿主細胞を使用することができる。本発明の一実施態様においては、宿主細胞は酵母細胞である。
【0022】
本発明の別の側面は、患者においてS.アウレウスに対する防御免疫応答を誘導する方法である。この方法は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらす免疫原の免疫学的有効量を患者に投与するステップを含む。
【0023】
本発明の別の側面は、患者において既往反応を誘導する方法である。この方法は、既往反応をもたらす免疫原の有効量を患者に投与するステップを含む。
【0024】
本発明の別の側面は、酵母における発現に対して最適化されたORF0657n関連ポリペプチドをコードする核酸である。酵母発現に対して1個以上のコドンが最適化される。
【0025】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対する防御免疫をもたらすポリペプチドを組換え酵母細胞中で製造する方法である。この方法は、
(a)前記ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む組換え酵母細胞を前記ポリペプチドが発現される条件下で増殖させるステップ(前記ポリペプチドはS.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらす完全長ORF0657n関連ポリペプチド、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片である。)と、および
(b)このポリペプチドを精製するステップと
を含む。
【0026】
特定の用語が相容れない場合を除き、「又は」という表記は一方又は両方の可能性を示す。「及び/又は」などの句は、一方又は両方の可能性を強調するために使用されることがある。
【0027】
「含む」などの非制限的用語の表記では、要素又はステップを追加することができる。「1個以上」などの句は、追加の要素又はステップの可能性を強調するために、非制限的用語と一緒に、又は非制限的用語と別に使用されることがある。
【0028】
「a」又は「an」などの用語の表記は、特に明示しない限り1に限定されない。例えば、「細胞(a cell)」は「複数の細胞(cells)」を排除しない。1個以上などの句は、複数の存在を強調するために使用される。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、様々な実施例を含めて本明細書のさらなる説明から明らかである。記載された実施例は、本発明の実施に有用な様々な成分及び方法を説明するものである。実施例は、請求する本発明を限定するものではない。当業者は、本開示に基づいて、本発明の実施に有用な他の成分及び方法を確認し、使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
完全長を含むORF0657n関連ポリペプチド、及びORF0657nI領域を含むそれよりも短い誘導体は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすことが動物モデルを用いて見出された。図1aに、S.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらす様々なORF0657n関連ポリペプチド領域、及び防御免疫をもたらさなかった領域の位置を示す。図1aにおいて、ORF0657nは配列番号2に対応する完全長配列を指し、ORF0657nIは(アミノ末端メチオニンを含まない)配列番号1に対応する領域を指し、ORF0657nHは(アミノ末端メチオニンを含まない)配列番号3に対応する領域を指す。
【0031】
ORF0657n「関連」ポリペプチドは、完全長ORF0657n又はその断片に構造的に関係する領域を含む。ORF0657n関連ポリペプチドは、天然ORFO657nの対応領域と少なくとも約90%の配列が同一であるポリペプチドである。図1におけるORF0657nとは、S.アウレウスCOL由来のORF0657n(配列番号2)に対応する。
【0032】
基準配列に対する同一割合は、ポリペプチド配列を基準配列と整列させ、同一アミノ酸数を求めることによって決定される。この数は、基準配列のアミノ酸総数で除算され、次いで100を掛け、最も近い整数に四捨五入される。
【0033】
図1aは、配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むコア領域の重要性を説明するのに役立つ。配列番号1はORF0657n COLのアミノ酸42から486を含む。配列番号1は、発現を促進するアミノ末端メチオニンも含む。配列番号2アミノ酸461から609、アミノ酸82から486又はアミノ酸42から196からなるポリペプチド断片は防御性ではなかった。
【0034】
本願を通して様々なアミノ酸及び核酸配列が参照される。表1は、図1の領域を示すポリペプチド配列の一部及び追加の修飾をまとめたものである。表2は核酸配列の一部をまとめたものである。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
配列番号1関連ポリペプチド
配列番号1に構造的に関係するポリペプチド領域は、配列番号1と少なくとも90%が同一であるアミノ酸を含む。配列番号1に構造的に関係する領域を含むポリペプチドは、本明細書の指針に基づいてS.アウレウスに対するポリペプチド防御が得られるように設計することができる。
【0038】
配列番号1を基準のフレームとして用いて、異なる天然ORF0657nポリペプチドのアミノ酸配列、及びアミノ酸の公知の諸性質を考慮して変更を加えることができる。変更としては、1個以上のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換などが挙げられる。特定のポリペプチドの防御免疫をもたらす能力を確認するために、本明細書に記載された技術を用いて様々な変更の全体的効果を評価することができる。
【0039】
ORF0657nは、病理学的及び分類学的に多様なS.アウレウス臨床分離株のコレクション全体にわたって十分に保存されていることが判明した。(下記実施例5参照)。図2は、配列番号1を含む様々な配列のアミノ酸配列比較である。示された配列比較は、ORF0657nH領域に対するものである。ORF0657nH領域はより小さな防御ORF0657nI領域を含む。
【0040】
図2は配列番号1および3から27の配列比較である。この比較は、配列番号1、3などのS.アウレウス関連ポリペプチドに対する変更候補の設計を導くために使用することができるS.アウレウス臨床分離株間のアミノ酸の違いを示すものである。また、変更は、アミノ酸の公知の諸性質を考慮して行うことができる。配列番号1、3から6及び8から26は、位置番号3から始まる天然の配列を示し、位置番号1及び2は、いくつかの配列のアミノ末端へのメチオニン又はメチオニン−グリシンの付加を示す。配列番号11から26は異なる臨床分離株から得られた。配列番号7及び27は、配列番号1のコア領域の外側の領域に5個のアミノ酸置換を含む配列番号4 ORF0657nH領域の変異体である。
【0041】
追加のORF0657n配列は、変更を導くのに役立てるための配列比較に使用することができる。追加のS.アウレウスORF0657nH領域配列の例は配列番号54から63によって与えられ、配列番号17及び20の完全長配列は配列番号106及び107によって与えられる。
【0042】
一般に、異なるアミノ酸を置換して活性を維持するためには、諸性質が類似したアミノ酸を交換することが好ましい。アミノ酸置換で考慮することができる要因としては、アミノ酸サイズ、電荷、極性、疎水性などが挙げられる。アミノ酸の諸性質に対する異なるアミノ酸R基の効果は当分野で周知である。(例えば、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜2002、Appendix 1Cを参照されたい)。
【0043】
アミノ酸を交換して活性を維持するためには、置換アミノ酸は、ほぼ同じ電荷及び/又はサイズ及び/又は極性及び/又は疎水性などの1つ以上の類似の諸性質を有するべきである。例えば、ロイシンをバリンで、リジンをアルギニンで、グルタミンをアスパラギンで置換することは、ポリペプチド機能を変化させない良好な候補である。
【0044】
特定の目的を達成する変更としては、ポリペプチドの産生又は効力を高めるように設計された変更、コードされた核酸のクローニングなどが挙げられる。ポリペプチド産生は、組換え発現に適切な(例えば、メチオニンをコードする)開始コドンを使用することによって促進することができる。メチオニンは、後で細胞のプロセシング中に除去することができる。クローニングは、例えば、アミノ酸付加又は変化に付随し得る制限酵素切断部位の導入によって促進することができる。
【0045】
免疫応答を誘導するポリペプチドの効力は、エピトープの増強によって高めることができる。エピトープの増強は、MHC分子に対するペプチド親和性を改善するアンカー残基の変更を含む技術、T細胞受容体に対するペプチド−MHC複合体の親和性を増大させる技術などの異なる技術を用いて実施することができる。(Berzofsky等、Nature Review 1:209〜219、2001)。
【0046】
異なる実施態様においては、配列番号1関連ポリペプチド領域に関して、該領域は、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも94%又は少なくとも99%が同一であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25の変更又は最大50の変更によって配列番号1と異なり、或いは
配列番号11、15、16、18又は54のアミノ酸1から442、
配列番号63のアミノ酸1から443、
配列番号57又は59のアミノ酸1から444、
配列番号7、8、9、10、12、13、14、17、19、20、55、56又は58のアミノ酸1から445、
配列番号23又は24のアミノ酸1から446、
配列番号1又は3のアミノ酸1から446又は2から446、
配列番号25又は26のアミノ酸1から447、或いは
配列番号4、5又は27のアミノ酸1から447、2から447又は3から447、
配列番号61又は62のアミノ酸1から449、
配列番号60のアミノ酸1から453、及び
配列番号6、21又は22のアミノ酸1から454
からなる群から選択されるOFR0657nI関連領域から本質的になる又は該OFR0657nI関連領域からなる。
【0047】
示されたアミノ酸から「本質的になる」という表記は、示されたアミノ酸が存在し、追加のアミノ酸が存在してもよいことを示す。追加のアミノ酸は、カルボキシル又はアミノ末端位とすることができる。異なる実施態様においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の追加のアミノ酸が存在する。好ましい実施態様においては、メチオニンがアミノ末端に存在し、又はメチオニン−グリシンがアミノ末端に存在する。
【0048】
本発明の実施態様において、このポリペプチドは、配列番号42と少なくとも90%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むその断片からなる。異なる実施態様において、配列番号42に関して、このポリペプチドは、配列番号42と少なくとも94%又は少なくとも99%同一であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25の変更、最大50の変更、或いは最大65の変更によって配列番号42と異なり、配列番号42又は
配列番号11、15、16、18若しくは54のアミノ酸1から477、
配列番号63のアミノ酸1から478、
配列番号57若しくは59のアミノ酸1から479、
配列番号7、8、9、10、12、13、14、17、19、20、55、56若しくは58のアミノ酸1から480、
配列番号23若しくは24のアミノ酸1から481、
配列番号1若しくは3のアミノ酸1から481若しくは2から481、
配列番号25若しくは26のアミノ酸1から482、
配列番号4、5若しくは27のアミノ酸1から482、2から482若しくは3から482、
配列番号61若しくは62のアミノ酸1から484、
配列番号60のアミノ酸1から488、及び
配列番号6、21若しくは22のアミノ酸1から489
からなる群から選択されるOFR0657nI+関連領域から本質的になる或いは配列番号42又は該OFR0657nI+関連領域からなる。
【0049】
本発明の別の実施態様において、このポリペプチドは、配列番号3と少なくとも90%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むその断片からなる。異なる実施態様においては、配列番号3に関して、このポリペプチドは、配列番号3と少なくとも94%若しくは少なくとも99%同一であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25の変更、最大50の変更又は最大65の変更によって配列番号3と異なり、或いは配列番号3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、54、55、56、57、58、59、60、61、62及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる又は該アミノ酸配列から本質的になる。
【0050】
さらに別の実施態様において、このポリペプチドは、最初のメチオニンの後にグリシンが挿入されて修飾された配列番号2のポリペプチドからなる又は該ポリペプチドから本質的になり、或いは最初のメチオニンを含まないかかるポリペプチドからなる又は該ポリペプチドから本質的になる。
【0051】
さらに別の実施態様において、このポリペプチドは精製ポリペプチドである。「精製ポリペプチド」は、それに天然に付随する1個以上の他のポリペプチドを欠く環境中に存在し、および/又は存在する総タンパク質量の少なくとも約10%に相当する。異なる実施態様において、精製ポリペプチドは、試料又は調製物中の総タンパク質量の少なくとも約50%、少なくとも約75%又は少なくとも約95%である。
【0052】
さらに別の実施態様において、このポリペプチドは「実質的に精製されている」。実質的に精製されたポリペプチドは、このポリペプチドに天然に付随するすべて又は大部分の他のポリペプチドを欠く環境中に存在する。例えば、実質的に精製されたS.アウレウスポリペプチドは、すべて又は大部分の他のS.アウレウスポリペプチドを欠く環境中に存在する。環境は、例えば、試料又は調製物とすることができる。
【0053】
「精製された」又は「実質的に精製された」という表記は、ポリペプチドが精製にかけられる必要はなく、例えば、精製されていない化学合成ポリペプチドを含むことができる。
【0054】
ポリペプチドの安定性は、ポリペプチドカルボキシル又はアミノ末端を修飾することによって高めることができる。可能な修飾の例としては、アセチル、プロピル、スクシニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニルなどのアミノ末端保護基、及びアミド、メチルアミド、エチルアミドなどのカルボキシ末端保護基が挙げられる。
【0055】
本発明の実施態様において、防御ポリペプチドは、ポリペプチドと、カルボキシ末端又はアミノ末端においてポリペプチドに共有結合した1個以上の追加の領域又は部分とからなる免疫原の一部である。各領域又は部分は、以下の諸性質、免疫応答を増強する性質、精製を容易にする性質又はポリペプチドの安定性を高める性質、の少なくとも1つを有する領域又は部分から独立に選択されるべきである。このポリペプチドの安定性は、例えば、アミノ又はカルボキシ末端上に存在することができるポリエチレングリコールなどの基を用いて高めることができる。
【0056】
ポリペプチドの精製は、精製を容易にする基をカルボキシル又はアミノ末端に付加することによって強化することができる。精製を容易にするために使用することができる基の例としては、親和性タグを与えるポリペプチドが挙げられる。親和性タグの例としては、6−ヒスチジンタグ、trpE、グルタチオン及びマルトース結合タンパク質が挙げられる。
【0057】
ポリペプチドの免疫応答生成能力は、免疫応答を一般に高める基を用いて増強することができる。ポリペプチドに対する免疫応答を高めるためにポリペプチドに結合させることができる基の例としては、IL−2などのサイトカインが挙げられる。(Buchan等、2000. Molecular Immunology 37:545〜552)。
【0058】
ポリペプチド製造
ポリペプチドは、化学合成を含む標準技術及びポリペプチドを産生する細胞からの精製を含む標準技術を含めた標準技術を用いて製造することができる。ポリペプチドの化学合成技術は当分野で周知である(例えば、Vincent、Peptide and Protein Drug Delivery、New York、N.Y.,Dekker、1990を参照されたい)。
【0059】
細胞からのポリペプチド精製技術を以下の実施例に示す。精製技術の別の例は当分野で周知である。(例えば、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜2002を参照されたい)。
【0060】
細胞からのポリペプチドの取得は、ポリペプチドを生産する組換え核酸技術を用いて促進される。ポリペプチドを生産する組換え核酸技術は、ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を細胞中に導入し又は細胞中で生産し、ポリペプチドを発現させることを含む。
【0061】
組換え遺伝子は、ポリペプチド発現の調節要素と一緒にポリペプチドをコードする核酸を含む。組換え遺伝子は細胞ゲノム中に存在することができ、又は発現ベクターの一部とすることができる。
【0062】
組換え遺伝子の一部として存在し得る調節要素としては、ポリペプチドコード配列に天然に付随する調節要素、ポリペプチドコード配列に天然には付随しない外来性調節要素などがある。外来性プロモーターなどの外来性調節要素は、特定の宿主において組換え遺伝子を発現させるのに有用であり得、又は発現レベルを増加させるのに有用でがあり得る。一般に、組換え遺伝子中に存在する調節要素としては、転写プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーターなどが挙げられ、場合によってはオペレーターが存在してもよい。真核細胞におけるプロセシングに好ましい要素はポリアデニレーションシグナルである。
【0063】
組換え遺伝子の細胞中での発現は、発現ベクターを使用することによって促進される。組換え遺伝子に加えて発現ベクターは、宿主細胞において自己複製するための複製開始点、選択マーカー、限定数の有用な制限酵素部位及び高複製能力も含むことが好ましい。発現ベクターの例は、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特異的に設計されたプラスミド及びウイルスなどである。
【0064】
遺伝コードの縮重のために、多数の異なるコード核酸配列を使用して特定のポリペプチドをコードすることができる。遺伝コードの縮重は、ほぼすべてのアミノ酸が3個のヌクレオチド、すなわち「コドン」の異なる組み合わせによってコードされているために発生する。アミノ酸は、コドンによって以下のとおりコードされる。
【0065】
A=Ala=アラニン:コドンGCA、GCC、GCG、GCU
C=Cys=システイン:コドンUGC、UGU
D=Asp=アスパラギン酸:コドンGAC、GAU
E=Glu=グルタミン酸:コドンGAA、GAG
F=Phe=フェニルアラニン:コドンUUC、UUU
G=Gly=グリシン:コドンGGA、GGC、GGG、GGU
H=His=ヒスチジン:コドンCAC、CAU
I=Ile=イソロイシン:コドンAUA、AUC、AUU
K=Lys=リジン:コドンAAA、AAG
L=Leu=ロイシン:コドンUUA、UUG、CUA、CUC、CUG、CUU
M=Met=メチオニン:コドンAUG
N=Asn=アスパラギン:コドンAAC、AAU
P=Pro=プロリン:コドンCCA、CCC、CCG、CCU
Q=Gln=グルタミン:コドンCAA、CAG
R=Arg=アルギニン:コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、CGU
S=Ser=セリン:コドンAGC、AGU、UCA、UCC、UCG、UCU
T=Thr=トレオニン:コドンACA、ACC、ACG、ACU
V=Val=バリン:コドンGUA、GUC、GUG、GUU
W=Trp=トリプトファン:コドンUGG
Y=Tyr=チロシン:コドンUAC、UAU
【0066】
ORF0657n関連ポリペプチドの組換え核酸発現に適切な細胞は原核生物及び真核生物である。原核細胞の例としては、E.コリ(E.coli)、S.アウレウス(S.aureus)などのスタフィロコッカス(Staphylococcus)属のメンバー、L.プランタルム(L.plantarum)などのラクトバチルス(Lactobacillus)属のメンバー、L.ラクティス(L.lactis)などのラクトコッカス(Lactococcus)属のメンバー及びB.サブチリス(B.subtilis)などのバチルス(Bacillus)属のメンバーが挙げられる。真核細胞の例としては、哺乳動物細胞、昆虫細胞、サッカロミセス(Saccharomyces)属のメンバー(例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、ピキア(Pichia)属のメンバー(例えば、P.パストリス(P.pastoris))、ハンゼヌラ(hansenula)属のメンバー(例えば、H.ポリモルファ(H.polymorpha))、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属のメンバー(例えば、K.ラクティス(K.lactis)又はK.フラギリス(K.fragilis))及びシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属のメンバー(例えば、S.ポンベ(S.pombe))などの酵母細胞が挙げられる。
【0067】
組換え遺伝子製造技術、細胞への導入及び組換え遺伝子発現は当分野で周知である。かかる技術の例は、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜2002、Sambrook等、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、2nd Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989などの参考文献にある。
【0068】
特定の宿主における発現は、必要に応じて、コドンを最適化することによって促進することができる。コドンの最適化は、より好ましいコドンの使用を含む。様々な宿主におけるコドン最適化技術が当分野で周知である。
【0069】
ORF0657n関連ポリペプチドは翻訳後修飾、例えば、N−結合型グリコシル化、O−結合型グリコシル化又はアセチル化を含むことができる。「ポリペプチド」又はポリペプチドの「アミノ酸」配列という表記は、哺乳動物、昆虫又は酵母宿主細胞などの宿主細胞由来の、翻訳後修飾構造を有する1個以上のアミノ酸を含むポリペプチドも含む。
【0070】
翻訳後修飾は、化学的に又は適切な宿主を利用して行うことができる。例えば、S.セレビシエにおいては、最後から2番目のアミノ酸の性質によってN末端メチオニンが除去されるかどうかが決まると考えられる。また、最後から2番目のアミノ酸の性質によって、N末端のアミノ酸がNα−アセチル化されるかどうかも決まる(Huang等、Biochemistry 26:8242〜8246、1987)。別の例としては、分泌性リーダー(例えば、シグナルペプチド)が存在するために分泌の標的となる、N−結合型又はO−結合型グリコシル化によって修飾されたポリペプチドが挙げられる。(Kukuruzinska等、Ann. Rev. Biochem. 56:915〜944、1987)。
【0071】
酵母発現
ORF0657n関連ポリペプチドは、酵母発現に対して最適化されたコドンを含むコード核酸を用いて好ましくは酵母中で発現される。酵母中での発現は、ORF0657n関連ポリペプチドと酵母発現の調節領域とをコードする組換え遺伝子を用いて実施することができる。使用される発現系に応じて、産生されるタンパク質は細胞内に残留することができ、又は細胞外に排出することができる。
【0072】
組換え遺伝子発現用プロモーターは、酵母ガラクトース遺伝子クラスター由来のプロモーター(GAL1、GAL7、GAL1O、MEL1などのGALプロモーター)、酸性ホスファターゼPH05プロモーター、アルコール脱水素酵素II ADH2プロモーター、銅によって調節されるメタロチオネインCUP1プロモーターなどの誘導性プロモーターであることが好ましい。使用することができる「構成」プロモーターの例は、GAP(TDH)、PGK又はTP1プロモーターである。(Romanos等、YEAST 8:423〜488、1992)。
【0073】
組換え発現に使用される酵母宿主細胞は、組換え遺伝子発現を容易にするように選択又は操作することができる。mnn9、prb1及び/又はpep4変異などの変異が一般に望ましい。GALプロモーターからの発現を増加させるために、GAL4転写因子の過剰発現を実施することができる(Hopper他、米国特許第5,068,185号)。
【0074】
特定の宿主に対するコドン最適化は、低使用レベル又は中程度の使用レベルのコドンを高発現レベルのコドンと置換することによって実施される。コード配列中に存在する最適なコドンの割合は変わり得る。異なる実施態様においては、(最初に存在したコドン及び導入されたコドンを含めて)最適なコドンの数は、コドン総数の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも95%又は100%である。
【0075】
コドン最適化は以下のとおり実施することができる。
1. 特定のコドンについて、酵母遺伝子による全体的コドン使用頻度と野生型コドンの頻度を比較する。
2. コドンが、酵母によって一般に使用されるコドンの1つではない場合には、それを酵母細胞における高発現に最適なコドンと置換する。
3. 所望のコドン最適化レベルに達するまで、異なるコドンに対してステップ(1)と(2)を繰り返す。
4. 望ましくない制限酵素部位、スプライス部位、プロモーター、望ましくないパリンドローム構造又は反復配列、転写ターミネーター配列、高頻度のGC塩基対などの生成される望ましくない配列について新しいコード配列を検査する。代替コドンを用いて望ましくない配列を除去する。
【0076】
代替コドンの使用は、Lathe、J. Molec. Biol.、183:1〜12、1985に記載されている。様々な酵母宿主におけるコドンの使用は当分野で周知である。例えば、Sharp等、Yeast 7:657〜678、1991は、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における同義コドンの使用を記載している。
【0077】
図8Cから8Mに酵母最適化核酸配列を示す。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、メチオニンアミノ末端を含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34から41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【0078】
酵母発現は、最適化配列、及び酵母発現に対して最適化されていない配列(例えば、配列番号29のヌクレオチド1から1935又は124から1458或いは配列番号30のヌクレオチド1から1710)を用いて実施することができる。最適化配列及び非最適化配列を用いた酵母発現技術を下記実施例に示す。
【0079】
ORF0657nは、保存「LPXTG」モチーフを有する36アミノ酸C末端細胞壁局在化シグナルを含む表面タンパク質である。(Schneedwind等 1993、EMBO、12:4803〜4811、1993)。細胞壁局在化シグナルを含むタンパク質は、膜結合性タンパク質sortaseによって触媒されるペプチド転移機構によって細胞壁エンベロープに連結される(Mazmanian等、Science 299:906〜909、2001)。連結するためには、表面タンパク質は、分泌性経路に搬出するためのN末端シグナルペプチドも含まなければならない。分泌性経路においては、シグナルペプチドが除去され、細胞壁局在化シグナルによって分泌性経路中に保持することが容易になる。次いで、Sortaseは、LPXTGモチーフのトレオニンとグリシンを切断し、トレオニンのカルボキシル基とペプチドグリカン架橋のアミノ基とのアミド結合の形成を触媒する。
【0080】
酵母中の発現は、細胞壁局在化配列(cell wall sorting sequence)を除去することによってかなり増加することが見出された。異なる実施態様においては、ポリペプチドをコードする構築体は機能的細胞壁局在化コード配列を欠き、より好ましくは機能的細胞壁局在化及びシグナルペプチドコード配列を欠く。対応する好ましいORF0657n関連ポリペプチドは、機能的細胞壁局在化配列、又は細胞壁局在化配列とシグナルペプチド配列の両方を欠く。
【0081】
異なる実施態様においては、細胞壁局在化配列又は細胞壁局在化配列とシグナルペプチド配列の両方の少なくとも実質的にすべてが、ポリペプチド又はポリペプチドをコードする核酸中に存在することはない。異なる実施態様においては、タンパク質発現は、細胞壁局在化配列又は細胞壁局在化配列とシグナルペプチド配列の両方の少なくとも実質的にすべてを除去することによって、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍又は少なくとも約20倍増加する。より好ましくは、コード用構築体は、酵母(例えば、S.セレビシエ)発現に最適化された1個以上のコドンも含む。
【0082】
ORF0657n細胞壁局在化及びシグナルペプチド配列に近い領域の例を配列番号2に関して説明することができる。アミノ酸1から42はシグナルペプチド配列を含む。アミノ酸609から645は細胞壁局在化配列を含む。
【0083】
アジュバント
アジュバントは、免疫原が免疫応答を生じるのを補助することができる物質である。アジュバントは、抗原の生物学的又は免疫学的半減期の増加、抗原提示細胞への抗原送達の向上、抗原プロセシングの向上及び抗原提示細胞による提示、並びに免疫調節性サイトカインの産生誘導の1つ以上などの異なる機序によって機能することができる。(Vogel、Clinical Infectious Diseases 30(suppl. 3):S266〜270、2000)。
【0084】
様々な異なるタイプのアジュバントを使用して免疫応答の生成を補助することができる。特定のアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム又は他のアルミニウム塩、リン酸カルシウム、DNA CpGモチーフ、モノホスホリル脂質A、コレラ毒素、E.コリ熱不安定性毒素、百日咳毒素、ムラミルジペプチド、フロイント不完全アジュバント、MF59、SAF、免疫賦活性複合体、リポソーム、生分解性ミクロスフェア、サポニン、非イオン性ブロック共重合体、ムラミルペプチドアナログ、ポリホスファゼン、合成ポリヌクレオチド、IFN−γ、IL−2、IL−12及びISCOMSが挙げられる。(Vogel Clinical Infectious Diseases 30(suppl 3):S266〜270、2000、Klein等、Journal of Pharmaceutical Sciences 89:311〜321、2000、Rimmelzwaan等、Vaccine 19:1180〜1187、2001、Kersten Vaccine 21:915〜920、2003、O’Hagen Curr. Drug Target Infect. Disord.、1:273〜286、2001)。
【0085】
防御免疫を誘導するための患者
「患者」とは、S.アウレウスに感染し得る哺乳動物を指す。患者は、予防又は治療上の処置を受けることができる。予防的治療によって、S.アウレウス感染の可能性又は重症度を抑制するのに十分な防御免疫が得られる。治療上の処置は、S.アウレウス感染の重症度を軽減するために実施することができる。
【0086】
予防的治療は、本明細書に記載された免疫原を含むワクチンを用いて実施することができる。かかる治療は好ましくはヒトに対して実施される。ワクチンは一般の人又はS.アウレウス感染のリスクが高い人に投与することができる。
【0087】
アウレウス感染のリスクが高い人としては、医療従事者、病院患者、免疫系の低下した患者、手術中の患者、カテーテル、血管装置などの異物移植片を受けた患者、免疫低下をもたらす治療を受けた患者、火傷又は創傷患者、火傷又は創傷のリスクが高い職業の人などが挙げられる。(The Staphylococci in Human Disease、Crossley and Archer(ed.)、Churchill Livingstone Inc. 1997)。
【0088】
S.アウレウスに感染し得る非ヒト患者としては、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスなどが挙げられる。非ヒト患者の治療はペット及び家畜の保護並びに特定の治療の効力の評価に有用である。
【0089】
既往反応
ORF0657n関連ポリペプチドは、アカゲザルにおいて単回投与後に迅速で有効な免疫応答を生じることが見出された。(下記実施例17参照)。観察された応答は既往反応と一致した。
【0090】
既往反応の発生は、単回投与によって有効な免疫をもたらすことができ、短期間で有効な免疫をもたらすなどの大きな利点がある。異なる実施態様においては、既往反応によって相乗平均力価が既存の力価の少なくとも3倍、少なくとも5倍又は少なくとも6倍増加し、この増加は3、5、7、9、14又は21日以内に生じる。
【0091】
有効な免疫応答を素早く生じることができることによって、複数回投与ワクチン接種よりも費用を節約し、S.アウレウス感染のリスクが高い患者のワクチン接種に使用することができる。アウレウス感染のリスクが高い人としては、医療従事者、病院患者、免疫系の低下した患者、手術中の患者、カテーテル、血管装置などの異物移植片を受けた患者、免疫低下をもたらす治療を受けた患者、火傷又は創傷患者、火傷又は創傷のリスクが高い職業の人などが挙げられる。(The Staphylococci in Human Disease、Crossley and Archer(eds.)、Churchill Livingstone Inc. 1997)。異なる実施態様においては、患者は、医療処置直後或いは3、5、7、9、14又は21日以内にワクチン接種される。
【0092】
混合ワクチン
防御免疫を与えるORF0657n関連ポリペプチドは、単体で使用し又は他の免疫原と併用して免疫応答を誘導することができる。使用することができる追加の免疫原としては、上記発明の背景に記載のものなどの1個以上の追加のS.アウレウス免疫原、S.エピデルミディス(S.epidermidis)、S.ヘモリティカス(S.haemolyticus)、S.ワーネリ(S.warneri)、S.ルグネンシス(S.lugunensis)などの1個以上の他のスタフィロコッカス(Staphylococcus)生物を標的とする1個以上の免疫原、他の感染性生物を標的とする1個以上の免疫原などが挙げられる。
【0093】
動物モデル系
動物モデル系を用いて、S.アウレウスに対する防御免疫応答を生じるポリペプチドの効力を評価した。防御動物モデルを設定する際に遭遇した2つの障害は、(1)自然免疫に打ち勝つために必要な投与量が極めて多いこと、及び(2)死亡速度が速すぎて防御応答を検出できないことであった。具体的には、マウスは細菌投与後24時間以内に感染のために死亡し、感染を分析するための具体的な免疫応答には時間が短かった。用量を減少させると、対照と免疫マウスの両方が感染から生き延びた。
【0094】
これらの障害は、定常期の細胞から調製され、適切に力価が設定され、静脈内投与されたS.アウレウスを含む速度の遅い致死モデルを用いることによって対処された。死亡速度が遅いことによって、細菌感染を撃退する具体的な免疫防御に十分な時間(例えば、24時間ではなく10日)が得られる。
【0095】
定常期のS.アウレウス細胞は、固体培地上で増殖された細胞から得ることができる。これは液体からも得ることができるが、固体培地上で増殖された細胞の結果はより再現性があった。細胞は、好都合には、固体培地上で終夜増殖させることができる。例えば、S.アウレウスは、倍加時間が約20分から30分という条件下で約18から24時間増殖させることができる。
【0096】
スタフィロコッカスは、スタフィロコッカスの能力を維持する標準技術を用いて固体培地又は液体培地から単離することができる。単離されたスタフィロコッカスは、例えば、グリセリンを含むリン酸緩衝食塩水中の洗浄された高密度懸濁液(>109コロニー形成単位(CFU)/mL)として−70℃で保存することができる。
【0097】
スタフィロコッカス投与は、動物モデルにおいて第1日又は第2日から始まり約7日から10日の期間にわたって約80%から90%の死亡をもたらす効力を有するべきである。滴定実験は、保存されたスタフィロコッカス接種材料の効力をモニターするために動物モデルを用いて実施することができる。力価測定実験は、接種実験の約1から2週間前に実施することができる。
【0098】
力価測定実験の最初の力価は以前の実験をもとにすることができる。動物モデル系統がBeckerの場合、適切なS.アウレウス投与量は一般に5×108から8×108CFU/mLであった。
【0099】
投与
免疫原は、当分野で周知の技術と一緒に本明細書の指針を用いて処方し、患者に投与することができる。薬剤投与指針は、一般に、例えば、Vaccines Eds. Plotkin and Orenstein、W.B. Sanders Company、1999;Remington’s Pharmaceutical Sciences 20th Edition、Ed. Gennaro、Mack Publishing、2000;及びModern Pharmaceutics 2nd Edition、Eds. Banker and Rhodes、Marcel Dekker,Inc.、1990に記載されている。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
薬剤として許容される担体は、保存及び免疫原の患者への投与を容易にする。薬剤として許容される担体は、緩衝剤、注射用滅菌水、等張食塩水又はリン酸緩衝食塩水、スクロース、ヒスチジン、塩、ポリソルベートなどの異なる成分を含むことができる。
