説明

スタンド及び電子機器

【課題】携帯機器の着脱容易性及び安定性を向上することができるスタンド及び電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯機器9を支持するスタンド1であって、携帯機器9の底面914が載置される載置部25と、載置部25から携帯機器9の両側面915,916の外形形状に沿って互いに対向するように起立し、かつ、両側面915,916を挟持する一対の腕部5(5R,5L)とを有する筐体2を備え、各腕部5は、当該腕部5から他方の腕部5に向かって延出して、携帯機器9の底面914及び前記両側面915,916にそれぞれ交差する第1面911及び第2面913の一部を挟持する一対の挟持部51,52を備え、一対の挟持部51,52のうちの少なくとも一方の挟持部は、載置部25に近接する方向に向かうに従って、延出量が大きくなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器を支持するスタンドと、当該携帯機器及びスタンドを備える電子機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器を支持するスタンドが知られている。このようなスタンドとして、携帯機器としてのデジタルスチルカメラ(以下、「カメラ」と略す場合がある)を装着可能なクレードル(例えば、特許文献1参照)や、携帯型のディスク装置を装着可能なクレードル(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
特許文献1に記載のクレードルは、カメラへの電力供給及び当該カメラとのデータの入出力を行う接続端子を有するクレードル本体と、当該クレードル本体に取り付けられ、かつ、カメラが載置される載置部とを備えている。このうち、載置部は、横断面視略U字状を有し、カメラの底面、背面及び両側面を支持する。
また、特許文献2に記載のクレードルは、ディスク装置が載置される載置部と、当該ディスク装置の両側面をそれぞれ覆う横断面視略U字状の2つの支持部とを備えている。この載置部には、ディスク装置に電力を供給する電源入力端子が設けられている。また、各支持部は、ディスク装置の側面側を覆うとともに、当該ディスク装置の正面側及び背面側を挟持するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−96883号公報
【特許文献2】特開2007−213121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のクレードルでは、装着されるカメラの両側面及び背面が支持される構成であるので、当該クレードルへのカメラの脱着は容易であるものの、装着されたカメラが安定しないという問題がある。
一方、特許文献2に記載のクレードルでは、2つの支持部が、クレードルへのディスク装置の装着をガイドするとともに、当該ディスク装置を支持するので、当該ディスク装置のクレードルへの装着を容易に行うことができるほか、安定してディスク装置を支持させることができる。しかしながら、一対の支持部とディスク装置との係合を完全に解消しない限り、ディスク装置が正面側及び背面側に動かないので、ディスク装置をクレードルから取り外すことが煩雑となりやすいという問題がある。
このような問題から、携帯機器の着脱を容易に行うことができ、当該携帯機器を安定して支持することができるスタンドが要望されてきた。
【0006】
本発明の目的は、携帯機器の着脱容易性及び安定性を向上することができるスタンド及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明のスタンドは、携帯機器を支持するスタンドであって、前記携帯機器の底面が載置される載置部と、前記載置部から前記携帯機器の両側面の外形形状に沿って互いに対向するように起立し、かつ、当該両側面を挟持する一対の腕部とを有する筐体を備え、前記各腕部は、当該腕部から他方の腕部に向かって延出して、前記携帯機器の底面及び前記両側面にそれぞれ交差する第1面及び第2面の一部を挟持する一対の挟持部を備え、前記一対の挟持部のうちの少なくとも一方の挟持部は、前記載置部に近接する方向に向かうに従って、延出量が大きくなることを特徴とする。
【0008】
ここで、携帯機器において、底面及び両側面にそれぞれ交差する第1面及び第2面は、当該携帯機器の正面及び背面とすることができる。
本発明によれば、スタンドの載置部に携帯機器を載置する際には、当該載置部から起立する一対の腕部により、携帯機器の両側面が挟持されるとともに、当該各腕部が備える一対の挟持部により、携帯機器の底面及び両側面にそれぞれ交差する第1面及び第2面の一部が挟持される。これによれば、携帯機器の底面が載置部により支持され、かつ、当該携帯機器の第1面、第2面及び両側面が一対の腕部により挟持されるので、携帯機器を安定して支持することができる。また、この際、各腕部の一対の挟持部は、携帯機器の第1面及び第2面の一部を挟持するので、当該第1面及び第2面の全てが腕部によって覆われることはない。このため、当該第1面及び第2面に、画像を表示する表示部や、開閉する蓋部材等がある場合でも、当該表示部に表示された画像の観察、及び、蓋部材の開閉を行うことができる。
【0009】
また、一対の挟持部のうち少なくともいずれか一方は、載置部に向かうに従って、各腕部からの延出量が大きくなる。これによれば、当該各挟持部による挟持力は、載置部に携帯機器を離間させるに従って小さくなるので、携帯機器の第1面及び第2面のうちの一方側に動かしやすくすることができる。従って、携帯機器をスタンドから取り外す場合に、携帯機器を載置部から離間させつつ、当該携帯機器を第1面側又は第2面側に傾けるようにすることにより、当該携帯機器のスタンドからの取り出しを容易に行うことができる。
【0010】
本発明では、前記載置部及び前記一対の腕部は、前記筐体が設置される設置面に対して傾斜して形成され、前記一対の腕部は、正面視略長円状を有する前記携帯機器の前記両側面の形状に応じて略円弧状に湾曲して形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、載置部及び一対の腕部は、設置面に対して傾斜して形成されている。これによれば、携帯機器の鉛直方向の荷重は、載置部と、各腕部における傾斜方向側の挟持部により、分散して支持されることとなる。従って、携帯機器を一層安定して支持することができる。
また、一対の腕部が、携帯機器の両側面の形状に応じて略円弧状に形成されていることにより、各腕部が当該両側面に沿って当接するので、携帯機器を一層確実に挟持することができるほか、スタンドのデザイン性を向上することができる。
【0012】
本発明では、前記筐体は、当該筐体から突出して、前記載置部に載置された前記携帯機器を押し上げる突出部材と、前記突出部材を突出させる操作部材とを備えることが好ましい。
