説明

ステアリング用ダストカバー

【課題】 ワンタッチ固定式とする。
【解決手段】 2室16,17を仕切るパネル18に設けられたコラムホール20を貫通するステアリングシャフト19が貫通する内周シール部2と、内周シール部2とパネル18との間に配置されてコラムホール20を塞ぐダストシール本体21と、ダストシール本体21をパネル18に固定する外環部24の形状を保持するリテーナ6とを備えるステアリング用ダストカバーにおいて、コラムホール20を通過してパネル18と係合する爪ばね7を設け、該爪ばね7とダストシール本体21とによってパネル18を挟持してスナップロック式に装着されるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2室を仕切るパネルに設けられたコラムホールを貫通するステアリングシャフトとパネルとの間のコラムホールを塞ぐステアリング用ダストカバーに関する。さらに詳述すると、本発明は、ステアリング用ダストカバーをパネルに固定する構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングシャフトは、車室とエンジンルームとの間を仕切るパネルに設けられた開口に該パネルを貫くように配置されている。該パネルの開口の縁とステアリングシャフトとの間には、雨水、粉塵、外気、騒音等の車室内への侵入を防ぐために、ステアリング用ダストカバーが設けられている。ステアリングシャフトは、ハンドルの高さ調整のために、或いは自動車走行中の振動等により、パネルに設けられた開口に対して相対的に移動してしまうこと、例えば傾いたり偏倚することが避けられないため、ステアリング用ダストカバーにはベローズが備えられている。ベローズは変形し易い柔らかいゴム材で形成されており、このベローズが変形することでステアリングシャフトの傾動に追従するように設けられている。また、自動車以外の産業機械においても、同様のステアリングシャフトに対してはステアリング用ダストカバーが使用されることがある。
【0003】
このステアリング用ダストカバーは、パネルに設けられたコラムホールに嵌め込まれた状態で、コラムホールを区画するパネルに対してあるいはパネルに設けられたホールカバー・ハウジングに対してダストシール本体の外縁部分をボルトやバンドで固定することでパネルに取り付けられている。例えば、ダストシール本体の周縁に設けられた通し孔とパネルに開けられた取り付け用孔と取付け用押板の取付け用孔とを位置あわせした状態でボルトで固定することによって、コラムホールの周りのパネルにステアリング用ダストカバーを直接取り付けるようにしている(特許文献1)。また、パネルのコラムホールの周りに円筒状のホールカバー・ハウジングが設けられている場合には、ホールカバーの内側に嵌合するステアリング用ダストカバーのリテーナとの間でホールカバーをその外側に配置されるバンドで締め上げることによって固定するようにしている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平08−277940
【特許文献2】特開平06−084068
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のステアリング用ダストカバーの固定手法では、ダストシール本体とパネルと取付け用押板との複数部材間での通し孔の位置あわせやボルトの締め付けに時間がかかっていた。また、特許文献2に記載のステアリング用ダストカバーの固定手法では、バンドの締め付けなどで組み付けに時間がかかっていた。さらに、これらステアリング用ダストカバーでは、ステアリング用ダストカバーの他に固定バンドやボルト、押さえ板などの別部品を必要とするため、作業工数、管理工数がかかり、コストアップとなる問題を有している。
【0006】
そこで本発明は、ワンタッチ固定式のステアリング用ダストカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明は、2室を仕切るパネルに設けられたコラムホールを貫通するステアリングシャフトが貫通する内周シール部と、内周シール部とパネルとの間に配置されてコラムホールを塞ぐダストシール本体と、ダストシール本体をパネルに固定するダストシール本体の外環部の形状を保持するリテーナとを備えるステアリング用ダストカバーにおいて、コラムホールを通過してパネルと係合する爪ばねを設け、該爪ばねとダストシール本体とによってパネルを挟持してスナップロック式に装着されるようにしている。
【0008】