【0101】
免疫原は皮下、筋肉内、粘膜などの異なる経路によって投与することができる。皮下及び筋肉内投与は、例えば、針又は噴射式注射器を用いて実施することができる。
【0102】
適切な投薬計画は、患者の年齢、体重、性別及び健康状態、投与経路、所望の効果並びに使用される特定の化合物を含めて当分野で周知の要因を考慮して好ましくは決定される。免疫原は、複数回投与ワクチン形式で使用することができる。1回分は全ポリペプチド1.0μgから1.0mgからなると予想される。本発明の異なる実施態様においては、この範囲は0.01mgから1.0mg及び0.1mgから1.0mgである。
【0103】
投与のタイミングは当分野で周知の要因によって決まる。最初の投与後、特定の個体に必要な場合には、続いて抗体価を維持又は増大させるために1回以上の追加量を投与することができる。投薬計画の例は、1日目、1ヶ月、4、6又は12ヶ月での第3の用量、及び必要に応じ久しく隔たった時間でのさらなる追加量である。
【0104】
抗体の産生
防御免疫を誘導することができるORF0657関連ポリペプチドは、ポリペプチド又はS.アウレウスに結合する抗体及び抗体断片を産生するために使用することができる。かかる抗体及び抗体断片は、ポリペプチド精製、S.アウレウスの識別、或いはS.アウレウス感染に対する治療処置又は予防的治療における使用を含めて様々な用途を有する。
【0105】
抗体はポリクローナル又はモノクローナルとすることができる。抗体を産生し使用する技術は当分野で周知である。かかる技術の例は、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜1998、Har1ow等、Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988及びKohler等、Nature 256:495〜497、1975に記載されている。
【0106】
(実施例)
本発明の様々な特徴をさらに説明する実施例を以下に示す。これらの実施例は、本発明を実施するために有用な方法も説明する。これらの実施例は、請求する本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0107】
防御免疫をもたらすORF0657n領域の使用
この実施例は、防御免疫をもたらす完全長ORF0657n領域の能力を示す。
ORF0657nクローニング及び発現
PCRプライマーは、第1のアスパラギン残基で始まり末端アスパラギン残基の終止コドン前で終わるORF0657nをコードする遺伝子を増幅するように設計された。これらのPCRプライマーは、発現ベクターへのクローニングを容易にする追加のNcoI(順方向プライマー)及びXhoI(逆方向プライマー)部位も有した。
【0108】
コードされたタンパク質は、末端His残基とベクターによってコードされる終止コドンとを有するpET28ベクターから発現されるように設計された。また、グリシン残基をタンパク質の開始メチオニンの後に添加した。生成した増幅DNA配列はカルボキシルHisタグORF0657n(配列番号28)をコードする。
【0109】
PCR増幅配列は、PCRプライマー中に操作されE.コリDH5α(Invitrogen)中に熱ショックによって導入されたNcoI/XhoI部位を用いてpET28ベクター(Novagen)に連結された。形質転換混合物は、100μg/mLカナマイシンを含むLuria−Bertani(LB)寒天板上で37℃で終夜増殖された。コロニーが選択され、30μg/mLカナマイシンを含むLB中で増殖され、DNAミニプレップが作製され(Promega)、挿入の完全性が制限消化及びPCRによって求められた。正確な挿入サイズの4個のミニプレップを、プライマーM13F(配列番号65)、M13R(配列番号66)、ORF0657nF(配列番号67)及びORF0657nR(配列番号68)を用いて配列決定した。所望の配列からのDNA変化を含まないクローンを選択した。
【0110】
E.コリHMS174(DE3)細胞(Novagen)を形質転換し、カナマイシン(30μg/mL)を含むLBプレート上で増殖させ、発現試験用に3つのコロニー(UnkC−1、UnkC−2及びUnkC−3)を選択した。液体LB(カナマイシン)培養物をA600が0.6から1.0になるまで37℃、250rpmでインキュベートし、次いで、IPTGを最終濃度1mMまで追加することによって誘導し、続いてさらに3時間インキュベートした。4℃で5000×gで5分間遠心分離して培養物を回収した。細胞を500μL溶解緩衝剤(Bug Buster、プロテアーゼ阻害剤を含む、Novagen)中に再懸濁した。(5%最終体積までβ−メルカプトエタノールが補充された)等体積のローディングバッファーを試料に添加し、70℃で5分間加熱した。抽出物をNovex 4〜20%Tris−グリシンゲル上に流し、タンパク質を可視化し(クーマシーブルー染色)、ニトロセルロース上にブロットし、抗HIS6抗体(Zymed)で精査した。
【0111】
ORF0657n精製
上記小規模手順を作業体積が50リットルである撹拌発酵槽(75リットルスケール)に直接スケールアップした。Luria−Bertani(LB)培地(+カナマイシン)50mLを含む250mLフラスコ中で接種材料を培養し、凍結種培養1mLを接種し、3時間培養した。この種培養1mLを使用して、LB培地(+カナマイシン)500mLを含む2リットルフラスコに接種し、16時間インキュベートした。大規模発酵槽(75リットルスケール)をLB培地(+カナマイシン)50リットルと一緒に培養した。発酵槽の発酵パラメータは、圧力=5psig(30kPa)、撹拌速度=300rpm、気流=15リットル/分及び温度=37℃であった。細胞を光学濃度(OD)0.8光学濃度単位まで波長600nMでインキュベートし、濃度1mMのイソプロピル−β−K−チオガラクトシド(IPTG)を用いて誘導した。IPTGによる誘導時間は3時間であった。温度を15℃に低下させて細胞を収集し、500KMWCO中空繊維カートリッジを通して濃縮し、9,000×重力で4℃で20分間遠心分離した。上清をデカントし、組換えE.コリウェット細胞ペレットを−70℃で凍結させた。
【0112】
組換えE.コリ細胞(19.2gウェット細胞重量)を溶解緩衝剤(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.1M NaCl、2mM MgCl2、10mMイミダゾール、0.1%Tween(商標)−80及び6Mグアニジン−HCl)に8mL/グラム細胞湿重量で懸濁した。ポリ(ヒスチジン)タグ付きタンパク質(Sigma、P8849)と一緒に使用されるプロテアーゼ阻害剤カクテルを懸濁液に0.05mL/グラム細胞ペーストで添加した。さらに、リゾチームを1mg/mL添加し、Benzonase(商標)(EM Ind.)を1μL/mL添加した。細胞溶解は、懸濁液をマイクロフルイダイザー(Microfluidicsモデル110S)に14,000PSI(96MPa)で4℃で4回通過させて実施された。細胞片を11,000×gで4℃で30分間ペレット化し、上清を保持した。
【0113】
Hisタグを有するタンパク質を上清から精製した。上清をNi+−NTAアガロース(Qiagen)20mLと4℃で2時間静かに反転させて混合した。混合物をオープンカラム(1.5cm×20cm)にあけ、非結合画分をバルクで収集した。カラムを洗浄緩衝剤(20mM Tris−HCl、pH8.0、0.15M NaCl、0.1%Tween(商標)−80)で洗浄した。Hisタグ付きORF0657nを300mMイミダゾール、20mM Tris−HCl、pH7.5、0.15M NaCl、0.1%Tween(商標)−80の段階的勾配によって溶出させた。
【0114】
HisタグORF0657n(配列番号28)を含む画分をクーマシー染色SDS−PAGEによって検出し、貯蔵した。貯蔵画分を0.2ミクロンフィルターを通してろ過して粒子材料を除去し、サイズ排除カラム(Sephacryl S−300 26/60カラム、Amersham Biosciences)にかけ、10mM MOPS pH7.1、150mM NaClによって1mL/minで溶出させた。HisタグORF0657nを含む画分をクーマシー染色SDS−PAGE及びウエスタンブロット法(anti−tetra His Mab、Qiagen)によって検出した。内毒素をZeta−Plus(商標)Biofilter(CUNO)を通してろ過除去した。タンパク質濃度をBCA(Pierce)によって測定した。純度をクーマシー染色ゲルの濃度測定によって測定した。
【実施例2】
【0115】
S.アウレウス抗原の調製
S.アウレウスをTryptic Soy Agar(TSA)(Becton Dickinson、Sparks、MD)プレート上で37℃で終夜増殖させた。PBS5mLをプレートに添加することによってこの細菌をTSAプレートから洗浄し、無菌延展機を用いて細菌を静かに再懸濁した。細菌懸濁液をSorvall RC−5B遠心分離機(DuPont Instruments)によって6000rpmで20分間遠心分離した。ペレットを16%グリセリンに再懸濁し、一定分量を−70℃で凍結保存した。
【0116】
使用前に、接種材料を解凍し、適切に希釈し、感染に使用した。各貯蔵物を少なくとも3回滴定して、未処置のマウスにおいて遅い死亡速度をもたらす適切な用量を決定した。(マウスの80から90%を死滅させることができる)細菌接種材料の効力を絶えずモニターしてモデルの再現性を確保した。各投与実験の10日前に、10匹の(アジュバントのみで免疫された)対照動物群に投与し、モニターした。
【実施例3】
【0117】
Hisタグ付きORF0657n関連ポリペプチドを用いた防御試験
25匹のBALB/cマウスに、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(450μg/回)上のHisタグORF0657n(配列番号28)20μg/回を3回投与して免疫した。アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)は、Klein等、Journal of Pharmaceutical Sciences 89、311〜321、2000に記載されている。各用量は0、7及び21日目に2回の50μL筋肉内注射として投与された。28日目にマウスから採血し、その血清をHisタグORF0657nに対する反応性についてELISAによってスクリーニングした。
【0118】
実験の35日目に、増殖されたS.アウレウスを静脈内注射によって、力価測定実験で決定された約2から7日の致死用量(7.3×108CFU/mL)でマウスに投与した。この遅い死亡速度の致死モデルにおける生存を、AHPのみで偽免疫されたマウスの対照群に対して評価した。マウスの生存を14日間モニターした(図3A)。実験の最後には、AHP対照群では3匹のマウスが生存したのに対してORF0657n免疫群では11匹が生存した。
【0119】
図3B及び3CにORF0657nH及びORF0657nI領域に対応するポリペプチドを用いた防御を示す。図3Bに、カルボキシルHisタグを含む配列番号4による防御を示す。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。
【実施例4】
【0120】
ORF0657n配列の入手
ORF0657nは、S.アウレウス鉄取得においてある役割を有することに関与している。(Andrade等、Genome Biology 3(9):47.1〜47.5、2003)。ORF0657n配列は、その一部は出所が異なり、参考文献によって名称が異なる。(例えば、Etz等、PNAS USA、99:6573〜6578、2002(LPXTGVI);Baba等、The Lancet 359:1819〜1827、2002(MW1011);Kuroda等、The Lancet 357、1225〜1240、2001(SA0976);Andrade等、Genome Biology 3(9):47.1〜47.5、2003(S_aur2);Mazmanian等、Science 299:906〜909、2003(isdB);Mazmanian等、Molecular Microbiology 40:1049〜1057、2001(sasJ);及びTaylor等、Mol. Microbiol. 43:1603〜1614、2002(sirH)を参照されたい。
【0121】
ORF0657nタンパク質配列に対応するポリペプチド配列は、様々な特許公報に記載されているようである。(Meinke他、2002年8月1日に公表された国際公開第02/059148号、Wang他、2002年10月3日に公表された国際公開第02/077183号、Masignani他、2002年11月28日に公表された国際公開第02/094868号、Foster他、2002年12月27日に公表された国際公開第02/102829号及びFoster他、2003年2月13日に公表された国際公開第03/011899号)。
【0122】
ゲノムDNAは異なるS.アウレウス臨床分離株から得られた。臨床分離株をDifco Tryptic Soy Broth(Becton Dickinson、Sparks、MD)3mLに添加し、37℃、150rpmで終夜インキュベートした。終夜培養物を1.5mL Eppendorf管中で14,000rpmで5分間遠心分離した。ブロスをデカントし、ペレットを500μL再懸濁緩衝剤(25%スクロース、10mM Tris pH7.5)に再懸濁した2mg/mlリソスタフィン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)溶液の5μL一定分量を各再懸濁ペレットに添加した。次いで、懸濁液を37℃で1時間インキュベートした。
【0123】
インキュベーション期間の最後に2%SDS 250μLを各管に添加し、溶液の粘度が顕著に減少するまでボルテックス撹拌した。フェノール−クロロホルム−イソアミル溶液(25:24:1、v/v)(Gibco/Invitrogen Corporation、Grand Island、NY)250μLを添加した。混合物を30秒間ボルテックス撹拌し、14,000rpmで5分間遠心分離した。上部水相を除去し、界面がほとんど残らなくなるまで沈殿ステップを繰り返した。3M NaOAc、pH4.8 0.1体積を各管に添加し混合した。次いで、イソプロパノール1体積を添加し再度混合した。管を室温で5分間インキュベートし、次いで14,000rpmで15分間遠心分離した。上清をデカントし、管を組織上で逆さまにして乾燥させた。ペレットを無菌H2O 50μLに再懸濁した。
【0124】
単離DNAをPCR用テンプレートとして使用した。遺伝子を順方向プライマー(ORF0657nF、配列番号67)及び逆方向プライマー(ORF0657nR、配列番号68)を用いて増幅した。標準Big DyeプロトコルによってPCR産物の配列を決定した。
【実施例5】
【0125】
異なるS.アウレウス単離株由来のORF0657nの比較
ORF0657nは、病理学的及び分類学的に多様なS.アウレウス臨床分離株のコレクション全体にわたって十分に保存されていることが判明した。表3に、臨床分離株を含めた様々な単離株の同一割合をまとめる。
【0126】
【表3】
【0127】
同一性百分率(%ID)は、ポリペプチド配列を配列番号2と整列させ、同一アミノ酸の数を求めることによって決定された。この数は、(配列番号2の)アミノ酸総数で除算され、次いで100を掛け、最も近い整数に四捨五入された。
【実施例6】
【0128】
異なるS.アウレウス臨床分離株に対する防御
様々なS.アウレウス臨床分離株に対する免疫原としてのORF0657nの効力を、HisタグORF0657nを免疫原(配列番号28)として用いて評価した。表3に記載された分類学的に多様な単離株のサブセットを投与接種材料として使用した。これら様々な単離株のORF0657n配列は、使用されたワクチンOFR0657n配列とは異なった。
【0129】
得られた投与系統は、実施例2に記載の技術を用いて調製された。マウスは、実施例3に記載の技術を用いて免疫され投与され、10日間モニターされた。常法に従ってモデルに使用される投与接種材料は、ヒト感染において一般に遭遇する材料をはるかに凌駕する。
【0130】
防御は、メチシリン感受性系統と耐性系統の両方に対して実証された。結果を図4Aから4Hに示す。
【実施例7】
【0131】
酵母発現に対する配列番号28のコドン最適化
配列番号28のアミノ酸1から646をコードする核酸配列のコドンを酵母における発現に対して最適化した。配列番号28のアミノ酸1から646のコドン最適化配列を図8Cに示す(配列番号31)。
【0132】
カルボキシルHisタグコード領域を含まない配列番号29を最適化の出発構築体として使用した。最適化前のコード配列の全コドン使用頻度については、コドンの28%(179)は高度発現酵母遺伝子によってほとんど稀にしか又はまったく使用されず、20%(126)は控えめにしか使用されなかった。
【0133】
配列番号28のアミノ酸1から646をコードする核酸のコドン最適化は、酵母中での発現が低度又は中度のコドンを高度に発現されるコドンで置換して実施された。また、グリシンコドンを第2の位置に付加した。コドン最適化は、ソフトウエアプログラムMacDNAsis Pro V3.0を用いて実施された。タンパク質の逆翻訳に使用されたパラメータ表は、高度に発現されるS.セレビシエコドンを示している。MacDNAsis Proにおいて使用された機能は「翻訳>[タンパク質−−>DNA]」である。出力は「アミノ酸転化」と標題が付けられた。
【0134】
所与のアミノ酸に対して高度に発現されるコドンが2個以上あることもある。例えば、セリンは「TCT」又は「TCC」によってコードされる。これらの場合には、2個の異なるコドンがほぼ等しい数だけ使用された。表4は、高度に発現されるS.セレビシエコドンのコドン表である。
【0135】
【表4】
【0136】
配列番号31の中度に発現される遺伝子中のコドンに換えられた2個のアラニンコドン(ヌクレオチド505及び1546で始まるGCG)を除いて、最適でないコドンはすべて、高度に発現される酵母遺伝子中のコドンに換えられた。
【0137】
ORF0657nをコードする全配列は、最終の所望の配列をコードするようになされた25オリゴマー(配列番号69から93)のアニーリングと伸長によって調製された。これらのオリゴマーは85から110bp長であった。これらのオリゴマーは交互のORF0657nコード配列であった。各オリゴマーは、25から29bpが隣接オリゴマーと相補的に重複しており、その二重鎖はTmが80から84℃であった。これはGC塩基対に4℃及びAT塩基対に2℃の値を割り当てることによって手入力で計算された。
【0138】
7つの別個の伸長反応が3個又は4個の隣接重複オリゴマー、二重鎖Tm=70から72℃の長さ(23から26)ntのセンス及びアンチセンスPCRプライマーを用いて実施された。未変性Pfu DNAポリメラーゼ(STRATAGENE、La Jolla、CA)を以下のとおり「タッチダウン」戦略のPCR反応に使用した:95℃、90秒、1サイクル;95℃、30秒、55℃、30秒、68℃、3分を5サイクル、直後に第2の系列の反応;95℃、30秒、52℃、30秒、68℃、3分を20サイクル。68℃で7分間インキュベートして反応を完結した。これらのPCR反応の結果、7個の共直線性遺伝子断片が作製された(本明細書では便宜上1、2、3、4、5、6及び7と呼ぶ)。
【0139】
各断片はアガロースゲル電気泳動によって単離され、適切なサイズの産物が切除され、GENE CLEAN(登録商標)II法(QBIOgene、Carlsbad、CA)を用いて製造者によって推奨されたとおりに精製された。共直線性断片1、2及び3、共直線性断片4と5並びに共直線性断片6と7は、適切なプライマーを用いたその後のPCR反応で連結されて、それぞれ断片A、B及びCが得られた。次いで、断片A、B及びCが末端のセンス及びアンチセンスプライマーによって連結される追加のPCR反応によってORF0657nの完全な遺伝子が構築された。最終PCR産物をゲルによって単離し、製造者によって推奨されたとおりにpCR(登録商標)−Blunt II−TOPO(登録商標)(INVITROGEN、Carlsbad、CA)にクローン化した。いくつかの独立クローンのDNA配列を得て、間違いを確認した。
【0140】
間違いは、3個の独立クローンpUC3、pUC4及びpUC6の異なるセグメントについて、QUIK−CHANGE Site−directed Mutagenesis Kitを用いて逐次的に、又はQUIK−CHANGE Site−directed Multi Mutagenesis Kit(STRATAGENE、La Jolla、CA)を用いて同時に、製造者の推奨に従って修正された。最終の修正された配列は、3個のクローンからの修復された制限酵素断片を交換することによって得られた。クローンpUC4の修復された1.1kb XmnI断片をpUC3の対応するXmnI断片と交換してpUnkC13を構築した。pUC6の修復された456bp AccI断片をpUnkC13の対応する断片と交換してpUnkCR1を構築し、DNA配列を確認した。
【実施例8】
【0141】
組換え遺伝子発現用サッカロミセス セレビシエ系統の構築
この実施例では、組換え遺伝子発現用サッカロミセス セレビシエ系統を得るために使用することができる技術を説明する。1260及び1309と命名された系統の作製を以下に説明する。系統の遺伝的背景は異種タンパク質発現用系統の諸性質に大いに影響し得るので、やはりいくつかの望ましい遺伝マーカー、すなわち、(1)分泌されたタンパク質の過グリコシル化(hyperglycosylation)を防止するmnn9変異、(2)タンパク質分解に伴う問題を抑制するprb1及び/又はpep4プロテアーゼ変異及び(3)GALプロモーターからの発現を増大させるためのGAL4転写因子の過剰発現を含む遺伝的背景が異なる酵母系統を構築することが望ましい。
【0142】
1260と命名されたS.セレビシエ系統の構築
出発S.セレビシエ系統は以下のように構築された。S.セレビシエ系統Y379−5D(MATα、cyh2、nib1、rho−、cir°)(Livingston、Genetics 86:73〜84、1977)を系統DC04(MATa、ade1、adeX、leu2−04、cir°)(Broach等、Cell 21:501〜508、1980)と交雑させた。生成した二倍体系統を胞子にし、四分子を標準手順によって解体した。一倍体胞子の1つは系統2150−2−3(MATa、ade1、leu2−04、cir°)を生じた。α交配型S.セレビシエ系統LB−347−1C(MATα、mnn9)は、mnn9変異を含むS.セレビシエ系統X2180−1B(MATα、SUC2、mal、mel、gal2、CUP1;ATCC番号204504)である。LB−347−1Cを、YEHD完全培地寒天板(Carty等、J. Ind. Micro 2:117〜121、1987)上で該系統を混合することによって基準株2150−2−3(MATa、leu2−04、ade1)と交配させた。交配された系統を、二倍体用に選択するために、ロイシンを含まず唯一の炭素源として2%スクロースを含む最少培地上に蒔いてレプリカプレートを作製した。単一コロニーを単離した後、二倍体を胞子にし、子嚢を標準技術によって解体した。KHY−107系統を単一の一倍体胞子として単離し、(シッフ染色技術によって)ADE1、leu2及びmnn9として特徴づけた。凍結されたグリセリン貯蔵物とし、−70℃で貯蔵した。
【0143】
KHY−107(cir+)を−70℃貯蔵物から増殖させ、pMB9 DNAがpBR322 DNAで置換された以外は、酵母LEU2−d遺伝子を含みpJDB219(Beggs、Nature 275:104〜109、1978)に関係する酵母ベクターpC1/1で形質転換した。単離された形質転換体を(ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む)選択液体培地上で増殖させ、次いで(1Mソルビトールを含む)富栄養培地中で複数回継代増殖させてpC1/1と2μDNAの両方を取り除いた。(ロイシンを欠く培地では増殖することができない)pC1/1を失ったコロニーをDNA−DNAハイブリッド形成によって2μDNAの有無について検査した。2μDNAを示さない単離クローン、KHY−107(cir°)−1を選択し、凍結グリセリン貯蔵物(−70℃)とした。
【0144】
KHY−107(cir°)−1は遺伝子破壊によってura3にされた。Tn903由来のAph3’I遺伝子の2つのコピーによって破壊されたS.セレビシエURA3遺伝子を含むプラスミドが構築された。5’−URA3−Aph3’I−URA3−3’カセットをベクターから切除し、KHY−107(cir°)−1を形質転換するために使用した。破壊されたura3カセットを組み込んだ形質転換体が5−フルオロ−オロチン酸プレート(Kaiser,C.等、Methods in Yeast Genetics−1994 Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、(Cold Spring Harbor、New York;1994) 214〜215ページ)上で選択され、続いてウラシルを欠く培地上で増殖できないことが示された。1個の単離クローンKHY−107ura3(PN2)を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物とした。
【0145】
KHY−107ura3(PN2)を(1Mソルビトールを含む)天然培地上で増殖させ、次いでアルギニンの代わりにカナバニンを含む合成培地上に蒔き、カナバニン耐性(canR)変異体を得た。自発的なcanR変異体をアルギニンの代わりにカナバニンを含む固体合成培地上の単離コロニーに対して画線した。単離コロニーは標準の遺伝的相補性試験によってcan1であることが判明した。1つの単離can1コロニーDMY10を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物として保存した。
【0146】
酵母GAL4転写因子を過剰発現させるために、GAL10p−GAL4融合遺伝子をDMY10のHIS3遺伝子に組み込んだ。5’−HIS3−GAL10p−GAL4−URA3−HIS3−3’カセットをpKHint−C(Schultz等、Gene 61:123〜133、1987)から切除し、DMY10を形質転換するために使用した。そのカセットを組み込んだ形質転換体が、ウラシルを欠く固体合成培地上で選択され、続いてヒスチジンを欠く培地上で増殖できないことが判明した。HIS3部位にのみカセットが組み込まれたことがサザンブロット法によって確認された。1つの単離された要素DMY10int−3を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物とした。この系統はCF52と命名された。
【0147】
S.セレビシエPRB1遺伝子を有するプラスミドFP8ΔH(Moehle等、Genetics 115:255〜263、1987)をHindIII+XhoIで消化し、PRB1遺伝子を有する3.2kbp DNA断片をゲル精製し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にした。プラスミドpUC18をBamHIで消化し、ゲル精製し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にした。生成したベクター断片に上記PRB1遺伝子断片を連結してプラスミドpUC18−PRB1を得た。HIS3遺伝子を含むプラスミドYEp6(Struhl等、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA 76:1035、1979)をBamHIで消化した。機能的HIS3遺伝子を有する、生成した1.7kbp BamHI断片をゲル精製し、次いでT4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にした。PRB1コード配列内で切断しプロテアーゼB活性部位及びフランキング配列を除去するEcoRV+NcoIを用いてpUC18−PRB1ベクターを消化した。pUC18中のPRB1コード配列の残留5’及び3’部分を有する5.7kbp EcoRV−NcoI断片をゲル精製し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にし、アルカリホスファターゼで脱リン酸化し、上記平滑末端HIS3断片を連結した。(pUC18−prb1::HIS3、ストック#1245と命名された)生成したプラスミドは、上で除去されたPRB1遺伝子の部分の代わりに機能的HIS3遺伝子を含む。
【0148】
PRB1遺伝子破壊ベクター(pUC18−prb1::HIS3)をSacI+XbaIで消化して、線状prb1::HIS3破壊カセットを作製し、酢酸リチウム法(Ito等、J Bacteriol. 153:163、1983)による系統CF52の形質転換に使用した。His+形質転換体をヒスチジンを欠く合成寒天培地上で選択し、クローン単離株用に同じ培地に再画線(restreak)した。いくつかの生成したHis+単離株からゲノムDNAを調製し、EcoRIで消化し、次いで0.8%アガロースゲル上で電気泳動させた。サザンブロット分析によって所望のprb1Δ::HIS3遺伝子破壊の存在を確認した。
【0149】
所望のprb1Δ::H1S3破壊を含む単離株の1つをさらに使用するために選択し、系統#1260と命名した。系統#1260の凍結グリセリン貯蔵物を調製し−70℃で貯蔵した。生成した系統1260の遺伝子型は以下のとおりである:MATa、leu2−2,112、mnn9、ura3Δ、can1、his3Δ::GAL10p−GAL4−URA3、prb1Δ::HIS3、cir°。
【0150】
1309と命名されたS.セレビシエ系統の構築
S.セレビシエ系統BJ1995(MATα、leu2、trp1、ura3−52、prb1−1122、pep4−3、gal2)はすでに記載されている(Jones,E.W.、Tackling the Protease Problem in Saccharomyces cerevisiae、Methods in Enzymology 194(1991)、428〜453ページ)。内因性2μDNAプラスミドを欠くBJ1995のcir°誘導体を、系統1260の構築に対して開示された手順を用いて単離した。生成したcir°単離株を系統91と命名し、凍結グリセリン貯蔵物(−70℃)として保存した。
【0151】
次いで、GALプロモーターからの転写を増加させるために、GAL4転写因子を過剰産生する系統91の誘導体を構築した。プラスミドpKHint−C(Schultz等、Gene 61:123〜133、1987)をBamHIで消化し、生成した5’−HIS3−GAL10p−GAL4−URA3−HIS3−3’カセットを使用して系統91を形質転換した。そのカセットを組み込んだ形質転換体が、ウラシルを欠く固体合成培地上で選択され、続いてヒスチジンを欠く培地上で増殖できないことが判明した。カセットがHIS3部位に所望のとおり組み込まれたことを、酵母HIS3遺伝子用プローブを用いたサザンブロット法によって確認した。1つの単離された要素BJ1995cir°int #22を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物とした。この単離株は系統1282と命名された。
【0152】
次いで、MNN9遺伝子の破壊を含む系統1282の誘導体を以下の一連のステップにおいて単離した。MNN9遺伝子を破壊するためには、遺伝子破壊ベクターを調製する目的でS.セレビシエゲノムDNAからMNN9遺伝子をまずクローン化する必要があった。これは標準PCR技術によって実施された。完全長MNN9コード配列のPCR用5’センスプライマー及び3’アンチセンスプライマーは、酵母MNN9遺伝子の公表された配列(MacKay他、欧州特許EP0314096、国際公開日1989年5月3日)に基づいて設計された。(下線の)フランキングHindIII部位を含む以下のオリゴデオキシヌクレオチドプライマーが使用された。
センスプライマー(配列番号94):
【0153】
【化1】
【0154】
アンチセンスプライマー(配列番号95):
【0155】
【化2】
【0156】
MNN9遺伝子の開始メチオニンコドンを太字で強調表示する。
【0157】
テンプレートとしてS.セレビシエ由来のゲノムDNAを用いてPCRを実施した。MNN9遺伝子を有する生成した1.2kbp PCR断片は、HindIIIで消化され、ゲル精製され、HindIIIで消化されアルカリ性ホスファターゼで処理されたpUC13を用いて連結された。生成したプラスミドはp1183と命名された。酵母TRP1遺伝子は、平滑末端化された0.85kb EcoRI−BglII断片としてYRp7(Struhl等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:1035〜1039、1979)から単離され、次いでpl183のPmlI部位に挿入された。PmlI部位はMNN9コード配列の中央にあり、そのためその部位にTRP1遺伝子が挿入されると遺伝子破壊が起こる。次いで、生成したプラスミドpUC13−mnn9::TRP1(p11885−239−1)はHpaI+EcoRIで消化された。5’−mnn9−TRP1−mnn9−3’カセットは、酢酸リチウム法による系統1282の形質転換に使用された。(Ito等、J Bacteriol. 153:163、1983)。
【0158】
Trp+形質転換体は、トリプトファンを欠く合成培地寒天板上で選択され、単一コロニー単離株用に同じプレート上に再画線された。いくつかの生成したTrp+単離株からゲノムDNAを調製し、HindIIIで消化し、次いで0.8%アガロースゲル上で電気泳動させた。サザンブロット分析によって所望のmnn9::TRP1遺伝子破壊の存在を確認した。所望のmnn9::TRP1破壊を含むこれらの単離株の1つをさらに使用するために選択し、系統1309と命名した。系統1309の凍結グリセリン貯蔵物を調製し−70℃で貯蔵した。系統1309の遺伝子型は以下のとおりである:MATα、leu2、mnn9::TRP1、trp1、ura3−52、his3Δ::GAL10p−GAL4−URA3、prb1−1122、pep4−3、gal2、cir°。
【実施例9】
【0159】
完全長ORF0657n領域の発現
完全長ORF0657nがE.コリ中で発現され(配列番号28;HisタグORF0657n)、S.セレビシエ(配列番号28のアミノ酸1〜646)と発現生成物が比較された。
【0160】
S.セレビシエ発現
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nタンパク質をコードするDNAは、フランキングBamHI制限酵素切断部位を含む以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、UnkCY−F(配列番号;96)、
【0161】
【化3】
【0162】
及びUnkCY−R(配列番号97)、
【0163】
【化4】
【0164】
を用いて最終修正クローンpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーは5’非翻訳配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。生成した1.9kb産物をゲル単離し、製造者に従ってTOPO TAベクターpCR2.1(INVITROGEN CORPORATION、Carlsbad、CA)にクローン化して、プラスミドUnkC−B1を構築した。続いて挿入断片のDNA配列を確認した。BamHI断片をゲル単離し、酵母ベクター(pGAL110、図5A)に適切な向きでサブクローニングしてpRUnkC−pGAL110を構築した。挿入断片の配列をDNA配列決定によって確認した。
【0165】
スフェロプラスト形質転換プロトコル(Hinnen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A、75:1929〜33、1978)によって、pRUnkC−pGAL110由来のプラスミドDNAを使用してleu2変異を含むS.セレビシエ系統をロイシン原栄養(prototrophy)(Leu+)に形質転換した。系統1260及び1309の構築は上記実施例8に記載されている。
【0166】
形質転換体は、ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む合成寒天培地上で選択された。ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む上部及び下部合成寒天培地は、REMEL、Lenexa、KS(それぞれ、cat#09459及び92155)から得られた。クローンのLeu+単離株は、SDマイナスロイシンプレート(KD MEDICAL、Columbia MD)上の連続成長によって得られた。
【0167】
複数の形質転換体をスクリーニングするために、ゆっくり回転する培養管中で産生培養物5.0mLを30℃で増殖させた。続いて、125mLフラスコにおいて25ml培養物中の選択された形質転換体の産生を確認した。両方の場合において、4.0%グルコースと0.1Mソルビトールを含む5×マイナスロイシン培地中で種培養5mLを30℃でOD600が1.5から3.0/mLになるまで18から24時間増殖させた。5×マイナスロイシン培地は、1リットル当たり以下の成分を含む:添加アミノ酸も硫酸アンモニウムも含まないYeast Nitrogen Base、8.5g;アデニン、0.40g;L−チロシン、0.25g;ウラシル、0.20g、コハク酸、10.0g、硫酸アンモニウム、5.0g及びロイシンマイナス溶液#3 50mL。ロイシンマイナス溶液#3は蒸留水1リットル当たり、L−アルギニン、2g;L−ヒスチジン、1.0g;L−イソロイシン、6g;L−リジン4.0g;L−メチオニン、1.0g;L−フェニルアラニン、6.0g;L−トリプトファン、4.0gを含む。培地のpHを50%水酸化ナトリウムで5.3に調節した。
【0168】
管中における産生の場合、種培養の0.3mL一定分量は、2%グルコース、4%ガラクトースを含む5×マイナスロイシン培地又はYEHDG培地5.0mLに最終OD600が5から16.0/mLになるまで72時間移送された。YEHDG培地は1リットル当たりL−Hy−大豆ペプトン−Sheffield、10g;酵母エキス、20g;L−デキストロース、16g;D(+)ガラクトース、40gを含む。フラスコ中での産生の場合、種培養1.5mL一定分量を培地25mLに移し、上述したように220rpmで振とうしながら増殖させた。
【0169】