本発明によれば、操作部材を操作することにより、突出部材が筐体から突出して携帯機器を押し上げるので、載置部及び一対の腕部により支持された携帯機器を、スタンドから容易に取り外すことができる。従って、スタンドからの携帯機器の取り外し容易性を向上することができる。
【0013】
本発明では、前記筐体は、当該筐体における前記携帯機器の前記底面に対向する第1の面と、当該第1の面に交差する第2の面とに跨って形成された開口を有し、前記操作部材は、前記突出部材に当接する当接部を有し、かつ、回動動作に応じて前記突出部材を前記筐体から突出させるレバー部材と、前記レバー部材を回動自在に支持する支持部材とを備え、前記レバー部材は、前記開口内にて前記第1の面に沿うように配置され、かつ、当該レバー部材を回動させる操作部と、前記開口内にて前記第2の面に沿うように配置されるとともに、当該レバー部材に回動自在に支持され、前記操作部とともに前記開口を閉塞する板状体とを備え、前記支持部材は、前記設置面及び前記第2の面に傾斜し、かつ、前記レバー部材の回動に伴って、前記板状体を前記筐体内にガイドするガイド部を備えることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、操作部の押し下げ動作に連動して、レバー部材が回動し、突出部材を筐体から押し上げるので、スタンドからの携帯機器の取り出しを一層容易に行うことができる。
ここで、操作部が押し下げられていない場合、当該操作部とともに板状体が、筐体の開口を閉塞するが、当該操作部が押し下げられた場合には、当該板状体は、レバー部材に対して回動するとともに支持部材のガイド部に沿って筐体内に収納される。これによれば、レバー部材の回動動作を遮ることなく筐体の内部を隠すことができる。従って、スタンドの外観を良好にすることができる。
【0015】
本発明では、前記当接部は、前記突出部材に対向する方向に膨出するように、略円弧状に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、突出部材に当接する当接部が、略円弧状に形成されていることにより、当該レバー部材の回動に伴って、当接部上を突出部材が滑りながら押し上げられることとなる。これによれば、突出部材を円滑に押し上げることができるとともに、突出部材が携帯機器を押し上げる位置まで、当該突出部材を確実に押し上げ続けることができる。従って、突出部材を確実に突出させることができる。
【0016】
本発明では、前記載置部には、当該載置部への前記携帯機器の載置方向に対向する方向に突出し、前記携帯機器に挿入されて当該携帯機器を係止するピン状の係止部材が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、係止部材が、載置部に載置された携帯機器を係止するので、当該携帯機器を一層安定して支持することができる。また、この際、係止部材は、載置部への携帯機器の載置に伴って当該携帯機器に挿入されるので、係止部材による携帯機器の係止を容易に行うことができる。
【0017】
本発明では、前記係止部材は、前記各腕部近傍に、それぞれ設けられ、一方の前記腕部側に設けられた一方の前記係止部材は、他方の前記腕部側に設けられた他方の前記係止部材より、前記携帯機器の係止力が強く、前記突出部材は、前記他方の係止部材から離間し、かつ、前記一方の係止部材に近接する位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
ここで、突出部材が、一方の係止部材に比べて係止力の弱い他方の係止部材側に位置している場合、当該突出部材の突出により他方の係止部材を携帯機器から引き抜く際に、一方の係止部材の係止力により携帯機器が傾斜してしまう。このような場合、当該携帯機器の押し上げ時の抵抗が更に大きくなってしまい、当該携帯機器の押し上げが適切に行われなくなってしまう。
これに対し、本発明では、突出部材が、係止力の強い一方の係止部材側に近接するように配置されていることにより、携帯機器からの当該一方の係止部材の引き抜きを容易に行うことができる。また、これにより、突出部材の押し上げ時の携帯機器の傾斜を抑制することができるので、当該携帯機器の押し上げを確実に行うことができる。従って、スタンドからの携帯機器の取り外しを容易に行うことができる。
【0019】
本発明では、前記係止部材は、前記携帯機器に電力を供給する電源ピン、及び、前記携帯機器から音声信号が入力されるイヤホン端子のいずれかであることが好ましい。
本発明によれば、係止部材が電源ピン又はイヤホン端子で構成されていることにより、スタンドを携帯機器のクレードルとして利用することができる。また、これら電源ピン及びイヤホン端子を係止部材として利用することにより、係止部材をスタンドに新たに設ける必要がない。従って、クレードルとして利用されるスタンドの部品点数の増加を防ぐことができる。
【0020】
本発明では、前記筐体は、当該筐体の2面に跨るように内側に凹む凹部を有し、前記凹部を形成し、かつ、互いに対向する一対の側部には、所定のケーブルが接続される端子がそれぞれ設けられていることが好ましい。
ここで、所定のケーブルとしては、スタンドに電力を供給するための電源ケーブルや、当該スタンドと通信するための通信ケーブルを挙げることができる。また、これらケーブルの端部に、当該ケーブルに対して略直交するように延出するプラグが設けられていることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、凹部を形成する一対の側部に設けられた各端子へのケーブルの接続方向と、当該ケーブルのスタンドからの延出方向は、それぞれ略直交することとなる。これによれば、端子からのケーブルの抜けを抑えることができる。
特に、各ケーブルの端部に前述のプラグが設けられている場合には、当該プラグを凹部内に収納することができるので、プラグ全体がスタンドの外側に露出することを防ぐことができ、スタンドからプラグが抜けることを防止することができる。また、このような場合には、端子へのプラグの挿入方向とスタンドからのケーブルの延出方向とが確実に略直交するので、スタンドからのケーブルの抜けを一層防止することができる。更に、各ケーブルは、互いに対向する一対の側部に設けられた端子に接続されるので、各ケーブルが互いに干渉することを防止することができる。
【0022】
また、本発明の電子機器は、前述のスタンドと、当該スタンドにより支持される携帯機器とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述のスタンドと同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本実施形態に係る電子機器10を構成するクレードル1と、当該クレードル1に装着される携帯端末9とを正面側から見た斜視図である。具体的に、図1は、クレードル1に携帯端末9が装着される状態を示す斜視図であり、図2は、クレードル1に携帯端末9が装着された状態を示す斜視図であり、また、図3は、クレードル1から携帯端末9が取り外される状態を示す斜視図である。