したがって、ステアリング用ダストカバーをパネルのコラムホールに装入すると、コラムホールの周縁部に当接する爪ばねが径方向内側に弾性変形させられながらコラムホールを通過し、その後爪ばねがコラムホールを通過する同時に爪ばねが再び径方向外側へ弾性変形してパネルに係合するため、爪ばねとダストシール本体とでパネルを挟持すると共に爪ばねが抜け止めとして機能する。これにより、爪ばねと共にダストシール本体とをコラムホールに押し込むだけの操作で取付が完了する、スナップロック式固定が行われる。同時に、シャフト軸方向および径方向へのステアリングシャフトの動きに対してステアリング用ダストカバーを保持する。
【0009】
ここで、爪ばねはコラムホールの周縁のパネルに当接する引っかかり突起とコラムホールの周縁に当接する傾斜部とを備えることが好ましい。この場合には、ステアリング用ダストカバーをパネルのコラムホールに装入するとき、コラムホールの周縁部が爪ばねの傾斜部に当接して摺接することにより、爪ばねが嵌め込まれる際に径方向内側に弾性変形してこの爪ばねのスムーズな通過を許容すると共に爪ばねの頂部がパネルを通過した後に爪ばねが再び径方向外側へ弾性変形して爪ばねの反対側の傾斜部に当接し、尚かつパネルのコラムホールを区画する周縁部に引っかかり突起が引っかかって爪ばねの抜け止めとして機能する。この状態で、ステアリング用ダストカバーを取り外す方向に外力が付与されても、引っかかり突起がパネルに当接して爪ばねの通過を阻止するので、パネルから抜け外れることがない。また、傾斜部がコラムホールの周縁部に当接しているので径方向の動きも制限される。一方、ステアリング用ダストカバーに取り外しのためにさらに強い外力が付与されると、引っかかり突起が僅かに弾性変形すると同時にコラムホールの周縁部に当接している爪ばねの傾斜部に発生する径方向内側への分力により、爪ばねが径方向内側に弾性変形して引っかかり突起がコラムホールの周縁のパネルを乗り越えてコラムホールの通過を許容する。これにより、爪ばねの頂部がパネルを通過してステアリング用ダストカバーをパネルから取り外すことができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のステアリング用ダストカバーによれば、爪ばねをダストカバー本体と共にパネルのコラムホールに嵌め込み、押し込むだけの操作で取付が完了するスナップロック式固定であるので、ワンタッチで固定することが可能となり、組み付け時間を短縮できる。しかも、爪ばね単体で製品保持力を有しているので、部品点数が少なくでき、コストダウン可能となる。さらに、爪ばねの弾性変形によりパネルからダストカバーを取り外すことができるため、ステアリングシャフトなどを何らかの事情で車両から取り外す必要が生じた場合にも、ステアリング用ダストカバーを再利用できる。
【0011】
また、請求項2記載の発明によると、コラムホールの周縁のパネルに当接する引っかかり突起とコラムホールの周縁に当接する傾斜部とを備える爪ばねにより、ステアリング用ダストカバーのコラムホールへの装入がスムーズに行われるので、装着作業がさらに容易となる。また、引っかかり突起によりパネルが押さえられるので、爪ばねのインパネからの抜け力を向上させ得る。しかも、傾斜部の活用により爪ばねを損傷させずにパネルからダストカバーを取り外すことができるため、ステアリングシャフトなどを何らかの事情で車両から取り外す必要が生じた場合にも、ステアリング用ダストカバーを再利用できる。
【0012】
さらに、爪ばねとリテーナとを一体とした請求項3記載の発明によると、単一部品となるため、作業工数、管理工数の削減により製造コスト及び管理コストの低減を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1から図7に本発明のステアリング用ダストカバーの実施の一形態を示す。このステアリング用ダストカバー1は、図1に示すように、車室16とエンジンルーム17との2室を仕切るパネル(インパネとも呼ばれる)18に設けられたコラムホール20に取り付けられて、コラムホール20を貫通するステアリングシャフト19とパネル18との間の隙間(コラムホール20)を塞ぐものである。このステアリング用ダストカバー1は、ステアリングシャフト19が貫通する内周シール部2と、内周シール部2とパネル18との間に配置されてコラムホール20を塞ぐダストシール本体21と、ダストシール本体21をパネル18に固定するダストシール本体21の外環部24の形状を保持するリテーナ6と、コラムホール20を通過してパネル18と係合する爪ばね7とを備え、ダストカバー1に装着した爪ばね7をパネル18に引っ掛けて爪ばね7とダストシール本体21とによってパネル18を挟持することによってスナップロック式にパネル18に装着されるようにしている。
【0015】