10OD単位/試料を収集した後、細胞ペレットを溶解緩衝剤(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤、pH7.2、0.5M NaCl、2mM PMSF)0.3mL中でガラスビーズで破壊した。溶解物を遠心分離によって回収し、破壊細胞/ビーズを溶解物緩衝剤0.3mLで洗浄し、清浄化された各上清を混合した。タンパク質濃度は、BIO−RAD Protein Assay Dye Reagentシステム(BIO−RAD、Hercules、CA)によって製造者の指示に従って測定された。細胞溶解物は、4から20%勾配Tris−グリシンゲル(INVITROGEN、Carlsbad、CA)上で、1×Tris−グリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中、還元及び変性条件下で電気泳動させた後、ORF0657nの発現について免疫ブロット分析によって分析された。試料は全細胞タンパク質20μgを含んだ。ゲルは0.45ミクロンニトロセルロースメンブランフィルター(Schleicher and Schuell、Keene、NH製Optitran)上に電気ブロットされた。タンパク質サイズを推定するために、6.4から203kDaの着色標準(Broad Range Prestained SDS−PAGE Standard、BIO−RAD)を溶解物と平行して泳動させた。
【0170】
E.コリ標準
ORF0657nを産生するように誘導されたE.コリ産生用培養物(E.コリ宿主HMS174(DE3)、NOVAGEN、Madison、WI)から精製されたHisタグORF0657n(配列番号28)及び細胞溶解物を標準として使用した。E.コリは、HisタグORF0657nを発現する発現ベクターで形質転換された。E.コリ培養物を30μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で37℃で終夜増殖させた。翌日、終夜培養物60μLを使用して6.0mL LB+30μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600が0.4から1.0になるまで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で2時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。
【0171】
E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagent(NOVAGEN、Madison、WI)を用いて製造者の手順に従って調製された。タンパク質は、ORF0657nに対する(「2H2B8」と命名された)ネズミモノクローナル抗体を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。Mab 2H2B8は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657nによるマウスの免疫化によって産生された。Mab 2H2B8はELISAによって選択され、ORF0657nに特異的であることが判明した。フィルターは、BIO−RAD HRP Conjugate Substrate Kitによって処理された。
【0172】
E.コリ及びS.セレビシエからの発現産物
酵母形質転換体の初期スクリーニングから、酵母系統1260及び1309の各1個の形質転換体を完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の最適産生株として選択した。YEHDG培地における72時間の発酵後のそれらの完全長ORF0657n領域の産生例をE.コリにおけるORF0657n領域(配列番号28)の産生と比較して図6A及び6Bに示す。
【0173】
mAb 2H2B8を用いたウエスタンブロット分析によって検出された主要なタンパク質は、図6A(系統1260)及び6B(系統1309):レーン5及び6に示すように約105から110kDaであった。約105から110kDaのタンパク質は、E.コリ中で産生された精製組換えORF0657n(配列番号28;レーン2)又は誘導されたE.コリORF0657n産生用培養物の抽出物(後者は図6に示されたゲルには含まれていない)の試料中で検出された最大のタンパク質のサイズに相当した。E.コリ及びS.セレビシエによって産生された105から110kDaのタンパク質は、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも高分子量である。E.コリ対照において検出された優勢種は約95kDaと小さく、酵母中で産生された少量のタンパク質と共に移動することに留意されたい。約105から110kDaのタンパク質は、E.コリとS.セレビシエの両方でE.コリ分泌性リーダーと共に発現される完全長ORF0657nに対応すると考えられ、95kDaのタンパク質は分解産物と考えられる。ベクターpGAL110単体を用いて得られた対照形質転換体の抽出物は検出されなかった(レーン3及び4)。
【0174】
1260及び1309の形質転換体によって産生されるORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の推定量は約10マイクログラムORF0657n/mL YEHDG培地であり、ORF0657n領域は、精製ORF0657n(配列番号28)100ngを標準として用いた半定量的ウエスタンブロットによって測定して総タンパク質量の約2%を含む。総タンパク質の発現量と%ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)は、両方の系統において48時間よりも72時間の方が多かった(データ示さず)。2%グルコース、4%ガラクトースを含む5×ロイシン培地中で1260の形質転換体によって産生されたORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の力価は約8.0μg/mLであり、%総タンパク質は2.0であった。
【実施例10】
【0175】
ORF0657nH領域をコードする分泌コドン最適化配列の発現
ベクターpKH4−3B(Carty等、Biotechnol. Lett. 12:879〜884、1990)は、酵母アルファ因子(MFα1)プレプロ分泌性リーダーを含む。このリーダーに所望のタンパク質が融合して、S.セレビシエのシグナルペプチダーゼによってまず切断される翻訳産物を生じる。続いて、Kex2プロテアーゼは、分泌性リーダー及び成熟タンパク質中の「Lys Arg残基」が放出された後に開裂する。S.セレビシエ誘導性GAL10プロモーターは、タンパク質を発現させるために使用された。
【0176】
ベクターpKH4−3Bは、改変された配列番号3をコードするコドン最適化された遺伝子を発現するために使用された。配列番号3は、アミノ末端メチオニンを除去しアミノ末端リーダー配列を付加することによって修飾された。コドン最適化された配列番号3コード領域は、配列番号32のヌクレオチド4から1710によって与えられ、リーダーコード配列は、以下に示すように調製されたベクターpKH4−3Bによって与えられる。
【0177】
pKH4−3Bのアルファ因子プレプロ分泌性リーダーは、配列番号3のORF0657nH領域にインフレームで融合された。これは、ベクターpKH4−3BをSphIで消化し、続いてT4 DNAポリメラーゼで処理してSphI−オーバーハングを除去し、リーダーの適切なコドンを用いて5’末端に平滑末端を作製することよって実施された。続いて、ベクターをBamHIで消化して3’クローニング部位を作製した。この構築体は、再構築されたORF0657nH領域(配列番号32)の第2のコドンに対応する5’平滑末端と終止コドン及びBamHI制限酵素切断部位を有する3’末端とを含むPCR産物を必要とする。
【0178】
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nH領域をコードするDNAは、以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、UCKHS2(配列番号98)、5’GCTGAAGAAACTGGTGGTACCAAC3’及びUCKHA2、(配列番号99)
5’GTCACGGATCCTTAAGACTTAGCCTTGTTTTCTTGAGTGTTC3’を用いてpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーの5’末端GCTは、ORF0657nH領域の予測されたN末端であるアラニンをコードする。アンチセンスプライマーは、TAA終止コドン及びBamHI部位(下線)を含む。生成した1.7kb PCR産物をゲル単離し、(上述したように調製された)pKH4−3Bにクローン化してpUS38を構築した。挿入断片のDNA配列全体及びベクターの部分配列を確認し、分泌性リーダーに所望のとおり融合されたことが示された。この構築体から発現される最初のタンパク質がKex2pによって適切に切断されて、N末端メチオニンを欠く配列番号3に対応するタンパク質が生成する。
【0179】
スフェロプラスト形質転換プロトコル(Hinnen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A、75:1929〜33、1978)によって、プラスミドpUS38を使用してS.セレビシエ系統1260及び1309をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。形質転換体は、ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む合成寒天培地上で選択された。ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む上部及び下部合成寒天培地は、REMEL、Lenexa、KS(それぞれ、cat#09459及び92155)から得られた。クローンのLeu+単離株は、SDマイナスロイシンプレート(KD MEDICAL、Columbia MD)上の連続成長によって得られた。
【0180】
複数の形質転換体のスクリーニングでは、4.0%グルコースと0.1Mソルビトール培地を含む5×マイナスロイシン培地中で種培養5mLを30℃でOD600が1.5から3.0/mLになるまで18から24時間増殖させた。5×マイナスロイシン培地は、1リットル当たり以下の成分を含む:アミノ酸も硫酸アンモニウムも含まないYeast Nitrogen Base、8.5g;アデニン、0.40g;L−チロシン、0.25g;ウラシル、0.20g、コハク酸、10.0g、硫酸アンモニウム、5.0g及びロイシンマイナス溶液#3 50mL。ロイシンマイナス溶液#3は蒸留水1リットル当たり、L−アルギニン、2g;L−ヒスチジン、1.0g;L−イソロイシン、6g;L−リジン4.0g;L−メチオニン、1.0g;L−フェニルアラニン、6.0g;L−トリプトファン、4.0gを含む。培地のpHを50%水酸化ナトリウムで5.3に調節した。2%グルコース+4%ガラクトースを含む5×マイナスロイシン培地又はYEHDG培地5.0mLに最終OD600が10から20.0/mLになるまで0.3mL一定分量を72時間移送した。YEHDG培地は1リットル当たりL−Hy−大豆ペプトン−Sheffield、10g;酵母エキス、20g;L−デキストロース、16g;D(+)ガラクトース、40gを含む。
【0181】
発酵は、酵母細胞を除去し、ORF0657nH領域(配列番号3)の発現についてSDS−PAGEゲルのウエスタンブロット分析又はクーマシー染色によって上清を直接分析することによって収集された。免疫ブロット分析の場合には、10から25マイクロリットルの試料が還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIORAD、Hercules、CA)中の4から15%勾配のTris−HClゲル(BIORAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター上に電気ブロットした。タンパク質は、モノクローナル抗体2H2B8を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として免疫検出された。Mab 2H2B8は実施例9に記載されている。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。
【0182】
SDS−PAGEゲルのクーマシー染色による組換え酵母ORF0657nH領域(配列番号3)の発現分析の場合には、試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HClゲル(BIO−RAD)上で電気泳動にかけられた。ゲルは、製造者(BIO−RAD)の手順に従ってBio−Safeクーマシー、クーマシーG250染色で染色された。
【0183】
定性標準として、ORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を産生するE.コリ培養物からの細胞溶解物が使用された。E.コリ発現ORF0657nH領域の予測アミノ酸配列は、E.コリ構築体においてN末端メチオニンに続いてグリシンが存在する以外は、S.セレビシエ内部で発現されたORF0657nH領域の予測アミノ酸配列(配列番号3)と同一である。
【0184】
E.コリ中でORF0657nH領域を産生するために、産生用培養物を50μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で37℃で終夜増殖させた。カルボキシルHisタグを含む配列番号4をコードするpET28を使用してタンパク質を発現させた。翌日、終夜培養物500μLを使用して5.0mL LBブロス+50μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600 0.6まで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で3.5時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagent(NOVAGEN、Madison、WI)を用いて製造者の手順に従って調製された。
【0185】
下記実施例11に記載され下記実施例11に示されたとおりに調製された内部ORF0657nH領域(配列番号3)を発現するS.セレビシエ形質転換体1−1の細胞溶解物由来のタンパク質も標準として入れられた。タンパク質サイズを推定するために、クーマシー染色とウェスタン評価の両方で10から250kDaの着色標準(BIO−RAD)をSDS−PAGEゲル上の試料と平行して泳動させた。
【0186】
所望の種は、2%グルコース+4%ガラクトースを含む5×マイナスロイシン培地中で産生された。両系統1260及び1309のpUS38を含む形質転換体は、酵母内部で発現された(配列番号3をコードする核酸由来の)ORF0657nH領域並びにウェスタン及びクーマシー染色によって検出された(カルボキシルHisタグを含む配列番号4をコードする核酸由来の)E.コリ発現ORF0657nHと極めて接近して移動する約80kDaのタンパク質を分泌した。典型的な実験においては、これらの対照溶解物500ng及び培地上清25マイクロリットルが電気泳動にかけられた。検出は特異的であった;80kDaのタンパク質は、ベクターのみを含む形質転換体の上清中にはウエスタンブロットでもクーマシー染色でも検出されなかった。分泌された約80kDaのタンパク質は、成熟非グリコシル化ORF0657nH領域(配列番号3)に対応する場合もあり、或いは、少数のグリコシル残基を含む場合もあった。上清中のより高分子量の種は、2種類の低分子量タンパク質と同様に、抗体によって検出され、これらはすべてクーマシーブルーで染色された。より高分子量の種は、未加工のリーダーを含み、かつ/又はグリコシル化することができた。低MW種は分解産物である可能性が高い。
【0187】
両系統1260及び1309の形質転換体によって分泌された80kDaの種の推定量は約2μg/mL培地であった。これは、80kDaにおけるウェスタンシグナルをORF0657nH領域(配列番号3)を含む酵母細胞溶解物の試料のそれと比較することによって求められ、ORF0657nH領域が総タンパク質量の少なくとも50%を構成することを示唆している。ORF0657n領域の残留種の混合力価は約50μg/mL培地と推定された。
【実施例11】
【0188】
S.セレビシエにおけるORF0657nH領域(配列番号3)の細胞内発現
S.セレビシエにおける配列番号3の細胞内発現によって、離散的なサイズのタンパク質が極めて高いレベルで産生された。発現は酵母最適化コード核酸配列を用いて実施された。
【0189】
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nH領域をコードするDNA(配列番号32)は、フランキングBamHI制限酵素切断部位(下線)を含む以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、(配列番号100)5’GGGG GGATCC CACAAAACAAA ATG GCT GAA GAA ACT GGT GG3’及び(配列番号101)5’GGG GGG GGATCC TTA AGA CTT AGC CTT GTT TTC TTG AGT3’を用いてpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーは5’非翻訳リーダー配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。
【0190】
生成した1.7kb産物をゲル単離し、製造者の指示に従ってTOPO TAベクターpCR2.1(INVITROGEN CORPORATION、Carlsbad、CA)にクローン化して、プラスミドpCR_iUC−Sを構築した。続いて、挿入断片のDNA配列が2個の独立クローン、pCR_iUCS2.2及びpCR_iUCS−2.4から求められた。挿入断片の各々において各プラスミドの異なるHindIII断片上に位置する単一のPCRエラーが見出された。正確な配列を含むプラスミドは、正確な配列を有するpCR_iUC−S2.2の1.3kb HindIII断片をpCR_iUC−S2.4の対応する断片と交換することによって得られた。
【0191】
pCR_iUC−S2.2の1.3kb断片及びpCR_iUC−S2.4の4.3kb断片をゲル単離し連結した。所望の断片を含むクローンが選択され、pCR_iUC−S、適切な向き及びヌクレオチド配列がDNA配列決定によって確認された。続いて、1.7kb BamHI断片をpGAL110(図5A)にサブクローニングしてpiUCS−S(−)を構築した。
【0192】
スフェロプラスト形質転換プロトコルによって、piUC−S(−)由来のプラスミドDNAを使用してS.セレビシエ系統1260及び1309をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。(Hinnen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A、75:1929〜33、1978)。形質転換体は、ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む合成寒天培地上で選択された。ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む上部及び下部合成寒天培地は、REMEL、Lenexa、KS(それぞれ、cat#09459及び92155)から得られた。クローンのLeu+単離株はSDマイナスロイシンプレート(KD MEDICAL、Columbia MD)上の連続成長によって得られた。
【0193】
複数の形質転換体が、実施例9に記載された発酵条件を用いたORF0657nH領域の産生についてスクリーニングされた。細胞溶解物は、ウエスタンブロット分析又はクーマシーブルーで染色されたSDS−PAGEゲルの分析によって、ORF0657nH領域の産生について分析された。
【0194】
ウエスタンブロット分析の場合、試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター上に電気ブロットした。タンパク質は、完全長ORF0657n(配列番号28)に対するモノクローナル抗体2H2B8を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。Mab 2H2B8は実施例9に記載された。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。
【0195】
SDS−PAGEゲルのクーマシー染色による(配列番号32によってコードされた)組換え酵母ORF0657nHの発現分析の場合、試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD)上で電気泳動にかけられた。ゲルは、製造者の手順に従ってBio−Safeクーマシー、クーマシーG250染色(BIO−RAD)で染色された。
【0196】
電気泳動にかけられた酵母細胞溶解物の試料は、ウエスタンブロット及びクーマシー染色で全細胞酵母タンパク質のそれぞれ0.5及び1.25μgを含んだ。クーマシー染色の定量標準として、精製BSA(100×、NEW ENGLAND BIOLABS、Beverly、MA)が使用された。精製E.コリ完全長組換えORF0657n領域(配列番号28)はウェスタンの定量標準として使用された。定性標準として、ORF0657nHを産生するように誘導された、ORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を産生するE.コリ培養物からの細胞溶解物が両方の評価に使用された。
【0197】
E.コリ中でORF0657nH領域(配列番号4+カルボキシルHisタグ)を産生するために、産生用培養物を50μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で37℃で終夜増殖させた。翌日、終夜培養物500μLを使用して5.0mL LBブロス+50μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600 0.6まで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で3.5時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagent(NOVAGEN、Madison、WI)を用いて製造者の手順に従って調製された。タンパク質サイズを推定するために、10から250kDaの着色標準を溶解物と平行して泳動させた(BIO−RAD)。
【0198】
初期スクリーニングから、1−1と命名された酵母系統1260の1個の形質転換体が、ORF0657nH領域(配列番号3)の最適産生株として選択された。振とうフラスコ中の天然培地YEHDGにおける72時間の発酵後のORF0657nH領域の産生例を図7A及び7Bに示す。クーマシー染色(A)又は抗体(B)によって検出された主要なタンパク質は約85kDaであり(レーン5、6及び7参照)、E.コリORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4;レーン2)と共に移動した。E.コリ発現ORF0657nと酵母発現ORF0657nの両方のMWは、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも大きかった。約85kDaのタンパク質の検出は特異的であった;ベクターpGAL110のみを含む形質転換体由来の細胞溶解物中には検出されなかった(レーン3)。完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)よりもかなり多量のORF0657nH領域(配列番号3)が産生された。レーン5、6及び7をレーン4と比較されたい。完全長ORF0657nを含む形質転換体を、ORF0657nH領域(配列番号3)を含む形質転換体と同時に同一条件下で発酵させた。成熟酵母発現ORF0657nH領域が分解した証拠はほとんど認められなかった。
【0199】
タンパク質の安定性を評価するために、数日間凍結され、続いて解凍されていない形質転換体1−1の細胞溶解物からの試料がゲルに加えられた(図7、レーン7)。この試料の完全性及び量は新しい試料と類似していると判断することができる(レーン5及び6)。ORF0657nH領域(配列番号3)が分解せず安定であることは、完全長E.コリORF0657n(配列番号28)に対するヤギポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロットによって確認された(データ示さず)。
【0200】
ウエスタンブロット及びクーマシーゲルによるORF0657nH領域(配列番号3)の推定量は約360μg/mL YEHD培地であり、%総タンパク質は約50と推定された。特定培地中で産生された量は225μg/mL培地であり総タンパク質%はやはり約50であった。ORF0657nH領域(配列番号3)の量は、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の量よりも多く(それぞれ350と10μg/mL)、%総タンパク質も高かった(50と2.0)。
【実施例12】
【0201】
S.セレビシエにおけるORF0657nG領域(配列番号44)の細胞内発現
ORF0657n関連ポリペプチドの細胞内発現は、ORF0657nG領域(配列番号44)をコードするDNA構築体を用いて以下の実施例において評価された。ORF0657nG(配列番号44)は配列番号2の切断型であり、アミノ末端シグナル配列を欠く。配列番号44は、N末端メチオニン及び配列番号2のアミノ酸42から645を有する。
【0202】
ORF0657nG領域(配列番号44)をコードする酵母最適化DNAは、pUnkCR1(実施例7)から、フランキングBamHI制限酵素切断部位を有する以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、5’GGGGGGATCCCACAAAACAAAATGGCTGAAGAAACTGGTGG3’(配列番号102)及び5’GGGGGGGATCCTTAGTTCTTTCTCTTTCTTGG3’(配列番号103)を用いて増幅された。センスプライマーは5’非翻訳リーダー配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。生成した1.8kb産物をゲル単離し、製造者(INVITROGEN CORPORATION、Carlsbad、CA)の指示に従ってTOPO TAベクターpCR2.1にクローン化して、プラスミドpCR_iUC−L4を構築した。DNA配列分析によって、単一の欠失が5’末端で起きたことが確認された。
【0203】
正確な配列を有するクローンは、正確な配列を含むpCR_iUC−S2.2の1.3kb HindIII−HindIII断片(実施例11参照)をpCR_iUC−L4の対応する断片と交換することによって得られた。pCR_iUCS2.2の1.3kb断片及びpCR_iUC−L4の4.4kb断片をゲル単離し連結した。所望の断片を含むクローンが選択され、pCR_iUC−L、適切な向き及びヌクレオチド配列がDNA配列決定によって確認された。続いて、1.8kb BamHI断片をpGAL110にサブクローニングしてpiUC−L(−)を構築し、DNA配列を確認した。
【0204】
piUC−L(−)からのプラスミドDNAを使用して、実施例9に記載されたようにS.セレビシエ系統1260をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。いくつかの酵母形質転換体が、実施例11に記載された発酵及び細胞破壊条件を用いてORF0657nG領域(配列番号44)の細胞内産生についてスクリーニングされた。細胞溶解物タンパク質0.25から0.5μgは、実施例11に記載されたようにORF0657nG領域の産生についてウエスタンブロット分析によって分析された。精製E.コリORF0657nH領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を定量標準として使用し、ORF0657nG領域を産生するように誘導されたORF0657nG領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号44)を産生するE.コリ培養物からの細胞溶解物を定性標準として使用した。試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター(BIO−RAD)上に電気ブロットした。
【0205】
タンパク質は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)に対するポリクローナル抗体を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。ポリクローナル抗体は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657n領域(配列番号28)による免疫化によって産生された。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。
【0206】
比較のために、ORF0657nG領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号44)を、実施例1に記載されたようにE.コリ発現ベクター中でクローン化し発現させた。E.コリ中でORF0657nG領域を産生するために、50μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で産生用培養物を37℃で終夜増殖させた。翌日、終夜培養物500μLを使用して5.0mL LBブロス+50μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600 0.6まで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で3.5時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagentを用いて製造者(NOVAGEN、Madison、WI)の手順に従って調製された。タンパク質サイズを推定するために、10から250kDaの着色標準(BIO−RAD)を溶解物と平行して泳動させた。
【0207】
初期スクリーニングから、iUC−L3と命名された酵母系統1260の1個の形質転換体が、実施例11に記載されたように、培養管における天然培地YEHDG中の72時間発酵後にORF0657nG領域の良好な産生株として選択された。クーマシー染色又は抗体によって検出された主要なタンパク質は約85kDaであり、E.コリ発現ORF0657nG領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号44)と共に移動した。E.コリ発現ORF0657nG領域と酵母発現ORF0657nG領域の両方のMWは、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも大きかった。約85kDaのタンパク質の検出は特異的であった;ベクターpGAL110のみを含む形質転換体由来の細胞溶解物中には検出されなかった。3つのウエスタンブロット実験から求められたORF0657nGの平均力価は30μg/mL YEHDG培地であり、%総タンパク質は10.0と推定された(下記実施例13参照)。
【実施例13】
【0208】
細胞壁局在化シグナルを除去すると細胞内発現が増加する
ORF0657nカルボキシル細胞sortase C末端コード領域のみの除去及びN末端シグナル領域の除去との組み合わせの効果をコドン最適化ORF0657n遺伝子配列番号31、32及び45を用いて検討した。配列番号31は完全長ORF0657n領域をコードする。配列番号32は、N末端シグナル配列とC末端細胞壁局在化領域の両方を欠くORF0657nH領域をコードする。配列番号45は、シグナルペプチド配列のみを欠くORF0657nG領域をコードする。
【0209】
完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28;形質転換体rUnkC1)、ORF0657nH領域(配列番号3;形質転換体1−1)及びORF0657nG領域(配列番号44 形質転換体iUC−L3)を各々発現する1個の形質転換体を発酵させ、実施例11に記載されたように細胞溶解物を調製し分析した。代表的なウエスタンブロットを図9に示す。異なる形質転換体からゲル上に堆積したタンパク質細胞溶解物の量は、ORF0657n領域をコードする3個の構築体の異なる発現レベルを補償するために同じではなかった。各場合において、各ORF0657n含有形質転換体から少なくとも2つの異なる量のタンパク質細胞溶解物が堆積した。
【0210】
ORF0657nH領域(配列番号3)が完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)又はORF0657nG領域(配列番号44)よりもかなり良好に発現されることを示す典型的な結果を図9に示す。かなりのシグナルが、レーン11及び12に示されるようにORF0657nH領域産生株からのわずか50及び100ngの細胞溶解物タンパク質で検出された。これに対して、完全長ORF0657nC領域産生株の細胞溶解物タンパク質1.0及び2.0μg、それぞれレーン7及び8が使用された。良好なシグナルがタンパク質のより少ないORF0657nG領域で検出され、タンパク質250及び500ngがレーン14及び15に示されるように堆積した。
【0211】
表4は、3個のORFの各々の平均力価及び3つの独立したウエスタンブロットによって求められた%総タンパク質の比較である。細胞溶解物は、各ウエスタンブロットで新たに調製された。平均は、2つの独立した発酵からの結果を含む。特定のORF0657nの量は、精製E.コリORF0657nH(配列番号4+カルボキシルHisタグ)標準に対して求められた。
【0212】
【表5】
【0213】
シグナルペプチド配列を除去すると、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)とORF0657nG領域(配列番号44)の発現を比較して求められた%総タンパク質及び力価が2.5から3倍に増加した。シグナルペプチドと細胞壁局在化配列の両方を除去すると、発現がシグナルペプチド配列のみの除去の8から14倍(gとH領域の比較)、完全長タンパク質の20から42.5倍(CとH領域)に増加した。細胞壁局在化配列の除去による発現の増加の程度は予想外であった。
【実施例14】
【0214】
S.セレビシエにおけるORF0657nI領域の細胞内発現
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nI領域をコードするDNA(配列番号33)は、フランキングBamHI制限酵素切断部位(下線)を有する以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ
5’CTCCGGATCCCACAAAACAAAATGGCTGAAGAAACTGGT3’(配列番号104)及び
5’GCTGCCGGGATCCTTATGGGGTTGGCTTAGATGGGGTAG3’(配列番号105)
を用いてpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーは5’非翻訳リーダー配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。生成した1.3kb産物をゲル単離し、pGAL110(図5A)にクローン化してpiUC−I(図5B)を構築し、DNA配列を確認した。
【0215】
piUC−1からのプラスミドDNAを使用して、実施例9に記載されたようにS.セレビシエ系統1260をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。3種類のLeu+形質転換体が、実施例9に記載されたように、小規模発酵(5.0mL培養)条件を用いてORF0657nI領域(配列番号1)の細胞内産生についてスクリーニングされた。
【0216】
産生は、S.セレビシエ形質転換体1−1(実施例11参照)によって産生されたORF0657nH領域(配列番号3)のそれと比較された。細胞溶解物を実施例9に記載されたように調製し、酵母細胞溶解物タンパク質100及び200ngをORF0657nI及びORF0657nHの産生について分析実施例11に記載された半定量的ウエスタンブロットによって分析した。精製E.コリORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を定量標準として使用した。試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の10から20%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター(BIO−RAD)上に電気ブロットした。タンパク質は、精製E.コリ完全長ORF0657n(配列番号28)に対するポリクローナル抗体を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。ポリクローナル抗体は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657n(配列番号28)による免疫化によって産生された。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。タンパク質サイズを推定するために、10から250kDaの着色標準(BIO−RAD)を溶解物と平行して泳動させた。
【0217】
図11は、培養管における複合YEHDG培地中の72時間発酵の結果である。レーン5、6、14、15、21及び22に示すように酵母発現ORF0657nH領域(配列番号3)が大きく検出された。ORF0657nI(配列番号1)を発現するように構築された形質転換体中の約60kDaのタンパク質もレーン7から12及び16から21に示されるように容易に検出された。酵母発現ORF0657nI(配列番号1)は、E.コリから発現され精製されたORF0657nI(カルボキシルHisタグを含む配列番号5)と共に移動した(データ示さず)。E.コリ発現ORF0657nI領域と酵母発現ORF0657nI領域の両方のMWは、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも大きかった。ORF0657nI領域(配列番号1)を発現するように構築された形質転換体中で検出された60kDaのタンパク質は特異的であった;ベクター対照形質転換体からの細胞溶解物中にタンパク質は検出されなかった(レーン4及び13)。