本実施形態に係る電子機器10は、図1に示すように、本発明のスタンドに相当するクレードル1と、本発明の携帯機器に相当する携帯端末9とを備える。このうち、クレードル1は、後述する一対の腕部5にガイドされた携帯端末9を、図2に示すように支持する。この図2に示される状態で、クレードル1は、携帯端末9に電力を供給するとともに、当該携帯端末9と通信接続する。この状態から、クレードル1に設けられた操作バー63が押し下げられると、図3に示すように、突出部材66が突出し、一対の腕部5により挟持された携帯端末9が押し上げられ、クレードル1からの携帯端末9の取り出しが容易となる。
【0024】
〔携帯端末の構成〕
ここで、先に携帯端末9について説明する。
携帯端末9は、本実施形態では、内部に収納された光ディスク及び半導体メモリカードからプログラムを読み出して実行するゲーム機として構成されている。この携帯端末9は、当該プログラムの他、動画や静止画に係る画像情報及び音声情報を処理可能に構成されている。この携帯端末9は、図1〜図3に示すように、扁平横長の正面視略長円形状で、左右両端部が略円弧状に形成された筐体91を備えている。
この筐体91の正面911の略中央には、前述の画像情報に係る画像を表示する液晶パネル92が露出している。また、当該筐体91における液晶パネル92の左側、右側及び下側、並びに、筐体91における上面912の左右両端には、詳しい図示を省略したが、携帯端末9を操作するための各種キーが配設されている。
【0025】
図4は、携帯端末9を下方背面側から見た斜視図である。
筐体91の背面913における略中央には、図4に示すように、当該筐体91に形成された光ディスク収納用開口(図示省略)を閉塞する蓋部材93が設けられている。この蓋部材93は、筐体91の底面914側が回動自在に支持され、当該蓋部材93の上面912側の端部が、筐体91に対して近接及び離間することにより、ディスク収納用開口を閉塞及び開放する。
また、背面913における左側(図4における右側)の端部には、半導体メモリカードを挿入するための開口(図示省略)が形成され、当該開口は、蓋部材94により閉塞される。
【0026】
また、底面914における右側(図4における左側)の端部には、携帯端末9に電力を供給する電源ピン28(図5〜図7)と接続される電源端子95が設けられている。更に、底面914における左側の端部には、図示を省略したが、音声信号を出力するイヤホンジャックと、画像信号の出力及び操作信号の入力を行う接続端子とが設けられている。これらイヤホンジャック及び接続端子は、それぞれ、後述するクレードル1のイヤホン端子29及び通信接続端子30(図5〜図7)に接続される。
【0027】
筐体91の両側面915,916(各面911〜914にそれぞれ交差する面)のうち、右側の側面915には、当該側面915に沿ってスライドすることで、携帯端末9の電源をオン/オフする電源スイッチ96が設けられている。
また、左側の側面916には、図示を省略するが、当該側面916に沿ってスライドすることで、他の機器との無線LAN(Local Area Network)による無線通信をオン/オフする切替スイッチが設けられている。
【0028】
〔クレードルの構成〕
図5〜図7は、クレードル1を示す斜視図である。具体的に、図5及び図6は、クレードル1を正面側及び背面側から見た斜視図であり、図7は、クレードル1を腕部5の起立方向に対向する方向から見た斜視図である。また、図8は、クレードル1を下方から見た斜視図である。
クレードル1は、図5〜図8に示すように、クレードル1を制御する制御基板(図示省略)や、後述する突出機構6等を内部に収納する筐体2を備えている。この筐体2は、正面211(本発明の第1の面)、上面212(本発明の第2の面)、左右の両側面213,214、背面215及び底面216を備えた略直方体形状する合成樹脂性の筐体である。
【0029】
筐体2の正面211側略中央には、当該正面211及び上面212に跨る開口21が形成されている。この開口21は、後述する突出機構6を構成する操作バー63及びスライダ65により閉塞される。
また、正面211における開口21の左側(図5における左側)には、図5に示すように、リモコン(図示省略)からの赤外線信号を受光する受光窓22が設けられている。この赤外線信号は、受光窓22の内側に設けられた赤外線受光モジュール(図示省略)によりデジタル信号に変換され、前述の制御基板に出力される。
【0030】
更に、正面211における開口21の右側(図5における右側)には、クレードル1に装着された携帯端末9による画像信号の出力状態を示す2つのLED23が設けられている。これらのうち、一方のLED23の点灯は、携帯端末9が自己の液晶パネル92に画像を表示している状態を示し、他方のLED23の点灯は、携帯端末9がクレードル1に画像信号を出力している状態を示す。
【0031】
上面212における開口21の右側には、前述の2つの画像出力状態を切り替える切替キー24が配置されている。この切替キー24が入力された場合には、前述の制御基板が、後述する通信接続端子30を介して携帯端末9に操作信号を出力し、携帯端末9による前述の画像出力状態を順次切り替えるとともに、当該画像出力状態に応じて、LED23の点灯状態を切り替える。
【0032】
上面212における奥行き方向の略中央には、当該筐体2の長手方向(左右方向)に沿って、携帯端末9が載置される載置部25が形成されている。
この載置部25は、携帯端末9の底面914を支持する部位であり、一部が、当該底面914の寸法に応じて筐体2の長手方向における外側(それぞれ側面213,214の外側)に延出している。この載置部25は、筐体2の背面215側に向かうに従って上面212から下方(底面216側)に向かって傾斜するように形成されており、当該載置部25に携帯端末9の底面914が載置された際には、当該携帯端末9の正面911が僅かに上方を向く。なお、本実施形態では、載置部25と、設置面に略平行な上面212及び底面216とのなす角は、略155°に設定されている。
【0033】
この載置部25の背面215側には、当該載置部25の下端から上面212側に向かって傾斜し、携帯端末9の背面913における底面914側の一部を支持する支持部26が形成されている。また、この支持部26における左右方向の略中央には、当該支持部26より緩やかな傾斜を有し、かつ、筐体2の内側に向かって凹んだ凹部27が形成されている。この凹部27は、クレードル1に携帯端末9を装着した状態で、前述の蓋部材93を開放するためのスペースを確保する。