ダストシール本体21は、ステアリングシャフト19の軸方向に並べて配置された複数のゴム製ベローズ3a,3bと、これらを外周側で連結して一体化する円筒状の連結部22と、さらにリテーナ6による補強の下にパネル18に固定される外環部24並びに外環部24の最も外周側でパネル18に当接して車室16側への雨水や粉塵などの侵入を防ぐ環状のダストリップ25と、ダストリップ25よりも内径側でパネル18に当接する環状凸部26とを有している。本実施形態のダストシール本体21の場合、第1,第2ベローズ3a,3bを円筒状の取付部22で連結してリテーナ6と共に一体成形するようにしている。尚、本実施形態のダストシール本体21では、第1と第2の2枚のベローズ3a,3bを設けた例について主に説明するが、1枚のベローズあるいは3枚以上のベローズによって構成されるものであっても良い。
【0016】
第1及び第2ベローズ3a,3bの各内周側の端部は、それぞれ内周シール部2のブッシュ14の外周面に嵌まる環状の固定部23a,23bとなっている。そして、各固定部23a,23bと取付部22との間には、エンジンルーム17側に向かって山形に突出した突出部27aと反対の車室内側へ向かって山形に突出した突出部27bがそれぞれ形成され、これらの突出部27a,27bが屈曲ないし展開あるいは撓み等の変形をすることで、ハンドルの高さ調整時等のステアリングシャフト19の傾動を許容し、また自動車走行中等のステアリングシャフト19の振動を吸収するように設けられている。ここで、ダストシール本体21を構成するゴム材は、ステアリングシャフト19の傾動に良好に追従するべく高い柔軟性を有するものの利用が好ましく、例えば本実施形態ではエチレンプロピレンゴムを用いている。
【0017】
本実施形態の場合、内周シール部2はブッシュ14とシールリップ4,15で構成されている。ステアリングシャフト19が貫通するブッシュ14は、低摩擦材料によって筒状に形成されており、ステアリングシャフト19が摺接する内周面には主に潤滑剤としてのグリースを保持するための溝13が適宜本数設けられている。ここで、低摩擦材は、摺動性が良好すなわち低い摩擦係数であり、且つステアリングシャフト19の回転や傾動によって或いはスナップリング5の締め付け力によって容易に変形することのない程度の剛性を備える硬質低摩擦材を用いることが好ましく、例えば本実施形態ではナイロンを用いている。
【0018】
また、ブッシュ14の少なくともエンジンルーム17側の端部には、ステアリングシャフト19の外周面と接触してエンジンルーム17からの雨水や粉塵などの侵入を防ぐと共にエンジンルーム17側への潤滑グリースの流出を防ぐ環状のシールリップ4が備えられている。さらに、本実施形態では、ブッシュ14の車室16側の端部にもステアリングシャフト19の外周面と接触する環状のシールリップ15が配置され、エンジンルーム17側の端部に配置されたシールリップ4と相まって、ブッシュ14の溝13に充填されたグリースを両側から密封する構造としている。これらシールリップ4,15は、特定の材料に限定されるものではないが、摺動性、シール性に優れるゴム材あるいはエラストマーの使用が好ましく、例えばNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)の使用が好適である。本実施形態のシールリップ15は、スナップリング5と一体成型されており、スナップリング5をブッシュ14に装着するのと同時にブッシュ14のエンジンルーム17側に配置することができるように設けられている。
【0019】
さらに、ブッシュ14の外周面には、第1,2ベローズ3の筒状の各固定部23a,23bが嵌め込まれ、一端部のフランジによって軸方向の抜け止めが行われた状態でスナップリング5により周りから締め付けられることで確実に固定されている。これにより、ダストシール本体とブッシュとが二重ベローズを構成するものとして一体化される。
【0020】
リテーナ6は、ダストシール本体21のパネル18側に固定される外環部24に装着されてその形状を保持するためのものである。本実施形態の場合には、側方(軸方向)に開口する断面形状溝形(略コ形)のリングからなり、ダストシール本体21の外環部24にブッシュ14と同軸となるように装着されている。したがって、ダストシール本体21の外環部24をパネル18に宛がうようにしてコラムホール20に装着するときには、図2に示すように、パネル18と溝の底が平行に配置されるように溝形状のリテーナ6が配置される。このリテーナ6は、例えば板ばね材料として一般的な炭素鋼を用いてプレス板金加工などにより断面形状溝形に成形したものである。
【0021】