【0218】
ゲル上のORF0657nH領域(配列番号3)及びORF0657nI領域(配列番号1)の量は、半定量的ウエスタンブロットから既知量の精製ORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)と比較して推定された。力価及び%総タンパク質は、ゲル上の2つの異なる量のタンパク質を含む2つ組の溶解物から求められた平均として計算された。新たな発酵試料及び凍結細胞溶解物から求められたORF0657nH領域(配列番号3)の各体積力価(volumetric titer)は約500と約550μg/mL培地で同等であり、1mL培地当たり320μgのORF0657nI領域(配列番号1)が産生された(ORF0657nI領域の力価は形質転換体I1に対するものである)。総タンパク質の%ORF0657nH領域(配列番号3)はそれぞれ78%及び80%と推定され、ORF0657nI(配列番号1)は総タンパク質の45%であった。
【0219】
したがって、ORF0657nI領域はS.セレビシエ中で十分に発現され、力価はORF0657nH(配列番号3)の力価の約1/1.5であり、%総タンパク質は約1/1.3であった。酵母中のORF0657nI領域の良好な発現は、細胞溶解物を含むSDS−PAGEゲルのクーマシー染色によって確認された。YEDHG培地におけるORF0657nI領域の発現は大規模に実現可能であり、125mL又は2L振とうフラスコにおける産生は培養管における小規模発現と同等であった。
【0220】
ORF0657nI領域(配列番号1)は特定5×マイナスロイシン培地(実施例9に記載された培地)中でも十分に発現した。力価は、天然培地YEHDGにおける力価の1/1.5倍しか低くなく、%総タンパク質は両方の培地で同等であった。ORF0657nIの完全性は両方の培地において良好であり、大きな分解は検出されなかった。ORF0657nIの産生は、振とうフラスコ発酵で試験すると、天然培地と5×マイナスロイシン培地のどちらも96時間より72時間の方が多かった。
【実施例15】
【0221】
ORF0657nH(配列番号3)を産生する酵母系統の大規模発酵
(プラスミドpiUC−S(−)で形質転換された系統1260;実施例11に記載された)酵母系統1−1の凍結された種貯蔵物を大規模発酵及び精製に使用した。種貯蔵物のバイアルを解凍し、1.0mLを使用して4%グルコースを含みロイシンを含まない選択培地(5×Leu−培地、Bayne等、Gene 66(2):235〜44、1988)50mLを含む250mL三角フラスコに接種した。フラスコを回転振とう機上250rpmで28℃でインキュベートした。24時間後(残留グルコース23.5g/L)、培養体積13mLを同じ培地877mLを含む2Lフラスコに添加した。フラスコを28℃で再度インキュベートし、250rpmで撹拌した。24時間後(残留グルコース4.04g/L)、2Lフラスコの内容物を使用して、使用された系統に対して最適化された既知組成培地(Oura、Biotechnol. Bioengineer. 16:1197、1974)を含む20L反応器に接種した。この培地は20g/Lグルコースを含み、続いて誘導用の25g/Lガラクトースを含んだ。反応器は28℃、4.7L/min、15psig(100kPa)及び300rpmで運転された。これらの条件下で、溶存酸素レベルは飽和の30%を超えて維持された。細胞増殖は、グルコース消費、光学濃度(A600nM、1cmキュベット)、乾燥細胞重量、ガラクトース利用及びエタノール産生によってモニターされた。培養は90時間続けられ、A600は33.9に達し、乾燥細胞重量は17.5g/Lに達した。
【0222】
培養物をAMICON DC−10収集スキッド(harvest skid)(MILLIPORE、Billerica、MA)を用いて中空繊維接線流ろ過(AMICON H5MP01−43カートリッジ)によって収集した。透過液を廃棄し、細胞を濃縮し、PBSで透析ろ過し、Sorvall Evolution RC(SLA−3000ローター)を用いた遠心分離によって8000rpm、4℃で20分間回収した。細胞を−70℃で貯蔵した。
【0223】
大規模発酵において系統1−1によるORF0657nHの産生を評価するために、収集された培養物10 OD600単位から細胞溶解物を調製し、実施例11に詳述されたように評価した(結果示さず)。振とうフラスコ発酵(72時間、複合YEHDG培地)からのORF0657nHの産生も評価された。(実施例11に記載されたように実施された)ウエスタンブロット分析の結果によれば、大規模発酵から産生されたタンパク質は、振とうフラスコ発酵で産生されたORF0657nHと共に移動した(結果示さず)。大規模(20L)発酵から得られるORF0657nHの力価は739μg/mLと推定され、%総タンパク質は55%と推定され、(実施例11記載の半定量的ウェスタン方法を用いた)振とうフラスコ発酵の732μg/mL及び58%総タンパク質と比較された。これらの結果によれば、ORF0657nの産生を酵母中でスケールアップできることが確認される。
【実施例16】
【0224】
酵母中で産生されたORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫
酵母によって産生されるORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫能力は、配列番号3のポリペプチドを酵母中で発現させることによって評価された。Eコリ発現完全長ORF0657nC(配列番号28)、ORF0657nH(カルボキシル末端Hisタグを含む配列番号4)、ORF0657nI(カルボキシル末端Hisタグを含む配列番号5)及びアジュバント単体を対照として使用した。
【0225】
配列番号3のORF0657n関連ポリペプチドが酵母から得られ、動物モデルにおいて防御免疫をもたらすために使用された。配列番号3のポリペプチドは実施例11に記載されたように発現された。
【0226】
ORF657nH(配列番号3)を発現する凍結組換えS.セレビシエ細胞を0.2M MOPS、pH7.0中に5mL/グラムウェット細胞重量でプロテアーゼ阻害剤(EDTAなし)と一緒に再懸濁した。溶解物は、マイクロフルイダイザー(Microfluidics Model 110S)を14,000psi(96MPa)で4回通過させることによって調製された。溶解物は、遠心分離(10,000×g、20分、2から8℃)、続いて粗ろ過(ガラス繊維プレフィルター、Millipore)及び精密ろ過(fine filtration)(0.2μm酢酸セルロース、Whatman)によって浄化された。
【0227】
浄化された溶解物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム(Pharmacia HiPrep 26/60 Sephacryl S−300 HR、移動相:0.2M MOPS、pH7.0)によって分画された。画分は、クーマシー検出によるSDS−PAGE及び(完全長ORF0657n、配列番号28に対する)ORF0657nタンパク質特異的抗血清を用いたウエスタンブロット法によって分析された 産物を含む画分はプールされた。
【0228】
SEC生成物は、無菌状態下の0.2μm酢酸セルロースを通して無菌ろ過された。無菌ろ過生成物の純度は、SDS−PAGE及びウエスタンブロットによって、≧又はそれよりも高く、94%であった。無菌ろ過生成物は0.2mg/mlでAHP及びチメロサールと一緒に処方された。
【0229】
酵母中で産生されたORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫能力を図10に示す。酵母発現ORF0657nH(配列番号3)は、E.コリ発現ポリペプチドと同じ防御免疫をもたらした。
【実施例17】
【0230】
非ヒト霊長類における既往反応
3群のアカゲザルが、AHPと一緒に又はAHPなしで処方された酵母産生ORF0657n関連ポリペプチド(ORF0657nH、配列番号3)又はEコリ発現ORF0657関連ポリペプチド(完全長ORF0657n、配列番号28)を用いて免疫された。ワクチン群のサルは、ORF0657n関連ポリペプチド50mcgを筋肉内経路を介して投与された。
【0231】
図12に示されるように、ワクチン群の動物は、単回投与後、既存の適度な力価の約3から6倍の相乗平均力価で応答し、既往反応が示唆された。これに対し、対照群動物の相乗平均力価は(抗体アッセイのばらつきの範囲内で)一定であった。第2のワクチン投与後、ワクチン群及び対照群における1力価投与後相乗平均(geometric mean post−dose one titers)は、投与後力価(post−dose titers)とほとんど変わらなかった。
【0232】
わずか1用量後の抗体応答の発生を観測するために、酵母発現ORF0657H領域(配列番号3)投与群を3ヶ月(試験された最終時点)追跡した。抗体価は9日後上昇し続け、ワクチン2又は3用量後でも越えられないレベルに達した。
【0233】
これらの観察によれば、ワクチン1用量は、おそらくはS.アウレウスへの環境暴露による免疫系の自然の初回抗原刺激(natural priming)の後に、かなりの持続的な抗体応答を誘導することができる。ヒトにおける既存の抗体価の調査によれば、すべての試験試料においてORF0657nに対する適度の抗体価が存在した(データ示さず)。
【0234】
他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内にある。いくつかの実施態様を示し説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な改変態様を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1A】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図1B】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図1C】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図1D】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図2A】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2B】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2C】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2D】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2E】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図3A】図3A、3B及び3Cは、完全長配列、OFR0657nH領域及びORF0657nI領域を与えるORF0657n関連ポリペプチドの、S.アウレウスBeckerに対する防御免疫をもたらす能力を示すグラフである。これらのポリペプチドは、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)と一緒に使用された。図3Aは、配列番号28の結果である。図3Bは、カルボキシルHisタグを含む配列番号4の結果である。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。「カルボキシルHisタグ」という表記は、Hisタグ基LEHHHHHH(配列番号64)がカルボキシ末端に存在することを示す。
【図3B】図3A、3B及び3Cは、完全長配列、OFR0657nH領域及びORF0657nI領域を与えるORF0657n関連ポリペプチドの、S.アウレウスBeckerに対する防御免疫をもたらす能力を示すグラフである。これらのポリペプチドは、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)と一緒に使用された。図3Aは、配列番号28の結果である。図3Bは、カルボキシルHisタグを含む配列番号4の結果である。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。「カルボキシルHisタグ」という表記は、Hisタグ基LEHHHHHH(配列番号64)がカルボキシ末端に存在することを示す。
【図3C】図3A、3B及び3Cは、完全長配列、OFR0657nH領域及びORF0657nI領域を与えるORF0657n関連ポリペプチドの、S.アウレウスBeckerに対する防御免疫をもたらす能力を示すグラフである。これらのポリペプチドは、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)と一緒に使用された。図3Aは、配列番号28の結果である。図3Bは、カルボキシルHisタグを含む配列番号4の結果である。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。「カルボキシルHisタグ」という表記は、Hisタグ基LEHHHHHH(配列番号64)がカルボキシ末端に存在することを示す。
【図4A】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4B】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4C】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4D】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4E】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4F】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4G】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4H】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図5A】図5A及び5Bは、S.セレビシエ発現プラスミドのプラスミド地図である。図5AはベクターpGAL110のプラスミド地図である。図5Bは、pGAL110のGAL1プロモーターの制御下でクローン化された酵母コドン最適化配列を示すpiUC−1のプラスミド地図である。
【図5B】図5A及び5Bは、S.セレビシエ発現プラスミドのプラスミド地図である。図5AはベクターpGAL110のプラスミド地図である。図5Bは、pGAL110のGAL1プロモーターの制御下でクローン化された酵母コドン最適化配列を示すpiUC−1のプラスミド地図である。
【図6A】図6A及び6Bは、配列番号28のアミノ酸1から646を有する完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の細胞内発現を示すウエスタンブロットである。レーン1、分子サイズ標準;レーン2、精製E.コリによって産生された組換え完全長ORF0657n領域(配列番号28)、100ng;レーン3から6は酵母細胞溶解物20μgを含む;レーン3及び4、ベクターpGAL110のみを含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物;レーン5及び6、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を発現するpRUnkC−pGAL110を含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物。
【図6B】図6A及び6Bは、配列番号28のアミノ酸1から646を有する完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の細胞内発現を示すウエスタンブロットである。レーン1、分子サイズ標準;レーン2、精製E.コリによって産生された組換え完全長ORF0657n領域(配列番号28)、100ng;レーン3から6は酵母細胞溶解物20μgを含む;レーン3及び4、ベクターpGAL110のみを含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物;レーン5及び6、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を発現するpRUnkC−pGAL110を含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物。
【図7A】図7A及び7Bは、それぞれSDS−PAGEゲルのクーマシー染色及びウエスタンブロットであり、S.セレビシエにおける配列番号3をコードする核酸からの細胞内発現を示している。レーン1、パネルA、BSA、1.25μg;パネルB、精製E.コリ組換え完全長ORF0657n(配列番号28)、100ng;レーン2、E.コリにおけるORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)産生株からの細胞溶解物;パネルA、1.25μg、パネルB、0.5μg。レーン3から7、パネルA及びBは、それぞれ酵母細胞溶解物1.25及び0.5μgを含む:レーン3、ベクターpGAL110のみを含む形質転換体;レーン4、完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を含む形質転換体;レーン5、6及び7、成熟ORF0657nH領域(配列番号3)を発現するpiUC−S(−)を含む形質転換体1−1;レーン7は、凍結され続いて解凍された(形質転換体1−1の)細胞溶解物を含む。レーン8は分子サイズ標準を含む。
【図7B】図7A及び7Bは、それぞれSDS−PAGEゲルのクーマシー染色及びウエスタンブロットであり、S.セレビシエにおける配列番号3をコードする核酸からの細胞内発現を示している。レーン1、パネルA、BSA、1.25μg;パネルB、精製E.コリ組換え完全長ORF0657n(配列番号28)、100ng;レーン2、E.コリにおけるORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)産生株からの細胞溶解物;パネルA、1.25μg、パネルB、0.5μg。レーン3から7、パネルA及びBは、それぞれ酵母細胞溶解物1.25及び0.5μgを含む:レーン3、ベクターpGAL110のみを含む形質転換体;レーン4、完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を含む形質転換体;レーン5、6及び7、成熟ORF0657nH領域(配列番号3)を発現するpiUC−S(−)を含む形質転換体1−1;レーン7は、凍結され続いて解凍された(形質転換体1−1の)細胞溶解物を含む。レーン8は分子サイズ標準を含む。
【図8A】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8B】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8C】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8D】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8E】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8F】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8G】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8H】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8I】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8J】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8K】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8L】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8M】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8N】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8O】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8P】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8Q】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8R】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8S】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8T】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8U】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図9】S.セレビシエにおけるORF0657n関連ポリペプチドの細胞内発現を比較したウエスタンブロットである。レーン1及び18、MWサイズ標準。レーン2及び3、E.コリ中で産生される精製ORF0657nH(配列番号4+カルボキシルHisタグ)のそれぞれ50及び100ng。レーン5は、S.セレビシエベクター対照形質転換体に由来する細胞溶解物のタンパク質500ngを含む。レーン7、8及び9は、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28を生成するS.セレビシエ形質転換体由来の細胞溶解物タンパク質1.0、2.0及び4.0μgである。レーン11及び12は、ORF0657nH(配列番号3)を生成するS.セレビシエ形質転換体に由来する細胞溶解物のタンパク質のそれぞれ50及び100ngを含む。レーン14及び15は、ORF0657nG(配列番号44)を生成するS.セレビシエ形質転換体に由来する細胞溶解物のタンパク質のそれぞれ250及び500ngを含む。レーン17は、ORF0657nG(配列番号44+カルボキシルHisタグ)E.コリ産生株由来の細胞溶解物タンパク質250ngを含む。レーン4、6、10、13及び16は空である。
【図10】E.コリ及び酵母において産生されたORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫データを示すグラフである。「OFR0657nH(E.コリ)」はカルボキシルHisタグを含む配列番号4に対応する。「OFR0657nI(E.コリ)」はカルボキシルHisタグを含む配列番号5に対応する。「OFR0657nC(E.コリ)」は配列番号28に対応する。「OFR0657nH(E.コリ)」は配列番号3に対応する。
【図11】S.セレビシエにおけるORF0657nIの細胞内発現の例示的なウエスタンブロットである。レーン1及び25、MWサイズ標準。レーン2、3及び24:E.コリ中で産生される精製ORF0657nH領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)のそれぞれ25、50及び100ng。レーン4から23は、酵母形質転換体由来のタンパク質細胞溶解物を含む。レーン13から21は、レーン4から12の溶解物と同じ発酵試料から調製された2つ組の細胞溶解物である。レーン4及び13は、pGAL110を含むベクター対照形質転換体由来のタンパク質200ngを含む。レーン5及び14は、ORF0657nH領域(配列番号3)を生成する形質転換体1−1由来のタンパク質100ngを含む。レーン6及び15は、形質転換体1−1由来のタンパク質200ngを含む。レーン7及び16は形質転換体I1由来のタンパク質100ngを含み、レーン8及び17は形質転換体I1由来のタンパク質200ngを含む。レーン9及び18は形質転換体I2由来のタンパク質100ngを含み、レーン10及び19は形質転換体I2由来のタンパク質200ngを含む。レーン11及び20は形質転換体I3由来のタンパク質100ngを含み、レーン12及び21は形質転換体I3由来のタンパク質200ngを含む。レーン22及び23は、形質転換体1−1の前の発酵からあらかじめ調製されたタンパク質細胞溶解物100及び200ngを含む。
【図12】アカゲザル免疫化データを示す図である。アカゲザルは、AHPと一緒に又はAHPなしで処方された、酵母産生ORF0657n関連ポリペプチド(ORF0657nH、配列番号3)又はEコリ発現ORF0657n関連ポリペプチド(完全長ORF0657nC、配列番号28)によって免疫された。ワクチン群のサルは、ORF0657n関連ポリペプチド50mcgを筋肉内経路によって投与された。
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる2003年7月24日に出願された米国仮出願第60/489,840号及び2003年11月14日に出願された米国仮出願第60/520,115号の利益を主張するものである。
【0002】
本願を通して引用される参考文献は、本発明の従来技術であることを認めるものではない。
【0003】
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は広範な疾患及び症状の病原体である。S.アウレウスに起因する疾患及び症状の例としては、菌血症、感染性心内膜炎、毛包炎、せつ、よう、膿か疹、水ほう性膿か疹、蜂か織炎、ボトリオミセス症、毒素性ショック症候群、熱傷様皮膚症候群、中枢神経系感染症、感染性及び炎症性眼疾患、骨髄炎(osteomyletitis)並びに関節及び骨の他の感染症、気道感染症などが挙げられる。(The Staphylococci in Human Disease、Crossley and Archer(eds.)、Churchill Livingstone Inc. 1997)。
【0004】
S.アウレウス感染及びS.アウレウスの伝播を抑えるために、免疫学に基づく戦略を使用することができる。免疫学に基づく戦略としては、受動免疫、能動免疫などが挙げられる。受動免疫は、S.アウレウスを標的にした免疫グロブリンを使用する。能動免疫では、S.アウレウスに対する免疫応答が誘導される。
【0005】
S.アウレウスワクチン候補は、S.アウレウス多糖及びポリペプチドを標的にする。ターゲティングは、適切なS.アウレウス多糖又はポリペプチドをワクチン成分として使用して実施することができる。多糖ワクチン成分候補の例としては、S.アウレウス5型及び8型きょう膜多糖が挙げられる。(Shinefield等、N. Eng. J. Med. 346:491〜496、2002)。ワクチン成分候補として使用することができるポリペプチドの例としては、コラーゲン付着因子、フィブリノーゲン結合タンパク質及びクランピング因子が挙げられる。(Mamo等、FEMS Immunology and Medical Microbiology 10:47〜54、1994、Nilsson等、J. Clin. Invest. 101:2640〜2649、1998、Josefsson等、The Journal of Infectious Diseases 184:1572〜1580、2001)。
【0006】
S.アウレウスポリペプチド配列に関する情報は、S.アウレウスゲノムの配列を決定することによって得られた。(Kuroda等、Lancet 357:1225〜1240、2001、Baba等、Lancet 359:1819〜1827、2000、Kunsch他、1997年7月30日に公表された欧州特許公報EP 0 786 519号)。ゲノム配列決定から得られたポリペプチド配列を特徴づけようとしてバイオインフォマティクスがある程度使用された。(Kunsch他、1997年7月30日に公表された欧州特許公報EP 0 786 519号)。
【0007】
潜在的抗原をコードする遺伝子を特定するために、ディスプレイ技術などの技術及び感染者の血清を一部使用することができる。(Foster他、2001年12月27日に公表された国際公開第01/98499号、Meinke他、2002年8月1日に公表された国際公開第02/059148号)。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むポリペプチド、かかるポリペプチドの使用及びかかるポリペプチドを産生する発現系を特徴とする。配列番号1は完全長S.アウレウスポリペプチドの切断誘導体である。完全長ポリペプチドは、本明細書では完全長「ORF0657n」と称する。配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、S.アウレウスに対して防御免疫応答を生じることが判明した。
【0009】
「防御」免疫又は免疫応答という表記は、S.アウレウス感染に対する検出可能な防御レベルを指す。この防御レベルは、本明細書に記載されたモデルなどの動物モデルを用いて評価することができる。
【0010】
したがって、本発明の第1の側面は、配列番号2のアミノ酸609から645で与えられるカルボキシ末端を含まず、S.アウレウスに対して防御免疫を示し、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド免疫原である。配列番号2は、アミノ酸609から645がLPXTGモチーフ(本明細書では「細胞ウェル局在化シグナル(cell well sorting signal)」と称する)で始まるカルボキシ末端ドメインを与える完全長ORF0657nポリペプチドを与える。
【0011】
「免疫原」という表記は、防御免疫をもたらす能力を指す。
【0012】
配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むという表記は、配列番号1に関係する領域が存在し、追加のポリペプチド領域が存在し得ることを指す。追加のポリペプチド領域が存在する場合、このポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸609から645によって示されるカルボキシルLPXTGモチーフを持たない。
【0013】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対する防御免疫をもたらすアミノ酸配列を含む免疫原である。この免疫原は、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列と、カルボキシ末端又はアミノ末端において共有結合した1個以上の追加の領域又は部分とを含み、各領域又は部分は以下の諸性質、すなわち、免疫応答を増強する性質、精製を容易にする性質又はポリペプチドの安定性を高める性質のうち少なくとも1つを有する領域又は部分から独立に選択される。
【0014】
「追加の領域又は部分」という表記は、原核生物、真核生物宿主などの生物宿主において産生されるORF0657n関連ポリペプチドとは異なる領域又は部分を指す。例えば、追加の領域又は部分は、追加のポリペプチド領域又は非ポリペプチド領域とすることができる。
【0015】
本発明の別の側面は、患者においてS.アウレウスに対する防御免疫を誘導することができる組成物である。この組成物は、薬剤として許容される担体と、S.アウレウスに対する防御免疫をもたらす免疫原の免疫学的有効量とを含む。
【0016】
免疫学的有効量は、S.アウレウス感染に対する防御免疫をもたらすのに十分な量である。この量は、S.アウレウス感染の可能性又は重症度を有意に抑制するのに十分な量とすべきである。
【0017】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む核酸である。組換え遺伝子は、適切な転写及びプロセシングのための調節要素(翻訳要素及び翻訳後要素を含むことができる)と一緒にポリペプチドをコードする組換え核酸を含む。組換え遺伝子は、宿主ゲノムとは無関係に存在することができ、又は宿主ゲノムの一部とすることができる。
【0018】
組換え核酸は、その配列及び/又は形態のために天然には存在しない核酸である。組換え核酸の例としては、精製核酸、天然に存在するのとは異なる核酸を与える結合された2個以上の核酸領域、及び本来相互に関連する1個以上の核酸領域(例えば、上流又は下流領域)の欠如が挙げられる。
【0019】
本発明の別の側面は組換え細胞である。この細胞は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む。
【0020】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドを製造する方法である。この方法は、このポリペプチドをコードする組換え核酸を含む組換え細胞を増殖させるステップと、このポリペプチドを精製するステップとを含む。
【0021】
本発明の別の側面は、このポリペプチドをコードする組換え核酸を含む組換え細胞を宿主中で増殖させるステップとこのポリペプチドを精製するステップとを含むプロセスによって製造された、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドである。異なる宿主細胞を使用することができる。本発明の一実施態様においては、宿主細胞は酵母細胞である。
【0022】
本発明の別の側面は、患者においてS.アウレウスに対する防御免疫応答を誘導する方法である。この方法は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらす免疫原の免疫学的有効量を患者に投与するステップを含む。
【0023】
本発明の別の側面は、患者において既往反応を誘導する方法である。この方法は、既往反応をもたらす免疫原の有効量を患者に投与するステップを含む。
【0024】
本発明の別の側面は、酵母における発現に対して最適化されたORF0657n関連ポリペプチドをコードする核酸である。酵母発現に対して1個以上のコドンが最適化される。
【0025】
本発明の別の側面は、S.アウレウスに対する防御免疫をもたらすポリペプチドを組換え酵母細胞中で製造する方法である。この方法は、
(a)前記ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む組換え酵母細胞を前記ポリペプチドが発現される条件下で増殖させるステップ(前記ポリペプチドはS.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらす完全長ORF0657n関連ポリペプチド、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片である。)と、および
(b)このポリペプチドを精製するステップと
を含む。
【0026】
特定の用語が相容れない場合を除き、「又は」という表記は一方又は両方の可能性を示す。「及び/又は」などの句は、一方又は両方の可能性を強調するために使用されることがある。
【0027】
「含む」などの非制限的用語の表記では、要素又はステップを追加することができる。「1個以上」などの句は、追加の要素又はステップの可能性を強調するために、非制限的用語と一緒に、又は非制限的用語と別に使用されることがある。
【0028】
「a」又は「an」などの用語の表記は、特に明示しない限り1に限定されない。例えば、「細胞(a cell)」は「複数の細胞(cells)」を排除しない。1個以上などの句は、複数の存在を強調するために使用される。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、様々な実施例を含めて本明細書のさらなる説明から明らかである。記載された実施例は、本発明の実施に有用な様々な成分及び方法を説明するものである。実施例は、請求する本発明を限定するものではない。当業者は、本開示に基づいて、本発明の実施に有用な他の成分及び方法を確認し、使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
完全長を含むORF0657n関連ポリペプチド、及びORF0657nI領域を含むそれよりも短い誘導体は、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすことが動物モデルを用いて見出された。図1aに、S.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらす様々なORF0657n関連ポリペプチド領域、及び防御免疫をもたらさなかった領域の位置を示す。図1aにおいて、ORF0657nは配列番号2に対応する完全長配列を指し、ORF0657nIは(アミノ末端メチオニンを含まない)配列番号1に対応する領域を指し、ORF0657nHは(アミノ末端メチオニンを含まない)配列番号3に対応する領域を指す。
【0031】
ORF0657n「関連」ポリペプチドは、完全長ORF0657n又はその断片に構造的に関係する領域を含む。ORF0657n関連ポリペプチドは、天然ORFO657nの対応領域と少なくとも約90%の配列が同一であるポリペプチドである。図1におけるORF0657nとは、S.アウレウスCOL由来のORF0657n(配列番号2)に対応する。
【0032】
基準配列に対する同一割合は、ポリペプチド配列を基準配列と整列させ、同一アミノ酸数を求めることによって決定される。この数は、基準配列のアミノ酸総数で除算され、次いで100を掛け、最も近い整数に四捨五入される。
【0033】
図1aは、配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むコア領域の重要性を説明するのに役立つ。配列番号1はORF0657n COLのアミノ酸42から486を含む。配列番号1は、発現を促進するアミノ末端メチオニンも含む。配列番号2アミノ酸461から609、アミノ酸82から486又はアミノ酸42から196からなるポリペプチド断片は防御性ではなかった。
【0034】
本願を通して様々なアミノ酸及び核酸配列が参照される。表1は、図1の領域を示すポリペプチド配列の一部及び追加の修飾をまとめたものである。表2は核酸配列の一部をまとめたものである。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
配列番号1関連ポリペプチド