また、載置部25における左右の両端部には、当該載置部25における面外方向(載置部25に直交する方向)に起立する一対の腕部5が、筐体2と一体的に形成されている。なお、この一対の腕部5については、後に詳述する。
【0034】
載置部25における右側(図5における右側で、図6及び図7における左側)の端部近傍には、携帯端末9の電源端子95(図4)に挿入及び接続される電源ピン28が設けられている。この電源ピン28は、載置部25における側面213より外側の領域に設けられている。
載置部25における左側(図5における左側で、図6及び図7における右側)の端部近傍には、携帯端末9のイヤホンジャック及び接続端子にそれぞれ挿入及び接続されるイヤホン端子29及び通信接続端子30が設けられている。これらイヤホン端子29及び通信接続端子30は、載置部25における側面214のより内側の領域に設けられている。そして、これら電源ピン28及びイヤホン端子29は、クレードル1に装着された携帯端末9を係止する本発明の係止部材としても機能する。
【0035】
ここで、各端子28〜30は、通信接続端子30、電源ピン28、イヤホン端子29の順で、載置部25からの起立寸法が大きくなり、当該イヤホン端子29が、携帯端末9に最も深く挿入される。更に、当該イヤホン端子29は、電源ピン28及び通信接続端子30に比べて、携帯端末9に対する挿入抵抗及び抜き抵抗が大きく、携帯端末9の係止力が最も大きい。
【0036】
また、載置部25には、後述する突出機構6を構成する突出部材66が当該載置部25から突没するための略矩形の開口31が形成されている。この開口31は、載置部25における中央から左側、すなわち、イヤホン端子29に近接する側の位置に形成されている。この開口31の内側には、詳しい図示を省略するが、当該突出部材66の突没を案内するガイドが形成されており、当該ガイドは、載置部25から突出機構6の後述するレバー部材62に向かって延出するように形成されている。このため、当該ガイドは、設置面に対して略平行な上面212及び底面216に対して傾斜するように形成されている。なお、突出機構6については、後に詳述する。
【0037】
筐体2の背面側には、図6〜図8に示すように、当該筐体2の背面215及び底面216に跨る凹部32が形成されている。この凹部32は、背面215及び底面216のそれぞれに直交する方向に沿う一対の側部33を有し、当該一対の側部33のうち、右側(図6における左側であり、図8における右側)の側部33Rには、外部から商用交流電流が入力する電源ケーブル81に設けられ、かつ、前述の電源ピン28と同様の端子であるプラグ8121が接続される接続端子34が設けられている。また、左側(図6における右側であり、図8における左側)の側部33Lには、通信ケーブル82に設けられ、かつ、前述のイヤホン端子29及び通信接続端子30と同様の端子であるプラグ8221,8222が接続されるイヤホンジャック35及び接続端子36が設けられている。このような通信ケーブル82は、テレビジョン受像機等の画像表示装置(図示省略)と接続される。そして、前述の切替キー24が入力されて携帯端末9の画像出力状態が切り替えられると、当該通信ケーブル82を介して、画像信号及び音声信号が画像表示装置に出力され、当該画像信号及び音声信号に応じた画像表示及び音声出力が、当該画像表示装置により行われる。
【0038】
ここで、電源ケーブル81及び通信ケーブル82は、各ケーブル811,821に対して直交するように延出した前述のプラグ8121,8221,8222を有する接続部812,822を備えている。このため、これら各ケーブル81,82は、凹部32内では、図8に示すように、各側部33R,33Lに沿って延出するように配置される。これにより、当該各ケーブル81,82をクレードル1に接続しやすくすることができるほか、各ケーブル81,82同士が凹部32内で干渉することを防ぐことができる。
また、図8に示すように、底面216における正面211側及び略中央には、ゴム製の脚部37が設けられている。
【0039】
〔腕部の構成〕
一対の腕部5は、図5〜図8に示すように、載置部25の左右両端から外側にせり出すように起立して形成されている。これら一対の腕部5(クレードル1を正面側から見た際に、左側の腕部を5Lとし、右側の腕部を5Rとする)は、各腕部5R,5Lの起立方向が、載置部25の載置面(携帯端末9の底面914を支持する面)に対する直交方向に沿うように形成され、これにより各腕部5L,5Rは、わずかに背面215側に傾斜するように形成されている。また、各腕部5L,5Rは、載置部25における側面213,214からの突出部分と合わせて、携帯端末9の左右両側面915,916の略円弧状形状に応じて略円弧状に形成されており、当該各側面915,916の略下半分を覆いつつ、当該各側面915,916に当接して、携帯端末9を左右方向にて挟持する。なお、本実施形態では、各腕部5L,5Rは、携帯端末9を見やすくするために無色透明の樹脂により形成されている。
【0040】
これら腕部5は、当該腕部5の正面211側及び背面215側の端部から、他方の腕部5に対向する方向にそれぞれ延出し、かつ、携帯端末9の正面911及び背面913を挟持する一対の挟持部51,52を有している。これら一対の挟持部51,52は、載置部25に向かうに従って延出量が大きくなるようにそれぞれ形成されている。このため、携帯端末9をクレードル1に装着する際に、当該携帯端末9の底面914を載置部25に近接させるに従って、当該一対の腕部5により、当該携帯端末9の正面911側及び背面913側への揺動が規制され、一対の腕部5による携帯端末9の保持力が強くなる。
【0041】
これらのうち、腕部5Rにおける携帯端末9の側面915に当接する領域の下方側には、当該腕部5の起立方向に長手方向を有する長孔53が形成されている。これら長孔53は、載置部25に載置され、かつ、一対の腕部5により挟持された携帯端末9の電源スイッチ96(図4参照)を露出させるための長孔である。これにより、クレードル1に携帯端末9を装着した状態でも、当該携帯端末9の操作が遮られることが防止される。
【0042】
〔突出機構の構成〕
図9〜図12は、突出機構6を示す図である。具体的に、図9及び図10は、操作バー63が押し下げられる前の状態の突出機構6を示す斜視図及び側面図であり、図11及び図12は、操作バー63が押し下げられた状態の突出機構6を示す斜視図及び側面図である。なお、図9及び図11では、突出部材66の図示を省略している。また、図10及び図12では、レバー部材62を中心に記載しており、突出機構6の各構成を簡略化して記載している。
【0043】
突出機構6は、クレードル1に装着された携帯端末9を押し上げて、当該携帯端末9のクレードル1からの取り出しを容易にするためのものであり、開口21に応じた筐体2内に設けられている。このような突出機構6は、図9〜図12に示すように、支持部材61と、レバー部材62と、操作バー63と、ばね64と、スライダ65と、突出部材66(図10,12)と、軸部材67,68(図10,図12)とを備えている。