さらに、本実施形態のリテーナ6は、図3及び図7に示すように、コラムホール20を通過してパネル18と係合する爪ばね7を備え、該爪ばね7とダストシール本体21とによってパネル18を挟持するスナップロック式装着構造とされている。爪ばね7は本実施形態の場合、取り付け力の均衡をとるため90°おきに等間隔に4箇所配置されているが、3箇所あるいは5箇所以上備えるようにしても良いし、場合によっては1ないし2箇所とすることもある。また、本実施形態の場合、爪ばね7は、板ばね材料を打ち抜いてから曲げ加工することで、先端が連結部11で連結された2枚の板状の第2の傾斜部10と、中央の引っかかり突起8と、1枚の第1の傾斜部9が一体に成形されている。爪ばね7は、リテーナ6から軸方向に突出する舌片の先端側を径方向外側にレ形に折り返すと共に第1傾斜部9を形成し、さらにその前方を径方向内向側に屈曲させて第2の傾斜部10を形成している。さらに、先端の連結部11を僅かに径方向外側へ折り返すことでほぼ水平(ステアリングシャフトとほぼ平行)な端部を構成している。ここで、引っかかり突起8は第1の傾斜部9の延長方向に延び、爪ばね7の頂部(第1の傾斜部9と第2の傾斜部10との屈曲部)よりも僅かに径方向外側へ突き出るように設けられている。この引っかかり突起8を付けることにより、爪ばね7の頂部がコラムホール20を通過して再び径方向外側へ弾性変形して第2の傾斜部10がコラムホール20の周縁28に当接したときに、引っかかり突起8がパネル18に突き当たってパネル18からの抜け力を向上させる。ここで、引っかかり突起8の突出量は少な過ぎるとパネルへの引っかかりが不十分となるが、多過ぎても、ステアリング用ダストカバー1をパネル18から取り外す際に塑性変形を起こさないとパネル18を通過できない事態が生じるので、設定された値以上の軸方向の外力が与えられたときに適度に弾性変形してコラムホール20を通過し得る適度な長さとすることが好ましい。例えば、厚み0.6mm程度の炭素鋼を用いてリテーナ6と爪ばね7とを一体成形する場合において、幅2.5mm程度の引っかかり突起8を形成するときには、第2の傾斜部10の延長線上からの突出量Lが0.5〜1mm前後、引っかかり突起8そのものの長さLが2〜3mm前後とすることが好ましい。また、第2の傾斜部10はダストカバー1を取り外そうとするときの動きを爪ばね7の径方向内側への弾性変形に変換するガイドとなって機能するため、引っかかり突起8が塑性変形することなく引き抜ける。
【0022】
また、爪ばね7は、本実施形態ではコラムホール20の周縁のパネル18に当接する引っかかり突起8とコラムホール20の周縁に当接する傾斜部(第1の傾斜部9と第2の傾斜部10)とを備える。なお、本実施例では爪ばね7とリテーナ6とをばね材料で一体成形しているが、リテーナ6と爪ばね7とを別体で形成してそれぞれダストシール本体21の外周縁部24に装着されるようにしても良い。このとき、リテーナ6と爪ばね7とは、全く外環部24の別々の部位に離して装着するようにしても良いし、部分的に重なり合うように装着しても良い。さらには、リテーナ6と爪ばね7とは同一材料あるいは異なる材料のいずれによって構成するようにしても良い。例えば、プラスチック製のリテーナ6と金属製の爪ばね7、あるいは金属製のリテーナ6とプラスチック製の爪ばね7、若しくはプラスチック製のリテーナ6と爪ばね7としても良い。さらには、別体に形成したリテーナ6と爪ばね7とをリベット止めや、溶接・接着などで接合することも可能である。この場合、製造を容易にすることができると共に、場合によっては軽量化を図ることができる。尚、別体で形成する場合には少なくとも爪ばね7をばね鋼で形成することが好ましい。
【0023】
以上のように構成されたステアリング用ダストカバー1によれば、ステアリング用ダストカバー1をパネル18のコラムホール20に装着するときは、爪ばね7をダストカバー本体21と共にコラムホール20に嵌め込み、押し込むだけの操作で取付が完了する。即ち、コラムホール20の周縁28が爪ばね7の第1の傾斜部9に当接した状態でダストカバー1が押し込まれるため、爪ばね7が径方向内側に弾性変形してこの爪ばね7のスムーズなコラムホール20の通過を許容すると共に爪ばね7の頂部(第1の傾斜部9と第2の傾斜部10との屈曲部)がパネル18を通過した後に爪ばね7が再び径方向外側へ弾性変形により復帰して爪ばね7の頂部を通過した反対側の第2の傾斜部10に当接し、尚かつコラムホール20を区画するパネル18に引っかかり突起8が引っかかって爪ばね7の抜け止めとして機能する。この状態で、ステアリング用ダストカバー1を取り外す方向に外力が付与されても、引っかかり突起8がパネル18に当接して爪ばね7の通過を阻止するので、パネル18から抜け外れることがない。この装着状態においては、軸方向、径方向に外力が作用しても、爪ばね7の引っかかり突起8および第2の傾斜部10がパネル18に当接しているのでダストカバー1が安定して固定、保持される。さらに、ステアリング用ダストカバー1に取り外しのためにさらに強い外力が付与されると、引っかかり突起8が僅かに弾性変形すると同時にコラムホール20の周縁28に当接している爪ばね7の第2の傾斜部10に発生する径方向内側への分力により、爪ばね7が径方向内側に弾性変形して引っかかり突起8がパネルの周縁28を乗り越えてコラムホール20を通過する。これにより、爪ばね7の頂部がパネル18を通過してステアリング用ダストカバー1をパネル18から取り外すことができる。