配列番号1に構造的に関係するポリペプチド領域は、配列番号1と少なくとも90%が同一であるアミノ酸を含む。配列番号1に構造的に関係する領域を含むポリペプチドは、本明細書の指針に基づいてS.アウレウスに対するポリペプチド防御が得られるように設計することができる。
【0038】
配列番号1を基準のフレームとして用いて、異なる天然ORF0657nポリペプチドのアミノ酸配列、及びアミノ酸の公知の諸性質を考慮して変更を加えることができる。変更としては、1個以上のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換などが挙げられる。特定のポリペプチドの防御免疫をもたらす能力を確認するために、本明細書に記載された技術を用いて様々な変更の全体的効果を評価することができる。
【0039】
ORF0657nは、病理学的及び分類学的に多様なS.アウレウス臨床分離株のコレクション全体にわたって十分に保存されていることが判明した。(下記実施例5参照)。図2は、配列番号1を含む様々な配列のアミノ酸配列比較である。示された配列比較は、ORF0657nH領域に対するものである。ORF0657nH領域はより小さな防御ORF0657nI領域を含む。
【0040】
図2は配列番号1および3から27の配列比較である。この比較は、配列番号1、3などのS.アウレウス関連ポリペプチドに対する変更候補の設計を導くために使用することができるS.アウレウス臨床分離株間のアミノ酸の違いを示すものである。また、変更は、アミノ酸の公知の諸性質を考慮して行うことができる。配列番号1、3から6及び8から26は、位置番号3から始まる天然の配列を示し、位置番号1及び2は、いくつかの配列のアミノ末端へのメチオニン又はメチオニン−グリシンの付加を示す。配列番号11から26は異なる臨床分離株から得られた。配列番号7及び27は、配列番号1のコア領域の外側の領域に5個のアミノ酸置換を含む配列番号4 ORF0657nH領域の変異体である。
【0041】
追加のORF0657n配列は、変更を導くのに役立てるための配列比較に使用することができる。追加のS.アウレウスORF0657nH領域配列の例は配列番号54から63によって与えられ、配列番号17及び20の完全長配列は配列番号106及び107によって与えられる。
【0042】
一般に、異なるアミノ酸を置換して活性を維持するためには、諸性質が類似したアミノ酸を交換することが好ましい。アミノ酸置換で考慮することができる要因としては、アミノ酸サイズ、電荷、極性、疎水性などが挙げられる。アミノ酸の諸性質に対する異なるアミノ酸R基の効果は当分野で周知である。(例えば、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜2002、Appendix 1Cを参照されたい)。
【0043】
アミノ酸を交換して活性を維持するためには、置換アミノ酸は、ほぼ同じ電荷及び/又はサイズ及び/又は極性及び/又は疎水性などの1つ以上の類似の諸性質を有するべきである。例えば、ロイシンをバリンで、リジンをアルギニンで、グルタミンをアスパラギンで置換することは、ポリペプチド機能を変化させない良好な候補である。
【0044】
特定の目的を達成する変更としては、ポリペプチドの産生又は効力を高めるように設計された変更、コードされた核酸のクローニングなどが挙げられる。ポリペプチド産生は、組換え発現に適切な(例えば、メチオニンをコードする)開始コドンを使用することによって促進することができる。メチオニンは、後で細胞のプロセシング中に除去することができる。クローニングは、例えば、アミノ酸付加又は変化に付随し得る制限酵素切断部位の導入によって促進することができる。
【0045】
免疫応答を誘導するポリペプチドの効力は、エピトープの増強によって高めることができる。エピトープの増強は、MHC分子に対するペプチド親和性を改善するアンカー残基の変更を含む技術、T細胞受容体に対するペプチド−MHC複合体の親和性を増大させる技術などの異なる技術を用いて実施することができる。(Berzofsky等、Nature Review 1:209〜219、2001)。
【0046】
異なる実施態様においては、配列番号1関連ポリペプチド領域に関して、該領域は、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも94%又は少なくとも99%が同一であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25の変更又は最大50の変更によって配列番号1と異なり、或いは
配列番号11、15、16、18又は54のアミノ酸1から442、
配列番号63のアミノ酸1から443、
配列番号57又は59のアミノ酸1から444、
配列番号7、8、9、10、12、13、14、17、19、20、55、56又は58のアミノ酸1から445、
配列番号23又は24のアミノ酸1から446、
配列番号1又は3のアミノ酸1から446又は2から446、
配列番号25又は26のアミノ酸1から447、或いは
配列番号4、5又は27のアミノ酸1から447、2から447又は3から447、
配列番号61又は62のアミノ酸1から449、
配列番号60のアミノ酸1から453、及び
配列番号6、21又は22のアミノ酸1から454
からなる群から選択されるOFR0657nI関連領域から本質的になる又は該OFR0657nI関連領域からなる。
【0047】
示されたアミノ酸から「本質的になる」という表記は、示されたアミノ酸が存在し、追加のアミノ酸が存在してもよいことを示す。追加のアミノ酸は、カルボキシル又はアミノ末端位とすることができる。異なる実施態様においては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の追加のアミノ酸が存在する。好ましい実施態様においては、メチオニンがアミノ末端に存在し、又はメチオニン−グリシンがアミノ末端に存在する。
【0048】
本発明の実施態様において、このポリペプチドは、配列番号42と少なくとも90%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むその断片からなる。異なる実施態様において、配列番号42に関して、このポリペプチドは、配列番号42と少なくとも94%又は少なくとも99%同一であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25の変更、最大50の変更、或いは最大65の変更によって配列番号42と異なり、配列番号42又は
配列番号11、15、16、18若しくは54のアミノ酸1から477、
配列番号63のアミノ酸1から478、
配列番号57若しくは59のアミノ酸1から479、
配列番号7、8、9、10、12、13、14、17、19、20、55、56若しくは58のアミノ酸1から480、
配列番号23若しくは24のアミノ酸1から481、
配列番号1若しくは3のアミノ酸1から481若しくは2から481、
配列番号25若しくは26のアミノ酸1から482、
配列番号4、5若しくは27のアミノ酸1から482、2から482若しくは3から482、
配列番号61若しくは62のアミノ酸1から484、
配列番号60のアミノ酸1から488、及び
配列番号6、21若しくは22のアミノ酸1から489
からなる群から選択されるOFR0657nI+関連領域から本質的になる或いは配列番号42又は該OFR0657nI+関連領域からなる。
【0049】
本発明の別の実施態様において、このポリペプチドは、配列番号3と少なくとも90%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1に構造的に関係するアミノ酸配列を含むその断片からなる。異なる実施態様においては、配列番号3に関して、このポリペプチドは、配列番号3と少なくとも94%若しくは少なくとも99%同一であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25の変更、最大50の変更又は最大65の変更によって配列番号3と異なり、或いは配列番号3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、54、55、56、57、58、59、60、61、62及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる又は該アミノ酸配列から本質的になる。
【0050】
さらに別の実施態様において、このポリペプチドは、最初のメチオニンの後にグリシンが挿入されて修飾された配列番号2のポリペプチドからなる又は該ポリペプチドから本質的になり、或いは最初のメチオニンを含まないかかるポリペプチドからなる又は該ポリペプチドから本質的になる。
【0051】
さらに別の実施態様において、このポリペプチドは精製ポリペプチドである。「精製ポリペプチド」は、それに天然に付随する1個以上の他のポリペプチドを欠く環境中に存在し、および/又は存在する総タンパク質量の少なくとも約10%に相当する。異なる実施態様において、精製ポリペプチドは、試料又は調製物中の総タンパク質量の少なくとも約50%、少なくとも約75%又は少なくとも約95%である。
【0052】
さらに別の実施態様において、このポリペプチドは「実質的に精製されている」。実質的に精製されたポリペプチドは、このポリペプチドに天然に付随するすべて又は大部分の他のポリペプチドを欠く環境中に存在する。例えば、実質的に精製されたS.アウレウスポリペプチドは、すべて又は大部分の他のS.アウレウスポリペプチドを欠く環境中に存在する。環境は、例えば、試料又は調製物とすることができる。
【0053】
「精製された」又は「実質的に精製された」という表記は、ポリペプチドが精製にかけられる必要はなく、例えば、精製されていない化学合成ポリペプチドを含むことができる。
【0054】
ポリペプチドの安定性は、ポリペプチドカルボキシル又はアミノ末端を修飾することによって高めることができる。可能な修飾の例としては、アセチル、プロピル、スクシニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニルなどのアミノ末端保護基、及びアミド、メチルアミド、エチルアミドなどのカルボキシ末端保護基が挙げられる。
【0055】
本発明の実施態様において、防御ポリペプチドは、ポリペプチドと、カルボキシ末端又はアミノ末端においてポリペプチドに共有結合した1個以上の追加の領域又は部分とからなる免疫原の一部である。各領域又は部分は、以下の諸性質、免疫応答を増強する性質、精製を容易にする性質又はポリペプチドの安定性を高める性質、の少なくとも1つを有する領域又は部分から独立に選択されるべきである。このポリペプチドの安定性は、例えば、アミノ又はカルボキシ末端上に存在することができるポリエチレングリコールなどの基を用いて高めることができる。
【0056】
ポリペプチドの精製は、精製を容易にする基をカルボキシル又はアミノ末端に付加することによって強化することができる。精製を容易にするために使用することができる基の例としては、親和性タグを与えるポリペプチドが挙げられる。親和性タグの例としては、6−ヒスチジンタグ、trpE、グルタチオン及びマルトース結合タンパク質が挙げられる。
【0057】
ポリペプチドの免疫応答生成能力は、免疫応答を一般に高める基を用いて増強することができる。ポリペプチドに対する免疫応答を高めるためにポリペプチドに結合させることができる基の例としては、IL−2などのサイトカインが挙げられる。(Buchan等、2000. Molecular Immunology 37:545〜552)。
【0058】
ポリペプチド製造
ポリペプチドは、化学合成を含む標準技術及びポリペプチドを産生する細胞からの精製を含む標準技術を含めた標準技術を用いて製造することができる。ポリペプチドの化学合成技術は当分野で周知である(例えば、Vincent、Peptide and Protein Drug Delivery、New York、N.Y.,Dekker、1990を参照されたい)。
【0059】
細胞からのポリペプチド精製技術を以下の実施例に示す。精製技術の別の例は当分野で周知である。(例えば、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜2002を参照されたい)。
【0060】
細胞からのポリペプチドの取得は、ポリペプチドを生産する組換え核酸技術を用いて促進される。ポリペプチドを生産する組換え核酸技術は、ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を細胞中に導入し又は細胞中で生産し、ポリペプチドを発現させることを含む。
【0061】
組換え遺伝子は、ポリペプチド発現の調節要素と一緒にポリペプチドをコードする核酸を含む。組換え遺伝子は細胞ゲノム中に存在することができ、又は発現ベクターの一部とすることができる。
【0062】
組換え遺伝子の一部として存在し得る調節要素としては、ポリペプチドコード配列に天然に付随する調節要素、ポリペプチドコード配列に天然には付随しない外来性調節要素などがある。外来性プロモーターなどの外来性調節要素は、特定の宿主において組換え遺伝子を発現させるのに有用であり得、又は発現レベルを増加させるのに有用でがあり得る。一般に、組換え遺伝子中に存在する調節要素としては、転写プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーターなどが挙げられ、場合によってはオペレーターが存在してもよい。真核細胞におけるプロセシングに好ましい要素はポリアデニレーションシグナルである。
【0063】
組換え遺伝子の細胞中での発現は、発現ベクターを使用することによって促進される。組換え遺伝子に加えて発現ベクターは、宿主細胞において自己複製するための複製開始点、選択マーカー、限定数の有用な制限酵素部位及び高複製能力も含むことが好ましい。発現ベクターの例は、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特異的に設計されたプラスミド及びウイルスなどである。
【0064】
遺伝コードの縮重のために、多数の異なるコード核酸配列を使用して特定のポリペプチドをコードすることができる。遺伝コードの縮重は、ほぼすべてのアミノ酸が3個のヌクレオチド、すなわち「コドン」の異なる組み合わせによってコードされているために発生する。アミノ酸は、コドンによって以下のとおりコードされる。
【0065】
A=Ala=アラニン:コドンGCA、GCC、GCG、GCU
C=Cys=システイン:コドンUGC、UGU
D=Asp=アスパラギン酸:コドンGAC、GAU
E=Glu=グルタミン酸:コドンGAA、GAG
F=Phe=フェニルアラニン:コドンUUC、UUU
G=Gly=グリシン:コドンGGA、GGC、GGG、GGU
H=His=ヒスチジン:コドンCAC、CAU
I=Ile=イソロイシン:コドンAUA、AUC、AUU
K=Lys=リジン:コドンAAA、AAG
L=Leu=ロイシン:コドンUUA、UUG、CUA、CUC、CUG、CUU
M=Met=メチオニン:コドンAUG
N=Asn=アスパラギン:コドンAAC、AAU
P=Pro=プロリン:コドンCCA、CCC、CCG、CCU
Q=Gln=グルタミン:コドンCAA、CAG
R=Arg=アルギニン:コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、CGU
S=Ser=セリン:コドンAGC、AGU、UCA、UCC、UCG、UCU
T=Thr=トレオニン:コドンACA、ACC、ACG、ACU
V=Val=バリン:コドンGUA、GUC、GUG、GUU
W=Trp=トリプトファン:コドンUGG
Y=Tyr=チロシン:コドンUAC、UAU
【0066】
ORF0657n関連ポリペプチドの組換え核酸発現に適切な細胞は原核生物及び真核生物である。原核細胞の例としては、E.コリ(E.coli)、S.アウレウス(S.aureus)などのスタフィロコッカス(Staphylococcus)属のメンバー、L.プランタルム(L.plantarum)などのラクトバチルス(Lactobacillus)属のメンバー、L.ラクティス(L.lactis)などのラクトコッカス(Lactococcus)属のメンバー及びB.サブチリス(B.subtilis)などのバチルス(Bacillus)属のメンバーが挙げられる。真核細胞の例としては、哺乳動物細胞、昆虫細胞、サッカロミセス(Saccharomyces)属のメンバー(例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、ピキア(Pichia)属のメンバー(例えば、P.パストリス(P.pastoris))、ハンゼヌラ(hansenula)属のメンバー(例えば、H.ポリモルファ(H.polymorpha))、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属のメンバー(例えば、K.ラクティス(K.lactis)又はK.フラギリス(K.fragilis))及びシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属のメンバー(例えば、S.ポンベ(S.pombe))などの酵母細胞が挙げられる。
【0067】
組換え遺伝子製造技術、細胞への導入及び組換え遺伝子発現は当分野で周知である。かかる技術の例は、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜2002、Sambrook等、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、2nd Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989などの参考文献にある。
【0068】
特定の宿主における発現は、必要に応じて、コドンを最適化することによって促進することができる。コドンの最適化は、より好ましいコドンの使用を含む。様々な宿主におけるコドン最適化技術が当分野で周知である。
【0069】
ORF0657n関連ポリペプチドは翻訳後修飾、例えば、N−結合型グリコシル化、O−結合型グリコシル化又はアセチル化を含むことができる。「ポリペプチド」又はポリペプチドの「アミノ酸」配列という表記は、哺乳動物、昆虫又は酵母宿主細胞などの宿主細胞由来の、翻訳後修飾構造を有する1個以上のアミノ酸を含むポリペプチドも含む。
【0070】
翻訳後修飾は、化学的に又は適切な宿主を利用して行うことができる。例えば、S.セレビシエにおいては、最後から2番目のアミノ酸の性質によってN末端メチオニンが除去されるかどうかが決まると考えられる。また、最後から2番目のアミノ酸の性質によって、N末端のアミノ酸がNα−アセチル化されるかどうかも決まる(Huang等、Biochemistry 26:8242〜8246、1987)。別の例としては、分泌性リーダー(例えば、シグナルペプチド)が存在するために分泌の標的となる、N−結合型又はO−結合型グリコシル化によって修飾されたポリペプチドが挙げられる。(Kukuruzinska等、Ann. Rev. Biochem. 56:915〜944、1987)。
【0071】
酵母発現
ORF0657n関連ポリペプチドは、酵母発現に対して最適化されたコドンを含むコード核酸を用いて好ましくは酵母中で発現される。酵母中での発現は、ORF0657n関連ポリペプチドと酵母発現の調節領域とをコードする組換え遺伝子を用いて実施することができる。使用される発現系に応じて、産生されるタンパク質は細胞内に残留することができ、又は細胞外に排出することができる。
【0072】
組換え遺伝子発現用プロモーターは、酵母ガラクトース遺伝子クラスター由来のプロモーター(GAL1、GAL7、GAL1O、MEL1などのGALプロモーター)、酸性ホスファターゼPH05プロモーター、アルコール脱水素酵素II ADH2プロモーター、銅によって調節されるメタロチオネインCUP1プロモーターなどの誘導性プロモーターであることが好ましい。使用することができる「構成」プロモーターの例は、GAP(TDH)、PGK又はTP1プロモーターである。(Romanos等、YEAST 8:423〜488、1992)。
【0073】
組換え発現に使用される酵母宿主細胞は、組換え遺伝子発現を容易にするように選択又は操作することができる。mnn9、prb1及び/又はpep4変異などの変異が一般に望ましい。GALプロモーターからの発現を増加させるために、GAL4転写因子の過剰発現を実施することができる(Hopper他、米国特許第5,068,185号)。
【0074】
特定の宿主に対するコドン最適化は、低使用レベル又は中程度の使用レベルのコドンを高発現レベルのコドンと置換することによって実施される。コード配列中に存在する最適なコドンの割合は変わり得る。異なる実施態様においては、(最初に存在したコドン及び導入されたコドンを含めて)最適なコドンの数は、コドン総数の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも95%又は100%である。
【0075】
コドン最適化は以下のとおり実施することができる。
1. 特定のコドンについて、酵母遺伝子による全体的コドン使用頻度と野生型コドンの頻度を比較する。
2. コドンが、酵母によって一般に使用されるコドンの1つではない場合には、それを酵母細胞における高発現に最適なコドンと置換する。
3. 所望のコドン最適化レベルに達するまで、異なるコドンに対してステップ(1)と(2)を繰り返す。
4. 望ましくない制限酵素部位、スプライス部位、プロモーター、望ましくないパリンドローム構造又は反復配列、転写ターミネーター配列、高頻度のGC塩基対などの生成される望ましくない配列について新しいコード配列を検査する。代替コドンを用いて望ましくない配列を除去する。
【0076】
代替コドンの使用は、Lathe、J. Molec. Biol.、183:1〜12、1985に記載されている。様々な酵母宿主におけるコドンの使用は当分野で周知である。例えば、Sharp等、Yeast 7:657〜678、1991は、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における同義コドンの使用を記載している。
【0077】
図8Cから8Mに酵母最適化核酸配列を示す。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、メチオニンアミノ末端を含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34から41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【0078】
酵母発現は、最適化配列、及び酵母発現に対して最適化されていない配列(例えば、配列番号29のヌクレオチド1から1935又は124から1458或いは配列番号30のヌクレオチド1から1710)を用いて実施することができる。最適化配列及び非最適化配列を用いた酵母発現技術を下記実施例に示す。
【0079】
ORF0657nは、保存「LPXTG」モチーフを有する36アミノ酸C末端細胞壁局在化シグナルを含む表面タンパク質である。(Schneedwind等 1993、EMBO、12:4803〜4811、1993)。細胞壁局在化シグナルを含むタンパク質は、膜結合性タンパク質sortaseによって触媒されるペプチド転移機構によって細胞壁エンベロープに連結される(Mazmanian等、Science 299:906〜909、2001)。連結するためには、表面タンパク質は、分泌性経路に搬出するためのN末端シグナルペプチドも含まなければならない。分泌性経路においては、シグナルペプチドが除去され、細胞壁局在化シグナルによって分泌性経路中に保持することが容易になる。次いで、Sortaseは、LPXTGモチーフのトレオニンとグリシンを切断し、トレオニンのカルボキシル基とペプチドグリカン架橋のアミノ基とのアミド結合の形成を触媒する。
【0080】
酵母中の発現は、細胞壁局在化配列(cell wall sorting sequence)を除去することによってかなり増加することが見出された。異なる実施態様においては、ポリペプチドをコードする構築体は機能的細胞壁局在化コード配列を欠き、より好ましくは機能的細胞壁局在化及びシグナルペプチドコード配列を欠く。対応する好ましいORF0657n関連ポリペプチドは、機能的細胞壁局在化配列、又は細胞壁局在化配列とシグナルペプチド配列の両方を欠く。
【0081】
異なる実施態様においては、細胞壁局在化配列又は細胞壁局在化配列とシグナルペプチド配列の両方の少なくとも実質的にすべてが、ポリペプチド又はポリペプチドをコードする核酸中に存在することはない。異なる実施態様においては、タンパク質発現は、細胞壁局在化配列又は細胞壁局在化配列とシグナルペプチド配列の両方の少なくとも実質的にすべてを除去することによって、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍又は少なくとも約20倍増加する。より好ましくは、コード用構築体は、酵母(例えば、S.セレビシエ)発現に最適化された1個以上のコドンも含む。
【0082】
ORF0657n細胞壁局在化及びシグナルペプチド配列に近い領域の例を配列番号2に関して説明することができる。アミノ酸1から42はシグナルペプチド配列を含む。アミノ酸609から645は細胞壁局在化配列を含む。
【0083】
アジュバント
アジュバントは、免疫原が免疫応答を生じるのを補助することができる物質である。アジュバントは、抗原の生物学的又は免疫学的半減期の増加、抗原提示細胞への抗原送達の向上、抗原プロセシングの向上及び抗原提示細胞による提示、並びに免疫調節性サイトカインの産生誘導の1つ以上などの異なる機序によって機能することができる。(Vogel、Clinical Infectious Diseases 30(suppl. 3):S266〜270、2000)。
【0084】
様々な異なるタイプのアジュバントを使用して免疫応答の生成を補助することができる。特定のアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム又は他のアルミニウム塩、リン酸カルシウム、DNA CpGモチーフ、モノホスホリル脂質A、コレラ毒素、E.コリ熱不安定性毒素、百日咳毒素、ムラミルジペプチド、フロイント不完全アジュバント、MF59、SAF、免疫賦活性複合体、リポソーム、生分解性ミクロスフェア、サポニン、非イオン性ブロック共重合体、ムラミルペプチドアナログ、ポリホスファゼン、合成ポリヌクレオチド、IFN−γ、IL−2、IL−12及びISCOMSが挙げられる。(Vogel Clinical Infectious Diseases 30(suppl 3):S266〜270、2000、Klein等、Journal of Pharmaceutical Sciences 89:311〜321、2000、Rimmelzwaan等、Vaccine 19:1180〜1187、2001、Kersten Vaccine 21:915〜920、2003、O’Hagen Curr. Drug Target Infect. Disord.、1:273〜286、2001)。
【0085】
防御免疫を誘導するための患者
「患者」とは、S.アウレウスに感染し得る哺乳動物を指す。患者は、予防又は治療上の処置を受けることができる。予防的治療によって、S.アウレウス感染の可能性又は重症度を抑制するのに十分な防御免疫が得られる。治療上の処置は、S.アウレウス感染の重症度を軽減するために実施することができる。
【0086】
予防的治療は、本明細書に記載された免疫原を含むワクチンを用いて実施することができる。かかる治療は好ましくはヒトに対して実施される。ワクチンは一般の人又はS.アウレウス感染のリスクが高い人に投与することができる。
【0087】
アウレウス感染のリスクが高い人としては、医療従事者、病院患者、免疫系の低下した患者、手術中の患者、カテーテル、血管装置などの異物移植片を受けた患者、免疫低下をもたらす治療を受けた患者、火傷又は創傷患者、火傷又は創傷のリスクが高い職業の人などが挙げられる。(The Staphylococci in Human Disease、Crossley and Archer(ed.)、Churchill Livingstone Inc. 1997)。
【0088】
S.アウレウスに感染し得る非ヒト患者としては、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスなどが挙げられる。非ヒト患者の治療はペット及び家畜の保護並びに特定の治療の効力の評価に有用である。
【0089】
既往反応
ORF0657n関連ポリペプチドは、アカゲザルにおいて単回投与後に迅速で有効な免疫応答を生じることが見出された。(下記実施例17参照)。観察された応答は既往反応と一致した。
【0090】
既往反応の発生は、単回投与によって有効な免疫をもたらすことができ、短期間で有効な免疫をもたらすなどの大きな利点がある。異なる実施態様においては、既往反応によって相乗平均力価が既存の力価の少なくとも3倍、少なくとも5倍又は少なくとも6倍増加し、この増加は3、5、7、9、14又は21日以内に生じる。
【0091】
有効な免疫応答を素早く生じることができることによって、複数回投与ワクチン接種よりも費用を節約し、S.アウレウス感染のリスクが高い患者のワクチン接種に使用することができる。アウレウス感染のリスクが高い人としては、医療従事者、病院患者、免疫系の低下した患者、手術中の患者、カテーテル、血管装置などの異物移植片を受けた患者、免疫低下をもたらす治療を受けた患者、火傷又は創傷患者、火傷又は創傷のリスクが高い職業の人などが挙げられる。(The Staphylococci in Human Disease、Crossley and Archer(eds.)、Churchill Livingstone Inc. 1997)。異なる実施態様においては、患者は、医療処置直後或いは3、5、7、9、14又は21日以内にワクチン接種される。
【0092】
混合ワクチン
防御免疫を与えるORF0657n関連ポリペプチドは、単体で使用し又は他の免疫原と併用して免疫応答を誘導することができる。使用することができる追加の免疫原としては、上記発明の背景に記載のものなどの1個以上の追加のS.アウレウス免疫原、S.エピデルミディス(S.epidermidis)、S.ヘモリティカス(S.haemolyticus)、S.ワーネリ(S.warneri)、S.ルグネンシス(S.lugunensis)などの1個以上の他のスタフィロコッカス(Staphylococcus)生物を標的とする1個以上の免疫原、他の感染性生物を標的とする1個以上の免疫原などが挙げられる。
【0093】
動物モデル系
動物モデル系を用いて、S.アウレウスに対する防御免疫応答を生じるポリペプチドの効力を評価した。防御動物モデルを設定する際に遭遇した2つの障害は、(1)自然免疫に打ち勝つために必要な投与量が極めて多いこと、及び(2)死亡速度が速すぎて防御応答を検出できないことであった。具体的には、マウスは細菌投与後24時間以内に感染のために死亡し、感染を分析するための具体的な免疫応答には時間が短かった。用量を減少させると、対照と免疫マウスの両方が感染から生き延びた。
【0094】
これらの障害は、定常期の細胞から調製され、適切に力価が設定され、静脈内投与されたS.アウレウスを含む速度の遅い致死モデルを用いることによって対処された。死亡速度が遅いことによって、細菌感染を撃退する具体的な免疫防御に十分な時間(例えば、24時間ではなく10日)が得られる。
【0095】
定常期のS.アウレウス細胞は、固体培地上で増殖された細胞から得ることができる。これは液体からも得ることができるが、固体培地上で増殖された細胞の結果はより再現性があった。細胞は、好都合には、固体培地上で終夜増殖させることができる。例えば、S.アウレウスは、倍加時間が約20分から30分という条件下で約18から24時間増殖させることができる。
【0096】
スタフィロコッカスは、スタフィロコッカスの能力を維持する標準技術を用いて固体培地又は液体培地から単離することができる。単離されたスタフィロコッカスは、例えば、グリセリンを含むリン酸緩衝食塩水中の洗浄された高密度懸濁液(>109コロニー形成単位(CFU)/mL)として−70℃で保存することができる。
【0097】
スタフィロコッカス投与は、動物モデルにおいて第1日又は第2日から始まり約7日から10日の期間にわたって約80%から90%の死亡をもたらす効力を有するべきである。滴定実験は、保存されたスタフィロコッカス接種材料の効力をモニターするために動物モデルを用いて実施することができる。力価測定実験は、接種実験の約1から2週間前に実施することができる。
【0098】
力価測定実験の最初の力価は以前の実験をもとにすることができる。動物モデル系統がBeckerの場合、適切なS.アウレウス投与量は一般に5×108から8×108CFU/mLであった。
【0099】
投与
免疫原は、当分野で周知の技術と一緒に本明細書の指針を用いて処方し、患者に投与することができる。薬剤投与指針は、一般に、例えば、Vaccines Eds. Plotkin and Orenstein、W.B. Sanders Company、1999;Remington’s Pharmaceutical Sciences 20th Edition、Ed. Gennaro、Mack Publishing、2000;及びModern Pharmaceutics 2nd Edition、Eds. Banker and Rhodes、Marcel Dekker,Inc.、1990に記載されている。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
薬剤として許容される担体は、保存及び免疫原の患者への投与を容易にする。薬剤として許容される担体は、緩衝剤、注射用滅菌水、等張食塩水又はリン酸緩衝食塩水、スクロース、ヒスチジン、塩、ポリソルベートなどの異なる成分を含むことができる。
【0101】
免疫原は皮下、筋肉内、粘膜などの異なる経路によって投与することができる。皮下及び筋肉内投与は、例えば、針又は噴射式注射器を用いて実施することができる。
【0102】
適切な投薬計画は、患者の年齢、体重、性別及び健康状態、投与経路、所望の効果並びに使用される特定の化合物を含めて当分野で周知の要因を考慮して好ましくは決定される。免疫原は、複数回投与ワクチン形式で使用することができる。1回分は全ポリペプチド1.0μgから1.0mgからなると予想される。本発明の異なる実施態様においては、この範囲は0.01mgから1.0mg及び0.1mgから1.0mgである。
【0103】
投与のタイミングは当分野で周知の要因によって決まる。最初の投与後、特定の個体に必要な場合には、続いて抗体価を維持又は増大させるために1回以上の追加量を投与することができる。投薬計画の例は、1日目、1ヶ月、4、6又は12ヶ月での第3の用量、及び必要に応じ久しく隔たった時間でのさらなる追加量である。
【0104】
抗体の産生
防御免疫を誘導することができるORF0657関連ポリペプチドは、ポリペプチド又はS.アウレウスに結合する抗体及び抗体断片を産生するために使用することができる。かかる抗体及び抗体断片は、ポリペプチド精製、S.アウレウスの識別、或いはS.アウレウス感染に対する治療処置又は予防的治療における使用を含めて様々な用途を有する。
【0105】
抗体はポリクローナル又はモノクローナルとすることができる。抗体を産生し使用する技術は当分野で周知である。かかる技術の例は、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley、1987〜1998、Har1ow等、Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988及びKohler等、Nature 256:495〜497、1975に記載されている。
【0106】
(実施例)
本発明の様々な特徴をさらに説明する実施例を以下に示す。これらの実施例は、本発明を実施するために有用な方法も説明する。これらの実施例は、請求する本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0107】
防御免疫をもたらすORF0657n領域の使用
この実施例は、防御免疫をもたらす完全長ORF0657n領域の能力を示す。
ORF0657nクローニング及び発現
PCRプライマーは、第1のアスパラギン残基で始まり末端アスパラギン残基の終止コドン前で終わるORF0657nをコードする遺伝子を増幅するように設計された。これらのPCRプライマーは、発現ベクターへのクローニングを容易にする追加のNcoI(順方向プライマー)及びXhoI(逆方向プライマー)部位も有した。
【0108】
コードされたタンパク質は、末端His残基とベクターによってコードされる終止コドンとを有するpET28ベクターから発現されるように設計された。また、グリシン残基をタンパク質の開始メチオニンの後に添加した。生成した増幅DNA配列はカルボキシルHisタグORF0657n(配列番号28)をコードする。
【0109】
PCR増幅配列は、PCRプライマー中に操作されE.コリDH5α(Invitrogen)中に熱ショックによって導入されたNcoI/XhoI部位を用いてpET28ベクター(Novagen)に連結された。形質転換混合物は、100μg/mLカナマイシンを含むLuria−Bertani(LB)寒天板上で37℃で終夜増殖された。コロニーが選択され、30μg/mLカナマイシンを含むLB中で増殖され、DNAミニプレップが作製され(Promega)、挿入の完全性が制限消化及びPCRによって求められた。正確な挿入サイズの4個のミニプレップを、プライマーM13F(配列番号65)、M13R(配列番号66)、ORF0657nF(配列番号67)及びORF0657nR(配列番号68)を用いて配列決定した。所望の配列からのDNA変化を含まないクローンを選択した。
【0110】
E.コリHMS174(DE3)細胞(Novagen)を形質転換し、カナマイシン(30μg/mL)を含むLBプレート上で増殖させ、発現試験用に3つのコロニー(UnkC−1、UnkC−2及びUnkC−3)を選択した。液体LB(カナマイシン)培養物をA600が0.6から1.0になるまで37℃、250rpmでインキュベートし、次いで、IPTGを最終濃度1mMまで追加することによって誘導し、続いてさらに3時間インキュベートした。4℃で5000×gで5分間遠心分離して培養物を回収した。細胞を500μL溶解緩衝剤(Bug Buster、プロテアーゼ阻害剤を含む、Novagen)中に再懸濁した。(5%最終体積までβ−メルカプトエタノールが補充された)等体積のローディングバッファーを試料に添加し、70℃で5分間加熱した。抽出物をNovex 4〜20%Tris−グリシンゲル上に流し、タンパク質を可視化し(クーマシーブルー染色)、ニトロセルロース上にブロットし、抗HIS6抗体(Zymed)で精査した。
【0111】
ORF0657n精製