なお、以下の説明において、各部材61〜68の正面側とは、筐体2内に収納された突出機構6における正面211に近接する側をいい、背面側とは、背面215に近接する側をいい、底面側とは、底面216に近接する側をいう。
【0044】
〔支持部材の構成〕
支持部材61は、縦断面視略U字状に形成されており、側面213,214に沿って配置される一対の側部611(側面213側の側部を611Rとし、側面214側の側部を611Lとする)と、当該一対の側部611の底面側の端部間を接続し、かつ、底面216に沿って配置される接続部(図示省略)とを有している。そして、このような支持部材61の内側に、後述するレバー部材62、操作バー63、ばね64、スライダ65、突出部材66及び軸部67,68が位置している。これらのうち、支持部材61、レバー部材62、操作バー63及びスライダ65は、本発明の操作部材を構成する。
【0045】
側部611L,611Rは、それぞれ互いに略鏡面対称構造を有しており、当該各側部611の正面側には、他方の側部から離間する方向に延出する延出部6111が形成されている。これら延出部6111には、支持部材61を筐体2に固定するためのねじが挿通する孔6112が形成されている。
また、各側部611の背面側上方には、レバー部材62の後述する軸部材67が挿通する孔6113が形成されている。
この孔6113の正面側には、他方の側部に近接する方向、すなわち、レバー部材62に近接する方向に屈曲した規制部6114が形成されている。この規制部6114は、後述するばね64の付勢力により回動するレバー部材62の必要以上の回動を規制する。
【0046】
更に、側部611の正面側には、正面側上方から底面側に向かって傾斜したガイド孔6115が形成されている。これらガイド孔6115には、後述するスライダ65の挿通部6531が挿通し、操作バー63の押し下げに伴うレバー部材62の回動に応じて、スライダ65が当該ガイド孔6115に沿って、開口21の内側で、かつ、底面側に傾斜するようにスライドする。すなわち、ガイド孔6115は、本発明のガイド部に相当する。
更に、側部611Rの背面側には、側部611L側に屈曲し、後述するばね64を係止する係止部6116が形成されている。
【0047】
〔レバー部材の構成〕
レバー部材62は、操作バー63を使用者が押し下げることにより回動して、突出部材66を押し上げるとともに、スライダ65を開口21内にスライドさせる。このレバー部材62は、側面視略逆T字状を有し、操作バー63が押し下げられていない状態では、正面側上端から底面に向かって傾斜するように配置される。このようなレバー部材62は、側部611L,611Rにそれぞれ対向する一対の側部621と、当該一対の側部621の底面側の端部を接続する接続部622とを備えている。
【0048】
一対の側部621の上面側は、略円弧状を有しており、当該円弧状部分の略中央には、略円形状の孔6211が形成されている。これら孔6211には、略円筒状の軸部材67が貫通される。この軸部材67は、支持部材61の孔6113を貫通しており、これにより、レバー部材62は、支持部材61に回動自在に支持される。
また、一対の側部621の正面側には、略円形状の孔6212が形成されている。これら各孔6212には、後述するスライダ65の接続部652を貫通する略円筒状の軸部材68が挿通される。
【0049】
接続部622の背面側には、上方、すなわち、後述する突出部材66に対向する方向に側面視略円弧状に膨出した円弧状の当接部6221が形成されている。この当接部6221は、レバー部材62の回動に伴って、当該突出部材66に当接し、この突出部材66を、載置部25から開口31を介して筐体2外に突出させる。
接続部622における正面側には、操作バー63が取り付けられる取付部623が形成されている。
【0050】
〔操作バーの構成〕
操作バー63は、本発明の操作部に相当し、平面視略矩形状を有する板状部材として形成されている。この操作バー63の背面側には、前述の軸部材67に当接する当接部632が形成されている。また、当該操作バー63の正面側には、上面212側の開口21の端縁に沿う形状に形成され、かつ、当該開口21を閉塞する操作部631が形成されている。この操作部631に指を当てて操作バー63を押し下げることで、レバー部材62が回動する。
【0051】
〔ばねの構成〕
ばね64は、コイル部641と、当該コイル部641の両端から延出する一対の線状部642とを備えた捻りコイルばねで構成され、当該コイル部641は、軸部材67に巻回されている。また、一対の線状部642のうち、一方は、側部611Rに形成された係止部6116により係止され、他方は、詳しい図示を省略したが、レバー部材62により係止されている。このようなばね64の付勢力により、レバー部材62の取付部623が上面に近接する方向に付勢され、当該レバー部材62が支持部材61の規制部6114に当接することで、開口21から露出する操作バー63の上面と、筐体2の上面212とが面一となる。
【0052】
〔スライダの構成〕
スライダ65は、本発明の板状体に相当し、正面211に沿って開口21内に配置され、前述のように、操作バー63とともに当該開口21を閉塞する。すなわち、スライダ65は、操作バー63が押し下げられていない状態では、当該操作バー63と接続されて略L字状となり、開口21を閉塞する。このスライダ65は、平板状のスライダ本体651と、当該スライダ本体651の背面側上方及び背面側下方に形成された一対の接続部652及び一対の延出部653とを備えている。
【0053】
このうち、一対の接続部652は、スライダ本体651の上端から上方背面側に向かって傾斜するように延出している。これら一対の接続部652には、前述の軸部材68が挿通する孔部6521が形成されており、当該孔部6521を、レバー部材62の孔6212を挿通した軸部材68が貫通することにより、スライダ65が当該レバー部材62に回動自在に支持される。
【0054】
一対の延出部653は、左右方向に沿って、スライダ本体651の外側に延出する略円筒状の部位であり、当該一対の延出部653の延出方向先端には、当該延出部653より直径寸法の小さい略円筒状の挿通部6531が形成されている。これら挿通部6531は、支持部材61に形成されたガイド孔6115に挿通される。
このようなスライダ65は、操作バー63の押し下げに伴うレバー部材62の回動により、ガイド孔6115に沿って筐体2内部に収納され、当該レバー部材62の逆方向への回動により、元の位置(開口21における正面211に沿う位置)に戻る。
【0055】
〔突出部材の構成〕
突出部材66は、略直方体形状を有し、前述のように、開口31を介して筐体2外に突出し、載置部25に載置された携帯端末9を押し上げて、電源ピン28、イヤホン端子29及び通信接続端子30による携帯端末9の係止を解除する。この突出部材66は、レバー部材62に当接される平坦な当接面661を有し、当該レバー部材62の回動に応じて筐体2から突没する。