【0024】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では主に自動車用ステアリング用ダストカバーに適用した例を挙げて説明したが、自動車用ステアリング用ダストカバーへの本発明の適用に限られず、自動車以外の産業機械のステアリングダストカバーなどにも使用可能である。また、本実施形態においては、パネル18に開けられたコラムホール20に直接ダストカバー1を取り付けるようにしているが、これに特に限られず、場合によってはパネル18から起立されたホールカバー(図示省略)によって区画されるコラムホールにダストカバー1を装着するようにしても良いし、その際に車室16内の省スペース化やデザイン上の要求等に応じて、パネル18に対してブッシュ14が当初から斜めに配置されるステアリング用ダストカバー1としても良い。
【0025】
また、本実施形態では、爪ばね7に抜け止めとして機能する引っかかり突起8を備えるようにしているが、場合によっては引っかかり突起8を省いて径方向に働くばね力だけで固定するようにしても良い。こうした場合、爪ばね7のばね力の調整により容易に抜け出さないようにできるが、取り外し時に第2の傾斜部10の表面が滑り難く、ステアリング用ダストカバー1をパネル18から抜き取ることが難しくなり、その分だけ作業性が劣ることが想定されるが、この場合においても、爪ばね7を内側に弾性変形させる治具などの併用によりダストカバへ取り外し作業を容易にすることはできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のステアリング用ダストカバーの一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同ステアリング用ダストカバーの爪ばね部分の拡大断面図である。
【図3】リテーナの縦断面図である。
【図4】リテーナの正面図である。
【図5】爪ばねの拡大断面図である。
【図6】爪ばねの平面図である。
【図7】爪ばねとリテーナの部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ステアリング用ダストカバー
2 内周シール部
6 リテーナ
7 爪ばね
8 引っかかり突起
9 第1の傾斜部
10 第2の傾斜部
14 ブッシュ
16 車室
17 エンジンルーム
18 パネル
19 ステアリングシャフト
20 コラムホール
21 ダストシール本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2室を仕切るパネルに設けられたコラムホールを貫通するステアリングシャフトが貫通する内周シール部と、前記内周シール部と前記パネルとの間に配置されて前記コラムホールを塞ぐダストシール本体と、前記ダストシール本体を前記パネルに固定する前記ダストシール本体の外環部の形状を保持するリテーナとを備えるステアリング用ダストカバーにおいて、前記コラムホールを通過して前記パネルと係合する爪ばねを設け、該爪ばねと前記ダストシール本体とによって前記パネルを挟持してスナップロック式に装着されることを特徴とするステアリング用ダストカバー。
【請求項2】
前記爪ばねは前記コラムホールの周縁の前記パネルに当接する引っかかり突起と前記コラムホールの周縁に当接する傾斜部とを備えるものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
【請求項3】
前記爪ばねと前記リテーナとが一体成形されているものである請求項1または2記載のステアリング用ダストカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−101811(P2009−101811A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274666(P2007−274666)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000104490)キーパー株式会社 (23)
【Fターム(参考)】