上記小規模手順を作業体積が50リットルである撹拌発酵槽(75リットルスケール)に直接スケールアップした。Luria−Bertani(LB)培地(+カナマイシン)50mLを含む250mLフラスコ中で接種材料を培養し、凍結種培養1mLを接種し、3時間培養した。この種培養1mLを使用して、LB培地(+カナマイシン)500mLを含む2リットルフラスコに接種し、16時間インキュベートした。大規模発酵槽(75リットルスケール)をLB培地(+カナマイシン)50リットルと一緒に培養した。発酵槽の発酵パラメータは、圧力=5psig(30kPa)、撹拌速度=300rpm、気流=15リットル/分及び温度=37℃であった。細胞を光学濃度(OD)0.8光学濃度単位まで波長600nMでインキュベートし、濃度1mMのイソプロピル−β−K−チオガラクトシド(IPTG)を用いて誘導した。IPTGによる誘導時間は3時間であった。温度を15℃に低下させて細胞を収集し、500KMWCO中空繊維カートリッジを通して濃縮し、9,000×重力で4℃で20分間遠心分離した。上清をデカントし、組換えE.コリウェット細胞ペレットを−70℃で凍結させた。
【0112】
組換えE.コリ細胞(19.2gウェット細胞重量)を溶解緩衝剤(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.1M NaCl、2mM MgCl2、10mMイミダゾール、0.1%Tween(商標)−80及び6Mグアニジン−HCl)に8mL/グラム細胞湿重量で懸濁した。ポリ(ヒスチジン)タグ付きタンパク質(Sigma、P8849)と一緒に使用されるプロテアーゼ阻害剤カクテルを懸濁液に0.05mL/グラム細胞ペーストで添加した。さらに、リゾチームを1mg/mL添加し、Benzonase(商標)(EM Ind.)を1μL/mL添加した。細胞溶解は、懸濁液をマイクロフルイダイザー(Microfluidicsモデル110S)に14,000PSI(96MPa)で4℃で4回通過させて実施された。細胞片を11,000×gで4℃で30分間ペレット化し、上清を保持した。
【0113】
Hisタグを有するタンパク質を上清から精製した。上清をNi+−NTAアガロース(Qiagen)20mLと4℃で2時間静かに反転させて混合した。混合物をオープンカラム(1.5cm×20cm)にあけ、非結合画分をバルクで収集した。カラムを洗浄緩衝剤(20mM Tris−HCl、pH8.0、0.15M NaCl、0.1%Tween(商標)−80)で洗浄した。Hisタグ付きORF0657nを300mMイミダゾール、20mM Tris−HCl、pH7.5、0.15M NaCl、0.1%Tween(商標)−80の段階的勾配によって溶出させた。
【0114】
HisタグORF0657n(配列番号28)を含む画分をクーマシー染色SDS−PAGEによって検出し、貯蔵した。貯蔵画分を0.2ミクロンフィルターを通してろ過して粒子材料を除去し、サイズ排除カラム(Sephacryl S−300 26/60カラム、Amersham Biosciences)にかけ、10mM MOPS pH7.1、150mM NaClによって1mL/minで溶出させた。HisタグORF0657nを含む画分をクーマシー染色SDS−PAGE及びウエスタンブロット法(anti−tetra His Mab、Qiagen)によって検出した。内毒素をZeta−Plus(商標)Biofilter(CUNO)を通してろ過除去した。タンパク質濃度をBCA(Pierce)によって測定した。純度をクーマシー染色ゲルの濃度測定によって測定した。
【実施例2】
【0115】
S.アウレウス抗原の調製
S.アウレウスをTryptic Soy Agar(TSA)(Becton Dickinson、Sparks、MD)プレート上で37℃で終夜増殖させた。PBS5mLをプレートに添加することによってこの細菌をTSAプレートから洗浄し、無菌延展機を用いて細菌を静かに再懸濁した。細菌懸濁液をSorvall RC−5B遠心分離機(DuPont Instruments)によって6000rpmで20分間遠心分離した。ペレットを16%グリセリンに再懸濁し、一定分量を−70℃で凍結保存した。
【0116】
使用前に、接種材料を解凍し、適切に希釈し、感染に使用した。各貯蔵物を少なくとも3回滴定して、未処置のマウスにおいて遅い死亡速度をもたらす適切な用量を決定した。(マウスの80から90%を死滅させることができる)細菌接種材料の効力を絶えずモニターしてモデルの再現性を確保した。各投与実験の10日前に、10匹の(アジュバントのみで免疫された)対照動物群に投与し、モニターした。
【実施例3】
【0117】
Hisタグ付きORF0657n関連ポリペプチドを用いた防御試験
25匹のBALB/cマウスに、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(450μg/回)上のHisタグORF0657n(配列番号28)20μg/回を3回投与して免疫した。アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)は、Klein等、Journal of Pharmaceutical Sciences 89、311〜321、2000に記載されている。各用量は0、7及び21日目に2回の50μL筋肉内注射として投与された。28日目にマウスから採血し、その血清をHisタグORF0657nに対する反応性についてELISAによってスクリーニングした。
【0118】
実験の35日目に、増殖されたS.アウレウスを静脈内注射によって、力価測定実験で決定された約2から7日の致死用量(7.3×108CFU/mL)でマウスに投与した。この遅い死亡速度の致死モデルにおける生存を、AHPのみで偽免疫されたマウスの対照群に対して評価した。マウスの生存を14日間モニターした(図3A)。実験の最後には、AHP対照群では3匹のマウスが生存したのに対してORF0657n免疫群では11匹が生存した。
【0119】
図3B及び3CにORF0657nH及びORF0657nI領域に対応するポリペプチドを用いた防御を示す。図3Bに、カルボキシルHisタグを含む配列番号4による防御を示す。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。
【実施例4】
【0120】
ORF0657n配列の入手
ORF0657nは、S.アウレウス鉄取得においてある役割を有することに関与している。(Andrade等、Genome Biology 3(9):47.1〜47.5、2003)。ORF0657n配列は、その一部は出所が異なり、参考文献によって名称が異なる。(例えば、Etz等、PNAS USA、99:6573〜6578、2002(LPXTGVI);Baba等、The Lancet 359:1819〜1827、2002(MW1011);Kuroda等、The Lancet 357、1225〜1240、2001(SA0976);Andrade等、Genome Biology 3(9):47.1〜47.5、2003(S_aur2);Mazmanian等、Science 299:906〜909、2003(isdB);Mazmanian等、Molecular Microbiology 40:1049〜1057、2001(sasJ);及びTaylor等、Mol. Microbiol. 43:1603〜1614、2002(sirH)を参照されたい。
【0121】
ORF0657nタンパク質配列に対応するポリペプチド配列は、様々な特許公報に記載されているようである。(Meinke他、2002年8月1日に公表された国際公開第02/059148号、Wang他、2002年10月3日に公表された国際公開第02/077183号、Masignani他、2002年11月28日に公表された国際公開第02/094868号、Foster他、2002年12月27日に公表された国際公開第02/102829号及びFoster他、2003年2月13日に公表された国際公開第03/011899号)。
【0122】
ゲノムDNAは異なるS.アウレウス臨床分離株から得られた。臨床分離株をDifco Tryptic Soy Broth(Becton Dickinson、Sparks、MD)3mLに添加し、37℃、150rpmで終夜インキュベートした。終夜培養物を1.5mL Eppendorf管中で14,000rpmで5分間遠心分離した。ブロスをデカントし、ペレットを500μL再懸濁緩衝剤(25%スクロース、10mM Tris pH7.5)に再懸濁した2mg/mlリソスタフィン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)溶液の5μL一定分量を各再懸濁ペレットに添加した。次いで、懸濁液を37℃で1時間インキュベートした。
【0123】
インキュベーション期間の最後に2%SDS 250μLを各管に添加し、溶液の粘度が顕著に減少するまでボルテックス撹拌した。フェノール−クロロホルム−イソアミル溶液(25:24:1、v/v)(Gibco/Invitrogen Corporation、Grand Island、NY)250μLを添加した。混合物を30秒間ボルテックス撹拌し、14,000rpmで5分間遠心分離した。上部水相を除去し、界面がほとんど残らなくなるまで沈殿ステップを繰り返した。3M NaOAc、pH4.8 0.1体積を各管に添加し混合した。次いで、イソプロパノール1体積を添加し再度混合した。管を室温で5分間インキュベートし、次いで14,000rpmで15分間遠心分離した。上清をデカントし、管を組織上で逆さまにして乾燥させた。ペレットを無菌H2O 50μLに再懸濁した。
【0124】
単離DNAをPCR用テンプレートとして使用した。遺伝子を順方向プライマー(ORF0657nF、配列番号67)及び逆方向プライマー(ORF0657nR、配列番号68)を用いて増幅した。標準Big DyeプロトコルによってPCR産物の配列を決定した。
【実施例5】
【0125】
異なるS.アウレウス単離株由来のORF0657nの比較
ORF0657nは、病理学的及び分類学的に多様なS.アウレウス臨床分離株のコレクション全体にわたって十分に保存されていることが判明した。表3に、臨床分離株を含めた様々な単離株の同一割合をまとめる。
【0126】
【表3】
【0127】
同一性百分率(%ID)は、ポリペプチド配列を配列番号2と整列させ、同一アミノ酸の数を求めることによって決定された。この数は、(配列番号2の)アミノ酸総数で除算され、次いで100を掛け、最も近い整数に四捨五入された。
【実施例6】
【0128】
異なるS.アウレウス臨床分離株に対する防御
様々なS.アウレウス臨床分離株に対する免疫原としてのORF0657nの効力を、HisタグORF0657nを免疫原(配列番号28)として用いて評価した。表3に記載された分類学的に多様な単離株のサブセットを投与接種材料として使用した。これら様々な単離株のORF0657n配列は、使用されたワクチンOFR0657n配列とは異なった。
【0129】
得られた投与系統は、実施例2に記載の技術を用いて調製された。マウスは、実施例3に記載の技術を用いて免疫され投与され、10日間モニターされた。常法に従ってモデルに使用される投与接種材料は、ヒト感染において一般に遭遇する材料をはるかに凌駕する。
【0130】
防御は、メチシリン感受性系統と耐性系統の両方に対して実証された。結果を図4Aから4Hに示す。
【実施例7】
【0131】
酵母発現に対する配列番号28のコドン最適化
配列番号28のアミノ酸1から646をコードする核酸配列のコドンを酵母における発現に対して最適化した。配列番号28のアミノ酸1から646のコドン最適化配列を図8Cに示す(配列番号31)。
【0132】
カルボキシルHisタグコード領域を含まない配列番号29を最適化の出発構築体として使用した。最適化前のコード配列の全コドン使用頻度については、コドンの28%(179)は高度発現酵母遺伝子によってほとんど稀にしか又はまったく使用されず、20%(126)は控えめにしか使用されなかった。
【0133】
配列番号28のアミノ酸1から646をコードする核酸のコドン最適化は、酵母中での発現が低度又は中度のコドンを高度に発現されるコドンで置換して実施された。また、グリシンコドンを第2の位置に付加した。コドン最適化は、ソフトウエアプログラムMacDNAsis Pro V3.0を用いて実施された。タンパク質の逆翻訳に使用されたパラメータ表は、高度に発現されるS.セレビシエコドンを示している。MacDNAsis Proにおいて使用された機能は「翻訳>[タンパク質−−>DNA]」である。出力は「アミノ酸転化」と標題が付けられた。
【0134】
所与のアミノ酸に対して高度に発現されるコドンが2個以上あることもある。例えば、セリンは「TCT」又は「TCC」によってコードされる。これらの場合には、2個の異なるコドンがほぼ等しい数だけ使用された。表4は、高度に発現されるS.セレビシエコドンのコドン表である。
【0135】
【表4】
【0136】
配列番号31の中度に発現される遺伝子中のコドンに換えられた2個のアラニンコドン(ヌクレオチド505及び1546で始まるGCG)を除いて、最適でないコドンはすべて、高度に発現される酵母遺伝子中のコドンに換えられた。
【0137】
ORF0657nをコードする全配列は、最終の所望の配列をコードするようになされた25オリゴマー(配列番号69から93)のアニーリングと伸長によって調製された。これらのオリゴマーは85から110bp長であった。これらのオリゴマーは交互のORF0657nコード配列であった。各オリゴマーは、25から29bpが隣接オリゴマーと相補的に重複しており、その二重鎖はTmが80から84℃であった。これはGC塩基対に4℃及びAT塩基対に2℃の値を割り当てることによって手入力で計算された。
【0138】
7つの別個の伸長反応が3個又は4個の隣接重複オリゴマー、二重鎖Tm=70から72℃の長さ(23から26)ntのセンス及びアンチセンスPCRプライマーを用いて実施された。未変性Pfu DNAポリメラーゼ(STRATAGENE、La Jolla、CA)を以下のとおり「タッチダウン」戦略のPCR反応に使用した:95℃、90秒、1サイクル;95℃、30秒、55℃、30秒、68℃、3分を5サイクル、直後に第2の系列の反応;95℃、30秒、52℃、30秒、68℃、3分を20サイクル。68℃で7分間インキュベートして反応を完結した。これらのPCR反応の結果、7個の共直線性遺伝子断片が作製された(本明細書では便宜上1、2、3、4、5、6及び7と呼ぶ)。
【0139】
各断片はアガロースゲル電気泳動によって単離され、適切なサイズの産物が切除され、GENE CLEAN(登録商標)II法(QBIOgene、Carlsbad、CA)を用いて製造者によって推奨されたとおりに精製された。共直線性断片1、2及び3、共直線性断片4と5並びに共直線性断片6と7は、適切なプライマーを用いたその後のPCR反応で連結されて、それぞれ断片A、B及びCが得られた。次いで、断片A、B及びCが末端のセンス及びアンチセンスプライマーによって連結される追加のPCR反応によってORF0657nの完全な遺伝子が構築された。最終PCR産物をゲルによって単離し、製造者によって推奨されたとおりにpCR(登録商標)−Blunt II−TOPO(登録商標)(INVITROGEN、Carlsbad、CA)にクローン化した。いくつかの独立クローンのDNA配列を得て、間違いを確認した。
【0140】
間違いは、3個の独立クローンpUC3、pUC4及びpUC6の異なるセグメントについて、QUIK−CHANGE Site−directed Mutagenesis Kitを用いて逐次的に、又はQUIK−CHANGE Site−directed Multi Mutagenesis Kit(STRATAGENE、La Jolla、CA)を用いて同時に、製造者の推奨に従って修正された。最終の修正された配列は、3個のクローンからの修復された制限酵素断片を交換することによって得られた。クローンpUC4の修復された1.1kb XmnI断片をpUC3の対応するXmnI断片と交換してpUnkC13を構築した。pUC6の修復された456bp AccI断片をpUnkC13の対応する断片と交換してpUnkCR1を構築し、DNA配列を確認した。
【実施例8】
【0141】
組換え遺伝子発現用サッカロミセス セレビシエ系統の構築
この実施例では、組換え遺伝子発現用サッカロミセス セレビシエ系統を得るために使用することができる技術を説明する。1260及び1309と命名された系統の作製を以下に説明する。系統の遺伝的背景は異種タンパク質発現用系統の諸性質に大いに影響し得るので、やはりいくつかの望ましい遺伝マーカー、すなわち、(1)分泌されたタンパク質の過グリコシル化(hyperglycosylation)を防止するmnn9変異、(2)タンパク質分解に伴う問題を抑制するprb1及び/又はpep4プロテアーゼ変異及び(3)GALプロモーターからの発現を増大させるためのGAL4転写因子の過剰発現を含む遺伝的背景が異なる酵母系統を構築することが望ましい。
【0142】
1260と命名されたS.セレビシエ系統の構築
出発S.セレビシエ系統は以下のように構築された。S.セレビシエ系統Y379−5D(MATα、cyh2、nib1、rho−、cir°)(Livingston、Genetics 86:73〜84、1977)を系統DC04(MATa、ade1、adeX、leu2−04、cir°)(Broach等、Cell 21:501〜508、1980)と交雑させた。生成した二倍体系統を胞子にし、四分子を標準手順によって解体した。一倍体胞子の1つは系統2150−2−3(MATa、ade1、leu2−04、cir°)を生じた。α交配型S.セレビシエ系統LB−347−1C(MATα、mnn9)は、mnn9変異を含むS.セレビシエ系統X2180−1B(MATα、SUC2、mal、mel、gal2、CUP1;ATCC番号204504)である。LB−347−1Cを、YEHD完全培地寒天板(Carty等、J. Ind. Micro 2:117〜121、1987)上で該系統を混合することによって基準株2150−2−3(MATa、leu2−04、ade1)と交配させた。交配された系統を、二倍体用に選択するために、ロイシンを含まず唯一の炭素源として2%スクロースを含む最少培地上に蒔いてレプリカプレートを作製した。単一コロニーを単離した後、二倍体を胞子にし、子嚢を標準技術によって解体した。KHY−107系統を単一の一倍体胞子として単離し、(シッフ染色技術によって)ADE1、leu2及びmnn9として特徴づけた。凍結されたグリセリン貯蔵物とし、−70℃で貯蔵した。
【0143】
KHY−107(cir+)を−70℃貯蔵物から増殖させ、pMB9 DNAがpBR322 DNAで置換された以外は、酵母LEU2−d遺伝子を含みpJDB219(Beggs、Nature 275:104〜109、1978)に関係する酵母ベクターpC1/1で形質転換した。単離された形質転換体を(ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む)選択液体培地上で増殖させ、次いで(1Mソルビトールを含む)富栄養培地中で複数回継代増殖させてpC1/1と2μDNAの両方を取り除いた。(ロイシンを欠く培地では増殖することができない)pC1/1を失ったコロニーをDNA−DNAハイブリッド形成によって2μDNAの有無について検査した。2μDNAを示さない単離クローン、KHY−107(cir°)−1を選択し、凍結グリセリン貯蔵物(−70℃)とした。
【0144】
KHY−107(cir°)−1は遺伝子破壊によってura3にされた。Tn903由来のAph3’I遺伝子の2つのコピーによって破壊されたS.セレビシエURA3遺伝子を含むプラスミドが構築された。5’−URA3−Aph3’I−URA3−3’カセットをベクターから切除し、KHY−107(cir°)−1を形質転換するために使用した。破壊されたura3カセットを組み込んだ形質転換体が5−フルオロ−オロチン酸プレート(Kaiser,C.等、Methods in Yeast Genetics−1994 Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、(Cold Spring Harbor、New York;1994) 214〜215ページ)上で選択され、続いてウラシルを欠く培地上で増殖できないことが示された。1個の単離クローンKHY−107ura3(PN2)を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物とした。
【0145】
KHY−107ura3(PN2)を(1Mソルビトールを含む)天然培地上で増殖させ、次いでアルギニンの代わりにカナバニンを含む合成培地上に蒔き、カナバニン耐性(canR)変異体を得た。自発的なcanR変異体をアルギニンの代わりにカナバニンを含む固体合成培地上の単離コロニーに対して画線した。単離コロニーは標準の遺伝的相補性試験によってcan1であることが判明した。1つの単離can1コロニーDMY10を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物として保存した。
【0146】
酵母GAL4転写因子を過剰発現させるために、GAL10p−GAL4融合遺伝子をDMY10のHIS3遺伝子に組み込んだ。5’−HIS3−GAL10p−GAL4−URA3−HIS3−3’カセットをpKHint−C(Schultz等、Gene 61:123〜133、1987)から切除し、DMY10を形質転換するために使用した。そのカセットを組み込んだ形質転換体が、ウラシルを欠く固体合成培地上で選択され、続いてヒスチジンを欠く培地上で増殖できないことが判明した。HIS3部位にのみカセットが組み込まれたことがサザンブロット法によって確認された。1つの単離された要素DMY10int−3を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物とした。この系統はCF52と命名された。
【0147】
S.セレビシエPRB1遺伝子を有するプラスミドFP8ΔH(Moehle等、Genetics 115:255〜263、1987)をHindIII+XhoIで消化し、PRB1遺伝子を有する3.2kbp DNA断片をゲル精製し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にした。プラスミドpUC18をBamHIで消化し、ゲル精製し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にした。生成したベクター断片に上記PRB1遺伝子断片を連結してプラスミドpUC18−PRB1を得た。HIS3遺伝子を含むプラスミドYEp6(Struhl等、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA 76:1035、1979)をBamHIで消化した。機能的HIS3遺伝子を有する、生成した1.7kbp BamHI断片をゲル精製し、次いでT4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にした。PRB1コード配列内で切断しプロテアーゼB活性部位及びフランキング配列を除去するEcoRV+NcoIを用いてpUC18−PRB1ベクターを消化した。pUC18中のPRB1コード配列の残留5’及び3’部分を有する5.7kbp EcoRV−NcoI断片をゲル精製し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端にし、アルカリホスファターゼで脱リン酸化し、上記平滑末端HIS3断片を連結した。(pUC18−prb1::HIS3、ストック#1245と命名された)生成したプラスミドは、上で除去されたPRB1遺伝子の部分の代わりに機能的HIS3遺伝子を含む。
【0148】
PRB1遺伝子破壊ベクター(pUC18−prb1::HIS3)をSacI+XbaIで消化して、線状prb1::HIS3破壊カセットを作製し、酢酸リチウム法(Ito等、J Bacteriol. 153:163、1983)による系統CF52の形質転換に使用した。His+形質転換体をヒスチジンを欠く合成寒天培地上で選択し、クローン単離株用に同じ培地に再画線(restreak)した。いくつかの生成したHis+単離株からゲノムDNAを調製し、EcoRIで消化し、次いで0.8%アガロースゲル上で電気泳動させた。サザンブロット分析によって所望のprb1Δ::HIS3遺伝子破壊の存在を確認した。
【0149】
所望のprb1Δ::H1S3破壊を含む単離株の1つをさらに使用するために選択し、系統#1260と命名した。系統#1260の凍結グリセリン貯蔵物を調製し−70℃で貯蔵した。生成した系統1260の遺伝子型は以下のとおりである:MATa、leu2−2,112、mnn9、ura3Δ、can1、his3Δ::GAL10p−GAL4−URA3、prb1Δ::HIS3、cir°。
【0150】
1309と命名されたS.セレビシエ系統の構築
S.セレビシエ系統BJ1995(MATα、leu2、trp1、ura3−52、prb1−1122、pep4−3、gal2)はすでに記載されている(Jones,E.W.、Tackling the Protease Problem in Saccharomyces cerevisiae、Methods in Enzymology 194(1991)、428〜453ページ)。内因性2μDNAプラスミドを欠くBJ1995のcir°誘導体を、系統1260の構築に対して開示された手順を用いて単離した。生成したcir°単離株を系統91と命名し、凍結グリセリン貯蔵物(−70℃)として保存した。
【0151】
次いで、GALプロモーターからの転写を増加させるために、GAL4転写因子を過剰産生する系統91の誘導体を構築した。プラスミドpKHint−C(Schultz等、Gene 61:123〜133、1987)をBamHIで消化し、生成した5’−HIS3−GAL10p−GAL4−URA3−HIS3−3’カセットを使用して系統91を形質転換した。そのカセットを組み込んだ形質転換体が、ウラシルを欠く固体合成培地上で選択され、続いてヒスチジンを欠く培地上で増殖できないことが判明した。カセットがHIS3部位に所望のとおり組み込まれたことを、酵母HIS3遺伝子用プローブを用いたサザンブロット法によって確認した。1つの単離された要素BJ1995cir°int #22を選択し、凍結(−70℃)グリセリン貯蔵物とした。この単離株は系統1282と命名された。
【0152】
次いで、MNN9遺伝子の破壊を含む系統1282の誘導体を以下の一連のステップにおいて単離した。MNN9遺伝子を破壊するためには、遺伝子破壊ベクターを調製する目的でS.セレビシエゲノムDNAからMNN9遺伝子をまずクローン化する必要があった。これは標準PCR技術によって実施された。完全長MNN9コード配列のPCR用5’センスプライマー及び3’アンチセンスプライマーは、酵母MNN9遺伝子の公表された配列(MacKay他、欧州特許EP0314096、国際公開日1989年5月3日)に基づいて設計された。(下線の)フランキングHindIII部位を含む以下のオリゴデオキシヌクレオチドプライマーが使用された。
センスプライマー(配列番号94):
【0153】
【化1】
【0154】
アンチセンスプライマー(配列番号95):
【0155】
【化2】
【0156】
MNN9遺伝子の開始メチオニンコドンを太字で強調表示する。
【0157】
テンプレートとしてS.セレビシエ由来のゲノムDNAを用いてPCRを実施した。MNN9遺伝子を有する生成した1.2kbp PCR断片は、HindIIIで消化され、ゲル精製され、HindIIIで消化されアルカリ性ホスファターゼで処理されたpUC13を用いて連結された。生成したプラスミドはp1183と命名された。酵母TRP1遺伝子は、平滑末端化された0.85kb EcoRI−BglII断片としてYRp7(Struhl等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:1035〜1039、1979)から単離され、次いでpl183のPmlI部位に挿入された。PmlI部位はMNN9コード配列の中央にあり、そのためその部位にTRP1遺伝子が挿入されると遺伝子破壊が起こる。次いで、生成したプラスミドpUC13−mnn9::TRP1(p11885−239−1)はHpaI+EcoRIで消化された。5’−mnn9−TRP1−mnn9−3’カセットは、酢酸リチウム法による系統1282の形質転換に使用された。(Ito等、J Bacteriol. 153:163、1983)。
【0158】
Trp+形質転換体は、トリプトファンを欠く合成培地寒天板上で選択され、単一コロニー単離株用に同じプレート上に再画線された。いくつかの生成したTrp+単離株からゲノムDNAを調製し、HindIIIで消化し、次いで0.8%アガロースゲル上で電気泳動させた。サザンブロット分析によって所望のmnn9::TRP1遺伝子破壊の存在を確認した。所望のmnn9::TRP1破壊を含むこれらの単離株の1つをさらに使用するために選択し、系統1309と命名した。系統1309の凍結グリセリン貯蔵物を調製し−70℃で貯蔵した。系統1309の遺伝子型は以下のとおりである:MATα、leu2、mnn9::TRP1、trp1、ura3−52、his3Δ::GAL10p−GAL4−URA3、prb1−1122、pep4−3、gal2、cir°。
【実施例9】
【0159】
完全長ORF0657n領域の発現
完全長ORF0657nがE.コリ中で発現され(配列番号28;HisタグORF0657n)、S.セレビシエ(配列番号28のアミノ酸1〜646)と発現生成物が比較された。
【0160】
S.セレビシエ発現
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nタンパク質をコードするDNAは、フランキングBamHI制限酵素切断部位を含む以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、UnkCY−F(配列番号;96)、
【0161】
【化3】
【0162】
及びUnkCY−R(配列番号97)、
【0163】
【化4】
【0164】
を用いて最終修正クローンpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーは5’非翻訳配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。生成した1.9kb産物をゲル単離し、製造者に従ってTOPO TAベクターpCR2.1(INVITROGEN CORPORATION、Carlsbad、CA)にクローン化して、プラスミドUnkC−B1を構築した。続いて挿入断片のDNA配列を確認した。BamHI断片をゲル単離し、酵母ベクター(pGAL110、図5A)に適切な向きでサブクローニングしてpRUnkC−pGAL110を構築した。挿入断片の配列をDNA配列決定によって確認した。
【0165】
スフェロプラスト形質転換プロトコル(Hinnen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A、75:1929〜33、1978)によって、pRUnkC−pGAL110由来のプラスミドDNAを使用してleu2変異を含むS.セレビシエ系統をロイシン原栄養(prototrophy)(Leu+)に形質転換した。系統1260及び1309の構築は上記実施例8に記載されている。
【0166】
形質転換体は、ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む合成寒天培地上で選択された。ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む上部及び下部合成寒天培地は、REMEL、Lenexa、KS(それぞれ、cat#09459及び92155)から得られた。クローンのLeu+単離株は、SDマイナスロイシンプレート(KD MEDICAL、Columbia MD)上の連続成長によって得られた。
【0167】
複数の形質転換体をスクリーニングするために、ゆっくり回転する培養管中で産生培養物5.0mLを30℃で増殖させた。続いて、125mLフラスコにおいて25ml培養物中の選択された形質転換体の産生を確認した。両方の場合において、4.0%グルコースと0.1Mソルビトールを含む5×マイナスロイシン培地中で種培養5mLを30℃でOD600が1.5から3.0/mLになるまで18から24時間増殖させた。5×マイナスロイシン培地は、1リットル当たり以下の成分を含む:添加アミノ酸も硫酸アンモニウムも含まないYeast Nitrogen Base、8.5g;アデニン、0.40g;L−チロシン、0.25g;ウラシル、0.20g、コハク酸、10.0g、硫酸アンモニウム、5.0g及びロイシンマイナス溶液#3 50mL。ロイシンマイナス溶液#3は蒸留水1リットル当たり、L−アルギニン、2g;L−ヒスチジン、1.0g;L−イソロイシン、6g;L−リジン4.0g;L−メチオニン、1.0g;L−フェニルアラニン、6.0g;L−トリプトファン、4.0gを含む。培地のpHを50%水酸化ナトリウムで5.3に調節した。
【0168】
管中における産生の場合、種培養の0.3mL一定分量は、2%グルコース、4%ガラクトースを含む5×マイナスロイシン培地又はYEHDG培地5.0mLに最終OD600が5から16.0/mLになるまで72時間移送された。YEHDG培地は1リットル当たりL−Hy−大豆ペプトン−Sheffield、10g;酵母エキス、20g;L−デキストロース、16g;D(+)ガラクトース、40gを含む。フラスコ中での産生の場合、種培養1.5mL一定分量を培地25mLに移し、上述したように220rpmで振とうしながら増殖させた。
【0169】
10OD単位/試料を収集した後、細胞ペレットを溶解緩衝剤(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤、pH7.2、0.5M NaCl、2mM PMSF)0.3mL中でガラスビーズで破壊した。溶解物を遠心分離によって回収し、破壊細胞/ビーズを溶解物緩衝剤0.3mLで洗浄し、清浄化された各上清を混合した。タンパク質濃度は、BIO−RAD Protein Assay Dye Reagentシステム(BIO−RAD、Hercules、CA)によって製造者の指示に従って測定された。細胞溶解物は、4から20%勾配Tris−グリシンゲル(INVITROGEN、Carlsbad、CA)上で、1×Tris−グリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中、還元及び変性条件下で電気泳動させた後、ORF0657nの発現について免疫ブロット分析によって分析された。試料は全細胞タンパク質20μgを含んだ。ゲルは0.45ミクロンニトロセルロースメンブランフィルター(Schleicher and Schuell、Keene、NH製Optitran)上に電気ブロットされた。タンパク質サイズを推定するために、6.4から203kDaの着色標準(Broad Range Prestained SDS−PAGE Standard、BIO−RAD)を溶解物と平行して泳動させた。
【0170】
E.コリ標準
ORF0657nを産生するように誘導されたE.コリ産生用培養物(E.コリ宿主HMS174(DE3)、NOVAGEN、Madison、WI)から精製されたHisタグORF0657n(配列番号28)及び細胞溶解物を標準として使用した。E.コリは、HisタグORF0657nを発現する発現ベクターで形質転換された。E.コリ培養物を30μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で37℃で終夜増殖させた。翌日、終夜培養物60μLを使用して6.0mL LB+30μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600が0.4から1.0になるまで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で2時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。
【0171】
E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagent(NOVAGEN、Madison、WI)を用いて製造者の手順に従って調製された。タンパク質は、ORF0657nに対する(「2H2B8」と命名された)ネズミモノクローナル抗体を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。Mab 2H2B8は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657nによるマウスの免疫化によって産生された。Mab 2H2B8はELISAによって選択され、ORF0657nに特異的であることが判明した。フィルターは、BIO−RAD HRP Conjugate Substrate Kitによって処理された。
【0172】
E.コリ及びS.セレビシエからの発現産物
酵母形質転換体の初期スクリーニングから、酵母系統1260及び1309の各1個の形質転換体を完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の最適産生株として選択した。YEHDG培地における72時間の発酵後のそれらの完全長ORF0657n領域の産生例をE.コリにおけるORF0657n領域(配列番号28)の産生と比較して図6A及び6Bに示す。
【0173】
mAb 2H2B8を用いたウエスタンブロット分析によって検出された主要なタンパク質は、図6A(系統1260)及び6B(系統1309):レーン5及び6に示すように約105から110kDaであった。約105から110kDaのタンパク質は、E.コリ中で産生された精製組換えORF0657n(配列番号28;レーン2)又は誘導されたE.コリORF0657n産生用培養物の抽出物(後者は図6に示されたゲルには含まれていない)の試料中で検出された最大のタンパク質のサイズに相当した。E.コリ及びS.セレビシエによって産生された105から110kDaのタンパク質は、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも高分子量である。E.コリ対照において検出された優勢種は約95kDaと小さく、酵母中で産生された少量のタンパク質と共に移動することに留意されたい。約105から110kDaのタンパク質は、E.コリとS.セレビシエの両方でE.コリ分泌性リーダーと共に発現される完全長ORF0657nに対応すると考えられ、95kDaのタンパク質は分解産物と考えられる。ベクターpGAL110単体を用いて得られた対照形質転換体の抽出物は検出されなかった(レーン3及び4)。
【0174】