【0056】
〔突出機構の動作〕
以下、突出機構6による携帯端末9の押し上げ動作について説明する。
図13〜図15は、突出部材66に応じた位置でのクレードル1の縦断面図である。すなわち、図13〜図15は、図1〜図3において示した各状態でのクレードル1の縦断面図である。
クレードル1に携帯端末9を装着する際には、図1及び図13に示すように、クレードル1の載置部25と、携帯端末9の底面914とを互いに対向させ、かつ、一対の腕部5R,5Lにそれぞれ、携帯端末9の両側面915,916をそれぞれ対向させる。この状態から、当該各腕部5R,5Lに沿って携帯端末9を下降させると、携帯端末9は、当該各腕部5R,5Lにより案内され、図2及び図14に示すように、載置部25上に載置される。
この際、各腕部5R,5Lの挟持部51,52は、載置部25に向かうに従って、当該腕部5R,5Lからの延出量が大きくなるので、携帯端末9を下降させるに従って、当該携帯端末9の正面911側及び背面913側への揺動が規制される。
【0057】
このように、載置部25上に載置された携帯端末9は、当該携帯端末9の側面915,916の形状に沿った略円弧状の腕部5L,5Rにより、左右方向から挟持されるとともに、各腕部5L,5Rの挟持部51,52により、携帯端末9の正面911及び背面913の一部が奥行き方向から挟持される。
また、携帯端末9の底面914に設けられた電源端子95、イヤホンジャック及び接続端子(図示省略)に、載置部25に設けられた電源ピン28、イヤホン端子29及び通信接続端子30がそれぞれ挿入されることにより、携帯端末9が載置部25上に係止される。
【0058】
図2及び図14に示した状態から操作バー63が押し下げられると、図15に示すように、支持部材61に保持された軸部材67を中心として、レバー部材62の正面側が底面側に向かって回動する。このレバー部材62の回動に伴って、当該レバー部材62に軸部材68を介して係合し、かつ、開口21における正面211側を閉塞していたスライダ65が、軸部材68を中心として底面側に向かって回動し、支持部材61に形成されたガイド孔6115に沿って、筐体2内の底面216に沿うように収納される。このようなスライダ65により、操作バー63が押し下げられていない状態で、開口21を介して筐体2の内部が正面211側から露出することを防ぐことができるとともに、当該スライダ65がレバー部材62の回動を妨げることを防ぐことができる。
【0059】
また、このレバー部材62の回動により、当該レバー部材62の背面側に形成された当接部6221が上方に向かって押し上げられる。この当接部6221は、突出部材66の下端に形成された当接面661に当接し、当該突出部材66を上方に向かって押し上げる。このように押し上げられた突出部材66は、開口31の内部に形成されたガイドによって案内され、当該開口31を介して筐体2外に突出する。この突出部材66により、載置部25上の携帯端末9は上方(載置部25の面外方向)に向かって押し上げられ、図3に示したように、電源ピン28、イヤホン端子29及び通信接続端子30による携帯端末9の係止が解除される。
【0060】
この突出部材66の最大の突出量は、これら電源ピン28及びイヤホン端子29が、携帯端末9の電源端子95及びイヤホンジャックから完全には抜けない程度に設定されている。このため、図3に示したように、突出部材66が最大限に突出した場合でも、電源ピン28及びイヤホン端子29と携帯端末9との係合が解除されないようにすることができ、携帯端末9がクレードル1から脱落することを防ぐことができる。
【0061】
一方、操作バー63の押し下げを解除した場合、すなわち、当該操作バー63から指を離した場合には、ばね64の付勢力により、レバー部材62は、当該レバー部材62と支持部材61の規制部6114とが当接するまで逆方向に回動する。これにより、レバー部材62は、操作バー63が押し下げられる前の状態に戻り、操作バー63及びスライダ65は、開口21内で上面212及び正面211とそれぞれ面一となる位置に配置される。
【0062】
以上説明した本実施形態の電子機器10によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)クレードル1に携帯端末9を装着する際には、載置部25の左右両端から起立する一対の腕部5により、当該携帯端末9の両側面915,916が挟持される。これによれば、当該腕部5が、載置部25に携帯端末9を載置する際のガイドとなるので、当該携帯端末9をクレードル1に装着しやすくすることができるほか、携帯端末9を安定して支持することができる。
【0063】
また、これら腕部5に形成された一対の挟持部51,52により、携帯端末9の正面911及び背面913の一部が挟持される。これによれば、載置部25上に載置された携帯端末9が正面911側及び背面913側に揺動することを規制することができるとともに、携帯端末9の液晶パネル92及び蓋部材93が、挟持部51,52によって覆われることを防ぐことができる。従って、液晶パネル92による画像表示、及び、蓋部材93の開閉が妨げられることなく、携帯端末9を支持することができる。
【0064】
更に、各腕部5の一対の挟持部51,52は、載置部25に向かうに従って、各腕部5からの延出量が大きくなるように形成されている。これによれば、当該各挟持部51,52による携帯端末9の挟持力は、載置部25に当該携帯端末9を近接させるに従って強くなり、逆に離間させるに従って弱くなる。このため、携帯端末9を一対の腕部5に沿ってクレードル1に装着させやすくするころができる。
また、クレードル1から携帯端末9を取り外す際には、携帯端末9を正面911側又は背面913側に傾けつつ、当該携帯端末9を載置部25から離間させるようにすることで、携帯端末9のクレードル1からの取り出しを容易に行うことができる。
従って、携帯端末9が正面911側及び背面913側に揺動しない場合に比べ、携帯端末9をクレードル1から容易に取り外すことができる。
【0065】
(2)載置部25は、正面211側から背面215側に向かうに従って底面216側に傾斜するように形成され、一対の腕部5は、当該傾斜した載置部25の面外方向(載置部25に対して垂直となる方向)に起立して形成されている。これによれば、載置部25に載置された際の携帯端末9の荷重は、載置部25と、当該載置部25の背面215側に形成された支持部26と、腕部5の背面側の挟持部52により、分散して支持することができる。従って、携帯端末9を一層安定して支持することができる。
また、一対の腕部5L,5Rがそれぞれ携帯端末9の両側面915,916の形状に応じて略円弧状に形成されていることにより、当該各腕部5の内側の面を、当該両側面915,916に沿って当接させることができる。従って、当該携帯端末9を一層確実かつ安定して挟持することができるほか、クレードル1のデザイン性を向上することができる。
【0066】
(3)筐体2内部に、突出機構6が設けられていることにより、当該突出機構6を構成する操作バー63を押し下げてレバー部材62を回動させることで、突出部材66が載置部25の開口31から突出して、載置部25上に載置された携帯端末9を押し上げることができる。これによれば、当該載置部25及び一対の腕部5により支持された携帯端末9を、クレードル1から容易に取り外すことができる。
【0067】
(4)突出機構6は、レバー部材62に取り付けられた操作バー63とともに開口21を閉塞するスライダ65と、当該スライダ65を筐体2内部にガイドするガイド孔6115を有する支持部材61とを備えている。このスライダ65は、レバー部材62と係合し、当該レバー部材62の回動に伴って、ガイド孔6115に沿って筐体2内に収納される。これによれば、レバー部材62の回動が遮られることなく、開口21を介して筐体2の内部が露出することを防ぐことができる。従って、クレードル1の外観を良好にすることができる。
【0068】
(5)レバー部材62における突出部材66に当接する当接部6221は、当該突出部材66に対向する方向に膨出するように、円弧状に形成されている。これによれば、レバー部材の回動に伴って、突出部材66が当接部6221上を滑りつつ、当該当接部6221により押し上げられることとなる。このため、突出部材66を円滑に押し上げることができるとともに、当該突出部材66が、イヤホン端子29等による係止が解除される位置まで、携帯端末9を確実に押し上げ続けることができる。従って、突出部材66、ひいては、携帯端末9を確実かつ円滑に押し上げることができる。
【0069】
(6)載置部25上に載置された携帯端末9には、電源ピン28、イヤホン端子29及び通信接続端子30が挿入され、当該携帯端末9は、これらによって載置部25上に係止される。これによれば、携帯端末9を一層安定して支持することができる。また、これら各端子28〜30は、載置部25への携帯端末9の載置に伴って挿入されるので、載置された携帯端末9に対して係止動作を行う場合に比べ、当該携帯端末9の係止を容易に行うことができる。
【0070】
(7)突出部材66、及び、当該突出部材66が突没する開口31は、載置部25において、係止力の弱い電源ピン28から離間し、かつ、係止力の強いイヤホン端子29に近接するように設けられている。これによれば、携帯端末9からの各端子28〜30の引き抜きに際して、当該携帯端末9が傾斜することなく、適切に各端子28〜30を携帯端末9から引き抜くことができる。従って、クレードル1からの携帯端末9の取り外しを一層容易に行うことができる。
【0071】
(8)載置部25上に載置された携帯端末9を係止する係止部材が、電源ピン28及びイヤホン端子29であるので、当該係止部材をクレードル1に別途設ける必要がない。従って、クレードル1の部品点数の増加を防ぐことができる。
【0072】
(9)電源ケーブル81及び通信ケーブル82は、凹部32内の互いに対向する側部33(33R,33L)にそれぞれ設けられた各接続端子34,35に接続されるので、各ケーブル81,82が、互いに干渉することを防止することができる。
また、各81,82のプラグ8121,8221の挿入方向と、ケーブル811,821の凹部32からの延出方向とは略直交することとなるので、端子34,35からの各ケーブル81,82の抜けを抑えることができる。
更に、凹部32内に各ケーブル81,82の接続部812,822が収納されるので、当該接続部812,822がクレードル1から露出することを防ぐことができ、当該ケーブル81,82のクレードル1からの抜けを確実に防止することができる。
【0073】
〔実施形態の変形〕
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、本発明のスタンドをクレードル1として構成したが、本発明はこれに限らず、装着される携帯機器に対して電力を供給する電力供給装置及び充電器として構成してもよく、当該携帯機器と通信する通信装置、及び、電力の供給等を行わないスタンドとして構成してもよい。
また、前記実施形態では、携帯機器として、ゲーム機である携帯端末9を挙げたが、本発明はこれに限らない。すなわち、本発明のスタンドに載置される携帯機器は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)及びノート型PC(Personal Computer)等の携帯型情報端末であってもよく、また、カメラ及びディスク装置等の携帯機器であってもよい。
【0074】
前記実施形態では、各腕部5に形成された一対の挟持部51,52は、それぞれ載置部25に向かうに従って腕部5からの延出量が大きくなるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、一対の挟持部のうち、少なくとも一方の延出量が、載置部25に向かうに従って大きくなるように形成されていればよい。
前記実施形態では、載置部25及び各腕部5は、設置面に対して傾斜して形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、載置部は、設置面に対して略平行であってもよく、腕部は、設置面に対して直交するように起立していてもよい。
前記実施形態では、各腕部5は、携帯端末9の両側面915,916の形状に応じて略円弧状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、携帯機器の側面の少なくとも一部を覆う形状であれば、適宜設定してよい。
【0075】
前記実施形態では、レバー部材62は、別体である操作バー63が取り付けられた構成を有していたが、本発明はこれに限らない。すなわち、操作バー63と同様の構成を、操作部として一体的に設けたレバー部材としてもよい。
【0076】
前記実施形態では、係止部材として、電源ピン28及びイヤホン端子29を採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、載置部上に載置された携帯機器を係止することが可能であれば、他の形状及び構成の係止部材を採用してもよい。
前記実施形態では、それぞれ係止力の異なる電源ピン28及びイヤホン端子29を、係止部材として採用したが、本発明はこれに限らず、それぞれが同じ係止力となる端子を、係止部材として採用してもよい。
【0077】