1260及び1309の形質転換体によって産生されるORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の推定量は約10マイクログラムORF0657n/mL YEHDG培地であり、ORF0657n領域は、精製ORF0657n(配列番号28)100ngを標準として用いた半定量的ウエスタンブロットによって測定して総タンパク質量の約2%を含む。総タンパク質の発現量と%ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)は、両方の系統において48時間よりも72時間の方が多かった(データ示さず)。2%グルコース、4%ガラクトースを含む5×ロイシン培地中で1260の形質転換体によって産生されたORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の力価は約8.0μg/mLであり、%総タンパク質は2.0であった。
【実施例10】
【0175】
ORF0657nH領域をコードする分泌コドン最適化配列の発現
ベクターpKH4−3B(Carty等、Biotechnol. Lett. 12:879〜884、1990)は、酵母アルファ因子(MFα1)プレプロ分泌性リーダーを含む。このリーダーに所望のタンパク質が融合して、S.セレビシエのシグナルペプチダーゼによってまず切断される翻訳産物を生じる。続いて、Kex2プロテアーゼは、分泌性リーダー及び成熟タンパク質中の「Lys Arg残基」が放出された後に開裂する。S.セレビシエ誘導性GAL10プロモーターは、タンパク質を発現させるために使用された。
【0176】
ベクターpKH4−3Bは、改変された配列番号3をコードするコドン最適化された遺伝子を発現するために使用された。配列番号3は、アミノ末端メチオニンを除去しアミノ末端リーダー配列を付加することによって修飾された。コドン最適化された配列番号3コード領域は、配列番号32のヌクレオチド4から1710によって与えられ、リーダーコード配列は、以下に示すように調製されたベクターpKH4−3Bによって与えられる。
【0177】
pKH4−3Bのアルファ因子プレプロ分泌性リーダーは、配列番号3のORF0657nH領域にインフレームで融合された。これは、ベクターpKH4−3BをSphIで消化し、続いてT4 DNAポリメラーゼで処理してSphI−オーバーハングを除去し、リーダーの適切なコドンを用いて5’末端に平滑末端を作製することよって実施された。続いて、ベクターをBamHIで消化して3’クローニング部位を作製した。この構築体は、再構築されたORF0657nH領域(配列番号32)の第2のコドンに対応する5’平滑末端と終止コドン及びBamHI制限酵素切断部位を有する3’末端とを含むPCR産物を必要とする。
【0178】
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nH領域をコードするDNAは、以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、UCKHS2(配列番号98)、5’GCTGAAGAAACTGGTGGTACCAAC3’及びUCKHA2、(配列番号99)
5’GTCACGGATCCTTAAGACTTAGCCTTGTTTTCTTGAGTGTTC3’を用いてpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーの5’末端GCTは、ORF0657nH領域の予測されたN末端であるアラニンをコードする。アンチセンスプライマーは、TAA終止コドン及びBamHI部位(下線)を含む。生成した1.7kb PCR産物をゲル単離し、(上述したように調製された)pKH4−3Bにクローン化してpUS38を構築した。挿入断片のDNA配列全体及びベクターの部分配列を確認し、分泌性リーダーに所望のとおり融合されたことが示された。この構築体から発現される最初のタンパク質がKex2pによって適切に切断されて、N末端メチオニンを欠く配列番号3に対応するタンパク質が生成する。
【0179】
スフェロプラスト形質転換プロトコル(Hinnen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A、75:1929〜33、1978)によって、プラスミドpUS38を使用してS.セレビシエ系統1260及び1309をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。形質転換体は、ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む合成寒天培地上で選択された。ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む上部及び下部合成寒天培地は、REMEL、Lenexa、KS(それぞれ、cat#09459及び92155)から得られた。クローンのLeu+単離株は、SDマイナスロイシンプレート(KD MEDICAL、Columbia MD)上の連続成長によって得られた。
【0180】
複数の形質転換体のスクリーニングでは、4.0%グルコースと0.1Mソルビトール培地を含む5×マイナスロイシン培地中で種培養5mLを30℃でOD600が1.5から3.0/mLになるまで18から24時間増殖させた。5×マイナスロイシン培地は、1リットル当たり以下の成分を含む:アミノ酸も硫酸アンモニウムも含まないYeast Nitrogen Base、8.5g;アデニン、0.40g;L−チロシン、0.25g;ウラシル、0.20g、コハク酸、10.0g、硫酸アンモニウム、5.0g及びロイシンマイナス溶液#3 50mL。ロイシンマイナス溶液#3は蒸留水1リットル当たり、L−アルギニン、2g;L−ヒスチジン、1.0g;L−イソロイシン、6g;L−リジン4.0g;L−メチオニン、1.0g;L−フェニルアラニン、6.0g;L−トリプトファン、4.0gを含む。培地のpHを50%水酸化ナトリウムで5.3に調節した。2%グルコース+4%ガラクトースを含む5×マイナスロイシン培地又はYEHDG培地5.0mLに最終OD600が10から20.0/mLになるまで0.3mL一定分量を72時間移送した。YEHDG培地は1リットル当たりL−Hy−大豆ペプトン−Sheffield、10g;酵母エキス、20g;L−デキストロース、16g;D(+)ガラクトース、40gを含む。
【0181】
発酵は、酵母細胞を除去し、ORF0657nH領域(配列番号3)の発現についてSDS−PAGEゲルのウエスタンブロット分析又はクーマシー染色によって上清を直接分析することによって収集された。免疫ブロット分析の場合には、10から25マイクロリットルの試料が還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIORAD、Hercules、CA)中の4から15%勾配のTris−HClゲル(BIORAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター上に電気ブロットした。タンパク質は、モノクローナル抗体2H2B8を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として免疫検出された。Mab 2H2B8は実施例9に記載されている。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。
【0182】
SDS−PAGEゲルのクーマシー染色による組換え酵母ORF0657nH領域(配列番号3)の発現分析の場合には、試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HClゲル(BIO−RAD)上で電気泳動にかけられた。ゲルは、製造者(BIO−RAD)の手順に従ってBio−Safeクーマシー、クーマシーG250染色で染色された。
【0183】
定性標準として、ORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を産生するE.コリ培養物からの細胞溶解物が使用された。E.コリ発現ORF0657nH領域の予測アミノ酸配列は、E.コリ構築体においてN末端メチオニンに続いてグリシンが存在する以外は、S.セレビシエ内部で発現されたORF0657nH領域の予測アミノ酸配列(配列番号3)と同一である。
【0184】
E.コリ中でORF0657nH領域を産生するために、産生用培養物を50μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で37℃で終夜増殖させた。カルボキシルHisタグを含む配列番号4をコードするpET28を使用してタンパク質を発現させた。翌日、終夜培養物500μLを使用して5.0mL LBブロス+50μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600 0.6まで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で3.5時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagent(NOVAGEN、Madison、WI)を用いて製造者の手順に従って調製された。
【0185】
下記実施例11に記載され下記実施例11に示されたとおりに調製された内部ORF0657nH領域(配列番号3)を発現するS.セレビシエ形質転換体1−1の細胞溶解物由来のタンパク質も標準として入れられた。タンパク質サイズを推定するために、クーマシー染色とウェスタン評価の両方で10から250kDaの着色標準(BIO−RAD)をSDS−PAGEゲル上の試料と平行して泳動させた。
【0186】
所望の種は、2%グルコース+4%ガラクトースを含む5×マイナスロイシン培地中で産生された。両系統1260及び1309のpUS38を含む形質転換体は、酵母内部で発現された(配列番号3をコードする核酸由来の)ORF0657nH領域並びにウェスタン及びクーマシー染色によって検出された(カルボキシルHisタグを含む配列番号4をコードする核酸由来の)E.コリ発現ORF0657nHと極めて接近して移動する約80kDaのタンパク質を分泌した。典型的な実験においては、これらの対照溶解物500ng及び培地上清25マイクロリットルが電気泳動にかけられた。検出は特異的であった;80kDaのタンパク質は、ベクターのみを含む形質転換体の上清中にはウエスタンブロットでもクーマシー染色でも検出されなかった。分泌された約80kDaのタンパク質は、成熟非グリコシル化ORF0657nH領域(配列番号3)に対応する場合もあり、或いは、少数のグリコシル残基を含む場合もあった。上清中のより高分子量の種は、2種類の低分子量タンパク質と同様に、抗体によって検出され、これらはすべてクーマシーブルーで染色された。より高分子量の種は、未加工のリーダーを含み、かつ/又はグリコシル化することができた。低MW種は分解産物である可能性が高い。
【0187】
両系統1260及び1309の形質転換体によって分泌された80kDaの種の推定量は約2μg/mL培地であった。これは、80kDaにおけるウェスタンシグナルをORF0657nH領域(配列番号3)を含む酵母細胞溶解物の試料のそれと比較することによって求められ、ORF0657nH領域が総タンパク質量の少なくとも50%を構成することを示唆している。ORF0657n領域の残留種の混合力価は約50μg/mL培地と推定された。
【実施例11】
【0188】
S.セレビシエにおけるORF0657nH領域(配列番号3)の細胞内発現
S.セレビシエにおける配列番号3の細胞内発現によって、離散的なサイズのタンパク質が極めて高いレベルで産生された。発現は酵母最適化コード核酸配列を用いて実施された。
【0189】
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nH領域をコードするDNA(配列番号32)は、フランキングBamHI制限酵素切断部位(下線)を含む以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、(配列番号100)5’GGGG GGATCC CACAAAACAAA ATG GCT GAA GAA ACT GGT GG3’及び(配列番号101)5’GGG GGG GGATCC TTA AGA CTT AGC CTT GTT TTC TTG AGT3’を用いてpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーは5’非翻訳リーダー配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。
【0190】
生成した1.7kb産物をゲル単離し、製造者の指示に従ってTOPO TAベクターpCR2.1(INVITROGEN CORPORATION、Carlsbad、CA)にクローン化して、プラスミドpCR_iUC−Sを構築した。続いて、挿入断片のDNA配列が2個の独立クローン、pCR_iUCS2.2及びpCR_iUCS−2.4から求められた。挿入断片の各々において各プラスミドの異なるHindIII断片上に位置する単一のPCRエラーが見出された。正確な配列を含むプラスミドは、正確な配列を有するpCR_iUC−S2.2の1.3kb HindIII断片をpCR_iUC−S2.4の対応する断片と交換することによって得られた。
【0191】
pCR_iUC−S2.2の1.3kb断片及びpCR_iUC−S2.4の4.3kb断片をゲル単離し連結した。所望の断片を含むクローンが選択され、pCR_iUC−S、適切な向き及びヌクレオチド配列がDNA配列決定によって確認された。続いて、1.7kb BamHI断片をpGAL110(図5A)にサブクローニングしてpiUCS−S(−)を構築した。
【0192】
スフェロプラスト形質転換プロトコルによって、piUC−S(−)由来のプラスミドDNAを使用してS.セレビシエ系統1260及び1309をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。(Hinnen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A、75:1929〜33、1978)。形質転換体は、ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む合成寒天培地上で選択された。ロイシンを欠き1Mソルビトールを含む上部及び下部合成寒天培地は、REMEL、Lenexa、KS(それぞれ、cat#09459及び92155)から得られた。クローンのLeu+単離株はSDマイナスロイシンプレート(KD MEDICAL、Columbia MD)上の連続成長によって得られた。
【0193】
複数の形質転換体が、実施例9に記載された発酵条件を用いたORF0657nH領域の産生についてスクリーニングされた。細胞溶解物は、ウエスタンブロット分析又はクーマシーブルーで染色されたSDS−PAGEゲルの分析によって、ORF0657nH領域の産生について分析された。
【0194】
ウエスタンブロット分析の場合、試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター上に電気ブロットした。タンパク質は、完全長ORF0657n(配列番号28)に対するモノクローナル抗体2H2B8を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。Mab 2H2B8は実施例9に記載された。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。
【0195】
SDS−PAGEゲルのクーマシー染色による(配列番号32によってコードされた)組換え酵母ORF0657nHの発現分析の場合、試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD)上で電気泳動にかけられた。ゲルは、製造者の手順に従ってBio−Safeクーマシー、クーマシーG250染色(BIO−RAD)で染色された。
【0196】
電気泳動にかけられた酵母細胞溶解物の試料は、ウエスタンブロット及びクーマシー染色で全細胞酵母タンパク質のそれぞれ0.5及び1.25μgを含んだ。クーマシー染色の定量標準として、精製BSA(100×、NEW ENGLAND BIOLABS、Beverly、MA)が使用された。精製E.コリ完全長組換えORF0657n領域(配列番号28)はウェスタンの定量標準として使用された。定性標準として、ORF0657nHを産生するように誘導された、ORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を産生するE.コリ培養物からの細胞溶解物が両方の評価に使用された。
【0197】
E.コリ中でORF0657nH領域(配列番号4+カルボキシルHisタグ)を産生するために、産生用培養物を50μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で37℃で終夜増殖させた。翌日、終夜培養物500μLを使用して5.0mL LBブロス+50μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600 0.6まで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で3.5時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagent(NOVAGEN、Madison、WI)を用いて製造者の手順に従って調製された。タンパク質サイズを推定するために、10から250kDaの着色標準を溶解物と平行して泳動させた(BIO−RAD)。
【0198】
初期スクリーニングから、1−1と命名された酵母系統1260の1個の形質転換体が、ORF0657nH領域(配列番号3)の最適産生株として選択された。振とうフラスコ中の天然培地YEHDGにおける72時間の発酵後のORF0657nH領域の産生例を図7A及び7Bに示す。クーマシー染色(A)又は抗体(B)によって検出された主要なタンパク質は約85kDaであり(レーン5、6及び7参照)、E.コリORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4;レーン2)と共に移動した。E.コリ発現ORF0657nと酵母発現ORF0657nの両方のMWは、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも大きかった。約85kDaのタンパク質の検出は特異的であった;ベクターpGAL110のみを含む形質転換体由来の細胞溶解物中には検出されなかった(レーン3)。完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)よりもかなり多量のORF0657nH領域(配列番号3)が産生された。レーン5、6及び7をレーン4と比較されたい。完全長ORF0657nを含む形質転換体を、ORF0657nH領域(配列番号3)を含む形質転換体と同時に同一条件下で発酵させた。成熟酵母発現ORF0657nH領域が分解した証拠はほとんど認められなかった。
【0199】
タンパク質の安定性を評価するために、数日間凍結され、続いて解凍されていない形質転換体1−1の細胞溶解物からの試料がゲルに加えられた(図7、レーン7)。この試料の完全性及び量は新しい試料と類似していると判断することができる(レーン5及び6)。ORF0657nH領域(配列番号3)が分解せず安定であることは、完全長E.コリORF0657n(配列番号28)に対するヤギポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロットによって確認された(データ示さず)。
【0200】
ウエスタンブロット及びクーマシーゲルによるORF0657nH領域(配列番号3)の推定量は約360μg/mL YEHD培地であり、%総タンパク質は約50と推定された。特定培地中で産生された量は225μg/mL培地であり総タンパク質%はやはり約50であった。ORF0657nH領域(配列番号3)の量は、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の量よりも多く(それぞれ350と10μg/mL)、%総タンパク質も高かった(50と2.0)。
【実施例12】
【0201】
S.セレビシエにおけるORF0657nG領域(配列番号44)の細胞内発現
ORF0657n関連ポリペプチドの細胞内発現は、ORF0657nG領域(配列番号44)をコードするDNA構築体を用いて以下の実施例において評価された。ORF0657nG(配列番号44)は配列番号2の切断型であり、アミノ末端シグナル配列を欠く。配列番号44は、N末端メチオニン及び配列番号2のアミノ酸42から645を有する。
【0202】
ORF0657nG領域(配列番号44)をコードする酵母最適化DNAは、pUnkCR1(実施例7)から、フランキングBamHI制限酵素切断部位を有する以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ、5’GGGGGGATCCCACAAAACAAAATGGCTGAAGAAACTGGTGG3’(配列番号102)及び5’GGGGGGGATCCTTAGTTCTTTCTCTTTCTTGG3’(配列番号103)を用いて増幅された。センスプライマーは5’非翻訳リーダー配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。生成した1.8kb産物をゲル単離し、製造者(INVITROGEN CORPORATION、Carlsbad、CA)の指示に従ってTOPO TAベクターpCR2.1にクローン化して、プラスミドpCR_iUC−L4を構築した。DNA配列分析によって、単一の欠失が5’末端で起きたことが確認された。
【0203】
正確な配列を有するクローンは、正確な配列を含むpCR_iUC−S2.2の1.3kb HindIII−HindIII断片(実施例11参照)をpCR_iUC−L4の対応する断片と交換することによって得られた。pCR_iUCS2.2の1.3kb断片及びpCR_iUC−L4の4.4kb断片をゲル単離し連結した。所望の断片を含むクローンが選択され、pCR_iUC−L、適切な向き及びヌクレオチド配列がDNA配列決定によって確認された。続いて、1.8kb BamHI断片をpGAL110にサブクローニングしてpiUC−L(−)を構築し、DNA配列を確認した。
【0204】
piUC−L(−)からのプラスミドDNAを使用して、実施例9に記載されたようにS.セレビシエ系統1260をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。いくつかの酵母形質転換体が、実施例11に記載された発酵及び細胞破壊条件を用いてORF0657nG領域(配列番号44)の細胞内産生についてスクリーニングされた。細胞溶解物タンパク質0.25から0.5μgは、実施例11に記載されたようにORF0657nG領域の産生についてウエスタンブロット分析によって分析された。精製E.コリORF0657nH領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を定量標準として使用し、ORF0657nG領域を産生するように誘導されたORF0657nG領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号44)を産生するE.コリ培養物からの細胞溶解物を定性標準として使用した。試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の4から15%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター(BIO−RAD)上に電気ブロットした。
【0205】
タンパク質は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)に対するポリクローナル抗体を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。ポリクローナル抗体は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657n領域(配列番号28)による免疫化によって産生された。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。
【0206】
比較のために、ORF0657nG領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号44)を、実施例1に記載されたようにE.コリ発現ベクター中でクローン化し発現させた。E.コリ中でORF0657nG領域を産生するために、50μg/mLカナマイシンを含むLBブロス中で産生用培養物を37℃で終夜増殖させた。翌日、終夜培養物500μLを使用して5.0mL LBブロス+50μg/mLカナマイシンを接種した。培養物をOD600 0.6まで37℃で約3時間増殖させた。発現は、1mM IPTGによって37℃で3.5時間誘導された。細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵した。E.コリ溶解物はBugbuster Protein Extraction Reagentを用いて製造者(NOVAGEN、Madison、WI)の手順に従って調製された。タンパク質サイズを推定するために、10から250kDaの着色標準(BIO−RAD)を溶解物と平行して泳動させた。
【0207】
初期スクリーニングから、iUC−L3と命名された酵母系統1260の1個の形質転換体が、実施例11に記載されたように、培養管における天然培地YEHDG中の72時間発酵後にORF0657nG領域の良好な産生株として選択された。クーマシー染色又は抗体によって検出された主要なタンパク質は約85kDaであり、E.コリ発現ORF0657nG領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号44)と共に移動した。E.コリ発現ORF0657nG領域と酵母発現ORF0657nG領域の両方のMWは、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも大きかった。約85kDaのタンパク質の検出は特異的であった;ベクターpGAL110のみを含む形質転換体由来の細胞溶解物中には検出されなかった。3つのウエスタンブロット実験から求められたORF0657nGの平均力価は30μg/mL YEHDG培地であり、%総タンパク質は10.0と推定された(下記実施例13参照)。
【実施例13】
【0208】
細胞壁局在化シグナルを除去すると細胞内発現が増加する
ORF0657nカルボキシル細胞sortase C末端コード領域のみの除去及びN末端シグナル領域の除去との組み合わせの効果をコドン最適化ORF0657n遺伝子配列番号31、32及び45を用いて検討した。配列番号31は完全長ORF0657n領域をコードする。配列番号32は、N末端シグナル配列とC末端細胞壁局在化領域の両方を欠くORF0657nH領域をコードする。配列番号45は、シグナルペプチド配列のみを欠くORF0657nG領域をコードする。
【0209】
完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28;形質転換体rUnkC1)、ORF0657nH領域(配列番号3;形質転換体1−1)及びORF0657nG領域(配列番号44 形質転換体iUC−L3)を各々発現する1個の形質転換体を発酵させ、実施例11に記載されたように細胞溶解物を調製し分析した。代表的なウエスタンブロットを図9に示す。異なる形質転換体からゲル上に堆積したタンパク質細胞溶解物の量は、ORF0657n領域をコードする3個の構築体の異なる発現レベルを補償するために同じではなかった。各場合において、各ORF0657n含有形質転換体から少なくとも2つの異なる量のタンパク質細胞溶解物が堆積した。
【0210】
ORF0657nH領域(配列番号3)が完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)又はORF0657nG領域(配列番号44)よりもかなり良好に発現されることを示す典型的な結果を図9に示す。かなりのシグナルが、レーン11及び12に示されるようにORF0657nH領域産生株からのわずか50及び100ngの細胞溶解物タンパク質で検出された。これに対して、完全長ORF0657nC領域産生株の細胞溶解物タンパク質1.0及び2.0μg、それぞれレーン7及び8が使用された。良好なシグナルがタンパク質のより少ないORF0657nG領域で検出され、タンパク質250及び500ngがレーン14及び15に示されるように堆積した。
【0211】
表4は、3個のORFの各々の平均力価及び3つの独立したウエスタンブロットによって求められた%総タンパク質の比較である。細胞溶解物は、各ウエスタンブロットで新たに調製された。平均は、2つの独立した発酵からの結果を含む。特定のORF0657nの量は、精製E.コリORF0657nH(配列番号4+カルボキシルHisタグ)標準に対して求められた。
【0212】
【表5】
【0213】
シグナルペプチド配列を除去すると、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)とORF0657nG領域(配列番号44)の発現を比較して求められた%総タンパク質及び力価が2.5から3倍に増加した。シグナルペプチドと細胞壁局在化配列の両方を除去すると、発現がシグナルペプチド配列のみの除去の8から14倍(gとH領域の比較)、完全長タンパク質の20から42.5倍(CとH領域)に増加した。細胞壁局在化配列の除去による発現の増加の程度は予想外であった。
【実施例14】
【0214】
S.セレビシエにおけるORF0657nI領域の細胞内発現
酵母発現に対して最適化されたコドンによってORF0657nI領域をコードするDNA(配列番号33)は、フランキングBamHI制限酵素切断部位(下線)を有する以下のセンス及びアンチセンスプライマー、それぞれ
5’CTCCGGATCCCACAAAACAAAATGGCTGAAGAAACTGGT3’(配列番号104)及び
5’GCTGCCGGGATCCTTATGGGGTTGGCTTAGATGGGGTAG3’(配列番号105)
を用いてpUnkCR1(実施例7)から増幅された。センスプライマーは5’非翻訳リーダー配列及びATGコドンを含み、アンチセンスプライマーは終止コドンとしてTAAを含む。生成した1.3kb産物をゲル単離し、pGAL110(図5A)にクローン化してpiUC−I(図5B)を構築し、DNA配列を確認した。
【0215】
piUC−1からのプラスミドDNAを使用して、実施例9に記載されたようにS.セレビシエ系統1260をロイシン原栄養(Leu+)に形質転換した。3種類のLeu+形質転換体が、実施例9に記載されたように、小規模発酵(5.0mL培養)条件を用いてORF0657nI領域(配列番号1)の細胞内産生についてスクリーニングされた。
【0216】
産生は、S.セレビシエ形質転換体1−1(実施例11参照)によって産生されたORF0657nH領域(配列番号3)のそれと比較された。細胞溶解物を実施例9に記載されたように調製し、酵母細胞溶解物タンパク質100及び200ngをORF0657nI及びORF0657nHの産生について分析実施例11に記載された半定量的ウエスタンブロットによって分析した。精製E.コリORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)を定量標準として使用した。試料は還元及び変性条件下で1×TrisグリシンSDS緩衝剤(BIO−RAD)中の10から20%勾配のTris−HCl Criterionゲル(BIO−RAD、Hercules、CA)上で電気泳動にかけられた。このゲルを0.2ミクロンPVDFメンブランフィルター(BIO−RAD)上に電気ブロットした。タンパク質は、精製E.コリ完全長ORF0657n(配列番号28)に対するポリクローナル抗体を一次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型全抗体(ZYMED LABORATORIES、South San Francisco、CA)を二次抗体として用いたウエスタンブロットによって免疫検出された。ポリクローナル抗体は、精製E.コリによって産生された完全長ORF0657n(配列番号28)による免疫化によって産生された。フィルターは、WESTERN LIGHTNING(商標) Chemiluminesence Reagent Plus Kit(PERKIN ELMER、Wellesley、MA)によって処理された。タンパク質サイズを推定するために、10から250kDaの着色標準(BIO−RAD)を溶解物と平行して泳動させた。
【0217】
図11は、培養管における複合YEHDG培地中の72時間発酵の結果である。レーン5、6、14、15、21及び22に示すように酵母発現ORF0657nH領域(配列番号3)が大きく検出された。ORF0657nI(配列番号1)を発現するように構築された形質転換体中の約60kDaのタンパク質もレーン7から12及び16から21に示されるように容易に検出された。酵母発現ORF0657nI(配列番号1)は、E.コリから発現され精製されたORF0657nI(カルボキシルHisタグを含む配列番号5)と共に移動した(データ示さず)。E.コリ発現ORF0657nI領域と酵母発現ORF0657nI領域の両方のMWは、本発明者らのゲル電気泳動システムにおける予測サイズよりも大きかった。ORF0657nI領域(配列番号1)を発現するように構築された形質転換体中で検出された60kDaのタンパク質は特異的であった;ベクター対照形質転換体からの細胞溶解物中にタンパク質は検出されなかった(レーン4及び13)。
【0218】
ゲル上のORF0657nH領域(配列番号3)及びORF0657nI領域(配列番号1)の量は、半定量的ウエスタンブロットから既知量の精製ORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)と比較して推定された。力価及び%総タンパク質は、ゲル上の2つの異なる量のタンパク質を含む2つ組の溶解物から求められた平均として計算された。新たな発酵試料及び凍結細胞溶解物から求められたORF0657nH領域(配列番号3)の各体積力価(volumetric titer)は約500と約550μg/mL培地で同等であり、1mL培地当たり320μgのORF0657nI領域(配列番号1)が産生された(ORF0657nI領域の力価は形質転換体I1に対するものである)。総タンパク質の%ORF0657nH領域(配列番号3)はそれぞれ78%及び80%と推定され、ORF0657nI(配列番号1)は総タンパク質の45%であった。
【0219】
したがって、ORF0657nI領域はS.セレビシエ中で十分に発現され、力価はORF0657nH(配列番号3)の力価の約1/1.5であり、%総タンパク質は約1/1.3であった。酵母中のORF0657nI領域の良好な発現は、細胞溶解物を含むSDS−PAGEゲルのクーマシー染色によって確認された。YEDHG培地におけるORF0657nI領域の発現は大規模に実現可能であり、125mL又は2L振とうフラスコにおける産生は培養管における小規模発現と同等であった。
【0220】
ORF0657nI領域(配列番号1)は特定5×マイナスロイシン培地(実施例9に記載された培地)中でも十分に発現した。力価は、天然培地YEHDGにおける力価の1/1.5倍しか低くなく、%総タンパク質は両方の培地で同等であった。ORF0657nIの完全性は両方の培地において良好であり、大きな分解は検出されなかった。ORF0657nIの産生は、振とうフラスコ発酵で試験すると、天然培地と5×マイナスロイシン培地のどちらも96時間より72時間の方が多かった。
【実施例15】
【0221】
ORF0657nH(配列番号3)を産生する酵母系統の大規模発酵
(プラスミドpiUC−S(−)で形質転換された系統1260;実施例11に記載された)酵母系統1−1の凍結された種貯蔵物を大規模発酵及び精製に使用した。種貯蔵物のバイアルを解凍し、1.0mLを使用して4%グルコースを含みロイシンを含まない選択培地(5×Leu−培地、Bayne等、Gene 66(2):235〜44、1988)50mLを含む250mL三角フラスコに接種した。フラスコを回転振とう機上250rpmで28℃でインキュベートした。24時間後(残留グルコース23.5g/L)、培養体積13mLを同じ培地877mLを含む2Lフラスコに添加した。フラスコを28℃で再度インキュベートし、250rpmで撹拌した。24時間後(残留グルコース4.04g/L)、2Lフラスコの内容物を使用して、使用された系統に対して最適化された既知組成培地(Oura、Biotechnol. Bioengineer. 16:1197、1974)を含む20L反応器に接種した。この培地は20g/Lグルコースを含み、続いて誘導用の25g/Lガラクトースを含んだ。反応器は28℃、4.7L/min、15psig(100kPa)及び300rpmで運転された。これらの条件下で、溶存酸素レベルは飽和の30%を超えて維持された。細胞増殖は、グルコース消費、光学濃度(A600nM、1cmキュベット)、乾燥細胞重量、ガラクトース利用及びエタノール産生によってモニターされた。培養は90時間続けられ、A600は33.9に達し、乾燥細胞重量は17.5g/Lに達した。
【0222】
培養物をAMICON DC−10収集スキッド(harvest skid)(MILLIPORE、Billerica、MA)を用いて中空繊維接線流ろ過(AMICON H5MP01−43カートリッジ)によって収集した。透過液を廃棄し、細胞を濃縮し、PBSで透析ろ過し、Sorvall Evolution RC(SLA−3000ローター)を用いた遠心分離によって8000rpm、4℃で20分間回収した。細胞を−70℃で貯蔵した。
【0223】
大規模発酵において系統1−1によるORF0657nHの産生を評価するために、収集された培養物10 OD600単位から細胞溶解物を調製し、実施例11に詳述されたように評価した(結果示さず)。振とうフラスコ発酵(72時間、複合YEHDG培地)からのORF0657nHの産生も評価された。(実施例11に記載されたように実施された)ウエスタンブロット分析の結果によれば、大規模発酵から産生されたタンパク質は、振とうフラスコ発酵で産生されたORF0657nHと共に移動した(結果示さず)。大規模(20L)発酵から得られるORF0657nHの力価は739μg/mLと推定され、%総タンパク質は55%と推定され、(実施例11記載の半定量的ウェスタン方法を用いた)振とうフラスコ発酵の732μg/mL及び58%総タンパク質と比較された。これらの結果によれば、ORF0657nの産生を酵母中でスケールアップできることが確認される。
【実施例16】
【0224】
酵母中で産生されたORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫
酵母によって産生されるORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫能力は、配列番号3のポリペプチドを酵母中で発現させることによって評価された。Eコリ発現完全長ORF0657nC(配列番号28)、ORF0657nH(カルボキシル末端Hisタグを含む配列番号4)、ORF0657nI(カルボキシル末端Hisタグを含む配列番号5)及びアジュバント単体を対照として使用した。
【0225】
配列番号3のORF0657n関連ポリペプチドが酵母から得られ、動物モデルにおいて防御免疫をもたらすために使用された。配列番号3のポリペプチドは実施例11に記載されたように発現された。
【0226】
ORF657nH(配列番号3)を発現する凍結組換えS.セレビシエ細胞を0.2M MOPS、pH7.0中に5mL/グラムウェット細胞重量でプロテアーゼ阻害剤(EDTAなし)と一緒に再懸濁した。溶解物は、マイクロフルイダイザー(Microfluidics Model 110S)を14,000psi(96MPa)で4回通過させることによって調製された。溶解物は、遠心分離(10,000×g、20分、2から8℃)、続いて粗ろ過(ガラス繊維プレフィルター、Millipore)及び精密ろ過(fine filtration)(0.2μm酢酸セルロース、Whatman)によって浄化された。
【0227】
浄化された溶解物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム(Pharmacia HiPrep 26/60 Sephacryl S−300 HR、移動相:0.2M MOPS、pH7.0)によって分画された。画分は、クーマシー検出によるSDS−PAGE及び(完全長ORF0657n、配列番号28に対する)ORF0657nタンパク質特異的抗血清を用いたウエスタンブロット法によって分析された 産物を含む画分はプールされた。
【0228】
SEC生成物は、無菌状態下の0.2μm酢酸セルロースを通して無菌ろ過された。無菌ろ過生成物の純度は、SDS−PAGE及びウエスタンブロットによって、≧又はそれよりも高く、94%であった。無菌ろ過生成物は0.2mg/mlでAHP及びチメロサールと一緒に処方された。
【0229】
酵母中で産生されたORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫能力を図10に示す。酵母発現ORF0657nH(配列番号3)は、E.コリ発現ポリペプチドと同じ防御免疫をもたらした。
【実施例17】
【0230】
非ヒト霊長類における既往反応
3群のアカゲザルが、AHPと一緒に又はAHPなしで処方された酵母産生ORF0657n関連ポリペプチド(ORF0657nH、配列番号3)又はEコリ発現ORF0657関連ポリペプチド(完全長ORF0657n、配列番号28)を用いて免疫された。ワクチン群のサルは、ORF0657n関連ポリペプチド50mcgを筋肉内経路を介して投与された。
【0231】
図12に示されるように、ワクチン群の動物は、単回投与後、既存の適度な力価の約3から6倍の相乗平均力価で応答し、既往反応が示唆された。これに対し、対照群動物の相乗平均力価は(抗体アッセイのばらつきの範囲内で)一定であった。第2のワクチン投与後、ワクチン群及び対照群における1力価投与後相乗平均(geometric mean post−dose one titers)は、投与後力価(post−dose titers)とほとんど変わらなかった。
【0232】
わずか1用量後の抗体応答の発生を観測するために、酵母発現ORF0657H領域(配列番号3)投与群を3ヶ月(試験された最終時点)追跡した。抗体価は9日後上昇し続け、ワクチン2又は3用量後でも越えられないレベルに達した。
【0233】
これらの観察によれば、ワクチン1用量は、おそらくはS.アウレウスへの環境暴露による免疫系の自然の初回抗原刺激(natural priming)の後に、かなりの持続的な抗体応答を誘導することができる。ヒトにおける既存の抗体価の調査によれば、すべての試験試料においてORF0657nに対する適度の抗体価が存在した(データ示さず)。
【0234】
他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内にある。いくつかの実施態様を示し説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な改変態様を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1A】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図1B】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図1C】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図1D】図1A、1B、1C及び1Dは、動物における防御についてスクリーニングされたORF0657n関連ポリペプチド領域及びいくつかの異なるORF0657n配列の略図である。図1Aは、(塗り潰された矩形で示された)試験され防御性であることが判明したポリペプチド、(白抜きの矩形で示された)試験され防御性でないことが判明したポリペプチド、及び試験されなかったポリペプチド(線影の付いた矩形)の略図である。図1Bは、図1Aで参照された完全長配列(配列番号2)である。図1Cは配列番号28である。配列番号28はカルボキシル「Hisタグ」(LEHHHHHH;配列番号64)を含む。カルボキシルHisタグを含む配列番号28は、本明細書では「HisタグORF0657n」とも称される。図1DはORF0657nI+配列である。
【図2A】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2B】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2C】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2D】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図2E】図2Aから2Eは、異なるORF0657n関連配列の配列をORF0657nH領域にわたって比較した図である。配列番号を図中の「ID」によって示す。
【図3A】図3A、3B及び3Cは、完全長配列、OFR0657nH領域及びORF0657nI領域を与えるORF0657n関連ポリペプチドの、S.アウレウスBeckerに対する防御免疫をもたらす能力を示すグラフである。これらのポリペプチドは、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)と一緒に使用された。図3Aは、配列番号28の結果である。図3Bは、カルボキシルHisタグを含む配列番号4の結果である。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。「カルボキシルHisタグ」という表記は、Hisタグ基LEHHHHHH(配列番号64)がカルボキシ末端に存在することを示す。
【図3B】図3A、3B及び3Cは、完全長配列、OFR0657nH領域及びORF0657nI領域を与えるORF0657n関連ポリペプチドの、S.アウレウスBeckerに対する防御免疫をもたらす能力を示すグラフである。これらのポリペプチドは、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)と一緒に使用された。図3Aは、配列番号28の結果である。図3Bは、カルボキシルHisタグを含む配列番号4の結果である。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。「カルボキシルHisタグ」という表記は、Hisタグ基LEHHHHHH(配列番号64)がカルボキシ末端に存在することを示す。
【図3C】図3A、3B及び3Cは、完全長配列、OFR0657nH領域及びORF0657nI領域を与えるORF0657n関連ポリペプチドの、S.アウレウスBeckerに対する防御免疫をもたらす能力を示すグラフである。これらのポリペプチドは、アルミニウムヒドロキシホスフェートアジュバント(AHP)と一緒に使用された。図3Aは、配列番号28の結果である。図3Bは、カルボキシルHisタグを含む配列番号4の結果である。図3Cは、カルボキシルHisタグを含む配列番号5の結果である。「カルボキシルHisタグ」という表記は、Hisタグ基LEHHHHHH(配列番号64)がカルボキシ末端に存在することを示す。
【図4A】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4B】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4C】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4D】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4E】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4F】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4G】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図4H】図4Aから4Hは、様々なS.アウレウス暴露に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチドの能力を示すグラフである。配列番号28のポリペプチドが免疫原として使用された。図4Aは、攻撃株CL−10(2.2×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Bは、攻撃株CL−10(2.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Cは、攻撃株CL−13(2.9×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Dは、攻撃株CL−13(2.8×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Eは、攻撃株CL−30(3.1×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Fは、攻撃株CL−30(3.0×108CFU/ml)を用いた結果である。図4Gは、攻撃株CL−18(1.0×108CFU/mlを用いた結果である。図4Hは、攻撃株CL−21(1.6×108CFU/ml)を用いた結果である。
【図5A】図5A及び5Bは、S.セレビシエ発現プラスミドのプラスミド地図である。図5AはベクターpGAL110のプラスミド地図である。図5Bは、pGAL110のGAL1プロモーターの制御下でクローン化された酵母コドン最適化配列を示すpiUC−1のプラスミド地図である。
【図5B】図5A及び5Bは、S.セレビシエ発現プラスミドのプラスミド地図である。図5AはベクターpGAL110のプラスミド地図である。図5Bは、pGAL110のGAL1プロモーターの制御下でクローン化された酵母コドン最適化配列を示すpiUC−1のプラスミド地図である。
【図6A】図6A及び6Bは、配列番号28のアミノ酸1から646を有する完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の細胞内発現を示すウエスタンブロットである。レーン1、分子サイズ標準;レーン2、精製E.コリによって産生された組換え完全長ORF0657n領域(配列番号28)、100ng;レーン3から6は酵母細胞溶解物20μgを含む;レーン3及び4、ベクターpGAL110のみを含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物;レーン5及び6、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を発現するpRUnkC−pGAL110を含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物。
【図6B】図6A及び6Bは、配列番号28のアミノ酸1から646を有する完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)の細胞内発現を示すウエスタンブロットである。レーン1、分子サイズ標準;レーン2、精製E.コリによって産生された組換え完全長ORF0657n領域(配列番号28)、100ng;レーン3から6は酵母細胞溶解物20μgを含む;レーン3及び4、ベクターpGAL110のみを含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物;レーン5及び6、完全長ORF0657n領域(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を発現するpRUnkC−pGAL110を含む1260(図6A)及び1309(図6B)の形質転換体の2つ組の発酵から得られた細胞溶解物。
【図7A】図7A及び7Bは、それぞれSDS−PAGEゲルのクーマシー染色及びウエスタンブロットであり、S.セレビシエにおける配列番号3をコードする核酸からの細胞内発現を示している。レーン1、パネルA、BSA、1.25μg;パネルB、精製E.コリ組換え完全長ORF0657n(配列番号28)、100ng;レーン2、E.コリにおけるORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)産生株からの細胞溶解物;パネルA、1.25μg、パネルB、0.5μg。レーン3から7、パネルA及びBは、それぞれ酵母細胞溶解物1.25及び0.5μgを含む:レーン3、ベクターpGAL110のみを含む形質転換体;レーン4、完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を含む形質転換体;レーン5、6及び7、成熟ORF0657nH領域(配列番号3)を発現するpiUC−S(−)を含む形質転換体1−1;レーン7は、凍結され続いて解凍された(形質転換体1−1の)細胞溶解物を含む。レーン8は分子サイズ標準を含む。
【図7B】図7A及び7Bは、それぞれSDS−PAGEゲルのクーマシー染色及びウエスタンブロットであり、S.セレビシエにおける配列番号3をコードする核酸からの細胞内発現を示している。レーン1、パネルA、BSA、1.25μg;パネルB、精製E.コリ組換え完全長ORF0657n(配列番号28)、100ng;レーン2、E.コリにおけるORF0657nH(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)産生株からの細胞溶解物;パネルA、1.25μg、パネルB、0.5μg。レーン3から7、パネルA及びBは、それぞれ酵母細胞溶解物1.25及び0.5μgを含む:レーン3、ベクターpGAL110のみを含む形質転換体;レーン4、完全長ORF0657n(カルボキシルHisタグを含まない配列番号28)を含む形質転換体;レーン5、6及び7、成熟ORF0657nH領域(配列番号3)を発現するpiUC−S(−)を含む形質転換体1−1;レーン7は、凍結され続いて解凍された(形質転換体1−1の)細胞溶解物を含む。レーン8は分子サイズ標準を含む。
【図8A】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8B】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8C】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8D】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8E】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8F】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8G】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8H】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8I】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8J】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8K】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8L】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8M】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8N】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8O】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8P】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8Q】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8R】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8S】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8T】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図8U】図8Aから8Uは、ORF0657n関連ポリペプチドをコードする異なる核酸配列の例を示す図である。図8Aは、配列番号2+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号29)である。図8Bは、配列番号4+カルボキシルHisタグをコードする核酸配列(配列番号30)である。図8Cは、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号31)である。図8Dは、配列番号3をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号32)である。図8Eは、配列番号1をコードする酵母最適化核酸(配列番号33)配列である。図8Fから8Mは、アミノ末端メチオニンを含む配列番号7をコードする酵母最適化核酸配列(配列番号34、35、36、37、38、39、40及び41)である。図8Nから8Uは、配列番号17又は配列番号20に基づく異なるORF0657n関連ポリペプチドをコードする酵母最適化核酸配列(配列番号46から53)である。
【図9】S.セレビシエにおけるORF0657n関連ポリペプチドの細胞内発現を比較したウエスタンブロットである。レーン1及び18、MWサイズ標準。レーン2及び3、E.コリ中で産生される精製ORF0657nH(配列番号4+カルボキシルHisタグ)のそれぞれ50及び100ng。レーン5は、S.セレビシエベクター対照形質転換体に由来する細胞溶解物のタンパク質500ngを含む。レーン7、8及び9は、カルボキシルHisタグを含まない配列番号28を生成するS.セレビシエ形質転換体由来の細胞溶解物タンパク質1.0、2.0及び4.0μgである。レーン11及び12は、ORF0657nH(配列番号3)を生成するS.セレビシエ形質転換体に由来する細胞溶解物のタンパク質のそれぞれ50及び100ngを含む。レーン14及び15は、ORF0657nG(配列番号44)を生成するS.セレビシエ形質転換体に由来する細胞溶解物のタンパク質のそれぞれ250及び500ngを含む。レーン17は、ORF0657nG(配列番号44+カルボキシルHisタグ)E.コリ産生株由来の細胞溶解物タンパク質250ngを含む。レーン4、6、10、13及び16は空である。
【図10】E.コリ及び酵母において産生されたORF0657n関連ポリペプチドの防御免疫データを示すグラフである。「OFR0657nH(E.コリ)」はカルボキシルHisタグを含む配列番号4に対応する。「OFR0657nI(E.コリ)」はカルボキシルHisタグを含む配列番号5に対応する。「OFR0657nC(E.コリ)」は配列番号28に対応する。「OFR0657nH(E.コリ)」は配列番号3に対応する。
【図11】S.セレビシエにおけるORF0657nIの細胞内発現の例示的なウエスタンブロットである。レーン1及び25、MWサイズ標準。レーン2、3及び24:E.コリ中で産生される精製ORF0657nH領域(カルボキシルHisタグを含む配列番号4)のそれぞれ25、50及び100ng。レーン4から23は、酵母形質転換体由来のタンパク質細胞溶解物を含む。レーン13から21は、レーン4から12の溶解物と同じ発酵試料から調製された2つ組の細胞溶解物である。レーン4及び13は、pGAL110を含むベクター対照形質転換体由来のタンパク質200ngを含む。レーン5及び14は、ORF0657nH領域(配列番号3)を生成する形質転換体1−1由来のタンパク質100ngを含む。レーン6及び15は、形質転換体1−1由来のタンパク質200ngを含む。レーン7及び16は形質転換体I1由来のタンパク質100ngを含み、レーン8及び17は形質転換体I1由来のタンパク質200ngを含む。レーン9及び18は形質転換体I2由来のタンパク質100ngを含み、レーン10及び19は形質転換体I2由来のタンパク質200ngを含む。レーン11及び20は形質転換体I3由来のタンパク質100ngを含み、レーン12及び21は形質転換体I3由来のタンパク質200ngを含む。レーン22及び23は、形質転換体1−1の前の発酵からあらかじめ調製されたタンパク質細胞溶解物100及び200ngを含む。
【図12】アカゲザル免疫化データを示す図である。アカゲザルは、AHPと一緒に又はAHPなしで処方された、酵母産生ORF0657n関連ポリペプチド(ORF0657nH、配列番号3)又はEコリ発現ORF0657n関連ポリペプチド(完全長ORF0657nC、配列番号28)によって免疫された。ワクチン群のサルは、ORF0657n関連ポリペプチド50mcgを筋肉内経路によって投与された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S.アウレウスに対して防御免疫をもたらし、1個以上の追加のポリペプチド領域が存在する場合には前記追加の領域は配列番号2のアミノ酸609から645を含むカルボキシ末端を与えない、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド免疫原。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、配列番号3と少なくとも90%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、配列番号3と少なくとも94%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも94%同一なアミノ酸配列を含むその断片からなる、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3又は配列番号42と少なくとも94%同一なアミノ酸配列からなる、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、配列番号1、3、7、17、20又は42のアミノ酸配列から本質的になる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、配列番号1、3、7、17、20又は42のアミノ酸配列からなる、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列とカルボキシ末端又はアミノ末端において前記配列に共有結合した1個以上の追加の領域部分とからなり、各領域又は部分が以下の諸性質、すなわち、免疫応答を増強する性質、精製を容易にする性質、又はポリペプチドの安定性を高める性質のうち少なくとも1つを有する領域又は部分から独立に選択される、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む免疫原。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の免疫原の免疫学的有効量と薬剤として許容される担体とを含む、患者において防御免疫応答を誘導することができる組成物。
【請求項9】
前記組成物がさらにアジュバントを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチド免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む組換え遺伝子を含む核酸。
【請求項11】
前記組換え遺伝子がシグナルペプチドコード配列及び細胞壁局在化シグナル配列の少なくとも実質的にすべてを欠く、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
前記組換え遺伝子が、酵母発現に対して最適化された1個以上のコドンを含む、請求項10に記載の核酸。
【請求項13】
前記ヌクレオチド配列が、酵母における発現に対して最適化された少なくとも50%のコドンである、請求項12に記載の核酸。
【請求項14】
前記核酸が発現ベクターである、請求項10に記載の核酸。
【請求項15】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52及び配列番号53からなる群から選択される、請求項10に記載の核酸。
【請求項16】
前記核酸が発現ベクターである、請求項15に記載の核酸。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか一項に記載の核酸を含む組換え細胞。
【請求項18】
(a)ポリペプチドが発現される条件下で請求項17に記載の組換え細胞を増殖させるステップと、および
(b)前記ポリペプチドを精製するステップと
を含む、防御免疫をもたらすS.アウレウスポリペプチドを製造する方法。
【請求項19】
前記組換え細胞がS.セレビシエである、請求項19に記載の方法。
【請求項20】
ポリペプチドを含む免疫原の免疫学的有効量を患者に投与するステップを含み、前記ポリペプチドが配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらす、患者における防御免疫応答を誘導する方法。
【請求項21】
前記免疫原が請求項1から7のいずれか一項に記載の免疫原である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記患者がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記患者がS.アウレウス感染に対して予防的に治療される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法によって製造されるポリペプチドの免疫学的有効量を患者に投与するステップを含む、患者における防御免疫応答を誘導する方法。
【請求項25】
ポリペプチドを含む免疫原の有効量を患者に投与するステップを含み、前記ポリペプチドが配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、及び前記ポリペプチドがS.アウレウスに対して防御免疫をもたらす、患者における既往反応を誘導する方法。
【請求項26】
前記既往反応が、既存の力価に対して少なくとも3倍の増加した幾何級数的に増加する力価(geometric titer)を3日以内にもたらす、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
S.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチド、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片をコードする酵母に対して最適化された核酸配列。
【請求項28】
ORF0657nシグナルペプチドも細胞壁局在化シグナル配列もコードしない、請求項27に記載の酵母に対して最適化された核酸。
【請求項29】
(a)S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む組換え酵母細胞を前記ポリペプチドが発現される条件下で増殖させるステップ(前記ポリペプチドはS.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらす完全長ORF0657n関連ポリペプチド、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片である。)と、および
(b)前記ポリペプチドを精製するステップと
を含む、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドを製造する方法。
【請求項30】
前記組換え遺伝子が、機能的ORF0657n細胞壁局在化シグナル配列をコードしない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組換え遺伝子が、機能的ORF0657n細胞壁局在化シグナル配列もシグナルペプチド配列もコードしない、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記組換え酵母細胞がS.セレビシエであり、前記ヌクレオチド配列が配列番号1、3、7、17又は20のポリペプチドをコードする、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
S.アウレウスに対して防御免疫をもたらし、1個以上の追加のポリペプチド領域が存在する場合には前記追加の領域は配列番号2のアミノ酸609から645を含むカルボキシ末端を与えない、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド免疫原。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、配列番号3と少なくとも90%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、配列番号3と少なくとも94%同一なアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも94%同一なアミノ酸配列を含むその断片からなる、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3又は配列番号42と少なくとも94%同一なアミノ酸配列からなる、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、配列番号1、3、7、17、20又は42のアミノ酸配列から本質的になる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、配列番号1、3、7、17、20又は42のアミノ酸配列からなる、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列とカルボキシ末端又はアミノ末端において前記配列に共有結合した1個以上の追加の領域部分とからなり、各領域又は部分が以下の諸性質、すなわち、免疫応答を増強する性質、精製を容易にする性質、又はポリペプチドの安定性を高める性質のうち少なくとも1つを有する領域又は部分から独立に選択される、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む免疫原。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の免疫原の免疫学的有効量と薬剤として許容される担体とを含む、患者において防御免疫応答を誘導することができる組成物。
【請求項9】
前記組成物がさらにアジュバントを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチド免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む組換え遺伝子を含む核酸。
【請求項11】
前記組換え遺伝子がシグナルペプチドコード配列及び細胞壁局在化シグナル配列の少なくとも実質的にすべてを欠く、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
前記組換え遺伝子が、酵母発現に対して最適化された1個以上のコドンを含む、請求項10に記載の核酸。
【請求項13】
前記ヌクレオチド配列が、酵母における発現に対して最適化された少なくとも50%のコドンである、請求項12に記載の核酸。
【請求項14】
前記核酸が発現ベクターである、請求項10に記載の核酸。
【請求項15】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52及び配列番号53からなる群から選択される、請求項10に記載の核酸。
【請求項16】
前記核酸が発現ベクターである、請求項15に記載の核酸。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか一項に記載の核酸を含む組換え細胞。
【請求項18】
(a)ポリペプチドが発現される条件下で請求項17に記載の組換え細胞を増殖させるステップと、および
(b)前記ポリペプチドを精製するステップと
を含む、防御免疫をもたらすS.アウレウスポリペプチドを製造する方法。
【請求項19】
前記組換え細胞がS.セレビシエである、請求項19に記載の方法。
【請求項20】
ポリペプチドを含む免疫原の免疫学的有効量を患者に投与するステップを含み、前記ポリペプチドが配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらす、患者における防御免疫応答を誘導する方法。
【請求項21】
前記免疫原が請求項1から7のいずれか一項に記載の免疫原である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記患者がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記患者がS.アウレウス感染に対して予防的に治療される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法によって製造されるポリペプチドの免疫学的有効量を患者に投与するステップを含む、患者における防御免疫応答を誘導する方法。
【請求項25】
ポリペプチドを含む免疫原の有効量を患者に投与するステップを含み、前記ポリペプチドが配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、及び前記ポリペプチドがS.アウレウスに対して防御免疫をもたらす、患者における既往反応を誘導する方法。
【請求項26】
前記既往反応が、既存の力価に対して少なくとも3倍の増加した幾何級数的に増加する力価(geometric titer)を3日以内にもたらす、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
S.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらすORF0657n関連ポリペプチド、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片をコードする酵母に対して最適化された核酸配列。
【請求項28】
ORF0657nシグナルペプチドも細胞壁局在化シグナル配列もコードしない、請求項27に記載の酵母に対して最適化された核酸。
【請求項29】
(a)S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む組換え酵母細胞を前記ポリペプチドが発現される条件下で増殖させるステップ(前記ポリペプチドはS.アウレウス感染に対して防御免疫をもたらす完全長ORF0657n関連ポリペプチド、又は配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むその断片である。)と、および
(b)前記ポリペプチドを精製するステップと
を含む、S.アウレウスに対して防御免疫をもたらすポリペプチドを製造する方法。
【請求項30】
前記組換え遺伝子が、機能的ORF0657n細胞壁局在化シグナル配列をコードしない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組換え遺伝子が、機能的ORF0657n細胞壁局在化シグナル配列もシグナルペプチド配列もコードしない、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記組換え酵母細胞がS.セレビシエであり、前記ヌクレオチド配列が配列番号1、3、7、17又は20のポリペプチドをコードする、請求項29に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図8J】
【図8K】
【図8L】
【図8M】
【図8N】
【図8O】
【図8P】
【図8Q】
【図8R】
【図8S】
【図8T】
【図8U】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図8J】
【図8K】
【図8L】
【図8M】
【図8N】
【図8O】
【図8P】
【図8Q】
【図8R】
【図8S】
【図8T】
【図8U】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−502101(P2007−502101A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521226(P2006−521226)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023523
【国際公開番号】WO2005/009379
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023523
【国際公開番号】WO2005/009379
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】
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