前記実施形態では、凹部32内の接続端子34,35に接続される電源ケーブル81及び通信ケーブル82は、それぞれケーブル811,821の延出方向に対して略直交するプラグ8121,8221を有する接続部812,822を備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、ケーブルの延出方向に沿うプラグを有する電源ケーブル等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、携帯機器を支持するスタンドに利用でき、特に当該携帯機器に対する電力供給等を行うクレードルに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係るクレードル及び携帯端末を示す斜視図。
【図2】前記実施形態におけるクレードル及び携帯端末を示す斜視図。
【図3】前記実施形態におけるクレードル及び携帯端末を示す斜視図。
【図4】前記実施形態における携帯端末を下方背面側から見た斜視図。
【図5】前記実施形態におけるクレードルを正面側から見た斜視図。
【図6】前記実施形態におけるクレードルを背面側から見た斜視図。
【図7】前記実施形態におけるクレードルを上方から見た斜視図。
【図8】前記実施形態におけるクレードルを下方から見た斜視図。
【図9】前記実施形態における突出機構を示す斜視図。
【図10】前記実施形態における突出機構を示す側面図。
【図11】前記実施形態における突出機構を示す斜視図。
【図12】前記実施形態における突出機構を示す側面図。
【図13】前記実施形態におけるクレードルを示す縦断面図。
【図14】前記実施形態におけるクレードルを示す縦断面図。
【図15】前記実施形態におけるクレードルを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0080】
1…クレードル(スタンド)、2…筐体、5…腕部、9…携帯端末(携帯機器)、10…電子機器、21…開口、25…載置部、28…電源ピン(他方の係止部材)、29…イヤホン端子(一方の係止部材)、32…凹部、33(33R,33L)…側部(一対の側部)、51,52…挟持部、61…支持部材(操作部材)、62…レバー部材(操作部材)、63…操作バー(操作部、操作部材)、65…スライダ(板状体、操作部材)、66…突出部材、211…正面(第1の面)、212…上面(第2の面)、911…正面(携帯機器の第1面)、913…背面(携帯機器の第2面)、914…底面(携帯機器の底面)、915,916…側面(携帯機器の側面)、6115…ガイド孔(ガイド部)、6221…当接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器を支持するスタンドであって、
前記携帯機器の底面が載置される載置部と、
前記載置部から前記携帯機器の両側面の外形形状に沿って互いに対向するように起立し、かつ、当該両側面を挟持する一対の腕部とを有する筐体を備え、
前記各腕部は、当該腕部から他方の腕部に向かって延出して、前記携帯機器の底面及び前記両側面にそれぞれ交差する第1面及び第2面の一部を挟持する一対の挟持部を備え、
前記一対の挟持部のうちの少なくとも一方の挟持部は、前記載置部に近接する方向に向かうに従って、延出量が大きくなることを特徴とするスタンド。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンドにおいて、
前記載置部及び前記一対の腕部は、前記筐体が設置される設置面に対して傾斜して形成され、
前記一対の腕部は、正面視略長円状を有する前記携帯機器の前記両側面の形状に応じて略円弧状に湾曲して形成されていることを特徴とするスタンド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスタンドにおいて、
前記筐体は、
当該筐体から突出して、前記載置部に載置された前記携帯機器を押し上げる突出部材と、
前記突出部材を突出させる操作部材とを備えることを特徴とするスタンド。
【請求項4】
請求項3に記載のスタンドにおいて、
前記筐体は、
当該筐体における前記携帯機器の前記底面に対向する第1の面と、当該第1の面に交差する第2の面とに跨って形成された開口を有し、
前記操作部材は、
前記突出部材に当接する当接部を有し、かつ、回動動作に応じて前記突出部材を前記筐体から突出させるレバー部材と、
前記レバー部材を回動自在に支持する支持部材とを備え、
前記レバー部材は、
前記開口内にて前記第1の面に沿うように配置され、かつ、当該レバー部材を回動させる操作部と、
前記開口内にて前記第2の面に沿うように配置されるとともに、当該レバー部材に回動自在に支持され、前記操作部とともに前記開口を閉塞する板状体とを備え、
前記支持部材は、
前記設置面及び前記第2の面に傾斜し、かつ、前記レバー部材の回動に伴って、前記板状体を前記筐体内にガイドするガイド部を備えることを特徴とするスタンド。
【請求項5】
請求項4に記載のスタンドにおいて、
前記当接部は、前記突出部材に対向する方向に膨出するように、略円弧状に形成されていることを特徴とするスタンド。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載のスタンドにおいて、
前記載置部には、当該載置部への前記携帯機器の載置方向に対向する方向に突出し、前記携帯機器に挿入されて当該携帯機器を係止するピン状の係止部材が設けられていることを特徴とするスタンド。
【請求項7】
請求項6に記載のスタンドにおいて、
前記係止部材は、前記各腕部近傍に、それぞれ設けられ、
一方の前記腕部側に設けられた一方の前記係止部材は、他方の前記腕部側に設けられた他方の前記係止部材より、前記携帯機器の係止力が強く、
前記突出部材は、前記他方の係止部材から離間し、かつ、前記一方の係止部材に近接する位置に設けられていることを特徴とするスタンド。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のスタンドにおいて、
前記係止部材は、前記携帯機器に電力を供給する電源ピン、及び、前記携帯機器から音声信号が入力されるイヤホン端子のいずれかであることを特徴とするスタンド。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のスタンドにおいて、
前記筐体は、
当該筐体の2面に跨るように内側に凹む凹部を有し、
前記凹部を形成し、かつ、互いに対向する一対の側部には、所定のケーブルが接続される端子がそれぞれ設けられていることを特徴とするスタンド。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のスタンドと、当該スタンドにより支持される携帯機器とを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−200799(P2009−200799A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40184(P2008−40184)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】